説明

線状部材、とりわけ眼鏡のサイドアーム、及びその製造方法

快適さ及び/又は装飾性を向上させるため、フレキシブル・エラストマー(5)でコーティングされたしなやかな金属芯(4)を有するタイプの線状部材、とりわけ眼鏡のアームであって、その構造は、しなやかな金属芯(4)における所定の位置の周囲に固定して取り付けられた複数の硬質プラスチック製のリング(6)からなり、これにより、リング(6)は、フレキシブル・エラストマー(5)が芯(4)に対して接合するための、リング(6)と同数の中間部機械的接合点として各々が機能することができ、リング(6)の断面は、そのリングを囲うエラストマー(5)の断面内部に含まれる。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、概してしなやかな金属芯を有するタイプの線状部材に関するものである。そして、その金属芯は、快適さ及び/又は装飾性を向上させるため、フレキシブル・エラストマーでコーティングされる。
【0002】
本発明の限定されない用途としては、眼鏡のアームが挙げられる。
【0003】
この種のアームを製造するうえで直面する大きな問題は、まさに金属部分にフレキシブル・エラストマーをコーティングすることにある。フレキシブル・エラストマーは金属に定着しないためである。なお、その金属はステンレス鋼であることが多い。
【0004】
さらに他の問題は、成形工程において、フレキシブル・エラストマーの中心部にあるべき前記金属芯を中心に位置付けることにある。この工程において、エラストマーが軟らかい状態にあるためである。
【0005】
この問題を克服する方法として、プラスチック製の鞘で前記アームをすっぽり覆う方法が知られている。しかしながら、その鞘は硬く、備えるべき柔軟性を有していないため、金属アームの全体を鞘で覆うことはできない。
【0006】
本発明の目的はこうした様々な問題点を改善することである。またそれゆえ本発明の目的は、快適さ及び/又は装飾性を向上させるため、フレキシブル・エラストマーでコーティングされたしなやかな金属芯を有するタイプの線状部材、とりわけ眼鏡のアームに関するものとなる。そして、当該線状部材は、その構造がしなやかな金属芯における所定の位置の周囲に固定して取り付けられた複数の硬質プラスチックのリングにより構成され、これにより、フレキシブル・エラストマーが芯に対して接合するための、前記リングと同数の中間的機械的接合点が構成され、またそのリングの断面は、リングを囲うエラストマーの断面の内部に存在するという特徴を有する。
【0007】
本発明は、後の記述の中で明らかにされ、かつ、個別に、もしくは実現可能な技術的なすべての組み合わせにおいて考慮されるべき特徴に関するものでもある。
【0008】
限定されない例として与えられる以下の説明を通して、また添付図面を参照することにより、本発明がどのように具体化されるかを理解することが容易になる。
【0009】
図1は、本発明に従って実現されるサイドアームが取り付けられた眼鏡の一部分の断面に係る上面図を表す。
【0010】
図2は、図1に従うアームの金属芯の平面図である。
【0011】
図3は、その表面上に成形するフレキシブル・エラストマーとの接合のためにリングが取り付けられた、図2に従うアームの金属芯の平面図である。
【0012】
図4は、図2、図3に従う図であり、表面上にエラストマーを成形した後の図である。
【0013】
図5は、図4のV−V線における、拡大されたアームの断面図である。
【0014】
本発明は、どのようなタイプの線状部材にも適用されうる。しかしながら、以下では眼鏡のアームへの適用について述べる。
【0015】
図1にその全体が示されている眼鏡1は、眼鏡前面部2からなる。その眼鏡前面部2は、レンズからなり、そのレンズは中央部で互いに連結されるとともに、外端部においてピンマウント10によりアーム3に連結される。
【0016】
図1の記載に基づいて、これらの眼鏡はマウントを有する。しかし、当然のことながら、その眼鏡がいわゆるピアス眼鏡と呼ばれる眼鏡であってもよい。
【0017】
アーム3は、少なくともその一部分がしなやかな金属芯4からなる。その金属芯はスリーブ5に覆われており、スリーブ5は、快適さ及び/又は装飾性を向上させるため、フレキシブル・エラストマーにより成形されている。
【0018】
本発明に従うと、線状部材もしくはアーム3の構造は、複数の硬質プラスチック製のリング6からなる。リング6は、しなやかな金属芯4における所定の位置の周囲に固定して取り付けられている。これにより、フレキシブル・エラストマー5が芯4に対して接合するための、リング6と同数の中間的機械的接合点が形成される。またリング6部は、そのリング6を囲うエラストマー5部の内側に存在する。
【0019】
本発明の他の特徴によると、図3のAの詳細に対応し、また図5の拡大図に示されているように、リング6の断面は、縦方向XX’と横方向YY’の両方において左右対称である。これにより、金属芯4の表面にフレキシブル・エラストマー5を射出成形する操作中に、金属芯4に対して、フレキシブル・エラストマーを中心部に位置付けるための部材が構成される。
【0020】
前記リング6が、そのリングの数だけ射出成形の操作中にモールド内部でエラストマーの経路を塞ぐ妨害物とならないように、エラストマーを非常にゆっくりと移動させる研究がなされてきた。このために、それぞれのリング6は金属芯4を取り囲む中心核7を備える。中心核7の断面は、エラストマー5の断面よりも小さく、これにより、エラストマーの射出成形の操作中に、エラストマー5を収容することができる。その核7には少なくとも4つの、実質的に円錐状のマウント8が起立しており、マウント8は、互いに垂直となる2本の軸XX’−YY’上に、上記核7の周りに均一に配置されている。またマウント8の頂部8aは、エラストマー5の断面の内側にある。これにより、前記リングは、そのエラストマーの射出成形の操作中に、そのリングの数と同数の妨害物となることはない。
【0021】
マウント8は、いかなる形状であってもよく、また、XX’軸上にあるかYY’軸上にあるかにかかわらず、同一直線上に位置することに留意する。しかしながら、マウント8は射出成形がしやすいように互いに片寄っていてもよい。
【0022】
本発明は、線状部材、若しくは今まさに述べたアーム1の製造方法にも関するものである。この方法は、以下の工程を特徴とする。
【0023】
芯4を形成するためのしなやかな金属ワイヤーを、所定の長さに切断する切断工程。
【0024】
所定の側面及び断面に従って前記金属ワイヤーを形成する形成工程(図2)。
【0025】
硬質プラスチックリング6を受け入れるための、芯4における所定の位置に変形部9を形成する変形工程。
【0026】
その目的のために用意された、芯4における前記箇所9での単一操作の間に、リング6を得る目的のために硬質性プラスチックを金属芯4の表面に射出する第一射出工程。
【0027】
線状部材3の快適さ及び/又は装飾性を実現する目的のために中心位置付けのためのリング6を備えた金属芯4の表面にフレキシブル・エラストマー5を射出する第二射出工程。
【0028】
金属芯4における変形部9は、芯4を両側から押圧することによって得られる。そうすることで、芯(4)における押圧された箇所が、一方向では狭められ、その方向に垂直な他の方向には拡げられる。これにより、リング(6)と同数の、リング(6)のための接合点が形成される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】眼鏡に本発明に従って実現されるサイドアームが取り付けられた眼鏡の一部分の断面にかかる上面図を表す。
【図2】図1に従うアームの金属芯の平面図である。
【図3】その表面上に成形するフレキシブル・エラストマーとの接合のためにリングが取り付けられた、図2に従うアームの金属芯の平面図である。
【図4】図2、3に従う図であり、表面上にエラストマーを成形した後の図である。
【図5】図4のV−V線における、拡大されたアームの断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
快適さ及び/又は装飾性を向上させるため、フレキシブル・エラストマー(5)でコーティングされたしなやかな金属芯(4)を有するタイプの線状部材、とりわけ眼鏡のアームであって、
その構造は、しなやかな金属芯(4)における所定の位置の周囲に固定して取り付けられた複数の硬質プラスチック製のリング(6)からなり、これにより、フレキシブル・エラストマー(5)が芯(4)に対して接合するための、リング(6)と同数の中間部機械的接合点が構成され、リング(6)の断面は、そのリングを囲うエラストマー(5)の断面内部に存在することを特徴とする線状部材。
【請求項2】
リング(6)の断面が、縦方向(XX’)と横方向(YY’)の両方において左右対称であることにより、金属芯(4)の表面にフレキシブル・エラストマー(5)を射出成形する操作中に、金属芯(4)に対して、フレキシブル・エラストマー(5)を中心部に位置付けるための部材が構成されることを特徴とする、請求項1に記載の線状部材。
【請求項3】
それぞれのリング(6)が、金属芯(4)を取り囲む中心核(7)を備え、
中心核(7)の断面は、エラストマー(5)の断面よりも小さく、これにより、エラストマー(5)の射出成形の操作中にエラストマー(5)を収容することができ、
その核(7)には少なくとも4つの、実質的に円錐状のマウント(8)が起立しており、
マウント(8)は、互いに垂直の2本の軸(XX’;YY’)上に、核(7)の周りに均一に配置されており、
マウント(8)の頂部(8a)は、エラストマー(5)の断面内部に存在し、前記リングは、そのエラストマーの射出成形の操作中に、そのリングと同数の妨害物とはならないことを特徴とする、請求項2に記載の線状部材。
【請求項4】
請求項1から3の何れか一項に記載の、フレキシブル・エラストマー(5)でコーティングされたしなやかな金属芯(4)を有するタイプの線状部材、特に眼鏡(1)のアーム(3)の製造方法であって、
芯(4)を形成するためのしなやかな金属ワイヤーを所定の長さに切断する切断工程と、
所定の側面及び断面に従って前記金属ワイヤーを形成する形成工程と、
硬質プラスチックリング(6)を受け入れるための、芯(4)における所定の位置に変形部(9)を形成する変形工程と、
その目的のために用意された、芯(4)における前記箇所(9)での単一操作の間に、リング(6)を得る目的のために硬質性プラスチックを金属芯(4)の表面に射出する第一射出工程と、
線状部材(3)の快適さ及び/又は装飾性を実現する目的のために中心位置付けのためのリング(6)を備えた金属芯(4)の表面にフレキシブル・エラストマー(5)を射出する第二射出工程と、を含むことを特徴とする線状部材の製造方法。
【請求項5】
金属芯(4)における変形部(9)は、芯(4)を両側から押圧することによって得られ、これにより、芯(4)における押圧された箇所が、一方向では狭められ、その方向に垂直な他の方向には拡げられ、これにより、リング(6)と同数の、リング(6)のための接合点が形成されることを特徴とする、請求項4に記載の線状部材の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2009−534702(P2009−534702A)
【公表日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−505924(P2009−505924)
【出願日】平成19年1月17日(2007.1.17)
【国際出願番号】PCT/FR2007/000097
【国際公開番号】WO2007/118942
【国際公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【出願人】(508312131)ロゴ ソシエテ アノニム (1)
【氏名又は名称原語表記】LOGO SA
【住所又は居所原語表記】12,rue Voltaire,F−39400 Morez,France
【Fターム(参考)】