線画データの作成方法及びその作成方法を用いた印刷物、線画データの作成装置並びに作成プログラム
【課題】 本発明は、貴重品の偽造防止効果を高めることが可能な線画データの作成方法及びその作成方法を用いた印刷物、線画データの作成装置並びに作成プログラムに関するものである。
【解決手段】 画素値{0}及び画素値{1}を含む二値画像データを取得し、その二値画像データの各画素をn×n画素(nは、正の偶数)に拡大した拡大画像データを作成し、拡大画像データをn×n画素(nは、正の偶数)に分割し、分割したすべての配列の画素値を所定の配列置換規則によって{0}又は{α}(αは、0及び1以外の整数)に置換して配列置換画像データを作成し、配列置換画像データの画素値{α}を{0}又は{1}に変換して拡張変換画像データを作成し、拡張変換画像データの輪郭を抽出して線画データを作成する。
【解決手段】 画素値{0}及び画素値{1}を含む二値画像データを取得し、その二値画像データの各画素をn×n画素(nは、正の偶数)に拡大した拡大画像データを作成し、拡大画像データをn×n画素(nは、正の偶数)に分割し、分割したすべての配列の画素値を所定の配列置換規則によって{0}又は{α}(αは、0及び1以外の整数)に置換して配列置換画像データを作成し、配列置換画像データの画素値{α}を{0}又は{1}に変換して拡張変換画像データを作成し、拡張変換画像データの輪郭を抽出して線画データを作成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、銀行券、パスポート、有価証券、カード、印紙類、商品タグ、有料道路等の回数券、各種チケット等の貴重品の偽造防止効果を高めることが可能な線画から成る印刷領域を作成するための線画データの作成方法及びその作成方法を用いた印刷物、線画データの作成装置並びに作成プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
銀行券、パスポート、有価証券、カード、印紙類、商品タグ、有料道路等の回数券、各種チケット等の貴重品は、その価値を保証及び維持するために偽造防止技術が施されている。そのため、このような貴重品には、例えば、複製防止や複写機での複写防止効果を得るために線画によって彩紋模様やコピー防止画線によって印刷模様を形成している。
【0003】
また、彩紋模様の偽造防止効果を高めるために彩紋模様内に微小文字を埋め込む技術が開示されている。例えば、基材上の少なくとも一部に彩紋模様が施された印刷物において、彩紋の少なくとも一部が文字で構成されている印刷物であって、肉眼では単に彩紋模様が構成されているように認識されるが、その情報を知っている者に限り、真正品には当該微小文字の存在が認識可能な彩紋の一部に文字を有した印刷物が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、複写機での複写防止効果を得るために、線画によってコピー防止画線を形成する技術が開示されている。例えば、一定の画線幅の画線を有する複数のロゴタイプ等の文字及びシンボルマークの輪郭線に、前記輪郭線を成す線分の外向には、前記輪郭線の線分の画線幅より細い画線幅による定量連続拡張した画線を施し、前記輪郭線を成す線分の内向には、前記輪郭線の線分の画線幅より細い画線幅による収縮配列した画線を施し、前記輪郭線を成す線分と、定量連続拡張した画線と、収縮配列した画線とが等差数列を成す画線の集合体で構成した複写防止模様の作成方法とその印刷物があり、複写機等により複写した場合に、モアレ模様の発生によって複写防止効果を得る技術である(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
さらに、 一定の画線幅の画線を有する複数のロゴタイプ等の文字及びシンボルマークの輪郭線に、前記輪郭線を成す線分の外向には、前記輪郭線の線分の画線幅より太い画線幅による定量連続拡張した画線を施し、前記輪郭線を成す線分の内向には、前記輪郭線の線分の画線幅より太い画線幅による収縮配列した画線を施し、前記輪郭線を成す線分と、定量連続拡張した画線と、収縮配列した画線とが等差数列を成す画線の集合体で構成した複写防止模様の作成方法とその印刷物があり、複写機等により複写した場合に、モアレ模様の発生によって複写防止効果を得る技術である(例えば、特許文献3参照)。
【0006】
【特許文献1】特開2007−15320号公報(第1−4頁、第1−7図)
【特許文献2】特許第3368329号公報(第1−9頁、第1−11図)
【特許文献3】特許第3368330号公報(第1−5頁、第1−7図)
【0007】
特許文献1の印刷物は、ルーペ等の拡大鏡で観察した場合に微小文字が確認できものであった。また、特許文献2及び特許文献3の印刷物は、文字、ロゴマーク等がスプレッド画線によって形成されたもので、複写機で複写した場合にモアレを発生されることが目的であるため、あらかじめ文字、ロゴマークが肉眼で確認できるもので、文字、ロゴマークの輪郭線に対して外交するに従い、外側の画線が曲線となるものであった。近年のコンピュータ機器の普及発展によって、貴重品の偽造が従来よりも多くなってきており、複製されにくい、より複雑な線画形状であって、本物か否か真偽判別可能な埋め込み情報を有する印刷物が求められている。
【0008】
ここで、特許文献2及び特許文献3にも記載されており、本発明におけるスプレッド画線3とは、図1に示すように、所定の線画1(二値画像データ)に対して、外向及び/又は内向するように、所定の間隔で連続拡張した拡張画線2a、2b・・・が形成されたパターンを言う。なお、図1は、拡張画線が外向のみの例である。このようなスプレッド画線の線画データを作製するためには、Illustrator等の市販されている画像処理ソフトウェアを用いて手作業で作製するか、Illustrator等の画像処理ソフトウェアの同心形作成機能を用いて作製していた。
【0009】
同心形作成機能は、図2に示すように、第1の工程で画像処理ソフトウェアで線画1を形成し、作製した線画1に対して、第2の工程で同心形作成機能を繰り返し命令することで拡張画線2a、2bを形成することによりスプレッド画線3の線画データが作製される。
【0010】
しかしながら、図3(a)に示すような線画1に対して同心形作成機能を繰り返し命令し、拡張画線2a、2bを形成した場合に、所定の間隔で拡張画線が形成されることなく、違和感を有する空白領域Sが形成されるという問題があった。この場合、第1の工程に戻り、図3(b)に示すように、手作業によって線画1の位置情報を変更してから、同心形作成機能によってスプレッド画線3の線画データを作成する必要があった。よって、複雑なスプレッド画線3を作成しようとすればするほど、試行錯誤を重ねながら画線の配線を行う必要があり、経験を積んだ作業者が長い時間をかける必要があった。特に、三角形や四角形等の幾何学模様のスプレッド画線ではなく、図4に示す数字、文字等の複雑な線画1を基にスプレッド画線3の線画データを作成する場合は、拡張すべき領域に膨張画線が形成することができない問題や、拡張すべきでない領域に膨張画線が形成されてしまう問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、このような従来の問題を解決することを目的としたもので、オペレータが試行錯誤を重ねながら線画の配線を行う必要がなく、文字等の複雑な線画を基にスプレッド画線の線画データを容易に作成可能であり、スプレッド画線作成に長時間かかることがないことを特徴とする線画データの作成方法及びその作成方法を用いた印刷物、線画データの作成装置並びに作成プログラムを提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、所定の模様に対して複数の画線を規則的に配置することにより、所定の模様を肉眼では視認困難とするための線画データの作成方法において、所定の模様の原画像から画素値{0}及び画素値{1}を含む二値画像データを取得し、二値画像データの各画素をn×n画素(nは、正の偶数)に拡大した拡大画像データを作成し、拡大画像データをn×n画素(nは、正の偶数)に分割し、分割したすべての配列における画素値を所定の配列置換規則によって{0}又は{α}(αは、0及び1以外の整数)に置換して配列置換画像データを作成し、配列置換画像データの画素値{α}を{0}又は{1}に変換して拡張変換画像データを作成し、拡張変換画像データの輪郭を抽出して線画データを作成することを特徴とする線画データの作成方法である。
【0013】
また、本発明の線画データの作成方法は、配列置換画像データの所定の画素値{α}に対して、上下又は左右の画素値がともに{0}の場合に、所定の画素値{α}を画素値{0}に変換して画素連結画像データを作成することを更に有することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の線画データの作成方法における所定の配列置換規則は、n×n画素(nは、正の偶数)が2×2画素であり、2×2画素の配列Ci(i=1、2、・・・、7)を、画素値Pxy(x=1又は2;y=1又は2)を用いてCi={P11、P21、P12、P22}で表し、C1={0、0、0、0}、C2={1、1、1、1}、C3={0、α、α、α}(αは、0及び1以外の整数)、C4={α、0、α、α}、C5={α、α、0、α}、C6={α、α、α、0}及びC7={α、α、α、α}とし、2×2画素の配列がC1の場合は、C3、C4、C5及びC6のいずれか一つを選択して置換し、2×2画素の配列がC2の場合は、C7に置換することを特徴とする。
【0015】
また、本発明の線画データの作成方法における拡張変換画像データは、配列置換画像データ又は画素連結画像データの画素値{0}に対して、隣接する画素の画素値が{α}の場合に、隣接する画素の画素値を{1}に変換し、変換された画素値{1}に対して、隣接する画素の画素値が{α}の場合に、隣接する画素の画素値を{0}に変換し、画素値{α}が無くなるまで二つの画素値の変換を繰り返すことを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、前述した線画データの作成方法により作成された線画データを、所定の出力機器又は印刷機を用いて基材に印刷模様として印刷したことを特徴とする印刷物である。
【0017】
なお、上記記載の本発明における線画データの作成方法により作成されたデータを基にした印刷物は、基材に輪郭画線で形成した所定の情報が形成され、輪郭画線に対して外向するように、所定の間隔で連続拡張した拡張画線が形成され、輪郭画線に対して内向するように、所定の間隔で連続収縮した収縮画線が形成され、輪郭画線の画線幅、拡張画線の画線幅及び収縮画線の画線幅が同一であり、拡張画線の非画線幅及び収縮画線の非画線幅が同一であることを特徴とする印刷物である。
【0018】
さらに、上記の印刷物は、輪郭画線の画線幅、拡張画線の画線幅及び収縮画線の画線幅が、25〜500μmの範囲であり、拡張画線の非画線幅及び収縮画線の非画線幅が、100〜1000μmの範囲であることを特徴とする印刷物であり、所定の情報が数字、文字、記号又はロゴマークであることを特徴とする。
【0019】
また、本発明は、所定の模様に対して複数の画線を規則的に配置することにより、所定の模様を肉眼では視認困難とするための線画データの作成装置において、所定の模様の原画像から画素値{0}及び画素値{1}を含む二値画像データを取得する二値画像取得手段と、二値画像データの各画素をn×n画素(nは、正の偶数)に拡大した拡大画像データを作成する拡大画像変換手段と、拡大画像データをn×n画素(nは、正の偶数)に分割し、分割したすべての配列の画素値を所定の配列置換規則によって{0}又は{α}(αは、0及び1以外の整数)に置換して配列置換画像データを作成する配列置換手段と、配列置換画像データの画素値{α}を{0}又は{1}に変換して拡張変換画像データを作成する拡張変換手段と、拡張変換画像データの輪郭を抽出して線画データを作成する線画データ抽出手段から成ることを特徴とする線画データの作成装置である。
【0020】
また、本発明の線画データの作成装置は、配列置換画像データの所定の画素値{α}に対して、上下又は左右の画素値がともに{0}の場合は、画素値{α}を画素値{0}に変換して画素連結画像データを作成する画素連結手段を更に有することを特徴とする。
【0021】
また、本発明の線画データ作成装置の配列置換手段における配列置換規則は、n×n画素(nは、正の偶数)が2×2画素であり、2×2画素の配列Ci(i=1、2、・・・、7)を、画素値Pxy(x=1又は2;y=1又は2)を用いてCi={P11、P21、P12、P22}で表し、C1={0、0、0、0}、C2={1、1、1、1}、C3={0、α、α、α}(αは、0及び1以外の整数)、C4={α、0、α、α}、C5={α、α、0、α}、C6={α、α、α、0}及びC7={α、α、α、α}とし、2×2画素の配列がC1の場合は、C3、C4、C5及びC6のいずれか一つを選択して置換し、2×2画素の配列がC2の場合は、C7に置換することを特徴とする。
【0022】
また、本発明の線画データの作成装置における拡張変換手段は、配列置換画像データ又は画素連結画像データの画素値{0}に対して、隣接する画素の画素値が{α}の場合に、隣接する画素の画素値を{1}に変換する第1の拡張変換手段と、第1の拡張変換手段により変換された画素値{1}に対して、隣接する画素の画素値が{α}の場合に、隣接する画素の画素値を{0}に変換する第2の拡張変換手段と、画素値{α}が無くなるまで、第1の拡張変換手段及び第2の拡張変換手段による画素値の変換を繰り返す繰り返し手段から成ることを特徴とする。
【0023】
また、本発明は、所定の模様に対して複数の画線を規則的に配置することにより、所定の模様を肉眼では視認困難とするための線画データの作成方法を、所定の模様の原画像から二値画像データを取得する二値画像取得手段と、二値画像データの各画素を所望の倍率に拡大した画像データを作成する拡大画像変換手段と、拡大した画像データを所定の配列置換規則によってすべての画素値を{0}又は{α}(αは、0及び1以外の整数)に置換する配列置換手段と、置換した画素値{α}を{0}又は{1}に変換する拡張変換手段と、変換した変換データの輪郭を抽出して線画データを作成する線画データ抽出手段とを備えたコンピュータに実行させる線画データの作成プログラムおいて、所定の模様の原画像を入力し、画素値{0}及び画素値{1}を含む二値画像データとして取得するステップと、取得した二値画像データを、所望の倍率であるn×n画素(nは、正の偶数)に拡大した画像データを作成するステップと、拡大された画像データをn×n画素(nは、正の偶数)に分割し、分割したすべての配列の画素値を所定の配列置換規則によって{0}又は{α}(αは、0及び1以外の整数)に置換するステップと、置換した画像データの画素値{α}を{0}又は{1}に変換するステップと、置換した画像データの画素値{α}を{0}又は{1}に変換した画像データの輪郭を抽出して線画データを作成するステップとを備える線画データの作成方法をコンピュータに実行させることを特徴とする線画データの作成プログラムである。
【0024】
また、本発明の線画データの作成プログラムを実行させるコンピュータは、配列置換手段によって作成された画像データの所定の画素値{α}を、画素値{0}に変換する画素連結手段を更に備え、その画素連結手段により、配列置換手段によって作成された画像データの所定の画素値{α}に対して、上下又は左右の画素値がともに{0}の場合に、画素値{α}を画素値{0}に変換するステップを更に備えることを特徴とする。
【0025】
また、本発明の線画データ作成プログラムにおける配列置換規則は、n×n画素(nは、正の偶数)が2×2画素であり、2×2画素の配列Ci(i=1、2、・・・、7)を、画素値Pxy(x=1又は2;y=1又は2)を用いてCi={P11、P21、P12、P22}で表し、C1={0、0、0、0}、C2={1、1、1、1}、C3={0、α、α、α}(αは、0及び1以外の整数)、C4={α、0、α、α}、C5={α、α、0、α}、C6={α、α、α、0}及びC7={α、α、α、α}とし、2×2画素の配列がC1の場合は、C3、C4、C5及びC6のいずれか一つを選択して置換し、2×2画素の配列がC2の場合は、C7に置換することを特徴とする。
【0026】
また、本発明の線画データ作成プログラムにおける置換した画像データの画素値{α}を{0}又は{1}に変換するステップは、配列置換手段又は画素連結手段によって作成された画像データの画素値{0}に対して、隣接する画素の画素値が{α}の場合に、隣接する画素の画素値を{1}に変換する第1の拡張変換ステップと、第1の拡張変換ステップで変換された画素値{1}に対して、隣接する画素の画素値が{α}の場合に、隣接する画素の画素値を{0}に変換する第2の拡張変換ステップと、画素値{α}が無くなるまで第1の拡張変換ステップ及び第2の拡張変換ステップを繰り返していくステップを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
本発明の線画データの作成方法、作成プログラム及び作成装置は、文字等の複雑な線画を基に、スプレッド画線の線画データの作成が可能なため、デザインの制約を受けることがない。
【0028】
また、作業経験の少ないオペレータであっても、複雑なスプレッド画線を従来よりも短時間で容易に作成可能である。また、スプレッド画線内に意図した模様を埋め込むことが可能である。
【0029】
所定の情報が数字、文字、記号又はロゴマークを有するスプレッド画線であるため、スプレッド画線自体が複雑となり、容易に偽造することが困難となる。また、一見しただけではその所定の情報を確認することができないスプレッド画線が線画で構成されているため、印刷物等の地紋としても適用可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
本発明を実施するための最良の形態について、図面を用いて説明する。しかしながら、本発明は以下に述べる実施するための最良の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている技術の範疇であれば、その他いろいろな実施の形態が含まれる。
【0031】
(スプレッド画線データの作成方法1)
図5は、スプレッド画線データの作成方法1を示すフロー図である。図5に示すように、第1の工程である二値画像取得手段によって、所定の原画像から画素値{0}及び画素値{1}を含む二値画像データを取得する。画素値{0}及び画素値{1}を含む二値画像データは、画素値{0}、画素値{1}及び画素値{α}(αは、0及び1以外の整数)を含む画像データであっても良い。画素値{0}は黒画素であり、画素値{1}は白画素であり、画素値{α}は、黒画素及び白画素以外にあらかじめ定義した画素である。よって、画素値{α}は、0及び1以外の任意の整数で表される。二値画像データの保存形式は特に限定されることなく、BMP、TIFF、JPEG、GIF等が可能である。二値画像データ4の一例を図6に示す。図6においての二値画像データ4は、数字及び英文字から成り、数字及び英文字は、画素値{0}が黒画素で表現され、数字及び英文字の周辺領域は、画素値{1}で表現している。なお、本発明は、図6に限定されることなく、二値画像データ4は数字及び英文字から成り、数字及び英文字は、画素値{0}が黒画素で表現され、数字及び英文字の周辺領域は、画素値0及び/又は画素値1以外の画素値{α}で表現してもよい。
【0032】
次に、第1の工程で取得した二値画像データに対して、第2の工程の拡大画像変換手段で、二値画像データの各画素をn×n画素に拡大した拡大画像データ5を作成する。このn×n画素のnは、正の偶数である必要があり、特にnは2であることが好ましい。二値画像データ4から拡大画像データ5に変換される一例を図7に示す。図7は、二値画像データ4の各画素Pを2×2画素に拡大した拡大画像データ5を示す図である。二値画像データ4の一部拡大図である4×3画素が拡大画像データ5の一部拡大図である8×6画素に変換されている。このとき、画素値{0}である黒画素は、2×2画素に拡大されるが、一旦、2×2画素すべての画素の画素値を{0}にした後に後述する配列置換手段によって変換する。
【0033】
次に、第2の工程で取得した拡大画像データ5について、第3の工程の配列置換手段により拡大画像データ5をn×n画素(nは、正の偶数)に分割したすべての配列を、所定の配列置換規則によって画素値を置換し、配列置換画像データ6を取得する。拡大画像データ5から配列置換画像データ6に変換される一例を図8に示す。図8は、空白領域を無くし、画素の周辺領域を偶数とするため、2×2画素に拡大した拡大画像データ5の{0、0、0、0}の画素を{α、α、0、α}に置換し、{1、1、1、1}の画素を{α、α、α、α}に置換した配列置換画像データ6である。所定の配列置換規則は、上記記載の置換規則に限定されることなく、次の規則であればよい。2×2画素の配列置換規則の例で説明する。
【0034】
図9に示すように、2×2画素の配列Ci(i=1、2、・・・、7)を画素値Pxy(x=1又は2;y=1又は2)を用いてCi={P11、P21、P12、P22}で表し、C1={0、0、0、0}、C2={1、1、1、1}、C3={0、α、α、α}(αは、0及び1以外の整数)、C4={α、0、α、α}、C5={α、α、0、α}、C6={α、α、α、0}及びC7={α、α、α、α}と定義し、2×2画素の配列がC1の場合は、C3、C4、C5及びC6のいずれか一つを選択して置換し、2×2画素の配列がC2の場合は、C7に置換する。この処理によって、前述した問題点である空白領域Sの発生等を未然に防ぐことができる。
【0035】
次に、第3の工程で取得した配列置換画像データ6について、第4の工程の拡張変換手段で、配列置換画像データ6の画素値{α}を{0}又は{1}に変換し、拡張変換画像データ7を取得する。図10のフロー図に示すように、拡張変換手段は、図11に示す配列置換画像データ6の画素値{0}に対して、隣接する画素の画素値が{α}の場合に、隣接する画素の画素値を{1}に変換する第1の拡張変換手段と、変換された画素値{1}に対して、隣接する画素の画素値が{α}の場合に、隣接する画素の画素値を{0}に変換する第2の拡張変換手段と、画素値{α}が無くなるまで第1の拡張変換手段及び第2の拡張変換手段を繰り返す繰り返し手段によって拡張変換画像データ7を作成する。ここでいう、隣接する画素とは、図12に示すように、基準となる画素値の周辺の斜線で記載されている8個の画素のことである。
【0036】
次に、第4の工程で取得した拡張変換画像データ7について、第5の工程の線画データ抽出手段で拡張変換画像データ7の輪郭を抽出して線画データを取得し、スプレッド画線データ8を得る。図13に拡張変換画像データ7の輪郭を抽出したスプレッド画線データ8を示す。
【0037】
(スプレッド画線データの作成方法2)
図14は、スプレッド画線データの作成方法2を示すフロー図である。スプレッド画線データの作成方法2の二値画像取得手段、拡大画像変換手段及び配列置換手段については、スプレッド画線データの作成方法1と同様であるため説明を省略する。
【0038】
図15に示すように、第3の工程で配列置換手段で得られた配列置換画像データ6は、第4の工程である画素連結手段で配列置換画像データ6の所定の画素値{α}に対して、上下又は左右の画素値がともに{0}の場合は、画素値{0}に変換して画素連結画像データ9を取得する。ただし、実際に画素値{α}を画素値{0}に変換する前に、画素値{0}への変換必要性をすべて判定しておくものとする。上記判定が完了する前に画素値{0}への変換が実施された場合、図16に示すような意図しない変換結果が得られる。
【0039】
第4の工程で得られた画素連結画像データ9について、第5の工程の拡張変換手段で画素連結画像データ9の画素値{α}を{0}又は{1}に変換し、拡張変換画像データ7を取得する。拡張変換手段は、画素連結画像データ9の画素値{0}に対して、隣接する画素の画素値が{α}の場合に、隣接する画素の画素値を{1}に変換する第1の拡張変換手段と、変換された画素値{1}に対して、隣接する画素の画素値が{α}の場合に、隣接する画素の画素値を{0}に変換する第2の拡張変換手段と、画素値{α}が無くなるまで第1の拡張変換手段及び第2の拡張変換手段を繰り返して拡張変換画像データ7を作成する。
【0040】
次に、第5の工程で取得した拡張変換画像データ7について、第6の工程の線画データ抽出手段で拡張変換画像データ7の輪郭を抽出して線画データを取得し、スプレッド画線データ8を得る。
【0041】
(スプレッド画線データの作成プログラム1)
スプレッド画線データの作成方法1についてプログラム化してコンピュータで実行することができる。
【0042】
すなわち、図17のフロー図に示すように、第1のステップである二値画像取得ステップで画素値{0}及び画素値{1}を含む二値画像データを取得する。
【0043】
次に、第2のステップである拡大画像変換ステップで、二値画像データの各画素をn×n画素(nは、正の偶数)に拡大した拡大画像データを作成する。
【0044】
次に、第3のステップである配列置換ステップで、拡大画像データをn×n画素(nは、正の偶数)に分割したすべての配列を、所定の配列置換規則によって画素値を置換し、配列置換画像データを取得する。配列置換ステップの配列置換規則は、n×n画素(nは、正の偶数)が2×2画素であり、2×2画素の配列Ci(i=1、2、・・・、7)を画素値Pxy(x=1又は2;y=1又は2)を用いてCi={P11、P21、P12、P22}で表し、C1={0、0、0、0}、C2={1、1、1、1}、C3={0、α、α、α}(αは、0及び1以外の整数)、C4={α、0、α、α}、C5={α、α、0、α}、C6={α、α、α、0}及びC7={α、α、α、α}と定義し、2×2画素の配列がC1の場合は、C3、C4、C5及びC6のいずれか一つを選択して置換し、2×2画素の配列がC2の場合は、C7に置換する。
【0045】
次に、第4のステップである拡張変換ステップで、配列置換画像データの画素値{α}を{0}又は{1}に変換し、拡張変換画像データを取得する。第4のステップである拡張変換ステップを詳細に説明すると、第4−1のステップである第1の拡張変換ステップで、配列置換画像データの画素値{0}に対して、隣接する画素の画素値が{α}の場合に、隣接する画素の画素値を{1}に変換する。次に、第4−2のステップである第2の拡張変換ステップで変換された画素値{1}に対して、隣接する画素の画素値が{α}の場合に、隣接する画素の画素値を{0}に変換する。第4−3のステップである繰り返しステップで画素値{α}が無くなるまで第1の拡張変換手段及び第2の拡張変換手段を繰り返す。
【0046】
次に、第5のステップである線画データ抽出ステップで拡張変換画像データの輪郭を抽出して線画データを取得する。
【0047】
(スプレッド画線データの作成プログラム2)
スプレッド画線データの作成方法2についてプログラム化してコンピュータで実行することができる。
【0048】
すなわち、図18のフロー図に示すように、第1のステップである二値画像取得ステップで画素値{0}及び画素値{1}を含む二値画像データを取得する。
【0049】
次に、第2のステップである拡大画像変換ステップで、二値画像データの各画素をn×n画素(nは正の偶数)に拡大した拡大画像データを作成する。
【0050】
次に、第3のステップである配列置換ステップで、拡大画像データをn×n画素(nは、正の偶数)に分割したすべての配列を所定の配列置換規則によって画素値を置換し、配列置換画像データを取得する。配列置換ステップの配列置換規則は、n×n画素(nは、正の偶数)が2×2画素であり、2×2画素の配列Ci(i=1、2、・・・、7)を画素値Pxy(x=1又は2;y=1又は2)を用いてCi={P11、P21、P12、P22}で表し、C1={0、0、0、0}、C2={1、1、1、1}、C3={0、α、α、α}(αは、0及び1以外の整数)、C4={α、0、α、α}、C5={α、α、0、α}、C6={α、α、α、0}及びC7={α、α、α、α}と定義し、2×2画素の配列がC1の場合は、C3、C4、C5及びC6のいずれか一つを選択して置換し、2×2画素の配列がC2の場合は、C7に置換する。
【0051】
次に、第5のステップである画素連結ステップで、配列置換画像データの所定の画素値{α}に対して、上下又は左右の画素値がともに{0}の場合は、画素値{0}に変換して画素連結画像データを取得する。
【0052】
次に、第5のステップである拡張変換ステップで、画素連結画像データの画素値{α}を{0}又は{1}に変換し、拡張変換画像データを取得する。第4のステップである拡張変換ステップを詳細に説明すると、第5−1のステップである第1の拡張変換ステップで画素連結画像データの画素値{0}に対して、隣接する画素の画素値が{α}の場合に、隣接する画素の画素値を{1}に変換する。次に、第5−2のステップである第2の拡張変換ステップで変換された画素値{1}に対して、隣接する画素の画素値が{α}の場合に、隣接する画素の画素値を{0}に変換する。第5−3のステップである繰り返しステップで画素値{α}が無くなるまで第1の拡張変換手段及び第2の拡張変換手段を繰り返す。
【0053】
次に、第6のステップである線画データ抽出ステップで拡張変換画像データの輪郭を抽出して線画データを取得する。
【0054】
(スプレッド画線データの作成装置1)
図19のブロック図に示すように、スプレッド画線データの作成装置1は、二値画像取得手段、拡大画像変換手段、配列置換手段、拡張変換手段及び線画データ抽出手段から成り、スプレッド画線データが作成される。
【0055】
二値画像取得手段は、画素値{0}及び画素値{1}を含む二値画像データを取得する。画素値{0}及び画素値{α}を含む二値画像データは、画素値{0}、画素値{1}及び画素値{α}(αは、0及び1以外の整数)を含む画像データであっても良い。画素値{0}は黒画素であり、画素値{1}は白画素であり、画素値{α}は、黒画素及び白画素以外にあらかじめ定義した画素である。よって、画素値{α}は0及び1以外の任意の整数で表される。二値画像データの保存形式は特に限定されることなく、BMP、TIFF、JPEG、GIF等が可能である。二値画像データは数字及び英文字から成り、数字及び英文字は、画素値{0}が黒画素で表現され、数字及び英文字の周辺領域は、画素値0及び/又は画素値1以外の画素値{α}で表現されている。
【0056】
拡大画像変換手段は、二値画像取得手段で取得した二値画像データの各画素をn×n画素に拡大した拡大画像データを作成する。n×n画素のnは、正の偶数の必要である。また、nは2であることが好ましい。
【0057】
配列置換手段は、拡大画像変換手段で取得した拡大画像データ5をn×n画素(nは、正の偶数)に分割したすべての配列を、所定の配列置換規則によって画素値を置換し、配列置換画像データを取得する。例えば、2×2画素に拡大した拡大画像データの{0、0、0、0}の画素を{α、α、0、α}に置換し、{1、1、1、1}の画素を{α、α、α、α}に置換した配列置換画像データである。所定の配列置換規則は、上記記載の置換規則に限定されることなく、次の規則であればよい。そこで、2×2画素の配列置換規則の例で説明する。
【0058】
2×2画素の配列Ci(i=1、2、・・・、7)を画素値Pxy(x=1、2;y=1又は2)を用いてCi={P11、P21、P12、P22}で表し、C1={0、0、0、0}、C2={1、1、1、1}、C3={0、α、α、α}(αは、0及び1以外の整数)、C4={α、0、α、α}、C5={α、α、0、α}、C6={α、α、α、0}及びC7={α、α、α、α}と定義し、2×2画素の配列がC1の場合は、C3、C4、C5及びC6のいずれか一つを選択して置換し、2×2画素の配列がC2の場合は、C7に置換する。この処理によって、前述した問題点である空白領域Sの発生等を未然に防ぐことができる。
【0059】
拡張変換手段は、配列置換手段で取得した配列置換画像データの画素値{α}を{0}又は{1}に変換し、拡張変換画像データを取得する。拡張変換手段は、配列置換画像データの画素値{0}に対して、隣接する画素の画素値が{α}の場合に、隣接する画素の画素値を{1}に変換する第1の拡張変換手段と、変換された画素値{1}に対して、隣接する画素の画素値が{α}の場合に、隣接する画素の画素値を{0}に変換する第2の拡張変換手段と、画素値{α}が無くなるまで第1の拡張変換手段及び第2の拡張変換手段を繰り返す繰り返し手段によって拡張変換画像データ7を作成する。
【0060】
線画データ抽出手段は、拡張変換手段で取得した拡張変換画像の輪郭を抽出して線画データを取得し、スプレッド画線データを得る。
【0061】
(スプレッド画線データの作成装置2)
図20のブロック図に示すように、スプレッド画線データの作成装置2は、二値画像取得手段、拡大画像変換手段、配列置換手段、画素連結手段、拡張変換手段及び線画データ抽出手段から成る。スプレッド画線データの作成装置2の二値画像取得手段、拡大画像変換手段及び配列置換手段については、スプレッド画線データの作成方法1と同様であるため、説明は省略する。
【0062】
画素連結手段は、配列置換手段で得られた配列置換画像データの所定の画素値{α}に対して、上下又は左右の画素値がともに{0}の場合は、画素値{0}に変換して画素連結画像データ9を取得する。ただし、実際に画素値{α}を画素値{0}に変換する前に、画素値{0}への変換必要性をすべて判定しておくものとする。
【0063】
拡張変換手段は、画素連結手段で得られた画素連結画像データの画素値{α}を{0}又は{1}に変換し、拡張変換画像データを取得する。拡張変換手段は、画素連結画像データの画素値{0}に対して、隣接する画素の画素値が{α}の場合に、隣接する画素の画素値を{1}に変換する第1の拡張変換手段と、変換された画素値{1}に対して、隣接する画素の画素値が{α}の場合に、隣接する画素の画素値を{0}に変換する第2の拡張変換手段と、画素値{α}が無くなるまで第1の拡張変換手段及び第2の拡張変換手段を繰り返して拡張変換画像データを作成する。
【0064】
線画データ抽出手段は、拡張変換画像データの輪郭を抽出して線画データを取得し、スプレッド画線データを得る。
【0065】
スプレッド画線データの作成装置1及びスプレッド画線データの作成装置2は、個別端末やネットワーク端末で利用可能であり、例えば、ネットワーク端末で作成する場合は、作成者は、生体情報等の個人認証によってサーバにアクセスし、あらかじめサーバ内のデータベースに登録してある必要とする二値画像データを読み出し、スプレッド画線データを作成し、カード又は貴重書類に印刷する。個人情報を有する印刷物を作製する場合は、個人情報データベースから個人情報を読み出し、スプレッド画線データと合成してから基材に印刷する。なお、サーバ内のデータベース内に必要とする二値画像データがない場合は、画像処理ソフトで作成又はサーバ以外の外部から二値画像データを取得する。
【0066】
(スプレッド画線を用いた印刷物)
図21にスプレッド画線11内の所定の情報(A、B、C、D、E)を有する印刷物A1を示す。図20に示すように、基材10に輪郭画線12a、12bで形成した情報15が形成される。輪郭画線12aに対して外向するように、所定の間隔で連続拡張した拡張画線13a、13b、13cが形成される。さらに、輪郭画線12bに対して内向するように、所定の間隔で連続収縮した収縮画線14aが形成される。
【0067】
このとき、輪郭画線の画線幅、拡張画線の画線幅及び収縮画線の画線幅が同一であり、拡張画線の非画線幅及び収縮画線の非画線幅が同一である、つまり、所定領域あたりの画線面積率が同一であるため情報が肉眼で確認しにくい状況となる。
【0068】
図22にスプレッド画線11内の画像の情報15を有する印刷物A2を示す。図21では線画で形成された絵柄の情報15を元にスプレッド画線を作成している。
【0069】
また、銀行券、パスポート、有価証券、カード、印紙類、商品タグ、有料道路等の回数券、各種チケット等の印刷する領域が小さい貴重品に付与する場合は、輪郭画線の画線幅、拡張画線の画線幅及び収縮画線の画線幅が、25〜500μmの範囲であり、拡張画線の非画線幅及び収縮画線の非画線幅が、100〜1000μmの範囲であることが好ましい。
【0070】
本発明の印刷物に付与される所定の情報は、数字、文字、記号又は絵柄、図柄等のロゴマーク文字等を付与することができる。
【0071】
また、本発明の印刷物に複写防止画線を組合せることが可能であり、複写防防止効果を得ることができる。例えば、特開平8−197828号公報、特開平8−300800号公報、特開昭57−20397号公報、特開2000−185457号公報等の複写防止技術が採用可能であり、特開2000−263911記載のような形態を形成することができる。ただし、スプレッド画線内の情報は、三角形ではなく、数字、文字、記号又は絵柄、図柄等のロゴマーク文字等の複雑な形態を採用するものである。
【0072】
本発明に用いる印刷方法は特に限定されない。例えば、凹版印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、レーザプリンタ、インクジェットプリンタ等で印刷することができる。
【0073】
なお、スプレッド画線の輪郭画線に対する拡張画線、内向する収縮画線の本数は、スプレッド画線を形成する領域、画線幅、非画線幅によって異なる。よって、スプレッド画線を形成する領域、画線幅、非画線幅の設定値によっては拡張画線及び収縮画線のいずれか一方は形成されない場合がある。
【実施例】
【0074】
以下、実施例を用いて本発明を更に詳細に説明するが、本発明の内容は、これらの実施例の範囲に限定されるものではない。
【0075】
(実施例1)
図23に示すように画像作成ソフトウェアで画素値{0}及び画素値{1}の英文字Aの二値画像データ4を作成した。二値画像データ4のうち、画素値{0}は、文字Aを表現し、画素値{1}は、文字Aの周辺領域を表現している。次に、二値画像データ4の各画素を2×2画素に拡大した拡大画像データ5を作成する。次に、拡大画像データ5のC1={0、0、0、0}の画素をC5={2、2、0、2}に置換し、C2={1、1、1、1}の画素は、C7={2、2、2、2}に置換して配列置換画像データ6を得た。次に、配列置換画像データ6の画素値{0}に対して、隣接する画素の画素値が{2}の場合に、隣接する画素の画素値を{1}に変換し、画素値{1}に対して、隣接する画素の画素値が{2}の場合に、隣接する画素の画素値を{0}に変換し、画素値{2}が無くなるまで変換処理を連続して繰り返して拡張変換画像データ7を得た。次に、拡張変換画像データの輪郭を抽出して、輪郭の線幅150μm、非画線幅300μmの線画データを得た。線画データを基にレーザプリンタで紙基材に印刷して、実施例1のスプレッド画線内の所定の情報を有する印刷物を得た。
【0076】
実施例1のスプレッド画線内の所定の情報を有する印刷物を可視光下で肉眼で観察した場合に、輪郭画線の画線幅、拡張画線の画線幅及び収縮画線の画線幅が同一であり、拡張画線の非画線幅及び収縮画線の非画線幅が同一である、つまり、所定領域あたりの画線面積率が同一であるため情報(A)が肉眼で確認しにくい状況であった。
【0077】
(実施例2)
図24に示すように画像作成ソフトウェアで画素値{0}及び画素値{1}の英文字Aの二値画像データ4を作成した。二値画像データ4のうち、画素値{0}は、文字Aを表現し、画素値{1}は、文字Aの周辺領域を表現している。次に、図24に示すように、二値画像データ4の各画素を2×2画素に拡大した拡大画像データ5を作成する。次に、拡大画像データ5のC1={0、0、0、0}の画素をC5={2、2、0、2}に置換し、C2={1、1、1、1}の画素は、C7={2、2、2、2}に置換して配列置換画像データ6を得た。次に、配列置換画像データ6の所定の画素値{2}に対して、上下又は左右の画素値がともに{0}の場合は、画素値{0}に変換して画素連結画像データ9を得た。次に、画素連結画像データ9の画素値{0}に対して、隣接する画素の画素値が{2}の場合に、隣接する画素の画素値を{1}に変換し、画素値{1}に対して、隣接する画素の画素値が{2}の場合に、隣接する画素の画素値を{0}に変換し、画素値{2}が無くなるまで変換処理を連続して繰り返して拡張変換画像データ7を得た。次に、拡張変換画像データの輪郭を抽出して、線幅150μm、非画線幅300μmの線画データを得た。線画データを基に版面を作製し、オフセット印刷機で紙基材に印刷して、実施例2のスプレッド画線内の所定の情報を有する印刷物を得た。
【0078】
実施例2のスプレッド画線内の所定の情報を有する印刷物を可視光下で肉眼で観察した場合に、輪郭画線の画線幅、拡張画線の画線幅及び収縮画線の画線幅が同一であり、拡張画線の非画線幅及び収縮画線の非画線幅が同一である、つまり、所定領域あたりの画線面積率が同一であるため、情報(画像)が肉眼で確認しにくい状況であった。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】スプレッド画線の一例を示す図である。
【図2】従来のスプレッド画線の線画データの作成例を示す図である。
【図3】従来のスプレッド画線の線画データの作成の問題点を示す図である。
【図4】数字及び文字等の複雑な線画1を基に、スプレッド画線の線画データを作成する場合の作成の問題点を示す図である。
【図5】スプレッド画線データの作成方法1の流れ図を示す図である。
【図6】二値画像データ4の一例を示す図である。
【図7】二値画像データ4から拡大画像データ5に変換される一例を示す図である。
【図8】拡大画像データ5から配列置換画像データ6に変換される一例を示す図である。
【図9】2×2画素の配列置換規則の例を示す図である。
【図10】拡張変換手段を示すフロー図である。
【図11】配列置換画像データ6から拡張変換画像データ7に変換される一例を示す図である。
【図12】隣接する画素の説明図である。
【図13】拡張変換画像データ7からスプレッド画線データ8に変換される一例を示す図である。
【図14】スプレッド画線データの作成方法2を示すフロー図である。
【図15】配列置換画像データ6から画素連結画像データ9に変換される一例を示す図である。
【図16】配列置換画像データ6から意図しない画素連結画像データ9に変換される一例を示す図である。
【図17】スプレッド画線データの作成プログラム1を示す図である。
【図18】スプレッド画線データの作成プログラム2を示す図である。
【図19】スプレッド画線データの作成装置1を示すブロック図である。
【図20】スプレッド画線データの作成装置2を示すブロック図である。
【図21】スプレッド画線内の所定の情報を有する印刷物A1を示す図である。
【図22】スプレッド画線内の所定の情報を有する印刷物A2を示す図である。
【図23】実施例1の印刷物の作製の流れと、得られた印刷物の模式図を示す図である。
【図24】実施例2の印刷物の作製の流れと、得られた印刷物の模式図を示す図である。
【符号の説明】
【0080】
1 線画
2a、2b 拡張画線
3 スプレッド画線
4 二値画像データ
5 拡大画像データ
6 配列置換画像データ
7 拡張変換画像データ
8 スプレッド画線データ
9 画素連結画像データ
10 基材
11 スプレッド画線
12 輪郭画線
13a、13b 拡張画線
14a 収縮画線
A1、A2 所定の情報を有する印刷物
S 空白領域
P 画素
【技術分野】
【0001】
本発明は、銀行券、パスポート、有価証券、カード、印紙類、商品タグ、有料道路等の回数券、各種チケット等の貴重品の偽造防止効果を高めることが可能な線画から成る印刷領域を作成するための線画データの作成方法及びその作成方法を用いた印刷物、線画データの作成装置並びに作成プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
銀行券、パスポート、有価証券、カード、印紙類、商品タグ、有料道路等の回数券、各種チケット等の貴重品は、その価値を保証及び維持するために偽造防止技術が施されている。そのため、このような貴重品には、例えば、複製防止や複写機での複写防止効果を得るために線画によって彩紋模様やコピー防止画線によって印刷模様を形成している。
【0003】
また、彩紋模様の偽造防止効果を高めるために彩紋模様内に微小文字を埋め込む技術が開示されている。例えば、基材上の少なくとも一部に彩紋模様が施された印刷物において、彩紋の少なくとも一部が文字で構成されている印刷物であって、肉眼では単に彩紋模様が構成されているように認識されるが、その情報を知っている者に限り、真正品には当該微小文字の存在が認識可能な彩紋の一部に文字を有した印刷物が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、複写機での複写防止効果を得るために、線画によってコピー防止画線を形成する技術が開示されている。例えば、一定の画線幅の画線を有する複数のロゴタイプ等の文字及びシンボルマークの輪郭線に、前記輪郭線を成す線分の外向には、前記輪郭線の線分の画線幅より細い画線幅による定量連続拡張した画線を施し、前記輪郭線を成す線分の内向には、前記輪郭線の線分の画線幅より細い画線幅による収縮配列した画線を施し、前記輪郭線を成す線分と、定量連続拡張した画線と、収縮配列した画線とが等差数列を成す画線の集合体で構成した複写防止模様の作成方法とその印刷物があり、複写機等により複写した場合に、モアレ模様の発生によって複写防止効果を得る技術である(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
さらに、 一定の画線幅の画線を有する複数のロゴタイプ等の文字及びシンボルマークの輪郭線に、前記輪郭線を成す線分の外向には、前記輪郭線の線分の画線幅より太い画線幅による定量連続拡張した画線を施し、前記輪郭線を成す線分の内向には、前記輪郭線の線分の画線幅より太い画線幅による収縮配列した画線を施し、前記輪郭線を成す線分と、定量連続拡張した画線と、収縮配列した画線とが等差数列を成す画線の集合体で構成した複写防止模様の作成方法とその印刷物があり、複写機等により複写した場合に、モアレ模様の発生によって複写防止効果を得る技術である(例えば、特許文献3参照)。
【0006】
【特許文献1】特開2007−15320号公報(第1−4頁、第1−7図)
【特許文献2】特許第3368329号公報(第1−9頁、第1−11図)
【特許文献3】特許第3368330号公報(第1−5頁、第1−7図)
【0007】
特許文献1の印刷物は、ルーペ等の拡大鏡で観察した場合に微小文字が確認できものであった。また、特許文献2及び特許文献3の印刷物は、文字、ロゴマーク等がスプレッド画線によって形成されたもので、複写機で複写した場合にモアレを発生されることが目的であるため、あらかじめ文字、ロゴマークが肉眼で確認できるもので、文字、ロゴマークの輪郭線に対して外交するに従い、外側の画線が曲線となるものであった。近年のコンピュータ機器の普及発展によって、貴重品の偽造が従来よりも多くなってきており、複製されにくい、より複雑な線画形状であって、本物か否か真偽判別可能な埋め込み情報を有する印刷物が求められている。
【0008】
ここで、特許文献2及び特許文献3にも記載されており、本発明におけるスプレッド画線3とは、図1に示すように、所定の線画1(二値画像データ)に対して、外向及び/又は内向するように、所定の間隔で連続拡張した拡張画線2a、2b・・・が形成されたパターンを言う。なお、図1は、拡張画線が外向のみの例である。このようなスプレッド画線の線画データを作製するためには、Illustrator等の市販されている画像処理ソフトウェアを用いて手作業で作製するか、Illustrator等の画像処理ソフトウェアの同心形作成機能を用いて作製していた。
【0009】
同心形作成機能は、図2に示すように、第1の工程で画像処理ソフトウェアで線画1を形成し、作製した線画1に対して、第2の工程で同心形作成機能を繰り返し命令することで拡張画線2a、2bを形成することによりスプレッド画線3の線画データが作製される。
【0010】
しかしながら、図3(a)に示すような線画1に対して同心形作成機能を繰り返し命令し、拡張画線2a、2bを形成した場合に、所定の間隔で拡張画線が形成されることなく、違和感を有する空白領域Sが形成されるという問題があった。この場合、第1の工程に戻り、図3(b)に示すように、手作業によって線画1の位置情報を変更してから、同心形作成機能によってスプレッド画線3の線画データを作成する必要があった。よって、複雑なスプレッド画線3を作成しようとすればするほど、試行錯誤を重ねながら画線の配線を行う必要があり、経験を積んだ作業者が長い時間をかける必要があった。特に、三角形や四角形等の幾何学模様のスプレッド画線ではなく、図4に示す数字、文字等の複雑な線画1を基にスプレッド画線3の線画データを作成する場合は、拡張すべき領域に膨張画線が形成することができない問題や、拡張すべきでない領域に膨張画線が形成されてしまう問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、このような従来の問題を解決することを目的としたもので、オペレータが試行錯誤を重ねながら線画の配線を行う必要がなく、文字等の複雑な線画を基にスプレッド画線の線画データを容易に作成可能であり、スプレッド画線作成に長時間かかることがないことを特徴とする線画データの作成方法及びその作成方法を用いた印刷物、線画データの作成装置並びに作成プログラムを提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、所定の模様に対して複数の画線を規則的に配置することにより、所定の模様を肉眼では視認困難とするための線画データの作成方法において、所定の模様の原画像から画素値{0}及び画素値{1}を含む二値画像データを取得し、二値画像データの各画素をn×n画素(nは、正の偶数)に拡大した拡大画像データを作成し、拡大画像データをn×n画素(nは、正の偶数)に分割し、分割したすべての配列における画素値を所定の配列置換規則によって{0}又は{α}(αは、0及び1以外の整数)に置換して配列置換画像データを作成し、配列置換画像データの画素値{α}を{0}又は{1}に変換して拡張変換画像データを作成し、拡張変換画像データの輪郭を抽出して線画データを作成することを特徴とする線画データの作成方法である。
【0013】
また、本発明の線画データの作成方法は、配列置換画像データの所定の画素値{α}に対して、上下又は左右の画素値がともに{0}の場合に、所定の画素値{α}を画素値{0}に変換して画素連結画像データを作成することを更に有することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の線画データの作成方法における所定の配列置換規則は、n×n画素(nは、正の偶数)が2×2画素であり、2×2画素の配列Ci(i=1、2、・・・、7)を、画素値Pxy(x=1又は2;y=1又は2)を用いてCi={P11、P21、P12、P22}で表し、C1={0、0、0、0}、C2={1、1、1、1}、C3={0、α、α、α}(αは、0及び1以外の整数)、C4={α、0、α、α}、C5={α、α、0、α}、C6={α、α、α、0}及びC7={α、α、α、α}とし、2×2画素の配列がC1の場合は、C3、C4、C5及びC6のいずれか一つを選択して置換し、2×2画素の配列がC2の場合は、C7に置換することを特徴とする。
【0015】
また、本発明の線画データの作成方法における拡張変換画像データは、配列置換画像データ又は画素連結画像データの画素値{0}に対して、隣接する画素の画素値が{α}の場合に、隣接する画素の画素値を{1}に変換し、変換された画素値{1}に対して、隣接する画素の画素値が{α}の場合に、隣接する画素の画素値を{0}に変換し、画素値{α}が無くなるまで二つの画素値の変換を繰り返すことを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、前述した線画データの作成方法により作成された線画データを、所定の出力機器又は印刷機を用いて基材に印刷模様として印刷したことを特徴とする印刷物である。
【0017】
なお、上記記載の本発明における線画データの作成方法により作成されたデータを基にした印刷物は、基材に輪郭画線で形成した所定の情報が形成され、輪郭画線に対して外向するように、所定の間隔で連続拡張した拡張画線が形成され、輪郭画線に対して内向するように、所定の間隔で連続収縮した収縮画線が形成され、輪郭画線の画線幅、拡張画線の画線幅及び収縮画線の画線幅が同一であり、拡張画線の非画線幅及び収縮画線の非画線幅が同一であることを特徴とする印刷物である。
【0018】
さらに、上記の印刷物は、輪郭画線の画線幅、拡張画線の画線幅及び収縮画線の画線幅が、25〜500μmの範囲であり、拡張画線の非画線幅及び収縮画線の非画線幅が、100〜1000μmの範囲であることを特徴とする印刷物であり、所定の情報が数字、文字、記号又はロゴマークであることを特徴とする。
【0019】
また、本発明は、所定の模様に対して複数の画線を規則的に配置することにより、所定の模様を肉眼では視認困難とするための線画データの作成装置において、所定の模様の原画像から画素値{0}及び画素値{1}を含む二値画像データを取得する二値画像取得手段と、二値画像データの各画素をn×n画素(nは、正の偶数)に拡大した拡大画像データを作成する拡大画像変換手段と、拡大画像データをn×n画素(nは、正の偶数)に分割し、分割したすべての配列の画素値を所定の配列置換規則によって{0}又は{α}(αは、0及び1以外の整数)に置換して配列置換画像データを作成する配列置換手段と、配列置換画像データの画素値{α}を{0}又は{1}に変換して拡張変換画像データを作成する拡張変換手段と、拡張変換画像データの輪郭を抽出して線画データを作成する線画データ抽出手段から成ることを特徴とする線画データの作成装置である。
【0020】
また、本発明の線画データの作成装置は、配列置換画像データの所定の画素値{α}に対して、上下又は左右の画素値がともに{0}の場合は、画素値{α}を画素値{0}に変換して画素連結画像データを作成する画素連結手段を更に有することを特徴とする。
【0021】
また、本発明の線画データ作成装置の配列置換手段における配列置換規則は、n×n画素(nは、正の偶数)が2×2画素であり、2×2画素の配列Ci(i=1、2、・・・、7)を、画素値Pxy(x=1又は2;y=1又は2)を用いてCi={P11、P21、P12、P22}で表し、C1={0、0、0、0}、C2={1、1、1、1}、C3={0、α、α、α}(αは、0及び1以外の整数)、C4={α、0、α、α}、C5={α、α、0、α}、C6={α、α、α、0}及びC7={α、α、α、α}とし、2×2画素の配列がC1の場合は、C3、C4、C5及びC6のいずれか一つを選択して置換し、2×2画素の配列がC2の場合は、C7に置換することを特徴とする。
【0022】
また、本発明の線画データの作成装置における拡張変換手段は、配列置換画像データ又は画素連結画像データの画素値{0}に対して、隣接する画素の画素値が{α}の場合に、隣接する画素の画素値を{1}に変換する第1の拡張変換手段と、第1の拡張変換手段により変換された画素値{1}に対して、隣接する画素の画素値が{α}の場合に、隣接する画素の画素値を{0}に変換する第2の拡張変換手段と、画素値{α}が無くなるまで、第1の拡張変換手段及び第2の拡張変換手段による画素値の変換を繰り返す繰り返し手段から成ることを特徴とする。
【0023】
また、本発明は、所定の模様に対して複数の画線を規則的に配置することにより、所定の模様を肉眼では視認困難とするための線画データの作成方法を、所定の模様の原画像から二値画像データを取得する二値画像取得手段と、二値画像データの各画素を所望の倍率に拡大した画像データを作成する拡大画像変換手段と、拡大した画像データを所定の配列置換規則によってすべての画素値を{0}又は{α}(αは、0及び1以外の整数)に置換する配列置換手段と、置換した画素値{α}を{0}又は{1}に変換する拡張変換手段と、変換した変換データの輪郭を抽出して線画データを作成する線画データ抽出手段とを備えたコンピュータに実行させる線画データの作成プログラムおいて、所定の模様の原画像を入力し、画素値{0}及び画素値{1}を含む二値画像データとして取得するステップと、取得した二値画像データを、所望の倍率であるn×n画素(nは、正の偶数)に拡大した画像データを作成するステップと、拡大された画像データをn×n画素(nは、正の偶数)に分割し、分割したすべての配列の画素値を所定の配列置換規則によって{0}又は{α}(αは、0及び1以外の整数)に置換するステップと、置換した画像データの画素値{α}を{0}又は{1}に変換するステップと、置換した画像データの画素値{α}を{0}又は{1}に変換した画像データの輪郭を抽出して線画データを作成するステップとを備える線画データの作成方法をコンピュータに実行させることを特徴とする線画データの作成プログラムである。
【0024】
また、本発明の線画データの作成プログラムを実行させるコンピュータは、配列置換手段によって作成された画像データの所定の画素値{α}を、画素値{0}に変換する画素連結手段を更に備え、その画素連結手段により、配列置換手段によって作成された画像データの所定の画素値{α}に対して、上下又は左右の画素値がともに{0}の場合に、画素値{α}を画素値{0}に変換するステップを更に備えることを特徴とする。
【0025】
また、本発明の線画データ作成プログラムにおける配列置換規則は、n×n画素(nは、正の偶数)が2×2画素であり、2×2画素の配列Ci(i=1、2、・・・、7)を、画素値Pxy(x=1又は2;y=1又は2)を用いてCi={P11、P21、P12、P22}で表し、C1={0、0、0、0}、C2={1、1、1、1}、C3={0、α、α、α}(αは、0及び1以外の整数)、C4={α、0、α、α}、C5={α、α、0、α}、C6={α、α、α、0}及びC7={α、α、α、α}とし、2×2画素の配列がC1の場合は、C3、C4、C5及びC6のいずれか一つを選択して置換し、2×2画素の配列がC2の場合は、C7に置換することを特徴とする。
【0026】
また、本発明の線画データ作成プログラムにおける置換した画像データの画素値{α}を{0}又は{1}に変換するステップは、配列置換手段又は画素連結手段によって作成された画像データの画素値{0}に対して、隣接する画素の画素値が{α}の場合に、隣接する画素の画素値を{1}に変換する第1の拡張変換ステップと、第1の拡張変換ステップで変換された画素値{1}に対して、隣接する画素の画素値が{α}の場合に、隣接する画素の画素値を{0}に変換する第2の拡張変換ステップと、画素値{α}が無くなるまで第1の拡張変換ステップ及び第2の拡張変換ステップを繰り返していくステップを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
本発明の線画データの作成方法、作成プログラム及び作成装置は、文字等の複雑な線画を基に、スプレッド画線の線画データの作成が可能なため、デザインの制約を受けることがない。
【0028】
また、作業経験の少ないオペレータであっても、複雑なスプレッド画線を従来よりも短時間で容易に作成可能である。また、スプレッド画線内に意図した模様を埋め込むことが可能である。
【0029】
所定の情報が数字、文字、記号又はロゴマークを有するスプレッド画線であるため、スプレッド画線自体が複雑となり、容易に偽造することが困難となる。また、一見しただけではその所定の情報を確認することができないスプレッド画線が線画で構成されているため、印刷物等の地紋としても適用可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
本発明を実施するための最良の形態について、図面を用いて説明する。しかしながら、本発明は以下に述べる実施するための最良の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている技術の範疇であれば、その他いろいろな実施の形態が含まれる。
【0031】
(スプレッド画線データの作成方法1)
図5は、スプレッド画線データの作成方法1を示すフロー図である。図5に示すように、第1の工程である二値画像取得手段によって、所定の原画像から画素値{0}及び画素値{1}を含む二値画像データを取得する。画素値{0}及び画素値{1}を含む二値画像データは、画素値{0}、画素値{1}及び画素値{α}(αは、0及び1以外の整数)を含む画像データであっても良い。画素値{0}は黒画素であり、画素値{1}は白画素であり、画素値{α}は、黒画素及び白画素以外にあらかじめ定義した画素である。よって、画素値{α}は、0及び1以外の任意の整数で表される。二値画像データの保存形式は特に限定されることなく、BMP、TIFF、JPEG、GIF等が可能である。二値画像データ4の一例を図6に示す。図6においての二値画像データ4は、数字及び英文字から成り、数字及び英文字は、画素値{0}が黒画素で表現され、数字及び英文字の周辺領域は、画素値{1}で表現している。なお、本発明は、図6に限定されることなく、二値画像データ4は数字及び英文字から成り、数字及び英文字は、画素値{0}が黒画素で表現され、数字及び英文字の周辺領域は、画素値0及び/又は画素値1以外の画素値{α}で表現してもよい。
【0032】
次に、第1の工程で取得した二値画像データに対して、第2の工程の拡大画像変換手段で、二値画像データの各画素をn×n画素に拡大した拡大画像データ5を作成する。このn×n画素のnは、正の偶数である必要があり、特にnは2であることが好ましい。二値画像データ4から拡大画像データ5に変換される一例を図7に示す。図7は、二値画像データ4の各画素Pを2×2画素に拡大した拡大画像データ5を示す図である。二値画像データ4の一部拡大図である4×3画素が拡大画像データ5の一部拡大図である8×6画素に変換されている。このとき、画素値{0}である黒画素は、2×2画素に拡大されるが、一旦、2×2画素すべての画素の画素値を{0}にした後に後述する配列置換手段によって変換する。
【0033】
次に、第2の工程で取得した拡大画像データ5について、第3の工程の配列置換手段により拡大画像データ5をn×n画素(nは、正の偶数)に分割したすべての配列を、所定の配列置換規則によって画素値を置換し、配列置換画像データ6を取得する。拡大画像データ5から配列置換画像データ6に変換される一例を図8に示す。図8は、空白領域を無くし、画素の周辺領域を偶数とするため、2×2画素に拡大した拡大画像データ5の{0、0、0、0}の画素を{α、α、0、α}に置換し、{1、1、1、1}の画素を{α、α、α、α}に置換した配列置換画像データ6である。所定の配列置換規則は、上記記載の置換規則に限定されることなく、次の規則であればよい。2×2画素の配列置換規則の例で説明する。
【0034】
図9に示すように、2×2画素の配列Ci(i=1、2、・・・、7)を画素値Pxy(x=1又は2;y=1又は2)を用いてCi={P11、P21、P12、P22}で表し、C1={0、0、0、0}、C2={1、1、1、1}、C3={0、α、α、α}(αは、0及び1以外の整数)、C4={α、0、α、α}、C5={α、α、0、α}、C6={α、α、α、0}及びC7={α、α、α、α}と定義し、2×2画素の配列がC1の場合は、C3、C4、C5及びC6のいずれか一つを選択して置換し、2×2画素の配列がC2の場合は、C7に置換する。この処理によって、前述した問題点である空白領域Sの発生等を未然に防ぐことができる。
【0035】
次に、第3の工程で取得した配列置換画像データ6について、第4の工程の拡張変換手段で、配列置換画像データ6の画素値{α}を{0}又は{1}に変換し、拡張変換画像データ7を取得する。図10のフロー図に示すように、拡張変換手段は、図11に示す配列置換画像データ6の画素値{0}に対して、隣接する画素の画素値が{α}の場合に、隣接する画素の画素値を{1}に変換する第1の拡張変換手段と、変換された画素値{1}に対して、隣接する画素の画素値が{α}の場合に、隣接する画素の画素値を{0}に変換する第2の拡張変換手段と、画素値{α}が無くなるまで第1の拡張変換手段及び第2の拡張変換手段を繰り返す繰り返し手段によって拡張変換画像データ7を作成する。ここでいう、隣接する画素とは、図12に示すように、基準となる画素値の周辺の斜線で記載されている8個の画素のことである。
【0036】
次に、第4の工程で取得した拡張変換画像データ7について、第5の工程の線画データ抽出手段で拡張変換画像データ7の輪郭を抽出して線画データを取得し、スプレッド画線データ8を得る。図13に拡張変換画像データ7の輪郭を抽出したスプレッド画線データ8を示す。
【0037】
(スプレッド画線データの作成方法2)
図14は、スプレッド画線データの作成方法2を示すフロー図である。スプレッド画線データの作成方法2の二値画像取得手段、拡大画像変換手段及び配列置換手段については、スプレッド画線データの作成方法1と同様であるため説明を省略する。
【0038】
図15に示すように、第3の工程で配列置換手段で得られた配列置換画像データ6は、第4の工程である画素連結手段で配列置換画像データ6の所定の画素値{α}に対して、上下又は左右の画素値がともに{0}の場合は、画素値{0}に変換して画素連結画像データ9を取得する。ただし、実際に画素値{α}を画素値{0}に変換する前に、画素値{0}への変換必要性をすべて判定しておくものとする。上記判定が完了する前に画素値{0}への変換が実施された場合、図16に示すような意図しない変換結果が得られる。
【0039】
第4の工程で得られた画素連結画像データ9について、第5の工程の拡張変換手段で画素連結画像データ9の画素値{α}を{0}又は{1}に変換し、拡張変換画像データ7を取得する。拡張変換手段は、画素連結画像データ9の画素値{0}に対して、隣接する画素の画素値が{α}の場合に、隣接する画素の画素値を{1}に変換する第1の拡張変換手段と、変換された画素値{1}に対して、隣接する画素の画素値が{α}の場合に、隣接する画素の画素値を{0}に変換する第2の拡張変換手段と、画素値{α}が無くなるまで第1の拡張変換手段及び第2の拡張変換手段を繰り返して拡張変換画像データ7を作成する。
【0040】
次に、第5の工程で取得した拡張変換画像データ7について、第6の工程の線画データ抽出手段で拡張変換画像データ7の輪郭を抽出して線画データを取得し、スプレッド画線データ8を得る。
【0041】
(スプレッド画線データの作成プログラム1)
スプレッド画線データの作成方法1についてプログラム化してコンピュータで実行することができる。
【0042】
すなわち、図17のフロー図に示すように、第1のステップである二値画像取得ステップで画素値{0}及び画素値{1}を含む二値画像データを取得する。
【0043】
次に、第2のステップである拡大画像変換ステップで、二値画像データの各画素をn×n画素(nは、正の偶数)に拡大した拡大画像データを作成する。
【0044】
次に、第3のステップである配列置換ステップで、拡大画像データをn×n画素(nは、正の偶数)に分割したすべての配列を、所定の配列置換規則によって画素値を置換し、配列置換画像データを取得する。配列置換ステップの配列置換規則は、n×n画素(nは、正の偶数)が2×2画素であり、2×2画素の配列Ci(i=1、2、・・・、7)を画素値Pxy(x=1又は2;y=1又は2)を用いてCi={P11、P21、P12、P22}で表し、C1={0、0、0、0}、C2={1、1、1、1}、C3={0、α、α、α}(αは、0及び1以外の整数)、C4={α、0、α、α}、C5={α、α、0、α}、C6={α、α、α、0}及びC7={α、α、α、α}と定義し、2×2画素の配列がC1の場合は、C3、C4、C5及びC6のいずれか一つを選択して置換し、2×2画素の配列がC2の場合は、C7に置換する。
【0045】
次に、第4のステップである拡張変換ステップで、配列置換画像データの画素値{α}を{0}又は{1}に変換し、拡張変換画像データを取得する。第4のステップである拡張変換ステップを詳細に説明すると、第4−1のステップである第1の拡張変換ステップで、配列置換画像データの画素値{0}に対して、隣接する画素の画素値が{α}の場合に、隣接する画素の画素値を{1}に変換する。次に、第4−2のステップである第2の拡張変換ステップで変換された画素値{1}に対して、隣接する画素の画素値が{α}の場合に、隣接する画素の画素値を{0}に変換する。第4−3のステップである繰り返しステップで画素値{α}が無くなるまで第1の拡張変換手段及び第2の拡張変換手段を繰り返す。
【0046】
次に、第5のステップである線画データ抽出ステップで拡張変換画像データの輪郭を抽出して線画データを取得する。
【0047】
(スプレッド画線データの作成プログラム2)
スプレッド画線データの作成方法2についてプログラム化してコンピュータで実行することができる。
【0048】
すなわち、図18のフロー図に示すように、第1のステップである二値画像取得ステップで画素値{0}及び画素値{1}を含む二値画像データを取得する。
【0049】
次に、第2のステップである拡大画像変換ステップで、二値画像データの各画素をn×n画素(nは正の偶数)に拡大した拡大画像データを作成する。
【0050】
次に、第3のステップである配列置換ステップで、拡大画像データをn×n画素(nは、正の偶数)に分割したすべての配列を所定の配列置換規則によって画素値を置換し、配列置換画像データを取得する。配列置換ステップの配列置換規則は、n×n画素(nは、正の偶数)が2×2画素であり、2×2画素の配列Ci(i=1、2、・・・、7)を画素値Pxy(x=1又は2;y=1又は2)を用いてCi={P11、P21、P12、P22}で表し、C1={0、0、0、0}、C2={1、1、1、1}、C3={0、α、α、α}(αは、0及び1以外の整数)、C4={α、0、α、α}、C5={α、α、0、α}、C6={α、α、α、0}及びC7={α、α、α、α}と定義し、2×2画素の配列がC1の場合は、C3、C4、C5及びC6のいずれか一つを選択して置換し、2×2画素の配列がC2の場合は、C7に置換する。
【0051】
次に、第5のステップである画素連結ステップで、配列置換画像データの所定の画素値{α}に対して、上下又は左右の画素値がともに{0}の場合は、画素値{0}に変換して画素連結画像データを取得する。
【0052】
次に、第5のステップである拡張変換ステップで、画素連結画像データの画素値{α}を{0}又は{1}に変換し、拡張変換画像データを取得する。第4のステップである拡張変換ステップを詳細に説明すると、第5−1のステップである第1の拡張変換ステップで画素連結画像データの画素値{0}に対して、隣接する画素の画素値が{α}の場合に、隣接する画素の画素値を{1}に変換する。次に、第5−2のステップである第2の拡張変換ステップで変換された画素値{1}に対して、隣接する画素の画素値が{α}の場合に、隣接する画素の画素値を{0}に変換する。第5−3のステップである繰り返しステップで画素値{α}が無くなるまで第1の拡張変換手段及び第2の拡張変換手段を繰り返す。
【0053】
次に、第6のステップである線画データ抽出ステップで拡張変換画像データの輪郭を抽出して線画データを取得する。
【0054】
(スプレッド画線データの作成装置1)
図19のブロック図に示すように、スプレッド画線データの作成装置1は、二値画像取得手段、拡大画像変換手段、配列置換手段、拡張変換手段及び線画データ抽出手段から成り、スプレッド画線データが作成される。
【0055】
二値画像取得手段は、画素値{0}及び画素値{1}を含む二値画像データを取得する。画素値{0}及び画素値{α}を含む二値画像データは、画素値{0}、画素値{1}及び画素値{α}(αは、0及び1以外の整数)を含む画像データであっても良い。画素値{0}は黒画素であり、画素値{1}は白画素であり、画素値{α}は、黒画素及び白画素以外にあらかじめ定義した画素である。よって、画素値{α}は0及び1以外の任意の整数で表される。二値画像データの保存形式は特に限定されることなく、BMP、TIFF、JPEG、GIF等が可能である。二値画像データは数字及び英文字から成り、数字及び英文字は、画素値{0}が黒画素で表現され、数字及び英文字の周辺領域は、画素値0及び/又は画素値1以外の画素値{α}で表現されている。
【0056】
拡大画像変換手段は、二値画像取得手段で取得した二値画像データの各画素をn×n画素に拡大した拡大画像データを作成する。n×n画素のnは、正の偶数の必要である。また、nは2であることが好ましい。
【0057】
配列置換手段は、拡大画像変換手段で取得した拡大画像データ5をn×n画素(nは、正の偶数)に分割したすべての配列を、所定の配列置換規則によって画素値を置換し、配列置換画像データを取得する。例えば、2×2画素に拡大した拡大画像データの{0、0、0、0}の画素を{α、α、0、α}に置換し、{1、1、1、1}の画素を{α、α、α、α}に置換した配列置換画像データである。所定の配列置換規則は、上記記載の置換規則に限定されることなく、次の規則であればよい。そこで、2×2画素の配列置換規則の例で説明する。
【0058】
2×2画素の配列Ci(i=1、2、・・・、7)を画素値Pxy(x=1、2;y=1又は2)を用いてCi={P11、P21、P12、P22}で表し、C1={0、0、0、0}、C2={1、1、1、1}、C3={0、α、α、α}(αは、0及び1以外の整数)、C4={α、0、α、α}、C5={α、α、0、α}、C6={α、α、α、0}及びC7={α、α、α、α}と定義し、2×2画素の配列がC1の場合は、C3、C4、C5及びC6のいずれか一つを選択して置換し、2×2画素の配列がC2の場合は、C7に置換する。この処理によって、前述した問題点である空白領域Sの発生等を未然に防ぐことができる。
【0059】
拡張変換手段は、配列置換手段で取得した配列置換画像データの画素値{α}を{0}又は{1}に変換し、拡張変換画像データを取得する。拡張変換手段は、配列置換画像データの画素値{0}に対して、隣接する画素の画素値が{α}の場合に、隣接する画素の画素値を{1}に変換する第1の拡張変換手段と、変換された画素値{1}に対して、隣接する画素の画素値が{α}の場合に、隣接する画素の画素値を{0}に変換する第2の拡張変換手段と、画素値{α}が無くなるまで第1の拡張変換手段及び第2の拡張変換手段を繰り返す繰り返し手段によって拡張変換画像データ7を作成する。
【0060】
線画データ抽出手段は、拡張変換手段で取得した拡張変換画像の輪郭を抽出して線画データを取得し、スプレッド画線データを得る。
【0061】
(スプレッド画線データの作成装置2)
図20のブロック図に示すように、スプレッド画線データの作成装置2は、二値画像取得手段、拡大画像変換手段、配列置換手段、画素連結手段、拡張変換手段及び線画データ抽出手段から成る。スプレッド画線データの作成装置2の二値画像取得手段、拡大画像変換手段及び配列置換手段については、スプレッド画線データの作成方法1と同様であるため、説明は省略する。
【0062】
画素連結手段は、配列置換手段で得られた配列置換画像データの所定の画素値{α}に対して、上下又は左右の画素値がともに{0}の場合は、画素値{0}に変換して画素連結画像データ9を取得する。ただし、実際に画素値{α}を画素値{0}に変換する前に、画素値{0}への変換必要性をすべて判定しておくものとする。
【0063】
拡張変換手段は、画素連結手段で得られた画素連結画像データの画素値{α}を{0}又は{1}に変換し、拡張変換画像データを取得する。拡張変換手段は、画素連結画像データの画素値{0}に対して、隣接する画素の画素値が{α}の場合に、隣接する画素の画素値を{1}に変換する第1の拡張変換手段と、変換された画素値{1}に対して、隣接する画素の画素値が{α}の場合に、隣接する画素の画素値を{0}に変換する第2の拡張変換手段と、画素値{α}が無くなるまで第1の拡張変換手段及び第2の拡張変換手段を繰り返して拡張変換画像データを作成する。
【0064】
線画データ抽出手段は、拡張変換画像データの輪郭を抽出して線画データを取得し、スプレッド画線データを得る。
【0065】
スプレッド画線データの作成装置1及びスプレッド画線データの作成装置2は、個別端末やネットワーク端末で利用可能であり、例えば、ネットワーク端末で作成する場合は、作成者は、生体情報等の個人認証によってサーバにアクセスし、あらかじめサーバ内のデータベースに登録してある必要とする二値画像データを読み出し、スプレッド画線データを作成し、カード又は貴重書類に印刷する。個人情報を有する印刷物を作製する場合は、個人情報データベースから個人情報を読み出し、スプレッド画線データと合成してから基材に印刷する。なお、サーバ内のデータベース内に必要とする二値画像データがない場合は、画像処理ソフトで作成又はサーバ以外の外部から二値画像データを取得する。
【0066】
(スプレッド画線を用いた印刷物)
図21にスプレッド画線11内の所定の情報(A、B、C、D、E)を有する印刷物A1を示す。図20に示すように、基材10に輪郭画線12a、12bで形成した情報15が形成される。輪郭画線12aに対して外向するように、所定の間隔で連続拡張した拡張画線13a、13b、13cが形成される。さらに、輪郭画線12bに対して内向するように、所定の間隔で連続収縮した収縮画線14aが形成される。
【0067】
このとき、輪郭画線の画線幅、拡張画線の画線幅及び収縮画線の画線幅が同一であり、拡張画線の非画線幅及び収縮画線の非画線幅が同一である、つまり、所定領域あたりの画線面積率が同一であるため情報が肉眼で確認しにくい状況となる。
【0068】
図22にスプレッド画線11内の画像の情報15を有する印刷物A2を示す。図21では線画で形成された絵柄の情報15を元にスプレッド画線を作成している。
【0069】
また、銀行券、パスポート、有価証券、カード、印紙類、商品タグ、有料道路等の回数券、各種チケット等の印刷する領域が小さい貴重品に付与する場合は、輪郭画線の画線幅、拡張画線の画線幅及び収縮画線の画線幅が、25〜500μmの範囲であり、拡張画線の非画線幅及び収縮画線の非画線幅が、100〜1000μmの範囲であることが好ましい。
【0070】
本発明の印刷物に付与される所定の情報は、数字、文字、記号又は絵柄、図柄等のロゴマーク文字等を付与することができる。
【0071】
また、本発明の印刷物に複写防止画線を組合せることが可能であり、複写防防止効果を得ることができる。例えば、特開平8−197828号公報、特開平8−300800号公報、特開昭57−20397号公報、特開2000−185457号公報等の複写防止技術が採用可能であり、特開2000−263911記載のような形態を形成することができる。ただし、スプレッド画線内の情報は、三角形ではなく、数字、文字、記号又は絵柄、図柄等のロゴマーク文字等の複雑な形態を採用するものである。
【0072】
本発明に用いる印刷方法は特に限定されない。例えば、凹版印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、レーザプリンタ、インクジェットプリンタ等で印刷することができる。
【0073】
なお、スプレッド画線の輪郭画線に対する拡張画線、内向する収縮画線の本数は、スプレッド画線を形成する領域、画線幅、非画線幅によって異なる。よって、スプレッド画線を形成する領域、画線幅、非画線幅の設定値によっては拡張画線及び収縮画線のいずれか一方は形成されない場合がある。
【実施例】
【0074】
以下、実施例を用いて本発明を更に詳細に説明するが、本発明の内容は、これらの実施例の範囲に限定されるものではない。
【0075】
(実施例1)
図23に示すように画像作成ソフトウェアで画素値{0}及び画素値{1}の英文字Aの二値画像データ4を作成した。二値画像データ4のうち、画素値{0}は、文字Aを表現し、画素値{1}は、文字Aの周辺領域を表現している。次に、二値画像データ4の各画素を2×2画素に拡大した拡大画像データ5を作成する。次に、拡大画像データ5のC1={0、0、0、0}の画素をC5={2、2、0、2}に置換し、C2={1、1、1、1}の画素は、C7={2、2、2、2}に置換して配列置換画像データ6を得た。次に、配列置換画像データ6の画素値{0}に対して、隣接する画素の画素値が{2}の場合に、隣接する画素の画素値を{1}に変換し、画素値{1}に対して、隣接する画素の画素値が{2}の場合に、隣接する画素の画素値を{0}に変換し、画素値{2}が無くなるまで変換処理を連続して繰り返して拡張変換画像データ7を得た。次に、拡張変換画像データの輪郭を抽出して、輪郭の線幅150μm、非画線幅300μmの線画データを得た。線画データを基にレーザプリンタで紙基材に印刷して、実施例1のスプレッド画線内の所定の情報を有する印刷物を得た。
【0076】
実施例1のスプレッド画線内の所定の情報を有する印刷物を可視光下で肉眼で観察した場合に、輪郭画線の画線幅、拡張画線の画線幅及び収縮画線の画線幅が同一であり、拡張画線の非画線幅及び収縮画線の非画線幅が同一である、つまり、所定領域あたりの画線面積率が同一であるため情報(A)が肉眼で確認しにくい状況であった。
【0077】
(実施例2)
図24に示すように画像作成ソフトウェアで画素値{0}及び画素値{1}の英文字Aの二値画像データ4を作成した。二値画像データ4のうち、画素値{0}は、文字Aを表現し、画素値{1}は、文字Aの周辺領域を表現している。次に、図24に示すように、二値画像データ4の各画素を2×2画素に拡大した拡大画像データ5を作成する。次に、拡大画像データ5のC1={0、0、0、0}の画素をC5={2、2、0、2}に置換し、C2={1、1、1、1}の画素は、C7={2、2、2、2}に置換して配列置換画像データ6を得た。次に、配列置換画像データ6の所定の画素値{2}に対して、上下又は左右の画素値がともに{0}の場合は、画素値{0}に変換して画素連結画像データ9を得た。次に、画素連結画像データ9の画素値{0}に対して、隣接する画素の画素値が{2}の場合に、隣接する画素の画素値を{1}に変換し、画素値{1}に対して、隣接する画素の画素値が{2}の場合に、隣接する画素の画素値を{0}に変換し、画素値{2}が無くなるまで変換処理を連続して繰り返して拡張変換画像データ7を得た。次に、拡張変換画像データの輪郭を抽出して、線幅150μm、非画線幅300μmの線画データを得た。線画データを基に版面を作製し、オフセット印刷機で紙基材に印刷して、実施例2のスプレッド画線内の所定の情報を有する印刷物を得た。
【0078】
実施例2のスプレッド画線内の所定の情報を有する印刷物を可視光下で肉眼で観察した場合に、輪郭画線の画線幅、拡張画線の画線幅及び収縮画線の画線幅が同一であり、拡張画線の非画線幅及び収縮画線の非画線幅が同一である、つまり、所定領域あたりの画線面積率が同一であるため、情報(画像)が肉眼で確認しにくい状況であった。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】スプレッド画線の一例を示す図である。
【図2】従来のスプレッド画線の線画データの作成例を示す図である。
【図3】従来のスプレッド画線の線画データの作成の問題点を示す図である。
【図4】数字及び文字等の複雑な線画1を基に、スプレッド画線の線画データを作成する場合の作成の問題点を示す図である。
【図5】スプレッド画線データの作成方法1の流れ図を示す図である。
【図6】二値画像データ4の一例を示す図である。
【図7】二値画像データ4から拡大画像データ5に変換される一例を示す図である。
【図8】拡大画像データ5から配列置換画像データ6に変換される一例を示す図である。
【図9】2×2画素の配列置換規則の例を示す図である。
【図10】拡張変換手段を示すフロー図である。
【図11】配列置換画像データ6から拡張変換画像データ7に変換される一例を示す図である。
【図12】隣接する画素の説明図である。
【図13】拡張変換画像データ7からスプレッド画線データ8に変換される一例を示す図である。
【図14】スプレッド画線データの作成方法2を示すフロー図である。
【図15】配列置換画像データ6から画素連結画像データ9に変換される一例を示す図である。
【図16】配列置換画像データ6から意図しない画素連結画像データ9に変換される一例を示す図である。
【図17】スプレッド画線データの作成プログラム1を示す図である。
【図18】スプレッド画線データの作成プログラム2を示す図である。
【図19】スプレッド画線データの作成装置1を示すブロック図である。
【図20】スプレッド画線データの作成装置2を示すブロック図である。
【図21】スプレッド画線内の所定の情報を有する印刷物A1を示す図である。
【図22】スプレッド画線内の所定の情報を有する印刷物A2を示す図である。
【図23】実施例1の印刷物の作製の流れと、得られた印刷物の模式図を示す図である。
【図24】実施例2の印刷物の作製の流れと、得られた印刷物の模式図を示す図である。
【符号の説明】
【0080】
1 線画
2a、2b 拡張画線
3 スプレッド画線
4 二値画像データ
5 拡大画像データ
6 配列置換画像データ
7 拡張変換画像データ
8 スプレッド画線データ
9 画素連結画像データ
10 基材
11 スプレッド画線
12 輪郭画線
13a、13b 拡張画線
14a 収縮画線
A1、A2 所定の情報を有する印刷物
S 空白領域
P 画素
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の模様に対して複数の画線を規則的に配置することにより、前記所定の模様を肉眼では視認困難とするための線画データの作成方法において、
前記所定の模様の原画像から画素値{0}及び画素値{1}を含む二値画像データを取得し、
前記二値画像データの各画素をn×n画素(nは、正の偶数)に拡大した拡大画像データを作成し、
前記拡大画像データをn×n画素(nは、正の偶数)に分割し、前記分割したすべての配列における画素値を所定の配列置換規則によって{0}又は{α}(αは、0及び1以外の整数)に置換して配列置換画像データを作成し、
前記配列置換画像データの画素値{α}を{0}又は{1}に変換して拡張変換画像データを作成し、
前記拡張変換画像データの輪郭を抽出して線画データを作成することを特徴とする線画データの作成方法。
【請求項2】
前記配列置換画像データの所定の画素値{α}に対して、上下又は左右の画素値がともに{0}の場合は、前記所定の画素値{α}を画素値{0}に変換して画素連結画像データを作成することを更に有することを特徴とする請求項1記載の線画データの作成方法。
【請求項3】
前記所定の配列置換規則は、前記n×n画素(nは、正の偶数)が2×2画素であり、
前記2×2画素の配列Ci(i=1、2、・・・、7)を、画素値Pxy(x=1又は2;y=1又は2)を用いてCi={P11、P21、P12、P22}で表し、
C1={0、0、0、0}、C2={1、1、1、1}、C3={0、α、α、α}(αは、0及び1以外の整数)、C4={α、0、α、α}、C5={α、α、0、α}、C6={α、α、α、0}及びC7={α、α、α、α}とし、
前記2×2画素の配列がC1の場合は、C3、C4、C5及びC6のいずれか一つを選択して置換し、
前記2×2画素の配列がC2の場合は、C7に置換することを特徴とする請求項1又は2記載の線画データの作成方法。
【請求項4】
前記拡張変換画像データは、前記配列置換画像データ又は前記画素連結画像データの画素値{0}に対して、隣接する画素の画素値が{α}の場合に、前記隣接する画素の画素値を{1}に変換し、
前記変換された画素値{1}に対して、隣接する画素の画素値が{α}の場合に、前記隣接する画素の画素値を{0}に変換し、
前記画素値{α}が無くなるまで前記二つの画素値の変換を繰り返すことを特徴とする請求項1、2又は3記載の線画データの作成方法。
【請求項5】
請求項1乃至4記載の線画データの作成方法により作成された線画データを、所定の出力機器又は印刷機を用いて基材に印刷模様として印刷したことを特徴とする印刷物。
【請求項6】
所定の模様に対して複数の画線を規則的に配置することにより、前記所定の模様を肉眼では視認困難とするための線画データの作成装置において、
前記所定の模様の原画像から画素値{0}及び画素値{1}を含む二値画像データを取得する二値画像取得手段と、
前記二値画像データの各画素をn×n画素(nは、正の偶数)に拡大した拡大画像データを作成する拡大画像変換手段と、
前記拡大画像データをn×n画素(nは、正の偶数)に分割し、前記分割したすべての配列の画素値を所定の配列置換規則によって{0}又は{α}(αは、0及び1以外の整数)に置換して配列置換画像データを作成する配列置換手段と、
前記配列置換画像データの画素値{α}を{0}又は{1}に変換して拡張変換画像データを作成する拡張変換手段と、
前記拡張変換画像データの輪郭を抽出して線画データを作成する線画データ抽出手段から成ることを特徴とする線画データの作成装置。
【請求項7】
前記配列置換画像データの所定の画素値{α}に対して、上下又は左右の画素値がともに{0}の場合は、前記画素値{α}を画素値{0}に変換して画素連結画像データを作成する画素連結手段を更に有することを特徴とする請求項6記載の線画データの作成装置。
【請求項8】
前記配列置換手段における配列置換規則は、n×n画素(nは、正の偶数)が2×2画素であり、
前記2×2画素の配列Ci(i=1、2、・・・、7)を、画素値Pxy(x=1又は2;y=1又は2)を用いてCi={P11、P21、P12、P22}で表し、
C1={0、0、0、0}、C2={1、1、1、1}、C3={0、α、α、α}(αは、0及び1以外の整数)、C4={α、0、α、α}、C5={α、α、0、α}、C6={α、α、α、0}及びC7={α、α、α、α}とし、
前記2×2画素の配列がC1の場合は、C3、C4、C5及びC6のいずれか一つを選択して置換し、
前記2×2画素の配列がC2の場合は、C7に置換することを特徴とする請求項6又は7記載の線画データの作成装置。
【請求項9】
前記拡張変換手段は、前記配列置換画像データ又は前記画素連結画像データの画素値{0}に対して、隣接する画素の画素値が{α}の場合に、前記隣接する画素の画素値を{1}に変換する第1の拡張変換手段と、
前記第1の拡張変換手段により変換された画素値{1}に対して、隣接する画素の画素値が{α}の場合に、前記隣接する画素の画素値を{0}に変換する第2の拡張変換手段と、
前記画素値{α}が無くなるまで、前記第1の拡張変換手段及び前記第2の拡張変換手段による画素値の変換を繰り返す繰り返し手段から成ることを特徴とする請求項6、7又は8記載の線画データの作成装置。
【請求項10】
所定の模様に対して複数の画線を規則的に配置することにより、前記所定の模様を肉眼では視認困難とするための線画データの作成方法を、前記所定の模様の原画像から二値画像データを取得する二値画像取得手段と、前記二値画像データの各画素を所望の倍率に拡大した画像データを作成する拡大画像変換手段と、前記拡大した画像データを所定の配列置換規則によってすべての画素値を{0}又は{α}(αは、0及び1以外の整数)に置換する配列置換手段と、前記置換した画素値{α}を{0}又は{1}に変換する拡張変換手段と、前記変換した変換データの輪郭を抽出して線画データを作成する線画データ抽出手段とを備えたコンピュータに実行させる線画データの作成プログラムおいて、
前記所定の模様の原画像を入力し、画素値{0}及び画素値{1}を含む二値画像データとして取得するステップと、
前記取得した二値画像データを、所望の倍率であるn×n画素(nは、正の偶数)に拡大した画像データを作成するステップと、
前記拡大された画像データをn×n画素(nは、正の偶数)に分割し、分割したすべての配列の画素値を所定の配列置換規則によって{0}又は{α}(αは、0及び1以外の整数)に置換するステップと、
前記置換した画像データの画素値{α}を{0}又は{1}に変換するステップと、
前記置換した画像データの画素値{α}を{0}又は{1}に変換した画像データの輪郭を抽出して線画データを作成するステップとを備える線画データの作成方法をコンピュータに実行させることを特徴とする線画データの作成プログラム。
【請求項11】
前記コンピュータは、前記配列置換手段によって作成された画像データの所定の画素値{α}を、画素値{0}に変換する画素連結手段を更に備え、
前記画素連結手段により、前記配列置換手段によって作成された画像データの所定の画素値{α}に対して、上下又は左右の画素値がともに{0}の場合に、前記画素値{α}を画素値{0}に変換するステップを更に備えることを特徴とする請求項10記載の線画データの作成プログラム。
【請求項12】
前記配列置換手段における配列置換規則は、n×n画素(nは、正の偶数)が2×2画素であり、
前記2×2画素の配列Ci(i=1、2、・・・、7)を、画素値Pxy(x=1又は2;y=1又は2)を用いてCi={P11、P21、P12、P22}で表し、
C1={0、0、0、0}、C2={1、1、1、1}、C3={0、α、α、α}(αは、0及び1以外の整数)、C4={α、0、α、α}、C5={α、α、0、α}、C6={α、α、α、0}及びC7={α、α、α、α}とし、
前記2×2画素の配列がC1の場合は、C3、C4、C5及びC6のいずれか一つを選択して置換し、
前記2×2画素の配列がC2の場合は、C7に置換することを特徴とする請求項10又は11記載の線画データの作成プログラム。
【請求項13】
前記置換した画像データの画素値{α}を{0}又は{1}に変換するステップは、
前記配列置換手段又は前記画素連結手段によって作成された画像データの画素値{0}に対して、隣接する画素の画素値が{α}の場合に、前記隣接する画素の画素値を{1}に変換する第1の拡張変換ステップと、
前記第1の拡張変換ステップで変換された画素値{1}に対して、隣接する画素の画素値が{α}の場合に、前記隣接する画素の画素値を{0}に変換する第2の拡張変換ステップと、
前記画素値{α}が無くなるまで前記第1の拡張変換ステップ及び前記第2の拡張変換ステップを繰り返していくステップを備えたことを特徴とする請求項10、11又は12記載の線画データの作成プログラム。
【請求項1】
所定の模様に対して複数の画線を規則的に配置することにより、前記所定の模様を肉眼では視認困難とするための線画データの作成方法において、
前記所定の模様の原画像から画素値{0}及び画素値{1}を含む二値画像データを取得し、
前記二値画像データの各画素をn×n画素(nは、正の偶数)に拡大した拡大画像データを作成し、
前記拡大画像データをn×n画素(nは、正の偶数)に分割し、前記分割したすべての配列における画素値を所定の配列置換規則によって{0}又は{α}(αは、0及び1以外の整数)に置換して配列置換画像データを作成し、
前記配列置換画像データの画素値{α}を{0}又は{1}に変換して拡張変換画像データを作成し、
前記拡張変換画像データの輪郭を抽出して線画データを作成することを特徴とする線画データの作成方法。
【請求項2】
前記配列置換画像データの所定の画素値{α}に対して、上下又は左右の画素値がともに{0}の場合は、前記所定の画素値{α}を画素値{0}に変換して画素連結画像データを作成することを更に有することを特徴とする請求項1記載の線画データの作成方法。
【請求項3】
前記所定の配列置換規則は、前記n×n画素(nは、正の偶数)が2×2画素であり、
前記2×2画素の配列Ci(i=1、2、・・・、7)を、画素値Pxy(x=1又は2;y=1又は2)を用いてCi={P11、P21、P12、P22}で表し、
C1={0、0、0、0}、C2={1、1、1、1}、C3={0、α、α、α}(αは、0及び1以外の整数)、C4={α、0、α、α}、C5={α、α、0、α}、C6={α、α、α、0}及びC7={α、α、α、α}とし、
前記2×2画素の配列がC1の場合は、C3、C4、C5及びC6のいずれか一つを選択して置換し、
前記2×2画素の配列がC2の場合は、C7に置換することを特徴とする請求項1又は2記載の線画データの作成方法。
【請求項4】
前記拡張変換画像データは、前記配列置換画像データ又は前記画素連結画像データの画素値{0}に対して、隣接する画素の画素値が{α}の場合に、前記隣接する画素の画素値を{1}に変換し、
前記変換された画素値{1}に対して、隣接する画素の画素値が{α}の場合に、前記隣接する画素の画素値を{0}に変換し、
前記画素値{α}が無くなるまで前記二つの画素値の変換を繰り返すことを特徴とする請求項1、2又は3記載の線画データの作成方法。
【請求項5】
請求項1乃至4記載の線画データの作成方法により作成された線画データを、所定の出力機器又は印刷機を用いて基材に印刷模様として印刷したことを特徴とする印刷物。
【請求項6】
所定の模様に対して複数の画線を規則的に配置することにより、前記所定の模様を肉眼では視認困難とするための線画データの作成装置において、
前記所定の模様の原画像から画素値{0}及び画素値{1}を含む二値画像データを取得する二値画像取得手段と、
前記二値画像データの各画素をn×n画素(nは、正の偶数)に拡大した拡大画像データを作成する拡大画像変換手段と、
前記拡大画像データをn×n画素(nは、正の偶数)に分割し、前記分割したすべての配列の画素値を所定の配列置換規則によって{0}又は{α}(αは、0及び1以外の整数)に置換して配列置換画像データを作成する配列置換手段と、
前記配列置換画像データの画素値{α}を{0}又は{1}に変換して拡張変換画像データを作成する拡張変換手段と、
前記拡張変換画像データの輪郭を抽出して線画データを作成する線画データ抽出手段から成ることを特徴とする線画データの作成装置。
【請求項7】
前記配列置換画像データの所定の画素値{α}に対して、上下又は左右の画素値がともに{0}の場合は、前記画素値{α}を画素値{0}に変換して画素連結画像データを作成する画素連結手段を更に有することを特徴とする請求項6記載の線画データの作成装置。
【請求項8】
前記配列置換手段における配列置換規則は、n×n画素(nは、正の偶数)が2×2画素であり、
前記2×2画素の配列Ci(i=1、2、・・・、7)を、画素値Pxy(x=1又は2;y=1又は2)を用いてCi={P11、P21、P12、P22}で表し、
C1={0、0、0、0}、C2={1、1、1、1}、C3={0、α、α、α}(αは、0及び1以外の整数)、C4={α、0、α、α}、C5={α、α、0、α}、C6={α、α、α、0}及びC7={α、α、α、α}とし、
前記2×2画素の配列がC1の場合は、C3、C4、C5及びC6のいずれか一つを選択して置換し、
前記2×2画素の配列がC2の場合は、C7に置換することを特徴とする請求項6又は7記載の線画データの作成装置。
【請求項9】
前記拡張変換手段は、前記配列置換画像データ又は前記画素連結画像データの画素値{0}に対して、隣接する画素の画素値が{α}の場合に、前記隣接する画素の画素値を{1}に変換する第1の拡張変換手段と、
前記第1の拡張変換手段により変換された画素値{1}に対して、隣接する画素の画素値が{α}の場合に、前記隣接する画素の画素値を{0}に変換する第2の拡張変換手段と、
前記画素値{α}が無くなるまで、前記第1の拡張変換手段及び前記第2の拡張変換手段による画素値の変換を繰り返す繰り返し手段から成ることを特徴とする請求項6、7又は8記載の線画データの作成装置。
【請求項10】
所定の模様に対して複数の画線を規則的に配置することにより、前記所定の模様を肉眼では視認困難とするための線画データの作成方法を、前記所定の模様の原画像から二値画像データを取得する二値画像取得手段と、前記二値画像データの各画素を所望の倍率に拡大した画像データを作成する拡大画像変換手段と、前記拡大した画像データを所定の配列置換規則によってすべての画素値を{0}又は{α}(αは、0及び1以外の整数)に置換する配列置換手段と、前記置換した画素値{α}を{0}又は{1}に変換する拡張変換手段と、前記変換した変換データの輪郭を抽出して線画データを作成する線画データ抽出手段とを備えたコンピュータに実行させる線画データの作成プログラムおいて、
前記所定の模様の原画像を入力し、画素値{0}及び画素値{1}を含む二値画像データとして取得するステップと、
前記取得した二値画像データを、所望の倍率であるn×n画素(nは、正の偶数)に拡大した画像データを作成するステップと、
前記拡大された画像データをn×n画素(nは、正の偶数)に分割し、分割したすべての配列の画素値を所定の配列置換規則によって{0}又は{α}(αは、0及び1以外の整数)に置換するステップと、
前記置換した画像データの画素値{α}を{0}又は{1}に変換するステップと、
前記置換した画像データの画素値{α}を{0}又は{1}に変換した画像データの輪郭を抽出して線画データを作成するステップとを備える線画データの作成方法をコンピュータに実行させることを特徴とする線画データの作成プログラム。
【請求項11】
前記コンピュータは、前記配列置換手段によって作成された画像データの所定の画素値{α}を、画素値{0}に変換する画素連結手段を更に備え、
前記画素連結手段により、前記配列置換手段によって作成された画像データの所定の画素値{α}に対して、上下又は左右の画素値がともに{0}の場合に、前記画素値{α}を画素値{0}に変換するステップを更に備えることを特徴とする請求項10記載の線画データの作成プログラム。
【請求項12】
前記配列置換手段における配列置換規則は、n×n画素(nは、正の偶数)が2×2画素であり、
前記2×2画素の配列Ci(i=1、2、・・・、7)を、画素値Pxy(x=1又は2;y=1又は2)を用いてCi={P11、P21、P12、P22}で表し、
C1={0、0、0、0}、C2={1、1、1、1}、C3={0、α、α、α}(αは、0及び1以外の整数)、C4={α、0、α、α}、C5={α、α、0、α}、C6={α、α、α、0}及びC7={α、α、α、α}とし、
前記2×2画素の配列がC1の場合は、C3、C4、C5及びC6のいずれか一つを選択して置換し、
前記2×2画素の配列がC2の場合は、C7に置換することを特徴とする請求項10又は11記載の線画データの作成プログラム。
【請求項13】
前記置換した画像データの画素値{α}を{0}又は{1}に変換するステップは、
前記配列置換手段又は前記画素連結手段によって作成された画像データの画素値{0}に対して、隣接する画素の画素値が{α}の場合に、前記隣接する画素の画素値を{1}に変換する第1の拡張変換ステップと、
前記第1の拡張変換ステップで変換された画素値{1}に対して、隣接する画素の画素値が{α}の場合に、前記隣接する画素の画素値を{0}に変換する第2の拡張変換ステップと、
前記画素値{α}が無くなるまで前記第1の拡張変換ステップ及び前記第2の拡張変換ステップを繰り返していくステップを備えたことを特徴とする請求項10、11又は12記載の線画データの作成プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2009−272842(P2009−272842A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−120833(P2008−120833)
【出願日】平成20年5月7日(2008.5.7)
【出願人】(303017679)独立行政法人 国立印刷局 (471)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年5月7日(2008.5.7)
【出願人】(303017679)独立行政法人 国立印刷局 (471)
【Fターム(参考)】
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