説明

線維化関連障害のための治療および診断方法

患者における、C反応性タンパク質(CRP)に対する血清アミロイドP(SAP)の濃度の比を利用する線維化関連障害の治療のための組成物および方法が提供される。その方法は、FcγRIIAのR131/H131多型を決定するステップをさらに含んでもよい。診断法もまた提供される。本発明はまた、患者における線維化関連障害を治療し、予防し、またはその重症度を低下させるための方法をさらに提供する。CRPおよびSAPの濃度を生物学的サンプルから測定して、SAP対CRP比を決定する。


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【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者が線維化関連障害を発症する危険性を決定する方法であって、
(i)該患者の生物学的サンプルにおけるC反応性タンパク質(CRP)および血清アミロイドP(SAP)の濃度を測定してSAP対CRP比を決定するステップと、
(ii)1つまたは複数の基準SAP対CRP比と、ステップ(i)から決定されたSAP対CRP比を比較するステップと、
(iii)該1つまたは複数の基準比よりも少なくとも10%低いSAP対CRPを、該患者が線維化関連障害の危険性にさらされている指標と解釈するステップと
を含む方法。
【請求項2】
FcγRIIA対立遺伝子のR131/H131多型について該患者の第2の生物学的サンプルをアッセイするステップをさらに含み、該ステップは、前記患者の両方のFcγRIIA対立遺伝子における131位のアミノ酸残基を決定するステップを含み、1つまたは複数の基準比よりも少なくとも5%低いSAP対CRP比が、該患者の一方または両方の該対立遺伝子がR131である場合に該患者が線維化関連障害の危険性にさらされている指標と解釈される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
患者における線維化関連障害の状態を診断する方法であって、
(i)該患者から生物学的サンプルを得るステップと、
(ii)該生物学的サンプルのC反応性タンパク質(CRP)および血清アミロイドP(SAP)の濃度を測定するステップと、
(iii)該生物学的サンプルにおけるSAP対CRP比を決定するステップと、
(iv)1つまたは複数の基準SAP対CRP比と、ステップ(i)から決定されたSAP対CRP比を比較するステップと、
(v)該1つまたは複数の基準比よりも少なくとも20%低いSAP対CRP比を有する患者において線維化関連障害を診断するステップと
を含む方法。
【請求項4】
患者における線維化関連障害を治療し、予防し、またはその重症度を低下させるための方法であって、
(i)該患者の生物学的サンプルにおけるC反応性タンパク質(CRP)および血清アミロイドP(SAP)の濃度を測定してSAP対CRP比を決定するステップと、
(ii)1つまたは複数の基準SAP対CRP比と、ステップ(i)から決定されたSAP対CRP比を比較するステップと、
(iii)該1つまたは複数の基準比よりも少なくとも10%低いSAP対CRP比を有する該患者に抗線維化療法を施すステップと
を含む方法。
【請求項5】
前記患者の両方のFcγRIIA対立遺伝子における131位のアミノ酸残基を決定するステップを含む、FcγRIIA対立遺伝子のR131/H131多型について該患者の第2の生物学的サンプルをアッセイするステップをさらに含み、1つまたは複数の基準比よりも少なくとも5%低いSAP対CRP比が、該患者の一方または両方の該対立遺伝子がR131である場合に該患者が線維化関連障害の危険性にさらされている指標と解釈される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
患者における線維化関連障害の治療を調整するための方法であって、
(i)該患者の生物学的サンプルにおけるC反応性タンパク質(CRP)および血清アミロイドP(SAP)の濃度を測定してSAP対CRP比を決定するステップと、
(ii)決定されたSAP対CRP比を1つまたは複数の基準CRP対SAP比と比較するステップと、
(iii)該1つまたは複数の基準比よりも低いSAP対CRP比を有する該患者に抗線維化療法を施すステップと、
(iv)該患者の生物学的サンプルにおけるCRPおよびSAPの濃度を測定して第2のSAP対CRP比を決定するステップと、
(v)該線維化関連障害を治療するための目標比以上のSAP対CRP比を達成するために、該抗線維化療法の投薬の投薬量または頻度を調整するステップと
を含む方法。
【請求項7】
ステップ(iv)および(v)が、少なくとも1回、2回、3回、またはそれ以上繰り返される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記基準比が、約5〜約60の間にある、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
測定されたCRPおよびSAPの濃度が、CRPおよびSAPの遊離濃度である、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記生物学的サンプルが、血清または血漿である、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記抗線維化療法が、1つまたは複数のSAPアゴニスト、CRPアンタゴニスト、またはその組合せの投与を含む、請求項4から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
患者における線維化関連障害を治療し、予防し、またはその重症度を低下させるための方法であって、該障害を治療し、予防し、またはその重症度を低下させる必要のある患者に、治療有効量の1つまたは複数のCRPアンタゴニストおよび1つまたは複数のSAPアゴニストを一緒に投与するステップを含む方法。
【請求項13】
前記SAPアゴニストが、SAPシグナル伝達を増加させる、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
前記SAPアゴニストが、SAPシグナル伝達を模倣する、請求項11または12に記載の方法。
【請求項15】
前記SAPアゴニストが、SAP活性を増加させる、請求項11または12に記載の方法。
【請求項16】
前記SAPアゴニストが、SAP発現を増加させる、請求項11または12に記載の方法。
【請求項17】
前記SAPアゴニストが、血清SAPレベルを増加させる、請求項11または12に記載の方法。
【請求項18】
前記SAPアゴニストが、小分子、核酸、またはポリペプチドから選択される、請求項11から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記SAPアゴニストが、SAPポリペプチドから選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記SAPアゴニストが、抗FcγRI抗体、抗FcgRIIA抗体、抗FcgRIII抗体、架橋抗FcgR抗体、凝集IgG抗体、または架橋IgG抗体から選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
患者における線維化関連障害を治療し、予防し、またはその重症度を低下させるための方法であって、
(i)線維化関連障害に罹患した患者を同定するステップと、
(ii)該患者の生物学的サンプルにおけるC反応性タンパク質(CRP)濃度を測定するステップと、
(iii)1つまたは複数の基準値よりも少なくとも10%高いCRP濃度を有する患者に1つまたは複数のCRPアンタゴニストを投与するステップと
を含む方法。
【請求項22】
FcγRIIA対立遺伝子のR131/H131多型について前記患者の第2の生物学的サンプルをアッセイするステップをさらに含み、該ステップが、該患者の両方のFcγRIIA対立遺伝子における131位のアミノ酸残基を決定するステップを含み、抗線維化療法が、該患者の一方または両方の対立遺伝子がR131である場合に1つまたは複数の基準値よりも少なくとも5%高いCRP濃度を有する患者に施される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記基準値が、0.1μg/ml〜3μg/mlの間にある、請求項21または22に記載の方法。
【請求項24】
測定されたCRPの濃度が、CRPの遊離濃度である、請求項21から23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記生物学的サンプルが、血清または血漿である、請求項21から23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記線維化関連障害が、アテローム性動脈硬化症ではない、請求項1から25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記CRPアンタゴニストが、CRPシグナル伝達を減少させる、請求項11、12、または21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記CRPアンタゴニストが、FcγRIまたはFcγRIIAまたはFcγRIIIに結合するCRPを減少させる、請求項11、12、または21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記CRPアンタゴニストが、CRP発現を減少させる、請求項11、12、または21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記CRPアンタゴニストが、CRPの血清レベルを低下させる、請求項11、12、または21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記CRPアンタゴニストが、CRPの活性を低下させる、請求項11、12、または21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記CRPアンタゴニストが、小分子、核酸、またはポリペプチドから選択される、請求項11、12、21、または27から31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記CRPアンタゴニストが、IL−10の産生を減少させる、請求項11、12、21、または27から31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記CRPアンタゴニストが、TGFβの産生を減少させる、請求項11、12、21、または27から31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記CRPアンタゴニストが、シクロオキシゲナーゼ−2阻害剤、抗血小板薬、スタチン、コレステロール吸収の阻害剤、抗高脂血症薬、ナイアシン、抗糖尿病薬、β−アドレナリン受容体アンタゴニスト、酸化防止剤、ACE阻害剤、IL−6阻害剤、11−ベータヒドロキシラーゼ阻害剤、およびアンギオテンシン受容体遮断薬から選択される、請求項32に記載の方法。
【請求項36】
前記CRPアンタゴニストが、抗CRP抗体である、請求項32に記載の方法。
【請求項37】
前記CRPアンタゴニストが、抗FcγRI抗体である、請求項32に記載の方法。
【請求項38】
前記CRPアンタゴニストが、抗FcγRIIA抗体である、請求項32に記載の方法。
【請求項39】
前記CRPアンタゴニストが、抗FcγRIII抗体である、請求項32に記載の方法。
【請求項40】
患者における線維化関連障害の治療を提供するためのキットであって、(i)1つまたは複数のCRPアンタゴニストおよび(ii)1つまたは複数のSAPアゴニストを含み、(i)および(ii)が、一緒に投与されるように製剤されるキット。
【請求項41】
前記SAPアゴニストが、SAPシグナル伝達を増加させる、請求項40に記載のキット。
【請求項42】
前記SAPアゴニストが、SAPシグナル伝達を模倣する、請求項40に記載のキット。
【請求項43】
前記SAPアゴニストが、SAP活性を増加させる、請求項40に記載のキット。
【請求項44】
前記SAPアゴニストが、SAP発現を増加させる、請求項40に記載のキット。
【請求項45】
前記SAPアゴニストが、血清SAPレベルを増加させる、請求項40に記載のキット。
【請求項46】
前記SAPアゴニストが、小分子、核酸、またはポリペプチドから選択される、請求項40から45のいずれか一項に記載のキット。
【請求項47】
前記SAPアゴニストが、SAPポリペプチドまたはその変異体から選択される、請求項46に記載のキット。
【請求項48】
前記SAPアゴニストが、抗FcγRI抗体、抗FcgRII抗体、抗FcgRIII抗体、架橋抗FcγR抗体、凝集IgG抗体、または架橋IgG抗体から選択される、請求項46に記載のキット。
【請求項49】
前記CRPアンタゴニストが、CRP発現を減少させる、請求項40に記載のキット。
【請求項50】
前記CRPアンタゴニストが、CRPの血清レベルを低下させる、請求項40に記載のキット。
【請求項51】
前記CRPアンタゴニストが、CRP活性を低下させる、請求項40に記載のキット。
【請求項52】
前記CRPアンタゴニストが、CRPシグナル伝達を低下させる、請求項40に記載のキット。
【請求項53】
前記CRPアンタゴニストが、FcγRIまたはFcγRIIAまたはFcγRIIIに結合するCRPを低下させる、請求項40に記載のキット。
【請求項54】
前記CRPアンタゴニストが、IL−10の産生を減少させる、請求項40に記載のキット。
【請求項55】
前記CRPアンタゴニストが、TGFβの産生を減少させる、請求項40に記載のキット。
【請求項56】
前記CRPアンタゴニストが、小分子、核酸、またはポリペプチドから選択される、請求項40から55のいずれか一項に記載のキット。
【請求項57】
前記CRPアンタゴニストが、シクロオキシゲナーゼ−2阻害剤、抗血小板薬、スタチン、コレステロール吸収の阻害剤、抗高脂血症薬、ナイアシン、抗糖尿病薬、β−アドレナリン受容体アンタゴニスト、酸化防止剤、ACE阻害剤、およびアンギオテンシン受容体遮断薬から選択される、請求項40に記載のキット。
【請求項58】
前記CRPアンタゴニストが、抗CRP抗体である、請求項40に記載のキット。
【請求項59】
前記CRPアンタゴニストが、抗FcγRI抗体である、請求項40に記載のキット。
【請求項60】
前記CRPアンタゴニストが、抗FcγRII抗体である、請求項40に記載のキット。
【請求項61】
前記CRPアンタゴニストが、抗FcγRIII抗体である、請求項40に記載のキット。
【請求項62】
線維化関連障害を治療し、予防し、またはその重症度を低下させる必要性のある患者において、該障害を治療し、予防し、またはその重症度を低下させるための方法であって、(a)該患者の両方のFcγRIIA対立遺伝子における131位のアミノ酸残基を決定することによって、FcγRIIA対立遺伝子のR131/H131多型について該患者の生物学的サンプルを分析するステップと、(b)該患者に最も有効な治療計画を選択するステップとを含む方法。
【請求項63】
前記治療計画が、FcγRIIA対立遺伝子の一方または両方において131位にヒスチジンを有する患者におけるSAPアゴニストの投与を含む、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記治療計画が、FcγRIIA対立遺伝子の一方または両方において131位にアルギニンを有する患者におけるCRPアンタゴニスト、SAPもしくはSAPアゴニスト、またはその組合せの投与を含む、請求項62に記載の方法。
【請求項65】
投与されるSAPまたはSAPアゴニストの量が、患者におけるCRPのレベルに依存する、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
診断業務を行うための方法であって、
(i)生物学的サンプルを受け取るステップと、
(ii)前記生物学的サンプルにおいて、C反応性タンパク質(CRP)および血清アミロイドP(SAP)の濃度を測定するステップと、
(ii)該生物学的サンプルにおけるC反応性タンパク質(CRP)および血清アミロイドP(SAP)の濃度の報告書を作成するステップと
を含む方法。
【請求項67】
測定されたSAPおよびCRPの濃度が、SAPおよびCRPの遊離濃度である、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記生物学的サンプルが、血清または血漿である、請求項66または67に記載の方法。
【請求項69】
SAP対CRPの比を決定するステップをさらに含む、請求項66に記載の方法。
【請求項70】
前記報告書が、SAP対CRPの比を含有する、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
患者が線維化関連障害を発症する危険性の評価に有用なデータを決定するための方法であって、
(i)該患者から生物学的サンプルを得るステップと、
(ii)該生物学的サンプルのC反応性タンパク質(CRP)の濃度を測定するステップと、
(iii)両方のFcγRIIA対立遺伝子における131位のアミノ酸残基を決定するステップを含む、FcγRIIA対立遺伝子のR131/H131多型を決定するステップと
を含む方法。
【請求項72】
前記生物学的サンプルのSAPの濃度を測定するステップをさらに含む、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
測定されたSAPおよびCRPの濃度が、SAPおよびCRPの遊離濃度である、請求項71に記載の方法。
【請求項74】
前記生物学的サンプルが、血清または血漿である、請求項71または72に記載の方法。
【請求項75】
SAP対CRPの比を決定するステップをさらに含む、請求項73に記載の方法。
【請求項76】
PBMまたは単球細胞において、CRPに対する応答性を決定するための方法であって、
(i)ある濃度のCRPとPBMまたは単球細胞をインキュベートするステップと、
(ii)CRPが該細胞の線維細胞分化を活性化するかどうかを決定するステップと
を含み、線維細胞増殖の刺激が、該細胞がCRPに応答性であることを示す方法。
【請求項77】
CRPアンタゴニストの抗線維化作用に対する患者の応答性を決定するための方法であって、
(i)患者からPBMまたは単球細胞を得るステップと、
(ii)1つまたは複数の濃度のCRPと、PBMまたは単球細胞をインキュベートするステップと、
(iii)PBMまたは単球細胞における線維細胞分化のCRP誘発の程度を決定するステップと
を含み、線維細胞分化の誘発の程度が、CRPアンタゴニストに対する該患者の応答性を示す方法。
【請求項78】
患者における、線維細胞分化を防止する最小SAP対CRP比を決定する方法であって、
(i)患者からPBMCまたは単球を得るステップと、
(ii)線維細胞分化の最大の刺激をもたらすのに必要な、CRPの最小濃度を決定するステップと、
(iii)線維細胞分化の量を>90%低下させるために、ステップ(ii)によって決定されるCRPの濃度において必要なSAPの濃度を決定するステップと、
(iv)ステップ(iii)において決定されるSAP濃度を、ステップ(iii)において決定されるCRP濃度で割ることによって、患者における線維細胞分化を防止するのに有効なSAP対CRP比を決定するステップを含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−532872(P2010−532872A)
【公表日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−516033(P2010−516033)
【出願日】平成20年7月7日(2008.7.7)
【国際出願番号】PCT/US2008/008315
【国際公開番号】WO2009/009019
【国際公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【出願人】(510006945)プロメディオール, インコーポレイテッド (7)
【Fターム(参考)】