説明

線維芽細胞増殖促進剤及び皮膚外用剤

【課題】 安定に配合可能であり、高い線維芽細胞増殖促進作用を示す線維芽細胞増殖促進剤、及び皮膚のしわ・たるみを予防・改善可能な皮膚外用剤を提供する。
【解決手段】 エチナシの抽出物を有効成分とする線維芽細胞増殖促進剤、及び前記線維芽細胞増殖促進剤を含有する皮膚のはり・たるみを防止又は改善するための皮膚外用剤である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エチナシの抽出物を利用した線維芽細胞増殖促進剤、およびそれを含有する皮膚外用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
加齢に伴い発生するしわやたるみを予防・改善することは、美容上の重要な課題である。皮膚の表皮及び真皮は、表皮細胞、線維芽細胞及びこれらの細胞外にあって皮膚構造を支持する細胞外マトリックスにより構成される。しわやたるみは、線維芽細胞と細胞外マトリックスを主な構成成分とする真皮結合組織線維で起こることが知られている。細胞外マトリックスを構成しているコラーゲン、エラスチン等の線維性タンパク質は、線維芽細胞によって合成・分解されること等から、線維芽細胞の増殖を促進することは、皮膚にはり・つやを与え、しわやたるみを予防・改善するのに寄与する。かかる観点から線維芽細胞増殖作用剤およびこれを含有する化粧料等が種々提案されている(例えば、特許文献1及び2)。
【0003】
一方、皮膚外用剤の有効成分として、天然物由来の成分が種々提案されている。例えば、エチナシの抽出物を含有する皮膚外用剤等が提案されている(特許文献3〜6参照)。しかし、エチナシの抽出物と線維芽細胞との関連性や、その増殖との関連性については記載がない。
【0004】
【特許文献1】特開平07−024526号公報
【特許文献2】特開2002−003390号公報
【特許文献3】特開平10−045559号公報
【特許文献4】特開平11−092353号公報
【特許文献5】特開2001−098263号公報
【特許文献6】特開2002−012546号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、安定に配合可能であり、高い線維芽細胞増殖促進作用を示す新規な剤を提供することを課題とする。また、本発明は、線維芽細胞の増殖を促進することによって皮膚のしわ・たるみを予防・改善可能な新規な皮膚外用剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明者は安全性が高く、線維芽細胞に対して増殖促進作用を示す剤のスクリーニングを行った。その結果、エチナシの抽出物に優れた線維芽細胞増殖促進作用があることを見いだし、これを皮膚外用剤に含有することによって、皮膚のしわ・たるみを防止・改善できるとの知見を得、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0007】
即ち、前記課題を解決するため、本発明は、エチナシの抽出物を有効成分とする線維芽細胞増殖促進剤及び前記線維芽細胞増殖促進剤を含有する皮膚のはり・たるみを防止又は改善するための皮膚外用剤を提供する。また、別の観点から、本発明によって、エチナシの抽出物を適用することによって線維芽細胞の増殖を促進する方法が提供される。また、本発明の一実施形態として、さらに、細胞賦活剤、抗酸化剤、抗炎症剤、保湿剤及び紫外線防止剤から選ばれる一種又は二種以上を含有する前記皮膚外用剤;又は、さらに、大豆抽出液、天然ビタミンE、グリチルリチン酸ジカリウム、水素添加大豆リン脂質、パラメトキシケイ皮酸−2−エチルヘキシルから選ばれる一種又は二種以上を含有する前記皮膚外用剤が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明は、エチナシの抽出物を有効成分とする線維芽細胞増殖促進剤に関する。エチナシは学名Echinacea purpurea L. Moenchというキク科ムラサキバレンギク属の植物であり、別名エキナセアともいわれている。本発明に用いるエチナシ抽出物は、エチナシの根、茎、葉、花、果実、種子等いずれの部分の抽出物であってもよく、また、2箇所以上の部分の抽出物を混合して用いてもよく、あるいは2箇所以上の部分から異なる溶媒により抽出された抽出物を二種以上混合して用いてもよい。
【0009】
前記エチナシ抽出物は、エチナシの根、茎、葉、花、種子等の1箇所又は2箇所以上を、適当な溶媒によって抽出することによって得られる。これらの部分に乾燥、細切、圧搾、又は発酵などの適宜の処理を施した後、抽出処理を施してもよい。抽出は、エチナシを低温ないし加温下で溶媒中に所定の時間浸漬することによって実施できる。抽出溶媒としては特に限定されないが、例えば水;メチルアルコール、エチルアルコール等の低級1価アルコール;グリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等の液状多価アルコール;アセトン等のケトン類;エチルエーテル等のエーテル類;酢酸エチル等のエステル類;等の一種又は二種以上を用いることができる。
【0010】
前記エチナシ抽出物は、そのまま皮膚外用剤に配合してもよいし、適宜の期間そのまま放置し、熟成させた後に用いることもできる。必要ならば、効果に影響のない範囲で、さらに、濾過やイオン交換樹脂等による脱臭、脱色等の精製処理を施した後に用いることもできる。又、液体クロマトグラフィー等の分離手段を用いて、活性の高い画分のみを用いることもできる。
【0011】
好ましい抽出方法の例としては、エチナシの葉を含水濃度0〜100体積%のエチルアルコールや1,3−ブチレングリコール又は水を用い、室温で又は加温して1〜5日間抽出を行った後、濾過し、得られた濾液をさらに1週間程放置して熟成させ、再び濾過を行う方法が挙げられる。但し、抽出法はこれに限定されるものではない。
【0012】
前記エチナシ抽出物は、液状、ペースト状、ゲル状等いずれの形態であってもよい。液状等の抽出物を乾固させて固体状とした後、又はスプレードライ等により乾燥させて粉末状とした後、線維芽細胞増殖促進剤として用いることもできる。
【0013】
本発明の線維芽細胞増殖促進剤の皮膚外用剤における含有量(乾燥固形分)は、好ましくは0.00001〜5質量%(以下単に「%」で示す)であり、より好ましくは0.001〜0.5%である。この範囲内であれば、前記線維芽細胞増殖促進剤を安定に配合することができ、かつ皮膚のはり・たるみを防止又は改善する効果を十分に発揮させることができる。又、溶液として抽出物を使用する場合は、溶質である乾燥固形分の含有量が上記範囲内であれば、その抽出物溶液濃度は何ら限定されるものではない。
【0014】
本発明の皮膚外用剤は、前記線維芽細胞増殖促進剤であるエチナシ抽出物を常法に従い、種々の形態の基剤に配合して、製剤化することにより調製することができる。本発明では、前記線維芽細胞増殖促進剤を皮膚のはり・たるみを防止又は改善する成分として皮膚外用剤中に配合する。さらに、前記線維芽細胞増殖促進剤を他の薬効剤の一種又は二種以上と組み合わせて配合することによって、皮膚のはり・たるみを防止又は改善する効果がより優れた皮膚外用剤を調製することができる。
【0015】
本発明の好ましい実施形態として、(A)成分としてエチナシ抽出物からなる線維芽細胞増殖促進剤と、(B)成分として、細胞賦活剤、抗酸化剤、抗炎症剤、保湿剤及び紫外線防止剤から選ばれる薬効剤の一種又は二種以上とを含有する皮膚外用剤が挙げられる。
本実施形態において(B)成分として用いられる薬効剤は、細胞賦活剤、抗酸化剤、抗炎症剤、保湿剤及び紫外線防止剤から選ばれるものであるが、具体的な薬効剤としては、それぞれ以下に示すものが例示される。なお、以下の具体例において、「誘導体」には形成可能な塩が含まれる。又、2つ以上の薬効を有する化合物については、各薬効剤の具体例として重複して例示した。
【0016】
(細胞賦活剤)
細胞賦活剤としては、カロチノイド(カロチン、リコピン、アスタキサンチン等)、ビタミンA及びその誘導体(パルミチン酸レチノール、酢酸レチノール等のレチノール及びその誘導体;デヒドロレチナール等のレチナール及びその誘導体等)、ビタミンC及びその誘導体(ジパルミチン酸L−アスコルビル、テトライソパルミチン酸L−アスコルビル等のL−アスコルビン酸アルキルエステル、L−アスコルビン酸リン酸エステル、L−アスコルビン酸硫酸エステル等)、ビタミンB及びその誘導体(チアミン塩酸塩、チアミン硫酸塩、リボフラビン、酢酸リボフラビン、塩酸ピリドキシン、ピリドキシンジオクタノエート、フラビンアデニンジヌクレオチド、シアノコバラミン、葉酸類、ニコチン酸アミド、ニコチン酸ベンジル等のニコチン酸類、コリン類等)、リボ核酸及びその塩、デオキシリボ核酸及びその塩、α−及びγ−リノレン酸、キサンチン及びその誘導体(カフェイン等)、アミノ酸及びその誘導体(セリン、グルタミン酸、テアニン、ヒドロキシプロリン、ピロリドンカルボン酸等)、ドコサヘキサエン酸及びその誘導体、エイコサペンタエン酸及びその誘導体、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、コハク酸、アーモンド抽出物、アスパラガス抽出物、アンズ(キョウニン)抽出物、イチョウ抽出物、キハダ(オウバク)抽出物、オオムギ(バクガ)抽出物、キウイ抽出物、キュウリ抽出物、シイタケ抽出物、スギナ抽出物、センブリ抽出物、大豆抽出物、ナツメ(タイソウ)抽出物、ツボクサ抽出物、トウガラシ抽出物、トウキンセンカ抽出物、トマト抽出物、ニンニク抽出物、ニンジン抽出物、ヒノキチオール、ブクリョウ抽出物、ブドウ種子油、ブナノキ抽出物、ブナの芽抽出物、モモ抽出物、ユーカリ抽出物、ユリ抽出物、レタス抽出物、レモン抽出物、ローズマリー(マンネンロウ)抽出物、麦芽根抽出物、イカスミ等軟体動物抽出物、貝殻抽出物、貝肉抽出物、魚肉抽出物、ローヤルゼリー、シルクプロテイン及びその分解物、酵母抽出液、微生物発酵代謝産物(乳酸菌、ビフィズス菌等由来)、霊芝抽出物等が挙げられる。なお、抽出物の具体例においては、括弧内は植物の別名、生薬名等を示す。
【0017】
これらの細胞賦活剤のうち、特に好ましいものとしては、大豆抽出物、ビタミンA及びその誘導体、ビタミンC及びその誘導体、ニンジン抽出液、貝殻抽出液及び貝肉抽出液が挙げられる。
【0018】
(抗酸化剤)
抗酸化剤としては、ビタミンE及びその誘導体(dl−α(β、γ)−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロール、ニコチン酸−dl−α−トコフェロール、リノール酸−dl−α−トコフェロール、コハク酸dl−α−トコフェロール等のトコフェロール及びその誘導体、ユビキノン類等)、ビタミンA及びその誘導体(パルミチン酸レチノール、酢酸レチノール等のレチノール及びその誘導体、デヒドロレチナール等のレチナール及びその誘導体等)、カロチノイド(カロチン、リコピン、アスタキサンチン等)、ビタミンB及びその誘導体(チアミン塩酸塩、チアミン硫酸塩、リボフラビン、酢酸リボフラビン、塩酸ピリドキシン、ピリドキシンジオクタノエート、フラビンアデニンジヌクレオチド、シアノコバラミン、葉酸類、ニコチン酸アミド、ニコチン酸ベンジル等のニコチン酸類、コリン類等)、ビタミンC及びその誘導体(ジパルミチン酸L−アスコルビル、テトライソパルミチン酸L−アスコルビル等のL−アスコルビン酸アルキルエステル、L−アスコルビン酸リン酸エステル、L−アスコルビン酸硫酸エステル等)、ビタミンD及びその誘導体(エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロール、ジヒドロキシスタナール等)、ルチン及びその誘導体、チオタウリン、タウリン、ハイドロキノン及びその誘導体、ヒスチジン、カテキン及びその誘導体、グラブリジン、グラブレン、リクイリチン、イソリクイリチン及びこれらを含有するカンゾウ抽出物、グルタチオン及びその誘導体、没食子酸及びその誘導体、コレステロール及びその誘導体、スーパーオキサイドディスムターゼ、マンニトール、キュウリ抽出物、ケイケットウ抽出物、ゲンチアナ(リンドウ)抽出物、ゲンノショウコ抽出物、サンザシ抽出物、シャクヤク抽出物、イチョウ抽出物、コガネバナ(オウゴン)抽出物、ニンジン抽出物、マイカイカ(マイカイ、ハマナス)抽出物、サンペンズ(カワラケツメイ)抽出物、トルメンチラ抽出物、パセリ抽出物、ブドウ抽出物、ボタン(ボタンピ)抽出物、モッカ(ボケ)抽出物、メリッサ抽出物、ヤシャジツ(ヤシャ)抽出物、ユキノシタ抽出物、ローズマリー(マンネンロウ)抽出物、レタス抽出物、茶抽出物(烏龍茶、紅茶、緑茶等)、微生物発酵代謝産物、海藻抽出物、霊芝抽出物、羅漢果抽出物等が挙げられる。なお、抽出物の具体例においては、括弧内は植物の別名、生薬名等を示す。
【0019】
これらの抗酸化剤のうち、特に好ましいものとしては、ビタミンE及びその誘導体、ルチン及びその誘導体、スーパーオキサイドディスムターゼ、茶抽出物(烏龍茶、紅茶、緑茶等)が挙げられる。
【0020】
(抗炎症剤)
抗炎症剤としては、グリチルリチン酸及びその誘導体、グリチルレチン酸及びその誘導体、ビタミンB及びその誘導体(チアミン塩酸塩、チアミン硫酸塩、リボフラビン、酢酸リボフラビン、塩酸ピリドキシン、ピリドキシンジオクタノエート、フラビンアデニンジヌクレオチド、シアノコバラミン、葉酸類、ニコチン酸アミド、ニコチン酸ベンジル等のニコチン酸類、コリン類等)、アロエ抽出物、アシタバ抽出物、アルテア抽出物、アルニカ抽出物、イオウ及びその誘導体、イラクサ抽出物、インチンコウ(カワラヨモギ)抽出物、ウコン抽出物、キハダ(オウバク)抽出物、オトギリソウ抽出物、カミツレ抽出物、コンフリー(ヒレハリソウ)抽出物、スイカズラ(キンギンカ)抽出物、クレソン抽出物、サルビア(セージ)抽出物、ワレモコウ(ジユ)抽出物、シコン(ムラサキ)抽出物、シソ抽出物、シラカバ抽出物、ニワトコ抽出物、ガマ(ホオウ)抽出物、ムクロジ抽出物、ユーカリ抽出物、ヨモギ抽出物、レンゲソウ抽出物、コンドロイチン硫酸及びその誘導体、酸化亜鉛等が挙げられる。なお、抽出物の具体例においては、括弧内は植物の別名、生薬名等を示す。
【0021】
これらの抗炎症剤のうち、特に好ましいものとしては、グリチルリチン酸及びその誘導体、ビタミンB及びその誘導体(具体例は上記の通りである)、アロエ抽出物、ヨモギ抽出物が挙げられる。
【0022】
(保湿剤)
保湿剤としては、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、タンパク質又はその誘導体もしくは加水分解物並びにそれらの塩(コラーゲン、エラスチン、ケラチン等)、ムコ多糖及びその誘導体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸等)、アミノ酸及びその誘導体(ヒスチジン、セリン、グリシン、テアニン、アスパラギン酸、アルギニン、ピロリドンカルボン酸等)、糖類(ソルビトール、エリスリトール、トレハロース、イノシトール、グルコース、キシリトール、蔗糖及びその誘導体、デキストリン及びその誘導体、ハチミツ等)、糖脂質、セラミド、温泉水、アマチャ抽出物、アーモンド抽出物、アボカド抽出物、アルテア抽出物、アロエ抽出物、カミツレ抽出物、クインスシード(マルメロ)抽出物、コムギ抽出物、サボテン抽出物、ゼニアオイ(ウスベニタチアオイ)抽出物、トウキ抽出液、トウチュウカソウ抽出物、ハトムギ(ヨクイニン)抽出物、ハマメリス(ウイッチヘーゼル)抽出物、フキタンポポ抽出物、ブッチャーズブルーム抽出物、プルーン(スモモ)抽出物、ヘチマ抽出物、ボダイジュ抽出物、ホホバ油、マカデミアナッツ油、オリーブ油、杏仁油、パーシック油、サフラワー油、ヒマワリ油、アボガド油、メドゥホーム油、ツバキ油、アーモンド油、エゴマ油、ゴマ油、ボラージ(ルリジサ)油、カカオ脂、シア脂、マロニエ抽出物、ムクロジ抽出物、メリッサ抽出物、ユキノシタ抽出物、ユリ抽出物、ラベンダー抽出物、リン脂質(大豆、卵黄等由来)、レンゲソウ抽出物、ワレモコウ(ジユ)抽出物、茶(烏龍茶、緑茶、紅茶等)抽出物、尿素、羅漢果抽出物、海藻抽出物(コンブ、マコンブ、ワカメ、ヒジキ、ヒバマタ、スジメ、トロロコンブ、カジメ、ツルアラメ、チガイソ、ホンダワラ、ジャイアントケルプ等の褐藻類;テングサ、キリンサイ、ツノマタ、スギノリ、ウスバノリ、アサクサノリ、マツノリ、トサカマツ、フノリ、オゴノリ、カイメンソウ、イギス、エゴノリ等の紅藻類;クロレラ、アオノリ、ドナリエラ、クロロコッカス、アナアオサ、カワノリ、マリモ、シオグサ、カサノリ、フトジュズモ、タマジュズモ、ヒトエグサ、アオミドロ等の緑藻類;スピルリナ等の藍藻類等)等が挙げられる。
【0023】
これらの保湿剤のうち特に好ましいものとしては、水素添加大豆リン脂質、ムコ多糖類、アミノ酸及びその誘導体、糖類(具体例は上記の通りである)、ハトムギ(ヨクイニン)抽出物、海藻抽出物が挙げられる。
【0024】
(紫外線防止剤)
紫外線防止剤としては、パラメトキシケイ皮酸−2−エチルヘキシル、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、オキシベンゾン及びその誘導体(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸ナトリウム等)、酸化チタン、酸化亜鉛等が挙げられる。又、酸化チタン、酸化亜鉛等の無機粉体は微粒子のものを用いるとより高い効果が発揮される。
【0025】
これらの紫外線防止剤のうち、特に好ましいものとしては、パラメトキシケイ皮酸−2−エチルヘキシル、酸化チタン、酸化亜鉛が挙げられる。
【0026】
本発明の皮膚外用剤における上記(B)成分の薬効剤の好ましい配合量は、薬効剤の種類により相違するが、紫外線防止剤以外の(B)成分については、一般的には、0.00001〜5%であるのが好ましく、0.0001〜3%の範囲であるのがより好ましい。紫外線防止剤については、一般的には、0.001〜20%であるのが好ましく、0.01〜10%の範囲であるのがより好ましい。(B)成分として、抽出物を溶液のまま用いる場合は、乾燥固形分としてこの範囲であればよい。この範囲であれば、(A)成分の線維芽細胞増殖促進剤(エチナシ抽出物)と組み合わせた場合、製剤及び製剤中の(A)成分の経時安定性に影響を及ぼすことがなく、より高い、皮膚のはり・たるみの防止効果及び/又は改善効果を発揮させることができる。
【0027】
皮膚外用剤の配合形態の例としては、特に限定されず、例えば、乳液、クリーム、化粧水、美容液、パック、洗浄料、メーキャップ化粧料、分散液、軟膏、液剤、エアゾール剤、貼布剤、パップ剤、リニメント剤等のいずれの形態の化粧料であっても、外用医薬品等であってもよい。
【0028】
又、本発明の皮膚外用剤には、前記線維芽細胞増殖促進剤、及び所望により添加される(B)成分以外に、本発明の効果を損なわない範囲で、通常、化粧料や医薬部外品、外用医薬品等の製剤に使用される成分、水(精製水、温泉水、深層水等)、油剤、界面活性剤、金属セッケン、ゲル化剤、粉体、アルコール類、水溶性高分子、皮膜形成剤、樹脂、包接化合物、抗菌剤、香料、消臭剤、塩類、pH調整剤、清涼剤、植物・微生物由来の抽出物、活性酸素除去剤、血行促進剤、収斂剤、抗脂漏剤、保湿剤、キレート剤、角質溶解剤、酵素、ホルモン類、ビタミン類等を必要に応じて加えることができる。これらの中の具体例を以下に示す。
【0029】
油剤としては、基剤の構成成分又は使用性、使用感を良化するものとして、通常の皮膚外用剤に使用されるものであれば、天然系油であるか、合成油であるか、あるいは固体、半固体、液体であるか等の性状は問わず、例えば、スクワラン、ワセリン等の炭化水素類、オリーブ油、ヒマシ油、ホホバ油、マカデミアンナッツ油、杏仁油、パーシック油、サフラワー油、ヒマワリ油、アボガド油、メドゥホーム油、ツバキ油、アーモンド油、エゴマ油、ゴマ油、ボラージ油、カカオ脂、シア脂等の植物由来の油脂、ミツロウ、カルナウバロウ、キャンデリラロウ等のロウ類、脂肪酸類、高級アルコール類、エステル油、シリコーン油類、フッ素系油類等を使用することができる。
【0030】
界面活性剤は、油剤等の乳化や可溶化等のために用いられ、アニオン性、カチオン性、非イオン性及び両性の界面活性剤を用いることができる。
【0031】
粉体は、主としてメーキャップ化粧料における着色や皮膚の隠蔽、又は使用感を良化するため等多目的に用いられ、通常の化粧料や皮膚外用剤に使用されるものであれば、その形状(球状、針状、板状、等)や粒子径(煙霧状、微粒子、顔料級等)、粒子構造(多孔質、無孔質等)を問わず、いずれのものも使用することができる。例えば、無機粉体としては、タルク、雲母、マイカ、カオリン、セリサイト、無水ケイ酸、セラミックスパウダー、窒化ホウ素等が挙げられ、有機粉体としては、ポリエチレンパウダー、ナイロンパウダー等が挙げられ、有色顔料としては、酸化鉄、カーボンブラック、酸化クロム、紺青、群青等の無機系顔料、タール系色素や天然色素をレーキ化したもの等が挙げられ、パール顔料としては、雲母、タルク、マイカ等を酸化チタン等で被覆した物、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔等、その他タール色素、カルミン酸等の天然色素等が挙げられる。これらの粉体を複合化したり、油剤やシリコーン、又はフッ素化合物等で表面処理を行なってもよい。
【0032】
アルコール類としては一価の低級アルコールの他、ポリエチレングリコール等種々の多価アルコールが挙げられる。
【0033】
水溶性高分子は、系の安定化や使用性、使用感を良化するために用いられ、又保湿効果を得るためにも用いられる。カラギーナン、寒天等の植物系高分子;キサンタンガム等の微生物系高分子;デンプン等のデンプン系高分子;エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース系高分子;アルギン酸ナトリウム等のアルギン酸系高分子;カルボキシビニルポリマー等のビニル系高分子;ポリオキシエチレン系高分子;ポリアクリル酸ナトリウム等のアクリル系高分子;等が挙げられる。
又、この中には、ポリビニルアルコールやポリビニルピロリドン等の皮膜形成剤も含まれる。
【0034】
抗菌剤としては、安息香酸、安息香酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸エステル、パラクロルメタクレゾール、塩化ベンザルコニウム、フェノキシエタノール、イソプロピルメチルフェノール等が挙げられる。
【0035】
活性酸素除去剤は、クエルセチン、ジブチルヒドロキシトルエン及びブチルヒドロキシアニソール等が挙げられる。
血行促進剤としては、γ―オリザノール等が挙げられ、酵素としてはリパーゼ、パパイン等が挙げられる。
【実施例】
【0036】
[参考例1 エチナシ抽出液の製造]
常法によりエチナシの葉10gに、含水濃度70vol%のエチルアルコール100mLを加え、室温にて3日間抽出を行った後濾過して、エチナシ抽出液を得た。このときエチナシ抽出液の乾燥固形分(エチナシ抽出物)は0.2%であった。
【0037】
[参考例2 大豆抽出物の製造]
大豆の種子10gに、含水濃度70vol%のエチルアルコール100mLを加え、室温にて3日間抽出を行ったのち濾過して大豆抽出液を得た。このとき大豆抽出液の乾燥固形分(大豆抽出物)は0.5%であった。
【0038】
[試験例1 細胞培養による線維芽細胞増殖試験]
ヒト新生児由来の線維芽細胞NB1RGBを使用した。24穴シャーレに10%FBS入りのDMEM培地を適量とり、線維芽細胞NB1RGBを播種し、37℃、二酸化炭素濃度5%中にて静置した。翌日、1%FBS入りのDMEM培地に培地交換し、参考例1で得たエチナシ抽出液を最終濃度が0(対照)、1、10μg/mLとなるように検体調製液を添加し混和した。培養4日目に培地を交換し、再度検体調製液を添加した。翌日、培地を除き、細胞をリン酸緩衝液にて洗浄した後回収し、検体調製液で生育させた線維芽細胞NB1RGBの細胞数を対照と比較した細胞増殖率として評価した。また、比較例としてすでに細胞賦活作用のあることが知られている大豆抽出液についても同様の試験をおこなった。
【0039】
(評価基準)
各検体調製液を添加して生育させた細胞数を対照の細胞数と比較し、その細胞増殖率で評価した。また、細胞数は血球計算盤を用いてカウントすることによって求めた。
【0040】
(結果)
【0041】
【表1】

【0042】
表1の結果から明らかな如く、該植物抽出物はヒト新生児由来の線維芽細胞NB1RGBに対して高い線維芽細胞増殖能を有していることが認められた。
【0043】
[実施例1:クリームの調製]
表2示す組成及び下記製法でクリームを調製し、エチナシ抽出液を含有するクリームの皮膚のはり・たるみ改善効果を調べた。この結果を表2に示す。
【0044】
(組成及び結果)
【0045】
【表2】

【0046】
(製法)
A.成分(1)〜(6)、(8)、(9)を混合し、加熱して70℃に保つ。
B.成分(11)の一部を加熱して70℃に保つ。
C.AにBを加え乳化、冷却し、更に(10)、(11)の残部で溶解した(7)を混合してクリームを得た。
【0047】
(試験方法)
被験クリーム1品につき35〜59才の女性20名をパネルとし、毎日朝と夜の2回、12週間にわたって洗顔後に被験クリームの適量を顔面に塗布した。塗布による皮膚のはり・たるみ改善効果を以下の基準によって評価した。
【0048】
(評価基準)
<評価> <内 容>
有 効 皮膚のはり・たるみが目立たなくなった。
やや有効 皮膚のはり・たるみがあまり目立たなくなった。
無 効 使用前と変化なし。
【0049】
表2の結果に示される如く、エチナシ抽出液を配合した本発明品のクリームは、これらを皮膚に塗布することにより、優れた抗老化作用を示し、加齢、紫外線曝露等により生じる皮膚のはり・たるみを効果的に改善し、美しい皮膚とすることが明らかとなった。
【0050】
[実施例2:クリームの調製]
表3に示す組成及び下記製法でクリームを調製し、エチナシ抽出液と、既にその効果が公知である大豆抽出液(細胞賦活剤)、天然ビタミンE(抗酸化剤)、グリチルリチン酸ジカリウム(抗炎症剤)、水素添加大豆リン脂質(保湿剤)、パラメトキシケイ皮酸−2−エチルヘキシル(紫外線防止剤)を併用した場合の皮膚のはり・たるみ改善効果を調べた。この結果を表3に示す。
【0051】
(組成及び結果)
【0052】
【表3】

【0053】
(製法)
A.成分(1)〜(6)、(10)〜(13)を混合し、加熱して70℃に保つ。
B.成分(15)の一部を加熱して70℃に保つ。
C.AにBを加え乳化、冷却し、更に(14)、(15)の残部で溶解した(7)〜(9)を混合してクリームを得た。
【0054】
(試験方法)
被験クリーム1品につき35〜59才の女性20名をパネルとし、毎日朝と夜の2回、12週間にわたって洗顔後に被験クリームの適量を顔面に塗布した。塗布による皮膚のはり・たるみ改善効果を以下の基準によって評価した。
【0055】
(評価基準)
<評価> <内 容>
有 効 皮膚のはり・たるみが目立たなくなった。
やや有効 皮膚のはり・たるみがあまり目立たなくなった。
無 効 使用前と変化なし。
【0056】
表3の結果に示される如く、エチナシ抽出液を配合した本発明品1〜6の外用剤は、これらを皮膚に塗布することにより、皮膚のはり・たるみを効果的に改善し、美しい皮膚とすることが明らかとなった。さらにエチナシ抽出液と大豆抽出液(細胞賦活剤)、天然ビタミンE(抗酸化剤)、グリチルリチン酸ジカリウム(抗炎症剤)、水素添加大豆リン脂質(保湿剤)、パラメトキシケイ皮酸−2−エチルエキシル(紫外線防止剤)とを併用して配合したクリーム(本発明品2〜6)を皮膚に塗布することにより、エチナシ抽出液を単独で配合した外用剤を適用した場合(本発明品1)に比べて、より優れた皮膚のはり・たるみの改善効果を発揮し、更に美しい皮膚とすることが明らかになった。
【0057】
[実施例3:化粧水の調製]
(処方) (%)
(1)グリセリン 5.0
(2)1,3−ブチレングリコール 6.5
(3)ポリオキシエチレン(20E.O.)ソルビタン
モノラウリン酸エステル 1.2
(4)エチルアルコール 8.0
(5)エチナシ抽出液*1 1.0
(6)大豆抽出液*2 1.0
(7)乳酸 0.1
(8)防腐剤 適量
(9)香料 適量
(10)精製水 残量
*1 参考例1で製造したもの
*2 参考例2で製造したもの
【0058】
(製法)
A.成分(3)、(4)、及び(8)、(9)を混合溶解する。
B.成分(1)、(2)、(5)〜(7)及び(10)を混合溶解する。
C.AとBを混合して均一にし、化粧水を得た。
【0059】
[実施例4:化粧水の調製]
(処方) (%)
(1)エチナシ抽出液*1 10.0
(2)カンゾウ抽出液*2 0.5
(3)システイン*3 0.01
(4)グリセリン 5.0
(5)1,3−ブチレングリコール 6.5
(6)ポリオキシエチレン(20E.O.)ソルビタン
モノラウリン酸エステル 1.2
(7)エチルアルコール 8.0
(8)防腐剤 適量
(9)香料 適量
(10)精製水 残量
*1 参考例1で製造したもの
*2 丸善製薬社製
*3 和光純薬社製
【0060】
(製法)
A.成分(6)〜(9)を混合溶解する。
B.成分(1)〜(5)及び(10)を混合溶解する。
C.AとBを混合して均一にし、化粧水を得た。
【0061】
[実施例5:化粧水の調製]
(処方) (%)
(1)エチナシ抽出液*1 2.0
(2)オウゴン抽出液*2 0.5
(3)胎盤抽出物*3 0.1
(4)クエン酸 0.1
(5)クエン酸ナトリウム 0.3
(6)dl−α−トコフェロール*4 0.05
(7)1,3−ブチレングリコール 4.0
(8)ポリオキシエチレン(60E.O.)硬化ヒマシ油 1.0
(9)エチルアルコール 15.0
(10)防腐剤 適量
(11)香料 適量
(12)精製水 残量
*1 参考例1で製造したもの
*2 一丸ファルコス社製
*3 ニチレイ社製
*4 シグマ社製
【0062】
(製法)
A.成分(6)〜(11)を混合溶解する。
B.成分(1)〜(5)及び(12)を混合溶解する。
C.AとBを混合して化粧水を得た。
【0063】
実施例3〜5は、いずれも沈殿、変色、変臭などがなくいずれも経時安定性に優れ、みずみずしい使用感であり、連続的に皮膚に塗布すると、皮膚のはり・たるみを改善し美しい肌にする化粧水であった。
【0064】
[実施例6:乳液の調製]
(処方) (%)
(1)ポリオキシエチレン(10E.O.)ソルビタン
モノステアリン酸エステル 1.0
(2)ポリオキシエチレン(60E.O.)ソルビット
テトラオレイン酸エステル 0.5
(3)モノステアリン酸グリセリル 0.1
(4)ステアリン酸 0.5
(5)ベヘニルアルコール 0.5
(6)スクワラン 8.0
(7)水素添加大豆リン脂質*1 0.5
(8)パルミチン酸レチノール*2 0.5
(9)エチナシ抽出液*3 4.0
(10)胎盤抽出液*4 5.0
(11)防腐剤 0.1
(12)カルボキシビニルポリマー 0.1
(13)水酸化ナトリウム 0.05
(14)エチルアルコール 5.0
(15)精製水 残量
(16)香料 適量
*1 日光ケミカルズ社製
*2 日本ロッシュ社製
*3 参考例1で製造したもの
*4 ニチレイ社製
【0065】
(製法)
A.成分(13)〜(15)を加熱混合し、70℃に保つ。
B.成分(1)〜(8)、(11)を加熱混合し、70℃に保つ。
C.BにAを加えて混合し、均一に乳化する。
D.Cを冷却後(9)、(10)、(12)及び(16)を加え、均一に混合して乳液を得た。
【0066】
[実施例7:乳液の調製]
(処方) (%)
(1)ポリオキシエチレン(10E.O.)ソルビタン
モノステアリン酸エステル 1.0
(2)ポリオキシエチレン(60E.O.)ソルビット
テトラオレイン酸エステル 0.5
(3)モノステアリン酸グリセリン 1.0
(4)ステアリン酸 0.5
(5)ベヘニルアルコール 0.5
(6)スクワラン 8.0
(7)4−メトキシケイ皮酸−2−エチルヘキシル*1 2.0
(8)エチナシ抽出液*2 5.0
(9)グリチルリチン酸ジカリウム*3 0.1
(10)カルボキシビニルポリマー 0.1
(11)水酸化ナトリウム 0.05
(12)エチルアルコール 5.0
(13)防腐剤 適量
(14)香料 適量
(15)精製水 残量
*1 ジボダン社製
*2 参考例1で製造したもの
*3 丸善製薬社製
【0067】
(製法)
A.成分(1)〜(7)及び(13)を加熱混合し、70℃に保つ。
B.成分(9)〜(12)及び(15)を加熱混合し、70℃に保つ。
C.BにAを加えて混合し、均一に乳化する。
D.Cを冷却後(8)、(14)を加え、均一に混合して乳液を得た。
【0068】
実施例6及び7は、分離、変色、変臭などがなくいずれも経時安定性に優れ、なめらかな使用感であり、連続的に皮膚に塗布すると、皮膚のはり・たるみを改善し美しい肌にする乳液であった。
【0069】
[実施例8:軟膏の調製]
(処方) (%)
(1)ステアリン酸 18.0
(2)セタノール 4.0
(3)トリエタノールアミン 2.0
(4)グリセリン 5.0
(5)エチナシ抽出液*1 1.0
(6)L−セリン*2 0.5
(7)酢酸dl−α−トコフェロール*3 0.2
(8)精製水 残量
*1 参考例1で製造したもの
*2 協和発酵社製
*3 エーザイ社製
【0070】
(製法)
A.成分(3)、(4)及び(8)の一部を加熱混合し、75℃に保つ。
B.成分(1)、(2)及び(7)を加熱混合し、75℃に保つ。
C.AをBに徐々に加える。
D.Cを冷却しながら(8)の残部で溶解した(5)、(6)を加え、軟膏を得た。
【0071】
[実施例9:軟膏]
(処方) (%)
(1)ステアリン酸 18.0
(2)セタノール 4.0
(3)トリエタノールアミン 2.0
(4)グリセリン 5.0
(5)エチナシ抽出液*1 1.0
(6)ソウハクヒ抽出液*2 1.0
(7)リン酸−L−アスコルビルマグネシウム*3 3.0
(8)2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン*4 0.05
(9)精製水 残量
*1 参考例1で製造したもの
*2 丸善製薬社製
*3 日光ケミカルズ社製
*4 和光純薬社製
【0072】
(製法)
A.成分(3)、(4)及び(9)の一部を加熱混合し、75℃に保つ。
B.成分(1)、(2)及び(8)を加熱混合し、75℃に保つ。
C.AをBに徐々に加える。
D.Cを冷却しながら(9)の残部で溶解した(5)〜(7)を加え、軟膏を得た。
【0073】
実施例8、9は、変色、変臭などがなくいずれも経時安定性に優れ、コクのある使用感であり、連続的に皮膚に塗布することにより、皮膚のはり・たるみを改善し美しい肌にする軟膏であった。
【0074】
[実施例10:パックの調製]
(処方) (%)
(1)ポリビニルアルコール 20.0
(2)エチルアルコール 20.0
(3)グリセリン 5.0
(4)カオリン 6.0
(5)エチナシ抽出液*1 1.2
(6)防腐剤 0.2
(7)香料 0.1
(8)精製水 残量
*1 参考例1で製造したもの
【0075】
(製法)
A.成分(1)、(3)、(4)及び(8)を混合し、70℃に加熱し、撹拌する。
B.成分(2)、(6)及び(7)を混合する。
C.Aが均一に溶解していることを確認後冷却し、更に(B)、(5)を混合してパックを得た。
【0076】
[実施例11:パックの調製]
(処方) (%)
(1)ポリビニルアルコール 20.0
(2)エチルアルコール 20.0
(3)グリセリン 5.0
(4)カオリン 6.0
(5)エチナシ抽出液*1 0.05
(6)アロエ抽出液*2 3.0
(7)防腐剤 0.2
(8)香料 0.1
(9)精製水 残量
*1 参考例1で製造したもの
*2 丸善製薬社製
【0077】
(製法)
A.成分(1)、(3)、(4)及び(9)を混合し、70℃に加熱し、撹拌する。
B.成分(2)、(7)及び(8)を混合する。
C.Aが均一溶解していることを確認後冷却し、(B)、(5)、(6)を混合してパックを得た。
【0078】
実施例10、11は、分離、変色、変臭などがなくいずれも経時安定性に優れ、皮膚に塗布ししばらく放置後はがすと、皮膚のはり・たるみが改善され美しい肌となるパックであった。
【0079】
[実施例12:クリームの調製]
(処方) (%)
(1)ポリオキシエチレン(40E.O.)
モノステアリン酸エステル 2.0
(2)モノステアリン酸グリセリン(自己乳化型) 5.0
(3)ステアリン酸 5.0
(4)ベヘニルアルコール 0.5
(5)スクワラン 15.0
(6)イソオクタン酸セチル 5.0
(7)4−メトキシケイ皮酸−2−エチルヘキシル*1 3.0
(8)グリチルレチン酸ステアリル*3 0.1
(9)1,3−ブチレングリコール 5.0
(10)エチナシ抽出液*2 0.5
(11)カミツレ抽出液*4 0.1
(12)2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン*5 0.1
(13)香料 適量
(14)防腐剤 適量
(15)精製水 残量
*1 ジボダン社製
*2 参考例1で製造したもの
*3 丸善製薬社製
*4 丸善製薬社製
*5 和光純薬社製
【0080】
(製法)
A.成分(1)〜(8)及び(14)を70℃にて加熱溶解する。
B.成分(9)、(12)及び(15)を70℃に加熱する。
C.AをBに加え、乳化する。
D.Cを冷却しながら、更に、成分(10)、(11)及び(13)を加え混合しクリームを得た。
【0081】
実施例12は、変色、変臭などがなく経時安定性に優れ、なめらかな使用感であり、連続的に皮膚に塗布することにより、皮膚のはり・たるみを改善し美しい肌にするクリームであった。
【0082】
[実施例13.リキッドファンデーションの調製]
(処方) (%)
(1)ラノリン 7.0
(2)流動パラフィン 5.0
(3)ステアリン酸 2.0
(4)セタノール 1.0
(5)テトライソパルミチン酸アスコルビル*1 2.0
(6)パラメトキシケイ皮酸−2−エチルヘキシル*2 3.0
(7)グリセリン 5.0
(8)トリエタノールアミン 1.0
(9)カルボキシメチルセルロース 0.7
(10)精製水 残量
(11)酸化チタン 8.0
(12)微粒子酸化チタン 2.0
(13)酸化亜鉛 5.0
(14)マイカ 15.0
(15)タルク 6.0
(16)着色顔料 6.0
(17)エチナシ抽出液*3 1.0
(18)香料 適量
*1 日光ケミカルズ社製
*2 BASF社製
*3 参考例1で製造したもの
*4 シグマ社製
【0083】
(製法)
A.成分(1)〜(6)を混合溶解する。
B.Aに成分(11)〜(16)を加え、均一に混合し、70℃に保つ。
C.成分(7)〜(10)を均一に溶解し、70℃に保つ。
D.BにCを添加して、均一に乳化する。
E.Dを冷却後、成分(17)、(18)を添加してリキッドファンデーションを得た。
【0084】
[実施例14:リキッドファンデーションの調製]
次に示す処方及び下記製法でリキッドファンデーションを調製した。
(処方) (%)
(1)ラノリン 7.0
(2)流動パラフィン 5.0
(3)ステアリン酸 2.0
(4)セタノール 1.0
(5)グリセリン 5.0
(6)トリエタノールアミン 1.0
(7)カルボキシメチルセルロース 0.7
(8)精製水 残量
(9)マイカ 15.0
(10)タルク 6.0
(11)酸化チタン 3.0
(12)着色顔料 6.0
(13)エチナシ抽出液*1 0.05
(14)ヨクイニン抽出液*2 0.05
(15)香料 適量
*1 参考例1で製造したもの
*2 丸善製薬社製
【0085】
(製法)
A.成分(1)〜(4)を混合し、加熱して70℃に保つ。
B.Aに成分(9)〜(12)を加え、均一に混合する。
C.成分(5)〜(8)を均一に溶解し、70℃に保つ。
D.BにCを添加して、均一に乳化する。
E.Dを冷却後、成分(13)〜(15)を添加してリキッドファンデーションを得た。
【0086】
実施例13及び14は、分離、変臭などがなく、いずれも経時安定性に優れ、なめらかな使用感でメイク効果に優れ、皮膚に塗布することにより、皮膚のはり・たるみを改善され美しい肌となるリキッドファンデーションであった。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明の線維芽細胞増殖促進剤は、皮膚のはり・たるみを防止又は改善する効果に優れ、化粧料等の皮膚外用剤の有効成分として用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチナシの抽出物を有効成分とする線維芽細胞増殖促進剤。
【請求項2】
請求項1に記載の線維芽細胞増殖促進剤を含有する皮膚のはり・たるみを防止又は改善するための皮膚外用剤。
【請求項3】
さらに、細胞賦活剤、抗酸化剤、抗炎症剤、保湿剤及び紫外線防止剤から選ばれる一種又は二種以上を含有する請求項2に記載の皮膚外用剤。
【請求項4】
さらに、大豆抽出液、天然ビタミンE、グリチルリチン酸ジカリウム、水素添加大豆リン脂質、パラメトキシケイ皮酸−2−エチルヘキシルから選ばれる一種又は二種以上を含有する請求項2に記載の皮膚外用剤。

【公開番号】特開2006−241034(P2006−241034A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−56902(P2005−56902)
【出願日】平成17年3月2日(2005.3.2)
【出願人】(000145862)株式会社コーセー (734)
【Fターム(参考)】