説明

線維芽細胞活性化タンパクα阻害剤

【課題】線維芽細胞活性タンパクαを効果的かつ選択的に阻害する、ボロン酸またはシアノ基を含むペプチド系化合物の提供。
【解決手段】下記構造式を有する化合物。


(ここで、Wは、水素原子,B(P)(Q)基、およびCN基からなる群より選択され、PおよびQは、独立してOHまたはボロン酸へと加水分解可能な基であるか、もしくは、それらに付加するホウ素原子とともに、ボロン酸へと加水分解可能な5〜8員環を形成するような基である)

【発明の詳細な説明】
【関連出願の説明】
【0001】
本明細書は、2005年7月5日に出願された、米国仮特許出願第60/696,772号の優先権の利益を主張する。
【技術分野】
【0002】
本発明は、線維芽細胞活性タンパクαを効果的かつ選択的に阻害する、ボロン酸またはシアノ基を含むペプチド系化合物に関する。
【背景技術】
【0003】
線維芽細胞活性化タンパクα(FAPα)は、二重特異性のジペプチジル・ペプチダーゼおよびコラゲナーゼである(非特許文献1)。FAPと、よく研究されているジペプチジル・ペプチダーゼIV(DPP IV, EC 3.4.14.5)は、どちらも、最近報告された「DPP IV活性的−および/または構造的−相同体」(DASH)タンパク質の一種であり、一般的なポストプロリン開裂(post-proline-cleaving)セリン・ジペプチダーゼの機構を有する酵素を含んでいる(非特許文献2)。FAPは、DPP−IVとの高度の相同性を有し、 インビボでDPP-IVと共にヘテロ二量体を形成することが報告されている。
【0004】
FAPは、その分布が高度に局在化しており、豊富には存在しない点で、DPP-IVと異なっている。DPP-IVとは違い、FAPは、正常組織では発現しない腫瘍関連抗原であり、どちらかというと、腫瘍間質を含む、腫瘍を支持する非悪性細胞でのみ発現する (非特許文献3および4)。FAPが腫瘍間質標識に関与しているという有力な証拠が存在する。FAPαは、組織学上多種類のヒトの上皮性腫瘍、傷を癒す肉芽組織、特定の骨についての悪性細胞および軟部組織の肉腫といった反応性間質線維芽細胞において、選択的に発現する。正常な成体組織は、一般に検出可能なFAPαを持たないが、ある種の胎生間葉組織は一時的にタンパク質を発現する。対照的に、90%>の乳癌、非小細胞肺癌、結腸直腸癌が含まれる一般的な上皮がんの大部分が、FAPα-反応性間質線維芽細胞を含んでいる(非特許文献1)。これらのFAPα線維芽細胞は、新しく形成される腫瘍血管に付随して生じ、腫瘍の血管内皮と悪性上皮細胞クラスタの底面との間に、特徴的な細胞内コンパートメントを形成する(非特許文献5)。FAPα‐間質線維芽細胞が、原発癌および転移性癌の両方で見られる一方、乳腺や結腸直腸の線維腺腫などの試験に供される良性および前癌状態の上皮性病変(非特許文献5)は、きわめて稀にしかFAPα‐間質線維芽細胞を含んでいない。FAPの発現特性は、癌性増殖による正常組織の侵略および腫瘍形成に関与しているかもしれないことが示唆されている。
【非特許文献1】Scanlan, M. J. et al. (1994), Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 91, 5657-5661
【非特許文献2】Sedo, A.and Malik, R. Biochim. Biophys. Acta 2001, 1550, 2, 107-116; P. Busek, et al. Int. J. Biochem. Cell Biol. (2004) 36(3), 408-421
【非特許文献3】Folkman, J., et al. Nature (1989) 339, 58-61; Garin-Chesa, P., et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1990), 87, 7235-7239
【非特許文献4】Chen WT, Adv Exp Med Biol (2003), 524, 197-203
【非特許文献5】Welt et al. (1994) J. Clin. Oncol. 12(6), 1193-1203
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の1つの態様は、構造式(I)の構造を有する化合物に関し、
【化1】

【0006】
ここで、
Lは存在しないか、-XC(O)-を表し、
は、H、C1-6アルキル、C1-6アシル、C1-6アラルキル、C1-6アラシル(aracyl)、C1-6ヘテロアラシル、カルボシクリル、アリール、およびArSO−から選択され、
は、HおよびC1-6アルキルから選択されるか、または、RとRが一体となってフタロイルとなり、それによって環を形成し、
は、H、C1-6アルキル、C1-6ヒドロキシアルキル、C1-6チオアルキル、およびC1-6アラルキルから選択され、
Wは、B(Y)(Y)およびCNから選択され、
およびYは、独立してOH 、または、ボロン酸へと加水分解可能な基から選択されるか、あるいは、それらに付加するホウ素原子と共に、ボロン酸へと加水分解可能な5〜8員環を形成し、
Xは、OおよびNHから選択される。
【0007】
本発明の別の態様は、構造式(II)の構造を有する化合物に関し、
【化2】

【0008】
ここで、
は、H、C1-6アルキル、C1-6アシル、C1-6アラルキル、C1-6アラシル、C1-6ヘテロアラシル、カルボシクリル、およびアリールから選択され、
は、HおよびC1-6アルキルから選択され、
は、H、C1-6アルキル、C1-6ヒドロキシアルキル、C1-6チオアルキル、およびC1-6アラルキルから選択され、
は、HおよびC1-6アルキルから選択されるか、または、RとRが一体となって、C1-6アルキルとなり、それによって環を形成し、
は、H、C1-6アルキル、C1-6ヒドロキシアルキル、C1-6チオアルキル、およびC1-6アラルキルから選択されるか、または、RとRは共に、C1-6アルキル‐Sであり、
Wは、H、B(Y)(Y)およびCNから選択され、
およびYは、独立してOH 、またはボロン酸へと加水分解可能な基から選択されるか、または、それらに付加するホウ素原子とともに、ボロン酸へと加水分解可能な5〜8員環を形成し、
とRが共にC1-6アルキル‐Sであるときのみ、WはHでありうるということを条件とする。
【0009】
本発明は、酵素阻害剤として有用な化合物を包含する。これらの化合物は、一般に、プロテアーゼ阻害剤として有用であり、FAPの阻害剤であることが好ましい。特定の理論に縛られることは望まないが、ペプチジル・ボロン酸のセリンプロテアーゼ阻害能力に関しては、非常に特徴的であることが認められている(Bristol LA, et al., Blood (1995), 85(12), 3602-9; Courts, S. J., et al, (1996), J. Med. Chem. 39, 2087-2094) 。この阻害は、活性部位のセリン残基の酸素上の孤立電子対を受け入れるのに適した、ホウ素上の空のp軌道の利用可能性に起因しているであろう。結果として生じるホウ素の4面体構造は、天然のカルボニル含有基質の遷移状態ミミック(transition-state mimic)としての働きをする。DPP-IVとFAPは、構造的に非常に近い関係にあり、ボロン酸化合物は、DPP‐IVと同じように、FAPの活性部位のセリンと共に安定な四面体中間体を形成可能であると推定される。
【0010】
ある実施の形態では、本発明にかかる化合物は、(R)もしくは(S)の立体化学を取りうる立体中心を含んでいる。絶対立体化学の帰属に関しては、カーン−インゴールド−プレローグ(Cahn-Ingold-Prelog)の順位則に従う。これらの順位側については、例えば、Organic Chemistry, Fox and Whitesell; Jones and Bartlett Publishers, Boston, MA (1994); Section 5-6, pp 177-178に記載されており、このセクションを引用することにより本明細書に援用する。ペプチドの構造は、骨格単位から側鎖が伸びている骨格構造の繰り返しである。一般に、各骨格単位は側鎖を有するが、一部の例では側鎖が水素原子のこともある。他の実施形態では、すべての骨格単位が側鎖を有するわけではない。
【0011】
本発明の1つの態様は、構造式(I) を有する化合物に関し、
【化3】

【0012】
ここで、
Lは存在しないか、-XC(O)-を表し、
は、H、C1-6アルキル、C1-6アシル、C1-6アラルキル、C1-6アラシル、C1-6ヘテロアラシル、カルボシクリル、アリール、およびArSO−から選択され、
は、HおよびC1-6アルキルから選択されるか、または、RとRが一体となってフタロイルとなり、それによって環を形成し、
は、H、C1-6アルキル、C1-6ヒドロキシアルキル、C1-6チオアルキル、およびC1-6アラルキルから選択され、HまたはC1-6アルキルであることが好ましく、Hであることがさらに好ましく、
Wは、B(Y)(Y)およびCNから選択され、B(Y)(Y)であることが好ましく、
およびYは、独立して、OH またはボロン酸へと加水分解可能な基から選択されるか、もしくは、それらに付加するホウ素原子とともに、ボロン酸へと加水分解可能な5〜8員環を形成し、YおよびYはOHであることが好ましく、
XはOおよびNHから選択され、NHであることが好ましい。
【0013】
ある実施の形態では、Lは存在せず、Rは、H、C1-6アルキル、C1-6アシル、C1-6アラルキル、C1-6アラシル、C1-6ヘテロアラシル、カルボシクリル、アリール、およびArSO−から選択される。あるこういった実施の形態では、Lは存在せず、Rは、メチル、エチル、イソプロピルおよびt−ブチルから選択されるC1-6アルキルである。あるこういった実施の形態では、Lは存在せず、Rは、アセチルおよびピバロイルから選択されるC1-6アシルである。あるこういった実施の形態では、Lは存在せず、Rは、フェニルメチルである。あるこういった実施の形態では、Lは存在せず、Rは、2−フェニルエチルカルボニル、フェニルメチルカルボニル、(1−ナフチル)カルボニル、(2−ナフチル)カルボニル、および(4−スルファモイルフェニル)カルボニルから選択されるアラシルである。ある実施の形態では、Lは存在せず、Rは、ピラジルである。ある実施の形態では、Lは存在せず、Rは、シクロヘキシルおよびアダマンチルから選択されるカルボシクリルである。ある実施の形態では、Lは存在せず、Rは、フェニルおよびフェニルスルホニルから選択される。
【0014】
ある実施の形態では、Lは-XC(O)-であり、XはOであり、RはC1-6アラルキルである。あるこういった実施形態では、Lは-XC(O)-であり、XはOであり、Rはフェニルメチルである。
【0015】
ある実施の形態では、Lは-XC(O)-であり、XはNHであり、RはアリールおよびC1-6アラルキルから選択される。ある実施の形態では、Lは-XC(O)-であり、XはNHであり、Rはフェニルおよびフェニルメチルから選択される。
【0016】
ある実施の形態では、RはC1-6アルキルである。好ましい実施の形態では、Rは、メチル、イソプロピルおよびt−ブチルから選択される。さらに好ましい実施の形態では、Rはメチルである。
【0017】
本発明の別の態様は、構造式(II) の構造を有する化合物に関し、
【化4】

【0018】
ここで、
は、H、C1-6アルキル、C1-6アシル、C1-6アラルキル、C1-6アラシル、C1-6ヘテロアラシルおよびカルボシクリルから選択され、C1-6アラシルまたはC1-6アシルであることが好ましく、
は、HおよびC1-6アルキルから選択され、Hであることが好ましく、
は、H、C1-6アルキル、C1-6ヒドロキシアルキル、C1-6チオアルキル、およびC1-6アラルキルから選択され、Hであることが好ましく、
は、HおよびC1-6アルキルから選択され、Hであることが好ましく、または、RとRが一体となって、C1-6アルキルとなり、それによって環を形成し、
は、H、C1-6アルキル、C1-6ヒドロキシアルキル、C1-6チオアルキル、およびC1-6アラルキルから選択され、C1-6アルキルであることが好ましく、または、RとRが一体となって、C1-6アルキル‐S‐C1-6アルキルとなり、
Wは、H、B(Y)(Y)およびCNから選択され、B(Y)(Y)であることが好ましく、
およびYは、独立してOH 、またはボロン酸へと加水分解可能な基から選択され、もしくは、それらに付加するホウ素原子とともに、ボロン酸へと加水分解可能な5〜8員環を形成し、
とRが一体となってC1-6アルキル‐S‐C1-6アルキルとなる場合のみ、WがHでありうるということを条件とする。
【0019】
ある実施の形態では、Rは、C1-6アシルおよびC1-6アラシルから選択される。好ましい実施の形態では、Rは、フェニルカルボニル、(1−ナフチル)カルボニル、およびアセチルから選択される。
【0020】
ある実施の形態では、RはC1-6アルキルである。好ましい実施の形態では、Rはメチルおよびエチルから選択される。
【0021】
ある実施の形態では、WはHであり、RとRは一体となってC1-6アルキル‐S‐C1-6アルキルである。好ましい実施の形態では、WはHであり、RとRは一体となってCアルキル‐S‐Cアルキルとなり、それによって5員環を形成する。
【0022】
ある実施の形態では、RとRが一体となってC1-6アルキルとなり、それによって環を形成する。好ましいこういった実施形態では、RとRが一体となってCアルキルであり、それによって5員環を形成する。
【0023】
本発明の別の態様は、構造式IまたはIIの化合物を治療に有効な量で投与することを含む、がんの治療方法に関する。好ましい実施の形態では、がんは、乳癌、非小細胞肺癌、結腸直腸癌などのヒト上皮がん、および軟部組織の肉腫から選択される。
【0024】
本発明の別の態様は、がん治療用の薬物製造への利用方法に関する。好ましい実施の形態では、がんは、乳癌、非小細胞肺癌、結腸直腸癌などのヒト上皮がん、および軟部組織の肉腫から選択される。
【0025】
本発明の別の態様は、構造式IまたはIIの化合物、および医薬的に認容可能な希釈剤または担体を含む、医薬組成物に関する。
【0026】
定義
「C1-6アシル」という用語は当技術分野で認識されており、付加する部位がカルボニル基であるC1-6アルキル基のことをいう。C1-6アシルは、一般に、C1-5アルキル‐C(O)‐で表すことができる。
【0027】
「C1-6アラシル」という用語は、一般に、構造式アリール‐C0-5アルキル‐C(O)‐で表すことができる。
【0028】
「Cx-yアルキル」という用語は、トリフルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチルなどのハロアルキル基を含む、鎖中にx〜y個の炭素を有する直鎖アルキルおよび分岐鎖アルキル基を含む、置換または非置換の飽和炭化水素基のことをいう。Cアルキルは、その基が末端に位置する場合には水素を、内部に位置する場合は結合を示す。「C2-yアルケニル」および「C2-yアルキニル」という用語は、類似の鎖長、および上記のアルキルに置き換え可能であるが、それぞれ、少なくとも1つの二重結合または三重結合を含む、置換または非置換の不飽和脂肪族基のことをいう。
【0029】
「C1-6アラルキル」という用語は、本明細書では、アリール基で置換されたC1-6アルキル基のことをいう。
【0030】
「アリール」という用語には、5,6,7員環である、置換または非置換の単環芳香族基であって、環の各原子が炭素であるものが含まれる。「アリール」という用語は、また、2以上の炭素原子が2つの隣接する環によって共有される、2以上の環式環を有する多環式環系も含み、ここで、少なくとも環の1つは芳香族環であり、他の環式環は、例えば、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、および/またはヘテロシクリルであってよい。アリール基として、ベンゼン、ナフタレン、フェナントレン、フェノール、アニリンなどが挙げられる。
【0031】
「炭素環」および「炭素環式の」という用語は、本明細書では、環の各原子が炭素である、非芳香族基で置換されているか、または非置換の環のことをいう。「炭素環」および「カルボシクリル(carbocyclyl)」という用語もまた、2以上の炭素原子が2つの隣接する環によって共有される、2以上の環式環を有する多環式環系を含み、ここで、少なくとも環の1つは炭素環式であり、他の環式環は、例えば、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、および/またはヘテロシクリルであってよい。
【0032】
「カルボニル」という用語は当技術分野で認識されており、一般式:
【化5】

【0033】
で表すことができる部分が含まれ、
ここで、Xは結合または酸素か硫黄を表し、R11は水素、アルキル、アルケニル、−(CH−R、または医薬的に認容可能な塩を表し、R11’は、水素、アルキル、アルケニル、または−(CH−Rを表し、ここでmおよびRは先に定義のとおりである。Xが酸素であり、R11またはR11’が水素ではない場合、その構造式は「エステル」を表す。Xが酸素であり、R11が水素の場合、その構造式は「カルボン酸」を表す。
【0034】
本明細書では、「酵素」は、触媒作用的に化学反応を起こす、一部または全体的にタンパク性の分子であってよい。こういった酵素は、天然酵素、酵素前駆体、アポ酵素、変性酵素、ファルネシル化酵素、ユビキチン化酵素、脂肪酸アシル化酵素、ゲラニルゲラニル化酵素、GPI結合酵素、脂質結合酵素、プレニル化酵素、天然または合成の変異酵素、側鎖修飾または骨格修飾された酵素、リーダー配列を有する酵素、およびプロテオグリカン、プロテオリポゾームなどの非タンパク性物質複合酵素であって差し支えない。酵素は、天然発現、促進された発現、クローニング、様々な溶液系および固相系でのペプチド合成、および当業者に知られている類似の方法など、いかなる手段で作製してもよい。
【0035】
「ヘテロアリール」という用語には、環構造の中に1〜4個のヘテロ原子を有する、置換または非置換の芳香族の5〜7員環構造が含まれ、5〜6員環構造がさらに好ましい。「ヘテロアリール」という用語もまた、2以上の炭素原子が2つの隣接する環によって共有される、2以上の環式環を有する多環式環系を含み、ここで、少なくとも環の1つは炭素環式であり、他の環式環は、例えば、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、および/またはヘテロシクリルであってよい。ヘテロアリール基として、例えば、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、トリアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、およびピリミジンなどが挙げられる。
【0036】
「C1-6ヘテロアラシル」という用語は、 本明細書では、アルキル部分がヘテロアリール基で置換されたC1-6アシル基のことをいう。
【0037】
「ヘテロ原子」という用語は、本明細書では、炭素または水素以外の元素の原子を意味する。ヘテロ原子としては、窒素、酸素、リン、硫黄が好ましい。
【0038】
「ヘテロシクリル」または「ヘテロシクリル基」という用語は、環構造中に1〜4個のヘテロ原子を含む、置換または非置換の非芳香族3〜10員環構造のことをいい、3〜7員環がさらに好ましい。「ヘテロシクリル」または「ヘテロシクリル基」という用語もまた、2以上の炭素原子が2つの隣接する環によって共有される、2以上の環式環を有する多環式環系を含み、ここで、少なくとも環の1つは炭素環式であり、他の環式環は、例えば、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、および/またはヘテロシクリルであってよい。ヘテロシクリル基として、例えば、ピペリジン、ピペラジン、ピロリジン、モルフォリン、ラクトン、ラクタムなどが挙げられる。
【0039】
「C1-6ヘテロシクロアルキル」という用語は、ヘテロシクリル基で置換されたC1-6アルキル基のことをいう。
【0040】
本明細書では、「阻害剤」という用語は、酵素活性を遮断または低減させる化合物について表すことが意図されている(例えば、Suc-LLVY-AMC、Box-LLR-AMCおよびZ- LLE-AMCなどの標準的な蛍光発生ペプチド基質のタンパク質分解的切断の阻害、20Sプロテアソームの様々な触媒活性の阻害)。阻害剤は、拮抗、不拮抗、または非拮抗阻害として作用することができる。阻害剤は、可逆的または不可逆的に結合可能であり、したがって、この用語には、酵素の自殺基質である化合物も含まれる。阻害剤は、酵素の活性部位またはその近くの1以上の部位を修飾可能であり、あるいは、酵素上のほかの場所に立体構造の変化を生じさせることが可能である。
【0041】
「多環式」または「多環式の」という用語は、例えば、「縮合環」のように、2以上の炭素原子が2つの隣接する環によって共有される2以上の環(例えば、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、および/またはヘテロシクリル)のことをいう。多環式の各環は、置換されていても非置換であっても良い。
【0042】
「予防」という用語は、当技術分野で認識されており、局所再発(例えば、痛み)などの状態、がんなどの疾病、心不全などの症候群複合体(syndrome complex)、または他のいずれかの病状に関して用いられる場合には、当技術分野で十分理解されており、組成物を投与されていない被験者に比べて被験者の病状における症状の頻度を低減させ、またはその開始を遅延させる組成物の投与が含まれる。したがって、がんの予防として、例えば、治療されていない対照の母集団に比べて、予防的治療を受けた患者の母集団における検出可能な癌性増殖の数の低減、および/または、例えば統計的におよび/または臨床的に有意な量によって、非治療の対照母集団に対する治療を受けた母集団における検出可能な癌性増殖の発現の遅延が挙げられる。感染の予防として、例えば、非治療の対照母集団に対する治療を受けた母集団における感染についての診察の数の低減、および/または、非治療の対照母集団に対する治療を受けた母集団における感染についての症状の始まりの遅延が挙げられる。痛みの予防として、例えば、非治療の対照母集団に対する治療を受けた母集団における患者が経験する痛覚の大幅な低減、または遅延が挙げられる。
【0043】
「予防または治療」上の処置という用語は当技術分野で認識されており、1種類以上の本課題となる組成物を受容者へ投与することを含む。望ましくない状態(例えば、受容動物の疾病または他の望ましくない状態)の臨床症状以前に投与する場合、その治療は予防的である(すなわち、それによって受容者を望ましくない状態の発現から保護する)のに対し、望ましくない状態の臨床症状の後に投与する場合は、その処置は治療的である(すなわち、現存する望ましくない状態またはその副作用を低減、改善、または安定化させることを意図する)。
【0044】
「置換された」という用語は、骨格の1つ以上の炭素上の水素が置換基に置き換えられている部分のことをいう。「置換」または「〜で置換された」には、これらの置換が、置換された原子の可能な原子価に従っており、その置換によって、例えば、転位、環化、脱離などによる変化が自発的に生じない、安定な化合物を得られる、という暗黙の条件があることは理解されよう。本明細書では、「置換された」という用語は、有機化合物のすべての許容される置換基を含むことを意図している。広範な態様では、許容される置換基には、有機化合物の、非環式と環式、分岐鎖と非分岐鎖、炭素環式と複素環式、芳香族と非芳香族の置換基が含まれる。許容される置換基は、1種類またはそれ以上の、同一のまたは異なる、適切な有機化合物であって構わない。本発明の目的では、窒素などのヘテロ原子は、水素置換基および/またはヘテロ原子の原子価を満たす本明細書に記載される有機化合物の許容される置換基のいずれかを有していて差し支えない。置換基には、例えば、ハロゲン、ヒドロキシル、カルボニル(カルボキシル、アルコキシカルボニル、ホルミル、またはアシルなど)、チオカルボニル(チオエステル、チオアセテート、またはチオホルメートなど)、アルコキシル、ホスホリル、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、アミノ、アミド、アミジン、イミン、シアノ、ニトロ、アジド、スルフヒドリル、アルキルチオ、スルフェート、スルホネート、スルファモイル、スルホンアミド、スルホニル、ヘテロシクリル、アラルキル、もしくは、芳香族またはヘテロ芳香族部分を含めてもよい。炭化水素鎖上で置換された部分は、適切な場合には、その置換基自身がさらに置換されてもよいことは、当業者にとって明らかであろう。
【0045】
本課題となる治療方法に関連して、「治療に効果的な量」の化合物とは、例えば、薬物療法に適用可能な妥当な損益比で、治療すべき障害または状態もしくは美容目的で、臨床的に認容可能な基準に従って、症状を低減し、状態を改善し、または疾病状態の開始を遅らせる、所望の投薬計画(哺乳動物、好ましくはヒトへの)の一環として投与される場合の製剤における化合物の量のことをいう。
【0046】
「C1−6チオアルキル」という用語は、チオール基で置換されたアルキル基のことをいう。
【0047】
本明細書では、「治療する」または「治療」という用語は、症状、臨床的徴候、および被験者の状態を改善または安定化させるように、病状の基礎病理を後進させ、低減させ、または阻止することが含まれる。
【0048】
投与
本明細書に記載のとおりに調製された阻害剤は、当技術分野で周知のように、治療すべき障害、および患者の年齢、状態、体重に応じて、様々な剤形で投与可能である。例えば、化合物が経口投与される場合、それらは錠剤、カプセル、顆粒、粉末、またはシロップとして投与されて差し支えなく、あるいは、非経口的投与では、注入(静脈注射、筋肉注射、もしくは皮下注射)、点滴液、もしくは座剤として製剤されても構わない。目の粘膜経由で投与する場合は、点眼剤または眼軟膏剤の形態で差し支えない。これらの剤形は、従来法で調製することができ、必要に応じて、活性成分を、賦形剤、結合剤、崩壊剤、潤滑剤、矯味薬、溶解補助剤、懸濁助剤、乳化剤、またはコーティング剤などの従来の添加剤と混合して差し支えない。投与量は、患者の症状、年齢、および体重、治療または予防すべき障害の性質および重症度、投与ルート、および薬剤の形態に応じて変化するだろうが、一般には、成人患者を対象とした化合物の1日の投与量は0.01〜2000mgであり、これは、単回投与または分割投与して構わない。
【0049】
所定の患者の治療の有効性の点からみて、最も効果的な結果を生ずるであろう投与の的確な時間および/または阻害剤の量は、特定の化合物の活性、薬剤動態学、および生体利用効率、患者の生理的状態(年齢、性別、疾病の種類および段階、全身的な身体状態、所定の投与量への反応性、薬物の種類を含む)、投与ルートなどによって決定される。しかしながら、上記の指針は、被験者のモニタと投与量および/またはタイミングの調整から構成される所定の実験のみが必要とされる、例えば、投与に最適な時間および/または量を決定するなどの治療を微調整するための基礎として用いることができる。
【0050】
「医薬品として認容可能な」という語句は、本明細書では、正しい医療判断の範囲内で、人間および動物の組織と接触して用いるのに適した、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、もしくは他の問題または複雑な事情がない、妥当な損益比に相応した、リガンド、材料、組成物、および/または投与形態を称するのに用いられる。
【0051】
本明細書で用いられる「医薬品として認容可能な担体」という語句は、本課題の化学物質を1つの臓器また身体の一部分から別の臓器または身体の一部分へと運搬または輸送することに関与する、例えば、液体または固体の充填剤、希釈剤、賦形剤、溶剤またはカプセル材料などの医薬品として認容可能な材料、組成物、または媒体を意味する。各担体は、製剤の他の材料に適合可能で、患者にとって有害ではないという意味での「認容可能」でなければならない。医薬品として認容可能な担体としての機能を果たす材料の例として、(1)乳糖、ブドウ糖、しょ糖などの糖類、(2)コーン・スターチおよび馬鈴薯でんぷんなどのでんぷん、(3)カルボキシメチル・セルロース・ナトリウム、エチル・セルロース、酢酸セルロースなどのセルロースおよびその誘導体、(4)トラガント末、(5)麦芽、(6)ゼラチン、(7)タルク、(8)カカオ・バターおよび座剤用のロウなどの賦形剤、(9)ピーナツ油、綿実油、サフラワー油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油、大豆油などの油類、(10)プロピレングリコールなどのグリコール類、(11)グリセリン、ソルビトール、マンニトール、ポリエチレン・グリコールなどのポリオール類、(12)オレイン酸エチル、ラウリン酸エチルなどのエステル類、(13)寒天、(14)水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムなどの緩衝液、(15)アルギン酸、(16)パイロジェン除去水(pyrogen-free water)、(17)等張食塩水、(18)リンガー溶液、(19)エチルアルコール、(20)リン酸緩衝液、(21)製剤処方に用いられる他の非毒性の適合性の材料が挙げられる。ある実施の形態では、本発明にかかる医薬品組成物は、発熱性ではない、すなわち、患者に投与したときに顕著な体温上昇を引き起こさない。
【0052】
「医薬品として認容可能な塩」という語句は、阻害物質の、比較的非毒性の無機および有機の酸付加塩のことをいう。これらの塩は、阻害物質の最終的な単離・精製の間にその場調製することができ、もしくは、それとは別に、精製した阻害物質を遊離塩基の形態で適切な有機または無機酸と反応させて生成した塩を単離することによって調製することが可能である。代表的な塩として、臭化水素酸塩、塩酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、酢酸塩、吉草酸塩、オレイン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、ラウリン酸塩、安息香酸塩、乳酸塩、リン酸塩、トシル酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、ナフチル酸塩(naphthylate)、メシル酸塩、ヘプトグルコン酸塩(glucoheptonate)、ラクトビオン酸塩(lactobionate)、ラウリルスルホン酸塩(laurylsulphonate)などが挙げられる(例として、Berge et al. (1977) "Pharmaceutical Salts", J. Pharm. Sci. 66:1- 19を参照)。
【0053】
他の事例では、本発明にかかる方法に有用な阻害物質には、1つ以上の酸性の官能基を含めても差し支えなく、それによって、医薬品として認容可能な塩基と共に、医薬品として認容可能な塩を生成することができる。これらの場合、「医薬品として認容可能な塩」という語句は、阻害物質の、比較的非毒性の無機および有機の塩基付加塩のことをいう。これらの塩も、同様に、阻害物質の最終的な単離・精製の間にその場調製が可能であり、もしくは、それとは別に、アンモニアを用いて、あるいは、医薬品として認容可能な有機の第1、第2または第3アミンを用いて、精製した阻害物質を遊離酸の形態で、例えば医薬品として認容可能な金属カチオンの水酸化物、炭酸塩または重炭酸塩などの適切な塩基と反応させることによって、調製することができる。代表的なアルカリもしくはアルカリ土類塩にはとして、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム塩などが挙げられる。塩基付加塩の生成に有用な代表的な有機アミンとして、エチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペラジンなどが挙げられる(例として、上記のBergeらの文献を参照のこと)。
【0054】
湿潤剤、乳化剤、例えばラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤も、着色剤、離型剤、コーティング剤、甘味料、香味料・香料、保存料、酸化防止剤もまた、組成物中に含めることができる。
【0055】
医薬品として認容可能な酸化防止剤の例として、(1)アスコルビン酸、塩酸システイン、重硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなどの水溶性の酸化防止剤、(2)アスコルビン酸パルミテート、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、α-トコフェロールなどの油溶性の酸化防止剤、(3)クエン酸、エチレンジアミン4酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸などの金属キレート剤が挙げられる。
【0056】
本発明の方法に有用な剤形として、経口、経鼻、局所(口腔および舌下を含む)、直腸内、膣内、噴霧、および/または非経口的投与に適しているものが挙げられる。剤形は、便利なことに、単位投与形態で存在して差し支えなく、薬学の技術分野で周知のいずれかの方法で調製されて構わない。担体材料と組み合わせて単位投与形態を生成することが可能な活性成分の量は、治療される患者と個別の投与方法に応じて変化するであろう。担体材料と組み合わせて単位投与形態を生成可能な活性成分の量とは、一般的に、治療効果を生じさせる化合物の量であろう。一般に、100%中の活性成分の量は、約1%〜約99%であり、約5%〜約70%であることが好ましく、約10%〜約30%であることが最も好ましい。
【0057】
これらの剤形もしくは組成物の調製方法として、阻害物質を、担体および随意的に1種類以上の副成分と混合する工程が挙げられる。一般には、リガンドを、液体担体もしくは微粉化した固体の担体もしくはその両方と、均一かつ密接に混合し、次に、必要に応じてその生成物を成形することにより、剤形を調製する。
【0058】
経口投与に適した剤形として、カプセル、カシェ剤(cachet)、丸薬、錠剤、薬用キャンディ(通常は、しょ糖とアカシア、またはしょ糖とトラガカンスなどの香味付けされた基材を用いる)、粉剤、顆粒、もしくは溶液として、あるいは水性または非水性の液体の懸濁液として、もしくはO/W型またはW/O型の乳濁液として、もしくはエリキシル剤またはシロップ剤として、もしくはトローチ剤(ゼラチンとグリセリン、または、しょ糖とアカシアなどの不活性な基材を用いる)および/またはうがい薬などの形態であって差し支えなく、それぞれ、所定の量の阻害物質が活性成分として含まれる。化合物はまた、大丸薬(bolus)、甜剤または塗布剤として投与されてもよい。
【0059】
経口投与(カプセル、錠剤、丸薬、糖衣錠、粉剤、顆粒など)用の固体投与形態では、活性成分を、1種類以上の医薬品として認容可能な担体、例えばクエン酸ナトリウムまたは第二リン酸カルシウムおよび/または次のいずれかと混合する:(1)でん粉、乳糖、しょ糖、ブドウ糖、マンニト−ルおよび/またはケイ酸などの充填剤もしくは増量剤、(2)例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニル・ピロリドン、 しょ糖および/またはアカシアなどの結合剤、(3)グリセロールなどの湿潤剤、(4)寒天、炭酸カルシウム、馬鈴薯でんぷんもしくはタピオカでんぷん、アルギン酸、一部のケイ酸塩、炭酸ナトリウムなどの崩壊剤、(5)パラフィンなどの溶解遅延剤(solution retarding agents)、(6)第4アンモニウム化合物などの吸収促進剤、(7) 例えばアセチルアルコール、グリセロール・モノステアレートなどの湿潤剤、(8)カオリン、ベントナイト粘土などの吸収・吸着剤、(9) タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレン・グリコール、ラウリル硫酸ナトリウムおよびそれらの混合物などの潤滑剤、(10) 着色剤。カプセル、錠剤、丸剤の場合には、医薬品組成物に、さらに緩衝化剤を含めてもよい。同じような種類の固体組成物には、乳糖もしくはラクトース、および高分子量のポリエチレン・グリコールなどの賦形剤を、軟ゼラチンカプセル剤および硬ゼラチンカプセル剤の充填剤として用いてもよい。
【0060】
錠剤は、随意的に1種類以上の副成分と共に、圧縮もしくは成形によって調製してもよい。圧縮錠は、結合剤(例えば、ゼラチンもしくはヒドロキシプロピルメチル・セルロース)、潤滑剤、不活性な希釈剤、保存剤、錠剤分割剤(例えば、デンプングリコール酸ナトリウムまたは架橋カルボキシルメチル・セルロース・ナトリウム)、界面活性剤または分散剤を用いて調製して差し支えない。打錠剤(molded tablet)は、不活性な液体の希釈剤で湿らせた粉末のペプチドまたはペプチド模倣薬の混合物を適切な機械で成形することにより調製して構わない。
【0061】
錠剤ならびに糖衣錠、カプセル、丸薬、顆粒などの他の固体の投与形態の薬剤は、随意的に、分割線を入れても差し支えなく、また、腸溶コーティングや薬剤製造技術の分野で周知の他のコーティングなどのコーティング剤およびカプセル(shell)を用いて調製してもよい。それらの薬剤は、例えば、所望の放出特性の提供を目的とした様々な割合のヒドロキシプロピルメチル・セルロース、他の高分子マトリックス、リポソームおよび/またはミクロスフィアを用いて、製剤中の活性成分の徐放または制御放出を提供するように配合してもよい。薬剤は、例えば、微生物吸着フィルターでろ過することによって、または、利用直前に、滅菌水もしくは他の無菌の注入物質に溶解することができる、滅菌された固体組成物の形態をした殺菌剤を導入することによって、殺菌してもよい。これらの組成物は、また、随意的に、乳白剤を含んでもよく、活性成分のみを放出する組成物であって差し支えなく、あるいは、消化管のある特定部位に選択的に、随意的に遅延させる方式で放出する組成物であって構わない。利用可能な包埋組成物の例として、高分子物質とロウが挙げられる。活性成分は、また、マイクロカプセルに封入される形態であって差し支えなく、適切であれば1種類以上の上記賦形剤と一緒に封入されて構わない。
【0062】
経口投与用の液状の薬剤形態として、医薬品として認容可能な乳濁液、マイクロエマルション、溶液、懸濁液、シロップ剤、エリキシル剤が挙げられる。活性成分に加えて、液状の薬剤形態に、例えば、水または他の溶液、可溶化剤、例えばエチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、油類(とりわけ、綿実、落花生、コーン、胚芽、オリーブ、ヒマシ、およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフリル・アルコール、ポリエチレン・グリコール、ソルビタンの脂肪酸エステル、およびこれらの混合物などの、通常当技術分野で利用される不活性な希釈剤も含めて差し支えない。
【0063】
不活性な希釈剤以外にも、経口組成物に、例えば湿潤剤、乳化および懸濁剤、甘味料、香味料、着色料、香料、保存料などの補助剤を含めることもできる。
【0064】
懸濁剤に、活性な阻害剤に加えて、例えば、エトキシ化されたイソステアリル・アルコール、ポリオキシエチレンのソルビトールおよびソルビタン・エステル、微結晶性セルロース、アルミニウム・メタヒドロキシド(aluminum metahydroxide)、ベントナイト、寒天とトラガカンス、およびこれらの混合物などの懸濁化剤を含めてもよい。
【0065】
直腸または膣内投与の剤形は、1種類以上の阻害物質を、例えば、カカオ・バター、ポリエチレン・グリコール、坐剤用のロウ、またはサリチル酸塩を含む、1種類以上の適切な刺激性の少ない賦形剤もしくは担体であって、室温では固体だが体温では液体となり、それによって直腸または膣内で溶けて活性薬剤を放出するであろう賦形剤もしくは担体と混合することにより調製される坐剤であって構わない。
【0066】
膣内投与に適した剤形として、当技術分野で知られている適切であろう担体などを含む、ペッサリー、タンポン、クリーム、ジェル、ペースト、泡剤もしくは噴霧剤もまた挙げられる。
【0067】
阻害剤を局所または経皮投与するための剤型として、粉末、噴霧、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ジェル、溶液、貼付、吸入が挙げられる。活性成分を、医薬品として認容可能な担体と、必要であろう保存料、緩衝液もしくは推進剤と一緒に、滅菌条件下で混合して差し支えない。
【0068】
軟膏、ペースト、クリームおよびジェルには、阻害剤に加えて、動物性・植物性の脂肪、油、ロウ、パラフィン、でんぷん、トラガカンス、セルロース誘導体、ポリエチレン・グリコール、シリコーン、ベントナイト、ケイ酸、タルク、酸化亜鉛またはこれらの混合物などの賦形剤を含めてもよい。
【0069】
粉末および噴霧剤には、阻害剤に加えて、乳酸、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウム、ポリアミド粉末、もしくはこれら物質の混合物などの賦形剤を含めることができる。噴霧剤には、さらに、クロロフルオロハイドロカーボン、例えばブタン、プロパンなどの揮発性の非置換炭化水素などの慣用的な推進剤を含めてもよい。
【0070】
あるいは、噴霧による阻害剤の投与も可能である。これは、その化合物を含む水性の噴霧剤、リポソーム製剤または固形微粒子を調製することによって達成される。非水性(例えば過フッ化炭化水素推進剤)の懸濁液を使用しても良い。ソニック噴霧器(Sonic nebulizers)が好ましい。何故ならば、それらは、化合物を劣化し得る、薬剤の剪断変化への曝露を最小にするからである。
【0071】
通常、水性の噴霧剤は、従来の医薬品として認容可能な担体および安定剤と共に薬剤の水溶液または懸濁液の剤形で調製される。担体および安定剤は、特定の化合物の要件に応じて変化するが、典型的には、非イオン性界面活性剤(トウィーン(Tweens)、プルロニック(登録商標)、またはポリエチレン・グリコール)、血清アルブミンなどの無毒性のタンパク質、ソルビタン・エステル、オレイン酸、レシチン、グリシンなどのアミノ酸、緩衝液、塩、糖または糖アルコールが挙げられる。噴霧剤は、一般に、等張液から調製される。
【0072】
経皮貼布は、体内における阻害剤の制御輸送を提供するというさらなる利点がある。これら投与形態は、薬剤を適切な溶剤に溶解または分散することにより作製することができる。吸収促進剤もまた、皮膚を通じて阻害剤が浸透するのを増進させる目的で利用可能である。こういった浸透率は、律速膜(rate controlling membrane)を提供するか、あるいはポリマー基材またはゲルにペプチド模倣剤を分散させることにより調節できる。眼用製剤、眼軟膏剤、粉剤、溶液などもまた、本発明の範囲内にあることが意図されている。
【0073】
非経口投与に適した本発明にかかる医薬品組成物は、1種類以上の阻害剤と、1種類以上の医薬品として認容可能な滅菌された等張水溶液または非水溶液、分散液、懸濁液または乳濁液、もしくは使用の直前に滅菌注入液または分散液に溶解して再調製して構わない滅菌された粉剤との組合せを含み、その際、酸化防止剤、緩衝剤、静菌剤、対象とされる受容者の血液によって製剤が等張になる溶質、または懸濁剤、増粘剤を含んでもよい。
【0074】
本発明にかかる医薬品組成物に用いて差し支えない適切な水性または非水性の担体の例として、水、エタノール、ポリオール(グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレン・グリコールなど)およびこれらの適切な混合物、オリーブ油などの植物油、オレイン酸エチルなどの注入可能な有機エステルが挙げられる。適切な流動率は、例えば、レシチンなどのコーティング剤の利用、分散の場合に必要とされる粒径の維持、もしくは、界面活性剤の利用によって維持することができる。
【0075】
これらの組成物に、保存剤、湿潤剤、乳化剤、分散剤などの補助剤を含めてもよい。微生物作用の予防は、例えば、パラベン、クロロブタノール、ソルビン酸フェノールなどの様々な抗菌剤・抗真菌剤を含有させることにより保証される。糖類、塩化ナトリウムなどの等張剤を組成物に含めることもまた、望ましいであろう。さらには、モノステアリン酸アルミニウム、ゼラチンなどの吸収を遅延させる薬剤を含めることで、注入可能な医薬品の形態で長時間にわたり吸収させてもよい。
【0076】
いくつかの事例では、薬剤の効果を持続させるために、皮下注射または筋肉注射によって薬の吸収を遅延させることが望ましい。これは、難水溶性の結晶質または非晶質の液体懸濁液を用いることにより達成して構わない。薬の吸収速度は、その溶解速度に依存する、すなわち、結晶の大きさおよび結晶形態によって決定されるであろう。あるいは、非経口的に投与される剤形の遅延吸収は、油状の賦形剤に薬剤を溶解もしくは懸濁することによって達成される。
【0077】
注入可能な持続性薬剤の形態は、ポリラクチド-ポリグリコリドなどの生分解性高分子で阻害剤のマイクロカプセル基材を形成することにより作られる。薬剤の高分子に対する割合と用いられる特定のポリマーの性質に応じて、薬の放出速度を調節することができる。他の生分解性高分子の例として、ポリ(オルトエステル)およびポリ(無水物)が挙げられる。持続性の注入剤形は、また、リポソームまたは生体組織に適合するマイクロエマルションに薬剤を封入することによっても調製される。
【0078】
本発明にかかる阻害剤をヒトおよび動物用の医薬品として投与する場合には、それ自体で、もしくは、例えば、0.1〜99.5%(さらに好ましくは0.5〜90%)の活性成分を、医薬品として認容可能な担体と共に含む医薬品組成物として、与えることができる。
【0079】
調剤を、経口、非経口、局所もしくは直腸経由で与えても差し支えなく、当然ながら、各投与ルートに適した剤形で与えられる。例えば、錠剤またはカプセルの形態で投与され、注射、吸入、目薬、軟膏、坐剤、注入によって投与され、水薬または軟膏によって局所的に投与され、坐剤によって直腸経由で投与される。好ましいのは経口投与である。
【0080】
本明細書で用いられる「非経口投与」および「非経口的に投与される」という語句は、腸溶性および局所的投与以外の、通常は注射による、投与形態を意味し、限定はしないが、静脈、筋肉、動脈、髄膜、嚢内(intracapsular)、口腔内、心臓内、皮内、腹腔内、経皮気管内、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、髄腔内、胸骨内への注射・注入が挙げられる。
【0081】
本明細書で用いられる「全身投与」、「全身的に投与される」「末梢投与」および「末梢的に投与される」という語句は、リガンド、薬剤、または、患者の体内(system)に入り、例えば皮下投与など、代謝および他の似た作用の影響下に置かれる、直接中枢神経系へ投与される以外の他の物質を投与することを意味する。
【0082】
これらの阻害剤は、経口、例えば噴霧などの経鼻、直腸内、膣内、非経口、嚢内(intracisternally)、例えば粉剤、軟膏または点滴剤によって局所的に、また口腔および舌下を含む、適切な投与ルートで、治療のためにヒトおよび他の動物に投与して差し支えない。
【0083】
選択された投与ルートにかかわらず、阻害剤、および/または本発明にかかる医薬品組成物は、当業者に周知の従来法によって、医薬品として認容可能な剤形に製剤され、ここで、阻害剤は適切な水和の形態で用いて差し支えない。
【0084】
本発明にかかる医薬品として認容可能な組成物中の活性成分の実際の用量に関しては、患者に対する毒性がなく、個々の患者にとって望ましい治療反応を達成するのに効果的な活性成分量、組成物、投与方法を入手する目的で、様々に変化させて差し支えない。
【実施例】
【0085】
本発明を一般的に記載してきたが、本発明の特定の態様ならびに実施の形態についての単なる説明の目的であって、本発明を限定する意図ではない、以下の実施例を参照することにより、さらに容易に理解されよう。
【0086】
化学
本明細書に記載のボロン酸ジペプチド(dipeptide boronates)の合成を、スキーム1〜5に記載される合成法を適合させることにより行った。プロリンボロン酸のピナンジオールエステルを、HATUの存在下、N−Bocで保護したアミノ酸と結合させた。N−Boc保護基の除去およびその後のN−アシル化により、ボロン酸ジペプチドエステルを得た。BClを用いて、ボロン酸部分の脱保護化を行った。
【0087】
次に、反応を進め、所望の化合物を逆相HPLCによって精製した。化合物7〜11を、市販のN−アシル化グリシン誘導体7a〜11aからスキーム1にしたがって合成した。これらのN−アシル化グリシン誘導体を、L−プロリン・ピナンのボロン酸エステル円酸塩(L-proline pinane boronic ester hydrochloride)(boroPro-Pn)(1)とカップリングさせ、続いてピナン保護基を除去し、目的の化合物(7〜11)を高収率(70〜80%)で得た。
【0088】

親化合物であるグリシニル−boroProのN−末端にアルキル側鎖を有する化合物(12〜19)の合成を、上記とは異なる戦略によって達成した(スキーム2)。まず、ブロモアセチルブロミド(bromo-acetyl bromide)を(1)と反応させ、対応するブロモアセチル化合物(2)を得た。次に、臭化アセチル(acetyl bromines)を適切なアミンと置換し、その後ピナン基を除去して、目的の化合物(12〜19)を収率40〜50%で得た。
【0089】

スキーム3に示すように、N−Boc−グリシン(3)を(1)とカップリングし、保護されていないジペプチド(4)を得た(収率90%)。2つの保護基をBClで同時に除去し、(6)を得た(目的の化合物、全工程の収率77%)。室温におけるジオキソラン中の4N HClを使用したBoc基の選択的除去により、H-Gly-L- boroProPn塩酸塩(5)は、定量的収率にまで上昇した。スキーム3に示される残りの目的化合物(20〜29)を、主としてアシル化剤の選択が上記とは異なる、すなわち、塩化アシルまたは塩化スルホニル(方法A)、カルボン酸(方法B)、4−ニトロフェニルエステル(方法C)が異なる、3種類の方法のうちの1つにより調製した。化合物20〜25の合成では、5と塩化アシルまたは塩化スルホニルとの反応が順調に進行し、次に、BClを用いて脱保護化を行ない、2段階の収率50〜60%を得た(スキーム1、方法A)。化合物26・27は、5と対応するカルボン酸とのカップリングと脱保護化を経て合成し、2段階の収率55〜60%を得た(スキーム1、方法B)。対照的に、化合物28と29は、5と4−ニトロフェニルN−ベンジル(またはN−フェニル)カーバメートとのアセチル化と、その後の脱保護化を経て調製された。2段階での全収率は、約45〜55%であった(スキーム3、方法C)。文献に記載されている標準的なカップリングの手順に従い、化合物30aをL-Pro-CNとチアゾリンを用いて縮合し、それぞれ30と31を得た(Kienhofer, A. Synlett (2001), (11), 1811-1812; Speicher, A. et al. Journal fuer Praktische Chemie/Chemiker-Zeitung (1998), 340(6), 581-583)。
【0090】

化合物32aと化合物1を縮合し、その後BClで脱保護化することによって、化合物32を75%の収率で得た(スキーム4)。
【0091】

アラニンのボロン酸エステル(boroalanine)またはエチルグリシンのボロン酸エステル(boroethylglycine)を有するN−アシルジペプチドの別の系(33〜36)は、スキーム5に示すように調製された。N−(1−ナフタレニル)−グリシン(33a)をL-boro Ala-Pn-HCl(33b)またはL-boroEthylGly-Pn・HCl (34b)とカップリングさせ、次にBClを用いて、ピナン基を除去し、対応する目的の化合物33または34を、収率〜60%で得た。同様の手順を適用し、N−アセチル−L−バリン(35a)を出発物質として35・36を、収率50〜55%で生成した。標準状態下でAc2O/Pyを用いて、ボロン酸アミノラクタム(37a)をアセチル化して、N−アセチル化D−γ−ラクタム−L−boroAla(37)を調製し、収率は85%であった(スキーム6)( Ojima, L, et al, J. Am. Chem. Soc. (1987), 109(6), 1798-805)。
【0092】

生物学
精製したFAPの酵素活性を、色原性基質としてH-Ala-Pro-pNA(バケム(Bachem)社製)の吸収を410nmでモニタすることにより、Molecular Devices SPECTRAmax 340PC384マイクロプレートリーダー(microtiter plate reader)を用いて25℃で測定した。反応混合物は、3.5mMの基質、約1nMのFAP、20mMのTRIS−HCl、20mMのKCl緩衝液、及び阻害剤(10−2〜10−8)からなり、全容積は310μLであった。アッセイとそれに対応する測定を2回行った。基質を加える前に、酵素を用いて阻害剤を25℃で10分間あらかじめインキュベーションした条件下で、各阻害剤のIC50を算出した。阻害剤の原液(1mM)をHCl水溶液(pH2.0)で調製し、−20℃で保管した。原液を20mMのTRIS−HClで希釈し、KCl(20mM)緩衝液でpH7.4に合わせ、すぐに、手順に従って実験を行った。結果を以下の表1に示す。
【表1−1】

【表1−2】

【表1−3】

【表1−4】

【0093】
参考文献の援用
本明細書で引用した米国特許および米国特許出願公開公報のすべてを、参照することによって、本明細書に援用する。
【0094】
均等物
当業者は、わずかな所定の実験のみを行うことによって、本明細書に記載される発明の具体的な実施例についての多くの均等物を理解し、または確認することが可能であろう。こういった均等物は、添付の特許請求の範囲に包含されることが意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造式(II)の構造を有する化合物:
【化1】

ここで、
は、H、C1-6アルキル、C1-6アシル、C1-6アラルキル、C1-6アラシル、C1-6ヘテロアラシル、およびカルボシクリルからなる群より選択され、
は、HおよびC1-6アルキルからなる群より選択され、
は、H、C1-6アルキル、C1-6ヒドロキシアルキル、C1-6チオアルキル、およびC1-6アラルキルからなる群より選択され、
は、HおよびC1-6アルキルからなる群より選択されるか、または、RとRが一体となって、C1-6アルキルとなり、それによって環を形成し、
は、H、C1-6アルキル、C1-6ヒドロキシアルキル、C1-6チオアルキル、およびC1-6アラルキルからなる群より選択されるか、または、RとRは共に、C1-6アルキル‐Sとなり、
Wは、H、B(Y)(Y)およびCNからなる群より選択され、
およびYは、独立してOH またはボロン酸へと加水分解可能な基であるか、もしくは、それらに付加するホウ素原子とともに、ボロン酸へと加水分解可能な5〜8員環を形成し、
WがHの場合、RとRが共にC1-6アルキル‐S‐C1-6アルキルであることを条件とする。
【請求項2】
が、C1-6アシルおよびC1-6アラシルからなる群より選択され、
およびWはHであり、
とRが一体となってC1-6アルキル‐S‐C1-6アルキルとなり、それによって環を形成することを特徴とする請求項1記載の化合物。
【請求項3】
とRが一体となって、Cアルキル‐S‐Cアルキルとなり、それによって5員環を形成することを特徴とする請求項2記載の化合物。
【請求項4】
が、C1-6アシルおよびC1-6アラシルからなる群より選択され、
とRが一体となってC1-6アルキルとなり、それによって環を形成することを特徴とする請求項1記載の化合物。
【請求項5】
とRが一体となってCアルキルとなり、それによって5員環を形成することを特徴とする請求項4記載の化合物。
【請求項6】
とRが、HおよびC1-6アルキルからなる群より選択されることを特徴とする請求項1記載の化合物。
【請求項7】
WがB(Y)(Y)であることを特徴とする請求項6記載の化合物。
【請求項8】
およびYが、共にOHであることを特徴とする請求項7記載の化合物。
【請求項9】
が、C1-6アシルおよびC1-6アラシルからなる群より選択され、
とRがHであり、
とRがC1-6アルキルであることを特徴とする請求項8記載の化合物。
【請求項10】
が、C1-6アシルであることを特徴とする請求項9記載の化合物。
【請求項11】
が、アセチルであることを特徴とする請求項10記載の化合物。
【請求項12】
が、C1-6アラシルであることを特徴とする請求項9記載の化合物。
【請求項13】
が、フェニルカルボニルおよび(1−ナフチル)カルボニルからなる群より選択されることを特徴とする請求項12記載の化合物。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか1項記載の化合物と医薬的に認容可能な希釈剤または担体を含む、医薬組成物。
【請求項15】
がん治療用の薬物製造に使用するための請求項1〜13のいずれか1項記載の化合物。
【請求項16】
前記癌が、ヒト上皮がんおよび軟部組織のがんからなる群より選択されることを特徴とする請求項15記載の化合物。
【請求項17】
前記がんが、乳癌、非小細胞肺癌、および結腸直腸癌からなる群より選択されるヒト上皮がんであることを特徴とする請求項16記載の化合物。

【公開番号】特開2012−140439(P2012−140439A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−33777(P2012−33777)
【出願日】平成24年2月20日(2012.2.20)
【分割の表示】特願2008−520373(P2008−520373)の分割
【原出願日】平成18年7月5日(2006.7.5)
【出願人】(303043726)トラスティーズ オブ タフツ カレッジ (26)
【Fターム(参考)】