説明

線虫類を防除するためのテトラミン酸誘導体の使用

本出願は、土壌生息性線虫類を防除するためのテトラミン酸誘導体の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土壌生息性(soil−dwelling)線虫類を防除するための既知テトラミン酸誘導体の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
特定の環状ケトエノール類が除草特性、殺虫特性及び殺ダニ特性を有していることは、既に知られている。これらの物質の活性は良好である。しかしながら、低施用量では、場合により不充分である。
【0003】
1H−3−アリール−ピロリジン−2,4−ジオン誘導体(WO 98/05638)及びそれらのシス異性体(WO 04/007448)は、殺虫作用及び/又は殺ダニ作用を示すことが知られている。
【0004】
WO 98/05638の化合物と別の殺虫剤及び/又は殺ダニ剤の混合物も知られている: WO 01/89300、WO 02/00025、WO 02/05648、WO 02/17715、WO 02/19824、WO 02/30199、WO 02/37963、WO 05/004603、WO 05/053405、WO 06/089665、DE−A−10342673、WO 2008/006516、WO 2008/006514、WO 2008/006513、WO 2008/006515、WO 2008/006512、WO 2008/009379。殺線虫剤との混合物も知られている: 出願番号 EP07112279。
【0005】
さらに、それらは、メクラカメムシ類(plant bugs)(科:Miridae)に対して活性を有するということも知られている(WO 2007/131681)。
【0006】
さらに、WO 2007/126691には、花卉球根の浸漬処理後に葉線虫類に対して活性を示すことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第98/05638号
【特許文献2】国際公開第04/007448号
【特許文献3】国際公開第01/89300号
【特許文献4】国際公開第02/00025号
【特許文献5】国際公開第02/05648号
【特許文献6】国際公開第02/17715号
【特許文献7】国際公開第02/19824号
【特許文献8】国際公開第02/30199号
【特許文献9】国際公開第02/37963号
【特許文献10】国際公開第05/004603号
【特許文献11】国際公開第05/053405号
【特許文献12】国際公開第06/089665号
【特許文献13】独国特許出願公開第10342673号明細書
【特許文献14】国際公開第2008/006516号
【特許文献15】国際公開第2008/006514号
【特許文献16】国際公開第2008/006513号
【特許文献17】国際公開第2008/006515号
【特許文献18】国際公開第2008/006512号
【特許文献19】国際公開第2008/009379号
【特許文献20】欧州特許出願公開第07112279号明細書
【特許文献21】国際公開第2007/131681号
【特許文献22】国際公開第2007/126691号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
驚くべきことに、WO 04/007448から知られている式(I−1)及び式(I−2)
【0009】
【化1】

で表される化合物が、茎葉処理後に、一年生作物及び多年生作物における植物に損傷を与える土壌生息性線虫類の個体密度を低減させるということが分かった。
【0010】
多年生作物における植物に損傷を与える土壌生息性線虫類を防除するために、式(I−1)で表される化合物を使用するのが好ましい。
【0011】
一年生作物における植物に損傷を与える土壌生息性線虫類を防除するために、式(I−1)で表される化合物を使用するのが好ましい。
【0012】
多年生作物における植物に損傷を与える土壌生息性線虫類を防除するために、式(I−2)で表される化合物を使用するのも好ましい。
【0013】
一年生作物における植物に損傷を与える土壌生息性線虫類を防除するために、式(I−2)で表される化合物を使用するのも好ましい。
【発明を実施するための形態】
【0014】
植物寄生性線虫類としては、例えば、プラチレンクス属各種(Pratylenchus spp.)、ラドホルス・シミリス(Radopholus similis)、ジチレンクス・ジプサシ(Ditylenchus dipsaci)、チレンクルス・セミペネトランス(Tylenchulus semipenetrans)、ヘテロデラ属各種(Heterodera spp.)、グロボデラ属各種(Globodera spp.)、メロイドギネ属各種(Meloidogyne spp.)、アフェレンコイデス属各種(Aphelenchoides spp.)、ロンギドルス属各種(Longidorus spp.)、キシフィネマ属各種(Xiphinema spp.)、トリコドルス属各種(Trichodorus spp.)、ブルサフェレンクス属各種(Bursaphelenchus spp.)、ベロノライムス・ロンギカウダツス(Belonolaimus longicaudatus)、メソクリコネマ・キセノプラキス(Mesocriconema xenoplax)、チレンコリンクス属各種(Tylenchorhynchus spp.)、ロチレンクルス属各種(Rotylenchulus spp.)、ヘリコチレンクス・ムルチシンクツス(Helicotylenchus multicinctus)、パラトリコドルス属各種(Paratrichodorus spp.)、パラチレンクス属各種(Paratylenchus spp.)、クリコネメラ属各種(Criconemella spp.)、ホプロライムス属各種(Hoplolaimus spp.)、スクテロネマ属各種(Scutellonema spp.)及びドリコドルス属各種(Dolichodorus spp.)などを挙げることができる。
【0015】
多年生作物は、柑橘類果実、仁果類、核果類、ブドウの蔓、チャ、アーモンド、堅果類、コーヒー、熱帯果樹、小果樹、観賞植物、芝生及びオリーブ類を意味するものと理解される。
【0016】
一年生作物は、野菜、タバコ、メロン、ビート、テンサイ、穀類、トウモロコシ、ワタ、ダイズ及びジャガイモを意味するものと理解される。
【0017】
式(I−1)及び式(I−2)で表される化合物などの成長調節性殺虫剤(growth−regulating insecticides)は、一般に、ゆっくりと作用し、成体動物に対して殺効果を示さない。作用の開始が遅く且つ土壌中での半減期が短いという理由により、土壌生息性線虫類に対する線虫防除施用は、実現可能であるということは期待されなかった。式(I−1)及び式(I−2)で表される化合物が、茎葉処理された後で、作用の開始が遅いにもかかわらず線虫類を防除するのに適しているということは、極めて驚くべきことである。
【0018】
保護対象の作物について概括的にのみ記載してきたが、下記において、差別化してさらに詳細に記載する。かくして、施用する目的で、柑橘類果実は、以下のものを意味するものと理解される:例えば、オレンジ、クレメンタイン、ウンシュウミカン、レモン、グレープフルーツ、キンカン、マンダリン;
さらに、仁果類、例えば、リンゴ、ナシ、さらに、核果類、例えば、モモ、ネクタリン、サクラ、アンズ;
さらに、ブドウの蔓、オリーブ、チャ、及び、熱帯作物、例えば、マンゴー、パパイア、イチジク、パイナップル、ナツメヤシ、バナナ、ドリアン、パッションフルーツ、カキ、ココナツ、カカオ、コーヒー、アボガド、レイシ、マラクジャ、グアバ、サトウキビ;
さらに、アーモンド及び堅果類、例えば、ヘーゼルナッツ、クルミ、ピスタチオ、カシューナッツ、ブラジルナッツ、ペカンナッツ、バターナッツ、クリ、ヒッコリーナッツ(hickory nuts)、マカダミアナッツ、ラッカセイ;
さらに、小果樹、例えば、クロフサスグリ、グーズベリー、ラズベリー、ブラックベリー、ブルーベリー、イチゴ、レッドビルベリー(red bilberries)、キウイ、ツルコケモモ。
【0019】
上記使用に関して、観賞植物は、以下のものを意味するものと理解される:例えば、切り花、例えば、バラ、カーネーション、ガーベラ、ユリ、マーガレット、キク、チューリップ、スイセン、アネモネ、ケシ、アマリリス、ダリア、アザレア、アオイ(malves)、クチナシ、トウダイグサ(euphobias);
さらに、例えば、花壇用植物、鉢植え植物及び低木(shrubs)、例えば、バラ、ハイビスカス、キク;
さらに、例えば、低木(bushes)及び針葉樹、例えば、イチジク、シャクナゲ、トウヒ、モミ、マツ、イチイ、ビャクシン、さらに、芝生、例えば、ゴルフ用芝生(golf lawn)、庭用芝生(garden lawn)。
【0020】
上記使用に関して、野菜類は、以下のものを意味するものと理解される:例えば、結果野菜類(fruiting vegetables)及び野菜としての花、例えば、ピーマン、トウガラシ、トマト、ナス、キュウリ、カボチャ、ズッキーニ、ソラマメ、クライミングビーン、ツルナシインゲン、エンドウ、チョウセンアザミ、トウモロコシ;
さらに、葉菜類、例えば、ヘッドレタス、チコリー、エンダイブ、さまざまなタイプのコショウソウ、さまざまなタイプのハナダイコン、コーンサラダ、アイスバーグレタス、リーキ、ホウレンソウ、フダンソウ;
さらに、塊茎菜類、根菜類及び茎菜類、例えば、根用セロリ/セロリ、ビートの根(beetroot)、ニンジン、ラディッシュ、セイヨウワサビ、フタナミソウ、アスパラガス、ヒトが消費するためのビート、パームハート(palm hearts)、タケノコ、さらに、鱗茎菜類、例えば、タマネギ、リーキ、イタリアウイキョウ(Florence fennel)、ニンニク;
さらに、アブラナ属(Brassica)野菜類、例えば、カリフラワー、ブロッコリー、コールラビ、赤キャベツ、白キャベツ、ケールキャベツ(curly kale)、サボイキャベツ(Savoy cabbage)、芽キャベツ、ハクサイ。
【0021】
穀類作物における上記使用に関して、穀類は、以下のものを意味するものと理解される:例えば、コムギ、オオムギ、ライムギ、エンバク、ライコムギ、さらに、トウモロコシ及びアワ。
【0022】
以下の科から選択されるものが特に好ましい。
【0023】
【表1】

【0024】
さらに、以下のものも特に好ましい。
【0025】
【表2】

【0026】
本発明に従って、全ての植物及び植物の部分を処理することができる。本発明に関して、植物というのは、望ましい及び望ましくない野生植物又は作物植物(自然発生した作物植物を包含する)のような全ての植物及び植物個体群を意味するものと理解される。作物植物は、慣習的な育種法及び最適化法により得ることが可能な植物であることができるか、又は、生物工学的方法及び組換え法により得ることが可能な植物であることができるか、又は、それら方法を組み合わせたものにより得ることが可能な植物であることができる。そのような作物植物には、トランスジェニック植物や、植物育種家の権利により保護され得る植物品種又は保護され得ない植物品種なども包含される。植物の部分は、苗条、葉、花及び根などの植物の地上及び地下の全ての部分及び全ての器官を意味するものと理解され、挙げることができる例は、葉、針状葉、茎(stalks)、幹(stems)、花、子実体、果実及び種子などであり、また、根、塊茎及び根茎なども挙げることができる。植物の部分には、さらに、収穫された作物(crop material)、並びに、栄養繁殖器官(vegetative propagation material)及び生殖繁殖器官(generative propagation material)、例えば、挿し穂(cuttings)、塊茎、根茎、挿苗(slips)及び種子なども包含される。
【0027】
該活性化合物を用いた植物及び植物の部分の本発明による処理は、慣習的な処理方法を用いて、例えば、浸漬、散布、燻蒸、噴霧、ばらまき、塗布、注入などによって、直接的に行うか、又は、植物及び植物の部分の周囲、生息環境若しくは貯蔵場所を処理することにより行い、また、繁殖器官(propagation material)の場合、特に種子の場合は、さらに、1層以上のコーティングを施すことによっても行う。
【0028】
上記で既に述べたように、本発明に従って、全ての植物及びそれらの部分を処理することができる。好ましい実施形態では、野生で見られる植物種及び植物品種、又は、交雑若しくはプロトプラスト融合のような慣習的な生物学的育種法により得られた植物種及び植物品種、並びに、それら植物種及び植物品種の部分を処理する。好ましいさらなる実施形態では、適切な場合には慣習的な方法と組み合わせた組換え法により得られたトランスジェニック植物及び植物品種(遺伝子組換え生物(genetically modified organisms))及びそれらの部分を処理する。用語「部分(parts)」、「植物の部分(parts of plants)」又は「植物の部分(plant parts)」については、上記で説明した。
【0029】
本発明に従って処理するのが特に好ましい植物は、いずれの場合にも市販されているか又は使用されている植物品種の植物である。植物品種は、慣習的な育種又は突然変異誘発又は組換えDNA技術によって品種改良された、新しい形質を有する植物を意味するものと理解される。これらは、品種、生物型及び遺伝子型の形態をとることができる。
【0030】
植物種又は植物品種、それらの生育場所及び生育条件(土壌、気候、生育期、養分)に応じて、本発明による処理の結果として、相加効果を超える効果(「相乗効果」)が生じることもあり得る。実際に期待される効果を超える効果は、例えば、本発明に従って使用し得る物質及び組成物の施用量の低減及び/又は活性スペクトルの拡大及び/又は活性の増強、植物の生育の向上、高温又は低温に対する耐性の向上、渇水又は水中若しくは土壌中の塩分に対する耐性の向上、開花能力の向上、収穫の容易性の向上、より早い成熟、収穫量の増加、作物生産物の品質の向上及び/又は栄養価の増加、作物生産物の貯蔵性の向上及び/又は加工性の向上などである。
【0031】
特に有利で有益な形質を植物に付与する遺伝物質を組換え修飾によって受け取った全ての植物は、本発明に従って処理される好ましいトランスジェニック植物又は植物品種(遺伝子工学によって得られたもの)に包含される。そのような形質の例は、植物の向上した生育、高温又は低温に対する向上した耐性、渇水又は水中若しくは土壌中の塩分に対する向上した耐性、向上した開花能力、向上した収穫の容易性、より速い成熟、増加した収穫量、作物生産物の向上した品質及び/又は向上した栄養価、作物生産物の向上した貯蔵性及び/又は向上した加工性である。そのような形質の特に重要な別の例は、害虫及び有害微生物に対する植物の向上した防御、例えば、昆虫類、ダニ類、植物病原性の菌類、細菌類及び/又はウイルス類に対する植物の向上した防御、並びに、特定の除草活性化合物に対する植物の向上した耐性である。挙げることができるトランスジェニック植物の例は、重要な作物植物、例えば、穀類(コムギ、イネ)、トウモロコシ、ダイズ、ジャガイモ、ワタ、タバコ、ナタネ及び果実植物(果実のリンゴ、ナシ、柑橘類果実及びグレープを有する果実植物)などであり、トウモロコシ、ダイズ、ジャガイモ、ワタ、タバコ及びナタネは特に重要である。特に重要な形質は、植物体内で形成された毒素の結果としての、昆虫類、クモ形類動物、線虫類並びにナメクジ類及びカタツムリ類に対する植物の向上した防御であり、特に、バシルス・ツリンギエンシス(Bacillus Thuringiensis)の遺伝物質(例えば、遺伝子CryIA(a)、CryIA(b)、CryIA(c)、CryIIA、CryIIIA、CryIIIB2、Cry9c、Cry2Ab、Cry3Bb及びCryIF並びにそれらの組合せ)によって植物体内で形成された毒素の結果としての、昆虫類、クモ形類動物、線虫類並びにナメクジ類及びカタツムリ類に対する植物の向上した防御である(以下、「Bt植物」と称する)。同様に特に重要な形質は、全身獲得抵抗性(SAR)、システミン(systemin)、ファイトアレキシン、誘導因子並びに抵抗性遺伝子及びそれにより発現されるタンパク質及び毒素による、菌類、細菌類及びウイルスに対する植物の向上した防御である。さらに、特に重要である形質は、特定の除草活性化合物、例えば、イミダゾリノン系、スルホニル尿素系、グリホセート又はホスフィノトリシンなどに対する植物の向上した耐性である(例えば、「PAT」遺伝子)。望まれる当該形質を付与する特定の遺伝子は、トランスジェニック植物内で、互いに組み合わせて存在させることも可能である。挙げることができる「Bt植物」の例は、YIELD GARD(登録商標)(例えば、トウモロコシ、ワタ、ダイズ)、KnockOut(登録商標)(例えば、トウモロコシ)、StarLink(登録商標)(例えば、トウモロコシ)、Bollgard(登録商標)(ワタ)、Nucotn(登録商標)(ワタ)及びNewLeaf(登録商標)(ジャガイモ)の商品名で販売されているトウモロコシ品種、ワタ品種、ダイズ品種及びジャガイモ品種である。挙げることができる除草剤耐性植物の例は、Roundup Ready(登録商標)(グリホセート耐性、例えば、トウモロコシ、ワタ、ダイズ)、Liberty Link(登録商標)(ホスフィノトリシン耐性、例えば、ナタネ)、IMI(登録商標)(イミダゾリノン耐性)及びSTS(登録商標)(スルホニル尿素耐性、例えば、トウモロコシ)の商品名で販売されているトウモロコシ品種、ワタ品種及びダイズ品種である。同様に挙げることができる除草剤抵抗性植物(除草剤耐性に関して慣習的な方法で品種改良されたもの)は、Clearfield(登録商標)(例えば、トウモロコシ)の名称で販売されている品種である。もちろん、ここで述べたことは、これらの遺伝形質又は将来に開発される遺伝形質を有し、将来において開発又は販売されるであろう植物品種にも適用される。
【0032】
本発明の活性化合物は、溶液剤、エマルション剤、水和剤、懸濁液剤、粉末剤(powders)、粉剤(dusts)、ペースト剤、可溶性粉末剤(soluble powders)、顆粒剤、サスポエマルション製剤、活性化合物を含浸させた天然物質及び合成物質、並びに、ポリマー物質中に超微細にカプセル化したもののような慣習的な製剤に変換することができる。
【0033】
これらの製剤は、既知方法で、例えば、場合により界面活性剤(即ち、乳化剤及び/又は分散剤及び/又は泡形成剤)を使用して、上記活性化合物を増量剤(即ち、液体溶媒及び/又は固体担体)と混合させることにより、製造する。
【0034】
適切な増量剤は、例えば、水、並びに、極性及び非極性の有機化学的液体、例えば、以下の種類から選択されるものである:芳香族及び非芳香族の炭化水素類(例えば、パラフィン類、アルキルベンゼン類、アルキルナフタレン類、クロロベンゼン類)、アルコール類及びポリオール類(これらは、場合により、置換され得る、エーテル化され得る、及び/又は、エステル化され得る)、ケトン類(例えば、アセトン、シクロヘキサノン)、エステル類(これは、脂肪類及び油類を包含する)及び(ポリ)エーテル類、置換されていない及び置換されているアミン類、アミド類、ラクタム類(例えば、N−アルキルピロリドン類)及びラクトン類、スルホン類及びスルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシド)。
【0035】
増量剤として水を使用する場合、例えば有機溶媒を補助溶媒として使用することもできる。適切な液体溶媒は主として以下のものである:芳香族化合物、例えば、キシレン、トルエン若しくはアルキルナフタレン類、塩素化芳香族化合物又は塩素化脂肪族炭化水素、例えば、クロロベンゼン類、クロロエチレン類若しくは塩化メチレン、脂肪族炭化水素、例えば、シクロヘキサン若しくはパラフィン類、例えば、鉱油留分、鉱油及び植物油、アルコール類、例えば、ブタノール若しくはグリコールとそれらのエーテル及びエステル、ケトン類、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン若しくはシクロヘキサノン、強極性溶媒、例えば、ジメチルホルムアミド及びジメチルスルホキシド、及び、水。
【0036】
適切な固体担体は、例えば、アンモニウム塩、及び、粉砕された天然鉱物、例えば、カオリン、クレー、タルク、チョーク、石英、アタパルジャイト、モンモリロナイト又はケイ藻土、及び、粉砕された合成鉱物、例えば、高分散シリカ、アルミナ及びシリケートなどであり; 顆粒剤に適した固体担体は、例えば、粉砕して分別した天然石、例えば、方解石、大理石、軽石、海泡石及びドロマイト、並びに、無機及び有機の粗挽き粉からなる合成顆粒、並びに、有機材料(例えば、おがくず、ココナッツ殻、トウモロコシ穂軸及びタバコの葉柄など)からなる顆粒などであり; 適切な乳化剤及び/又は泡形成剤は、例えば、非イオン性及びアニオン性の乳化剤、例えば、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪アルコールエーテル、例えば、アルキルアリールポリグリコールエーテル、アルキルスルホネート、アルキルスルフェート、アリールスルホネート、並びに、タンパク質加水分解産物などであり; 適切な分散剤は、例えば、リグノスルファイト廃液及びメチルセルロースなどである。
【0037】
上記製剤において、接着剤、例えば、カルボキシメチルセルロース、粉末又は顆粒又はラテックスの形態にある天然ポリマー及び合成ポリマー、例えば、アラビアゴム、ポリビニルアルコール及びポリ酢酸ビニル、並びに、天然のリン脂質、例えば、セファリン及びレシチン、並びに、合成リン脂質などを使用することができる。別の添加剤は、鉱油及び植物油であり得る。
【0038】
着色剤、例えば、無機顔料、例えば、酸化鉄、酸化チタン及びプルシアンブルー(Prussian Blue)、並びに、有機染料、例えば、アリザリン染料、アゾ染料及び金属フタロシアニン染料、並びに、微量栄養素、例えば、鉄塩、マンガン塩、ホウ素塩、銅塩、コバルト塩、モリブデン塩及び亜鉛塩などを使用することができる。
【0039】
上記製剤は、一般に、0.1〜95重量%の活性化合物、好ましくは、0.5〜90重量%の活性化合物を含有し、さらに、好ましくは増量剤及び/又は界面活性剤も含有する。
【0040】
市販されている製剤から調製された使用形態の上記活性化合物の含有量は、広い範囲内でさまざまであることができる。使用形態における上記活性化合物の濃度は、0.0000001〜95重量%の活性化合物、好ましくは、0.0001〜1重量%の活性化合物であることができる。
【0041】
施用は、その使用形態に適した慣習的な方法で行う。
【実施例】
【0042】
使用実施例
実施例1
5反復で、いずれの場合にも15本のブドウノ蔓(品種「Thompson Seedless 1948」)を、噴霧器を用いて土壌生息性線虫類に対して処理する。ここで、マイクロ灌漑注入による灌注施用後のイミダクロプリド(SC550)との比較で、活性化合物(I−2)(SC240)のタンクミックスを記載されている施用量(0.25%のアジュバント「Acitvator 90」含有)での茎葉施用後に施用する。散布水量(water application rate)は、1エーカー(=植物605本)当たり75ガロンである。32日の間隔で、活性化合物(I−2)を2回施用する。 処理前並びに最初の処理の30日後及び60日後に、500gの土壌中の線虫類の数を数えることにより評価を行う。
【0043】
【表3】

【0044】
【表4】

【0045】
【表5】

【0046】
実施例2
ミカンネセンチュウ(Tylenchulus semipenetrans)を防除するための、ポット植柑橘類に対する(I−2)の茎葉施用
処理:15本の木に〔(I−2)=Movento〕を散布、15本の木に水を散布(各ポットについて予めサンプルを選定する); 25mL/木
プロトコル:
全てのポットにミカンネセンチュウ(Tylenchulus semipenetrans)の幼虫を加える。その翌日、木を温室から外に出す。散布が土壌に掛からないようにポットの上端を覆う。(I−2)(SC240)を、散布液(sprac solution)1リットル当たり2.6mLの濃度で、2.5mLのアジュバントMSO(メチル化種子油)〔100%活性成分(w/v)、0.25%(v/v)で散布液に添加する〕を加えて散布する。2ガロン「Sure Spray」ポンプ噴霧器(Chapin Mfg.)で、円錐形の散布パターンをもたらすノズルを用いて、木の両面から樹葉の天蓋に液体が流れ落ちるようになるまで散布する。乾燥後、植物を温室に戻す。14日後に繰り返し行う。
【0047】
このミカンネセンチュウ試験のために、樹齢5年のVolkamerレモンの若木に圃場から得られたミカンネセンチュウ(T.semipenetrans)を寄生させ、殺虫剤の試験で使用するまで温室(25−32℃)内で維持する。この試験で使用する木は、殺線虫性化合物での処理は行わない。当該若木は、長方形のポット(10×10×30cm)内のAstatula砂(97%砂)とPro−mix鉢葉混合土(potting mixture)の混合物(50:50)中で栽培する。木への潅水は通常どおり行うが、試験期間中は、肥料を与えず、(I−2)以外の殺虫剤処理も行わない。ミカンネセンチュウに対する効果は、処理の30日後及び60日後に土壌をサンプリングすることによって評価する。
【0048】
【表6】

【0049】
【表7】

【0050】
【表8】

【0051】
【表9】

【0052】
【化2】

【0053】
ミカンネセンチュウ(Tylenchulus semipenetrans)生データ(土壌100cm当たりの幼形の雄線虫。「Pi」は、処理前の初期個体数であり、「Pf」は、処理後1ヶ月及び2ヶ月における最終的な個体数である)。
【0054】
【表10】

【0055】
実施例3
試験は、シェードハウス内で、約78F(76−80F)の温度で行う。試験は、7処理6反復の完全な無作為設計で行う。6インチポットに、ポット当たり1500gの蒸気滅菌(194Fで2時間30分)された畑土壌を詰め、移植された4週齢のトマト(品種「Rutgers」)を加える。該土壌は、Arredondo細砂(約92%砂及び1%om)である。その土壌は、ネコブセンチュウによる感染歴が無い場所から取る。
【0056】
Vydate CLVと(I−2)〔SC240;アジュバント:Dyne−Amic(非イオン性有機シリコーン界面活性剤とMSOの混合物)、99%活性物質(w/v)、0.25%(v/v)で添加する〕の最初の予防的な処理を茎葉散布として施用する。ホスチアゼート 900を、1エーカー当たり40ガロンの水の土壌灌注として施用する。1回目の処理の7日後に、Vydateと(I−2)の2回目の予防的な施用を茎葉部に散布する。2回目の処理の1日後に、ポット当たりアレナリアネコブセンチュウ(Meloidogyne arenaria)の5000個の卵を加えることによって、土壌に接種する。アレナリアネコブセンチュウ(Meloidogyne arenaria)の接種の21日後及び28日後に、Vydateと(I−2)の治療的な処理を茎葉散布として施用する。
【0057】
(I−2)とVydateの全ての処理は、単一の8003 VS TeeJetノズルを有するCO加圧噴霧器によって、1エーカー当たり40ガロンの水で施用する。各処理についてのトマト植物は、1列に並べて、滴が著しく滴るようになるまで茎葉部に直接散布する。
【0058】
1回目の処理の78日後、当該植物を収穫する。各根系を、1根系当たりのネコブセンチュウの瘤(galling)と卵の割合(%)について評価する。1根系当たりの瘤の数を評価するために、以下のような1〜6の尺度を用いる: 1=根系上に瘤が存在していない; 2=10%; 3=11〜30%; 4=31〜70%; 5=71〜90%; 6=100%の根系に瘤が形成されている。瘤の割合(%)を求めた後、その根を漂白溶液中で処理して、卵の周囲を取り囲んでいるゼラチン質マトリックスを溶解させる。個々の卵を500メッシュの篩上に集め、それらの数を求めるために、計数皿に注ぎ入れる。
【0059】
結果
処理も接種もされていない対照植物は、瘤を有さず、その根は、白くて外見上は健康的である(表1)。処理されていないが接種はされた植物は、根が黒ずんでいて腐りかけており、腐朽の視覚的な徴候を示した。瘤と卵塊は非常に多く、多くの合体した大きな瘤が存在している。
【0060】
ホスチアゼートで処理された植物は、6本のうちの1本を除いて、根に多くの瘤と卵塊があって根は黒ずんで腐りかけている。その根系の大部分は、合体した瘤を有している。それらの全般的な外見は、処理されていないが接種はされた植物の外見と類似している。予防的な処理として茎葉散布によって(I−2)で処理された植物の根系は、多くの卵塊と合体した瘤を有している;根は、外見上は黒ずんでいるが、卵塊の数は、処理されていないが接種はされた対照植物における卵塊の数よりも少ないように見える。Vydateの予防的な茎葉処理で処理された植物の根は、多くの合体した瘤を有しているが、根は外見上は比較的白く、腐敗は視覚的にあまりはっきりとしない。卵塊は殆ど存在していない。
【0061】
治療的な処理として(I−2)で処理された植物の根は、殆ど黒ずんでいないか又は外見上の腐敗は殆ど見られない。それらは、より繊維質の根を有し、総体的に、それらはより大きな根系であるように見える。6本の植物のうちの3本は、瘤の合体を殆ど有さず、卵塊の数は明らかに少ない。治療的な処理としてVydateで処理された植物は、(I−2)で処理された植物よりも多くの合体した瘤を有している。外見上の腐敗は殆どなく、卵塊の数は比較的少ない。
【0062】
幾つかの処理におけるトマトの根に存在している卵塊が比較的少ないように見えたので、処理間の測定をより定量的なものとするために、個々の卵の数を数える。
【0063】
【表11】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一年生作物及び多年生作物における植物に損傷を与える土壌生息性線虫類を防除するための、式式(I−1)及び式(I−2)
【化1】

で表される化合物の使用。
【請求項2】
ブドウの蔓(wine)における植物に損傷を与える土壌生息性線虫類を防除するための、請求項1に記載の式(I−1)で表される化合物の使用。
【請求項3】
野菜類における植物に損傷を与える土壌生息性線虫類を防除するための、請求項1に記載の式(I−1)で表される化合物の使用。
【請求項4】
柑橘類における植物に損傷を与える土壌生息性線虫類を防除するための、請求項1に記載の式(I−1)で表される化合物の使用。
【請求項5】
ブドウの蔓(wine)における植物に損傷を与える土壌生息性線虫類を防除するための、請求項1に記載の式(I−2)で表される化合物の使用。
【請求項6】
野菜類における植物に損傷を与える土壌生息性線虫類を防除するための、請求項1に記載の式(I−2)で表される化合物の使用。
【請求項7】
柑橘類における植物に損傷を与える土壌生息性線虫類を防除するための、請求項1に記載の式(I−2)で表される化合物の使用。
【請求項8】
植物に損傷を与える土壌生息性線虫類を防除する方法であって、請求項1に記載の式(I−1)で表される化合物を茎葉処理することを特徴とする、前記方法。
【請求項9】
植物に損傷を与える土壌生息性線虫類を防除する方法であって、請求項1に記載の式(I−2)で表される化合物を茎葉処理することを特徴とする、前記方法。

【公表番号】特表2011−507846(P2011−507846A)
【公表日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−539480(P2010−539480)
【出願日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際出願番号】PCT/US2008/013829
【国際公開番号】WO2009/085176
【国際公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(302063961)バイエル・クロツプサイエンス・アクチエンゲゼルシヤフト (524)
【Fターム(参考)】