説明

線路のまくら木へのレール固定装置

側面ショルダを備えた線路のまくら木に、弾性締結具を有する装置によってレールを固定する。この装置は、側面ショルダ(15)とレールのフランジ(21)の縁との間に配置された側面ストッパ(19)と、プレート状の弾性締結具(23)と、留め具(27)とを含み、前記側面ストッパ(19)が、その上部に弾性締結具のための接触ゾーン(33)を含んで、この締結具の変形を制限できるようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レールに平行な側面ショルダを備えた線路のまくら木へのレールの固定装置に関する。本発明は、特に、前記固定装置の一部をなす弾性締結具によって及ぼされる締め付け応力を制御可能にする改良に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道線路のレールは、弾性締結具を介して線路のまくら木に設置され、固定される。例えば公知の線路のまくら木は、このようなレールを収容する平らな中央開口部を備えて2個の平行なショルダを画定し、各ショルダが、レールの側面フランジの縁から離されている。レールの下におかれる弾性の軌道パッドは、まくら木の上に配置されて、レール底部を収容するように構成される。この軌道パッドは、列車の通過時に線路に垂直応力を伝達する。
【0003】
レールの各側には、レールフランジの縁とまくら木に隣接するショルダとの間に側面ストッパが配置される。側面ストッパは、レールの横方向の応力を線路に伝達する。
【0004】
このような固定は、ショルダとレールフランジとの間に当接する弾性変形可能なプレート(ほぼ台形)状の弾性締結具によって実施される。まくら木に固定される留め具は、この弾性締結具を貫通し、レールフランジから距離を置いて締結具で支持され、応力下で弾性的な締結を実施する。このような留め具(スクリュースパイクまたはボルト)は、弾性締結具に垂直方向の応力を及ぼし、あるいは垂直方向に移動させる。さらに、機械的な機能をもたない絶縁プレートが、弾性締結具と、フランジおよびショルダとの間に配置される場合が多い。絶縁プレートは、弾性締結具の下に配置される。この絶縁プレートは、レールに対して締結具を電気的に絶縁する。
【0005】
弾性締結具を介してレールフランジに垂直に及ぼされる応力は、固定装置の1つの重要な特徴である。この特徴は、線路のまくら木に対するレールの長手方向のすべり抵抗に直接の影響を及ぼすものであり、このことは、溶接されたロングレールを使用する場合に重要である。一般に、弾性締結具は、変形制御を課しながら応力をかけて設置されるばね鋼から構成される。この応力は、年月を経て固定装置の構成要素で自然摩耗が発生する可能性があるが、それでもなお、できるだけ一定にとどまらなければならない。こうした摩耗がある場合、ばねを形成する弾性締結具に付与された当初の応力の値が弱まる傾向がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、予め決められた沈み(enfoncement)に達したときに、弾性締結具をブロックすることによって、この弾性締結具に付与される締め付け力をよりよく制御することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
特に、本発明は、側面ショルダを備えた線路のまくら木へのレールの固定装置に関し、この装置は、前記側面ショルダとレールのフランジの縁との間に配置された側面ストッパと、前記側面ショルダと前記フランジとの間に当接されて、変形可能なプレート形状を全体として呈する弾性締結具と、前記まくら木に固定され、前記弾性締結具を貫通してこの弾性締結具で当接される留め具とを含むタイプであり、前記側面ストッパが前記まくら木で保持されていて、その上部に、前記弾性締結具のための接触ゾーンを含み、この接触ゾーンは、前記側面ショルダと、レールに平行でかつ前記留め具の軸を通る垂直面との間にほぼ位置特定されている。
【0008】
このようにして、側面ストッパは、弾性締結具の下とまくら木との間に配置された肉厚なブロックの役割を付加的に果たす。弾性締結具の沈みを制限することによって、この締結具を構成する鋼板プレートのたわみを制限し、力の強さを加減しながらこの鋼板プレートがレールに当接するようにする。しかし、接触ゾーンの位置特定については、弾性締結具が、留め具とレールフランジにおける当接ゾーンとの間で自在に変形できるような位置とする。このようにして、弾性締結具の大部分は、(部分的にゆるめられながら)弾性変形し、列車の通過時のレールの沈みに付随することができる。このようなフレキシビリティによって、列車の通過時にレールがいくらか沈んだときでも弾性締結具とレールとの間の接触損失リスクが除去される。
【0009】
そのため、本発明によって初期の締め付け時に弾性締結具をブロックすることで、列車の通過時にレールが垂直に沈む場合に、この締結具の弾性を損なわずに締め付けを制御することができる。
【0010】
考えられる1つの実施形態によれば、側面ストッパは、前記留め具が通る通過穴を含んでおり、前記接触ゾーンが、この通過穴の上面の一部から構成される。
【0011】
有利には、この上面が、下向きに傾斜した部分を含んでおり、前記傾斜部分の低い方のレベル面が前記レールに隣接して配置される。
【0012】
有利には、電気絶縁材料からなるプレートが、弾性締結具の下でレールフランジと前記側面ショルダとの間に配置される。
【0013】
この絶縁プレートは、好適には、広幅の中央開口部を有し、この中央開口部に前記通過穴が係合される。このようにして、絶縁プレートは通過穴と干渉せず、弾性締結具の変形を制限するストッパの役割を十分に果たす。
【0014】
有利には、絶縁プレートと側面ストッパとが、協働する係止手段を含んでいる。従って、これらは線路に沿って一緒に組み立てて取り付けることができる。しかし、規則正しい間隔の場所の場合、側面ストッパだけが(側面ストッパの幅が、側面ショルダの縁からレールフランジの縁を隔てる距離に対応する)レールの設置ガイドの役割を果たすために設置される。この場合、絶縁プレートは、レールの設置後に側面ストッパに係止される。有利には、側面ストッパが、例えばガラスファイバで補強されたポリアミド等の非常に硬い合成材料から構成され、その一方で、絶縁プレートは、あらゆる場合に、例えば通常のポリアミドのような、それほど強度のない材料から構成可能である。
【0015】
本発明は、添付図面を参照しながら、例としてのみ挙げられて本発明の原理に従って線路のまくら木へのレールの固定装置を示す以下の説明を読めば、いっそう理解され、発明の他の特徴が一段と明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明による2個の固定装置の間にレールを組み立てるところを示す一部分解斜視図である。
【図2】レールを組み立てたところを示す横断面図である。
【図3】本発明による側面ストッパを示す斜視図である。
【図4】図3の下面図である。
【図5】絶縁材料からなるプレートを示す斜視図である。
【図6】図4の下面図である。
【図7】側面ストッパと絶縁プレートとを予め組み立てるところを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図では、平らな底を有し、2個の側面ショルダ15を画定するまくら木13のくりぬき部分14に設置されるレール11を示した。レールは、弾性的にわずかに圧縮可能な軌道パッド17を介してまくら木で保持されている。この軌道パッドは、線路のまくら木13に列車の垂直方向の応力を伝える。レールの各側には、ショルダ15の一方とレールのフランジ21の縁との間に配置される側面ストッパ19が設置される。側面ストッパ19は、線路にレールの横方向の応力を伝える。側面ストッパは、フランジ21の縁とショルダ15の縁との間にあるスペースを占有する。レールは、ほぼ台形のプレートの形をした変形可能な弾性締結具23を介してまくら木13に固定される。このような金属製の弾性締結具は、この弾性締結具の下でレールのフランジ21とショルダ15との間に電気絶縁材料からなるプレート25を介在させながら、ショルダ15とフランジ21との間に当接される。
【0018】
留め具27(弾性締結具23と協働する)は、ここでは、上端でねじ切りされているロッド29と、ナット31とから構成される。ロッドはまくら木13に埋め込み接着(scellee)される。このロッド29は、前記側面ストッパ19と、絶縁プレート25と、弾性締結具23とを貫通する。ナット31は、このロッドのねじ切りされた端部にねじ止めされており、弾性締結具23と絶縁プレート25とからなるアセンブリをレールのフランジ21とショルダ15とに当接させる。ナットの締め付けは弾性締結具23の弾性変形を伴うので、ナットの押し込みに比例して締め付けが確実に行われる。
【0019】
本発明の重要な1つの特徴によれば、側面ストッパ19は、ショルダとレールフランジの縁との間でまくら木13に当接し、その上部に、弾性締結具23のための接触ゾーン33を含んでいる。この接触ゾーン33は、おもに、側面ショルダ15と、レールに平行で前記留め具の一部をなすロッド29の軸を通る垂直面との間に位置特定される。実施例では、前記接触ゾーンがショルダとロッド29との間に配置されている。
【0020】
側面ストッパ19は、留め具のロッド29のための通過穴35を備えている。弾性締結具23の変形を制限する前記接触ゾーン33は、この通過穴35の上面37の一部から構成されている。図3に示すように、通過穴の上面37は、前記接触ゾーン33を形成する水平部分を含み、この水平部分が、傾斜部分41に隣接していて、傾斜部分をその上方のレベル面から、レールから離れる方向に延長している。より詳しくは、傾斜部分41の下方のレベル面がレールに隣接して配置される。従って、弾性締結具23は、接触ゾーン33が存在するために変形を正確に制御可能で、その結果として弾性締結具23により得られる締め付けを正確に制御可能である一方で、傾斜部分41に面したこの接触ゾーンでは自由であって、留め具27とレール11との間でその弾性全体が保持される。
【0021】
さらに、図5が示すように、絶縁プレート25は、比較的広幅の中央開口部45を有し、この中央開口部に通過穴35が係合される。そのため、絶縁プレート25は、列車が通過する瞬間に弾性締結具23が下方にたわむ動作に付随する場合でも、この通過穴と干渉しない。レールは、軌道パッドを圧縮しながらわずかに沈むが、レールフランジと弾性締結具23とが接触し続けるので、レールと側面ストッパとの間の位置が維持される。
【0022】
絶縁プレート25は、側面ストッパの切り欠き49と協働する2個の係止分枝47を有する。これらの係止手段が協働することによって、この2個の要素を予め組み立ててからレールに沿って設置可能である。それに対して、側面ストッパは単独で、レールの設置のためのガイド手段の役割を果たすことができる。この場合、絶縁プレートは、レールの設置後に本来の場所に係止される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
側面ショルダを備えた線路のまくら木へのレールの固定装置であって、前記側面ショルダ(15)とレールのフランジ(21)の縁との間に配置された側面ストッパ(19)と、前記側面ショルダと前記フランジとの間に当接されて、変形可能なプレート形状を全体として呈する弾性締結具(23)と、前記まくら木に固定され、前記弾性締結具を貫通して前記弾性締結具で当接される留め具(27)とを含むタイプであり、前記側面ストッパ(19)が前記まくら木で保持されていて、その上部に前記弾性締結具のための接触ゾーン(33)を含み、この接触ゾーンは、前記側面ショルダ(15)と、レールに平行でかつ前記留め具の軸を通る垂直面(P)との間にほぼ位置特定されていることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記側面ストッパ(19)は、前記留め具が通る通過穴(35)を含んでおり、前記接触ゾーン(33)が、前記通過穴の上面の一部から構成されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記上面が、下向きに傾斜した部分(41)を含んでおり、前記傾斜部分の低い方のレベル面が前記レール付近に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記上面が、前記接触ゾーン(33)を形成する水平部分を含み、この水平部分が傾斜部分に隣接していて、傾斜部分をその上方のレベル面から延長していることを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記弾性締結具の下で前記レールフランジと前記側面ショルダとの間に配置される電気絶縁材料のプレート(25)を含んでいることを特徴とする先行請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記絶縁プレート(25)が中央開口部(45)を有し、この中央開口部に前記通過穴が係合されて絶縁プレートが前記通過穴と干渉しないようにされていることを特徴とする請求項2および5に記載の装置。
【請求項7】
前記絶縁プレートと前記側面ストッパとが、協働する係止手段(47、49)を含んでいることを特徴とする請求項5または6に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2011−525948(P2011−525948A)
【公表日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−515560(P2011−515560)
【出願日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際出願番号】PCT/FR2009/051210
【国際公開番号】WO2010/004170
【国際公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【出願人】(502308169)レイルテック アンテルナショナル (3)
【氏名又は名称原語表記】RAILTECH INTERNATIONAL
【Fターム(参考)】