線路周辺設備空間情報取得システム
【課題】INS部、GPS部等を備えないで昼夜を問わず線路周辺設備のレーザデータに対応する移動車輌の位置及び移動距離を算出させることができる線路周辺設備空間情報取得システムを提供する。
【解決手段】軌陸車本体2に架台3を設け、車上子・エンコーダ用台車20aを接続する。架台3に下方スキャン用レーザ11Aと上方スキャン用レーザ11BをV字状に固定し、左の角部に、左カメラ・照明部Lを固定し、かつ右の角部に右カメラ・照明部Rを固定し、コントローラ部30が、その内部タイマの時刻をレーザスキャナ11A,11Bに設定して、これらのレーザスキャナ11A,11Bからのレーザエンコーダデータを50Hzで収集し、両方のカメラ13L,13Rからの赤外線画像データを30Hzで取得し、200Hzの周期で、エンコーダ22からのエンコーダパルス、ATS検出信号を取得して内部タイマの時刻をそれぞれに付加してメモリに記憶する。
【解決手段】軌陸車本体2に架台3を設け、車上子・エンコーダ用台車20aを接続する。架台3に下方スキャン用レーザ11Aと上方スキャン用レーザ11BをV字状に固定し、左の角部に、左カメラ・照明部Lを固定し、かつ右の角部に右カメラ・照明部Rを固定し、コントローラ部30が、その内部タイマの時刻をレーザスキャナ11A,11Bに設定して、これらのレーザスキャナ11A,11Bからのレーザエンコーダデータを50Hzで収集し、両方のカメラ13L,13Rからの赤外線画像データを30Hzで取得し、200Hzの周期で、エンコーダ22からのエンコーダパルス、ATS検出信号を取得して内部タイマの時刻をそれぞれに付加してメモリに記憶する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道線路に沿って走行する移動体上にレーザスキャナと赤外線カメラと赤外線照明器とを設置して、移動体の走行に伴って線路周辺の空間情報を昼夜を問わずに取得できる線路周辺設備空間情報取得システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、鉄道線路においては、多くの距離標、勾配標、速度制限標等の線路周辺設備が配置されている。
【0003】
これらの線路周辺設備に基づいて電車の運転員が電車を適正に制御(アラーム、ブレーキ指令等)する。
【0004】
このため、これらの線路周辺設備は適切な位置で制御できるように管理されている。しかし、これらの線路周辺設備は、キロ程による距離管理であり、正確な地理座標上の位置は特定されていないので自動的制御ができない。
【0005】
このため、線路周辺設備や車輌位置を地理座標上に特定することが求められている。
【0006】
そして、近年は線路周辺設備及び車輌位置を地理座標上に特定して、電車に搭載したGPS(Global Positioning System:全地球測位システム)等の機能により自分の地理座標上の位置や速度並びに線路周辺設備を常に把握しながら、車輌の位置と動作(アラーム、ブレーキ指令等)に関する情報を読み出しながら乗務員の運転を支援する方式がある。
【0007】
この方式は、正確な位置情報(距離や座標)に基づく線路周辺設備のデータベースが必要となるので事前に線路周辺設備の地理座標を取得する。
【0008】
例えば、特許文献1の三次元データ取得装置は、鉄道車両上に2台のレーザスキャナを上下一体で異なる角度で設置して、明るい内に鉄道車両を走行させながら一方のレーザで鉛直方向360度を計測させ、他方のレーザで斜めに360度で計測する。また、車輌の側面にラインカメラを設ける。さらに、INS(Inertial Navigation System:慣性航法装置)部と、GPS(Global Positioning System:全地球測位システム)部等を備えて、軌道沿線の構造物の三次元空間情報を取得する。
【0009】
即ち、上記した特許文献1に開示された三次元データ取得装置では、ここでの図示を省略するものの、レーザ光を回転させながら測定対象物に放射し、このレーザ光の反射光を受信して測定対象物までの距離を測定する際に、レーザ光の放射方向の回転断面をなす計測断面が鉄道車両の進行方向に対して鉛直面をなすように、鉄道車両の上部に搭載された一方のレーザスキャナと、レーザ光の放射方向の回転断面をなす計測断面が一方のレーザスキャナの計測断面に対して略進行方向に所定角度傾いた面を形成するように鉄道車両の上部に搭載された他方のレーザスキャナと、これらのレーザスキャナの計測情報を記憶する記憶部とを備えることで、架線やトンネル上部、進行方向に対して垂直な面などに対応でき、かつ鉄道車両上の車両限界の制約を満たすことができ、よって鉄道車両に適用するのにより適した三次元データ取得装置が容易に得られる旨が記載されている。
【0010】
一方、道路周辺の建物を取得するものもある。
【0011】
例えば、特許文献2の移動体用広視野角多方向画像取得装置は、自動車のルーフに取り付けた架台上に、レーザレーザスキャナと、マルチラインカメラと、GPS(Global Positioning System:全地球測位システム)衛星からの信号を受信するDGPS(Differential GPS)アンテナとを搭載して、自動車を走行させながら三次元空間情報を取得する。
【0012】
即ち、上記した特許文献2に開示された移動体用広視野角多方向画像取得装置及び移動体用広視野角多方向画像取得システムでは、ここでの図示を省略するものの、自動車のルーフに取り付けた架台上に3台のレーザスキャナがこの自動車の進行方向の後方の中央部と左右の側部とに設置され、且つ、3個の魚眼レンズ及びラインセンサを有してなる2台のマルチカメラが架台の左右側面に設置されることで、走行中に360°の広範囲に亘って地物の画像を高解像度で取得できる旨が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2005−69700号公報
【特許文献2】特開2002−34055号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、特許文献1の三次元データ取得装置は、軌道沿線の構造物の三次元空間情報を明るい内に計測するものであるから、電車の本数が多い明るい内においては、計測時間が限られることになる。このため、線路周辺設備の地理座標の取得には長時間の作業を要することになるからコストがかかるという課題があった。
【0015】
また、特許文献1及び2は、INS部と、GPS部等を備えて、軌道沿線の構造物の三次元空間情報を取得して、移動車輌の位置(緯度、経度)にレーザデータを対応付けるものであるから装置が大型になって、コスト高になるという課題があった。
【0016】
本発明は上記の課題を鑑みてなされたもので、INS部、GPS部等を備えないで昼夜を問わず、線路周辺設備のレーザデータに対応する移動車輌の位置及び移動距離を算出させることができる線路周辺設備空間情報取得システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の線路周辺設備空間情報取得システムは、鉄道線路を移動する移動体に、レーザスキャナ部と、車軸の回転数に応じたエンコーダパルスを出力するエンコーダと、コントローラ部とを備えて、前記鉄道線路の周辺の空間情報を取得する線路周辺設備空間情報取得システムであって、
前記レーザスキャナ部は、
レーザヘッドを所定のスキャン周期で回転させながら所定のピッチ角度で単一のレーザ光を発射し、このレーザ光に基づく反射強度と反射物までのレーザ距離とをレーザデータとして前記ピッチ角度毎に順次、出力するレーザ部と、
前記エンコーダパルスを入力し、この累積値を設定された第1の間隔(50Hz)で第1の累積カウント値として出力するレーザ付属情報出力部と、
前記レーザ光が前記鉄道線路に対して所定傾斜角度で発射されるように前記レーザ部を保持して前記移動体の荷台上に固定されたレーザ部支持部材と、
を備え、
前記コントローラ部は、
前レーザ付属情報出力手段に、前記レーザヘッドのスキャン周期(50Hz)として前記レーザ部に設定し、該スキャン周期を前記第1の間隔(50Hz)とし、該間隔毎に最終ピッチの前記レーザデータに前記第1の累積カウント値を付加させる制御情報を前記レーザ付属情報出力部に設定する手段と、
前記レーザデータが入力する毎に、このレーザデータを第1の記憶手段に順次記憶する手段と、
を備えたことを要旨とする。
【0018】
また、本発明の線路周辺設備空間情報取得システムにおいて、前記レーザ付属情報出力部は、レーザ用の内部タイマを備え、
前記コントローラ部は、カウンタボードを備え、
前記カウンタボードは、前記エンコーダからのエンコーダパルスを計数し、この累積値を第2の累積カウント値として第2の間隔(200Hz)で出力するカウント手段を備え、
さらに、前記コントローラ部は、
コントローラ部用の内部タイマを備え、
前記レーザ付属情報出力部のレーザ用の内部タイマに対して、現在時刻を設定する手段と、
前記カウンタボードに対して、前記スキャン周期以上の周期(200Hz)を前記第2の間隔として設定する手段と、
前記カウンタボードからの前記第2の間隔で前記第2の累積カウント値が出力される毎に、前記コントローラ部用の内部タイマの現在時刻を該第2の累積カウント値に付加して第2の記憶手段に順次、記憶する手段と、
を備えたことを要旨とする。
【0019】
また、本発明の線路周辺設備空間情報取得システムは、前記荷台上に、前記鉄道線路の周辺の沿線設備を含んで撮影した画像データを前記スキャン周期以下の周期(30Hz)で出力する撮影装置を備え、
前記コントローラ部は、前記撮影装置からの前記画像データに前記コントローラ部用の内部タイマの現在時刻を付加して第3の記憶手段に記憶する手段を備えたことを要旨とする。
【0020】
また、本発明の線路周辺設備空間情報取得システムにおいて、前記荷台上の前記撮像装置は、
前記右用カメラ・照明部及び左用カメラ・照明部を有し、
前記右用カメラ・照明部は、
前記荷台の右部に、カメラの光軸中心が右線路に対して内側となる姿勢角で固定されて前記スキャン周期以下の周期で撮影した右赤外線画像又は右可視光線画像を出力する右用赤外線カメラと、
前記右用赤外線カメラの上に、光軸中心が前記右線路のやや外側を向くように固定された右用赤外線照明器と、
を備え、
前記左用カメラ・照明部は、
前記荷台の左部に、カメラの光軸中心が左線路に対して内側となる姿勢角で固定されて前記スキャン周期以下の周期で撮影した左赤外線画像又は左可視光線画像を出力する左用赤外線カメラと、
前記左用赤外線カメラの上に、光軸中心が前記左線路のやや外側を向くように固定された左用赤外線照明器と、
を備えていることを要旨とする。
【発明の効果】
【0021】
以上のように本発明によれば、鉄道線路を移動する移動体に、この鉄道線路に対して、所定の傾斜角度となる単一のレーザ光を円状にスキャンさせながら発射させるレーザスキャナ部と、車軸の回転数に応じたエンコーダパルスを出力するエンコーダとを設け、これらを制御するコントローラ部がレーザヘッドの回転に伴って、所定のピッチ角度で反射物(撮影対象物)までのレーザ距離とその反射強度とを含むレーザデータを出力させて順次、記憶する。
【0022】
一方、コントローラ部がカウント手段により、車軸に設けたエンコーダからの移動距離に応じた数のエンコーダパルスを計数させ、前述のレーザヘッドのスキャン周期毎に、この累積カウントである第1の累積カウント値をスキャン周期時の最終ピッチのレーザデータに付加させて出力させる。
【0023】
すなわち、スキャン周期毎に、最終ピッチのレーザデータには、現在までのエンコーダの移動距離に応じた第1の累積カウント値を付加させているので、レーザヘッドが1周期した時点までの、移動体の距離を第1の累積カウント値から知ることができる。
【0024】
従って、GPS部、INS部を設けなくとも、スキャン周期毎に鉄道線路上の移動車輌の位置が特定できる
また、レーザヘッドの1周期における撮影対象物までのレーザ距離とその反射強度とを含むレーザデータを順次記憶しているので、その撮影対象物を構成する画素を反射強度に対応した色で表現することが可能となる。
【0025】
さらに、コントローラ部がレーザスキャナ部と時刻同期を行なった後で、このレーザスキャナ部の現在時刻をスキャン周期時の最終ピッチのレーザデータに付加して送出させる一方、カウント手段によってエンコーダからのエンコーダパルスを計数させて前述のスキャン周期よりも数倍の細かな周期毎(200Hz)に、このエンコーダパルスの累積結果である第2の累積カウント値を読み出すと共に、この第2の累積カウント値にコントローラ部の内部タイマの現在時刻を付加してエンコーダパルスデータとして記憶する。
【0026】
このため、何らかの理由でレーザスキャナ部からのエンコーダパルスの累積結果である第1の累積カウント値に狂いがあったとしても、カウント手段からのエンコーダパルスデータは、より細かな周期で収集したエンコーダパルスの累積結果である第2の累積カウント値とレーザスキャナ部の内部タイマと同期が取られたコントローラ部の現在時刻とを含むものであるので、レーザスキャナ部からの1スキャン時の第1の累積カウント値に付加されている現在時刻と、この現在時刻に対応するコントローラ部の内部タイマの現在時刻を有するエンコーダパルスデータの現在時刻(誤差は微差)を引き当てることができる。
【0027】
従って、この引き当てたエンコーダパルスデータの第2の累積カウント値を採用して、これを1スキャン時点までの移動体の移動距離とすることができる。
【0028】
さらに、コントローラ部は、カウンタ手段にATS信号を検出させて、前述のスキャン周期よりも数倍の細かな周期毎(200Hz)に読み出して、ATS検出の有無を取得時点のエンコーダパルスデータに付加して記憶する。
【0029】
このため、何時、ATSが検出されても、この検出有りがエンコーダパルスに付加されていることになるから、前回のATS検出有りの第2の累積カウント値と今回のATS検出有りの第2の累積カウント値との差で、ATS間の移動距離を算出できることになる。また、これらの第2の累積カウント値に対応させられている現在時刻でもって、レーザデータの対応する現在時刻を見つけることができるから、ATS間のレーザデータ群(反射強度、レーザ距離)を容易に見つけ出(検索)することができる。
【0030】
さらに、カメラ(右、左)の画像データがレーザヘッドのスキャン周期以下の周期で出力されたとしても、この画像データ(赤外又は可視)にコントローラ部の同期合せを行なった内部タイマの時刻を画像取得時間として付加して記憶する。
【0031】
このため、この画像取得時間に対応する現在時刻を有するエンコーダパルスデータ又はレーザデータ(最終ピッチに対応するもの)を容易に引き当てさせることできる。つまり、画像データに対応するレーザデータを容易に見つけ出すことができる。
【0032】
さらに、移動体の荷台上の左右の角に赤外線カメラを線路内側に所定角度で向けて設け、かつこれらの赤外線カメラの上に赤外線照明器を線路外側に所定角度で向けているので、夜間撮影時においては、ハレーションを押さえた赤外画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本実施の形態の線路周辺設備空間情報取得システム10を移動体に搭載した場合の側面図である。
【図2】本実施の形態の線路周辺設備空間情報取得システム10の斜視図である。
【図3】本実施の形態の線路周辺設備空間情報取得システム10の上面図である。
【図4】軌陸車1を後方から見たときの本実施の形態の線路周辺設備空間情報取得システム10の後方図である。
【図5】レーザスキャナ部のスキャン範囲(断面)を説明する説明図である。
【図6】赤外線カメラ及び赤外線照明器の光軸方向を説明する説明図である。
【図7】赤外線カメラ及び赤外線照明器によりハレーションが生じる理由を説明する説明図である。
【図8】本実施の形態の赤外線カメラ及び赤外線照明器の光軸方向のずれによるハレーションが生じない理由を説明する説明図である。
【図9】本実施の形態のレーザスキャナ部の斜視図である。
【図10】本実施の形態のレーザヘッドの傾斜角度を説明する説明図である。
【図11】左カメラ・照明部L及び右カメラ・照明部Rの斜視図である。
【図12】赤外線カメラ及び赤外線照明器の姿勢角を説明する説明図である。
【図13】本実施の形態の線路周辺設備空間情報取得システム10の各部の電気的接続を示す接続図である。
【図14】図13の線路周辺設備空間情報取得システム10の動作の概念を説明する概念図である。
【図15】レーザスキャナ用PC47の本実施の形態のプログラム構成の概略構成図である。
【図16】各レーザスキャナの原点(0,0,0)との関係を説明する説明図である。
【図17】レーザスキャナのスキャン範囲を説明する説明図である。
【図18】赤外線カメラ用PC53の本実施の形態のプログラム構成の概略構成図である。
【図19】本実施の形態の線路周辺設備空間情報取得システム10の動作を説明するタイミングチャートである。
【図20】本実施の形態のレーザデータを説明する説明図である。
【図21】本実施の形態のエンコーダパルスデータ、赤外線画像データを説明する説明図である。
【図22】本実施の形態の各データの対応関係を説明する説明図である。
【図23】本実施の形態の各データに対応する画像データを説明する説明図である。
【図24】本実施の形態のレーザ部の詳細な斜視図である。
【図25】赤外線カメラに使用される架台の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下に本発明に係る本発明に係る線路周辺設備空間情報取得システムの実施の形態について図を参照して詳細に説明する。
【0035】
本実施の形態の開示の一部をなす論述及び図面は本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【0036】
図1は本実施の形態の線路周辺設備空間情報取得システム10を移動体に搭載した場合の側面図である。
【0037】
図1に示した如く、本実施の形態の線路周辺設備空間情報取得システム10は、
線路周辺設備空間情報取得装置10aと、車上子・エンコーダ用台車20a等で構成されている。
【0038】
前述の線路周辺設備空間情報取得装置10aは、鉄道線路保線用として使用される移動体(以下、軌陸車と記す)1の軌陸車本体2の荷台2aに取り付けた架台3と、この架台3の上面3a上に搭載されたセンサ部10bと、コントローラ部30等で構成されている。
【0039】
この際、上記したセンサ部10bは、後述の図2及び図3に示すように、レーザスキャナ部LSと、左カメラ・照明部Lと、右カメラ・照明部Rとで構成されている。
【0040】
上記した軌陸車1は、軌陸車本体2の下面2b側に取り付けた複数のタイヤ車輪4により道路走行が可能であり、且つ、軌陸車本体2の下面2b側にこの下面2に向かって折り畳み可能に取り付けた複数の車輪5により鉄道線路TR上での軌道走行が可能になっている。
【0041】
そして、本実施の形態に係る線路周辺設備空間情報取得システム10により線路周辺設備等の空間情報を取得する場合には、軌陸車1の軌陸車本体2に取り付けた複数の車輪5を鉄道線路TRに向って伸ばして鉄道線路TRに嵌合させ、且つ、軌陸車本体2に取り付けた複数のタイヤ車輪4を地上から浮かせることで、軌陸車1を鉄道線路TRに沿って走行させる。
【0042】
尚、本実施の形態では、線路周辺設備空間情報取得装置10aを軌陸車1上に搭載した場合について説明するが、これに限ることなく、鉄道線路TRに沿って走行できる移動体ならばいかなる形態でも良い。また、車上子・エンコーダ用台車20aは移動車輌と一体化させてもよい。
【0043】
車上子・エンコーダ用台車20aは、牽引台6に搭載した車上子部20と、牽引台6に取り付けたエンコーダ付き車輪部8等により牽引車が構成されている。
【0044】
この車上子・エンコーダ用台車20aは、軌陸車1の進行方向先端側に設けた軌陸車本体2の運転席2cとは反対側の後端部2dに着脱可能な連結手段7により連結されている。
【0045】
また、軌陸車1の軌陸車本体2の荷台2a側には、作業用のクレーン9が運転席2cの後方に設けたクレーン支柱部2eを介して取り付けられている。
【0046】
ここで、本実施の形態の線路周辺設備空間情報取得システム10について具体的に説明する。
【0047】
図2は本実施の形態の線路周辺設備空間情報取得システム10の斜視図である。図2においては、軌陸車本体2の一部を記載している。
【0048】
図3は本実施の形態の線路周辺設備空間情報取得システム10の上面図である。
【0049】
図4は軌陸車1を後方から見たときの本実施の形態の線路周辺設備空間情報取得システム10の後方図である。
【0050】
図2,図3及び図4に示すように、軌陸車1の軌陸車本体2の荷台2a上の後側には、台形状に枠組した架台3の左右の下面3bが不図示のねじなどを用いて固着されている。この架台3は、鉄道線路R上から上面3aまでの高さH1が略1.75mに設定されていると共に、架台3の上面3aは軌陸車1の進行方向の寸法Sが略0.6mに設定され、且つ、軌陸車1の進行方向と直交する幅方向の左右間の幅Bが略1.9mに設定されている。
【0051】
また、架台3の上面3a上の中央には、本実施の形態の線路周辺設備空間情報取得装置10aを構成する第1のレーザスキャナ11A(下方スキャン用レーザともいう)と、第2のレーザスキャナ11B(上方スキャン用レーザともいう)とがレーザ部支持部材12により固定されて、総称してレーザスキャナ部LSが構成されている。また、第1のレーザスキャナ11A(下方スキャン用レーザ)と、第2のレーザスキャナ11B(上方スキャン用レーザ)とを合わせてレーザ部11が構成されている。
【0052】
また、この架台3の上面3a上の左の角部には、左用赤外線カメラ13Lと、波長780nm〜1000nmの赤外線光を含む光を発射する左用赤外線照明器14Lとが左用照明器支持部材15Lによって一体的に固定されている(以下、左カメラ・照明部Lという)。
【0053】
また、架台3の上面3a上の右の角部には、右用赤外線カメラ13Rと、波長780nm〜1000nmの赤外線光を含む光を発射する右用赤外線照明器14Rとが右用照明器支持部材15Rによって一体的に固定されている(以下、右カメラ・照明部Rという)。
【0054】
これら左右一対の赤外線カメラ13L,13Rは、可視光線による画像も撮影することができるようになっている。また、これら左右一対の赤外線カメラ13L,13Rは、所定周期(例えば30Hz)で撮影した赤外画像データ(夜用)又は可視光線画像データ(昼用)を出力する機能を有している。
【0055】
なお、図2、図3におけるK1bは、左用赤外線カメラ13Lの光軸中心であり、K2bは、左用赤外線照明器14Lの光軸中心である。さらに、図2、図3におけるK1aは、右用赤外線カメラ13Rの光軸中心であり、K2aは、右用赤外線照明器14Rの光軸中心である。
【0056】
図3及び図6に示すように、鉄道線路TR(X方向)に対しての左用赤外線照明器14Lの光軸中心K2bの角度は略15度であり、鉄道線路TR(X方向)に対しての右用赤外線照明器14Rの光軸中心K2aの角度は略15度である。
【0057】
また、鉄道線路TR(X方向)に対しての左用赤外線カメラ13Lの光軸中心K1bの角度は略30度であり、鉄道線路TR(X方向)に対しての右用赤外線カメラ13Rの光軸中心K1aの角度は略30度である。
【0058】
これらの左カメラ・照明部L及び右カメラ・照明部R並びにレーザ部11については詳細に後述する。
【0059】
また、図2に示すように、コントローラ部30は、左カメラ・照明部L及び右カメラ・照明部R並びにレーザ部11とケーブル29で接続されており、これらを制御すると共に、これらからの情報を記憶する。
【0060】
さらに、図2及び図3に示すように、軌陸車本体2の後端部2dには、車上子・エンコーダ用台車20aを接続しながら連結させるための連結手段7が設けられている。
【0061】
車上子・エンコーダ用台車20aを構成するエンコーダ付き車輪部8の一方の車輪側にはエンコーダ22が連結されている。
【0062】
このエンコーダ22は、車軸1回転あたり100パルス出力するものであり、車輪の直径が197mmの場合は、
{197mm(車輪の直径)×π}÷100=6.1889375mm
であり、
1パルスあたりの距離は約6mm程度である(距離信号若しくはエンコーダパルスともいう)。
【0063】
また、車上子・エンコーダ用台車20aの車上子部20上に車上子21が設けられており、この車上子21は、左右に可動可能に枠組みして固定されている。
【0064】
なお、本実施の形態では鉄道線路TR内にATS(地上子ともいう)100が右側に設置されているので、ATS(地上子)100と対向する車上子21は右側に固定されている。
【0065】
なお、本実施の形態では鉄道線路TR内にATS(地上子ともいう)100が右側に設置されているので、車上子21は右側に固定されている。
【0066】
また、第1,第2のレーザスキャナ11A,11Bは、レーザヘッド11a,11b(図9参照)に送受信アレイ(0°〜270°:スキャン範囲)を設けてレーザ光を発射する。なお、スキャン範囲は任意に設定可能である。
【0067】
また、第1,第2のレーザスキャナ11A,11Bは、スキャン出力周期が50Hz/25Hzである。また、角度分解能が0.5°/0.25°である。なお、本実施の形態では角度分解能(ピッチ角度)は、0.5度、スキャン出力周期50Hzにしている。
【0068】
さらに、第1,第2のレーザスキャナ11A,11Bは、内部タイマ(必ずしも必要ではない)を備えて、この内部タイマにコントローラ部30からの現在時刻を設定する機能、外部から入力したエンコーダパルスを計数するパルスカウンタ機能を備え、設定されたスキャン周期(50Hz)毎に、エンコーダ22からのエンコーダパルスの累積カウント値と内部タイマの現在時刻とをピッチ270°のレーザデータに付加して出力する機能、一周期を示すフラグを出力する機能等を備えている。これらを総称して本実施の形態では、レーザ付属情報出力部と称する。このレーザ付属情報出力部は、レーザスキャナ11A,11B内に設けているが、外部に備えてもかまわない。
【0069】
また、レーザ光を受光する毎に、このレーザ光を反射する反射物となる撮影対象物までの距離(レーザ測定距離ともいう)を求める機能と、反射強度を求める機能とを備えている。
【0070】
また、第1,第2のレーザスキャナ11A,11Bは、架台3の上面3a上で幅方向の略中央部位にV字状に形成されたレーザ部支持部材12を介して、例えばレーザヘッド11a,11b(図9参照)の送受信アレイの135°が中心になるようにしている。
【0071】
また、図4に示すように、架台3の上面3a上から第1,第2のレーザスキャナ11A,11Bの各先端部位までの高さH2が略0.4mに設定されている。
【0072】
第1のレーザスキャナ11A(下方スキャン用レーザ)はレーザヘッド11a(図9参照)側がレーザ部支持部材12により軌陸車1の進行方向とは反対側の後方側に向けて取り付けられて、且つレーザヘッド(内部にある)11aからの照射面(スキャン範囲:0°〜270°)を斜め45度にしている。このため、レーザヘッド11aが1回転するのに伴って、図5に示したように第1のスキャン範囲θ°(270°)の第1のスキャン断面SD1が得られる。
【0073】
一方、第2のレーザスキャナ11B(上方スキャン用レーザ)は、レーザヘッド11b(図9参照)側がレーザ部支持部材12により軌陸車1の進行方向側に向かい、且つ斜め上方向に傾斜角度45度で取り付けられている。このため、図5に示すように、上方向90°の範囲(第2のスキャン断面SD2)をカバーしている(実際のスキャンニング範囲は0°〜270°である)。
【0074】
従って、第1,第2のレーザスキャナ11A,11Bにより円状(360度)に計測が可能となっている。
【0075】
前述の左用赤外線カメラ13L,右用赤外線カメラ13Rは、主に夜間撮影用として左用赤外線照明器14L,右用赤外線照明器14Rと共に用いられるものである。
【0076】
夜間撮影時に、左用赤外線照明器14L,右用赤外線照明器14Rから照射された赤外線が撮影対象物に照射されると、左用赤外線カメラ13L,右用赤外線カメラ13Rは、その反射光に反応した光を検知し、鉄道線路TRの周辺の沿線設備を含んで撮影した左赤外線画像及び右赤外線画像を出力する。
【0077】
尚、昼間撮影する場合には、左右一対の赤外線照明器14L,14Rを用いずに、左右一対の赤外線カメラ13L,13Rにより左右一対の可視光線画像を出力することが可能になっている。
【0078】
また、図4に示すように、架台3の上面3a上から左右一対の赤外線カメラ13L,13Rの各光軸中心K1b,K1aまでの高さH3が略0.1mに設定されている。また、図4に示すように、架台3の上面3a上から左右一対の赤外線照明器14L,14Rの各光軸中心K2b,K2aまでの高さH4が略0.3mに設定されている。
【0079】
ここで、左右一対の赤外線カメラ13L,13Rと、左右一対の赤外線照明器14L,14Rとが異なる角度でかつ互いに逆方向にされている理由を左側について簡単に説明する。
【0080】
図7(a)に示した如く、架台3の上面3aの左側部近傍に左用赤外線カメラ13Lを設置し、且つ、この左用赤外線カメラ13Lの上方に左用照明器支持部材15Lを介して左用赤外線照明器14Lを設置し、且つ、左用赤外線カメラ13L及び左用赤外線照明器14Lを軌陸車1の進行方向とは反対方向の後方側に向けて、左用赤外線カメラ13Lの光軸中心K1bの向きと左用赤外線照明器14Lの光軸中心K2bの向きとを略一致させたとすると、左用赤外線カメラ13Lで鉄道線路周辺の撮影対象物を撮影するカメラ撮影範囲CH1と、左用赤外線照明器14Lで鉄道線路周辺の撮影対象物を照明する照明範囲SH1とが略一致するものの、左用赤外線照明器14Lから射出させた近赤外光が撮影対象物で反射された直接の反射光を左用赤外線カメラ13Lで受光するために、左用赤外線カメラ13Lで撮影対象物を撮影したときに図7(b)に示したようにハレーションを起こしてしまい第1のカメラ画像が良好に得られない。
【0081】
とくに、鉄道線路TRに沿って設置される鉄道設備は、認識し易いように白色の反射塗料が多く使われているので赤外線カメラのように感度の高いカメラを使うと照明の状況によりハレーションを起こし、鉄道設備の状況が確認できない場合がある。
【0082】
そこで、図8(a)に示した如く、左用赤外線カメラ13Lの光軸中心K1bと左用赤外線照明器14Lの光軸中心K2bとを変えると、左用赤外線カメラ13Lで鉄道線路周辺の撮影対象物を撮影するカメラ撮影範囲CH2と、左用赤外線照明器14Lで鉄道線路周辺の撮影対象物を照明する照明範囲SH2とが部分的に重なり合う。
【0083】
このため、左用赤外線照明器14Lから射出させた近赤外光が撮影対象物で反射された直接の反射光を左用赤外線カメラ13Lで受光しないために、左用赤外線カメラ13Lで撮影対象物を撮影したときに図8(b)に示したようにハレーションを起こすことなく第1のカメラ画像が良好に得られる。
【0084】
尚、実施例では、架台3の上面3a上に設置した左右一対の赤外線カメラ13L,13Rの上方に左右一対の照明器支持部15L,15Rを介して左右一対の赤外線照明器14L,14Rを設置した場合について説明したが、これに限ることなく、架台3の上面3a上で左右一対の赤外線カメラ13L,13Rの近傍に左右一対の赤外線照明器14L,14Rを横設させてもよい。
【0085】
(詳細説明)
図9は本実施の形態のレーザスキャナ部LSの斜視図である。図9に示すように、レーザスキャナ部LSは、レーザ部11を構成する下方スキャン用レーザ11Aと、上方スキャン用レーザ11Bとが、レーザ部支持部材12によって支持されている。
【0086】
レーザ部支持部材12は、V字状の挟み板12a,12bと、平板12c等で構成されている。このV字状のV字角度は約90度(90°でなくともかまわない)であり、図10に示すように下方スキャン用レーザ11Aは、水平軸に対してスキャニング面が45度にされており、スキャン範囲は0°〜270度の範囲をスキャニングする。
【0087】
また、上方スキャン用レーザ11Bは、レーザヘッド11b(図9参照)を進行方向に45度傾けて向けて、上方向を0°〜270°の範囲をスキャニングする。
【0088】
これら第1,第2のレーザスキャナ11A,11Bは、ビーム広がり15mrad°、防水タイプ、1秒間に27,000発のパルスを回転しながら発射し、反射強度と反射物までのレーザ距離(総称してレーザデータという)を組み合わせて出力する。
【0089】
また、左カメラ・照明部Lと、右カメラ・照明部Rとについて、図11を用いて説明する。
【0090】
左カメラ・照明部Lを構成する左用赤外線照明器14Lの光軸中心Kb2は、左用赤外線照明器14Lを鉄道線路TR(X方向)に対して真っ直ぐに向けたときの左用赤外線照明器14Lのライト(図示せず)の中心から水平に引いた水平軸に対して、光軸中心K2bが鉄道線路TRの外側方向に水平約15度(10度〜20度;好ましくは約15度)の傾き及び上方向(Z方向)にも約10度〜15度の傾き有するように左用照明器支持部材15Lの上に固定されている{図12(b)参照}。つまり、撮影対象物に対して直接に近赤外光が照射されないようにしている。
【0091】
また、左カメラ・照明部Lを構成する左用赤外線カメラ13Lの光軸中心K1bは、鉄道線路TR(X方向)に対して左用赤外線カメラ13Lを真っ直ぐに向けたときのレンズの中心から水平に引いた水平軸に対して、光軸中心K1bが鉄道線路TRの内側方向に水平約30度(20度〜35度;好ましくは約30度)の傾き及び下方向(Z方向)にも約2度〜10度の傾き有するように左用赤外線照明器14Lの下に左用照明器支持部材15Lによって固定されている{図12(a)参照}。
【0092】
一方、右カメラ・照明部Rを構成する右用赤外線照明器14Rの光軸中心Ka2は、右用赤外線照明器14Rを鉄道線路TR(X方向)に対して真っ直ぐに向けたときの右用赤外線照明器14Rのライト(図示せず)の中心から水平に引いた水平軸に対して、光軸中心K1aが鉄道線路TRの外側方向に水平約15度(10度〜20度;好ましくは約15度)の傾き及び上方向(Z方向)にも約10度〜15度の傾き有するように右用照明器支持部材15Rの上に固定されている{図12(b)参照}。つまり、撮影対象物に対して直接に近赤外光が照射されないようにしている。
【0093】
また、右カメラ・照明部Rを構成する右用赤外線カメラ13Rの光軸中心K1aは、鉄道線路TR(X方向)に対して右用赤外線カメラ13Rを真っ直ぐに向けたときのレンズの中心から水平に引いた水平軸に対して、光軸中心K1aが鉄道線路TRの内側方向に水平約30度(20度〜35度;好ましくは約30度)の傾き及び下方向(Z方向)にも約2度〜10度の傾き有するように右用赤外線照明器14Rの下に右用照明器支持部材15Rによって固定されている{図12(a)参照}。
【0094】
さらに、左用赤外線照明器14L、右用赤外線照明器14Rはラッパ上に開いており、このラッパ上の開き角は約120度である。そして、これら左右一対の赤外線照明器14L,14Rの照射指向性は、約55度程度で最大となるライトを用いている。
【0095】
また、左用赤外線カメラ13L及び右用赤外線カメラ13Rの解像度は、1280×1024画素である。また、防水タイプである。
【0096】
図13は本実施の形態の線路周辺設備空間情報取得システム10の各部の電気的接続を示す接続図である。
【0097】
図13に示すように、軌陸車本体2の荷台2aに、発電機40と、発電機41と、端子台43,44と、DCコンバータ51,57と、エンコーダ信号分岐器55と、端子台61と、ATS検出器65とを搭載している。一方、Hub45,49と、レーザスキャナ用PC47と、赤外線カメラ用PC53とをコントローラ部30(図1,図2)に設けている。
【0098】
さらに、図13に示すように、下方スキャン用レーザ11Aと、上方スキャン用レーザ11Bと、左用赤外線カメラ13Lと、左用赤外線照明器14Lと、右用赤外線カメラ13Rと、右用赤外線照明器14Rとを架台3(図1,図2)の上面3aに搭載している。
【0099】
なお、発電機40,41を除いてこれらは架台3に設けても良い(上面又は下部)。
【0100】
さらに、車上子・エンコーダ用台車20aには、車上子21と、エンコーダ22が設けられている。これらは、ケーブル(電源ケーブル、信号ケーブル)によって接続されている。
【0101】
発電機41からのAC電力は、端子台44を介してAC/DCコンバータ51に出力されてDC電力に変換され、このDC電力がATS検出器65に出力されている。また、端子台44にはAC/DC変換器(図示せず)を介して赤外線カメラ用PC53が接続されている。
【0102】
また、端子台44にはAC/DC変換器(図示せず)を介して左右一対の赤外線照明器14L,14Rが接続されている。
【0103】
また、端子台44には、交流を直流変換するAC/DC変換器(図示せず)を介して左右一対の赤外線カメラ13L,13Rが接続され、かつAC/DC変換器(図示せず)を介してHub49が接続されている。
【0104】
さらに、発電機40からのAC電力は、端子台43を介してAC/DCコンバータ57に出力されてDC電力に変換されている。また、端子台43にはHub45及びレーザスキャナ用PC47がDC変換機(図示せず)を介して接続されている。
【0105】
車上子21は、鉄道線路TR内に設置されたATS(地上子)100を検出する毎に、ATS信号を車上子接続箱66を介してATS検出器65に出力する。この際、上記したATS信号は、ここではATS(地上子)100が設置された位置を示す位置信号である。
【0106】
ATS検出器65は、ATS信号の立ち上がりエッジを検出して、論理「1」をATS検出信号として端子台61に送出する。
【0107】
端子台61は、エンコーダ信号分岐器55からのエンコーダパルスとATS検出信号とを入力して、カウンタボード59に出力する。
【0108】
カウンタボード59は、エンコーダパルスが出力される毎にカウントして、このカウント値を前回のカウント値に加算し、これを累積カウント値Eiとして赤外線カメラ用PC53に出力する。即ち、カウンタボード59からのエンコーダパルスの累積カウント値Eiは、200Hz周期で赤外線カメラ用PC53に出力する。このとき、ATS検出の有無を200Hzで出力する。
【0109】
一方、エンコーダ信号分岐器55は、エンコーダ22からのエンコーダパルスを下方スキャン用レーザ11A、上方スキャン用レーザ11Bに出力すると共に、端子台61に出力する。
【0110】
レーザスキャナ用PC47及び赤外線カメラ用PC53について、図14を用いて概略を説明する。
【0111】
図14は図13の線路周辺設備空間情報取得システム10の動作の概念を説明する概念図である。
【0112】
図14に示すように、レーザスキャナ用PC47は、第1,第2のレーザスキャナ11A,11Bに対してレーザ計測パラメータを設定して送信する。
【0113】
また、赤外線カメラ用PC53が時刻合わせ情報をレーザスキャナ用PC47に送出してお互いに現在時刻を合わせる。そして、レーザスキャナ用PC47は、下方スキャン用レーザ11A,上方スキャン用レーザ11Bに対して現在時刻を合わせる。
【0114】
すなわち、赤外線カメラ用PC53、レーザスキャナ用PC47、下方スキャン用レーザ11A、上方スキャン用レーザ11Bは、赤外線カメラ用PC53の内部タイマの現在時刻Stiで同期が取られたことになる。
【0115】
そして、走行に伴って、車輪に連結されているエンコーダ22からのエンコーダパルスをカウンタボード59及び第1,第2のレーザスキャナ11A,11Bに入力する。
【0116】
下方スキャン用レーザ11Aは鉄道線路TRの方向(下方)、斜めに(進行方向に対して後側)スキャン範囲0°〜270°の範囲にレーザ光を照射(0.5ピッチ)し、この反射光の受信時間で撮影対象物までのレーザ計測距離と、その反射強度を求めてピッチ角度(単に番号でもよい)と共に出力する(総称して下方用レーザデータともいう)。
【0117】
また、このとき、下方スキャン用レーザ11Aは、エンコーダ22からのエンコーダパルスを計測しており、50Hz(1周期:スキャン周期)毎に累積カウント値Eaiをピッチ270°の下方用レーザデータに付加して出力する(図14のレーザ・エンコーダ出力部:レーザ付属情報出力部に対応する)。
【0118】
なお、上方スキャン用レーザ11Bについては、下方スキャン用レーザ11Aと同じ機能を有して動作が同じであるから説明を省略する。
【0119】
一方、レーザスキャナ用PC47は、赤外線カメラ用PC53からの現在時刻Stiを内部タイマに設定し、この現在時刻を上方スキャン用レーザ11B,下方スキャン用レーザ11Aに送出して設定する。
【0120】
そして、上方スキャン用レーザ11Bから50Hz毎に上方レーザデータが、および下方スキャン用レーザ11Aから50Hz毎に下方レーザデータが出力される毎に、メモリに順次記憶する(それぞれ541個)。
【0121】
一方、カウンタボード59は、エンコーダ22からのエンコーダパルスを計測し、この累積カウント値Ebiを赤外線カメラ用PC53からの出力要求(200Hz:50msec)毎に出力すると共に、ATS100を検出する車上子21からのATS検出信号の有無を検出し、その結果を前述の出力要求に伴って赤外線カメラPC53に送出する。
【0122】
また、赤外カメラ用PC53は、右用赤外線カメラ13R{光軸中心が水平軸に対して内側(一方の鉄道線路TRの内側)に30°傾いている}、左用赤外線カメラ13L{光軸中心が水平軸に対して内側(他方の鉄道線路TRの内側)に30°傾いている}が撮影している赤外線画像データ(右用赤外線画像データ、左用赤外線画像データ)を30Hz周期で取得して、該読み込んだときの内部タイマの時刻を付加してメモリに記憶する。
【0123】
また、赤外カメラ用PC53は、カウンタボード59の累積カウント値Ebiを200Hz毎に読み込み(200Hz)、該読み込んだときの内部タイマの現在時刻を付加してメモリに記憶する(図14においてはパルスカウンタ記録)。
【0124】
一方、車軸に設けたエンコーダ22からのエンコーダパルスの累積カウント値Eaiを200Hz(5msec)周期で読み込んで、この5msec毎の累積カウント値Eaiに、現在時刻を対応づけた5msecあたりのパルスカウントデータ(5msec毎の移動距離データ)を記憶し、かつ赤外線画像データを30Hz周期で現在時刻と共に記憶している。
【0125】
このため、赤外線画像データの現在時刻で、その赤外線画像データを得たときのパルスカウントデータが把握できると共に、このパルスカウントデータに含まれている累積カウント値でどの時点のレーザデータが対応するかが分る。
【0126】
次に、レーザスキャナ用PC47と、赤外線カメラ用PC53について説明を補充する。
【0127】
図15はレーザスキャナ用PC47の本実施の形態のプログラム構成の概略構成図である。
【0128】
図15に示すように、レーザスキャナ用PC47は、レーザ計測パラメータ読込部70と、レーザ計測パラメータ設定部72と、エンコーダ累積パルス付加指示部73と、レーザスキャナ計測開始部75と、レーザスキャナ時刻合せ部76と、タイマ77と、時刻合せ部78と、レーザデータ読込部79等からなる。これらは、ROM、RAM、CPU等で動作する。
【0129】
初めに、第1,第2のレーザスキャナ11A,11Bのパラメータを説明する。図16に示すように、原点(0,0,0)は、軌陸車後輪軸と起動中心線(高さは鉄道線路TRの上面)とする。これら第1,第2のレーザスキャナ11A,11Bの角度分解能とスキャン周期を図17に示す。
【0130】
図15に戻り、レーザ計測パラメータ読込部70は、作業員によって入力されて画面表示された第1,第2のレーザスキャナ11A,11Bのスキャン範囲、回転数(計測周期:50Hz)、計測角度ピッチ等を、設定指示の入力に伴って、レーザ計測パラメ−タとしてメモリ71に記憶する。本実施の形態ではスキャン範囲は、0°〜270°である。
【0131】
レーザ計測パラメータ設定部72は、レーザ計測パラメータ読込部70がレーザ計測パラメータをメモリ71に読み込むと、このレーザ計測パラメータを下方スキャン用レーザ11A、上方スキャン用レーザ11Bに設定する。このとき、レーザ計測パラメータを下方スキャン用レーザ11A、上方スキャン用レーザ11Bに設定したことを示す第1のフラグをメモリ74に書き込む。
【0132】
エンコーダ累積パルス付加指示部73は、レーザ計測パラメータの設定に伴って、下方スキャン用レーザ11A、上方スキャン用レーザ11Bに対して、エンコーダ22からのエンコーダパルスを計測して、50Hz毎(1周期)に、レーザスキャナ11A,11Bの内部タイマ(図示せず)の現在時刻Rti(下方用はRati、上方用はRbti)と計測パルスの累積カウント値とを送出させるためのコマンドを下方スキャン用レーザ11A、上方スキャン用レーザ11Bに出力して設定させる。また、このコマンドをレーザスキャナ11A,11Bに出力したことを示す第2のフラグをメモリ74に設定する。
【0133】
時刻合せ部78は、赤外線カメラ用PC53からの時刻合わせ情報(時刻合わせコマンド、赤外線カメラ用PC53の現在時刻Sti)の入力があるかどうかを監視している。
【0134】
そして、時刻合わせ情報が入力した場合は、タイマ77(内部タイマ)にその現在時刻Stiを設定する。この設定後の現在時刻をRpiと称する。
【0135】
レーザスキャナ時刻合せ部76は、時刻合せ部78がタイマ77に赤外線カメラ用PC53の現在時刻Stiが設定されると、タイマ77の現在時刻Rpiを読み込んで、この現在時刻Rpiを下方スキャン用レーザ11A、上方スキャン用レーザ11Bに送出して設定させる。また、現在時刻Rpiの設定に伴って、メモリ74に現在時刻Rpiの設定を示す第3のフラグを設定する。
【0136】
下方スキャン用レーザ11Aは、レーザスキャナ用PC47からの現在時刻Rpiを現在時刻Ratiとして設定する。
【0137】
上方スキャン用レーザ11Bは、レーザスキャナ用PC47からの現在時刻Rpiを現在時刻Rbtiとして設定する。
【0138】
レーザスキャナ計測開始部75は、メモリ74に第1,第2,第3のフラグが設定されると、下方スキャン用レーザ11A、上方スキャン用レーザ11Bから50Hz毎に送出される下方レーザデータRAi、上方レーザデータRBiを読み込み、タイマ77の現在時刻Rpiを付加してメモリ80に記憶する。
【0139】
このメモリ80は、下方スキャン用レーザ11A用のメモリ80aと、上方スキャン用レーザ11B用のメモリ80bとからなり、レーザデータRAiはメモリ80aに、レーザデータRBiはメモリ80bに保存される。
【0140】
下方レーザデータRAiというのは、下方スキャン用レーザ11Aからのものであり、0.5ピッチ毎のレーザ計測距離と、反射強度であり、またレーザヘッド11a(図9参照)の1周期毎に下方スキャン用レーザ11Aの内部タイマの現在時刻Ratiと、この下方スキャン用レーザ11Aに入力したエンコーダ22の現時点の累積カウント値Eaiが下方レーザデータRAiに付加される。上方レーザデータRBiについても同様である。
【0141】
図18は赤外線カメラ用PC53の本実施の形態のプログラム構成の概略構成図である。
【0142】
図18に示すように、時刻合せ情報出力部90と、タイマ91と、エンコーダパルス・ATS信号読込部92と、赤外線画像読込部94等からなる。
【0143】
時刻合せ情報出力部90は、初期設定指示の入力に伴って、タイマ91の現在時刻Stiをレーザスキャナ用PC47に送出する。
【0144】
エンコーダパルス・ATS信号読込部92は、初期設定としてカウンタボード59に対してカウンタリセット信号を出力する。
【0145】
そして、タイマ96が5msec経過(200Hz)する毎に累積カウント値Ei、ATS検出信号を読み込むコマンドをカウンタボード59に出力してタイマ91の現在時刻Stiを付加したエンコーダ・ATSデータとしてメモリ93に順次記憶する。
【0146】
赤外線画像読込部94は、30Hz周期で左用赤外線カメラ13Lの左用赤外線画像データ及び右用赤外線カメラ13Rの右用赤外線画像データを読み込んで、タイマ91の現在時刻Stiを付加して記憶する。
【0147】
左用赤外線画像データは、メモリ95a(画像メモリ)に記憶され、右用赤外線画像データは、メモリ95b(画像メモリ)に記憶される。
【0148】
(動作説明)
以下に動作を説明する。
【0149】
図19は本実施の形態の線路周辺設備空間情報取得システム10の動作を説明するタイミングチャートである。図19においては、レーザスキャナ用PC47及び赤外線カメラ用PC53が共にオン状態にされた後に、オフ状態にされたときのタイミングチャートである。
【0150】
本実施の形態では、両方のPC47,53はオン状態とし、軌陸車1が走行を開始したとして説明する。
【0151】
図19に示すように、赤外線用カメラ用PC53の時刻合わせ情報出力部90は、レーザスキャナ用PC47に対して時刻合わせ情報(Sti)を送出する(d1)。
【0152】
レーザスキャナ用PC47の時刻合せ部78は、この時刻合わせ情報に基づいて内部に備えているタイマ77の時刻を合わせる(d2)。タイマ77の時刻はRpiとなる。レーザスキャナ用PC47のレーザスキャナ時刻合せ部76は、下方スキャン用レーザ11A、上方スキャン用レーザ11Bにこの現在時刻Rpiを設定する。つまり、第1,第2のレーザスキャナ11A,11B、レーザスキャナ用PC47は、赤外線カメラ用PC53の現在時刻Stiで同期されたことになる。無論、レーザスキャナ用PC47のタイマ77の現在時刻を基準にしてもかまわない。
【0153】
そして、レーザスキャナ用PC47のレーザスキャナ計測開始部75は、下方スキャン用レーザ11A、上方スキャン用レーザ11Bに対して計測開始指示を送出する(d3)。下方スキャン用レーザ11A、上方スキャン用レーザ11Bは計測開始指示がある期間は計測状態となる(d4)。
【0154】
一方、エンコーダ22は、軌陸車1が走行するに伴って、その移動速度に応じたエンコーダパルスを出力する(d7)。
【0155】
また、ATS検出器65は、ATS100を検出する毎に、ATS検出信号を出力する(d9)。
【0156】
以下の説明では、下方スキャン用レーザ11Aを代表にして説明する。
【0157】
下方スキャン用レーザ11Aは、計測開始指示に伴ってスキャン範囲0°〜270°のスキャン範囲(0.5ピッチ)でレーザ光を発射し、この反射レーザ光に基づいて照射物体(撮影対象物)までの距離と、その反射レーザ光の反射強度とを求めて出力する(d5a、d5b、・・)。
【0158】
また、下方スキャン用レーザ11Aのカウンタ機能は、エンコーダパルスをカウントしている(d5a、d5b、・・・・)。
【0159】
そして、下方スキャン用レーザ11Aは、50Hz経過する毎に、エンコーダパルスの累積カウント値Eaiと現在時刻Ratiとを270°のレーザデータRAiに付加して送出する(d6a、d6b、・・・)。
【0160】
レーザスキャナ用PC47のレーザデータ読込部79は、下方レーザデータRAiが出力される毎にタイマ77の現在時刻Rpiを付加(付加しなくともよい)してメモリ80aに記憶する(d8a、d8b・・・:図20参照)。
【0161】
すなわち、スキャン周期毎に、最終ピッチ(270°)のレーザデータには、現在までのエンコーダ22による移動距離に応じた第1の累積カウント値Eaiを付加させているので、レーザヘッド11a(図9参照)が1周期した時点までの、軌陸車(移動体)1の移動距離を第1の累積カウント値Eaiから知ることができる。
【0162】
従って、GPS部、INS部を設けなくとも、スキャン周期毎に鉄道線路TR上の移動車輌の位置が特定できる。
【0163】
また、レーザヘッド11a(図9参照)の1周期における撮影対象物までのレーザ距離とその反射強度とを含むレーザデータを順次記憶しているので、その対象物を構成する画素を反射強度に対応した色で表現することが可能となる。
【0164】
つまり、レーザ反射強度を使うことで、点群は白黒画像のような濃淡のある表現が可能である。単に点群による形状だけでは、線路周辺設備の判読ができないが、表面状況で反射強度の異なるデータを表現することで、点群のみでもある程度線路周辺設備の判読ができる。この反射強度の取得は周りの明るさに左右されないため、日中の明るい場所でも深夜の暗い場所でも、照明なしに同様のデータを取得できる。
【0165】
ここで、レーザスキャナ用PC47の内部タイマの現在時刻Stiを付加する理由は、
何らかの理由で、パルスのカウントや下方スキャン用レーザ11Aのタイマに障害があった場合に、全く他にセンサ間のデータを関連づける手がかりがないことになる。このため、レーザスキャナ用PC47の現在時刻Stiも同時に記録するのが好ましい。
【0166】
また、本実施の形態のレーザスキャナというのは、累積カウント値がある一定値に到達するとリセットして、再びカウントして累積する。
【0167】
このため、スキャン周期(1周期:50Hz)毎に出力される下方スキャン用レーザ11Aからの累積カウント値Eaiは、不確かなものになってしまう。このため、レーザスキャナ用PC47の内部タイマの現在時刻Stiを、下方スキャン用レーザ11Aからのレーザデータ(1周期時点)に付加するのが好ましい。無論、50Hz毎に記憶された累積カウント値を追跡していけば、リセットされた個所が分るので、計算することで正確な累積カウントを得ることは可能である。
【0168】
1周分のレーザデータには2種類(レーザの内部タイマとPCの内部タイマ)の時刻が付加されているが、いずれを用いるかは、使用形態によって決まる。
【0169】
一方、赤外線カメラ用PC53のエンコーダパルス・ATS信号読込部92は、カウンタボード59で計測しているエンコーダ22の累積カウント値EiとATS検出信号とを含むエンコーダパルスデータを200Hz周期(5msec毎)で読み込んでこれをメモリ93に記憶する{d10:図21(a)参照}。このとき、タイマ91の現在時刻Stiを付加する。
【0170】
このため、何らかの理由で下方スキャン用レーザ11Aからのエンコーダパルスの累積結果である第1の累積カウント値Eaiに狂いがあったとしても、エンコーダパルスデータは、より細かな周期で収集したエンコーダパルスの累積結果である第2の累積カウント値Eiと第1のレーザスキャナ11Aの内部タイマと同期が取られたPC(レーザスキャナ用、赤外線カメラ用)の現在時刻(sti)とを含むものであるので、下方スキャン用レーザ11Aからの1スキャン時の第1の累積カウント値Eaiに付加されている現在時刻と、この現在時刻に対応する現在時刻を有するエンコーダパルスデータの現在時刻(誤差は微差)を引き当てることができる。
【0171】
従って、この引き当てたエンコーダパルスデータの第2の累積カウント値を採用して、これを1スキャン時点までの軌陸車(移動体)1の移動距離とすることができる。
【0172】
図19においては、赤外線カメラ用PC53が200Hzで累積カウント値Eiの読み込むタイミングをHレベルで示している。累積カウント値Eiが存在する場合はその累積カウント値を「1,2,3・・・」として記載している(d11)。
【0173】
また、ATS検出信号の200Hzの検出タイミングをHレベルで記載し、200Hzで検出したときに、「1」があれば、そのHレベルに「1」を書き込んで示している(d12)。
【0174】
一方、赤外線カメラPC53は、左用赤外線カメラ13Lからの左用赤外線画像データ(1駒ごと)を30Hz毎日に読み込み、メモリ95a{図21(b)参照}に記憶する(d13a、d13b・・)。
【0175】
すなわち、エンコーダパルスデータは、図22(b)に示すように200Hz周期におけるエンコーダパルスの累積カウント値、ATS100の検出の有無が取得され、下方スキャン用レーザ11Aからはレーザデータが図22(a)に示すように、1周期(50Hz)で541個のレーザデータが取得されて、これらの内の270°のレーザデータには、時刻同期がなされた1周期時点の下方スキャン用レーザ11Aの現在時刻Ratiと50Hz経過時点のエンコーダパルスの累積カウント値Eaiとが対応付けられて記憶されるので、エンコーダパルスデータに含まれているエンコーダパルスの累積カウント値Eiとレーザデータの累積カウント値Eaiとの比較で、どれが対応しているかが分る。例えば図22の(a)のエンコーダパルスの累積カウント値Eai(「26584」)と、エンコーダパルスデータの累積カウント値Ei(「26581」)が対応する。
【0176】
また、赤外線カメラからの赤外線画像データには、同期が取られた現在時刻Stiが付加されて記憶されるので赤外線画像データの現在時刻Stiで、その赤外線画像データを得たときのパルスカウントデータが把握できると共に、このパルスカウントデータに含まれている累積カウント値Eiでどの時点のレーザデータが対応するかが分る。
【0177】
例えば図22(c)の現在時刻Sti(02.1524.579)を有する赤外線画像データに、図22(b)の現在時刻Rati(02.1524.577)付近のエンコーダパルスデータが対応する。つまり、図22(c)の現在時刻Sti(02.1524.579)を有する赤外線画像データに対応するレーザデータは、図22(a)の現在時刻Rati(02.1524.569:累積カウント値Eai「26584」)と現在時刻Rati(02.1524.5696:累積カウント値Eai「27278」)との間の1周期のレーザデータが対応することになる。
【0178】
従って、図22に示すように、各画像をエンコーダの累積カウント値Eai、Eiは現在時刻Sti、Rati(Rpt=Sti)で対応させることができる。
【0179】
これらのデータを用いると、図23に示すように各データを対応させることができる。図23(a)においては、昼の可視画像を示し、図23(b)においては、夜の赤外線画像を示し、図23(c)、(d)には、レーザデータの反射強度に基づくレーザ画像を示している。
【0180】
また、200Hzでエンコーダパルスデータを読み込んでいるので、軌陸車1が高速(標準30km程度、高速60km程度)に移動しても確実にATS100の検出信号を捕らえることができる。そして、このATS100の検出時点から次のATS検出までの累積カウント値との差で、ATS100間の距離も算出することができる。
【0181】
また、鉄道線路TRに地理座標が与えられている場合は、レーザデータは鉄道沿線設備までの距離を測定しているので、累積カウント値を距離換算することでその鉄道沿線設備にレーザ画像、赤外線画像データを対応させることができる。つまり、GPS部、INS部等を必要としなで、鉄道沿線設備にレーザ画像、赤外線画像データを対応させることができる。
【0182】
前述のレーザスキャナ部LSについて補充する。レーザ部支持部材12は、図24に示すように、V字状の挟み板12a,12bを連結部材11da、11db・・・・で連結している。下方スキャン用レーザ11Aは、連結部材11dh、11diで連結され、下方も図示しない連結部材で挟み板12a、12bで挟まれて固定されている。
【0183】
さらに、上方スキャン用レーザ11Bは、連結部材11de、11dfで連結され、下方も図示しない連結部材で挟み板12a、12bで挟まれて固定されている。
【0184】
一方、左カメラ・照明部Lを構成する左用赤外線照明器14Lは図25に示す架台Zを用いて固定されている。
【0185】
なお、上記実施の形態では、架台3の上面3aは平板として説明したが、平板でなくとも、例えば、各センサ(赤外線カメラ、レーザスキャナ)と照明器とを載せるフレーム枠にしてもよい。
【符号の説明】
【0186】
1 移動体(軌陸車)
3 架台
8 エンコーダ付き車輪部
TR 鉄道線路
10 線路周辺設備空間情報取得システム
10a 線路周辺設備空間情報取得装置
LS レーザスキャナ部
11(11A,11B) レーザ部
11A 第1のレーザスキャナ11A(下方スキャン用レーザ)
11B 第2のレーザスキャナ11B(上方スキャン用レーザ)
12 レーザ部支持部材
L 左カメラ・照明部
13L 左用赤外線カメラ
14L 左用赤外線照明器
15L 左用照明器支持部材
R 右カメラ・照明部
13R 右用赤外線カメラ
14R 右用赤外線照明器
15R 右用照明器支持部材
20 車上子部
20a 車上子・エンコーダ用台車
21 車上子
22 エンコーダ
65 ATS検出器
100 ATS(地上子)
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道線路に沿って走行する移動体上にレーザスキャナと赤外線カメラと赤外線照明器とを設置して、移動体の走行に伴って線路周辺の空間情報を昼夜を問わずに取得できる線路周辺設備空間情報取得システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、鉄道線路においては、多くの距離標、勾配標、速度制限標等の線路周辺設備が配置されている。
【0003】
これらの線路周辺設備に基づいて電車の運転員が電車を適正に制御(アラーム、ブレーキ指令等)する。
【0004】
このため、これらの線路周辺設備は適切な位置で制御できるように管理されている。しかし、これらの線路周辺設備は、キロ程による距離管理であり、正確な地理座標上の位置は特定されていないので自動的制御ができない。
【0005】
このため、線路周辺設備や車輌位置を地理座標上に特定することが求められている。
【0006】
そして、近年は線路周辺設備及び車輌位置を地理座標上に特定して、電車に搭載したGPS(Global Positioning System:全地球測位システム)等の機能により自分の地理座標上の位置や速度並びに線路周辺設備を常に把握しながら、車輌の位置と動作(アラーム、ブレーキ指令等)に関する情報を読み出しながら乗務員の運転を支援する方式がある。
【0007】
この方式は、正確な位置情報(距離や座標)に基づく線路周辺設備のデータベースが必要となるので事前に線路周辺設備の地理座標を取得する。
【0008】
例えば、特許文献1の三次元データ取得装置は、鉄道車両上に2台のレーザスキャナを上下一体で異なる角度で設置して、明るい内に鉄道車両を走行させながら一方のレーザで鉛直方向360度を計測させ、他方のレーザで斜めに360度で計測する。また、車輌の側面にラインカメラを設ける。さらに、INS(Inertial Navigation System:慣性航法装置)部と、GPS(Global Positioning System:全地球測位システム)部等を備えて、軌道沿線の構造物の三次元空間情報を取得する。
【0009】
即ち、上記した特許文献1に開示された三次元データ取得装置では、ここでの図示を省略するものの、レーザ光を回転させながら測定対象物に放射し、このレーザ光の反射光を受信して測定対象物までの距離を測定する際に、レーザ光の放射方向の回転断面をなす計測断面が鉄道車両の進行方向に対して鉛直面をなすように、鉄道車両の上部に搭載された一方のレーザスキャナと、レーザ光の放射方向の回転断面をなす計測断面が一方のレーザスキャナの計測断面に対して略進行方向に所定角度傾いた面を形成するように鉄道車両の上部に搭載された他方のレーザスキャナと、これらのレーザスキャナの計測情報を記憶する記憶部とを備えることで、架線やトンネル上部、進行方向に対して垂直な面などに対応でき、かつ鉄道車両上の車両限界の制約を満たすことができ、よって鉄道車両に適用するのにより適した三次元データ取得装置が容易に得られる旨が記載されている。
【0010】
一方、道路周辺の建物を取得するものもある。
【0011】
例えば、特許文献2の移動体用広視野角多方向画像取得装置は、自動車のルーフに取り付けた架台上に、レーザレーザスキャナと、マルチラインカメラと、GPS(Global Positioning System:全地球測位システム)衛星からの信号を受信するDGPS(Differential GPS)アンテナとを搭載して、自動車を走行させながら三次元空間情報を取得する。
【0012】
即ち、上記した特許文献2に開示された移動体用広視野角多方向画像取得装置及び移動体用広視野角多方向画像取得システムでは、ここでの図示を省略するものの、自動車のルーフに取り付けた架台上に3台のレーザスキャナがこの自動車の進行方向の後方の中央部と左右の側部とに設置され、且つ、3個の魚眼レンズ及びラインセンサを有してなる2台のマルチカメラが架台の左右側面に設置されることで、走行中に360°の広範囲に亘って地物の画像を高解像度で取得できる旨が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2005−69700号公報
【特許文献2】特開2002−34055号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、特許文献1の三次元データ取得装置は、軌道沿線の構造物の三次元空間情報を明るい内に計測するものであるから、電車の本数が多い明るい内においては、計測時間が限られることになる。このため、線路周辺設備の地理座標の取得には長時間の作業を要することになるからコストがかかるという課題があった。
【0015】
また、特許文献1及び2は、INS部と、GPS部等を備えて、軌道沿線の構造物の三次元空間情報を取得して、移動車輌の位置(緯度、経度)にレーザデータを対応付けるものであるから装置が大型になって、コスト高になるという課題があった。
【0016】
本発明は上記の課題を鑑みてなされたもので、INS部、GPS部等を備えないで昼夜を問わず、線路周辺設備のレーザデータに対応する移動車輌の位置及び移動距離を算出させることができる線路周辺設備空間情報取得システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の線路周辺設備空間情報取得システムは、鉄道線路を移動する移動体に、レーザスキャナ部と、車軸の回転数に応じたエンコーダパルスを出力するエンコーダと、コントローラ部とを備えて、前記鉄道線路の周辺の空間情報を取得する線路周辺設備空間情報取得システムであって、
前記レーザスキャナ部は、
レーザヘッドを所定のスキャン周期で回転させながら所定のピッチ角度で単一のレーザ光を発射し、このレーザ光に基づく反射強度と反射物までのレーザ距離とをレーザデータとして前記ピッチ角度毎に順次、出力するレーザ部と、
前記エンコーダパルスを入力し、この累積値を設定された第1の間隔(50Hz)で第1の累積カウント値として出力するレーザ付属情報出力部と、
前記レーザ光が前記鉄道線路に対して所定傾斜角度で発射されるように前記レーザ部を保持して前記移動体の荷台上に固定されたレーザ部支持部材と、
を備え、
前記コントローラ部は、
前レーザ付属情報出力手段に、前記レーザヘッドのスキャン周期(50Hz)として前記レーザ部に設定し、該スキャン周期を前記第1の間隔(50Hz)とし、該間隔毎に最終ピッチの前記レーザデータに前記第1の累積カウント値を付加させる制御情報を前記レーザ付属情報出力部に設定する手段と、
前記レーザデータが入力する毎に、このレーザデータを第1の記憶手段に順次記憶する手段と、
を備えたことを要旨とする。
【0018】
また、本発明の線路周辺設備空間情報取得システムにおいて、前記レーザ付属情報出力部は、レーザ用の内部タイマを備え、
前記コントローラ部は、カウンタボードを備え、
前記カウンタボードは、前記エンコーダからのエンコーダパルスを計数し、この累積値を第2の累積カウント値として第2の間隔(200Hz)で出力するカウント手段を備え、
さらに、前記コントローラ部は、
コントローラ部用の内部タイマを備え、
前記レーザ付属情報出力部のレーザ用の内部タイマに対して、現在時刻を設定する手段と、
前記カウンタボードに対して、前記スキャン周期以上の周期(200Hz)を前記第2の間隔として設定する手段と、
前記カウンタボードからの前記第2の間隔で前記第2の累積カウント値が出力される毎に、前記コントローラ部用の内部タイマの現在時刻を該第2の累積カウント値に付加して第2の記憶手段に順次、記憶する手段と、
を備えたことを要旨とする。
【0019】
また、本発明の線路周辺設備空間情報取得システムは、前記荷台上に、前記鉄道線路の周辺の沿線設備を含んで撮影した画像データを前記スキャン周期以下の周期(30Hz)で出力する撮影装置を備え、
前記コントローラ部は、前記撮影装置からの前記画像データに前記コントローラ部用の内部タイマの現在時刻を付加して第3の記憶手段に記憶する手段を備えたことを要旨とする。
【0020】
また、本発明の線路周辺設備空間情報取得システムにおいて、前記荷台上の前記撮像装置は、
前記右用カメラ・照明部及び左用カメラ・照明部を有し、
前記右用カメラ・照明部は、
前記荷台の右部に、カメラの光軸中心が右線路に対して内側となる姿勢角で固定されて前記スキャン周期以下の周期で撮影した右赤外線画像又は右可視光線画像を出力する右用赤外線カメラと、
前記右用赤外線カメラの上に、光軸中心が前記右線路のやや外側を向くように固定された右用赤外線照明器と、
を備え、
前記左用カメラ・照明部は、
前記荷台の左部に、カメラの光軸中心が左線路に対して内側となる姿勢角で固定されて前記スキャン周期以下の周期で撮影した左赤外線画像又は左可視光線画像を出力する左用赤外線カメラと、
前記左用赤外線カメラの上に、光軸中心が前記左線路のやや外側を向くように固定された左用赤外線照明器と、
を備えていることを要旨とする。
【発明の効果】
【0021】
以上のように本発明によれば、鉄道線路を移動する移動体に、この鉄道線路に対して、所定の傾斜角度となる単一のレーザ光を円状にスキャンさせながら発射させるレーザスキャナ部と、車軸の回転数に応じたエンコーダパルスを出力するエンコーダとを設け、これらを制御するコントローラ部がレーザヘッドの回転に伴って、所定のピッチ角度で反射物(撮影対象物)までのレーザ距離とその反射強度とを含むレーザデータを出力させて順次、記憶する。
【0022】
一方、コントローラ部がカウント手段により、車軸に設けたエンコーダからの移動距離に応じた数のエンコーダパルスを計数させ、前述のレーザヘッドのスキャン周期毎に、この累積カウントである第1の累積カウント値をスキャン周期時の最終ピッチのレーザデータに付加させて出力させる。
【0023】
すなわち、スキャン周期毎に、最終ピッチのレーザデータには、現在までのエンコーダの移動距離に応じた第1の累積カウント値を付加させているので、レーザヘッドが1周期した時点までの、移動体の距離を第1の累積カウント値から知ることができる。
【0024】
従って、GPS部、INS部を設けなくとも、スキャン周期毎に鉄道線路上の移動車輌の位置が特定できる
また、レーザヘッドの1周期における撮影対象物までのレーザ距離とその反射強度とを含むレーザデータを順次記憶しているので、その撮影対象物を構成する画素を反射強度に対応した色で表現することが可能となる。
【0025】
さらに、コントローラ部がレーザスキャナ部と時刻同期を行なった後で、このレーザスキャナ部の現在時刻をスキャン周期時の最終ピッチのレーザデータに付加して送出させる一方、カウント手段によってエンコーダからのエンコーダパルスを計数させて前述のスキャン周期よりも数倍の細かな周期毎(200Hz)に、このエンコーダパルスの累積結果である第2の累積カウント値を読み出すと共に、この第2の累積カウント値にコントローラ部の内部タイマの現在時刻を付加してエンコーダパルスデータとして記憶する。
【0026】
このため、何らかの理由でレーザスキャナ部からのエンコーダパルスの累積結果である第1の累積カウント値に狂いがあったとしても、カウント手段からのエンコーダパルスデータは、より細かな周期で収集したエンコーダパルスの累積結果である第2の累積カウント値とレーザスキャナ部の内部タイマと同期が取られたコントローラ部の現在時刻とを含むものであるので、レーザスキャナ部からの1スキャン時の第1の累積カウント値に付加されている現在時刻と、この現在時刻に対応するコントローラ部の内部タイマの現在時刻を有するエンコーダパルスデータの現在時刻(誤差は微差)を引き当てることができる。
【0027】
従って、この引き当てたエンコーダパルスデータの第2の累積カウント値を採用して、これを1スキャン時点までの移動体の移動距離とすることができる。
【0028】
さらに、コントローラ部は、カウンタ手段にATS信号を検出させて、前述のスキャン周期よりも数倍の細かな周期毎(200Hz)に読み出して、ATS検出の有無を取得時点のエンコーダパルスデータに付加して記憶する。
【0029】
このため、何時、ATSが検出されても、この検出有りがエンコーダパルスに付加されていることになるから、前回のATS検出有りの第2の累積カウント値と今回のATS検出有りの第2の累積カウント値との差で、ATS間の移動距離を算出できることになる。また、これらの第2の累積カウント値に対応させられている現在時刻でもって、レーザデータの対応する現在時刻を見つけることができるから、ATS間のレーザデータ群(反射強度、レーザ距離)を容易に見つけ出(検索)することができる。
【0030】
さらに、カメラ(右、左)の画像データがレーザヘッドのスキャン周期以下の周期で出力されたとしても、この画像データ(赤外又は可視)にコントローラ部の同期合せを行なった内部タイマの時刻を画像取得時間として付加して記憶する。
【0031】
このため、この画像取得時間に対応する現在時刻を有するエンコーダパルスデータ又はレーザデータ(最終ピッチに対応するもの)を容易に引き当てさせることできる。つまり、画像データに対応するレーザデータを容易に見つけ出すことができる。
【0032】
さらに、移動体の荷台上の左右の角に赤外線カメラを線路内側に所定角度で向けて設け、かつこれらの赤外線カメラの上に赤外線照明器を線路外側に所定角度で向けているので、夜間撮影時においては、ハレーションを押さえた赤外画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本実施の形態の線路周辺設備空間情報取得システム10を移動体に搭載した場合の側面図である。
【図2】本実施の形態の線路周辺設備空間情報取得システム10の斜視図である。
【図3】本実施の形態の線路周辺設備空間情報取得システム10の上面図である。
【図4】軌陸車1を後方から見たときの本実施の形態の線路周辺設備空間情報取得システム10の後方図である。
【図5】レーザスキャナ部のスキャン範囲(断面)を説明する説明図である。
【図6】赤外線カメラ及び赤外線照明器の光軸方向を説明する説明図である。
【図7】赤外線カメラ及び赤外線照明器によりハレーションが生じる理由を説明する説明図である。
【図8】本実施の形態の赤外線カメラ及び赤外線照明器の光軸方向のずれによるハレーションが生じない理由を説明する説明図である。
【図9】本実施の形態のレーザスキャナ部の斜視図である。
【図10】本実施の形態のレーザヘッドの傾斜角度を説明する説明図である。
【図11】左カメラ・照明部L及び右カメラ・照明部Rの斜視図である。
【図12】赤外線カメラ及び赤外線照明器の姿勢角を説明する説明図である。
【図13】本実施の形態の線路周辺設備空間情報取得システム10の各部の電気的接続を示す接続図である。
【図14】図13の線路周辺設備空間情報取得システム10の動作の概念を説明する概念図である。
【図15】レーザスキャナ用PC47の本実施の形態のプログラム構成の概略構成図である。
【図16】各レーザスキャナの原点(0,0,0)との関係を説明する説明図である。
【図17】レーザスキャナのスキャン範囲を説明する説明図である。
【図18】赤外線カメラ用PC53の本実施の形態のプログラム構成の概略構成図である。
【図19】本実施の形態の線路周辺設備空間情報取得システム10の動作を説明するタイミングチャートである。
【図20】本実施の形態のレーザデータを説明する説明図である。
【図21】本実施の形態のエンコーダパルスデータ、赤外線画像データを説明する説明図である。
【図22】本実施の形態の各データの対応関係を説明する説明図である。
【図23】本実施の形態の各データに対応する画像データを説明する説明図である。
【図24】本実施の形態のレーザ部の詳細な斜視図である。
【図25】赤外線カメラに使用される架台の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下に本発明に係る本発明に係る線路周辺設備空間情報取得システムの実施の形態について図を参照して詳細に説明する。
【0035】
本実施の形態の開示の一部をなす論述及び図面は本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【0036】
図1は本実施の形態の線路周辺設備空間情報取得システム10を移動体に搭載した場合の側面図である。
【0037】
図1に示した如く、本実施の形態の線路周辺設備空間情報取得システム10は、
線路周辺設備空間情報取得装置10aと、車上子・エンコーダ用台車20a等で構成されている。
【0038】
前述の線路周辺設備空間情報取得装置10aは、鉄道線路保線用として使用される移動体(以下、軌陸車と記す)1の軌陸車本体2の荷台2aに取り付けた架台3と、この架台3の上面3a上に搭載されたセンサ部10bと、コントローラ部30等で構成されている。
【0039】
この際、上記したセンサ部10bは、後述の図2及び図3に示すように、レーザスキャナ部LSと、左カメラ・照明部Lと、右カメラ・照明部Rとで構成されている。
【0040】
上記した軌陸車1は、軌陸車本体2の下面2b側に取り付けた複数のタイヤ車輪4により道路走行が可能であり、且つ、軌陸車本体2の下面2b側にこの下面2に向かって折り畳み可能に取り付けた複数の車輪5により鉄道線路TR上での軌道走行が可能になっている。
【0041】
そして、本実施の形態に係る線路周辺設備空間情報取得システム10により線路周辺設備等の空間情報を取得する場合には、軌陸車1の軌陸車本体2に取り付けた複数の車輪5を鉄道線路TRに向って伸ばして鉄道線路TRに嵌合させ、且つ、軌陸車本体2に取り付けた複数のタイヤ車輪4を地上から浮かせることで、軌陸車1を鉄道線路TRに沿って走行させる。
【0042】
尚、本実施の形態では、線路周辺設備空間情報取得装置10aを軌陸車1上に搭載した場合について説明するが、これに限ることなく、鉄道線路TRに沿って走行できる移動体ならばいかなる形態でも良い。また、車上子・エンコーダ用台車20aは移動車輌と一体化させてもよい。
【0043】
車上子・エンコーダ用台車20aは、牽引台6に搭載した車上子部20と、牽引台6に取り付けたエンコーダ付き車輪部8等により牽引車が構成されている。
【0044】
この車上子・エンコーダ用台車20aは、軌陸車1の進行方向先端側に設けた軌陸車本体2の運転席2cとは反対側の後端部2dに着脱可能な連結手段7により連結されている。
【0045】
また、軌陸車1の軌陸車本体2の荷台2a側には、作業用のクレーン9が運転席2cの後方に設けたクレーン支柱部2eを介して取り付けられている。
【0046】
ここで、本実施の形態の線路周辺設備空間情報取得システム10について具体的に説明する。
【0047】
図2は本実施の形態の線路周辺設備空間情報取得システム10の斜視図である。図2においては、軌陸車本体2の一部を記載している。
【0048】
図3は本実施の形態の線路周辺設備空間情報取得システム10の上面図である。
【0049】
図4は軌陸車1を後方から見たときの本実施の形態の線路周辺設備空間情報取得システム10の後方図である。
【0050】
図2,図3及び図4に示すように、軌陸車1の軌陸車本体2の荷台2a上の後側には、台形状に枠組した架台3の左右の下面3bが不図示のねじなどを用いて固着されている。この架台3は、鉄道線路R上から上面3aまでの高さH1が略1.75mに設定されていると共に、架台3の上面3aは軌陸車1の進行方向の寸法Sが略0.6mに設定され、且つ、軌陸車1の進行方向と直交する幅方向の左右間の幅Bが略1.9mに設定されている。
【0051】
また、架台3の上面3a上の中央には、本実施の形態の線路周辺設備空間情報取得装置10aを構成する第1のレーザスキャナ11A(下方スキャン用レーザともいう)と、第2のレーザスキャナ11B(上方スキャン用レーザともいう)とがレーザ部支持部材12により固定されて、総称してレーザスキャナ部LSが構成されている。また、第1のレーザスキャナ11A(下方スキャン用レーザ)と、第2のレーザスキャナ11B(上方スキャン用レーザ)とを合わせてレーザ部11が構成されている。
【0052】
また、この架台3の上面3a上の左の角部には、左用赤外線カメラ13Lと、波長780nm〜1000nmの赤外線光を含む光を発射する左用赤外線照明器14Lとが左用照明器支持部材15Lによって一体的に固定されている(以下、左カメラ・照明部Lという)。
【0053】
また、架台3の上面3a上の右の角部には、右用赤外線カメラ13Rと、波長780nm〜1000nmの赤外線光を含む光を発射する右用赤外線照明器14Rとが右用照明器支持部材15Rによって一体的に固定されている(以下、右カメラ・照明部Rという)。
【0054】
これら左右一対の赤外線カメラ13L,13Rは、可視光線による画像も撮影することができるようになっている。また、これら左右一対の赤外線カメラ13L,13Rは、所定周期(例えば30Hz)で撮影した赤外画像データ(夜用)又は可視光線画像データ(昼用)を出力する機能を有している。
【0055】
なお、図2、図3におけるK1bは、左用赤外線カメラ13Lの光軸中心であり、K2bは、左用赤外線照明器14Lの光軸中心である。さらに、図2、図3におけるK1aは、右用赤外線カメラ13Rの光軸中心であり、K2aは、右用赤外線照明器14Rの光軸中心である。
【0056】
図3及び図6に示すように、鉄道線路TR(X方向)に対しての左用赤外線照明器14Lの光軸中心K2bの角度は略15度であり、鉄道線路TR(X方向)に対しての右用赤外線照明器14Rの光軸中心K2aの角度は略15度である。
【0057】
また、鉄道線路TR(X方向)に対しての左用赤外線カメラ13Lの光軸中心K1bの角度は略30度であり、鉄道線路TR(X方向)に対しての右用赤外線カメラ13Rの光軸中心K1aの角度は略30度である。
【0058】
これらの左カメラ・照明部L及び右カメラ・照明部R並びにレーザ部11については詳細に後述する。
【0059】
また、図2に示すように、コントローラ部30は、左カメラ・照明部L及び右カメラ・照明部R並びにレーザ部11とケーブル29で接続されており、これらを制御すると共に、これらからの情報を記憶する。
【0060】
さらに、図2及び図3に示すように、軌陸車本体2の後端部2dには、車上子・エンコーダ用台車20aを接続しながら連結させるための連結手段7が設けられている。
【0061】
車上子・エンコーダ用台車20aを構成するエンコーダ付き車輪部8の一方の車輪側にはエンコーダ22が連結されている。
【0062】
このエンコーダ22は、車軸1回転あたり100パルス出力するものであり、車輪の直径が197mmの場合は、
{197mm(車輪の直径)×π}÷100=6.1889375mm
であり、
1パルスあたりの距離は約6mm程度である(距離信号若しくはエンコーダパルスともいう)。
【0063】
また、車上子・エンコーダ用台車20aの車上子部20上に車上子21が設けられており、この車上子21は、左右に可動可能に枠組みして固定されている。
【0064】
なお、本実施の形態では鉄道線路TR内にATS(地上子ともいう)100が右側に設置されているので、ATS(地上子)100と対向する車上子21は右側に固定されている。
【0065】
なお、本実施の形態では鉄道線路TR内にATS(地上子ともいう)100が右側に設置されているので、車上子21は右側に固定されている。
【0066】
また、第1,第2のレーザスキャナ11A,11Bは、レーザヘッド11a,11b(図9参照)に送受信アレイ(0°〜270°:スキャン範囲)を設けてレーザ光を発射する。なお、スキャン範囲は任意に設定可能である。
【0067】
また、第1,第2のレーザスキャナ11A,11Bは、スキャン出力周期が50Hz/25Hzである。また、角度分解能が0.5°/0.25°である。なお、本実施の形態では角度分解能(ピッチ角度)は、0.5度、スキャン出力周期50Hzにしている。
【0068】
さらに、第1,第2のレーザスキャナ11A,11Bは、内部タイマ(必ずしも必要ではない)を備えて、この内部タイマにコントローラ部30からの現在時刻を設定する機能、外部から入力したエンコーダパルスを計数するパルスカウンタ機能を備え、設定されたスキャン周期(50Hz)毎に、エンコーダ22からのエンコーダパルスの累積カウント値と内部タイマの現在時刻とをピッチ270°のレーザデータに付加して出力する機能、一周期を示すフラグを出力する機能等を備えている。これらを総称して本実施の形態では、レーザ付属情報出力部と称する。このレーザ付属情報出力部は、レーザスキャナ11A,11B内に設けているが、外部に備えてもかまわない。
【0069】
また、レーザ光を受光する毎に、このレーザ光を反射する反射物となる撮影対象物までの距離(レーザ測定距離ともいう)を求める機能と、反射強度を求める機能とを備えている。
【0070】
また、第1,第2のレーザスキャナ11A,11Bは、架台3の上面3a上で幅方向の略中央部位にV字状に形成されたレーザ部支持部材12を介して、例えばレーザヘッド11a,11b(図9参照)の送受信アレイの135°が中心になるようにしている。
【0071】
また、図4に示すように、架台3の上面3a上から第1,第2のレーザスキャナ11A,11Bの各先端部位までの高さH2が略0.4mに設定されている。
【0072】
第1のレーザスキャナ11A(下方スキャン用レーザ)はレーザヘッド11a(図9参照)側がレーザ部支持部材12により軌陸車1の進行方向とは反対側の後方側に向けて取り付けられて、且つレーザヘッド(内部にある)11aからの照射面(スキャン範囲:0°〜270°)を斜め45度にしている。このため、レーザヘッド11aが1回転するのに伴って、図5に示したように第1のスキャン範囲θ°(270°)の第1のスキャン断面SD1が得られる。
【0073】
一方、第2のレーザスキャナ11B(上方スキャン用レーザ)は、レーザヘッド11b(図9参照)側がレーザ部支持部材12により軌陸車1の進行方向側に向かい、且つ斜め上方向に傾斜角度45度で取り付けられている。このため、図5に示すように、上方向90°の範囲(第2のスキャン断面SD2)をカバーしている(実際のスキャンニング範囲は0°〜270°である)。
【0074】
従って、第1,第2のレーザスキャナ11A,11Bにより円状(360度)に計測が可能となっている。
【0075】
前述の左用赤外線カメラ13L,右用赤外線カメラ13Rは、主に夜間撮影用として左用赤外線照明器14L,右用赤外線照明器14Rと共に用いられるものである。
【0076】
夜間撮影時に、左用赤外線照明器14L,右用赤外線照明器14Rから照射された赤外線が撮影対象物に照射されると、左用赤外線カメラ13L,右用赤外線カメラ13Rは、その反射光に反応した光を検知し、鉄道線路TRの周辺の沿線設備を含んで撮影した左赤外線画像及び右赤外線画像を出力する。
【0077】
尚、昼間撮影する場合には、左右一対の赤外線照明器14L,14Rを用いずに、左右一対の赤外線カメラ13L,13Rにより左右一対の可視光線画像を出力することが可能になっている。
【0078】
また、図4に示すように、架台3の上面3a上から左右一対の赤外線カメラ13L,13Rの各光軸中心K1b,K1aまでの高さH3が略0.1mに設定されている。また、図4に示すように、架台3の上面3a上から左右一対の赤外線照明器14L,14Rの各光軸中心K2b,K2aまでの高さH4が略0.3mに設定されている。
【0079】
ここで、左右一対の赤外線カメラ13L,13Rと、左右一対の赤外線照明器14L,14Rとが異なる角度でかつ互いに逆方向にされている理由を左側について簡単に説明する。
【0080】
図7(a)に示した如く、架台3の上面3aの左側部近傍に左用赤外線カメラ13Lを設置し、且つ、この左用赤外線カメラ13Lの上方に左用照明器支持部材15Lを介して左用赤外線照明器14Lを設置し、且つ、左用赤外線カメラ13L及び左用赤外線照明器14Lを軌陸車1の進行方向とは反対方向の後方側に向けて、左用赤外線カメラ13Lの光軸中心K1bの向きと左用赤外線照明器14Lの光軸中心K2bの向きとを略一致させたとすると、左用赤外線カメラ13Lで鉄道線路周辺の撮影対象物を撮影するカメラ撮影範囲CH1と、左用赤外線照明器14Lで鉄道線路周辺の撮影対象物を照明する照明範囲SH1とが略一致するものの、左用赤外線照明器14Lから射出させた近赤外光が撮影対象物で反射された直接の反射光を左用赤外線カメラ13Lで受光するために、左用赤外線カメラ13Lで撮影対象物を撮影したときに図7(b)に示したようにハレーションを起こしてしまい第1のカメラ画像が良好に得られない。
【0081】
とくに、鉄道線路TRに沿って設置される鉄道設備は、認識し易いように白色の反射塗料が多く使われているので赤外線カメラのように感度の高いカメラを使うと照明の状況によりハレーションを起こし、鉄道設備の状況が確認できない場合がある。
【0082】
そこで、図8(a)に示した如く、左用赤外線カメラ13Lの光軸中心K1bと左用赤外線照明器14Lの光軸中心K2bとを変えると、左用赤外線カメラ13Lで鉄道線路周辺の撮影対象物を撮影するカメラ撮影範囲CH2と、左用赤外線照明器14Lで鉄道線路周辺の撮影対象物を照明する照明範囲SH2とが部分的に重なり合う。
【0083】
このため、左用赤外線照明器14Lから射出させた近赤外光が撮影対象物で反射された直接の反射光を左用赤外線カメラ13Lで受光しないために、左用赤外線カメラ13Lで撮影対象物を撮影したときに図8(b)に示したようにハレーションを起こすことなく第1のカメラ画像が良好に得られる。
【0084】
尚、実施例では、架台3の上面3a上に設置した左右一対の赤外線カメラ13L,13Rの上方に左右一対の照明器支持部15L,15Rを介して左右一対の赤外線照明器14L,14Rを設置した場合について説明したが、これに限ることなく、架台3の上面3a上で左右一対の赤外線カメラ13L,13Rの近傍に左右一対の赤外線照明器14L,14Rを横設させてもよい。
【0085】
(詳細説明)
図9は本実施の形態のレーザスキャナ部LSの斜視図である。図9に示すように、レーザスキャナ部LSは、レーザ部11を構成する下方スキャン用レーザ11Aと、上方スキャン用レーザ11Bとが、レーザ部支持部材12によって支持されている。
【0086】
レーザ部支持部材12は、V字状の挟み板12a,12bと、平板12c等で構成されている。このV字状のV字角度は約90度(90°でなくともかまわない)であり、図10に示すように下方スキャン用レーザ11Aは、水平軸に対してスキャニング面が45度にされており、スキャン範囲は0°〜270度の範囲をスキャニングする。
【0087】
また、上方スキャン用レーザ11Bは、レーザヘッド11b(図9参照)を進行方向に45度傾けて向けて、上方向を0°〜270°の範囲をスキャニングする。
【0088】
これら第1,第2のレーザスキャナ11A,11Bは、ビーム広がり15mrad°、防水タイプ、1秒間に27,000発のパルスを回転しながら発射し、反射強度と反射物までのレーザ距離(総称してレーザデータという)を組み合わせて出力する。
【0089】
また、左カメラ・照明部Lと、右カメラ・照明部Rとについて、図11を用いて説明する。
【0090】
左カメラ・照明部Lを構成する左用赤外線照明器14Lの光軸中心Kb2は、左用赤外線照明器14Lを鉄道線路TR(X方向)に対して真っ直ぐに向けたときの左用赤外線照明器14Lのライト(図示せず)の中心から水平に引いた水平軸に対して、光軸中心K2bが鉄道線路TRの外側方向に水平約15度(10度〜20度;好ましくは約15度)の傾き及び上方向(Z方向)にも約10度〜15度の傾き有するように左用照明器支持部材15Lの上に固定されている{図12(b)参照}。つまり、撮影対象物に対して直接に近赤外光が照射されないようにしている。
【0091】
また、左カメラ・照明部Lを構成する左用赤外線カメラ13Lの光軸中心K1bは、鉄道線路TR(X方向)に対して左用赤外線カメラ13Lを真っ直ぐに向けたときのレンズの中心から水平に引いた水平軸に対して、光軸中心K1bが鉄道線路TRの内側方向に水平約30度(20度〜35度;好ましくは約30度)の傾き及び下方向(Z方向)にも約2度〜10度の傾き有するように左用赤外線照明器14Lの下に左用照明器支持部材15Lによって固定されている{図12(a)参照}。
【0092】
一方、右カメラ・照明部Rを構成する右用赤外線照明器14Rの光軸中心Ka2は、右用赤外線照明器14Rを鉄道線路TR(X方向)に対して真っ直ぐに向けたときの右用赤外線照明器14Rのライト(図示せず)の中心から水平に引いた水平軸に対して、光軸中心K1aが鉄道線路TRの外側方向に水平約15度(10度〜20度;好ましくは約15度)の傾き及び上方向(Z方向)にも約10度〜15度の傾き有するように右用照明器支持部材15Rの上に固定されている{図12(b)参照}。つまり、撮影対象物に対して直接に近赤外光が照射されないようにしている。
【0093】
また、右カメラ・照明部Rを構成する右用赤外線カメラ13Rの光軸中心K1aは、鉄道線路TR(X方向)に対して右用赤外線カメラ13Rを真っ直ぐに向けたときのレンズの中心から水平に引いた水平軸に対して、光軸中心K1aが鉄道線路TRの内側方向に水平約30度(20度〜35度;好ましくは約30度)の傾き及び下方向(Z方向)にも約2度〜10度の傾き有するように右用赤外線照明器14Rの下に右用照明器支持部材15Rによって固定されている{図12(a)参照}。
【0094】
さらに、左用赤外線照明器14L、右用赤外線照明器14Rはラッパ上に開いており、このラッパ上の開き角は約120度である。そして、これら左右一対の赤外線照明器14L,14Rの照射指向性は、約55度程度で最大となるライトを用いている。
【0095】
また、左用赤外線カメラ13L及び右用赤外線カメラ13Rの解像度は、1280×1024画素である。また、防水タイプである。
【0096】
図13は本実施の形態の線路周辺設備空間情報取得システム10の各部の電気的接続を示す接続図である。
【0097】
図13に示すように、軌陸車本体2の荷台2aに、発電機40と、発電機41と、端子台43,44と、DCコンバータ51,57と、エンコーダ信号分岐器55と、端子台61と、ATS検出器65とを搭載している。一方、Hub45,49と、レーザスキャナ用PC47と、赤外線カメラ用PC53とをコントローラ部30(図1,図2)に設けている。
【0098】
さらに、図13に示すように、下方スキャン用レーザ11Aと、上方スキャン用レーザ11Bと、左用赤外線カメラ13Lと、左用赤外線照明器14Lと、右用赤外線カメラ13Rと、右用赤外線照明器14Rとを架台3(図1,図2)の上面3aに搭載している。
【0099】
なお、発電機40,41を除いてこれらは架台3に設けても良い(上面又は下部)。
【0100】
さらに、車上子・エンコーダ用台車20aには、車上子21と、エンコーダ22が設けられている。これらは、ケーブル(電源ケーブル、信号ケーブル)によって接続されている。
【0101】
発電機41からのAC電力は、端子台44を介してAC/DCコンバータ51に出力されてDC電力に変換され、このDC電力がATS検出器65に出力されている。また、端子台44にはAC/DC変換器(図示せず)を介して赤外線カメラ用PC53が接続されている。
【0102】
また、端子台44にはAC/DC変換器(図示せず)を介して左右一対の赤外線照明器14L,14Rが接続されている。
【0103】
また、端子台44には、交流を直流変換するAC/DC変換器(図示せず)を介して左右一対の赤外線カメラ13L,13Rが接続され、かつAC/DC変換器(図示せず)を介してHub49が接続されている。
【0104】
さらに、発電機40からのAC電力は、端子台43を介してAC/DCコンバータ57に出力されてDC電力に変換されている。また、端子台43にはHub45及びレーザスキャナ用PC47がDC変換機(図示せず)を介して接続されている。
【0105】
車上子21は、鉄道線路TR内に設置されたATS(地上子)100を検出する毎に、ATS信号を車上子接続箱66を介してATS検出器65に出力する。この際、上記したATS信号は、ここではATS(地上子)100が設置された位置を示す位置信号である。
【0106】
ATS検出器65は、ATS信号の立ち上がりエッジを検出して、論理「1」をATS検出信号として端子台61に送出する。
【0107】
端子台61は、エンコーダ信号分岐器55からのエンコーダパルスとATS検出信号とを入力して、カウンタボード59に出力する。
【0108】
カウンタボード59は、エンコーダパルスが出力される毎にカウントして、このカウント値を前回のカウント値に加算し、これを累積カウント値Eiとして赤外線カメラ用PC53に出力する。即ち、カウンタボード59からのエンコーダパルスの累積カウント値Eiは、200Hz周期で赤外線カメラ用PC53に出力する。このとき、ATS検出の有無を200Hzで出力する。
【0109】
一方、エンコーダ信号分岐器55は、エンコーダ22からのエンコーダパルスを下方スキャン用レーザ11A、上方スキャン用レーザ11Bに出力すると共に、端子台61に出力する。
【0110】
レーザスキャナ用PC47及び赤外線カメラ用PC53について、図14を用いて概略を説明する。
【0111】
図14は図13の線路周辺設備空間情報取得システム10の動作の概念を説明する概念図である。
【0112】
図14に示すように、レーザスキャナ用PC47は、第1,第2のレーザスキャナ11A,11Bに対してレーザ計測パラメータを設定して送信する。
【0113】
また、赤外線カメラ用PC53が時刻合わせ情報をレーザスキャナ用PC47に送出してお互いに現在時刻を合わせる。そして、レーザスキャナ用PC47は、下方スキャン用レーザ11A,上方スキャン用レーザ11Bに対して現在時刻を合わせる。
【0114】
すなわち、赤外線カメラ用PC53、レーザスキャナ用PC47、下方スキャン用レーザ11A、上方スキャン用レーザ11Bは、赤外線カメラ用PC53の内部タイマの現在時刻Stiで同期が取られたことになる。
【0115】
そして、走行に伴って、車輪に連結されているエンコーダ22からのエンコーダパルスをカウンタボード59及び第1,第2のレーザスキャナ11A,11Bに入力する。
【0116】
下方スキャン用レーザ11Aは鉄道線路TRの方向(下方)、斜めに(進行方向に対して後側)スキャン範囲0°〜270°の範囲にレーザ光を照射(0.5ピッチ)し、この反射光の受信時間で撮影対象物までのレーザ計測距離と、その反射強度を求めてピッチ角度(単に番号でもよい)と共に出力する(総称して下方用レーザデータともいう)。
【0117】
また、このとき、下方スキャン用レーザ11Aは、エンコーダ22からのエンコーダパルスを計測しており、50Hz(1周期:スキャン周期)毎に累積カウント値Eaiをピッチ270°の下方用レーザデータに付加して出力する(図14のレーザ・エンコーダ出力部:レーザ付属情報出力部に対応する)。
【0118】
なお、上方スキャン用レーザ11Bについては、下方スキャン用レーザ11Aと同じ機能を有して動作が同じであるから説明を省略する。
【0119】
一方、レーザスキャナ用PC47は、赤外線カメラ用PC53からの現在時刻Stiを内部タイマに設定し、この現在時刻を上方スキャン用レーザ11B,下方スキャン用レーザ11Aに送出して設定する。
【0120】
そして、上方スキャン用レーザ11Bから50Hz毎に上方レーザデータが、および下方スキャン用レーザ11Aから50Hz毎に下方レーザデータが出力される毎に、メモリに順次記憶する(それぞれ541個)。
【0121】
一方、カウンタボード59は、エンコーダ22からのエンコーダパルスを計測し、この累積カウント値Ebiを赤外線カメラ用PC53からの出力要求(200Hz:50msec)毎に出力すると共に、ATS100を検出する車上子21からのATS検出信号の有無を検出し、その結果を前述の出力要求に伴って赤外線カメラPC53に送出する。
【0122】
また、赤外カメラ用PC53は、右用赤外線カメラ13R{光軸中心が水平軸に対して内側(一方の鉄道線路TRの内側)に30°傾いている}、左用赤外線カメラ13L{光軸中心が水平軸に対して内側(他方の鉄道線路TRの内側)に30°傾いている}が撮影している赤外線画像データ(右用赤外線画像データ、左用赤外線画像データ)を30Hz周期で取得して、該読み込んだときの内部タイマの時刻を付加してメモリに記憶する。
【0123】
また、赤外カメラ用PC53は、カウンタボード59の累積カウント値Ebiを200Hz毎に読み込み(200Hz)、該読み込んだときの内部タイマの現在時刻を付加してメモリに記憶する(図14においてはパルスカウンタ記録)。
【0124】
一方、車軸に設けたエンコーダ22からのエンコーダパルスの累積カウント値Eaiを200Hz(5msec)周期で読み込んで、この5msec毎の累積カウント値Eaiに、現在時刻を対応づけた5msecあたりのパルスカウントデータ(5msec毎の移動距離データ)を記憶し、かつ赤外線画像データを30Hz周期で現在時刻と共に記憶している。
【0125】
このため、赤外線画像データの現在時刻で、その赤外線画像データを得たときのパルスカウントデータが把握できると共に、このパルスカウントデータに含まれている累積カウント値でどの時点のレーザデータが対応するかが分る。
【0126】
次に、レーザスキャナ用PC47と、赤外線カメラ用PC53について説明を補充する。
【0127】
図15はレーザスキャナ用PC47の本実施の形態のプログラム構成の概略構成図である。
【0128】
図15に示すように、レーザスキャナ用PC47は、レーザ計測パラメータ読込部70と、レーザ計測パラメータ設定部72と、エンコーダ累積パルス付加指示部73と、レーザスキャナ計測開始部75と、レーザスキャナ時刻合せ部76と、タイマ77と、時刻合せ部78と、レーザデータ読込部79等からなる。これらは、ROM、RAM、CPU等で動作する。
【0129】
初めに、第1,第2のレーザスキャナ11A,11Bのパラメータを説明する。図16に示すように、原点(0,0,0)は、軌陸車後輪軸と起動中心線(高さは鉄道線路TRの上面)とする。これら第1,第2のレーザスキャナ11A,11Bの角度分解能とスキャン周期を図17に示す。
【0130】
図15に戻り、レーザ計測パラメータ読込部70は、作業員によって入力されて画面表示された第1,第2のレーザスキャナ11A,11Bのスキャン範囲、回転数(計測周期:50Hz)、計測角度ピッチ等を、設定指示の入力に伴って、レーザ計測パラメ−タとしてメモリ71に記憶する。本実施の形態ではスキャン範囲は、0°〜270°である。
【0131】
レーザ計測パラメータ設定部72は、レーザ計測パラメータ読込部70がレーザ計測パラメータをメモリ71に読み込むと、このレーザ計測パラメータを下方スキャン用レーザ11A、上方スキャン用レーザ11Bに設定する。このとき、レーザ計測パラメータを下方スキャン用レーザ11A、上方スキャン用レーザ11Bに設定したことを示す第1のフラグをメモリ74に書き込む。
【0132】
エンコーダ累積パルス付加指示部73は、レーザ計測パラメータの設定に伴って、下方スキャン用レーザ11A、上方スキャン用レーザ11Bに対して、エンコーダ22からのエンコーダパルスを計測して、50Hz毎(1周期)に、レーザスキャナ11A,11Bの内部タイマ(図示せず)の現在時刻Rti(下方用はRati、上方用はRbti)と計測パルスの累積カウント値とを送出させるためのコマンドを下方スキャン用レーザ11A、上方スキャン用レーザ11Bに出力して設定させる。また、このコマンドをレーザスキャナ11A,11Bに出力したことを示す第2のフラグをメモリ74に設定する。
【0133】
時刻合せ部78は、赤外線カメラ用PC53からの時刻合わせ情報(時刻合わせコマンド、赤外線カメラ用PC53の現在時刻Sti)の入力があるかどうかを監視している。
【0134】
そして、時刻合わせ情報が入力した場合は、タイマ77(内部タイマ)にその現在時刻Stiを設定する。この設定後の現在時刻をRpiと称する。
【0135】
レーザスキャナ時刻合せ部76は、時刻合せ部78がタイマ77に赤外線カメラ用PC53の現在時刻Stiが設定されると、タイマ77の現在時刻Rpiを読み込んで、この現在時刻Rpiを下方スキャン用レーザ11A、上方スキャン用レーザ11Bに送出して設定させる。また、現在時刻Rpiの設定に伴って、メモリ74に現在時刻Rpiの設定を示す第3のフラグを設定する。
【0136】
下方スキャン用レーザ11Aは、レーザスキャナ用PC47からの現在時刻Rpiを現在時刻Ratiとして設定する。
【0137】
上方スキャン用レーザ11Bは、レーザスキャナ用PC47からの現在時刻Rpiを現在時刻Rbtiとして設定する。
【0138】
レーザスキャナ計測開始部75は、メモリ74に第1,第2,第3のフラグが設定されると、下方スキャン用レーザ11A、上方スキャン用レーザ11Bから50Hz毎に送出される下方レーザデータRAi、上方レーザデータRBiを読み込み、タイマ77の現在時刻Rpiを付加してメモリ80に記憶する。
【0139】
このメモリ80は、下方スキャン用レーザ11A用のメモリ80aと、上方スキャン用レーザ11B用のメモリ80bとからなり、レーザデータRAiはメモリ80aに、レーザデータRBiはメモリ80bに保存される。
【0140】
下方レーザデータRAiというのは、下方スキャン用レーザ11Aからのものであり、0.5ピッチ毎のレーザ計測距離と、反射強度であり、またレーザヘッド11a(図9参照)の1周期毎に下方スキャン用レーザ11Aの内部タイマの現在時刻Ratiと、この下方スキャン用レーザ11Aに入力したエンコーダ22の現時点の累積カウント値Eaiが下方レーザデータRAiに付加される。上方レーザデータRBiについても同様である。
【0141】
図18は赤外線カメラ用PC53の本実施の形態のプログラム構成の概略構成図である。
【0142】
図18に示すように、時刻合せ情報出力部90と、タイマ91と、エンコーダパルス・ATS信号読込部92と、赤外線画像読込部94等からなる。
【0143】
時刻合せ情報出力部90は、初期設定指示の入力に伴って、タイマ91の現在時刻Stiをレーザスキャナ用PC47に送出する。
【0144】
エンコーダパルス・ATS信号読込部92は、初期設定としてカウンタボード59に対してカウンタリセット信号を出力する。
【0145】
そして、タイマ96が5msec経過(200Hz)する毎に累積カウント値Ei、ATS検出信号を読み込むコマンドをカウンタボード59に出力してタイマ91の現在時刻Stiを付加したエンコーダ・ATSデータとしてメモリ93に順次記憶する。
【0146】
赤外線画像読込部94は、30Hz周期で左用赤外線カメラ13Lの左用赤外線画像データ及び右用赤外線カメラ13Rの右用赤外線画像データを読み込んで、タイマ91の現在時刻Stiを付加して記憶する。
【0147】
左用赤外線画像データは、メモリ95a(画像メモリ)に記憶され、右用赤外線画像データは、メモリ95b(画像メモリ)に記憶される。
【0148】
(動作説明)
以下に動作を説明する。
【0149】
図19は本実施の形態の線路周辺設備空間情報取得システム10の動作を説明するタイミングチャートである。図19においては、レーザスキャナ用PC47及び赤外線カメラ用PC53が共にオン状態にされた後に、オフ状態にされたときのタイミングチャートである。
【0150】
本実施の形態では、両方のPC47,53はオン状態とし、軌陸車1が走行を開始したとして説明する。
【0151】
図19に示すように、赤外線用カメラ用PC53の時刻合わせ情報出力部90は、レーザスキャナ用PC47に対して時刻合わせ情報(Sti)を送出する(d1)。
【0152】
レーザスキャナ用PC47の時刻合せ部78は、この時刻合わせ情報に基づいて内部に備えているタイマ77の時刻を合わせる(d2)。タイマ77の時刻はRpiとなる。レーザスキャナ用PC47のレーザスキャナ時刻合せ部76は、下方スキャン用レーザ11A、上方スキャン用レーザ11Bにこの現在時刻Rpiを設定する。つまり、第1,第2のレーザスキャナ11A,11B、レーザスキャナ用PC47は、赤外線カメラ用PC53の現在時刻Stiで同期されたことになる。無論、レーザスキャナ用PC47のタイマ77の現在時刻を基準にしてもかまわない。
【0153】
そして、レーザスキャナ用PC47のレーザスキャナ計測開始部75は、下方スキャン用レーザ11A、上方スキャン用レーザ11Bに対して計測開始指示を送出する(d3)。下方スキャン用レーザ11A、上方スキャン用レーザ11Bは計測開始指示がある期間は計測状態となる(d4)。
【0154】
一方、エンコーダ22は、軌陸車1が走行するに伴って、その移動速度に応じたエンコーダパルスを出力する(d7)。
【0155】
また、ATS検出器65は、ATS100を検出する毎に、ATS検出信号を出力する(d9)。
【0156】
以下の説明では、下方スキャン用レーザ11Aを代表にして説明する。
【0157】
下方スキャン用レーザ11Aは、計測開始指示に伴ってスキャン範囲0°〜270°のスキャン範囲(0.5ピッチ)でレーザ光を発射し、この反射レーザ光に基づいて照射物体(撮影対象物)までの距離と、その反射レーザ光の反射強度とを求めて出力する(d5a、d5b、・・)。
【0158】
また、下方スキャン用レーザ11Aのカウンタ機能は、エンコーダパルスをカウントしている(d5a、d5b、・・・・)。
【0159】
そして、下方スキャン用レーザ11Aは、50Hz経過する毎に、エンコーダパルスの累積カウント値Eaiと現在時刻Ratiとを270°のレーザデータRAiに付加して送出する(d6a、d6b、・・・)。
【0160】
レーザスキャナ用PC47のレーザデータ読込部79は、下方レーザデータRAiが出力される毎にタイマ77の現在時刻Rpiを付加(付加しなくともよい)してメモリ80aに記憶する(d8a、d8b・・・:図20参照)。
【0161】
すなわち、スキャン周期毎に、最終ピッチ(270°)のレーザデータには、現在までのエンコーダ22による移動距離に応じた第1の累積カウント値Eaiを付加させているので、レーザヘッド11a(図9参照)が1周期した時点までの、軌陸車(移動体)1の移動距離を第1の累積カウント値Eaiから知ることができる。
【0162】
従って、GPS部、INS部を設けなくとも、スキャン周期毎に鉄道線路TR上の移動車輌の位置が特定できる。
【0163】
また、レーザヘッド11a(図9参照)の1周期における撮影対象物までのレーザ距離とその反射強度とを含むレーザデータを順次記憶しているので、その対象物を構成する画素を反射強度に対応した色で表現することが可能となる。
【0164】
つまり、レーザ反射強度を使うことで、点群は白黒画像のような濃淡のある表現が可能である。単に点群による形状だけでは、線路周辺設備の判読ができないが、表面状況で反射強度の異なるデータを表現することで、点群のみでもある程度線路周辺設備の判読ができる。この反射強度の取得は周りの明るさに左右されないため、日中の明るい場所でも深夜の暗い場所でも、照明なしに同様のデータを取得できる。
【0165】
ここで、レーザスキャナ用PC47の内部タイマの現在時刻Stiを付加する理由は、
何らかの理由で、パルスのカウントや下方スキャン用レーザ11Aのタイマに障害があった場合に、全く他にセンサ間のデータを関連づける手がかりがないことになる。このため、レーザスキャナ用PC47の現在時刻Stiも同時に記録するのが好ましい。
【0166】
また、本実施の形態のレーザスキャナというのは、累積カウント値がある一定値に到達するとリセットして、再びカウントして累積する。
【0167】
このため、スキャン周期(1周期:50Hz)毎に出力される下方スキャン用レーザ11Aからの累積カウント値Eaiは、不確かなものになってしまう。このため、レーザスキャナ用PC47の内部タイマの現在時刻Stiを、下方スキャン用レーザ11Aからのレーザデータ(1周期時点)に付加するのが好ましい。無論、50Hz毎に記憶された累積カウント値を追跡していけば、リセットされた個所が分るので、計算することで正確な累積カウントを得ることは可能である。
【0168】
1周分のレーザデータには2種類(レーザの内部タイマとPCの内部タイマ)の時刻が付加されているが、いずれを用いるかは、使用形態によって決まる。
【0169】
一方、赤外線カメラ用PC53のエンコーダパルス・ATS信号読込部92は、カウンタボード59で計測しているエンコーダ22の累積カウント値EiとATS検出信号とを含むエンコーダパルスデータを200Hz周期(5msec毎)で読み込んでこれをメモリ93に記憶する{d10:図21(a)参照}。このとき、タイマ91の現在時刻Stiを付加する。
【0170】
このため、何らかの理由で下方スキャン用レーザ11Aからのエンコーダパルスの累積結果である第1の累積カウント値Eaiに狂いがあったとしても、エンコーダパルスデータは、より細かな周期で収集したエンコーダパルスの累積結果である第2の累積カウント値Eiと第1のレーザスキャナ11Aの内部タイマと同期が取られたPC(レーザスキャナ用、赤外線カメラ用)の現在時刻(sti)とを含むものであるので、下方スキャン用レーザ11Aからの1スキャン時の第1の累積カウント値Eaiに付加されている現在時刻と、この現在時刻に対応する現在時刻を有するエンコーダパルスデータの現在時刻(誤差は微差)を引き当てることができる。
【0171】
従って、この引き当てたエンコーダパルスデータの第2の累積カウント値を採用して、これを1スキャン時点までの軌陸車(移動体)1の移動距離とすることができる。
【0172】
図19においては、赤外線カメラ用PC53が200Hzで累積カウント値Eiの読み込むタイミングをHレベルで示している。累積カウント値Eiが存在する場合はその累積カウント値を「1,2,3・・・」として記載している(d11)。
【0173】
また、ATS検出信号の200Hzの検出タイミングをHレベルで記載し、200Hzで検出したときに、「1」があれば、そのHレベルに「1」を書き込んで示している(d12)。
【0174】
一方、赤外線カメラPC53は、左用赤外線カメラ13Lからの左用赤外線画像データ(1駒ごと)を30Hz毎日に読み込み、メモリ95a{図21(b)参照}に記憶する(d13a、d13b・・)。
【0175】
すなわち、エンコーダパルスデータは、図22(b)に示すように200Hz周期におけるエンコーダパルスの累積カウント値、ATS100の検出の有無が取得され、下方スキャン用レーザ11Aからはレーザデータが図22(a)に示すように、1周期(50Hz)で541個のレーザデータが取得されて、これらの内の270°のレーザデータには、時刻同期がなされた1周期時点の下方スキャン用レーザ11Aの現在時刻Ratiと50Hz経過時点のエンコーダパルスの累積カウント値Eaiとが対応付けられて記憶されるので、エンコーダパルスデータに含まれているエンコーダパルスの累積カウント値Eiとレーザデータの累積カウント値Eaiとの比較で、どれが対応しているかが分る。例えば図22の(a)のエンコーダパルスの累積カウント値Eai(「26584」)と、エンコーダパルスデータの累積カウント値Ei(「26581」)が対応する。
【0176】
また、赤外線カメラからの赤外線画像データには、同期が取られた現在時刻Stiが付加されて記憶されるので赤外線画像データの現在時刻Stiで、その赤外線画像データを得たときのパルスカウントデータが把握できると共に、このパルスカウントデータに含まれている累積カウント値Eiでどの時点のレーザデータが対応するかが分る。
【0177】
例えば図22(c)の現在時刻Sti(02.1524.579)を有する赤外線画像データに、図22(b)の現在時刻Rati(02.1524.577)付近のエンコーダパルスデータが対応する。つまり、図22(c)の現在時刻Sti(02.1524.579)を有する赤外線画像データに対応するレーザデータは、図22(a)の現在時刻Rati(02.1524.569:累積カウント値Eai「26584」)と現在時刻Rati(02.1524.5696:累積カウント値Eai「27278」)との間の1周期のレーザデータが対応することになる。
【0178】
従って、図22に示すように、各画像をエンコーダの累積カウント値Eai、Eiは現在時刻Sti、Rati(Rpt=Sti)で対応させることができる。
【0179】
これらのデータを用いると、図23に示すように各データを対応させることができる。図23(a)においては、昼の可視画像を示し、図23(b)においては、夜の赤外線画像を示し、図23(c)、(d)には、レーザデータの反射強度に基づくレーザ画像を示している。
【0180】
また、200Hzでエンコーダパルスデータを読み込んでいるので、軌陸車1が高速(標準30km程度、高速60km程度)に移動しても確実にATS100の検出信号を捕らえることができる。そして、このATS100の検出時点から次のATS検出までの累積カウント値との差で、ATS100間の距離も算出することができる。
【0181】
また、鉄道線路TRに地理座標が与えられている場合は、レーザデータは鉄道沿線設備までの距離を測定しているので、累積カウント値を距離換算することでその鉄道沿線設備にレーザ画像、赤外線画像データを対応させることができる。つまり、GPS部、INS部等を必要としなで、鉄道沿線設備にレーザ画像、赤外線画像データを対応させることができる。
【0182】
前述のレーザスキャナ部LSについて補充する。レーザ部支持部材12は、図24に示すように、V字状の挟み板12a,12bを連結部材11da、11db・・・・で連結している。下方スキャン用レーザ11Aは、連結部材11dh、11diで連結され、下方も図示しない連結部材で挟み板12a、12bで挟まれて固定されている。
【0183】
さらに、上方スキャン用レーザ11Bは、連結部材11de、11dfで連結され、下方も図示しない連結部材で挟み板12a、12bで挟まれて固定されている。
【0184】
一方、左カメラ・照明部Lを構成する左用赤外線照明器14Lは図25に示す架台Zを用いて固定されている。
【0185】
なお、上記実施の形態では、架台3の上面3aは平板として説明したが、平板でなくとも、例えば、各センサ(赤外線カメラ、レーザスキャナ)と照明器とを載せるフレーム枠にしてもよい。
【符号の説明】
【0186】
1 移動体(軌陸車)
3 架台
8 エンコーダ付き車輪部
TR 鉄道線路
10 線路周辺設備空間情報取得システム
10a 線路周辺設備空間情報取得装置
LS レーザスキャナ部
11(11A,11B) レーザ部
11A 第1のレーザスキャナ11A(下方スキャン用レーザ)
11B 第2のレーザスキャナ11B(上方スキャン用レーザ)
12 レーザ部支持部材
L 左カメラ・照明部
13L 左用赤外線カメラ
14L 左用赤外線照明器
15L 左用照明器支持部材
R 右カメラ・照明部
13R 右用赤外線カメラ
14R 右用赤外線照明器
15R 右用照明器支持部材
20 車上子部
20a 車上子・エンコーダ用台車
21 車上子
22 エンコーダ
65 ATS検出器
100 ATS(地上子)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄道線路を移動する移動体に、レーザスキャナ部と、車軸の回転数に応じたエンコーダパルスを出力するエンコーダと、コントローラ部とを備えて、前記鉄道線路の周辺の空間情報を取得する線路周辺設備空間情報取得システムであって、
前記レーザスキャナ部は、
レーザヘッドを所定のスキャン周期で回転させながら所定のピッチ角度で単一のレーザ光を発射し、このレーザ光に基づく反射強度と反射物までのレーザ距離とをレーザデータとして前記ピッチ角度毎に順次、出力するレーザ部と、
前記エンコーダパルスを入力し、この累積値を設定された第1の間隔で第1の累積カウント値として出力するレーザ付属情報出力部と、
前記レーザ光が前記鉄道線路に対して所定傾斜角度で発射されるように前記レーザ部を保持して前記移動体の荷台上に固定されたレーザ部支持部材と、
を備え、
前記コントローラ部は、
前レーザ付属情報出力手段に、前記レーザヘッドのスキャン周期として前記レーザ部に設定し、該スキャン周期を前記第1の間隔とし、該間隔毎に最終ピッチの前記レーザデータに前記第1の累積カウント値を付加させる制御情報を前記レーザ付属情報出力部に設定する手段と、
前記レーザデータが入力する毎に、このレーザデータを第1の記憶手段に順次記憶する手段と、
を備えたことを特徴とする線路周辺設備空間情報取得システム。
【請求項2】
前記レーザ付属情報出力部は、レーザ用の内部タイマを備え、
前記コントローラ部は、カウンタボードを備え、
前記カウンタボードは、前記エンコーダからのエンコーダパルスを計数し、この累積値を第2の累積カウント値として第2の間隔で出力するカウント手段を備え、
さらに、前記コントローラ部は、
コントローラ部用の内部タイマを備え、
前記レーザ付属情報出力部のレーザ用の内部タイマに対して、現在時刻を設定する手段と、
前記カウンタボードに対して、前記スキャン周期以上の周期を前記第2の間隔として設定する手段と、
前記カウンタボードからの前記第2の間隔で前記第2の累積カウント値が出力される毎に、前記コントローラ部用の内部タイマの現在時刻を該第2の累積カウント値に付加して第2の記憶手段に順次、記憶する手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1記載の線路周辺設備空間情報取得システム。
【請求項3】
前記荷台上に、前記鉄道線路の周辺の沿線設備を含んで撮影した画像データを前記スキャン周期以下の周期で出力する撮影装置を備え、
前記コントローラ部は、前記撮影装置からの前記画像データに前記コントローラ部用の内部タイマの現在時刻を付加して第3の記憶手段に記憶する手段を備えたことを特徴とする請求項1又は2記載の線路周辺設備空間情報取得システム。
【請求項4】
前記レーザスキャナ部のレーザ付属情報出力部は、
前記エンコーダパルスの第1の累積カウント値が一定値になる毎に、この累積カウント値をリセットするものであり、
前記コントローラ部は、
前記レーザ付属情報出力部から前記スキャン周期毎の前記第1の累積カウント値が入力する毎に、前記コントローラ用の内部タイマの現在時刻を付加する手段を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の線路周辺設備空間情報取得システム。
【請求項5】
前記レーザ部は、下方スキャン用レーザと、上方スキャン用レーザとからなり、
前記レーザ付属情報出力部は、前記下方スキャン用レーザと前記上方スキャン用レーザとに対応して各々設けられ、
前記レーザ部支持部材は、
前記下方スキャン用レーザの照射面が水平軸に対してマイナス角度となる傾斜角度(マイナス45度)で前記鉄道線路に向くように、かつ前記上方スキャン用レーザの照射面が水平軸に対してプラス角度となる傾斜角度で前記鉄道線路に向くように、両方をV字状に挟んで前記荷台上に設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の線路周辺設備空間情報取得システム。
【請求項6】
前記下方スキャン用レーザ及び上方スキャン用レーザのスキャン範囲は、0°〜270°の範囲であることを特徴とする請求項5記載の線路周辺設備空間情報取得システム。
【請求項7】
前記荷台上の前記撮像装置は、
前記右用カメラ・照明部及び左用カメラ・照明部を有し、
前記右用カメラ・照明部は、
前記荷台の右部に、カメラの光軸中心が右線路に対して内側となる姿勢角で固定されて前記スキャン周期以下の周期で撮影した右赤外線画像又は右可視光線画像を出力する右用赤外線カメラと、
前記右用赤外線カメラの上に、光軸中心が前記右線路のやや外側を向くように固定された右用赤外線照明器と、
を備え、
前記左用カメラ・照明部は、
前記荷台の左部に、カメラの光軸中心が左線路に対して内側となる姿勢角で固定されて前記スキャン周期以下の周期で撮影した左赤外線画像又は左可視光線画像を出力する左用赤外線カメラと、
前記左用赤外線カメラの上に、光軸中心が前記左線路のやや外側を向くように固定された左用赤外線照明器と、
を備えていることを特徴とする請求項3に記載の線路周辺設備空間情報取得システム。
【請求項8】
前記右用カメラ・照明部は、
前記右用赤外線カメラを、その光軸中心を前記右線路に対して約30°内側で下方に約5°の姿勢で固定して、前記右用赤外線照射器を、この上に光軸中心を前記右線路の外側に約15°、水平軸に対して上方に約15°で固定し、
前記左用カメラ・照明部は、
前記左用赤外線カメラを、その光軸中心を前記左線路に対して約30°内側で下方に約5°の姿勢で固定し、この上に左用赤外線照射器を、この上に光軸中心を前記左線路の外側に約15°、水平軸に対して上方に約15°で固定していることを特徴とする請求項7に記載の線路周辺設備空間情報取得システム。
【請求項9】
前記下方スキャン用レーザ及び上方スキャン用レーザは、前記レーザ付属情報出力部を備え、
前記コントローラ部は、
前記レーザスキャナ用の第1のコントローラ部と、前記右用赤外線カメラ用及び左用赤外線カメラ用の第2のコントローラ部とからなり、それぞれのコントローラ部に前記コントローラ部用の内部タイマを備えて、いずれかの内部タイマの現在値を設定する手段を備え、
さらに、
前記第1のコントローラ部は、
前記下方スキャン用レーザ及び上方スキャン用レーザに前記コントローラ部用の第1の内部タイマの現在時刻を設定する手段と、
前記下方スキャン用レーザ及び上方スキャン用レーザに対して、前記レーザヘッドのスキャン範囲及び前記スキャン周期を設定する手段と、
前記下方スキャン用レーザからのレーザデータ、上方スキャン用レーザからのレーザデータが入力する毎に、これらのレーザデータを下方用と上方用とに区別して前記第1の記憶手段に順次記憶する手段と、を備え、
前記第2のコントローラ部は、
前記右用赤外線カメラからの右用赤外線画像データ、前記左用赤外線カメラからの左用赤外線画像データに内部タイマの現在時刻を付加して、これらを区別して前記第2の記憶手段に記憶する手段と、
を有することを特徴とする請求項5乃至8のいずれか1項に記載の線路周辺設備空間情報取得システム。
【請求項10】
前記鉄道線路内に設置したATSを検出するためのATS検出部を備え、
前記カウンタボードは、
前記ATS検出部からのATS信号を入力し、前記第2の間隔(200Hz)で前記コントローラ部にATS検出の有無を示す出力信号を出力する手段を備え、
前記コントローラ部は、
前記カウンタボードからの前記ATS検出の有無を前記第2の間隔で読み込んで、これを前記第2の累積カウント値に付加して記憶する手段を有することを特徴とする請求項2乃至9のいずれか1項に記載の線路周辺設備空間情報取得システム。
【請求項11】
前記ATS検出部は、車上子を備え、
前記エンコーダ及び前記車上子は、前記鉄道線路を走行可能な牽引車に搭載され、この牽引車は前記移動体に連結されていることを特徴とする請求項10に記載の線路周辺設備空間情報取得システム。
【請求項12】
前記レーザ部とレーザ付属情報出力部とは一体化されて前記レーザスキャナ部に設けられていることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の線路周辺設備空間情報取得システム。
【請求項13】
前記レーザスキャナ部と前記撮像装置は、前記荷台上に設けられた平板又はフレーム上の支持部材によって水平に固定されていることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の線路周辺設備空間情報取得システム。
【請求項1】
鉄道線路を移動する移動体に、レーザスキャナ部と、車軸の回転数に応じたエンコーダパルスを出力するエンコーダと、コントローラ部とを備えて、前記鉄道線路の周辺の空間情報を取得する線路周辺設備空間情報取得システムであって、
前記レーザスキャナ部は、
レーザヘッドを所定のスキャン周期で回転させながら所定のピッチ角度で単一のレーザ光を発射し、このレーザ光に基づく反射強度と反射物までのレーザ距離とをレーザデータとして前記ピッチ角度毎に順次、出力するレーザ部と、
前記エンコーダパルスを入力し、この累積値を設定された第1の間隔で第1の累積カウント値として出力するレーザ付属情報出力部と、
前記レーザ光が前記鉄道線路に対して所定傾斜角度で発射されるように前記レーザ部を保持して前記移動体の荷台上に固定されたレーザ部支持部材と、
を備え、
前記コントローラ部は、
前レーザ付属情報出力手段に、前記レーザヘッドのスキャン周期として前記レーザ部に設定し、該スキャン周期を前記第1の間隔とし、該間隔毎に最終ピッチの前記レーザデータに前記第1の累積カウント値を付加させる制御情報を前記レーザ付属情報出力部に設定する手段と、
前記レーザデータが入力する毎に、このレーザデータを第1の記憶手段に順次記憶する手段と、
を備えたことを特徴とする線路周辺設備空間情報取得システム。
【請求項2】
前記レーザ付属情報出力部は、レーザ用の内部タイマを備え、
前記コントローラ部は、カウンタボードを備え、
前記カウンタボードは、前記エンコーダからのエンコーダパルスを計数し、この累積値を第2の累積カウント値として第2の間隔で出力するカウント手段を備え、
さらに、前記コントローラ部は、
コントローラ部用の内部タイマを備え、
前記レーザ付属情報出力部のレーザ用の内部タイマに対して、現在時刻を設定する手段と、
前記カウンタボードに対して、前記スキャン周期以上の周期を前記第2の間隔として設定する手段と、
前記カウンタボードからの前記第2の間隔で前記第2の累積カウント値が出力される毎に、前記コントローラ部用の内部タイマの現在時刻を該第2の累積カウント値に付加して第2の記憶手段に順次、記憶する手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1記載の線路周辺設備空間情報取得システム。
【請求項3】
前記荷台上に、前記鉄道線路の周辺の沿線設備を含んで撮影した画像データを前記スキャン周期以下の周期で出力する撮影装置を備え、
前記コントローラ部は、前記撮影装置からの前記画像データに前記コントローラ部用の内部タイマの現在時刻を付加して第3の記憶手段に記憶する手段を備えたことを特徴とする請求項1又は2記載の線路周辺設備空間情報取得システム。
【請求項4】
前記レーザスキャナ部のレーザ付属情報出力部は、
前記エンコーダパルスの第1の累積カウント値が一定値になる毎に、この累積カウント値をリセットするものであり、
前記コントローラ部は、
前記レーザ付属情報出力部から前記スキャン周期毎の前記第1の累積カウント値が入力する毎に、前記コントローラ用の内部タイマの現在時刻を付加する手段を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の線路周辺設備空間情報取得システム。
【請求項5】
前記レーザ部は、下方スキャン用レーザと、上方スキャン用レーザとからなり、
前記レーザ付属情報出力部は、前記下方スキャン用レーザと前記上方スキャン用レーザとに対応して各々設けられ、
前記レーザ部支持部材は、
前記下方スキャン用レーザの照射面が水平軸に対してマイナス角度となる傾斜角度(マイナス45度)で前記鉄道線路に向くように、かつ前記上方スキャン用レーザの照射面が水平軸に対してプラス角度となる傾斜角度で前記鉄道線路に向くように、両方をV字状に挟んで前記荷台上に設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の線路周辺設備空間情報取得システム。
【請求項6】
前記下方スキャン用レーザ及び上方スキャン用レーザのスキャン範囲は、0°〜270°の範囲であることを特徴とする請求項5記載の線路周辺設備空間情報取得システム。
【請求項7】
前記荷台上の前記撮像装置は、
前記右用カメラ・照明部及び左用カメラ・照明部を有し、
前記右用カメラ・照明部は、
前記荷台の右部に、カメラの光軸中心が右線路に対して内側となる姿勢角で固定されて前記スキャン周期以下の周期で撮影した右赤外線画像又は右可視光線画像を出力する右用赤外線カメラと、
前記右用赤外線カメラの上に、光軸中心が前記右線路のやや外側を向くように固定された右用赤外線照明器と、
を備え、
前記左用カメラ・照明部は、
前記荷台の左部に、カメラの光軸中心が左線路に対して内側となる姿勢角で固定されて前記スキャン周期以下の周期で撮影した左赤外線画像又は左可視光線画像を出力する左用赤外線カメラと、
前記左用赤外線カメラの上に、光軸中心が前記左線路のやや外側を向くように固定された左用赤外線照明器と、
を備えていることを特徴とする請求項3に記載の線路周辺設備空間情報取得システム。
【請求項8】
前記右用カメラ・照明部は、
前記右用赤外線カメラを、その光軸中心を前記右線路に対して約30°内側で下方に約5°の姿勢で固定して、前記右用赤外線照射器を、この上に光軸中心を前記右線路の外側に約15°、水平軸に対して上方に約15°で固定し、
前記左用カメラ・照明部は、
前記左用赤外線カメラを、その光軸中心を前記左線路に対して約30°内側で下方に約5°の姿勢で固定し、この上に左用赤外線照射器を、この上に光軸中心を前記左線路の外側に約15°、水平軸に対して上方に約15°で固定していることを特徴とする請求項7に記載の線路周辺設備空間情報取得システム。
【請求項9】
前記下方スキャン用レーザ及び上方スキャン用レーザは、前記レーザ付属情報出力部を備え、
前記コントローラ部は、
前記レーザスキャナ用の第1のコントローラ部と、前記右用赤外線カメラ用及び左用赤外線カメラ用の第2のコントローラ部とからなり、それぞれのコントローラ部に前記コントローラ部用の内部タイマを備えて、いずれかの内部タイマの現在値を設定する手段を備え、
さらに、
前記第1のコントローラ部は、
前記下方スキャン用レーザ及び上方スキャン用レーザに前記コントローラ部用の第1の内部タイマの現在時刻を設定する手段と、
前記下方スキャン用レーザ及び上方スキャン用レーザに対して、前記レーザヘッドのスキャン範囲及び前記スキャン周期を設定する手段と、
前記下方スキャン用レーザからのレーザデータ、上方スキャン用レーザからのレーザデータが入力する毎に、これらのレーザデータを下方用と上方用とに区別して前記第1の記憶手段に順次記憶する手段と、を備え、
前記第2のコントローラ部は、
前記右用赤外線カメラからの右用赤外線画像データ、前記左用赤外線カメラからの左用赤外線画像データに内部タイマの現在時刻を付加して、これらを区別して前記第2の記憶手段に記憶する手段と、
を有することを特徴とする請求項5乃至8のいずれか1項に記載の線路周辺設備空間情報取得システム。
【請求項10】
前記鉄道線路内に設置したATSを検出するためのATS検出部を備え、
前記カウンタボードは、
前記ATS検出部からのATS信号を入力し、前記第2の間隔(200Hz)で前記コントローラ部にATS検出の有無を示す出力信号を出力する手段を備え、
前記コントローラ部は、
前記カウンタボードからの前記ATS検出の有無を前記第2の間隔で読み込んで、これを前記第2の累積カウント値に付加して記憶する手段を有することを特徴とする請求項2乃至9のいずれか1項に記載の線路周辺設備空間情報取得システム。
【請求項11】
前記ATS検出部は、車上子を備え、
前記エンコーダ及び前記車上子は、前記鉄道線路を走行可能な牽引車に搭載され、この牽引車は前記移動体に連結されていることを特徴とする請求項10に記載の線路周辺設備空間情報取得システム。
【請求項12】
前記レーザ部とレーザ付属情報出力部とは一体化されて前記レーザスキャナ部に設けられていることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の線路周辺設備空間情報取得システム。
【請求項13】
前記レーザスキャナ部と前記撮像装置は、前記荷台上に設けられた平板又はフレーム上の支持部材によって水平に固定されていることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の線路周辺設備空間情報取得システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図24】
【図25】
【図7】
【図8】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図24】
【図25】
【図7】
【図8】
【図23】
【公開番号】特開2012−225846(P2012−225846A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−95366(P2011−95366)
【出願日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(000196587)西日本旅客鉄道株式会社 (202)
【出願人】(591074161)アジア航測株式会社 (48)
【出願人】(592105620)ジェイアール西日本コンサルタンツ株式会社 (15)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(000196587)西日本旅客鉄道株式会社 (202)
【出願人】(591074161)アジア航測株式会社 (48)
【出願人】(592105620)ジェイアール西日本コンサルタンツ株式会社 (15)
[ Back to top ]