説明

締付トルク測定ユニット

【課題】ピークトルク値を監視することにより、1回の締付け作業の完了を判別することのできる締付トルク測定ユニットを提供する。
【解決手段】締付トルクを検出するトルクセンサ12と、該トルクセンサからの出力トルク値のピークトルク値を検出するピークトルク検出手段26と、該ピークトルク検出手段にて検出されたピークトルク値を記憶する記憶手段32と、を具えており、記憶手段は、複数のトルク値を記憶可能であり、ピークトルク検出手段は、1回の締付け作業において、トルク値のピークトルク値を順次更新して記憶手段に送信して記憶させるものであり、所定時間以上ピークトルク値の更新がなければ、当該締付け作業が完了したものとして、当該ピークトルク値を記憶手段に記憶させ、次に入力されたトルク値は、別の締付け作業であると判断してピークトルク値を検出し、別途記憶手段に記憶させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボルト・ナット等の被締付部材の締付トルクを検出することのできる締付トルク測定ユニットに関するものであり、より具体的には、締付けトルクのピークトルク値又は波形を記憶する記憶手段を具えた締付トルク検出ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ボルト、ナット等の被締付部材を締め付ける際に、締付トルクを検出することのできる締付トルク検出ユニットが提案されており、該締付トルク検出ユニットは、締付機に装備又は締付機の動力伝達機構に着脱可能に装備して使用される。
【0003】
締付トルク検出ユニットには、測定されたトルク値のピークトルク値を記憶可能なものも提案されているが、1回の締付け作業が完了した後、所定の操作(例えば、メモリボタンを押す)を行なって、当該締付け作業におけるピークトルク値を一旦記憶させた後、新たな締付け作業を行なう必要があった。
【0004】
【特許文献1】特開2007−111797号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
連続して締付け作業を行なう場合、締付け作業毎にピークトルク値を記憶させるために所定の操作を行なうことは煩わしく、また、当該操作を忘れると、締付け作業を行なった回数と、記憶されたピークトルク値の数が一致しなくなる問題もあった。
【0006】
本発明の目的は、ピークトルク値を監視することにより、1回の締付け作業の完了を判別することのできる締付トルク測定ユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の締付トルク測定ユニットは、
締付機に装備される締付トルク測定ユニットであって、
締付トルクを検出するトルクセンサと、該トルクセンサからの出力トルク値のピークトルク値を検出するピークトルク検出手段と、該ピークトルク検出手段にて検出されたピークトルク値を記憶する記憶手段と、を具えており、
記憶手段は、複数のトルク値を記憶可能であり、
ピークトルク検出手段は、1回の締付け作業において、トルク値のピークトルク値を順次更新して記憶手段に送信して記憶させるものであり、所定時間以上ピークトルク値の更新がなければ、当該締付け作業が完了したものとして、当該ピークトルク値を記憶手段に記憶させ、次に入力されたトルク値は、別の締付け作業であると判断してピークトルク値を検出し、別途記憶手段に記憶させるものである。
【0008】
記憶手段は、1回の締付け作業において、ピークトルク検出手段から入力されるトルク値の波形を記憶手段に記憶するものであり、ピークトルク検出手段は、所定時間以上ピークトルク値の更新がなければ、当該締付け作業が完了したものとして、次のピークトルク検出手段から入力されるトルク値の波形を別途記憶手段に記憶させることが望ましい。
【0009】
本発明の締付トルク測定ユニットは、締付機の駆動部や動力伝達機構、例えば回転軸に着脱可能に装備することもできるし、締付機の駆動部分に内蔵等することにより一体に装備することもできる。
【0010】
本発明の締付トルク測定ユニットを装備することのできる締付機として、例えば、電動式のもの、油圧作動型のもの、圧縮エア作動型のもの、また、手動のレンチを例示することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、締付け作業毎にトルク値のピークトルク値及び/又はトルク値の波形を記憶させることができる。
ピークトルク値の記憶及び/又はトルク値の波形の記憶は、1回の締付け作業完了後、次の締付け作業に移行する間の所定時間にピークトルク値の更新がないことに着目して行なわれるから、使用者は、特段の操作等を必要とすることもなく、トルク値のピークトルク値及び/又はトルク値の波形の記録漏れを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の締付トルク測定ユニット(10)は、締付機(図示せず)を用いて、ボルトやナット等の締付け作業において、締付け作業毎にピークトルク値及び/又はトルク値の波形を記憶できるようにしたものである。
【0013】
以下、本発明について、図面を参照しながら説明を行なう。
図1は、本発明の締付トルク測定ユニット(10)のブロック図を示している。
図1に示すように、締付トルク測定ユニット(10)は、主として、トルクセンサ(12)と、該トルクセンサ(12)からの出力をトルク値に換算するトルク測定手段(13)と、該トルク測定手段(13)にて測定されたトルク値からピークトルク値を検出するピークトルク検出手段(26)と、ピークトルク検出手段(26)にてピークトルク値が、予め設定された上限ピークトルク値を越えたときに、過負荷履歴として記憶、表示する過負荷履歴記憶手段(36)、及び、過負荷警告表示手段(38)を具える。
トルク測定ユニット(10)は、図示しないバッテリ等から電源の供給を受けて作動する。
【0014】
トルクセンサ(12)として、歪みゲージを例示することができ、トルクセンサ(12)は、締付機が電動式や圧縮エア作動型、油圧作動型のものの場合、駆動部や動力伝達機構、例えば回転軸に装着することができ、締付機が手動レンチやドライバーの場合、アーム部や軸部に取り付けたり、ソケット等に取り付けることができる。
【0015】
トルクセンサ(12)からの出力は、トルク測定手段(13)にてトルク値に換算される。トルク測定手段(13)は、トルクセンサ(12)からの出力をゲイン(15)にて増幅、オフセット補正(15a)する増幅器(14)、増幅器(14)からの出力をA/D変換するA/Dコンバータ(16)、及び、マイクロプロセッサ(MPU)(20)に組み込まれた増幅器(40)(42)から構成することができる。
【0016】
なお、増幅器(40)(42)は、締付機の締付方向に応じて、与えるゲインが異なる右回転用増幅器(40)と左回転用増幅器(42)であって、これらは、特性上、トルクセンサ(12)及び増幅器(14)にて出力されたアナログ値が左右の回転方向で差異が生じることを補正するものである。右回転用増幅器(40)は、図1に示すように、右ゲイン(41)により入力デジタル信号を調整し、左回転用増幅器(42)は右ゲイン(41)とは異なるゲイン値である左ゲイン(43)により入力デジタル信号を調整する。右回転用増幅器(40)と左回転用増幅器(42)の切替えは、後述する左右選択スイッチ(22)により行なわれる。
なお、本発明は、左右の締付方向に応じてゲインを変える構成に限定されるものではない。
【0017】
右回転用増幅器(40)と左回転用増幅器(42)の入力側には、図1に示すように、ゼロ点調整(29a)を行なうためのゼロ点調整操作ボタン(29)を配備することができる。ゼロ点調整操作ボタン(29)を操作して、ゼロ点調整(29a)を行なうことにより、温度、湿度等によるトルクセンサ(12)や増幅器(14)のドリフトによるゼロ点のずれをリセットして、測定前の無負荷の状態をゼロと認識させ、表示手段(30)の表示トルク値をゼロに設定することができる。
【0018】
また、右回転用増幅器(40)の右ゲイン(41)と、左回転用増幅器(42)の左ゲイン(43)は、ティーチング操作により、出荷前又はメンテナンス時に調整を容易に行なえるようにすることが望ましい。これにより、例えば、図1に示すように、A/Dコンバータ(16)から出力され、右回転用増幅器(40)又は左回転用増幅器(42)に入力されるデジタル信号に対し、ティーチング操作ボタン(28)を操作すると、特定のトルク負荷が、測定値の表示として換算されるように、右ゲイン(41)及び左ゲイン(43)を記憶させることができる。
具体的には、締付トルク測定ユニット(10)を装着した状態の締付機に右回転の定格トルク(例えば、定格トルクが800Nmであれば、+800Nmのトルク)を加え、この状態でティーチング操作ボタン(28)を操作し、該ティーチング操作ボタン(28)に接続されたトルク換算手段(28a)により、締付トルク測定ユニット(10)の右側のトルク測定値が当該定格トルク(例の場合+800Nm)として換算されるよう、右ゲイン(41)を調整する。逆回転についても同様に、左回転の定格トルクを加え、この状態でティーチング操作ボタン(28)を操作することにより、締付トルク測定ユニット(10)の左回転のトルク測定値が当該定格トルク(例の場合−800Nm)として換算されるように、左ゲイン(43)を調整する。これにより、締付トルク測定ユニット(10)に与えられた定格トルクとトルク表示とを精密に調整する必要がなくなり、出荷前やメンテナンス時の調整を容易に行なうことができる。
【0019】
上記トルク測定手段(13)は、トルクセンサ(12)から入力された電流値を増幅器(14)にて所定のゲイン(15)にて増幅し、オフセット補正(15a)を行ない、A/Dコンバータ(16)に出力する。A/Dコンバータ(16)は、増幅器(14)からの出力をA/D変換し、左右選択手段(24)にて切り替えられた一方の増幅器(40)(42)からの出力がピークトルク検出手段(26)に送信される。
【0020】
右回転用増幅器(40)と左回転用増幅器(42)の出力側には、左右選択スイッチ(22)が接続されている。左右選択スイッチ(22)は、締付機の締付方向が右方向であるか左方向であるかを判別する左右選択手段(24)により作動し、左右選択手段(24)が右回転であると判別した場合には、左右選択スイッチ(22)は、右回転用増幅器(40)と接続し、左回転と判別した場合には、左右選択スイッチ(22)は、左回転用増幅器(42)と接続する。なお、左右選択手段(24)による左右判別の詳細については後述するフローチャート図2にて説明する。
【0021】
右回転用増幅器(40)又は左回転用増幅器(42)からの出力は、左右選択スイッチ(22)を介して、ピークトルク検出手段(26)に送信される。ピークトルク検出手段(26)では、検出されたトルク値のピークトルク値及び/又はトルク波形を検出し(ステップ9)、後述する表示手段(30)及び/又は記憶手段(32)に表示、記憶等させる。
【0022】
ピークトルク検出手段(26)は、トルク測定手段(13)、即ち、本実施例の場合、右回転用増幅器(40)又は左回転用増幅器(42)から出力されたトルク値(以下「現在トルク値」と称する)からピークトルク値の検出を行なう手段である。
ピークトルク検出手段(26)は、予め設定された上限ピークトルク値と現在トルク値とを比較し、上限ピークトルク値を越える過負荷トルク値が入力されると、過負荷履歴記憶手段(36)に記憶すると共に、過負荷警告表示手段(38)に表示する。
【0023】
過負荷履歴記憶手段(36)として、フラッシュメモリを例示できる。過負荷履歴記憶手段(36)は、上限ピークトルク値を越えた過負荷トルクの値を過負荷履歴として記憶する。なお、上限ピークトルク値を越えた過負荷トルク値は複数記憶可能としたり、日時等を同時に記憶するようにしてもよい。
【0024】
過負荷警告表示手段(38)は、上限ピークトルク値を越えた過負荷トルク値が検知されたことを表示する。過負荷警告表示として、例えば「Error: OVER LOAD」等の表示を例示できる。
【0025】
過負荷履歴記憶手段(36)の過負荷履歴及び過負荷警告表示手段(38)の過負荷警告表示は、メンテナンスを行なうまで消去できないようにすることが望ましい。過負荷履歴及び過負荷警告表示は、過負荷履歴解除手段(39)により消去できるようにし、その操作は、メンテナンス作業員が、締付トルク測定ユニット(10)のメンテナンスを行なった場合にのみ実行できるようにすることが望ましい。
【0026】
なお、ピークトルク検出手段(26)は、上述した上限ピークトルク値と現在トルク値との比較の他、締付け作業におけるピークトルク値を表示、記憶したり、トルク波形を記憶するために用いることもできる。締付け作業におけるピークトルク値は、ピークトルク値表示手段(30)に出力することができ、ピークトルク値の記憶は、ピークトルク値記憶手段(32)にて行なうことができる。また、トルク波形の記憶は、トルク波形記憶手段(34)にて行なうことができる。
ピークトルク値の表示、記憶及びトルク波形の記憶は、後述するフローチャート図2及び図3に示すように、1回の締付け作業毎に分けて行なうことが望ましい。
【0027】
上記構成の締付トルク測定ユニット(10)の動作について、フローチャート図2及び図3を用いて説明する。
【0028】
締付トルク測定ユニット(10)に電源が投入されると、まず、後述するステップ14にて過負荷履歴の記憶が実行されていたかを参照し(ステップ1)、過負荷履歴記憶が実行されていた場合には過負荷警告表示手段(38)に過負荷警告表示を行なう(ステップ2)。
【0029】
過負荷警告が表示されている場合には、トルク測定値に狂いが生じている可能性があるため、速やかにトルク測定ユニット(10)のメンテナンスを依頼することが望まれる。過負荷警告を表示することで、使用者又は管理者がトルク測定ユニット(10)の使用の際に視覚的に認識することができる。
【0030】
過負荷履歴の有無を判断した後、ゼロ点調整操作ボタン(29)を操作し、ゼロ点調整(29a)を行なうことにより、トルクセンサ(12)や増幅器(14)のゼロ点のずれをリセットする(ステップ3)。
【0031】
トルクの測定は、予め左右選択スイッチ(22)が、右回転用増幅器(40)と接続されるようにしておき(ステップ4)、右回転用増幅器(40)からの出力が一定値以上となったとき、例えば、予め設定された表示手段(30)への表示開始トルク値以上となったときに(ステップ5)、左右選択手段(24)が、該出力(デジタル値)のトルク換算値(Nm)の正負を判断し、トルク換算値がプラスである場合には、締付機の締付方向が右回転、マイナスである場合には左回転であると判定する(ステップ6)。判定の結果が右回転であれば、左右選択手段(24)は、そのまま、左右選択スイッチ(22)を右回転用増幅器(40)と接続させ(ステップ7)、逆に、判定が左回転であれば、左回転用増幅器(42)に接続を切り替える(ステップ8)。
【0032】
右回転用増幅器(40)又は左回転用増幅器(42)からの出力は、スイッチ機構(22)を介して、ピークトルク検出手段(26)に送信される。ピークトルク検出手段(26)では、検出されたトルク値のピークトルク値及び/又はトルク波形を検出し(ステップ9)、後述する表示手段(30)及び/又は記憶手段(32)に表示、記憶等させる。
【0033】
図3は、ピークトルク検出手段(26)の動作を示すフローチャート図であって、フローチャート図2のステップ9を詳細に示したものである。
ピークトルク検出手段(26)は、フローチャート図3に示すように、右回転用増幅器(40)又は左回転用増幅器(42)から出力されたトルク値について、ピークトルク検出を開始する(ステップ21)。
ピークトルク検出は、予めピークトルク検出手段(26)に記憶されているピークトルク値をクリアにし(ステップ22)、所定時間(図3では1秒間に設定)に入力されるトルク値からピークトルク値を検出する。なお、所定時間は例示の1秒に限られるものではなく、任意で設定を行なうことができる。
ピークトルク検出手段(26)にトルク値が入力されると(ステップ24)、ピークトルク検出手段(26)はトルク波形を記録すると共に(ステップ25)、入力されたトルク値(現在トルク値)が、トルク波形中のピークトルク値よりも大きいか否かを判断し、現在トルク値が、記憶されているピークトルク値よりも大きければピークトルク値を更新し(ステップ27)、再度所定時間のカウントを開始する(ステップ28)。現在トルク値が記憶されているピークトルク値以下であれば、所定時間が経過するまで、ステップ24〜ステップ28を繰り返す(ステップ29)。繰り返されるステップ24〜ステップ28では、現在トルク値が元のピークトルク値を越える毎に、新たなピークトルク値として更新される。
【0034】
所定時間(図3では1秒)以上、ピークトルク値が更新されなければ、締付け作業が完了したものと見なし、ピークトルク値の検出及びトルク波形の記録を完了し(ステップ30)、フローチャート図2のステップ10に進む。
【0035】
ピークトルク検出手段(26)が検出したピークトルク値は、ピークトルク値としてピークトルク値記憶手段(32)に記憶される(ステップ10)。また、トルク波形は、トルク波形記憶手段(34)に記憶される。
【0036】
図4は、ピークトルク値記憶手段(32)及びトルク波形記憶手段(34)となる記憶手段のフォルダツリー構造の一例を示す図である。記憶手段として、microSDカード(60)を例示できるが、これに限定されるものではない。
図4に示すように、microSDカード(60)は、フォルダツリー構造として、締付トルク測定ユニット(10)の機種名(図示では「DTM8」)のフォルダ(61)を作成し、その配下に当該締付トルク測定ユニット(10)のシリアルナンバー(図示では「0710003」)のフォルダ(62)、さらにその配下に締付け作業を行なった日付のフォルダ(63)(64)を作成している。日付フォルダ(63)(64)には、夫々データファイルを保存している。
【0037】
日付フォルダ(63)(64)に記憶されるデータファイルには、各締付け作業において、フローチャート図3で検出されたピークトルク値及びトルク波形を、CSV(comma separated values)形式で各締付け作業毎に記憶したレコード行を含むことができる。例えば、日付フォルダ(63)は、該当日(2007年11月13日)に1連の1つのグループ締付け作業のみを行なったものであり、CSVファイルは1つだけとなっている。日付フォルダ(64)は、100回のグループ締付け作業の記録を100ケのCSVファイルとして夫々記憶している。
また、日付フォルダ(63)(64)には更に、最後に保存されたグループファイル追番とトルク番号の記載された「LAST#GRP.TXT」ファイル(65)と「LAST#TRQ.TXT」ファイル(66)をテキスト形式で保存するようにしている。
【0038】
上記のように、ピークトルク値を監視することにより、使用者の特段の操作なしで、ピークトルク値記憶手段(32)に各締付け作業毎にピークトルク値及び/又はトルク波形を記憶させることにより、トルク締付け作業の確実性を高めることができる。また、締付け作業毎にピークトルク値及び/又はトルク波形を記憶するようにしたことで、ピークトルク値及び/又はトルク波形を後で容易に確認することができ、さらに、ピークトルク値及び/又はトルク波形の数(上記CSVファイルの内容)から締付け作業の回数が確認でき、締付け作業を行なった回数との照合作業等を容易に行なうことができる。
【0039】
なお、上記では、1の記憶手段にピークトルク値とトルク波形を記憶するようにしたが、記憶手段を分けたり、フォルダを分けることは勿論可能である。さらに、ピークトルク値とトルク波形の一方のみを記憶するようにしてもよい。
【0040】
次に、ピークトルク検出手段(26)は、検出されたピークトルク値と、予め設定された上限ピークトルク値とを比較し(ステップ11)、ピークトルク値が、上限ピークトルク値よりも小さい場合には、検出されたピークトルク値をピークトルク値表示手段(30)に表示する(ステップ12)。
【0041】
一方、ステップ11にて、ピークトルク値が、上限ピークトルク値を越える場合には、過負荷警告表示手段(38)に過負荷警告表示を行なう(ステップ13)と共に、過負荷履歴記憶手段(36)に過負荷履歴として過負荷トルク値を記憶させる(ステップ14)。
【0042】
上記が行われた後、次の締付け作業におけるトルク値の測定作業に移行するために、トルク値の記憶位置を次のワーク領域へ進め(ステップ15)、ステップ3に戻る。
【0043】
上記によれば、予め設定された上限ピークトルク値を越えるピークトルク値が、締付トルク測定ユニット(10)に作用したときに、過負荷履歴として記憶され、また、過負荷警告表示として表示されるから、使用者は、仕様外の締付けを行なったことを視覚的に認識することができ、速やかにメンテナンスを依頼することができる。また、メンテナンス作業員は、メンテナンスの際に、過負荷履歴を参照することで締付トルク測定ユニット(10)の異常箇所を容易に特定することができる利点もある。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、締付け作業毎にピークトルク値及び/又はトルク波形を記憶することのできる締付トルク測定ユニットとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の締付トルク測定ユニットのブロック図である。
【図2】本発明の締付トルク測定ユニットのフローチャート図である。
【図3】ピークトルク値及びトルク波形の検出フローを示すフローチャート図である。
【図4】記憶手段のフォルダツリー構造を示す図である。
【符号の説明】
【0046】
(10) 締付トルク測定ユニット
(12) トルクセンサ
(20) マイクロプロセッサ
(26) ピークトルク検出手段
(32) ピークトルク値記憶手段
(34) トルク波形記憶手段
(36) 過負荷履歴記憶手段
(38) 過負荷警告表示手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
締付機に装備される締付トルク測定ユニットであって、
締付トルクを検出するトルクセンサと、該トルクセンサからの出力トルク値のピークトルク値を検出するピークトルク検出手段と、該ピークトルク検出手段にて検出されたピークトルク値を記憶する記憶手段と、を具えており、
記憶手段は、複数のトルク値を記憶可能であり、
ピークトルク検出手段は、1回の締付け作業において、トルク値のピークトルク値を順次更新して記憶手段に送信して記憶させるものであり、所定時間以上ピークトルク値の更新がなければ、当該締付け作業が完了したものとして、当該ピークトルク値を記憶手段に記憶させ、次に入力されたトルク値は、別の締付け作業であると判断してピークトルク値を検出し、別途記憶手段に記憶させることを特徴とする締付トルク測定ユニット。
【請求項2】
記憶手段は、1回の締付け作業において、ピークトルク検出手段から入力されるトルク値の波形を記憶手段に記憶するものであり、
ピークトルク検出手段は、所定時間以上ピークトルク値の更新がなければ、当該締付け作業が完了したものとして、次のピークトルク検出手段から入力されるトルク値の波形を別途記憶手段に記憶させる請求項1に記載の締付トルク測定ユニット。
【請求項3】
締付機に着脱可能に装備される請求項1又は請求項2に記載の締付トルク測定ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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