説明

締付金具用自動締付工具

【課題】 スピーディに、しかも均一で高精度に締め付けることができ、締め付け力にむらのないものを提供する。
【解決手段】 自動締付工具の本体7内部に設けたモータ3と、自動締付工具の本体7先端側に設け、締付金具1の両側面から挟み込んでこの締付金具1に取り外し自在に固定する反力受部8と、締付ボルト2の頭部2Aに嵌合し、モータ3からの回転力を伝達して回転する、本体7先端側の反力受部8の間に設けたソケット6とを有する

【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
この発明は、例えば2体の(板状)被締付部材を固定・仮止めする締付金具に使用する自動締付工具に係り、特にこの締付金具に設けた締付ボルトを締め付けたり緩めたりする締付金具用自動締付工具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば建築現場では、特に外壁面等の外回りの工事を行うため、やぐらのような仮設構造物をはりめぐらすことが一般に行われている。また、このようなやぐらを組む場合に、2枚の板状部材どうしを一時的にしっかりと固定させるため、例えばコ字型の金具(以下締付金具とよぶ)が開発され使用されている。 即ちこの締付金具は、これに予め取り付けてあるボルトを締め付けていき、このボルトと締付金具との間で2枚の板状部材を挟着し、一時的にしっかりと固定させるものである。
【0003】
また、この締付金具を使用しこの金具に備えたボルトを締め付ける場合には、例えばトルクレンチを使用して高トルク、高精度の締め付け作業を行うようになっている。
【0004】
【考案が解決しようとする課題】
ところで、このようなトルクレンチなどの工具を使用したボルトの締め付け作業は、手や腕などの力を利用した手締め作業であるから、作業効率が悪い。
そこで、例えばインパクトレンチなどの電動機を利用したボルト締付作業も考えられるが、トルク不足や締付精度などの点で問題がある。
【0005】
そこで、この考案は、上記した事情に鑑み、スピーディに、しかも均一で高精度に締め付けることができ、締め付け力にむらのない締付金具用自動締付工具を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
即ち、この請求項1に記載の考案は、少なくとも2体の板状の被締付部材を固定・仮止めする締付金具において、この締付金具に設けた締付ボルトを締め付けたり緩めたりする締付金具用自動締付工具であって、この自動締付工具の本体内部に設けたモータと、前記自動締付工具の本体先端側に設け、前記締付金具の両側面から挟み込んでこの締付金具に取り外し自在に固定する反力受部と、前記締付ボルトの頭部に嵌合し、前記モータからの回転力を伝達して回転する、前記自動締付工具の本体先端側の反力受部の間に設けたソケットとを有するものである。
【0007】
【考案の実施の形態】
以下、この考案の最適な実施例について添付図面を参照しながら説明する。
図1は、この考案にかかる締付金具用自動締付工具を示す概略構成図である。
この実施例の自動締付工具は、締付金具1のボルト2を締め付けたり緩めたりするものであって、モータ3と、ギア列4と、ソケットホルダ5と、ソケット6と、工具本体7の先端側に突設した反力受部8とを備えている。
【0008】
なお、この実施例の締付金具1は、締め付けようとする板状部材9A・9Bの端部(3枚以上であってもよい)が挿入される開口部分を一方側に設けたほぼコ字型を有しており、具体的には本体部1Cの両端部に第1・第2の顎部1A・1Bを突設している。そしてこの一方の顎部(第1顎部1A)には、雌ねじが切られたねじ穴を設けており、このねじ穴にボルト2が回転自在に螺合されている。
また、他方の顎部(第2顎部1B)には、ボルト2の先端部と対向するようにボルト2と軸心を一致させて突起が内側向きに設けてあるが、双方の顎部にボルトを螺合するような構成であってもよい。
【0009】
ギア列4は、モータ3から回転力を直接受けてソケットホルダ5にその回転力を伝達するものであるが、この実施例では遊星ギアと太陽ギアとを多段に組み合わせたものが使用されており、回転速度を抑え、かつ、トルクアップを図るようになっている。
【0010】
また、ソケットホルダ5は、ほぼ円柱状に形成されており、先端部にソケット6が装着されている。このソケット6は、締め付けたり緩めたりしようとするボルト2の頭部(この実施例では頭部が正六角形をなす)に取り外し自在に嵌合するようになっている。
【0011】
また、反力受部8は、ボルト2を締め付ける(或いは緩める)間、図2に示すように、締付金具1の両側面を挟持して締付金具1が回り出さぬように、一時的に固定・保持するものである。この実施例の反力受部8では、図3に示すように、ソケット6を両側から取り囲むように左右対称的に一対突設した状態で設けてある。また、この反力受部8の間隙Dは、締付金具1の厚さWよりも若干大きめに設定されており、これによって締付金具1を比較的簡単に挟持することができるようになっている。
【0012】
従って、この実施例によれば、所望の2枚の板状部材9A・9Bを両顎部1A・1Bで挟むような恰好で締付金具1をセットし、この締付金具1を両側面側から挟むような状態で、自動締付工具の反力受部8で締付金具1を固定する。
次に、ボルト2の頭部2Aにソケット6を押し当てた後、本体7の位置を正しく調整・確認するための頭部2Aの面方向に微小(スラスト)移動させながら、ボルト2の軸心とそのソケット6の中心軸とが正しく一致する位置を捜し当てる。
次に、ボルト2が嵌まり込む(軸心)方向に自動締付工具の本体7を押し付けながらスイッチ7Aをオンし、モータ3を始動する。
【0013】
すると、反力受部8で締付金具1を固定したままソケット6が最大角度60度前後回動するまでの間に、ソケット6の嵌合穴に頭部2Aが自動的に嵌合される。そして、この頭部2Aが嵌合されたソケット6は、モータ3からの回転力で回転しているから、ボルト2を締め付けていき、この締付金具1のボルト2で2枚の板状部材9A・9Bを仮止めすることができる。
なお、モータ3を逆転させることによって、締め付けてあったボルト2を簡単に緩めることもできる。
【0014】
その後、反力受部8を締付金具1から引き抜くことによって、本体7を締付金具1から取り外し、次の締付金具1に対しても、同じ自動締付工具を使用して以下同様の作業を行っていく。
【0015】
【考案の効果】
以上、説明してきたように、この考案によれば、自動締付工具の反力受部で締付金具を予め挟みつけておいてから、この反力受部を手掛かりとしてソケットにボルトを嵌合させたのち、モータの駆動力でソケットを回転させボルトを確実に締め付けたり緩めたりすることができるから、締付金具で簡単迅速に板状部材の仮止めを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この考案にかかる締付金具用自動締付工具を示す概略構成図。
【図2】自動締付工具の反力受部などを示す側面図。
【図3】自動締付工具の底面図。
【符号の説明】
1 締付金具
2 ボルト
3 モータ
6 ソケット
7 本体
8 反力受部

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 少なくとも2体の板状の被締付部材を固定・仮止めする締付金具において、この締付金具に設けた締付ボルトを締め付けたり緩めたりする締付金具用自動締付工具であって、この自動締付工具の本体内部に設けたモータと、前記自動締付工具の本体先端側に設け、前記締付金具の両側面から挟み込んでこの締付金具に取り外し自在に固定する反力受部と、前記締付ボルトの頭部に嵌合し、前記モータからの回転力を伝達して回転する、前記自動締付工具の本体先端側の反力受部の間に設けたソケットとを有することを特徴とする締付金具用自動締付工具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【登録番号】第3029995号
【登録日】平成8年(1996)7月31日
【発行日】平成8年(1996)10月18日
【考案の名称】締付金具用自動締付工具
【国際特許分類】
【評価書の請求】未請求
【出願番号】実願平8−1104
【出願日】平成8年(1996)2月2日
【出願人】(595127274)白河デンセイ株式会社 (1)