締固め機械を用いて地盤パラメタを測定する方法および装置
本発明の方法は、振動して衝撃を加えて地盤を締め固める接触要素(1)を有する地盤締固め装置を用いて動的な変形係数を決定するのに有利である。接触要素(1)は、接触フェーズ中に地盤に接触し、その際に地盤によって及ぼされる接触力が加えられて接触移動距離だけ移動する。この接触力と接触移動距離とのグラジエントから、地盤の動的剛性を形成する。さらに接触要素(1)と地盤(11)との実際接触面積(12)を考慮する接触面積パラメタを決定する。この場合に上記の動的変形係数は、上記の接触面積パラメタと、動的剛性との積になる。この方法により、地盤締固め装置を用いて、締固め作業中に動的変形係数を、ひいては地盤剛性を決定することができる。この地盤締固め装置の接触要素(1)は、例えば、比較的飛行フェーズが長く、接触ないしは締固めフェーズが短く、実際接触面積(12)の大きさがさまざまに変化することが可能である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地盤締固め装置を用いて地盤特性を決定する方法に関する。ここでこの地盤締固め装置は、振動して衝撃を加えて地盤を締め固める接触要素を有する。
【0002】
地盤締固め装置として、例えば、振動プレート(Vibrationsplatte)、振動ランマ(Vibrationsstampfer)および振動ローラ(Vibrationswalze)が公知である。これらの装置は、それぞれ少なくとも1つの地盤接触要素を有しており、この地盤接触要素には、振動発生装置によって振動的に衝撃が加えられ、またこの地盤接触要素によって振動が地盤に導かれて締固めの作用が得られるのである。
【0003】
締固め作業の質をチェックできるようにするため、所定の地盤特性、例えば、地盤剛性、可塑性、負荷能力などを求めることは有益である。
【0004】
地盤パラメタを決定するため、地盤締固め装置とは別個に動作する方法および装置が公知である。例えば、規格化された平板載荷法(DIN 18134)があり、ここでは静的な載荷板試験の枠内で変形係数(Verformungsmodul)Evが決定される。また動的な載荷板試験も公知である(Technische Pruefvorschriften fuer Boden und Fels im Strassenbau TP BF-StB, Teil B 8.3 (1997))。
【0005】
締固め装置とは別の慣用の測定方法および測定装置には、格段に大きな付加コストが必要である。それは、締固め装置に対してそれぞれ付加的に測定装置を使用しなければならず、これらの測定装置には相応に専門教育を受けた操作員が必要であることが多いからである。さらに所定の面積における測定の回数は、時間がかかることによって制限される。すなわち、ランダムサンプル検査ベースでしか測定を行えないのである。
【0006】
その一方でつぎのような方法も公知である。すなわち、特殊な地盤締固め装置そのものを利用して、例えば、締固め結果に対する主要な判定基準である地盤剛性および/または地盤の変形係数を測定する方法も公知である。このような装置および方法は、例えば、DE 27 10 811 C2,WO98/17865,DE 29 42 334 C2ならびにEP 1 164 223 A1に記載されている。これらの刊行物にはそれぞれ振動ローラが示されており、これらの振動ローラは、締固めしようとする地盤の上を走行して、ローラドラム(ローラサポータ Walzenbandage)の振動特性によって地盤剛性を推定する。
【0007】
ふつう振動ローラは、振動によって衝撃を加える際であっても、地盤接触要素として使用されるローラサポータが地面から浮き上がらないように作動される。ローラサポータは、全体として周期的に運動し、これによって比較的均一なローラサポータの振幅運動が発生する。これに対し、別の地盤締固め装置、例えば、振動プレートまたは振動ランマには公知の測定方法および測定装置は適していない。振動プレートおよび振動ランマはふつう、振動載荷サイクルの大部分の間に地面と接触しない。ここで確認されるのは、全振動周期のわずか約10%にしかならない接触時間である。振動ローラにおいて使用される上記の測定方法は、都度測定される信号が、十分に持続する状態から得られることに合わせて設計されている。ローラサポータが跳躍した場合であっても、飛行フェーズは比較的短いため、エラーの影響はわずかである。
【0008】
これとは異なり、ランマおよび振動プレートでは、飛行フェーズが長くまた接触時間が短いことが前提であるため、周期的な運動特性に対して設計された従来技術の測定方法は適していない。さらに振動プレートおよび振動ランマの地盤接触要素は、一層無秩序な運動特性の影響下にある。それはこれらの地盤接触要素は絶えず、跳躍ないしは飛行によって地盤の力を種々異なる個所で受けることになるはずだからである。
【0009】
本発明の課題は、地盤特性を決定する方法を提供して、この方法が、地盤接触要素が絶えず地盤から浮き上がりかつ例えば(振動サイクルを基準にして)比較的長い飛行フェーズも示すこともある地盤締固め装置にも適切であるようにすることである。ここでこの方法により、つぎような場合にもつねに地盤パラメタが決定できるようにする。すなわち、具体的な運動特性および/または接触特性とは無関係に上記の地盤締固め装置が、励振サイクル中に地面と接触する場合にはつねに地盤パラメタが決定できるようにするのである。有利な適用分野は、無秩序な運動特性を有する地盤締固め装置、例えば振動プレートおよび振動ランマである。
【0010】
上記の課題は、本発明により、請求項1に記載された方法によって解決される。この方法を利用する地盤締固め装置は請求項29に記載されている。本発明の有利な発展形態は、従属請求項に記載されている。
【0011】
本発明の方法は、地盤締固め装置を用いて地盤特性を決定するのに使用される。ここでこの地盤締固め装置は、振動して衝撃を加えて地盤を締め固める接触要素を有する。この接触要素は、接触フェーズ中に地盤に接触し、その際に地盤によって及ぼされる接触力Fcontactが加えられて接触移動距離scontactだけ進む。以下では接触力Fcontactを簡単に接触力Fと、接触移動距離scontactを簡単に接触移動距離sとも記す。
【0012】
上記の地盤締固め装置は、振動プレートまたは振動ランマとすることが可能である。この地盤締固め装置は、上記の接触要素を含む下側質量体(Untermasse)と、ふつうは駆動部を含む上側質量体(Obermasse)とを有する。上記の下側質量体は、ばね装置を介して上側質量体に連結されている。下側質量体の構成部分は、例えば振動プレートでは、上記の接触要素に衝撃を加える振動発生装置とすることも可能である。振動ランマでは振動発生装置は、移動距離式励振によって実現され、例えばクランクメカニズムによって行われ、ここでこのクランクメカニズムは上記の上側質量体と下側質量体との間に配置される。
【0013】
本発明の方法によって決定することの可能な地盤特性を動的変形係数Ev,dynVerdichterと称し、またこれを関係式
【数1】
によって求める。
【0014】
ここでΔFcontact/Δscontactは、接触力dFcontact/dscontactの実際のグラジエントの近似(平均化)である。αは、上記の接触要素と地盤との実際接触面積の大きさおよび形状を考慮するための接触面積パラメタであり、これは実際接触面積を決定するために観察している所定の時間区間中のものである。
【0015】
上記の動的変形係数EV,dynVerdichterに基づき、場合によっては地盤に依存するパラメタ(ポワソン数(Querkontraktionszahl)v)を考慮して、動的剪断係数(Schermodul)GV,dyn Verdichterを計算することができる。
【0016】
幾何学形状ファクタとして実際接触面積の影響を表す接触面積パラメタαについては以下でさらに詳しく説明する。載荷サイクル中に作用する接触面積も、接触力および関連する接触移動距離も共に、その方向およびその大きさが共にサイクル毎に変化し得るため、各載荷フェーズ中、すなわち各載荷サイクル中、接触力および接触移動距離も、接触面積パラメタαも共に求める。
【0017】
係数kdynは、地盤の動的剛性を表し、またこれは接触力Fおよび接触移動距離sのグラジエントとして形成される。載荷フェーズ内でも変化し得る動的剛性kdynも各載荷フェーズ中に求めるため、地盤の剛性を締固め過程中に精確に監視することできる。
【0018】
動的剛性kdynを求めるため、まず接触力と、接触フェーズ中に接触要素が進んだ接触移動距離とを求めなければならない。
【0019】
有利には接触要素の重心に固定された座標系を基準にして、質量中心の原理から、3つの空間方向の接触力Fの成分を決定する。択一的には上記の成分を位置固定の座標系、例えば地盤を基準にして求めることも可能である。
【0020】
運動する座標系において、結果的に得られる加速度成分は、外部から作用するZ方向の力の和から
【数2】
にしたがって得られ、ここで
はそれぞれ(y軸周りの)ピッチ方向、(x軸周りの)ロール方向および(z軸周りの)ヨー方向の相応する角速度であり、またmUは接触要素の質量である。
は、接触要素の重心における各並進速度を表しており、これに対して
は、相応する加速度を表す。
【0021】
下側質量体に加わる力(ただしi=x,y,z)は、アンバランス励振力(Unwuchtanregung)FECC,iに起因する各力成分から、結果的に得られる地盤に対する接触力Fc,iから、残りの機械に対する切断力(Schnittkraft)(例えば、地盤締固め装置の上側質量体)FU,iから、ならびに接触要素の重量の成分から合成される。したがって加わる力の総和は、個々の空間方向に対してつぎように、
ΣFX = FC,X+FECC,X+FU,X−mU・g・sin(Φ)・cos(X)
ΣFY = FC,Y+FECC,Y+FU,Y+mU・g・cos(Φ)・sin(X) (3)
ΣFZ = FC,Z+FECC,Z+FU,Z−mU・g・cos(Φ)・cos(X)
で示され、ここでFC,iは接触要素(1)の地盤に対する接触力であり、FU,iは接触要素(1)と、残りの機械(上側質量体)との間の切断力であり、mUは接触要素の質量であり、FECC,iは接触要素を励振する振動発生装置の励振力であり、ΦおよびXは相応するピッチ角ないしはロール角である。
【0022】
上記の2つの方程式系(2)および(3)を等置して各接触力成分にしたがって解くと、
【数3】
が得られる。
【0023】
この場合、結果的に得られる全体的な接触力は、個々の成分FC,iから計算される。ここでこれは全体として作用する接触力の振幅および方向を、上記の部分成分から相応にベクトル的に求めることによって行われる。
【0024】
本発明の方法は、例えば、振動プレートまたは振動ランマにおいて使用可能である。このような装置では接触力は、もっぱら接触面に対して垂直に作用するため、有利には接触法線方向、すなわちz軸方向の接触力成分を、この方向における運動量の収支を評価することによって求める。
【0025】
この場合にこの接触力は、例えば、簡略的に、
【数4】
と求められ、ここでmUは接触要素の質量であり、
は接触法線(z軸)の方向における接触要素の加速度であり、FECC,Zは、接触要素に衝撃を加える振動発生装置の励振力である。並進運動加速度および角加速度を求めるためつぎのようにする。
【0026】
上記の接触要素の並進運動加速度
は、例えば、接触要素そのものに設けられる加速度センサによって測定することができる。加速度センサとして、例えば、3つのすべての空間方向を同時に測定する重心に取り付けられた3軸センサが有利である。この場合、3つの空間方向における並進運動速度成分
は、例えば、加速度信号を1回積分することによって求めることができる。
【0027】
例えば、構成上の制限で重心にセンサを取り付けることができない場合には択一的に、3つの空間方向(x,y,z)における重心の並進運動加速度ならびに3軸x,y,z周りの角加速度を少なくとも6つの加速度センサによって求めることも可能である。これらのセンサは有利には接触要素の重心の周りに分散されて、3つずつの加速度センサの測定方向が、接触面の法線方向(z方向)になるように取り付けられるが、できるだけ1直線上に配置されないようにする。別の3つの加速度センサは、同様に1直線上に載らないが、その測定方向が接触面積の接線方向になるように配置される。
【0028】
角加速度
が存在する場合、すなわちこれを測定した場合、重心における加速度と、物体の任意の点で測定した加速度との間の運動学的な関係から、求めようとする並進運動加速度も、角加速度も共に求めることができる。この場合、必要な回転角ΦおよびXは、角加速度
を2回積分することによって求めることができる。
【0029】
特定の適用のケースでは、所要のセンサの数を減らしても十分なこともある。それは特定の自由度は、構造上の制約によって省略されるからである。例えば振動ランマの接触要素、すなわち地盤接触プレートは、例えば、ランマ脚部が平行に導かれることに起因して、主に並進運動方向に、すなわち接触法線方向(z軸)に運動する。したがってこのような適用に対しては、殊に接触要素に個別のセンサを使用するので十分である。他の加速度成分は、場合には上部質量体における測定センサによって決定することができる。
【0030】
択一的には接触法線方向における上記の加速度成分を非接触で、例えば光学式レーザセンサで求めることも可能である。この場合にこれらのセンサは有利には接触要素ではなく、ばね装置を介して接触要素に接続されている上側質量体に設けられる。この上側質量体は、例えば公知のように地盤締固め装置の駆動原動機を含むことも可能である。これらのセンサを用いることによって、例えば、上側質量体と接触要素との間の間隔変化を測定することができるため、上側質量体の位置および向きがわかれば、2回微分によって相応の測定個所の接触法線方向における接触要素の加速度を求めることができる。
【0031】
最後にレーダセンサを介して上側質量体に対する接触要素の速度を、例えばドップラー効果によって求めるか、または例えば干渉レーダによって間隔を求めることもできる。これによって上記のように加速度を同様に計算することができる。
【0032】
励振力FECCを求めるため、つぎのようにする。
【0033】
本発明の1実施形態では、振動発生装置によって発生する励振力FECCをこの振動発生装置と接触要素との間に設けられる力測定装置によって測定することができる。力測定装置として、例えばロードセル(Kraftmessdose)が有利であり、これは振動発生装置の下に配置される。
【0034】
これと択一的には上記の励振力FECCを励振アンバランスマスの目下の位置から計算することも可能である。振動発生装置が同じ大きさのアンバランスマスを備えた逆回転する2つのシャフトを有し、またこれらのシャフトの回転軸が、接触要素のY軸と同じ方向を有しかつその位相は互い調整可能である場合、励振力FECCの成分は、接触要素に位置が固定された座標系について、時間tに依存して関係式
FECC,X(t) = EM・Ω2sin(φPhase/2)・cos(Ω・t)
FECC,Y(t) = 0 (6)
FECC,Z(t) = EM・Ω2cos(φPhase/2)・cos(Ω・t)
によって簡略的に計算され、ここでEMは、回転するアンバランスマスの結果的に得られる質量であり、Ωは、振動発生装置の励振周波数であり、φPhaseは、2つのアンバランスマス間の位相である。
【0035】
すなわちアンバランスマスの目下の位置ならびに発生装置のシャフト角速度およびアンバランスマスの大きさから、目下作用するアンバランス力の方向および大きさを決定することができる。
【0036】
励振力FECCは、当然のことながら別の構成の振動発生装置においても同様に計算することができる。この力はふつう時間tに依存して表されるが、関与するアンバランスマスの位相ないしは角度に依存させることも可能である。
【0037】
上ですでに述べた振動プレートまたは振動ランマの場合、励振力FECCを求めるために、接触法線方向に作用する成分FECC,Zだけを計算する。それはこれに対して、z軸の方向、すなわち接触面積に対する法線方向の励振だけが意味を持つからである。
【0038】
位相角φPhase、すなわち2つのアンバランスマスの相対的な相互の位相は、操作者の調整に依存して変化し得る。アンバランスマスの位置は、例えば、近接センサ(誘導式、ホールセンサ)によって求めることができる。この場合、アンバランスマスの位置からアンバランスシャフトの角速度も決定することができる。
【0039】
接触要素とこの機械の残りの部分との間の剪断力FU,iは、例えばロードセルによって求めることができ、このロードセルは、接触要素と、例えば地盤締固め装置の上側質量体との間に配置される。
【0040】
接触移動距離sを求めるため、つぎのようにする。すなわち、
動的剛性kdynを決定するために必要な接触移動距離sは、接触要素によって地盤接触力が伝達される時点に決定され、またしかも有利には結果的に得られる力の作用点においてないしはこの点の近くで決定される。それは、力の作用点の移動距離は、最も容易には、作用する接触力の変化と関係しているからである。力の作用点の位置の決定については、後で説明する。
【0041】
接触移動距離を求めるため、まず力の作用点の加速度を求める。力の作用点において加速度を2回積分することにより、この力の作用点における距離(接触移動距離)の振幅および方向を求めることができる。
【0042】
これによれば、まず力の作用点Pの位置を決定しなければならない。これについては接触面積パラメタαの計算に関連して後でさらに説明する。このようにして求められる(重心Sにおける座標系を基準にした)力の作用点
【数5】
の位置において、力の作用点における加速度
は、運動学的な関係式
【数6】
にしたがって計算することができる。
【0043】
角速度
【数7】
および角加速度
【数8】
のベクトルならびに重心における並進運動加速度
【数9】
は、すでに上で述べたように、例えば接触要素に配置することの可能な有利なセンサ装置によって求められる。しかしながらこの際に上記の評価に対して有利には、結果的に得られる接触力の方向における接触移動距離だけを考慮する。
【0044】
例えば、振動プレートにおいて接触力がもっぱら接触面積に対して垂直に作用する場合、有利には並進および回転運動成分を評価することによって、力の作用点の個所における接触移動距離を接触法線方向に決定する。点P(力の作用点)におけるz方向の加速度の成分に対し、(ヨー運動を無視して、すなわち
【数10】
)式(7)を評価することにより、
【数11】
が得られ、
ap,zを2回積分することによって、求めようとする接触法線方向における接触移動距離sが得られる。
【0045】
上記の並進ないしは回転運動成分を求めるため、上ですでに説明したように、例えば3つの加速度センサを接触要素に配置して、これらの加速度センサが一直線上にはならないが、その測定方向が接触面に対する法線方向になるように取り付けられる。
【0046】
これにより、相異なる測定時点に対し、接触力Fと、対応する接触移動距離sとからなる複数の測定点対を形成することができるのである。
【0047】
これにより、極めて有利にも相異なる時点に接触力Fおよび対応する接触移動距離sについての情報がそれぞれ得られて、時点毎に接触力Fと接触移動距離sとからなる測定点対を形成することができるのである。
【0048】
ここでは有利には、接触要素が次第に増大する力で地盤に押し付けられる載荷フェーズ中に発生する測定点対を決定する。この関連において、接触要素に負荷がかかっていない非負荷フェーズ中または、地盤に接触することなく接触要素が空中にある飛行フェーズ中には測定点対をさらなる評価から除外することができる。
【0049】
載荷フェーズの測定点対に対して、それぞれグラジエントdFcontact/dscontactを形成する。このグラジエントは、この時点に有効な動的剛性kdynに相当する。このグラジエントdF/dsは、(力および移動距離の)2つの時間変化の比から形成することも可能である。
【0050】
しかしながら有利には上記の測定点対毎に発生するグラジエントを統計的な手法で平均化して、得られた平均値を、基準となる動的剛性kdynとすることが可能である。
【0051】
これと択一的にまたはこれに補足して、時間tに依存し、上記の接触力Fおよび接触移動距離sに対して相図を計算によって形成することができる。接触要素が地盤に次第に大きくなる力で押し付けられる載荷フェーズを表す上記の相図の部分に対して、動的剛性kdynを表す平均グラジエントdF/dsを形成する。
【0052】
接触面積パラメタαを求めるためにつぎようにする。
【0053】
すでに上で説明したように上記の動的変形係数EV,dynVerdichterを決定するためには、接触要素と地盤との実際接触面積を考慮する接触面積パラメタαも必要である。有利には接触力Fの力の作用点の計算した位置に基づき、この接触面積パラメタαを決定する。
【0054】
例えば振動プレートまたは振動ランマでは地盤接触プレートである上記の接触要素は、地盤締固め装置の静止状態において地盤と接触する底面を有する。しかしながら動作時、すなわち本発明の方法を適用しようしている動作時にはふつうもはや接触要素の底面全体が接触力の伝達に関与することはなく、部分面積、すなわち実際接触面積だけが関与するのである。
【0055】
接触要素の周期的な飛行フェーズによって行われる前進動作に起因して、これに関連して締固めしようとする地盤の表面に対して地盤接触要素が斜めになることに起因して、さらに表面そのものが斜めになっていることにに起因して、接触要素の下側面の一部だけが地盤と接触する。その一方で残りの部分は空中に突き出ているのである。実践的にこのことが意味し得るのは、矩形の底面を有する接触要素を備える地盤締固め装置において、この底面は、静止時には地盤に完全に接触するが、動作時には実際接触面積はこの底面の3分の1以下になることである。この場合にこの実際接触面積も同様に矩形、三角形または別の幾何学形状にもなり得るが、上記の底面積よりも格段に小さくなり得る。この接触面積は、規格化されたプレート圧力方式(Phasendruckverfahren)のように均一である必要はなく、相異なる方向(軸)に凹または凸になることもある。さらに瞬時の実際接触面積内には、接触要素における瞬時の速度分布に起因して接触力の伝達がわずかに行われる領域ないしまったく行われない領域が存在し得る。このことは、関連する接触面積を求める際には考慮しなければならない。
【0056】
上記の瞬時の実際接触面積の大きさは、伝達され得る接触力の大きさに大きな影響を有するため(接触面積は大きい場合、他の地盤特性値が同じかつ等方性であれば、より大きな接触力が伝達される)、上記の変形係数を決定するためにこの接触面積の大きさを考慮しなければならないのである。
【0057】
励振サイクルの観察時間ステップにおける実際接触面積は、接触要素の底面に対して対称には配置されておらず、例えば(地盤締固め装置の主走行方向について)この接触要素の後ろ側の領域に配置されるため、地盤接触圧力から生じる接触力Fは、接触要素の底面の面積重心にではなく、ここから離れた個所、すなわち例えば実際接触面積の面積重心またはその近くに作用する。2つの重心のこのような偏差ないしは接触要素の重心と力の作用点との偏差により、接触要素に付加的な力およびモーメントが作用する。これらの力およびモーメントは、地盤特性を検出する際に考慮しなければならない。
【0058】
この接触面積の大きさおよび幾何学形状は、接触中に変化する。例えば、矩形の接触要素が接触フェーズのはじめに1つのコーナで地盤に接触する場合(三角形の接触面積)、この三角形の面積は進入によってはじめのうち大きくなる。引き続いて接触要素の傾きは変化して、進入の間にその接触重心(接触面積および力)が移動する。ここでこれはまず接触要素の重心に向かって移動する。しかしながら所定の条件の下では接触重心は、接触要素の重心を越えて移動することもある。極端な場合、接触要素は、励振周期内に反対側のコーナに移動する。
【0059】
この接触要素には、力の作用点の偏心によって、付加的な角加速度が加わり、この角加速度に接触要素の慣性モーメントが反作用する。
【0060】
ここでは判明したのは、上記の接触面積パラメタαが有利にもつぎの関係式にしたがって決定できることである。すなわち、
【数12】
であり、ここでγは1.5〜2.7の範囲の値、例えば値2.1であり、rhdは、ハイドロリック標準半径(hydraulischer Vergleichsradius)でありかつ実際の有効接触面積Acから
【数13】
にしたがって計算することができる。
【0061】
ここで接触面積パラメタαを決定するため、接触要素と地盤との実際接触面積の面積重心を決定することができる。ここでこれは接触力Fの力の作用点から求められる。接触力Fは、接触要素の接触面積に作用する面負荷である。この接触力は、結果的に得られる力によって表すことができ、ここでのこの力は、結果的に得られる作用点に加わる力である。この力の作用点は、第1次近似において実際接触面積の面積重心と同じであるとみなすことができる。実際の力の作用点と、接触面積の面積重心との偏差を補正するため、例えばシミュレーションによって決定される補正係数を挿入することができる。
【0062】
本発明の1実施形態では、地盤接触中の接触要素の運動を測定センサによって検出する。測定センサによって求めた情報に基づいて、また接触力Fにより、接触要素の底面内にある実際接触面積の位置および大きさおよび/または結果的に生じる接触力の力の作用点を決定することができる。
【0063】
これらの測定センサは、接触要素の直線運動および/または回転運動を相異なる自由度について検出することの可能なセンサとする。
【0064】
ここでは測定センサを設けることができ、この測定センサにより、上記の接触力Fによって生じまた地盤締固め装置の走行方向に対して横方向を向いたピッチ軸(y軸)の周りの接触要素のピッチ角加速度が求められる。
【0065】
状況によっては、励振を行う励振モーメントの知識を使用して、接触力によって生じるピッチ加速度ないしは(x軸周りの)ロール加速度を、測定した角加速度から計算しなければならない。これと類似して、走行方向に延在するロール軸(x軸)の周りの接触要素のロール角加速度を検出するため、同様に適切な測定センサを設けることができる。上記のピッチ軸およびロール軸はそれぞれ有利には接触要素の重心を通って延びている。しかしながらピッチおよびロール角加速度を測定するため、1直線上に取り付けられていないが測定方向が接触法線の方向に配向されている3つのセンサを利用することもできる(これは前に説明したとおりである)。
【0066】
これに加えて有利であり得るのは、接触力Fの方向に接触要素の並進運動を測定するため、相応に測定センサを設ける場合である。
【0067】
上記の測定センサによって測定した接触要素の運動に基づき、例えばピッチ軸およびロール軸の周りの角加速度に基づき、このピッチ軸およびロール軸の周りの角運動量の収支についての式を立て、これらの式から、例えば振動発生装置および機械の残りの部分に対する切断モーメント(Schnittmomont)にも基づいて生じる回転モーメントを考慮して、接触力Fによって生じるピッチ軸およびロール軸の周りの接触回転モーメントを決定することができる。
【0068】
このようにして求められる接触回転モーメントと、すでにわかっている接触力Fとに基づき、ピッチ軸およびロール軸周りの接触力Fのレバーアームを決定するができ、ひいては接触力Fの力の作用点の位置を決定することができる。
【0069】
この接触力の力の作用点の位置は、第1近似において接触面積の面積重心の位置と見なすことができるため、面積重心の位置も同様にわかることになる。
【0070】
上記の接触面積の面積重心、また力の作用点およびあらかじめ定められた関係に基づいて、接触面積パラメタαを決定することができる。上記の接触面積パラメタαと、面積重心ないしは力の作用点との間の関係は、地盤締固め装置のメーカによってあらかじめ実験によって求め、内容の多い有効な関係を得ることができる。これらの関係のプリセット値は、テーブルまたは計算関係式の形で格納することができる。
【0071】
このようにして接触要素の各締固めサイクル中に接触面積パラメタαを求めて、これを接触面積の大きさないしは位置に依存して常時適合させることが可能である。
【0072】
このようにして接触面積パラメタαも動的剛性kdynも確定させた後、上で示した式にしたがって、動的変形係数EV,dynVerdichterを決定することができる。
【0073】
必要であれば、較正測定により、上記のように求めた動的剛性係数EV,dynVerdichterと、慣用の測定法によって決定可能な変形係数との間の関係を形成することができる。例えば、決定した地盤状況に依存して、本発明の方法によって求めた動的剛性係数を別の変形係数に変換することのできるテーブルを作成することができる。ここでこの変形係数は、規格化された測定法によって決定されたものである。
【0074】
本発明では地盤締固め装置も提供される。この装置は、駆動装置によって作動される振動発生装置と、この振動発生装置によって衝撃を加えられる接触要素と、地盤特性を決定する測定システムとを有しており、上記の接触要素は、振動サイクル中にフェーズ毎に持続的に地盤に接触し、締め固めようとする地盤から一時的に持ち上がることが可能であり、また前記の測定システムは、接触要素の運動特性を検出するための少なくとも1つの測定センサを有する。本発明による上記の地盤締固め装置は、上記の測定システムが上記の本発明の方法によって作動されるという特徴を有する。
【0075】
この地盤締固め装置は有利には振動プレートまたはランマである。しかしながら基本的にはローラへの適用も可能である。
【0076】
以下では本発明の上記および別の利点および特徴を、添付の図面を使用し、実施例に基づいて説明する。ここで、
図1a)は、接触要素と、振動発生装置と、加速度センサとを有する振動プレートの概略側方図を示しており、
図1b)は、振動発生装置のアンバランスシャフトの概略を示す図1a)の接触要素を示しており、
図2は、図1の接触要素の斜視図を示しており、
図3は、時間について接触力Fcontactおよび振動移動距離sを示す相図を示しており、
図4a)および4b)は、小さな接触面積を有する動作中の接触要素を示しており、
図5a)および5b)は、大きな接触面積を有する動作中の接触要素を示しており、
図6は、接触要素における力およびモーメントを(簡略化して)略示しており、
図7は、2シャフト振動発生装置を有する接触要素における幾何学的な関係を示しており、
図8は、三角形の接触面を有する接触要素を示しており、
図9は、図8の接触要素を平面図で示しており、
図10は、四角形の接触面を有する接触要素を示しており、
図11は、図10の接触要素を平面図で示しており、
図12は、五角形の接触面を有する接触要素の平面図を示しており、
図13は、地盤締固め装置として使用される振動ランマを概略側方図で示している。
【0077】
図1には地盤締固め装置として使用されかつ接触要素1を有する振動プレートが、極めて簡略化された図で示されている。接触要素1は、同様に振動ランマの構成部分とすることも可能である。このように地盤接触プレートとして使用される接触要素により、公知のように、振動発生装置2によって形成された振動力が、締め固めようにする地面に伝達される。
【0078】
図1b)に示したように振動発生装置2は、公知のように逆回転する2つのアンバランスシャフト3から構成することができ、その位相は互いに変更可能であり、これによって走行動作中に地盤締固め装置の操縦ないしは方向変換を行う。
【0079】
接触要素1は、ばね装置4を介して上側質量体5に可動に連結されている。上側質量体5にはふつう振動発生装置2に対する駆動装置が取り付けられている。
【0080】
さらに図1a)では測定センサ6が示されており、これは例えば加速度センサによって構成することが可能である。測定センサ6は、振動発生装置2にまたは接触要素1に直接取り付けることもできる。
【0081】
図2には図1aの構造の一部が斜視図で示されている。
【0082】
接触要素1は、極めて簡略化されて矩形プレートとして示されている。個々の測定センサ6の代わりに接触要素1に6つの測定センサ7が配置されており、これらの測定センサも加速度センサとして構成することが可能である。
【0083】
さらに図2では走行方向Xに対して横方向に延びるピッチ軸8(y軸)ならびに走行方向Xに延びるロール軸(x軸)が示されている。ピッチ軸8およびロール軸9は、接触要素1の重心10で交わる。加速度センサ7は、それぞれピッチ軸8およびロール軸9に対して所定の間隔で配置されており、これによってピッチ軸8およびロール軸9周りの回転運動、例えば回転角または角加速度を検出することができる。
【0084】
本発明は、地盤締固め装置によって現在締め固めしている地盤の動的変形係数を決定する測定方法に関する。このために接触要素1の運動特性を測定し、以下に説明するように適切な形態で評価する。しかしながらこの測定方法についてはすでに上の説明の前置きで詳しく説明したため、以下ではこの測定方法の重要な様相だけをまとめる。
【0085】
上記の動的変形係数は、式
【数14】
によって決定される。
【0086】
ここでkdynは地面の動的剛性である。接触面積パラメタαにより、幾何学形状係数として、接触面積の特徴的な大きさと、殊に接触要素の底面全体に対する力の作用点の位置の偏差とが考慮される。上記の動的剛性kdynも、接触面積パラメタαも共に各載荷フェーズ中に決定することができるため、これらのパラメタ、ひいては動的変形係数Ev,dynVerdichterをつねに最新の状態で評価することができる。
【0087】
上記の動的剛性kdynを求めるため、まず接触力Fcontactと、接触フェーズ中、すなわち締め固めようとする地面に接触中に接触要素1が進んだ移動距離scontactとを求めなければならない。
【0088】
接触力Fcontactは、接触要素1に固定されている座標系についての質量中心の原理から決定される。このためには、接触要素の既知の質量および重心加速度の他に、振動発生装置2の励振力の方向および大きさと、この機械の残りに対する切断力(Schinttkraft)の方向および大きさと、重量と、回転速度から発生する法線方向重力加速度とを決定しなければならない。
【0089】
例えば、図1に示した振動プレートの場合、接触力Fcontactは簡略化されて計算されて
【数15】
となり、ここでmLは、接触要素1の質量であり、
は、接触法線の方向における接触要素1の加速度であり、またFECCは、接触要素1に加わる振動発生装置2の励振力である。
【0090】
接触面積法線方向における接触要素1の並進運動加速度
は、例えば、接触要素1の重心10において測定センサ6(加速度センサ)を介して測定することができる(図1aを参照されたい)。
【0091】
択一的には接触法線方向およびピッチおよびロール軸の方向における並進加速度および角加速度を、6つの測定センサ7(加速度センサ)によって測定することも可能であり、これらは図2に示したように、例えば、接触要素の重心10の周りに取り付けられている。
【0092】
さらに接触法線の方向における加速度を非接触で、すなわち例えば光学式のレーザセンサまたはドップラー効果を用いて決定することも可能であり、ここでは相応する測定センサ6aが有利には地盤締固め装置の上側質量体5に取り付けられる。
【0093】
上記の式において接触力Fcontactを計算するのに必要な励振力FECCは、簡略化するとつぎの関係式
FECC = EM・Ω2・cos(φPhase/2)・cos(Ω・t)
によって計算することができ、ここでEMは回転するアンバランスシャフト3の結果的に得られる質量を、Ωは、振動発生装置2の励振周波数を、またφPhaseは2つのアンバランスシャフト3の間の位相角をそれぞれ表す。
【0094】
位相角φPhaseは、操作者の調整に依存して可変である。この位相角は、2つのアンバランスシャフト3の相対位置に関係し、したがって所望の走行方向(前進、後退)に応じて操作者によって変更され得るのである。位相角φPhaseの測定は、例えば、誘導式または容量式の近接スイッチまたはホールセンサによって行うことができる。アンバランスシャフト3の位相の調整をコントロールバルブによって行うことも可能なため、位相角φPhaseについての確実な情報も得られる。
【0095】
載荷サイクル中の時間経過に対し、式(5)にしたがって計算した接触力Fcontactを振動移動距離sについてプロットすると、図3に示した典型的な接触力/振動移動距離−相図が得られる。図3では接触要素1の運動サイクルが2つのフェーズに分かれる。すなわち、空中フェーズ(飛行フェーズとも称される)と、負荷フェーズおよび非負荷フェーズを有する接触フェーズとに分かれる。空中フェーズ中、接触要素1は、締め固めようとする地面の上を飛行し、また接触フェーズ中、接触要素1と地面との間に相互作用が発生する。
【0096】
ここでは振動移動距離s=0の点をゼロ位置とする。この点から出発して、振動発生装置2のアンバランス作用によって接触要素1は地面に押し付けられるため、上昇する分岐(図3の矢印方向を参照されたい)にしたがい、振動移動距離を大きくしながら、接触力Fcontactが増大する。最大値に達した後、接触要素1はアンバランス作用によって負荷が加わらなくなるため、位相の経過は、接触フェーズの下降する分岐に達し、最終的には地盤との接触がなくなる(図3のs=2)。
【0097】
振動作用によって接触要素1は、締め固めようとする地面から浮き上がり、(地面との接触なしにひいては接触力なしに)地面の上を飛行して運動する。
【0098】
振動方向が変わった後、接触要素1は空中フェーズにおいて再びゼロ位置に達し、新たな締固めフェーズが開始される。
【0099】
接触フェーズにおける振動移動距離sを接触移動距離scontactと称する。この接触移動距離は、接触要素の加速度を2回積分することによって計算で求めることができる。この際に上で説明したように、並進および回転運動成分を考慮する。すなわち、積分の際にも相応に考慮するのである。
【0100】
地面kdynの動的剛性を求めるため、複数の測定点対(接触力F,接触移動距離s)を負荷フェーズにおいて求め、それらの傾きdF/dsを決定することができる。このためには例えば、最小二乗法を用いて多項式により、上記の曲線経過を近似することができる。このようにすれば、この近似された曲線のグラジエントは、多項式の係数から極めて簡単に解析的に計算することができる。
【0101】
上記の動的剛性kdynは、この場合に負荷フェーズの全領域にわたる種々異なるグラジエントを平均することによって求められるため、最終的には負荷フェーズに対し、動的剛性に対する尺度であるkdyn値を求めることができる。ここでこのkdyn値は、式(1)の動的変形係数EV,dynVerdichterの重要な部分である。
【0102】
接触面積パラメタαを決定するため、まずつぎの問題への注意を喚起する。
【0103】
図4a)には地盤11を締め固める際の動作中の地盤接触要素1が簡略化して示されている。振動発生装置2の作用によって、接触要素1は地面の表面11に対して斜めになっているため、接触要素1の後ろ側の部分だけが地面11に接触している。
【0104】
これに相応して図4a)では接触面積12が示されており、これは接触要素1と地面11との実際の接触を表している。接触面積12では接触力13が面荷重として作用している。
【0105】
図4b)では複数の接触力13が、結果的に得られる接触力14にまとめられており、これは力の作用点15において接触面法線方向に作用し、また上記の接触力Fcontanctに相応する。接触力14が接触要素1に加わる、力の作用点15と、接触要素の重心10との間隔はaである。
【0106】
接触要素1の重心10に対して接触要素1および振動発生装置2の質量を考慮する。
【0107】
力の作用点15と、接触要素1の底面の面積重心とが一致しないことがよくわかる。この一致は、接触要素1が地面と完全に接触する場合には起こり得るものである。接触力14はむしろ非対称ないしは偏心して、接触要素1の面積重心に作用しまた接触要素1の全体重心10にも作用する。
【0108】
図5には図4と類似して、地盤11に作用を及ぼす接触要素1が示されている。ここでは接触面積12は、格段に大きい(図5a)を参照されたい)これは例えば、地盤が図4a)の場合よりも軟らかい場合である。
【0109】
図5a)からわかるように、この場合、結果的に得られる接触力14の力の作用点15は、重心10の近くに移動するため、間隔aは小さくなる。
【0110】
ここでは接触面積パラメタαを求めるため、例えば、接触力14の力の作用点15の位置を、接触要素1の重心10の位置に関連して使用することができる。このような定式化の背景となっているのは、締固め経路に沿った地盤剛性がほぼ一定の場合、大きな接触面積12の面積重心(図5a))は、接触面が小さい場合(図4a))よりも、接触要素1の重心10の近くにあるという考察である。
【0111】
実際接触面積12の重心を求めるため、まず接触力14によって生じるピッチ軸およびロール軸(図1の参照符号8および9)の周りの角速度を求める。都度得られる瞬時の接触力14と、これによって生じる回転モーメントとの知識から、力の作用点15を計算することができる。このためには、接触要素1の並進、ピッチおよびロール運動を測定センサによって決定しなければならない。このためには例えば図2に示した測定センサ7が有利である。
【0112】
接触によって発生する回転運動、すなわち例えば接触要素1のピッチおよびロール運動は、接触要素の慣性モーメントが事前にわかっていれば、接触要素1におけるピッチ方向およびロール方向における角運動量の収支から求めることができるため、後で説明するように接触力14によって生じるピッチ軸8およびロール軸9の周りの接触回転モーメントを計算することができる。
【0113】
ここでも接触力14ないしはFcontactの知識により、接触回転モーメントから、ロールおよびピッチ方向における接触力14のレバーアームを相応に決定し、ひいては力の作用点15の位置を決定することができる。ここでは接触力の重心の知識から、接触面積の位置および幾何学形状を推定することができる。地面は凸凹である可能性があるため、すべてのケースにおいてこれが一義的に可能であるわけではない。しかしながら技術的にはこれで十分であり、載荷サイクルの統計的な評価および適切な試行によって関係が形成される。
【0114】
これらの関係は、図6において簡略化されて、振動プレートの適用例について示されている。
【0115】
一般的には接触面積パラメタαを計算するため、まず理論上の力の作用点13の位置を計算しなければならない。
【0116】
角運動量保存則を使用すると、運動する物体の重心における角速度を、この重心に固定された座標系を基準にして、作用する外部の回転モーメントの総和から
【数16】
にしたがって計算することができる。接触要素1の慣性モーメントIX,IY,IZなどは、CADデータから、または場合によって実験によって求めることができる。角加速度は、適切に配置した加速度センサ7、例えばずっと前の方で説明した加速度センサによって求めることができる。
【0117】
加えられる回転モーメントの成分は、各軸x,y,z軸の周りの地盤締固め装置の残り(上側質量体)に対する切断モーメント(Schnittmoment)MUと、地面接触力によって生じるモーメントMCと、振動発生装置2によって生じるモーメントMECCとから、
ΣMx = MC,X + MECC,X + MU,X
ΣMY = MC,Y + MECC,Y + MU,Y (12)
ΣMZ = MC,Z + MECC,Z + MU,Z
にしたがって得られる。
【0118】
地盤接触力成分FC,iによって生じる回転モーメントMC,iに対して、
MC,X = FC,Z・rC,Y−FC,Y・rC,Z
MC,Y = FC,Z・rC,X−FC,X・rC,Z (13)
MC,Z = FC,Y・rC,X−FC,X・rC,Y
とすることができ、ここでrCは、接触要素1の重心を基準にした力の作用点の座標である。
【0119】
したがってrCは、接触要素1の重心に対して力の作用点15の位置を定める座標である。これらの座標は、連立方程式(11)および(12)を考慮して上記の連立方程式(13)を解くことによって決定することができる。
【0120】
したがって力の作用点15の座標rCに対してつぎが得られる。
【0121】
励振が重心のxz面にある接触要素の場合(すなわちFC,Y≒0)、レバーアームに対して
【数17】
が得られる。ここでrC,Zは、接触要素1の下側のz座標であり、例えばCADデータから既知である。
【0122】
振動発生装置が同じ大きさのアンバランスマスを備えた逆回転する2つのシャフトを有し、これらのシャフトの回転軸が接触要素1のY軸と同じ方向を有しかつこれらの位相が互いに調整可能である場合、Y軸の周りの励振回転モーメントの成分(ピッチモーメント)MECC,Yは、この接触要素に位置固定の座標系を基準にして、さらにまた時間tに依存してつぎの関係式
MECC,Y = EM・Ω2・[ez・(sinφV+sinφH)−rs・(cosφV+cosφV)] (16)
によって簡略的に計算される。ここでEMは、回転するアンバランスマス3の結果的に得られる質量であり、Ωは、振動発生装置2の励振周波数である。角度φVおよびφHは、前方および後方の発生装置シャフトの目下の位相角を垂直線(z軸)対して表している。これらの位相角は、例えば垂直線(z軸)を用いて表すことができる。これらは、例えば各発生装置シャフトにおける近接スイッチによって別々に求めることができる。rsは、発生装置シャフト中心点間間隔の半分の間隔であり、CADデータから読み取るかまたは直接測定することができる。
ezは、振動発生装置シャフト重心と、下側質量体の全体重心との間のZ軸方向における間隔であり、これも同様にCADデータから求めることができる。
【0123】
これらの関係は図7に示されている。
【0124】
2つの発生装置シャフトのXおよびY方向における重心と、接触要素の重心とが一致する場合、発生装置により、X軸およびZ軸に周りに付加的な励振回転モーメントは発生しない。回転モーメント成分MECC,XおよびMECC,Zは、この場合にゼロである。当然のことながら、他のすべてのケースに対しても回転モーメントを同様にアンバランスマスの目下の位置から計算によって求めることができる。
【0125】
以下では、例として、矩形かつ平らな接触要素1の場合に対して、実際接触面積16を近似的に決定する方法を説明する。
【0126】
接触要素のピッチおよびロール運動により、接触はつねに接触要素のコーナないしはエッジからはじまる。
【0127】
図8には概略斜視図で、走行方向がx軸方向を向いている接触要素1が示されている。接触要素1には、直線の境界辺を有する三角形の接触面16が破線で示されている。ここでは外側の境界線は、接触要素1の既知の外径幾何学形状によってすでにわかっている。
【0128】
理想的なケースでは直線でありかつ未知で欠けている内部の境界線(接触辺17)は、ここでは、力の作用点15が、例えば接触面積16を形成する三角形の面積重心にあるという条件から計算される。
【0129】
図9には接触面積16の欠けている内側の辺の構成を、例えば、コーナ18(接触要素1の辺IおよびIIの交点)で始まる接触に対して示している。
【0130】
上記の面積重心(力の作用点15と同じであるとする。したがって上で求めた座標rCが成り立つ)の知識と、2つの直線g1およびg2が面積重心で交わるという条件とから、接触要素1の2つの辺IおよびIIの座標がわかれば、2つの式を有する連立方程式を立てることができ、またこれを解いて、三角形の接触面積16の内側の辺の求めようとする未知の交点(xs1,xs1)および(xs2,xs2)が得ることができる。接触が接触要素1の他のコーナからはじまる場合も同様である。
【0131】
図10には、図9にしたがって計算した複数の交点のうちの1つが実際の幾何学形状を、すなわち、例えば接触要素1の該当する辺を越えて移動する場合が示されている。この場合、内部にある接触辺18の計算を改めて行い、しかもここでは接触面積16が四角形であるという前提の下で行う。
【0132】
ここでも四角形の接触面積16に対して同様に、面積重心の位置(力の作用点15の座標rc)と、幾何学形状の構成とから、接触要素の辺(辺IおよびII)との未知の交点を決定するための連立方程式を立てて、これを解くことできる。
【0133】
図11には、台形をした四角形の面積の面積重心15を幾何学的に求める様子が示されている。
【0134】
図12には、接触面積16の一部分16a(点で示した面積)において回転および並進運動の速度成分が重なることによって速度の分布が発生する場合が示されている。ここでこの部分は、この速度分布で運動して地面から離れる。このような場合、この面積部分は、実際接触面積16を計算する際に、重要度を下げて考慮すべきである。それは、このような面積部分において実質的に地盤接触力は伝えられないか、または極めてわずかだからである。
【0135】
図12において点で示されかつ運動して地盤から離れる面積部分16aと、図12において斜線で示されかつ地面に向かって運動して地盤接触力を伝える面積部分16bとの間には、速度ゼロの線19が延在している。
【0136】
法線方向における接触要素速度がその符号を反転させる速度ゼロの線19が存在することおよびその位置は、接触要素1の重心における並進運動速度および角速度が既知であれば、運動学的な関係式から計算することできる。接触要素1の点(rx,ry)における合成速度に対し、Z方向において純粋な並進運動が行われまたピッチ/ロール運動が重畳される場合に
【数18】
が得られる。
【0137】
この場合、上記の速度をゼロとおくことにより、
【数19】
により、速度ゼロの線19に対し、関連する直線の方程式が得られる。
【0138】
速度ゼロの線19はつねに直線であるため、不利なケースでは、図12に示したように、関連する接触面積(斜線で示した面積16b)に対して五角形が得られる。
【0139】
図12には、コーナ20の近くに速度ゼロの線19が存在する場合に、結果的に得られる接触面積が示されている。差し引くべき三角形面積(点で示した面積部分)の面積重心はわかっているため、点で示した三角形面積16aと、斜線で示した実際接触面積16bとの面積重心を、合成重心として計算することができる。ここから得られる四角形の全体面積(面積部分16aおよび16b)に対し、上記の方法にしたがって、欠けている接触辺17を計算することができる。
【0140】
地盤力学における1次元のE係数(E-Modul)の定義は、
【数20】
であり、ここで地盤は、半径rおよび一定の圧力分布を有する円形の硬いプレートを介して載荷される。Fは、加えられた力を、またsは沈下量を表す。ポワソン数vは、粘着力のない地盤ではほぼ一定であり、また例えば、静的な載荷プレートの評価時にはつねにv=0.212とする。
【0141】
グラジエントΔF/Δsは、すでに上で求められているため、接触面積パラメタαに対して、つぎように定式化することができる(ただしv=0.212)。
【数21】
【0142】
この定義では、上ですでに述べた値γを2.1とおく。これによって有利な結果が得られる。しかしながら、上記のポワソン数vは、地盤の質が変われば変化し得ることが判明している。これに相応して係数γは1.5〜2.7の範囲を取り得る。
【0143】
rhydは、ハイドロリック標準半径であり、また
【数22】
にしたがって、接触面積AC(参照符号16)から計算される。これを求めることについてはすでに上で説明した。
【0144】
動的剛性係数EV,dynVerdichterと、慣用の例えば標準化された測定法によって求められる変形係数とを比較できるようにするため、較正測定を行うかないしは較正テーブルを評価することが可能である。
【0145】
本発明の方法ないしは本発明の方法によって作動される地盤締固め装置、例えばランマまたは振動プレートにより、地盤剛性ないしは地盤の動的変形係数を締固め作業中に決定することができる。この方法は、接触要素が比較的長い飛行フェーズを有しまた回転運動成分が大きいことによって、接触力および接触移動距離の方向がしばしば予測不能に変化する地盤締固め装置に殊に有利である。またこの方法は、種々異なる接触幾何学形状ないしは有効実際接触面積を考慮するのに有利である。この点において、例えば地盤締固めローラに使用されていた従来公知の測定法と大きな違いがある。この従来の測定法では接触面積が、また地盤に対する主要の接触力の方向も実質的に一定であるかないしは事前に良好に予測可能である。
【0146】
しかしながら飛行フェーズが短いないしは飛行フェーズのない地盤締固め装置も、本発明を利用すれば、同様に地盤剛性および動的地盤変形係数を求めることができる。
【0147】
図13には典型的な振動ランマの側方図が示されており、この振動ランマでは発明の方法を使用することができる。
【0148】
接触特性が実質的に同じ状態に止まることを前提とできる機械(振動ローラ)にも、ここで説明した地盤剛性および地盤変形係数決定方法を利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0149】
【図1a】接触要素と、振動発生装置と、加速度センサとを有する振動プレートの概略側方図である。
【図1b】振動発生装置のアンバランスシャフトの概略を示す、図1a)の接触要素の図である。
【図2】図1の接触要素の斜視図である。
【図3】時間について接触力Fcontactおよび振動移動距離sを示す相図である。
【図4】小さな接触面積を有する動作中の接触要素を示す図である。
【図5】大きな接触面積を有する動作中の接触要素を示す図である。
【図6】接触要素における力およびモーメントを略示する図である。
【図7】2シャフト振動発生装置を有する接触要素において幾何学的な関係を示す図である。
【図8】三角形の接触面を有する接触要素の図である。
【図9】図8の接触要素の平面図である。
【図10】四角形の接触面を有する接触要素を示す図である。
【図11】図10の接触要素の平面図である。
【図12】五角形の接触面を有する接触要素の平面図
【図13】地盤締固め装置として使用される振動ランマの概略側方図である。
【図1】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地盤締固め装置を用いて地盤特性を決定する方法に関する。ここでこの地盤締固め装置は、振動して衝撃を加えて地盤を締め固める接触要素を有する。
【0002】
地盤締固め装置として、例えば、振動プレート(Vibrationsplatte)、振動ランマ(Vibrationsstampfer)および振動ローラ(Vibrationswalze)が公知である。これらの装置は、それぞれ少なくとも1つの地盤接触要素を有しており、この地盤接触要素には、振動発生装置によって振動的に衝撃が加えられ、またこの地盤接触要素によって振動が地盤に導かれて締固めの作用が得られるのである。
【0003】
締固め作業の質をチェックできるようにするため、所定の地盤特性、例えば、地盤剛性、可塑性、負荷能力などを求めることは有益である。
【0004】
地盤パラメタを決定するため、地盤締固め装置とは別個に動作する方法および装置が公知である。例えば、規格化された平板載荷法(DIN 18134)があり、ここでは静的な載荷板試験の枠内で変形係数(Verformungsmodul)Evが決定される。また動的な載荷板試験も公知である(Technische Pruefvorschriften fuer Boden und Fels im Strassenbau TP BF-StB, Teil B 8.3 (1997))。
【0005】
締固め装置とは別の慣用の測定方法および測定装置には、格段に大きな付加コストが必要である。それは、締固め装置に対してそれぞれ付加的に測定装置を使用しなければならず、これらの測定装置には相応に専門教育を受けた操作員が必要であることが多いからである。さらに所定の面積における測定の回数は、時間がかかることによって制限される。すなわち、ランダムサンプル検査ベースでしか測定を行えないのである。
【0006】
その一方でつぎのような方法も公知である。すなわち、特殊な地盤締固め装置そのものを利用して、例えば、締固め結果に対する主要な判定基準である地盤剛性および/または地盤の変形係数を測定する方法も公知である。このような装置および方法は、例えば、DE 27 10 811 C2,WO98/17865,DE 29 42 334 C2ならびにEP 1 164 223 A1に記載されている。これらの刊行物にはそれぞれ振動ローラが示されており、これらの振動ローラは、締固めしようとする地盤の上を走行して、ローラドラム(ローラサポータ Walzenbandage)の振動特性によって地盤剛性を推定する。
【0007】
ふつう振動ローラは、振動によって衝撃を加える際であっても、地盤接触要素として使用されるローラサポータが地面から浮き上がらないように作動される。ローラサポータは、全体として周期的に運動し、これによって比較的均一なローラサポータの振幅運動が発生する。これに対し、別の地盤締固め装置、例えば、振動プレートまたは振動ランマには公知の測定方法および測定装置は適していない。振動プレートおよび振動ランマはふつう、振動載荷サイクルの大部分の間に地面と接触しない。ここで確認されるのは、全振動周期のわずか約10%にしかならない接触時間である。振動ローラにおいて使用される上記の測定方法は、都度測定される信号が、十分に持続する状態から得られることに合わせて設計されている。ローラサポータが跳躍した場合であっても、飛行フェーズは比較的短いため、エラーの影響はわずかである。
【0008】
これとは異なり、ランマおよび振動プレートでは、飛行フェーズが長くまた接触時間が短いことが前提であるため、周期的な運動特性に対して設計された従来技術の測定方法は適していない。さらに振動プレートおよび振動ランマの地盤接触要素は、一層無秩序な運動特性の影響下にある。それはこれらの地盤接触要素は絶えず、跳躍ないしは飛行によって地盤の力を種々異なる個所で受けることになるはずだからである。
【0009】
本発明の課題は、地盤特性を決定する方法を提供して、この方法が、地盤接触要素が絶えず地盤から浮き上がりかつ例えば(振動サイクルを基準にして)比較的長い飛行フェーズも示すこともある地盤締固め装置にも適切であるようにすることである。ここでこの方法により、つぎような場合にもつねに地盤パラメタが決定できるようにする。すなわち、具体的な運動特性および/または接触特性とは無関係に上記の地盤締固め装置が、励振サイクル中に地面と接触する場合にはつねに地盤パラメタが決定できるようにするのである。有利な適用分野は、無秩序な運動特性を有する地盤締固め装置、例えば振動プレートおよび振動ランマである。
【0010】
上記の課題は、本発明により、請求項1に記載された方法によって解決される。この方法を利用する地盤締固め装置は請求項29に記載されている。本発明の有利な発展形態は、従属請求項に記載されている。
【0011】
本発明の方法は、地盤締固め装置を用いて地盤特性を決定するのに使用される。ここでこの地盤締固め装置は、振動して衝撃を加えて地盤を締め固める接触要素を有する。この接触要素は、接触フェーズ中に地盤に接触し、その際に地盤によって及ぼされる接触力Fcontactが加えられて接触移動距離scontactだけ進む。以下では接触力Fcontactを簡単に接触力Fと、接触移動距離scontactを簡単に接触移動距離sとも記す。
【0012】
上記の地盤締固め装置は、振動プレートまたは振動ランマとすることが可能である。この地盤締固め装置は、上記の接触要素を含む下側質量体(Untermasse)と、ふつうは駆動部を含む上側質量体(Obermasse)とを有する。上記の下側質量体は、ばね装置を介して上側質量体に連結されている。下側質量体の構成部分は、例えば振動プレートでは、上記の接触要素に衝撃を加える振動発生装置とすることも可能である。振動ランマでは振動発生装置は、移動距離式励振によって実現され、例えばクランクメカニズムによって行われ、ここでこのクランクメカニズムは上記の上側質量体と下側質量体との間に配置される。
【0013】
本発明の方法によって決定することの可能な地盤特性を動的変形係数Ev,dynVerdichterと称し、またこれを関係式
【数1】
によって求める。
【0014】
ここでΔFcontact/Δscontactは、接触力dFcontact/dscontactの実際のグラジエントの近似(平均化)である。αは、上記の接触要素と地盤との実際接触面積の大きさおよび形状を考慮するための接触面積パラメタであり、これは実際接触面積を決定するために観察している所定の時間区間中のものである。
【0015】
上記の動的変形係数EV,dynVerdichterに基づき、場合によっては地盤に依存するパラメタ(ポワソン数(Querkontraktionszahl)v)を考慮して、動的剪断係数(Schermodul)GV,dyn Verdichterを計算することができる。
【0016】
幾何学形状ファクタとして実際接触面積の影響を表す接触面積パラメタαについては以下でさらに詳しく説明する。載荷サイクル中に作用する接触面積も、接触力および関連する接触移動距離も共に、その方向およびその大きさが共にサイクル毎に変化し得るため、各載荷フェーズ中、すなわち各載荷サイクル中、接触力および接触移動距離も、接触面積パラメタαも共に求める。
【0017】
係数kdynは、地盤の動的剛性を表し、またこれは接触力Fおよび接触移動距離sのグラジエントとして形成される。載荷フェーズ内でも変化し得る動的剛性kdynも各載荷フェーズ中に求めるため、地盤の剛性を締固め過程中に精確に監視することできる。
【0018】
動的剛性kdynを求めるため、まず接触力と、接触フェーズ中に接触要素が進んだ接触移動距離とを求めなければならない。
【0019】
有利には接触要素の重心に固定された座標系を基準にして、質量中心の原理から、3つの空間方向の接触力Fの成分を決定する。択一的には上記の成分を位置固定の座標系、例えば地盤を基準にして求めることも可能である。
【0020】
運動する座標系において、結果的に得られる加速度成分は、外部から作用するZ方向の力の和から
【数2】
にしたがって得られ、ここで
はそれぞれ(y軸周りの)ピッチ方向、(x軸周りの)ロール方向および(z軸周りの)ヨー方向の相応する角速度であり、またmUは接触要素の質量である。
は、接触要素の重心における各並進速度を表しており、これに対して
は、相応する加速度を表す。
【0021】
下側質量体に加わる力(ただしi=x,y,z)は、アンバランス励振力(Unwuchtanregung)FECC,iに起因する各力成分から、結果的に得られる地盤に対する接触力Fc,iから、残りの機械に対する切断力(Schnittkraft)(例えば、地盤締固め装置の上側質量体)FU,iから、ならびに接触要素の重量の成分から合成される。したがって加わる力の総和は、個々の空間方向に対してつぎように、
ΣFX = FC,X+FECC,X+FU,X−mU・g・sin(Φ)・cos(X)
ΣFY = FC,Y+FECC,Y+FU,Y+mU・g・cos(Φ)・sin(X) (3)
ΣFZ = FC,Z+FECC,Z+FU,Z−mU・g・cos(Φ)・cos(X)
で示され、ここでFC,iは接触要素(1)の地盤に対する接触力であり、FU,iは接触要素(1)と、残りの機械(上側質量体)との間の切断力であり、mUは接触要素の質量であり、FECC,iは接触要素を励振する振動発生装置の励振力であり、ΦおよびXは相応するピッチ角ないしはロール角である。
【0022】
上記の2つの方程式系(2)および(3)を等置して各接触力成分にしたがって解くと、
【数3】
が得られる。
【0023】
この場合、結果的に得られる全体的な接触力は、個々の成分FC,iから計算される。ここでこれは全体として作用する接触力の振幅および方向を、上記の部分成分から相応にベクトル的に求めることによって行われる。
【0024】
本発明の方法は、例えば、振動プレートまたは振動ランマにおいて使用可能である。このような装置では接触力は、もっぱら接触面に対して垂直に作用するため、有利には接触法線方向、すなわちz軸方向の接触力成分を、この方向における運動量の収支を評価することによって求める。
【0025】
この場合にこの接触力は、例えば、簡略的に、
【数4】
と求められ、ここでmUは接触要素の質量であり、
は接触法線(z軸)の方向における接触要素の加速度であり、FECC,Zは、接触要素に衝撃を加える振動発生装置の励振力である。並進運動加速度および角加速度を求めるためつぎのようにする。
【0026】
上記の接触要素の並進運動加速度
は、例えば、接触要素そのものに設けられる加速度センサによって測定することができる。加速度センサとして、例えば、3つのすべての空間方向を同時に測定する重心に取り付けられた3軸センサが有利である。この場合、3つの空間方向における並進運動速度成分
は、例えば、加速度信号を1回積分することによって求めることができる。
【0027】
例えば、構成上の制限で重心にセンサを取り付けることができない場合には択一的に、3つの空間方向(x,y,z)における重心の並進運動加速度ならびに3軸x,y,z周りの角加速度を少なくとも6つの加速度センサによって求めることも可能である。これらのセンサは有利には接触要素の重心の周りに分散されて、3つずつの加速度センサの測定方向が、接触面の法線方向(z方向)になるように取り付けられるが、できるだけ1直線上に配置されないようにする。別の3つの加速度センサは、同様に1直線上に載らないが、その測定方向が接触面積の接線方向になるように配置される。
【0028】
角加速度
が存在する場合、すなわちこれを測定した場合、重心における加速度と、物体の任意の点で測定した加速度との間の運動学的な関係から、求めようとする並進運動加速度も、角加速度も共に求めることができる。この場合、必要な回転角ΦおよびXは、角加速度
を2回積分することによって求めることができる。
【0029】
特定の適用のケースでは、所要のセンサの数を減らしても十分なこともある。それは特定の自由度は、構造上の制約によって省略されるからである。例えば振動ランマの接触要素、すなわち地盤接触プレートは、例えば、ランマ脚部が平行に導かれることに起因して、主に並進運動方向に、すなわち接触法線方向(z軸)に運動する。したがってこのような適用に対しては、殊に接触要素に個別のセンサを使用するので十分である。他の加速度成分は、場合には上部質量体における測定センサによって決定することができる。
【0030】
択一的には接触法線方向における上記の加速度成分を非接触で、例えば光学式レーザセンサで求めることも可能である。この場合にこれらのセンサは有利には接触要素ではなく、ばね装置を介して接触要素に接続されている上側質量体に設けられる。この上側質量体は、例えば公知のように地盤締固め装置の駆動原動機を含むことも可能である。これらのセンサを用いることによって、例えば、上側質量体と接触要素との間の間隔変化を測定することができるため、上側質量体の位置および向きがわかれば、2回微分によって相応の測定個所の接触法線方向における接触要素の加速度を求めることができる。
【0031】
最後にレーダセンサを介して上側質量体に対する接触要素の速度を、例えばドップラー効果によって求めるか、または例えば干渉レーダによって間隔を求めることもできる。これによって上記のように加速度を同様に計算することができる。
【0032】
励振力FECCを求めるため、つぎのようにする。
【0033】
本発明の1実施形態では、振動発生装置によって発生する励振力FECCをこの振動発生装置と接触要素との間に設けられる力測定装置によって測定することができる。力測定装置として、例えばロードセル(Kraftmessdose)が有利であり、これは振動発生装置の下に配置される。
【0034】
これと択一的には上記の励振力FECCを励振アンバランスマスの目下の位置から計算することも可能である。振動発生装置が同じ大きさのアンバランスマスを備えた逆回転する2つのシャフトを有し、またこれらのシャフトの回転軸が、接触要素のY軸と同じ方向を有しかつその位相は互い調整可能である場合、励振力FECCの成分は、接触要素に位置が固定された座標系について、時間tに依存して関係式
FECC,X(t) = EM・Ω2sin(φPhase/2)・cos(Ω・t)
FECC,Y(t) = 0 (6)
FECC,Z(t) = EM・Ω2cos(φPhase/2)・cos(Ω・t)
によって簡略的に計算され、ここでEMは、回転するアンバランスマスの結果的に得られる質量であり、Ωは、振動発生装置の励振周波数であり、φPhaseは、2つのアンバランスマス間の位相である。
【0035】
すなわちアンバランスマスの目下の位置ならびに発生装置のシャフト角速度およびアンバランスマスの大きさから、目下作用するアンバランス力の方向および大きさを決定することができる。
【0036】
励振力FECCは、当然のことながら別の構成の振動発生装置においても同様に計算することができる。この力はふつう時間tに依存して表されるが、関与するアンバランスマスの位相ないしは角度に依存させることも可能である。
【0037】
上ですでに述べた振動プレートまたは振動ランマの場合、励振力FECCを求めるために、接触法線方向に作用する成分FECC,Zだけを計算する。それはこれに対して、z軸の方向、すなわち接触面積に対する法線方向の励振だけが意味を持つからである。
【0038】
位相角φPhase、すなわち2つのアンバランスマスの相対的な相互の位相は、操作者の調整に依存して変化し得る。アンバランスマスの位置は、例えば、近接センサ(誘導式、ホールセンサ)によって求めることができる。この場合、アンバランスマスの位置からアンバランスシャフトの角速度も決定することができる。
【0039】
接触要素とこの機械の残りの部分との間の剪断力FU,iは、例えばロードセルによって求めることができ、このロードセルは、接触要素と、例えば地盤締固め装置の上側質量体との間に配置される。
【0040】
接触移動距離sを求めるため、つぎのようにする。すなわち、
動的剛性kdynを決定するために必要な接触移動距離sは、接触要素によって地盤接触力が伝達される時点に決定され、またしかも有利には結果的に得られる力の作用点においてないしはこの点の近くで決定される。それは、力の作用点の移動距離は、最も容易には、作用する接触力の変化と関係しているからである。力の作用点の位置の決定については、後で説明する。
【0041】
接触移動距離を求めるため、まず力の作用点の加速度を求める。力の作用点において加速度を2回積分することにより、この力の作用点における距離(接触移動距離)の振幅および方向を求めることができる。
【0042】
これによれば、まず力の作用点Pの位置を決定しなければならない。これについては接触面積パラメタαの計算に関連して後でさらに説明する。このようにして求められる(重心Sにおける座標系を基準にした)力の作用点
【数5】
の位置において、力の作用点における加速度
は、運動学的な関係式
【数6】
にしたがって計算することができる。
【0043】
角速度
【数7】
および角加速度
【数8】
のベクトルならびに重心における並進運動加速度
【数9】
は、すでに上で述べたように、例えば接触要素に配置することの可能な有利なセンサ装置によって求められる。しかしながらこの際に上記の評価に対して有利には、結果的に得られる接触力の方向における接触移動距離だけを考慮する。
【0044】
例えば、振動プレートにおいて接触力がもっぱら接触面積に対して垂直に作用する場合、有利には並進および回転運動成分を評価することによって、力の作用点の個所における接触移動距離を接触法線方向に決定する。点P(力の作用点)におけるz方向の加速度の成分に対し、(ヨー運動を無視して、すなわち
【数10】
)式(7)を評価することにより、
【数11】
が得られ、
ap,zを2回積分することによって、求めようとする接触法線方向における接触移動距離sが得られる。
【0045】
上記の並進ないしは回転運動成分を求めるため、上ですでに説明したように、例えば3つの加速度センサを接触要素に配置して、これらの加速度センサが一直線上にはならないが、その測定方向が接触面に対する法線方向になるように取り付けられる。
【0046】
これにより、相異なる測定時点に対し、接触力Fと、対応する接触移動距離sとからなる複数の測定点対を形成することができるのである。
【0047】
これにより、極めて有利にも相異なる時点に接触力Fおよび対応する接触移動距離sについての情報がそれぞれ得られて、時点毎に接触力Fと接触移動距離sとからなる測定点対を形成することができるのである。
【0048】
ここでは有利には、接触要素が次第に増大する力で地盤に押し付けられる載荷フェーズ中に発生する測定点対を決定する。この関連において、接触要素に負荷がかかっていない非負荷フェーズ中または、地盤に接触することなく接触要素が空中にある飛行フェーズ中には測定点対をさらなる評価から除外することができる。
【0049】
載荷フェーズの測定点対に対して、それぞれグラジエントdFcontact/dscontactを形成する。このグラジエントは、この時点に有効な動的剛性kdynに相当する。このグラジエントdF/dsは、(力および移動距離の)2つの時間変化の比から形成することも可能である。
【0050】
しかしながら有利には上記の測定点対毎に発生するグラジエントを統計的な手法で平均化して、得られた平均値を、基準となる動的剛性kdynとすることが可能である。
【0051】
これと択一的にまたはこれに補足して、時間tに依存し、上記の接触力Fおよび接触移動距離sに対して相図を計算によって形成することができる。接触要素が地盤に次第に大きくなる力で押し付けられる載荷フェーズを表す上記の相図の部分に対して、動的剛性kdynを表す平均グラジエントdF/dsを形成する。
【0052】
接触面積パラメタαを求めるためにつぎようにする。
【0053】
すでに上で説明したように上記の動的変形係数EV,dynVerdichterを決定するためには、接触要素と地盤との実際接触面積を考慮する接触面積パラメタαも必要である。有利には接触力Fの力の作用点の計算した位置に基づき、この接触面積パラメタαを決定する。
【0054】
例えば振動プレートまたは振動ランマでは地盤接触プレートである上記の接触要素は、地盤締固め装置の静止状態において地盤と接触する底面を有する。しかしながら動作時、すなわち本発明の方法を適用しようしている動作時にはふつうもはや接触要素の底面全体が接触力の伝達に関与することはなく、部分面積、すなわち実際接触面積だけが関与するのである。
【0055】
接触要素の周期的な飛行フェーズによって行われる前進動作に起因して、これに関連して締固めしようとする地盤の表面に対して地盤接触要素が斜めになることに起因して、さらに表面そのものが斜めになっていることにに起因して、接触要素の下側面の一部だけが地盤と接触する。その一方で残りの部分は空中に突き出ているのである。実践的にこのことが意味し得るのは、矩形の底面を有する接触要素を備える地盤締固め装置において、この底面は、静止時には地盤に完全に接触するが、動作時には実際接触面積はこの底面の3分の1以下になることである。この場合にこの実際接触面積も同様に矩形、三角形または別の幾何学形状にもなり得るが、上記の底面積よりも格段に小さくなり得る。この接触面積は、規格化されたプレート圧力方式(Phasendruckverfahren)のように均一である必要はなく、相異なる方向(軸)に凹または凸になることもある。さらに瞬時の実際接触面積内には、接触要素における瞬時の速度分布に起因して接触力の伝達がわずかに行われる領域ないしまったく行われない領域が存在し得る。このことは、関連する接触面積を求める際には考慮しなければならない。
【0056】
上記の瞬時の実際接触面積の大きさは、伝達され得る接触力の大きさに大きな影響を有するため(接触面積は大きい場合、他の地盤特性値が同じかつ等方性であれば、より大きな接触力が伝達される)、上記の変形係数を決定するためにこの接触面積の大きさを考慮しなければならないのである。
【0057】
励振サイクルの観察時間ステップにおける実際接触面積は、接触要素の底面に対して対称には配置されておらず、例えば(地盤締固め装置の主走行方向について)この接触要素の後ろ側の領域に配置されるため、地盤接触圧力から生じる接触力Fは、接触要素の底面の面積重心にではなく、ここから離れた個所、すなわち例えば実際接触面積の面積重心またはその近くに作用する。2つの重心のこのような偏差ないしは接触要素の重心と力の作用点との偏差により、接触要素に付加的な力およびモーメントが作用する。これらの力およびモーメントは、地盤特性を検出する際に考慮しなければならない。
【0058】
この接触面積の大きさおよび幾何学形状は、接触中に変化する。例えば、矩形の接触要素が接触フェーズのはじめに1つのコーナで地盤に接触する場合(三角形の接触面積)、この三角形の面積は進入によってはじめのうち大きくなる。引き続いて接触要素の傾きは変化して、進入の間にその接触重心(接触面積および力)が移動する。ここでこれはまず接触要素の重心に向かって移動する。しかしながら所定の条件の下では接触重心は、接触要素の重心を越えて移動することもある。極端な場合、接触要素は、励振周期内に反対側のコーナに移動する。
【0059】
この接触要素には、力の作用点の偏心によって、付加的な角加速度が加わり、この角加速度に接触要素の慣性モーメントが反作用する。
【0060】
ここでは判明したのは、上記の接触面積パラメタαが有利にもつぎの関係式にしたがって決定できることである。すなわち、
【数12】
であり、ここでγは1.5〜2.7の範囲の値、例えば値2.1であり、rhdは、ハイドロリック標準半径(hydraulischer Vergleichsradius)でありかつ実際の有効接触面積Acから
【数13】
にしたがって計算することができる。
【0061】
ここで接触面積パラメタαを決定するため、接触要素と地盤との実際接触面積の面積重心を決定することができる。ここでこれは接触力Fの力の作用点から求められる。接触力Fは、接触要素の接触面積に作用する面負荷である。この接触力は、結果的に得られる力によって表すことができ、ここでのこの力は、結果的に得られる作用点に加わる力である。この力の作用点は、第1次近似において実際接触面積の面積重心と同じであるとみなすことができる。実際の力の作用点と、接触面積の面積重心との偏差を補正するため、例えばシミュレーションによって決定される補正係数を挿入することができる。
【0062】
本発明の1実施形態では、地盤接触中の接触要素の運動を測定センサによって検出する。測定センサによって求めた情報に基づいて、また接触力Fにより、接触要素の底面内にある実際接触面積の位置および大きさおよび/または結果的に生じる接触力の力の作用点を決定することができる。
【0063】
これらの測定センサは、接触要素の直線運動および/または回転運動を相異なる自由度について検出することの可能なセンサとする。
【0064】
ここでは測定センサを設けることができ、この測定センサにより、上記の接触力Fによって生じまた地盤締固め装置の走行方向に対して横方向を向いたピッチ軸(y軸)の周りの接触要素のピッチ角加速度が求められる。
【0065】
状況によっては、励振を行う励振モーメントの知識を使用して、接触力によって生じるピッチ加速度ないしは(x軸周りの)ロール加速度を、測定した角加速度から計算しなければならない。これと類似して、走行方向に延在するロール軸(x軸)の周りの接触要素のロール角加速度を検出するため、同様に適切な測定センサを設けることができる。上記のピッチ軸およびロール軸はそれぞれ有利には接触要素の重心を通って延びている。しかしながらピッチおよびロール角加速度を測定するため、1直線上に取り付けられていないが測定方向が接触法線の方向に配向されている3つのセンサを利用することもできる(これは前に説明したとおりである)。
【0066】
これに加えて有利であり得るのは、接触力Fの方向に接触要素の並進運動を測定するため、相応に測定センサを設ける場合である。
【0067】
上記の測定センサによって測定した接触要素の運動に基づき、例えばピッチ軸およびロール軸の周りの角加速度に基づき、このピッチ軸およびロール軸の周りの角運動量の収支についての式を立て、これらの式から、例えば振動発生装置および機械の残りの部分に対する切断モーメント(Schnittmomont)にも基づいて生じる回転モーメントを考慮して、接触力Fによって生じるピッチ軸およびロール軸の周りの接触回転モーメントを決定することができる。
【0068】
このようにして求められる接触回転モーメントと、すでにわかっている接触力Fとに基づき、ピッチ軸およびロール軸周りの接触力Fのレバーアームを決定するができ、ひいては接触力Fの力の作用点の位置を決定することができる。
【0069】
この接触力の力の作用点の位置は、第1近似において接触面積の面積重心の位置と見なすことができるため、面積重心の位置も同様にわかることになる。
【0070】
上記の接触面積の面積重心、また力の作用点およびあらかじめ定められた関係に基づいて、接触面積パラメタαを決定することができる。上記の接触面積パラメタαと、面積重心ないしは力の作用点との間の関係は、地盤締固め装置のメーカによってあらかじめ実験によって求め、内容の多い有効な関係を得ることができる。これらの関係のプリセット値は、テーブルまたは計算関係式の形で格納することができる。
【0071】
このようにして接触要素の各締固めサイクル中に接触面積パラメタαを求めて、これを接触面積の大きさないしは位置に依存して常時適合させることが可能である。
【0072】
このようにして接触面積パラメタαも動的剛性kdynも確定させた後、上で示した式にしたがって、動的変形係数EV,dynVerdichterを決定することができる。
【0073】
必要であれば、較正測定により、上記のように求めた動的剛性係数EV,dynVerdichterと、慣用の測定法によって決定可能な変形係数との間の関係を形成することができる。例えば、決定した地盤状況に依存して、本発明の方法によって求めた動的剛性係数を別の変形係数に変換することのできるテーブルを作成することができる。ここでこの変形係数は、規格化された測定法によって決定されたものである。
【0074】
本発明では地盤締固め装置も提供される。この装置は、駆動装置によって作動される振動発生装置と、この振動発生装置によって衝撃を加えられる接触要素と、地盤特性を決定する測定システムとを有しており、上記の接触要素は、振動サイクル中にフェーズ毎に持続的に地盤に接触し、締め固めようとする地盤から一時的に持ち上がることが可能であり、また前記の測定システムは、接触要素の運動特性を検出するための少なくとも1つの測定センサを有する。本発明による上記の地盤締固め装置は、上記の測定システムが上記の本発明の方法によって作動されるという特徴を有する。
【0075】
この地盤締固め装置は有利には振動プレートまたはランマである。しかしながら基本的にはローラへの適用も可能である。
【0076】
以下では本発明の上記および別の利点および特徴を、添付の図面を使用し、実施例に基づいて説明する。ここで、
図1a)は、接触要素と、振動発生装置と、加速度センサとを有する振動プレートの概略側方図を示しており、
図1b)は、振動発生装置のアンバランスシャフトの概略を示す図1a)の接触要素を示しており、
図2は、図1の接触要素の斜視図を示しており、
図3は、時間について接触力Fcontactおよび振動移動距離sを示す相図を示しており、
図4a)および4b)は、小さな接触面積を有する動作中の接触要素を示しており、
図5a)および5b)は、大きな接触面積を有する動作中の接触要素を示しており、
図6は、接触要素における力およびモーメントを(簡略化して)略示しており、
図7は、2シャフト振動発生装置を有する接触要素における幾何学的な関係を示しており、
図8は、三角形の接触面を有する接触要素を示しており、
図9は、図8の接触要素を平面図で示しており、
図10は、四角形の接触面を有する接触要素を示しており、
図11は、図10の接触要素を平面図で示しており、
図12は、五角形の接触面を有する接触要素の平面図を示しており、
図13は、地盤締固め装置として使用される振動ランマを概略側方図で示している。
【0077】
図1には地盤締固め装置として使用されかつ接触要素1を有する振動プレートが、極めて簡略化された図で示されている。接触要素1は、同様に振動ランマの構成部分とすることも可能である。このように地盤接触プレートとして使用される接触要素により、公知のように、振動発生装置2によって形成された振動力が、締め固めようにする地面に伝達される。
【0078】
図1b)に示したように振動発生装置2は、公知のように逆回転する2つのアンバランスシャフト3から構成することができ、その位相は互いに変更可能であり、これによって走行動作中に地盤締固め装置の操縦ないしは方向変換を行う。
【0079】
接触要素1は、ばね装置4を介して上側質量体5に可動に連結されている。上側質量体5にはふつう振動発生装置2に対する駆動装置が取り付けられている。
【0080】
さらに図1a)では測定センサ6が示されており、これは例えば加速度センサによって構成することが可能である。測定センサ6は、振動発生装置2にまたは接触要素1に直接取り付けることもできる。
【0081】
図2には図1aの構造の一部が斜視図で示されている。
【0082】
接触要素1は、極めて簡略化されて矩形プレートとして示されている。個々の測定センサ6の代わりに接触要素1に6つの測定センサ7が配置されており、これらの測定センサも加速度センサとして構成することが可能である。
【0083】
さらに図2では走行方向Xに対して横方向に延びるピッチ軸8(y軸)ならびに走行方向Xに延びるロール軸(x軸)が示されている。ピッチ軸8およびロール軸9は、接触要素1の重心10で交わる。加速度センサ7は、それぞれピッチ軸8およびロール軸9に対して所定の間隔で配置されており、これによってピッチ軸8およびロール軸9周りの回転運動、例えば回転角または角加速度を検出することができる。
【0084】
本発明は、地盤締固め装置によって現在締め固めしている地盤の動的変形係数を決定する測定方法に関する。このために接触要素1の運動特性を測定し、以下に説明するように適切な形態で評価する。しかしながらこの測定方法についてはすでに上の説明の前置きで詳しく説明したため、以下ではこの測定方法の重要な様相だけをまとめる。
【0085】
上記の動的変形係数は、式
【数14】
によって決定される。
【0086】
ここでkdynは地面の動的剛性である。接触面積パラメタαにより、幾何学形状係数として、接触面積の特徴的な大きさと、殊に接触要素の底面全体に対する力の作用点の位置の偏差とが考慮される。上記の動的剛性kdynも、接触面積パラメタαも共に各載荷フェーズ中に決定することができるため、これらのパラメタ、ひいては動的変形係数Ev,dynVerdichterをつねに最新の状態で評価することができる。
【0087】
上記の動的剛性kdynを求めるため、まず接触力Fcontactと、接触フェーズ中、すなわち締め固めようとする地面に接触中に接触要素1が進んだ移動距離scontactとを求めなければならない。
【0088】
接触力Fcontactは、接触要素1に固定されている座標系についての質量中心の原理から決定される。このためには、接触要素の既知の質量および重心加速度の他に、振動発生装置2の励振力の方向および大きさと、この機械の残りに対する切断力(Schinttkraft)の方向および大きさと、重量と、回転速度から発生する法線方向重力加速度とを決定しなければならない。
【0089】
例えば、図1に示した振動プレートの場合、接触力Fcontactは簡略化されて計算されて
【数15】
となり、ここでmLは、接触要素1の質量であり、
は、接触法線の方向における接触要素1の加速度であり、またFECCは、接触要素1に加わる振動発生装置2の励振力である。
【0090】
接触面積法線方向における接触要素1の並進運動加速度
は、例えば、接触要素1の重心10において測定センサ6(加速度センサ)を介して測定することができる(図1aを参照されたい)。
【0091】
択一的には接触法線方向およびピッチおよびロール軸の方向における並進加速度および角加速度を、6つの測定センサ7(加速度センサ)によって測定することも可能であり、これらは図2に示したように、例えば、接触要素の重心10の周りに取り付けられている。
【0092】
さらに接触法線の方向における加速度を非接触で、すなわち例えば光学式のレーザセンサまたはドップラー効果を用いて決定することも可能であり、ここでは相応する測定センサ6aが有利には地盤締固め装置の上側質量体5に取り付けられる。
【0093】
上記の式において接触力Fcontactを計算するのに必要な励振力FECCは、簡略化するとつぎの関係式
FECC = EM・Ω2・cos(φPhase/2)・cos(Ω・t)
によって計算することができ、ここでEMは回転するアンバランスシャフト3の結果的に得られる質量を、Ωは、振動発生装置2の励振周波数を、またφPhaseは2つのアンバランスシャフト3の間の位相角をそれぞれ表す。
【0094】
位相角φPhaseは、操作者の調整に依存して可変である。この位相角は、2つのアンバランスシャフト3の相対位置に関係し、したがって所望の走行方向(前進、後退)に応じて操作者によって変更され得るのである。位相角φPhaseの測定は、例えば、誘導式または容量式の近接スイッチまたはホールセンサによって行うことができる。アンバランスシャフト3の位相の調整をコントロールバルブによって行うことも可能なため、位相角φPhaseについての確実な情報も得られる。
【0095】
載荷サイクル中の時間経過に対し、式(5)にしたがって計算した接触力Fcontactを振動移動距離sについてプロットすると、図3に示した典型的な接触力/振動移動距離−相図が得られる。図3では接触要素1の運動サイクルが2つのフェーズに分かれる。すなわち、空中フェーズ(飛行フェーズとも称される)と、負荷フェーズおよび非負荷フェーズを有する接触フェーズとに分かれる。空中フェーズ中、接触要素1は、締め固めようとする地面の上を飛行し、また接触フェーズ中、接触要素1と地面との間に相互作用が発生する。
【0096】
ここでは振動移動距離s=0の点をゼロ位置とする。この点から出発して、振動発生装置2のアンバランス作用によって接触要素1は地面に押し付けられるため、上昇する分岐(図3の矢印方向を参照されたい)にしたがい、振動移動距離を大きくしながら、接触力Fcontactが増大する。最大値に達した後、接触要素1はアンバランス作用によって負荷が加わらなくなるため、位相の経過は、接触フェーズの下降する分岐に達し、最終的には地盤との接触がなくなる(図3のs=2)。
【0097】
振動作用によって接触要素1は、締め固めようとする地面から浮き上がり、(地面との接触なしにひいては接触力なしに)地面の上を飛行して運動する。
【0098】
振動方向が変わった後、接触要素1は空中フェーズにおいて再びゼロ位置に達し、新たな締固めフェーズが開始される。
【0099】
接触フェーズにおける振動移動距離sを接触移動距離scontactと称する。この接触移動距離は、接触要素の加速度を2回積分することによって計算で求めることができる。この際に上で説明したように、並進および回転運動成分を考慮する。すなわち、積分の際にも相応に考慮するのである。
【0100】
地面kdynの動的剛性を求めるため、複数の測定点対(接触力F,接触移動距離s)を負荷フェーズにおいて求め、それらの傾きdF/dsを決定することができる。このためには例えば、最小二乗法を用いて多項式により、上記の曲線経過を近似することができる。このようにすれば、この近似された曲線のグラジエントは、多項式の係数から極めて簡単に解析的に計算することができる。
【0101】
上記の動的剛性kdynは、この場合に負荷フェーズの全領域にわたる種々異なるグラジエントを平均することによって求められるため、最終的には負荷フェーズに対し、動的剛性に対する尺度であるkdyn値を求めることができる。ここでこのkdyn値は、式(1)の動的変形係数EV,dynVerdichterの重要な部分である。
【0102】
接触面積パラメタαを決定するため、まずつぎの問題への注意を喚起する。
【0103】
図4a)には地盤11を締め固める際の動作中の地盤接触要素1が簡略化して示されている。振動発生装置2の作用によって、接触要素1は地面の表面11に対して斜めになっているため、接触要素1の後ろ側の部分だけが地面11に接触している。
【0104】
これに相応して図4a)では接触面積12が示されており、これは接触要素1と地面11との実際の接触を表している。接触面積12では接触力13が面荷重として作用している。
【0105】
図4b)では複数の接触力13が、結果的に得られる接触力14にまとめられており、これは力の作用点15において接触面法線方向に作用し、また上記の接触力Fcontanctに相応する。接触力14が接触要素1に加わる、力の作用点15と、接触要素の重心10との間隔はaである。
【0106】
接触要素1の重心10に対して接触要素1および振動発生装置2の質量を考慮する。
【0107】
力の作用点15と、接触要素1の底面の面積重心とが一致しないことがよくわかる。この一致は、接触要素1が地面と完全に接触する場合には起こり得るものである。接触力14はむしろ非対称ないしは偏心して、接触要素1の面積重心に作用しまた接触要素1の全体重心10にも作用する。
【0108】
図5には図4と類似して、地盤11に作用を及ぼす接触要素1が示されている。ここでは接触面積12は、格段に大きい(図5a)を参照されたい)これは例えば、地盤が図4a)の場合よりも軟らかい場合である。
【0109】
図5a)からわかるように、この場合、結果的に得られる接触力14の力の作用点15は、重心10の近くに移動するため、間隔aは小さくなる。
【0110】
ここでは接触面積パラメタαを求めるため、例えば、接触力14の力の作用点15の位置を、接触要素1の重心10の位置に関連して使用することができる。このような定式化の背景となっているのは、締固め経路に沿った地盤剛性がほぼ一定の場合、大きな接触面積12の面積重心(図5a))は、接触面が小さい場合(図4a))よりも、接触要素1の重心10の近くにあるという考察である。
【0111】
実際接触面積12の重心を求めるため、まず接触力14によって生じるピッチ軸およびロール軸(図1の参照符号8および9)の周りの角速度を求める。都度得られる瞬時の接触力14と、これによって生じる回転モーメントとの知識から、力の作用点15を計算することができる。このためには、接触要素1の並進、ピッチおよびロール運動を測定センサによって決定しなければならない。このためには例えば図2に示した測定センサ7が有利である。
【0112】
接触によって発生する回転運動、すなわち例えば接触要素1のピッチおよびロール運動は、接触要素の慣性モーメントが事前にわかっていれば、接触要素1におけるピッチ方向およびロール方向における角運動量の収支から求めることができるため、後で説明するように接触力14によって生じるピッチ軸8およびロール軸9の周りの接触回転モーメントを計算することができる。
【0113】
ここでも接触力14ないしはFcontactの知識により、接触回転モーメントから、ロールおよびピッチ方向における接触力14のレバーアームを相応に決定し、ひいては力の作用点15の位置を決定することができる。ここでは接触力の重心の知識から、接触面積の位置および幾何学形状を推定することができる。地面は凸凹である可能性があるため、すべてのケースにおいてこれが一義的に可能であるわけではない。しかしながら技術的にはこれで十分であり、載荷サイクルの統計的な評価および適切な試行によって関係が形成される。
【0114】
これらの関係は、図6において簡略化されて、振動プレートの適用例について示されている。
【0115】
一般的には接触面積パラメタαを計算するため、まず理論上の力の作用点13の位置を計算しなければならない。
【0116】
角運動量保存則を使用すると、運動する物体の重心における角速度を、この重心に固定された座標系を基準にして、作用する外部の回転モーメントの総和から
【数16】
にしたがって計算することができる。接触要素1の慣性モーメントIX,IY,IZなどは、CADデータから、または場合によって実験によって求めることができる。角加速度は、適切に配置した加速度センサ7、例えばずっと前の方で説明した加速度センサによって求めることができる。
【0117】
加えられる回転モーメントの成分は、各軸x,y,z軸の周りの地盤締固め装置の残り(上側質量体)に対する切断モーメント(Schnittmoment)MUと、地面接触力によって生じるモーメントMCと、振動発生装置2によって生じるモーメントMECCとから、
ΣMx = MC,X + MECC,X + MU,X
ΣMY = MC,Y + MECC,Y + MU,Y (12)
ΣMZ = MC,Z + MECC,Z + MU,Z
にしたがって得られる。
【0118】
地盤接触力成分FC,iによって生じる回転モーメントMC,iに対して、
MC,X = FC,Z・rC,Y−FC,Y・rC,Z
MC,Y = FC,Z・rC,X−FC,X・rC,Z (13)
MC,Z = FC,Y・rC,X−FC,X・rC,Y
とすることができ、ここでrCは、接触要素1の重心を基準にした力の作用点の座標である。
【0119】
したがってrCは、接触要素1の重心に対して力の作用点15の位置を定める座標である。これらの座標は、連立方程式(11)および(12)を考慮して上記の連立方程式(13)を解くことによって決定することができる。
【0120】
したがって力の作用点15の座標rCに対してつぎが得られる。
【0121】
励振が重心のxz面にある接触要素の場合(すなわちFC,Y≒0)、レバーアームに対して
【数17】
が得られる。ここでrC,Zは、接触要素1の下側のz座標であり、例えばCADデータから既知である。
【0122】
振動発生装置が同じ大きさのアンバランスマスを備えた逆回転する2つのシャフトを有し、これらのシャフトの回転軸が接触要素1のY軸と同じ方向を有しかつこれらの位相が互いに調整可能である場合、Y軸の周りの励振回転モーメントの成分(ピッチモーメント)MECC,Yは、この接触要素に位置固定の座標系を基準にして、さらにまた時間tに依存してつぎの関係式
MECC,Y = EM・Ω2・[ez・(sinφV+sinφH)−rs・(cosφV+cosφV)] (16)
によって簡略的に計算される。ここでEMは、回転するアンバランスマス3の結果的に得られる質量であり、Ωは、振動発生装置2の励振周波数である。角度φVおよびφHは、前方および後方の発生装置シャフトの目下の位相角を垂直線(z軸)対して表している。これらの位相角は、例えば垂直線(z軸)を用いて表すことができる。これらは、例えば各発生装置シャフトにおける近接スイッチによって別々に求めることができる。rsは、発生装置シャフト中心点間間隔の半分の間隔であり、CADデータから読み取るかまたは直接測定することができる。
ezは、振動発生装置シャフト重心と、下側質量体の全体重心との間のZ軸方向における間隔であり、これも同様にCADデータから求めることができる。
【0123】
これらの関係は図7に示されている。
【0124】
2つの発生装置シャフトのXおよびY方向における重心と、接触要素の重心とが一致する場合、発生装置により、X軸およびZ軸に周りに付加的な励振回転モーメントは発生しない。回転モーメント成分MECC,XおよびMECC,Zは、この場合にゼロである。当然のことながら、他のすべてのケースに対しても回転モーメントを同様にアンバランスマスの目下の位置から計算によって求めることができる。
【0125】
以下では、例として、矩形かつ平らな接触要素1の場合に対して、実際接触面積16を近似的に決定する方法を説明する。
【0126】
接触要素のピッチおよびロール運動により、接触はつねに接触要素のコーナないしはエッジからはじまる。
【0127】
図8には概略斜視図で、走行方向がx軸方向を向いている接触要素1が示されている。接触要素1には、直線の境界辺を有する三角形の接触面16が破線で示されている。ここでは外側の境界線は、接触要素1の既知の外径幾何学形状によってすでにわかっている。
【0128】
理想的なケースでは直線でありかつ未知で欠けている内部の境界線(接触辺17)は、ここでは、力の作用点15が、例えば接触面積16を形成する三角形の面積重心にあるという条件から計算される。
【0129】
図9には接触面積16の欠けている内側の辺の構成を、例えば、コーナ18(接触要素1の辺IおよびIIの交点)で始まる接触に対して示している。
【0130】
上記の面積重心(力の作用点15と同じであるとする。したがって上で求めた座標rCが成り立つ)の知識と、2つの直線g1およびg2が面積重心で交わるという条件とから、接触要素1の2つの辺IおよびIIの座標がわかれば、2つの式を有する連立方程式を立てることができ、またこれを解いて、三角形の接触面積16の内側の辺の求めようとする未知の交点(xs1,xs1)および(xs2,xs2)が得ることができる。接触が接触要素1の他のコーナからはじまる場合も同様である。
【0131】
図10には、図9にしたがって計算した複数の交点のうちの1つが実際の幾何学形状を、すなわち、例えば接触要素1の該当する辺を越えて移動する場合が示されている。この場合、内部にある接触辺18の計算を改めて行い、しかもここでは接触面積16が四角形であるという前提の下で行う。
【0132】
ここでも四角形の接触面積16に対して同様に、面積重心の位置(力の作用点15の座標rc)と、幾何学形状の構成とから、接触要素の辺(辺IおよびII)との未知の交点を決定するための連立方程式を立てて、これを解くことできる。
【0133】
図11には、台形をした四角形の面積の面積重心15を幾何学的に求める様子が示されている。
【0134】
図12には、接触面積16の一部分16a(点で示した面積)において回転および並進運動の速度成分が重なることによって速度の分布が発生する場合が示されている。ここでこの部分は、この速度分布で運動して地面から離れる。このような場合、この面積部分は、実際接触面積16を計算する際に、重要度を下げて考慮すべきである。それは、このような面積部分において実質的に地盤接触力は伝えられないか、または極めてわずかだからである。
【0135】
図12において点で示されかつ運動して地盤から離れる面積部分16aと、図12において斜線で示されかつ地面に向かって運動して地盤接触力を伝える面積部分16bとの間には、速度ゼロの線19が延在している。
【0136】
法線方向における接触要素速度がその符号を反転させる速度ゼロの線19が存在することおよびその位置は、接触要素1の重心における並進運動速度および角速度が既知であれば、運動学的な関係式から計算することできる。接触要素1の点(rx,ry)における合成速度に対し、Z方向において純粋な並進運動が行われまたピッチ/ロール運動が重畳される場合に
【数18】
が得られる。
【0137】
この場合、上記の速度をゼロとおくことにより、
【数19】
により、速度ゼロの線19に対し、関連する直線の方程式が得られる。
【0138】
速度ゼロの線19はつねに直線であるため、不利なケースでは、図12に示したように、関連する接触面積(斜線で示した面積16b)に対して五角形が得られる。
【0139】
図12には、コーナ20の近くに速度ゼロの線19が存在する場合に、結果的に得られる接触面積が示されている。差し引くべき三角形面積(点で示した面積部分)の面積重心はわかっているため、点で示した三角形面積16aと、斜線で示した実際接触面積16bとの面積重心を、合成重心として計算することができる。ここから得られる四角形の全体面積(面積部分16aおよび16b)に対し、上記の方法にしたがって、欠けている接触辺17を計算することができる。
【0140】
地盤力学における1次元のE係数(E-Modul)の定義は、
【数20】
であり、ここで地盤は、半径rおよび一定の圧力分布を有する円形の硬いプレートを介して載荷される。Fは、加えられた力を、またsは沈下量を表す。ポワソン数vは、粘着力のない地盤ではほぼ一定であり、また例えば、静的な載荷プレートの評価時にはつねにv=0.212とする。
【0141】
グラジエントΔF/Δsは、すでに上で求められているため、接触面積パラメタαに対して、つぎように定式化することができる(ただしv=0.212)。
【数21】
【0142】
この定義では、上ですでに述べた値γを2.1とおく。これによって有利な結果が得られる。しかしながら、上記のポワソン数vは、地盤の質が変われば変化し得ることが判明している。これに相応して係数γは1.5〜2.7の範囲を取り得る。
【0143】
rhydは、ハイドロリック標準半径であり、また
【数22】
にしたがって、接触面積AC(参照符号16)から計算される。これを求めることについてはすでに上で説明した。
【0144】
動的剛性係数EV,dynVerdichterと、慣用の例えば標準化された測定法によって求められる変形係数とを比較できるようにするため、較正測定を行うかないしは較正テーブルを評価することが可能である。
【0145】
本発明の方法ないしは本発明の方法によって作動される地盤締固め装置、例えばランマまたは振動プレートにより、地盤剛性ないしは地盤の動的変形係数を締固め作業中に決定することができる。この方法は、接触要素が比較的長い飛行フェーズを有しまた回転運動成分が大きいことによって、接触力および接触移動距離の方向がしばしば予測不能に変化する地盤締固め装置に殊に有利である。またこの方法は、種々異なる接触幾何学形状ないしは有効実際接触面積を考慮するのに有利である。この点において、例えば地盤締固めローラに使用されていた従来公知の測定法と大きな違いがある。この従来の測定法では接触面積が、また地盤に対する主要の接触力の方向も実質的に一定であるかないしは事前に良好に予測可能である。
【0146】
しかしながら飛行フェーズが短いないしは飛行フェーズのない地盤締固め装置も、本発明を利用すれば、同様に地盤剛性および動的地盤変形係数を求めることができる。
【0147】
図13には典型的な振動ランマの側方図が示されており、この振動ランマでは発明の方法を使用することができる。
【0148】
接触特性が実質的に同じ状態に止まることを前提とできる機械(振動ローラ)にも、ここで説明した地盤剛性および地盤変形係数決定方法を利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0149】
【図1a】接触要素と、振動発生装置と、加速度センサとを有する振動プレートの概略側方図である。
【図1b】振動発生装置のアンバランスシャフトの概略を示す、図1a)の接触要素の図である。
【図2】図1の接触要素の斜視図である。
【図3】時間について接触力Fcontactおよび振動移動距離sを示す相図である。
【図4】小さな接触面積を有する動作中の接触要素を示す図である。
【図5】大きな接触面積を有する動作中の接触要素を示す図である。
【図6】接触要素における力およびモーメントを略示する図である。
【図7】2シャフト振動発生装置を有する接触要素において幾何学的な関係を示す図である。
【図8】三角形の接触面を有する接触要素の図である。
【図9】図8の接触要素の平面図である。
【図10】四角形の接触面を有する接触要素を示す図である。
【図11】図10の接触要素の平面図である。
【図12】五角形の接触面を有する接触要素の平面図
【図13】地盤締固め装置として使用される振動ランマの概略側方図である。
【図1】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動して衝撃を加えて地盤を締め固める接触要素(1)を有する地盤締固め装置によって地盤特性を決定する方法において、
− 前記の接触要素(1)は、地盤から加えられる接触力Fcontactがかかって接触移動距離scontactだけ進み、
− 前記の地盤特性を動的変形係数EV,dynVerdichterとして、
【数1】
と求め、
− αは、前記の接触要素(1)と地盤との実際接触面積(10)を考慮する接触面積パラメタであり、
− kdynは、前記の地盤の動的剛性でありかつ前記の接触力Fcontactおよび接触移動距離scontactのグラジエントとして形成されることを特徴とする、
地盤締固め装置によって地盤特性を決定する方法。
【請求項2】
前記の接触要素(1)の地盤に対する接触力Fcontactの、計算すべき空間成分FC,i(ただしi=x,y,z)は、
【数2】
で求められ、
− mUは接触要素(1)の質量であり、
−
は、接触要素(1)の重心における並進速度であり、
−
は、相応する加速度であり、
− Φは、y軸周りのピッチ角であり、
− Xは、x軸周りのロール角であり、
−
は、ピッチ、ロールおよびヨー方向(z軸周り)における相応の角速度であり、
− FU,iは、接触要素(1)と、残りの地盤締固め装置との間の切断力であり、
− FECC,iは、接触要素(1)を励振する振動発生装置(2)の励振力であり、
− gは重力加速度である、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
のグループからなる前記の接触要素(1)の求めるべき加速度を、当該の接触要素(1)に設けられる複数の加速度センサ(7)によって測定する、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
ばね装置(4)を介して前記の接触要素(1)に接続される上部質量体(5)に設けられる少なくとも1つのセンサ(6a)により、当該の接触要素(1)の加速度
請求項2に記載の方法。
【請求項5】
− 前記の接触要素(1)に設けられる少なくとも1つのセンサによって角速度
を測定し、
− 前記の角加速度
を1回積分することによって角速度
を求め、
− 前記の角加速度
を2回積分することによって前記の接触要素(1)のピッチ角Φおよびロール角Xを求める、
請求項2から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記の振動発生装置(2)と接触要素との間に設けられる力測定装置によって前記の励振力FECCを測定する、
請求項2から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
− 前記の振動発生装置(2)は、逆回転する同じ大きさの少なくとも2つのアンバランスマス(3)を有しており、該アンバランスマスの位相は互いに調整可能でありかつ回転軸は前記の接触要素(1)のY軸に平行に配向されており、
− 前記の励振力FECCの成分は関係式
FECC,X=EM・Ω2・sin(φPhase/2)・cos(Ω・t)
FECC,Y=0
FECC,Z=EM・Ω2・cos(φPhase/2)・cos(Ω・t)
によって計算され、
ここでEMは、回転するアンバランスマス(3)の結果的に得られる質量であり、Ωは振動発生装置(2)の励振周波数であり、φPhaseは、2つのアンバランスマスの間の位相角である、
請求項2から6までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
− 前記の地盤締固め装置は、振動プレートまたは振動ランマであり、
− 前記の接触力Fcontactを
【数3】
と求め、ここでmUは接触要素(1)の質量であり、
は接触法線方向における接触要素(1)の加速度であり、またFECC,Zは、接触要素(1)に衝撃を加える振動発生装置(2)の励振力である、
請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記の接触要素(1)に設けられる加速度センサ(4)によって、当該の接触要素(1)の加速度
を測定する、
請求項8に記載の方法。
【請求項10】
ばね装置()を介して前記の接触要素(1)に接続される上部質量体(5)に設けられる少なくとも1つのセンサ()により、当該の接触要素(1)の加速度
を測定する、
請求項8に記載の方法。
【請求項11】
− 前記の振動発生装置(2)は、逆回転しかつ同じ大きさの2つのアンバランスマス(3)を有しており、該アンバランスマスの位相はあらかじめ定められているおよび/または互いに調整可能であり、
− 前記の励振力FECCをつぎの式
FECC=EM・Ω2・cos(φPhase/2)・cos(Ω・t)
によって計算し、ここでEMは、回転するアンバランスマス(3)の結果的に得られる質量であり、Ωは振動発生装置(2)の励振周波数であり、φPhaseは、2つのアンバランスマス(3)の間の位相角である、
請求項1から10までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
− 力の作用点P(15)におけるz方向の加速度aP,z
【数4】
を求め、
− 当該の加速度aP,zを2回積分することによって接触移動距離scontactを計算することによって、前記の接触移動距離scontactを求める、
請求項1から11までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
相異なる時点毎に、接触力Fcontactと、対応する接触移動距離scontactとからなる1つずつの測定点対を形成する、
請求項1から12までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記の接触要素(1)が地盤に次第に増大する力で押し付けられる載荷フェーズ中に前記の測定点対に対して、それぞれグラジエントdFcontact/dscontactを形成する、
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記の測定点対毎に生じるグラジエントを統計的手法によって平均化し、
これによって得られた平均値を前記の動的剛性kdynとする、
請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
− 前記の接触力Fcontactおよび接触移動距離scontactに対し、時間tに依存する相図を形成し、
− 前記の接触要素(1)が次第に増大する力で地盤に押し付けられる載荷フェーズを表す前記の位相線図の部分に対して、前記の動的剛性kdynを表す平均グラジエントdFcontact/dscontactを形成する、
請求項1から15までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記の接触力Fcontactの力の作用点(15)の結果的に得られる位置に基づき、前記接触面積パラメタαを決定する、
請求項1から16までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記の接触面積パラメタαを決定するため、前記の接触要素(1)と地盤との実際接触面積(12)の面積重心を決定し、
ここで当該の面積重心を前記の接触力Fcontactの力の作用点(15)から求める、
請求項1から17までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記の力の作用点(15)は、接触要素(1)の底面の面積重心には依存せず、かつ当該の面積重心と一致する必要はない、
請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記の接触面積パラメタαを
【数5】
によって決定し、ここでγは、1.5〜2.7の範囲の値、殊に値2.1であり、
rhydは、ハイドロリック標準半径でありかつ
【数6】
にしたがって前記の接触要素(1)と地盤との実際に有効な接触面積Acから計算される、
請求項1から19までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記の有効な接触面積Acを決定するため、接触面積幾何学形状の一部分、例えば、当該の接触面積幾何学形状の外側の境界辺の一部分が既知であり、
前記の接触面積Acの欠けている部分を面積重心の知識から計算する、
請求項20に記載の方法。
【請求項22】
− 地盤の接触時に前記の接触要素(1)の運動を測定センサ(7)によって検出し、
− 当該の測定センサ(7)によって求めた情報ならびに接触力Fcontactに基づいて、接触要素(1)の底面内にある実際接触面積(10)の位置および大きさおよび/または力の作用点(15)を決定する、
請求項18から21までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記の接触力Fcontactの力の作用点(15)を決定するため、
− 当該の接触力Fcontactによって発生しかつ地盤締固め装置の走行方向に対して横方向を向いたピッチ軸(8)に対する前記接触要素(1)のピッチ角速度と、
− 走行方向に延在するロール軸(9)に対する前記接触要素(1)のロール加速度とを前記の測定センサ(7)によって決定する、
請求項18から22までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記の接触要素(1)の接触力Fcontactの方向における並進運動を前記測定センサ(4,5)によって決定する、
請求項1から23までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記の測定センサ(7)によって測定した接触要素(1)の運動と、前記のピッチ軸(8)およびロール軸(9)周りの角運動量保存則の評価とに基づいて、前記の接触力Fcontactによって生じるピッチ軸(8)およびロール軸(9)の周りの接触回転モーメントを決定する、
請求項23または24に記載の方法。
【請求項26】
前記の接触回転モーメントと、すでに求めた結果的に生じる接触力Fcontactとに基づき、前記のピッチ軸(8)およびロール軸(9)に関してレバアームを決定し、ひいては前記の接触力Fcontactの力の作用点(15)を決定する、
請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記の接触力Fcontactの力の作用点(15)の位置に基づき、前記の接触面積(12)の面積重心の位置を決定する、
請求項1から26までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記の面積重心または力の作用点(15)の位置と、あらかじめ定めた関係とに基づき、前記の接触面積パラメタαを決定する、
請求項1から27までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
− 駆動装置によって駆動される振動発生装置(2)と、
− 当該の振動発生装置(2)によって衝撃が加えられて地盤を締め固める接触要素(1)と、
− 当該の接触要素(1)の運動特性を検出する少なくとも1つの測定センサ(6,7)を有しかつ地盤特性を決定する測定システムとを有する地盤締固め装置において、
前記の測定システムは、請求項1から27までのいずれか1項に記載の方法にしたがって作動されることを特徴とする、
地盤締固め装置。
【請求項30】
前記の地盤締固め装置は、振動プレートまたは振動ランマである、
請求項29に記載の地盤締固め装置。
【請求項1】
振動して衝撃を加えて地盤を締め固める接触要素(1)を有する地盤締固め装置によって地盤特性を決定する方法において、
− 前記の接触要素(1)は、地盤から加えられる接触力Fcontactがかかって接触移動距離scontactだけ進み、
− 前記の地盤特性を動的変形係数EV,dynVerdichterとして、
【数1】
と求め、
− αは、前記の接触要素(1)と地盤との実際接触面積(10)を考慮する接触面積パラメタであり、
− kdynは、前記の地盤の動的剛性でありかつ前記の接触力Fcontactおよび接触移動距離scontactのグラジエントとして形成されることを特徴とする、
地盤締固め装置によって地盤特性を決定する方法。
【請求項2】
前記の接触要素(1)の地盤に対する接触力Fcontactの、計算すべき空間成分FC,i(ただしi=x,y,z)は、
【数2】
で求められ、
− mUは接触要素(1)の質量であり、
−
は、接触要素(1)の重心における並進速度であり、
−
は、相応する加速度であり、
− Φは、y軸周りのピッチ角であり、
− Xは、x軸周りのロール角であり、
−
は、ピッチ、ロールおよびヨー方向(z軸周り)における相応の角速度であり、
− FU,iは、接触要素(1)と、残りの地盤締固め装置との間の切断力であり、
− FECC,iは、接触要素(1)を励振する振動発生装置(2)の励振力であり、
− gは重力加速度である、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
のグループからなる前記の接触要素(1)の求めるべき加速度を、当該の接触要素(1)に設けられる複数の加速度センサ(7)によって測定する、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
ばね装置(4)を介して前記の接触要素(1)に接続される上部質量体(5)に設けられる少なくとも1つのセンサ(6a)により、当該の接触要素(1)の加速度
請求項2に記載の方法。
【請求項5】
− 前記の接触要素(1)に設けられる少なくとも1つのセンサによって角速度
を測定し、
− 前記の角加速度
を1回積分することによって角速度
を求め、
− 前記の角加速度
を2回積分することによって前記の接触要素(1)のピッチ角Φおよびロール角Xを求める、
請求項2から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記の振動発生装置(2)と接触要素との間に設けられる力測定装置によって前記の励振力FECCを測定する、
請求項2から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
− 前記の振動発生装置(2)は、逆回転する同じ大きさの少なくとも2つのアンバランスマス(3)を有しており、該アンバランスマスの位相は互いに調整可能でありかつ回転軸は前記の接触要素(1)のY軸に平行に配向されており、
− 前記の励振力FECCの成分は関係式
FECC,X=EM・Ω2・sin(φPhase/2)・cos(Ω・t)
FECC,Y=0
FECC,Z=EM・Ω2・cos(φPhase/2)・cos(Ω・t)
によって計算され、
ここでEMは、回転するアンバランスマス(3)の結果的に得られる質量であり、Ωは振動発生装置(2)の励振周波数であり、φPhaseは、2つのアンバランスマスの間の位相角である、
請求項2から6までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
− 前記の地盤締固め装置は、振動プレートまたは振動ランマであり、
− 前記の接触力Fcontactを
【数3】
と求め、ここでmUは接触要素(1)の質量であり、
は接触法線方向における接触要素(1)の加速度であり、またFECC,Zは、接触要素(1)に衝撃を加える振動発生装置(2)の励振力である、
請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記の接触要素(1)に設けられる加速度センサ(4)によって、当該の接触要素(1)の加速度
を測定する、
請求項8に記載の方法。
【請求項10】
ばね装置()を介して前記の接触要素(1)に接続される上部質量体(5)に設けられる少なくとも1つのセンサ()により、当該の接触要素(1)の加速度
を測定する、
請求項8に記載の方法。
【請求項11】
− 前記の振動発生装置(2)は、逆回転しかつ同じ大きさの2つのアンバランスマス(3)を有しており、該アンバランスマスの位相はあらかじめ定められているおよび/または互いに調整可能であり、
− 前記の励振力FECCをつぎの式
FECC=EM・Ω2・cos(φPhase/2)・cos(Ω・t)
によって計算し、ここでEMは、回転するアンバランスマス(3)の結果的に得られる質量であり、Ωは振動発生装置(2)の励振周波数であり、φPhaseは、2つのアンバランスマス(3)の間の位相角である、
請求項1から10までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
− 力の作用点P(15)におけるz方向の加速度aP,z
【数4】
を求め、
− 当該の加速度aP,zを2回積分することによって接触移動距離scontactを計算することによって、前記の接触移動距離scontactを求める、
請求項1から11までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
相異なる時点毎に、接触力Fcontactと、対応する接触移動距離scontactとからなる1つずつの測定点対を形成する、
請求項1から12までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記の接触要素(1)が地盤に次第に増大する力で押し付けられる載荷フェーズ中に前記の測定点対に対して、それぞれグラジエントdFcontact/dscontactを形成する、
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記の測定点対毎に生じるグラジエントを統計的手法によって平均化し、
これによって得られた平均値を前記の動的剛性kdynとする、
請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
− 前記の接触力Fcontactおよび接触移動距離scontactに対し、時間tに依存する相図を形成し、
− 前記の接触要素(1)が次第に増大する力で地盤に押し付けられる載荷フェーズを表す前記の位相線図の部分に対して、前記の動的剛性kdynを表す平均グラジエントdFcontact/dscontactを形成する、
請求項1から15までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記の接触力Fcontactの力の作用点(15)の結果的に得られる位置に基づき、前記接触面積パラメタαを決定する、
請求項1から16までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記の接触面積パラメタαを決定するため、前記の接触要素(1)と地盤との実際接触面積(12)の面積重心を決定し、
ここで当該の面積重心を前記の接触力Fcontactの力の作用点(15)から求める、
請求項1から17までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記の力の作用点(15)は、接触要素(1)の底面の面積重心には依存せず、かつ当該の面積重心と一致する必要はない、
請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記の接触面積パラメタαを
【数5】
によって決定し、ここでγは、1.5〜2.7の範囲の値、殊に値2.1であり、
rhydは、ハイドロリック標準半径でありかつ
【数6】
にしたがって前記の接触要素(1)と地盤との実際に有効な接触面積Acから計算される、
請求項1から19までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記の有効な接触面積Acを決定するため、接触面積幾何学形状の一部分、例えば、当該の接触面積幾何学形状の外側の境界辺の一部分が既知であり、
前記の接触面積Acの欠けている部分を面積重心の知識から計算する、
請求項20に記載の方法。
【請求項22】
− 地盤の接触時に前記の接触要素(1)の運動を測定センサ(7)によって検出し、
− 当該の測定センサ(7)によって求めた情報ならびに接触力Fcontactに基づいて、接触要素(1)の底面内にある実際接触面積(10)の位置および大きさおよび/または力の作用点(15)を決定する、
請求項18から21までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記の接触力Fcontactの力の作用点(15)を決定するため、
− 当該の接触力Fcontactによって発生しかつ地盤締固め装置の走行方向に対して横方向を向いたピッチ軸(8)に対する前記接触要素(1)のピッチ角速度と、
− 走行方向に延在するロール軸(9)に対する前記接触要素(1)のロール加速度とを前記の測定センサ(7)によって決定する、
請求項18から22までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記の接触要素(1)の接触力Fcontactの方向における並進運動を前記測定センサ(4,5)によって決定する、
請求項1から23までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記の測定センサ(7)によって測定した接触要素(1)の運動と、前記のピッチ軸(8)およびロール軸(9)周りの角運動量保存則の評価とに基づいて、前記の接触力Fcontactによって生じるピッチ軸(8)およびロール軸(9)の周りの接触回転モーメントを決定する、
請求項23または24に記載の方法。
【請求項26】
前記の接触回転モーメントと、すでに求めた結果的に生じる接触力Fcontactとに基づき、前記のピッチ軸(8)およびロール軸(9)に関してレバアームを決定し、ひいては前記の接触力Fcontactの力の作用点(15)を決定する、
請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記の接触力Fcontactの力の作用点(15)の位置に基づき、前記の接触面積(12)の面積重心の位置を決定する、
請求項1から26までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記の面積重心または力の作用点(15)の位置と、あらかじめ定めた関係とに基づき、前記の接触面積パラメタαを決定する、
請求項1から27までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
− 駆動装置によって駆動される振動発生装置(2)と、
− 当該の振動発生装置(2)によって衝撃が加えられて地盤を締め固める接触要素(1)と、
− 当該の接触要素(1)の運動特性を検出する少なくとも1つの測定センサ(6,7)を有しかつ地盤特性を決定する測定システムとを有する地盤締固め装置において、
前記の測定システムは、請求項1から27までのいずれか1項に記載の方法にしたがって作動されることを特徴とする、
地盤締固め装置。
【請求項30】
前記の地盤締固め装置は、振動プレートまたは振動ランマである、
請求項29に記載の地盤締固め装置。
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2009−527664(P2009−527664A)
【公表日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−555682(P2008−555682)
【出願日】平成19年2月19日(2007.2.19)
【国際出願番号】PCT/EP2007/001419
【国際公開番号】WO2007/096118
【国際公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【出願人】(503048268)ワッカー ノイソン ソシエタス ヨーロピア (27)
【氏名又は名称原語表記】Wacker Neuson SE
【住所又は居所原語表記】Preussenstrasse 41, D−80809 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年2月19日(2007.2.19)
【国際出願番号】PCT/EP2007/001419
【国際公開番号】WO2007/096118
【国際公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【出願人】(503048268)ワッカー ノイソン ソシエタス ヨーロピア (27)
【氏名又は名称原語表記】Wacker Neuson SE
【住所又は居所原語表記】Preussenstrasse 41, D−80809 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】
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