説明

締結具隠蔽用キャップ及び携帯用電子機器

【課題】
滑り止め機能を有し、且つ部品点数、製造工程数が低減された携帯用電子機器を提供することを目的とする。
【解決手段】
本発明に係る締結具隠蔽用キャップ205は、携帯用電子機器の筐体202を固定する締結具204を隠蔽するための締結具隠蔽用キャップ205であって、複数の締結具204を夫々隠蔽する複数のキャップ部205aと、複数のキャップ部205aを連結し、少なくともその一部に滑り止め機能を備える連結部205rとを有し、複数のキャップ部205aが複数の締結具204を夫々隠蔽する状態において、連結部205rは筐体202表面上に配置されるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は携帯用電子機器に使用される締結具隠蔽用キャップ及び携帯用電子機器に関し、特に携帯用電子機器の筐体表面よりも突出し滑り止めとして機能する締結具隠蔽用キャップに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、螺子等の締結具が設けられた機器の外観を向上させるために、当該締結具をキャップで隠蔽する手法が用いられている。例えば携帯電話機においては製品の外観を向上させるためにキャップ実装構造が適用されており、図5に示すようにフロントケース2にリアカバー1を被せ、両者を螺子穴の設けられた凹部1aにおいて螺子4で固定した後に、凹部1aにキャップ3を圧入する。これにより、凹部1aそのものや凹部1aの底面に配置されている螺子穴及びこれに螺合された螺子を隠蔽することができる。以下、締結具を隠蔽することを目的としたキャップを締結具隠蔽用キャップと称する。
【0003】
図6は従来のキャップ実装構造を示す断面図である。キャップ3は凹部1aの直径よりも大きく形成されており、凹部1a内に圧入された際には部分的に変形し、一部が内壁面に密着する。キャップ3が凹部1aへ圧入されることにより、凹部1a及び螺子4が隠蔽されて外部から見えなくなるため、締結具隠蔽部材としての用途を果たし、美観が向上する。
【0004】
他方、携帯用電子機器に衝撃吸収部材を設けるアイデアが提案されている。例えば特許文献1には、携帯用電子機器の筐体表面にクッション材を設けることによって、落下による衝撃を吸収するアイデアが開示されている。また、特許文献2には、折り畳み式の携帯用電子機器において、折り畳み時の対向面に傷が付くことを防ぐため、対向面間に間隔を持たせるための部材を設けるアイデアが開示されている。
【特許文献1】特開平8−37382号広報
【特許文献2】特開2004−328186号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
携帯電話機のような携帯用電子機器においては、当該携帯用電子機器を構成する筐体の、裏面のほとんどが平坦なプラスチック面である。そのため、例えば自動車を運転中にカーブを曲がる際や右左折の際及びブレーキングの際、ダッシュボード上に置いていた携帯電話機が慣性によりダッシュボード上を移動し、落下してしまうことがある。このような問題を解決する方法としては、市販されている車載用ホルダーを取り付けるか、滑り止め防止用のシートをダッシュボードに貼り付ける等の措置が取られてきたが、いずれにしても新たな部品の取り付けが必要であり、携帯電話機単体でこのような問題を解決することができなかった。
【0006】
また、近年、携帯電話機は小型化及び軽量化が進んでおり、さらに低価格化の競争も激化している。このため製品を生産する側においても開発費及び部品コストの低減や、生産量の増加による生産コストの低減を図る必要がある。生産量の増加は、例えば製造工程数の低減により図ることが可能である。このような状況下において、従来の締結具隠蔽用キャップは、小さなキャップ部品を複数ある締結具に1つずつ被せる若しくは貼り付ける等していたために、製造所要時間の短縮化に課題があり、コストの低減に関しては効果的ではなかった。
【0007】
本発明はこのような問題を解決するためになされたものであり、滑り止め機能を有し、且つ部品点数、製造工程数が低減された携帯用電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る締結具隠蔽用キャップは、携帯用電子機器の筐体を固定する締結具(例えば、本発明の実施の形態における螺子204)を隠蔽するための締結具隠蔽用キャップであって、複数の前記締結具を夫々隠蔽する複数のキャップ部と、前記複数のキャップ部を連結し、少なくともその一部に滑り止め機能を備える連結部(例えば、本発明の実施の形態における滑り止め部205r)とを有し、前記複数のキャップ部が前記複数の締結具を夫々隠蔽する状態において、前記連結部は前記筐体表面上に配置されるものである。これにより、滑り止め機能を有し、且つ部品点数製造工程数が低減された携帯用電子機器を提供することができる。
【0009】
ここで、前記連結部が前記筐体上に配置された状態において、当該連結部の、前記筐体表面側の面と反対側の角部はアールを有することが好ましい。これにより、滑り止め機能が更に向上する。
【0010】
また、前記締結具は前記筐体に設けられた凹部底面において当該筐体を固定し、前記キャップ部は当該凹部に挿入されることが好ましい。これにより、締結具を隠蔽することが容易となる。
【0011】
更に、前記締結具隠蔽用キャップにおいて前記キャップ部が連結される間隔は、当該キャップ部が覆う前記締結具の間隔と略等しいことが好ましい。これにより、連結部が筐体表面に好適に配置される。
【0012】
更にまた、前記連結部は長寸部材であることが好ましい。これにより、滑り止め機能が更に向上する。
【0013】
具体的な態様としては、一の前記連結部が連結する前記キャップ部は二つであって、前記キャップ部は前記連結部の両端に設けられ、前記キャップ部は前記筐体表面において隣り合う前記締結具を夫々覆う。
【0014】
より好適には、前記連結部は弾性部材により構成される。これにより、素材自体が滑り止め機能を有し、連結部に凹凸等の特殊な形状を設ける必要がない。
【0015】
他方、本発明に係る携帯用電子機器は、筐体を固定する締結具と、当該締結具を隠蔽する締結具隠蔽用キャップとを有する携帯用電子機器であって、前記締結具隠蔽用キャップは、少なくとも2以上の前記締結具を夫々隠蔽する複数のキャップ部と、前記複数のキャップ部を連結し少なくともその一部に滑り止め機能を備える連結部とを有し、前記複数のキャップ部が前記複数の締結具を夫々隠蔽する状態において、前記連結部は前記筐体表面上に配置されるものである。これにより、滑り止め機能を有し、且つ部品点数、製造工程数が低減された携帯用電子機器を提供することができる。
【0016】
ここで、前記筐体は表面に複数の凹部を有し、前記締結具は当該凹部底面において当該筐体を固定し、前記キャップ部は当該凹部に挿入されることが好ましい。これにより、締結具を隠蔽することが容易となる。
【0017】
また、前記筐体表面において前記連結部が配置される部位は、前記複数の凹部のうち少なくとも二つを連結し、前記凹部よりも浅い凹状の溝部であることが好ましい。これにより、締結具隠蔽用キャップをより好適に筐体表面に固定することができる。
【0018】
更に、前記筐体表面に対する前記溝部の平面形状と前記連結部の平面形状とは略一致し、前記溝部部と前記凹部との位置関係は前記連結部と前記キャップ部との位置関係と略等しいことが好ましい。これにより、締結具隠蔽用キャップをより好適に筐体表面上に配置し、固定することができる。
【0019】
更にまた、前記凹部が設けられた面以外の面に表示部を有することが好ましい。これにより、締結具隠蔽用キャップが設けられた面を載置メントする必然性ができる。
【0020】
より好適には、前記連結部は前記筐体の表面よりも突出する。これにより、連結部が確実に載置面に当接し、滑り止め効果を奏することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明により、滑り止め機能を有し、且つ部品点数、製造工程数が低減された携帯用電子機器を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明に係る締結具隠蔽用キャップについて、図面を参照して説明する。本実施例においては、携帯用電子機器として折り畳み式の携帯電話機の例を説明する。また、締結具の例として螺子を用いる。本実施例における携帯電話機は液晶表示パネルを有する表示側筐体100と操作ボタンが配置される操作側筐体200とを有し、表示面と操作ボタンが配置される面とが対向するように折り畳まれる。
【0023】
図1は本発明に係る締結具隠蔽用キャップを有する携帯電話機の閉状態における斜視図であり、操作側筐体200の背面が示されている。また、図1においては一部が分解されて示されている。図1に示すように、操作側筐体200はフロントケース201、リアカバー202、リアカバー202の4つ角に設けられる凹部203a〜d、溝部203r、s、凹部203a〜dに挿入される螺子204及び滑り止めキャップ205を有する。本実施形態においては、滑り止めキャップ205が締結具隠蔽用キャップとしての機能を有する。図2は、図1に示す凹部203a、b若しくは凹部203c、dを通り、リアカバー202に垂直な面における操作側筐体200の断面図である。
【0024】
フロントケース201及びリアカバー202は共に操作側筐体200を構成する筐体であり、内部には当該携帯電話機の回路基板208等が収納されている。フロントケース201側に操作ボタンが配置される。リアカバー202には、その4つ角近傍にそれぞれ凹部203a〜dが設けられている。凹部203a〜dはその底部に貫通穴206を有する。貫通穴206の口径は少なくとも凹部203a〜dの口径よりも小さい。また、フロントケース201は、凹部203a〜dに設けられた貫通穴206にそれぞれ対応する位置に、螺子受け207を有する。
【0025】
螺子204は螺子頭204aと軸部204bからなり、螺子頭204aは凹部203a〜dよりも小さく、貫通穴206よりも大きい。また、螺子204が有する軸部204bの口径は貫通穴206の口径よりも小さく、螺子受け207に螺合する大きさである。軸部204bが貫通穴206を通って螺子受け207に螺合することにより、図2に示すように凹部203a〜dにおいてフロントケース201とリアカバー202とを固定することが可能となる。また、軸部204bが貫通穴206を通って螺子受け207に螺合される際、回路基板208を同時に貫通すると良い。これにより、回路基板208を同時に固定することができる。
【0026】
凹部203aと凹部203bとは溝部203rで連結されており、同様に凹部203cと凹部203dとは溝部203sで連結されている。溝部203r、sはリアカバー202の表面よりも1段下がっており、凹部203a〜dよりも浅い。凹部203a、b及び溝部203r、又は、凹部203c、d及び溝部203sで1つの凹部203を構成する。
【0027】
滑り止めキャップ205には弾性があり摩擦係数の大きい材質を用いるのが好ましく、例えばジエン系ゴム(例えば、スチレンブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム及びクロロプレンゴム等)、オレフィン系ゴム(例えば、エチレンプロピレンゴム及びブチルゴム等)、アクリルゴム及びシリコーンゴム等が使用可能である。滑り止めキャップ205は凹部203に対応した形状をしており、2つのキャップ部205a及び滑り止め部205rを有する。滑り止め部205rは溝部203r、sと略同様の長さを有し、当該滑り止め部205rの両端にキャップ部205aが設けられる。即ち、凹部203aと凹部203b又は凹部203cと凹部203dの間隔は、一の滑り止めキャップ205に設けられるキャップ部205aの間隔と略等しい。
【0028】
滑り止めキャップ205が凹部203に挿入される際には、両端のキャップ部205aが夫々凹部203a、b又は凹部203c、dに挿入され、滑り止め部205rが溝部203r又は溝部203s上に位置する。これにより、凹部203a〜d及び螺子204を隠蔽することができ、外観上の美観を向上することができる。
【0029】
従来であれば、凹部203a〜dに対して夫々螺子204を隠蔽する部材が必要であった。そのため、凹部203a〜dに対して合計で4つの隠蔽部材が必要であり、隠蔽部材を挿入する製造工程数も4工程となっていた。しかしながら、本実施形態における滑り止めキャップ205は凹部203a及び凹部203b又は凹部203c及び凹部203dを夫々2つずつ隠蔽するため、図1に示すように部材数は2つである。従って、滑り止めキャップ205を凹部203に挿入する製造工程数は2工程となり、部品点数及び製造工程数の削減を図ることができる。
【0030】
上記の通り、滑り止めキャップ205は弾性を有する部材であることが好ましいが、同時に一定以上の剛性も求められる。滑り止めキャップ205の剛性が低すぎる場合、製造工程において滑り止めキャップ205を凹部203に挿入する際、複数設けられているキャップ部205aを夫々別々に凹部203a〜dに挿入しなければならず、製造工程数の削減が図れないからである。滑り止めキャップ205が一定以上の剛性を有すれば、滑り止めキャップ205全体に一様に力を加えることができ、凹部203へ1工程で挿入することができる。
【0031】
キャップ部205aの厚さは溝部203r、sの深さよりも厚く、キャップ部205aの口径は少なくとも凹部203a〜dの口径以上である。従って、キャップ部205aはその弾性により凹部203a〜dに圧入され、固定される。更に好適には、滑り止め部205rが溝部203r又は溝部203sに粘着材などで接着される。これにより、滑り止めキャップ205を凹部203に固定する際に、凹部203a〜dのみでなく溝部203r、sにおいても固定されるため、滑り止めキャップ205の凹部203からのずれ及び剥離を抑制することができる。
【0032】
また、滑り止め部205rの厚さは溝部203r、sの深さよりも厚い。従って、図2に示すように、滑り止め部205rはリアカバー202表面よりも突出する。当該携帯電話機の非使用時においては、リアカバー202側を下面にして置く。こうすることにより、当該携帯電話機は滑り止め部205rの突出部において載置面と当接し、当該突出部が滑り止めの役割を果たす。これにより、例えば当該携帯電話機をダッシュボード上に置いて自動車を運転する場合において、カーブや右左折時の慣性で当該携帯電話機がダッシュボード上を移動し落下してしまうことを抑制することができる。
【0033】
更に、滑り止め部205rにおける溝部203r、sと接する側は平面であると良い。これにより、滑り止め部205rは溝部203r、sに対して好適に固定される。また、滑り止め部205rにおいてリアカバー202表面よりも突出する側はアールを有する曲面であると良い。これにより、滑り止め効果をより向上することができる。従って、滑り止め部205rは長寸部材であり、更には棒状乃至帯状であることが好ましい。
【0034】
更に、当該携帯電話機が載置面上を移動した場合でも、滑り止め部205rによるリアカバー202と載置面とのクリアランスにより、リアカバー202表面は載置面とは接触しないため、リアカバー202表面における摩擦による傷の発生を抑制することができる。
【0035】
尚、非使用時に携帯電話機を放置する場合、表示面が上向きになるように置くことが考えられる。本実施形態のように表示側筐体100ではなく操作側筐体200に滑り止めキャップ205を形成することにより、当該携帯電話機を放置する際には滑り止めキャップ205が下向きになる必然性が生まれる。但し、滑り止めキャップ205を表示面が設けられた面に形成しても良い。これにより、表示面を下向きにして放置した場合は、表示面と載置面との間に隙間ができ、表示面の破損を抑制することができる。
【0036】
この様に、単一の部品に複数の役割を持たせることによって、部品点数及び製造工程数の低減を図りながらも新しい機能を持たせることができる。本実施形態においては、締結具隠蔽用キャップを複数個連結することにより部品点数を低減し、以って製造工程数の低減を図っている。更に、螺子キャップを連結する連結部を弾性及び摩擦係数の高い部材で形成し、筐体表面よりも突出させることによって滑り止め効果及び衝撃吸収効果を持たせている。
【0037】
以上説明したように、本発明に係る締結具隠蔽用キャップにより、携帯用電子機器の滑り止め及び部品点数の削減を同時に可能とする携帯用電子機器を提供することができる。
【0038】
尚、本実施形態においては、凹部203a及び凹部203b又は凹部203c及び凹部203dを夫々溝部203r又は溝部203sで連結しているが、図3に示すように凹部203a及び凹部203c又は凹部203b及び凹部203dを夫々溝部203t又は溝部203uで連結し、滑り止め部205sを当該溝部203t、uに一致する形状としてもよい。この場合、リアカバー202表面の寸法は横方向よりも縦方向の方が長いので、滑り止め部205sは滑り止め部205rよりも長くなる。従って、滑り止め部の表面積が広くなり、滑り止め効果をより向上することができる。
【0039】
更に、凹部203a〜dをすべて溝部で連結して四角形状に溝部を形成しても良い。これに対応した四角形状に形成した滑り止め部の角部にキャップ部205aを形成し、凹部203a〜d夫々にキャップ部205aを挿入することによって、図1に示す滑り止め部205rと図3に示す滑り止め部205sとの両方を有する滑り止めキャップ205を形成することができ、更に滑り止め効果を向上することができる。
【0040】
更に、図4に示すように、凹部a〜dをX字型の溝部203xで連結し、当該溝部203xと略同一形状の滑り止め部205xの4つの端部夫々にキャップ部205aを設けても良い。滑り止め部205xの表面積は滑り止め部205r又は205sの2つ分よりも更に広くなり、リアカバー202表面の全体に亘って滑り止め部205xが形成されるため、更に滑り止め効果を向上することができる。また、この場合、滑り止めキャップ205として用いる部材は1つでよいため、部品点数を更に削減し、製造工程数の低減を図ることができる。
【0041】
更にまた、本実施形態においては凹部203a〜dは溝部203r、sまたは溝部203t、u若しくは溝部203xによって連結されているが、これらの溝部を設けずに滑り止めキャップ205を固定しても、滑り止め部205r又は205s若しくは205xがリアカバー202表面上に配置されていれば同様の効果を得ることができる。但しこの場合は滑り止め部205r、205s若しくは205xは、粘着テープ等でリアカバー202に固定されるのが好ましい。
【0042】
他方、本実施例においては、フロントケース201とリアカバー202との固定は凹部203a〜dの4点で行われているが、これに限定されるものではない。フロントケース201とリアカバー202とが確実に固定されれば、固定箇所は3点以下でも5点以上でも良い。この場合においても、固定箇所となる凹部に設けられる締結具隠蔽用キャップを複数連結することにより、上記に示した効果と同様の効果を奏することができる。
【0043】
更に、凹部203a〜d及び/又は溝部203r、sを設けずにフロントケース201とリアカバー202とを螺子204で固定しても良い。この場合、螺子頭204aがリアカバー202上に突出することとなるため、キャップ部205aに凹部を設け、当該凹部に螺子頭204aを挿入することによって本実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0044】
本実施形態においては、滑り止めキャップ205は複数のキャップ部205a及び滑り止め部205rを有する一の部材として形成されるが、これに限定されるものではない。キャップ部205aと滑り止め部205rとは別の部材であり、滑り止め部205rによってキャップ部205aが連結されていれば特に限定されない。また、滑り止め部205rはそれ全体が滑り止め機能を有する必要がなく、一部に滑り止め機能を有すれば良い。即ち、滑り止め部205rがリアカバー202表面上に配置された状態において、リアカバー202を下向きにして当該携帯電話機を放置した場合に、載置面に滑り止め機能が存在すれば良い。
【0045】
更に、本実施形態においては、滑り止めキャップ205の材料は上記したような弾性を有する部材としたが、例えば金属やプラスチック等の弾性の比較的低い材料でも可能である。この場合、当該滑り止めキャップ205における凹部203に挿入される側の形状は、凹部203に対応する形状若しくは凹部203に嵌合する形状である。また、滑り止めキャップ205のリアカバー202表面から突出する側に凹凸を設けることにより、金属やプラスチック等の材料でも滑り止め効果を持たせることが可能である。この場合、弾性を有する部材で形成するよりも必然的に剛性の高い部材となるため、滑り止めキャップ205を凹部203に挿入する工程を1工程とすることが容易になる。
【0046】
本実施形態においては螺子204及び螺子受け207を締結具の例として用いたが、これに限定されるものではない。螺子204及び螺子受け207のように螺合ではなく、例えば嵌合や係止によって固定する固定部材等でも同様の効果を奏することができる。
【0047】
本実施形態においては、携帯用電子機器として携帯電話機を例に説明したが、ノート型パソコン、携帯用オーディオプレーヤ及びPDA等、あらゆる携帯用電子機器に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施の形態に係る締結具隠蔽用キャップを含む携帯電話機の一部分解斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る締結具隠蔽用キャップを含む携帯電話機の断面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る締結具隠蔽用キャップを含む携帯電話機の一部分解斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る締結具隠蔽用キャップを含む携帯電話機の一部分解斜視図である。
【図5】従来技術に係る締結具隠蔽用キャップを含む携帯電話機の一部分解斜視図である。
【図6】従来技術に係る締結具隠蔽用キャップを含む携帯電話機の断面図である。
【符号の説明】
【0049】
1 リアカバー、1a 凹部、2 フロントケース、3 キャップ、4 螺子、
100 表示側筐体、200 操作側筐体、201 フロントケース、
202 リアカバー、203a、203b、203c、203d 凹部、203 凹部、
203r、203s、203t、203u、203x 溝部、204 螺子、
205 キャップ、205a キャップ部、
205r、205s、205x 滑り止め部、206 貫通穴、207 螺子受け、
208 回路基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯用電子機器の筐体を少なくとも二箇所以上で固定する複数の締結具を隠蔽するための締結具隠蔽用キャップであって、
複数の前記締結具を夫々隠蔽する複数のキャップ部と、
前記複数のキャップ部を連結し、少なくともその一部に滑り止め機能を備える連結部とを有し、
前記複数のキャップ部が前記複数の締結具を夫々隠蔽する状態において、前記連結部は前記筐体表面上に配置される締結具隠蔽用キャップ。
【請求項2】
前記連結部が前記筐体上に配置された状態において、当該連結部の、前記筐体表面側の面と反対側の角部はアールを有することを特徴とする請求項1に記載の締結具隠蔽用キャップ。
【請求項3】
前記締結具は前記筐体に設けられた凹部底面において当該筐体を固定し、前記キャップ部は当該凹部に挿入されることを特徴とする請求項1又は2に記載の締結具隠蔽用キャップ。
【請求項4】
前記締結具隠蔽用キャップにおいて前記キャップ部が連結される間隔は、当該キャップ部が夫々覆う前記複数の締結具の間隔と略等しいことを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載の締結具隠蔽用キャップ。
【請求項5】
前記連結部は長寸部材であることを特徴とする請求項1乃至4いずれかに記載の締結具隠蔽用キャップ。
【請求項6】
一の前記連結部が連結する前記キャップ部は二つであって、前記キャップ部は前記締結具隠蔽用キャップの両端に設けられ、
前記キャップ部は前記筐体表面において隣り合う前記締結具を夫々覆うことを特徴とする請求項5に記載の締結具隠蔽用キャップ。
【請求項7】
前記連結部は弾性部材により構成されていることを特徴とする請求項1乃至6いずれかに記載の締結具隠蔽用キャップ。
【請求項8】
筐体を少なくとも二箇所以上で固定する複数の締結具と、
当該締結具を隠蔽する締結具隠蔽用キャップとを有する携帯用電子機器であって、
前記締結具隠蔽用キャップは、前記複数の締結具を夫々隠蔽する複数のキャップ部と、
前記複数のキャップ部を連結し、少なくともその一部に滑り止め機能を備える連結部とを有し、
前記複数のキャップ部が前記複数の締結具を夫々隠蔽する状態において、前記連結部は前記筐体表面上に配置される携帯用電子機器。
【請求項9】
前記筐体は表面に複数の凹部を有し、前記締結具は当該凹部底面において当該筐体を固定し、前記キャップ部は当該凹部に挿入されることを特徴とする請求項8に記載の携帯用電子機器。
【請求項10】
前記筐体表面において前記連結部が配置される部位は、前記複数の凹部のうち少なくとも二つを連結し、前記凹部よりも浅い凹状の溝部であることを特徴とする請求項9に記載の携帯用電子機器。
【請求項11】
前記筐体表面に対する前記溝部の平面形状と前記連結部の平面形状とは略一致し、前記溝部と前記凹部との位置関係は前記連結部と前記キャップ部との位置関係と略等しいことを特徴とする請求項10に記載の携帯用電子機器。
【請求項12】
前記凹部が設けられた面以外の面に表示部を有することを特徴とする請求項9乃至11いずれかに記載の携帯用電子機器。
【請求項13】
前記連結部は前記筐体の表面よりも突出することを特徴とする請求項8乃至12いずれかに記載の携帯用電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−245861(P2006−245861A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−57140(P2005−57140)
【出願日】平成17年3月2日(2005.3.2)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】