説明

締結具

【課題】容器と蓋との間の圧接締結するべき締結対象部分について、操作が容易で、かつ、確実に圧接締結することができる簡易な構成の締結具を提供する。
【解決手段】締結具1は、締結対象部F,Lに嵌め付けるための導入開口5を形成して同締結対象の複数部材F,Lを挟むようにその重なり方向に圧接して締結しうる一体構成の圧接締結材から2から構成され、この圧接締結材2には、その側方に一体に延びる腕部3と、この腕部3から屈曲して上記複数部材F,Lをその重なり方向に貫通するように延びる軸状の挿込部4とを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器と蓋等の複数部材間を緩解可能に締結するために、操作が容易で、かつ、確実に圧接締結することができる簡易な構成の締結具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
比較的大型の容器の開口を塞ぐ蓋の締結については、専用の係合機構を設けたものを除き、必要に応じて解放可能で、かつ、確実に閉鎖固定できるように、ボルト・ナット等の締結部材を使用するのが通例である。具体的には、容器の開口部に蓋固定用のフランジを形成し、このフランジと蓋材の重なり合う位置に共通の貫通孔を形成してボルトを挿通し、夫々にナットを螺合してスパナ等によって締結するものである。
【0003】
しかし、上記のようなボルト・ナットによって蓋を圧接締結する締結具にあっては、大型容器に対して蓋を確実に閉鎖固定できるものの、蓋を開閉または着脱する都度、ボルト・ナットの締結・緩解の煩わしい操作を要することから作業性の点で難があった。一方、操作性を確保するために、ばねとリンク等によって締結具を構成した場合は、締結力の確保を合わせて満たすために、その複雑な構成によってコスト高が避けられず、また、互換性、耐久性の点でも問題を残し、実用されるに到っていなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
解決しようとする問題点は、容器と蓋等の複数部材間を緩解可能に締結するために、操作が容易で、かつ、確実に圧接締結することができる簡易な構成の締結具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る発明は、締結対象部に嵌め付けるための導入開口を形成して同締結対象の複数部材を挟むようにその重なり方向に圧接して締結しうる一体構成の圧接締結材からなる締結具において、上記圧接締結材には、その側方に一体に延びる腕部と、この腕部から屈曲して上記複数部材をその重なり方向に貫通するように延びる軸状の挿込部とを備えることを特徴とする。
【0006】
請求項2に係る発明は、請求項1の構成において、前記圧接締結材の導入開口には、外方に開いた案内部を備えることを特徴とする。
【0007】
請求項3に係る発明は、請求項1の構成において、前記挿込部は、その端部側がより小径のテーパ軸をなすことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明は次の効果を奏する。
請求項1の発明は、複数部材の締結対象部分が貫通孔等によりその重なり方向に挿通可能なものについて、その貫通孔等に締結具の挿込部を挿通することによって締結対象の複数部材が相互に位置決めされ、この状態で、締結具はその挿込部を中心に腕部を回転半径として回動可能となり、例えばハンマー等を用いて圧接締結材を締結対象部分に嵌め付けるようにして複数部材を圧接締結することができる。また、上記圧接締結材を逆方向に回動することにより、その導入開口から締結対象部分が離脱されるので、貫通孔等から挿込部を抜き取って締結具を取り外すことにより、複数部材は互いに解放される。
したがって、締結するべき複数部材である容器開口のフランジと蓋の双方に位置決め用の貫通孔等を形成することにより、簡易な構成の締結具によって蓋等を確実に閉鎖固定することができるとともに、特殊な専用工具等を要することなく容易に緩解操作することができる。
【0009】
前記圧接締結材の導入開口について、外方に開いた案内部を形成した場合は、締結対象部分に嵌め付ける際に案内部により締結するべき締結部分を容易に挟み込むことができることから、より強力に圧接締結することができる。
【0010】
前記挿込部を先細のテーパ軸状に形成した場合は、貫通孔等に対して容易に差し込むことができるので、作業性を向上することができる。また、複数部材の貫通孔等の位置ずれがあってもテーパ軸を挿込むことにより強制的に位置修正ができるので、蓋等の閉鎖精度と作業性をともに向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の実施の形態について、以下に図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の締結具の斜視図である。締結具1は、圧接締結のための圧接締結材2のほかに、腕部3、挿込部4等を備えて構成される。圧接締結材2には所定寸法の導入開口5を形成してこの導入開口5に容器Vの開口フランジFと蓋Lとからなる締結対象の複数部材を圧接締結することができる。
【0012】
詳細には、締結具1について図2の平面図(a)、正面図(b)および側面図(c)により示すように、圧接締結材2は、導入開口5を懐に形成した一体部材として例えば略C字状等に屈曲して形成する。その導入開口5は、締結対象部に嵌め付けて圧接締結するために、締結対象部分の厚さ寸法より小さく、圧接締結材2の曲げ剛性による圧接力と対応した寸法に形成する。また、導入開口5には、必要により、締結部分を容易に挟み込むことができるように、外方に開いた案内部5aを形成する。
【0013】
腕部3は、締結対象の複数部材に沿うようにして圧接締結材2の側方に一体に延びて挿込部4を圧接締結材2の近傍の所定の距離に支持する。挿込部4は、腕部3から屈曲して圧接締結材2の側方で締結対象部分の複数部材の重なり方向に貫通するように下方に延びる円形断面の軸状に形成する。これらは、軟鋼丸棒材をプレス曲げ等により形成し、または、適宜溶接により一体に構成する。
【0014】
上記構成の締結具1は、図3の作用説明図に示すように、容器Vの蓋Lを閉じて締結固定する際は、その開口に形成したフランジFに合わせて蓋Lを載せ、事前に形成した両者共通の貫通孔H,Hに締結具1の挿込部4を差込む。この挿込部4によって締結対象部分の複数部材が相互に位置決めされ、この状態で、締結具1はその挿込部4を中心に腕部3を回転半径として回動可能となり、例えばハンマー等を用いて圧接締結材2を導入開口5の方向に回動し、締結対象部分に嵌め付けるようにして導入開口5に締結対象部分を挟み込むことにより複数部材F,Lの締結部分を互いに重ねて圧接締結することができる。
【0015】
蓋Lの締結固定を解く場合は、上記圧接締結材2を導入開口5の側からハンマー等を用いて逆方向に回動することにより、その導入開口5から締結部分が離脱されるので、貫通孔H,H等から挿込部4を抜き取って締結具1を取り外すことにより、締結部分F,Lは相互に解放される。
【0016】
したがって、容器V等の開口に蓋Lを取付けるためのフランジFを形成して蓋Lとともに位置決め用の貫通孔H,Hを形成したものにあっては、簡易な構成の締結具1によって蓋L等を確実に閉鎖固定することができるとともに、特殊な専用工具等を要することなく容易に操作することができる。このように、上記締結具1は、その簡易な構成により低コストで供給でき、かつ、互換性、耐久性の点でも十分である。
【0017】
上記において、圧接締結材2をCの字状等に形成してその導入開口5の側に立ち上がり部2aを設け、この立ち上がり部2aは腕部3の高さを越える高さ寸法に形成することにより、締結を解く際にハンマー等による回動力を容易に作用することができる。導入開口5について案内部5aを形成した場合には、圧接締結材2を締結対象部分F,Lに嵌め付ける際に、外方に開いた案内部5aにより締結対象部分F,Lを容易に挟み込むことができることから、容易かつ強力に圧接締結することができる。
【0018】
また、挿込部4を先細のテーパ軸状に形成した場合は、貫通孔H,Hに対して挿込部4を容易に差し込むことができるので、締結の作業性を向上することができるのみならず、複数部材F,Lの貫通孔H,Hの位置ずれがあってもテーパ軸を挿込むことにより強制的な位置修正ができるので、蓋L等の閉鎖精度を合わせて向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の締結具の斜視図である。
【図2】締結具の平面図(a)、正面図(b)および側面図(c)である。
【図3】締結具の作用説明図である。
【符号の説明】
【0020】
1 締結具
2 圧接締結材
2a 立ち上がり部
3 腕部
4 挿込部
5 導入開口
5a 案内部
F フランジ(複数部材)
H 貫通孔
L 蓋(複数部材)
V 容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
締結対象部に嵌め付けるための導入開口を形成して同締結対象の複数部材を挟むようにその重なり方向に圧接して締結しうる一体構成の圧接締結材からなる締結具において、
上記圧接締結材には、その側方に一体に延びる腕部と、この腕部から屈曲して上記複数部材をその重なり方向に貫通するように延びる軸状の挿込部とを備えることを特徴とする締結具。
【請求項2】
前記圧接締結材の導入開口には、外方に開いた案内部を備えることを特徴とする請求項1記載の締結具。
【請求項3】
前記挿込部は、その端部側がより小径のテーパ軸をなすことを特徴とする請求項1記載の締結具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2006−46567(P2006−46567A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−230618(P2004−230618)
【出願日】平成16年8月6日(2004.8.6)
【出願人】(399010372)株式会社光石製作所 (3)
【Fターム(参考)】