説明

編み込まれた髪型を有する頭髪の洗浄方法

【課題】
編み込まれた髪型を有する頭髪を、髪型を崩さずに簡便に効果的に洗浄する方法を提供する。
【解決手段】
蛋白分解酵素及び脂肪分解酵素を含有するマイクロバブル洗浄用組成物、並びにマイクロバブルを含有する洗浄液を用いることを特徴とする、編み込まれた髪型を有する頭髪の洗浄方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、編み込まれた髪型を有する頭髪を、髪型を崩すことなく簡便に効果的に洗浄する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ファッションの多様化により、髪の毛の一部又は全体を編み込んだ髪型、中でも、黒人独特のヘアスタイルである、いわゆるドレッドヘアを好む人が増えている。
ドレッドヘアにもいろいろな種類があり、その編み込む方法もいろいろであるが、技術をもった美容師がひとつひとつ手作業で編み込む必要があり、編み上げるのに長時間を要する手の込んだヘアスタイルである。例えば、三つ編みをし、その周りに周りの毛を巻きつけて、表面を火であぶって溶かして縮れた毛を固め、さらに髪の毛を編んだりねじったりして筒状にし、これを一つ一つ手作業で行っていくことによって編み上げる。
【0003】
よって、そのスタイルを崩すことなくできるだけ長持ちさせたいという要望がある。しかしながら、このようなヘアスタイルにすると、通常の洗髪ができないという問題がある。特に夏場は、洗髪が不十分だと臭いやフケ・かゆみが発生するおそれがあり、長期にドレッドヘアスタイルを維持するのが困難となる。一方、無理に洗浄するとせっかくのヘアスタイルが崩れてしまうおそれがある。
【0004】
本発明に関連して、特許文献1には、貯留槽と溶解水製造手段と、バブル発生ノズルを備えたマイクロバブル発生装置を利用した洗髪装置が記載されている。特許文献2には、頭部に装着された洗浄キャップ内に洗浄液を吐出する吐出部と、洗浄キャップ内の洗浄液を排出し回収する回収部とを備え、回収部で回収した洗浄液を吐出部から再度吐出し、マイクロバブルを混入させた洗浄液を循環させて頭部を洗浄する頭部洗浄装置を用いる、頭部の洗浄方法が記載されている。また、特許文献3には、蛋白分解酵素及び脂肪分解酵素を含有するマイクロバブル洗浄用組成物、及びマイクロバブルを含有する洗浄液を用いて洗浄することを特徴とする、人体又は動物のマイクロバブル洗浄方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−327849号公報
【特許文献2】特開2007−252434号公報
【特許文献3】特開2008−94726号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、かかる従来技術の実情に鑑みてなされたものであり、編み込まれた髪型を有する頭髪を、髪型を崩すことなく、簡便に効果的に洗浄する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決すべく、特許文献2に記載の方法により、編み込まれた髪型を有する頭髪の洗浄を試みたところ、髪型を崩すことなく、髪及び地肌を効果的に清浄し、におい、フケ・かゆみを除去できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
かくして本発明によれば、下記(1)〜(5)に記載の編み込まれた髪型を有する頭髪の洗浄方法が提供される。
(1)蛋白分解酵素及び脂肪分解酵素を含有するマイクロバブル洗浄用組成物、並びにマイクロバブルを含有する洗浄液を用いることを特徴とする、編み込まれた髪型を有する頭髪の洗浄方法。
(2)蛋白分解酵素の配合量が、組成物全体に対して0.01〜0.5重量%であり、脂肪分解酵素の配合量が、組成物全体に対して0.1〜1.0重量%であるマイクロバブル洗浄用組成物を用いる(1)に記載の洗浄方法。
【0009】
(3)界面活性剤を含有しないマイクロバブル洗浄用組成物を用いる(1)又は(2)に記載の洗浄方法。
(4)さらに、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属炭酸水素塩、アルカリ金属硫酸塩、アルカリ金属ハロゲン化物、及びホウ素のアルカリ金属塩からなる群から選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属塩を含有するマイクロバブル洗浄用組成物を用いる(1)〜(3)のいずれかに記載の洗浄方法。
(5)アルカリ金属塩の配合量が、組成物全体に対して80〜99.5重量%であるマイクロバブル洗浄用組成物を用いる(4)に記載の洗浄方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ドレッドヘア等の編み込まれた髪型を有する頭髪を、髪型を崩すことなく、簡便に効果的に洗浄することができる。時間をかけて作り上げた髪型を、清潔に保ちつつ長持ちさせることができるので経済的である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施例で使用した頭部洗浄装置の構成を示す図である。
【図2】実施例を実施する前の髪型を示す写真図である。
【図3】実施例実施中の様子を示す写真図である。
【図4】実施例を実施した後の髪型を示す写真図である。
【図5】実施例を実施する前の、頭皮のマイクロスコープによる拡大写真図である。
【図6】実施例を実施した後の、頭皮のマイクロスコープによる拡大写真図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明は、蛋白分解酵素及び脂肪分解酵素を含有するマイクロバブル洗浄用組成物、並びにマイクロバブルを含有する洗浄液を用いることを特徴とする、編み込まれた髪型を有する頭髪の洗浄方法である。
【0013】
本発明に用いるマイクロバブル洗浄用組成物(以下、「本発明の組成物」ということがある。)に用いる蛋白分解酵素(プロテアーゼ)は、ペプチド結合の加水分解を触媒する酵素の総称である。
【0014】
蛋白分解酵素は、特有の作用最適pHを有し、酸性プロティナーゼ、中性プロティナーゼ、アルカリ性プロティナーゼに分類することができる。本発明においては、特に制限なく、これら蛋白分解酵素のいずれも使用することができる。
【0015】
蛋白分解酵素としては、特に制限されないが、例えば、キモトリプシン(chymotrypsin)、スブチリシン(subtilisin)、ペプシン(pepsin)、カテプシンD(cathepsin D)、サーモリシン(thermolysin)、パパイン(papain)、カスパーゼ(caspase)、ブロメライン(bromelain)、アクチニジン(actinidin)、フィチン(ficin)、トリプシン(trypsin)、パンクレアチン(Pancreatin)等が挙げられる。
これらの蛋白分解酵素は一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0016】
蛋白分解酵素の具体例としては、商品名で、プロチンAC10F(大和化成社製)、サビナーゼ、アルカラーゼ、エスペラーゼ、デュラザイム(以上、ノボインダストリー社製)、マキサペム、マキサターゼ(ギスト・ブロカーズ社製)、ビオプラーゼ(ナガセ生化学工業社製)等が挙げられる。
【0017】
これらの中でも、優れた洗浄効果を得る上では、少なくともパンクレアチンを用いるのが好ましく、パンクレアチンと他の蛋白分解酵素を組み合わせて用いるのがより好ましい。
【0018】
蛋白分解酵素の配合量は、特に限定されないが、組成物全体に対して、好ましくは0.01〜0.5重量%、より好ましくは、0.2〜0.3重量%である。
【0019】
本発明の組成物に用いる脂肪分解酵素は、脂肪を加水分解してグリセリンと脂肪酸に分解する酵素であり、リパーゼともいう。
【0020】
脂肪分解酵素としては、特に制限されないが、例えば、Rhizopus arrhizus起源のリパーゼ、Aspergillus niger起源のリパーゼ、Rhizopus delemar等のカビ由来のリパーゼ;Candida cylindracea等の酵母由来のリパーゼ;Pseudomonas属等の細菌由来のリパーゼ;プレガストリック・リパーゼ又はオーラル・リパーゼ等反芻動物の哺乳期の消化管組織に存在するリパーゼ;ブタ肝臓リパーゼ;等が挙げられる。
これらの脂肪分解酵素は一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。より優れた洗浄効果を得る上では、二種以上の脂肪分解酵素を用いることが好ましい。
【0021】
脂肪分解酵素の具体例としては、商品名で、スミチームNLS(新日本化学工業社製)、リパーゼM「アマノ」10、リパーゼM「アマノ」10、リパーゼG「アマノ」50、リパーゼF−AP15、リパーゼAY「アマノ」30G、リパーゼR「アマノ」G、リパーゼT「アマノ」、リパーゼMER「アマノ」(以上、天野エンザイム社製)、ピカンターゼR8000、ピカンターゼA(以上、ロビン社製)、トヨチーム・LIP(東洋紡績社製)、リリパーゼA−10FG、リリパーゼAF−5(ナガセケムテックス社製)、グリンドアミルEXEL639(ダニスコ カルタージャパン社製)、クリアーレンズリポ、リポラーゼ、ライペックス、リポザイム、レジナーゼ、パラターゼ、グリーゼックス、リポパン、ノボザイム435、レシターゼ(ノボザイムズ社製)、リパーゼMY、リパーゼOF、リパーゼPL、リパーゼQLM、リパーゼAL、ホスホリパーゼD(名糖産業社製)、エンチロンAKG(洛東化成工業社製)、ホスホリパーゼA1(三共ライフテック社製)、リポモッド699L、リゾマックスPF(ジェネンコア協和社製)等が挙げられる。
【0022】
脂肪分解酵素の配合量は、組成物全体に対して、通常0.1〜1.0重量%、好ましくは、0.3〜0.8重量%である。
【0023】
本発明の組成物は、より優れた洗浄効果を得る観点から、界面活性剤を含有しないことが好ましい。界面活性剤を含有しない場合には、頭髪洗浄中に組成物が誤って眼に入ったとしても、眼に対する刺激がなく、安全に使用することができる。
【0024】
本発明の組成物は、上述した、蛋白分解酵素及び脂肪分解酵素に加えて、さらにアルカリ金属塩を含有するのが好ましい。
【0025】
アルカリ金属塩は、洗浄効果を高め、水(温水)を柔らかく(軟水化)し、また、増量剤としての役目を有する。
【0026】
用いるアルカリ金属塩としては、特に制約されないが、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属炭酸水素塩;硫酸ナトリウム、硫酸カリウム等のアルカリ金属硫酸塩;塩化ナトリウム、塩化カリウム等のアルカリ金属ハロゲン化物;四ホウ酸ナトリウム(ホウ砂)、ホウ酸ナトリウム等のホウ素のアルカリ金属塩;ケイ酸ナトリウム等のアルカリ金属ケイ酸塩;硫化ナトリウム等のアルカリ金属硫化物;硝酸ナトリウム等のアルカリ金属硝酸塩;リン酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム等のアルカリ金属リン酸塩;チオ硫酸ナトリウム等のアルカリ金属のチオ硫酸塩;等が挙げられる。
これらのアルカリ金属塩は一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0027】
本発明の組成物においては、これらの中でも、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属炭酸水素塩、アルカリ金属硫酸塩、アルカリ金属ハロゲン化物、及びホウ素のアルカリ金属塩からなる群から選ばれる少なくとも一種を含有するのが好ましく、炭酸水素ナトリウム、硫酸ナトリウム、及びホウ砂からなる群から選ばれる少なくとも一種を含有するのがより好ましく、炭酸水素ナトリウム、硫酸ナトリウム及びホウ砂を含有するのが特に好ましい。
【0028】
アルカリ金属塩の配合量は、通常80〜99.5重量%、好ましくは95〜99重量%である。
本発明の洗浄用組成物が、炭酸水素ナトリウム、硫酸ナトリウム及びホウ砂を含有する場合、炭酸水素ナトリウムの配合量は、組成物全体に対して、好ましくは10〜35重量%、特に好ましくは20〜30重量%であり、硫酸ナトリウムの配合量は、組成物全体に対して、好ましくは30〜70重量%、特に好ましくは40〜60重量%であり、ホウ砂の配合量は、組成物全体に対して、好ましくは10〜35重量%、特に好ましくは20〜30重量%である。
【0029】
本発明の組成物は、さらに、シリカ系乾燥剤を含有するのが好ましい。
乾燥剤は、蛋白分解酵素及び脂肪分解酵素の力価を安定させる役目を有する。シリカ系乾燥剤としては、サイリシア(多孔質微粉末シリカ)等が挙げられる。
シリカ系乾燥剤の配合量は、通常0.01〜1重量%、好ましくは0.1〜0.2重量%である。
【0030】
本発明の組成物には、さらに、必要に応じてその他の成分を添加することができる。
その他の成分としては、上記アルカリ金属塩以外の無機塩、香料、着色剤、防腐剤、抗菌剤、粘性付与剤、薬効成分、その他の洗浄剤に通常使用される添加剤が挙げられる。
【0031】
アルカリ金属塩以外の無機塩としては、炭酸マグネシウム、硫酸マグネシウム等のマグネシウム塩;炭酸カルシウム、硝酸カルシウム、チオ硫酸カルシウム、リン酸水素カルシウム等のカルシウム塩;ミョウバン;等が挙げられる。これらの無機塩の配合量は、本発明のマイクロバブル洗浄用組成物の奏する効果が損なわれない範囲で、適宜定めることができる。
【0032】
香料としては、例えば、アビエス油、アンゲリカ油、アニス油、バルサム・コパイバ、バジル油、ベイ油、ベルガモット油、バーチ油、ローズ・ウッド油、カヤブテ油、カシア油、アカシア油、シダーウッド油、カモミル油、桂皮油、桂葉油、シトロネラ油、エレミ油、ユーカリ油、ゼラニウム油、ひば油、ひのき油、ラバンジン油、ラベンダー油、レモン油、ミント油、ネロリ油、ナツメグ油、オークモス油、オコチア油、パチュリ油、パルマローザ油、ポライ油、ローズ油、ローズマリー油、サンダルウッド油、ベチバー油、イランイラン油等の植物精油;リモネン、テルピノーレン、p−サイメン、9−デセノール、ムゴール、ミルセノール、ボルネオール、ベチベロール、t−ブチルシクロヘキサノール、アニソール、アネトール、サフロール、シトラール、シトロネラール、桂皮アルデヒド、アニスアルデヒド、サイクラメンアルデヒド、シトラール、アセトフェノン、ベンゾフェノン、アセトナフトン、ネロン、ニトロムスク等の合成ムスク、酢酸ゲラニル、酢酸ボルニル、酢酸フェニルエチル、酢酸ミルセニル、安息香酸メチル、桂皮酸メチル、メチルアンスラニル酸メチル、合成オークモス、クマリン等の合成香料;等が挙げられる。
香料の配合量は、通常0〜0.5重量%、好ましくは0.1〜0.3重量%である。
【0033】
着色剤としては、染料、天然色素、無機顔料等のいずれもが使用できる。
染料としては、例えば、赤色2号、赤色3号、赤色102号、赤色104号の(1)、赤色105号の(1)、赤色106号、赤色213号、赤色227号、赤色230号の(1)、黄色4号、黄色5号、黄色201号、黄色201号の(1)、黄色203号、だいだい色205号、緑色3号、緑色201号、緑色204号、青色1号、青色2号、青色205号、紫色201号、褐色201号等が挙げられる。
【0034】
天然色素としては、クロロフィル類、クチナシ類、フラボノイド系、カロチノイド系、キノン系、リボフラビン類が挙げられる。
【0035】
無機顔料としては、二酸化チタン、タルク、カオリン、雲母類、ケイ酸マグネシウム、無水ケイ酸、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等が挙げられる。
これらの着色剤は一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。
着色剤の配合量は、通常0〜0.5重量%、好ましくは0.1〜0.2重量%である。
【0036】
防腐剤としては、安息香酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸イソブチル、ベンジルアルコール、塩化ベンザルコニウム等が挙げられる。
【0037】
粘性付与剤としては、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、キサンタンガム、ジステアリン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール等が挙げられる。
【0038】
本発明の組成物を調製する方法は、特に限定されない。例えば、上記蛋白分解酵素、脂肪分解酵素、所望によりその他の成分からなる混合物を、公知の撹拌装置、例えば、バートオーミキサー、ナウターミキサー、万能混合攪拌機、リボンミキサー、V字型混合機等を使用して、均一に混合・撹拌することにより粉末体を調製する方法を採用できる。
【0039】
本発明の組成物は、頭髪の毛穴表面にこびりついた皮脂や古い角質を短時間で確実に除去して、長期間皮膚を清潔に保つことができる。
また本発明の組成物は、刺激が少なく、毛髪を傷めることがないため、敏感肌の人、皮膚の弱い年配者、皮膚に疾患を有する人に対しても、安心して使用することができる。
【0040】
洗浄液の調製に用いる本発明の組成物の使用量は、水6〜10リットルに対し、通常1〜10g、好ましくは3〜7gである。
【0041】
マイクロバブルは、直径が50μm以下の微細な気泡であり、通常の気泡と異なり、水中で縮小し、消滅(圧壊)する性質を有する。マイクロバブルは、圧壊するときの衝撃波により汚れを除去することができる。また、マイクロバブルはマイナスイオンを帯びており、プラスイオンである汚れと結びついて浮上しながら水中で消滅し、汚れを水面へと浮かび上がらせることができる。マイクロバブルを含有する洗浄液を頭髪の洗浄に用いると、マイクロバブルは微細なため、毛穴の奥まで到達でき、老廃物を吸着・除去することができる。
【0042】
マイクロバブルを含有する洗浄液を得るためには、通常、後述するマイクロバブル発生装置を用いる。水は表面張力が高いため、通常のバブリングでは100μm以下の気泡を生成させることは不可能である。
【0043】
マイクロバブル発生装置としては、マイクロバブルを発生させることができる装置であれば、特に制約はなく、公知のものを用いることができる。例えば、ベンチュリー管(一部がくびれた構造を有する管)、又はオリフィス板(中心に孔の開いたドーナツ状の板)を内蔵したシャワーヘッド内でマイクロバブルを発生させる装置(特開2006−116518号公報、特願2006−77553号等);液体中に配置した本体パイプ内に気体を混合した液体を吐出し、本体パイプ内の下流側に配置した衝突壁に衝突させてマイクロバブルを発生させる装置(特開2005−334869号公報);空気ポンプ等の空気圧送源で、加圧した空気を微細目の網部材又は多孔質板等を通して水中に吹き出してマイクロバブルを発生させる装置(特開2006−68631号公報等);渦巻き水流を作り、この水流で空気を剪断してマイクロバブルを発生させる装置(特開2003−126665号公報等);等が挙げられる。これらの中でも、特願2006−77553号に記載されたマイクロバブル発生装置を用いるのが好ましい。
【0044】
本発明の洗浄方法は、上述した本発明の組成物及びマイクロバブルを含有する洗浄液を用いて、編み込まれた髪型を有する頭髪を洗浄することを特徴とする。
【0045】
具体的には、清浄な水(又は温水)に適量の本発明の組成物を添加して洗浄液を調製し、この洗浄液にマイクロバブルを含有させたものを用いて、編み込まれた髪型を有する頭髪を洗浄するものである。
【0046】
前記本発明の組成物及びマイクロバブルを含有する洗浄液を用いて、編み込まれた髪型を有する頭髪を洗浄する方法としては、例えば、
(i)清浄な水(又は温水)に適当量の本発明の組成物を添加して得られる洗浄液をタンク等の容器に入れる。この洗浄液を適当な方法でマイクロバブル発生装置に導入し、該装置内で洗浄液にマイクロバブルを含有させ、このマイクロバブルを含有する洗浄液をシャワーノズルから吐出して、編み込まれた髪型を有する頭髪を洗浄する方法、
(ii)洗浄槽内に清浄な水(又は温水)を入れ、ここに適当量の本発明の組成物を添加して洗浄液とする。次いで、この洗浄液中に、マイクロバブル発生装置に連結されたノズルからマイクロバブルを含む水(又は温水)を送り込んで、マイクロバブルを含有する洗浄液を調製し、この洗浄液を用いて、編み込まれた髪型を有する頭髪を洗浄する方法、
等が挙げられる。本発明においては、これらの方法を併用して用いることもできる。
【0047】
なお、(i)の方法を採用する場合においては、洗浄液をフィルターを通過させて汚染物等を除去しながら循環させるのが、洗浄液を効率よく利用できる上で好ましい。
【0048】
より具体的に、図1に示すごとき装置を用いて洗浄する方法を説明する。
図1において、1は頭部洗浄装置の本体である。この本体1から洗浄液が吐出管2を通って送り出される。この吐出管2には洗浄キャップ3が接続されている。この洗浄キャップ3は頭部に帽子のように装着され、頭髪をすべて収納するもので、洗浄される人は装着した状態で椅子に座り、背もたれが後方に倒れてほぼ仰向け状態になる。
【0049】
本体1には、カートリッジタンク6から供給された、蛋白分解酵素及び脂肪分解酵素を含有するマイクロバブル洗浄用組成物を含む温水が充填されている。そして、本体1から、前記洗浄用組成物を含む温水(30〜40℃)が、マイクロバブルとともに、吐出管2から洗浄キャップ3内に吐出され、編み込まれた髪型を有する頭髪が洗浄される。このとき、髪型や髪の量等に合わせて、水量や水圧を適当に調節するのが好ましい。
洗浄液は洗浄キャップ3から回収管4を通って、フィルタユニット5に回収され、このフィルタユニット5で毛髪やふけなどのゴミが除去されたあと、カートリッジタンク6に回収される。なお、吐出管2は適宜の位置で吊り下げ具Sによって吊り下げられているので、洗浄液が循環した際に洗浄液の重みで吐出管2や洗浄キャップ3が下方にずり下がらない。
この装置は、特開2007−252434号公報に記載されているものと同様のものである。
【0050】
洗浄に要する時間は、マイクロバブル洗浄用組成物の種類や濃度、髪の量等にもよるが、通常1分〜数十分程度である。
洗浄する温度は、特に限定されないが、優れた洗浄効果とリラックス感が得られる観点から、20〜40℃が好ましい。
【0051】
本発明の組成物及びマイクロバブルを含有する洗浄液は、人体の細胞に悪影響を与えることがなく、頭髪を傷めることがなく、環境にやさしいので安全に用いることができる。
【0052】
本発明の洗浄方法によれば、毛穴表面にこびりついた皮脂や古い角質を、安全に短時間で除去して、長期間皮膚を清潔に保つことができ、編み込まれた髪を解かずに髪の表面の汚れを除去できるので、編み込まれた髪型を有する頭髪を、髪型を崩すことなく、簡便に効果的に洗浄することができる。このように、本発明の洗浄方法は、通常のシャンプーを用いる洗髪方法よりも清浄効果が高く、洗浄回数を少なくすることができるので、洗髪により髪型が崩れるおそれがなく、髪型を長期に渡って維持することが可能である。
【0053】
頭髪洗浄後においては、シャワー等により水又は温水で軽くすすぎ、洗浄剤を除去すればよい。本発明においては、通常のシャンプーを使用した場合と異なり泡がほとんど出ないので、軽くすすぐだけで洗浄剤を除去することができ簡便である。
その後、ドライヤー等による通常の乾燥方法で頭髪を乾燥すればよい。洗浄後も、洗浄前とほとんど変わらない髪型を維持することができる。
【0054】
頭髪の洗浄ができたことは、においやかゆみが消失したこと、及び、マイクロスコープ等で地肌を観察することにより、毛穴や毛髪にこびりついていた皮脂やフケが除去され、色が白くなっていることで確認することができる。
【実施例】
【0055】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
【0056】
(実施例1)
図1に示す頭部洗浄装置と同等の装置(洗浄キャップ3の代わりに、3本のシャワーノズルを有している(写真図3参照))を使用して、図2に示すドレッドヘアの女性の頭髪を洗浄した。洗浄中の写真図を図3に、洗浄後の女性の頭髪を図4に示す。
蛋白分解酵素及び脂肪分解酵素を含有するマイクロバブル洗浄用組成物としては、以下の組成のものを用いた。組成物の使用量は、お湯5〜10リットルにつき、5〜6gとした。洗浄時間は10分、温水温度は39℃とした。
【0057】
〈洗浄用組成物〉
局方ホウ砂:25重量%、炭酸水素ナトリウム:25重量%、硫酸ナトリウム:50重量%、パンクレアチン:0.1重量%、プロチンAC:0.15重量%、リパーゼ:0.5重量%、サイリシア:0.15重量%、香料:0.2重量%、色素:0.12重量%
【0058】
洗浄前と洗浄後の、女性の頭皮の拡大写真を図5、図6に示す。洗浄前にはフケが毛穴や毛髪にこびりついていたのが、洗浄後には綺麗にそれがなくなっているのがわかる。
また、図2と図4の写真図から、女性の髪型はほとんど変化しておらず、髪型が維持されていることがわかる。
【符号の説明】
【0059】
1・・・本体、2・・・吐出管、3・・・洗浄キャップ、4・・・回収管、5・・・フィルタユニット、6・・・カートリッジタンク、S・・・吊り下げ具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蛋白分解酵素及び脂肪分解酵素を含有するマイクロバブル洗浄用組成物、並びにマイクロバブルを含有する洗浄液を用いることを特徴とする、編み込まれた髪型を有する頭髪の洗浄方法。
【請求項2】
蛋白分解酵素の配合量が、組成物全体に対して0.01〜0.5重量%であり、脂肪分解酵素の配合量が、組成物全体に対して0.1〜1.0重量%であるマイクロバブル洗浄用組成物を用いる請求項1に記載の洗浄方法。
【請求項3】
界面活性剤を含有しないマイクロバブル洗浄用組成物を用いる請求項1又は2に記載の洗浄方法。
【請求項4】
さらに、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属炭酸水素塩、アルカリ金属硫酸塩、アルカリ金属ハロゲン化物、及びホウ素のアルカリ金属塩からなる群から選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属塩を含有するマイクロバブル洗浄用組成物を用いる請求項1〜3のいずれかに記載の洗浄方法。
【請求項5】
アルカリ金属塩の配合量が、組成物全体に対して80〜99.5重量%であるマイクロバブル洗浄用組成物を用いる請求項4に記載の洗浄方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−105603(P2011−105603A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−258797(P2009−258797)
【出願日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【出願人】(506095777)有限会社ターレス (7)
【出願人】(397016770)東和酵素株式会社 (6)
【Fターム(参考)】