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編地及びこれを用いた繊維製品
説明

編地及びこれを用いた繊維製品

【課題】 本発明は、ポリプロピレン繊維が持つ軽量、保温等の機能を活かし、軽くて薄くても保温性を有したうえに吸水・速乾性能に優れた編地、及びこれを用いた繊維製品を提供することを目的とする。
【解決手段】 本発明は、肌側となる内層と、外層と、これらを繋ぐ接結糸条で構成され、前記内層がポリプロピレン繊維を含む糸条で構成され、前記外層及び接結糸条が疎水性合成繊維糸で構成された編地、及びこれを用いた繊維製品を提供するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肌着、下着等直接肌に触れる繊維製品等に好適な、ポリプロピレン繊維(以下、PP繊維ということもある)を用いた、軽くて薄くても保温性に優れた上に吸水・速乾機能を有する編地、及びこれを用いた繊維製品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、肌着等は各種繊維による一枚の編成地により形成されており、これで充分な温かさが得られないときは、厚手の編成地が用いられている。しかし、厚手の編成地とすることで、保温性は向上するものの重く、温かいための発汗により、汗を含んだ肌側層が肌に接して冷感や不快感を与えることが多く、又、一枚の編成地であることから、外気の侵入による冷えもあって満足すべき効果が得られていない。一方、ポリプロピレン繊維は軽量性、強度、保温性等に優れていることで知られていたが、染色性等の問題があるため、編地原料としてほとんど使用されていなかったが、ポリプロピレン繊維の優れた物性を有効に利用するため、ポリプロピレン糸で片面を形成し、他面をポリプロピレン糸とは異なる材質から成る糸を用いたリバーシブル丸編地が特許文献1に記載されている。又、ダブルフェイス編みにより肌側となる内層がポリプロピレン繊維糸で、3層構造に編成され、これら3層は公定水分率が外層が最も高く、中層、内層の順に小さくなる繊維糸で構成された軽量保温衣類が特許文献2に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−268657号公報
【特許文献2】特開2009−209459号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のリバーシブル丸編地は、ポリプロピレン糸と羊毛糸との組合せが記載されており、水分保持率の差を利用して汗等が肌面側から外側へ向けて編地内を貫流し外面から蒸散することが記載されているものの、ポリプロピレン糸使いの衣類はドライクリーニングに適さないことから水洗濯をすることとなる。この場合、羊毛糸は水分保持率が高いため衣類全体としての速乾性が不明である。特許文献2に記載の軽量保温衣類は、肌側となる内層がポリプロピレン繊維糸で構成された構成が記載されており、発汗しても肌を常にドライで濡れ戻りがない状態に保持されることが記載されているものの、濡れ戻り試験は重りで数分間押圧するとの記載があり、吸水・速乾性という面からみた場合不明である。
【0005】
本発明は、PP繊維が持つ軽量、保温等の機能を活かし、軽くて薄くても保温性を有した上に、特に重りで押圧等の処理をしないでも吸水・速乾性能に優れた編地、及びこれを用いた繊維製品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の目的を達成するため、肌側となる内層と、外層とこれらを繋ぐ接結糸条で構成され、前記内層がポリプロピレン繊維を含む糸条で構成され、前記外層及び接結糸条が疎水性合成繊維糸条で構成された編地、及びこれを用いた繊維製品を提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の編地は、上記構成を採ることにより、PP繊維を使用した実用的な繊維製品を提供するとともに、軽くて薄くても保温性に優れる上に吸水・速乾性能を有するという効果を奏するものである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について説明する。
本発明の編地は、肌側となる内層と、外層とこれを繋ぐ接結糸条で構成されている。内層を構成する繊維はPP繊維を含む糸条で構成されている。PP繊維は熱伝導性がセルロース繊維等に比して低く、これにより外界の低温から身体を守り、体温の放散を抑制することができる。又、PP繊維の比重は0.91g/cm3と一般的な繊維の中では最も軽い繊維であるため、この繊維を用いた編地は軽量とすることもできる。
【0009】
本発明で用いられるPP繊維は、単一繊維、又は複合繊維いずれであってもよく、染色性等の問題を解決するためには原着繊維、ポリプロピレンナイロンアロイ、ポリプロピレンポリエステルアロイ等可染性ポリマーを含むPP繊維を用いてもよい。
【0010】
PP繊維が複合繊維の場合、芯成分がポリプロピレン、鞘成分がポリエステルである芯鞘型複合繊維が好ましい。又、芯成分のポリプロピレンのメルトフローレート(JIS K 7210に準じて、230℃ 21.2Nで測定)が28g/10minを超えて60g/min未満であることが好ましく、メルトフローレートが40g/10minを超えて55g/10min以下であることがより好ましい。これにより、実生産が可能な程度に糸切れはなく安定して紡糸でき、染色性も良好な芯鞘型複合繊維とすることができる。又、芯成分と鞘成分の複合割合は質量比で芯成分:鞘成分=20〜80:80〜20の範囲であることが好ましく、速乾性や保温性の観点からは、芯成分:鞘成分=40〜70:60〜30の範囲がより好ましい。又、染色性の観点からは、芯成分:鞘成分=30〜60:70〜40の範囲がより好ましい。ポリプロピレンの比重は0.90〜0.91,ポリエステルの比重は1.3〜1.4であり(ASTM D792による測定)、前記範囲であれば複合繊維の比重を軽くでき、更に染色可能なポリエステルとすることができる。PP繊維の繊度は、単一、複合に関わらず0.5〜3.0dtexの範囲のものが好ましい。この範囲であれば、柔軟で繊維製品等に好適である。
【0011】
内層を構成するPP繊維を含む糸条は、紡績糸、マルチフィラメント、モノフィラメント等特にこだわらないが、紡績糸であることが好ましい。当該紡績糸は、リング法、オープンエンド法、結束法、交互撚糸法、ラッピング法、渦流法又は無撚法等いずれの方法で製造してもよいが、渦流法によることが好ましい。この方法はリング法に比べて、紡績糸の製造工程において、繊維がしごき、ないしは摩擦を受けることが少なく、損傷の少ない糸とすることができるからである。その結果、染色物の欠点の少ない編地とすることができる。具体的には、ポリプロピレンの露出による白化現象が抑えられる。渦流紡績機としては、村田機械株式会社製「MVS」がある。紡績糸の好ましい番手は英式番手で5〜100Sの範囲である。なお、得られた紡績糸は単糸使いでも複数本撚りあわせて使用してもよい。
【0012】
紡績糸を構成する繊維の構成本数は、90本以上であることが好ましく、100本以上であることがより好ましい。好ましい構成本数の上限は500本である。紡績糸を構成する繊維の構成本数が90本以上であると、精紡工程等で糸切れし難い。
【0013】
紡績糸を使用することにより、繊維内の空隙が細かくなり繊維内の不動空気層が増加し、保温性が高くなるという効果を奏することができるとともに、細かい空隙が増えることにより、吸水性も増すという効果も奏する。当該紡績糸は、PP繊維が単一繊維の場合は、10質量%以上含んだものであることが好ましい。より好ましくは、20質量%以上含んだものである。更に好ましくは30質量%含んだものである。PP繊維の含有量が10質量%未満であれば、保温性・軽量性が悪くなるからである。PP繊維が複合繊維の場合にも、当該複合繊維を10質量%以上含んだものであることが好ましく、20質量%以上含んだものであることがより好ましい。複合繊維100質量%であっても差し支えない。
【0014】
内層の糸条を構成するPP繊維と他の繊維を組合せてもよい。組合せの方法としては、混紡、合糸、混繊、引揃え、交編等いずれでもよい。内層の糸条を構成するPP繊維以外の繊維として、例えば、アクリル系繊維、ナイロン、ポリエステル系繊維、ポリオレフィン繊維、ナイロン繊維、レーヨン繊維、キュプラ繊維、アセテート繊維、エチレンビニルアルコール繊維、ウレタン繊維、コットン繊維、麻繊維、絹繊維、ウール繊維、又はカシミア繊維が一例として挙げられ、前記繊維を複数組合せてもよい。なかでも合成繊維、アクリル系繊維、ウレタン繊維又はウール繊維であることが好ましい。
【0015】
PP繊維とアクリル系繊維との組合せが好ましい。アクリル系繊維は嵩高で保温性があるからである。又、アクリル系繊維は、他の繊維と混紡して鮮やかな色彩を出せるという特徴を有することから、染色性の問題もクリアできる。アクリル系繊維の混紡割合は30〜90質量%であることが好ましい。ポリプロピレンの公定水分率は0.0%、アクリルは2.0%であることから、PP繊維とアクリル系繊維を混紡することにより、みかけの公定水分率が0.6〜1.8%となり、吸水・速乾性能にも寄与すると考えられる。ここで、みかけの公定水分率は、当該繊維の公定水分率に混紡割合を乗じて簡易的に求めたものを使用している。なお、複合繊維の場合もその芯部、鞘部の配合割合に応じて同様に求めている。アクリル系繊維の繊度は、0.5〜3.0dtexの範囲のものが好ましい。この範囲であれば繊維製品等に好適である。
【0016】
PP繊維とポリエステル繊維との組合せも好ましい。ポリエステル系繊維は、公定水分率が0.4%と低く、強い疎水性であることから、ポリエステル繊維自体は保水せず、吸水処理剤等を使用することにより汗等を拡散するので、速乾性という面から好ましいからである。ポリエステル繊維の繊度は、0.5〜3.0dtexの範囲のものが好ましい。この範囲であれば繊維製品等に好適である。
【0017】
なお、上記の組合せにさらにウレタン繊維を組合せてもよい。ウレタン繊維は伸縮性に優れており、かつ緩やかに収縮するので、柔らかい風合いを活かしながら、ストレッチ性を付与した編地が得られる。
【0018】
次にPP繊維の製造方法について説明する。
単一のPP繊維を製造するには、高温下で押出機にてポリプロピレン樹脂を溶融させ、ノズルからPP繊維を紡糸する。このポリプロピレン樹脂には酸化劣化を抑制するフェノール系の安定剤を添加しておくことが好ましい。但し、PP繊維は表面積が大きく、様々なガスと接触する機会が多い。特に、NOxやSOxガスとの接触やアルカリにより変色するフェノール系の安定剤は避けておくようにする。又、リン系やラクトン系の安定剤を併用することでPP繊維製造時の酸化劣化を抑制する効果は向上する。次に、PP繊維の使用状況において、高温下での長時間の使用や紫外線が当たる場所での使用など過酷な条件を想定する必要があり、この場合はフェノール系をベースにHALS系の安定剤を併用することが好ましいが、洗濯耐久性等を考慮すると、出来るだけ高分子量のものが好ましい。
【0019】
芯成分がポリプロピレン、鞘成分がポリエステルである芯鞘型複合繊維を製造するための方法は、芯成分のポリプロピレンはメルトフローレートが28g/10minを超えて60g/10min未満の範囲とし、芯成分と鞘成分を複合紡糸口金から芯鞘状態で溶融紡糸して未延伸糸とし、得られた未延伸糸を延伸し、定長又は緊張熱処理セットするのが好ましい。前記において、延伸後の定長又は緊張熱処理セットは、寸法安定化のために行う。この定長又は緊張熱処理セットにより、後の工程で収縮や弛緩が起こることを防止できる。延伸後の定長又は緊張熱処理セットは、85〜100℃の熱水中で行うのが好ましい。時間は15秒〜180秒間程度が好ましい。この方法において、延伸は50〜70℃程度の比較的低温の温水浴中で湿式延伸するのが好ましい。穏やかな延伸条件により、芯成分と鞘成分の剥離を起こさないようにするためである。又、比較的低温で延伸することにより、ポリエステル成分の加水分解を防止し、繊維同士の融着ないしは膠着も防止できる。延伸倍率は1.3〜3.5倍程度の比較的穏やかな延伸条件が好ましい。より好ましくは1.8〜2.7倍である。これも芯成分と鞘成分の剥離を起こさないようにするためである。好ましい製造工程は、延伸し、定長又は緊張熱処理セットし、クリンパーで捲縮を付与し、乾燥する工程である。乾燥は105〜115℃の温度で、15分間程度乾燥機で行う。この複合繊維を紡績糸や不織布にするには、トウの状態で乾燥工程まで行い、その後所定の繊維長にカットする。フィラメントにする場合は、延伸し、定長又は緊張熱処理セットし、巻き取る。
【0020】
外層、及び接結糸条を構成する繊維は疎水性合成繊維である。ここで、疎水性とは、公定水分率4.0%以下のものをいう。この疎水性合成繊維糸条の形態は、スパン糸条、フィラメント糸条等特にこだわらないが、マルチフィラメント糸条であることが好ましい。マルチフィラメント糸を使用することにより、編地の表面性が良好となる。
【0021】
外層、及び接結糸条を構成する疎水性合成繊維は同じ繊維を使用することが好ましい。疎水性合成繊維糸条を構成する繊維としては、例えば、ポリエステル系繊維、アクリル系繊維、ポリプロピレン繊維、ポリオレフィン繊維、ウール繊維等が挙げられ、これらの内の一種、又は数種を組合せてもよい。又、ストレッチ性をより発揮させるため、ポリウレタン繊維を入れてもよい。この中でもポリエステル系繊維を用いることが汎用性の点から好ましい。低温にて染色できるタイプのポリエステル系繊維が染色性の点からみて好ましい。低温にて染色できるタイプのポリエステル系繊維としては、例えば、カチオンダイアブルポリエステル繊維が挙げられる。疎水性合成繊維の繊度は、0.5〜3.0dtexの範囲のものが好ましい。この範囲であれば柔軟で繊維製品等に好適である。
【0022】
なお、接結糸条及び外層を構成する疎水性合成繊維糸条とも原着繊維や可染性ポリマーを含む繊維を用いて本発明の編地とすることもできる。
【0023】
内層を構成するPP繊維を含む糸条、接結糸条及び外層を構成する疎水性合成繊維糸条との組合せとしては、春夏又は通年向けの繊維製品用として、内層はPP繊維とポリエステル系繊維、接結糸条及び外層がポリエステル系繊維の組合せ、秋冬向けの繊維製品用として、内層がPP繊維とアクリル繊維、又はウール繊維、接結糸条及び外層がアクリル繊維、又はウール繊維の組合せが好ましい。両方の組合せにおいてさらにウレタン繊維を組合せてもよい。
【0024】
本発明の編地は、PP繊維を5質量%以上含むことが好ましく、10質量%以上含むことがより好ましい。PP繊維を30質量%以上含むことがさらに好ましい。PP繊維が5質量%未満であれば、保温性が悪くなるからである。
【0025】
本発明の編地は、肌側となる内層と、外層とこれらを繋ぐ接結糸条で構成されているが、当該編地を横方向からみた断面形状において必ずしも明確に三層構造として確認できる必要はないが、ダブルフェイス編、又はダンボール編とすることが好ましい。これらの編み方とすることにより、空気層を多く含み保温性を良好とすることができ、好ましい。なお、ここで、ダブルフェイス編は、内層と外層の編組織が異なるものを、ダンボール編は、内層と外層の編組織が同じで、空間部に空気層を有しているものをいう。
【0026】
本発明の編地は、良好な吸水拡散性能を有し、従って良好な吸汗・速乾性をも有する。ここで、吸水拡散性能は、0.2mlの純水を滴下した時の吸水性を、吸水時間及び吸水拡散面積にて評価している。即ち、本発明の編地は、0.2mlの純水を滴下した時に、吸水時間が5秒以下で、1分後の吸水拡散面積が10cm2以上であるような吸水性を有し得る。吸水時間及び吸水拡散面積の測定方法は後述する。
【0027】
本発明の編地は、編地内外層で粗密構造にしたり、異型断面繊維の糸条を使用したりするとよい。又、PP繊維を含む糸条と疎水性合成繊維糸条ともに吸水性能を向上させたりするとよい。PP繊維を含む糸条と疎水性合成繊維糸条の吸水性能を向上させるためには、例えば、吸水処理剤を使用して行うことができる。この吸水処理剤は、編地編成前の繊維の段階で使用してもよいし、編地を染色加工する際や仕上加工時に使用してもよく、編地内部にまで浸透できれば、塗布方法も特にこだわらない。吸水処理剤としては、例えば、適量の高松油脂株式会社製SR−1000を使用することができる。ここで、吸水性能が向上しているとは、当該繊維糸条を用いた編地上に水滴を垂らし、丸くなった水滴と編地が接触する角度が30度よりも小さくなる場合を指している。ちなみにフライパンなどの表面処理に使われている撥水素材の接触角度は約110度といわれている。なお、接触角度の測定方法はθ/2法による。即ち、液滴の左右端点と頂点を結ぶ直線の固体表面に対する角度から求める方法である。この方法は、液滴が球の一部であることを前提にしているため、重力の影響を無視できる液滴量で測定し、分度器にて直読することにより測定できる。
【0028】
編地を染色加工、又は仕上加工する際には吸水処理剤の他に抗菌剤や帯電防止剤等を併用して使用することもできる。
【0029】
本発明の編地には染色加工(精練、染色、柔軟仕上等を含む)を施している。又、特に断りの無い限り、各測定データは、染色加工後の編地についての測定値を示している。
【0030】
本発明の編地は、通常の編地と同様、繊維製品の素材として用いられて、繊維製品を与える。具体的には、下着、肌着、スポーツ衣料、防寒衣料等様々な繊維製品が提供される。PP繊維は熱伝導性が小さいため、内層にPP繊維を含む糸条で構成することにより、この編地を用いた繊維製品は着用者に温かさを与え、冷え感が小さい。汗は肌面側のPP繊維を含む糸条から接結糸条、外層に向けて編地内をとおり外面から放散することとなるため、乾燥しやすく着用者に快適感を与えることも可能となる。
【実施例】
【0031】
以下、実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、下記の実施例の性能は、以下の方法で測定した。
【0032】
(厚みの測定) JIS L 1018に準じて厚みを測定した。
【0033】
(保温率) 測定器「サーモラボ2(カトーテック(株)製)」にてドライコンタクト法により保温率を測定した。具体的には、一定の空気流れ(30cm/s)において、環境温度+10℃に設定した熱板から試験片(20×20cm)を介して放熱する熱放散速度(消費電力)を測定し保温率を求めている。保温率の数字が大きいほど保温性が高いと判定している。
【0034】
(吸水時間) 内層編地表面に純水0.2mlを滴下したとき、完全に浸透するまでの時間として吸水時間を測定した。出願人は、5秒以下を合格(実用に充分耐え得るレベル)と判定している。
【0035】
(吸水拡散面積) 内層編地表面に純水0.2mlを滴下した後、1分後の濡れ広がり面積(タテ×ヨコ)にて吸水拡散面積を測定した。出願人は、10cm2以上を合格(実用に充分耐え得るレベル)と判定している。
【0036】
(染色性) 染色加工(精練、染色、仕上等を含む)後の編地を外層側より目視により、染色性の評価を以下の基準で行った。
○ 染色されていない白い部分がほとんどない
△ 染色されていない白い部分が少しある
× 染色されていない白い部分が多い
【0037】
(実施例1)
1.内層 芯成分がポリプロピレン、鞘成分がポリエステルである芯鞘複合繊維(芯成分:鞘成分=5:5、繊度1.2dtex、繊維長38mm)を渦流法により紡糸した40S(英式綿番手)の紡績糸を用意した。
2.接結糸条、外層 ポリエステルマルチフィラメント糸(75デニール−36フィラメント、単繊維繊度2.1dtex)を用意した。
上記の構成で編地を得た。目付は132g/m2であった。得られた編地をプレセットし、その後精練処理、120℃で分散染色、還元洗浄を実施したあと、吸水仕上を施した。
【0038】
得られた編物の保温率を測定した。保温率は21.2%であった。この値は、コットン100%40S(英式綿番手)の紡績糸使いの同等品(ベア天竺編物、目付け129g/m2)の保温率19.2%に比べて暖かいことを示している。
【0039】
得られた編物の吸水時間は、1.8秒、吸水拡散面積は18.6cm2であり、いずれも合格と判定した。
【0040】
(実施例2)
1.内層 芯成分がポリプロピレン、鞘成分がポリエステルである芯鞘複合繊維(芯成分:鞘成分=5:5、繊度1.3dtex、繊維長38mm)をリング法により紡糸した50S(英式綿番手)の紡績糸を用意した。
2.接結糸条、外層 ポリエステルマルチフィラメント糸(75デニール−36フィラメント、単繊維繊度2.1dtex)を用意した。
上記の構成で編地を得た。目付は192g/m2であった。得られた編地を実施例1と同様の方法にて処理を行った。
【0041】
得られた編物の保温率を測定した。保温率は24.2%であった。この値は、コットン100%50S(英式綿番手)の紡績糸使いの同等品(ベア天竺編物、目付け199g/m2)の保温率19.1%と比べて暖かいことを示している。
【0042】
得られた編物の吸水時間は1.6秒、吸水拡散面積は20.2cm2であり、いずれも合格と判定した。
【0043】
(実施例3)
1.内層 ポリプロピレン(繊度1.3dtex、繊維長45mm)30%、アクリル(繊度1.0dtex、繊維長38mm)70%を混紡し、公知の紡績工程(リング法)により紡糸した50S(英式綿番手)の紡績糸を用意した。
2.接結糸条、外層 ポリエステルマルチフィラメント糸(75デニール−48フィラメント、単繊維繊度1.6dtex)を用意した。
上記の構成でダンボール編組織によって3層構造の編地を得た。目付は174g/m2であった。得られた編地をプレセットし、その後精練処理、110℃でカチオン染色(吸水処理剤を含む)、ソーピング、洗浄を実施した後、吸水仕上を施した。
【0044】
得られた編物の保温率を測定した。保温率は30.2%であった。この値は、コットン100%50S(英式綿番手)の紡績糸使いの同等品(ベア天竺編物、目付け199g/m2)の保温率19.1%と比べて暖かいことを示している。
【0045】
得られた編物の吸水時間は1.9秒、吸水拡散面積は18.6cm2であり、いずれも合格と判定した。
【0046】
(比較例1)
ポリプロピレン(繊度1.3dtex、繊維長45mm)100%をリング法により紡糸した50S(英式綿番手)の紡績糸とポリエステルマルチフィラメント糸(75デニール−48フィラメント、単繊維繊度1.6dtex)を用意し、天竺の編地を得た。目付は205g/m2であった。得られた編地に吸水仕上を施すことを除き、実施例1と同様の方法にて処理を行った。
【0047】
得られた編物の保温率を測定した。保温率は19.7%であったものの、染色性の評価が「×」であった。又、吸水時間は60秒以上、吸水拡散面積も0.9cm2でいずれも不合格と判定した。
【0048】
実施例1〜3、及び比較例1で得られた編地の目付、厚み、保温率、吸水時間、並びに吸水拡散面積の結果を表1に示す。
【0049】
(表1)
実施例1 実施例2 実施例3 比較例1
目付(g/m2) 132 192 174 205
厚み(mm) 0.42 0.52 0.46 0.68
保温率(%) 21.2 24.2 30.2 19.7
吸水時間(秒) 1.8 1.6 1.9 >60
吸水拡散面積(cm2) 18.6 20.2 18.6 0.9
染色性 ○ ○ ○ ×
【0050】
本発明の編地は、軽くて薄くても保温性を有したうえに吸水・速乾性能を有し、染色性にも優れた編地である。なお、実施例3で得られた編地にJIS L 0217 103法に準じて洗濯10回、30回施し、洗濯10回後、30回後の保温率、吸水時間並びに吸水拡散面積の測定結果を表2に示す。
【0051】
(表2)
洗濯10回後 洗濯30回後
保温率(%) 30.2 30.0
吸水時間(秒) 1.1 1.3
吸水拡散面積(cm2) 16.1 13.0
【0052】
本発明の編地は、洗濯10回後、30回後も保温率、吸水時間、吸水拡散面積について変わらず効果を奏するものである。
【0053】
(実施例4)
実施例3で得られた編地を用いて男性用肌着を作成した。
【0054】
実施例4の肌着も保温率、吸水時間、吸水拡散面積について表1、2記載と同等の効果を奏する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
肌側となる内層と、外層とこれらを繋ぐ接結糸条で構成された編地であって、
前記内層がポリプロピレン繊維を含む糸条で構成され、前記外層及び接結糸条が疎水性合成繊維糸条で構成された編地。
【請求項2】
前記編地表面に純水0.2mlを滴下したときの吸水時間が5秒以下、1分後の吸水拡散面積が10cm2以上である請求項1に記載の編地。
【請求項3】
前記編地が、ダブルフェイス編又はダンボール編である請求項1又は2に記載の編地。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の編地を用いた繊維製品。

【公開番号】特開2011−214212(P2011−214212A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−60580(P2011−60580)
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【出願人】(000002923)ダイワボウホールディングス株式会社 (173)
【出願人】(306024078)ダイワボウノイ株式会社 (11)
【Fターム(参考)】