説明

編物のアセンブリから成るプロテーゼと音波溶接によるプロテーゼの製造方法

本発明は、少なくとも2つの編物片を有するプロテーゼと、超音波溶接を実施するためにソノトロードを使用してこのプロテーゼを製造する方法とに関わる。このプロテーゼは、少なくとも1つの第1の編物片と、少なくとも1つの第2の編物片とを有しており、これら編物片は、これら第1及び第2の編物片の少なくとも一部が互いに重ね合わされている接合部に位置されており、複数の溶接部によって一緒に溶接されている。前記第1及び第2の編物片の各々は、前記第1及び第2の方向A、Bにそれぞれ延びているグループの糸を有しており、これら方向A、Bは、前記接合部で互いにほぼアラインメントされていることと、前記接合部の溶接点は、前記方向A、Bとアラインメントされた長軸を有する細長い形状であることとを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも2つの編物から成るプロテーゼと、超音波溶接を実施するようにソノトロードを使用してプロテーゼを製造する方法とに関わる。
【背景技術】
【0002】
種々の外科手術が、編物のインプラントの使用を要する。多くの場合、このような編物のインプラントの中心部分が、臓器の領域に配置されるように意図されており、臓器を支持するように、これら臓器に接し得、一方で外側部分が、例えば腹壁、閉鎖膜、仙坐骨の靱帯もしくは恥骨のような安定した解剖要素に、例えばステープル、縫合、単純な組織固定によって取着される。
【0003】
周知の方法では、このような編物のインプラントは、種々の条件を満たさなければならない。特に、各編物のインプラントは、少なくとも2つの方向に適切な機械的強度を有していなければならず、また、生物学的適合性と可撓性とを有し、そして所定の弾性を示さなければならない。このような編物のインプラントは、好ましくは、臓器を支持している中心部で、多孔性且つ非攻撃的でなければならない。更に、多くの場合、このような編物のインプラントは、互いに縫合され得るものでなければならない。多孔性は、組織の定着を助長するために、及び/もしくは、前記編物のインプラントが、インプラントされている有機体中に受け入れられ得るようにするために、必要である。最後に、根本的に重要なことは、このような編物のインプラントがインプラントされる患者の解剖領域に適合することである。
【0004】
前記編物のインプラントの形状をインプラント位置の解剖に一致するように適合させるために、複数の編物片の集合体の形態でこのインプラントを形成することが、必要であり得る。例えば、特許文献1に開示されているプロテーゼの編物の場合、編物片を一緒に縫合することによってこのようなアセンブリを形成することが、周知の実施である。
【0005】
このような縫合は、一般的に、操作者によって手で縫われ、このことは、縫合の破壊強度の観点で、常に十分な再現可能性を得られるとは限らない。いまや、外科的使用のためのいかなる材料のように、十分な再現可能性を有する編物のインプラントの機械的特性が明確に規定されることが、重要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】WO01/81667
【発明の概要】
【0007】
本発明の課題は、プロテーゼの編物の特定の必要条件を満たす編物のインプラント、即ち上述のように、多孔性であり且つ特に前記破壊強度の観点で機械的特性の良好な再現可能性を確実にする製造方法によって形成され得る編物のインプラントを形成することである。また、より短い製造時間とより低い製造コストとによって形成される編物のインプラントを提供することが、更なる課題である。
【0008】
本発明は、少なくとも1つの第1の編物片と、少なくとも1つの第2の編物片とを有するプロテーゼであって、これら第1及び第2の編物片は、接合部に位置されている複数の溶接部によって一緒に溶接されており、前記接合部では、前記第1の編物片の少なくとも一部と前記第2の編物片の少なくとも一部とが、互いに重なり合わされており、前記第1の編物片は、第1の方向Aに延びている第1のグループの糸を有し、前記第2の編物片は、第2の方向Bに延びている第2のグループの糸を有している、プロテーゼにおいて、前記第1及び第2の方向A、Bは、前記接合部で互いにほぼアラインメントされており、前記接合部の溶接部の各々は、前記第1及び第2の方向A、Bとアラインメントされた長軸を有する細長い形状を有していることを特徴とする、プロテーゼを提案する。
【0009】
本発明に係るプロテーゼは、前記溶接部の長軸を前記方向A、Bとアラインメントさせることが前記溶接部に沿った材料の均一な分配を確実にするので、破壊強度に関して良好な再現可能性を示す。このような配置は、プロテーゼが引張強度を受けたときに負荷を良好に分配させるために重要となる前記溶接部の形状を制御することを、容易にする。また、本発明に係るプロテーゼは、分離した溶接部による集合体が前記接合部の多孔性を失うことを防ぐので、有機体の中の適合性に適合する前記接合部中の多孔性と可撓性とを保持する。このようなプロテーゼは、前記第1及び第2の編物片が編まれた縫い目によって組み合わせられている同様のプロテーゼと比較して短い製造時間と低い製造コストとで、形成される。
【0010】
また、本発明は、溶接、特に超音波溶接によって固定された少なくとも2つの編物片を有する編物のインプラントに関わる。本発明の編物片は、例えば鼠径ヘルニアを治療するように意図されており少なくとも局所的に重ね合わされている2つの組織切片(flaps)を形成しているプロテーゼの編物であり得る。
【0011】
本発明の一実施形態で、前記溶接部は、前記接合部で互いに離間されており、このような隙間があることによって、前記接合部の可撓性を維持することができる。前記接合部の可撓性は、分離された溶接部の数を増やすことによって高められ得る。
【0012】
本発明の一実施形態では、前記第1のグループの糸は、少なくとも1つの第1の鎖編部を形成している。
【0013】
本発明の一実施形態では、前記第2のグループの糸は、少なくとも1つの第2の鎖編部を形成している。
【0014】
本発明の一実施形態では、前記第1及び第2のグループの糸は、少なくとも1つの第1の鎖編部と、少なくとも1つの第2の鎖編部とを形成しており、前記第1及び第2の鎖編部の鎖編は、それぞれ互いに重ね合わされている。そして好ましくは、前記第1及び第2の鎖編部の鎖編間の隙間が、互いに重ね合わされている。前記第1及び第2の鎖編部の鎖編を互いに重ね合わせて配置することは、2つの編物片をアラインメントして配置することと、前記鎖編の領域の材料の密度を部分的に高めることとを容易にする。前記材料の部分的に高められた密度は、溶接をより容易にする。かくして形成された溶接部は、これらの破壊強度の観点で、良好な再現可能性を有している。
【0015】
本発明のこの実施形態では、好ましくは、前記第1の鎖編部の少なくとも1つの鎖編と、前記第2の鎖編部の少なくとも1つの鎖編とが、前記接合部で一緒に溶接されている。
【0016】
種々の実施形態では、前記第1及び第2の編物片の鎖編の全てが前記接合部で一緒に溶接されているのではなく、従って、前記編物片の各々の少なくとも1つの鎖編は、前記溶接部のうち1つに含まれない。このことは、前記接合部での前記プロテーゼの良好な可撓性を維持することを可能にする。
【0017】
本発明の一実施形態では、前記溶接は音波溶接、特に超音波溶接である。本適用では、「音波」もしくは「超音波」は、20000Hzと同等かこれ以上の周波数を有する振動(即ち振幅)を意味する。前記音波溶接、特に超音波溶接は迅速に行われ、縫い目を縫合することと比較して時間を削減させ得る。更に、音波溶接、特に超音波溶接は、しばしば患者を不快にさせる材料のいかなる追加も防ぐことを可能にする。
【0018】
本発明の一実施形態では、前記第1及び第2の編物片は、更に、前記接合部以外の領域で重ね合わせられ得、前記第1及び第2の編物片は、体内の管もしくはダクトの通路に適したオリフィスを規定し得る。本発明に係るプロテーゼは、例えば鼠径ヘルニアの治療に適している。
【0019】
本発明の一実施形態では、少なくとも第2の編物片は、これの1つの面に、突出したピコットブリストルが設けられており、これらピコットブリストルは、第2の編物片に外側のプラッシュループステッチを形成して、これらプラッシュループの糸を部分的に融解することによって、得られる。このようなピコットブリストルは、操作者が2つの編物片を一緒に接合しなければならないような追加の動作を省き、かくして位置付けをより速く簡単に且つ堅実にする効果を有する。
【0020】
本説明は、特に20000Hzと同等かこれ以上の振動によって、台と組み合わせて少なくとも2つの編物片とを一緒に接合するように意図されているソノトロードに関わる。このソノトロードは、溶接の際に前記編物片を押圧するように意図されている接触面を有しており、この接触面は、各々細長い形状であり互いに平行である複数のレリーフを有している。このようなソノトロードは、溶接部を前記グループの糸に沿って形成することを可能にする。
【0021】
前記ソノトロードの一実施形態では、前記レリーフは、全てが同じ幅を有しており、また全てが均一な隙間によって互いに離間されている。そして好ましくは、前記第1の鎖編部の少なくとも1つの鎖編と前記第2の鎖編部の少なくとも1つの鎖編とが一緒に溶接され、また、前記接合部の可撓性を維持するように前記溶接部がこの接合部で互いに離間されている、プロテーゼを形成することが可能であるように、前記レリーフの幅と前記レリーフの隙間とが、好ましくは選択される。
【0022】
最後に、本発明は、また、ソノトロードと台とを使用して本発明に係るプロテーゼを製造する方法であって、前記ソノトロードは、前記台と組み合わせて少なくとも2つの編物片を一緒に溶接するように意図されており、前記ソノトロードは、溶接の際に前記編物片に押圧するように意図されている接触面を有しており、この接触面は、各々が細長い形状であり互いに平行である複数のレリーフを有している、前記製造する方法は、
a)前記第1の編物片の少なくとも一部分と前記第2の編物片の少なくとも一部分とが接合部で互いに重なり合うように、これら第1及び第2の編物片を前記台に配置することと、
b)前記第1及び第2の編物片を前記台と前記ソノトロードとの間でクランプするように、前記ソノトロードの接触面を前記接合部に押圧することと、
c)前記接合部に圧力を同時に与えることと、前記ソノトロードに所定の超音波周波数で振動を与えることとを含む、方法に関わる。
【0023】
特に、工程a)は、前記第1及び第2の編物片は、これらのそれぞれのグループの糸のそれぞれの方向A、Bが互いにほぼアラインメントされるように、位置される。
【0024】
かくして、本発明に係る方法は、2つの編物片の集合体を有するプロテーゼの破壊強度に関して、再現可能性を向上させることができる。また、このような方法は、前記編物片が縫合されている集合体とは異なり、実施する操作者の高価な訓練を避けることを可能にする。
【0025】
本出願者は、編まれた縫い目によって前記編物片を組み合わせるために必要な時間と比較して、前記編物片を組み合わせるために操作者に必要な時間を半分にすることに成功している。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1は、プロテーゼの構造と形状とを示すために、取り出された第2の編物片を有する本発明に係るプロテーゼの斜視図である。
【図2】図2は、図1に示されているプロテーゼの接合領域の概略図である。
【図3】図3は、図2に示されている接合領域の詳細図である。
【図4】図4は、本発明の方法に適したソノトロードの斜視図である。
【図5】図5は、図2に示されているソノトロードの接触面の正面図である。
【図6】図6は、本発明に係るプロテーゼを本発明の方法によって形成するために互いに溶接されるように意図されている編物片の配置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明は、概略的に示している添付の図面を参照して、非制限的な例によって為される説明を使用して明確に理解される。
【0028】
図1は、本発明に係るプロテーゼ100を斜視図で示している。このプロテーゼは、第1の編物片101を有しており、この編物片101は、第1の鎖編部(pillar stitch weave)を形成しており且つ矢印Aによって示された第1の方向に延びている第1のグループの糸102を、有している。このプロテーゼ100は、第2の編物片103を有しており、この編物片103は、第2の鎖編部を形成しており且つ矢印Bによって示された第2の方向に延びている第2のグループの糸104を、有している。例えば、前記グループの糸102、104は、鎖編部を形成している。編物の分野で一般的な編み方である鎖編と、これらを行うための方法とは、本分野の当業者によく知られている。従って、これらは以下に詳しく説明されない。本発明に係るプロテーゼ100を形成している糸と、特に、第1及び第2のグループの糸102、104とは、いかなる生物学的適合性の材料によっても形成され得る。本発明の例示的な一実施形態では、前記プロテーゼ100を形成している糸の少なくともいくつかは、ホットメルト材料によって形成されている。このプロテーゼの糸のために使用され得るホットメルト材料の例は、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリ乳酸、また、これらの組み合わせである。
【0029】
前記第1及び第2の編物片101、103は、これらが部分的に重ね合わせられている接合部105で、互いに接合されている。これら第1及び第2の編物片101、103は、これらが前記接合部105以外の領域で部分的に重ね合わせられるように、組み合わされている。前記プロテーゼ100は、例えば、鼠径ヘルニアの治療に適した形状であり、この理由のために、プロテーゼ100がインプラントされる場合、精索の通路のためのスロット106とオリフィス107とを有している。前記第2の編物片103の、前記第1の編物片101に接するように意図されている面108には、突出したピコットブリストル109が設けられており、これらピコットブリストル109は、第2の編物片103に外側のプラッシュループステッチを形成してこれらプラッシュループの糸を部分的に融解することによって、得られる。このようなピコットブリストルを得る1つの方法が、例えばWO01/81667Aに開示されている。このようなピコットブリストル109は、前記ステッチで、また前記第1の編物片101の編物の糸間に係合し、かくして、前記第2の編物片103を第1の編物片101にロックするように、意図されている。
【0030】
図2は、図1に示されているプロテーゼ100の接合部105の概略図である。前記第1及び第2の編物片101、103は、前記接合部105に設けられている複数の互いに平行な溶接部110によって、一緒に組み合わされている。前記第1及び第2の編物片101、103は、前記第1の方向Aと第2の方向Bとが前記接合部105でほぼアラインメントされるように、組み合わされている。好ましくは、前記第1の鎖編部の鎖編は、前記第2の鎖編部の鎖編と重ね合わされている。前記溶接部は、細長い形状であり、これらの長軸は、前記第1及び第2の方向A、Bにアラインメントされており、またこれらは、前記接合部105の可撓性を維持するために、前記接合部全体に渡って、例えば均一な間隔によって互いに離間されている。前記溶接部の配置は、前記第1の鎖編部の少なくとも1つの鎖編と前記第2の鎖編部の少なくとも1つの鎖編とが前記接合部で一緒に溶接されるように、設定されている。好ましくは、前記第1及び第2の編物片101、103の鎖編は、全てが前記接合部で一緒に溶接されているのではなく、従って、各編物片101、103の少なくとも1つの鎖編、いくつかの実施形態では複数の鎖編、例えば前記全鎖編の10%から50%は、前記溶接部110の1つに含まれない。このことは、前記接合部105での可撓性を維持することを可能にする。かくして本出願人は、このプロテーゼ100の引裂強度が、溶接部110の代わりに編まれた縫い目が使用されているプロテーゼと比べて、より再現可能であり再生産可能であると、判断している。
【0031】
前記接合部105の拡大された概略図である図3は、前記接合部105に形成された前記溶接部110の離間によって保護されている複数のピコットブリストル109を示している。これらピコットブリストル109が存在することによって、前記接合部105でも、編物片103のグリップの性質を保持する効果がある。また、図3は、このプロテーゼ100が、複数の開口部111を有していることによって前記接合部105の溶接されていない糸間の孔、即ち隙間を維持する。このような多孔性は、前記接合部105でさえも細胞の定着を可能にするプロテーゼの性能を維持する。
【0032】
図4は、本発明の製造方法に適したソノトロード200の部分図である。このソノトロード200は、例えばチタンによって形成された本体201を有している。この本体は、これの一端部に、複数のレリーフ203を備えた、例えば矩形の接触面202を有している。図4が示すように、前記レリーフ203は、細長い形状、例えば矩形であり、互いに平行である。好ましくは、前記レリーフ203の長軸の方向が、前記ソノトロード200の前記接触面202の長軸の方向に直交するように選択されている。前記ソノトロード200は、互いに均一に離間されている複数のレリーフ203を有している。前記ソノトロードを使用して形成される溶接部110は、前記編物と前記レリーフ203との間での接触によって形成されるものである。この結果、前記複数の溶接部110は、前記レリーフ203とほぼ同じ形状と同じ間隔とを有している。
【0033】
図5は、接触面202の正面図であり、本発明の例示的な実施形態のために、前記接触面202及び前記レリーフ203のディメンションを示している。かくして、前記ソノトロード200は、幅aを有し間隔bによって均一に離間されている複数のレリーフ203を備えた、幅c、全長dを有する矩形の接触面202を有している。例えば、パラメータaは1mm、パラメータbは2.5mm、パラメータcは8mm、パラメータdは36mmの値をそれぞれ有している。パラメータaの値は、1つの同じ編物片の近接した2つの鎖編が同じ前記溶接部110に含まれるのを防ぐように、選択されている。
【0034】
図6は、本発明に係る方法が、台300と一緒に本発明に係るソノトロード200を使用して実施される様子を示している。この台300は、例えばアルミニウムによって形成されており、プロテーゼ100を製造するために編物101、103の2つの片を組み合わせるために設けられる。第1の編物片101と第2の編物片103とは、接合部105で互いに重ねて配置されており、これらの片のそれぞれのグループの糸のそれぞれの方向A、Bが互いにほぼアラインメントされるように、前記台300の上に配置されている。前記ソノトロードの接触面202は、前記接合部105に対して垂直にアラインメントされて、この接合部105に接触される。前記編物片101、103と前記接触面との相対的な配置は、前記レリーフ203が、形成される前記溶接部110の選択された位置に垂直にアラインメントされるように、選択される。かくして、前記ソノトロード200が前記接合部105に接触されると、前記レリーフ203は、前記溶接部110の所望の位置に合わせられる。好ましくは、長さa、b、c、dと前記配置とは、前記レリーフ203が、従って前記溶接部110が、前記編物片101、103の少なくとも1つの鎖編に一致するように、選択される。このような部材の相対的な配置を容易にするために、前記台300は、例えば、予め規定された窪んだ形状もしくは隆起した形状を有しており、この結果、前記編物片101、103は、前記レリーフ203に対して精度良く配置される。
【0035】
本発明に係る方法を実施するために、前記第1及び第2の編物部分(101、103)は、前述のように前記台300の上に配置され、そして前記ソノトロード200の前記接触面202は、前記接合部105に一致される。そして、圧力が、前記ソノトロードと前記台300との間に与えられる。そして、所定の超音波周波数で与えられる機械の振動が、前記ソノトロード200に与えられる。関連するエネルギーが、前記編物片(101,103)の繊維の局地的な融解によって複数の溶接部110を形成することを、可能にする。本発明に係る方法を適用するために、組み合わされる前記編物片に含まれる糸の少なくともいくつかは、ホットメルトの糸であることが、好ましい。前記編物片の糸のために使用され得るホットメルト材料の例は、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリ乳酸、これらの混合物である。
【0036】
最後に、前記ソノトロード200は、持ち上げられ、この結果、溶接部110によって組み合わせられている編物片(101、103)を有するプロテーゼ100は、元の状態に戻される。
【0037】
このようにして、多孔性を示すプロテーゼが、形成される。言い換えると、このプロテーゼは、開口部111即ち隙間と、外科的使用に適した可撓性とを有し、更にこのプロテーゼは、機械的特性の観点、特に引裂強度の観点で良好な再生可能性を確実にする方法によって製造され、また、編まれた縫い目によって組み合わされている同様のプロテーゼを製造する方法と比較して、製造時間を減縮する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの第1の編物片(101)と少なくとも1つの第2の編物片(103)とを具備するプロテーゼ(100)であって、これら第1及び第2の編物片(101、103)は、接合部(105)に位置されている複数の溶接部(110)によって一緒に溶接されており、前記接合部では、前記第1の編物片(101)の少なくとも一部と前記第2の編物片(103)の少なくとも一部とが、互いに重ね合わされており、前記第1の編物片(101)は、第1の方向Aに延びている第1のグループの糸(102)を有し、前記第2の編物片(103)は、第2の方向Bに延びている第2のグループの糸(104)を有している、プロテーゼ(100)において、
前記第1の方向Aと前記第2の方向Bとは、前記接合部(105)で互いにほぼアラインメントされており、前記接合部の前記溶接部(110)の各々は、前記第1及び第2の方向A、Bとアラインメントされた長軸を有する細長い形状を有していることを特徴とする、プロテーゼ(100)。
【請求項2】
前記複数の溶接部(110)は、前記接合部(105)で、互いに離間されていることを特徴とする請求項1に記載のプロテーゼ(100)。
【請求項3】
前記第1のグループの糸(102)は、少なくとも1つの第1の鎖編部を形成していることを特徴とする請求項1又は2に記載のプロテーゼ(100)。
【請求項4】
前記第2のグループの糸(104)は、少なくとも1つの第2の鎖編部を形成していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1に記載のプロテーゼ(100)。
【請求項5】
前記第1及び第2のグループの糸(102、104)は、少なくとも1つの第1の鎖編部と少なくとも1つの第2の鎖編部とを形成しており、前記第1及び第2の鎖編部の鎖編は、互いに重なり合っていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1に記載のプロテーゼ(100)。
【請求項6】
前記第1及び第2の鎖編部の鎖編間のそれぞれの隙間が、互いに重なり合っていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1に記載のプロテーゼ(100)。
【請求項7】
前記第1の鎖編部の少なくとも1つの鎖編と、前記第2の鎖編部の少なくとも1つの鎖編とは、前記接合部で一緒に溶接されていることを特徴とする請求項5又は6に記載のプロテーゼ(100)。
【請求項8】
前記第1及び第2の編物片(101、103)の前記鎖編の全てが前記接合部で一緒に溶接されているのではなく、従って、前記編物片(101、103)の各々の少なくとも1つの鎖編は、前記溶接部(110)の1つに含まれないことを特徴とする請求項7に記載のプロテーゼ(100)。
【請求項9】
前記溶接は、音波溶接、特に超音波溶接であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1に記載のプロテーゼ(100)。
【請求項10】
前記第1及び第2の編物片(101、103)は、前記接合部(105)以外の領域で互いに重ね合わされていることと、前記第1及び第2の編物片(101、103)は、体内の管、即ちダクトに適したオリフィスを規定していることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1に記載のプロテーゼ(100)。
【請求項11】
少なくとも前記第2の編物片(103)は、これの1つの面(108)に、複数の突出したピコットブリストル(109)を有しており、これらピコットブリストル(109)は、前記第2の編物片(103)に外側のプラッシュループステッチを形成して、前記プラッシュループの糸を部分的に融解することによって得られることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1に記載のプロテーゼ(100)。
【請求項12】
ソノトロード(200)と台(300)とを使用して請求項1乃至11のいずれか1に記載のプロテーゼ(100)を製造する方法であって、前記ソノトロード(200)は、前記台(300)と組み合わせて、少なくとも2つの編物片(101、103)を一緒に溶接するように意図されており、前記ソノトロード(200)は、溶接の際に前記編物片(101、103)を押圧するように意図されている接触面(202)を有しており、この接触面(202)は、各々が細長い形状であり互いに平行である複数のレリーフ(203)を有している、前記製造する方法は、
a)前記第1の編物片(101)の少なくとも一部分と前記第2の編物片(103)の少なくとも一部分とが接合部(105)で互いに重なり合うように、これら第1及び第2の編物片(101、103)を前記台(300)に配置することと、
b)前記第1及び第2の編物片(101、103)を前記台(300)と前記ソノトロード(200)との間でクランプするように、前記ソノトロード(200)の接触面(202)を前記接合部(105)に押圧することと、
c)前記接合部(105)に圧力を同時に与えることと、前記ソノトロード(200)に所定の超音波周波数で振動を与えることとを含む、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−501778(P2012−501778A)
【公表日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−526593(P2011−526593)
【出願日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際出願番号】PCT/IB2009/007031
【国際公開番号】WO2010/029438
【国際公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(505453631)
【Fターム(参考)】