説明

緩み止めナット

【課題】 締結の最終段階でナット自体に緩み止め作用を生じさせる内部応力が蓄積されるようにすることで締め付け作業の効率化を図ることができるとともに、シングルナットでありながら大きな緩み止め作用を発揮することができ、かつ繰り返し使用にも耐えるものを提供する。
【解決手段】 内周面にネジ孔2が設けられたナット本体部3と、該ナット本体部3の底部に一体成形された座金部4とを備えるナットにおいて、座金部4の底面を径方向内方に至るにしたがって凹む凹面となし、本体部3と座金部4との間の外周面に、ナット締結時に座金部4の底面が平坦となる方向に座金部4が弾性変形することを許容する凹溝5を周方向に沿って形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緩み止めナットに関する。
【背景技術】
【0002】
本願発明者は、Uナットやハードロックナット(登録商標)など、代表的な緩み止めナットの発明者でもある。Uナットはシングルナットであるため利便性が高いが、十分な緩み止め作用を発揮できない。一方、ハードロックナットは偏心凹凸嵌合する上下ナットのくさび効果によって極めて強力な緩み止めを行い得るものであるが、施工が煩雑であるとともに重量が大きくなるという欠点を有している。
【0003】
シングルナットでありながら大きな緩み止め作用を発揮することができ、かつ繰り返し使用にも耐えるものが要望されている中、本願発明者は、特許文献1に記載の緩み止めナットを開発し、製造販売している。
【特許文献1】特開平10−286649
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の緩み止めナットも実用性が高いものではあるが、六角ナット部の上部に円錐台形状のかしめ部が存在するためナット全高が比較的高くなり、狭小な場所への取り付け性が良好ではないとともに、ボルトへの螺合初期からトルクが発生するプリベリングトルクナットの一種であるため、ナット締結作業に手間を要する。
【0005】
そこで、本発明は、締結の最終段階でナット自体に緩み止め作用を生じさせる内部応力が蓄積されるようにすることで締め付け作業の効率化を図ることができるとともに、シングルナットでありながら大きな緩み止め作用を発揮することができ、かつ繰り返し使用にも耐えるものを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成するために、次の技術的手段を講じた。
【0007】
即ち、本発明の緩み止めナットは、内周面にネジ孔が設けられたナット本体部と、該ナット本体部の底部に一体成形された座金部とを備え、該座金部の底面は径方向内方に至るにしたがって凹む凹面となされ、本体部と座金部との間の外周面には、ナット締結時に座金部の底面が平坦となる方向に座金部が弾性変形することを許容する凹溝が周方向に沿って形成されていることを特徴とするものである。これによれば、ナット本体部に一体成形した座金部の底面を凹面として該座金部の上部に凹溝を形成しているので、座金部底面が平坦となる方向に変形可能であり、かかる変形は恰もナット本体部を内周側下方に巻き込むようになるため、変形時にはナット本体部にも大きな内部応力が蓄積されて、これにより大きな緩み止め作用を発揮し得る。
【0008】
上記本発明において、座金部の底面の外周縁に対する内周縁の高さは、座金部の外径の2〜5%であることが好ましい。また、前記凹溝は全周にわたって連続して設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、締結の最終段階でナット自体に緩み止め作用を生じさせる内部応力が蓄積されるようにすることで締め付け作業の効率化を図ることができるとともに、シングルナットでありながら大きな緩み止め作用を発揮することができ、かつ繰り返し使用にも耐えるものを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0011】
図1及び図2は本発明の一実施形態に係る緩み止めナット1を示しており、該ナット1は、内周面にネジ孔2が設けられたナット本体部3と、該ナット本体部3の底部に一体成形された座金部4とから主構成されている。ナット本体部3は六角ナットの他、工具を装着可能な種々の形状であってよい。座金部4は全体として平板ドーナツ状を呈しており、座金部4の外径はナット本体の外接円の径よりも大きく、また、座金部4の内径は、ナット本体部3のネジ孔2の外径とほぼ等しい。
【0012】
座金部4の底面は径方向内方に至るにしたがって凹む凹面となされ、座金部4の底面の外周縁に対する内周縁の高さは、座金部4の外径の2〜5%となされている。一方、座金部4の上面は平坦面に形成されている。
【0013】
ナット本体部3と座金部4との間の外周面には、ナット締結時に座金部4の底面が平坦となる方向に座金部4が弾性変形することを許容する凹溝5が周方向に沿って全周にわたって連続して形成されている。この凹溝5が外周に形成された部位はナット本体部3と座金部4とを一体的に結合する結合部6として機能し、座金部4とナット本体部3とが一体となって弾性変形するようにしている。結合部6の外径は、ナット本体部3の外周面の内接円よりも小さく、これにより、六角ナットの一側面よりも径方向内方に凹溝5が形成されるようにしている。
【0014】
さらに、結合部6の外径における座金部4の底面の高さh1よりも、座金部4の底面の内周縁の高さh2を高くすることにより、ナット締結の最終段階で結合部6の外径側では上方に押し上げられようとし、一方、結合部6の内径側では下方に押し下げられるように変形するため、僅かな変形量でもナット全体に多大な内部応力が蓄積され、大きな緩み止め効果が発揮される。
【0015】
本発明のナットはS45CやS50Cなどの炭素鋼からなるものとし、テンパ加工することによって素材自体に所定の弾性を付与することが好ましいが、従来公知の適宜の材料や製造方法によって製造可能である。その他、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、適宜設計変更できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係る緩み止めナットの四面図であり、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は右側面図、(d)は底面図である。
【図2】同ナットの縦断面拡大図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内周面にネジ孔が設けられたナット本体部と、該ナット本体部の底部に一体成形された座金部とを備え、該座金部の底面は径方向内方に至るにしたがって凹む凹面となされ、本体部と座金部との間の外周面には、ナット締結時に座金部の底面が平坦となる方向に座金部が弾性変形することを許容する凹溝が周方向に沿って形成されていることを特徴とする緩み止めナット。
【請求項2】
座金部の底面の外周縁に対する内周縁の高さは、座金部の外径の2〜5%であることを特徴とする請求項1に記載の緩み止めナット。
【請求項3】
前記凹溝は全周にわたって連続して設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の緩み止めナット。

【図1】
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【図2】
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