説明

緩衝作用を有するインソールおよびその製造方法

本発明は、履物の内底面に設けられて歩行中に地面から足裏に作用する衝撃力を緩和できるように構成される、緩衝作用を有するインソールおよびその製造方法を提供する。本発明による緩衝作用を有するインソールは、履物の内底面に設けられて歩行中に地面から足裏に作用する衝撃力を緩和可能な緩衝部材を備える。この種のインソールは、足底板を成形するステップと、この足底板の上面に生地を張り付けるステップと、緩衝部材を成形するステップと、成形された緩衝部材を足底板のかかと部の底面の上に圧着するステップおよび、裁断するステップと、を含む方法により形成される。本発明は、従来の技術とは異なり、足底板の底面において一体に設けられる構成を有することから、耐久性が向上して安定した緩衝作用を行い続けることが可能になる。加えて、緩衝部材が足底板の成形時に一体に成形されたり組み立てられ、この緩衝部材を熱融着により足底板の底面に取り付けることから、その製造が容易であり、しかも、バネが密閉された内側に安定して固定された組み立て構造を有することから、騒音発生の恐れがない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は緩衝作用を有するインソールおよびその製造方法に係り、さらに詳しくは、履物の内底面に敷設されて歩行中に地面から足裏へと作用する衝撃力を緩和することのできる、緩衝作用を有するインソールおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、靴、運動靴など各種の履物は、履物の外観を形成する甲皮と、地面と接地される外底(アウトソール)と、前記アウトソールの上側に設けられるミッドソール(甲皮と外底との中間クッション材)および足の底面と接触される中敷き(インソール)を備えている。そして、履物は、人間が活動する間には常時着用することを余儀なくされるため、衝撃を緩和させ、着用感を向上させると共に、衛生性を向上させるなど種々の機能が行われる必要がある。
特に、歩行中には外底から伝わる衝撃力により足が疲労し易くなり、酷い場合には筋骨格系の疾患を引き起こすため、この点に鑑み、より効率よく衝撃力を吸収可能な種々の履物が開発されている。これらの従来の技術には、大韓民国公開実用新案公報公開番号第87−12954号の「履物の緩衝装置」と、実用新案公報公告番号実1991−0001788号の「履物の外底」と、登録実用新案公報登録番号第20−0290570号の「衝撃緩衝装置を備えた履物」と、技術評価による訂正公告登録番号第20−0330641号の「衝撃緩和履物」と、登録実用新案公報登録番号第20−0343775号の「バネが内在された機能性履物」と、登録実用新案公報登録番号第20−0360286号の「空気循環式衝撃緩衝履物」と、登録実用新案公報登録番号第20−0374026号の「履物」と、登録実用新案公報登録番号第20−0261981号の「履物の衝撃吸収用のパッド構造」と、公開特許公報公開番号第10−2006−0069980号の「衝撃緩和機能性の健康指向履物用の緩衝装置」と、登録実用新案公報登録番号第20−0400116号の「緩衝装置を有する履物のミッドソール」などが提案されている。
しかしながら、これらの従来の技術は、緩衝構造が履物の製造時に一体に形成され、履物の固定構成品であるミッドソールまたは外底に取設されて衝撃吸収作用を行うようになっているため、このような緩衝構造が取設された履物全体を購入しなければ、利用することができないという不都合があった。
一方、緩衝構造が取設された特定の履物を購入せずとも、通常の履物に手軽に取り付けて緩衝作用を行うようにしたインソールが提案されている。
このようなインソールの従来の技術として、登録特許公報登録番号第10−0576381号の「インソール付き履物」が提示されているが、これによれば、インソールが配備されて歩行者の足を保護する履物において、前記インソールは相互連通するように穿孔された多数の通気孔およびこれらの通気孔に連通し、且つ、かかとが載置されるその底面に緩衝器収容溝が凹設されて履物の内部に敷設されるインソールパッドと、前記緩衝器収容溝に取り付けられて通気孔にエアーを供給するようにエアー注入孔が穿孔された伸縮性材質のケースおよびこのケースに内蔵されてかかとの衝撃力を吸収する弾性部材からなり、履物内部の通気性を維持するようにかかとの衝撃力を吸収してエアー注入孔を介して通気孔にエアーを供給する緩衝器から構成される。
しかしながら、このような従来の技術によれば、インソールは履物に選択的に内設された状態で弾性部材の作動によって衝撃力の緩衝機能が行われて歩行者の疲労を緩和させることができるという効果はあるが、緩衝作用を行う緩衝器が別設されてインソールパッド(足底板)の内部に埋め込まれる構造であるため、インソールパッドの製造工程において緩衝器を容易に設けることができず、ケースまたは弾性部材の破損に伴い履物の内部構造が損傷されたり身体の足裏部に傷が付いたりするという安全上の問題点がある。また、このような従来の技術によるインソールは、使用中に緩衝器がインソールパッドの緩衝器収容溝中で揺動され、緩衝器内部の弾性部材が作動しながらケースと摩擦されて騒音が発生するため、不快感が招かれるという問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】大韓民国公開実用新案公報公開番号第87−12954号
【特許文献2】実用新案公報公告番号実1991−0001788号
【特許文献3】登録実用新案公報登録番号第20−0290570号
【特許文献4】技術評価による訂正公告登録番号第20−0330641号
【特許文献5】登録実用新案公報登録番号第20−0343775号
【特許文献6】登録実用新案公報登録番号第20−0360286号
【特許文献7】登録実用新案公報登録番号第20−0374026号
【特許文献8】登録実用新案公報登録番号第20−0261981号
【特許文献9】公開特許公報公開番号第10−2006−0069980号
【特許文献10】登録実用新案公報登録番号第20−0400116号
【特許文献11】登録特許公報登録番号第10−0576381号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明は上記の従来の技術の問題点を解決するために提案されたものであり、その目的は、インソールの製造時に足底板の底面に一体に形成される緩衝部材を提供することにより、より安定した緩衝作用を提供し、製造し易さを提供可能な新規なタイプの緩衝作用を有するインソールおよびその製造方法を提供するところにある。
特に、本発明の他の目的は、インソールの製造に際し、足底板の成形過程においてバネおよびこのバネを支持する構造を一体に成形することにより、緩衝効果を奏すると共に、バネの支持が一層安定して行われる新規なタイプの緩衝作用を有するインソールおよびその製造方法を提供するところにある。
さらに、本発明のさらに他の目的は、このような従来の技術の問題点を解決するために緩衝部材を別途に製作するが、インソールの製作過程において高周波融着などの熱融着により緩衝部材を足底板に一体に形成することにより、安定した緩衝作用を提供すると共に、製造し易さを提供可能な新規なタイプの緩衝作用を有するインソールを提供するところにある。
特に、本発明のさらに他の目的は、足後部を支持するために設けられるヒールカップを緩衝部材のフレームに適用することにより、緩衝効果を持たせる新規なタイプの緩衝作用を有するインソールを提供するところにある。
さらに、本発明のさらに他の目的は、足裏の構造を考慮して緩衝部材を形成することにより、履物を介して加えられる衝撃を緩衝させると共に、足裏に円滑に伝達可能な新規なタイプの緩衝作用を有するインソールを提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した諸目的を達成するために、本発明の特徴によれば、本発明は、合成樹脂製の足底板110の上面に生地が張り付けられてなるインソールにおいて、歩行時に作用する荷重によって収縮および復元されながら衝撃力が吸収されるように弾性を有する合成樹脂材質から形成されて、前記足底板110のかかと部112の底面114の上に一体に設けられる緩衝部材10を備える。
本発明の緩衝作用を有するインソールにおいて、前記緩衝部材10は、前記足底板110の底面114から下方向に向かって突出され、側縁部に上下方向に収縮および復元される多数の蛇腹13を有するように前記足底板110の成形時に一体に成形される第1の突起12を備えてもよい。
本発明の緩衝作用を有するインソールにおいて、前記緩衝部材10は、前記第1の突起12の前側に前記足底板110の前方に向かって斜めに突出され、側縁部に上下方向に収縮および復元される多数の蛇腹15を有するように前記足底板110の成形時に一体に成形される第2の突起14を備えてもよい。
本発明の緩衝作用を有するインソールにおいて、前記緩衝部材10に上下方向に収縮および復元されるバネ19がさらに内設されるが、前記バネ19は、前記緩衝部材10の成形前に前記緩衝部材10内に位置して前記緩衝部材10の成形が行われることにより、前記緩衝部材10と一体に形成されてもよい。
本発明の緩衝作用を有するインソールにおいて、前記緩衝部材10は、上面から下方向に向かって多数の収容溝18が凹設され、前記多数の収容溝18とそれぞれ対応する位置において下面から下方向に向かって突起12、14が突設され、熱融着により前記足底板110の底面114に一体に取設されるフレーム11を備え、前記多数の収容溝18にそれぞれ嵌合されるバネ19をさらに備えてもよい。
本発明の緩衝作用を有するインソールにおいて、前記フレーム11は、前記多数の収容溝18が内側に位置するようにして上面から下方向に向かって前記多数の収容溝18の深さよりも低く凹設される主溝16を有し、前記緩衝部材10は、内側に前記バネ19が嵌まり込んで位置する嵌合孔22が穿設され、前記主溝16に嵌合されるサポータ20と、前記フレーム11の上面に取り付けられて前記バネ19を圧縮させる保持フレート30と、をさらに備えてもよい。
本発明の緩衝作用を有するインソールにおいて、前記緩衝部材10は、熱融着により前記足底板110のかかと部112の底面114上に一体に取着される受けフレート40と、前記受けフレート40と一体に成形され、前記受けフレート40の下面に突設される多数の突起12、14と、を備え、前記突起12、14の内部にそれぞれ嵌まり込んで一体に成形されるバネ19をさらに備えてもよい。
上述した目的を達成するために、本発明の他の特徴によれば、本発明は、合成樹脂製の足底板110の上面に生地が張り付けられてなるインソールにおいて、歩行時に作用する荷重によって収縮および復元されながら衝撃力が吸収されるように前記足底板110の底面114の上に一体に設けられる緩衝部材10を備えるが、前記緩衝部材10は、内側に上面から下方向に向かって主溝16が凹設され、前記主溝16の上から下方向に向かって多数の収容溝18が凹設され、前記多数の収容溝18とそれぞれ対応する位置において下面から下方向に向かって突起12’が突設され、合成樹脂材質から形成されて熱融着により前記足底板110のかかと部112の底面114に一体に取り付けられることにより足後部を支持するヒールカップ11’と、前記ヒールカップ11’の多数の収容溝18にそれぞれ設けられて前記ヒールカップ11’が前記足底板110の底面114に取り付けられることにより前記足底板110の底面114に支持されて前記足底板110を付勢するバネ19と、内側に前記バネ19が嵌まり込んで位置する嵌合孔22が穿設され、前記主溝16に嵌合され、弾性を有する合成樹脂材質から形成されて前記バネ19の周縁部を支持するサポータ20と、を備える。
上述した目的を達成するために、本発明のさらに他の特徴によれば、合成樹脂製の足底板の上に生地が張り付けられてなるインソールの製造方法において、底面に下方向に向かって突設される突起を有する緩衝部材を合成樹脂材質から成形するステップ(S520)と、前記足底板に前記緩衝部材を熱融着により圧着させるステップ(S530)と、を含む。
本発明による緩衝作用を有するインソールの製造方法において、前記緩衝部材を成形するステップは、前記突起内にバネを嵌合させるステップをさらに含んでもよい。
【発明の効果】
【0006】
本発明による緩衝作用を有するインソールおよびその製造方法によれば、緩衝作用を行う緩衝部材が足底板と一緒に成形されるか、あるいは、熱融着により足底板に一体に取り付けられることから、その使用中に離脱したり破損されることがない。加えて、従来の技術とは異なり、足底板の底面において一体に設けられる構成を有することから、従来の技術に比べて耐久性が向上して安定した緩衝作用を行い続けることが可能になる。加えて、緩衝部材が足底板の成形時に一体に成形されたり組み立てられてなる緩衝部材を熱融着により足底板の底面に取り付けることから、その製造が容易であり、しかも、バネが密閉された内側に安定して固定された組み立て構造を有することから、騒音発生の恐れがない。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】は、本発明の技術的思想による緩衝作用を有するインソールを示す斜視図であり、
【図2】は、本発明の好適な実施形態による緩衝作用を有するインソールを示す断面図であり、
【図3】は、本発明の他の好適な実施形態による緩衝作用を有するインソールを示す斜視図であり、
【図4】は、図3に示すインソールの構成要素の組み立て過程を示す図であり、
【図5】は、図3に示すインソールの構成要素の組み立て過程を示す図であり、
【図6】は、図3に示すインソールの構成要素の組み立て過程を示す図であり、
【図7】は、図3に示すインソールの構成要素の組み立て過程を示す図であり、
【図8】は、図3に示すインソールの構成要素の組み立て過程を示す図であり、
【図9】は、図3に示す緩衝作用を有するインソールの断面図であり、
【図10】は、本発明のさらに他の好適な実施形態による緩衝作用を有するインソールを示す斜視図であり、
【図11】は、図10に示す緩衝作用を有するインソールの分解斜視図であり、
【図12】は、図10に示す緩衝作用を有するインソールの断面図であり、
【図13】は、図10に示す緩衝作用を有するインソールの変形例を示す断面図であり、
【図14】は、足後部を保護するために用いられるヒールカップを適用して緩衝作用を持たせたインソールを説明するための斜視図であり、
【図15】は、足後部を保護するために用いられるヒールカップを適用して緩衝作用を持たせたインソールを説明するための斜視図であり、
【図16】は、足後部を保護するために用いられるヒールカップを適用して緩衝作用を持たせたインソールを説明するための斜視図であり、
【図17】は、ヒールカップが結合された状態を底方向から示す斜視図であり、
【図18】は、本発明の好適な実施形態による緩衝作用を有するインソールの製造方法を説明するための製造工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付の図2から図18に基づき、本発明の好適な実施形態を詳述する。図中、同じ機能を行う構成要素に対しては同じ参照番号を併記する。一方、各図面において、通常のインソールの構成要素および製造方法などの技術的な内容についての図示および詳細な説明は、この分野における通常の知識を持った者にとって容易に理解可能な部分であるため、簡略化または省略し、本発明と関連する部分を中心に図示及び説明を行う。
図2は、本発明の好適な実施形態による緩衝作用を有するインソールを示す断面図である。
図2を参照すると、本発明による緩衝作用を有するインソール100は、クッション作用を行うように形成された足底板110と、この足底板110の上面に張り付けられる生地と、足底板110のかかと部112底面114の上に下方向に向かって突出される緩衝部材10と、を備える。このとき、緩衝部材10は、足底板110の底面114から下方向に向かって突設される多数の第1の突起12と、これらの第1の突起12の前側に足底板110の前方に向かって斜めに突出される第2の突起14と、を備え、緩衝部材10の内部にはバネ19が嵌まり込んで一体に形成される。そして、第1の突起12および第2の突起14は側縁部に上下方向に収縮および復元される多数の蛇腹13、15が形成される。
この実施形態によるインソール100は、足底板110の成形時にバネ19を嵌め込んで一体に成形するものである。もちろん、この実施形態においては、詳細な説明は省略するが、この実施形態によるインソール100を形成するために様々な射出工法および発泡工法が適用可能である。例えば、二重射出工法を適用する場合、足底板110と緩衝部材10の材質または色相を異ならせて形成することができる。
この実施形態による緩衝作用を有するインソール100は、第1の突起12内にバネ19を嵌め込んで一体に形成(このとき、後述する本発明の他の好適な実施形態のように第2の突起14にバネ19を内設して形成してもよい)することにより、歩行時に地面から伝わる衝撃力を極力抑えることができるという効果がある。この実施形態によるインソール100は、第1の突起12の内部にバネ19が離脱されないように埋め込まれる構造であるため、従来の技術における歩行中にバネが離脱されたり破断されるという問題点が防止されて、安定した衝撃吸収作用を行い続けることが可能になる。そして、第1の突起12と第2の突起14は足底板110の製造過程において形成され、バネ19も緩衝部材10の第1の突起12と第2の突起14の成形過程において嵌まり込んで形成されるため、従来の技術に比べて一層安定した支持構造を持たせると共に、製造を容易に行うことができる。
図3は、本発明の他の好適な実施形態による緩衝作用を有するインソールを示す斜視図であり、図4から図8は、図3に示すインソールの構成要素の組み立て過程を順次に示す図であり、図9は、図3に示す緩衝作用を有するインソールの断面図である。
図3から図9を参照すると、本発明の他の好適な実施形態による緩衝作用を有するインソール100は、上述した実施形態と同様に、緩衝性を有する足底板110と、この足底板110の上面に張り付けられる生地と、足底板110のかかと部112の底面114の上に取設される緩衝部材10と、を備える。
この実施形態において、緩衝部材10は、フレーム11と、バネ19が載置される下キャップ17と、フレーム11の内側における緩衝作用効果を高めるサポータ20および保持フレート30を備える。このとき、緩衝部材10のフレーム11は、上面から下方向に向かって多数の収容溝18が凹設され、これらの収容溝18とそれぞれ対応する位置において下面から下方向に向かって多数の第1の突起12および第2の突起14が突設される。そして、第1の突起12および第2の突起14は、周縁に多数の蛇腹13、15を形成して歩行時に地面から伝わる衝撃を緩和させる。なお、このフレーム11には収容溝18が内側に位置するようにして上面から下方向に向かって収容溝18の深さよりも低く主溝16が凹設される。
一方、キャップ17は半球状に内部にバネ19が載置されるように溝を凹設し、緩衝部材10に内設された収容溝18に嵌まり込む。このキャップ17はバネ19を支持して相対的に弱い合成樹脂材質のフレーム11が破損されることを防止する。
また、サポータ20は、好ましくは、ポリウレタン(P.U)から形成して、相対的に強い高硬度のフレーム11に比べて内側における緩衝作用を高める。このサポータ20はフレーム11の収容溝18と対応する位置に嵌合孔22が穿設され、フレーム11の主溝16に取着されてバネ19を支持しながら緩衝作用を行う。このため、このサポータ20はフレーム11の主溝16と同じ形状を有し、主溝16の深さよりも小さな高さを有する。
一方、保持フレート30はフレーム11の上面に圧着されることにより、キャップ17、サポータ20およびバネ19の離脱を防止し、上面がインソール100の足底板110のかかと部112の底面114に圧着される。
このような構成要素を有する、本発明の実施形態による緩衝作用を有するインソール100の組立て関係を、図4から図8に基づいて説明する。先ず、図4に示す状態において、図5に示すように、フレーム11の上面から下方向に向かって凹設された多数の収容溝18にキャップ17がそれぞれ嵌合される。このようにキャップ17をフレーム11の収容溝18に嵌め込むことにより、バネ19によるフレーム11の破損を防止することができる。そして、図6に示すように、フレーム11の収容溝18にキャップ17が嵌合された状態において、主溝16にサポータ20を嵌め込む。そして、図7に示すように、サポータ20に穿設された嵌合孔22を介してバネ19を嵌め込んで、先に嵌合されたキャップ17に載置する。この状態において、図8に示すように、保持フレート30をサポータ20の上面に熱融着させる。最後に、このように構成された緩衝部材10を足底板110のかかと部112の底面114の上に圧着させることにより、図9に示す断面図と同じ結合状態を有するインソール100を完成する。
本発明の実施形態による緩衝作用を有するインソール100は、緩衝部材10を足底板110のかかと部112の底面114の上に圧着させる。
図10は、本発明のさらに他の好適な実施形態による緩衝作用を有するインソールを示す斜視図であり、図11は、図10に示す緩衝作用を有するインソールの分解斜視図であり、図12は、図10に示す緩衝作用を有するインソールの断面図であり、図13は、図10に示す緩衝作用を有するインソールの変形例を示す断面図である。
図10および図11を参照すると、本発明のさらに他の好適な実施形態による緩衝作用を有するインソール100は、緩衝性を有する足底板110と、足底板110の上面に張り付けられる生地と、足底板110のかかと部112の底面114の上に取設される緩衝部材10と、を備えてなる。
この実施形態において、インソール100における緩衝部材10は、足底板110のかかと部112の底面114の上に結合される受けフレート40と、この受けフレート40の下面に突出され、上下方向に多数の蛇腹13が形成される第1の突起12と、この第1の突起12の前側に足底板110の前方に向かって斜めに突出され、上下方向に多数の蛇腹15が形成される第2の突起14と、第1の突起12の内部に上下方向に収縮および復元可能に嵌まり込んで一体に形成されるバネ19と、を備えている。このとき、この実施形態における第1の突起12および第2の突起14は、歩行中に地面から伝わる衝撃力を吸収できるように弾性を有するポリウレタン(P.U)材質から形成され、受けフレートは緩衝作用に優れたEAV樹脂により発泡成形される。
この実施形態によるインソール100の緩衝部材10は、上述した実施形態とは異なり、受けフレート40の底面に第1の突起12と第2の突起14を一体に形成させる例を示すものであり、この実施形態においては、第1の突起12にバネ19を嵌め込んで形成する例を示している。このとき、バネ19を内蔵させる方法は、図12に示すように、バネ19だけを嵌め込むこともできるが、バネ19の安定した支持および金型内におけるバネ19の効果的な支持を両立させるために、図13に示すように、キャップ17をバネ19の下側に嵌め込んで形成することもできる。
図14から図16は、足後部を保護するために用いられるヒールカップを適用して緩衝作用を持たせたインソールを説明するための斜視図であり、図17は、ヒールカップが結合された状態を底方向から示す斜視図である。
図14から図17を参照すると、この実施形態によるインソール100は、図3から図9に基づいて上述した例とほとんど同様の構成を有するが、汎用されるホイールカップ11’をフレーム11に取り替えて適用する形態を示すものである。通常、ヒールカップ11’は、高硬度TPU、ナイロン、TPE、PVCなどの合成樹脂材質から形成されて足底板110の後側底面114に取り付けられることにより足後部をカップ状に受け止める構造を有する。この実施形態において、緩衝部材10は、このホイールカップ11’にバネ19、サポータ20’および補助サポータ50が設けられてなることを特徴とする。
このとき、ヒールカップ11’は、内側に上面から下方向に向かって主溝16が凹設され、この主溝16の上から下方向に向かって多数の収容溝18が凹設され、これら多数の収容溝18とそれぞれ対応する位置において下面から下方向に向かって突出された突起12’(図17参照)が底面114に一体に取り付けられることにより足後部を支持する。そして、バネ19はヒールカップ11’の多数の収容溝18にそれぞれ設けられてホイールカップ11’が足底板110の底面114に取り付けられることにより、足底板110の底面114に支持されて足底板110を付勢する。また、サポータ20は内側にバネ19が嵌まり込んで位置する嵌合孔22が穿設され、主溝16に嵌合され、弾性を有する合成樹脂材質から形成されてバネ19の周縁を支持する。さらに、この実施形態によれば、ヒールカップ11’において、主溝16の前側には上述した実施形態の第2の突起14(図3参照)と同様に下方向に突出される突起14(図17参照)が位置し、この突起14と対応する内側には収容溝52が凹設されて補助サポータ50が嵌合される。このとき、サポータ20および補助サポータ50はネオプレンまたはシリコンなどの高クッション力の材質から形成して緩衝効果を持たせる。
この実施形態によるインソール100の緩衝部材10は、上述した例とは異なり、高硬度のヒールカップ11’を採用して、ヒールカップ11’の内側において緩衝作用を行われるようにすることを特徴とする。このインソール100はヒールカップ11’の支持機能及び緩衝作用を高める機能を併せ持つというメリットがある。
そして、この実施形態によるインソール100は、ヒールカップ11’が設けられる前側に足裏緩衝部材60を設けて、かかとだけではなく、上足底に緩衝作用を作用させてもよい。この足裏緩衝部材60は、上述したホイールキャップ11’と同様に、バネ19’およびサポータ20’を支持するために収容溝64付き補助フレーム62を有し、バネ19’が嵌合される嵌合孔22’が穿設されたサポータ20’を使用することにより、緩衝部材10と同様の緩衝構造を持たせて上足底に加えられる衝撃力を緩和させる。
図18は、本発明の好適な実施形態による緩衝作用を有するインソールの製造方法を説明するための製造工程図である。
図18を参照すると、本発明の好適な実施形態による緩衝作用を有するインソールの製造方法は、足底板を成形するステップ(S500)と、この足底板の上面に生地を張り付けるステップ(S510)と、緩衝部材を成形するステップ(S520)と、成形された緩衝部材を足底板のかかと部の底面の上に圧着させるステップ(S530)および裁断するステップ(S540)を含んでなる。
ここで、上記の製造方法は、本発明の好適なインソール100において、図3から図9、図10から図13および図14から図17と結び付けて説明した実施形態と関連するものである。このとき、本発明の好適な実施形態においては、バネ19を含む形態で例示されている。
一方、図3から図9、図14から図17と関連する緩衝部材10は、別途に製作された各部品を組み立てた後、成形された緩衝部材を足底板のかかと部の底面上に圧着させるステップ(S530)を行うことにより製作される。
そして、図10から図13と関連する緩衝部材10は、半球状のキャップ17の溝に上下に収縮および復元されるように形成されたバネ19を縦方向に嵌め込んで組み立て、受けフレート40を形成するためのモールド(金型)に所定の間隔にて挿嵌し、ポリウレタン樹脂を注入して受けフレート40を形成すると共に、受けフレート40とバネ19付きキャップ17を一体化させて第1の突起12付き緩衝部材10を成形する。
そして、成形された緩衝部材10を足底板110のかかと部112の底面114の上に圧着させるステップは、受けフレート40の上面を足底板110のかかと部112の底面114の上に熱融着させるステップであり、この過程を経て緩衝部材12と足底板110は一体に形成されてインソール100を構成することになる。
以上、本発明の好適な実施形態による緩衝作用を有するインソールおよびその製造方法を上述の説明および図面に基づいて説明したが、これは単なる例示的なものに過ぎず、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内において種々の変形および変更が可能であるということは、この分野における通常の知識を有する者であれば理解できるであろう。
図1は、本発明の技術的思想による緩衝作用を有するインソールを示す斜視図である。
図1を参照すると、本発明による緩衝作用を有するインソール100は、合成樹脂材質から形成される足底板110と、この足底板110の上面に張り付けられる生地(参照番号なし)と、足底板110のかかと部112の底面114の上に設けられる緩衝部材10と、を備える。この緩衝部材10は、歩行時に作用する荷重によって収縮および復元されながら衝撃力が吸収されるように弾性を有する合成樹脂材質から形成されて、足底板110のかかと部112の底面114の上に一体に設けられる。一方、足底板110には種々のものが使用可能である。例えば、足底板110は種々の形状(六角形状、四角形状、蜂の巣の形状)の通風口を形成して衝撃を吸収および緩和させ、上下に通風を行うことにより足裏の汗を有効に除去する製品が提供されているが、本発明には、通常の足底板に加えて、種々の機能性足底板が適用可能である。
一方、本発明による緩衝作用を有するインソール100は、種々の技術を駆使して緩衝部材10を足底板110に一体に設けてなる。例えば、本発明による緩衝作用を有するインソール100は、図1および図2に示すように、緩衝部材10を足底板110の成形時に一体に形成する方法により製作可能であり、図3から図9、図10から図13または図14から図17に示すように、緩衝部材10を別途に成形し、別途に成形された足底板110に熱融着させて一体に形成する方法によっても製作可能である。特に、図14から図17に示すものは、通常、足底板110の底面114にヒールカップ11’を取り付けて使用するインソールを対象とするものであり、この場合、ヒールカップ11’にバネ19、サポータ20’および補助サポータ50を設けることを特徴とする。そして、図14から図17に示すように、かかとに加えて上足底を支持するように足裏緩衝部材60を付設してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0009】
本発明による緩衝作用を有するインソールおよびその製造方法によれば、緩衝作用を行う緩衝部材が足底板と一緒に成形されるか、あるいは、熱融着により足底板に一体に取り付けられることから、その使用中に離脱したり破損されることがない。加えて、従来の技術とは異なり、足底板の底面において一体に設けられる構成を有することから、従来の技術に比べて耐久性が向上して安定した緩衝作用を行い続けることが可能になる。加えて、緩衝部材が足底板の成形時に一体に成形されたり組み立てられてなる緩衝部材を熱融着により足底板の底面に取り付けることから、その製造が容易であり、しかも、バネが密閉された内側に安定して固定された組み立て構造を有することから、騒音発生の恐れがない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂製の足底板(110)の上面に生地が張り付けられてなるインソールにおいて、歩行時に作用する荷重によって収縮および復元されながら衝撃力が吸収されるように弾性を有する合成樹脂材質から形成されて、前記足底板(110)のかかと部(112)の底面(114)の上に一体に設けられる緩衝部材(10)を備えることを特徴とする、緩衝作用を有するインソール。
【請求項2】
前記緩衝部材(10)は、前記足底板(110)の底面(114)から下方向に突出され、側縁部に上下方向に収縮および復元される多数の蛇腹(13)を有するように前記足底板(110)の成形時に一体に成形される第1の突起(12)を備えることを特徴とする、請求項1に記載の緩衝作用を有するインソール。
【請求項3】
前記緩衝部材(10)は、前記第1の突起(12)の前側に前記足底板(110)の前方に向かって斜めに突出され、側縁部に上下方向に収縮および復元される多数の蛇腹(15)を有するように前記足底板(110)の成形時に一体に成形される第2の突起(14)を備えることを特徴とする、請求項2に記載の緩衝作用を有するインソール。
【請求項4】
前記緩衝部材(10)に上下方向に収縮および復元されるバネ(19)がさらに内設されるが、前記バネ(19)は、前記緩衝部材(10)の成形前に前記緩衝部材(10)内に位置して前記緩衝部材(10)の成形が行われることにより、前記緩衝部材(10)と一体に形成されることを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれかに記載の緩衝作用を有するインソール。
【請求項5】
前記緩衝部材(10)は、上面から下方向に向かって多数の収容溝(18)が凹設され、前記多数の収容溝(18)とそれぞれ対応する位置において下面から下方向に向かって突起(12、14)が突設され、熱融着により前記足底板(110)の底面(114)に一体に取設されるフレーム(11)を備え、前記多数の収容溝(18)にそれぞれ嵌合されるバネ(19)をさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載の緩衝作用を有するインソール。
【請求項6】
前記フレーム(11)は、前記多数の収容溝(18)が内側に位置するようにして上面から下方向に向かって前記多数の収容溝(18)の深さよりも低く凹設される主溝(16)を有し、前記緩衝部材(10)は、内側に前記バネ(19)が嵌まり込んで位置する嵌合孔(22)が穿設され、前記主溝(16)に嵌合されるサポータ(20)と、前記フレーム(11)の上面に取り付けられて前記バネ(19)を圧縮させる保持フレート(30)と、をさらに備えることを特徴とする、請求項5に記載の緩衝作用を有するインソール。
【請求項7】
前記緩衝部材(10)は、熱融着により前記足底板(110)のかかと部(112)の底面(114)上に一体に取着される受けフレート(40)と、前記受けフレート(40)と一体に成形され、前記受けフレート(40)の下面に突設される多数の突起(12、14)と、を備え、前記突起(12、14)の内部にそれぞれ嵌まり込んで一体に成形されるバネ(19)をさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載の緩衝作用を有するインソール。
【請求項8】
合成樹脂製の足底板(110)の上面に生地が張り付けられてなるインソールにおいて、歩行時に作用する荷重によって収縮および復元されながら衝撃力が吸収されるように前記足底板(110)の底面(114)の上に一体に設けられる緩衝部材(10)を備えるが、前記緩衝部材(10)は、内側に上面から下方向に向かって主溝(16)が凹設され、前記主溝(16)の上から下方向に向かって多数の収容溝(18)が凹設され、前記多数の収容溝(18)とそれぞれ対応する位置において下面から下方向に向かって突起(12’)が突設され、合成樹脂材質から形成されて熱融着により前記足底板(110)のかかと部(112)の底面(114)に一体に取り付けられることにより足後部を支持するヒールカップ(11’)と、前記ヒールカップ(11’)の多数の収容溝(18)にそれぞれ設けられて前記ヒールカップ(11’)が前記足底板(110)の底面(114)に取り付けられることにより前記足底板(110)の底面(114)に支持されて前記足底板(110)を付勢するバネ(19)と、内側に前記バネ(19)が嵌まり込んで位置する嵌合孔(22)が穿設され、前記主溝(16)に嵌合され、弾性を有する合成樹脂材質から形成されて前記バネ(19)の周縁部を支持するサポータ(20)と、を備えることを特徴とする、緩衝作用を有するインソール。
【請求項9】
合成樹脂製の足底板の上に生地が張り付けられてなるインソールの製造方法において、底面に下方向に突設される突起を有する緩衝部材を合成樹脂材質から成形するステップ(S520)と、前記足底板に前記緩衝部材を熱融着により圧着させるステップ(S530)と、を含むことを特徴とする、緩衝作用を有するインソールの製造方法。
【請求項10】
前記緩衝部材を成形するステップは、前記突起内にバネを嵌合させるステップをさらに含むことを特徴とする、請求項9に記載の緩衝作用を有するインソールの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公表番号】特表2010−512933(P2010−512933A)
【公表日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−542624(P2009−542624)
【出願日】平成19年4月18日(2007.4.18)
【国際出願番号】PCT/KR2007/001889
【国際公開番号】WO2008/075820
【国際公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【出願人】(509143664)ハンシン コリア カンパニー,リミテッド (1)
【Fターム(参考)】