説明

緩衝具

【課題】 容器内の内容物に対する衝撃吸収機能を高め、特に錠剤充填後に残るヘッドスペースを効果的に縮小し、工場での充填・包装工程の簡易化・確実化を図り得る緩衝具を提供する。
【解決手段】 底板部3と、底板部3の周囲から放射方向に突出する多数の短冊状の分割片4a,4a,…とを軟質合成樹脂で基本形成する。各分割片4aとして、下面から衝撃吸収用の支持片部44が突出する底壁部41と、周壁部42と、屈曲部431で連続する開閉壁部43aとで構成する。底壁部41の外周側に環状隙間Sを開けて容器5内面と非接触とし、屈曲部431の外面で容器5内面と接触させる。キャップ6の閉操作により各開閉壁部43aの屈曲片部437が下向きに押されて軸X側に倒れ込んでヘッドスペースが縮小される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器内に収容された錠剤,丸薬等の内容物を、容器の落下等による衝撃から保護するために、容器内に装入される緩衝具に関する。
【背景技術】
【0002】
容器内に充填した錠剤等の内容物を衝撃等から保護するために、従来、容器内に内容物を充填した後に空き空間として残る上部空間(ヘッドスペース)を埋めるようにした緩衝具が提案されている。この種の緩衝具は、容器の口部から内容物の上面に対し押し込む等することにより、内容物を上から押さえ内容物の動きを規制することで保護するようにしている(例えば特許文献1、2参照)。
【0003】
又、容器内に対し、薄肉で変形可能な別の内容器又は袋体を入れることにより二重容器を形成し、内側の内容器又は袋体の内に錠剤等の内容物を充填するようにすることも提案されている(例えば特許文献3、4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公平2−30949号公報
【特許文献2】特許第3566942号公報
【特許文献3】特許第4528494号公報
【特許文献4】特許第3941996号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特に工場での充填・包装から販売店までの輸送中、又は、販売店から使用者が実際に使用するまでの輸送中等において、容器の落下・衝突に伴う衝撃に対する吸収機能が不十分である上に、工場での充填作業に手間取ることになる、という不都合を抱えている。
【0006】
すなわち、ヘッドスペースを埋めて内容物を上から押さえつけるだけでは、例えば容器が落下して容器の底等が床等に衝突すれば、その衝撃が容器の底壁等を介して内容物に直に伝達してしまう結果、内容物の割れ等の破損を招くおそれがある。又、袋体等を容器内に入れて二重容器にするものでは、容器内に入れた後に錠剤等を充填するためには袋体等を容器内で拡げる必要がある上に、容器の口部近傍には依然としてヘッドスペースが空き空間のまま残ってしまうことになる結果、衝撃吸収機能は不十分となる。これを解消するために、袋体等を入れて内容物の充填工程を経た後に、さらにヘッドスペースを埋めるための別の緩衝具を容器の口部から入れることも考えられるが、このようにすると工場での充填・包装工程がより複雑化してしまうことになる。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、容器内の内容物に対する衝撃吸収機能を十分に高め得る緩衝具を提供することにあり、特にそのために錠剤充填後に上部に残るヘッドスペースを効果的に縮小し得る緩衝具を提供することにある。併せて、衝撃吸収機能を十分に高めつつも、工場での充填・包装工程のより簡易化・確実化を図り得る緩衝具を提供することも課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明では、キャップにより開閉可能とされた口部で開口する有底の容器に対し、前記口部から容器内に装入された状態で用いられる緩衝具を対象にして次の特定事項を備えることとした。すなわち、前記口部から容器内に装入可能で上向きに開放された有底容器状の内容器本体と、それぞれ自由端を構成する先端部まで前記内容器本体の上端部の周囲から連続して上向きに延び、周方向に対し切り込みを介して短冊状に互いに分割された複数の開閉壁部とを備えることとする。そして、前記各開閉壁部として、基端部側位置において径方向に屈曲可能な屈曲部を有し、前記先端部に対しキャップの閉操作に伴い上から下向きの外力を受けることで前記先端部が前記屈曲部から径方向内側に閉じるように折り畳まれて屈曲変形するよう軟質の合成樹脂により形成することとした(請求項1)。
【0009】
本発明の場合、容器内に装入された状態で錠剤を充填し、キャップを閉じることで、各開閉壁部の先端部が屈曲部から折り畳まれるため、充填済み錠剤のヘッドスペースが縮小されて埋められる。これにより、容器内で充填済み錠剤が動くことを規制して略拘束することが可能になる。そして、使用時には、キャップを開ければ、下向きの外力が解放されるため、各開閉壁部の先端部は屈曲部から復元して内部の錠剤を口部から取り出し易くなる一方、再びキャップを閉めれば、各開閉壁部の先端部に下向きの外力が作用して折り畳まれ、ヘッドスペースが縮小されることになる。
【0010】
本発明の緩衝具において、前記口部の開口径よりも小径に設定された底板部と、この底板部の周囲から放射方向に突出し周方向に切り込みを介して隣接した状態で前記開閉壁部の先端部まで上向きに連続して延びる短冊状の複数の分割片とを備えることとし、前記内容器本体として、前記底板部と、前記各分割片の内の前記開閉壁部を除く部分とを軟質の合成樹脂により形成して構成することができる(請求項2)。このようにすることにより、内容器本体と複数の開閉壁部との製造が容易になる。その上に、各開閉壁部と共に各分割片が軟質の合成樹脂により形成されるため、緩衝具が容器内に装入されて錠剤が充填された状態では、その充填済み錠剤の全体が、その周囲から柔らかく包み込まれた状態になり、これにより、錠剤が容器内で互いに動いて錠剤同士が衝突を繰り返すことで錠剤が破損してしまう事態の発生が効果的にかつより確実に防止されることになる。
【0011】
又、内容器本体を短冊状の複数の分割片を備えたもので構成する場合、その各分割片の内の前記開閉壁部を除く部分において、周方向に相隣接するもの同士を屈曲自在な接続膜部によって互いに接続して閉止された状態にすることができる(請求項3)。これにより、内容器本体を、上向きには開放されているものの、底側から周壁側が密閉された有底容器に構成し得ることになる。
【0012】
本発明の緩衝具において、前記底板部又は前記分割片から下向きに突出して容器の内底面と接触した状態で撓むことにより衝撃吸収する支持片部をさらに備えるようにすることができる(請求項4)。このようにすることにより、容器が底から下方に落下して床等に衝突した場合であっても、その衝突による衝撃は容器の内底面と接触している支持片部が撓むことで吸収される結果、衝撃が内部の充填済み錠剤に伝わることを防止・抑制することが可能となって、容器への底からの衝撃伝達に起因する錠剤の破損発生を防止することが可能となる。
【0013】
又、本発明の緩衝具における各分割片として、前記屈曲部がその外面において前記容器の周壁内面と接触する一方、前記屈曲部から前記底板部側の部位が前記容器の周壁内面と隙間を開けて非接触となるように形成することができる(請求項5)。このようにすることにより、容器が横向きになった状態で下方に落下して衝突したり、口部が上向きの本来の状態のままで側方に急激に移動して何かと衝突したりした場合であっても、その衝突による衝撃は容器の周壁内面と接触している屈曲部を介して緩衝具に伝わることになるものの、その反動として分割片が屈曲部を支点として撓んで衝撃を吸収する結果、衝撃が内部の充填済み錠剤にそのまま伝わることを防止・抑制することが可能となる。これにより、容器への側方からの衝撃伝達に起因する錠剤の破損発生を防止することが可能となる。
【0014】
本発明の緩衝具における各分割片として、前記底板部側の基端部が底板部よりも外周側でかつ前記容器の周壁内面と非接触の位置まで延びた後に屈曲して上向きに延びるように形成することができる(請求項6)。このようにすることにより、複数の分割片により構成される内周壁の容積の拡大化が図られて、錠剤の充填スペースの確保が図られる一方、基端部が容器の周壁内面と非接触に保たれることで、側方からの衝撃吸収機能を確実に確保し得ることになる。
【0015】
さらに、本発明の緩衝具における複数の分割片の内の少なくとも1つおきの分割片の基端部に対し、下向きに突出し外周側から内周側に進むに従い斜め下向きに延びる傾斜縁を有する作動凸部を形成することができ、前記各作動凸部として、前記傾斜縁の内周側位置を結ぶ直径が前記容器の口部の開口縁の内径と同径になるように位置設定することができる(請求項7)。このようにすることにより、緩衝具の底板部を上から押圧することで緩衝具を容器の口部内に装入する際に、各作動凸部がまず先に口部の開口縁に当たり、作動凸部が形成された分割片に対し口部の開口縁から押し曲げ力が作用して押し曲げられ、さらに底板部を押圧することで、作動凸部が非形成の分割片にも口部の開口縁から押し曲げ力が作用して押し曲げられることになる。つまり、緩衝具の装入にあたり、まず先に一部の分割片が押し曲げられた後、残部の分割片が押し曲げられて、緩衝具全体が容器内に装入されることになる。これにより、多数の分割片を備えていても、作動凸部の付設により、容器への緩衝具の装入作業を、単純な押圧作業だけで容易にかつ確実に終了させることが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
以上、説明したように、本発明の緩衝具によれば、容器内に装入された状態で錠剤を充填し、キャップを閉じることで、各開閉壁部の先端部が屈曲部から折り畳まれるため、充填済み錠剤のヘッドスペースを縮小して埋めることができるようになる。これにより、容器内で充填済み錠剤が動くことを規制して略拘束することができる。そして、使用時には、キャップを開ければ、下向きの外力が解放されるため、各開閉壁部の先端部は屈曲部から復元して内部の錠剤を口部から取り出し易くなる一方、再びキャップを閉めれば、各開閉壁部の先端部に下向きの外力が作用して折り畳まれ、ヘッドスペースを縮小することができるようになる。以上により、充填された錠剤が容器内で互いに動いて錠剤同士が衝突を繰り返すことで錠剤が破損してしまう事態の発生を効果的にかつ確実に防止することができ、その保護を図ることができるようになる。
【0017】
特に、請求項2によれば、口部の開口径よりも小径に設定された底板部と、この底板部の周囲から放射方向に突出し周方向に切り込みを介して隣接した状態で前記開閉壁部の先端部まで上向きに連続して延びる短冊状の複数の分割片とを備え、内容器本体として、前記底板部と、前記各分割片の内の前記開閉壁部を除く部分とを軟質の合成樹脂により形成して構成することで、内容器本体と複数の開閉壁部との製造を容易に行うことができるようになる。その上に、緩衝具が容器内に装入されて錠剤が充填された状態では、その充填済み錠剤の全体が、軟質の合成樹脂により形成された内容器本体によって、その周囲から柔らかく包み込まれた状態になり、これにより、錠剤が容器内で互いに動いて錠剤同士が衝突を繰り返すことで錠剤が破損してしまう事態の発生を、より効果的にかつより確実に防止することができるようになる。
【0018】
請求項3によれば、各分割片の内の前記開閉壁部を除く部分において、周方向に相隣接するもの同士を屈曲自在な接続膜部によって互いに接続して閉止された状態にすることで、内容器本体を、上向きには開放されているものの、底側から周壁側が密閉された有底容器に構成することができるようになる。
【0019】
請求項4によれば、底板部又は分割片から下向きに突出して容器の内底面と接触した状態で撓むことにより衝撃吸収する支持片部をさらに備えるようにすることで、容器が底から下方に落下して床等に衝突した場合であっても、その衝突による衝撃は容器の内底面と接触している支持片部が撓むことで吸収される結果、衝撃が内部の充填済み錠剤に伝わることを防止・抑制することができ、容器への底からの衝撃伝達に起因する錠剤の破損発生を防止することができるようになる。
【0020】
請求項5によれば、各分割片として、前記屈曲部がその外面において前記容器の周壁内面と接触する一方、前記屈曲部から前記底板部側の部位が前記容器の周壁内面と隙間を開けて非接触となるように形成することで、容器が横向きになった状態で下方に落下して衝突したり、口部が上向きの本来の状態のままで側方に急激に移動して何かと衝突したりした場合であっても、その衝突による衝撃は容器の周壁内面と接触している屈曲部を介して緩衝具に伝わることになるものの、その反動として分割片が屈曲部を支点として撓んで衝撃を吸収する結果、衝撃が内部の充填済み錠剤にそのまま伝わることを防止・抑制することができる。これにより、容器への側方からの衝撃伝達に起因する錠剤の破損発生を防止することができるようになる。
【0021】
請求項6によれば、各分割片として、底板部側の基端部が底板部よりも外周側でかつ容器の周壁内面と非接触の位置まで延びた後に屈曲して上向きに延びるように形成することで、複数の分割片により構成される内周壁の容積の拡大化を図ることができ、錠剤の充填スペースの確保を図ることができる一方、基端部が容器の周壁内面と非接触に保たれることで、側方からの衝撃吸収機能を確実に確保することができるようになる。
【0022】
さらに、請求項7によれば、複数の分割片の内の少なくとも1つおきの分割片の基端部に対し、下向きに突出し外周側から内周側に進むに従い斜め下向きに延びる傾斜縁を有する作動凸部を形成し、傾斜縁の内周側位置を結ぶ直径が前記容器の口部の開口縁の内径と同径になるように位置設定することで、緩衝具の装入にあたり、底板部を上から押圧するだけで、まず先に作動凸が形成された一部の分割片が押し曲げられた後、残部の分割片が押し曲げられて、緩衝具全体を容器内に装入することができるようになる。これにより、多数の分割片を備えていても、作動凸部の付設により、容器への緩衝具の装入作業を、単純な押圧作業だけで容易にかつ確実に終了させることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1実施形態に係る緩衝具の斜視図である。
【図2】第1実施形態の平面図である。
【図3】図2のA−A線における断面・矢視図である。
【図4】第1実施形態の底面図である。
【図5】第1実施形態の底面側を斜め上から見た部分斜視図である。
【図6】第1実施形態の緩衝具が容器内に装入された状態を示す断面図である。
【図7】第1実施形態の緩衝具を容器内に装入する工程を示す説明図である。
【図8】図7の容器に対しキャップを装着した状態を示す断面図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係る緩衝具の斜視図である。
【図10】第2実施形態の平面図である。
【図11】図10のB−B線における断面・矢視図である。
【図12】第2実施形態の底面図である。
【図13】第2実施形態の底面側を斜め上から見た部分斜視図である。
【図14】第2実施形態の緩衝具が容器内に装入された状態を示す断面図である。
【図15】図14の容器に対しキャップを装着した状態を示す断面図である。
【図16】本発明の第3実施形態に係る緩衝具の斜視図である。
【図17】第3実施形態の平面図である。
【図18】図17のC−C線における断面・矢視図である。
【図19】図18のD−D線における拡大断面説明図である。
【図20】第3実施形態の底面図である。
【図21】第3実施形態の底面側を斜め上から見た斜視図である。
【図22】本発明の第4実施形態に係る緩衝具の斜視図である。
【図23】第4実施形態の平面図である。
【図24】図23のE−E線における断面・矢視図である。
【図25】第4実施形態の底面図である。
【図26】第4実施形態の底面側を斜め上から見た斜視図である。
【図27】第4実施形態の緩衝具が容器内に装入された状態を示す断面図である。
【図28】第4実施形態の緩衝具を容器内に装入する工程を示す説明図である。
【図29】図28の容器に対しキャップを装着した状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0025】
<第1実施形態>
図1及び図2は、本発明の第1実施形態に係る緩衝具2を示す。この緩衝具2は、後述の容器5の口部53の開口径よりも小径に設定された円形状の底板部3と、底板部3の周囲から底板部3の外周側に向けて放射方向に突出した後、所定の円周位置でそれぞれ屈曲して上向きに延びる多数の短冊状の分割片4,4,…とが軸Xに対し同軸に配置されて基本構成されている。この緩衝具2は、軟質の合成樹脂材料を用いて合成樹脂成形により一体に形成され、全体が柔軟性を有して変形可能であり、内部に錠剤を柔らかく包み込むように形成されたものである。用いられる合成樹脂材料としては、例えば低密度ポリエチレン(PE−LD)、リニア低密度ポリエチレン(PE−LLD)、熱可塑性エラストマー、あるいは、オレフィン系樹脂等が採用される。以下、緩衝具2の構成を詳細に説明する。
【0026】
各分割片4は、軸Xを中心とした放射方向に図例では18枚のものが底板部3の周囲にスリット状の切り込みを介して周方向に等間隔に隣接した状態で配置され、図3にも示すように、大別して基端部としての底壁部41と、周壁部42と、先端が自由端になった先端部としての開閉壁部43とで構成されている。なお、本実施形態が内容物として対象にする錠剤は、そのサイズが前記の切り込みの開口幅よりも大きいものを対象とするものである。底壁部41は、底板部3の周縁に対し、切れ込みを入れて内側へ容易に折り曲げ可能とした折り曲げ部411(図3参照)を介して結合され、底壁部41と周壁部42とは、同様に切れ込みを入れて外側へ容易に折り曲げ可能とした折り曲げ部421(図3参照)を介して互いに結合されている。又、周壁部42と開閉壁部43とは、互いの境界位置で屈曲部431(図3参照)を介して互いに結合されており、この屈曲部431は薄肉でかつ屈曲形状に形成されて、略弾性状態で屈曲又は復元による軸Xに対する開閉方向への屈曲が繰り返し可能となっている。緩衝具2の全体としても変形可能な柔軟性を有しているものの、前記の折り曲げ部411,421や屈曲部431は、外力が作用した際に特にその部位で折り曲げや屈曲が先に生じるように設定されている。前記の底板部3と、各分割片4の底壁部41及び周壁部42とによって、内容器本体が構成され、この容器本体の上部に連続して各分割片4の開閉壁部43が設けられている。
【0027】
各底壁部41は、図3に加えて図4及び図5に示すように、外周側に進むに従い巾広になっている。そして、各底壁部41の下面には支持片部44が一体に形成され、この各支持片部44は、下向きに突出した後に中心の軸X側に向けて湾曲するように形成されている。これにより、分割片4,4,…と同数の支持片部44,44,…が周方向に所定間隔をあけて並んで配設されることになる。又、周方向に1つおきの底壁部41,41,…の下面には作動凸部45がそれぞれ一体に形成されている。この作動凸部45は、折り曲げ部421の手前位置、つまり各底壁部41の外周側位置の下面においてそれぞれ下向きに突出し、外周側から内周側に進むに従い斜め下向きに延びる傾斜縁を有するように形成されている。各支持片部44は、後述の如く上下方向の力を受けて撓むことで、その衝撃を吸収して衝撃伝達を阻止するようになっており、又、各作動凸部45は、同様に後述の如く容器内への装入を容易にするためのものであり、各作動凸部45の傾斜縁の内周側位置を結ぶ直径が、後述の容器5の口部53の開口縁の内径と同径になるような各位置に形成されている。
【0028】
各周壁部42(図3参照)は、外力が作用していない自由解放状態で、折り曲げ部421から外向きに僅かに開くように傾斜しつつ屈曲部431まで上向きに延びるようになっている。各周壁部42の折り曲げ部421位置における外径寸法は、容器5(図6参照)の周壁51の内径寸法よりも所定の環状隙間S分だけ小径になるように設定され、屈曲部431位置における外径寸法は、周壁51の内径寸法とほぼ同等か僅かに大径になるように設定されている。
【0029】
各開閉壁部43は、前記と同様の自由解放状態で、屈曲部431から上向きに延びつつ内周側に凹となる凹段部432を経た後、先端側が外周側に大きくのけぞるように湾曲する湾曲部433となっている。加えて、各湾曲部433には、その先端から僅かに手前位置で上方に突出する突片434が一体に形成されている。
【0030】
以上の緩衝具2は、錠剤を内容物として充填するための容器5(図6参照)の内部に装入されて用いられる。容器5は、有底円筒状の周壁51の上部から内径が徐々に小径に絞られる肩部52を経て外周面に螺溝が形成された口部53で開口されるようになっており、口部53に対し後述のキャップ6が開閉可能に取り付けられるようになっている。そして、周壁51位置の内径よりも小径の口部53の上面開口54から緩衝具2が容器5内に装入された状態では、緩衝具2の各支持片部44が容器5の内底面50に接触し、各分割片4の屈曲部431の外面が容器5の周壁51の内面に接触し、各開閉壁部43が内周側に閉じるように屈曲して、湾曲部433の先端435が容器5の口部53と肩部52との境界部内面に接触した状態になるようになっている。
【0031】
このような容器5内への緩衝具2の装入法について図7を参照しつつ説明する。まず、容器5の開放状態の口部53の開口に対し、緩衝具2の底板部3が位置するように載置して緩衝具2をセットする(工程P1:図7の左端部分の図参照)。この状態では、分割片4,4,…の内、周方向に1つおきに形成されている作動凸部45の内周側部位が口部53の開口縁に載った状態になる。次に、底板部3よりも小径の押圧ロッドRを上から底板部3の上面にセットし、押圧ロッドRを下動させて緩衝具2の底板部3に下向きの押圧力として所定の第1段階目の押圧力F1を加える(工程P2:図7の中央部分の図参照)。すると、この押圧力F1が各作動凸部45を介して各作動凸部45が形成された分割片4,4,…に伝達される結果、その分割片4,4,…の底壁部41,周壁部42及び開閉壁部43が折り曲げ部411において底板部3から折れ曲がって押圧ロッドR側に倒れることになる。つまり、押圧力F1の載荷で全分割片4,4,…の内の一部(半数の9枚)が先に底板部3から折れ曲がる。次に、第2段階目の押圧力F2を押圧ロッドRに加えると(工程P3:図7の右端部分の図参照)、残りの分割片4,4,…の底壁部41が口部53の開口縁に押されて折れ曲がって押圧ロッドR側に倒れ込むことになる。そして、さらに続いて押圧力を加えれば、折り曲げ部421が開く側に折れ曲がって、全分割片4,4,…が口部53の開口から容器5内に入り込み、各支持片部44が容器5の内底面50に接触する位置まで押し込まれて装入状態になる(図6参照)。この際に、各分割片4の開閉壁部43の特に先端435が口部53の内周面に接触しつつ下動されることで、図6に示した装入状態となる。
【0032】
そして、緩衝具2が装入された容器5に対し、錠剤(図示省略)の充填工程を行った後、図8に示すようにキャップ6で口部53を閉めて封入することで、錠剤の充填・包装工程が終了することになる。錠剤(図示省略)は、緩衝具2内の屈曲部431のやや上側位置まで充填されるようになっており、キャップ6を取り付けることで、各分割片4の開閉壁部43が軸X側に閉じるように倒れ込んで充填済み錠剤のヘッドスペースをより小さくして錠剤の動き(容器内で踊る動き)を押さえ込むようにしている。すなわち、天壁61と周壁62とからなるキャップ6には、その天壁61内面に乾燥剤Dを収容する収容容器(タンク)63が吊り下げ支持されており、このタンク63の下面が周壁62の下端位置とほぼ同位置において拡がることになる。周壁62の内周面に形成された螺溝を口部53の外周面の螺溝に螺合させてキャップ6を容器5に対しねじ込んで行くと、タンク63の下面も徐々に下方に移動して各分割片4の開閉壁部43の先端部を構成する突片434の先端と接触し、さらにキャップ6をねじ込んでいくと、タンク63の下面から各開閉壁部43の突片434に対し押し込み力が与えられる結果、各突片434が内側(軸Xの側)に強制変位し各開閉壁部43が折り畳まれることになり、これにより、ヘッドスペースをより小さくすることができるようになっている。この際、凹段部432の形成により、各開閉壁部43が折り畳まれた際のヘッドスペースの縮小化をより大きくすることができる。
【0033】
以上の緩衝具2の場合、容器5内に装入された状態で錠剤を充填し、キャップ6を閉じることで、充填済み錠剤のヘッドスペースを互いに折り畳まれた開閉壁部43,43,…により小さく縮小して埋めることができ、これにより、容器5内で充填済み錠剤が動くことを規制して略拘束することができる。しかも、その充填済み錠剤の全体を緩衝具2の全体で柔らかく包み込んだ状態にすることができる。このため、錠剤が容器5内で互いに動いて錠剤同士が衝突を繰り返すことで錠剤が破損してしまう事態の発生を防止することができる上に、そのような防止効果を柔らかく包み込んだ状態にしてより確実に達成することができるようになる。そして、使用時には、キャップ6を開ければ、各開閉壁部43に対する押さえ付け力が解放されるため、各開閉壁部43が外周側に開き、内部の錠剤を口部53から取り出し易くすることができる。再びキャップ6を閉めれば、タンク63により各開閉壁部43が押さえ付けられて折り畳まれ、ヘッドスペースを縮小することができるようになる。
【0034】
その上に、例えば容器5が底から下方に落下して床等に衝突した場合であっても、その衝突による衝撃は容器5の内底面50と接触している多数の支持片部44が撓むことで吸収される結果、衝撃が内部の充填済み錠剤に伝わることを防止・抑制することができる。これにより、容器5への底からの衝撃伝達に起因する錠剤の破損発生を防止することができる。又、例えば容器5が横向きになった状態で下方に落下して衝突したり、口部53が上向きの本来の状態のままで側方に急激に移動して何かと衝突したりした場合であっても、その衝突による衝撃は周壁51の内面と接触している屈曲部431を介して緩衝具2に伝わることになるものの、その反動として周壁部42が屈曲部431を支点として撓んで衝撃を吸収する結果、衝撃が内部の充填済み錠剤にそのまま伝わることを防止・抑制することができる。これにより、容器5への側方からの衝撃伝達に起因する錠剤の破損発生を防止することができる。以上により、1つの緩衝具2によって、ヘッドスペースを埋めることと、衝撃吸収機能の十分なる発揮とを共に実現することができる。
【0035】
さらに、多数の分割片4,4,…を備えていても、作動凸部45の付設により、容器5への緩衝具2の装入作業を、押圧ロッドRの段階的又は連続的な押圧力の載荷という単純な工程で、容易にかつ確実に終了させることができる。なお、本実施形態の緩衝具2を適用する容器5はガラス製又は合成樹脂製のいずれでもよいが、容器5を合成樹脂製とすることで、使用済みとなった際の廃棄又はリサイクルを、緩衝具2を分離させずに緩衝具2を装入した状態のままの容器5を対象として行うことができる。
【0036】
<第2実施形態>
図9及び図10は、本発明の第2実施形態に係る緩衝具2aを示す。この緩衝具2aは、各分割片4aの開閉壁部43aとして、第1実施形態の開閉壁部43とは異なる形状を有するもので構成した点で、第1実施形態と異なるものである。その他の構成要素や材質・形成材料等については第1実施形態のものと同様構成であるため、同一構成要素には同一符号を付して重複した詳細な説明を省略する。なお、本実施形態の緩衝具2aも、第1実施形態で説明したと同様の軟質の合成樹脂材料を用いて合成樹脂成形により一体に形成され、全体が柔軟性を有して変形可能であり、内部に錠剤を柔らかく包み込むように形成されたものである。
【0037】
第2実施形態の各分割片4aについての基本的構成は第1実施形態の各分割片4と同様である。すなわち、軸Xを中心とした放射方向に図例では18枚のものが底板部3の周囲にスリット状の切り込みを介して等間隔に配置され、図11にも示すように、大別して底壁部41と、周壁部42と、先端が自由端になった開閉壁部43aとで構成されている。そして、底壁部41と底板部3とが折り曲げ部411(図11参照)を介して結合され、底壁部41と周壁部42とが折り曲げ部421(図11参照)を介して互いに結合され、又、周壁部42と開閉壁部43aとが屈曲部431(図11参照)を介して互いに結合されている点も第1実施形態と同様である。これにより、緩衝具2aの全体としても変形可能な柔軟性を有しているものの、外力が作用した際に、折り曲げ部411,421や屈曲部431において折り曲げや屈曲が先に生じるように設定されている。本第2実施形態においても、前記の底板部3と、各分割片4aの底壁部41及び周壁部42とによって、内容器本体が構成され、この容器本体の上部に連続して各分割片4aの開閉壁部43aが設けられている。
【0038】
各底壁部41も、第1実施形態のものと同様構成を備え、図12及び図13に示すように、その下面に支持片部44が一体に形成され、周方向に1つおきの底壁部41,41,…に作動凸部45がそれぞれ一体に形成されている。又、各周壁部42(図11参照)も、外力が作用していない自由解放状態で、折り曲げ部421から外向きに僅かに開くように傾斜しつつ屈曲部431まで上向きに延び、各周壁部42の折り曲げ部421位置における外径寸法は、容器5(図14参照)の周壁51の内径寸法よりも所定の環状隙間S分だけ小径になるように設定され、屈曲部431位置における外径寸法は、周壁51の内径寸法とほぼ同等か僅かに大径になるように設定されている。
【0039】
第2実施形態の各開閉壁部43a(例えば図11参照)は、前記の自由解放状態で、屈曲部431から上向きに延びつつ内周側に凹となる凹段部432を経た後、前記の各周壁部42の開き角度よりも大きい開き角度で外周側に傾斜した状態で腕片部436が上向きに延び、その先端が外方に向けてほぼ直角に屈曲して屈曲片部437が一体に形成されている。この屈曲片部437において自由端が構成されている。前記の各腕片部436は、基端側である屈曲部431から先端側の屈曲片部437までにかけて、その幅(緩衝具2aの周方向に対する幅)が徐々に小さくされ(例えば図9,図10参照)、これにより、後述の倒れ込みによりヘッドスペースを閉じる際に、隣接する腕片部436,436同士が干渉しないようにされている。
【0040】
以上の第2実施形態の緩衝具2aの容器5(例えば図14参照)への装入は第1実施形態の場合(図7参照)と同様にして行うことができる。概説すると、まず、容器5の開放状態の口部53の開口に対し、緩衝具2aの底板部3が位置するように載置して緩衝具2をセットする(工程P1;例えば図7の左端部分の図参照)。次に、底板部3よりも小径の押圧ロッドを上から底板部3の上面にセットし、押圧ロッドを下動させて緩衝具2aの底板部3に下向きの押圧力を加える(工程P2;例えば図7の中央部分の図参照)。すると、この押圧力が各作動凸部45を介して各作動凸部45が形成された分割片4a,4a,…に伝達される結果、その分割片4a,4a,…の底壁部41,周壁部42及び開閉壁部43aが折り曲げ部411において底板部3から折れ曲がって押圧ロッド側に倒れることになる。つまり、押圧力の載荷で全分割片4a,4a,…の内の一部(半数の9枚)が先に底板部3から折れ曲がる。次に、第2段階目の押圧力を前記押圧ロッドに加えると(工程P3:図7の右端部分の図参照)、残りの分割片4a,4a,…の底壁部41が口部53の開口縁に押されて折れ曲がって押圧ロッド側に倒れ込むことになる。そして、さらに続いて押圧力を加えれば、折り曲げ部421が開く側に折れ曲がって、全分割片4a,4a,…が口部53の開口から容器5内に入り込み、各支持片部44が容器5の内底面50に接触する位置まで押し込まれて装入状態(図14の状態)になる。この際に、各分割片4aの開閉壁部43aの特に先端438が口部53の内周面に接触しつつ下動されることで、図14の装入状態に至ることになる。
【0041】
緩衝具2aが容器5(図14参照)の内部に装入されると、緩衝具2aの各支持片部44が容器5の内底面50に接触し、各分割片4aの屈曲部431の外面が容器5の周壁51の内面に接触し、各開閉壁部43aが内周側に閉じるように屈曲して、屈曲片部437の先端438が容器5の口部53と肩部52との境界部付近の内面に接触した状態になるようになっている。
【0042】
そして、緩衝具2aが装入された容器5に対し、錠剤(図示省略)の充填工程を行った後、図15に示すようにキャップ6で口部53を閉めて封入することで、錠剤の充填・包装工程が終了することになる。錠剤(図示省略)は、第1実施形態の場合と同様に、緩衝具2a内の屈曲部431のやや上側位置まで充填されるようになっており、キャップ6を取り付けることで、各分割片4aの開閉壁部43aが軸X側に閉じるように倒れ込んで充填済み錠剤のヘッドスペースをより小さくして錠剤の動き(容器内で踊る動き)を押さえ込むようになっている。すなわち、キャップ6を容器5の口部53に対しねじ込んで行くと、タンク63の下面も徐々に下方に移動して各分割片4aの開閉壁部43aの屈曲片部437の先端部と接触し、さらにキャップ6をねじ込んでいくと、タンク63の下面から各開閉壁部43aに対し押し込み力が与えられる結果、各屈曲片部437が内側(軸Xの側)に強制変位し各開閉壁部43aが内側に倒れ込むように折り畳まれて、あたかも上から蓋を閉じるような形態に変化させることができるようになる。これにより、緩衝具2a内への充填済み錠剤のヘッドスペースを第1実施形態の場合(図8参照)よりも小さくすることができるようになる。
【0043】
以上の緩衝具2aの場合、上下方向及び側方に対する衝撃吸収機能を第1実施形態の場合と同様に得ることができ、容器5への底からの衝撃伝達に起因する錠剤の破損発生の防止や、容器5への側方からの衝撃伝達に起因する錠剤の破損発生の防止をいずれも図ることができる他、容器5への緩衝具2aの装入作業を、第1実施形態と同様に容易にかつ確実に終了させることができる。その上に、キャップ6の開閉操作により、各開閉壁部43aを開いてヘッドスペースを開放した状態にしたり、折り畳んで閉じた状態にしてヘッドスペースを縮小したりというように、充填済み錠剤のヘッドスペースの状態を変化させることができ、その際、キャップ6を閉じたときのヘッドスペースの縮小化を第1実施形態の場合よりも増大させて、ヘッドスペースを極小化させることができる。これにより、緩衝具2aにより充填済み錠剤の全体を柔らかく包み込んだ状態で、容器5内で充填済み錠剤が動くことを規制して略拘束するという機能を十分に達成させることができる。
【0044】
<第3実施形態>
図16及び図17は、本発明の第3実施形態に係る緩衝具2bを示す。この緩衝具2bは、内容器本体1の上側に多数に分割された開閉壁部43a,43a,…が連続して形成されたものである。内容器本体1は、容器5(例えば図14,図15参照)に対し口部53から内部に装入可能に構成されて前記開閉壁部43a,43a,…を支持し、一方、前記開閉壁部43a,43a,…は後述の屈曲部431を起点にして軸Xに向けて開閉するように屈曲することで容器5への錠剤充填後に残る容器5の上部空間であるヘッドスペースを小さくし得るようになっている。各開閉壁部43aの形状そのものは第2実施形態の各分割片4aの開閉壁部43aと同様のものを図示するが、これに限らず、キャップ6(例えば図15参照)の開閉操作により、各開閉壁部43aを開いてヘッドスペースを開放した状態にしたり、折り畳んで閉じた状態にしてヘッドスペースを縮小したりというように、充填済み錠剤のヘッドスペースの状態を変化させることができるものであれば、適用することができる。又、内容器本体1についても、以下の構成のものに限らず、容器5に対し口部53から内部に装入可能で、かつ、開閉壁部43a,43a,…を支持し得るものであれば、他の構成のものを採用することができる。なお、以下の実施形態では、第1実施形態や第2実施形態と同じ構成要素については、それらと同じ符号を付して重複した詳細な説明を省略する。
【0045】
内容器本体1(図18も併せて参照)は、容器5の口部53の開口径よりも小径に設定された円形状の底板部3と、底板部3の周囲から底板部3の外周側に向けて放射方向に突出した後、所定の円周位置でそれぞれ屈曲して上向きに延びる多数の短冊状の分割片4a,4a,…の一部(底壁部41及び周壁部42)と、周方向に隣接する分割片4a,4aを構成する底壁部41,41間及び周壁部42,42間を接続して閉止する接続膜部46とが軸Xに対し同軸に配置されて、基本構成されている。各接続膜部46(図19も併せて参照)は、相隣接する周壁部42,42間等の間隔よりも大きい所定幅を有し、内側に折り返された状態にされている。これは、容器5への装入の際の各分割片4aの折れ曲がり具合を考慮したものである。すなわち、容器5への装入の際、第1段階目で、まず作動凸部45の形成された分割片4aが折り曲げ部411(図18参照)において底板部3から折れ曲がる一方、作動凸部45が非形成の隣接する分割片4aは折れ曲がらず、第2段階目で、全ての分割片4a,4a,…が折れ曲がるという段階的折れ曲がり(例えば図7の工程P2,工程P3参照)の動きに追随し得るように、各接続膜部46の周方向幅として周方向に対する所定の余裕代を考慮して定めたものである。
【0046】
かかる内容器本体1から上向きに各分割片4aの開閉壁部43aが連続して延び、これらの開閉壁部43a,43a,…が軸Xに対し開閉可能に屈曲するようになっている。換言すると、内容器本体1は、各分割片4aの底壁部41及び周壁部42が、開閉壁部43a自体及びその開閉壁部43aの開閉屈曲を支持する骨組み構造をなし、各分割片4a及び周方向に隣接する接続膜部46によって有底容器としての機能を形作るものと言える。なお、これら内容器本体1及び各開閉壁部43aが、第1実施形態で説明したと同様の軟質の合成樹脂材料を用いて合成樹脂成形により一体に形成され、全体が柔軟性を有して変形可能であり、内部に錠剤を柔らかく包み込むように形成されている。
【0047】
各分割片4a自体については、第2実施形態の各分割片4aと同様であり、軸Xを中心とした放射方向に図例では18本のものが底板部3の周囲に等間隔に配置され、図18にも示すように、大別して底壁部41と、周壁部42と、先端が自由端になった開閉壁部43aとで構成されている。そして、底壁部41と底板部3とが折り曲げ部411(図18参照)を介して結合され、底壁部41と周壁部42とが折り曲げ部421(図18参照)を介して互いに結合され、又、周壁部42と開閉壁部43aとが屈曲部431(図18参照)を介して互いに結合されている点も第1又は第2実施形態と同様である。これにより、緩衝具2bの全体としても変形可能な柔軟性を有しているものの、外力が作用した際に、折り曲げ部411,421や屈曲部431において折り曲げや屈曲が先に生じるように設定されている。又、これらの屈曲等の変形に対し各接続膜部46は何ら抵抗なく追随する軟らかさを有している。
【0048】
各底壁部41も、第1又は第2実施形態のものと同様構成を備え、図20及び図21に示すように、その下面に支持片部44が一体に形成され、周方向に1つおきの底壁部41,41,…に作動凸部45がそれぞれ一体に形成されている。又、各周壁部42(図18参照)も、外力が作用していない自由解放状態で、折り曲げ部421から外向きに僅かに開くように傾斜しつつ屈曲部431まで上向きに延び、各周壁部42の折り曲げ部421位置における外径寸法は、容器5(図14参照)の周壁51の内径寸法よりも所定の環状隙間S分だけ小径になるように設定され、屈曲部431位置における外径寸法は、周壁51の内径寸法とほぼ同等か僅かに大径になるように設定されている。
【0049】
第3実施形態の各開閉壁部43a(例えば図18参照)は、第2実施形態の各開閉壁部43aと同じ構成を備えて構成されている。すなわち、前記の自由解放状態で、屈曲部431から上向きに延びつつ内周側に凹となる凹段部432を経た後、前記の各周壁部42の開き角度よりも大きい開き角度で外周側に傾斜した状態で腕片部436が上向きに延び、その先端が外方に向けてほぼ直角に屈曲して屈曲片部437が一体に形成されている。この屈曲片部437において自由端が構成されている。前記の各腕片部436は、基端側である屈曲部431から先端側の屈曲片部437までにかけて、その幅(緩衝具2bの周方向に対する幅)が徐々に小さくされ(例えば図16,図17参照)、これにより、後述の倒れ込みによりヘッドスペースを閉じる際に、隣接する腕片部436,436同士が干渉しないようにされている。
【0050】
以上の第3実施形態の緩衝具2bも、容器5(図14参照)の内部に装入されると、緩衝具2bの各支持片部44が容器5の内底面50に接触し、各分割片4aの屈曲部431の外面が容器5の周壁51の内面に接触し、各開閉壁部43aが内周側に若干閉じるように屈曲して、屈曲片部437の先端438が容器5の口部53と肩部52との境界部付近の内面に接触した状態になるようになっている。なお、容器5内への緩衝具2bの装入法は、第1実施形態(図7参照)又は第2実施形態のそれと同じである。
【0051】
そして、緩衝具2bが装入された容器5に対し、錠剤(図示省略)の充填工程を行った後、図15に示すようにキャップ6で口部53を閉めて封入することで、錠剤の充填・包装工程が終了することになる。錠剤(図示省略)は、第1実施形態の場合と同様に、緩衝具2b内の屈曲部431のやや上側位置まで充填されるようになっており、キャップ6を取り付けることで、各分割片4aの開閉壁部43aが軸X側に閉じるように倒れ込んで充填済み錠剤のヘッドスペースをより小さくして錠剤の動き(容器内で踊る動き)を押さえ込むようになっている。すなわち、第2実施形態で説明したと同様に、キャップ6を容器5の口部53に対しねじ込んで行くと、タンク63の下面も徐々に下方に移動して各分割片4aの開閉壁部43aの屈曲片部437の先端部と接触し、さらにキャップ6をねじ込んでいくと、タンク63の下面から各開閉壁部43aに対し押し込み力が与えられる結果、各屈曲片部437が内側(軸Xの側)に強制変位し各開閉壁部43aが内側に倒れ込むように折り畳まれて、あたかも上から蓋を閉じるような形態に変化させることができるようになる。これにより、緩衝具2b内への充填済み錠剤のヘッドスペースを、第2実施形態と同様に、第1実施形態の場合(図8参照)よりも小さくすることができるようになる。
【0052】
以上の緩衝具2bの場合においても、上下方向及び側方に対する衝撃吸収機能を第1実施形態又は第2実施形態の場合と同様に得ることができる。すなわち、容器5への底からの衝撃伝達に起因する錠剤の破損発生の防止や、容器5への側方からの衝撃伝達に起因する錠剤の破損発生の防止をいずれも図ることができる他、容器5への緩衝具2bの装入作業を、第1実施形態と同様に容易にかつ確実に終了させることができる。その上に、キャップ6の開閉操作により、各開閉壁部43aを開いてヘッドスペースを開放した状態にしたり、折り畳んで閉じた状態にしてヘッドスペースを縮小したりというように、充填済み錠剤のヘッドスペースの状態を変化させることができ、その際、キャップ6を閉じたときのヘッドスペースの縮小化を第1実施形態の場合よりも増大させて、ヘッドスペースを極小化させることができる。これにより、緩衝具2bにより充填済み錠剤の全体を柔らかく包み込んだ状態で、容器5内で充填済み錠剤が動くことを規制して略拘束するという機能を十分に達成させることができる。
<第4実施形態>
図22及び図23は、本発明の第4実施形態に係る緩衝具2cを示す。この緩衝具2cは、キャップ6の閉操作によるヘッドスペースの縮小化のための構成を省略したものであり、容器内の内壁面に沿って緩衝用壁面の形成を容易に可能にしたものである。
【0053】
第4実施形態の緩衝具2cは、所定径を有する円形状の底板部7と、底板部7の周囲から斜め上方に向けて放射方向に所定の円周位置まで突出した後、それぞれ屈曲して上向きに延びる多数の短冊状の分割片8,8,…とが軸Xに対し同軸に配置されて基本構成されている。この緩衝具2cは、軟材質の合成樹脂材料を用いて合成樹脂成形により一体に形成され、全体が柔軟性を有して変形可能であり、内部に錠剤を柔らかく包み込むように形成されたものである。用いられる合成樹脂材料としては、例えば低密度ポリエチレン(PE−LD)、リニア低密度ポリエチレン(PE−LLD)、熱可塑性エラストマー、あるいは、オレフィン系樹脂等が採用される。以下、緩衝具2cの構成を詳細に説明する。
【0054】
底板部7は外周縁側が上向きに湾曲したボウル状に形成され、図24に加え図25及び図26に示すように、下面の所定径の周方向位置から複数(図例では6個)の支持片部84,84,…が所定間隔を開けて一体に形成され、この各支持片部84は、下向きに突出した後に中心の軸X側に向けて湾曲するように形成されている。各支持片部84は上下方向の力を受けて撓むことで、その衝撃を吸収するようになっている。
【0055】
各分割片8は、軸Xを中心とした放射方向に図例では18枚のものが底板部7の周囲にスリット状の切り込みを介して等間隔に配置され、図24に示すように、大別して基端部としての底壁部81と、周壁部82と、先端が自由端になった先端部としての先端壁部83とで構成されている。なお、本実施形態が内容物として対象にする錠剤は、そのサイズが前記の切り込みの開口幅よりも大きいものを対象とするものである。底壁部81は、底板部7の周縁に対し、切れ込みを入れて容易に折り曲げ可能とした折り曲げ部811を介して結合され、底壁部81と周壁部82とは、同様に切れ込みを入れて容易に折り曲げ可能とした折り曲げ部821を介して互いに結合され、又、周壁部82と先端壁部83とは薄肉でかつ屈曲形状にして互いの境界位置で略弾性状態で屈曲又は復元が繰り返し可能とされた屈曲部831(図3参照)を介して互いに結合されている。緩衝具2cの全体としても変形可能な柔軟性を有しているものの、前記の折り曲げ部811,821や屈曲部831は、外力が作用した際に特にその部位で折り曲げや屈曲が先に生じるように設定されている。
【0056】
各底壁部81は、図25及び図26に示すように、外周側に進むに従い巾広になっている。そして、周方向に1つおきの底壁部81,81,…の下面には作動凸部85がそれぞれ一体に形成されている。この作動凸部85は、折り曲げ部821の手前位置、つまり各底壁部81の外周側位置の下面においてそれぞれ下向きに突出し、外周側から内周側に進むに従い斜め下向きに延びる傾斜を有するように形成されている。各作動凸部85は、後述の如く容器内への装入を容易にするためのものであり、各作動凸部85の内周側位置を結ぶ直径が、後述の容器5の口部53の開口縁の内径と同径になるような各位置に形成されている。
【0057】
各周壁部82(図24参照)は、外力が作用していない自由解放状態で、折り曲げ部821から屈曲部831まで上向きか僅かに外周側に開く傾斜を有して延びるようになっている。各周壁部82の折り曲げ部821位置における外径寸法は、容器5(図27参照)の周壁51の内径寸法よりも所定の環状隙間S分だけ小径になるように設定され、屈曲部831位置における外径寸法は、周壁51の内径寸法とほぼ同等か僅かに大径になるように設定されている。そして、各先端壁部83は、前記と同様の自由解放状態で、屈曲部831から斜め上向きに延びて先端が自由端を構成している。
【0058】
以上の緩衝具2cは、錠剤を内容物として充填するための容器5(図27参照)の内部に装入されて用いられる。容器5は、第1実施形態で説明したものと同じ構成を備え、緩衝具2cが上面開口54から容器5内に装入された状態では、緩衝具2cの各支持片部84が容器5の内底面50に接触し、各分割片8の屈曲部831の外面が容器5の周壁51の内面に接触し、各先端壁部83の先端側外面が、容器5の肩部52から口部53に移行する境界部の内面に接触して、各先端壁部83が内周側に閉じるように屈曲した状態になるようになっている。
【0059】
このような容器5内への緩衝具2cの装入法について図28を参照しつつ説明する。まず、容器5の開放状態の口部53の開口に対し、緩衝具2cの底板部7が位置するように載置して緩衝具2cをセットする(工程P1:図28の左端部分の図参照)。この状態では、分割片8,8,…の内、周方向に1つおきに形成されている作動凸部85の内周側部位が口部53の開口縁に載った状態になる。次に、底板部7よりも小径の押圧ロッドRを上から底板部7の上面にセットし、押圧ロッドRを下動させて緩衝具2cの底板部7に下向きの押圧力として所定の第1段階目の押圧力F1を加える(工程P2:図28の中央部分の図参照)。すると、この押圧力F1が各作動凸部85を介して各作動凸部85が形成された分割片8,8,…に伝達される結果、その分割片8,8,…の底壁部81,周壁部82及び先端壁部83が折り曲げ部811(図24参照)において底板部7から折れ曲がって押圧ロッドR側に倒れることになる。つまり、押圧力F1の載荷で全分割片8,8,…の内の一部(半数の9枚)が先に底板部7から折れ曲がる。次に、第2段階目の押圧力F2を押圧ロッドRに加えると(工程P3:図28の右端部分の図参照)、残りの分割片8,8,…の底壁部81が口部53の開口縁に押されて折れ曲がって押圧ロッドR側に倒れ込むことになる。そして、さらに続いて押圧力を加えれば、折り曲げ部821(図24参照)が開く側に折れ曲がって、全分割片8,8,…が口部53の開口から容器5内に入り込み、各支持片部84が容器5の内底面50に接触する位置まで押し込まれて装入状態になる(図27参照)。
【0060】
そして、緩衝具2cが装入された容器5に対し、錠剤(図示省略)の充填工程を行った後、図29に示すようにキャップ6で口部53を閉めて封入することで、錠剤の充填・包装工程が終了することになる。錠剤(図示省略)は、緩衝具2c内の屈曲部831のやや上側位置まで充填されるようになっており、キャップ6を取り付けることで、各先端壁部83の先端で構成される上向きの開口が閉止されることになる。すなわち、天壁61と周壁62とからなるキャップ6には、その天壁61内面に乾燥剤Dを収容する収容容器(タンク)63が吊り下げ支持されており、周壁62の内周面に形成された螺溝を口部53の外周面の螺溝に螺合させてキャップ6を容器5に対しねじ込んで行くと、タンク63の下面も徐々に下方に移動して各先端壁部83の先端と接触し、タンク63により各先端壁部83の先端で構成される上向きの開口が閉止されることになる。
【0061】
以上の緩衝具2cの場合、容器5内に装入された状態で錠剤を充填し、キャップ6を閉じることで、充填済み錠剤の全体を緩衝具2cの全体で柔らかく包み込んだ状態にすることができ、錠剤が容器5内で互いに動いて錠剤同士が衝突を繰り返すことで錠剤が破損してしまう事態の発生を防止・抑制することができるようになる。そして、例えば容器5が底から下方に落下して床等に衝突した場合であっても、その衝突による衝撃は容器5の内底面50と接触している複数の支持片部84が撓むことで吸収される結果、衝撃が緩衝具2c内の充填済み錠剤に伝わることを防止・抑制することができる。これにより、容器5への底からの衝撃伝達に起因する錠剤の破損発生を防止することができる。又、例えば容器5が横向きになった状態で下方に落下して衝突したり、口部53が上向きの本来の状態のままで側方に急激に移動して何かと衝突したりした場合であっても、その衝突による衝撃は周壁51の内面と接触している屈曲部831を介して緩衝具2cに伝わることになるものの、その反動として周壁部82が屈曲部831を支点として撓んで衝撃を吸収する結果、衝撃が緩衝具2c内の充填済み錠剤にそのまま伝わることを防止・抑制することができる。これにより、容器5への側方からの衝撃伝達に起因する錠剤の破損発生を防止することができる。
【0062】
さらに、多数の分割片8,8,…を備えていても、作動凸部85の付設により、容器5への緩衝具2cの装入作業を、押圧ロッドRの段階的又は連続的な押圧力の載荷という単純な工程で、容易にかつ確実に終了させることができる。なお、本実施形態の緩衝具2cを適用する容器5はガラス製又は合成樹脂製のいずれでもよいが、容器5を合成樹脂製とすることで、使用済みとなった際の廃棄又はリサイクルを、緩衝具2cを分離させずに緩衝具2cを装入した状態のままの容器5を対象として行うことができる。
【0063】
以上の第4実施形態の緩衝具2cに係る技術的事項をまとめると、次のように表すことができる。すなわち、
1.キャップにより開閉可能とされた口部で開口する有底の容器に対し、前記口部から容器内に装入された状態で用いられる緩衝具であって、
前記口部の開口径よりも小径に設定された底板部と、この底板部の周囲から放射方向に突出し周方向に切り込みを介して隣接した状態で自由端を構成する先端部まで上向きに延びる短冊状の複数の分割片と、前記底板部又は前記分割片から下向きに突出して容器の内底面と接触した状態で撓むことにより衝撃吸収する支持片部とを備えている、
ことを特徴とする緩衝具。
2.前記1.に記載の緩衝具であって、
前記分割片は、前記屈曲部がその外面において前記容器の周壁内面と接触する一方、前記屈曲部から前記底板部側の部位が前記容器の周壁内面と隙間を開けて非接触となるように形成されている、緩衝具。
3.前記1.又は前記2.に記載の緩衝具であって、
前記各分割片は、前記底板部側の基端部が底板部よりも外周側でかつ前記容器の周壁内面と非接触の位置まで延びた後に屈曲して上向きに延びるように形成されている、緩衝具。
4.前記3.に記載の緩衝具であって、
前記複数の分割片の内の少なくとも1つおきの分割片の基端部には、下向きに突出し外周側から内周側に進むに従い斜め下向きに延びる傾斜縁を有する作動凸部が形成され、
前記各作動凸部は、前記傾斜縁の内周側位置を結ぶ直径が前記容器の口部の開口縁の内径と同径になるように位置設定されている、緩衝具。
【0064】
<他の実施形態>
なお、本発明は上記第1〜第4実施形態に限定されるものではなく、その他種々の実施形態を包含するものである。すなわち、上記第1,第2又は第3実施形態では、キャップ6のタンク63の下面で各開閉壁部43,43aの先端側を押し下げることで、各開閉壁部43,43aを開いたり折り畳んで閉じたりさせたりと状態変化させているが、タンク63の下面でなくても、キャップ6の内面として、前記タンク63の下面と同等位置まで下方に突出した位置に設けるようにしてもよい。又、分割片4,4a,8又は分割片4aの分割数は図例のものに限らず、適宜変更し得る。
【0065】
支持片部44,84は少なくとも1つ設けられていればよく、安定性又は装入状態における緩衝具2,2a,2bの座りの良さを考慮すると周方向に互いに間隔をあけて配置した3つ以上設けることが好ましい。又、折り曲げ部411,421を形成しているが、底壁部41と周壁部42とが連続し、かつ、これらが容器5の口部53からの装入時に容易に屈曲変形して口部53の開口から入り得るようになる程度の軟らかさに形成されていれば、特に前記折り曲げ部411,421を形成する必要はない。
【0066】
又、作動凸部45,85を全分割片4,4a,8又は全分割片4aの1つおきに形成しているが、これに限らず、周方向に隣接する2つの分割片又は分割片に対し同時に形成されていなければよく、例えば2つおき又は3つおきに形成したり、1つおきや2つおきを混ぜて形成したりしてもよい。この理由は、装入作業において、口部53の開口縁に押し下げられて全分割片4,4a,8又は全分割片が同時に折り曲がることのないよう、まずは一部の分割片4,4a,8又は分割片4aを先に折り曲げることでスムースな装入を実現させ得ればよいからである。
【符号の説明】
【0067】
1 内容器本体
2,2a,2b 緩衝具
3,7 底板部
4,4a 分割片
5 容器
6 キャップ
41 底壁部(分割片の基端部,分割片の内の開閉壁部を除く部分)
42 周壁部(分割片の内の開閉壁部を除く部分)
43,43a 開閉壁部
44,84 支持片部
45,85 作動凸部
50 容器の内底面
51 容器の周壁
53 容器の口部
431 屈曲部
434 突片(開閉壁部の先端部)
437 屈曲片部(開閉壁部の先端部)
S 環状隙間(隙間)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャップにより開閉可能とされた口部で開口する有底の容器に対し、前記口部から容器内に装入された状態で用いられる緩衝具であって、
前記口部から容器内に装入可能で上向きに開放された有底容器状の内容器本体と、それぞれ自由端を構成する先端部まで前記内容器本体の上端部の周囲から連続して上向きに延び、周方向に対し切り込みを介して短冊状に互いに分割された複数の開閉壁部とを備え、
前記各開閉壁部は、基端部側位置において径方向に屈曲可能な屈曲部を有し、前記先端部に対しキャップの閉操作に伴い上から下向きの外力を受けることで前記先端部が前記屈曲部から径方向内側に閉じるように折り畳まれて屈曲変形するよう軟質の合成樹脂により形成されている、
ことを特徴とする緩衝具。
【請求項2】
請求項1に記載の緩衝具であって、
前記口部の開口径よりも小径に設定された底板部と、この底板部の周囲から放射方向に突出し周方向に切り込みを介して隣接した状態で前記開閉壁部の先端部まで上向きに連続して延びる短冊状の複数の分割片とを備え、
前記内容器本体は、前記底板部と、前記各分割片の内の前記開閉壁部を除く部分とが軟質の合成樹脂により形成されて構成されている、緩衝具。
【請求項3】
請求項2に記載の緩衝具であって、
前記各分割片の内の前記開閉壁部を除く部分は、周方向に相隣接するもの同士が屈曲自在な接続膜部によって互いに接続されて閉止されている、緩衝具。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載の緩衝具であって、
前記底板部又は前記分割片から下向きに突出して容器の内底面と接触した状態で撓むことにより衝撃吸収する支持片部を備えている、緩衝具。
【請求項5】
請求項2〜請求項4に記載の緩衝具であって、
前記各分割片は、前記屈曲部がその外面において前記容器の周壁内面と接触する一方、前記屈曲部から前記底板部側の部位が前記容器の周壁内面と隙間を開けて非接触となるように形成されている、緩衝具。
【請求項6】
請求項2〜請求項5のいずれかに記載の緩衝具であって、
前記各分割片は、前記底板部側の基端部が底板部よりも外周側でかつ前記容器の周壁内面と非接触の位置まで延びた後に屈曲して上向きに延びるように形成されている、緩衝具。
【請求項7】
請求項6に記載の緩衝具であって、
前記複数の分割片の内の少なくとも1つおきの分割片の基端部には、下向きに突出し外周側から内周側に進むに従い斜め下向きに延びる傾斜縁を有する作動凸部が形成され、
前記各作動凸部は、前記傾斜縁の内周側位置を結ぶ直径が前記容器の口部の開口縁の内径と同径になるように位置設定されている、緩衝具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【公開番号】特開2013−86799(P2013−86799A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−225635(P2011−225635)
【出願日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【出願人】(000206185)大成化工株式会社 (83)
【Fターム(参考)】