説明

緩衝層

陰極に改良した緩衝層を備え、その緩衝物質が金属のテトラ−p−トリルポルフォナト錯体(tetra-p-tolyl porphonato complexs)、および、構造式(I)もしくは構造式(II)のビアントリル化合物(bianthryl compounds)から選択されることを特徴とするエレクトロルミネッセントデバイス。
【化45】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレクトロルミネッセントデバイス内の改良した緩衝層(Buffer Layer)と、改良した緩衝層を組み込んだエレクトロルミネッセントデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
電流が物質に導通すると発光する物質は、公知であり、ディスプレイ用途に広く用いられている。液晶デバイスおよび無機の半導体系(inorganic semiconductor system)に基づくデバイスが広く用いられている。しかしながら、これらは、高いエネルギー消費、製造における高いコスト、低い量子効率、そして、フラットパネルディスプレイを作ることができないという欠点を持っている。
【0003】
特許文献WO/98/58037は、改善された特質を有し、より優れた実験結果を与えるエレクトロルミネセンスデバイスとして使用することが可能な、一連のランタニド錯体を記載している。特許文献PCT/GB98/01773、PCT/GB99/03619、PCT/GB99/04030、PCT/GB99/04028、PCT/GB00/00268は、希土類キレートを用いているエレクトロルミネッセント錯体、構造、およびデバイスを記載している。
【0004】
光学発光ダイオード(optical light emitting diodes)(OLEDs)として一般的に参照される典型的なエレクトロルミネッセントデバイスは、一般的に電気的な光を伝送する物質の陰極と、正孔を輸送する物質の層と、エレクトロルミネッセント物質の層と、電子を輸送する物質の層と、金属の陽極と、を含んでいる。
【0005】
US Patent 5128587は、高い仕事関数を有する透明電極と低い仕事関数を有する第二電極の間に挟まれたランタニド系列の希土類元素の有機金属錯体、エレクトロルミネッセント層と透明な高い仕事関数を有する電極との間に置かれた正孔伝導層、および、エレクトロルミネッセント層と電子を注入する低い仕事関数を有する陰極との間に置かれた電子伝導層、から成るエレクトロルミネッセントデバイスを開示している。デバイスの作用と効率を改良するために正孔伝導層および電子伝導層が必要である。正孔伝導層もしくは正孔輸送層は、正孔を搬送して電子を阻止するように働き、これによって電子が正孔と再結合することなく電極内に移動するのを防ぐ。その結果、発光層においてキャリアの再結合が大部分もしくは全体的に起こる。
【0006】
US Patent 6333521で述べられているように、このメカニズムは、捕縛された電荷の放射性再結合(radiative recombination)に基づいている。特に、OLEDsは陰極と陽極との間の少なくとも2つの薄い有機層から構成されている。これらの層の1つ(正孔輸送層(HTL))の物質は、特に、正孔を輸送する能力に基づいて選択され、他方の層(電子輸送層(ETL))の物質は、特に、電子を輸送する能力によって選択される。このような構造をともなうことで、陰極に印加された電位が陽極に印加された電位よりも高い場合、デバイスを順方向バイアスのダイオードとしてみなすこともできる。これらのバイアス条件下で、陰極はHTL内へ正孔(正の電荷のキャリア)を注入し、一方で陽極はETL内へ電子を注入する。したがって、ルミネッセント媒体(luminescent medium)の陰極に隣接している部分は、正孔注入域と正孔輸送域を形成し、一方でルミネッセント媒体の陽極に隣接している部分は、電子注入域と電子輸送域を形成する。注入された正孔と電子は、それぞれ反対に帯電している電極の方向へ移動する。電子と正孔が同一分子に局在するとき、Frenkel励起子が形成される。これらの励起子は、最もエネルギーの低い物質内で捕縛される。特定の状況下で、特異的な光電子放出メカニズムを介して生じる緩和にともなった、電子の導電位(conduction potential)から価電子帯(valence band)までの電子遷移として、その束の間の励起子の再結合が可視化される。
【0007】
OLEDにおいて、正孔はHTLから別にある放出層へ注入され、電子もETLから別にある放出層へ注入され、そこで、正孔と電子が励起子を形成するために結びつく。
【0008】
様々な化合物がHTL物質またはETL物質として用いられてきた。HTL物質は、おおむね、高い正孔移動度(〜10−3cm2/Vs)を示す様々な形態のトリアリ−ルアミン類からなる。OLEDsに用いられているETLsには、幾分かの多様性がある。トリス(8−ヒドロキシキノラート)アルミニウム(Aluminium tris(8-hydroxyquinolate))(Alq)が、最も一般的なETL物質であり、他にオキシジアゾールと、トリアゾールと、トリアジンとを含んでいる。
【0009】
OLEDsの性能を改良するために、電極および隣接している層の間に緩衝層を用いている。緩衝層の使用により、電気的な短絡および無放射性領域(ダークスポット)のような性能劣化を軽減もしくは解消することができる。典型的な性能劣化は、Antoniadas, H., et al. ”Failure Modes in Vapor-Deposited Organic LEDs,” Macromol.Symp., 125, 59-67 (1997) の中で記載されている。OLEDsの性能信頼性は、多くの要因によって左右される可能性がある。例えば、基板と電極層を構成している材料の表面における欠陥、表面上の粒子、および表面の形態(morphology)のなかで一般的な形態は、OLEDsで生じている性能劣化を引き起こすか、もしくは、悪化させてしまう可能性がある。基板または電子層における表面上の粒子もしくは欠陥は、積層プロセス(deposition process)中に電極表面を均一に被うことを妨げることがある。これは粒子もしくは欠陥の近くに被覆されていない領域(shadowed regions)をつくり出してしまう原因となる可能性がある。被覆されていない領域は、水分、酸素、そして、他の有害な溶剤が様々な発光層(lamp layer)に入り込んで接触するための経路となり、様々な発光層(lamp layer)を分解してしまう。この分解が、非発光領域をますます大きくする可能性があるダークスポットになりうる。この分解が、電気的な短絡、もしくは、遅延(slower)による直接的なデバイス欠陥と、OLED層と大気の相互作用によって引き起こされる間接的なデバイス欠陥につながる。適切な緩衝層によって平坦化して、これらの欠陥を軽減することができる。
【0010】
US patent 6333521では、OLEDの有機層で使用するために開示されたガラスのような(単結晶形状または多結晶形状と対照的な)存在の有機物を開示している。ガラスは、薄いフィルムの結晶形状の物質を作成する場合に典型的に調製される多結晶物質と比較して優れた全体の荷電キャリア特性を有するだけでなく、高い透明度をもたらすことができるからである。しかしながら、ガラスの有機層がそのTをこえて熱せられる場合、熱による有機層の変形は、破壊的でありなおかつ不可逆的なOLEDの欠陥をもたらす。さらに、熱によるガラスの有機層の変形は、Tよりも低い温度で起こることがあり、そのような変形の速度は、変形が起こる温度とT間の差に依存することがある。結果的に、OLEDの寿命は、たとえデバイスがT以上に熱せられなくとも、有機層のTに依存することがある。結果的に、OLEDの有機層に使用することができる高いTを有する有機物を必要とする。
【0011】
良好な正孔輸送特性を有する陰極に隣接した緩衝層は、使用される厚みにおいて透明で、熱的に安定で、Tが高い、ということが重要である。
【0012】
しかしながら、物質のTと正孔輸送特性の間には、一般に反比例の関係がある。すなわち、高いTを有する物質は、一般的に正孔輸送特性に乏しい。良好な正孔輸送特性をともなう緩衝層を使用することは、より高い量子効率、OLEDを通るときのより低い抵抗、より高い量子実効率、そして、より高い輝度のような望むべき特性を有するOLEDをもたらす。
【0013】
さらに、適切な緩衝層は、その効率を改善することでOLEDの制御電圧を減らすことができ、OLEDを制御する寿命を延ばすことができる。
【0014】
使用されてきた緩衝層は、US patent 6611096、6614176、および6593690で開示されているようなポリマー、ならびに銅のフタロシアニンのような有機金属錯体を含んでいる。
【発明の開示】
【0015】
今ここに至り、私たちは、他の特性の改良した組み合わせと高いTを有するエレクトロルミネッセントデバイスの緩衝層として用いることができる化合物を見つけた。
【0016】
本発明では、(i)陰極である第1電極と、(ii)緩衝物質を組み込んだ緩衝層と、(iii)エレクトロルミネッセント物質の層と、(iv)陽極である第2電極と、を含み、緩衝物質が金属のテトラ−p−トリルポルフォナト錯体(tetra-p-tolyl porphonato complexs)、および構造式
【0017】
【化6】

の化合物から選択されるエレクトロルミネッセントデバイスを提供する。
【0018】
緩衝層は、5〜50nmの厚さとすることが好ましい。
【0019】
金属のテトラ−p−トリルポルフォナト錯体(tetra-p-tolyl porphonato complexs)におけるより好ましい金属は亜鉛である。
【0020】
この化合物はT>226℃であり、T>420℃である。
【0021】
本発明のエレクトロルミネッセント物質として用いることができるエレクトロルミネッセント化合物は、一般構造式(Lα)nMで表される。ここで、Mは希土類、ランタニドもしくはアクチニドであり、Lαは有機錯体、nはMの価数(valence state)である。
【0022】
本発明で用いることができる他の有機エレクトロルミネッセント化合物は、構造式
【0023】
【化7】

で表される。
【0024】
ここで、LαとLpは有機配位子であり、Mは希土類、遷移金属、ランタニドもしくはアクチニドであり、nは金属Mの価数である。配位子Lαは同じであっても、異なっていてもよく、同じもしくは異なっている複数の配位子Lpがあってもよい。
【0025】
例えば、(L)(L)(L)(L)M(Lp)は、Mが希土類金属、遷移金属、ランタニドもしくはアクチニドで、(L)(L)(L)(L)が同じもしくは違う有機錯体であって、(Lp)は中性配位子である。その配位子(L)(L)(L)(L)の総電荷は金属Mの価数に等しい。3価の価電子数のMに対応する3つの基Lαの場合は、錯体が構造式(L)(L)(L)M(Lp)であり、その異なる3つの基(L)(L)(L)は同じもしくは違っていてもよい。
【0026】
Lpは単座配位子、二座配位子、もしくは、多座配位子であり、1つもしくは複数の配位子Lpがある可能性がある。
【0027】
好ましくは、Mは、不完全な内殻を有する金属イオンであり、好ましいとされる金属は、Sm(III)、Eu(II)、Eu(III)、Tb(III)、Dy(III)、Yb(III)、Lu(III)、Gd(III)、Gd(III)U(III)、Tm(III)、Ce(III)、Pr(III)、Nd(III)、Pm(III)、Dy(III)、Ho(III)、Er(III)、Yb(III)そして、さらに好ましくは、Eu(III)、Tb(III)、Dy(III)、Gd(III)、Er(III)、Yt(III)から選択される。
【0028】
さらに、本発明で用いられる可能性がある有機エレクトロルミネッセント化合物は、一般構造式(Lα)nM1M2であり、ここでMは上述のMと同様であり、Mは非希土類金属であり、Lαは上述と同様であり、そしてnはMとMを組み合わせた価数(combined valence state)である。また、錯体は1つもしくは複数の中性配位子Lpを含むことで、錯体は一般構造式(Lα)nM1M2(Lp)となる可能性があり、ここでLpは上述と同様である。金属Mは、希土類金属、遷移金属、ランタニドもしくはアクチニドではないいずれかの金属である。用いられる金属の例としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、銅(I)、銅(II)、銀、金、亜鉛、カドミウム、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、ゲルマニウム、スズ(II)、スズ(IV)、アンチモン(II)、アンチモン(IV)、鉛(II)、鉛(IV)、および、異なる価数を有する遷移金属の第1族、第2族、第3族の金属、(例えば、マンガン、鉄、ルテニウム、オスミウム、コバルト、ニッケル、パラジウム(II)、パラジウム(IV)、白金(II)、白金(IV)、カドミウム、クロム、チタン、バナジウム、ジルコニウム、タンタル、モリブデン、ロジウム、イリジウム、チタン、ニオブ、スカンジウム、イットリウム)を含む。
【0029】
例えば、(L)(L)(L)(L)M(Lp)は、Mが希土類金属、遷移金属、ランタノイドもしくはアクチノイドで、(L)(L)(L)(L)と(Lp)が同じもしくは違う有機錯体である。
【0030】
さらに、本発明で用いることができる有機金属錯体は、2核、3核、多核の有機金属錯体である。例えば、(Lm)xM1←M2(Ln)yの構造式の、例えば、以下のものである。
【0031】
【化8】

【0032】
Lは、架橋している配位子であり、Mは希土類金属であり、MはMもしくは非希土類金属であり、LmおよびLnは上述で定義したような同じもしくは異なる有機配位子Lαであり、xはMの価数であり、そしてyはMの価数である。
【0033】
これらの錯体において、金属−金属結合があってもよく、もしくは、MとMとの間で1つもしくは複数の架橋する配位子を有してもよく、そして、LmとLnが同じであっても、異なっていてもよい。
【0034】
3核とは、金属−金属結合によって結合されている3つの希土類金属があることを意味する。すなわち、構造式で、
【0035】
【化9】

であり、ここで、M、M、およびMは、同じもしくは異なる希土類金属であり、Lm、LnおよびLpは有機配位子Lαであり、xはMの価数であり、yはMの価数であり、zはMの価数である。Lpは、LmおよびLnと同じであっても異なっていてもよい。
【0036】
希土類金属および非希土類金属は、金属−金属結合によって、および/もしくは、中間で架橋する原子、配位子、もしくは分子基(molecular group)を介することによって、ともに結合することができる。
【0037】
例えば、金属は架橋する配位子によって結合されてもよい。例えば、
【0038】
【化10】

であり、ここで、Lは架橋する配位子である。
【0039】
多核とは、金属−金属結合によって、および/もしくは、中間で配位子を介することによって、結合された金属が3つ以上あることを意味している。
【0040】
【化11】

ここで、M、M、M、およびMは、希土類金属であり、Lは架橋する配位子である。
【0041】
好ましくは、Lαは以下の構造式のようなαジケトンから選択される。
【0042】
【化12】

【0043】
ここで、R、R、ならびにRは、同じもしくは異なっており、水素、ならびに、置換および非置換の脂肪族基、置換および非置換の芳香族基、複素環および多環の環状構造をした基のような置換および非置換のヒドロカルビル基(hydrocarbyl group)、トリフルオリルメチル基のようなフッ化炭素、フッ素のようなハロゲン、または、チオフェニル基から選択される。また、R、R、ならびにRは、置換および非置換の縮合した芳香族、複素環および多環の環状構造を形成することができ、モノマー(例えばスチレン)と共重合できる。Xは、Se、S、もしくは、Oであり、Yは、水素、置換もしくは非置換のヒドロカルビル基、置換もしくは非置換の芳香族、複素環および多環などの環状構造をした基、フッ素、トリフルオリルメチル基のようなフッ化炭素、フッ素のようなハロゲン、もしくは、チオフェニル基、または、ニトリルである。
【0044】
βジケトンは、βジケトンで置換したポリマーとすることができ、βジケトンで置換したオリゴマーもしくはデンドリマーのポリマー内で、その置換基は、直接、ジケトンに結合する、または、1つもしくは複数の−CH基、すなわち、
【0045】
【化13】

もしくは、フェニル基、例えば、
【0046】
【化14】

を介して結合することができる。ここで、「ポリマー」とは、(1つもしくは2つの置換されたフェニル基、さらには、(IIIc)で示されるような3つの置換されたフェニル基を有する)オリゴマーもしくはデンドリマーのポリマーとすることができる。さらにここでRは水素、置換および非置換の脂肪族基、置換および非置換の芳香族、複素環および多環の環状構造をした基のような置換および非置換のヒドロカルビル基、トリフルオリルメチル基のようなフッ化炭素、フッ素のようなハロゲン基、もしくは、チオフェニル基から選択される。
【0047】
および/もしくはRおよび/もしくはRの例として、脂肪族、芳香族および複素環のアルコキシ基、アリールオキシ基およびカルボキシ基、置換および置換のフェニル基、フルオロフェニル基、ビフェニル基、フェナントレン(phenanthrene)、アントラセン(anthracene)、ナフチル基、および、フルオレン基、t−ブチル基のようなアルキル基、カルバゾールのような複素環基を含む。
【0048】
また、様々なLα基のいくつかは、カルボキシラート基(carboxylate groups)のような同じもしくは違う荷電をした基であってもよく、その結果、L基は上述で定義されたようでな基であり、L基、L3…基は、
【0049】
【化15】

のような荷電された基であってもよい。ここで、Rは上述で定義されたようなRであるか、もしくは、L基、L基が上述で定義されたような基であり、そして、L3…基などが他の荷電された基である。
【0050】
また、R、R、Rは、
【0051】
【化16】

であり、ここでXは、O、S、SeもしくはNHである。
【0052】
好ましいR部分は、トリフルオロメチル(CF)であり、ジケトン等の例としては、ベンゾイルトリフルオロアセトン(banzoyltrifluoroacetone)、p−クロロベンゾイルトリフルオロアセトン(p-chlorobenzoyltrifluoroacetone)、p−ブロモトリフロオロアセトン(p-bromotrifluoroacetone)、pーフェニルトリフルオロアセトン(p-naphthoyltrifluoroacetone)、1−ナフトイルトリフルオロアセトン(1-napthoyltrifluoroacetone)、2−ナフトイルトリフルオロアセトン(2-napthoyltrifluoroacetone)、2−フェナトイルトリフルオロアセトン(2-phenathoyltrifluoroacetone)、3−フェナントイルトリフルオロアセトン(3-phenanthoyltrifluoroacetone)、9−アントロイルトリフルオロアセトントリフルオロアセトン(9-anthroyltrifluoroacetonetrifluoroacetone)、シンナモイルトリフルオロアセトン(cinnamoyltrifluoroacetone)、および、2−テノイルトリフルオロアセトン(2-thenoyltrifluoroacetone)がある。
【0053】
様々なLα基は、下記の構造式の同じもしくは異なる配位子であってもよい。
【0054】
【化17】

ここで、XはO、S、もしくは、Seであり、R、R、およびRは上述と同様である。
【0055】
様々なLα基は、
【0056】
【化18】

のような同じもしくは異なるキノラート誘導体(quinolate derivatives)であってもよい。ここで、Rは脂肪族、芳香族、もしくは、複素環であるヒドロカルビル基、カルボキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、あるいは、アルコキシ基であり、例えば、8−ヒドロキシキノラート誘導体もしくは
【0057】
【化19】

である。ここで、R、R、およびRは上述と同様であるか、もしくは、HまたはFである。例えば、RとRは、アルキル基もしくはアルコキシ基である。
【0058】
【化20】

【0059】
上で述べたような様々なLα基は、同じもしくは異なるカルボキシラート基、例えば、
【0060】
【化21】

であり、ここで、Rは、置換もしくは非置換の芳香族、多環もしくは複素環、ポリピリジル基であり、また、Rを2−エチルヘキシル基とすることでLは2−エチルヘキサン酸塩(2-ethylhexanoate)とすることができ、または、Rをイス型構造とすることでLは2−アセチルシクロヘキサン酸塩(2-acetyl cyclohexanoate)とすることができ、あるいは、Lαは、
【0061】
【化22】

とすることができる。ここで、Rは上述と同様であり、例えば、アルキル、アレニル、アミノ、または、環状もしくは多環のような縮合環である。
【0062】
また、様々なLα基は、
【0063】
【化23】

であることがあり、ここで、R、R、Rは上述と同様である。
【0064】
Lp基は、
【0065】
【化24】

から選択することができる。ここで、それぞれのPhは同じもしくは異なっており、フェニル基(OPNP)もしくは置換されたフェニル基、他の置換もしくは非置換の芳香族基、置換もしくは非置換の複素環基または多環基、ナフチル基、アントラセン、フェナントレン、もしくはピレン基のような置換もしくは非置換の縮合した芳香族基であってもよい。その置換基は、例えば、アルキル基、アラルキル基、アルコキシ基、芳香族基、複素環基、多環基、フッ素のようなハロゲン基、シアノ基、アミノ基、置換されたアミノ基などであってもよい。例が図1と図2の図に与えられており、R、R、R、R、およびRは、同じ基であっても異なった基であっても良く、水素基、ヒドロカルビル基、置換および非置換の芳香族、複素環および多環の環状構造の基、トリフルオリルメチル基のようなフッ化炭素基、フッ素のようなハロゲン基、もしくは、チオフェニル基から選択される。また、R、R、R、R、およびRは、置換および非置換の縮合芳香族、複素環および多環の環状構造の基を形成でき、モノマー(例えばスチレン)と共重合できる。R、R、R、R、およびRは、また、ビニル基や
【0066】
【化25】

基(ここでRは上述と同様である)のような不飽和のアルキレン基であってもよい。
【0067】
また、Lは、以下の構造式の化合物である可能性がある。
【0068】
【化26】

、R、Rは上述で述べたものであり、例えば、図3の図に示したバソフェン(bathophen)(ここでRは上述と同様である)、もしくは、
【0069】
【化27】

である。ここで、R、R、およびRは上述のものである。
【0070】
また、Lは、
【0071】
【化28】

としてもよい。ここで、Phは上述と同様である。
【0072】
のキレートの別の例としては、図4に示したもの、および、例えば図5で示されるフルオレンおよびフルオレン誘導体、ならびに、図6から図8で示されている構造式の化合物である。
【0073】
LαおよびLpの具体例としては、トリピリジル(tripyridyl)およびTMHD、ならびにTMHD錯体、α,α’,α’’トリピリジル(α,α’,α’’tripyridyl)、クラウンエーテル類(crown ethers)、シクラン類(cyclans)、クリプタンズ(cryptans)、フタロシアナン類(phthalocyanans)、ポルフォリンエチレンジアミンテトラミン(EDTA,porphoryins ethylene diamine tetramine)、DCTA、DTPA、およびTTHAである。ここでTMHDは、2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト(2,2,6,6-tetramethyl-3,5-heptanedionato)であり、OPNPはジフェニルホスホンイミドトリフェニルホスホラン(diphenylphosphonimidetriphenylphosphorane)である。ポリアミンの構造式は、図9で示している。
【0074】
用いることができる別の有機エレクトロルミネッセント物質は、リチウムキノラートのような金属のキノラート類(metal quinolates)、および、アルミニウム錯体、マグネシウム錯体、亜鉛錯体のような非希土類金属錯体、ならびに、β-ジケトンの錯体のようなスカンジウム錯体、例えば、トリス−(1,3−ジフェニル−1−3−プロパンジオン)(DBM,Tris -(1,3-diphenyl-1-3-propanedione))を含んでおり、適した金属錯体は、Al(DBM)、Zn(DBM)およびMg(DBM)、Sc(DBM)などである。
【0075】
用いることができる別の有機エレクトロルミネッセント物質は、下記の構造の金属錯体を含む。
【0076】
【化29】

【0077】
ここで、Mは希土類金属、遷移金属、ランタニドもしくはアクチニドとは別の金属であり、nはMの価数であり、R、RおよびRは、同じ基であっても異なる基であってもよく、水素、ヒドロカルビル基、置換および非置換の脂肪族基、置換および非置換の芳香族、複素環および多環の環状構造を有する基、トリフルオリルメチル基のようなフッ化炭素、フッ素のようなハロゲン、もしくは、チオフェニル基、またはニトリルから選択され、また、RとRは環状構造を形成してもよく、R、RおよびRは、モノマー(例えば、スチレン)と共重合する可能性がある。好ましくは、Mはアルミニウムであり、Rはフェニル基もしくは、置換したフェニル基である。
【0078】
用いることができる別の有機エレクトロルミネッセント物質は、下記の構造のエレクトロルミネッセントジイリジウム化合物を含む。
【0079】
【化30】

ここで、R、R、RおよびRは、同じ基であっても異なる基であっても良く、水素、置換および非置換のヒドロカルビル基から選択され、好ましくはR、R、RおよびRは、置換および非置換の脂肪族基、置換および非置換の芳香族、複素環および多環の環状構造を有する基、トリフルオリルメチル基のようなフッ化炭素、フッ素のようなハロゲン、もしくは、チオフェニル基、から選択され、またR、RおよびRは、置換および非置換の縮合した芳香族、複素環および多環の環状構造を形成してもよく、モノマーと共重合することができ、さらに、LおよびLは、同じもしくは異なっている有機配位子であり、より好ましいLおよびLは、フェニルピリジンおよび置換したフェニルピリジン類から選択されるとよい。
【0080】
用いることができる別のインジウム錯体には、下記の構造式のエレクトロルミネッセント錯体、
【0081】
【化31】

(ここで、Mはルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、もしくは、白金であり、nは1もしくは2であり、R、RおよびRは、同じ基であっても異なる基であってもよく、置換および非置換のヒドロカルビル基、置換および非置換の単環もしくは多環の複素環基、置換および非置換のヒドロカルビルオキシ(hydrocarbyloxy)基またはカルボキシ基、フルオロカルビル(fluorocarbyl)基、ハロゲン、ニトリル、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基、ジアリールアミノ基、および、チオフェニル基から選択され、p、sおよびtは独立に、0、1、2もしくは3であり、p、sおよびtのいずれかが2もしくは3であるという条件の下で、それらのうちの1つだけが飽和ヒドロカルビル基もしくはハロゲン以外であってもよく、RおよびRは、同じ基であっても異なる基であってもよく、置換および非置換のヒドロカルビル基、ハロゲンから選択され、qおよびrは独立して0、1、もしくは2である)、ならびに、下記の構造式の錯体、
【0082】
【化32】

【0083】
(ここで、Mはルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、もしくは、白金であり、nは1もしくは2であり、RからRは、同じ基であっても異なる基であってもよく、置換および非置換のヒドロカルビル基、置換および非置換の単環もしくは多環の複素環基、置換および非置換のヒドロカルビルオキシ(hydrocarbyloxy)基もしくはカルボキシ基、フルオロカルビル基、ハロゲン、ニトリル、ニトロ基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基、ジアリールアミノ基、N−アルキルアミド基、N−アリールアミド基、スルホニル基、および、チオフェニル基から選択され、そして、RおよびRは、さらにアルキルシリル基、アリールシリル基であってもよく、p、sおよびtは、独立して0、1、2もしくは3であり、p、sおよびtのいずれかが2もしくは3であるという条件の下で、それらのうちの1つだけが飽和ヒドロカルビル基もしくはハロゲン基以外であってもよく、qおよびrは、独立して0、1もしくは2であり、qもしくはrが2のであるという条件の下で、それらのうちの1つだけが飽和ヒドロカルビル基もしくはハロゲン以外である可能性がある)、
下記の構造式の化合物、
【0084】
【化33】

(ここで、R、R、R、R、RおよびRは、同じ基であっても異なる基であっても良く、水素、ならびに、置換および非置換の脂肪族基、置換および非置換の芳香族、複素環および多環の環状構造を有する基のような置換および非置換のヒドロカルビル基、トリフルオリルメチル基のようなフッ化炭素基、フッ素のようなハロゲン、もしくは、チオフェニル基から選択され、また、R、RおよびRは、置換または非置換の縮合した芳香族、複素環および多環の環状構造を形成してもよく、モノマー(例えば、スチレン)と共重合をすることができ、さらに、ここでRおよびRは、同じ基であっても異なる基であっても良く、水素、ならびに、置換および非置換の脂肪族基、置換および非置換の芳香族、複素環および多環の環状構造を有する基のような置換および非置換のヒドロカルビル基、トリフルオリルメチル基のようなフッ化炭素基、フッ素のようなハロゲン、もしくは、チオフェニル基、から選択されてもよく、また、R、R、およびRは、置換または非置換の縮合した芳香族、複素環および多環の環状構造を形成してもよく、モノマーと共重合をすることもでき、Mは、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、もしくは、白金であり、n+2はMの価数である)
ならびに、下記の構造式のエレクトロルミネッセント化合物、
【0085】
【化34】

【0086】
(ここで、Mは金属であり、nはMの価数であり、RとRは、同じ基であっても異なる基であっても良く、水素、ならびに、置換および非置換の脂肪族基、置換および非置換の芳香族、複素環および多環の環状構造を有する基のような置換および非置換のヒドロカルビル基、トリフルオリルメチル基のようなフッ化炭素基、フッ素のようなハロゲン、チオフェニル基、シアノ基、置換および非置換の脂肪族基、置換および非置換の脂肪族基のような置換および非置換のヒドロカルビル基から選択される)
を含んでいる。
【0087】
別のエレクトロルミネッセントの構造において、エレクトロルミネッセント層は、第二のエレクトロルミネッセント金属錯体、または、ガドリニウム錯体もしくはセリウム錯体のような有機金属錯体におけるバンドギャップが、第一のエレクトロルミネッセント金属錯体、または、ユウロピウム錯体もしくはテルビウム錯体のような有機金属錯体のバンドギャップよりも大きい2つのエレクトロルミネッセント有機錯体の層にて形成される。
【0088】
用いることができる別のエレクトロルミネッセント化合物は、構造式
【0089】
【化35】

である。ここで、Phは非置換もしくは置換のフェニル基であり、その置換基は、同じ基であっても異なる基であってもよく、水素、ならびに、置換および非置換の脂肪族基、置換および非置換の芳香族、複素環および多環の環状構造を有する基のような置換および非置換のヒドロカルビル基、トリフルオリルメチル基のようなフッ化炭素基、フッ素のようなハロゲン、もしくは、チオフェニル基から選択され、R、RおよびRは、水素、または、置換および非置換の芳香族、複素環および多環のような環状構造を有する基などの置換もしくは非置換のヒドロカルビル基、フッ素、トリフルオリルメチル基のようなフッ化炭素基、フッ素のようなハロゲン基、もしくは、チオフェニル基、あるいは、ニトリルであってもよい。
【0090】
Rおよび/またはRおよび/またはRおよび/またはRの例としては、脂肪族、芳香族および複素環のアルコキシ基、アリールオキシ基、およびカルボキシ基、置換および置換のフェニル基、フルオロフェニル基、ビフェニル基、フェナントレン基、アントラセン基、ナフチル基、ならびに、フルオレン基、t-ブチルのようなアルキル基、カルバゾールのような複素環基を含む。
【0091】
さらに、用いることができるエレクトロルミネッセント物質は、アルミニウムキノラート、リチウムキノラート、ジルコニウムキノラートなど、のような金属キノラート類、および、蛍光物質をドープした金属キノラート、もしくは、特許文献WO/2004/058913で開示されているような色素(dies)を含む。
【0092】
好ましくは、緩衝層とエレクトロルミネッセント化合物の層との間に正孔輸送物質の層を有する。
【0093】
その正孔輸送物質は、エレクトロルミネッセントデバイスで用いられる正孔輸送物質のいずれであってもよい。
【0094】
その正孔輸送物質は、ポリ(ビニルカルバゾール)(poly(vinylcarbazol))、N,N’-ジフェニル-N,N’-ビス(3-メチルフェニル)-1,1’-ビフェニル-4,4’-ジアミン(TPD;N,N’-diphenyl-N,N’-bis(3-methylphenyl)-1,1’-biphenyl-4,4’-diamine)のようなアミン錯体、アミノ置換芳香族化合物の非置換もしくは置換のポリマー、ポリアニリン、置換されたポリアニリン類、ポリチオフェン類、置換されたポリチオフェン類、ポリシラン類など、であってもよい。ポリアニリンの例としては、以下の構造式の化合物のポリマーがある。
【0095】
【化36】

ここで、Rは、オルト位もしくはメタ位にある、水素、C1-18アルキル基、C1-6アルコキシ基、アミノ基、クロロ基、ブロモ基、ヒドロキシ基、もしくは、以下の基
【0096】
【化37】

であり、ここでRはアルキ(alky)基もしくはアリール基であり、R’は水素、C1-6アルキル基もしくは上記の構造式Iの少なくとも1つの別のモノマーを伴うアリール基である。
【0097】
また、正孔輸送物質は、ポリアニリンであってもよく、本発明で用いることができるポリアニリン類は、以下の一般構造式を有する。
【0098】
【化38】

ここでpは1から10であり、nは1から20であり、Rは上述で定義されたものであり、Xはアニオンであって、好ましくは、Cl、Br、SO、BF、PF、HPO、HPO、アリールスルホナ−ト(arylsulphonate)、アレーンジカルボキシラート(arenedicarboxylate)、ポリスチレンスルホナート(polystyrenesulphonate)、ポリアクリラート(polyacrylate)、アルキスルホナート(alkysulphonate)、ビニルスルホナート(vinylsulphonate)、ビニルベンゼンスルホナート(vinylbenzene sulphonate)、セルローススルホナート(cellulose sulphonate)、カンファースルホナート(camphor sulphonates)、セルローススルファート(cellulose sulphate)、もしくは、過フッ素化したポリアニオン(perfluorinated polyanion)から選択される。
【0099】
アリールスルホナート類(arylsulphonate)の例としては、p-トルエンスルホナート(p-toluenesulphonate)、ベンゼンスルホナート(benzenesulphonate)、9,10-アントラキノン-スルホナート(9,10-anthraquinone-sulphonate)、および、アントラセンスルホナート(anthracenesulphonate)があり、アレーンジカルボキシラート(arenedicarboxylate)の例としては、フタラート(phthalate)があり、アレーンカルボキシラート(arenedicarboxylate)の例としては、ベンゾアート(benzoate)がある。
【0100】
我々は、ポリアニリンなどのアミノ置換芳香族化合物の非置換もしくは置換ポリマーのプロトン化したポリマーが蒸発しにくいか、蒸発しないことを発見した。しかしながら、さらに驚くことには、我々は、アミノ置換芳香族化合物の非置換もしくは置換のポリマーが脱プロトン化された場合、容易に蒸発する、すなわちポリマーが蒸発可能である、ということを発見した。
【0101】
好ましくは、アミノ置換芳香族化合物の非置換もしくは置換のポリマーにおける蒸発可能な脱プロトン化されたポリマーを用いる。その脱プロトン化されたアミノ置換芳香族化合物の非置換もしくは置換のポリマーは、水酸化アンモニウムのようなアルカリ、または、水酸化ナトリウムもしくは水酸化カリウムのようなアルカリ金属水酸化物で処理してそのポリマーを脱プロトン化することによって形成することができる。
【0102】
プロトン化の程度は、プロトン化されたポリアニリンを形成し、脱プロトン化することによって調整される。ポリアニリンを調製する方法は、A. G. Mac DiarmidとA. F. EpsteinのFaraday Discussions, Chem Soc. 88 P319 1989における文献で述べられている。
【0103】
ポリアニリンの電気伝導度は、プロトン化の程度に比例し、プロトン化の程度が40%〜60%、例えば、約50%であるときに最大電気伝導度となる。
【0104】
好ましくは、そのポリマーをほぼ完全に脱プロトン化する。
【0105】
好ましくは、ポリアニリンは、8量体単位(octamer unit)を形成することができる。すなわち、pは4つであり、例えば、
【0106】
【化39】

である。
【0107】
ポリアニリン類は、1×10−1シーメンスcm-1、もしくは、それ以上の桁の電気伝導度を有してもよい。
【0108】
芳香族環は非置換であっても、例えば、エチル基のようなC1-20アルキル基で置換してもよい。
【0109】
ポリアニリンは、アニリンのコポリマーとすることができ、好ましいコポリマーは、o-アニシジン(o-anisidine)、m-スルホン酸(m-sulphanilic acid)もしくはo-アミノフェノール(o-aminophenol)とアニリン(aniline)とのコポリマー、または、o-アミノフェノール(o-aminophenol)、o-エチルアニリン(o-ethylaniline)、o-フェニレンジアミン(o-phenylene)またはアミノアントラセン類(aminoanthracenes)とo-トルイジン(o-toluidine)とのコポリマーである。
【0110】
用いることができる別のアミノ置換芳香族化合物のポリマーは、置換もしくは非置換のポリアミノナフタレン類(polyaminonapthalenes)、ポリアミノアントラセン類(polyaminoanthracenes)、ポリアミノフェナントレン類(polyaminophenanthrenes)など、および、他の任意の導電性を有するポリ芳香族化合物のポリマーを含む。ポリアミノアントラセン類(polyaminoanthracenes)とそれらを調製する方法は、US特許6,153,726で開示されている。その芳香族環は非置換であっても、例えば、上述のようなR基によって置換しても良い。
【0111】
別の正孔輸送物質は、共役ポリマーであり、用いることができる共役ポリマーは、US5807627、PCT/WO90/13148およびPCT/WO92/03490で開示、もしくは言及されている共役ポリマーのいずれであってもよい。
【0112】
好ましい共役ポリマーは、ポリ(p-フェニレンビニレン) (PPV;poly(p-phenylenevinylen)) およびPPVを含むコポリマーである。別の好ましいポリマーは、ポリ(2-メトキシ-5-(2-メトキシペンチルオキシ-1,4-フェニレンビニレン))(poly(2-methoxy-5-(2-methoxypentyloxy-1,4-phenylene vinylene))) 、ポリ(2-メトキシペンチルオキシ)-1,4-フェニレンビニレン(poly(2-methoxypentyloxy)-1,4-phenylene vinylene)、ポリ(2-メトキシ-5-(2-ドデシルオキシ-1,4-フェニレンビニレン) (poly(2-methoxy-5-(2-dodecyloxy-1,4-phenylene vinylene)))のようなポリ(2,5ジアルコキシフェニレンビニレン)(poly(2,5dialkoxyphenylene vinylene))、および、長鎖で可溶であるアルコキシ基を有する少なくとも1つのアルコキシ基をともなう他のポリ(2,5ジアルコキシフェニレンビニレン)類(poly(2,5dialkoxyphenylene vinylene))、ポリフルオレン類(poly fluorenes)およびオリゴフルオレン類(oligofluorenes)、ポリフェニレン類(polyphenylenes)およびオリゴフェニレン類(oligophenylenes)、ポリアントラセン類(polyanthracenes)およびオリゴアントラセン類(oligoanthracenes)、ポロイチオフェン類(ploythiophenes)およびオリゴチオフェン類(oligothiophenes)である。
【0113】
PPVのフェニレン環は、任意に1つもしくは複数の置換基をともなっていてもよく、例えば、それぞれ独立して、アルキル基(好ましくは、メチル基)、アルコキシ基(好ましくは、メトキシ基もしくはエトキシ基)から選択される。
【0114】
任意のポリ(アリーレンビニレン)(poly(arylenevinylene))には、使用可能なそれらの置換誘導体を含む可能性があり、ポリ(p-フェニレンビニレン)(poly(p-phenylenevinylene))のフェニレン環を、アントラセン環もしくはナフタレン環のような縮合環類で置換してもよく、それぞれのポリフェニレンビニレン部分のビニレン基の数を、例えば7まで、または、それ以上に増やしてもよい。
【0115】
共役ポリマーは、US5807627、PCT/WO90/13148およびPCT/WO92/03490で開示されている方法によって調製することができる。
【0116】
正孔輸送層の厚さは、好ましくは厚さ20nm〜200nmである。
【0117】
別のいくつかの正孔輸送物質の構造式は、図12、図13、図14、図15、および、図16の図に示されており、ここでR、RおよびRは、同じ基であっても異なる基であってもよく、そして、水素、および、置換および非置換の脂肪族基、置換および非置換の芳香族、複素および多環の環状構造を有する基のような置換および非置換のヒドロカルビル基、トリフルオリルメチル基のようなフッ化炭素、フッ素のようなハロゲン、もしくは、チオフェニル基から選択され、また、R、RおよびRは、置換および非置換の縮合した芳香族、複素および多環の環状構造を形成してもよく、モノマー(例えば、スチレン)と共重合する可能性もある。Xは、Se、S、もしくはOであり、Yは、水素、置換および非置換の芳香族、複素環式および多環式の環状構造の基などの置換もしくは非置換のヒドロカルビル基、フッ素、トリフルオリルメチル基のようなフッ化炭素、フッ素のようなハロゲン、もしくは、チオフェニル基、または、ニトリルとしてもよい。
【0118】
例として、Rおよび/もしくはRおよび/もしくはRは、脂肪族、芳香族、および複素環のアルコキシ基、アリールオキシ基ならびにカルボキシ基、置換および置換のフェニル基、フルオロフェニル基、ビフェニル基、フェナントレン基、アントラセン基、ナフチル基、およびフルオレン基、t-ブチルのようなアルキル基、カルバゾールのような複素環基を含んでいる。
【0119】
任意に、陽極とエレクトロルミネッセント物質層との間に電子注入物質層が存在する。その電子注入物質は、その中を電流が通ったときに電子を輸送する物質であり、電子注入物質には、金属キノラート(例えば、アルミニウムキノラート、リチウムキノラート)、Mx(DBM)n、(ここで、Mxは金属で、DBMはジベンゾイルメタンであり、nがMxの価数であり、例えば、Mxはクロム)などの金属錯体、9,10ジシアノアントラセン(9,10 dicyano anthracene)のようなシアノアントラセン、シアノ置換芳香族化合物、テトラシアノキニドジメタン(tetracyanoquinidodimethane)、ポリスチレンスルホナート(polystyrene sulphonate)、または、フェニル環が上述における置換基Rで置換される可能性がある図10もしくは図11の図において示される構造の構造式を有する化合物が含まれる。別々の層とする代わりに、電子注入物質はエレクトロルミネッセント物質と混在していてもよく、また、エレクトロルミネッセント物質とともに同時に堆積してもよい。
【0120】
任意に、正孔輸送物質は、エレクトロルミネッセント物質と混在していてもよく、また、エレクトロルミネッセント物質とともに同時に堆積してもよい。
【0121】
正孔輸送物質、エレクトロルミネッセント物質および電子注入物質は、構造を単純化し、1つの層を形成するために共に混在していてもよい。
【0122】
第1電極は、好ましくは、陰極として機能する導電性のガラス、もしくは、プラスチック物質のような透明な基板である。好ましい基板は、インジウム-スズ酸化物被覆ガラス(indium tin oxide coated glass)ような導電性のガラスであるが、導電性を有する、または、金属もしくは導電性ポリマーのような電気伝導層を有する任意のガラスを用いることができる。導電性ポリマー類、ならびに、導電性ポリマーで覆われたガラスもしくはプラスチック物質も、基板として用いることができる。
【0123】
陽極は、好ましくは、低い仕事関数を有する金属であり、例えば、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、および、銀/マグネシウム合金のようなそれらの合金、希土類金属合金などがあり、アルミニウムが好ましい金属である。アルカリ金属、希土類金属、もしくは、それらの合金、のような金属フッ化物は、例えば、金属上に形成した金属フッ化物層を有することで、第二電極として用いることができる。
【0124】
本発明のデバイスは、映像ディスプレイ、携帯電話、携帯式のコンピュータ、および、電気的に制御される可視画像に使われる任意の他の用途に用いられるディスプレイとして用いることができる。本発明のデバイスは、このようなディスプレイのアクティブ用途およびパッシブ用途(active and passive application)の両方において用いられる。
【0125】
公知のエレクトロルミネッセントデバイスにおいて、1つもしくは両方の電極をシリコンおよびエレクトロルミネッセント層において形成することができ、正孔輸送物質および電子輸送物質の中間にある層をシリコン基板におけるピクセルとして形成することができる。好ましくは、各ピクセルは、少なくとも1つエレクトロルミネッセント物質の層と、基板から離れているそれら(ピクセル)の側面における有機層に接続してある(少なくとも半透明)透明電極を含んでいる。
【0126】
好ましくは、基板が結晶質シリコン(crystalline silicon)であり、電極もしくはエレクトロルミネッセント化合物の堆積の前に平坦な表面を作るために、基板の表面を研磨する、もしくは平滑化するとよい。もう一つの方法として、さらなる物質を堆積させる前に滑らかで平坦な表面にするために平坦でないシリコン基板を導電性のポリマー層で被ってもよい。
【0127】
1つの実施の形態として、各ピクセルは、基板に接続している金属の電極を含んでいる。金属と透明電極の相対的な仕事関数に依存して、どちらかが陰極として機能し他方が陽極として機能することがある。
【0128】
シリコン基板が陽極である場合、インジウム-スズ酸化物被覆ガラスは、陰極として機能し、光が陰極を通して放出される。シリコン基板が陰極として機能する場合は、陽極を適した仕事関数を有する透明電極で形成するとよい。(例えば、インジウム-亜鉛酸化物が低い仕事関数を有するため、インジウム-亜鉛酸化物被覆ガラス(indium zinc oxide coated glass)を用いることができる。)陰極は、適した仕事関数とするためにその上に金属の透明な被膜を施すとよい。これらのデバイスは、トップエミッティングデバイスもしくはバックエミッティングデバイスと言われることがある。
【0129】
金属の電極は、複数の金属層(例えば、基板上に堆積したアルミニウムのような高い仕事関数を有する金属と、高い仕事関数を有する金属上に堆積したカルシウムのような低い仕事関数を有する金属)から構成されてもよい。もう一つの例として、導電性ポリマーのさらなる層をアルミニウムのような安定な金属の表面に施している。
【0130】
好ましくは、電極は、各ピクセルの後方におけるミラーとしても機能して、基板の平坦化された表面上に堆積されているか、もしくは、表面内に沈められている。しかしながら、もう一つの方法として、吸光黒色層(light absorbing black layer)を基板に隣接させてもよい。
【0131】
また、別の実施の形態として、底面の導電性ポリマー層における選択的な領域を、ピクセル電極の底面の接触部としての役割を果たす導電性ピクセルパッドの配列の形成をする適切な水溶液にさらすことで絶縁性をなす。
【0132】
本発明の少なくとも1つの実施形態の利点は、有機エレクトリックデバイスにおける可動性の対イオンの減少もしくは排除にある。好ましくは、対イオン可動性は、そのようなデバイスにおける緩衝層にて減少もしくは排除される。対イオンが電極構造内を移動して、デバイスの中における正電荷や電荷の運動を阻害すると言うことが信じられていることから、これらの対イオンを不動とする利点があり、本発明の少なくとも1つの実施形態のさらなる利点は、時間にともなう望まれない制御電圧増大の回避にあり、さらなる本発明の少なくとも1つの実施形態の利点は、デバイス寿命、および、より高く制御の信頼性が向上したことにある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0133】
本発明は実験例の中で図説される。
【0134】
[実験例1]
5,10,15,20-テトラ-p-トリルポルフィン)亜鉛(II) (ZnTpTP)(A)の調製における合成手順
【0135】
{必要な材料}
5,10,15,20-テトラ-p-トリル-21H,23H-ポルフィン(TpTP) 97% Aldrich
リチウムビス(トリメチルシリル)アミド(LiN(SiMe3)2) 97% Aldrich
塩化亜鉛(II)1(ZnCl2) 98.0% BDH
エチレングルコールジメチルエーテル、無水和物(DME)2 99.5% Aldrich
トルエン3 Analar BDH
クロロホルム Analar BDH
1 ZnCl2は、使用前に72時間にわたり、100℃の減圧オーブンで保存した。
2 使用前に凍結-脱気-解凍サイクルを用いて溶媒を脱ガスした。
3 使用前にNa/ベンゾフェノンから蒸留した。
【0136】
{合成法}
【0137】
【化40】

【0138】
{実験}
【0139】
<5,10,15,20-テトラ-p-トリルポルフィンのジリチウム塩の調製>
アルゴン雰囲気下で、熱乾燥したSchlenk管にLiN(SiMe3)2(4.0g,24mmol)とTpTP(8.0g,12mmol)を一緒につめた。カニューレを介してDME(50mL)を加え、混合物を8時間にわたりアルゴン下で還流した。冷却すると、鮮やかな紫の粉のLi2(DME)x(TpTP)(x=2~3)が形成された。この生成物を濾別し、数時間にわたり減圧乾燥した。収率10.5g(92~99%)。
【0140】
<ZnTpTP(A)の調製>
アルゴン雰囲気下で、熱乾燥したSchlenk管にLi2(DME)(TpTP)(10.5g,12mmol)とZnCl2(3.3g,24mmol)を一緒につめた。カニューレを介してトルエン(50mL)を加え、混合物を4〜5時間にわたりアルゴン下で還流し、その後、混合物は鮮やかな紫を呈した。混合物を熱濾過し、そして、温かいクロロホルム(50mL)で3回洗浄した。溶媒を濾過することで除去し、残余物を72時間にわたって200mLのトルエンでソックレー抽出をした。冷却すると、そのトルエン溶媒は暗紫色の結晶を生じ、それを濾過によって分離した。その結晶をヘキサンで洗浄し、24時間にわたって100℃の減圧オーブンで乾燥した。収率5.6g(64%)。
【0141】
[実験例2]
N*10*,N*10’-ジ-ナフタレン-1-イル-N*10*,N*10’*-ジフェニル[9,9’]ビアントラセニル-10,10’-ジアミン(B)の合成
【0142】
(1)
【0143】
【化41】

アントロン(Avocadoから購入、97%(40.00g、206mmol))を氷酢酸(200ml)と濃塩酸(80ml)の混合物で還流した。この還流する溶液において、粒状のスズ(80g,674mmol)を慎重に加えた。その反応物を白濁沈殿物が形成されている期間の15時間にわたって還流した。混合物を室温まで冷まし、その溶液を、その沈殿物と分離するために(しかし、反応容器に反応していないスズを残すように)、注意深く減圧濾過した。その沈殿物を水(100ml)ですすいで、減圧オーブンで乾燥した。その後、1:1[9,9’]ビアンセラセニル/トルエン付加化合物(37g,81%収率)の淡い黄色の結晶を回収するために熱トルエンの最低量(約500ml)から、この固体を再結晶化させた。
【0144】
(2)
【0145】
【化42】

1:1[9,9’]ビアンセラセニル/トルエン付加化合物(30g,67.2mmol)を室温にて二硫化炭素(100ml)で溶解し、攪拌した。この水溶液に臭素(6.9ml,134.7mmol)を滴下して加えた。臭化水素ガスが発生し、混合物を2h以上攪拌した。この期間の後に、n-ヘキサン(150ml)を加えることで、多量の黄色固体が沈殿した。この固体を減圧濾過し、n-ヘキサンですすいで乾燥した。この固体が、10,10’-ジブロモ-[9,9’]ビアントラセニル(27g,78%)であり、融点357~359℃である。
【0146】
(3)
【0147】
【化43】

10,10’-ジブロモ-[9,9’]ビアントラセニル(10g,19.5mmol)、N-フェニル-1-ナフチルアミン(40mmol)、tert-ブトキシドナトリウム(4.15g,96mmol)、パラジウム(II)アセタート(0.088g,0.39mmol)およびヘキサン(5.5ml,1.6mmol)中の10%wtのトリ-tert-ブチル-ホスファンを乾燥したアルゴンガスの雰囲気下において、無水のo-キシレン(100ml)中で攪拌した。この混合物は、3時間にわたり120℃で熱した。その初期の暗色溶液は、この期間が経つにつれてより明るい色になり、沈殿の色が濃くなる。その反応混合物を室温まで冷まし、250mlのメタノールに十分に混合し、減圧濾過し、少量のメタノールですすいだ。その固体を250mlの熱水で十分に攪拌し、減圧濾過し、250mlの冷水ですすぎ、それから250mlのメタノールですすいだ。精製した生成物を得るために、その固体を乾燥し、それから高減圧下(近似的に10-6Torr)で昇華した。収率86%。オレンジ-黄色のアモルファス固体を得るために、これを二回昇華した。融点>400℃。
【0148】
上述のように合成したAおよびBをエレクトロルミネッセントデバイスの中の緩衝層として試行実験をし、緩衝層として広く用いられているフタロシアニン銅の緩衝層の使用と比較した。
【0149】
[実験例3]
あらかじめエッチングしたITO被覆ガラス片(pre-etched ITO coated glass piece)(10 x 10cm2)を用いた。ITO上に順次形成し、Solciet Machine (ULVAC Ltd. Chigacki, Japan)を用いて真空蒸発によりデバイスを加工した。各ピクセルの稼働域は、3mm×3mmであり、そのデバイスは、図17で示しており、その層は、下記からなる。
(1)ITO/(2)B(20nm)/(3)α-NPB(65nm)/(4)C:Liq-2Me(25:0.1nm)/(5)Hfq4(20nm)/(6)LiF(0.3nm)/(7)Al、
ここで、ITOはインジウム-スズ酸化物被覆ガラスであり、α-NPBは図17の図で示されおり、Cは下記(p.39)であり、Liq-2Meは2-メチルリチウムキノラートであり、Hfq4はハフニウムキノラートである。
【0150】
その被覆電極は、それらを減圧塗工機(Edwards,10-6torr)に導入してアルミニウム表面接触部(aluminium top contacts)を作るまで、モレキュラーシーブとリンの五酸化物を介して減圧乾燥機内で保存した。エレクトロルミネッセンス研究が行われるまで、そのデバイスを減圧乾燥機内に保存した。
【0151】
ITO電極を常に陽極端子に接続した。電流、対、電圧の研究をコンピュータ制御されたKeithly 2400 電圧計で実行した。その性能は図18と図19で示している。
【0152】
[実験例4]
一連のデバイスは、例3のようにして作成し、そして、フタロシアニン銅緩衝層を用いたデバイスと比較した。
デバイスは以下の実施例にある構造とした。
【0153】
[実験例5]
(1)ITO/(2)B(20nm)/(3)α-NPB(45nm)/(4)CBP:D(20:0.5nm)/(5)BCP(6nm)/(6)LiF(0.5nm)/(7)Al、および
(1)ITO/(2)CuPc(10nm)/(3)α-NPB(45nm)/(4)CBP:D(20:0.5nm)/(5)BCP(6nm)/(6)LiF(0.5nm)/(7)Al。
ここで、CBPは図12bにおける構造式であり、BCPはバソクプロン(bathocupron)であり、そして、Dは以下の(p.39)における構造式の緑色リン発光化合物である。
性能は図20および図21で示している。
【0154】
[実験例6]
(1)ITO/(2)B(5nm)/(3)α-NPB(20nm)/(4)CBP:E(20:1.6nm)/(5)BCP(6nm)/(6)Zrq4(30nm)/(7)LiF(0.5)/(8)Al、および
(1)ITO/(2)CuPc(5nm)/(3)α-NPB(20nm)/(4)CBP:E(20:1.6nm)/(5)BCP(6nm)/(6)Zrq4(30nm)/(7)LiF(0.5)/(8)Al、
ここで、Eは以下の(p.39)における緑色リン発光化合物である。
性能は図22および図23で示している。
【0155】
[実験例7]
(1)ITO/(2)B(20nm)/(3)α-NPB(50nm)/(4)Zrq4:DPQA(40:0.1)/(5)Zrq4(20nm)/LiF(0.3)/(8)Al、および
(1)ITO/(2)A(20nm)/(3)α-NPB(50nm)/(4)Zrq4:DPQA(40:0.1)/(5)Zrq4(20nm)/LiF(0.3)/(8)Al、ならびに
(1)ITO/(2)CuPc(20nm)/(3)α-NPB(50nm)/(4)Zrq4:DPQA(40:0.1)/(5)Zrq4(20nm)/LiF(0.3)/(8)Al。
ここでDPQAは、ジフェニルキナクリドンであり、Zrq4はジルコニウムキノラートであり、DPQAをドープしたジルコニウムキノラート層を形成するために同時減圧堆積によってZrq4:DPQA層を形成した。Zrq4とDPQAの重量比を好適な相対的な厚さ測定によって示している。
性能は図24、図25、図26および図27で示している。
【0156】
[実験例8]
(1)ITO/(2)/B(5nm)/(3)α-NPB(60nm)/(4)CBP:E(30:0.2nm)/(5)Zrq4(30nm)/(6)LiF(0.3)/(7)Al、および
(1)ITO/(2)/A(5nm)/(3)α-NPB(60nm)/(4)CBP:E(30:0.2nm)/(5)Zrq4(30nm)/(6)LiF(0.3)/(7)Al、ならびに、
(1)ITO/(2)/CuPc(5nm)/(3)α-NPB(60nm)/(4)CBP:E(30:0.2nm)/(5)Zrq4(30nm)/(6)LiF(0.3)/(7)Al、および、
(1)ITO/(2)/α-NPB(60nm)/(3)CBP:E(30:0.2nm)/(4)Zrq4(30nm)/(5)LiF(0.3)/(6)Al。
性能は図28および図29で示している。
図30では、A、B、およびCuPcの吸光スペクトルを示している。
【0157】
【化44】

図31は、堆積速度にともなう蒸発温度の変化を示しており、そして、図32は、様々な緩衝材の特性を示している表である。
【図面の簡単な説明】
【0158】
原文に記載なし。
【図1】

【図2a】

【図2b】

【図3】

【図4a】

【図4b】

【図5a】

【図5b】

【図5C】

【図5d】

【図5f】

【図5g】

【図6a】

【図6b】

【図6c】

【図6d】

【図6e】

【図7a】

【図7b】

【図7c】

【図7d】

【図7e】

【図7f】

【図8a】

【図8b】

【図8c】

【図8d】

【図8e】

【図8f】

【図8g】

【図8h】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12a】

【図12b】

【図12c】

【図12d】

【図13a】

【図13b】

【図13c】

【図14a】

【図14b】

【図14c】

【図14d】

【図15a】

【図15b】

【図16a】

【図16b】

【図16c】

【図17】

【図18a】

【図18b】

【図19】

【図20a】

【図20b】

【図21】

【図22a】

【図22b】

【図23】

【図24a】

【図24b】

【図25a】

【図25b】

【図26】

【図27】

【図28a】

【図28b】

【図29】

【図30】

【図31】

【図32】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i) 陰極である第1電極と、
(ii) 緩衝物質を組み込んでいる緩衝層と、
(iii) エレクトロルミネッセント物質の層と、
(iv) 陽極である第2電極と、
を具備し、
前記緩衝物質が、金属のテトラ−p−トリルポルフォナト錯体、および、構造式
【化1】

の化合物から選択される、
ことを特徴とするエレクトロルミネッセントデバイス。
【請求項2】
前記緩衝層が5〜50nmの厚さである、
ことを特徴とする請求項1記載のエレクトロルミネッセントデバイス。
【請求項3】
前記エレクトロルミネッセント物質が、構造式
【化2】

の有機金属錯体であって、
ここで、LαおよびLpが有機配位子で、Mが希土類金属、遷移金属、ランタニドもしくはアクチニドで、nが金属Mの価数であり、配位子Lαが同じであるか、もしくは異なっている、
ことを特徴とする上述のいずれか一項に記載のエレクトロルミネッセントデバイス。
【請求項4】
同じであるか、もしくは異なっている可能性がある、複数の配位子Lpを有する、
ことを特徴とする請求項3記載のエレクトロルミネッセントデバイス。
【請求項5】
前記エレクトロルミネッセント物質が、構造式(Lもしくは(L(L)の有機金属錯体であり、
ここで、LはLα、Lは中性配位子であり、Mは希土類金属、遷移金属、ランタニドもしくはアクチニドであり、Mは非希土類金属であり、そして、nがMとMを組み合わせた価数である、
ことを特徴とする上述のいずれか一項に記載のエレクトロルミネッセントデバイス。
【請求項6】
前記エレクトロルミネッセント物質が、
構造式
【化3】

ここで、Lは架橋する配位子であり、Mは希土類金属であり、そして、MはMもしくは非希土類金属であり、LmおよびLnは上述で定義したような同じもしくは異なる有機配位子Lαであり、xがMの価数であり、yがMの価数である、
または、
【化4】

ここで、M、MおよびMは、同じもしくは異なる希土類金属であり、Lm、LnおよびLpは有機配位子Lαであり、そして、xがMの価数であり、yがMの価数であり、zがMの価数であり、さらに、LpがLmとLnと同じもしくは異なっていてもよい、
あるいは、
【化5】

ここで、MはMであり、Lは架橋する配位子であり、そして、希土類金属および非希土類金属は、金属−金属結合する、および/または、中間で架橋する原子、配位子もしくは分子基を介する、ことによってともに結合することができ、あるいは、金属−金属結合する、および/もしくは、中間の配位子を介する、ことによって結合する3つ以上の金属を有する、
2核、3核、もしくは多核の有機金属錯体である、
ことを特徴とする上述のいずれか一項に記載のエレクトロルミネッセントデバイス。
【請求項7】
前記非希土類金属Mが、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、銅、銀、金、亜鉛、カドミウム、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、ゲルマニウム、スズ、アンチモン、鉛、および、マンガン、鉄、ルテニウム、オスミウム、コバルト、ニッケル、パラジウム、白金、カドミウム、クロム、チタン、バナジウム、ジルコニウム、タンタル、モリブデン、ロジウム、イリジウム、チタン、ニオブ、スカンジウム、およびイットリウムなどの遷移金属の第1、第2ならびに第3族の金属から選択される、
ことを特徴とする請求項5または請求項6記載のエレクトロルミネッセントデバイス。
【請求項8】
前記Lαが本明細書中の構造式(I)から(XVIIa)である、
ことを特徴とする請求項3から7のいずれか一項に記載のエレクトロルミネッセントデバイス。
【請求項9】
前記Lpが、添付の図の図1から図8における前記構造式、もしくは、本明細書中(XVIII)から(XXV)の構造式である、
ことを特徴とする請求項3から8のいずれか一項に記載のエレクトロルミネッセントデバイス。
【請求項10】
前記希土類金属、遷移金属、ランタニドもしくはアクチニドが、Sm(III)、Eu (II)、Eu(III)、Tb(III)、Dy(III)、Yb(III)、Lu(III)、Gd(III)、Gd(III)U(III)、Tm(III)、Ce(III)、Pr(III)、Nd(III)、Pm(III)、Dy(III)、Ho(III)、およびEr(III)から選択される、
ことを特徴とする請求項3から9のいずれか一項に記載のエレクトロルミネッセントデバイス。
【請求項11】
前記エレクトロルミネッセント物質は、構造式Mqの金属キノラートであり、ここでMは金属であり、nが金属の価数であり、qが置換もしくは非置換のキノラートイオンである、
ことを特徴とする請求項1または請求項2記載のエレクトロルミネッセントデバイス。
【請求項12】
前記金属Mが、リチウム、ジルコニウムもしくはアルミニウムである、
ことを特徴とする請求項11記載のエレクトロルミネッセントデバイス。
【請求項13】
前記エレクトロルミネッセント物質が、エレクトロルミネッセント非希土類金属錯体である、
ことを特徴とする請求項1または請求項2記載のエレクトロルミネッセントデバイス。
【請求項14】
前記エレクトロルミネッセント物質が、アルミニウム錯体、マグネシウム錯体、亜鉛錯体もしくはスカンジウム錯体である、
ことを特徴とする請求項13記載のエレクトロルミネッセントデバイス。
【請求項15】
前記エレクトロルミネッセント物質がβ-ジケトン錯体である、
ことを特徴とする請求項14記載のエレクトロルミネッセントデバイス。
【請求項16】
前記エレクトロルミネッセント物質が、Al(DBM)3、Zn(DBM)2およびMg(DBM)2、Sc(DBM)3であり、(DBM)がトリス−(1,3−ジフェニル−1−3−プロパンジオン)である、
ことを特徴とする請求項15記載のエレクトロルミネッセントデバイス。
【請求項17】
前記エレクトロルミネッセント物質が、本明細書中の構造式(XXVa)、(XXVb)、(XXVc)、(XXVd)もしくは(XXVe)の化合物である、
ことを特徴とする請求項1または請求項2記載のエレクトロルミネッセントデバイス。
【請求項18】
前記緩衝物質層と前記エレクトロルミネッセント層の間に正孔輸送物質層を有する、
ことを特徴とする上述のいずれか一項に記載のエレクトロルミネッセントデバイス。
【請求項19】
前記正孔輸送物質が芳香族アミン錯体である、
ことを特徴とする請求項18記載のエレクトロルミネッセントデバイス。
【請求項20】
前記正孔輸送物質が多環芳香族アミン錯体である、
ことを特徴とする請求項19記載のエレクトロルミネッセントデバイス。
【請求項21】
前記正孔輸送物質がポリ(ビニルカルバゾール)、N,N’-ジフェニル-N,N’-ビス(3-メチルフェニル)-1,1’-ビフェニル-4,4’-ジアミン(TPD)、ポリアニリン、置換されたポリアニリン類、ポリチオフェン類、置換されたポリチオフェン類、ポリシラン類および置換されたポリシラン類、から選択されるポリマーの膜である、
ことを特徴とする請求項19記載のエレクトロルミネッセントデバイス。
【請求項22】
前記正孔輸送物質が、本明細書中の構造式(XXVI)もしくは(XXVII)、もしくは、図12から図16の図における化合物の膜である、
ことを特徴とする請求項18記載のエレクトロルミネッセントデバイス。
【請求項23】
前記正孔輸送物質が、アニリンのコポリマー、アニリンとo-アニシジン、m-スルファニル酸もしくはo-アミノフェノールとのコポリマー、またはo-トルイジンとo-アミノフェノール、o-エチルアニリン、o-フェニレンジアミンもしくはアミノアントラセンとのコポリマーである、
ことを特徴とする請求項18記載のエレクトロルミネッセントデバイス。
【請求項24】
前記正孔輸送物質が共役ポリマーである、
ことを特徴とする請求項18記載のエレクトロルミネッセントデバイス。
【請求項25】
前記共役ポリマーが、ポリ(p-フェニレンビニレン)-PPVならびにPPV、ポリ(2,5ジアルコキシフェニレンビニレン)、ポリ(2-メトキシ-5-(2-メトキシペンチルオキシ-1,4-フェニレンビニレン)、ポリ(2-メトキシペンチルオキシ)-1,4-フェニレンビニレン)、ポリ(2-メトキシ-5-(2-ドデシルオキシ-1,4-フェニレンビニレン)、および、長鎖の可溶なアルコキシ基であるアルコキシ基、ポリフルオレン類、およびオリゴフルオレン類、ポリフェニレン類およびオリゴフェニレン類、ポリアントラセン類およびオリゴアントラセン類、ポリチオフェン類およびオリゴチオフェン類の少なくとも1つをともなう他のポリ(2,5ジアルコキシフェニレンビニレン)を含むコポリマーから選択される、
ことを特徴とする請求項23記載のエレクトロルミネッセントデバイス。
【請求項26】
前記エレクトロルミネッセント化合物は前記正孔輸送物質と混在している、
ことを特徴とする請求項18から25のいずれか一項に記載のエレクトロルミネッセントデバイス。
【請求項27】
前記陽極と前記エレクトロルミネッセント物質の前記層との間に電子輸送物質の前記層がある、
ことを特徴とする上述の請求項1から26のいずれか一項に記載のエレクトロルミネッセントデバイス。
【請求項28】
前記電子輸送物質が金属キノラートである、
ことを特徴とする請求項27記載のエレクトロルミネッセントデバイス。
【請求項29】
前記金属キノラートが、アルミニウムキノラートもしくはリチウムキノラートである、
ことを特徴とする請求項26記載のエレクトロルミネッセントデバイス。
【請求項30】
前記電子輸送物質は、Mx(DBM)nであり、ここでMxは金属であり、DBMがジベンゾイルメタンであり、nがMxの価数である、
ことを特徴とする請求項27記載のエレクトロルミネッセントデバイス。
【請求項31】
前記電子輸送物質は、9,10ジシアノアントラセン、ポリスチレンスルホナート、または、図9もしくは図10の図で示される構造式の化合物のようなシアノアントラセンである、
ことを特徴とする請求項27記載のエレクトロルミネッセントデバイス。
【請求項32】
前記電子輸送物質が前記エレクトロルミネッセント化合物と混在している、
ことを特徴とする上述の請求項25から31のいずれか一項に記載のエレクトロルミネッセントデバイス。
【請求項33】
前記第1電極が透明な電気伝導性を有するガラス電極である、
ことを特徴とする上述の請求項1から32のいずれか一項に記載のエレクトロルミネッセントデバイス。
【請求項34】
前記第2電極は、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、およびそれらの合金、ならびに、銀/マグネシウム合金から選択される、
ことを特徴とする上述のいずれか一項に記載のエレクトロルミネッセントデバイス。

【公表番号】特表2008−519427(P2008−519427A)
【公表日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−538521(P2007−538521)
【出願日】平成17年11月1日(2005.11.1)
【国際出願番号】PCT/GB2005/004222
【国際公開番号】WO2006/048635
【国際公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【出願人】(505347488)オーエルイーディー−ティー リミテッド (12)
【Fターム(参考)】