説明

緩衝材

【課題】梱包箱内における緩衝材の移動を抑制することで、被梱包物の損傷を防止する。
【解決手段】本発明は、被梱包物2と該被梱包物2を収容する梱包箱の間に介装される緩衝材4であって、前記被梱包物2の一の面を支持する第1支持片8と、該第1支持片8に対して折り曲げられ、前記被梱包物2の前記一の面と隣接する他の面を支持する第2支持片10と、を備え、該第2支持片10の内面には突起部52が設けられ、該突起部52が前記被梱包物2の前記一の面に係止されて、前記第2支持片10の前記第1支持片8に対する折り曲げ姿勢が維持されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運搬時や保管時等において被梱包物を保護するための緩衝材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばプリンター、複写機、ファクシミリ、複合機等の画像形成装置やこの画像形成装置を構成する部品等の被梱包物を運搬、保管するために、梱包装置が用いられている。この梱包装置は、例えば、被梱包物を収容する梱包箱と、この梱包箱と被梱包物の間に介装される緩衝材と、を備えている。
【0003】
このような梱包装置に用いられる緩衝材として、特許文献1には、被梱包物の一の面を支持する第1面保持体と、第1面保持体に対して折り曲げられ、被梱包物の上記した一の面と隣接する他の面を支持する第2面保持体と、を備えた緩衝材が開示されている。
【0004】
また、この従来技術においては、第1面保持体と第2面保持体にそれぞれ傾斜面が設けられており、第1面保持体の傾斜面には嵌合凸部が設けられ、第2面保持体の傾斜面には嵌合凹部が設けられている。そして、傾斜面同士を接触させるとともに嵌合凸部と嵌合凹部を嵌合させることで、第2面保持体の第1面保持体に対する折り曲げ姿勢を維持可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−240143号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のような構成の緩衝材では、梱包装置の落下試験時に、前後左右側面を下向きにして梱包装置を落下させると、第1面保持体と第2面保持体が衝撃を吸収して製品を保護するため、緩衝材の変形が生じた際に位置関係が大きく変化してしまい、嵌合凸部と嵌合凹部の嵌合が不用意に解除されてしまう可能性が有る。特に、緩衝材がパルプ材によって形成されるような場合には、嵌合凸部と嵌合凹部の強度に限界があるため、このような可能性が高まる。
【0007】
このように嵌合凸部と嵌合凹部の嵌合が不用意に解除されると、これに伴って、第2面保持体の第1面保持体に対する折り曲げ姿勢が解除され、本来は被梱包物の一の面と他の面の間に跨って配置されるべき緩衝材が、被梱包物の一の面と梱包箱の間又は被梱包物の他の面と梱包箱の間に潜り込んでしまう。そのため、緩衝材による被梱包物の支持位置が予定されていた位置から変化してしまい、梱包装置の落下試験時において上記した前後左右側面を下向きにした落下後に底面を下向きにして梱包装置を落下させると、被梱包物が損傷する虞が有る。
【0008】
そこで、本発明は上記事情を考慮し、梱包箱内における緩衝材の移動を抑制することで、被梱包物の損傷を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る梱包装置は、被梱包物と該被梱包物を収容する梱包箱の間に介装される緩衝材であって、前記被梱包物の一の面を支持する第1支持片と、該第1支持片に対して折り曲げられ、前記被梱包物の前記一の面と隣接する他の面を支持する第2支持片と、を備え、該第2支持片の内面には突起部が設けられ、該突起部が前記被梱包物の前記一の面に係止されて、前記第2支持片の前記第1支持片に対する折り曲げ姿勢が維持されることを特徴とする。
【0010】
このような構成を採用することで、第2支持片の第1支持片に対する折り曲げ姿勢が不用意に解除されて被梱包物の一の面と梱包箱の間又は被梱包物の他の面と梱包箱の間に緩衝材が潜り込んでしまうのを防止することができる。従って、緩衝材の予定された位置で被梱包物を支持することが可能となり、支持位置のずれに伴う被梱包物の損傷を防止することができる。
【0011】
本発明に係る梱包装置は、前記第1支持片の内面には突起部が設けられ、該突起部が前記被梱包物の前記他の面に係止されても良い。
【0012】
このような構成を採用することにより、第2支持片の第1支持片に対する折り曲げ姿勢を一層確実に維持することができ、緩衝材の潜り込みを一層効果的に防止することが可能となる。
【0013】
本発明に係る梱包装置は、前記第1支持片の内面には、前記被梱包物の前記一の面を支持する支持面部が設けられ、該支持面部には、前記第2支持片の前記突起部を挿入可能な凹部が設けられていても良い。
【0014】
このような構成を採用することにより、支持面部と第2支持片の突起部の両方によって、被梱包物の一の面を支持することが可能となる。これに伴って、緩衝材による被梱包物の支持面積が大きくなり、緩衝材の安定性及び強度を高めることが可能となるとともに、緩衝材による緩衝性能を高めることが可能となる。
【0015】
本発明に係る梱包装置は、パルプモールド成型法によって製造されても良い。
【0016】
このようにパルプモールド成型法によって緩衝材を製造することで、例えば段ボール等のシート材によって緩衝材を製造する場合と比較して、突起部の形成が容易となる。また、発泡スチロール等によって緩衝材を製造する場合と比較して、環境への負荷を軽減することが可能となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の緩衝材によれば、梱包箱内における緩衝材の移動を抑制することで、被梱包物の損傷を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る梱包装置を示す側面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る梱包装置の緩衝材において、第2支持片を第1支持片に対して折り曲げる前の状態を示す平面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る梱包装置の緩衝材において、第1支持片の斜視図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る梱包装置の緩衝材において、第2支持片の斜視図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る梱包装置の緩衝材において、第2支持片を第1支持片に対して折り曲げた後の状態を示す平面図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る梱包装置の緩衝材において、第2支持片を第1支持片に対して折り曲げた後の状態を示す側面図である。
【図7】本発明の第1の実施形態に係る梱包装置の緩衝材を製造するための製造装置を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の第1の実施形態に係る梱包装置1の構成について、図1〜図6を参照しつつ説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る梱包装置を示す側面図である。図2は、本発明の第1の実施形態に係る梱包装置の緩衝材において、第2支持片を第1支持片に対して折り曲げる前の状態を示す平面図である。図3は、本発明の第1の実施形態に係る梱包装置の緩衝材において、第1支持片の斜視図である。図4は、本発明の第1の実施形態に係る梱包装置の緩衝材において、第2支持片の斜視図である。図5は、本発明の第1の実施形態に係る梱包装置の緩衝材において、第2支持片を第1支持片に対して折り曲げた後の状態を示す平面図である。図6は、本発明の第1の実施形態に係る梱包装置の緩衝材において、第2支持片を第1支持片に対して折り曲げた後の状態を示す側面図である。
【0020】
図1に示されるように、梱包装置1には、例えばプリンター、複写機、ファクシミリ、複合機等の画像形成装置やこの画像形成装置を構成する部品等である被梱包物2が梱包されている。本実施形態の被梱包物2は、略直方体形状を成している。
【0021】
梱包装置1は、被梱包物2を収容する梱包箱3と、この梱包箱3と被梱包物2の間に介装される4個の緩衝材4と、を備えている。
【0022】
梱包箱3は、例えば、段ボール等のシート材を折曲することで形成されている。梱包箱3は、四角筒状に形成されて梱包箱3の側面を構成する本体部5と、本体部5の下端に開閉可能に設けられる一対の底フラップ6と、本体部5の上端に開閉可能に設けられる蓋フラップ7と、を備えている。
【0023】
緩衝材4は、梱包箱3の上下左右の四隅において梱包箱3の折曲辺に沿ってそれぞれ設置されている。以下、左下隅の緩衝材4について、折り曲げ前の状態(図2参照)を基準に、図2の下側を正面側(前側)として説明する。
【0024】
図2に示されるように、緩衝材4は、第1支持片8と、第1支持片8の左方に設けられる第2支持片10と、を備えている。第2支持片10は、ヒンジ部11を介して第1支持片8に回転可能に連結されており、このヒンジ部11に沿って第2支持片10を第1支持片8に対して折り曲げられるようになっている。なお、第1支持片8も第2支持片10に対して回転可能であり、第1支持片8を第2支持片10に対して折り曲げることも当然可能である。
【0025】
第1支持片8と第2支持片10の間には、前後方向中央に中央切欠部12が設けられており、この中央切欠部12によって、ヒンジ部11が前後に分断されている。中央切欠部12は、前後方向に長い略直方体形状を成しており、中央切欠部12の四隅はR状を成している。
【0026】
図3に示されるように、第1支持片8は前後方向に長い形状を成している。第1支持片8の内面13の前端部と後端部には、第1両端係合部14が突設されている。各第1両端係合部14は、左側面に第1当接部15が形成される下段突部16と、下段突部16の右方に設けられる上段突部17とを備えている。前端の第1両端係合部14の下段突部16の後方には、突部18(図2参照)が設けられている。後端の第1両端係合部14の下段突部16の左方には突部20が設けられ、突部20と後端の第1両端係合部14が連結片21(図2参照)によって連結されている。
【0027】
図3に示されるように、第1支持片8の内面13には、各第1両端係合部14の間に第1支持面部22が突設されている。第1支持片8の内面13からの第1支持面部22の突出高さは、各第1両端係合部14の突出高さよりも低くなっている。第1支持面部22は、下段部23と、下段部23の右側に設けられる上段部24と、を備えており、下段部23と上段部24の間の部分は緩やかな段差状を成している。上段部24の厚み(高さ)は、例えば30mmである。
【0028】
第1支持面部22の前部から前後方向中央部には、前後に所定の間隔を介して複数の凹部25が設けられている。第1支持面部22の後部には、溝部26が左右方向に設けられており、この溝部26に突設された連結片27(図2参照)によって、溝部26の前側の第1支持面部22と溝部26の後側の第1支持面部22が連結されている。
【0029】
第1支持面部22の前端と後端には、左側及び上側が開口された第1凹部28がそれぞれ設けられている。図2に示されるように、各第1凹部28の底部には、第1支持片8の内面13から僅かに突出する支持突起30が前後方向に設けられている。前端の第1凹部28の右部及び後部には、第1支持面部22から突出する突部31がそれぞれ設けられている。
【0030】
第1支持片8の内面13には、第1支持面部22の前部左方と後部左方に、それぞれ第1突起部32が設けられている。図2に示されるように、前側の第1突起部32の前後幅a1は後側の第1突起部32の前後幅a2よりも広くなっている。第1支持片8の内面13からの各第1突起部32の突出高さは互いに略同一であり、第1支持面部22の突出高さよりも高くなっている。前側の第1突起部32は、前端の第1凹部28の後左方に前端の第1凹部28と隣接して設けられ、後側の第1突起部32は、後端の第1凹部28の前左方に後端の第1凹部28と隣接して設けられている。
【0031】
図4に示されるように、第2支持片10は、第1支持片8と同様に前後方向に長い形状を成している。第2支持片10の前後方向の長さは、第1支持片8の前後方向の長さと略同一であり(正確には、第1支持片8の前後方向の長さよりも僅かに短い)、第2支持片10の左右幅は、第1支持片8の左右幅よりも大きい。
【0032】
第2支持片10の内面33の前端部と後端部には、第2両端係合部34が突設されている。各第2両端係合部34の右上部には係合段部35が設けられ、各第2両端係合部34の右側面には第2当接部36が設けられている。各第2両端係合部34の右方には、溝部37を介して当接台部38が設けられている。前端の当接台部38の右方には、溝部40を介して台部41が設けられている。
【0033】
第2支持片10の内面33には、各第2両端係合部34の間に第2支持面部42が突設されている。第2支持片10の内面33からの第2支持面部42の突出高さは、各第2両端係合部34の突出高さよりも低くなっている。第2支持面部42は、下段部43と、下段部43の前後両側に設けられる上段部44と、を備えており、下段部43と上段部44の間の部分は緩やかな段差状を成している。第2支持面部42には、前後方向に延びる溝部45が設けられている。溝部45の前部と後部には複数の連結片46が設けられており、この連結片46によって、溝部45の左側の第2支持面部42と溝部45の右側の第2支持面部42が連結されている。
【0034】
第2支持面部42の前部と後部には、右側及び上側が開口された第2凹部47がそれぞれ設けられている。前側の第2凹部47の後方と後側の第2凹部47の前方には、第2支持面部42から右方に向かって突出する突条48がそれぞれ設けられている。後側の突条48の右方には、三角形状の切欠部51が設けられている。
【0035】
第2支持片10の内面33には、第2支持面部42の前端右方と後端右方に、それぞれ第2突起部52が設けられている。前端の第2突起部52は、台部41の後方に台部41と一体に形成されている。前端の第2突起部52は、前側の第2凹部47の前右方に前側の第2凹部47と隣接して設けられている。
【0036】
後端の第2突起部52と第2支持面部42の間には溝部53が設けられて、溝部53に突設された連結片54(図2参照)によって後端の第2突起部52が第2支持面部42に連結されている。後端の第2突起部52は、後側の第2凹部47の後右方に後側の第2凹部47と隣接して設けられている。
【0037】
第2支持片10の内面33からの各第2突起部52の突出高さは互いに略同一であり、第2支持面部42の突出高さよりも高くなっている。第2支持片10の内面33からの各第2突起部52の突出高さは、第1支持片8の内面13からの各第1突起部32の突出高さよりも僅かに低くなっている。図2に示されるように、前側の第2突起部52の前後幅b1は後側の第2突起部52の前後幅b2よりも狭くなっている。
【0038】
なお、上記した左下隅の緩衝材4以外の3個の緩衝材4については、左下隅の緩衝材4と同様の構成であるため、図1において左下隅の緩衝材4と同一の番号を各部に付し、説明を省略する。
【0039】
上記の如く構成される梱包装置1によって被梱包物2を梱包する方法について以下に説明する。
【0040】
まず、第2支持片10を第1支持片8に対して内側に略90度折り曲げた状態で、梱包箱3の左下隅と右下隅に緩衝材4を設置する。これに伴って、図5に示されるように、左下隅の緩衝材4の各第2突起部52が各第1凹部28に挿入されて、各第2突起部52が第1支持片8の内面13に設けられた支持突起30に接触する。また、図6に示されるように、左下隅の緩衝材4の各第1突起部32が各第2凹部47に挿入されて各第1突起部32が第2支持片10の内面33に接触する。これにより、第2支持片10の第1支持片8に対する角度(本実施形態では略90度)が決定される。なお、右下隅の緩衝材4についても同様に、第2支持片10の第1支持片8に対する角度(本実施形態では略90度)が決定される。
【0041】
また、図1に示されるように、左下隅と右下隅の緩衝材4について、各第1両端係合部14の上段突部17と各第2両端係合部34の係合段部35が係合し、各第1両端係合部14の下段突部16が各第2両端係合部34の第2当接部36に当接すると共に、各第1両端係合部14の第1当接部15に各第2両端係合部34の当接台部38が当接する。
【0042】
この状態で、左下隅と右下隅の緩衝材4の第1支持片8の第1支持面部22に被梱包物2の底面を載置する。これにより、図1に示されるように、左下隅の緩衝材4の第1支持片8によって被梱包物2の底面が支持されると共に、左下隅の緩衝材4の第2支持片10によって被梱包物2の左側面が支持される。また、右下隅の緩衝材4の第1支持片8によって被梱包物2の底面が支持されると共に、右下隅の緩衝材4の第2支持片10によって被梱包物2の右側面が支持される。
【0043】
また、図5に示されるように、左下隅の緩衝材4の各第2突起部52が被梱包物2の底面によって係止され、図6に示されるように、左下隅の緩衝材4の各第1突起部32が被梱包物2の左側面によって係止される。これに伴って、第2支持片10の第1支持片8に対する拡開が抑制され、第2支持片10の第1支持片8に対する折り曲げ姿勢が維持される。なお、詳細な図示はしないが、右下隅の緩衝材4についても左下隅の緩衝材4と同様に、第2支持片10の第1支持片8に対する拡開が抑制され、第2支持片10の第1支持片8に対する折り曲げ姿勢が維持される。
【0044】
次に、図1に示されるように、被梱包物2の左上隅と右上隅に緩衝材4を設置する。なお、詳細な図示はしないが、左上隅と右上隅の緩衝材4についても左下隅の緩衝材4と同様に、第2支持片10の第1支持片8に対する拡開が抑制される。最後に、梱包箱3の蓋フラップ7を閉止し、蓋フラップ7同士を接着テープ等によって接合する。以上により、梱包装置1への被梱包物2の梱包作業が完了する。
【0045】
本実施形態では以上のように、左下隅の緩衝材4について、第2支持片10の第2突起部52が被梱包物2の底面に係止されて、第2支持片10の第1支持片8に対する折り曲げ姿勢が維持されている。そのため、第2支持片10の第1支持片8に対する折り曲げ姿勢が不用意に解除されて被梱包物2の底面又は左側面と梱包箱3の間に緩衝材4が潜り込んでしまうのを防止することができる。従って、緩衝材4の予定された位置で被梱包物2を支持することが可能となり、支持位置のずれに伴う被梱包物2の損傷を防止することができる。
【0046】
また、左下隅の緩衝材4について、第1支持片8の第1突起部32が被梱包物2の左側面に係止されている。そのため、第1支持片8の第1突起部32と第2支持片10の第2突起部52が互いにクロスするようにして被梱包物2に係止されることになる。このような構成により、第2支持片10の第1支持片8に対する折り曲げ姿勢を一層確実に維持することができ、緩衝材4の潜り込みを一層効果的に防止することが可能となる。
【0047】
また、このように緩衝材4の潜り込みを確実に抑制することができるため、結果として、本実施形態の緩衝材4の第1支持面部22の厚み(30mm)は、従来の緩衝材の第1支持面部の厚み(例えば、60mm)と比較して薄くなっている。このように、緩衝材4の厚みを薄くできるため、緩衝材4の小型化及びコストの削減を図ることが可能となる。
【0048】
また、左下隅の緩衝材4について、第1支持片8の第1支持面部22に設けられた各第1凹部28に各第2突起部52を挿入するとともに、第2支持片10の第2支持面部42に設けられた第2凹部47に各第1突起部32を挿入している。このような構成により、第1支持面部22と第2突起部52の両方によって被梱包物2の底面を支持することが可能となるとともに、第2支持面部42と第1突起部32の両方によって、被梱包物2の左側面を支持することが可能となる。これに伴って、緩衝材4による被梱包物2の支持面積が大きくなり、緩衝材4の安定性及び強度を高めることが可能となるとともに、緩衝材4による緩衝性能を高めることが可能となる。
【0049】
また、第2支持片10の内面33からの各第2突起部52の突出高さは、第1支持片8の内面13からの各第1突起部32の突出高さよりも僅かに低く設定されている。このように、各突起部32、52の突出高さを適宜変化させることで、必要に応じて各支持片8、10の強度を簡単に変化させることが可能となる。
【0050】
次に、本実施形態に係る緩衝材4の製造方法である「パルプモールド成型法」について、図7を用いて説明する。
【0051】
図7に示されるように、緩衝材4の製造装置60は、金型61と、金型61の表面に沿って設けられる網型62と、金型61及び網型62の表面を覆う容器63と、を備えている。金型61には、表面から裏面まで複数の吸引穴64が穿設されている。容器63には、古紙等を水及び薬品に溶解させたパルプ溶液が収容されている。
【0052】
そして、図7に矢印で示されるように、吸引手段(図示せず)によって吸引穴64を介して容器63内のパルプ溶液を吸引すると、パルプ溶液中のパルプ材が緩衝材4の形状に沿って網型62の表面に付着する。この付着したパルプ材を取り出して乾燥させることで、緩衝材4が完成する。
【0053】
本実施形態ではこのように、パルプモールド成型法によって緩衝材4を製造しているため、例えば段ボール等のシート材によって緩衝材4を製造する場合と比較して、各突起部32、52の形成が容易となる。また、発泡スチロール等によって緩衝材4を製造する場合と比較して、環境への負荷を軽減することが可能となる。
【0054】
本実施形態では、緩衝材4をパルプモールド成型法によって形成する場合について説明したが、他の異なる実施形態では、段ボール等のシート材を折曲して緩衝材4を形成しても良いし、発泡スチロール等によって緩衝材4を形成しても良い。
【0055】
本実施形態では、梱包箱3の上下左右の四隅に設置される横置きタイプの緩衝材4に本発明の構成を適用する場合について説明したが、他の異なる実施形態では、梱包箱3の前後左右の四隅に設置される縦置きタイプの緩衝材4に本発明の構成を適用しても良い。
【符号の説明】
【0056】
2 被梱包物
3 梱包箱
4 緩衝材
8 第1支持片
10 第2支持片
22 第1支持面部
28 第1凹部
32 第1突起部
42 第2支持面部
47 第2凹部
52 第2突起部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被梱包物と該被梱包物を収容する梱包箱の間に介装される緩衝材であって、
前記被梱包物の一の面を支持する第1支持片と、
該第1支持片に対して折り曲げられ、前記被梱包物の前記一の面と隣接する他の面を支持する第2支持片と、を備え、
該第2支持片の内面には突起部が設けられ、該突起部が前記被梱包物の前記一の面に係止されて、前記第2支持片の前記第1支持片に対する折り曲げ姿勢が維持されることを特徴とする緩衝材。
【請求項2】
前記第1支持片の内面には突起部が設けられ、該突起部が前記被梱包物の前記他の面に係止されることを特徴とする請求項1に記載の緩衝材。
【請求項3】
前記第1支持片の内面には、前記被梱包物の前記一の面を支持する支持面部が設けられ、該支持面部には、前記第2支持片の前記突起部を挿入可能な凹部が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の緩衝材。
【請求項4】
パルプモールド成型法によって製造されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の緩衝材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−112381(P2013−112381A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−260793(P2011−260793)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】