説明

緩衝機能を備えた扉付き収納庫

【課題】
スチール製の回動扉の遊端側角部を弾性材料からなる緩衝体で保護し、間違って利用者の体の一部が角部に当たっても怪我をする危険性がなく、また緩衝体が脱落する恐れもなく、その上、外観的にも優れている緩衝機能を備えた扉付き収納庫を提供する。
【解決手段】
単数又は複数の収納部を有する筐体と、各収納部の開口部に回動開閉可能に設けた片開き式又は両開き式の扉とを備え、扉3は、スチール製の扉本体4と該扉本体の遊端側の角部に装着する弾性材料からなる緩衝体5とからなり、扉本体は、表面板7の周囲に補強縁部8を折曲形成するとともに、遊端側の角部に対応する表面板と補強縁部の一部を切り欠いて切欠部9を設けたものであり、緩衝体は、切欠部を埋めるように装着した際に表面板と補強縁部の外面に段差無く連続する本体部10を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緩衝機能を備えた扉付き収納庫に係わり、更に詳しくは多数の収納部を縦横に配置し、各収納部に緩衝機能を備えた回動扉を設けた収納庫に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、多数の収納部を縦横に配置し、各収納部に回動扉を設けた収納庫は、例えば多数の人が利用するロッカーあるいはキャビネットとして使用されている。このようなロッカーは、学校等の教育関連施設や、ゴルフ場のクラブハウス等のスポーツ施設や、温浴施設に多数設置されている。
【0003】
この種のロッカーでは、複数の利用者が同時に異なる収納部の扉を開放して使用することがあるが、下の収納部を屈んで使用している利用者が上の収納部の扉が開放されていることを気づかずに立ち上がると、頭や体に上の扉のコーナー部が当り、怪我をする恐れがある。特に、スチール製のロッカーでは、扉の角部は板金加工により直角に形成されており、頂部を丁寧にグラインダーかけし、塗装仕上げをしたとしても、角部の危険性は残る。尚、スチール板を絞り加工して、角部を丸く処理することができなくはないが、製造コストが高くなる。
【0004】
この改善策として、特許文献1には、ロッカー扉の開放側端の下角部に、弾性体からなるコーナーキャップを取付けた構造が開示されている。具体的には、コーナーキャップは、扉の外側面と当接する外側片と、扉の内側面と当接する内側片)と、扉の下面と当接する下側片と、扉の開放側端面と当接する側片とからなり、下側片には扉の下面に穿設された係合穴と係合する突起が形成され、側片には扉の開放側端面に穿設された係合穴と係合する突起が形成されている。ここで、前記突起と係合穴との係合を確実にするため、突起には係合部を形成するとともに、係合穴には中央から舌片を突出させて形成し、前記突起の係合部を係合穴の舌片と係合し、コーナーキャップの引き剥がしに対して抵抗力があるように構成している。
【0005】
しかし、特許文献1に記載のものは、スチール製の扉の角部に弾性体からなるコーナーキャップを外側から被せる構造であるので、コーナーキャップの肉厚分だけ扉の外面から突出することは避けられず、外観性を損なうといった問題を有している。その上、コーナーキャップは、係合穴内の舌片と突起の係合部が係合して保持されているだけであるので、コーナーキャップに強い力が作用した時に突起の係合部が変形して不意に脱落する恐れがあり、更にコーナーキャップ材料の経年劣化によって突起の係合部が破損することも考えられ、その場合には必然的に扉から脱落する。
【0006】
一方、芯材の表面から周縁部の裏面まで合成樹脂製の表皮材を被覆する技術は、3次元表面加飾技術(TOM工法)として公知である。例えば、特許文献2には、互いに接合・離反が可能とされ且つ対面側が開放された上成型室と下成型室とを有し、上成型室内にはヒータを設け、下成型室内には昇降テーブルを設け、該昇降テーブル上に芯材を配置し、上成型室と下成型室を間に表皮材の周囲を挟んで気密接合した後、上成型室と下成型室とを同一圧力に減圧し、表皮材をヒータによって加熱して軟化させるとともに、テーブルを上昇させて表皮材に芯材を押し付け、それから上成型室を大気開放し、表皮材の表裏で差圧を発生させることにより、該表皮材を芯材に密着させて被覆する真空成型装置が開示されている。そして、スチール製の扉の表面から周縁部の裏面まで合成樹脂製の表皮材で被覆することによって、扉の角部が表皮材で覆われるので、緩衝効果はある程度期待できるが十分ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−310089号公報
【特許文献2】特開2002−067137号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、スチール製の回動扉の遊端側角部を弾性材料からなる緩衝体で保護し、間違って利用者の体の一部が角部に当たっても怪我をする危険性がなく、また緩衝体が脱落する恐れもなく、その上、外観的にも優れている緩衝機能を備えた扉付き収納庫を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、前述の課題解決のために、単数又は複数の収納部を有する筐体と、各収納部の開口部に回動開閉可能に設けた片開き式又は両開き式の扉とを備え、前記扉は、スチール製の扉本体と該扉本体の遊端側の角部に装着する弾性材料からなる緩衝体とからなり、前記扉本体は、表面板の周囲に補強縁部を折曲形成するとともに、遊端側の角部に対応する前記表面板と補強縁部の一部を切り欠いて切欠部を設けたものであり、前記緩衝体は、前記切欠部を埋めるように装着した際に前記表面板と補強縁部の外面に段差無く連続する本体部を有するものである、ことを特徴とする緩衝機能を備えた扉付き収納庫を構成した(請求項1)。
【0010】
ここで、前記筐体は、複数の収納部を縦横に設けたものであり、各収納部の框部には前記扉の一側部をヒンジにて回動開閉可能に取付けてなる扉付き収納庫に適用すると効果的である(請求項2)。
【0011】
具体的には、前記扉本体の補強縁部は、前記表面板から裏面側へ直角に折曲した側面板と、該側面板の端縁から前記表面板に平行に内方へ折曲した裏面板と、該裏面板の内縁から前記表面板に向かって直角に折曲した補強板とからなり、前記表面板、側面板、裏面板及び補強板とで内部空間を形成したものである(請求項3)。
【0012】
そして、前記緩衝体は、前記切欠部に装着した際に前記表面板と補強縁部の外面に段差無く連続する本体部と、該本体部の両側部に両補強縁部の前記内部空間に嵌合する嵌合部を突設したL字形部材であり、両嵌合部は前記補強縁部の内部空間に嵌合する際に接近する方向に弾性変形可能であることがより好ましい(請求項4)。
【0013】
更に、前記緩衝体の嵌合部が前記扉本体の補強縁部の内部空間に嵌合した後、該嵌合部が補強縁部の内部空間から抜けないようにする抜止め手段を備えてなることがより好ましい(請求項5)。
【0014】
そして、前記抜止め手段が、前記補強縁部に裏面側から螺合したネジを、前記緩衝体の嵌合部に形成した係合穴に圧入するものである(請求項6)。
【0015】
あるいは、前記緩衝体は、前記切欠部に装着した際に前記表面板と補強縁部の外面に段差無く連続する本体部と、該本体部の内方に前記表面板の裏面に接合する膨出部を有し、該本体部の表裏面にそれぞれ係合溝を形成したものであり、前記表面板の切欠部に沿って裏側へ折曲形成した折曲片に、前記緩衝体の表側係合溝を係合するとともに、前記緩衝体より内側で両補強縁部に取付けた保持金具に設けた係合片を、前記緩衝体の裏側係合溝に係合してなることも好ましい(請求項7)。
【0016】
あるいは、前記扉本体の切欠部の内側であって、前記表面板とで保持空間を形成する包持部を備えた固定金具を固着し、前記緩衝体は、前記切欠部に装着した際に前記表面板と補強縁部の外面に段差無く連続する本体部と、該本体部の一側部に前記切欠部に面する一方の補強縁部の前記内部空間に嵌合する嵌合部を突設するとともに、前記保持空間に嵌合する膨出部を突設し、前記本体部の他側部に他方の補強縁部の内部空間に係合する係合突起を形成し、前記固定金具の包持部に螺合したネジを前記緩衝体の膨出部に形成した係合穴に圧入することも好ましい(請求項8)。
【0017】
この場合、前記扉本体の一方の補強縁部の内側を切欠して前記内部空間の内側を開放し、該開放部から前記固定金具の包持部を当該内部空間内に挿入した状態で前記表面板の裏面に溶接し、前記包持部は前記扉本体の両補強縁部に平行な直角に連続した側壁板と、一方の側壁板から折曲形成し前記表面板と平行な取付板とを有し、両側壁板と取付板及び前記表面板とで形成された前記保持空間と内部空間に、前記緩衝体の一側部に突設した嵌合部と膨出部とが一体となった部分を嵌合し、前記取付板に螺合したネジを前記緩衝体の膨出部に形成した係合穴に圧入することがより好ましい(請求項9)。
【0018】
更に、前記扉本体の遊端側角部近傍の両補強縁部を直角に切り欠くとともに、前記表面板を45度の角度で切り欠いて前記切欠部を形成し、前記緩衝体の本体部の表面側の形状を五角形とするとともに、裏面側の形状をL字形とし、該L字形部分は前記補強縁部の外形幅に一致させ且つ中心に内外に向いた溝部を形成したことが更に好ましい(請求項10)。
【0019】
更に、前記扉本体の遊端側に設けた切欠部に前記緩衝体を装着した状態で、前記扉の表面から前記補強縁部にわたる全面に、合成樹脂製の表皮材を被覆してなるとより好ましい(請求項11)。
【0020】
ここで、前記扉本体の表面板に、適宜な形状に作成した軟弾性材料からなるクッションシートを添設した状態で前記表皮材を被覆して、扉の表面側に前記クッションシートの形状及び配置に応じて図形、模様、文字等を立体的に出現させてレリーフ部を形成してなることも好ましい(請求項12)。
【発明の効果】
【0021】
以上にしてなる請求項1に係る発明の緩衝機能を備えた扉付き収納庫は、単数又は複数の収納部を有する筐体と、各収納部の開口部に回動開閉可能に設けた片開き式又は両開き式の扉とを備え、前記扉は、スチール製の扉本体と該扉本体の遊端側の角部に装着する弾性材料からなる緩衝体とからなり、前記扉本体は、表面板の周囲に補強縁部を折曲形成するとともに、遊端側の角部に対応する前記表面板と補強縁部の一部を切り欠いて切欠部を設けたものであり、前記緩衝体は、前記切欠部を埋めるように装着した際に前記表面板と補強縁部の外面に段差無く連続する本体部を有するものであるので、スチール製の扉本体の遊端側角部に設けた切欠部を埋めるように厚肉の緩衝体が位置するので、扉の角部に不意に利用者や他人の頭部等の体の一部が衝突しても緩衝体による優れた緩衝機能によって怪我を防止することができ、また扉本体と緩衝体の表面が段差無く連続しているので、外観性に優れたものになる。
【0022】
請求項2によれば、前記筐体は、複数の収納部を縦横に設けたものであり、各収納部の框部には前記扉の一側部をヒンジにて回動開閉可能に取付けてなるので、扉を開いたときに筐体から出っ張った扉の遊端側の角部が緩衝機能を備えていることにより、利用者や他人が衝突しても怪我をする恐れがない。
【0023】
請求項3によれば、前記扉本体の補強縁部は、前記表面板から裏面側へ直角に折曲した側面板と、該側面板の端縁から前記表面板に平行に内方へ折曲した裏面板と、該裏面板の内縁から前記表面板に向かって直角に折曲した補強板とからなり、前記表面板、側面板、裏面板及び補強板とで内部空間を形成したものであるので、前記切欠部となる部位をスチール板のプレスカット時に形成するだけであるので、通常の扉の製造工程を変更することなく扉本体を製造することができる。
【0024】
請求項4によれば、前記緩衝体は、前記切欠部に装着した際に前記表面板と補強縁部の外面に段差無く連続する本体部と、該本体部の両側部に両補強縁部の前記内部空間に嵌合する嵌合部を突設したL字形部材であり、両嵌合部は前記補強縁部の内部空間に嵌合する際に接近する方向に弾性変形可能であるので、緩衝体の両嵌合部を扉本体の遊端側の角部に設けた切欠部に面する両補強縁部の内部空間に、弾性変形させながら嵌入させた後、元の形状に復元した状態で取付けるので、該緩衝体の嵌合部が補強縁部の内部空間に確実に嵌合した状態が維持され、例え緩衝体に大きな外力が作用しても脱落する恐れがない。
【0025】
請求項5によれば、前記緩衝体の嵌合部が前記扉本体の補強縁部の内部空間に嵌合した後、該嵌合部が補強縁部の内部空間から抜けないようにする抜止め手段を備えてなるので、確実に緩衝体を扉本体の角部に保持することができる。
【0026】
請求項6によれば、前記抜止め手段が、前記補強縁部に裏面側から螺合したネジを、前記緩衝体の嵌合部に形成した係合穴に圧入するものであるので、簡単な構造でより確実に緩衝体を扉本体の角部に保持することができる。
【0027】
請求項7によれば、前記緩衝体は、前記切欠部に装着した際に前記表面板と補強縁部の外面に段差無く連続する本体部と、該本体部の内方に前記表面板の裏面に接合する膨出部を有し、該本体部の表裏面にそれぞれ係合溝を形成したものであり、前記表面板の切欠部に沿って裏側へ折曲形成した折曲片に、前記緩衝体の表側係合溝を係合するとともに、前記緩衝体より内側で両補強縁部に取付けた保持金具に設けた係合片を、前記緩衝体の裏側係合溝に係合してなるので、前記表面板に形成した折曲片が切欠部を設けたことによる強度の低下を補強し、そして切欠部に位置した緩衝体の表裏の係合溝を、該折曲片と、両補強縁部に取付けた保持金具の係合片とで挟み込んで保持するので、該緩衝体が脱落する恐れがないのである。
【0028】
請求項8によれば、前記扉本体の切欠部の内側であって、前記表面板とで保持空間を形成する包持部を備えた固定金具を固着し、前記緩衝体は、前記切欠部に装着した際に前記表面板と補強縁部の外面に段差無く連続する本体部と、該本体部の一側部に前記切欠部に面する一方の補強縁部の前記内部空間に嵌合する嵌合部を突設するとともに、前記保持空間に嵌合する膨出部を突設し、前記本体部の他側部に他方の補強縁部の内部空間に係合する係合突起を形成し、前記固定金具の包持部に螺合したネジを前記緩衝体の膨出部に形成した係合穴に圧入するので、本体部の一側部の嵌合部と他側部の係合突起をそれぞれ補強縁部の内部空間に嵌合するとともに、膨出部を固定金具の包持部と表面板とで形成した保持空間に嵌合した状態で、包持部に螺合したネジを膨出部の係合穴に圧入して抜止めをし、もって弾性材料からなる緩衝体を確実に取付けることができ、また補強縁部よりもネジの頭部が裏面側に突出しないようにできる。
【0029】
請求項9によれば、前記扉本体の一方の補強縁部の内側を切欠して前記内部空間の内側を開放し、該開放部から前記固定金具の包持部を当該内部空間内に挿入した状態で前記表面板の裏面に溶接し、前記包持部は前記扉本体の両補強縁部に平行な直角に連続した側壁板と、一方の側壁板から折曲形成し前記表面板と平行な取付板とを有し、両側壁板と取付板及び前記表面板とで形成された前記保持空間と内部空間に、前記緩衝体の一側部に突設した嵌合部と膨出部とが一体となった部分を嵌合し、前記取付板に螺合したネジを前記緩衝体の膨出部に形成した係合穴に圧入するので、緩衝体の嵌合部と膨出部とが一体となった部分を、固定金具の包持部と表面板とで形成した保持空間とそれと連続する一方の補強縁部の内部空間とに嵌合し、緩衝体の嵌合部と膨出部を周囲から包み込むように保持できるので嵌合部と膨出部が変形しても確実に保持することができる。
【0030】
請求項10によれば、前記扉本体の遊端側角部近傍の両補強縁部を直角に切り欠くとともに、前記表面板を45度の角度で切り欠いて前記切欠部を形成し、前記緩衝体の本体部の表面側の形状を五角形とするとともに、裏面側の形状をL字形とし、該L字形部分は前記補強縁部の外形幅に一致させ且つ中心に内外に向いた溝部を形成したので、扉本体の意匠性を高めることができる。
【0031】
請求項11によれば、前記扉本体の遊端側に設けた切欠部に前記緩衝体を装着した状態で、前記扉の表面から前記補強縁部にわたる全面に、合成樹脂製の表皮材を被覆してなるので、異質な材料で製造した扉本体と緩衝体の表面が隠れ、外観性に特に優れたものになり、更にスチール製の扉本体の表面に合成樹脂製の表皮材が位置するので、温かな感触を備えるとともに、塗装ではできない表面の模様や色彩を実現することができる。
【0032】
請求項12によれば、前記扉本体の表面板に、適宜な形状に作成した軟弾性材料からなるクッションシートを添設した状態で前記表皮材を被覆して、扉の表面側に前記クッションシートの形状及び配置に応じて図形、模様、文字等を立体的に出現させてレリーフ部を形成してなるので、レリーフ部が装飾性を有していることは勿論であるが、扉に正面側から衝突した際の緩衝機能を備えるのである。また、クッションシートを丸く打ち抜いて点字の配置に添設することより、扉表面に点字を浮かび上がらせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明に係る緩衝機能を備えた扉付き収納庫の一例を示す全体種脚図である。
【図2】扉本体の角部に緩衝体を取付ける構造を示し、(a)は表側から見た部分分解斜視図、(b)は扉本体の角部に緩衝体を装着した状態の斜視図である。
【図3】扉本体の角部に緩衝体を取付ける構造を示し、(a)は裏側から見た部分分解斜視図、(b)は扉本体の角部に緩衝体を装着した状態の斜視図である。
【図4】扉の全体斜視図である。
【図5】扉の部分断面図である。
【図6】扉の表面に表皮材を被覆する状態を示し、(a)は表面板にクッションシートを添設し、表皮材で被覆する前の状態を示す部分断面図、(b)表面板にクッションシートを添設し、表皮材で被覆した後の状態を示す部分断面図である。
【図7】3次元表面加飾技術(TOM工法)による表皮材の被覆工程を示し、(a)は上成型室と下成型室を間に表皮材をセットし、上成型室と下成型室とを同一圧力に減圧し、表皮材をヒータによって加熱して軟化させた状態を示す断面図、(b)はテーブルを上昇させて表皮材に芯材を押し付けた状態を示す断面図、(c)は上成型室を大気開放して表皮材を芯材に密着させて被覆した状態を示す断面図である。
【図8】扉本体の遊端側の角部に補強金具を設けた実施形態の部分斜視図である。
【図9】扉構造の第2実施形態を示す部分分解斜視図である。
【図10】同じく扉構造の第2実施形態を示し、(a)は扉本体の角部に緩衝体を装着した状態の部分斜視図、(b)は部分背面図、(c)は(a)のA−A'線断面図である。
【図11】扉構造の第3実施形態を示し、(a)は表側から見た部分分解斜視図、(b)は扉本体の角部に緩衝体を装着した状態の斜視図である。
【図12】同じく第3実施形態の扉本体の角部に緩衝体を取付ける構造を示し、(a)は裏側から見た部分分解斜視図、(b)は扉本体の角部に緩衝体を装着した状態の斜視図である。
【図13】第3実施形態の緩衝体を示し、(a)は正面図、(b)は背面図、(c)は底面図、(d)は右側面図、(e)は左側面図である。
【図14】第3実施形態の扉構造の角部を示し、(a)は部分背面図、(b)は(a)のX−X線断面図である。
【図15】本発明を適用した両開き式扉を備えたキャビネットの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
次に、添付図面に示した実施形態に基づき、本発明を更に詳細に説明する。図1は本発明に係る緩衝機能を備えた扉付き収納庫としてロッカーを示し、図2〜図6は扉の詳細を示し、図9及び図10は第2実施形態を示し、図11〜図14は第3実施形態を示し、図中符号1は筐体、2は収納部、3は扉、4は扉本体、5は緩衝体、6は表皮材をそれぞれ示している。
【0035】
本発明の緩衝機能を備えた扉付き収納庫は、単数又は複数の収納部2,…を有する筐体1と、各収納部2の開口部に回動開閉可能に設けた片開き式又は両開き式の扉3とを備えたものであり、本実施形態では前記筐体1は、複数の収納部2,…を縦横に設けたものであり、各収納部2の框部には前記扉3の一側部をヒンジにて回動開閉可能に取付けているもの例示した。
【0036】
具体的には、前記扉3は、スチール製の扉本体4と該扉本体4の遊端側3Aの角部に装着する弾性材料からなる緩衝体5とからなっている。そして、前記扉本体4は、図2及び図3に示すように、スチール板を板金加工して作製し、表面板7の周囲に補強縁部8を折曲形成するとともに、遊端側3Aの角部に対応する前記表面板7と補強縁部8,8の一部を切り欠いて切欠部9を設けたものである。また、前記緩衝体5は、前記切欠部9を埋めるように装着した際に前記表面板7と補強縁部8,8の外面に段差無く連続する本体部10を有するものである
【0037】
更に詳しくは、前記緩衝体5は、前記扉本体4の切欠部9に装着した際に前記表面板7と補強縁部8,8の外面に段差無く連続する本体部10と、該本体部10の両側部に両補強縁部8,8の内部空間11,11に嵌合する嵌合部12,12を突設したL字形部材であり、両嵌合部12,12は前記補強縁部8,8の内部空間11,11に嵌合する際には接近する方向に弾性変形可能である。
【0038】
一方、前記扉本体4の補強縁部8は、前記表面板7から裏面側へ直角に折曲した側面板13と、該側面板13の端縁から前記表面板7に平行に内方へ折曲した裏面板14と、該裏面板14の内縁から前記表面板7に向かって直角に折曲した補強板15とからなり、前記表面板7、側面板13、裏面板14及び補強板15とで前記緩衝体5の嵌合部12を受け入れる内部空間11を形成している。尚、前記補強縁部8の断面形状は、前記内部空間11が形成されれば任意であり、丸くカーリング加工したものでも良く、また前記補強板15が表面板7の裏面に接合されて前記内部空間11が閉じていても良い。
【0039】
そして、前記緩衝体5の嵌合部12が前記扉本体4の補強縁部8の内部空間11に嵌合した後、該嵌合部12が補強縁部8の内部空間11から抜けないようにする抜止め手段を備えていることが望ましい。本実施形態では、前記抜止め手段として、図3に示すように、前記補強縁部8の裏面板14に形成した孔16に裏面側から螺合したネジ17を、前記緩衝体5の嵌合部12に形成した係合穴18に圧入するものを採用したが、この構造に限定されない。例えば、前記補強縁部8の裏面板14又は補強板15の一部を内部空間11側に切り起した突片を前記緩衝体5の嵌合部12に形成した凹部に抜止め係合しても良く、あるいは接着剤で嵌合部12を内部空間11の内面に接着しても良い。
【0040】
ここで、前記前記緩衝体5は、図3及び図4に示すように、前記扉本体4の切欠部9に装着した際に前記表面板7と補強縁部8,8の外面に段差無く連続するように、前記本体部10に切欠部9となる表面板7及び補強縁部8,8の端縁に係合する段部19を形成している。
【0041】
このように、前記扉本体4の遊端側3Aに設けた切欠部9,9に前記緩衝体5,5を装着した状態で、前記扉3の表面から前記補強縁部8にわたる全面に、合成樹脂製の表皮材6を被覆する。この表皮材6を立体的な芯材(扉本体4と緩衝体5)の表面に密着させて被覆するには、真空技術を用いた公知の3次元表面加飾技術(TOM工法)を採用する。それにより、図5に示すように、前記扉本体4の表面板7から、補強縁部8を構成する側面板13及び裏面板14にわたった表皮材6で被覆することができる。
【0042】
そして、図4及び図6に示すように、前記扉本体4の表面板7に、適宜な形状に作成した軟弾性材料からなるクッションシート20を添設した状態で前記表皮材6を被覆することにより、扉3の表面側に前記クッションシート20の形状及び配置に応じて図形、模様、文字等を立体的に出現させてレリーフ部21を形成することができる。前記クッションシート20は、シート素材をトムソンによって所望形状に打ち抜いただけのものであるが、前記表皮材6を被覆する際の接着力によってクッションシート20の周縁部が圧縮されて丸くなるので、前記レリーフ部21は周囲が適度に丸みを帯びたものとなる。このレリーフ部21は、内部にクッションシート20が存在するので、扉3の正面側からの衝突に対して緩衝機能を有する。
【0043】
ここで、図7に基づき3次元表面加飾技術(TOM工法)に使用する真空成型装置100を簡単に説明する。真空成型装置100には、互いに接合・離反が可能とされ且つ対面側が開放された上成型室101と下成型室102とを有し、上成型室101内にはヒータ103を設け、下成型室102内には昇降テーブル104を設けている。そして、前記昇降テーブル104上に芯材105を配置し、上成型室101と下成型室102を間に表皮材106の周囲を挟んで気密接合した後、上成型室101と下成型室102とを同一圧力に減圧し、表皮材106をヒータ103によって加熱して軟化させる(図7(a)参照)。そして、昇降テーブル104を上昇させて軟化した表皮材106に芯材105を押し付ける(図7(b)参照)。それから、上成型室101を大気開放し、表皮材106の表裏で差圧を発生させることにより、該表皮材106を芯材105に密着させて被覆する(図7(c)参照)。その後、図示しないが、上成型室101を上方に駆動して開き、表皮材106で被覆された芯材105を取り出して、余分な表皮材106をカットする。
【0044】
前記扉本体4に切欠部9,9を設けたことにより扉3の剛性が低下するが、それを補うために、図8に示すように、前記緩衝体5の内側であって前記扉本体4の表面板7の裏面に補強金具22を溶接しておくことが好ましい。前記補強金具22は、直角三角形の頂部を落とした等脚台形状の基板23と、該基板23の両斜辺と上底に直角に形成した立板24とからなり、前記立板24を前記補強縁部8,8に当接した状態で前記基板23を表面板7の裏面に溶接する。尚、強度を更に高めるために、前記補強金具22の立板24を前記補強縁部8,8に溶接することも好ましい。
【0045】
次に、図9及び図10は、扉構造の第2実施形態を示している。前記緩衝体5は、前記切欠部9に装着した際に前記表面板7と補強縁部8,8の外面に段差無く連続する本体部10と、該本体部10の内方に前記表面板7の裏面に接合する膨出部25を有し、該本体部10の表裏面にそれぞれ係合溝26,26を形成したものである。一方、前記扉本体4の表面板7の切欠部9に沿った裏側に折曲片27を折曲形成している。そして、前記折曲片27に、前記緩衝体5の表側係合溝26を係合するとともに、前記緩衝体5より内側で両補強縁部8,8に取付けた保持金具28に設けた係合片29を、前記緩衝体5の裏側係合溝26に係合する。
【0046】
更に詳しくは、前記保持金具28は、垂直な基板30の両側に、前記両補強縁部8,8の補強板15,15にネジ止めするための取付板31,31を折曲形成するとともに、上縁に断面L字形の押え板32を折曲形成し、該押え板32の先端部が前記係合片29となっている。前記保持金具28の取付板31には、ネジ33を挿通する孔34を形成している。そして、前記緩衝体5を前記扉本体4の切欠部9に位置させて、該緩衝体5の表側係合溝26を表面板7に折曲形成した折曲片27に落とし込み係合させ、それから前記保持金具28の押え板32で緩衝体5の膨出部25を抱え込むように配置して、緩衝体5の裏側係合溝26に押え板32の先端部の係合片29を係合し、その状態で両取付板31,31の孔34,34に挿通したネジ33,33をそれぞれ前記補強縁部8,8の補強板15,15に形成した下穴(図示せず)に螺合する。
【0047】
前記扉本体4の表面板7の切欠部9に沿って折曲片27を形成することにより剛性が高くなり、そして前記保持金具28の両取付板31,31を両補強縁部8,8にネジ止めして連結することにより更に剛性が高くなるのである。
【0048】
図11〜図14は本発明の第3実施形態を示している。本実施形態の扉本体4の構造は前記同様であり、また緩衝体5の材質と機能も前記同様である。本実施形態の扉3は、前記扉本体4の切欠部9の内側であって、前記表面板7とで保持空間Sを形成する包持部36を備えた固定金具35を固着し、前記緩衝体5は、前記切欠部9に装着した際に前記表面板7と補強縁部8の外面に段差無く連続する本体部10と、該本体部10の一側部に前記切欠部9に面する一方の補強縁部8の前記内部空間11に嵌合する嵌合部37を突設するとともに、前記保持空間Sに嵌合する膨出部38を突設し、前記本体部10の他側部に他方の補強縁部8の内部空間11に係合する係合突起39を形成し、前記固定金具35の包持部36に螺合したネジ40を前記緩衝体5の膨出部38に形成した係合穴41に圧入して構成した。ここで、前記ネジ40と係合穴41は、図示したものは二対設けたが、一対でも構わない。
【0049】
更に詳しくは、図11及び図12に示すように、前記扉本体4の一方の補強縁部8の内側を切欠して前記内部空間11の内側を開放し、該開放部11Aから前記固定金具35の包持部36を当該内部空間11内に挿入した状態で前記表面板7の裏面に溶接し、前記包持部36は前記扉本体4の両補強縁部8,8に平行な直角に連続した側壁板42,42と、一方の側壁板42から折曲形成し前記表面板7と平行な取付板43とを有し、両側壁板42,42と取付板43及び前記表面板7とで形成された前記保持空間Sと内部空間11に、前記緩衝体5の一側部に突設した嵌合部37と膨出部38とが一体となった部分を嵌合し、前記取付板32に螺合したネジ40を前記緩衝体5の膨出部38に形成した係合穴41に圧入して取付けるようになっている。
【0050】
更に具体的には、前記扉本体4の遊端側角部近傍の両補強縁部8,8を直角に切り欠くとともに、前記表面板7を45度の角度で切り欠いて前記切欠部9を形成し、前記緩衝体5の本体部10の表面側の形状を五角形とするとともに、裏面側の形状をL字形としている。前記本体部10の表面側の五角形部分10Aと、裏面側のL字形部分10Bは、前記同様にそれぞれ段部19を設けて前記嵌合部37、膨出部38及び係合突起39と連続している。前記緩衝体5の本体部10のL字形部分10Bは、前記補強縁部8の外形幅に一致させ、つまり裏面板14の幅に一致させるとともに、コーナー部に対応する中心に内外に向いた溝部44を形成し、前記補強縁部8の外形と連続させるとともに、扉3のヒンジ側の角部の外形と意匠的な統一を図っている。
【0051】
前記固定金具35は、直角な両側壁板42,42と、一方の側壁板42の裏面側縁部に直角に折曲形成した取付板43とで前記包持部36を形成するとともに、一方の側壁板42の表面側縁部に前記取付板43とは反対側に固定板45を直角に折曲形成したものであり、前記取付板43は背面視略L字形であり、前記他方の側壁板42と直角に接している。前記取付板43には小ネジ40を螺合する螺孔又はタッピンネジ40を螺合する下穴46を形成している。一方、前記前記扉本体4の一方の補強縁部8の内側、つまり補強板15を切欠して前記内部空間11の内側を開放し、該開放部11Aから前記固定金具35の包持部36の一部を前記内部空間11に挿入し、側面板13の内面に当止した状態で、前記固定板45を扉本体4の表面板7の裏面に溶接する。それにより、一方の補強縁部8の内部空間11は、前記固定金具35の保持空間Sの一部と共通になり、前記緩衝体5の嵌合部37と膨出部38が連続一体構造であっても嵌合できる。
【0052】
前記固定金具35の保持空間Sは、図11(a)に示すように、両側壁板42,42と、取付板43と、表面板7及び側面板13で囲まれ、前記切欠部9に向けて開放された空間であり、前記緩衝体5を取付けるには、先ず嵌合部37と膨出部38を前記保持空間Sに挿入し、本体部10を変形させながら前記係合突起39を他方の補強縁部8の内部空間11に係合させ、該補強縁部8を構成する側面板13の内面に係合させて弾性的に保持する。それから、前記固定金具35の取付板43の下穴46にタッピンネジ40を螺合して前記緩衝体5の係合穴41に圧入するのである。この取付状態において、前記緩衝体5の本体部10の表面側の五角形部分10Aは、扉本体4の切欠部9を段差なく埋め、また本体部10の裏面側のL字形部分10Bは、隣接する両補強縁部8,8の裏面板14,14に外形において段差なく連続するのである。勿論、前記緩衝体5の本体部10自体は、前記両補強縁部8,8の側面板13,13にも外形において段差なく連続する。
【0053】
本実施形態では、前記扉本体をスチール製としたが、木質系、例えばMDF(中質繊維板)で作製し、遊端側の角部の少なくとも表側に切欠部を形成し、該切欠部に弾性材料からなるブロック状の緩衝体を接着等の適宜な固定手段で取付けることも可能である。MDFは強度及び硬度が高い半面、スチール製と同様に角部に利用者が衝突すると怪我をする恐れがあるからである。
【0054】
図15は、本発明を適用した両開き式扉を備えたキャビネットを示し、筐体1の収納部2の開口部に対応する両框部に、それぞれ扉3,3の一端部を図示しないヒンジにて回動開閉可能に取付けている。
【符号の説明】
【0055】
1 筐体、 2 収納部、
3 扉、 3A 遊端側、
4 扉本体、 5 緩衝体、
6 表皮材、 7 表面板、
8 補強縁部、 9 切欠部、
10 本体部、 11 内部空間、
12 嵌合部、 13 側面板、
14 裏面板、 15 補強板、
16 孔、 17 ネジ、
18 係合穴、 19 段部、
20 クッションシート、 21 レリーフ部、
22 補強金具 23 基板、
24 立板、 25 膨出部、
26 係合溝、 27 折曲片、
28 保持金具、 29 係合片、
30 基板、 31 取付板、
32 押え板、 33 ネジ、
34 孔、 35 固定金具、
36 包持部、 37 嵌合部、
38 膨出部、 39 係合突起、
40 ネジ、 41 係合穴、
42 側壁板、 43 取付板、
44 溝部、 45 固定板、
46 下穴、 S 保持空間、
100 真空成型装置、 101 上成型室、
102 下成型室、 103 ヒータ、
104 昇降テーブル、 105 芯材、
106 表皮材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単数又は複数の収納部を有する筐体と、各収納部の開口部に回動開閉可能に設けた片開き式又は両開き式の扉とを備え、
前記扉は、スチール製の扉本体と該扉本体の遊端側の角部に装着する弾性材料からなる緩衝体とからなり、
前記扉本体は、表面板の周囲に補強縁部を折曲形成するとともに、遊端側の角部に対応する前記表面板と補強縁部の一部を切り欠いて切欠部を設けたものであり、
前記緩衝体は、前記切欠部を埋めるように装着した際に前記表面板と補強縁部の外面に段差無く連続する本体部を有するものである、
ことを特徴とする緩衝機能を備えた扉付き収納庫。
【請求項2】
前記筐体は、複数の収納部を縦横に設けたものであり、各収納部の框部には前記扉の一側部をヒンジにて回動開閉可能に取付けてなる請求項1記載の緩衝機能を備えた扉付き収納庫。
【請求項3】
前記扉本体の補強縁部は、前記表面板から裏面側へ直角に折曲した側面板と、該側面板の端縁から前記表面板に平行に内方へ折曲した裏面板と、該裏面板の内縁から前記表面板に向かって直角に折曲した補強板とからなり、前記表面板、側面板、裏面板及び補強板とで内部空間を形成する請求項1又は2記載の緩衝機能を備えた扉付き収納庫。
【請求項4】
前記緩衝体は、前記切欠部に装着した際に前記表面板と補強縁部の外面に段差無く連続する本体部と、該本体部の両側部に両補強縁部の前記内部空間に嵌合する嵌合部を突設したL字形部材であり、両嵌合部は前記補強縁部の内部空間に嵌合する際に接近する方向に弾性変形可能である請求項1〜3何れか1項に記載の緩衝機能を備えた扉付き収納庫。
【請求項5】
前記緩衝体の嵌合部が前記扉本体の補強縁部の内部空間に嵌合した後、該嵌合部が補強縁部の内部空間から抜けないようにする抜止め手段を備えてなる請求項1〜4何れか1項に記載の緩衝機能を備えた扉付き収納庫。
【請求項6】
前記抜止め手段が、前記補強縁部に裏面側から螺合したネジを、前記緩衝体の嵌合部に形成した係合穴に圧入するものである請求項5記載の緩衝機能を備えた扉付き収納庫。
【請求項7】
前記緩衝体は、前記切欠部に装着した際に前記表面板と補強縁部の外面に段差無く連続する本体部と、該本体部の内方に前記表面板の裏面に接合する膨出部を有し、該本体部の表裏面にそれぞれ係合溝を形成したものであり、前記表面板の切欠部に沿って裏側へ折曲形成した折曲片に、前記緩衝体の表側係合溝を係合するとともに、前記緩衝体より内側で両補強縁部に取付けた保持金具に設けた係合片を、前記緩衝体の裏側係合溝に係合してなる請求項1〜3何れか1項に記載の緩衝機能を備えた扉付き収納庫。
【請求項8】
前記扉本体の切欠部の内側であって、前記表面板とで保持空間を形成する包持部を備えた固定金具を固着し、前記緩衝体は、前記切欠部に装着した際に前記表面板と補強縁部の外面に段差無く連続する本体部と、該本体部の一側部に前記切欠部に面する一方の補強縁部の前記内部空間に嵌合する嵌合部を突設するとともに、前記保持空間に嵌合する膨出部を突設し、前記本体部の他側部に他方の補強縁部の内部空間に係合する係合突起を形成し、前記固定金具の包持部に螺合したネジを前記緩衝体の膨出部に形成した係合穴に圧入する請求項1〜3何れか1項に記載の緩衝機能を備えた扉付き収納庫。
【請求項9】
前記扉本体の一方の補強縁部の内側を切欠して前記内部空間の内側を開放し、該開放部から前記固定金具の包持部を当該内部空間内に挿入した状態で前記表面板の裏面に溶接し、前記包持部は前記扉本体の両補強縁部に平行な直角に連続した側壁板と、一方の側壁板から折曲形成し前記表面板と平行な取付板とを有し、両側壁板と取付板及び前記表面板とで形成された前記保持空間と内部空間に、前記緩衝体の一側部に突設した嵌合部と膨出部とが一体となった部分を嵌合し、前記取付板に螺合したネジを前記緩衝体の膨出部に形成した係合穴に圧入する請求項8記載の緩衝機能を備えた扉付き収納庫。
【請求項10】
前記扉本体の遊端側角部近傍の両補強縁部を直角に切り欠くとともに、前記表面板を45度の角度で切り欠いて前記切欠部を形成し、前記緩衝体の本体部の表面側の形状を五角形とするとともに、裏面側の形状をL字形とし、該L字形部分は前記補強縁部の外形幅に一致させ且つ中心に内外に向いた溝部を形成した請求項8又は9記載の緩衝機能を備えた扉付き収納庫。
【請求項11】
前記扉本体の遊端側に設けた切欠部に前記緩衝体を装着した状態で、前記扉の表面から前記補強縁部にわたる全面に、合成樹脂製の表皮材を被覆してなる請求項1〜10何れか1項に記載の緩衝機能を備えた扉付き収納庫。
【請求項12】
前記扉本体の表面板に、適宜な形状に作成した軟弾性材料からなるクッションシートを添設した状態で前記表皮材を被覆して、扉の表面側に前記クッションシートの形状及び配置に応じて図形、模様、文字等を立体的に出現させてレリーフ部を形成してなる請求項11記載の緩衝機能を備えた扉付き収納庫。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−50015(P2013−50015A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−242935(P2011−242935)
【出願日】平成23年11月5日(2011.11.5)
【出願人】(390007940)豊國工業株式会社 (8)
【出願人】(598163628)布施真空株式会社 (5)
【Fターム(参考)】