説明

練和用ハネ

【課題】歯科における埋没材、石こう、印象材等の撹拌材料を減圧下で攪拌練和する練りムラのない歯科技工用真空撹拌攪拌器の練和用ハネを提供する。
【解決手段】撹拌練和時に遠心力によって外側上部に吹き上げられる材料を返し片で下方に移動させ、練和ハネ側辺縁部で練りこむ構造となっているが、中央部階段状孔7を設けることにより、練和用ハネの中央部に埋没材等の粉や液が付着することがなくなり、練りムラが減少する。本発明の練和用ハネを用いれば、混練ムラを最小限に抑えることができ、内容物の硬化に影響をほとんど与えない程度まで混練が可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯科における埋没材、石こう、印象材等の材料を減圧下で撹拌練和する歯科技工用真空撹拌器の練和用ハネに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、歯科技工用真空撹拌器の練和用ハネは練和効率や清掃性、練りムラのない安定した撹拌練和を考慮して設計されており様々な形態を有している。
【0003】
図1に示す練和用ハネは、練和ハネ側縁部が折られ、かつ上端部に返し片を有した形状となっており、撹拌練和時に遠心力によって外側上部に吹き上げられる材料を返し片で下方に移動させ、練和ハネ側縁部で練りこむ構造となっている。しかし、材料が通る孔が小さいため、粘度の高い材料を練和する際には孔をスムーズに通らず、練和効率が悪くなるだけでなく練和モータにかかるトルクも大きくなる。また練和用ハネの中心は周速が0となるため、中心部に埋没材等の粉や液が付着すると充分な撹拌練和されず練りムラの原因となる。更に練和ハネ側縁部及び返し片には向きがあるため、正逆回転撹拌練和等には不向きな形状となっている。練和効率が悪いものであった。
【0004】
しかし最近では、練和用ハネを正逆回転させることによって予備練和を行う歯科技工用真空撹拌器が販売されており、その練和用ハネ形状は図2に示すような、辺縁部のみのフレーム状の形状となっており、側縁部や上端部に返し片などは有していない。これらの練和用ハネで撹拌練和を行うと、遠心力によって外側上部に吹き上げられた材料は返し片を有していないため、充分に練り込まれず練りムラの原因となる。またハネが辺縁部のみの形状となっているため、気泡を巻き込みやすく、その結果、残留気泡が残る。
特許第3870989号公報には、被混練材料を収容する容器内に、その内周面に沿って、僅かな間隙を隔てて撹拌翼周縁部が配設された左右一対の撹拌翼を備えた撹拌具を内装し、かつその撹拌翼にはその面積の7〜80%を占め、指先が挿入できる程度の大きさの複数の貫通孔を、左右翼に略1/2段ずつずらして段違いに交互に設け、また、各貫通孔間の仕切体横側延長線上の撹拌翼周縁部に円弧状の窪み部を設け、さらに各撹拌翼の上端に返し片を水平線より若干上向きに突設した構造として従来の練りむらを解消した。しかし、円弧状の窪み部においては十分な混練が行われず残ることも多く、中心部に埋没材等の粉や液が付着すると充分な撹拌練和されず練りムラの原因となっていた。
【特許文献1】特許第3870989号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の練和用ハネでは、材料が通る孔が小さいため、粘度の高い材料を練和する際には孔をスムーズに通らず、練和効率が悪くなるだけでなく練和モータのトルクも必要であった。また練和用ハネの中心は周速が0となるため、中心部に埋没材等の粉や液が付着すると充分な撹拌練和されず練りムラの原因となった。更に練和ハネ側縁部及び返し片には向きがあるため、正逆回転撹拌練和等には不向きな形状となっていた。従来は撹拌材料が十分に撹拌されずに、ムラや玉になることが多く、キメの細かい撹拌が希望されていた。更に、撹拌の不十分な撹拌材料は撹拌後の撹拌材料の硬化速度に影響を与え、一定の硬化速度をえることができないために、撹拌材料の操作が煩雑であった。また更に撹拌にムラが生じた場合は特に反応状態にムラが生じ硬化ムラが生じた。特に歯科材料などを撹拌材料に用いる場合は、撹拌後の印象材として精密な印象を採得する場合、混合ムラによる正確な印象を採得することができないことがあった。更に、埋没材及び石膏においても、築盛したワックスなどを包埋した場合に、硬化のムラが生じた場合、ワックスを変形させることもあり、問題が生じていた。
複数の撹拌材料を容器に投入して撹拌する場合、練和用ハネに初期に付着した部分が十分に撹拌されず、撹拌ムラを発生させることが多く、問題が生じていた。同様に、容器に付着した撹拌材料も十分に撹拌されず、多く残ることも少なくなかった。
【0006】
図2に示すような練和用ハネでは、撹拌練和を行うと、遠心力によって外側上部に吹き上げられた材料は返し片を有していないため、充分に練り込まれず練りムラの原因となった。またハネが辺縁部のみの形状となっているため、気泡を巻き込みやすく、その結果、残留気泡が残った。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、歯科における埋没材、石こう、印象材等の撹拌材料を減圧下で撹拌練和する歯科技工用真空撹拌器の練和用ハネであって、
練和用ハネは、
前記撹拌材料を投入して撹拌練和する中空円柱状容器の軸線方向に有する回転駆動体の回転軸に取り付けられ、
中空円柱状容器の内部に回転軸に対して左右に広がる平板状の翼を有し、翼が底面及び側壁にわずかな空隙を設けて設置される練和用ハネおいて、
平板状の翼の側壁は回転軸と並行に設けられ、平板状の翼の底面は回転軸と直角に設けられ、
平板状の練和用ハネの略中央部に中央階段状孔を有し、
平板状の練和用ハネの左翼又は右翼の下段に下部階段状孔を設け、中央階段状孔と連結して階段状孔を形成しており、
下部階段状孔の上部に上部孔を設け、下部階段状孔の反対翼に下部孔を設け、
下部孔の上方にであって上部孔の反対翼に上部階段状孔を設けたことを特徴とする練和用ハネである。
【0008】
本発明は、上部階段状孔が下部階段状孔及び中央階段状孔と連結して階段状孔を形成し、
平板状の翼の側壁側である翼辺縁部が回転軸方向とは逆側に屈曲して翼辺縁部を形成し、
下部階段状孔、上部階段状孔、上部孔及び下部孔が翼辺縁部まで達して形成され、
翼辺縁部の上端には回転軸方向に前記撹拌材料が翼を越えない用に返し片を形成し、
下部階段状孔、上部階段状孔、上部孔、下部孔及び中央階段状孔の各側壁の内少なくとも1つ以上が回転軸と並行な辺を構成し、
翼辺縁部近傍の下部階段状孔及び上部孔の並行な辺が直線上に位置し、
翼辺縁部近傍の上部階段状孔及び下部孔の並行な辺が直線上に位置し、
下部階段状孔、上部階段状孔、上部孔、下部孔及び中央階段状孔の各底辺及び上辺の内少なくとも1つ以上が回転軸と直角な辺を構成し、
下部階段状孔は下部孔に比べて、底面に近設されており、
上部階段状孔は上部孔に比べて、上面に近設されており、
下部階段状孔の底辺は下部孔の底辺に比べて、底面に近設されており、
下部階段状孔の上辺は下部孔の上辺に比べて、底面に近設されており、
上部階段状孔の底辺は上部孔の底辺に比べて、上面に近設されており、
上部階段状孔の上辺は下部孔の上辺に比べて、上面に近設されており、
下部孔の上辺は上部孔の底辺に比べて、底面に近設されていることを特徴とする請求項1記載の練和用ハネである。
本発明は、歯科における埋没材、石こう、印象材等の材料を減圧下で撹拌練和する歯科技工用真空撹拌器の練和用ハネにおいて、練和用ハネの左右の側縁部が練和ハネ上方から見て回転方向と逆方向に折られており、かつ側縁部上端に水平より上向きに折られた返し片を有しており、さらに練和用ハネ中心部に階段状孔を有し、上部階段状孔の下側、および下部階段状孔の上側に各々材料の通り孔を設けていることを特徴とする歯科技工用真空撹拌器の練和用ハネである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の練和用ハネを用いれば、混練ムラを最小限に抑えることができ、内容物の硬化に影響をほとんど与えない程度まで混練が可能である。
本発明の練和用ハネは、中央部階段状孔を設けることにより、練和用ハネの中央部に埋没材等の粉や液が付着することがなくなり、練りムラを減少させることができる。また、階段状孔を設けることにより、粘度の高い材料を練和する際にも孔をスムーズに通るため、練和モータのトルクを小さく抑えることができ、練和効率が向上する。更に上部階段状孔及び下部階段状孔の大きさを上部通り孔及び下部通り孔孔の大きさより大きくすることにより、攪拌練和中に埋没材等の材料が孔の大きさの違いによる圧力変動により、上下方向に流動するため、練和効率が向上する。
本発明の練和用ハネによれば、撹拌初期状態では、撹拌材料の内容物のハネが浸かり、トルクが必要な状態である。この場合、下部に設けた下部階段孔が中央部階段状孔につながっていることから、初期のトルクが軽減され容易に目的とする撹拌速度まで上げることができる。このことから、駆動機器に対する劣化を押させ、消費電力を抑えることができる。
撹拌が目的とする速度に達した折に、遠心力で側壁側で撹拌材料は撹拌されるが、本発明の翼状態で、翼の上下で圧力差が生じて、撹拌材料が上方若しくは下方に移動する。この翼により遠心力による回転の他に上下に撹拌材料を移動させることができ、容易に撹拌することができる。
本発明の撹拌翼の位置関係及び形状、更には孔の位置関係や形状から撹拌効率することが向上している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に、本発明の好ましい実施の形態について具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0011】
まず初めに歯科技工用真空攪拌器の概要について説明する。
歯科技工用真空撹拌器は歯科における埋没材、石こう、印象材等の材料を減圧下で撹拌練和するための器械である。一般的には練和カップ内に撹拌練和を行う埋没材、石こう等の材料と水や液を入れるか又は印象材等の2つに材料を投入し充分になじませた後、練和用ハネを備えた練和カップ蓋を被せ、器械に設置すると真空ポンプまたは真空発生器が作動し練和カップ内が吸引される。次に練和モータを作動させ、予め設定しておいた練和時間において撹拌練和を行うものである。
【0012】
次に本発明の練和用ハネの形態について説明する。
図3に本発明の練和用ハネの正面図を示す。図において1は右側辺縁部、2は左側辺縁部、5は階段状孔、9は上部孔、10は下部孔を示す。また図4に本発明の練和用ハネの上面図を示す。図において3は右返し片、4は左返し片を示す。
練和用ハネの左右側辺縁部1、2は練和ハネ上方から見て、回転方向と逆方向に折られていることが好ましく、最も好ましい角度は45度である。この辺縁部により、撹拌材料は側壁へと押しやられ、側壁に付着した撹拌材料を取り除き、混練へ導くことができる。更に、力強く混連する部分である。また、その側辺縁部上端には駆動軸平面より上向きに折られた左右返し片3、4を有していることが好ましく、さらに好ましいのは5〜10度上向きに折られているものである。
階段状孔5は上部階段状孔6、中央部階段状孔7、下部階段状孔8から構成されている。図5においては、階段状孔5は中央部階段状孔7、下部階段状孔8から構成されている。好ましい形態としては上部階段状孔6と中央部階段状孔7、および中央部階段状孔7と下部階段状孔8がそれぞれ直交していることが好ましい。
階段状孔5の大きさは材料が通る大きさであれば良いが、好ましくは幅12〜20mm程度の孔が好ましい。上部孔9および下部孔10の大きさは階段状孔5よりも小さいことが好ましい。
【0013】
歯科における埋没材、石こう、印象材等の撹拌材料を減圧下で攪拌練和する歯科技工用真空撹拌器とは練和用ハネを装着する機器である。歯科においては、口腔内の状況を印象材で採得し、石膏に置き換え、修復物を作製するためにワックスなどで構造体の原型を構成して、ロストワックス法をもちいて、構造体を作製する。その折には歯科用印象材、歯科用石こう、歯科用埋没材と2つの材料を混練して、効果させる材料を多用する。これらの歯科用材料はそれぞれ製作所で用いることから、これらに共通して持ちいる混練器が求められ、更に、これらの混練器で、歯科用印象材、歯科用石こう、歯科用埋没材が十分に機能を発揮する混練用ハネが求められてきた。
【0014】
練和用ハネとは、歯科用混練器に設置する撹拌容器(練和カップ)内で、撹拌材料を撹拌するための練和用のハネのことでる。一般的には一軸で回転して、撹拌するものである。
撹拌容器(練和カップ)は中空円柱状容器であって、通常は中空円柱状の側壁に底を設けた形状になっており、蓋体は練和用ハネの上部に駆動装置に繋がる回転軸を介して設けられ、練和用ハネを中空円柱内に挿入することで、ハネ上部の蓋体が中空円柱状容器を密閉し、撹拌材料を閉じ込める構造をなしている。蓋体と中空円柱状容器の間はゴムなどで機密性を向上させていることが好ましい。
この中空円柱状容器に撹拌材料を投入して撹拌練和されるが、中空円柱状容器の軸線方向に有する回転駆動体方向が上方として設置される。混練器に装着された折には、回転軸に取り付けられ、蓋体は練和用ハネの上部に駆動装置に繋がる回転軸が駆動装置と繋がれる。
【0015】
練和用ハネは中空円柱状容器の内部に回転軸に対して左右に広がる平板状の翼を有する。翼は0.5〜3mm、0.7〜1.5mmの厚さであることが好ましい。薄い場合は駆動装置の力で変形し、厚いと使用に不便である。翼が底面及び側壁にわずかな空隙を設けて設置される。摺接すると容器や翼を傷めるので好ましくない。あまり大きな隙間では練和が旨く行かない。この隙間は0.3〜1.0mmで好ましくは0.3〜0.5mmであることが好ましい。この隙間は、側壁及び底面とほぼ均等な隙間であることが好ましい。または側壁は、中空円柱状容器の開口部に向かうにつれて、0.1〜0.2mm程度開口していることも好ましい。
練和用ハネが平板状であり、その翼の側辺は回転軸と並行に設けられ、平板状の翼の底辺は回転軸と直角に設けらている。中空円柱状容器の側壁と底面とほぼ均等な隙間を構成するためである。
練和用ハネの平板の略中央部に中央階段状孔を有する。本孔は中央部は練和効率が悪い為に、初期の撹拌材料が付着して残ってしまうことを防止し、更に下部階段状孔に撹拌材料が与える撹拌圧を軽減する為の孔としても用いられる。略中央部とは、練和用ハネの駆動軸近辺であり、駆動軸を中心に5.0〜20.0mm好ましくは、10.0〜15.0mm程度の幅で設けることが好ましい。
【0016】
平板状の練和用ハネの左翼又は右翼の下段に下部階段状孔を設け、中央階段状孔と連結して階段状孔を形成する。連結されたことにより、測方から中央部まで内容物を運び出し、撹拌することができる。
下部階段状孔の上部に上部孔を設ける。上部孔は撹拌時に跳ね上げられた撹拌材料を孔に押し込みさらに混錬を促す効果がある。
下部階段状孔の反対翼に下部孔を設ける。下部孔は撹拌時に下部階段状孔から流入した撹拌材料を孔に押し込みさらに混錬を促す効果がある。
下部孔の上方にであって上部孔の反対翼に上部階段状孔を設ける。上部階段状孔は中央階段状孔と連結して階段状孔を形成することが好ましい。連結しない場合であっても、発明の効果が得られるが大量に撹拌する場合などは連結することが好ましい。上部階段状孔が下部階段状孔及び中央階段状孔と連結して階段状孔を形成することが好ましい。
【0017】
平板状の翼の側壁側である翼辺縁部が回転軸方向とは逆側に屈曲して翼辺縁部を形成する。この翼辺縁部の屈曲にて撹拌容器の側壁と練和用ハネとの隙間での撹拌が更に進み、撹拌容器近傍の撹拌材料が撹拌に参加することとなる。
下部階段状孔、上部階段状孔、上部孔及び下部孔が翼辺縁部まで達して形成さる。下部階段状孔、上部階段状孔、上部孔及び下部孔の孔が翼辺縁部の一部まで達することより撹拌を促進する。これらの孔が翼の側辺まで、達することは好ましくない。側壁との撹拌に影響する為である。各孔の面積の内、30〜10%、25〜15%程度が翼辺縁部に形成されていることが好ましい。これらの範囲では混合効率を向上させる。
翼辺縁部の上端には回転軸方向に前記撹拌材料が翼を越えない用に返し片を形成する。返し片の一辺は中空円柱容器の内壁にほぼ沿わせて形成することが好ましい。
【0018】
下部階段状孔、上部階段状孔、上部孔、下部孔及び中央階段状孔の各側壁の内少なくとも1つ以上が回転軸と並行な辺を構成する。好ましくは下部階段状孔、上部階段状孔、上部孔、下部孔及び中央階段状孔の各側壁が回転軸と並行な辺を構成する。
翼辺縁部近傍の下部階段状孔及び上部孔の並行な辺が直線上に位置する。
翼辺縁部近傍の上部階段状孔及び下部孔の並行な辺が直線上に位置する。
下部階段状孔、上部階段状孔、上部孔、下部孔及び中央階段状孔の各底辺及び上辺の内少なくとも1つ以上が回転軸と直角な辺を構成する。好ましくは下部階段状孔、上部階段状孔、上部孔、下部孔及び中央階段状孔の各底辺及び上辺が回転軸と直角な辺を構成する。
下部階段状孔は下部孔に比べて、底面に近設される。下部階段状孔は下部孔に比べて、上底方向に広いことが好ましい。
上部階段状孔は上部孔に比べて、上面に近設される。上部階段状孔は上部孔に比べて、上底方向に広いことが好ましい。
下部階段状孔の底辺は下部孔の底辺に比べて、底面に近設される。
下部階段状孔の上辺は下部孔の上辺に比べて、底面に近設される。
上部階段状孔の底辺は上部孔の底辺に比べて、上面に近設される。
上部階段状孔の上辺は下部孔の上辺に比べて、上面に近設される。
下部孔の上辺は上部孔の底辺に比べて、底面に近設される。
各孔の角は清掃性を良くするため、アール状に加工されていることが好ましい。
これらの構成は撹拌ムラを無くす為には重要な構成であり、これらの関係を保つことは好ましい。
次に本発明の練和用ハネの作用について説明する。
撹拌練和時に遠心力によって外側上部に吹き上げられる材料を返し片で下方に移動させ、練和ハネ側辺縁部で練りこむ構造となっているが、中央部階段状孔7を設けることにより、練和用ハネの中央部に埋没材等の粉や液が付着することがなくなり、練りムラが減少する。また、階段状孔5を設けることにより、粘度の高い材料を練和する際にも孔をスムーズに通るため、練和モータのトルクを小さく抑えることができ、練和効率が向上する。更に上部階段状孔6及び下部階段状孔8の大きさを上部通り孔9及び下部通り孔10の孔の大きさより大きくすることにより、撹拌練和中に埋没材等の材料が孔の大きさの違いによる圧力変動により、上下方向に流動するため、練和効率が向上する。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明は歯科用練和機に装着する練和用ハネに関する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】従来の練和用ハネの外観図
【図2】従来の練和用ハネの外観図
【図3】本発明の練和用ハネの正面図
【図4】本発明の練和用ハネの上面図
【図5】本発明の練和用ハネの正面図
【符号の説明】
【0021】
1 右側縁部
2 左側縁部
3 右返し片
4 左返し片
5 階段状孔
6 上部階段状孔
7 中央部階段状孔
8 下部階段状孔
9 上部通り孔
10 下部通り孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯科における埋没材、石こう、印象材等の撹拌材料を減圧下で撹拌練和する歯科技工用真空撹拌器の練和用ハネであって、
練和用ハネは、
前記撹拌材料を投入して撹拌練和する中空円柱状容器の軸線方向に有する回転駆動体の回転軸に取り付けられ、
中空円柱状容器の内部に回転軸に対して左右に広がる平板状の翼を有し、翼が底面及び側壁にわずかな空隙を設けて設置される練和用ハネにおいて、
平板状の翼の側辺は回転軸と並行に設けられ、平板状の翼の底辺は回転軸と直角に設けられ、
平板状の練和用ハネの略中央部に中央階段状孔を有し、
平板状の練和用ハネの左翼又は右翼の下段に下部階段状孔を設け、中央階段状孔と連結して階段状孔を形成しており、
下部階段状孔の上部に上部孔を設け、下部階段状孔の反対翼に下部孔を設け、
下部孔の上方にであって上部孔の反対翼に上部階段状孔を設けたことを特徴とする練和用ハネ。
【請求項2】
上部階段状孔が下部階段状孔及び中央階段状孔と連結して階段状孔を形成し、
平板状の翼の側壁側である翼辺縁部が回転軸方向とは逆側に屈曲して翼辺縁部を形成し、
下部階段状孔、上部階段状孔、上部孔及び下部孔が翼辺縁部まで達して形成され、
翼辺縁部の上端には回転軸方向に前記撹拌材料が翼を越えないように返し片を形成し、
下部階段状孔、上部階段状孔、上部孔、下部孔及び中央階段状孔の各側壁の内少なくとも1つ以上が回転軸と並行な辺を構成し、
翼辺縁部近傍の下部階段状孔及び上部孔の並行な辺が直線を上に位置し、
翼辺縁部近傍の上部階段状孔及び下部孔の並行な辺が直線を上に位置し、
下部階段状孔、上部階段状孔、上部孔、下部孔及び中央階段状孔の各底辺及び上辺の内少なくとも1つ以上が回転軸と直角な辺を構成し、
下部階段状孔は下部孔に比べて、底面に近設されており、
上部階段状孔は上部孔に比べて、上面に近設されており、
下部階段状孔の底辺は下部孔の底辺に比べて、底面に近設されており、
下部階段状孔の上辺は下部孔の上辺に比べて、底面に近設されており、
上部階段状孔の底辺は上部孔の底辺に比べて、上面に近設されており、
上部階段状孔の上辺は下部孔の上辺に比べて、上面に近設されており、
下部孔の上辺は上部孔の底辺に比べて、底面に近設されていることを特徴とする請求項1記載の練和用ハネ。
【請求項3】
歯科における埋没材、石こう、印象材等の材料を減圧下で撹拌練和する歯科技工用真空撹拌器の練和用ハネにおいて、練和用ハネの左右の側辺縁部が練和ハネ上方から見て回転方向と逆方向に折られており、かつ側縁部上端に水平より上向きに折られた返し片を有しており、さらに練和用ハネ中心部に階段状孔を有し、上部階段状孔の下側、および下部階段状孔の上側に各々材料の通り孔を設けていることを特徴とする請求項1記載の歯科技工用真空撹拌器の練和用ハネ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−99209(P2010−99209A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−272582(P2008−272582)
【出願日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【出願人】(390011143)株式会社松風 (125)
【Fターム(参考)】