説明

緻密化ポリアリルアミンポリマー

本発明は、ポリアリルアミンポリマーを含むタブレットを製造する方法に関し、前記方法は、(i)ポリアリルアミンポリマー又はその薬学的に許容される塩を、場合により1又はそれ以上の薬学的付形剤との混合物との形で用意するステップと;(ii)スラグを緻密化するステップと;(iii)前記スラグを顆粒化するステップと;前記得られる顆粒を圧縮してタブレットとするステップと;を有する。又は本発明は、緻密化されたポリアリルアミンポリマーを含む、タブレット、サシェ、及びスラグに関する。さらに、本発明は、二峰性のポアサイズを持つ、ポリアリルアミンポリマー、特にセベラマーを含むタブレットに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリアリルアミンポリマーを含むタブレットを製造する方法に関し、前記方法は、(i)ポリアリルアミンポリマー又はその薬学的に許容される塩を、場合により1又はそれ以上の薬学的に許容される付形剤との混合物との形で調製するステップと;(ii) 緻密化してスラグとするステップと;(iii)前記スラグを顆粒化するステップと;前記得られる顆粒を圧縮してタブレットとするステップとを有する。又は本発明は、緻密化されたポリアリルアミンポリマーを含む、タブレット、顆粒及びスラグに関する。さらに、本発明は、二峰性のポアサイズ分布を持つ、ポリアリルアミンポリマー、特にセベラマーを含むタブレットに関する。
【背景技術】
【0002】
セベラマー(INN)は、リン酸結合性を持つ特定の分野において知られているポリアリルアミンポリマーである。医薬としての使用は、最初EP0716606B1に記載された。塩酸セベラマーは「Renagel(R)」という名前で市販され、特に血中リン酸過剰(高リン酸血症)の透析患者に対し血中からリン酸を結合するために使用される。
【0003】
市販で利用できるタブレットにするためにセベラマーの剤型は通常直接圧縮により行われる。
【0004】
EP1153940A1は、セベラマーが密度1.18から1.24g/cm3であると記載する。この密度を持つセベラマーは、直接圧縮されて好ましい硬さを持つタブレットを与える。しかし、このタブレットの硬さは、密度1.25g/cm3セベラマーが用いられる場合には不適当であることが確立している(EP1153940の表1参照)。
【0005】
EP1239837B1には同じく、活性成分量の高いセベラマーの直接圧縮によるタブレットを与えることが開示されている。セベラマーポリマーの水分含有量を正確に調整することが特に重要であることが見出されている。好ましいタブレットの性質は、特に水分含有量が5から7重量%で達成された。水分含有量が5重量%より小さい場合、タブレットは、望ましくない低硬度となる。8重量%よりも多い水分含有量の場合、崩壊時間が望ましくないほど伸びる。
【0006】
さらに、EP1304104B1は、直接圧縮により製造されたセベラマーを含むタブレットに関する。(セベラマーの含水量により)有利な硬度と崩壊時間を持つタブレットは、約30重量%の結晶性セルロースが、活性成分ポリマーに添加された場合にのみ製造できることが見出された(例えばEP1304104B1図1及び図2参照)。200mgの活性成分及び100mgのフィラーを含むタブレットが製造された。
【0007】
最後に、WO2006/050315A2には、炭酸セベラマー塩製剤の製造が記載され、同じくタブレット化が、直接圧縮による方法で起こる。3週間貯蔵した後の崩壊時間は、炭酸セベラマーを塩酸セベラマーと混合した場合にだけ許容されることが見いだされた。しかし、塩酸セベラマーの添加は得られるタブレットの硬度を減少させた(表1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、先行技術に記載のポリアリルアミンポリマーを含むタブレットの製造方法は、例えば水分含有量、活性成分又は塩組成物の密度に対する特別の要求の結果として、又は特別の付形剤を要求する結果として、数多くの不利益を持ったものである。それゆえに、従来技術に起因するこれらの不利益を克服することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
特に、本発明の目的は、ポリアリルアミンポリマーを含むタブレットの製造方法を提供することである。特にセベラマータブレットであって、ポリアリルアミンポリマー、特にセベラマーを種々の水分含有量、例えば1から14%の範囲で有利に処理することを目的とする。特に、迅速な崩壊時間(15分よりも短い、好ましくは10分よりも短い、特に好ましくは8分よりも短い、例えば5から7.5分)及び又有利な硬度(100ニュートン(N)より大きく、好ましくは120ニュートン、特に好ましくは150ニュートンより大きい)を持ち、さらには、水分含有量が、可変例えば1から14%である。
【0010】
本発明の目的はさらに、ポリアリルアミンポリマーを含むタブレット、特にセベラマータブレットの製造方法を提供することであり、特にセベラマータブレットであって、ポリアリルアミンポリマー特にセベラマーを種々の密度、例えば1.25から1.30g/cm3の範囲で有利に処理することを目的とする。特に、迅速な崩壊時間(15分よりも短い、好ましくは、10分よりも短い)及び又有利な硬度(100ニュートンより大きく、好ましくは120ニュートン)を持ち、さらには、セベラマーを高い密度で含むものである。
【0011】
さらに、本発明の目的は、セベラマーを含むタブレットであり、有利な被覆可能性を示すタブレットの製造方法を提供することである。本発明によるタブレットの被覆の際には、「フレーク発生」が全く生じない。
【0012】
さらに、本発明の目的は、ポリアリルアミンポリマーを含むタブレット、特にセベラマータブレットの製造方法を提供することであり、例えばラクトース及びマンニトール又はそれらの修飾体が有利に処理されることができる方法である。同じくセルロースに代わるものとしてさらなるフィラーを使用することを可能とする。特に、迅速な崩壊時間(15分よりも短い、好ましくは、10分よりも短い、特に好ましくは8分よりも短い、例えば5から7.5分)及び又有利な硬度(100ニュートンより大きく、好ましくは120ニュートン、特に好ましくは150ニュートンより大きい)を持ち、さらには、ポリアリルアミンポリマー特にセベラマーを活性成分として含む、及び例えばラクトース及び/又はマンニトールを付形剤として含む。
【0013】
さらに、本発明の目的は、ポリアリルアミンポリマーを含むタブレット、特にセベラマータブレットの製造方法を提供することである。ここで、高い活性成分含有量、例えば80から95%の活性成分の含有量で製造されることができる。特に、迅速な崩壊時間と又有利な硬度をともに有する高い活性成分含有タブレットを提供することが可能となる。
【0014】
さらに、本発明の目的は、セベラマータブレットの製造方法を提供することである。ここで、セベラマーの炭酸塩を好ましくは単一の活性成分として、塩酸セベラマーと混合することなく、有利に製造される。特に、時間経過しても安定に維持される崩壊時間(3週間の保存後で30分より短く好ましくは15分より短い)及び有利な硬度をともに有する、炭酸セベラマータブレットを提供することができる。
【0015】
本発明の目的は又、ポリアリルアミンポリマー特にセベラマーの顆粒製剤を提供することである。これは、投与のための懸濁液を調製するために有利に使用可能である。顆粒は、迅速に流れ、保存期間では分離せず、一回投与及び多数回投与の容器から正確な投与が可能となる。
【0016】
上で特定した本発明目的にすべては、アルコール性溶剤を用いることなく実施可能である限り、有効である(例えば処理コスト、産業上安全性及び環境保護の観点から)。
【0017】
本発明の目的は、ポリアリルアミンポリマーの緻密化により、特にセベラマーのと蜜かによりスラグを得ることで達成される。
【0018】
従って、本発明は、(i)ポリアリルアミンポリマー又はそれと薬学的に許容される塩を、場合により薬学的に許容される付形剤との混合物を用意し、(ii)緻密化してスラグとするステップを含む法本発明により得られる、ポリアリルアミンポリマーを含むスラグを提供する。
【0019】
前記ステップ(ii)において、ポリアリルアミンポリマー又は好ましくはポリアリルアミンポリマーと他の1又はそれ以上の薬学的に許容される付形剤と共に緻密化される。
【0020】
本発明はさらに、ポリアリルアミンポリマーを含むタブレットの製造方法であり、(i)ポリアリルアミンポリマー又はその薬学的に許容される塩を、場合により1又はそれ以上の医薬的付形剤との混合物の形で用意し、(ii)緻密化してスラグとし、(iii)前記スラグを顆粒化し、及び(iv)前記得られた顆粒を、場合により1又はそれ以上の医薬的付形剤との混合物の形で圧縮してタブレットする工程を含む方法を提供する。
【0021】
本発明の方法で製造されるタブレットは、場合によりさらに場合によりステップ(v)で、薄フィルムで被覆されてもよい。
【0022】
本発明の方法で得られるタブレット及びフィルム被覆タブレットが、本発明で同じく提供される。
【0023】
最後に、本発明には、特にサシェに充填するための顆粒剤であって、(i)ポリアリルアミンポリマー又はその薬学的に許容される塩を、場合により1又はそれ以上の薬学的に許容される付形剤と共に用意し、(ii)緻密化してスラグとし、及び(iii)前記スラグを圧縮することで得ることができる顆粒剤が含まれる。
【0024】
場合により、ステップ(iii)の間に又は好ましく後にさらなる付形剤が添加されてもよい。特に流れ性、接着性、崩壊性、味及び/又は濡れ性などを改良する付形剤がここで使用される。
【0025】
結果得られる顆粒製剤は、好ましくは、投与のための懸濁液を調製するために使用される。好ましくは適当な包装に注ぎ込まれる。包装の例は、小瓶、缶又は好ましくはサシェである。小瓶又は缶の場合、これらは一日投与分含むことができる。又は、例えば一週間又は一月分投与のような複数日投与分もまた、小瓶又は缶につめることができる。
【0026】
ポリアリルアミンポリマー特にセベラマーを含むタブレットを製造する本発明の方法は、以下詳しく説明するステップ(i)及び(ii)に関する説明もまたここで本発明によるスラグを製造するために使用される。ステップ(i)から(iii)に関する説明はまた、ここで、本発明による顆粒製剤を製造するために使用される。
【0027】
本発明による方法のステップ(i)で、「ポリアリルアミンポリマー」がまず用意される。
【0028】
本発明の内容において、「ポリアリルアミンポリマー」とは、アリルアミン単位又はその誘導体を含むモノマーの重合体により好ましく得られるポリマーを包含する、例えばアルキル化ポリアミンポリマーである。本発明の内容において、クロスリンクされたポリアリルアミンポリマーが好ましい。特に本発明のポリアリルアミンポリマーはセベラマー(INN)又はコレセベラム(INN)及びそれらの薬学的に許容される塩である。
【0029】
ポリアリルアミンポリマーは好ましくは、リン酸結合性を持つ。ポリアリルアミンポリマーは好ましくは、胆汁酸結合性を持つ。
【0030】
ポリアリルアミンポリマーは、先行技術において知られ記載されている。例えばEP071606B1である。ポリアリルアミンポリマーの誘導体が、例えばEP07164174B1に記載されている。
【0031】
本発明の-好ましくはクロスリンクされた-ポリアリルアミンポリマーは、通常、重量平均分子量として1000から百万、好ましくは2000から2百万、より好ましくは5000から百万、特に10000から250000g/molである。
【0032】
ポリアリルアミンポリマーは好ましくは、次の繰り返し構造単位を含む。
【0033】
【化1】

ポリアリルアミンポリマーは好ましくは、エピクロロヒドリンとの反応の結果クロスリンクされている。クロスリンクは特に好ましくはポリマー全体に対して、5から15重量%、より好ましくは9から10重量%、特に好ましくは9.0から9.8重量%の、エピクロロヒドリン単位を含む。
【0034】
一つの好ましい実施態様で、クロスリンクポリアリルアミンポリマーは、次の構造を持つ(図式的に表した)。
【0035】
【化2】

上の式で、比(x+y):zは、好ましくは45:1から2:1であり、より好ましくは15:1から5:1であり特に9である。
【0036】
さらに、上の式で、mは繰り返し数を表す。好ましくはmは、上の記載された数平均分子量が達成されるように選択される。
【0037】
原則として、本発明の内容において、用語「ポリアリルアミンポリマー」、「セベラマー」又は「コレセベラマム」には、対応するポリマー及び又は薬学的に許容される塩が共に含まれる。これらは1又はそれ以上の塩であってもよく、混合物の形でもよい。「塩」とは、ポリマーの1又はそれ以上のアミン基がプロトン化され、対応するカウンターアニオンを伴い正荷電された窒素原子が形成されることを意味する。
【0038】
好ましくは、使用される塩は酸付加塩である。適切な塩の例は、塩酸塩、炭酸塩、1水素炭酸塩、酢酸塩、乳酸塩、酪酸塩、プロピオン酸塩、亜硫酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、硝酸塩、硫酸塩、シュウ酸塩及び/又はコハク酸塩である。
【0039】
セベラマーの場合、薬学的に許容される塩は、特に好ましくはセベラマーの塩酸塩である。薬学的に許容される塩は同じく特に好ましくはセベラマーの炭酸塩である。最後に、特に好ましくは、セベラマー塩酸塩と炭酸塩との混合物である。好ましい実施態様のひとつは、セベラマーの塩酸塩と炭酸塩の混合物が、重量で0.01から10%、好ましくは0.1から5%のセベラマー塩酸塩であり、及びセベラマー炭酸塩に基づくと、重量で90から99.99%、好ましくは95から99.9%である。
【0040】
好ましいひとつの実施態様において、10から60%、より好ましくは30から50%、特に好ましくは約40%のアミノ基がプロトン化されている。
【0041】
セベラマー塩酸塩において、次の構造が存在する(図式的に示す)。
【0042】
【化3】

上の式で、比(x+y):zは好ましくは45:1から2:1、より好ましくは15:1から5:1、特には9である。さらに、上の式で、mは繰り返し数を表す。好ましくはmは上で記載された数平均分子量となるように選択される。
【0043】
全ての単位で平均して、nは好ましくは0.1から0.6、より好ましくは0.3から0.5、特には約0.4である。
【0044】
コレセベラムの場合、薬学的に許容される塩は好ましくはコレセベラム塩酸塩である。
【0045】
一つの好ましくは実施態様において、1から90%、より好ましくは5から50%、特に10から30%のアミノ基がアルキル化されている。アルキル化は好ましくは、ポリアリルアミンポリマーと臭化1-ブロモ-デカン及び/又は(6-ブロモヘキシル)トリメチルアンモニウムとの反応で生じる。
【0046】
コレセベラムの場合次の構造が存在する(図式的に表す)。
【0047】
【化4】

上の式で、単位(a)は、アルキル化されていないアリルアミン単位、(b)はエピクロロヒドリンでクロスリンクされたアリルアミン単位、(c)はデシル基でアルキル化されたアリルアミン単位、及び(d)は(6-トリメチルアンモニウム)ヘキシル基でアルキル化されたアリルアミン単位である。これらの単位の部分を足し合わせると100%となる。それぞれのタイプは、全ポリマーの中に、好ましくは少なくとも1%、より好ましくは5%特には少なくとも10%の量で存在する。さらに、これらの式は(a)-(d)の特別な順序を表すものではない。これらの単位において、クロスリンクもアルキル化もポリマー鎖についてランダムに生じるからである。アミンの部分(好ましくは10%より少ない)が場合によりジアルキル化される(図示されていない)。アミンの部分(好ましくは10から90%、特に30から70%)が場合によりプロトン化される。上の式でポリマーは塩化物として表されている。しかし、塩化物の代わりに、臭化物もまた場合により、ポリマー中に存在する。
【0048】
さらに、上の式で、mは繰り返し数として表される。好ましくはmは、上で記載した数平均分子量を満たすように選択される。
【0049】
使用されるポリアリルアミンポリマー(又はポリアリルアミンポリマー塩)は水を含んでいてよい。通常、ポリマーの全重量に基づき、1から15重量%、好ましくは2から12%の水が含まれる。さらに、本発明の方法で使用されるポリアリルアミンポリマー(又はポリアリルアミンポリマー塩)は、密度が1.24g/cm3、好ましくは1.25g/cm3から1.30g/cm3の密度を有する。「密度」なる表現は、ここで、純粋な密度を示し、以下で説明するように測定される。特に、セベラマー塩酸塩又はセベラマー炭酸塩について上で説明した密度が用いられる。
【0050】
本発明の方法のステップ(i)は、ポリアリルアミンのみが用意される。しかし、一つの好ましくは実施態様においては、ポリアリルアミンポリマー同様、1つも又はそれ以上の薬学的に許容される付形剤もまた用意される。これらは好ましくはポリアリルアミンと混合される。これらは当技術分野において熟練者には知られた付形剤であり、例えばヨーロッパ薬局方に記載されている。
【0051】
付形剤の例としては、バインダー、崩壊剤、流れ制御剤、離型剤、流動剤、加湿剤、ゲル形成剤、フィルム被覆及び/又は潤滑剤である。
【0052】
ひとつの好ましい実施態様において、ポリアリルアミンポリマーは、本発明の方法のステップ(i)で、1又はそれ以上のフィラー及び/又はバインダーと混合される。
【0053】
フィラーは、一般的に、タブレット体を形成するための供される物質を意味する、即ちフィラーは、活性成分を「延ばす」ことで適当なタブレット化物を製造する。フィラーはこのように、適当なタブレットサイズを維持するためのものである。
【0054】
好ましくはフィラーの例は、ラクトース、ラクトース誘導体、澱粉、澱粉誘導体、処理澱粉、タルク、リン酸カルシウム、スクロース、マンニトール、イソマルト、キシリトール、ソルビトール及び/又はマルチトールのような糖アルコール、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、マルトデキストリン、硫酸カルシウム、デキストレート、デキストリン、デキストロース、水素化植物油、カオリン、ポリメタクリレート、塩化ナトリウム及び/又は塩化カリウムである。(ミクロ結晶性)セルロース又はその誘導体(例えば、プロソルブ(R)、Rettenmaier&Soehne, ドイツ)が、同様に使用可能である。同様に、上で特定した物質の混合物も使用可能である。例えば、ラクトースモノハイドレート(好ましくは85重量%)及びコーンスターチ(好ましくは重量15%)のスプレードライ混合物が好ましく使用可能である。そのような混合物は、「スターラク(Starlac(R))」なる商品名で市販されている。
【0055】
フィラーとしての糖アルコールは、特にマンニトール、イソマルト及び/又はマルチトールが好ましい。
【0056】
バインダーは、通常、タブレットの強度を高めるために使用される。バインダーは、一般的にまた、圧縮の際のタブレット化される物質の塑性変形に寄与する。例えば、結合が形成される場所での粒子間内表面を形成したり拡張したりすることによる。
【0057】
可能なバインダーは、ポリサッカライド、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、カルボキシメチルセルロース(CMC、特にナトリウム塩及びカルシウム塩)、エチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、アクリル酸ポリマー及びその塩、ポリアクリルアミド、ポリメタクリレート、ビニルピロリドン-ビニルアセテートコポリマー(コポリビドン)、ポリプロピレングリコール又は好ましくはポリエチレングリコールのようなポリアルキレングリコール、ポリエチレングリコールのコブロックポリマー、特にポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールのコブロックポリマー(プルロニクPluronic(R),BASF)及びそれら特定のポリマーの混合物である。ポリマー性バインダーが使用される場合には、好ましくは重量平均分子量は5000から120000ドルトンであり、より好ましくは10000から70000ドルトンである。
【0058】
好ましくはバインダーの例は、ゼラチン、アルギニン酸、カルボマー、デキストリン、エチルセルロース、グアガム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、グルコース、MgAlシリケート、マルトデキストリン、メチルセルロース、ポリメタクリレート、ポビドン及びその誘導体、ゼラチン化処理スターチ、アルギニン酸ナトリウム及び/又はポリビニルアルコール(PVA)である。
【0059】
薬学製剤において、2又はそれ以上の機能を発揮することがあるということは、薬学的付形剤にとって自然である。従って個々の付形剤が例えば、フィラー及びバインダーとして作用することがありうる。
【0060】
ひとつの好ましくは実施態様において、本発明によるステップ(i) において、(a)20から99重量%、より好ましくは30から95重量%、特に40から90重量%のポリアリルアミンポリマー又はその薬学的に許容される塩と、(b)1から80重量%、より好ましくは5から70重量%、特に40から90重量%、特に10から60重量%の薬学的に許容される付形剤を混合する。
【0061】
混合は、通常のミキサーで実施される。または、活性成分及び付形剤の混合は顆粒化工程ステップ(iii)の後でもよい。または、ポリアリルアミンポリマーが付形剤のいくらか(例えば50から95%)を緻密化(ii)の前に行い、残りの付形剤を顆粒化ステップ(iii)の後に加えることも可能である。多数回緻密化の場合においては、付形剤の混合は好ましくは最初の緻密化ステップの前に、2又はそれ以上の緻密化ステップの間に、又は最後の顆粒化ステップの後に行われる。
【0062】
ステップ(i)で使用されるポリアリルアミンポリマーは、体積平均粒子サイズ(d(50))が例えば、70から400μmであり、好ましくは100から300μmである。
【0063】
使用されるポリアリルアミンポリマーはまた、ミクロ化されてもよい。ミクロ化は好ましくは、緻密化の前に、又は付形剤とポリアリルアミンポリマーとの混合の前に行われる。ミクロ化は通常、表面粗さの増加をもたらす。ミクロ化は例えば、ピンミル又はエアーインパクトミルで行われる。ミクロ化はまた、ボールミル中でウェットグラインドにより行われる。ミクロ化ポリアリルアミンポリマーは好ましくは、体積平均粒子サイズ(d(50))が0.5から20μm、好ましくは1から10μmである。体積平均粒子サイズはレーザー回折法(Mastersizer 2000 、Malvern Instruments, 分散モデュール Scirocco 2000 (A)を用いて、空気を分散媒とし、空気圧1.5気圧で行う。計算には、0.1の吸収と、1.52の屈折率を基礎として用いた。)により決定された。平均粒子径は、積算体積分布のD50として参照されるものであり、本発明においては次のように定義される。粒子の50体積%が、D50に対応する直径よりも小さい直径を有するものとして定義されるということである。同様に、粒子の50体積%が、D50値よりも大きい直径を有するということである。同じように、積算体積分布のD90値とは、粒子の90体積%での粒子直径が,D90値に対応する直径よりも小さい直径を有する粒子径として定義される。
【0064】
本発明によるステップ((ii)において、ステップ(i)からのポリアリルアミンポリマー、又は好ましくはステップ(i)からのポリアリルアミンポリマー及び薬学的に許容される付形剤の混合物が、緻密化され本発明によるスラグを与える。ここで好ましくは乾式緻密化である。
【0065】
好ましくは緻密化は溶媒なしで、特に有機溶媒なしで行われる。
【0066】
ステップ(ii)での緻密化条件は好ましくは、スラグが1.18g/cm3から1.50g/cm3、より好ましくは1.19g/cm3から1.40g/cm3、特に1.20から1.30g/cm3である。
【0067】
「密度」なる用語は、ここでは好ましくは、「純粋密度」(即ち、バルク密度やタップ密度ではない)を意味する。純粋密度はガスピクノメータで決定できる。ガスピクノメータは好ましくは、ヘリウムピクノメータ、特にAccuPyc 1340 ヘリウムピクノメータ、Micromeritics, ドイツなる装置を用いて決定する。
【0068】
緻密化は好ましくは、ロール造粒器で実行される。
【0069】
好ましくは、ロール力は2から20kN/cm、より好ましくは3から15kN/cm、特に4から12kN/cmである。
【0070】
ロール造粒器のギャップ幅は、0.8から5mm、好ましくは1から4mm、より好ましくは1.5から3mm、特には1.8から2.8mmである。
【0071】
好ましくは使用される緻密化装置は、冷却装置を有する。特に、冷却は、緻密化が55℃を超えないように実行される。
【0072】
本発明によるステップ(iii)において、スラグが顆粒化される。顆粒化には、従来技術で知られた方法を用いることができる。
【0073】
1つの好ましくは実施態様において、顆粒化条件は、得られる粒子(顆粒)が、体積平均粒子サイズ(D(50))が50から600μm、より好ましくは60から400μm、さらにより好ましくは70から250μm、特には80から150μmであるように選択される。体積平均粒子サイズは、レーザー回折法(Mastersizer 2000 、Malvern Instruments, 分散モデュール Scirocco 2000 (A)を用いて、上で説明された条件)で決定される。さらに、得られる粒子サイズ(顆粒)は通常、粒子径分布d(20)値が、20から80μm、好ましくは30から70μm、特に好ましくは40から60μmである。最後に、得られる粒子(顆粒)は通常、粒子径分布d(90)値が、100から800μm、好ましくは150から600μm、特に好ましくは200から500μmである。
【0074】
ひとつの好ましくは実施態様において、顆粒化はシービングミルで行われる。この場合、シーブインサートのメッシュ幅は、0.1から5mm、好ましくは0.5から3mm、より好ましくは0.75から2mm、特には0.8から1.8mmである。
【0075】
ポリアリルアミンポリマーは、不適当な表面粗さを有することがあり得る。これは、上で説明した緻密化ステップ(ii)が阻害されたことを意味する。従って、表面の性質により、緻密化ステップ(ii)及び顆粒化ステップ(iii)は必要ならば繰り返されてもよい。
【0076】
ひとつの好ましい実施態様において、それゆえに本発明による方法は、多数回緻密化を行うこと、すなわち、ステップ(iii)から得られる顆粒が1又はそれ以上回緻密化(ii)に繰り返される、ことを含む。
【0077】
好ましくはステップ(iii)からの顆粒化は、1から5回、特に2から3回繰り返される。
【0078】
多数回緻密化の場合、ロール力は、25kN/cmまで上げることができる。
【0079】
多数回緻密化の場合、顆粒化(iii)は好ましくは、いわゆるフレビッツシーブ(Frewitt
sieve)と呼ばれる方法で実行する。シーブは、好ましくは50から250μm直径のメッシュを用いる。
【0080】
多数回緻密化において、さらに、上で与えられた付形剤がステップ(i)で部分的加えられ、残りが緻密化工程で加えられることがあり得る。
【0081】
本発明の方法のステップ(iv)では、ステップ(iii)で得られた顆粒が、圧縮されタブレットを与える、即ち、タブレットへの圧縮が起こる。圧縮は従来技術においてタブレット化装置として知られている機械を用いて実行することができる。
【0082】
ステップ(iv)は好ましくは、溶媒なしで、特に有機溶媒なしで、即ち乾式圧縮で行われる。
【0083】
本発明による方法のステップ(iv)において、付形剤がステップ(iii)から顆粒に添加されてもよい。
【0084】
好ましくは付形剤の例は、例えば、粉体流動性を改良するための添加物(例えば分散シリコン酸化物)、タブレット潤滑剤(例えばタルク、ステアリン酸、アジピン酸、ステアリルフマール酸ナトリウム及び/又はステアリン酸マグネシウム)及び崩壊剤(例えばクロスカルメロース、クロスポビドン)である。
【0085】
粉体流動性を改良するための添加物(流動制御剤)の一例は、分散シリコン酸化物であり、商品名アエロジル(R)(Aerosil(R))として知られている。流動性制御剤は通常、個々の粉粒子又は顆粒粒子間の摩擦(接着)、及び圧縮装置の壁表面への接着をも抑制する役割をもつ。
【0086】
粒子流動性改良のための添加物は通常、組成物全体の重量に対して、0.1から3重量%で使用される。
【0087】
さらに、潤滑剤も使用され得る。潤滑剤とは一般的に、すべり摩擦を減少させる役割をする。特に、すべり摩擦は次の場合に抑制されねばならない。つまり、一方でダイボアとダイ壁で上下に移動するパンチ間でのすべり摩擦、及びまた他方で、タブレットのバンドとダイ壁との間のすべり摩擦である。適切な潤滑剤は例えば、ステアリン酸、アジピン酸、ステアリルフマール酸ナトリウム及び/又はステアリン酸マグネシウムである。
【0088】
潤滑剤は通常、組成物全重量に対して0.1から3重量%で使用される。
【0089】
崩壊剤は一般的に、水に導入した後、投与形特にタブレットの崩壊を促進する物質を意味するものとして用いられる用語である。適切な崩壊剤は例えば、カラギーナン、クロスカルメロース及びクロスポビドンのような有機崩壊剤である。
崩壊剤は通常、組成物の全重量の対して、0.1から10重量%、好ましくは1から5重量%で使用される。
【0090】
ステップ(iv)で添加される付形剤の量は通常、製造されるタブレットのタイプ及び既にステップ(i)又は(ii)で添加された付形剤の量に依存する。
【0091】
活性成分と付形剤の比は好ましくは、得られるタブレットが、(a)65から99重量%、より好ましくは75から95重量%、特に80から93重量%のポリアリルアミンポリマー又はその薬学的に許容される塩と、(b)1から35重量%、より好ましくは5から25重量%、特には7から20重量%の薬学的に許容される付形剤を含むように選択される。
【0092】
これらの定量的なデータは、本発明による方法が噛まない形で飲み込まれるタブレットを製造するために使用される場合特に好ましい。
【0093】
本発明の方法により製造されるタブレットはそれゆえに、噛まずに飲み込まれる(フィルムなし、又は好ましくはフィルムで被覆され)タブレットであり得る。同じくこれらは、噛むことができるタブレット又は分散可能なタブレットであり得る。ここで「分散可能なタブレット」とは、投与のために水分散液を作ることができるタブレットであるとして理解される。
【0094】
ひとつの変形実施態様において、噛むことのできるタブレットは従って、本発明の方法により製造される。この場合、活性成分と付形剤との比は、好ましくは得られる噛むことのできるタブレットが、(a)35から80重量%、より好ましくは45から70重量%、特には55から65重量%のポリアリルアミンポリマー又はその薬学的に許容される塩と、(b)20から65重量%、より好ましくは30から55重量%、特には35から45重量%の薬学的に許容される付形剤とを含むように選択されている。
【0095】
さらなる他の実施態様においては、分散タブレットは本発明の方法により製造される。この場合、活性成分と付形剤との比は、好ましくは得られる噛むことのできるタブレットが、(a)35から60重量%、より好ましくは40から55重量%、特には42から51重量%のポリアリルアミンポリマー又はその薬学的に許容される塩と、(b)40から65重量%、より好ましくは45から60重量%、特には49から58重量%の薬学的に許容される付形剤とを含むように選択されている。
【0096】
本発明による顆粒が、投与において分散液を作るために好ましくは使用される場合、活性成分と付形剤との比は、好ましくは得られる顆粒が、(a)25から90重量%、より好ましくは40から80重量%、特には52から74重量%のポリアリルアミンポリマー又はその薬学的に許容される塩と、(b)10から75重量%、より好ましくは25から60重量%、特には26から48重量%の薬学的に許容される付形剤とを含むように選択されている。
【0097】
本発明による製造方法は特に、大量のポリアリルアミンポリマー又はその薬学的に許容される塩を含むタブレットの製造に適している。
【0098】
ひとつの好ましい実施態様において、本発明のタブレットは、600mg以上、特に好ましくは800から1200mg、特には800から1000mgのポリアリルアミンポリマー又はその薬学的に許容される塩を含む。この定量的データは、本発明による方法が、噛まないで飲み込まれるタブレットを製造するために使用される場合特に好ましい。
【0099】
噛まないで飲み込まれるタブレットの場合、薄いフィルムで被覆することが好ましい。ここで、フィルムでタブレットを被覆する方法は従来技術において慣用されており、それを使用することができる。活性成分と他成分との比は、上で特定されているが、これは被覆されていないタブレットに基づく。
【0100】
フィルム被覆のために、好ましくは、高分子物質を使用することであり、例えば変性セルロース、ポリメタクリレート、ポリメチルピロリドン、ポリビニルアセテートフタレート、ゼイン及び/又はシェラックである。
【0101】
これに関して、活性成分の放出に影響しないフィルム、腸溶性フィルム及び徐放性フィルムが原理的に可能である。活性成分の放出に影響しないフィルムは通常水溶性(好ましくは、250mg/mlより大きい水への溶解度を持つ)である。腸溶性フィルムはpH依存性溶解度を持つ。徐放性フィルムは通常水溶性ではない(好ましくは10mg/lより小さい水への溶解度を持つ)。
【0102】
活性成分の放出に影響しないフィルム形成の好ましい例は、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ビニルピロリドン(PVP)及びその混合物である。特定のポリマーが通常、重量平均分子量として、10000から150000g/molである。特に好ましくはHPMC(又はヒプロメロースと参照される)、特には分子量10000から150000g/molのHPMC及び/又はーOCH3基の平均置換度が1.2から2.0であるのHPMCである。
【0103】
被覆の層厚さは好ましくは、10から100μm、より好ましくは15から50μm、さらに好ましくは30から60μmである。
【0104】
本発明の方法によるタブレット化条件は又好ましくは、得られるタブレットが、タブレット高さとタブレット重さの比が、0.005から0.3mm/mg、特に好ましくは0.005から0.012mm/mgである。
【0105】
さらに、本発明によるタブレットは好ましくは、100から300N、特に好ましくは120から200N、特には140から180Nの破壊強さを持つ。
【0106】
さらに、本発明によるタブレットは好ましくは、砕け易さが、2%より小さい、特に好ましくは1%よりも小さい、特には0.5%よりも小さいものである。砕け易さは、Ph.Eur.6.0, section 2.9.7により決定される。
【0107】
最後に本発明によるタブレットは好ましくは、崩壊時間として、15分より短い、特に好ましくは10分より短い、特には8分より短い例えば5から7.5分である。崩壊時間は、Ph.Eur. 6.0, section 2.9.1により決定される。
【0108】
本発明は、本発明による方法のみならず、この方法で製造されるタブレットをも提供する。本発明方法により製造されたタブレットは好ましくは、一峰性又は二峰性のポアサイズ分布を有する。従って、本発明は、次のタブレットを提供する。すなわち、ポリアリルアミンポリマー、特にセベラマー若しくはコレセベラム又はそれらの薬学的に許容される塩、場合により薬学的に許容される付形剤を含み、一峰性又は二峰性のポアサイズ分布を有するタブレットである。「二峰性のポアサイズ分布」とは、ポアサイズ分布が2つの極大値を有することを意味する。
【0109】
本発明のタブレットは、ステップ(iii)からの顆粒が圧縮されることで得られる。この緻密化体は固体及びポアからなる。ポア構造は、ポアサイズ分布を調べることでより詳細に特徴づけできる。
【0110】
ポアサイズ分布は、水銀ポロシメトリーにより決定された。水銀ポロシメトリーは、Micromeritics, Norcross, USAのポロシメーター「Poresizer」を使って行った。ポアサイズはここでは、水銀の表面張力が485mM/mとの仮定で計算した。蓄積ポア容積から、ポアサイズ分布が、総分布又はポア区分分布の比を%で計算された。平均ポア直径(4V/A)は、特定の水銀侵入容積全て(Vtotint)及び次の式による総ポア面積(Atotpor)から決定された。
【0111】
【数1】

ひとつの好ましいは実施態様において、本発明のスラグ(本発明のステップ(ii)で得られる)は、5から50μm、好ましくは10から30μm、特には11から25μmの最大値のポアサイズ分布を持つ。
ひとつの好ましい実施態様は、本発明の顆粒(本発明の方法のステップ(iii)により得られる)は、10から100μm、好ましくは20から80μm、特には30から60μmの最大値のポアサイズ分布を持つ。
【0112】
ひとつの好ましい実施態様は、本発明のタブレット(本発明の方法のステップ(iv)により得られる)は、1から10μm、好ましくは2から8μm、特には3から6μmの最大値のポアサイズ分布を持つ。
【0113】
本発明による方法においてそれゆえに、上で記載された製造方法パラメータは好ましくは、説明されたポアサイズが達成されるように選択される。
【0114】
最後に、本発明は、高リン酸血症又は高脂血症を治療するため及び又血糖管理を改良するために、本発明によるタブレット又は顆粒を提供する。
【0115】
本発明は以下、例を参考にして説明される。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0116】
(実施例1.1から1.3:噛まないで飲み込まれるタブレット)
次のタブレットが本発明の方法により製造された。
【0117】
【表1】

実施例1.1の方法は以下記載のように行われた。
【0118】
密度1.26g/cm3のセベラマー塩酸塩とラクトースの混合物が、Lodige MTG30 高速ミキサーを用いて、6.4kgのセベラマー塩酸塩と1.6kgのラクトースをミキサーに入れて10分間激しく攪拌することで調製された。この混合物は、次に製剤用に適した2mmのギャップ幅を持つロールコンパクターでスラグ化され、メッシュ幅1.0mmの破壊シーブで砕かれた。得られた破壊緻密化体(顆粒)は高度に分散されたシリコン酸化物と混合部され、シーブ後にクロスカルメロースと混合され、そして最後にステアリン酸マグネシウムと混合された。次に、ハイパーホーマンスロータリータブレット化プレスを用いて圧縮化して、前もって与えられたサイズ(組成1.1:20.0x9.4mm、高さ7.2mmの楕円形)とし、薬剤のため慣用される工程内制御が実施された。
【0119】
この塊は固着もキャッピングすることもなく、容易にタブレット化されることが分かり、工程内制御の結果は慣用の範囲であった。即ち硬度はほとんど121から145ニュートンであり、崩壊時間は9から10分であった。
【0120】
実施例1.2及び1.3は同じように行った。
【0121】
同様に、水含有量約4重量%又は9重量%を有するセベラマー塩酸塩が使用される場合、120Nより高い硬度と10分より短い崩壊時間を有するタブレットを達成することが可能である。
【0122】
(実施例2.1から2.3:噛まないで飲み込まれるタブレット)
次のタブレットが本発明の方法により製造された。
【0123】
【表2】

セベラマー炭酸塩(セベラマー塩酸塩を本質的に含まない)とコポリビドンの混合物を高速ミキサーを用いて製造した。その後、自由落下ミキサー内で、高度に分散させたシリコン酸化物(1)とステアリン酸(1)をシーブ後混合し、混合物を薬剤目的に適したロールコンパクターで圧縮した。1.5mmの破壊シーブの上を通した後、破壊された圧縮体は高度に分散されたシリコン酸化物(2)と、シーブ後クロスポビドンと混合し、最後にステアリン酸(2)と混合した。次に、ハイパーホーマンスロータリータブレット化プレスを用いて圧縮化して、前もって与えられたサイズ(組成2.1:22.0x9.4mm、高さ5.8mmの楕円形)とし、薬剤のため慣用される工程内制御が実施された。
【0124】
この塊は固着もキャッピングすることもなく、容易にタブレット化されることが分かり、工程内制御の結果は望ましい範囲であった。それにより実施例2.1での組成については、硬度100から123ニュートン、崩壊時間は4から7分が確立された。
【0125】
さらに、実施例2でのタブレットは3週間保存された。貯蔵後タブレットは崩壊時間が15分よりも短かった。
【0126】
実施例1及び2によるタブレットは、場合により、慣用の水性又は水-アルコール性フィルムで被覆されてもよい。
【0127】
この目的で、ヒプロメロースが、水で調製され、ついでタルク、ポリエチレングリコール及び二酸化チタンとの混合分散溶液とし、これを、穴あきドラムコーターで被覆した。
被覆前のコアの水分:2.7%
被覆後のフィルムタブレットの水分:2.8%
フィルム被覆質量:タブレットあたり28mg
実施例1によるフィルムタブレットの硬度:135から170N
実施例1によるフィルムタブレットの崩壊時間:17から23分
フィルム被覆タブレットはどれもフレーク化は示さなかった。
【0128】
(実施例3.1から3.4:噛まないで飲み込まれるタブレット)
次のタブレットが本発明の方法により製造された。
【0129】
【表3】

このタブレットは本質的に実施例1及び2に記載のように製造された。実施例3.1ではしかし、セベラマーだけが高度に分散されたシリコン酸化物と圧縮された。一方実施例3.2から3.4ではセベラマーは高度に分散されたシリコン酸化物とバインダー(Kollidonコリドン(R)、Starlacスターラック(R)又はイソマルト)と圧縮された。
【0130】
平均破壊強さ、砕け易さ及び崩壊性について次の値が得られた。
【0131】
【表4】

(実施例4.1から4.3:分散可能なタブレット)
次の分散可能なタブレットが本発明の方法により製造された。
【0132】
【表5】

セベラマー炭酸塩とミクロ結晶性セルロース(1)の混合物を高速ミキサーを用いて製造した。その後、自由落下ミキサー内で、高度に分散させたシリコン酸化物(1)とステアリルフマール酸ナトリウム(1)をシーブ後混合し、混合物を薬剤目的に適したロールコンパクターで圧縮した。1.25mmの破壊シーブの上を通した後、破壊された圧縮体は高度に分散されたシリコン酸化物(2)と、シーブ後クロスカルメロースと混合し、最後にステアリルフタール酸ナトリウム(2)と混合した。次に、ハイパーホーマンスロータリータブレット化プレスを用いて圧縮化して、前もって与えられたサイズ(組成4.1:直径18mm、高さ5.5mm、2平面円形)とした。
【0133】
この塊は固着もキャッピングすることもなく、容易にタブレット化されることが分かり、工程内制御の結果は望ましい範囲であった。それにより実施例4.3での組成については、硬度90から145ニュートン、崩壊時間は、200mlの水に、室温で、3から5分が確立された。
【0134】
(実施例5.1及び4.2:噛めるタブレット)
次の噛めるタブレットが本発明の方法により製造された。
【0135】
【表6】

セベラマー塩酸塩とマンニトール(1)混合物を高速ミキサーで調製された。その後、自由落下ミキサー内で、高度に分散させたシリコン酸化物(1)とシーブ後アジピン酸(1)を混合し、混合物を薬剤目的に適したロールコンパクターで圧縮した。1.00mmの破壊シーブの上を通した後、破壊された圧縮体は高度に分散されたシリコン酸化物(2)と、シーブ後ゲル化処理されたセルロース、マンニトール(2)、サッカリンナトリウム、アスパルテーム及び香料と混合し、最後にアジピン酸(2)と混合した。次に、ハイパーホーマンスロータリータブレット化プレスを用いて圧縮化して、前もって与えられたサイズ(組成5.1:直径20mm、高さ5.4mm、2平面円形)とした。
【0136】
この塊は容易にタブレット化されることが分かり、工程内制御の結果は望ましい範囲であった。それにより実施例5.1での組成については例えば、硬度70から-105ニュートンであり、これは容易に噛めるものであり、摩滅は0.37%であった。
【0137】
(実施例6.1及び6.2:サシェに投入のための顆粒)
次の顆粒が本発明の方法により製造された。
【0138】
【表7】

セベラマー塩酸塩と、マンニトール(1)とゲル化処理された澱粉との混合物を高速ミキサーで調製された。その後、自由落下ミキサー内で、高度に分散させたシリコン酸化物(1)とシーブ後ポリエチレングリコール6000(粉末化)を混合し、混合物を薬剤目的に適したロールコンパクターで圧縮した。0.8mmの破壊シーブの上を通した後、破壊された圧縮体はマンニトール(2)と、高度に分散させたシリコン酸化物(1)と、サッカリンナトリウムと、アスパルテーム及び香料と混合し、サシェに投入した。
【0139】
この塊は容易にサシェ投入されることが分かり、実施例6.1での組成について充填質量の相対標準偏差は、srel=4.2から4.6%であった。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリアリルアミンポリマーを含むタブレットの製造方法であり、(i)ポリアリルアミンポリマー又はその薬学的に許容される塩を、場合により1又はそれ以上の医薬的付形剤との混合物の形で用意し、(ii)緻密化してスラグとし、(iii)前記スラグを顆粒化し、及び(iv)前記得られた顆粒を圧縮してタブレットする工程を含む方法。
【請求項2】
前記ステップ(ii)で前記緻密化条件が、前記スラグが密度1.18から1.50g/cm3、好ましくは1.20から1.30g/cm3となるように選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記緻密化がロール造粒器で実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ロール造粒器のギャップ幅が1から3mmである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ロール力が2から20kN/cm、好ましくは3から15kN/cmである、請求項3又は4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記ステップ(iii)の顆粒化条件が、得られる粒子が、重量平均粒子サイズが50μmから500μmである、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記顆粒化が、0.75mmから2mmのシーブインサートのメッシュ幅を持つメッシュを用いてシーブミルで行われる、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
ステップ(i)で、(a)65から99重量%のポリアリルアミンポリマー又はそれと薬学的に許容される塩と、(b)1から30重量%の薬学的に許容される付形剤が混合される、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
ステップ(iv)が、製造されるタブレットが、少なくとも800mgのポリアリルアミンポリマー又はそれと薬学的に許容される塩を含むように選択される、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記タブレットが、さらにステップ(v)においてフィルムで被覆される、請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記ポリアリルアミンポリマーが、セベラマー又はその薬学的に許容される塩である、請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記ポリアリルアミンポリマーが、塩酸セベラマー及び/又は炭酸セベラマーである、請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
ステップ(iii)からの前記顆粒が前記緻密化(ii)に1又はそれ以上回戻され、多重緻密化が起こる、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
ポリアリルアミンポリマー又はそれと薬学的に許容される塩を含み、請求項1〜13の少なくとも1項に記載の方法で得られる、タブレット。
【請求項15】
ポリアリルアミンポリマーを含み、前記タブレットが、二峰性ポアサイズ分布を有する、タブレット。
【請求項16】
噛まない形状、噛める形状又は分散可能なタブレットである、請求項14又は15のいずれかに記載のタブレット。
【請求項17】
(i)ポリアリルアミンポリマー又はそれと薬学的に許容される塩を、場合により薬学的に許容される付形剤との混合物の形で含むスラグを用意し、(ii)緻密化してスラグとするステップを含む法本発明により得られる、ポリアリルアミンポリマーを含むスラグ。
【請求項18】
特にサシェに充填するための顆粒であり、ポリアリルアミンポリマーを含み、(i)ポリアリルアミンポリマー及びそれと薬学的に許容される塩を、場合により1又はそれ以上の薬学的に許容される付形剤との混合物の形で用意し、(ii)緻密化してスラグとし、及び前記スラグを顆粒化するのステップを含む方法で得られる、顆粒。
【請求項19】
密度が1.24g/cm3よりも大きいポリアリルアミンポリマー、好ましくは、密度が1.25から1.30g/cm3であるポリアリルアミンポリマーを用いる、請求項1〜13の少なくとも1項に記載の方法。


【公表番号】特表2011−525501(P2011−525501A)
【公表日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−515137(P2011−515137)
【出願日】平成21年3月20日(2009.3.20)
【国際出願番号】PCT/EP2009/002071
【国際公開番号】WO2009/156014
【国際公開日】平成21年12月30日(2009.12.30)
【出願人】(509292939)ラシオファルム ゲーエムベーハー (2)
【Fターム(参考)】