縁切装置
【課題】壁面を平面状に縁切作業する効率が良好な縁切装置を提供する。
【解決手段】破砕面52が略同一面に位置する状態で複数のチゼル50が軸心方向と直交する方向に直線状に支持機構で支持され、このように支持された複数のチゼル50に軸心方向に衝撃が作用されて縁切作業が実行される。このため、略同一面に位置する複数のチゼル50の破砕面52で壁面に縁切作業が実行されるので、壁面が複数のチゼル50の破砕面52により平面状に縁切作業されることになる。
【解決手段】破砕面52が略同一面に位置する状態で複数のチゼル50が軸心方向と直交する方向に直線状に支持機構で支持され、このように支持された複数のチゼル50に軸心方向に衝撃が作用されて縁切作業が実行される。このため、略同一面に位置する複数のチゼル50の破砕面52で壁面に縁切作業が実行されるので、壁面が複数のチゼル50の破砕面52により平面状に縁切作業されることになる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネルの内壁面に縁切作業を行う縁切装置に関し、特に、トンネルなどの壁面に刃先部を当接させたチゼルに軸心方向に衝撃を作用させて縁切作業を実行する縁切装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、トンネル等の坑内空間の施工において、発破または掘削機械によって掘削した後の内壁面を所定の形状に仕上げる縁切作業を行う場合がある。縁切作業を行う装置としては、図5に示すように、油圧ブレーカ機構を作業台車のブーム先端に搭載した装置が提案されている。
【0003】
この従来の装置は、作業台車のブームの先端に、作業台車の幅方向の水平軸周りの回動機構、それとは直交する(進行方向の)水平軸周りの旋回機構、ブレーカ機構のチゼル軸に沿う送り機構を介して油圧ブレーカ機構が装着されている。
【0004】
これらの駆動手段によって、油圧ブレーカ機構はトンネルの内壁の掘削面に対して、チゼルを法線方向に突き立てるよう位置決めをし、ブレーカ機構を作動することでチゼルを掘削面に貫入させ破砕する。
【0005】
ブレーカ機構に装着されるチゼルは、図6に示すように、ブレーカ機構本体内に摺嵌されるシャンク部、先端刃先部、およびその中間のロッド部からなり、上記のような掘削機械では先端刃先部の形状が岩盤への貫入に適したモイルポイント(図6(a))やウエッジポイント(図6(b))が用いられる(特許文献1,2参照)。
【特許文献1】実開昭62−99698号公報
【特許文献2】登録実用新案公報第3001131号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来の装置では、チゼルを掘削面に対して法線方向に位置決めして掘削するので貫入深さがばらつき易く施工面に凹凸が残る。施工面に凹凸が残ると、その次工程のコンクリート吹付けにおいて大量のコンクリートが必要になるので問題である。この仕上げ面の粗形状化は、破砕(貫入)箇所を緻密に、かつ繊細に作業を行うことで克服することが可能であるが、それによって作業効率は低下する。
【0007】
そこで、従来の装置を切羽に対向するよう水平に(あるいは若干のさし角を以って)保持して掘削面を破砕する場合は、チゼルが貫入する際に生じる岩盤の亀裂(破断線)は、その進行方向を制御することができないため、施工面を所定の仕上面と一致させるのは困難である。したがって、水平方向の破砕は前述の法線方向の破砕と同様、あるいはそれ以上に破砕箇所を緻密に、かつ繊細に作業を行う必要があり作業効率は低い。
【0008】
しかも、従来の縁切装置では、チゼルにより壁面を点状に掘削する。このため、広範囲の壁面を平面状に縁切作業するような場合、チゼルによる点状の掘削を繰り返して壁面を平面状に形成することになり、その作業が煩雑で効率が低い。
【0009】
なお、図6(b)に示すようなウエッジポイントのチゼルを使用すると、チゼルが貫入する際に生じる岩盤の亀裂の方向を比較的制御し易いが、刃先形状が直線状で薄いため刃先の磨耗が激しく初期の性能を維持することは困難である。したがって、チゼルを頻繁に交換する必要があるのでランニングコストが嵩むという問題がある。
【0010】
本発明は上述のような課題に鑑みてなされたものであり、壁面を平面状に縁切作業する効率が良好な縁切装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の縁切装置は、トンネルなどの壁面に刃先部を当接させたチゼルに軸心方向に衝撃を作用させて縁切作業を実行する縁切装置であって、刃先部に少なくとも一つの破砕面が平面状に形成されている複数のチゼルと、破砕面が略同一面に位置する状態で複数のチゼルを軸心方向と直交する方向に直線状に支持する支持機構と、を有する。
【0012】
本発明の縁切装置では、破砕面が略同一面に位置する状態で複数のチゼルが軸心方向と直交する方向に直線状に支持機構で支持され、このように支持された複数のチゼルに軸心方向に衝撃が作用されて縁切作業が実行される。このため、略同一面に位置する複数のチゼルの破砕面で壁面に縁切作業が実行される。
【0013】
また、上述のような縁切装置において、チゼルは、三角錐状の刃先部に三つの破砕面が形成されており、支持機構は、三つの破砕面の一つが略同一面に位置する状態で複数のチゼルを支持してもよい。
【0014】
また、上述のような縁切装置において、直線状に支持された複数のチゼルの各々に個々に衝撃を作用させる複数のブレーカ機構を、さらに有してもよい。
【0015】
また、上述のような縁切装置において、チゼルは、刃先部と、刃先部が先端に着脱自在に装着されるロッド部と、を有してもよい。
【0016】
なお、本発明の各種の構成要素は、必ずしも個々に独立した存在である必要はなく、複数の構成要素が一個の部材として形成されていること、一つの構成要素が複数の部材で形成されていること、ある構成要素が他の構成要素の一部であること、ある構成要素の一部と他の構成要素の一部とが重複していること、等でもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明の縁切装置では、破砕面が略同一面に位置する状態で複数のチゼルが軸心方向と直交する方向に直線状に支持機構で支持され、このように支持された複数のチゼルに軸心方向に衝撃が作用されて縁切作業が実行される。このため、略同一面に位置する複数のチゼルの破砕面で壁面に縁切作業が実行されるので、壁面が複数のチゼルの破砕面により平面状に縁切作業されることになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の実施の一形態を図1ないし図4を参照して以下に説明する。ただし、本実施の形態に関して前述した一従来例と同一の部分は、同一の名称を使用して詳細な説明は省略する。
【0019】
本実施の形態の縁切装置10は、トンネルなどの壁面に刃先部51を当接させたチゼル50に軸心方向に衝撃を作用させて縁切作業を実行する。この縁切装置10は、図1ないし図4に示すように、刃先部51に少なくとも一つの破砕面52が平面状に形成されている複数のチゼル50と、詳細には後述するが、破砕面52が略同一面に位置する状態で複数のチゼル50を軸心方向と直交する方向に直線状に支持する支持機構と、直線状に支持された複数のチゼル50の各々に個々に衝撃を作用させる複数のブレーカ機構40と、を有する。
【0020】
チゼル50は、図1に示すように、三角錐状の刃先部51に三つの破砕面52が形成されており、支持機構は、三つの破砕面52の一つが略同一面に位置する状態で複数のチゼル50を支持する。
【0021】
なお、本実施の形態のチゼル50は、図2および図3に示すように、刃先部51と、刃先部51が先端に着脱自在に装着されるロッド部53と、を有する。
【0022】
より具体的には、縁切装置10は、ガイドシェル8に案内され送り機構9によって前後進するキャリッジ20と、キャリッジ20上にブラケット30を介して幅方向(進行方向に対し直行方向)に3連装する形でブレーカ機構40が搭載されている。ブレーカ機構40は公知の打撃機構を備えており、内蔵する打撃ピストン(図示略)を高速で前後進させて後述するチゼル50に衝撃エネルギーを伝達する。
【0023】
各ブレーカ機構40には、それぞれチゼル50が装着されている。チゼル50は、刃先部51とロッド部53とからなり、刃先部51はロッド部53に着脱可能となっている。ロッド部53の後端(基端)部には図示しないシャンク部が設けられており、このシャンク部がブレーカ機構40の先端部内に摺嵌されている。
【0024】
刃先部51は、三角錐形状に形成されており、3つの斜面が破砕面52となっている。刃先部51を切羽(被破砕面)側から見ると、( ▽ ▽ ▽ )のように、隣り合う破砕面52の延長線がそれぞれ略直線状に連続するように配設されている。
【0025】
ガイドシェル8の先端にはロッド部53を前後進自在に案内保持するセントライザ60が設けられている。セントライザ60は、ブラケット61、ブッシュ62およびブッシュリテーナ63からなり、ブッシュ62およびブッシュリテーナ63はロッド部53に対応して3連に設けられている。
【0026】
つまり、上述のブレーカ機構40やブラケット30等により、破砕面52が略同一面に位置する状態で複数のチゼル50を軸心方向と直交する方向に直線状に支持する支持機構が形成されている。
【0027】
上述のような縁切装置10は、図4に示すように、例えば、壁面掘削装置であるスケーリングジャンボ1に搭載される。このスケーリングジャンボ1は、ホイール3の駆動力により走行自在な台車2に、ブーム6を起伏・旋回可能に設け、ブーム6の先端にはガイドマウンチング7を介してガイドシェル8を搭載している。
【0028】
ガイドマウンチング7はガイドシェル8を前後進・チルト・旋回可能に支持している。台車2には、オペレータが乗り込んで操作するオペレータキャビン4と掘削したズリ等を排除するための排土板5が設けられている。ガイドシェル8には送り機構9により縁切装置10が前後進自在に設けられている。
【0029】
上述のような構成において、本実施の形態の縁切装置10では、破砕面52が略同一面に位置する状態で複数のチゼル50が軸心方向と直交する方向に直線状に支持機構で支持され、このように支持された複数のチゼル50に軸心方向に衝撃が作用されて縁切作業が実行される。
【0030】
このため、略同一面に位置する複数のチゼル50の破砕面52で壁面に縁切作業が実行されるので、壁面が複数のチゼル50の破砕面52により平面状に縁切作業されることになる。
【0031】
より具体的に縁切装置10を用いて縁切作業を行う場合を以下に説明する。まず、台車2、ブーム6、ガイドマウンチング7を駆動し、チゼル50を予め芯抜き孔が形成された切羽に向けて所定の位置・姿勢に位置決めする。
【0032】
次に、送り機構9でキャリッジ20を前進させチゼル50の刃先部51を切羽に押し付ける。そして、引き続き送り機構9で前方への推力をかけながらブレーカ機構40を駆動してチゼル50の刃先部51を切羽へと貫入させる。
【0033】
刃先部51が切羽に貫入すると、破砕面52の頂角から亀裂が進行し、そのうち連続面にそって延びる隣接する亀裂が結合して一つの連続した破断線を形成し、この連続した破断線が縁切り面となる。
【0034】
このとき、縁切装置10の貫入抵抗は3つのチゼル50に分散し、かつ、連続線を形成する破砕面52の対角にあたる角錐の頂点から芯抜き穴側にも亀裂が進行するので貫入抵抗は小さく、さらには、刃先はウエッジポイントに比べ強度があるので刃先の磨耗は少ない。したがって、縁切り面を所定の仕上げ面に一致させるのが容易で、かつ刃先の磨耗が少ないのでランニングコストを抑えることが可能である。
【0035】
この縁切作業を繰り返し行うと、刃先部51の磨耗はわずかながらでも進行して三角錘形状が崩れて破砕面52が保てなくなる。破砕面52が無くなると刃先部51を切羽に貫入させても良好な縁切り面を形成させることが困難になるので、刃先部51を交換する必要が出てくる。
【0036】
しかし、本発明の縁切装置10では、チゼル50を刃先部51とロッド部53とで構成し、刃先部51をロッド部53から着脱自在に設けているので、刃先部51が磨耗したら刃先部51だけを交換することができるのでランニングコストを抑えることができる。
【0037】
なお、本発明は本実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で各種の変形を許容する。例えば、上記形態ではチゼル50およびブレーカ機構40が三連に形成されていることを例示した。しかし、当然ながら、チゼル50およびブレーカ機構40が二連や四連以上に形成されていてもよい。
【0038】
さらに、上記形態では三連のチゼル50を三連のブレーカ機構40で個々に駆動することを例示した。しかし、複数のチゼル50を一個のブレーカ機構で駆動することも不可能ではない。
【0039】
なお、当然ながら、上述した実施の形態および複数の変形例は、その内容が相反しない範囲で組み合わせることができる。また、上述した実施の形態および変形例では、各部の構造などを具体的に説明したが、その構造などは本願発明を満足する範囲で各種に変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の実施の形態の縁切装置を示す正面図である。
【図2】縁切装置を示す側面図である。
【図3】縁切装置を示す平面図である。
【図4】縁切装置を装備した壁面掘削装置であるスケーリングジャンボを示す側面図である。
【図5】従来の壁面掘削装置であるスケーリングジャンボの作動状態を示す模式図である。
【図6】従来のチゼルを示す平面図である。
【符号の説明】
【0041】
1 スケーリングジャンボ
2 台車
3 ホイール
4 オペレータキャビン
5 排土板
6 ブーム
7 ガイドマウンチング
8 ガイドシェル
9 送り機構
10 縁切装置
20 キャリッジ
30 ブラケット
40 ブレーカ機構
50 チゼル
51 刃先部
52 破砕面
53 ロッド部
60 セントライザ
61 ブラケット
62 ブッシュ
63 ブッシュリテーナ
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネルの内壁面に縁切作業を行う縁切装置に関し、特に、トンネルなどの壁面に刃先部を当接させたチゼルに軸心方向に衝撃を作用させて縁切作業を実行する縁切装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、トンネル等の坑内空間の施工において、発破または掘削機械によって掘削した後の内壁面を所定の形状に仕上げる縁切作業を行う場合がある。縁切作業を行う装置としては、図5に示すように、油圧ブレーカ機構を作業台車のブーム先端に搭載した装置が提案されている。
【0003】
この従来の装置は、作業台車のブームの先端に、作業台車の幅方向の水平軸周りの回動機構、それとは直交する(進行方向の)水平軸周りの旋回機構、ブレーカ機構のチゼル軸に沿う送り機構を介して油圧ブレーカ機構が装着されている。
【0004】
これらの駆動手段によって、油圧ブレーカ機構はトンネルの内壁の掘削面に対して、チゼルを法線方向に突き立てるよう位置決めをし、ブレーカ機構を作動することでチゼルを掘削面に貫入させ破砕する。
【0005】
ブレーカ機構に装着されるチゼルは、図6に示すように、ブレーカ機構本体内に摺嵌されるシャンク部、先端刃先部、およびその中間のロッド部からなり、上記のような掘削機械では先端刃先部の形状が岩盤への貫入に適したモイルポイント(図6(a))やウエッジポイント(図6(b))が用いられる(特許文献1,2参照)。
【特許文献1】実開昭62−99698号公報
【特許文献2】登録実用新案公報第3001131号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来の装置では、チゼルを掘削面に対して法線方向に位置決めして掘削するので貫入深さがばらつき易く施工面に凹凸が残る。施工面に凹凸が残ると、その次工程のコンクリート吹付けにおいて大量のコンクリートが必要になるので問題である。この仕上げ面の粗形状化は、破砕(貫入)箇所を緻密に、かつ繊細に作業を行うことで克服することが可能であるが、それによって作業効率は低下する。
【0007】
そこで、従来の装置を切羽に対向するよう水平に(あるいは若干のさし角を以って)保持して掘削面を破砕する場合は、チゼルが貫入する際に生じる岩盤の亀裂(破断線)は、その進行方向を制御することができないため、施工面を所定の仕上面と一致させるのは困難である。したがって、水平方向の破砕は前述の法線方向の破砕と同様、あるいはそれ以上に破砕箇所を緻密に、かつ繊細に作業を行う必要があり作業効率は低い。
【0008】
しかも、従来の縁切装置では、チゼルにより壁面を点状に掘削する。このため、広範囲の壁面を平面状に縁切作業するような場合、チゼルによる点状の掘削を繰り返して壁面を平面状に形成することになり、その作業が煩雑で効率が低い。
【0009】
なお、図6(b)に示すようなウエッジポイントのチゼルを使用すると、チゼルが貫入する際に生じる岩盤の亀裂の方向を比較的制御し易いが、刃先形状が直線状で薄いため刃先の磨耗が激しく初期の性能を維持することは困難である。したがって、チゼルを頻繁に交換する必要があるのでランニングコストが嵩むという問題がある。
【0010】
本発明は上述のような課題に鑑みてなされたものであり、壁面を平面状に縁切作業する効率が良好な縁切装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の縁切装置は、トンネルなどの壁面に刃先部を当接させたチゼルに軸心方向に衝撃を作用させて縁切作業を実行する縁切装置であって、刃先部に少なくとも一つの破砕面が平面状に形成されている複数のチゼルと、破砕面が略同一面に位置する状態で複数のチゼルを軸心方向と直交する方向に直線状に支持する支持機構と、を有する。
【0012】
本発明の縁切装置では、破砕面が略同一面に位置する状態で複数のチゼルが軸心方向と直交する方向に直線状に支持機構で支持され、このように支持された複数のチゼルに軸心方向に衝撃が作用されて縁切作業が実行される。このため、略同一面に位置する複数のチゼルの破砕面で壁面に縁切作業が実行される。
【0013】
また、上述のような縁切装置において、チゼルは、三角錐状の刃先部に三つの破砕面が形成されており、支持機構は、三つの破砕面の一つが略同一面に位置する状態で複数のチゼルを支持してもよい。
【0014】
また、上述のような縁切装置において、直線状に支持された複数のチゼルの各々に個々に衝撃を作用させる複数のブレーカ機構を、さらに有してもよい。
【0015】
また、上述のような縁切装置において、チゼルは、刃先部と、刃先部が先端に着脱自在に装着されるロッド部と、を有してもよい。
【0016】
なお、本発明の各種の構成要素は、必ずしも個々に独立した存在である必要はなく、複数の構成要素が一個の部材として形成されていること、一つの構成要素が複数の部材で形成されていること、ある構成要素が他の構成要素の一部であること、ある構成要素の一部と他の構成要素の一部とが重複していること、等でもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明の縁切装置では、破砕面が略同一面に位置する状態で複数のチゼルが軸心方向と直交する方向に直線状に支持機構で支持され、このように支持された複数のチゼルに軸心方向に衝撃が作用されて縁切作業が実行される。このため、略同一面に位置する複数のチゼルの破砕面で壁面に縁切作業が実行されるので、壁面が複数のチゼルの破砕面により平面状に縁切作業されることになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の実施の一形態を図1ないし図4を参照して以下に説明する。ただし、本実施の形態に関して前述した一従来例と同一の部分は、同一の名称を使用して詳細な説明は省略する。
【0019】
本実施の形態の縁切装置10は、トンネルなどの壁面に刃先部51を当接させたチゼル50に軸心方向に衝撃を作用させて縁切作業を実行する。この縁切装置10は、図1ないし図4に示すように、刃先部51に少なくとも一つの破砕面52が平面状に形成されている複数のチゼル50と、詳細には後述するが、破砕面52が略同一面に位置する状態で複数のチゼル50を軸心方向と直交する方向に直線状に支持する支持機構と、直線状に支持された複数のチゼル50の各々に個々に衝撃を作用させる複数のブレーカ機構40と、を有する。
【0020】
チゼル50は、図1に示すように、三角錐状の刃先部51に三つの破砕面52が形成されており、支持機構は、三つの破砕面52の一つが略同一面に位置する状態で複数のチゼル50を支持する。
【0021】
なお、本実施の形態のチゼル50は、図2および図3に示すように、刃先部51と、刃先部51が先端に着脱自在に装着されるロッド部53と、を有する。
【0022】
より具体的には、縁切装置10は、ガイドシェル8に案内され送り機構9によって前後進するキャリッジ20と、キャリッジ20上にブラケット30を介して幅方向(進行方向に対し直行方向)に3連装する形でブレーカ機構40が搭載されている。ブレーカ機構40は公知の打撃機構を備えており、内蔵する打撃ピストン(図示略)を高速で前後進させて後述するチゼル50に衝撃エネルギーを伝達する。
【0023】
各ブレーカ機構40には、それぞれチゼル50が装着されている。チゼル50は、刃先部51とロッド部53とからなり、刃先部51はロッド部53に着脱可能となっている。ロッド部53の後端(基端)部には図示しないシャンク部が設けられており、このシャンク部がブレーカ機構40の先端部内に摺嵌されている。
【0024】
刃先部51は、三角錐形状に形成されており、3つの斜面が破砕面52となっている。刃先部51を切羽(被破砕面)側から見ると、( ▽ ▽ ▽ )のように、隣り合う破砕面52の延長線がそれぞれ略直線状に連続するように配設されている。
【0025】
ガイドシェル8の先端にはロッド部53を前後進自在に案内保持するセントライザ60が設けられている。セントライザ60は、ブラケット61、ブッシュ62およびブッシュリテーナ63からなり、ブッシュ62およびブッシュリテーナ63はロッド部53に対応して3連に設けられている。
【0026】
つまり、上述のブレーカ機構40やブラケット30等により、破砕面52が略同一面に位置する状態で複数のチゼル50を軸心方向と直交する方向に直線状に支持する支持機構が形成されている。
【0027】
上述のような縁切装置10は、図4に示すように、例えば、壁面掘削装置であるスケーリングジャンボ1に搭載される。このスケーリングジャンボ1は、ホイール3の駆動力により走行自在な台車2に、ブーム6を起伏・旋回可能に設け、ブーム6の先端にはガイドマウンチング7を介してガイドシェル8を搭載している。
【0028】
ガイドマウンチング7はガイドシェル8を前後進・チルト・旋回可能に支持している。台車2には、オペレータが乗り込んで操作するオペレータキャビン4と掘削したズリ等を排除するための排土板5が設けられている。ガイドシェル8には送り機構9により縁切装置10が前後進自在に設けられている。
【0029】
上述のような構成において、本実施の形態の縁切装置10では、破砕面52が略同一面に位置する状態で複数のチゼル50が軸心方向と直交する方向に直線状に支持機構で支持され、このように支持された複数のチゼル50に軸心方向に衝撃が作用されて縁切作業が実行される。
【0030】
このため、略同一面に位置する複数のチゼル50の破砕面52で壁面に縁切作業が実行されるので、壁面が複数のチゼル50の破砕面52により平面状に縁切作業されることになる。
【0031】
より具体的に縁切装置10を用いて縁切作業を行う場合を以下に説明する。まず、台車2、ブーム6、ガイドマウンチング7を駆動し、チゼル50を予め芯抜き孔が形成された切羽に向けて所定の位置・姿勢に位置決めする。
【0032】
次に、送り機構9でキャリッジ20を前進させチゼル50の刃先部51を切羽に押し付ける。そして、引き続き送り機構9で前方への推力をかけながらブレーカ機構40を駆動してチゼル50の刃先部51を切羽へと貫入させる。
【0033】
刃先部51が切羽に貫入すると、破砕面52の頂角から亀裂が進行し、そのうち連続面にそって延びる隣接する亀裂が結合して一つの連続した破断線を形成し、この連続した破断線が縁切り面となる。
【0034】
このとき、縁切装置10の貫入抵抗は3つのチゼル50に分散し、かつ、連続線を形成する破砕面52の対角にあたる角錐の頂点から芯抜き穴側にも亀裂が進行するので貫入抵抗は小さく、さらには、刃先はウエッジポイントに比べ強度があるので刃先の磨耗は少ない。したがって、縁切り面を所定の仕上げ面に一致させるのが容易で、かつ刃先の磨耗が少ないのでランニングコストを抑えることが可能である。
【0035】
この縁切作業を繰り返し行うと、刃先部51の磨耗はわずかながらでも進行して三角錘形状が崩れて破砕面52が保てなくなる。破砕面52が無くなると刃先部51を切羽に貫入させても良好な縁切り面を形成させることが困難になるので、刃先部51を交換する必要が出てくる。
【0036】
しかし、本発明の縁切装置10では、チゼル50を刃先部51とロッド部53とで構成し、刃先部51をロッド部53から着脱自在に設けているので、刃先部51が磨耗したら刃先部51だけを交換することができるのでランニングコストを抑えることができる。
【0037】
なお、本発明は本実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で各種の変形を許容する。例えば、上記形態ではチゼル50およびブレーカ機構40が三連に形成されていることを例示した。しかし、当然ながら、チゼル50およびブレーカ機構40が二連や四連以上に形成されていてもよい。
【0038】
さらに、上記形態では三連のチゼル50を三連のブレーカ機構40で個々に駆動することを例示した。しかし、複数のチゼル50を一個のブレーカ機構で駆動することも不可能ではない。
【0039】
なお、当然ながら、上述した実施の形態および複数の変形例は、その内容が相反しない範囲で組み合わせることができる。また、上述した実施の形態および変形例では、各部の構造などを具体的に説明したが、その構造などは本願発明を満足する範囲で各種に変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の実施の形態の縁切装置を示す正面図である。
【図2】縁切装置を示す側面図である。
【図3】縁切装置を示す平面図である。
【図4】縁切装置を装備した壁面掘削装置であるスケーリングジャンボを示す側面図である。
【図5】従来の壁面掘削装置であるスケーリングジャンボの作動状態を示す模式図である。
【図6】従来のチゼルを示す平面図である。
【符号の説明】
【0041】
1 スケーリングジャンボ
2 台車
3 ホイール
4 オペレータキャビン
5 排土板
6 ブーム
7 ガイドマウンチング
8 ガイドシェル
9 送り機構
10 縁切装置
20 キャリッジ
30 ブラケット
40 ブレーカ機構
50 チゼル
51 刃先部
52 破砕面
53 ロッド部
60 セントライザ
61 ブラケット
62 ブッシュ
63 ブッシュリテーナ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トンネルなどの壁面に刃先部を当接させたチゼルに軸心方向に衝撃を作用させて縁切作業を実行する縁切装置であって、
前記刃先部に少なくとも一つの破砕面が平面状に形成されている複数の前記チゼルと、
前記破砕面が略同一面に位置する状態で複数の前記チゼルを軸心方向と直交する方向に直線状に支持する支持機構と、
を有する縁切装置。
【請求項2】
前記チゼルは、三角錐状の前記刃先部に三つの前記破砕面が形成されており、
前記支持機構は、三つの前記破砕面の一つが略同一面に位置する状態で複数の前記チゼルを支持する請求項1に記載の縁切装置。
【請求項3】
直線状に支持された複数の前記チゼルの各々に個々に衝撃を作用させる複数のブレーカ機構を、さらに有する請求項1または2に記載の縁切装置。
【請求項4】
前記チゼルは、前記刃先部と、前記刃先部が先端に着脱自在に装着されるロッド部と、を有する請求項1ないし3の何れか一項に記載の縁切装置。
【請求項1】
トンネルなどの壁面に刃先部を当接させたチゼルに軸心方向に衝撃を作用させて縁切作業を実行する縁切装置であって、
前記刃先部に少なくとも一つの破砕面が平面状に形成されている複数の前記チゼルと、
前記破砕面が略同一面に位置する状態で複数の前記チゼルを軸心方向と直交する方向に直線状に支持する支持機構と、
を有する縁切装置。
【請求項2】
前記チゼルは、三角錐状の前記刃先部に三つの前記破砕面が形成されており、
前記支持機構は、三つの前記破砕面の一つが略同一面に位置する状態で複数の前記チゼルを支持する請求項1に記載の縁切装置。
【請求項3】
直線状に支持された複数の前記チゼルの各々に個々に衝撃を作用させる複数のブレーカ機構を、さらに有する請求項1または2に記載の縁切装置。
【請求項4】
前記チゼルは、前記刃先部と、前記刃先部が先端に着脱自在に装着されるロッド部と、を有する請求項1ないし3の何れか一項に記載の縁切装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【公開番号】特開2010−24798(P2010−24798A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−191091(P2008−191091)
【出願日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願人】(594149398)古河ロックドリル株式会社 (50)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願人】(594149398)古河ロックドリル株式会社 (50)
【Fターム(参考)】
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