説明

縁石兼排水溝ユニット

【課題】長期間の使用でも反射部材の機能が維持され、反射部材の破損や損傷が低減される縁石兼排水溝ユニットを提供する。
【解決手段】カバー部12は、水路部形成部材11が形成する水路部20を覆っている。カバー部12は、開口部17を備えている。リブ15は、このカバー部12の水路部形成部材側11に設けられている。すなわち、リブ15は、カバー部12の内側に設けられている。そして、光を反射する反射部材19は、カバー部12の内側に位置するリブ15に設けられている。反射部材19は、開口部17から入射する光を反射して、開口部19から外部へ放射する。反射部材19は、雨水や泥などがカバー部12によって遮蔽されているため、長期間の使用でも反射部材19の機能が維持され、反射部材19の破損や損傷を低減することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路や橋梁等の路肩に、その長手方向に並べて設置される縁石兼排水溝ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、縁石兼排水溝ユニットは、例えば道路橋の走行車線と道路橋の幅方向両端に設けられる欄干との間に道路橋の長手方向に沿って設けられている(特許文献1参照)。この縁石兼排水溝ユニットには、夜間における事故防止などのため車両のヘッドライトなどの光を反射する反射部材が設けられている。この反射部材は、縁石兼排水溝ユニットの上面に例えば接着剤により取り付けられている。
【0003】
しかしながら、縁石兼排水溝ユニットの反射部材は、雨水や車両から飛び跳ねた泥が付着する。そのため、反射部材は、時間の経過とともに本来の機能を喪失するという問題がある。また、反射部材は、車両の衝突や風雨にさらされることによる劣化などで破損や損傷を招くという問題もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−344389号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明の目的は、長期間の使用でも反射部材の機能が維持され、反射部材の破損や損傷が低減される縁石兼排水溝ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の縁石兼排水溝ユニットは、水が流れる水路部を形成する水路部形成部材と、前記水路部形成部材と着脱可能に設けられ、前記水路部形成部材が形成する前記水路部を覆うカバー部と、前記水路部形成部材と前記カバー部とが形成する空間内に設けられ、前記水路部形成部材または前記カバー部から突出して、前記水路部の前記カバー部側に設けられている突出部と、前記カバー部を板厚方向に貫いて、前記カバー部の外側から前記突出部を見通し可能な位置に設けられている開口部と、前記突出部に設けられ、前記開口部から入射した光を、前記開口部を通して前記カバー部の外部へ反射する反射部材と、を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、カバー部は、水路部形成部材が形成する水路部を覆っている。突出部は、この水路部のカバー部側に設けられている。すなわち、突出部は、水路部形成部材とカバー部とが形成する空間の内側に設けられている。そして、光を反射する反射部材は、カバー部の内側に位置する突出部に設けられている。突出部に設けられている反射部材は、開口部を通してカバー部の内側に入射した光を、この開口部を経由して外側へ反射する。これにより、反射部材は、その本来的な機能を損なうことがない。そして、この反射部材は、突出部に設けることにより、カバー部に覆われることになる。これにより、反射部材は、雨水や泥などがカバー部によって遮蔽される。その結果、反射部材は、雨水や泥の付着にともなう汚染が低減される。また、車両の衝突などによる衝撃は、カバー部によって保護される。その結果、この衝撃による反射部材の損傷なども低減される。さらに、カバー部で保護することにより、直射日光にも晒されにくくなり、紫外線などによる劣化も低減される。したがって、長期間の使用でも反射部材の機能が維持され、反射部材の破損や損傷を低減することができる。
【0008】
請求項2記載の発明では、突出部は、カバー部を補強するリブである。このリブは、カバー部を補強する部材として従来からカバー部に設けられている。そのため、突出部として部品を追加することなく、既存の構成を利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】一実施形態による縁石兼排水溝ユニットを示す概略図
【図2】図1のII−II線における断面図
【図3】一実施形態による縁石兼排水溝ユニットを示す概略斜視図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、縁石兼排水溝ユニットの一実施形態による排水溝ユニットについて図面に基づいて説明する。
図1および図2に一実施形態による縁石兼排水溝ユニットを示す。縁石兼排水溝ユニット10は、例えば道路の幅方向の端部や橋梁の幅方向の端部などに設けられる。これにより、縁石兼排水溝ユニット10は、道路の路面を二つ以上の区画に分割する。また、例えば降雨などにより道路の路面に溜まった水は、この縁石兼排水溝ユニット10へ流入する。縁石兼排水溝ユニット10は、水路部形成部材11、カバー部12、リブ13、14、15、開口部16、17および反射部材18、19を備えている。水路部形成部材11は、断面が略U字形状に形成されている。この断面が略U字形状の水路部形成部材11は、内側に水路部20を形成している。水路部形成部材11は、例えば鋼製またはステンレス製などの金属の板材を折り曲げ加工することにより形成され、めっきなどにより表面処理が施されている。道路や橋梁に縁石兼排水溝ユニット10を設けたとき、水路部形成部材11の底部21は、路面より下方に位置する。
【0011】
カバー部12は、断面が略S字形状に形成されている。カバー部12は、水路部形成部材11に対し着脱可能に設けられ、水路部形成部材11が形成する水路部20を覆っている。カバー部12は、例えば鋼製またはステンレス製などの金属の板材を折り曲げ加工することにより形成され、めっきなどで表面処理が施されている。
【0012】
図1および図3に示すように縁石兼排水溝ユニット10は、カバー部12の長手方向に沿って3箇所にリブ13、リブ14およびリブ15を備えている。リブ13、リブ14およびリブ15は、カバー部12から水路部形成部材11が形成する水路部20側へ突出している。リブ13、リブ14およびリブ15は、カバー部12の水路部形成部材側11すなわち内側に設けられており、カバー部12を内側から補強する。これら、リブ13、リブ14およびリブ15は、特許請求の範囲の突出部に相当する。
【0013】
縁石兼排水溝ユニット10は、2箇所の開口部16および開口部17を備えている。開口部16および開口部17は、いずれもカバー部12を板厚方向に貫いている。開口部16および開口部17は、いずれも長円形状に形成されている。開口部16および開口部17は、カバー部12に設けられている3箇所のリブ13、リブ14およびリブ15のうち、端部に位置するリブ13およびリブ15に隣り合って設けられている。具体的には、開口部16は、リブ13の外側すなわちリブ13よりもリブ14と反対側に設けられている。また、開口部17は、リブ15の外側すなわちリブ15よりもリブ14と反対側に設けられている。これにより、リブ13のリブ14と反対側の面は、開口部16を通してカバー部12の外部から視認することができる。同様に、リブ15のリブ14と反対側の面は、開口部17を通してカバー部12の外部から視認することができる。
【0014】
光を反射する反射部材18および反射部材19は、リブ13およびリブ15にそれぞれ設けられている。反射部材18および反射部材19は、開口部16および開口部17から入射する光を反射して、開口部16および開口部17から外部へ放射する。具体的には、反射部材18は、リブ13のリブ14と反対側の面に設けられている。これにより、開口部16から入射した光は、リブ13に設けられている反射部材18で反射し、開口部16を経由して外部へ放射される。また、反射部材19は、リブ15のリブ14と反対側の面に設けられている。これにより、開口部17から入射した光は、リブ15に設けられている反射部材19で反射し、開口部17を経由して外部へ放射される。反射部材18および反射部材19は、いずれも例えば接着剤などによりリブ13またはリブ15に取り付けられている。
【0015】
本実施形態では、反射部材18および反射部材19は、カバー部の長手方向の両端部に位置するリブ13およびリブ15にそれぞれ設けられている。そして、反射部材18および反射部材19は、このリブ13およびリブ15に隣接して設けられている開口部16および開口部17を通して光を反射する。そのため、開口部16側から接近する車両から照射された光は、反射部材18で反射してこれを照射する車両へ入射する。一方、開口部17側から接近する車両から照射された光は、反射部材19で反射してこれを照射する車両へ入射する。これにより、車両の進行方向にかかわらず車両のヘッドランプなどの光は、接近する車両へ向けて反射される。
【0016】
一実施形態の縁石兼排水溝ユニット10の場合、カバー部12は水路部形成部材11が形成する水路部20を覆っている。リブ13、リブ14およびリブ15は、このカバー部12の水路部形成部材側11すなわちカバー部12の内側に設けられている。光を反射する反射部材18および反射部材19は、これらカバー部12の内側に位置するリブ13およびリブ15にそれぞれ設けられている。これにより、反射部材18および反射部材19は、雨水や泥などがカバー部12によって遮蔽される。その結果、反射部材18および反射部材19は、雨水や泥の付着にともなう汚染が低減される。また、仮に縁石兼排水溝ユニット10に車両が衝突したとしても、その衝撃はカバー部12によって保護される。そのため、この衝撃による反射部材18および反射部材19の損傷なども低減される。さらに、カバー部12で保護することにより、反射部材18および反射部材19は直射日光にも晒されにくくなる。そのため、反射部材18および反射部材19は、紫外線などによる劣化も低減される。したがって、反射部材18および反射部材19は長期間の使用でも機能維持することができるとともに、破損や損傷も低減することができる。また、反射部材18および反射部材19が設けられているリブ13およびリブ15は、いずれもカバー部12を補強する部材として従来からカバー部12に設けられている。そのため、反射部材18および反射部材19を設ける場合でも、既存の部品を流用することができ、構造を簡略化することができる。
【0017】
(その他の実施形態)
上述の一実施形態では、カバー部12にリブ13、リブ14およびリブ15を一体に設ける例について説明した。しかし、リブ13、リブ14およびリブ15に代えて、水路部形成部材11が形成する水路部20よりもカバー部12側に水路部形成部材11と一体の突出部を設けてもよい。この場合、反射部材18および反射部材19は、水路部形成部材11と一体の突出部に取り付けられる。また、リブ13、リブ14およびリブ15に代えて、カバー部12の開口部16および開口部17から水路部20側へ窪んだ凹部を形成し、この凹部の内側の側壁に反射部材18および反射部材19を設ける構成としてもよい。
以上説明した本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の実施形態に適用可能である。
【符号の説明】
【0018】
図面中、10は縁石兼排水溝ユニット、11は水路部形成部材、12はカバー部、13、14、15はリブ(突出部)、16、17は開口部、18、19は反射部材、20は水路部を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水が流れる水路部を形成する水路部形成部材と、
前記水路部形成部材と着脱可能に設けられ、前記水路部形成部材が形成する前記水路部を覆うカバー部と、
前記水路部形成部材と前記カバー部とが形成する空間内に設けられ、前記水路部形成部材または前記カバー部から突出して、前記水路部の前記カバー部側に設けられている突出部と、
前記カバー部を板厚方向に貫いて、前記カバー部の外側から前記突出部を見通し可能な位置に設けられている開口部と、
前記突出部に設けられ、前記開口部から入射した光を、前記開口部を通して前記カバー部の外部へ反射する反射部材と、
を備える縁石兼排水溝ユニット。
【請求項2】
前記突出部は、前記カバー部と一体に前記カバー部の前記水路部形成部材側に設けられ、前記カバー部を補強するリブである請求項1記載の縁石兼排水溝ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−229551(P2012−229551A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−98148(P2011−98148)
【出願日】平成23年4月26日(2011.4.26)
【出願人】(591006520)株式会社興和工業所 (34)
【Fターム(参考)】