説明

縦型製袋充填装置

【課題】湿り気の有るものを被充填物としても、スムーズな製袋充填作業を可能とする縦型製袋充填装置を提供する。
【解決手段】包装材Sを外周面に沿わせて湾曲状に保持する筒状ガイド29の内部に、被充填物Jを落下させる充填シュート9を筒状ガイド29の下側ガイド端30の下方に突出自在に設ける。また、充填シュート9内で攪拌部材25を揺動させる。被充填物Jが筒状の包装材S中に落下充填される際には、充填シュート9は横シール予定部よりも下方の位置まで下がるので、被充填物Jは横シール予定部よりも確実に下方に落下して、横シールしたときに噛み込みが発生することはない。また、攪拌部材25が常時揺動しているので、被充填物Jが塊状に供給されても解け、被充填物Jが充填シュート9の内面に付着した場合には掻き取られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は縦型製袋充填装置に係り、特に醤油で味付けされて湿ったふりかけなどを被充填物とする場合に有用な縦型製袋充填装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
縦型製袋充填装置を用いると、特許文献1に示すように、連続したシート状の包装材はリールから繰り出された後、筒状ガイドの外周面に沿って湾曲状態になりながら下方に走行し、その過程で縦シール手段により縦シールされて筒状にされ、さらに横シール手段により横シールされてこれから被充填物が充填される筒状体の底部が形成されると共に、既に底部が形成され且つ被充填物が既に充填された筒状体の上部開口が封止されて包装袋が完成するようになっている。また、横シールの間に、被充填物は筒状ガイドの内面を通って落下して、底部の形成された筒状体の中に充填されるようになっている。
このような縦型製袋充填装置を用いて、紅茶、鰹節などが充填された包装袋が製造されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−123150号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、醤油で味付けされて湿ったふりかけなどは、包装材や充填シュートの内面に付着したり、塊になったりし易い。したがって、このようなものを被充填物として従来の縦型製袋充填装置にかけると、横シールするときにシール部に被充填物の噛み込みが発生し易い。また、充填シュートの内面に一部が留まって落下せず、定量を充填することができない場合がある。
本発明は上記従来の問題点に着目してなされたものであり、湿り気の有るものを被充填物としても、スムーズな製袋充填作業を可能とする縦型製袋充填装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記目的を達成するためになされたものであり、請求項1の発明は、 連続したシート状の包装材からの縦シールと横シールによる製袋と、前記横シールの間における被充填物の落下充填により包装袋を順次製造する縦型製袋充填装置において、包装材を外周面に沿わせて湾曲状に保持する筒状ガイドの内部に、被充填物を落下させる充填シュートを前記筒状ガイドの下側ガイド端より下方の充填作業位置とそれより上方の待機位置との間で昇降自在に設けたことを特徴とする縦型製袋充填装置である。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1に記載の縦型製袋充填装置において、充填シュートは、装置本体に昇降自在に設けられたエアシリンダー駆動の昇降体と一体となって昇降動作することで、筒状ガイドの下側ガイド端より下方に突出自在になっていることを特徴とする縦型製袋充填装置である。
【0007】
請求項3の発明は、請求項1または2に記載の縦型製袋充填装置において、充填シュート内には攪拌部材が揺動自在に設けられており、前記攪拌部材は自動的に揺動することを特徴とする縦型製袋充填装置である。
【0008】
請求項4の発明は、請求項3に記載の縦型製袋充填装置において、攪拌部材は線状材であることを特徴とする縦型製袋充填装置である。
【0009】
請求項5の発明は、請求項4に記載の縦型製袋充填装置において、攪拌部材は波形線状材であることを特徴とする縦型製袋充填装置である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の製袋充填装置によれば、湿り気の有るものを被充填物としても、スムーズな製袋充填作業を可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態に係る製袋充填装置の一方向の側面図である。
【図2】図1の製袋充填装置の別方向の側面図である。
【図3】図1の製袋充填装置の充填手段内の被充填物の落下状態を示す説明図である。
【図4】図1の製袋充填装置における充填シュートの昇降動作と被充填物の筒状体への落下充填との関係を示す説明図である。
【図5】図1の製袋充填装置における充填シュートの昇降動作と被充填物の筒状体への落下充填との関係を示す説明図である。
【図6】図1の製袋充填装置における充填シュートの昇降動作と被充填物の筒状体への落下充填との関係を示す説明図である。
【図7】図1の製袋充填装置における充填シュートの昇降動作と被充填物の筒状体への落下充填との関係を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施の形態に係る縦型製袋充填装置1を図面にしたがって説明する。
先ず、縦型製袋充填装置1の構成について、図1〜図3にしたがって説明する。
図1、図2はいずれも側面図であるが、互いに約90°正面方向が変えてあり、理解の便宜のため、図1を基準として紙面を貫く方向を前後方法とし、その垂直方向を左右方向とする。
符号3は装置本体を示す。符号5は供給ホッパーを示し、この供給ホッパー5の円筒状下部が装置本体3内に入り込んでいる。供給ホッパー5には計量部(図示省略)で計量された被充填物Jが順次供給されるようになっている。
【0013】
装置本体3内において符号7は受入れホッパーを示し、この受入れホッパー7は漏斗状をしており、上方から見ると前側は円弧状をなし、後側は直線状をなして、下方に向かうほど先細りになっている。符号9は充填シュートを示し、この充填シュート9は角筒状をしている。充填シュート9は上記した受入れホッパー7と一体に形成されており、受入れホッパー7の下端から下方に向かって延びている。受入れホッパー7は供給ホッパー5に対向しており、供給ホッパー5から充填シュート9に被充填物Jを移送するための中継部になっている。
【0014】
図1において左側の符号11はブラケットを示し、このブラケット11は装置本体3の左側内面に取り付けられている。このブラケット11にガイドロッド13が立てた状態で取り付けられている。ガイドロッド13にはガイドブロック15が昇降自在に外嵌されている。
符号17は連結部を示す。この連結部17は前側が平坦面となっている主部19と、その左端部分に連設されたプレート部21とからなっており、プレート部21の板面は左右方向を向いている。主部19は受入れホッパー7の後側と装置本体3の内側面との間に入り込んで、受入れホッパー7の後側の平坦部と連結されている。一方、プレート部21はガイドブロック15と連結されている。したがって、ガイドブロック15が昇降動作すると、受入れホッパー7及び充填シュート9が連動して昇降動作する。
なお、ガイドブロック15は、エアシリンダーの作動ロッド(図示省略)と連結されており、エアシリンダーの駆動により昇降するようになっている。
【0015】
符号23は振動発生器を示し、この振動発生器23も上記した連結部17に連結されている。振動発生器23は電動式のものである。
符号25は攪拌部材を示し、この攪拌部材25は線状材で構成されている。攪拌部材25は水平に短く延びた後屈曲して下方に延びている。そして、下方に延びた波状部分27は波形に曲げられている。攪拌部材25の水平部分側は上記した振動発生器23に連結されている。下方に延びた波状部分27は受入れホッパー7に上端開口から入り込んで、その下端は充填シュート9の下端開口近くまで延びている。
攪拌部材25は揺動手段としての振動発生器23から振動を付与されると揺動し、波状部分27は充填シュート9内ではその内面に当たるようになっている。また、振動発生器23及び攪拌部材25は、受入れホッパー7及び充填シュート9が昇降動作すると連動して昇降動作して、受入れホッパー7及び充填シュート9の昇降動作の邪魔にならないようになっている。
【0016】
符号29は筒状ガイドを示し、この筒状ガイド29は上部が受入れホッパー7に相似し、下部が充填シュート9に相似した形状になっており、それぞれ受入れホッパー7や充填シュート9より一回り大きい寸法で形成されている。筒状ガイド29の下部は、左右両側部分が同じように切欠かれており、その余部は前後方向から見ると三角形状になって下方にいくほど幅狭になっており、下端が下側ガイド端30となっている。なお、筒状ガイド29の上側外周部には包装材Sを筒状ガイド29に導くためのフォーマ(図示省略)が取り付けられている。
上記した構成の筒状ガイド29は装置本体3内に図示しない支持手段により吊下げ支持されて固定されている。そして、筒状ガイド29内には受入れホッパー7および充填シュート9よりなる充填手段が昇降自在に配置されている。
【0017】
符号31は縦シール手段を示し、この縦シール手段31は筒状ガイド29の外周面近傍に配置されている。符号33は横シール手段を示し、この横シール手段33は筒状ガイド29の下側ガイド端30の直下に配置されている。縦シール手段31と横シール手段33は、視認の便宜のため図面上はブロックで示されているが、いずれも超音波を利用して包装材Sをシールアンドカットするものであり、それぞれ超音波ホーンと受けロールとが対向して備えられている。
【0018】
次に、充填シュート9の昇降動作について、図1〜図2にしたがって説明する。
エアシリンダーの駆動により、充填シュート9は受入れホッパー7と共に、一点鎖線で示す待機位置と実線で示す充填作業位置との間で昇降動作するようになっている。待機位置では充填シュート9は筒状ガイド29の下側ガイド端30より上方にあり、充填作業位置では充填シュート9は筒状ガイド29の下側ガイド端30より下方に突出している。
【0019】
また、攪拌部材25の揺動動作について、図3にしたがって説明する。
振動発生器23から振動を付与されると、攪拌部材25は揺動して実線で示す静止姿勢から一点鎖線で示すように変化して、充填シュート9の内面に当たってそこに付着していた被充填物Jを掻き取ったり、塊になった被充填物Jを解したりする。
【0020】
次に、縦型製袋充填装置1による製袋充填作業について、図1と図4〜図7にしたがって説明する。
リール(図示省略)から繰り出された包装材Sは、フォーマ(図示省略)を介して筒状ガイド29の外周面に沿って湾曲しながら下方に向かって走行し、縦シール手段31により両端縁が合掌状に縦シールされると共に耳部分がカットされて筒状体に成形される。さらに下方に向かって走行し、横シール手段33によるシールアンドカットにより横シール部が形成されると共にその横シール部が上下方向の中間部でカットされて分離される。これにより筒状体のボトムシール部(底部)が形成されると共に先行する筒状の包装材Sにトップシール部が形成されて封止される。そして、トップシール部が形成されて袋状となった包装材Sは、上方の包装材Sとは分離されて、完成した包装袋として順次落下していくことになる。
被充填物Jは、ボトムシール部が形成された筒状体内に落下し充填される。
上記作業により、被充填物Jが充填された包装袋が順次連続的に製造される。
【0021】
以下、被充填物Jの落下充填と横シール手段33による横シールとの関係について詳細に説明する。
図4に示すように、縦シール部tが形成されて筒状体となった包装材Sは、横シール手段33によりボトムシール部y1が形成された後、さらに下方に向かって走行して、次の横シール予定部Yを筒状ガイド29の直下に導かれる。
次に、図5に示すように、充填シュート9が筒状ガイド29の下側ガイド端30から下方に降下して、充填作業位置、すなわち横シール予定部Yの下方で停止する。そして、被充填物Jが充填シュート9から落下し、筒状の包装材S中に充填される。
充填作業が終了すると、図6に示すように、充填シュート9は上昇して横シール予定部Yを越え、筒状ガイド29の下側ガイド端30より上がる。
その後に、図7に示すように横シール予定部Yに横シールが施された後分離されて、ボトムシール部y1とトップシール部y2とに分かれる。トップシール部y2が形成されたものは、製袋充填が終了して包装袋として完成したものであり、落下して回収される。
【0022】
上記したように、被充填物Jが筒状の包装材S中に落下充填される際には、充填シュート9は横シール予定部Yよりも下方の位置まで下がっている。また、被充填物Jは攪拌部材25に衝突して左右に振り分けられながら落下するので、包装材S内では中央が隆起することはなく、均等に堆積していく。
したがって、被充填物Jは横シール予定部Yよりも確実に下方に落下し、包装材S内では均等に堆積していくので、横シールしたときに噛み込みが発生することはない。
しかも、横シールするときには、充填シュート9は上昇して筒状ガイド29の下側ガイド端30より上方にあるのでシールの邪魔になることはない。
【0023】
また、製袋充填作業中は、攪拌部材25が常時揺動しているので、被充填物Jが塊状に供給されても解ける。被充填物Jが充填シュート9の内面に付着した場合には攪拌部材25が掻き取る。したがって、被充填物Jは充填シュート9内に留まることなく、確実に筒状の包装材S中に落下充填される。
【0024】
以上、本発明の実施の形態について詳述してきたが、具体的構成は、この実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計の変更などがあっても発明に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明の製袋充填装置は、被充填物が湿り気の有るものでも、製袋充填作業をスムーズに行うことができる。
【符号の説明】
【0026】
1…縦型製袋充填装置 3…装置本体
5…供給ホッパー 7…受入れホッパー
9…充填シュート 11…ブラケット
13…ガイドロッド 15…ガイドブロック
17…連結部 19…主部
21…プレート部 23…振動発生器
25…攪拌部材 27…波状部分
29…筒状ガイド 30…下側ガイド端
31…縦シール手段 33…横シール手段
S…包装材 J…被充填物
t…縦シール部 y1…ボトムシール部
y2…トップシール部 Y…横シール予定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続したシート状の包装材からの縦シールと横シールによる製袋と、前記横シールの間における被充填物の落下充填により包装袋を順次製造する縦型製袋充填装置において、
包装材を外周面に沿わせて湾曲状に保持する筒状ガイドの内部に、被充填物を落下させる充填シュートを前記筒状ガイドの下側ガイド端より下方の充填作業位置とそれより上方の待機位置との間で昇降自在に設けたことを特徴とする縦型製袋充填装置。
【請求項2】
請求項1に記載の縦型製袋充填装置において、
充填シュートは、装置本体に昇降自在に設けられたエアシリンダー駆動の昇降体と一体となって昇降動作することで、筒状ガイドの下側ガイド端より下方に突出自在になっていることを特徴とする縦型製袋充填装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の縦型製袋充填装置において、
充填シュート内には攪拌部材が揺動自在に設けられており、前記攪拌部材は自動的に揺動することを特徴とする縦型製袋充填装置。
【請求項4】
請求項3に記載の縦型製袋充填装置において、
攪拌部材は線状材であることを特徴とする縦型製袋充填装置。
【請求項5】
請求項4に記載の縦型製袋充填装置において、
攪拌部材は波形線状材であることを特徴とする縦型製袋充填装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−168286(P2011−168286A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−31962(P2010−31962)
【出願日】平成22年2月17日(2010.2.17)
【出願人】(391024744)不双産業株式会社 (25)
【Fターム(参考)】