説明

縦型電気掃除機

【課題】掃除時に掃除機本体を支えるための把手としての機能と、掃除機本体運搬用の把手としての機能とを兼ね備えた把手を有する縦型電気掃除機を提供する。
【解決手段】縦型電気掃除機100は、把手2と、電動送風機11を内部に収容する掃除機本体1と、把手2を支持するパイプ3とを備え、掃除機本体1は、パイプ3を固定する固定部材40を有し、把手2の一部とパイプ3の一部とが掃除機本体1内に収容されてパイプ3が固定部材40で固定された状態と、把手2とパイプ3の一部とが掃除機本体1から外に出てパイプ3が固定部材40で固定された状態との間で把手2とパイプ3とは移動可能に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、一般的には縦型電気掃除機に関し、特定的には把手を有する縦型電気掃除機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、縦型電気掃除機では、集塵室及び電動送風機を具備した掃除機本体の下側端部に吸込口が連結され、本体外側にホースを備えている。ホースは一端が掃除機本体内部の吸気通路に接続され、他端は取り外すことができる。掃除機本体下側の吸込口からの吸引によって床面の掃除を行うが、棚掃除や隙間掃除など掃除機本体下の吸込口からでは十分な吸引を行うことができない場合は、ホースの一端を本体から外して、ホースの先端あるいはホース先端に付属の小型ノズル等から外気を吸引し、掃除を行うことが可能である。
【0003】
特開平5−199949号公報(特許文献1)の縦型電気掃除機では、本体に保持される伸縮可能な把手が設けられており、掃除や収納に応じて把手の高さを調節することが可能である。また、把手に掃除機本体の内部に収められた電動送風機のスイッチが配置されており、掃除機を移動操作する把手部分でスイッチ操作を行うことができる。
【特許文献1】特開平5−199949号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の構成では、把手を掃除機本体から支えるのは一本のパイプであるために、把手がぐらつきやすく、掃除機本体の運搬時にこの把手を用いることはできない。このため、掃除時に掃除機本体を支えるときには、掃除機本体から引き出して使用者の使いやすい高さにした把手を用い、掃除機本体を運搬するときには、掃除機本体に直接設けられている別の把手を用いる、というように、二つの別の把手を使い分ける必要がある。掃除機本体を運搬するときに用いる把手は掃除機本体の低い位置にあるので、移動の度に掃除機本体の把手に手が届く位置まで腰をかがめる必要がある。
【0005】
そこで、この発明の目的は、掃除時に掃除機本体を支えるための把手としての機能と、掃除機本体運搬用の把手としての機能とを兼ね備えた把手を有する縦型電気掃除機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に従った縦型電気掃除機は、把手と、電動送風機を内部に収容する掃除機本体と、把手を支持する支持部材とを備え、掃除機本体は、支持部材を固定する固定部材を有し、把手の一部と支持部材の一部とが掃除機本体内に収容されて支持部材が固定部材で固定された状態と、把手と支持部材の一部とが掃除機本体から外に出て支持部材が固定部材で固定された状態との間で把手と支持部材とは移動可能に設けられている。
【0007】
把手と支持部材の一部とが掃除機本体から外に出た状態で把手の支持部材を掃除機本体に固定すると、把手が掃除機本体の上面よりも高い位置で固定される。このようにすることにより、掃除時に使用者が自然な立ち姿勢のまま、把手を手で保持することで掃除機本体を支えることができる。
【0008】
一方、把手の一部が掃除機本体に収容された状態で把手の支持部材を掃除機本体に固定すると、把手の支持部材と掃除機本体とが把手の動きを妨げる。従来の掃除用の把手を手で持って掃除機本体を運搬するときには、把手は手の動きに合わせて前後左右に動くが、掃除機本体は重くて動きにくい。このため、把手の動きに掃除機本体の動きがついていかず、把手の動きと掃除機本体の動きとの間で、向きや速さにずれが生じることがある。このとき、掃除機本体から外に出ている把手を支えている支持部材が、従来の掃除機のように一本のパイプであると、パイプが把手と掃除機本体の動きのずれによって捻られ、運搬が困難になったり、把手やパイプ、掃除機本体が変形したり、破損したりする恐れがある。そこで、従来、掃除時に掃除機本体を支えるために用いている把手によって掃除機本体の運搬も行う場合には、把手を握った手を動かしたときに、把手の動きと掃除機本体の動きとの間でずれが生じにくいような構成を縦型掃除機に与える必要がある。把手の動きと掃除機本体の動きとの間でずれを生じにくくするために、把手の一部が掃除機本体内に収容された状態で支持部材を固定する。このようにすることにより、把手は支持部材と固定部材とによって掃除機本体に固定され、さらに掃除機本体が把手の周りを取り囲む壁となる。このため、把手の動きは掃除機本体と支持部材とによって制限されるので、把手の動きと掃除機本体の動きとの間で、向きや速さに差異が生じにくい。したがって、把手を持って掃除機本体を運搬するときに、把手や支持部材に無理な力がかかり、把手や支持部材が捻られて変形することなどを防ぐことができる。
【0009】
このようにすることにより、一つの把手が、掃除時に掃除機本体を支えるための把手としての機能と、掃除機本体運搬用の把手としての機能とを兼ね備えることができる。
【0010】
この発明に従った縦型電気掃除機は、把手の表面に配置され、電動送風機の稼動と稼動停止とを切替可能な電源スイッチをさらに備えることが好ましい。
【0011】
このようにすることにより、掃除機本体に手が届く位置まで腰をかがめることなしに、手元のスイッチで電動送風機の稼動と稼動停止とを切り替えることができる。
【0012】
この発明に従った縦型電気掃除機は、電動送風機に外部から電力を供給するための電力供給コードが掃除機本体内に収容され、把手の一部と把手を支える支持部材の一部とが掃除機本体に収容されて、支持部材が固定部材で固定された状態のとき、電力供給コードの引出口が把手の下に配置されていることが好ましい。
【0013】
このようにすることにより、把手を用いて掃除機を運搬し、腰をかがめることなくそのままの姿勢でコードを引出口から引き出し、掃除を開始することができる。このように、腰をかがめずに掃除機の運搬から掃除開始までの操作を行うことが可能であるため、使いやすい、使用していて疲れのない縦型掃除機を提供することができる。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、この発明によれば、掃除時に掃除機本体を支えるための把手としての機能と、掃除機本体運搬用の把手としての機能とを兼ね備えた把手を有する縦型電気掃除機を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
図1は、この発明の一つの実施の形態として、縦型掃除機の全体を示す図である。図1の(A)は縦型掃除機の概略的な全体を示す、一部が断面の側面図、図1の(B)は縦型掃除機の背面図である。図1の(B)中のHは、地面200から電源プラグ14の引出口15の中心までの高さを示す。
【0017】
図1に示すように、縦型掃除機100は、掃除機本体1と、把手2と、把手2を支えるとともに把手2に固着された支持部材としてのパイプ3とを備える。掃除機本体1は、内部に、電動送風機11と、電動送風機11に外部から電力を供給するための電力供給コード16と、電力供給コード16を巻き取るためのコードリール13と、集塵室12と、吸気通路160と、吸込口8と、パイプ3を掃除機本体1に固定する固定部材40とを有する。また、固定部材40を介してパイプ3の固定と固定解除とを切替可能な把手固定スイッチ41が掃除機本体1の上面に配置されている。把手2の上面には、電動送風機11の稼動と稼動停止とを切替可能な電源スイッチ17が配置されている。電力供給コード16の先端である電源プラグ14は、掃除機本体1の引出口15に置かれ、電源プラグ14を引くことで、電力供給コード16を掃除機本体1から外部に引き出すことができる。
【0018】
吸気通路160は、下からの吸気通路161と、上からの吸気通路162と、下からの吸気通路161と上からの吸気通路162との連結部である導入口163とから構成されている。導入口163は、下からの吸気通路161と上からの吸気通路162とを集塵室12へ連通する。吸込口8では、地面200付近から外気を吸引し、吸引された外気は下からの吸気通路161と導入口163を通って掃除機本体1内の集塵室12へと運ばれる。上からの吸気通路162は、一端が導入口163と接続しているが、他端がホース7の一端と接続している。ホース7の他端は、回動部6を介して延長管5に連結されている。
【0019】
延長管5は、外側延長管51と、内側延長管52とを含む。内側延長管52の先端には、可動ブラシ9が取り付けられている。掃除機本体1の上からの吸気通路162とホース7の一端が接続し、ホース7の他端と外側延長管51の一端が接続し、外側延長管51の他端と内側延長管52の一端が接続し、内側延長管52の他端と可動ブラシ9が接続している。
【0020】
図2は、把手の一部が掃除機本体内に収容されて固定された状態を示す。
【0021】
図2に示すように、把手2の上部2aは掃除機本体1の上面から上に出ているので、手で握ることができる。一方、把手2の下部2bは掃除機本体1内に収容されている。把手2はパイプ3によって支えられ、パイプ3の固定と固定解除は把手固定スイッチ41で切り替えられる。把手2の上面には、電動送風機11の稼動と稼動停止とを切り替え可能な電源スイッチ17が設けられている。
【0022】
このように、把手2の一部である下部2bが掃除機本体1内に収容されることで、掃除機本体1が把手2を取り囲む壁の役目をする。したがって、把手2の動きは掃除機本体1によって妨げられる。把手2の上部2aを手で握って掃除機本体1を運搬する場合、手の動きに合わせて把手2が前後左右に振られようとしても、掃除機本体1が壁となるので、把手2は掃除機本体1に取り囲まれた範囲内でしか動くことができない。このようにすることにより、把手2が掃除機本体1から大きく離れて動いたり、把手2やパイプ3が捻られて破損したりすることを防ぐことができる。このように把手2の下部2bが収容された状態でパイプ3を固定すると、把手2の上部2aを持って掃除機本体1を運搬することができる。把手2の上部2aは掃除機本体1の上面から外に出ているので、把手2を掃除機本体1の運搬時に用いることで、腰をかがめることなく掃除機本体1を運搬することができる。
【0023】
図3は、把手が掃除機本体から引き出された状態を示す図である。
【0024】
図3に示すように、把手2は掃除機本体1から引き出すことができ、また引き出した状態で固定することができる。把手固定スイッチ41を押してパイプ3を固定解除にすると、パイプ3の上部に固定された把手2を掃除機本体1から自由に引き出したり、収納したりすることができる。
【0025】
このようにすることにより、掃除時には把手2を使用者の使い勝手に合わせて適切な高さに調節することで、掃除機本体1を持ち上げることなく、腕に負担をかけずに掃除機本体1の姿勢を維持することが可能である。
【0026】
このようにすることにより、一つの把手が、掃除時に掃除機本体を支えるための把手としての機能と、掃除機本体運搬用の把手としての機能とを兼ね備えることができる。すなわち、掃除時には把手2を使用者が適切な高さまで引き出して固定し、手で保持することで、使用者が自然な立ち姿勢のままで掃除機本体1を支えることができる。掃除機本体1を運搬するときには、把手の下部2bを掃除機本体1の内部に収容することで、把手2を用いて掃除機本体1を運搬しても、把手2や把手2を支持するパイプ3に無理な力がかかり把手2が捻られて変形することなどを防ぐことができる。また、掃除機本体1に手が届く位置まで使用者が腰をかがめることなしに、手元の電源スイッチ17で掃除機本体1の稼動と稼動停止とを切り替えることができる。
【0027】
またこのようにすることにより、縦型掃除機100を収納するときには把手2の下部2bを掃除機本体1内に収容して固定し、縦型掃除機100全体の体積を小さくして収納することができる。縦型掃除機100を運搬するときには、把手2の下部2bを掃除機本体1内に収容した状態で運搬することができるので、把手2と掃除機本体1とが一体化することによって見た目にもすっきりし、把手2の周りの視認性が向上する。
【0028】
図4は、把手を支えるパイプと、パイプを本体に固定する固定部材との関係を模式的に示す図である。
【0029】
図4の(A)および(B)はパイプ3を掃除機本体1に固定した状態を示し、(C)および(D)はパイプ3の固定を解除して自由に上下に動かすことのできる状態を示す。
【0030】
図4の(A)は、パイプ3が固定部材40によってある高さで掃除機本体1に固定されている状態を示す。図4の(A)のB−B線の方向から見た断面を図4の(B)に示す。図4の(C)は、把手固定スイッチ41を下向きに押したときの状態を示す。図4の(D)は、図4の(C)をD−D線の方向から見た断面図である。
【0031】
図4の(A)から(D)に示すように、固定部材40は、滑り部材401と、ばね402と、パイプガイド403と、ピン404と、ばね406とから構成されている。パイプ3は、パイプガイド403の中を通っている。把手固定スイッチ41を押すと、固定部材40とパイプ3との係合が解除され、パイプ3は上下に自由に動くことができるようになる。パイプ3の上部には把手2(図2、図3)が固着されているので、このとき、パイプ3の上部に固着されている把手2を手で持って把手2の高さを変えることができる。把手固定スイッチ41を離すと、固定部材40がパイプ3と係合して、パイプ3が掃除機本体1に固定される。
【0032】
パイプガイド403は掃除機本体1に固定されており、枠状で、パイプ3がパイプガイド403の中を通っている。パイプガイド403の内側の一つの面には、ばね406の一端が取り付けられている。ばね406の他端は、パイプガイド403の中を通っているパイプ3の外周面に接している。パイプ3の外周面に対向するパイプガイド403の内側面のうち、一方の内側面には、ばね406が取り付けられているが、反対側の内側面にはピン404が取り付けられている。ピン404はパイプガイド403の内側に向かって突出している。パイプガイド403において、ばね406が取り付けられている箇所の外側の面407は、滑り部材401と向かい合うように配置され、滑り部材401と接している。滑り部材401は、掃除機本体1に固定されたばね402によって支えられている。また、滑り部材401は掃除機本体1と斜面408で接している。滑り部材401には、把手固定スイッチ41が載せられて固定されている。
【0033】
以下、パイプ3の固定と固定解除の機構を説明する。
【0034】
図4の(A)に示すように、把手固定スイッチ41の上部は掃除機本体1の上面から外部に出ており、手で触れることができる。
【0035】
図4の(A)および(B)に示すように、パイプガイド403のピン404がパイプ3の穴405に入り込んで、パイプ3がパイプガイド403に固定されている。パイプガイド403は、掃除機本体1に固定されている。したがって、パイプ3は掃除機本体1に固定されている。図3に示すように、パイプ3に把手2が固着されているので、把手2もある高さで固定されている。
【0036】
穴405は、パイプ3の異なる高さ位置に複数個、形成されている。異なる高さ位置の穴405にピン404を差し込むことで、把手2の高さを調節し、その高さで固定することができる。
【0037】
図4の(C)および(D)に示すように、把手固定部材41を下向きに押すと、滑り部材401が斜面408を滑り、滑り部材401に押されてパイプガイド403が動き、パイプ3の穴405に入り込んでいたピン404が穴405から抜けて、パイプ3とパイプガイド403との係合が外れる。このようにして、パイプ3は掃除機本体1への固定が解除され、自由に上下に動かすことができるようになる。
【0038】
このようにして、把手固定スイッチ41を操作することで、パイプ3の固定と固定解除とを切り替え、把手2を自由に上下させたり、ある高さで固定したりすることができる。
【0039】
図5は、把手と把手を支えるパイプの内部を示す断面図である。
【0040】
図5に示すように、把手2はパイプ3に固着されている。把手2の上部には電源スイッチ17が配置されている。電源スイッチ17は、パイプ3の内部を通るカールリード線18を通じて、電動送風機11と電気的に接続されている。カールリード線18は、カールシャフト19に巻きついている。パイプ3の固定を解除して、把手2の高さを変化させているとき、カールリード線18はカールシャフト19に巻きついたままで伸び縮みする。
【0041】
このようにすることにより、掃除中に掃除機本体1の位置まで腰をかがめなくとも、手元の把手2に配置された電源スイッチ17を用いて掃除機本体1の内部に収められた電動送風機11の稼動と稼動停止とを切り替えることができる。
【0042】
すでに図1に示したように、掃除機本体1には下からの吸気通路161と上からの吸気通路162の二通りの吸気通路がある。上からの吸気通路162は、ホース7に連通しており、ホース7には延長管5が取り付けられている。
【0043】
図1に実線で示すように、延長管5は、内側延長管52を外側延長管51の内側に収容し、さらに回動軸6を中心にして折りたたんで、掃除機本体1の外側に収容することができる。延長管5をこのように折りたたんで収容すると、内側延長管52に接続されている可動ブラシ9が差込口10に収まる。可動ブラシ9が差込口10に収容されている場合、可動ブラシ9の吸込口が塞がれて、可動ブラシ9からは外気を吸引することができない。このとき、外気は吸込口8からのみ吸引される。吸込口8で吸引された吸気は、下からの吸気通路161、導入口163を通って集塵室12へと運ばれる。また、この場合、吸気通路が下からの吸気通路161の一経路となるため、電動送風機11に供給する電力が同じでも吸込口8の吸引力が大きくなり、ごみの吸い込み力が向上する。
【0044】
一方、可動ブラシ9を差込口10から外すと、可動ブラシ9からも外気の吸引を行うことができる。掃除機本体1内にある集塵室12へ導かれる吸気通路160を、下からの吸気通路161と、上からの吸気通路162の二経路にすることで、可動ブラシ9を本体の差込口10から取り外したときに可動ブラシ9の先端からごみを吸い込むことが可能となる。また、このように吸気通路を二経路に分散させることで、吸引時の風切音の低減効果が得られる。
【0045】
図1に示すように、実線で示した状態から二点鎖線の上体へ延長管を伸ばして高所の掃除をすることができる。回動部6を中心に延長管5を回転させて、可動ブラシ9を差込口10から外し、延長管5全体を掃除機本体1から引き出す。次に内側延長管52を外側延長管51から引き出す。このようにすることにより、掃除機本体1は地面200上に置いたまま、把手2を手でささえながら高所の掃除をすることができる。延長管5の長さは、数段階に調節することができる。
【0046】
図1に一点鎖線で示すように、さらに回動部6を掃除機本体1から取り外し、ホース7を伸ばすことで、ベッドの下の奥など、高さはないが吸込口8からの吸引では掃除が不十分になる所も容易に掃除することができる。
【0047】
このように、延長管5の長さを調節することで、掃除機本体1を使用者の傍らに置いて把手2を持って支えながら、棚の上やベッドの下の奥のような、掃除機本体1の下に設けられた吸込口8からの吸引ができない場所でも、可動ブラシ9からの吸引によって掃除することができる。
【0048】
図6は、延長管と、延長管の長さを固定する延長管ロックボタンとの関係を模式的に示す図である。
【0049】
図6に示すように、外側延長管51の内部に内側延長管52の一部が納められている。内側延長管52は外側延長管51から引き出すことができる。外側延長管51の内側延長管52側の端部には、延長管ロックボタン53が、軸54によって回動可能に外側延長管51に固定されている。延長管ロックボタン53は、ばね55によって外向き方向に付勢されている。延長管ロックボタン53の一方端部には操作部が配置され、他方端部にはピン56が固定されている。延長管ロックボタン53の操作部が、ばね55により外側延長管51の外側に付勢されることによって、ピン56を内側延長管52の凹部57にはめ込むことで、内側延長管52と外側延長管51とが連結固定される。また、延長管ロックボタン53の操作部を外側延長管51側に向かって押して、延長管ロックボタン53を回動させて、ピン56を内側延長管52の凹部57から抜くことで、内側延長管52と外側延長管51との連結固定状態が解かれ、内側延長管52を外側延長管51から引き出したり、外側延長管51内に押し入れたりすることができる。内側延長管52の凹部57は内側延長管52の端から異なる三つの距離に合計三箇所あり、外側延長管51から引き出す内側延長管52の長さを三段階に調節できる。
【0050】
図7は、縦型掃除機を使用して掃除を行っている状態を示す図である。
【0051】
図7に示すように、縦型掃除機100は、使用者300が立ち姿勢で、把手2を用いて掃除機本体1を支えながら掃除を行うことができる。高所や隙間の掃除の際には、片手で延長管5の回動軸6付近を握り、延長管5やホース7を伸ばし、もう片方の手で把手2を握って掃除機本体1の姿勢を保持するので、掃除機本体1を地面に置いたままで、掃除機本体1から離れた場所の掃除もできる。延長管5を伸ばして高所を掃除する際にも、掃除機本体1は地面に置いたままで、把手2の高さを調節して片手で掃除機本体1を支えることができるので、腕が疲れずに掃除ができる。さらに、把手2に電源スイッチが配置されているので、片手で把手2を握ったままで電動送風機11の運転を切り替えることができる。
【0052】
さらに、図3から理解されるように、把手2が掃除機本体1内に収容された状態では、電力供給コード16の電源プラグ14を引き出す引出口15が、把手2の下に配置される。
【0053】
縦型掃除機100は、把手2を収容した状態での掃除機本体1の高さが600mm〜800mmの範囲となるように構成されている。電力供給コード16を巻き取ったコードリール13は、掃除機本体1内部に、把手2と平行な向きに配置している。電源プラグ14の引出口15の地面200からの高さH(図1)は、従来の縦型掃除機よりも高い500〜600mmの範囲の高さとしている。引出口15は、掃除機本体1において、後ろ向きに、つまりホース7や吸込口8と反対の面に配置され、把手2の下部2bを掃除機本体1内に収容すると、把手2のすぐ下に引出口15が位置する。
【0054】
このようにすることにより、把手2の下部2bを掃除機本体1内に収容し、把手2を手で握って縦型掃除機100を運搬した後、使用者が腰をかがめることなく、そのままの姿勢で電力供給コード16の電源プラグ14を引出口15から引き出して、掃除を開始することができる。このように、使用者が腰をかがめずに掃除機の運搬から掃除開始までの操作を行うことが可能であるため、使いやすい、使用していて疲れのない縦型掃除機を提供することができる。
【0055】
以上に開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考慮されるべきである。本発明の範囲は、以上の実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての修正や変形を含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の一つの実施の形態として、縦型掃除機を示す図である。(A)は、縦型掃除機の概略的な全体の側面図、(B)は(A)を左側から見た背面図である。
【図2】把手の一部が掃除機本体内に収容されて固定された状態を示す図である。
【図3】把手が掃除機本体から引き出された状態を示す図である。
【図4】把手を支えるパイプと、パイプを本体に固定する固定部材との関係を模式的に示す図である。
【図5】把手と、把手を支えるパイプの内部を示す図である。
【図6】延長管と、延長管の長さを固定する延長管ロックボタンとの関係とを模式的に示した図である。
【図7】縦型掃除機を使用して掃除を行っている状態を示す図である。
【符号の説明】
【0057】
1:掃除機本体、1:把手、3:パイプ、11:電動送風機、16:電力供給コード、14:電源プラグ、15:電源コード引出口、17:電源スイッチ、40:固定部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
把手と、
電動送風機を内部に収容する掃除機本体と、
前記把手を支持する支持部材とを備え、
前記掃除機本体は、前記支持部材を固定する固定部材を有し、
前記把手の一部と前記支持部材の一部とが前記掃除機本体内に収容されて前記支持部材が前記固定部材で固定された状態と、前記把手と前記支持部材の一部とが掃除機本体から外に出て前記支持部材が前記固定部材で固定された状態との間で前記把手と前記支持部材とは移動可能に設けられている、縦型電気掃除機。
【請求項2】
前記把手の表面に配置され、前記電動送風機の稼動と稼動停止とを切替可能な電源スイッチをさらに備える、請求項1に記載の縦型電気掃除機。
【請求項3】
前記電動送風機に外部から電力を供給するための電力供給コードが前記掃除機本体内に収容され、前記把手の一部と前記支持部材の一部とが前記掃除機本体内に収容されて前記支持部材が前記固定部材で固定された状態のとき、前記電力供給コードの引出口が前記把手の下に配置されている、請求項1または請求項2に記載の縦型電気掃除機。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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