説明

縦型電気掃除機

【課題】コードリールを有する構造と有さない構造の何れも安価に製造することができる縦型電気掃除機を提供すること。
【解決手段】コードリール3を有さない掃除機本体2に対して、この掃除機本体2とは独立した前記コードリール3を着脱可能とすることによって、前記コードリール3を有する型の縦型電気掃除機1と前記コードリール3を有さない型の縦型電気掃除機24とで前記掃除機本体2を共通化することができるばかりでなく、前記コードリール3に巻かれる一次側電源コード18や電源プラグ20の仕様が異なる場合であっても、前記コードリール3を変更することで、前記掃除機本体2を共通化することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交流電源等の外部電源によって作動可能な縦型電気掃除機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の縦型電気掃除機としては、電源コードの不使用時にこの電源コードを巻き取っておくコードリールが掃除機本体内に組み込まれているもの(例えば、特許文献1参照。)や、電源コードの不使用時にこの電源コードを掃除機本体に設けられたフックに巻き付けておくもの(例えば、特許文献2参照。)が知られている。前者の構造では、必要な長さの電源コードを前記コードリールから簡単に引き出すことができるので、後者の構造に比べて電源コードが邪魔になりにくいという特長がある。一方、後者の構造では、掃除機本体内にコードリールが組み込まれていないので、前者の構造に比べて前記掃除機本体が単純で且つ小型であるという特長がある。このように、何れの構造の縦型電気掃除機も一長一短があるため、どちらの構造が優れているというのではなく、目的に応じて何れかの構造を採用することになる。
【特許文献1】特許第3205892号公報
【特許文献2】特開2000−189358号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、これらのような縦型電気掃除機においては、前者の構造の縦型電気掃除機と後者の構造の縦型電気掃除機を両方製造しようとした場合、夫々個別に設計する必要がある。即ち、前者の構造の掃除機本体を後者の構造に採用しようとした場合、コードリールを収容するための空間がデッドスペースとなるため、無駄に大きくなってしまうという問題がある。一方、後者の構造の掃除機本体を前者の構造に採用しようとした場合、コードリールを収容するための空間が確保できないという問題がある。従って、前者の構造の縦型電気掃除機と後者の構造の縦型電気掃除機を両方製造する場合、部品の共通化という観点からコストダウンが難しいという問題があった。また、国毎に交流電源の電圧や電源プラグの形状が異なっているため、電源コードや電源プラグも国毎に変えなければならないので、国毎に仕様の異なる縦型電気掃除機を製造しなければならないという問題もあった。
【0004】
本発明は以上の問題点を解決し、コードリールを有する構造と有さない構造の何れも安価に製造することができる縦型電気掃除機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1に記載の縦型電気掃除機は、掃除機本体を有する縦型電気掃除機において、前記掃除機本体とは独立したコードリールを前記掃除機本体に対して着脱可能に設けたものである。
【0006】
また、本発明の請求項2に記載の縦型電気掃除機は、請求項1において、前記コードリールが、前記掃除機本体を構成するハンドル部に取り付けられているものである。
【0007】
また、本発明の請求項3に記載の縦型電気掃除機は、請求項1乃至2において、前記コードリールが、外部の電源に接続するための一次側電源コードと、前記コードリールと掃除機本体を接続するための二次側電源コードを有するとともに、前記掃除機本体に、前記二次側電源コードの先端に設けられたプラグを接続するためのプラグ受けを設けたものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の請求項1に記載の縦型電気掃除機は、以上のように構成することにより、コードリールが収容されていない前記掃除機本体に対して、この掃除機本体とは独立した前記コードリールが着脱可能であることによって、コードリールが収容されていない型の縦型電気掃除機と前記掃除機本体を共通化することができるばかりでなく、コードリールの仕様が異なる場合であっても、前記コードリールを変更して前記掃除機本体を共通化することができる。
【0009】
また、前記掃除機本体を構成するハンドル部に前記コードリールを取り付けることによって、前記コードリールを使用者の把持位置の近くにすることができるので、電源コードの引き出しを容易に行うことができるばかりでなく、突出した前記コードリールが吸引ノズルから離れた位置となるので、清掃時等に前記掃除機本体を大きく傾けたとしても、前記コードリールが床等に接触しないようにすることができる。
【0010】
更に、前記コードリールと掃除機本体を接続するための二次側電源コードの先端に設けられたプラグを接続するためのプラグ受けを前記掃除機本体に設けたので、予め製造されている前記掃除機本体に対して、前記プラグ受けに前記プラグを差し込んで前記コードリール又は電源コードを取り付けることで、何れかの型の縦型電気掃除機を容易に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図1乃至図4に基づいて説明する。1は本発明の縦型電気掃除機である。この縦型電気掃除機1は、掃除機本体2と、この掃除機本体2とは独立して設けられたコードリール3とを有して構成されている。そして、前記掃除機本体2は、内部に図示しない電動送風機等が収容された機構部4と、集塵部5と、吸引ノズル6と、ハンドル部7とを有して構成されている。また、前記機構部4には、プラグ受け8と第一フック9が設けられている。更に、前記機構部4の上端部には、螺子10によって、前記ハンドル部7のパイプ部11の下端部が着脱可能に取り付けられている。また、前記ハンドル部7のパイプ部11の上端部には、握り部12が取り付けられており、この握り部12にスイッチ操作部13と第二フック14が設けられている。なお、前記第二フック14には、コード保持部14Aが形成されている。
【0012】
前記コードリール3は、電源コードを巻き取るための巻取部15と、前記コードリール3を前記掃除機本体2に取り付けるための取付部16とを有している。そして、前記巻取部15には、図示しない巻枠と、押し釦17と、一次側電源コード18と二次側電源コード19とが設けられている。なお、前記巻枠には、一次側電源コード18が巻き付けられている。そして、前記一次側電源コード18の先端には、図示しない家庭用交流電源に接続するための電源プラグ20が設けられている。また、前記二次側電源コード19の先端にはプラグ21が設けられており、このプラグ21が前記プラグ受け8に対して着脱自在に接続される。更に、前記取付部16は筒状に形成されており、この取付部16に前記ハンドル部7のパイプ部11が挿入されている。なお、前記取付部16の内径は、前記パイプ部11の外径とほぼ等しく形成されている。また、前記コードリール3は、前記パイプ部11の軸方向に沿って移動可能に構成されている。
【0013】
なお、この縦型電気掃除機1は、図3に示すように、前記ハンドル部7のパイプ部11から前記コードリール3を取り外し、電源コード22の先端に取り付けられたプラグ23を前記掃除機本体2に設けられた前記プラグ受け8に差し込むことで、コードリールを有さない型の縦型電気掃除機24とすることができる。そして、このようなコードリールを有さない型の縦型電気掃除機24では、不使用時において、前記電源コード22が前記第一フック9と第二フック14との間に巻き付けられて収納されるように構成されている。
【0014】
次に、本実施形態の作用について説明する。まず、使用者は前記コードリール3から前記一次側電源コード18を引き出し、前記電源プラグ20を図示しない家庭用交流電源に差し込む。なお、この際、前記コードリール3が前記ハンドル部7のパイプ部11、即ち使用者の把持位置の近くに取り付けられていることで、使用者が前記握り部14を把持した状態で前記電源プラグ20を掴み、前記一次側電源コード18を容易に引き出すことができる。また、前記一次側電源コード18を前記コード保持部14Aで保持することで、前記一次側電源コード18が邪魔にならないようにすることができる。そして、前記スイッチ操作部13を操作することで、前記掃除機本体2の機構部4内に設けられたスイッチが閉じられて図示しない電動送風機が作動する。そして、このように前記電動送風機が作動することで、塵埃を含んだ気流が前記吸引ノズル6から前記集塵部5に流入し、この集塵部5内で塵埃が分離され、この塵埃が分離された気流が前記機構部4の排気口4Aから排出される。このようにして、塵埃が前記集塵部5内に溜められる。
【0015】
なお、前記コードリール3が前記ハンドル部7のパイプ部11、即ち前記吸引ノズル6から離れた位置に取り付けられていることで、図4に示すように、清掃時等に前記掃除機本体2を大きく傾けたとしても、前記コードリール3が床F等に接触しないようにすることができる。また、前記コードリール3が前記ハンドル部7のパイプ部11の軸方向に沿って移動可能に構成されていることで、不使用時に、直立状態の前記縦型掃除機1における前記パイプ部11の最下部に前記コードリール3を配置し、前記縦型電気掃除機1全体の重心をなるべく低くすることができる。そして、前記縦型電気掃除機1では、前記コードリール3が前記パイプ部11の最下部にあっても前記コードリール3が床F等に接触しないので、図4では前記コードリール3が前記パイプ部11の最下部にある状態で前記縦型電気掃除機1を大きく傾けた状態を示したが、前記掃除機本体2の構造によっては、前記コードリール3が床Fに接触しやすい場合もあり得る。この場合、前記コードリール3を前記ハンドル部7のパイプ部11の軸方向に沿って前記握り部14の近傍、即ち前記吸引ノズル7から離れた位置に移動させることで、前記コードリール3が床Fに接触しにくいようにすることができる。
【0016】
一方、製造者は、前記ハンドル部7が取り付けられていない状態の前記掃除機本体2を予め組み立てて用意しておき、この状態の掃除機本体2を任意に前記縦型電気掃除機1又は24にすることができる。即ち、前記ハンドル部7のパイプ部11を前記コードリール3の取付部16に挿入した後、前記パイプ部11を前記掃除機本体2に差し込み、前記螺子10によって前記パイプ部11を前記掃除機本体2に固定し、更に前記二次側電源コード19のプラグ21を前記掃除機本体2のプラグ受け8に差し込むことで、縦型電気掃除機1が製造される。また、前記ハンドル部7のパイプ部11を前記掃除機本体2に差し込み、前記螺子10によって前記パイプ部11を前記掃除機本体2に固定し、更に前記電源コード22のプラグ23を前記掃除機本体2のプラグ受け8に差し込むことで、縦型電気掃除機24が製造される。このように、共通の掃除機本体2を用いて、前記コードリール3を有する型の縦型電気掃除機1と前記コードリール3を有さない型の縦型電気掃除機24を製造することができるので、前記コードリール3と電源コード22を除く全ての部品要素を共通化することができ、これによって、前記縦型電気掃除機1と縦型電気掃除機24の両方を製造する場合でも、コストアップを最小限に抑えることができる。また、前記掃除機本体2に、前記プラグ21又はプラグ23が差し込まれる前記プラグ受け8を設けることで、前記掃除機本体2を組み立てる際に、前記コードリール3の二次側電源コード19又は電源コード22を前記機構部4内の電気要素と直接接続する必要がないので、部品の共通化だけでなく、前記掃除機本体2というユニットの共通化を図ることができ、これによって、前記縦型電気掃除機1と縦型電気掃除機24の両方を容易に製造することができる。また、国毎の電源仕様に対応させる場合、同じ電圧のグループで共通の前記掃除機本体2を用意しておき、国毎の電源プラグ形状に対応させた前記コードリール3又は電源コード22を前記掃除機本体2に接続することで、容易に各国仕様の前記縦型電気掃除機1又は縦型電気掃除機24を製造することができる。
【0017】
以上のように本発明は、コードリール3を有さない掃除機本体2に対して、この掃除機本体2とは独立した前記コードリール3を着脱可能とすることによって、前記コードリール3を有する型の縦型電気掃除機1と前記コードリール3を有さない型の縦型電気掃除機24とで前記掃除機本体2を共通化することができるばかりでなく、前記コードリール3に巻かれる一次側電源コード18や電源プラグ20の仕様が異なる場合であっても、前記コードリール3を変更することで、前記掃除機本体2を共通化することができるものである。
【0018】
また、本発明は、前記掃除機本体2を構成するハンドル部7に前記コードリール3を取り付けることによって、前記コードリール3を使用者の把持位置の近くにすることができるので、前記一次側電源コード18の引き出しを容易に行うことができるばかりでなく、突出した前記コードリール3が吸引ノズル6から離れた位置となるので、清掃時等に前記掃除機本体2を大きく傾けたとしても、前記コードリール3が床F等に接触しないようにすることができるものである。
【0019】
更に、本発明は、前記コードリール3と掃除機本体2を接続するための二次側電源コード19の先端に設けられたプラグ21又は電源コード22のプラグ23を接続するためのプラグ受け8を前記掃除機本体2に設けたので、予め製造されている前記掃除機本体2に対して、前記プラグ受け8に前記プラグ21又はプラグ23を差し込んで前記コードリール3又は電源コード22を取り付けることで、何れの型の縦型電気掃除機1,24も容易に製造することができるものである。
【0020】
なお、本発明は以上の実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、上記実施形態では、筒状の前記取付部にパイプ部を挿入することで、前記コードリールを前記掃除機本体に取り付けているが、これ以外の取り付け方、例えば、本実施形態とは異なる形状の取付部を用いて前記パイプ部を挟持することで、前記コードリールを前記掃除機本体に取り付けるようにしてもよい。また、上記実施形態では、前記コードリールを前記ハンドル部のパイプ部に取り付けているが、これ以外の位置、例えば握り部に取り付けてもよい。更に、前記コードリールの向きは適宜変更してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施例を示す縦型電気掃除機の側面図である。
【図2】同上、要部の拡大図である。
【図3】同上、コードリールを取り外して電源コードを取り付けた状態における側面図である。
【図4】同上、使用状態における側面図である。
【符号の説明】
【0022】
1 縦型電気掃除機
2 掃除機本体
3 コードリール
7 ハンドル部
8 プラグ受け
18 一次側電源コード
19 二次側電源コード
21 プラグ
24 縦型電気掃除機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
掃除機本体を有する縦型電気掃除機において、前記掃除機本体とは独立したコードリールを前記掃除機本体に対して着脱可能に設けたことを特徴とする縦型電気掃除機。
【請求項2】
前記コードリールが、前記掃除機本体を構成するハンドル部に取り付けられていることを特徴とする請求項1記載の縦型電気掃除機。
【請求項3】
前記コードリールが、外部の電源に接続するための一次側電源コードと、前記コードリールと掃除機本体を接続するための二次側電源コードを有するとともに、前記掃除機本体に、前記二次側電源コードの先端に設けられたプラグを接続するためのプラグ受けを設けたことを特徴とする請求項1乃至3記載の縦型電気掃除機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2008−48922(P2008−48922A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−228486(P2006−228486)
【出願日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【出願人】(000109325)ツインバード工業株式会社 (176)
【Fターム(参考)】