説明

縦管底部の接続構造及び縦管底部の接続方法

【課題】 下流管路とを接続する接続管を容易に配設可能とするとともに、接続管設置のための各種の調整作業が軽減させて作業効率を高める。
【解決手段】 螺旋案内路3を備える縦管1の底部が、コンクリート構造部14により支持され、コンクリート構造部14は、内径が接続管6の外径より大きい略円筒状の貫通孔141を備える。コンクリート構造部14の上面には、第1の接続口51を有する円盤状の底版5を設ける。下流管路13の周面に開設された第2の接続口131と、前記第1の接続口51との間に、貫通孔141を挿通させて接続管6が配設される。接続管6と貫通孔141との間隙は、硬化性充填剤で充填される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、縦管底部の接続構造及び縦管底部の接続方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下水を垂直方向に流下させる際の流速を減速させる手段として、例えば、特許文献1、2等に記載されているように、垂直下水管路(ドロップシャフト)を用いる方法が知られている。この種の垂直下水管路は、垂直に配置された直管状の管本体部の内部に、下水が螺旋形状を描きながら流下するように案内するための螺旋案内路が設けられている。これにより、縦管に流入した下水を旋回流とすることができ、下水の流下エネルギーを減衰させて縦管底部まで導くので、縦管底部が大きな衝撃を受けるのを回避でき、摩耗したり破損したりするのを抑制することが可能となっている。
【0003】
この種の縦管では、底部が、下流側幹線や下水道本管等の下流管路に接続されている。底部には、縦管本体部よりも口径の小さい接続管が備えられ、縦管を流下した下水が、接続管を介して下流管路内に合流するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−210062号公報
【特許文献2】特開2002−146894号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような縦管では、底部に設けられたコンクリート構造部を円筒状に穿孔し、いわゆる「箱抜き」と呼ばれる、接続管を挿通するための貫通孔を設けている。下流管路の頂部又は側部の周面には、接続管との接続口が設けられる。接続管は、縦管の底部から前記箱抜きを通して接続口に落とし込まれ、止水及び固定して接続されている。ところが、前記箱抜きを介した接続管の接続作業は、下流管路の接続口との取り合いが難しく、前記箱抜きの開口部と接続口の開口位置とが合致しない場合も多々あった。そうすると、底部のコンクリート構造部を再度、穿孔し、前記箱抜きの開口部を拡径する等の調整作業が必要となっていた。このような調整作業は、施工期間の長期化と施工費の増加を招き、作業効率も低下することから、できるだけこのような調整作業を要しないような接続構造とすることが求められた。
【0006】
そこで本発明は、上記のような問題点にかんがみてなされたものであり、その目的とするところは、螺旋案内路を設けた縦管の底部と、下流管路とを接続する接続管を容易に配設することが可能な構成とし、接続管設置のための各種の調整作業を不要にして作業効率を高めるとともに、縦管の底部に要求される耐震強度を確保することのできる縦管底部の接続構造及びその接続方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の目的を達成するための本発明の解決手段は、上流管路からの流水を螺旋案内路により螺旋状に流下させる縦管と、この縦管底部からの流水を合流させる下流管路とを、前記縦管より小口径の接続管により接続する縦管底部の接続構造を前提とする。この縦管底部の接続構造として、前記縦管の底部は、少なくとも下面側がコンクリート構造部により支持され、このコンクリート構造部に、内径が前記接続管の外径より大きい略円筒状の貫通孔を備えさせる。前記コンクリート構造部の上面には、縦管の底部を構成するとともに、第1の接続口を有する円盤状の底版を備えさせ、前記前記下流管路の周面には、前記貫通孔に接続可能な第2の接続口を備えさせる。そして、前記貫通孔を介して前記第1の接続口と前記第2の接続口との間に前記接続管を配設して、前記接続管と前記貫通孔との間隙を硬化性充填剤で充填した構成としている。
【0008】
この特定事項により、前記縦管の底部と前記下流管路とを接続する接続管を、この接続管の外径より大きい内径を有する貫通孔に挿通させて配設することとなる。そのため、前記貫通孔の内部で、前記第1の接続口と前記第2の接続口との芯ずれが許容され、前記接続管と前記第2の接続口との接続作業を容易に行うことができる。したがって、施工現場において、コンクリート構造部に対する付加的な拡径作業や前記第2の接続口の開口位置の修正など、接続管設置のための各種の調整作業が不要となり、作業効率を高めることができる。また、前記接続管と前記貫通孔との間隙が硬化性充填剤で充填されるので、縦管と下流管路との一体性が高められ、耐震強度も向上させることができる。
【0009】
前記縦管底部の接続構造のより具体的な構成として次のものが挙げられる。つまり、前記底版として、前記第1の接続口の周囲に、硬化性充填剤を注入するための複数の注入孔を備えさせた構成としている。
【0010】
これにより、前記底版の注入孔から、前記接続管と前記貫通孔との間隙に硬化性充填剤を容易に注入することが可能であり、該底版による縦管の底部の被覆強度を低下させることなく、前記縦管と下流管路とを一体化することができる。
【0011】
また、前記注入孔として、前記接続管の外周面と前記貫通孔の内周面との間隙寸法より大きい孔径を有する構成であることが好ましい。
【0012】
これにより、前記接続管と前記貫通孔との間隙に硬化性充填剤を隙間無く充填することが容易となり、注入された硬化性充填剤により、縦管の底版と前記コンクリート構造物との一体性も高めることが可能となる。
【0013】
上述した各解決手段に係る縦管底部の接続構造を実現するための縦管底部の接続方法も本発明の技術的思想の範疇である。つまり、上流管路からの流水を螺旋案内路により螺旋状に流下させる縦管と、この縦管底部からの流水を合流させる下流管路とを前記縦管より小口径の接続管により接続する縦管底部の接続方法を前提とする。この縦管底部の接続方法として、前記縦管の底部を支持するコンクリート構造部に、前記接続管の外径より大きい内径を有する略円筒状の貫通孔を形成し、この貫通孔に接続させて、前記下流管路の周面に第2の接続口を開設し、前記接続管を、前記貫通孔に挿通して下端部を前記第2の接続口に接続させ、前記縦管の底部に、第1の接続口を有する円盤状の底版を配設し、この底版の第1の接続口の周囲に、硬化性充填剤を注入するための複数の注入孔を穿設し、前記注入孔から硬化性充填剤を注入して、前記接続管と前記貫通孔との間隙を硬化性充填剤で充填する構成としている。
【0014】
このような縦管底部の接続方法により、縦管の底部から下流管路に接続管を接続するに際し、コンクリート構造部に設けた貫通孔を拡径する等の調整作業が一切不要となり、接続管と、前記第1の接続口及び第2の接続口との双方への接続作業を、極めて容易に行うことができる。その結果、施工作業の労力を軽減することができるとともに、施工に要する時間の短縮化を図ることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明では、コンクリート構造部に、内径が接続管の外径より大きい略円筒状の貫通孔を備えさせ、下流管路の周面の第2の接続口に対して、接続管を容易に接続可能な構成としている。このため、施工現場において、コンクリート構造部に対する付加的な拡径作業や前記第2の接続口の開口位置の修正など、接続管設置のための各種の調整作業が不要となり、作業効率を高めることができる。また、前記接続管と前記貫通孔との間隙を、底版に設けた注入孔を介して硬化性充填剤により充填する構成としたので、底版の被覆強度を低下させることなく縦管と下流管路との一体性を高め、耐震強度も向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係る縦管の全体構成を一部断面により示した説明図である。
【図2】本発明の実施形態に係る縦管底部の接続構造を示す拡大断面図である。
【図3】図2における縦管底部の接続構造の詳細及びその接続方法を説明する部分拡大断面図である。
【図4】図3の次工程に係る部分拡大断面図である。
【図5】図4の次工程に係る部分拡大断面図である。
【図6】図2の縦管底部を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態に係る縦管底部の接続構造及び縦管底部の接続方法について、図面を参照しつつ説明する。
【0018】
図1は、下水道用縦管(以下、単に縦管という。)の全体構成の概略を一部断面により示した説明図であり、図2は、前記縦管底部の施工途中における拡大断面図である。なお、図1においては、下流管路13の周面の側部上方に接続管6が接続された形態を示しており、説明の便宜上、縦管1及び流入桝12を断面により図示している。
【0019】
縦管1は、高落差接合となる下水道用管として直管状の縦管本体2を備える。縦管1は、上部に接続する上流管路11から流入した下水を流下させて、幹線下水道等の下流管路13へ排出する構成とされている。縦管本体2の材質としては、塩化ビニル樹脂、オレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、メタクリル樹脂等の熱可塑性樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂、又は、これらの樹脂を、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、ビニロン繊維等の繊維によって強化した繊維強化プラスチックが挙げられる。例示の形態に係る縦管本体2は内径寸法が2800mmのものである。ただし、これ以外の寸法のものに対しても本発明は適用可能である。
【0020】
縦管1は、下水の流入枡12を上端部に備えている。流入枡12には、複数の上流管路11が接続されている。流入枡12に接続する縦管本体2内には、螺旋状に成形された板状体を備える螺旋案内路3が設けられている。螺旋案内路3の螺旋ピッチは、縦管本体2の長さや、流下させる下水の計画流量及び必要速度等に応じて、適宜選択される。
【0021】
螺旋案内路3の中心部には、内部が中空とされた中心筒4が設けられている。この中心筒4は、例えば縦管本体2の内径の約1/3の管径を有する小口径の円筒管を用いて形成され、縦管本体2と同心状に配設されている。図1に示すように、中心筒4の上端は、上流管路11の管頂よりも上方位置まで延出され、流入枡12内に開放されている。螺旋案内路3の中心筒4は、流下する下水に含まれる空気を排出する作用をなし、空気連行量を低減させる。
【0022】
例示の形態では、縦管本体2は、複数の短管に分割されて形成されている。縦管本体2の各縦管部材21は、受け口22を介して互いに接続されている。図2に示すように、縦管本体2の下端部においては、縦管部材21の上端開口部の外周に、円筒状の短管からなる受け口22が一体状に設けられている。受け口22には、リング状の止水部材23が、全周に亘って取り付けられている。止水部材23は、例えばゴム製であって、縦管部材21に図示しない他の縦管部材21が接続された際に、他の縦管部材21の外周面と受け口22との間に挟持されて、接続部分の止水性能を発揮する。
【0023】
縦管1の底部は、少なくとも下面側がコンクリート構造部14により支持されている。このコンクリート構造部14は、例えば図1に示すように、縦管1を設置するための作業用の縦孔15が流入枡12の下方から下流管路13にかけて設けられ、この縦孔15にコンクリートが打設されて形成されている。コンクリート構造部14の下部には、縦管1からの下水が合流する下流管路13が配管されている。
【0024】
図2に示すように、縦管1と、下流管路13とは、接続管6を用いて接続されている。接続管6は、縦管本体2より小口径の直管状に形成されている。例示の形態では、接続管6には、外径が1444mm(内径1400mm)の鋼管が用いられ、表面に繊維強化プラスチック材が積層されている。
【0025】
縦管本体2の下端部には、流水の流出口を構成する第1の接続口51を有する円盤状の底版5が配設されている。底版5は、例えば厚さ10mm程度の一般構造用圧延鋼材からなり、表面に繊維強化プラスチック材が積層されて形成されている。底版5は、外径が縦管本体2の底部の内径よりも小さく形成されている。また、第1の接続口51は、口径が1444mmとされ、接続管6の外径に対応する大きさで、底版5の中心に設けられている。かかる底版5は、コンクリート構造部14の上面に敷設される。これにより、縦管本体2の底面が形成され、流下する下水に対する強度及び耐食性を確保している。
【0026】
コンクリート構造部14には、略円筒状の貫通孔141が形成されている。貫通孔141は、いわゆる「箱抜き」と呼ばれる、コンクリート構造部14に穿設される孔部に相当するものであり、上端部に前記第1の接続口51が接続可能であり、下端部には後述する下流管路13の第2の接続口131が接続可能となる位置に設けられる。貫通孔141は、接続管6の外径より大きい内径を有して形成されている。
【0027】
例示の形態では、貫通孔141は、接続管6の外径1444mmに対し、約40mmの余裕寸法を加えた1484mmの内径により形成されている。つまり、貫通孔141は、接続管6の両外側に約20mmずつの隙間を形成しうるように形成されている。
【0028】
下流管路13には、周面に第2の接続口131が設けられている。第2の接続口131は、下流管路13の上部側方に形成され、中心が管頂部よりも下方にずれて配設されている。これにより、縦管1を経た螺旋状の下水を、下流管路13の管頂部よりも低い位置で、かつ、下流管路13の中心軸から側方へずれた位置より合流させるように構成されている。
【0029】
接続管6は、コンクリート構造部14の貫通孔141を介して、底版5の第1の接続口51と下流管路13の第2の接続口131との間に配設されている。接続管6は、下端部に、エポキシ樹脂、若しくはポリエステル樹脂等を含むシール剤、又はモルタル等の硬化性充填剤が塗布されて、第2の接続口131との間の止水処理がなされている。
【0030】
なお、接続管6は、下端部の外周面に、あらかじめ、第2の接続口131との間を止水する環状のシールゴムが装着された構成であってもよい。これにより、接続管6を貫通孔141に落とし込み、下流管路13の第2の接続口131に嵌入させることで、シールゴムが隙間を封止し、接続と同時に止水処理を行うことができる。
【0031】
一方、接続管6の上端部は、底版5の第1の接続口51に接続される。図3〜図5は、図2における底版5の第1の接続口51と接続管6との接続部分を、その接続作業の工程ごとに示した部分拡大断面図である。図6は、図2の縦管1の底部を示す上面図である。
【0032】
図3では、接続管6は、コンクリート構造部14の貫通孔141に挿通され、上端部が底版5の第1の接続口51に臨むように配設された状態を示している。底版5には、第1の接続口51の近傍に、硬化性充填剤を注入するための注入孔52が設けられている。また、図6に示すように、注入孔52は、第1の接続口51の外周に沿って複数箇所に均等間隔で設けられている。例示の形態では、注入孔52は第1の接続口51の周囲8箇所に設けられている。
【0033】
具体的に、注入孔52は、接続管6の外周面と貫通孔141の内周面との間隙寸法より大きい孔径により形成されている(図3等参照)。この場合、接続管6の外径が1444mmであり、貫通孔141の内径が1484mmであることより、設計上の間隙寸法は20mmとなる。これに対し、注入孔52は、孔径が30mmで形成されている。このため、注入孔52は、接続管6の外周面と貫通孔141の内周面との間隙の上部、及びコンクリート構造部14の上面の双方に跨るように開口されている。注入孔52は、このように、接続管6と貫通孔141の間隙寸法より10mm程度大きい孔径により形成されることが好ましい。
【0034】
図4に示すように、接続管6と貫通孔141との間隙は、注入孔52から硬化性充填剤7が注入されて充填される。注入孔52が前記のような孔径により形成されていることから、硬化性充填剤の硬化によって貫通孔141と接続管6とを一体化させるだけでなく、接続管6と底版5、及び底版5とコンクリート構造部14をともに一体化させることができる。硬化性充填剤7には、常温で硬化する無収縮モルタルが好適であり、接続管6と貫通孔141との間隙に注入されて隙間無く埋めるものとなる。
【0035】
硬化性充填剤7は、その充填面が注入孔52の内側に納まるように充填される。その後、図5に示すように、注入孔52に仕上げ材8が装填される。この仕上げ材8を底版5の仕上げ材と共通のものとすることにより、縦管1の底面を均一に形成することができる。すなわち、この場合、注入孔52内の硬化性充填剤7の上に繊維強化プラスチック材を積層し、表面を均すことによって、注入孔52が埋設される。底版5は、凹凸のない均一な表面仕上げとされ、耐久性及び耐食性を確保することができる。
【0036】
以上のような構成により、接続管6は、縦管本体2の底版5と、下流管路13の第2の接続口131とに一体的に接続されている。このため、下水を縦管1内から接続管6を通して円滑に排出することができ、漏水等を生じるおそれもない。また、接続管6は、コンクリート構造部14に対して隙間無く固定されているので、振動に対する強度が高められ、耐震性も向上する。
【0037】
次に、上記のような縦管1の底部と下流管路13とを接続管6により接続する施工方法について説明する。先ず、下流管路13において、周面に第2の接続口131を開設する。第2の接続口131は、下流管路13の内面側から開設する。第2の接続口131の内径は、接続管6の外径寸法に対応させる。
【0038】
一方、縦管本体2の底部を支持するコンクリート構造部14に、下流管路13へ接続するための貫通孔141を形成する。貫通孔141は、接続管6の外径より大きい内径にて略円筒状に形成する。前記のとおり、縦管本体2は、複数の縦管部材21を積み上げて形成する構成であることが好ましい。図2に示すように、かかる底部の接続作業に際しては、コンクリート構造部14の上面に、最下部の縦管部材21だけを配設した状態とする。そして、底部における接続作業の完了後に、上層の他の縦管部材21を順次接続し、縦管本体2を構築する。
【0039】
次に、接続管6を、コンクリート構造部14の貫通孔141に挿通する。これにより、接続管6の下端部と下流管路13の第2の接続口131とを接続する。このとき、接続管6の下端部を、第2の接続口131に到達させるように貫通孔141に落とし込む。貫通孔141の軸心と第2の接続口131の中心とが厳密に合致して形成されていなくとも、前記のとおり、余裕寸法をもって貫通孔141が形成されているので、この貫通孔141の内部で接続管6の位置を調整することができる。すなわち、接続管6を、貫通孔141と同心状に配設する必要はなく、貫通孔141を介して第2の接続口131に接続されればよい。貫通孔141の内径は接続管6の外径より大きいことから、貫通孔141の拡径作業等の付加的な作業を行わずとも、第2の接続口131に対して接続管6の下端部を容易に接続することができる。
【0040】
次に、下流管路13の内部から、接続管6と第2の接続口131との止水処理を行う。接続管6の下端部外周面にシールゴム等を装着した構成とすることにより、かかる止水処理を不要としてもよい。
【0041】
次に、縦管本体2の底部に、底版5を配設する。底版5は、外径が縦管本体2の底部内径よりも小さく形成されている。また、底版5は、流水の流出口を形成するための第1の接続口51を備えて円盤状に形成されている。第1の接続口51は、接続管6の外径に対応する内径寸法により形成されている。この第1の接続口51の周囲には、複数の注入孔52が穿設されている。注入孔52は、接続管6と貫通孔141の間隙寸法より10mm程度大きい孔径で形成されている。このような底版5の第1の接続口51を、接続管6の上端部に嵌合しつつ、コンクリート構造部14の上面に底版5を配設する(図3参照)。
【0042】
次に、底版5の注入孔52から硬化性充填剤7を注入する。図4に示すように、接続管6と貫通孔141との間隙を、隙間無く硬化性充填剤7で充填する。前記のとおり、注入孔52は接続管6と貫通孔141の間隙寸法より大きい孔径を有することから、接続管6が貫通孔141の軸心に対して偏心して配設されていても、接続管6と貫通孔141との間隙に硬化性充填剤7を容易に充填することができる。硬化性充填剤7は、その充填面を注入孔52の内側で納めるように注入されることが好ましい。
【0043】
次に、注入孔52に対して、接続管6及び底版5の表面仕上げと同じ仕上げ処理を行う。すなわち、硬化性充填剤7を注入後の注入孔52の凹部に、繊維強化プラスチック材(仕上げ材8)を積層し、底版5の表面を均一に仕上げる。これにより、底版5の注入孔52を底版5の表面と共通の仕上げ材により埋設することができる。よって、縦管本体2の底部を底版5で被覆保護し、凹凸の無い均一な底面を形成することができる。
【0044】
硬化性充填剤7が硬化することにより、貫通孔141と接続管6とが完全に一体化する。また、接続管6と底版5、及び底版5とコンクリート構造部14も、ともに一体化する。これにより、縦管本体2の底部が接続管6を介して下流管路13に一体的に接続され、耐震強度の高い接続構造とすることができる。
【0045】
かかる接続作業の完了後、図2に示す縦管部材21の上部に順に他の縦管部材21を接続し、縦管本体2を構築する。縦管本体2の外周部には無収縮モルタル等の充填剤が埋設され、縦管1の施工が完了する。
【0046】
以上説明したように、本形態では、縦管1の底部から下流管路13に接続管6を接続するに際し、コンクリート構造部14に設けた貫通孔141を拡径する等の付加的な調整作業が不要であり、接続管6と、縦管本体2の第1の接続口51及び下流管路13の第2の接続口131との接続作業を極めて容易に行うことができる。その結果、施工作業の労力を軽減することができるとともに、施工に要する時間の短縮化を図ることができる。
【0047】
なお、上述の実施形態では、縦管1には螺旋案内路3を備えた構成について説明したが、縦管1の構成はこれに限定されるものではなく、どのような形態の縦管1に対しても適用可能である。また、接続管6と下流管路13との接続位置も、上記形態に限定されるものではなく、どのような箇所から接続される構成であってもよい。また、コンクリート構造部14は、縦管1の底部の下面側だけでなく側面もともに支持する構造であってもよい。いずれの場合にも、上述の接続構造および接続方法とすることにより、効率よく施工作業を進めることが可能となり、かつ耐震性の向上を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、自然流下式の垂直下水管路等に好適に利用可能である。
【符号の説明】
【0049】
1 縦管
2 縦管本体
21 縦管部材
22 受け口
23 止水部材
3 螺旋案内路
4 中心筒
5 底版
51 第1の接続口
52 注入孔
6 接続管
7 硬化性充填剤
8 仕上げ材
11 上流管路
12 流入枡
13 下流管路
131 第2の接続口
14 コンクリート構造部
141 貫通孔
15 縦孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上流管路からの流水を螺旋案内路により螺旋状に流下させる縦管と、この縦管からの流水を合流させる下流管路とを、前記縦管より小口径の接続管により接続する縦管底部の接続構造であって、
前記縦管の底部は、少なくとも下面側がコンクリート構造部により支持されており、このコンクリート構造部には、内径が前記接続管の外径より大きい略円筒状の貫通孔が設けられ、
第1の接続口を有する円盤状の底版が前記コンクリート構造部の上面に備えられ、
前記下流管路の周面には、前記貫通孔の下端部に接続可能な第2の接続口が開設され、
前記接続管は、前記貫通孔を介して前記第1の接続口と前記第2の接続口との間に配設され、
前記接続管と前記貫通孔との間隙が硬化性充填剤で充填されたことを特徴とする縦管底部の接続構造。
【請求項2】
請求項1に記載の縦管底部の接続構造において、
前記底版は、前記第1の接続口の周囲に、硬化性充填剤を注入するための複数の注入孔を備えたことを特徴とする縦管底部の接続構造。
【請求項3】
請求項2に記載の縦管底部の接続構造において、
前記注入孔は、前記接続管の外周面と前記貫通孔の内周面との間隙寸法より大きい孔径により形成されたことを特徴とする縦管底部の接続構造。
【請求項4】
上流管路からの流水を螺旋案内路により螺旋状に流下させる縦管と、この縦管底部からの流水を合流させる下流管路とを前記縦管より小口径の接続管により接続する縦管底部の接続方法であって、
前記縦管の底部を支持するコンクリート構造部に、前記接続管の外径より大きい内径を有する略円筒状の貫通孔を形成し、
この貫通孔に接続させて、前記下流管路の周面に第2の接続口を開設し、
前記接続管を、前記貫通孔に挿通して下端部を前記第2の接続口に接続させ、
前記縦管の底部に、第1の接続口を有する円盤状の底版を配設し、この底版の第1の接続口の周囲に、硬化性充填剤を注入するための複数の注入孔を穿設し、
前記注入孔から硬化性充填剤を注入して、前記接続管と前記貫通孔との間隙を硬化性充填剤で充填することを特徴とする縦管底部の接続方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate