縦結合型弾性表面波フィルタ及び縦続接続型フィルタ
【課題】圧電基板上にIDT電極を3つ以上並べると共にこれらのIDT電極の両側に反射器を配置した縦結合型弾性表面波フィルタにおいて、通過周波数帯域における低域側の立ち上がりの急峻性を改善すること。
【解決手段】IDT電極11において、一方のバスバー13から互いに隣接して伸びる2本の電極指14、14の中心間の距離であるピッチ(配列間隔)の長さ寸法をPi1、第1の反射器12aにおいて第1のIDT電極11aに隣接するグレーティング電極17の中心線と、第1のIDT電極11aにおいて第1の反射器12aに隣接する電極指14の中心線と、の間の寸法をLとすると、寸法LをL<0.5Pi1の範囲となるように設定する。
【解決手段】IDT電極11において、一方のバスバー13から互いに隣接して伸びる2本の電極指14、14の中心間の距離であるピッチ(配列間隔)の長さ寸法をPi1、第1の反射器12aにおいて第1のIDT電極11aに隣接するグレーティング電極17の中心線と、第1のIDT電極11aにおいて第1の反射器12aに隣接する電極指14の中心線と、の間の寸法をLとすると、寸法LをL<0.5Pi1の範囲となるように設定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電基板上に3つ以上のIDT(インターディジタルトランスデューサ)電極を並べると共に、これらの複数のIDT電極の両側に反射器を配置した縦結合型弾性表面波フィルタ及び上記縦結合型弾性表面波フィルタを2つ縦続接続した縦続接続型フィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
昨今においては、通信機器例えば携帯電話の高機能化、高性能化の要求が著しく、また通信機器の種類の多様化が進んでいることから、各々の通信機器毎に通信帯域が割り当てられており、そのためこのような通信機器に利用される弾性表面波フィルタについても高性能化例えば広帯域化且つ低損失化が要求されている。
【0003】
現在のところ、上記の通信機器用のフィルタとしては、例えばタンタル酸リチウムやニオブ酸リチウムを圧電基板として用いた縦結合型弾性表面波フィルタが多く利用されている。この縦結合型弾性表面波フィルタは、圧電基板上に弾性表面波の伝搬方向に沿って複数のIDT(インターディジタルトランスデューサー)電極を並べると共に、この複数のIDT電極の両側に反射器を配置した構成となっており、0次モードと高次モードの共振モードを利用して通過周波数帯域が設定される。このようなフィルタにおいて、例えばIDT電極を3つ配置した場合にシミュレーションにより得られる周波数特性について、フィルタを1Ω終端した時及び50Ω終端した時の減衰特性を後述の図7に示すと、フィルタを1Ω終端した時に顕著になる0次モード及び2次モードのピーク位置が含まれるように、実際にフィルタをデバイスに実装した時(50Ω終端した時)の通過周波数帯域が設定されていることが分かる。
【0004】
しかし、この縦結合型弾性表面波フィルタでは、上記の図7から分かるように、通過周波数帯域の近傍におけるピークの立ち上がりについて良好な特性(急峻性)が得られず、これにより通過帯域の近傍における帯域外減衰量を大きくとることが難しかった。
特許文献1〜5にはこのようなフィルタについて記載されているが、上記の課題については何ら検討されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−58581(段落0017〜0021)
【特許文献2】特開2006−136005(段落0051)
【特許文献3】特開平4−40705(図1)
【特許文献4】特開平2−213212
【特許文献5】特開平3−119816
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明はこのような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、圧電基板上にIDTを3つ以上並べると共にこれらのIDTの両側に反射器を配置した縦結合型弾性表面波フィルタにおいて、通過周波数帯域における低域側の減衰特性の立ち上がりの急峻性を改善することのできる縦結合型弾性表面波フィルタ及びこの縦結合型弾性表面波フィルタを2つ縦続接続した縦続接続型フィルタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の縦結合型弾性表面波フィルタは、
圧電基板上に3つ以上のIDT電極を並べると共にこれらのIDT電極の両側に反射器を配置して構成した縦結合型弾性表面波フィルタにおいて、
互いに隣接する反射器のグレーティング電極と、IDT電極の電極指と、の間の中心間距離をL、IDT電極の電極指のピッチをPi1、とすると、
L<0.5Pi1に設定したことを特徴とする。
【0008】
また、本発明の縦結合型弾性表面波フィルタは、
圧電基板上に3つ以上のIDT電極を並べると共にこれらのIDT電極の両側に反射器を配置して構成した縦結合型弾性表面波フィルタにおいて、
前記反射器に隣接するIDT電極における前記反射器側からx(x:正数)本までの電極指のピッチをPi2、前記反射器側から(x+1)本以上離れたIDT電極の電極指のピッチをPi1、とすると、
0.9Pi1≦Pi2<Pi1に設定したことを特徴とする。
この場合において、前記IDT電極に隣接するy(y:正数)本の反射器のグレーティング電極のピッチをPr2、とすると、0.9Pi1≦2×Pr2<Pi1、に設定することが好ましく、更に互いに隣接する反射器のグレーティング電極と、IDT電極の電極指と、の間の中心間距離をLとすると、L<0.5Pi1に設定することが好ましい。
本発明の縦続接続型フィルタは、
上記縦結合型弾性表面波フィルタを2つ縦続接続して構成されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、圧電基板上に3つ以上のIDT電極を並べると共にこれらのIDT電極の両側に反射器を配置して構成した縦結合型弾性表面波フィルタにおいて、互いに隣接する反射器のグレーティング電極と、IDT電極の電極指と、の間の中心間距離をL、IDT電極の電極指のピッチをPi1とすると、L<0.5Pi1に設定し、あるいは反射器に隣接するIDT電極における反射器側からx(x:正数)本までの電極指のピッチをPi2、反射器側から(x+1)本以上離れた電極指のピッチをPi1、とした場合には0.9Pi1≦Pi2<Pi1に設定しているので、通過周波数帯域における低域側の減衰特性の立ち上がりの急峻性を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1の実施の形態の縦結合型弾性表面波フィルタの一例を示す平面図である。
【図2】上記のフィルタが形成された基板の一例を示す模式図である。
【図3】上記のフィルタにおいて励振される各モードを概略的に示した模式図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態の縦結合型弾性表面波フィルタの一例を示す平面図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態の縦結合型弾性表面波フィルタの一例を示す平面図である。
【図6】本発明の第4の実施の形態の縦結合型弾性表面波フィルタの一例を示す平面図である。
【図7】従来のフィルタにおいて得られる周波数特性を示す特性図である。
【図8】本発明の第1の実施の形態において得られるシミュレーション結果を示した特性図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態において得られるシミュレーション結果を示した特性図である。
【図10】本発明の第3の実施の形態において得られるシミュレーション結果を示した特性図である。
【図11】本発明の第4の実施の形態において得られるシミュレーション結果を示した特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[第1の実施の形態]
本発明の縦結合型弾性表面波フィルタの第1の実施の形態について、図1〜図3を参照して説明する。このフィルタ1は、図1に示すように、例えばタンタル酸リチウム(LiTaO3)からなる圧電基板10上に形成されている。この例では圧電基板10は、例えば図2に示すように、36°〜48°Yカット板であり、つまり圧電基板10をX軸方向から見たときに上面(後述のIDT電極11の形成される面)とY軸とのなす角度(切断角度)θが36°〜48°となるように切断した基板(36°回転Y板LiTaO3)である。従って、この圧電基板10上では当該圧電基板10の結晶軸のX軸に沿って弾性表面波が伝搬することになる。
【0012】
この圧電基板10上には、弾性波例えば弾性表面波の伝搬方向に沿って3つ以上例えば3つのIDT(インターディジタルトランスデューサ)電極11が配置されており、これらのIDT電極11を両側から挟むように、弾性表面波の伝搬方向に離間して2つの反射器12、12が形成されている。これらのIDT電極11及び反射器12は、各々所定の膜厚となっており、例えば圧電基板10上に金属例えばアルミニウムからなる膜を成膜し、次いでこの金属膜上に積層したマスク層を介してこれらのIDT電極11及び反射器12以外の領域をエッチングするフォトリソグラフィー法により形成される。IDT電極11は、各々弾性表面波の伝搬方向に沿って伸びる一対のバスバー13a、13bと、これらのバスバー13a、13bから相対向するように互い違いに櫛歯状に伸び出す多数本の電極指14と、を備えている。IDT電極11、11間の領域を間隙Sとすると、これらのIDT電極11は、各々一方側(この例では上側)のバスバー13aから伸びる電極指14、14がこの間隙Sに隣接するように配置されている。
【0013】
ここで、3つのIDT電極11について、図1中左側から右側に向かって夫々第1のIDT電極11a、第2のIDT電極11b、第3のIDT電極11cと呼ぶこととすると、入力側電極である第2のIDT電極11bの一方のバスバー13aは入力ポート15に接続され、他方のバスバー13bは接地されている。また、出力側電極である第1のIDT電極11a及び第3のIDT電極11cの一方側のバスバー13aは接地され、他方のバスバー13bは出力ポート16に接続されている。
反射器12、12は、IDT電極11の電極指14と平行に並ぶ多数本のグレーティング電極17と、弾性表面波の伝搬方向に沿って設けられ、これらの多数本のグレーティング電極17の一端側及び他端側を夫々接続するように形成された一対のバスバー18、18と、を備えている。この反射器12についても、図1中左側を第1の反射器12a、右側を第2の反射器12bと呼ぶこととする。尚、図1においては電極指14及びグレーティング電極17の本数を省略して描画している。また、図1ではIDT電極11及び反射器12について、圧電基板10上の領域と判別しやすいように、ハッチングを付してある。以下の図についても同様である。
【0014】
ここで、図1に示すように、IDT電極11aにおいて、一方のバスバー13から互いに隣接して伸びる2本の電極指14、14同士の中心間の距離であるピッチ(配列間隔)の長さ寸法をPi1、第1の反射器12aにおいて第1のIDT電極11aに隣接するグレーティング電極17の中心線と、第1のIDT電極11aにおいて第1の反射器12aに隣接する電極指14の中心線と、の間の寸法をL、反射器12において隣接するグレーティング電極17、17同士の中心間の寸法(ピッチ)をPr1とすると、寸法Pi1及び寸法Pr1は夫々例えば4.30μm及び2.18μmとなっている。また、寸法Lについては、L<0.5Pi1の範囲となるように、例えば2.06μm(L=0.5Pi1×0.96)に設定されている。図1中DはIDT電極11における電極指14、14の交差幅、Eは電極指14の幅寸法、kは電極指14、14間の離間寸法であり、例えば後述のシミュレーション条件に示すように、夫々所定の値に設定されている。
【0015】
上記の第2のIDT電極11b及び第3のIDT電極11cの各寸法は第1のIDT電極11aと同様に設定され、第2の反射器12bの各寸法は第1の反射器12aと同様に設定されている。また、第3のIDT電極11cと第2の反射器12bとの間の寸法(L)についても上記のように設定されている。
【0016】
次に、上記のようにフィルタ1の各寸法を設定した理由について、後述のシミュレーション結果に基づいて、フィルタ1において弾性表面波が伝搬していく様子と共に以下に説明する。
入力ポート15からフィルタ1に対して所定の電気信号を入力すると、第2のIDT電極11bでは電気信号が機械信号に変換されて弾性表面波が発生し、右側方向及び左側方向に向かって伝搬していく。右側に向かって伝搬する弾性表面波は、第3のIDT電極11cを介して第2の反射器12bに到達し、この反射器12において反射されてIDT電極11cに向かって戻されることになる。また、第2のIDT電極11bから左側に向かって伝搬する弾性波は、第1のIDT電極11aを介して第1の反射器12aに到達し、この反射器12aにおいて反射され、当該IDT電極11aに向かって戻される。こうして図3に示すように、例えば反射器12a、12bのキャビティ(等価反射面)C、C間において弾性表面波が反射し、互いに周波数が異なる0次モード及び2次モードの共振モードが励起され、出力ポート16にて弾性表面波が変換された電気信号が取り出されることになる。
【0017】
ここで、上記のようにフィルタ1の各寸法を設定した時に得られたシミュレーション結果について図8に示す。同図(a)は夫々0次モードの周波数のピーク及び2次モードの周波数のピークを見やすくする(顕在化させる)ためにフィルタ1を1Ω終端して得られる周波数の減衰特性を示しており、同図(b)は実際にこのフィルタ1をデバイスに接続して使用する時の特性を確認するために50Ω終端して得られる周波数の減衰特性を示している。尚、この図8において、本発明フィルタ1で得られる特性を太線で示し、後述のシミュレーション条件に示す従来のフィルタの特性を細線で示している。以下のシミュレーション結果を示す図(図9〜図11)についても同様である。
【0018】
図8(a)に示すフィルタ1を1Ω終端した時のシミュレーション結果から、既述のように各寸法を設定することにより、0次モードの周波数(周波数のピーク)の位置はほとんど変化しないものの、従来(L=0.5Pi1)のフィルタと比較して、2次モードの周波数の位置は高周波数側にシフトしていることが分かる。また、同図(b)のフィルタ1を50Ω終端した時のシミュレーション結果から、このフィルタ1では、通過周波数帯域における低域側の立ち上がりの急峻性が従来のフィルタに比べて改善されていることが分かる。この時、他の特性についてはほとんど劣化が起こっていない。従って、既述のように出力ポート16を介して取り出された電気信号は、低域側の立ち上がりの急峻性が優れた特性となる。
【0019】
上述の実施の形態によれば、3つのIDT電極11を並べると共に、これらのIDT電極11の両側に反射器12を配置した縦結合型弾性表面波フィルタにおいて、既述のように寸法LをL<0.5Pi1の範囲となるように設定しているので、図8のシミュレーション結果に示したように、従来のフィルタに比べて、2次モードのピーク位置を高域側に移動させることができ、そのため通過周波数帯域における低域側の立ち上がりの急峻性を改善することができる。この時、上記のように寸法Lを設定するにあたり、例えば0次モードのピーク位置に対しては影響をほとんど与えないので、他のフィルタ特性例えば通過周波数帯域における減衰特性などの劣化を抑えながら、上記のように低域側の立ち上がりの急峻性を改善することができる。
【0020】
この寸法Lの下限値については、例えば要求される低域側の立ち上がりの急峻性や、フォトリソグラフィー法の加工(エッチング)精度などにより適宜設定される。また、IDT電極11の配置数としては3つに限らず、4つ以上例えば5つであっても良い。更に、上記の例では第1の反射器12aと第1のIDT電極11aとの間の寸法L、第3のIDT電極11cと第2の反射器12bとの間の寸法Lの両方を同様の寸法に狭めるようにしたが、各々の寸法を別々に設定しても良いし、いずれか一方だけ上記のように狭めても良い。
【0021】
[第2の実施の形態]
この第2の実施の形態では、上記の寸法Lを狭める方法に代えて、IDT電極11において反射器12に隣接する電極指14のピッチを狭めることにより、上記の実施の形態と同様に通過周波数帯域における低域側の立ち上がりの急峻性を改善している。この実施の形態のフィルタ1について、具体的に図4を参照して説明する。尚、既述の第1の実施の形態と同じ部位については同じ符号を付して説明を省略する。
【0022】
図4に示すように、第1のIDT電極11aにおいて、第1の反射器12a側からx(x:正数)本の電極指14のピッチをPi2とすると、このピッチPi2は、反射器12a側から(x+1)本以上離れた電極指14のピッチである既述のPi1との間において、0.9Pi1≦Pi2<Pi1の関係となるように設定されている。また、第3のIDT電極11cについても、第2の反射器12bに近接するx本の電極指14のピッチPi2が同様の寸法に設定されている。従って、3つのIDT電極11において、中央側よりも端部側(反射器12側)の電極指14のピッチが各々x本分だけ狭くなるように設定されていることになる。具体的には、例えばx=3、Pi2=4.24μm(Pi2=0.985×Pi1)となっている。
【0023】
このフィルタ1について同様にシミュレーションを行った結果を図9に示すと、上記のように反射器12に隣接するx本の電極指14のピッチPi2を中央側のピッチPi1よりも狭くすることにより、同図(a)に示すように0次モードのピーク位置はほとんど変化しないものの、2次モードのピーク位置が高域側に移動し、その結果同図(b)に示すように、従来のフィルタに比べて通過周波数帯域における低域側の立ち上がりの急峻性が改善されていることが分かる。
【0024】
この時、フィルタ1の通過周波数帯域における低域側の立ち上がりの急峻性を改善するにあたって、第1の実施の形態では1箇所(寸法L)だけで調整する必要があるのでその調整幅は小さいが、第2の実施の形態ではx本の電極指14で調整できるので調整幅が広くなり、結果として通過周波数帯域における低域側の立ち上がりの急峻性を大きく改善できると言える。
また、ピッチPi2としては、x本の電極指14の全てに対して同じ値となるように設定しても良いし、各々の電極指14毎に個別に設定しても良い。ピッチPi2の範囲としては、バルク放射損失が増大して減衰特性が劣化することを抑えるために、電極指14の連続的な周期単位が大きく変わらないように、既述のように0.9Pi1≦Pi2<Pi1に設定することが好ましい。
【0025】
また、この第2の実施の形態において、既述の第1の実施の形態と同様に寸法Lを設定しても良い。この場合には、通過周波数帯域における低域側の立ち上がりの急峻性を更に改善することができる。尚、この例においても、第1のIDT電極11aと第3のIDT電極11cについて別々にピッチPi2を設定しても良いし、一方だけにピッチPi2を設定しても良い。また、IDT電極11の配置数としては同様に4つ以上であっても良い。
【0026】
[第3の実施の形態]
この第3の実施の形態では、通過周波数帯域における低域側の立ち上がりの急峻性を改善するにあたって、上記の第2の実施の形態における第1のIDT電極11a及び第3のIDT電極11cの反射器12に隣接するx本の電極指14のピッチPi2を狭める手法に加えて、更に各々の反射器12においてIDT電極11に隣接するグレーティング電極17のピッチを狭めるようにしている。具体的には、図5に示すように、各々の反射器12においてIDT電極11a、11c側からy(y:正数)本のグレーティング電極17のピッチをPr2とすると、IDT電極11a、11b側から(y+1)本以上離れたグレーティング電極17のピッチである既述のPi1との間において、0.9Pi1≦2×Pr2<Pi1、の関係となるように設定している。この時、IDT電極11から(y+1)本以上離れたグレーティング電極17のピッチPr1は、既述の各例と同様の寸法に設定される。具体的には例えばy=3、ピッチPr2は2.13μm(Pr2=0.990×Pi1÷2)に各々設定される。
【0027】
このフィルタ1について同様にシミュレーションを行った結果を図10に示すと、上記のようにピッチPr2を設定することにより、同様に同図(a)に示すように0次モードのピーク位置はほとんど変化しないものの、2次モードのピーク位置が高域側に移動し、その結果同図(b)に示すように、従来のフィルタに比べて通過周波数帯域における低域側の立ち上がりの急峻性が改善されていることが分かる。
【0028】
この実施の形態では、第2の実施の形態のIDT電極11におけるピッチPi2に加えて、反射器12におけるピッチPr2についても狭めることができるので更に特性の調整幅が広がり、通過周波数帯域における低域側の立ち上がりの急峻性をより一層改善することができる。
また、ピッチPr2としては、y本のグレーティング電極17の全てに対して同じ値となるように設定しても良いし、各々のグレーティング電極17毎に個別に設定しても良い。更に、この実施の形態では、ピッチPr2を形成するグレーティング電極17の本数yと、ピッチPi2を形成する電極指14の本数xと、を同じ本数に設定したが、別々の本数としても良い。
【0029】
ピッチPr2としては、バルク放射損失が増大して減衰特性が劣化することを抑えるために、0.9Pi1≦2×Pr2<Pi1に設定することが好ましい。
この実施の形態においても、既述の第1の実施の形態と同様に寸法Lを設定しても良い。この場合には、通過周波数帯域における低域側の立ち上がりの急峻性を更に改善することができる。尚、この例においても、反射器12a、12bのピッチPr2について別々に設定しても良いし、一方だけにピッチPr2を設定しても良い。また、IDT電極11の配置数としては同様に4つ以上であっても良い。
【0030】
[第4の実施の形態]
上記の第3の実施の形態におけるフィルタ1を縦続接続した例(縦続接続型フィルタ)について、図6を参照して説明する。圧電基板10上には、2つのフィルタ1、1が配置されており、一方(図6では奥側)のフィルタ1の第1のIDT電極11a及び第3のIDT電極11cのバスバー13bに接続されて手前側へ伸びる導電路21が、他方(手前側)のフィルタ1の第1のIDT電極11a及び第3のIDT電極11cのバスバー13aに接続されている。尚、この実施の形態におけるフィルタ1、1の各寸法は、既述の第3の実施の形態における各寸法と同じ寸法に設定されている。
この実施の形態においても、図11に示すシミュレーション結果から、既述の第3の実施の形態と同様に通過周波数帯域における低域側の立ち上がりの急峻性が改善されていることが分かる。尚、この実施の形態では既述の図7〜図10に示した1Ω終端した時の特性については図示を省略している。
【0031】
また、上記の各例において、寸法L、ピッチPi2及びピッチをPr2を調整したが、これらの各寸法の調整と共に、互いに隣接するIDT電極11、11間における電極指14、14の寸法を狭めるようにしても良いし、またIDT電極11、11間におけるの離間寸法Sを狭めても良いし、更には電極指14の対数を調整しても良い。また、上記の各例における各寸法の調整に代えて、IDT電極11に隣接する反射器12のグレーティング電極17のピッチを狭めるようにしても良い。
【実施例】
【0032】
次に、上記の各実施の形態で説明したシミュレーションについて、シミュレーション条件やその結果について簡単に説明する。
・図7(従来例)
(シミュレーション条件)
圧電基板10:36°YカットX伝搬LiTaO3
IDT電極11のピッチPi1:4.30μm
反射器12のピッチPr1:2.18μm
寸法L:2.15μm(L=0.5×Pi1)
IDT電極11a、11bの電極指14の対数:各15対
IDT電極11cの電極指14の対数(対数:交差する1対の電極指14の組の数):20対
電極指14の交差幅D:129μm(30Pi1)
反射器12のグレーティング電極17の本数:各100本
IDT電極11の膜厚:355nm
(シミュレーション結果)
このシミュレーションは、比較対象として従来のフィルタの特性を確かめるために行った実験であり、通過周波数帯域における低域側の立ち上がりがなだらかになっていることが分かる。
【0033】
・図8(第1の実施の形態)
(シミュレーション条件)
圧電基板10:36°YカットX伝搬LiTaO3
IDT電極11のピッチPi1:4.30μm
反射器12のピッチPr1:2.18μm
寸法L:2.06μm(L=0.5×Pi1×0.96)
IDT電極11a、11bの電極指14の対数:各15対
IDT電極11cの電極指14の対数:20対
電極指14の交差幅D:129μm(30Pi1)
反射器12のグレーティング電極17の本数:各100本
IDT電極11の膜厚:355nm
(シミュレーション結果)
寸法Lを狭めることにより、図8(a)では0次モードの周波数(周波数のピーク位置)はほとんど変化しなかったものの、2次モードの周波数は高域側に移動していた。また、図8(b)では通過周波数帯域における低域側の立ち上がりの急峻性が従来のフィルタよりも改善されていた。
【0034】
・図9(第2の実施の形態)
(シミュレーション条件)
圧電基板10:36°YカットX伝搬LiTaO3
IDT電極11のピッチPi1:4.30μm
IDT電極11の狭ピッチPi2:4.24μm(Pi2=0.985×Pi1)
反射器12のピッチPr1:2.18μm
寸法L:2.15μm(L=0.5×Pi1)
IDT電極11a、11bの電極指14の対数:各15対(各3本が狭ピッチPi2)
IDT電極11cの電極指14の対数:20対
電極指14の交差幅D:129μm(30Pi1)
反射器12のグレーティング電極17の本数:各100本
IDT電極11の膜厚:355nm
(シミュレーション結果)
反射器12に隣接するIDT電極11a、11cに、電極指14の間隔が狭ピッチPi2となる領域を配置することにより、同様に0次モードの周波数(周波数のピーク位置)はほとんど変化しなかったものの、2次モードの周波数は高域側に移動していた。また、同様に通過周波数帯域における低域側の立ち上がりの急峻性が従来のフィルタよりも改善されていた。
【0035】
・図10(第3の実施の形態)
(シミュレーション条件)
圧電基板10:36°YカットX伝搬LiTaO3
IDT電極11のピッチPi1:4.30μm
IDT電極11の狭ピッチPi2:4.26μm(Pi2=0.990×Pi1)
反射器12のピッチPr1:2.18μm
反射器12の狭ピッチPr2:2.13μm(Pr2=0.990×Pi1÷2)
寸法L:2.15μm(L=0.5×Pi1)
IDT電極11a、11bの電極指14の対数:各15対(各3本が狭ピッチPi2)
IDT電極11cの電極指14の対数:20対
電極指14の交差幅D:129μm(30Pi1)
反射器12のグレーティング電極17の本数:各100本(内各3本が狭ピッチPr2)
IDT電極11の膜厚:355nm
(シミュレーション結果)
反射器12に隣接するIDT電極11a、11cに、電極指14の間隔が狭ピッチPi2となる領域を配置し、更にIDT電極11に隣接する反射器12にグレーティング電極17の間隔が狭ピッチPr2となる領域を配置することにより、同様に0次モードの周波数(周波数のピーク位置)はほとんど変化しなかったものの、2次モードの周波数は高域側に移動していた。また、同様に通過周波数帯域における低域側の立ち上がりの急峻性が従来のフィルタよりも改善されていた。
【0036】
・図11(第4の実施の形態)
(シミュレーション条件)
上記の図10の第3の実施の形態のフィルタ1を2段縦続接続した縦続接続型フィルタについてシミュレーションを行った。
(シミュレーション結果)
その結果、通過周波数帯域における低域側の立ち上がりの急峻性が従来のフィルタよりも改善されていた。
【符号の説明】
【0037】
1 フィルタ
C 等価反射面
L 寸法
10 圧電基板
11 IDT電極
12 反射器
14 電極指
17 グレーティング電極
Pi 寸法(ピッチ)
Pr 寸法(ピッチ)
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電基板上に3つ以上のIDT(インターディジタルトランスデューサ)電極を並べると共に、これらの複数のIDT電極の両側に反射器を配置した縦結合型弾性表面波フィルタ及び上記縦結合型弾性表面波フィルタを2つ縦続接続した縦続接続型フィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
昨今においては、通信機器例えば携帯電話の高機能化、高性能化の要求が著しく、また通信機器の種類の多様化が進んでいることから、各々の通信機器毎に通信帯域が割り当てられており、そのためこのような通信機器に利用される弾性表面波フィルタについても高性能化例えば広帯域化且つ低損失化が要求されている。
【0003】
現在のところ、上記の通信機器用のフィルタとしては、例えばタンタル酸リチウムやニオブ酸リチウムを圧電基板として用いた縦結合型弾性表面波フィルタが多く利用されている。この縦結合型弾性表面波フィルタは、圧電基板上に弾性表面波の伝搬方向に沿って複数のIDT(インターディジタルトランスデューサー)電極を並べると共に、この複数のIDT電極の両側に反射器を配置した構成となっており、0次モードと高次モードの共振モードを利用して通過周波数帯域が設定される。このようなフィルタにおいて、例えばIDT電極を3つ配置した場合にシミュレーションにより得られる周波数特性について、フィルタを1Ω終端した時及び50Ω終端した時の減衰特性を後述の図7に示すと、フィルタを1Ω終端した時に顕著になる0次モード及び2次モードのピーク位置が含まれるように、実際にフィルタをデバイスに実装した時(50Ω終端した時)の通過周波数帯域が設定されていることが分かる。
【0004】
しかし、この縦結合型弾性表面波フィルタでは、上記の図7から分かるように、通過周波数帯域の近傍におけるピークの立ち上がりについて良好な特性(急峻性)が得られず、これにより通過帯域の近傍における帯域外減衰量を大きくとることが難しかった。
特許文献1〜5にはこのようなフィルタについて記載されているが、上記の課題については何ら検討されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−58581(段落0017〜0021)
【特許文献2】特開2006−136005(段落0051)
【特許文献3】特開平4−40705(図1)
【特許文献4】特開平2−213212
【特許文献5】特開平3−119816
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明はこのような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、圧電基板上にIDTを3つ以上並べると共にこれらのIDTの両側に反射器を配置した縦結合型弾性表面波フィルタにおいて、通過周波数帯域における低域側の減衰特性の立ち上がりの急峻性を改善することのできる縦結合型弾性表面波フィルタ及びこの縦結合型弾性表面波フィルタを2つ縦続接続した縦続接続型フィルタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の縦結合型弾性表面波フィルタは、
圧電基板上に3つ以上のIDT電極を並べると共にこれらのIDT電極の両側に反射器を配置して構成した縦結合型弾性表面波フィルタにおいて、
互いに隣接する反射器のグレーティング電極と、IDT電極の電極指と、の間の中心間距離をL、IDT電極の電極指のピッチをPi1、とすると、
L<0.5Pi1に設定したことを特徴とする。
【0008】
また、本発明の縦結合型弾性表面波フィルタは、
圧電基板上に3つ以上のIDT電極を並べると共にこれらのIDT電極の両側に反射器を配置して構成した縦結合型弾性表面波フィルタにおいて、
前記反射器に隣接するIDT電極における前記反射器側からx(x:正数)本までの電極指のピッチをPi2、前記反射器側から(x+1)本以上離れたIDT電極の電極指のピッチをPi1、とすると、
0.9Pi1≦Pi2<Pi1に設定したことを特徴とする。
この場合において、前記IDT電極に隣接するy(y:正数)本の反射器のグレーティング電極のピッチをPr2、とすると、0.9Pi1≦2×Pr2<Pi1、に設定することが好ましく、更に互いに隣接する反射器のグレーティング電極と、IDT電極の電極指と、の間の中心間距離をLとすると、L<0.5Pi1に設定することが好ましい。
本発明の縦続接続型フィルタは、
上記縦結合型弾性表面波フィルタを2つ縦続接続して構成されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、圧電基板上に3つ以上のIDT電極を並べると共にこれらのIDT電極の両側に反射器を配置して構成した縦結合型弾性表面波フィルタにおいて、互いに隣接する反射器のグレーティング電極と、IDT電極の電極指と、の間の中心間距離をL、IDT電極の電極指のピッチをPi1とすると、L<0.5Pi1に設定し、あるいは反射器に隣接するIDT電極における反射器側からx(x:正数)本までの電極指のピッチをPi2、反射器側から(x+1)本以上離れた電極指のピッチをPi1、とした場合には0.9Pi1≦Pi2<Pi1に設定しているので、通過周波数帯域における低域側の減衰特性の立ち上がりの急峻性を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1の実施の形態の縦結合型弾性表面波フィルタの一例を示す平面図である。
【図2】上記のフィルタが形成された基板の一例を示す模式図である。
【図3】上記のフィルタにおいて励振される各モードを概略的に示した模式図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態の縦結合型弾性表面波フィルタの一例を示す平面図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態の縦結合型弾性表面波フィルタの一例を示す平面図である。
【図6】本発明の第4の実施の形態の縦結合型弾性表面波フィルタの一例を示す平面図である。
【図7】従来のフィルタにおいて得られる周波数特性を示す特性図である。
【図8】本発明の第1の実施の形態において得られるシミュレーション結果を示した特性図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態において得られるシミュレーション結果を示した特性図である。
【図10】本発明の第3の実施の形態において得られるシミュレーション結果を示した特性図である。
【図11】本発明の第4の実施の形態において得られるシミュレーション結果を示した特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[第1の実施の形態]
本発明の縦結合型弾性表面波フィルタの第1の実施の形態について、図1〜図3を参照して説明する。このフィルタ1は、図1に示すように、例えばタンタル酸リチウム(LiTaO3)からなる圧電基板10上に形成されている。この例では圧電基板10は、例えば図2に示すように、36°〜48°Yカット板であり、つまり圧電基板10をX軸方向から見たときに上面(後述のIDT電極11の形成される面)とY軸とのなす角度(切断角度)θが36°〜48°となるように切断した基板(36°回転Y板LiTaO3)である。従って、この圧電基板10上では当該圧電基板10の結晶軸のX軸に沿って弾性表面波が伝搬することになる。
【0012】
この圧電基板10上には、弾性波例えば弾性表面波の伝搬方向に沿って3つ以上例えば3つのIDT(インターディジタルトランスデューサ)電極11が配置されており、これらのIDT電極11を両側から挟むように、弾性表面波の伝搬方向に離間して2つの反射器12、12が形成されている。これらのIDT電極11及び反射器12は、各々所定の膜厚となっており、例えば圧電基板10上に金属例えばアルミニウムからなる膜を成膜し、次いでこの金属膜上に積層したマスク層を介してこれらのIDT電極11及び反射器12以外の領域をエッチングするフォトリソグラフィー法により形成される。IDT電極11は、各々弾性表面波の伝搬方向に沿って伸びる一対のバスバー13a、13bと、これらのバスバー13a、13bから相対向するように互い違いに櫛歯状に伸び出す多数本の電極指14と、を備えている。IDT電極11、11間の領域を間隙Sとすると、これらのIDT電極11は、各々一方側(この例では上側)のバスバー13aから伸びる電極指14、14がこの間隙Sに隣接するように配置されている。
【0013】
ここで、3つのIDT電極11について、図1中左側から右側に向かって夫々第1のIDT電極11a、第2のIDT電極11b、第3のIDT電極11cと呼ぶこととすると、入力側電極である第2のIDT電極11bの一方のバスバー13aは入力ポート15に接続され、他方のバスバー13bは接地されている。また、出力側電極である第1のIDT電極11a及び第3のIDT電極11cの一方側のバスバー13aは接地され、他方のバスバー13bは出力ポート16に接続されている。
反射器12、12は、IDT電極11の電極指14と平行に並ぶ多数本のグレーティング電極17と、弾性表面波の伝搬方向に沿って設けられ、これらの多数本のグレーティング電極17の一端側及び他端側を夫々接続するように形成された一対のバスバー18、18と、を備えている。この反射器12についても、図1中左側を第1の反射器12a、右側を第2の反射器12bと呼ぶこととする。尚、図1においては電極指14及びグレーティング電極17の本数を省略して描画している。また、図1ではIDT電極11及び反射器12について、圧電基板10上の領域と判別しやすいように、ハッチングを付してある。以下の図についても同様である。
【0014】
ここで、図1に示すように、IDT電極11aにおいて、一方のバスバー13から互いに隣接して伸びる2本の電極指14、14同士の中心間の距離であるピッチ(配列間隔)の長さ寸法をPi1、第1の反射器12aにおいて第1のIDT電極11aに隣接するグレーティング電極17の中心線と、第1のIDT電極11aにおいて第1の反射器12aに隣接する電極指14の中心線と、の間の寸法をL、反射器12において隣接するグレーティング電極17、17同士の中心間の寸法(ピッチ)をPr1とすると、寸法Pi1及び寸法Pr1は夫々例えば4.30μm及び2.18μmとなっている。また、寸法Lについては、L<0.5Pi1の範囲となるように、例えば2.06μm(L=0.5Pi1×0.96)に設定されている。図1中DはIDT電極11における電極指14、14の交差幅、Eは電極指14の幅寸法、kは電極指14、14間の離間寸法であり、例えば後述のシミュレーション条件に示すように、夫々所定の値に設定されている。
【0015】
上記の第2のIDT電極11b及び第3のIDT電極11cの各寸法は第1のIDT電極11aと同様に設定され、第2の反射器12bの各寸法は第1の反射器12aと同様に設定されている。また、第3のIDT電極11cと第2の反射器12bとの間の寸法(L)についても上記のように設定されている。
【0016】
次に、上記のようにフィルタ1の各寸法を設定した理由について、後述のシミュレーション結果に基づいて、フィルタ1において弾性表面波が伝搬していく様子と共に以下に説明する。
入力ポート15からフィルタ1に対して所定の電気信号を入力すると、第2のIDT電極11bでは電気信号が機械信号に変換されて弾性表面波が発生し、右側方向及び左側方向に向かって伝搬していく。右側に向かって伝搬する弾性表面波は、第3のIDT電極11cを介して第2の反射器12bに到達し、この反射器12において反射されてIDT電極11cに向かって戻されることになる。また、第2のIDT電極11bから左側に向かって伝搬する弾性波は、第1のIDT電極11aを介して第1の反射器12aに到達し、この反射器12aにおいて反射され、当該IDT電極11aに向かって戻される。こうして図3に示すように、例えば反射器12a、12bのキャビティ(等価反射面)C、C間において弾性表面波が反射し、互いに周波数が異なる0次モード及び2次モードの共振モードが励起され、出力ポート16にて弾性表面波が変換された電気信号が取り出されることになる。
【0017】
ここで、上記のようにフィルタ1の各寸法を設定した時に得られたシミュレーション結果について図8に示す。同図(a)は夫々0次モードの周波数のピーク及び2次モードの周波数のピークを見やすくする(顕在化させる)ためにフィルタ1を1Ω終端して得られる周波数の減衰特性を示しており、同図(b)は実際にこのフィルタ1をデバイスに接続して使用する時の特性を確認するために50Ω終端して得られる周波数の減衰特性を示している。尚、この図8において、本発明フィルタ1で得られる特性を太線で示し、後述のシミュレーション条件に示す従来のフィルタの特性を細線で示している。以下のシミュレーション結果を示す図(図9〜図11)についても同様である。
【0018】
図8(a)に示すフィルタ1を1Ω終端した時のシミュレーション結果から、既述のように各寸法を設定することにより、0次モードの周波数(周波数のピーク)の位置はほとんど変化しないものの、従来(L=0.5Pi1)のフィルタと比較して、2次モードの周波数の位置は高周波数側にシフトしていることが分かる。また、同図(b)のフィルタ1を50Ω終端した時のシミュレーション結果から、このフィルタ1では、通過周波数帯域における低域側の立ち上がりの急峻性が従来のフィルタに比べて改善されていることが分かる。この時、他の特性についてはほとんど劣化が起こっていない。従って、既述のように出力ポート16を介して取り出された電気信号は、低域側の立ち上がりの急峻性が優れた特性となる。
【0019】
上述の実施の形態によれば、3つのIDT電極11を並べると共に、これらのIDT電極11の両側に反射器12を配置した縦結合型弾性表面波フィルタにおいて、既述のように寸法LをL<0.5Pi1の範囲となるように設定しているので、図8のシミュレーション結果に示したように、従来のフィルタに比べて、2次モードのピーク位置を高域側に移動させることができ、そのため通過周波数帯域における低域側の立ち上がりの急峻性を改善することができる。この時、上記のように寸法Lを設定するにあたり、例えば0次モードのピーク位置に対しては影響をほとんど与えないので、他のフィルタ特性例えば通過周波数帯域における減衰特性などの劣化を抑えながら、上記のように低域側の立ち上がりの急峻性を改善することができる。
【0020】
この寸法Lの下限値については、例えば要求される低域側の立ち上がりの急峻性や、フォトリソグラフィー法の加工(エッチング)精度などにより適宜設定される。また、IDT電極11の配置数としては3つに限らず、4つ以上例えば5つであっても良い。更に、上記の例では第1の反射器12aと第1のIDT電極11aとの間の寸法L、第3のIDT電極11cと第2の反射器12bとの間の寸法Lの両方を同様の寸法に狭めるようにしたが、各々の寸法を別々に設定しても良いし、いずれか一方だけ上記のように狭めても良い。
【0021】
[第2の実施の形態]
この第2の実施の形態では、上記の寸法Lを狭める方法に代えて、IDT電極11において反射器12に隣接する電極指14のピッチを狭めることにより、上記の実施の形態と同様に通過周波数帯域における低域側の立ち上がりの急峻性を改善している。この実施の形態のフィルタ1について、具体的に図4を参照して説明する。尚、既述の第1の実施の形態と同じ部位については同じ符号を付して説明を省略する。
【0022】
図4に示すように、第1のIDT電極11aにおいて、第1の反射器12a側からx(x:正数)本の電極指14のピッチをPi2とすると、このピッチPi2は、反射器12a側から(x+1)本以上離れた電極指14のピッチである既述のPi1との間において、0.9Pi1≦Pi2<Pi1の関係となるように設定されている。また、第3のIDT電極11cについても、第2の反射器12bに近接するx本の電極指14のピッチPi2が同様の寸法に設定されている。従って、3つのIDT電極11において、中央側よりも端部側(反射器12側)の電極指14のピッチが各々x本分だけ狭くなるように設定されていることになる。具体的には、例えばx=3、Pi2=4.24μm(Pi2=0.985×Pi1)となっている。
【0023】
このフィルタ1について同様にシミュレーションを行った結果を図9に示すと、上記のように反射器12に隣接するx本の電極指14のピッチPi2を中央側のピッチPi1よりも狭くすることにより、同図(a)に示すように0次モードのピーク位置はほとんど変化しないものの、2次モードのピーク位置が高域側に移動し、その結果同図(b)に示すように、従来のフィルタに比べて通過周波数帯域における低域側の立ち上がりの急峻性が改善されていることが分かる。
【0024】
この時、フィルタ1の通過周波数帯域における低域側の立ち上がりの急峻性を改善するにあたって、第1の実施の形態では1箇所(寸法L)だけで調整する必要があるのでその調整幅は小さいが、第2の実施の形態ではx本の電極指14で調整できるので調整幅が広くなり、結果として通過周波数帯域における低域側の立ち上がりの急峻性を大きく改善できると言える。
また、ピッチPi2としては、x本の電極指14の全てに対して同じ値となるように設定しても良いし、各々の電極指14毎に個別に設定しても良い。ピッチPi2の範囲としては、バルク放射損失が増大して減衰特性が劣化することを抑えるために、電極指14の連続的な周期単位が大きく変わらないように、既述のように0.9Pi1≦Pi2<Pi1に設定することが好ましい。
【0025】
また、この第2の実施の形態において、既述の第1の実施の形態と同様に寸法Lを設定しても良い。この場合には、通過周波数帯域における低域側の立ち上がりの急峻性を更に改善することができる。尚、この例においても、第1のIDT電極11aと第3のIDT電極11cについて別々にピッチPi2を設定しても良いし、一方だけにピッチPi2を設定しても良い。また、IDT電極11の配置数としては同様に4つ以上であっても良い。
【0026】
[第3の実施の形態]
この第3の実施の形態では、通過周波数帯域における低域側の立ち上がりの急峻性を改善するにあたって、上記の第2の実施の形態における第1のIDT電極11a及び第3のIDT電極11cの反射器12に隣接するx本の電極指14のピッチPi2を狭める手法に加えて、更に各々の反射器12においてIDT電極11に隣接するグレーティング電極17のピッチを狭めるようにしている。具体的には、図5に示すように、各々の反射器12においてIDT電極11a、11c側からy(y:正数)本のグレーティング電極17のピッチをPr2とすると、IDT電極11a、11b側から(y+1)本以上離れたグレーティング電極17のピッチである既述のPi1との間において、0.9Pi1≦2×Pr2<Pi1、の関係となるように設定している。この時、IDT電極11から(y+1)本以上離れたグレーティング電極17のピッチPr1は、既述の各例と同様の寸法に設定される。具体的には例えばy=3、ピッチPr2は2.13μm(Pr2=0.990×Pi1÷2)に各々設定される。
【0027】
このフィルタ1について同様にシミュレーションを行った結果を図10に示すと、上記のようにピッチPr2を設定することにより、同様に同図(a)に示すように0次モードのピーク位置はほとんど変化しないものの、2次モードのピーク位置が高域側に移動し、その結果同図(b)に示すように、従来のフィルタに比べて通過周波数帯域における低域側の立ち上がりの急峻性が改善されていることが分かる。
【0028】
この実施の形態では、第2の実施の形態のIDT電極11におけるピッチPi2に加えて、反射器12におけるピッチPr2についても狭めることができるので更に特性の調整幅が広がり、通過周波数帯域における低域側の立ち上がりの急峻性をより一層改善することができる。
また、ピッチPr2としては、y本のグレーティング電極17の全てに対して同じ値となるように設定しても良いし、各々のグレーティング電極17毎に個別に設定しても良い。更に、この実施の形態では、ピッチPr2を形成するグレーティング電極17の本数yと、ピッチPi2を形成する電極指14の本数xと、を同じ本数に設定したが、別々の本数としても良い。
【0029】
ピッチPr2としては、バルク放射損失が増大して減衰特性が劣化することを抑えるために、0.9Pi1≦2×Pr2<Pi1に設定することが好ましい。
この実施の形態においても、既述の第1の実施の形態と同様に寸法Lを設定しても良い。この場合には、通過周波数帯域における低域側の立ち上がりの急峻性を更に改善することができる。尚、この例においても、反射器12a、12bのピッチPr2について別々に設定しても良いし、一方だけにピッチPr2を設定しても良い。また、IDT電極11の配置数としては同様に4つ以上であっても良い。
【0030】
[第4の実施の形態]
上記の第3の実施の形態におけるフィルタ1を縦続接続した例(縦続接続型フィルタ)について、図6を参照して説明する。圧電基板10上には、2つのフィルタ1、1が配置されており、一方(図6では奥側)のフィルタ1の第1のIDT電極11a及び第3のIDT電極11cのバスバー13bに接続されて手前側へ伸びる導電路21が、他方(手前側)のフィルタ1の第1のIDT電極11a及び第3のIDT電極11cのバスバー13aに接続されている。尚、この実施の形態におけるフィルタ1、1の各寸法は、既述の第3の実施の形態における各寸法と同じ寸法に設定されている。
この実施の形態においても、図11に示すシミュレーション結果から、既述の第3の実施の形態と同様に通過周波数帯域における低域側の立ち上がりの急峻性が改善されていることが分かる。尚、この実施の形態では既述の図7〜図10に示した1Ω終端した時の特性については図示を省略している。
【0031】
また、上記の各例において、寸法L、ピッチPi2及びピッチをPr2を調整したが、これらの各寸法の調整と共に、互いに隣接するIDT電極11、11間における電極指14、14の寸法を狭めるようにしても良いし、またIDT電極11、11間におけるの離間寸法Sを狭めても良いし、更には電極指14の対数を調整しても良い。また、上記の各例における各寸法の調整に代えて、IDT電極11に隣接する反射器12のグレーティング電極17のピッチを狭めるようにしても良い。
【実施例】
【0032】
次に、上記の各実施の形態で説明したシミュレーションについて、シミュレーション条件やその結果について簡単に説明する。
・図7(従来例)
(シミュレーション条件)
圧電基板10:36°YカットX伝搬LiTaO3
IDT電極11のピッチPi1:4.30μm
反射器12のピッチPr1:2.18μm
寸法L:2.15μm(L=0.5×Pi1)
IDT電極11a、11bの電極指14の対数:各15対
IDT電極11cの電極指14の対数(対数:交差する1対の電極指14の組の数):20対
電極指14の交差幅D:129μm(30Pi1)
反射器12のグレーティング電極17の本数:各100本
IDT電極11の膜厚:355nm
(シミュレーション結果)
このシミュレーションは、比較対象として従来のフィルタの特性を確かめるために行った実験であり、通過周波数帯域における低域側の立ち上がりがなだらかになっていることが分かる。
【0033】
・図8(第1の実施の形態)
(シミュレーション条件)
圧電基板10:36°YカットX伝搬LiTaO3
IDT電極11のピッチPi1:4.30μm
反射器12のピッチPr1:2.18μm
寸法L:2.06μm(L=0.5×Pi1×0.96)
IDT電極11a、11bの電極指14の対数:各15対
IDT電極11cの電極指14の対数:20対
電極指14の交差幅D:129μm(30Pi1)
反射器12のグレーティング電極17の本数:各100本
IDT電極11の膜厚:355nm
(シミュレーション結果)
寸法Lを狭めることにより、図8(a)では0次モードの周波数(周波数のピーク位置)はほとんど変化しなかったものの、2次モードの周波数は高域側に移動していた。また、図8(b)では通過周波数帯域における低域側の立ち上がりの急峻性が従来のフィルタよりも改善されていた。
【0034】
・図9(第2の実施の形態)
(シミュレーション条件)
圧電基板10:36°YカットX伝搬LiTaO3
IDT電極11のピッチPi1:4.30μm
IDT電極11の狭ピッチPi2:4.24μm(Pi2=0.985×Pi1)
反射器12のピッチPr1:2.18μm
寸法L:2.15μm(L=0.5×Pi1)
IDT電極11a、11bの電極指14の対数:各15対(各3本が狭ピッチPi2)
IDT電極11cの電極指14の対数:20対
電極指14の交差幅D:129μm(30Pi1)
反射器12のグレーティング電極17の本数:各100本
IDT電極11の膜厚:355nm
(シミュレーション結果)
反射器12に隣接するIDT電極11a、11cに、電極指14の間隔が狭ピッチPi2となる領域を配置することにより、同様に0次モードの周波数(周波数のピーク位置)はほとんど変化しなかったものの、2次モードの周波数は高域側に移動していた。また、同様に通過周波数帯域における低域側の立ち上がりの急峻性が従来のフィルタよりも改善されていた。
【0035】
・図10(第3の実施の形態)
(シミュレーション条件)
圧電基板10:36°YカットX伝搬LiTaO3
IDT電極11のピッチPi1:4.30μm
IDT電極11の狭ピッチPi2:4.26μm(Pi2=0.990×Pi1)
反射器12のピッチPr1:2.18μm
反射器12の狭ピッチPr2:2.13μm(Pr2=0.990×Pi1÷2)
寸法L:2.15μm(L=0.5×Pi1)
IDT電極11a、11bの電極指14の対数:各15対(各3本が狭ピッチPi2)
IDT電極11cの電極指14の対数:20対
電極指14の交差幅D:129μm(30Pi1)
反射器12のグレーティング電極17の本数:各100本(内各3本が狭ピッチPr2)
IDT電極11の膜厚:355nm
(シミュレーション結果)
反射器12に隣接するIDT電極11a、11cに、電極指14の間隔が狭ピッチPi2となる領域を配置し、更にIDT電極11に隣接する反射器12にグレーティング電極17の間隔が狭ピッチPr2となる領域を配置することにより、同様に0次モードの周波数(周波数のピーク位置)はほとんど変化しなかったものの、2次モードの周波数は高域側に移動していた。また、同様に通過周波数帯域における低域側の立ち上がりの急峻性が従来のフィルタよりも改善されていた。
【0036】
・図11(第4の実施の形態)
(シミュレーション条件)
上記の図10の第3の実施の形態のフィルタ1を2段縦続接続した縦続接続型フィルタについてシミュレーションを行った。
(シミュレーション結果)
その結果、通過周波数帯域における低域側の立ち上がりの急峻性が従来のフィルタよりも改善されていた。
【符号の説明】
【0037】
1 フィルタ
C 等価反射面
L 寸法
10 圧電基板
11 IDT電極
12 反射器
14 電極指
17 グレーティング電極
Pi 寸法(ピッチ)
Pr 寸法(ピッチ)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電基板上に3つ以上のIDT電極を並べると共にこれらのIDT電極の両側に反射器を配置して構成した縦結合型弾性表面波フィルタにおいて、
互いに隣接する反射器のグレーティング電極と、IDT電極の電極指と、の間の中心間距離をL、IDT電極の電極指のピッチをPi1、とすると、
L<0.5Pi1に設定したことを特徴とする縦結合型弾性表面波フィルタ。
【請求項2】
圧電基板上に3つ以上のIDT電極を並べると共にこれらのIDT電極の両側に反射器を配置して構成した縦結合型弾性表面波フィルタにおいて、
前記反射器に隣接するIDT電極における前記反射器側からx(x:正数)本までの電極指のピッチをPi2、前記反射器側から(x+1)本以上離れたIDT電極の電極指のピッチをPi1、とすると、
0.9Pi1≦Pi2<Pi1に設定したことを特徴とする縦結合型弾性表面波フィルタ。
【請求項3】
前記IDT電極に隣接するy(y:正数)本の反射器のグレーティング電極のピッチをPr2、とすると、
0.9Pi1≦2×Pr2<Pi1、に設定したことを特徴とする請求項2に記載の縦結合型弾性表面波フィルタ。
【請求項4】
互いに隣接する反射器のグレーティング電極と、IDT電極の電極指と、の間の中心間距離をLとすると、
L<0.5Pi1に設定したことを特徴とする請求項2または3に記載の縦結合型弾性表面波フィルタ。
【請求項5】
請求項1ないし4に記載された縦結合型弾性表面波フィルタを2つ縦続接続して構成されたことを特徴とする縦続接続型フィルタ。
【請求項1】
圧電基板上に3つ以上のIDT電極を並べると共にこれらのIDT電極の両側に反射器を配置して構成した縦結合型弾性表面波フィルタにおいて、
互いに隣接する反射器のグレーティング電極と、IDT電極の電極指と、の間の中心間距離をL、IDT電極の電極指のピッチをPi1、とすると、
L<0.5Pi1に設定したことを特徴とする縦結合型弾性表面波フィルタ。
【請求項2】
圧電基板上に3つ以上のIDT電極を並べると共にこれらのIDT電極の両側に反射器を配置して構成した縦結合型弾性表面波フィルタにおいて、
前記反射器に隣接するIDT電極における前記反射器側からx(x:正数)本までの電極指のピッチをPi2、前記反射器側から(x+1)本以上離れたIDT電極の電極指のピッチをPi1、とすると、
0.9Pi1≦Pi2<Pi1に設定したことを特徴とする縦結合型弾性表面波フィルタ。
【請求項3】
前記IDT電極に隣接するy(y:正数)本の反射器のグレーティング電極のピッチをPr2、とすると、
0.9Pi1≦2×Pr2<Pi1、に設定したことを特徴とする請求項2に記載の縦結合型弾性表面波フィルタ。
【請求項4】
互いに隣接する反射器のグレーティング電極と、IDT電極の電極指と、の間の中心間距離をLとすると、
L<0.5Pi1に設定したことを特徴とする請求項2または3に記載の縦結合型弾性表面波フィルタ。
【請求項5】
請求項1ないし4に記載された縦結合型弾性表面波フィルタを2つ縦続接続して構成されたことを特徴とする縦続接続型フィルタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−23894(P2011−23894A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−166000(P2009−166000)
【出願日】平成21年7月14日(2009.7.14)
【出願人】(000232483)日本電波工業株式会社 (1,148)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月14日(2009.7.14)
【出願人】(000232483)日本電波工業株式会社 (1,148)
【Fターム(参考)】
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