説明

縦縞干渉模様投影レンズ

【課題】 光強度が大きく縦縞干渉模様を広角に投影可能な縦縞干渉模様投影レンズを提供する。
【解決手段】 縦縞干渉模様投影レンズ1は、ある方向に並列して伸びる同形状の二つの凸部3,4を有するレンズ第1面2と、レンズ第2面5とを備える。このレンズ第1面2からレーザ光を入射させると、一方の凸部3を通過した光と他方の凸部4を通過した光とが干渉してレンズ第2面5から出射される光で対象物に縦縞干渉模様を形成することができる。レンズ第1面2の二つの凸部3,4は例えば並列して直線的に伸びる形状を有するものとし、またレンズ第2面5は平面とすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光を干渉させて縦縞模様を投影する縦縞干渉模様投影レンズに関するものである。
【背景技術】
【0002】
光を干渉させて同心円状の干渉模様を形成する光学レンズ系については例えば特許文献1に記載されているが、そこには縦縞の干渉模様の形成に関しては記載されていない。従来、縦縞の干渉模様の形成には回折格子が利用されてきた。回折格子の構成手段としては、波長レベルの幅を持つスリット(隙間)が利用される。このスリットを利用した回折格子では、光の利用効率を高めるために、通常は多数のスリットを配列して、スリットを通過・回折する光量を増大させている。しかし、このように多数のスリットを配列すると、0次の干渉は光強度が極端に強くなるが、1次、2次、3次・・・と次数が上がる毎に急速に光強度が低下するという問題があった。これを解決するためには、スリット数を少なくする、例えば2個のスリットにするという方法があるが、最初に述べたように、光の利用効率、即ち、スリットを通過する光の割合が極端に小さくなる。
【0003】
また、光学プリズムを利用して干渉模様を形成する方法もある。この方法ではプリズムのサイズと同程度のサイズの干渉縞を形成する場合には有効な手段であるが、干渉縞を広角に投影する手段としては適していない。プリズムを用いて広角に投影すると、中心部分の光強度が周辺部に比べて極端に大きくなる。言い換えると、周辺部の光強度が中心部に比べて極端に小さくなる。
【特許文献1】特開2005−331784号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
干渉縞を広角に投影する手段として、スリット(2個のスリット)を用いた場合には光強度が低くて利用できなかった。光学プリズムを利用した場合には中心部の光強度が極端に高く、周辺部が低くなり、広角に投影することができなかった。
【0005】
従って本発明の目的は、光強度が大きく縦縞干渉模様を広角に投影可能な縦縞干渉模様投影レンズを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的は、ある方向に並列して伸びる同形状の二つの凸部または二つの凹部を有するレンズ第1面と、レンズ第2面とを備え、一方の前記凸部または凹部を通過した光と他方の前記凸部または凹部を通過した光とが干渉して縦縞模様を投影するように構成した縦縞干渉模様投影レンズにより達成される。
【0007】
ここで、前記レンズ第1面の二つの凸部または二つの凹部は並列して直線的に伸び、前記レンズ第2面は平面とすることができる。また、前記レンズ第1面および前記レンズ第2面は、ある点を中心にして形成される同心円の弧上にあるようにすることができる。前記凸部または凹部は、その断面形状(x−y平面)において、x=a*(y−b)^n、0<n<4(a,b,nは実数、^はべき乗を表す)の多項式で表される曲線を形成するものとすることができる。
【0008】
本発明に係る光学レンズ系は、光源から放射された光を平行光とする前段レンズと、ある方向に並列して伸びる同形状の二つの凸部または凹部を有するレンズ第1面、およびレンズ第2面を備え、一方の前記凸部または凹部を通過した前段レンズからの光と他方の前記凸部または凹部を通過した前段レンズからの光とが干渉して縦縞模様を投影するように構成された縦縞干渉模様投影レンズと、前記縦縞干渉模様投影レンズからの光を広角に投影する後段レンズとを備える。
【0009】
また、本発明に係る光学レンズ系は、光源から放射された光をある面で平行光とする前段レンズと、ある方向に並列して伸びる同形状の二つの凸部または二つの凹部を有するレンズ第1面、およびレンズ第2面を備え、前記レンズ第1面および前記レンズ第2面が、光源を中心にして形成される同心円の弧上にあり、一方の前記凸部または凹部を通過した前段レンズからの光と他方の前記凸部または凹部を通過した前段レンズからの光とが干渉して縦縞模様を投影するように構成された縦縞干渉模様投影レンズとを備える。
【0010】
ここで、前記縦縞干渉模様投影レンズから投影される縦縞模様の本数が所望の本数となるように前記縦縞干渉模様投影レンズによる投影範囲を限定するウィンドーを備えることができる。また、前記凸部または凹部は、その断面形状(x−y平面)において、x=a*(y−b)^n、0<n<4(a,b,nは実数、^はべき乗を表す)の多項式で表される曲線を形成するものとすることができる。
【0011】
また、本発明に係る3次元画像取得装置は、レーザ光源と、前記レーザ光源からの光を干渉させて縦縞模様を投影する請求項5〜8のいずれかに記載の光学レンズ系と、前記光学レンズ系から対象物に投影された縦縞模様を撮影するカメラと、前記カメラからの撮影情報に基づいて前記対象物の3次元画像を取得する演算装置とを備える。
【0012】
ここで、前記レーザ光源と前記光学レンズ系とを一体化した発光モジュールを、前記カメラの撮影フラッシュとして搭載することができる。また、前記演算装置は前記カメラに内蔵することができる。さらに、前記対象物に投影された縦縞干渉模様に順次番号を付与し、その番号情報に基いて3次元画像を取得することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、光強度が大きく縦縞干渉模様を広角に投影可能な縦縞干渉模様投影レンズを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施例を図面を用いて説明する。
(実施例1)
図1は、本発明に係る縦縞干渉模様投影レンズの一実施例を示す図で、(a)は正面図、(b)は(a)のA−A’断面図、(c)は側面図である。である。本実施例では、半導体レーザ光源からのレーザ光(波長800nm)を特殊構造のレンズに通過させることで縦縞干渉模様を投影する例を説明する。
【0015】
図1(a)に示すように、縦縞干渉模様投影レンズ1は、ある方向に並列して伸びる同形状の二つの凸部3,4を有するレンズ第1面2と、レンズ第2面5とを備える。このレンズ第1面2からレーザ光を入射させると、一方の凸部3を通過した光と他方の凸部4を通過した光とが干渉してレンズ第2面5から出射される光で対象物に縦縞干渉模様を形成することができる。本実施例では、図1(a)、(c)に示すように、レンズ第1面2の二つの凸部3,4は並列して直線的に伸びる形状を有するものとした。また、レンズ第2面5は平面とした。
【0016】
図2は、本発明に係る縦縞干渉模様投影レンズの断面図と光軸との関係の一例を示す図である。即ち、レンズ1は、光軸(x軸)を通過する一つの平面(x−y平面)において、光軸で分けられた片側を通過した光が光軸の両側の領域に対して光を広角に投影し、光軸で分けられたもう片側を通過した光が光軸の両側の領域に対して光を広角に投影するものである。レンズ1は、そのレンズ第1面2が同形状の二つの凸部3,4を有し、レンズ1の断面は「二山の蒲鉾」のような形状をしている。本実施例では、図2に示すように、二つの凸部3,4の間にx軸が位置し、x軸に直交するy軸方向のy=bのところに凸部4の頂部が位置する。凸部3,4の断面形状は例えば次の式1で表される。
【0017】
x=a*(y−b)^n (式1)
ここで、0<n<4(a,b,nは実数)であり、式中の「^」はべき乗を表している。具体的には、式1において、例えば、a=2、b=0.25、n=2.1である。レンズサイズはy軸方向の幅1mm、z軸方向の幅は1mm、レンズの厚さ2mm(x軸方向)とした。レンズにはプラスチックレンズを使用し、その屈折率は1.48とした。
【0018】
図3(a),(b)は、図1に示すレンズを用いて構成した光学レンズ系の一例を示す図である。この光学レンズ系は、図示のように、半導体レーザ(LD)光源31から放射された光を平行光とする前段レンズとしてのコリメータレンズ32と、図1に示した縦縞干渉模様投影レンズ33と、縦縞干渉模様投影レンズ33からの光を広角に投影する後段レンズとしての凹レンズ34とを備える。すなわち、本例では、レーザ光源31から出射した光は先ずコリメータレンズ32により平行光にされる。次に、この平行光を上記の「二山の蒲鉾」形状を有するレンズ(二山の蒲鉾レンズ)、すなわち縦縞干渉模様投影レンズ33に入射させる。光軸35で分けられる二山の蒲鉾レンズの片方の凸部を通過した光は、図3(a)に示すように、光軸35で分けられる領域の両方に向かって広角に投影される。対象物36上では、光軸35で分けられた二つの領域から来た光が重畳され縦縞の干渉模様37が形成される。
【0019】
図3(b)は、図3(a)の平面に垂直で光軸を通過する平面における断面図を示す。図3(b)に示すように、レーザ光源31から出射された光は、コリメータレンズ32で平行光にされ、次の縦縞干渉模様投影レンズ33では直進し、後段の凹レンズ34で広角に投影される。このようにすることで、図3(b)に示す平面では、レーザ光は干渉せず単に投影されるだけとなる。
【0020】
このような光学レンズ系により、対象物36上の投影面に縦縞干渉模様が観察された。投影面がレンズから1m離れた場合の干渉縞のピッチを図4に示す。このように、干渉縞のピッチは約3mmであった。以上のように図1に示すレンズを用いて縦縞干渉模様を形成することができた。このように、本実施例によれば、半導体レーザと比較的簡易な光学レンズ系により、縦縞干渉模様を広角に投影することができる。
【0021】
(実施例2)
図5は、本発明に係る縦縞干渉模様投影レンズの他の実施例を示す図で、(a)は正面図、(b)は(a)のA−A’断面図、(c)は側面図である。本実施例では、半導体レーザ光源からのレーザ光(波長800nm)を特殊構造のレンズに通過させることで縦縞干渉模様を投影する例を説明する。
【0022】
図5(a)に示すように、縦縞干渉模様投影レンズ51は、ある方向に並列して伸びる同形状の二つの凸部53,54を有するレンズ第1面52と、レンズ第2面55とを備える。このレンズ第1面52からレーザ光を入射させると、一方の凸部53を通過した光と他方の凸部54を通過した光とが干渉してレンズ第2面55から出射される光で対象物に縦縞干渉模様を形成することができる。本実施例では、図5(a)、(c)に示すように、レンズ第1面52の二つの凸部53,54は曲線形状を有するものとした。また、レンズ第2面55はレンズ第1面と同様な曲線を描く曲面とした。
【0023】
本実施例では、具体的には、レンズ第1面52およびレンズ第2面55は、ある点を中心にして形成される同心円の弧上にあるように形成される。ここで、ある点とは、例えばレーザ光源の発光点位置とされる。このようにレンズ51の形状を構成することにより、レーザ光源から放射された光は、レンズ51を介して屈折することなく直進することができる。
【0024】
図6(a),(b)は、図5に示すレンズを用いて構成した光学レンズ系の一例を示す図である。この光学レンズ系は、図示のように、半導体レーザ(LD)光源61から放射された光をある面で平行光とする前段レンズ62と、ある方向に並列して伸びる同形状の二つの凸部または二つの凹部を有するレンズ第1面、およびレンズ第2面を備え、前記レンズ第1面および前記レンズ第2面が、レーザ光源を中心にして形成される同心円の弧上にあり、一方の前記凸部または凹部を通過した前段レンズからの光と他方の前記凸部または凹部を通過した前段レンズからの光とが干渉して縦縞模様を投影するように構成された縦縞干渉模様投影レンズ63とを備える。
【0025】
図6(a)は、光軸を通過する水平面上での光学レンズ系の断面を示す図である。レーザ光源61から出射された光は第1のレンズで平行光にされ、二山蒲鉾レンズにより光軸64より左側を通過する光と光軸より右側を通過する光が投影面上で重畳され縦縞の干渉模様を形成する。図6(b)は、光軸を通過する垂直面上での光学レンズ系の断面を示す図である。この面内においてはレーザ光源61から放射された光は、各レンズ面で曲がることなく直進するように各レンズが構成されている。それゆえに、レーザ光源61から出射される光は、その広がり角度を保ったまま光が投影される。当然のことながら、投影面においても光は重ならないので干渉模様を形成することはない。従って、このようなレンズ構成においても、対象物65に縦縞干渉模様66を広角に投影することができる。本実施例によれば、実施例1に比べて、レンズ数を1個減らすことができ、より簡易な光学レンズ系により縦縞干渉模様を形成することができる。
【0026】
(実施例3)
図7は、本発明に係る縦縞干渉模様投影レンズを用いた3次元画像取得装置の一実施例を示す図である。本実施例は、図示のように、レーザ光源71と、レーザ光源71からの光を干渉させて縦縞模様を投影する光学レンズ系72と、光学レンズ系72から対象物73に投影された縦縞模様74を撮影するカメラ75と、カメラ75からの撮影情報に基づいて対象物73の3次元画像を取得する演算装置76とを備える。ここで、光学レンズ系72としては、上述の実施例1または2に記載のものを用いることができる。また、レーザ光源71と光学レンズ系72とを一体化して発光モジュール77とすることができる。この発光モジュール77は、本図ではカメラ75とは別に設置しているが、カメラ75に撮影フラッシュとして搭載することができる。また、演算装置76は、本図ではカメラ75の外部に接続されているが、カメラ75に内蔵することもできる。
【0027】
さらに、発光モジュール77中の縦縞干渉模様投影レンズから投影される縦縞模様の本数が所望の本数となるようにその投影範囲を限定する四角形状のウィンドー78を発光モジュール77の内部または外部に備えることができる。すなわち、縦縞模様の投影において投影範囲を限定する四角のウィンドー78を設置し、図7に示すように、投影される干渉縞の本数を限定する。
【0028】
本実施例では、縦縞模様74は、左から明パターン、暗パターンの繰り返しで、明パターンが9回となるように投影範囲限定ウィンドー78を設置した。右端も明パターンで終わるようにした。縦縞模様74が投影された対象物73を、発光モジュール77の横に設置したカメラ75で撮影した。縦縞模様74は対象物73の形状の凹凸に応じて、歪んだ像としてカメラ75で撮像される。
【0029】
距離画像の取得方法は以下の通りである。まず、撮像された縦縞模様74の画像から、1本目〜9本目までの縦縞明パターンを検出する。何本目の縦縞であるかがわかると、その平面が下記のように表される。
ax+by+cz+1=0 (式2)
ここで、a,b,cは係数で既知である。
【0030】
次に、対象物に投影された1個の縦縞明パターンに対応するカメラ75の撮像素子(CCD)79における高輝度点を画像から検出し、その位置座標(x,y,z)を算出する。これはカメラ75のCCDの画素位置と角度から得られる。また、カメラレンズの主点位置を(x,y,z)とすると、高輝度点の画素位置が決定する直線は、
【0031】
【数1】

【0032】
で表される。ここではmだけが未知数である。式2で表される平面式に、式3で表される3つの直線式を代入するとmが求められ、対象物の3次元座標(x,y,z)が得られる。このようにして、縦縞干渉模様の明パターンに対応する高輝度点を順次検出し、1本の縦縞ラインが決定する対象物の3次元座標を求める。各縦縞明パターンに対して同様の処理を行い、対象物全体の3次元座標を求める。
【0033】
本実施例によれば、簡易で小型化が可能な投影手段により縦縞干渉模様を対象物に投影し、通常のデジタルカメラで対象物に投影された縦縞干渉模様を撮像するだけで、対象物の3次元画像を取得することができる。縦縞干渉模様の投影手段をカメラのフラッシュとして搭載すれば、さらに小型・携帯化が可能となり、簡易に対象物の3次元画像を取得することが可能となる。
【0034】
図8は、投影された縦縞干渉模様の光量分布のシミュレーション結果の一例を示すグラフである。本例では、実施例1で説明した縦縞干渉模様の投影法を用いて、対象物上に縦縞干渉模様を投影した。対象物はレンズから600mm離れている。レンズは実施例1で用いたモノを利用した。図8のグラフはレンズの光軸より片側だけを通過した光の投影強度を示しているが、この図からわかるように光強度の中央部が周辺部に比べてピークを持っている。この光強度分布に図4で示した干渉縞の位相周期を掛け算した値が、実際に投影される干渉縞の光強度分布となる。図4で示した右1、右2、右3という番号の干渉縞は図8が示すように光強度が減衰する。従って、対象物に投影された縦縞模様を撮像し、その画像の中で最も光強度が強い縦縞を基準として、各々の縦縞が右何番目、左何番目と番号を付与することができる。この番号から、式2のように平面式を決定することができ、式3で表される高輝度点の画素位置が決定する直線との交点を求めることで、3次元画像を取得することができる。
【0035】
このように本発明では、対象物に投影された縦縞模様に順次番号を付与し、その番号情報に基いて3次元画像を取得することができる。これは、投影される縦縞パターンの基準面として中央の高い光強度の縦縞を利用できるので、縦縞の番号を付与することができ、投影範囲限定ウィンドーなしで簡易に3次元画像を得ることができるものである。
【0036】
(実施例4)
図9は、本発明に係る縦縞干渉模様投影レンズの他の実施例を示す図で、(a)は正面図、(b)は(a)のA−A’断面図、(c)は側面図である。上述の実施例1、2のレンズは、レンズ第1面が二つの凸部を備えるが、ここではレンズ第1面が二つの凹部を備える。それ以外は実施例1、2と同様にした。これにより、実施例1、2と同様に縦縞干渉模様が投影される。以下、詳述する。
【0037】
本実施例では、図9(a)に示すように、縦縞干渉模様投影レンズ91は、ある方向に並列して伸びる同形状の二つの凹部93,94を有するレンズ第1面92と、レンズ第2面95とを備える。このレンズ第1面92からレーザ光を入射させると、一方の凹部93を通過した光と他方の凹部94を通過した光とが干渉してレンズ第2面95から出射される光で対象物に縦縞干渉模様を形成することができる。凹部93,94の断面形状は例えば上述の式1で表される。ここで、レンズ第1面の二つの凹部は並列して直線的に伸びる形状を有するものとし、レンズ第2面を平面とすることもできるが、本実施例では、図9(a)、(c)に示すように、レンズ第1面2の二つの凹部93,94は曲線形状を有するものとした。また、レンズ第2面95はレンズ第1面と同様な曲線を描く曲面とした。
【0038】
本実施例では、具体的には、レンズ第1面92およびレンズ第2面95は、ある点を中心にして形成される同心円の弧上にあるように形成される。ここで、ある点とは、例えばレーザ光源の発光点位置とされる。このようにレンズ91の形状を構成することで、レーザ光源から放射された光は、レンズ91を介して屈折することなく直進することができる。本実施例によれば、実施例1、2と同様に、簡易な光学レンズ系により縦縞干渉模様を形成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、光を干渉させて縦縞模様を投影する縦縞干渉模様投影レンズに関するものであり、産業上の利用可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明に係る縦縞干渉模様投影レンズの一実施例を示す図で、(a)は正面図、(b)は(a)のA−A’断面図、(c)は側面図である。
【図2】本発明に係る縦縞干渉模様投影レンズの断面図と光軸との関係の一例を示す図である。
【図3】(a),(b)は、図1に示すレンズを用いて構成した光学レンズ系の一例を示す図である。
【図4】光学レンズ系により投影面に形成された縦縞干渉模様のピッチを説明するための図である。
【図5】本発明に係る縦縞干渉模様投影レンズの他の実施例を示す図で、(a)は正面図、(b)は(a)のA−A’断面図、(c)は側面図である。
【図6】(a),(b)は、図5に示すレンズを用いて構成した光学レンズ系の一例を示す図である。
【図7】本発明に係る縦縞干渉模様投影レンズを用いた3次元画像取得装置の一実施例を示す図である。
【図8】投影された縦縞干渉模様の光量分布のシミュレーション結果の一例を示すグラフである。
【図9】本発明に係る縦縞干渉模様投影レンズの他の実施例を示す図で、(a)は正面図、(b)は(a)のA−A’断面図、(c)は側面図である。
【符号の説明】
【0041】
1 縦縞干渉模様投影レンズ
2 レンズ第1面
3,4 凸部
5 レンズ第2面
31 レーザ光源
32 コリメータレンズ
33 縦縞干渉模様投影レンズ
34 凹レンズ
35 光軸
36 対象物
37 縦縞干渉模様

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ある方向に並列して伸びる同形状の二つの凸部または二つの凹部を有するレンズ第1面と、レンズ第2面とを備え、一方の前記凸部または凹部を通過した光と他方の前記凸部または凹部を通過した光とが干渉して縦縞模様を投影するように構成したことを特徴とする縦縞干渉模様投影レンズ。
【請求項2】
前記レンズ第1面の二つの凸部または二つの凹部が並列して直線的に伸び、前記レンズ第2面が平面であることを特徴とする請求項1に記載の縦縞干渉模様投影レンズ。
【請求項3】
前記レンズ第1面および前記レンズ第2面が、ある点を中心にして形成される同心円の弧上にあることを特徴とする請求項1に記載の縦縞干渉模様投影レンズ。
【請求項4】
前記凸部または凹部が、その断面形状(x−y平面)において、x=a*(y−b)^n、0<n<4(a,b,nは実数、^はべき乗を表す)の多項式で表される曲線を形成することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の縦縞干渉模様投影レンズ。
【請求項5】
光源から放射された光を平行光とする前段レンズと、ある方向に並列して伸びる同形状の二つの凸部または凹部を有するレンズ第1面、およびレンズ第2面を備え、一方の前記凸部または凹部を通過した前段レンズからの光と他方の前記凸部または凹部を通過した前段レンズからの光とが干渉して縦縞模様を投影するように構成された縦縞干渉模様投影レンズと、前記縦縞干渉模様投影レンズからの光を広角に投影する後段レンズとを備えたことを特徴とする光学レンズ系。
【請求項6】
光源から放射された光をある面で平行光とする前段レンズと、ある方向に並列して伸びる同形状の二つの凸部または二つの凹部を有するレンズ第1面、およびレンズ第2面を備え、前記レンズ第1面および前記レンズ第2面が、光源を中心にして形成される同心円の弧上にあり、一方の前記凸部または凹部を通過した前段レンズからの光と他方の前記凸部または凹部を通過した前段レンズからの光とが干渉して縦縞模様を投影するように構成された縦縞干渉模様投影レンズとを備えたことを特徴とする光学レンズ系。
【請求項7】
前記縦縞干渉模様投影レンズから投影される縦縞模様の本数が所望の本数となるように前記縦縞干渉模様投影レンズによる投影範囲を限定するウィンドーを備えたことを特徴とする請求項5または6に記載の光学レンズ系。
【請求項8】
前記凸部または凹部が、その断面形状(x−y平面)において、x=a*(y−b)^n、0<n<4(a,b,nは実数、^はべき乗を表す)の多項式で表される曲線を形成することを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載の光学レンズ系。
【請求項9】
レーザ光源と、前記レーザ光源からの光を干渉させて縦縞模様を投影する請求項5〜8のいずれかに記載の光学レンズ系と、前記光学レンズ系から対象物に投影された縦縞模様を撮影するカメラと、前記カメラからの撮影情報に基づいて前記対象物の3次元画像を取得する演算装置とを備えたことを特徴とする3次元画像取得装置。
【請求項10】
前記レーザ光源と前記光学レンズ系とを一体化した発光モジュールが、前記カメラの撮影フラッシュとして搭載されることを特徴とする請求項9に記載の3次元画像取得装置。
【請求項11】
前記演算装置が前記カメラに内蔵されることを特徴とする請求項9または10に記載の3次元画像取得装置。
【請求項12】
前記対象物に投影された縦縞干渉模様に順次番号を付与し、その番号情報に基いて3次元画像を取得することを特徴とする請求項9〜11のいずれかに記載の3次元画像取得装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2008−122628(P2008−122628A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−306055(P2006−306055)
【出願日】平成18年11月10日(2006.11.10)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】