説明

縫製が容易な係合位置確定機能付き面係止片

【課題】指先の感覚によるブラインドタッチで正確な位置確定ができ、押圧固定できる面ファスナー付きの係合具を家庭で衣服等に簡単に取り付けられる係止片を提供する。
【解決手段】剛性に富む薄いプラスチック基板5に面ファスナー2を固着し、末広がりの穴部3を基板に打ち抜きで設けた凹形係合片1と、これに対向してこの係止片の穴に勘合する突起部8を設けた凸形係止片7を用いて、二枚の基材にそれぞれ固着し、両係止片を勘合させ、回転させて面ファスナー部を押圧することによって、位置ずれのない衣服の前立ての係合を完結できる。この両係止片を服地等の基材に取り付ける加工を、家庭において縫い付けで固着できるように面ファスナーを基板よりはみ出すように設定して、基板周縁に縫い代を設けて、さらに面ファスナーの浮き防止に縫製用穴を設けておけば、家庭で針と糸による縫い付けで服地等の基材への固着が容易にできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣服の布地、産業用シート等の二枚の基材に取り付けられ、それらの重ね合わせ部において、簡便操作によって固着でき、かつ係合具を指先の感覚で確実にかつ容易に位置合わせができるようにする縫製用の小型面ファスナーに関するもので、プラスチック製基板に面ファスナー部と切り込み部を設けた凹部係合片とプラスチック製基板に面ファスナー部と突起部を設けた凸部係合片とで構成される機能的で家庭における一般縫製で基材に取り付けられる面係合具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
二枚の基材の重なり部において結合する手法として古代から行われてきたものに、結び紐があり、また比較的近年になって発明されて現在まで継続して用いられているシンプルなものとして、脱着が容易なボタンとボタンホールからなる通常のボタン方式がある。後者の手法は18世紀の中ごろに英国で開発されたとされている。それより幾分早い時期にボタン状の突起物と細紐で係合する比較的ルーズなボタン紐方式がある。これは18世紀初期に日本でも武士の衣装に実施された手法である。これは結合がルーズであるため主として荷重のかかる縦方向の係合に用いられた。ボタン方式を除いたこれらの方式は現在においては廃れている。
【0003】
これらの結合手法が開発された後、しばらくして小型の金属製のスナップホックが実用化された。しかし、位置決めの困難さと離脱しやすさがあり、広範囲には普及しなかった。この後、20世紀に至ってプラスチック製の面ファスナーがフランスにおいて開発され、比較的ラフな位置決めで済ませられるもの、そしてやや大きめのサイズでも良いという条件で、現在まで用いられてきている。他には高価ではあるが金属製または樹脂製のジッパーがやや大きめの基材同士の係合に用いられている。
【0004】
また日本独自のもので江戸期において開発された結合手段として、金属爪形片と太糸の組み合わせでの引っ掛け式である「コハゼ」法がある。これは現在では伝統芸能の業界で用いられている足袋の踵部の留め手段として存続している。この日本の発明ともいえる結合手段は作業の困難さと位置決めの不確実さが問題として残っている現在に至っている。
【0005】
近代的結合素材を用いたものとして最も開発の余地のあるものは前述の面ファスナーである。この素材は機能的には不満足ながらも衣服、紙おむつ等に限定的に取り付けられている。その理由としての面ファスナーの利点の一つは、緊急時、急いで係合を解除したい時には力任せに二個の面ファスナーをはがせば済むことである。この利点は介護、高齢者の生活分野で生かされるものである。
この面ファスナーの使用される具体的な場面の一つは、位置確定の不確実性が顕在化しない面ファスナー同士の移動距離の短い手袋や胸元上部の係合である。これらの係合のずれが目立ちにくいところでの使用では、比較的小片での使用である。もう一つの場面は、大きく開くかばんの蓋部、および枕カバー、紙おむつカバー等の端部の係合で、これらの係合ではずれがあってもそれほど目立たない部位での使用である。
二枚の基材の長い重なり部に固着する面ファスナーは一方の面ファスナーが小さい場合でも対向して用いる面ファスナーは1辺が数センチ以上と大きいサイズであることが多いという制約が付きまとっている。
【0006】
着たときの肌感覚が良好で、かつ糸くずが洗濯時に付着しないこと、さらには見栄えが気になる衣服等においては係合の位置ずれが生じないようにすることが、面ファスナーを係合手段として普及させるには不可欠な条件になっていた。
これらの問題についてはメーカーによる改良が進み、第二世代の面ファスナーともいえるものが使用されてきている。この面ファスナーの構造は、突起とこれが引っかかるループが一枚のファスナー面に混在する新タイプであり、衣料用として開発され、肌の刺激を軽減し、糸くずが洗濯時に絡まらないものとして登場し、現在は導入段階にある。この先端素材を用いて、使用者の衣服への取り付け作業を簡単に、かつ衣服の脱着が容易になる係合具の開発が望まれていた。
【0007】
初期の面ファスナーを取り付けた基材同士を位置確定した上で係合させる初歩的方法が米国特許(特許文献1)に公開されている。この発明の後は世界的にも結合の確実さと操作の容易さ、および位置確定の容易さを兼ね備えたユニバーサルデザイン的な係合手段は出現していない。
近年に至って世界的な傾向であるが、高齢者の増加に伴って(視覚障害者を含む身障者も対象になる)指先の不自由な人の衣服の前立ての結合を容易にしてほしいというユニバーサルデザイン的要求が生じている。この要求に基づいて各種の開発が行われている。
このような技術開発の停滞状況において、加工コストの高価になるジッパーが注目されているが、前立ての下端部でのチャック固定部の挿入が困難であり続け、根本的な解決には至っていない。また最近、このニーズに沿った開発商品のニュースが流れたが、これは2010年9月にイオンから衣類の「新しい留め手段」を取り付けたカーディガンとして発売された。これは従来からあるボタン方式の若干の改善策として、ボタンホールを斜めに配置して留めの作業性を改善しただけのものであった。この例にも示されるように高齢化社会においてはユニバーサルデザイン的結合手段の開発が希求されている。
【0008】
前述のようなユニバーサルデザイン的結合手段として開発されたものが、特許文献2に記述される小型の面係合具である。この明細書において基本的な形状の特徴と技術が紹介されているが、このプラスチックの基板を用い、面ファスナーをこれに固着した一対の小型面係合具は、工業用ミシンによる基材への固着を前提としたものであり、一般家庭で衣服等にこの種の係合具を取り付けるには、困難な状況があった。これを家庭で使用している一般用ミシンの使用を可能にし、さらには手縫いでも面係合具の取り付けが容易にできるようにしたものが、本発明である。
【0009】
【特許文献1】 米国特許3873051号公報
【特許文献2】 日本特許 特願2010−236870号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上述したような従来技術の問題点を解決すべくなされたもので、特許文献2と同一の発明者が行った改善発明である。衣服の前立てのように目視で位置関係を正確に確認できないところでの基材の重合を確実に、かつ簡便に行えるようにする、勘合による位置確定機能付き小型面ファスナーで、家庭での可能な取り付け加工によって二枚の基材の脱着を正確にかつ簡便に行える面ファスナーを主要な係合手段として取り付けた位置確定機能付き小型係合片を提供するものである。
従来の小型面ファスナーを固着して用いる面係止片は、基板にはプラスチック薄板の使用を基本にしているために、縫製によって衣服等にこの面係合具を取り付けるには、重合している面ファスナーとやや硬めの基板、加えて取り付ける基材の3者を同時に糸で貫通させて固定する必要があった。これには通常工業用ミシンの使用が不可欠である。この限定条件を打破し、一般家庭における縫製によって私用の衣服等に容易に追加的に取り付けられる面係止片を開発した。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記の問題点を解決するもので、基材への取り付けの際、家庭での縫製が容易な位置確定機能付き面係止片に関するものである。本発明の名称に記している「係止片」は先行出願の一対の「係合具」と区別するために用いている。本発明の係止片は特徴の異なる、別種の係合片との組み合わせ使用ができるものであり、この意味において単独で選定して組み合わせることもあるものとしての呼称である。
この段では基材への取り付けが容易になる、手縫いを含めて縫製が容易になる針を貫通させる力がそれ程要らない形態の面係止片を図2から図9の図を基にして説明する。
家庭での取り付けが容易になるためには、縫製針の貫通力を軽減させる必要がある。これには糸による緊縛固定を面ファスナーと基材間でのみ行うようにする。それには所定形状に加工した基板の固着にはその周囲の面ファスナーのはみ出し部、または基板上の面ファスナーを種々の方法で固着しているエリア内に設けた穴、または両者を同時に活用して縫い付け固定に用いることで、基板を基材に間接的に固着する縫製を行うことで三種材料の緊縛固定効果を得るようにする。
【0012】
請求項1に係る発明は、二枚の基材の重なり部の一方に固着して用いる基板付き凹形係止片であって、面ファスナーを該基板の切り欠け部の近傍に一個乃至複数個配置した凹形係止片であって、基材の重なり部でこれに対応して用いる、該切り欠け部と勘合する突起部および該面ファスナーと係合する面ファスナーを相手方基板に配置した凸形係止片を組み合わせて用いる凹形係止片であって、前記凹形係止片または凸形係止片の少なくとも一方の係止片の基板周縁から面ファスナーがはみ出していることを特徴とする小型面係止片に関する。
【0013】
請求項2に係る発明は、二枚の基材の重なり部の一方に固着して用いる基板付き凹形係止片であって、面ファスナーを該基板の切り欠け部の近傍に一個乃至複数個配置した凹形係止片であって、基材の重なり部でこれに対応して用いる、該切り欠け部と勘合する突起部および該面ファスナーと係合する面ファスナーを相手方基板に配置した凸形係止片を組み合わせて用いる凹形係止片であって、前記凹形係止片または凸形係止片の少なくとも一方の係止片の基板内に縫製用の穴または薄肉部を形成していることを特徴とする小型面係止片に関する。
【0014】
請求項3に係る発明は、二枚の基材の重なり部の一方に固着して用いる基板付き凹形係止片であって、面ファスナーを該基板の切り欠け部の近傍に一個乃至複数個配置した凹形係止片であって、基材の重なり部でこれに対応して用いる、該切り欠け部と勘合する突起部および該面ファスナーと係合する面ファスナーを相手方基板に配置した凸形係止片を組み合わせて用いる凹形係止片であって、前記凹形係止片または凸形係止片の少なくとも一方の係止片の基板内に縫製用の穴または薄肉部を形成し、かつ前記凹形係止片または凸形係止片の少なくとも一方の係止片の基板の周縁から面ファスナーがはみ出していることを特徴とする小型面係止片に関する。
【0015】
請求項4係る発明は、前記凹形係止片の切り欠け部は上縁部と下縁部を有し、少なくとも少なくともその一方で前記突起部と勘合することを特徴とする請求項1乃至3に記載の小型面係止片に関する。
【0016】
請求項5に係る発明は、前記凹形係止片の切り欠け部は上縁部と下縁部を有し、少なくともその一方は上縁部と下縁部の交点まで末広がりに形成されていることを特徴とする請求項1乃至4に記載の小型面係止片に関する。
【0017】
請求項6に係る発明は、前記凹形係止片または凸形係止片の少なくとも一方の係止片の基板に固着する面ファスナーの端部側を基点にして、該基板の切り欠け部側が面ファスナー側に傾斜または湾曲していることを特徴とする請求項1乃至5に記載の小型面係合片に関する。
【0018】
請求項7にかかる発明は、前記切り欠け部の上縁部は略円弧で形成され、突起部が勘合する該切り欠け部の下縁部は略直線で形成されることを特徴とする請求項1乃至6に記載の小型面係止片に関する。
【0019】
請求項8に係る発明は、二枚の基材の重なり部に固着して用いるハイブリッド面係止片であって、相手側の面係合片と一対で用いる面係止片であって、面ファスナーを配置する該ハイブリッド面係止片の基板に相手側の面係合片の突起部と勘合する形状の切り欠け部を一個乃至複数個および相手側面係合片の突起部と勘合する形状の該切り欠け部を一個乃至複数個配置したことを特徴とするハイブリッド小型面係止片に関する。
【0020】
請求項9に係る発明は、前記ハイブリッド面係止片の基板の周縁から面ファスナーがはみ出していることを特徴とする請求項8記載のハイブリッド小型面係止片に関する。
【0021】
請求項10に係る発明は、前記ハイブリッド面係止片の基板内に縫製用の穴または薄肉部を形成していることを特徴とする請求項8または9記載のハイブリッド小型面係止片に関する。
【0022】
請求項11に係る発明は、前記ハイブリッド面係止片の切り欠け部は上縁部と下縁部を有し、少なくともその一方で相手側の面係止片の前記突起部と勘合することを特徴とする少なくともその一方で前記突起部と勘合することを特徴とする請求項8または10記載のハイブリッド小型面係止片に関する。
【0023】
請求項12に係る発明は、前記ハイブリッド面係止片の切り欠け部は上縁部と下縁部を有し、少なくともその一方は上縁部と下縁部の交点まで末広がりに形成されていることを特徴とする請求項8乃至11に記載のハイブリッド小型面係止片に関する。
【0024】
請求項13に係る発明は、前記ハイブリッド面係止片の基板に固着する面ファスナーの端部側を基点にして、該基板の切り欠け部側が面ファスナー側に傾斜または湾曲していることを特徴とする請求項8乃至12に記載のハイブリッド小型面係止片に関する。
【0025】
請求項14に係る発明は、前記ハイブリッド面係止片の切り欠け部の上縁部は略円弧で形成され、相手側の面係止片の突起部が勘合する該切り欠け部の下縁部は略直線で形成されることを特徴とする請求項8乃至13に記載のハイブリッド小型面係止片に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
指先が不自由でも正確な位置決めができる機構を有する衣服等の係止片を、家庭で簡便に取り付けられるようにする発明について順次説明する。
前記プラスチック製の基板(5)に面ファスナー(2)を固着し、それに近接した部分に自動的に位置確定できる形状の切り欠け部を設けた凹形係止片(1)を形成する。この切り込みは全体サイズをそれほど考慮しない場合には、勘合させる凸形係止片(7)の突起部の挿入動作を考慮して穴を大きめにする。これによって勘合のための挿入が楽に行えるようになるが、図1に示すように通常上下の円弧を対称に結合した唇状の打ち抜き穴とする。この凹形係止片と対向して用いる凸形係止片は、前記面ファスナーと係合する機能のある面ファスナーをプラスチック基板に固着し、これに近接する先端部に上記穴と挿入することで自動的に勘合する形状の突起を有する凸形係止片で構成する。
【0027】
これら凹部係止片と凸形係止片を重合して係合しておきたい二枚の基材の端部に固着しておき、広げた状態の基材同士をラフな勘合部での挿入による自動位置確定を行い、これに続く回転と押圧によってずれの生じない係合を完成させるものである。
面ファスナーは簡単な押圧によって十分か強度を有する係合を行うことができる優れた素材である。しかし、一旦係合させると、この係合関係を解除するのにかなりの力を要することから、一回の係合操作によって二枚の基材同士を正確な位置関係で確実な面ファスナーの同士の係合を行い、さらには面ファスナーの結合力を安定的に十分に引き出さねばならない。また押圧操作の段階で勘合状態が外れると、再度勘合の挿入をしなければならなくなるので、押圧に至るまで勘合が維持されるように、外れ防止策を係合片に組みこんでおくのが好ましい。
【0028】
上記請求項からなる本発明の縫製が容易な位置確定機能付き小型面係合片の形態を説明する際の凸形係止片の突起部と凹部係止の片穴部の形状、及び輪郭形状には、特許文献2(特願2010−236870号)に記載されているものを用いてもよい。
【0029】
衣類での洗濯耐性を考慮する必要のある場合には、面ファスナーの固着耐久性と見栄えを考慮して、粘着材を用いないで固定する通常縫製法が用いられる。さらに面係合具の服地への取り付けには、家庭でも行える簡便な針と糸による固着法が好適である。本特許の説明では家庭で実施できる縫い付け法を中心に説明する。特許請求項に関する説明に入る前に、特許文献2に示される技術的説明に若干の技術的内容の追加説明を行って補完しておくこととする。
【0030】
突起部と穴部の形状を含めて、基板の全体輪郭は任意にデザインできる。略丸形と略矩形が基本になる。これらは全体を小型に設計しやすいことから、汎用ものとして、また外観を重視する衣料品には用いやすい。この形状デザインはデザイン設計ソフトと連動して作動するレーザーまたは振動刃によるカッティング装置を用いれば、顧客の求める任意の、オリジナルの形状にデザイン・製作することができる。さらには面ファスナーと基板の種類と色を選択して組み合わせることによって、従来のボタン、ジッパー(チャック)に比べると個別ニーズに応じた「オンリーワン」的な係合具の製作が比較的容易にできる。
【0031】
面係止片のサイズを決める際には、指先で把持して勘合させる動作になる凸形係止片が先に規定されることになる。これらの動作が容易になるサイズとし、面ファスナー部を角型とした場合にはこの面ファスナー部は15mm×10mm角以上で、基板外形では20mm×20mm以上、好ましくは30mm×25mm程度の大きさが必要になる。穴部と突起部がそれぞれ二個隣接するタイプにおいては、凸形係止片の基板外形サイズは70mm×30mm以上で、最大サイズはおおよそ100mm×50mmである。凹形係止片のサイズも近似したものになる。
【0032】
まず凹形係止片の穴の形状ついて詳細に説明する。先端が略円弧状になっている突起部(8)の挿入を受ける穴部(3)は挿入後の突起部の勘合位置の自動的な確定が行われるようにしておく。図1に示すような広い唇状の口を持つように上縁と下縁を略半円弧にした形状と図2に示すような略半円弧と直線の合わせ形が代表的形状である。これらの形状は共に両端の円弧の交点に向かって末広がりの穴部になる。
両係合具の勘合時の位置確定を行えるようにするには、上縁部(4)と下縁部で構成される穴部の少なくともその一方は上縁部(4)と下縁部の交点まで末広がりになっていれば良い。この末広がりの形状は、突起部の挿入を滑らかにそして容易に行えるようにする形状であり、滑らかなカーブ、直線、階段状であっても目的を達成できる。
【0033】
次に穴サイズについて説明する。上縁と下縁を略半円弧にした形状の穴サイズは係止片の大きさにもよるが、穴の最大長さ(上縁部と下縁部の交点間の距離)は10mmから40mm程度、好ましくは15mmから25mmの範囲で、これに直交する方向の幅は最大部で5mmから30mm程度で、好ましくは8mmから15mmの範囲が好適である。穴形状を略半円状にすると、開口面積を広く保持しながら、その幅寸法を縮小させることができる。この種の切り欠け穴形状は図4乃至図8に採用している。
【0034】
半円状の穴形状の場合、ほぼ対称形の唇状穴の場合に比較して基板幅を5mm〜8mm狭く設計できる。これによって勘合しやすさは幾分そがれるが、幅は22mm〜25程度までの小型化され、デザイン上のメリットが生じる。この場合の基板長さは65mm〜70mmが適当なサイズである。
穴形状は、十分な末広がりの開口部とこの開口部端部の中央部で突起部が固定される組み合わせであれば、回転・重合によって外れることのない位置確定機能が生じるため、この条件を保持できるならば、任意の穴形状にデザインできる。
【0035】
図4では穴部にかかるように面ファスナーが固着しているが、この穴部での勘合に支障が生じないように、この覆いかかる面ファスナー部分を切り込んでおく。図4の10はこの目的で入れる割り(10)である。これには打ち抜く木型の刃物にこの部分の刃物を追加しておく。また係止片の縫製の糸がこの部分に及んでいても、打ち抜き木型に追加の部分割り用の刃物を入れておくことで、糸は切られ勘合は良好に行える。
【0036】
まず勘合時に位置が決まるように、図1の穴の上縁の形状(4)に差し込み突起の先端形状(8)を合わせる形状に設計しておけば、穴の最大長さに到達する深さまで突起部を挿入しない状態においても、つまり勘合初期の途中までの部分的な挿入によっても勘合状態が得られる。この場合には、挿入の際の突起部は穴部の上で、または周縁でやや寝かせて傾斜させて挿入する場合である。この斜め勘合状態を保持したまま係止片同士を平行にまで傾けて係合させれば、基板同士の厚さが寄与して、その切り口が相互に支えあって凸形係止片の突起を穴内で回転させて凹形係止片に重合させる際に、面係合手段の位置関係のずれは殆ど生じない。
【0037】
さらには、より積極的に係合作業において外れることによるズレが生じないようにする穴形状を図1と図5で説明する。勘合後において勘合が外れることによるズレを防止する補助的作用を得るために、穴部に外れ防止突起(図1の12)を設けるか、または半円状の穴の選択に伴って形成されるが、細いバー状の外れ防止バー(図5の15)を基板端部に設けることで、凸形係止片を回転させた際に勘合後の外れ防止の機能を持たすことができる。
【0038】
この外れ防止突起を大きめに設計すると、勘合の解除は係合手段の面ファスナー同士の剥離によってはじめて可能になる。したがって、勘合状態が解除されることのない特徴を生かした面係合具のデザインは有効である。欠点は勘合手段の基板同士の反発によって重合する面ファスナー部に傾きが出やすいことであり、これを解消する技術的配慮が必要になる。
【0039】
本発明の説明で主として用いている穴形状である半円状の穴においても同様のことが言える。この種の穴形状にして凹形係止片の輪郭を穴に平行な直線にデザインした場合、この基板全体の形状はやや狭幅の長方形になり、前述の外れ防止バーが形成される。このバー部分の幅を2〜5mmにして両係止片を回転勘合させて面ファスナー同士を係合すると、凸形係止片の突起が凹係止片のこの棒状部分と重合して押し上げる。この作用によってポリプロピレン樹脂等の柔らかい素材の基板であれば、この部分にたわみが容易に生じる。この状態を図3図に示すが、この変形によって係合する面ファスナー同士の傾斜係合の状態は幾分改善される。
しかし、単なる押圧だけでは面ファスナーとして十分な係合強度を得ることができなくなってしまう。この欠点を解消するためには、請求項4に示す基板の勘合部の変形が必要になる。これについては後段で詳述する。
【0040】
次に突起部の形状について説明する。突起部の形状は穴部に深く挿入する勘合によって相互の位置確定ができる作用のある形状であればよい。必ずしも突起の先端と穴の上端の形状を合わせておく必要はない。突起部の全体形状もその上縁部(9)が末広がりになっていることが好ましいが、穴部内で挿入後の連続的な移動が容易な形状であればよい。穴部の上縁が円弧であっても突起部には穴部の幅に入るものであれば、先端に略直線部を設けた形状の採用は可能である。
【0041】
突起部の先端が穴部の先端上縁部に重なる部分を有する大きめの形状の場合には、係止片同士の回転重合後に穴部と突起部の勘合の自動解除がなされなくなるだけである。挿入のある段階で勘合が起こり、その後穴部の最大長さ部に突起部の根元が移動できる形状であればよい。
突起の形状の設計では、係止片同士の回転重合後に穴部と突起部の勘合の自動解除がなされるようにする場合と、意図的に両部で勘合後の保持が計られるようにする場合とがある。本発明においては、後者を目的に両部の形状を設計する例を図示している。この勘合は1〜2mmの重なりによるロックがかかるようにし、面ファスナーの押圧に至る前の突起部の穴部内での回転の際に、勘合が解除され、突起部が外れることのないように設計する。
【0042】
次に面係止片の係合初期段階におけるラフな位置確定の手順を説明する。基材上にある一対の面係止片の位置を指で確認するのが、面ファスナーの位置確定の第一歩である。これはプラスチック薄板を打ち抜いて形成する基板が布地等の基材に比較して剛性で勝り、またボタン等に比べて指先で認識しやすい大きさになるために、この位置確認と把持が容易になる。
次に両係止片を両手で把持し、指先での相互の位置関係を確認しながら相互の勘合状態を得る。ついで対向させるための回転と面ファスナー面の押圧を連続的に行うことで係合が完了する。
【0043】
この位置関係を簡便に確認しながらの相互の勘合は、面ファスナー付近の服地等の基材をつかんで引き離すことで、簡単に係止片全体は分離する。両係止片の勘合とロックが軽度であり、基板の軟らかさと滑り特性が活用できることによる。これは面ファスナーの利点をそのまま本発明の係止片に導入していることになる。
急いで衣服の係合を解除したい時には、力任せに服地を引っ張って二個の面ファスナーをはがせば済む。この利点は介護、高齢者の生活分野で生かされるものである。
【0044】
この面係止片は、この特徴によって衣服において単独で用いることもできるが、二枚の基材の重ね固着をさせる場合に、この面係止片とボタンを混在させる取り付けにおいてもメリットが生じる。ボタンより面係止片の係合を先に行うことで新たなメリットが生じる。つまりボタンの位置確認が従来のボタンだけの取り付けにおける固着より優れる面係止片を用いて当座の急ぎの係合を行い、次いでより密な係合箇所を増やすためのボタン掛けを二番手として近接位置で単独使用より容易に行えるメリットが生じる。
【0045】
面係止片の基材への手縫いでの取り付け法には、現物合わせ式と型紙式がある。前者は取り付けたい基材上の位置で実際に係合させて面ファスナーを合わせておく。突起部が穴部に最も深く挿入され、凸形係止片を凹形係止片の上で回転して重合を行った時点で二枚の面ファスナーが合致するように、基材上に面ファスナーを配置して部分的に糸または粘着シールで固着しておけば、必ずこの挿入後の回転・重合によって基材に固着しておいた係合手段である面ファスナーの位置が合うことになる。係止片のエッジを糸でマーキングしておくのも有効である。この際のポイントは係合が部分的にしか生じないように、セロテープ等で面ファスナーの部分ブロックしておくことである。両係止片をはがす際の位置ずれを阻止するためである。
【0046】
次に後者の型紙式は、面係止片の服地上での位置出しを製作済みの型紙を用いて行うものである。両係止片の正規の位置関係を基準点から調整しておいた型紙を用いる簡便な方法である。裁断された服地に型紙を当てて両係止片の位置を何箇所かで裁縫用の器具でマーキングする。型紙式は同じ位置条件での繰り返しの取り付けには作業が容易になる利点がある。この手法をもとにコンピュータ処理でマーキングすることも可能である。
【0047】
前述の形状における工夫の他に、この面ファスナーの位置確定をトラブルなく安定的に行えるように工夫しておく配慮が必要になる。凸形係止片の突起を立てて指先感覚での凹形係止片の穴挿入をする際に、面ファスナーに対して突起部の直立角度が不十分な状態である、突起部が傾斜しすぎで寝かせすぎの状態である無理な突起部の操作があると、面ファスナー同士のエッジで望ましくない位置関係で、部分的な係合が生じる危険性がある。勘合による位置確定の際にこの種の想定外の係合が起こるのを阻止すると係合の際に軽く作業ができる。
【0048】
対策として穴の下縁部に接する位置に面ファスナーが機能しないゾーンを設けるようにする。単純には帯状の面ファスナーをプラスチック薄板に配置する際に、勘合の穴部または突起部から距離を設けてセットしておくことである。穴と面ファスナーとの距離を穴周縁において少なくとも3mm程度あけておくようにする方法としては、打ち抜き用木型を活用して面ファスナー付プラスチック薄板を木型で打ち抜く際に、木型に追加した半切刃で穴周辺の面ファスナーを穴から距離を設けて打ち抜くようにするものである。
【0049】
別の方法として、この好まない係合の発生が懸念される部分を熱溶融処理によって係合素子を破壊する方法がある。この熱溶融処理は面ファスナーを基板形状に合わせて打ち抜く前に、または仕上げの後処理として行うこともできる。この方法をとれば面ファスナーが穴部に近接して存在する場合でも面ファスナーの穴部周縁に、係合できない部分を形成することができる。
【0050】
ここから、本発明の大きく二つに分かれる請求項の内容に沿って、最良の形態の一つについて説明を行う。実用化している形態の一つを図6に示す。請求項1から請求項8までに記述している特徴を組み入れた係止片ということができる。この係止片には、請求項1に示される手縫い用の縫い代(13)と請求項2に示される縫製用穴(14)、請求項6の切り欠け穴の形状によって得られる勘合外れ防止バー(15)、請求項5の傾斜する基板の形状を得るための切れ目等を包含している。本発明の主要なテーマである家庭での糸(6)による簡便な縫い付け固定ができるようにするには、まず基板の周縁に縫い代を設けることが好ましい。
【0051】
図1に示している従来型の面係合具は、薄板プラスチックの基板に面ファスナーを固着した材料は、工業ミシンであれば、服地等の基材と一体化できるが、この一体化を家庭で実施できるように、工夫の一つとして図4と図5のように基板周縁から面ファスナーがはみ出すように面ファスナーを取り付けることである。手縫いまたは家庭用のミシンでこの縫い代(13)を用いて係止片を衣類に取り付ける。これらの図では基板の3辺で面ファスナーの基板からのはみ出し部である縫い代が設けられている。
このはみ出し幅は2〜5mmで、3mmが好適である。この縫い代部で工業用ミシンを用いた縫製をすることにも使える。やや硬めのプラスチック基板に針を通すことを回避することで、針の貫通力を下げられ、家庭での取り付けが可能になる。
【0052】
この方法では基板のエッジを広く面ファスナーでカバーでき、エッジ付近の面ファスナーの係合面積の実質増加のメリットを得ることができる。図4のように勘合する切り欠け部にもかかるようにすればさらに実質係合面積は増加する。また係止片同士を剥離する際には、面ファスナーの固着していない部分の浮きを抑制することにつながる。これは使用感覚として、剥離時の安定性増加と基材への固着効果の向上によって、この係止片に対する信頼度が上がる。また縫い代は使用時における肌に対する基板の当たるという感覚を和らげることにもつながり、洗濯時に服地を基板エッジで傷める可能性を軽減する。さらには取り付け外観を良くし、ファッション衣料に使用した場合には新たなデザイン要素となり、デザイン性向上に寄与するものである。
【0053】
請求項3と4について説明する。この内容は家庭で容易に面係止片を衣類等に取り付けられるように、請求項1と2に示す形状の係止片を簡易的な手縫いで固定度を向上させる目的の縫製用穴を面ファスナー部に追加する技法に関する内容である。この穴は二種類あり、図6に示すような基板と面ファスナーの両方を貫通する場合と図4のように基板のみを打ち抜く場合である。後者の場合のように基板のみを打ち抜くと、穴面積内の面ファスナーの任意の位置に針をさすことができ、係止片の固定に寄与することができる。二種類の穴部を一つの基板に設けた例を図8に示す。大き目の長穴にしておけば多様な固定が可能なる。
【0054】
この手縫いでの縫い付けによる基材と基板の固着度を高めるために、面ファスナーのエリア内のプラスチック基板の中央部に縫製用穴(14)を基板の大きさに応じて2乃至5個設けると良い。この穴のエリアで基板を挟んで基材同士を糸で緊縛することにより、面ファスナーを剥離する際に生じる剥離力に抗する固着効果を得る。通常は穴同士を糸で複数回渡す。この穴はミシン掛けによる面ファスナー自体の製造の際にも支障はない。穴のエッジに工業ミシンの針がかかっても針の折れ等のトラブルは生じない。
【0055】
この種の縫い付けを一般ミシン、または工業ミシンで行う場合、目視で係止片内の針位置を確認しながら行うことを述べてきたが、コンピュータ搭載のミシンにおいてはボタンホールの形成等を自動で行っているように、係止片の縫いつけも自動化が可能である。衣服または衣服地に用いる二種類の面係止片の形状を登録しておき、糸の渡し方、係止片の位置決めの基本点の寸法設定等を設定し、プログラム入力しておけば、ミシンが係止片を付属のマガジンからの一個取り出し機構を備えるかは別として、係止片を所定形状の服地の所定位置にプレス装置を用いて固定した段階で、面ファスナーのはみ出し縫い代から縫い始める縫い付け・縫製をプログラムソフトに基づいて自動で実施することも可能である。
【0056】
この穴のサイズは面ファスナーに覆われても指先の感触で穴の位置が特定できるように、かつ針通しが斜め通しでも良いように、またラフな位置確認ができる大きめの穴が好ましい。実際には直径5mm乃至10mm程度の穴、またはこれに相当する長穴が適する。基板内の穴の位置は固定効果を高めるように、突起部または穴部に近い面ファスナー端に設ける。この位置は基板を打ち抜くプラスチック薄板の素材と厚さによって決定される。衝撃の加わる打ち抜き時に割れやすさを考慮する必要があるからである。
【0057】
図6の係止片は、縫い付けのための縫い代と穴を併せ持つ係合片の模式図である。図に示す切り込み穴は二個隣接、または突起部が二個隣接する配置の係合片で、切り込み穴または突起部を一個設ける係止片仕様に比べてサイズが比較的大きくなり、衣類等での脱着において縫い代だけの固定効果だけでは不十分で、面ファスナー中央部の浮きが懸念される。このため面ファスナー中央部に穴を二個設けてここでも糸掛けすることが好ましい。
これは基板への面ファスナーの固定に用いる両面粘着テープの有無、およびその幅等によって影響される。また縫い付け固定の度合いは後述する糸かけの方法、掛け数等によっても異なる。
【0058】
請求項1等において、切り欠け部の個数を一個乃至複数個としている点について説明する。切り欠け部とこれに対応する突起部の個数は全体サイズに関係するとともに位置決めの正確度に関係する。一個の場合は、おおよそ大型ボタンの形状に似せて、円形または矩形に製作した形状になる。このサイズはボタンよりやや大きめの面係止片として設計することになる。デザイン、外観的にはボタンの代替として使用することができるが、指先の不自由な人の勘合の操作は、位置決め後の勘合を指先で調整し、係止片同士の押圧まで勘合状態を維持する必要があるために、係合作業性は極端には改善されない。従って服飾としてのデザインを重要視しないで、本発明品の機能を高くするには切り込み部の個数は、複数個が好ましい。全体サイズ等を加味して総合的に評価すると、二個が最適である。
【0059】
3個、4個、5個での形状設計も可能であるが、係止片のサイズにもよるが勘合しやすさは二個の場合に比べて切り欠け部の数の増加に伴って相対的に低下する。図示している係止片の全実施例では、切り込み穴が二個隣接のものであり、当然これに対応する係止片は突起数が同数の二個になる普通の設計のものである。この同数関係を崩して突起数を少なくすることも可能ではあるメリットは少ない。この推奨する切り欠けの穴個数が二個で、突起数が二個の場合の考え方とメリットを次にまとめる。
【0060】
勘合動作の基本は、突起部の挿入位置を目視確認しないラフな挿入作業が行われても、つまり穴の上縁部または下縁部の頂部付近に突起部の先端が挿入されても、設定の勘合、押圧が正確に行われるようにするものである。初期の段階の挿入では、プラスチック薄板製の基板のしなり、滑り性によって穴の切り口の傾斜に沿って滑りが生じ、突起部の根元まで穴の最大長さのところへ導かれる。次いで突起部の先端に続いて突起部の根元まで深く差し込むにつれて、穴の最大長さのところまで突起部が挿入される。それ以上の挿入はできない状態に至って突起の根元が固定される。この後凸形係止片を操作して、勘合、押圧が正確に行う段階に入るが、この操作でぶれがでるのを防ぐ必要がある。
【0061】
当然ながら切り込み穴の最大長さが長くなればなるほど、面係合具の位置確定機能の精度は向上するが、長くしただけでは効果はそれほど高くならない。またサイズの点でも限界がある。従ってまた横に穴が二個並べること等によって勘合箇所を増やすと、把持しやすいサイズになり、重要な面係合具の重合位置精度は高まる。
【0062】
請求項5,6,8は切り欠け部の形状の特徴を記していて、勘合する突起部の勘合に際しての挿入と回転を連続で、かつスムーズに行えるようにするための条件としては、穴は基板の端部方向に末広がりであれば好ましくなる。この末広がりには、階段状に広がる形状も含めるものとする。
【0063】
請求項7に示す傾斜または湾曲の特徴は、見かけ厚さが1.5mm、圧着状態では0.5mmになる面ファスナー同士を全面で均一に安定的に係合させるための技術的工夫である。勘合の影響として面ファスナーの当たりに傾きが生じることを防止することを目的にしている。係止片同士を勘合させた際に、勘合部に大きなストレスが生じないようにする基板を上記の形状にする。図6に示す基板への切り込みは、打ち抜き木型にセットする切れ刃をミシン目として、または飛び飛びに配置する。このように基板を切り込むことで基板を曲げやすくする。
【0064】
この切り込みを用いての基板の曲げによる傾斜がない場合は、突起部の外れ防止バーとの重なり、引っかかりは軽度であり、衣服上において軽く指先でこの部分を押すだけで引っかかり状態は解除されるので、面ファスナー同士は平行に係合する。通常外れ防止のロック機構は1〜2mmの重なりに設計し、プラスチック薄板のしなりやすさがあるため、外れ防止が働いている勘合状態を簡単に解除できる。従ってこの基板先端の傾斜または湾曲は作業改善と面ファスナーの使用時の性能改善に資するもので本発明の係止片の基本機能に関係するものではない。
【0065】
この曲げ作業は薄いプラスチック材であれば手作業で大まかに行うのが簡便であるが、打ち抜きの際に木型を細工して打ち抜きの際に自動的に曲げることも可能である。また後加工として簡単な冶具を用いて曲げることもできる。
この曲げによる先端の傾斜角はサイズにもよるが2度乃至4度になる。この角度は勘合状態にも関係することから基板の柔軟性も関与するため、実験的に求めることになる。この曲げを精度良く、また効率を上げて行うには、インジェクション成形が適する。あらかじめインジェクション成形の金型設計の段階で曲げの形状を条件として取り込むことができる。
【0066】
請求項8に示す切り欠け部の形状は、請求項4に示す切り欠け部の形状を限定したもので、係合片の幅寸法を縮減するためのものである。そして押圧に至る前に勘合状態が外れることを防止するための機能を付与するために、仕上がり穴形状として端部に細バーが形成されるようにし、かつ突起部の挿入しやすさを維持する工夫としての末広がりの円弧形状にするものである。半円形の穴形状にすることで、勘合作業時の外れを防止する機能は半円穴の直線部の外周縁との間の棒状部が果たす。この棒状部が凸形係止片の先端突起をだきこんで勘合時の外れを防止する。
【0067】
請求項9に示す独立項の内容は、縫い代のある手縫い用の凹形係止片と凸形係合片の特徴を同一係止片に有するタイプのハイブリッド型係止片である。本発明のもう一つの最良の形態に関する図は図7と図8で、糸のみで面ファスナーと基板を固着した係止片を示している。
このハイブリッド型係止片は、同型のハイブリッド型係止片同士で勘合させて用いることができることで、衣類等に取り付ける際に係合片を二種類準備する必要がなく、好都合である。難点はサイズ幅が幾分大きくなることである。これは突起部と切り込み穴部の形状を調整することである程度幅を縮減できる。
またこのハイブリッド型係止片は、凸形係止片または凹形係止片の一方を別個に入手して家庭で好みに合わせて、このシンプルな係止片の一方と組み合わせて用いることもできる。
【0068】
このハイブリッド型面係止片の製造面での利点は、一種類の木型管理、および1種類の製品の管理ですむことが挙げられ、コスト的に有利になる。
【0069】
請求項10から15までの内容は前記ハイブリッド係止片についての従属的内容を組み合わせたものである。二種類用いる係止片に対する場合と同様に、種々の特徴を従属で付与する請求項の組み立て構成に倣っている。
【0070】
本発明は面ファスナーの種類には規制されず、市販されているあらゆるタイプの面ファスナーを用いることができる。また、基板に固着できる形状のものであれば使用可能である。また類似の材料として使用勝手は異なるが、両面粘着テープのような粘着材を面ファスナーの代用として固着材に用いることもできる。
通常面ファスナーは離型紙つきの粘着材付与のテープ状面ファスナーと粘着材なしのタイプとがある。手縫いの場合は粘着材が針を通す位置にない方が針の抵抗は軽減され、ベタ付が生じない分、縫い作業は楽になる。縫い代を設けない面係止片の製作にあっては、面ファスナーの全面または広域に粘着材を塗布しておいた方が、穴を利用した糸による面ファスナーの押さえ込み効果、または剥離抑制効果は高くなる。
【0071】
次に基板の材料であるが、打ち抜き製法の場合、通常ミシン針の通りやすいプラスチック薄板を用いる。粘着両面テープを用いてテープ状の面ファスナーをこの薄板に固着しておき、工業用ミシンの針で面ファスナーと基板を重ねて貫通させれば、洗濯耐性のある両者の固着が完了する。汎用樹脂であればPP,PVDC,PET等の比較的安価なシート材が適する。厚さは樹脂によって異なるが、通常0.2mmから2mmまでの厚さの打ち抜き適性を有するシートを用いる。好ましい範囲は0.4mmから0.8mmである。
【0072】
また低発泡シートとしての発泡PPシートは勘合時の感覚を得やすくする厚さを得る上で好ましい。特殊なシートとして樹脂処理した板紙や各種フィルムのラミネートシートを用いることもできる。コストより装飾性を重要視すると、光沢のある金属シート、および石板等も係合時の剛性と切り口の滑り性に優れていれば素材の対象になる。これには曲げて基板の輪郭形成ができる線材も含まれる。
【0073】
シート材を用いるほかに所定形状の基板をインジェクション樹脂成型で得ることもできる。この製法の場合は、汎用樹脂で比較的安価で軟らかいPP樹脂等を選択する。
この基板成型法の場合は、基板の厚さを部分的に変えることができ、硬さの部分調整ができるので係止片の縫い付けには適する。縫製用の穴部を針通しが容易な薄い膜状に仕上げておくことができ、これにより基材と基板の固着をある程度ラフな位置で行うことができる。
両係止片の先端に面ファスナーを固着する側に曲がる傾斜またはカーブ形状を得るには、金型設計においてこの形状を設計に織り込んでおけば済む。この形状の効果は、基板同士の勘合時の反発を軽減させるものであり、これによって小さな面係止片にした場合でも、面ファスナーの対向状態は平行に近づき、衣類に一対の面係合具を取り付けた際の外観は良好になる。
【0074】
面ファスナーを基板に固着する方法について説明する。少量生産に適するミシンがけ法は、定尺の小判プラスチックシートに面ファスナーファスナーをマーキングした位置に固着しておき、工業用ミシンでシートの端から端まで連続的に縫いつけておき、これをバッチ的に打ち抜く方法が適する。大きなベース基板の両端にのみ粘着テープ貼り、またはクリップで固定しておくならば、糸を用いて工業用ミシンで両者を縫いつけることができ、打ち抜きで仕上げて取り出す係合片には粘着材は不在になる。
面ファスナーの全長にわたって細い両面粘着テープを用いて基板用プラスチックシートに貼っておく方法も採れる。後者の全長にわたるように両面粘着テープを用いて打ち抜き基板を生産した面係合具を図6乃至8に示している。つまり細い粘着テープ(11)の粘着材が図に示されている。
【0075】
ここまでは面ファスナーを予め基板に固着しておいた面係止片を簡便に基材に縫い付けることを前提に説明してきた。しかし別な方法として、所定形状に成形した基板とこれに用いる所定形状の面ファスナーを別個に準備し、基材に面係止片として組み合わせながら取り付けることもできる。つまり基材の切り込み部または突起部近傍に面ファスナーが配置されるように位置合わせし、この段階で両者を固定し、さらに基材に固着することができる。
この方法をとれば、使用者が別個に入手した両部材の組み合わせを好みに応じて任意に行えるという利点が生じる。
【0076】
基板の先端部に切れ目を打ち抜きで入れることによって、指先でこの部分で曲げることで幅方向に角度を付けることについて説明する。これは請求項9と13に関する技術内容になる。図6に基板先端を曲げるための切れ目を示している。この切れ目加工は係止片の幅寸法が25mm乃至30mm位の小型係合片においては好ましい加工になる。勘合の容易さを低下させるが、かなり軟らかい基板で仕上げることができれば、この工夫は不要になる。
【0077】
この切れ目を入れる目的は、係止片の面ファスナー同士を押圧した際に、全面で係合するように配慮するためである。係止片の幅寸法が小さいことから、係止片内に勘合部の占める割合が多くなり、勘合部の曲げ応力によって傾きが生じ、平らな基板上に固着してある2mm程度の厚みがある面ファスナーは平行に接触しない。この不均一な接触状態を改善するために、勘合部の方に傾斜をつけることにしたのである。このポイントを起点にして曲げる力を入れると図9のように「へ」の字状の傾斜が付く。角度は2〜3度である。
この形状によって、面ファスナーの厚みを吸収する形で面ファスナーを固着している基板同士が平行になる。
【0078】
この切れ目を複列入れて基板先端を曲げて湾曲させても良い。この形状は後述の樹脂インジェクション成型で基板形状を得るように金型設計をすれば、任意のカーブ形状を設定できる。
【0079】
この対向する面ファスナー部が平行になることは、衣服に二枚の係止片を取り付けた際に、前たての服地に開きが生じることなく、前たて部は接触しているように落ち着き、服としての見栄えがよくなることにつながる。
【0080】
本発明の手縫い用係止片を得るための簡便な打ち抜き製造法について詳細説明する。手縫いで基材に取り付けるための縫い代を基板周縁に設けには、木型に多数取りで配置する基板同士の間隔をあけ、この間に縫い代を設定する。例として縫い代を3mmにするには、基板同士の間隔をmmにしてその中央に切断刃を入れる。基板の底部にはみ出して縫い代を設けるには、同様に隣の基板列との間で3mmの切れ刃を落ちしろの隣に設定する。このように木型を設計すれば基板の底部の一端のみ、または両側(図7)、さらには3辺(図6)に縫い代を形成できる。
ただし、一回の打ち抜きで基板の複雑な形状と縫い代形状をするには、木型に半切れ刃と全抜き刃を組み入れることになる。つまり、基板形状を得るための半切れ刃と縫い代形状を得るための全切れ刃(貫通刃)を併用する。
【0081】
この打ち抜きの前に大判のベース基板に面ファスナーのテープを位置決め固定して、糸で縫いつける作業を終了しておけば、打ち抜いた段階で、最終形状の係止片を得ることができる。通常大判でミシン掛けをする方が生産効率の面、不良率が低下することから有利である。
顧客の要望に沿ってオンリーワン的な係止片を生産する場合には、基板の成形の後で粘着テープ等の位置決め手段を用いて、または作業者の手先の器用さで位置決めと押圧を同時に行いながら、ミシン掛けすることも行われる。
【0082】
面ファスナー部への縫製穴の設定も、曲げの切れ目も打ち抜きの段階で、木型にこのための切れ刃を組み込んでおけば済む。面ファスナーと基板をともに穴にする場合と基板のみに穴を開ける場合を選択して、切れ刃の高さを調整する。
【0083】
少量ずつ生産する低速生産であれば、打ち抜き装置の代わりにレーザーカット装置、振動刃による自動切断装置またはウォータージェットカット装置を導入可能である。
【0084】
上記のプラスチック薄板の打ち抜きによる基板製造とは異なる製造方法も採用できる。面係合具を量産する場合には、樹脂のインジェクション成型法が適する。この製法では、成型品の金型設計において、針通りが容易なように厚さを部分的に薄くすることもでき、また指当たりの良いように輪郭に丸みをつけることが容易という利点がある。また基板の部分的傾斜または湾曲等の屈曲形状、手縫い縫製で用いる基板の穴形成も基板のインジェクション成型の金型設計の段階で容易に行える。そして面ファスナーの基板への取り付けをインモールド法によって同時にオンマシンで行うこともできる。
【0085】
今までの説明は、繊維を織り上げた面ファスナーを係合手段に用いたものについての係止片についてであった。請求項には含めていないが、幾分製造での取り扱いが煩雑になる金属製または樹脂製の雄雌型のスナップホックを係合手段に用いることができる。剛性に優れた基板にこれらを埋め込み等で固着しておけば、例えばホックを3個千鳥状に基板に固着して用いて同じ面形状を有するようにすれば、この面ファスナーの代替物として使用可能である。この係合機能を有するこのホックは通常ボタンより小さめのサイズで用いるのが一般であり、指先で扱いにくいサイズあるが、本発明の特徴を付与すれば、手先の不自由な人の位置決めおよび衣服の前たて部の閉じ作業が容易になるように改善される。
【0086】
このホックをプラスチック製のホックとした場合には、ホックの基板への固着は樹脂同士の融着として行えるインモールド製法によって、通常の後加工の結合・固着が不要な一体成型法で行うことができる。さらには、基板とホックを同一のインジェクション金型で成形するようにすると製造が合理化される。
【0087】
このインモールド製法は、基板に面ファスナーを取り付ける場合にも用いることができる。所定の形状の面ファスナーを間欠的にインジェクション樹脂成形の金型に供給するか、テープ状の面ファスナーから打ち抜きとトリミングを同時に行いながら同様に金型に供給すれば、非常に仕上がり状態の優れる係止片を生産できる。特に基板先端部を傾斜させる形状にする設計においては、曲げ作業、曲げ工程が不要となり品質管理上も有利な、優れた方法になる。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明は、面ファスナーを固着した硬い二種類の係止片の小片を柔らかい布地等の基材に固着しておく加工を、家庭での縫製で比較的容易に行うことを可能にする。指先感覚で大まかな係合具の位置を確認でき、次に凹部係止片の一部に設けた切り欠け部と対向して用いる凸部係合片に設けた突起部を勘合させて正確な位置確定を行い、この状態で面ファスナーを相互に押圧することによってブラインドタッチで相互の位置ずれを気にすることなく、片手でも係止片同士を係合させられる。この係合作業の改善メリットは広く活用できる。現在使用中の衣服等には、家庭で手縫いまたは一般ミシンで係止片をボタンの代わりに取り付けられる。身体に障害のある人、及び高齢で手作業の不自由な人の衣服の脱着を自分でできるようにする点で、生活の質を高められるようになる。また車椅子の雨用カバー、介護のデイサービス用のエプロン等の福祉施設用品にも使用できる。
また、ファッション性の求められる衣服開発における新規装飾品として用いることができる。さらには機能的な新規係合具として、また枕カバー、ベッドシーツ等の生活布雑貨に、または産業用の位置決め係合具として使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】従来型の一対の面係合具で、勘合する箇所が二個の凹形係止片と凸形係合片の平面図で、面ファスナーの全面に広幅の両面粘着テープを用いて粘着材で面ファスナーと基板を固着し、これを工業用ミシンで基材に縫い付ける仕様の図である。
【図2】基板に手縫い縫製用の穴を複数も受けた面係合具で、穴は面ファスナーと基板を貫通する穴にした平面図である。
【図3】図2の凹形係止片に対し、基材に位置決めした上、手縫いで糸を穴と基板の打ち抜きエッジに掛けて固定した図である。
【図4】左図の凹形係止片は、面ファスナーを基板周縁からはみ出させ、さらに半貫通の穴を設けた配置図で、製作の打ち抜きの際に切り込み穴の形状で面ファスナーを打ち抜いて落とさずに、突起部の挿入の際にたわむように打ち抜き木型で割りを入れた係止片の平面図である。右図の凸形係合片は、同様に半貫通の穴付きで面ファスナーを基板周縁からはみ出させて配置した平面図である
【図5】左図の凹形係止片は、完全貫通の穴つきで面ファスナーを基板周縁からはみ出させ、さらに穴を中央に設けた係止片の図で、切り込み穴の形状で面ファスナーを打ち抜いた係止片の平面図である。右図の凸形係合片は、同様に貫通の穴付きで面ファスナーを基板周縁からはみ出させて配置した平面図である
【図6】手縫い用の一対の係合具に面ファスナーの先端部を傾斜させるための切込みを入れた係合片の平面図である。
【図7】縫い代のある手縫い用の凹形係止片と凸形係合片の特徴を有する係止片で、糸のみで面ファスナーと基板を固着したハイブリッド型係合片の平面図である。
【図8】縫い代と縫製穴のある手縫い用の凹形係止片と凸形係合片の特徴を有する係止片で、基材と係合片を縫いつけた状態のハイブリッド型係合片の平面図である。
【図9】図6の基板先端部に傾斜用切り込みを入れた係合片同士を勘合し、係合させた状態の断面図である。
【符号の説明】
【0090】
1 凹形係止片
2 面ファスナー
3 切り欠け部、穴部
4 切り欠け部の上縁部
5 基板
6 糸
7 凸形係止片
8 突起部
9 突起部の上縁部
10 面ファスナーの割り
11 粘着材(仮止め用)
12 外れ防止用突起
13 縫い代
14 縫製用穴
15 外れ防止バー
16 傾斜用切れ目

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二枚の基材の重なり部の一方に固着して用いる基板付き凹形係止片であって、切り欠け部を一個乃至複数個配置した該基板の該切り欠け部の近傍に面ファスナーを配置した凹形係止片であって、基材の重なり部で該凹形係止片に対応して用いる、該切り欠け部と勘合する突起部および該面ファスナーと係合する面ファスナーを相手側基板に配置した凸形係止片と組み合わせて用いる凹形係止片であって、該凹形係止片の基板周縁から面ファスナーがはみ出していることを特徴とする凹形係止片。
【請求項2】
二枚の基材の重なり部の一方に固着して用いる基板付き凸形係止片であって、突起部を一個乃至複数個配置した該基板の該突起部の近傍に面ファスナーを配置した凸形係止片であって、基材の重なり部で該凸形係止片に対応して用いる、該突起部と勘合する切り欠け部および該面ファスナーと係合する面ファスナーを相手側基板に配置した凹形係止片と組み合わせて用いる凸形係止片であって、該凸形係止片の基板周縁から面ファスナーがはみ出していることを特徴とする凸形係止片。
【請求項3】
二枚の基材の重なり部の一方に固着して用いる基板付き凹形係止片であって、切り欠け部を一個乃至複数個配置した該基板の該切り欠け部の近傍に面ファスナーを配置した凹形係止片であって、基材の重なり部で該凹形係止片に対応して用いる、該切り欠け部と勘合する突起部および該面ファスナーと係合する面ファスナーを相手側基板に配置した凸形係止片と組み合わせて用いる凹形係止片であって、該凹形係止片の基板内に縫製用の穴または薄肉部を形成していることを特徴とする凹形係止片。
【請求項4】
二枚の基材の重なり部の一方に固着して用いる基板付き凸形係止片であって、突起部を一個乃至複数個配置した該基板の該突起部の近傍に面ファスナーを配置した凸形係止片であって、基材の重なり部で該凸形係止片に対応して用いる、該突起部と勘合する切り欠け部および該面ファスナーと係合する面ファスナーを相手側基板に配置した凹形係止片と組み合わせて用いる凸形係止片であって、該凸形係止片の基板内に縫製用の穴または薄肉部を形成していることを特徴とする凸形係止片。
【請求項5】
前記凹形係止片の切り欠け部は上縁部と下縁部を有し、少なくとも少なくともその一方で前記突起部と勘合することを特徴とする請求項1乃至4に記載の小型面係止片。
【請求項6】
前記凹形係止片の切り欠け部は上縁部と下縁部を有し、少なくともその一方は上縁部と下縁部の交点まで末広がりに形成されていることを特徴とする請求項1乃至5に記載の小型面係止片。
【請求項7】
前記凹形係止片の切り込み穴部の近傍に、または凸形係止片の突起部の近傍に配置する面ファスナーの端部側を基点にして、該基板の切り欠け部側、または突起部が面ファスナー側に傾斜または湾曲していることを特徴とする請求項1乃至6に記載の小型面係止片。
【請求項8】
前記切り欠け部の上縁部は略円弧で形成され、突起部が勘合する該切り欠け部の下縁部は略直線で形成されることを特徴とする請求項1乃至7に記載の小型面係止片。
【請求項9】
二枚の基材の重なり部に固着して用いるハイブリッド面係止片であって、相手側の面係合片と一対で用いる面係止片であって、面ファスナーを配置する該ハイブリッド面係止片の基板に相手側の面係止片の突起部と勘合する形状の切り欠け部を一個乃至複数個および相手側面係止片の突起部と勘合する形状の該切り欠け部を一個乃至複数個配置したことを特徴とするハイブリッド小型面係止片。
【請求項10】
前記ハイブリッド面係止片の基板の周縁から面ファスナーがはみ出していることを特徴とする請求項9記載のハイブリッド小型面係止片。
【請求項11】
前記ハイブリッド面係止片の基板内に縫製用の穴または薄肉部を形成していることを特徴とする請求項9または10記載のハイブリッド小型面係止片。
【請求項12】
前記ハイブリッド面係止片の切り欠け部は上縁部と下縁部を有し、少なくともその一方で相手側の面係止片の前記突起部と勘合することを特徴とする少なくともその一方で前記突起部と勘合することを特徴とする請求項9乃至11記載のハイブリッド小型面係止片。
【請求項13】
前記ハイブリッド面係止片の切り欠け部は上縁部と下縁部を有し、少なくともその一方は上縁部と下縁部の交点まで末広がりに形成されていることを特徴とする請求項9乃至12に記載のハイブリッド小型面係止片。
【請求項14】
前記ハイブリッド面係止片の基板に固着する面ファスナーの端部側を基点にして、該基板の切り欠け部側が面ファスナー側に傾斜または湾曲していることを特徴とする請求項9乃至13に記載のハイブリッド小型面係止片。
【請求項15】
前記ハイブリッド面係止片の切り欠け部の上縁部は略円弧で形成され、相手側の面係止片の突起部が勘合する該切り欠け部の下縁部は略直線で形成されることを特徴とする請求項9乃至14に記載のハイブリッド小型面係止片。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−96004(P2012−96004A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−165995(P2011−165995)
【出願日】平成23年7月12日(2011.7.12)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.セロテープ
【出願人】(503356967)
【Fターム(参考)】