縫製されていない継ぎ目を製造するための方法及び組成物
シリコーン組成物及び方法を使用して、車両用途で使用されるエアバッグにおける縫製されていない継ぎ目を形成する。エアバッグは、シリコーン組成物から調製されるシリコーン材料から成る継ぎ目を有する。エアバッグの継ぎ目を形成するためのシリコーン材料及び方法は、縫製された継ぎ目の必要性を最小限に抑える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書中に記載される方法及び組成物は、車両用途に用いて有用であるエアバッグ等を膨らませることができる物品の組み立てに有用である。
【0002】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2006年12月6日付けで出願された米国仮特許出願第60/873,799号の利益を主張する。米国仮特許出願第60/873,799号は、参照により本明細書中に援用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来のエアバッグは被覆された布地から作られている。エアバッグを形成するパネル及びエアバックでのパッチ(patch)が、十分な機械強度を与えるために、一緒に縫製されている。これらのエアバッグは、例えば第1のパネルと第2のパネルとを一緒に、それらパネルの周囲に塗布されたシリコーン接着剤で結合し、その後、縫糸又はヤーンの1つ又は複数の継ぎ目で、パネルを一緒に縫製することによって、組み立てられる。継ぎ目はシリコーン接着剤を通して縫製されて、エアバッグが展開される際の十分なガス不通気性及び/又は圧力保持力を与える。これらの性質により、継ぎ目の密封(seal)及び縫製のために複数の段階を要し、エアバッグを組み立てるための比較的時間と費用がかかる方法となっている。自動車産業において、他のエアバッグの特性を維持しながらエアバッグを組み立てる方法での効率性を改善する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
テキスタイルを互いに接着する縫製されていない継ぎ目を形成する方法を開示する。本方法は、第1のテキスタイルの第1の表面を表面処理すること、処理された第1の表面に接着剤組成物のビード(bead)を塗布すること、及び、接着剤組成物と、第2の基材又は第2の接着剤組成物とを接触させることを含む。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1】二枚の被覆布地パネル100の間に継ぎ目シーラント104のビード及びホットメルト接着剤102のビードを有する、参考例1及び参考例2の方法に従って製造されたエアバッグを示す図である。
【図2】第2のホットメルト接着剤106のビードを含むエアバッグの代替的な実施形態を示す図である。
【図3】継ぎ目での物質の代替的な構成の例を示す図である。
【図4】継ぎ目での物質の代替的な構成の例を示す図である。
【図5】継ぎ目での物質の代替的な構成の例を示す図である。
【図6】継ぎ目での物質の代替的な構成の例を示す図である。
【図7】継ぎ目での物質の代替的な構成の例を示す図である。
【図8】継ぎ目での物質の代替的な構成の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
用語の定義及び用法
全ての量、比及びパーセントは、特に別に示されていなければ、重量に基づくものである。本出願の目的のために、冠詞「a」、「an」、及び「the」はそれぞれ1つ又は複数をいう。「エアバッグ」とは、ガス、例えば、空気、ヘリウム、ハイブリッドガス混合物、又はインフレータ用推進剤の燃焼のガス状生成物で充填することができ、衝突事故の際に車両の乗員を保護するのに役立つ、膨らませることができる任意の物品を意味する。「表面処理」とは、夾雑物を除去するように清浄すること、及び/又は表面上に極性反応性基を作るように活性化することを意味する。「表面処理」としては、オゾン処理、プラズマ処理、コロナ処理及び火炎処理が挙げられるが、これらに限定されない。
【0007】
連続的にエネルギーが物質に供給されると、その温度は上昇し、それは一般に固体から液体へ、その後、気体状態へと変形する。エネルギーを供給し続けることによって、系は、気体の中性原子又は中性分子をエネルギーの衝突により分解して負に帯電した電子、正又は負に帯電したイオン、及び他の化学種を生成するさらなる状態変化を受ける。集合挙動を示す荷電粒子のこの混合物は「プラズマ」と称される。それらの電荷に起因して、プラズマは外部電磁場に大きな影響を受け、それにより容易に制御可能となる。さらに、それらの高エネルギー含量によって、プラズマは、他の物質状態を介して(例えば、液体又は気体の処理を通じて)不可能又は困難であるプロセスを達成することが可能である。
【0008】
「プラズマ」という用語は、密度及び温度が数桁の大きさで変動する広範囲の系を含む。或るプラズマは高温であり、全てのそれらの微視的な化学種(イオン、電子等)が近似的な熱平衡状態にあり、その系に投入されるエネルギーは、原子/分子レベルの衝突を介して広く分布する。しかしながら、他のプラズマ、特に、衝突の頻度が比較的低い低圧(例えば、およそ100Pa)のものは、非常に異なる温度でそれらの構成要素である化学種を有し、「非熱平衡」プラズマと称される。これらの非熱平衡プラズマでは、自由電子が何千ケルビンもの温度を有するのに対し、中性化学種及びイオン化学種が低温状態のままである。自由電子の質量は略無視できることから、系全体の熱含量は小さく、プラズマは室温近くで作用するため、基材上に損傷を与えるような熱負荷をかけることなくプラスチック又はポリマー等の感温材料の処理が可能となる。しかしながら、高温電子は、高エネルギー衝突を介して、強い化学的及び物理的な反応性を示し得る高い化学的ポテンシャルエネルギーを有するラジカル及び励起種の豊富な発生源を生成する。非熱プラズマを表面処理に有用なツールとするのはこの低温での作用と高い反応性との組合せである。
【0009】
プラズマ技術の工業的用途において、簡便な方法は、電磁力を、ガスと蒸気との混合物であり得るプロセスガスの容積内に結合させ、その中に、表面処理する基材を浸漬又は通過させることである。これは、大きな電位差を印加した隣接する電極間の間隙にプロセスガスを通過させることによって達成される。プラズマは、電極間の電位差の作用により起こる気体状の原子及び分子の励起によって、間隙(以後、プラズマゾーンと称する)内に形成される。気体は、プラズマ中でイオン化されることにより、基材の表面と反応する、化学ラジカル、UV線、励起中性原子(neutrals)及び励起イオンを生成する。一般的にプラズマの発生に関与するグローは、低励起状態に戻る際に光を放つ励起種により起こる。プロセスガスの組成、駆動電力周波数(driving power frequency)、電力結合モード(power coupling mode)、圧力、及び他の制御パラメータの正しい選択により、プラズマプロセスは、製造業者が要求する特定の用途に合ったものとすることができる。
【0010】
「プラズマ処理」とは、表面を、外部から適用される或る種のエネルギーにより活性化される気体状態に曝すことを意味し、プラズマジェット、誘電体バリア放電、低圧グロー放電、大気圧グロー放電処理、及び液状前駆物質プラズマが挙げられるが、これらに限定されない。「プラズマ処理」は、プラズマ流中で液状前駆物質を表面に施すこと、及び、分子フラグメント形態で、分子そのものとして又はその後重合される分子膜として表面上に堆積させることを含む。
【0011】
「コロナ処理」とは、表面を、局所的に強い電場に曝すことを意味し、すなわち、点電源、エッジ電源及び/又はワイヤ電源を使用して発生する不均一な電場が従来コロナ放電系として記載されている。コロナ放電系は一般に周囲空気中で作用し、酸化堆積環境をもたらす。コロナ放電系の設計は、局所的に強い放電を発生させて、プロセスチャンバ中にわたりエネルギー密度を様々なものとするようなものである。
【0012】
「火炎処理」とは、表面を熱平衡プラズマに曝すことを意味する。火炎処理系は高い気体温度で作用し、本質的に酸化的なものである。
【0013】
「オゾン処理」とは、交流に接続した2つの平板電極間に乾燥空気を通過させることにより生成し得る三原子酸素を形成することを意味する。オゾンは、有用な酸化性化合物であるオゾニドを形成することができる。
【0014】
表面処理に用いられる気体は、空気、アンモニア、アルゴン、二酸化炭素、一酸化炭素、フッ素、フレオン、ヘリウム、水素、クリプトン、水銀蒸気、ネオン、窒素、亜酸化窒素、酸素、オゾン、ナトリウム蒸気、水蒸気、キセノン、及びそれらの組合せであり得る。代替的には、他のより反応性の気体又は蒸気、例えば、ヘキサメチルジシロキサン、シクロポリジメチルシロキサン、シクロポリハイドロジェンメチルシロキサン、シクロポリハイドロジェンメチル−コ−ジメチルシロキサン、反応性シラン、及びそれらの組合せを、プロセス使用圧力において通常の気体状態で使用するか、又は本来の(otherwise)液体状態から好適な機器を用いて気化してもよい。代替的には、このような液体の霧状液滴を或る特定のプラズマ処理系に使用してもよい。
【0015】
縫製されていない継ぎ目を形成する方法
エアバッグにおける縫製されていない継ぎ目を形成する方法は、i)テキスタイルの表面を表面処理することであって、それにより、処理された表面を作ること、ii)処理された表面に接着剤組成物のビードを塗布すること、iii)ビードと、第2の接着剤組成物の第2のビード又は第2のテキスタイルの第2の表面とを接触させること、及びiv)接着剤組成物のビードから、接着性物質の縫製されていない継ぎ目を形成することを含み得る。本方法は任意に、v)エアバッグを後硬化することをさらに含んでいてもよい。
【0016】
本方法は、工程iii)前に、第2のエアバッグ構成部品の第2の表面を処理することをさらに含み得る。第2の表面は、第1の表面と同一又は異なる表面処理を用いて処理することができる。
【0017】
本方法では、1つの組成物の1つのビードを使用して、縫製されていない継ぎ目を形成してもよい。代替的に、本方法は、工程iii)前に、処理された第1の表面又は処理された第2の表面に第2のビードを塗布することをさらに含み得る。存在する場合、第2のビードは、工程ii)で形成されるビードと異なる組成及び/又は構成を有していてもよい。
【0018】
本方法は任意に、工程i)前若しくは工程ii)前に第1の表面に接着促進剤を塗布すること、工程iii)前に第2の表面に接着促進剤を塗布すること、又は両方をさらに含み得る。接着促進剤は、接着促進剤を溶剤中に溶解又は分散させて溶液を形成し、その後、該溶液と、組成物が塗布されるエアバッグ構成部品の少なくとも一面とを接触させるといった任意の簡便な手段により塗布され得る。溶液を塗布することは、例えば、噴霧、浸漬又は刷毛塗りによって行い得る。好適な接着促進剤の例を(成分(V)として)以下に記載し、好適な溶剤の例を(成分(VII)として)以下に記載する。接着促進剤で表面上を被覆してもよい。代替的に、接着促進剤を、表面の一定領域、例えば、縫製されていない継ぎ目が形成される箇所に相当する領域に塗布してもよい。
【0019】
本方法は任意に、工程i)における表面処理前に、第1の表面をゴムで被覆すること、第2の表面をゴムで被覆すること、又は両方をさらに含み得る。表面(複数可)を表面処理する前、かつ接着促進剤を使用する場合にはその塗布前又は塗布後に、該表面(複数可)を被覆してもよい。ゴムは、シリコーンゴム又はシリコーンで変性された有機ゴムであり得る。例えば、ゴムは、表面に、シリコーンエマルション、(溶媒和されたか又は溶媒和されていない)高粘度ゴム(high consistency rubber)、液状シリコーンゴム組成物、エアロゾル化されたシリコーンゴム、粉末シリコーンゴム又は融解シリコン樹脂を塗布することを含む方法により形成され得る。
【0020】
本方法をエアバッグ用途で使用する場合、第1のテキスタイル及び第2のテキスタイルは共にエアバッグ構成部品であってもよく、該エアバッグ構成部品は、液滴のエアロゾル形態の組成物を大気圧プラズマ放電に導入するか、又は組成物から得られる励起種を導入することにより、布地を布地コーティング組成物、例えばDOW CORNING(登録商標)LCF 3600で被覆することを含む方法によって、工程i)前に調製され得る。代替的に、布地コーティングは、キャリアガスの非存在下でプラズマ放電又は得られるストリームに導入することができる、すなわち、例えば直接噴射により直接的に導入することができ、それゆえ、布地コーティングはプラズマ中に直接噴射される。国際公開第2002/28548号(参照により本明細書に援用される)は、かかるエアバッグ構成部品を製造するのに用いられ得る方法及び機器を開示している。この方法では、工程i)及び工程ii)を同時に行ってもよい。
【0021】
工程iv)で縫製されていない継ぎ目を形成することは、接着剤組成物を冷却すること、接着剤組成物を硬化すること、又は両方により、接着性物質を形成することによって行われ得る。接着剤組成物を縫製されていない継ぎ目に形成する方法は、接着剤組成物のタイプ及びその塗布方法を含む様々な要因に応じて決まる。2種類以上の接着剤組成物をエアバッグ用途に使用する場合、縫製されていない継ぎ目は、第1の接着剤組成物から成る第1の接着性物質、及び第2の接着剤組成物から成る第2の接着性物質を含み得る。第1の接着性物質は、エアバッグの内側に向けて配置され、第2の接着性物質は、エアバッグの外側に向けて配置され、第1の接着性物質及び第2の接着性物質が互いに接触し得る。第1の接着性物質及び第2の接着性物質は、硬度、モジュラス、又は両方が異なっていてもよい。
【0022】
代替的に、本方法は、
i)第1のテキスタイルの第1の表面を表面処理して、処理された第1の表面を形成すること、
ii)第1のテキスタイルの処理された第1の表面に、第1のシリコーン組成物の第1のビードを塗布すること、
iii)第1のシリコーン組成物の第1のビードと、第2のテキスタイルの第2の表面とを接触させること、及び
iv)第1のシリコーン組成物から第1のシリコーン材料を含む縫製されていない継ぎ目を形成すること、
を含み、それにより、縫製されていない継ぎ目を介して第1のテキスタイルと第2のテキスタイルとを接着し得る。シリコーン組成物の1つ又は複数のビードを使用してもよい。2つ以上のビードを使用する場合、ビードは、工程iii)前に第1の表面上に互いに隣接して塗布してもよく、又は、工程iii)においてビードが互いに隣接するように、第1のビードを第1の表面上に塗布し、第2のビードを第2の表面上に塗布してもよい。
【0023】
代替的に、本方法は、
1)第1のテキスタイルの第1の表面を表面処理して、処理された第1の表面を形成すること、第2のテキスタイルの第2の表面を表面処理して、処理された第2の表面を形成すること、又は両方、
2)第1のテキスタイルの処理された第1の表面に、第1のシリコーン組成物の第1のビードを塗布すること、
3)処理された第2の表面に、第2のシリコーン組成物の第2のビードを塗布すること、
4)第1のビードと第2のビードとを接触させて、1つのビードを形成すること、及び
5)1つのビードから縫製されていない継ぎ目を形成すること、
を含み、それにより、縫製されていない継ぎ目を介して第1のテキスタイルと第2のテキスタイルとを接着し得る。本方法では、第1のシリコーンビードが、処理された第1の表面と反対側の第1の露出面を有し、第2のビードが、処理された第2の表面と反対側の第2の露出面を有し、工程iv)が、第1の露出面と第2の露出面とを接触させることによって行われる。工程iv)で第1のビードと第2のビードとを整合させることによって、より厚いビードが形成するように、シリコーン組成物の一部を各基材に塗布してもよい。第1のシリコーン組成物及び第2のシリコーン組成物は同じであっても異なっていてもよい。工程v)は、第1のシリコーン組成物及び第2のシリコーン組成物を同時に硬化することによって行われ得る。
【0024】
代替的に、2つ以上のビードを用いてもよく、本方法は、
1)第1のテキスタイルの第1の表面を表面処理して、処理された第1の表面を形成すること、
2)第2のテキスタイルの第2の表面を表面処理して、処理された第2の表面を形成すること、
3)処理された第1の表面に、第1のシリコーン組成物の第1のビードを塗布すること、
4)工程5)中又はその後に第2のビードが第1のビードに隣接するように、処理された第1の表面又は処理された第2の表面に、第2のシリコーン組成物の第2のビードを塗布すること、及び
5)工程iv)の生成物から縫製されていない継ぎ目を形成すること、
を含み、それにより、第1のテキスタイルと第2のテキスタイルとを一緒に接着し得る。
【0025】
代替的に、本方法は1つのビードのみを用いて行ってもよい。本方法は、
i)第1のテキスタイルの第1の表面を表面処理して、処理された第1の表面を形成すること、第2のテキスタイルの第2の表面を表面処理して、処理された第2の表面を形成すること、又は両方、
ii)処理された第1の表面に、シリコーン組成物の1つのビードを塗布すること、
iii)1つのビードと処理された第2の表面とを接触させること、及び
iv)ビードから縫製されていない継ぎ目を形成すること、
を含み、それにより、第1のテキスタイルと第2のテキスタイルとを一緒に接着し得る。
【0026】
代替的に、本方法は、
i)第1のテキスタイルの第1の表面を表面処理して、処理された第1の表面を形成すること、
ii)第2のテキスタイルの第2の表面を表面処理して、処理された第2の表面を形成すること、
iii)処理された第1の表面に、シリコーン組成物の1つのビードを塗布すること、及び
iv)処理された第1の表面と処理された第2の表面との間で1つのビードを加圧すること、
を含み、それにより、第1のテキスタイルと第2のテキスタイルとを一緒に接着する縫製されていない継ぎ目を形成し得る。
【0027】
本明細書中に記載の方法は、縫製されていない継ぎ目を作るのに有用である。縫製されていない継ぎ目は、様々な用途、例えば、テント、幌、空気入れ玩具、ゴムボート、航空機用の安全シュート、自動車のソフトトップ、建築用布地、幕(banners)、コンベヤベルト用途、及びエアバッグで使用することができる。代替的に、縫製されていない継ぎ目は、エアバッグにおいて利用され得る。第1のテキスタイルは第1のエアバッグ構成部品を含むことができ、第2のテキスタイルは第2のエアバッグ構成部品を含み得る。第1のエアバッグ構成部品及び第2のエアバッグ構成部品はそれぞれ独立してパネル又はパッチから選択することができる。
【0028】
工程i)表面処理
表面処理は、任意の簡便な手段により行われ得る。表面処理は、火炎処理、代替的にはコロナ処理、代替的にはオゾン処理、代替的にはプラズマ処理によって行われ得る。コストを最小限に抑えるのに火炎処理又はコロナ処理を使用してもよい。代替的には、プラズマ処理を使用してもよい。代替的に、接着を改善するのに2つ以上のプラズマ処理工程を使用してもよい。
【0029】
本明細書中に記載の方法では、第1のテキスタイルの第1の表面及び第2のテキスタイルの第2の表面上で同時に表面処理を行ってもよい。同じ表面処理を、第1の表面及び第2の表面の両方の上で使用してもよい。代替的に、異なる表面処理法を第1の表面及び第2の表面上で使用してもよい。
【0030】
テキスタイルの表面を処理するのに、様々なプラズマ処理法を上記の方法で使用してもよい。例えば、プラズマジェット、誘電体バリア放電処理、及びグロー放電処理を使用することができる。グロー放電処理は、低圧グロー放電又は大気圧グロー放電から選択されるプラズマを用いて実行することができる。
【0031】
例えば、プラズマ処理は、連続モード又はパルスモードの低圧グロー放電プラズマによって行われ得る。これは、バッチプロセスであってもよい。代替的に、プラズマ処理は、大気圧において連続プロセスで、適切な大気圧プラズマ装置を用いて行われ得る。プラズマ処理は当該技術分野において既知である。例えば、米国特許第4,933,060号及び同第5,357,005号、並びにT.S. Sudarshan, ed., Surface Modification Technologies, An Engineer's Guide, Marcel Dekker, Inc., New York, 1989, Chapter 5, pp. 318-332 and 345-362が、典型的な方法を開示している。
【0032】
プラズマ処理のための正確な条件は、エアバッグ構成部品の選択、プラズマ処理と接触との間の貯蔵時間、並びに用いられるプラズマ処理のタイプ及び方法、並びに用いられるプラズマチャンバの設計を含む様々な要因に応じて変わるとされる。しかしながら、プラズマ処理は、大気圧までの圧力で実行することができる。代替的に、プラズマ処理は、0.05トル〜10トル、代替的には0.78トル〜3トル、代替的には1.5トル〜3トルの範囲の圧力で実行することができる。
【0033】
プラズマ処理の時間は、処理されるエアバッグ構成部品、選択される接触条件、プラズマ処理のモード(例えば、連続式に対してバッチ式)、及びプラズマ装置の設計を含む様々な要因に応じて決まる。プラズマ処理は、処理されるエアバッグ構成部品の表面が、接着結合を形成するのに十分に反応性となる十分な時間で実行される。プラズマ処理は、1ミリ秒〜30分、代替的には0.002秒〜1分、代替的には0.1秒〜30秒、代替的には1秒〜1分、代替的には5秒〜30秒の範囲の時間実行することができる。商業規模プロセスの効率のためにプラズマ処理時間を最小限に抑えることが望まれ得る。長すぎる処理時間は、幾つかの処理されたエアバッグ構成部品を非接着性又は低接着性とする可能性がある。
【0034】
プラズマ処理に用いられるガスは、例えば、空気、アンモニア、アルゴン、二酸化炭素、一酸化炭素、ヘリウム、水素、窒素、亜酸化窒素、酸素、オゾン、水蒸気、及びそれらの組合せであり得る。代替的に、ガスは、空気、アルゴン、二酸化炭素、一酸化炭素、ヘリウム、窒素、亜酸化窒素、オゾン、水蒸気、及びそれらの組合せから選択され得る。代替的に、ガスは、空気、アルゴン、二酸化炭素、ヘリウム、窒素、オゾン、及びそれらの組合せから選択され得る。代替的には、他のより反応性の有機ガス又は蒸気、例えば、ヘキサメチルジシロキサン、シクロポリジメチルシロキサン、シクロポリハイドロジェンメチルシロキサン、シクロポリハイドロジェンメチル−コ−ジメチルシロキサン、反応性シラン及びそれらの組合せを、プロセス使用圧力において通常の気体状態で使用するか、又は好適な機器を用いて本来の液体状態から気化してもよい。
【0035】
当業者は、上記の指標基準及び下記の実施例を用いて、過度の実験を行うことなく、適切なプラズマ処理条件を選択することができるであろう。表面処理すること、及び処理された表面に接着剤組成物を塗布することは、選択される表面処理法に応じて、連続して又は同時に行われ得る。
【0036】
工程ii)は、工程i)の直後に行い得る。代替的には、任意に工程ii)前に、最大24時間、代替的には4時間〜12時間、代替的には1時間〜10時間テキスタイルを貯蔵してもよい。理論に縛られることを望むものではないが、24時間以内の貯蔵によって、表面の清浄及び表面の活性化という両方の利益がもたらされると考えられる。代替的には、任意に工程ii)前に、24時間より長く、例えば、最大14日間、代替的には最大7日間テキスタイルを貯蔵してもよい。理論に縛られることを望むものではないが、24時間より長い間の貯蔵によって、表面の清浄という利益がもたらされ、接着性が改善され得ると考えられる。代替的に、接着剤組成物は、テキスタイルとの接触直前に分配されるように処理してもよい。例えば、テキスタイルとの接触の直前にプラズマ場(plasma field)を通じて接着剤組成物を分配してもよい。
【0037】
工程ii)接着剤組成物の塗布
接着剤組成物のビードを塗布する方法は、選択される接着剤組成物のタイプ及び顧客の要望を含む様々な要因に応じて決まる。例えば、接着剤組成物のビードを塗布することは、例えば接着剤組成物がHCR組成物である場合には、押出機を使用して行ってもよい。代替的に、ビードを塗布することは、例えば接着剤組成物がホットメルト組成物又はHCR組成物である場合には、加熱分配器具を使用して行ってもよい。代替的に、ビードを塗布することは、例えば、多液型接着剤組成物を使用して塗布直前にパートを混合し得る方法では、ロボット分配器具を使用して行ってもよい。代替的に、接着剤組成物をテープ形状に作製してもよく、テキスタイルの処理された表面にテープを貼り付けることによって工程ii)を行ってもよい。
【0038】
2種類以上の接着剤組成物を使用する場合には、接着剤組成物を同時に又は任意の順序で連続して塗布してもよい。例えば、工程ii)で硬化性シーラント組成物とホットメルト組成物とを同じテキスタイル(エアバッグ構成部品等)に塗布する場合には、硬化性シーラント組成物を初めに塗布し、その後、硬化性シーラント組成物と接触させて、又は硬化性シーラント組成物と少し離して、ホットメルト組成物を塗布してもよい。正確な距離は、選択されるシーラント組成物及びホットメルト組成物に応じて変わるが、距離は、ホットメルト接着剤及び継ぎ目シーラントが工程iii)後に互いに接触するくらいに十分短い。一実施形態では、継ぎ目シーラントとホットメルト接着剤との間に間隙はない。例えば、硬化性シーラント組成物を第1の連続する一様なビードとして塗布してもよく、ホットメルト組成物を第2の連続する一様なビードとしてとして塗布してもよく、継ぎ目シーラント及びホットメルト接着剤が工程iv)前に1つのビードを形成する。
【0039】
ビードの正確な構成は、具体的なエアバッグ等の膨らませることができる物品の選択される設計を含む様々な要因に応じて決まる。しかしながら、エアバッグ用途に関して、ビードの幅は、6ミリメートル(mm)〜12mm、代替的には6mm〜10mm、代替的には3mm〜15mmの範囲をとり得る接着性物質のビードを提供するのに十分なものとなり得る。硬化性接着剤組成物のビードの深さは、0.4mm〜1mm、代替的には0.6mm〜0.8mm、代替的には0.3mm〜1.5mmの範囲をとり得る硬化接着剤のビードを提供するのに十分なものである。ホットメルト接着剤のビードは、継ぎ目シーラントのビードと同じ寸法を有し得る。
【0040】
代替的に、型板をビードに利用して、ビードを所望の形状に形成した後、型板を取り除くことによって、工程ii)を行ってもよい。これはエアバッグ用途に有用であり得る。
【0041】
本方法は、例えば、硬化性シーラント組成物及びホットメルト組成物を工程ii)中に同じエアバッグ構成部品に塗布する場合、工程iv)前に、第2のエアバッグ構成部品を硬化性シーラント組成物及びホットメルト組成物に付すことをさらに含み得る。第2のエアバッグ構成部品を付すことによって、塗布時にビードが互いに少し離れていたとしても、硬化性シーラント組成物のビードとホットメルト組成物のビードとが互いに接触することになり得る。第2のエアバッグ構成部品と組成物とを接触させることは、任意の簡便な手段により行われ得る。例えば、第1の被覆表面を有する第1のパネルを工程ii)で使用し、第2の被覆表面を有する第2のパネルを工程ii)で使用してもよく、この場合、硬化性シーラント組成物及びホットメルト組成物が、2つのパネルの処理された被覆表面を接触させる。
【0042】
代替的に、当業者は、硬化性シーラント組成物を第1のエアバッグ構成部品の処理された第1の表面に塗布することができ、ホットメルト組成物を第2のエアバッグ構成部品の処理された第2の表面に塗布し得ることを認識するであろう。その後、硬化性シーラント組成物及びホットメルト組成物が互いに接触するように、第1のエアバッグ構成部品及び第2のエアバッグ構成部品が組み合わされ得る。
【0043】
代替的に、硬化性シーラント組成物を、工程ii)で底面パネル等の第1のエアバッグ構成部品に塗布することができ、ホットメルト組成物を、工程ii)で上面パネル等の第2のエアバッグ構成部品に塗布し得る。本方法は、工程iv)前にホットメルト組成物を任意に冷却することをさらに含み得る。理論に縛られることを望むものではないが、ホットメルトを冷却させることは、ホットメルト組成物を硬化性シーラント組成物に加圧して、より低粘度の硬化性シーラント組成物を底面パネルの表面から追いやるのに役立ち得ると考えられる。このプロセスは、連続性(例えば、直線、曲線又はジグザグ)であろうと又は分断された形状(ビーズ等)としてであろうとホットメルト分布の構成にかかわらず適用可能である。
【0044】
工程iii)後、上面パネルを底面パネルに位置合わせし、0.5mm〜1.2mmの範囲をとり得る厚みにまで加圧して、組成物とエアバッグ構成部品の被覆表面との間の接触を改善することができる。
【0045】
例えば、〜図8で示されるように、分断された形状のホットメルトの塗布は、初めにホットメルト組成物を塗布し、冷却した後に、ホットメルト組成物を冷却することにより調製されたホットメルト接着剤の上に硬化性シーラント組成物を設けることにより行われ得る。代替的に、ホットメルト組成物を冷却することによって調製されたホットメルト接着剤は、ビーズ等の分離形状に形成することができ、そのビーズを硬化性シーラント組成物中に挿入することもできる。その後、接触工程は、硬化性シーラント組成物を介してホットメルト接着剤のビーズをプレスして、エアバッグ構成部品の両面上の接触をもたらすと考えられる。
【0046】
本方法は任意に、工程iii)前に第3の組成物をエアバッグ構成部品に塗布することをさらに含み得る。例えば、第1の組成物が硬化性シーラント組成物であり、第2の組成物がホットメルト組成物である場合、ホットメルト組成物の第2のビードは、工程iii)前かつ第2のエアバッグ構成部品を付す前にエアバッグ構成部品に塗布され得る。ホットメルト組成物の第2のビードは、これまでに塗布されるホットメルト組成物と異なるホットメルト組成物であってもよい。例えば、硬化性シーラント組成物(内側)、ホットメルト組成物の第1のビード(硬化して第1のモジュラス及び第1の伸びを有する第1のホットメルト接着剤を形成する)、及びホットメルト組成物の第2のビード(硬化して第1のホットメルト接着剤と比較して、より大きいモジュラス、より小さい伸び、又は両方を有する第2のホットメルト接着剤を形成する)を使用してもよい。代替的には、継ぎ目シーラントのビードの両側が、ホットメルト接着剤のビードにより囲まれていてもよい。
【0047】
本方法は、ホットメルト組成物をエアバッグ構成部品に塗布した後に、ホットメルト組成物を冷却することをさらに含み得る。理論に縛られることを望むものではないが、ホットメルト組成物を冷却することによって、エアバッグの生強度(green strength)が改善され、それにより組み立て時間及びコストを削減することができると考えられる。非硬化性ホットメルト組成物を使用する場合、冷却はホットメルト接着剤を形成するために行ってもよい。
【0048】
工程iii)ビードの接触
工程iii)は、接着剤組成物による処理された表面の湿潤を改善させる任意の簡便な手段により行われ得る。工程iii)は、テキスタイル若しくはビード、又は両方を、エネルギー波又は振動機器との接触に曝すことによって行われ得る。エネルギー波は、接触性(例えばローラ)、又は非接触性(例えば、音波又は超高周波)であってもよい。代替的に、工程iii)は、ビードのパス(path)に沿って、処理された第2の表面をビードと接触させる道具を用いて行われ得る。代替的に、工程iii)は、超音波等のエネルギー波を組み込んだ機器(ホイール若しくはスキージ等)、又は他の振動機器を用いて行われ得る。
【0049】
代替的に、工程iii)は、例えば液圧プレス機においてビード上に第2の表面をプレスすることによって行ってもよい。プレスの条件は、選択されるテキスタイル及び接着剤組成物に応じて変わるとされるが、例えば、エアバッグ用途では、エアバッグ構成部品を加圧して圧縮物品を形成することによって、工程iii)が行われ得る。例えば、1psig〜20000psig、代替的には1psig〜500psig、代替的には100psig〜300psigのプレス機のプレート間で、エアバッグ構成部品を加圧し得る。上記の圧縮物品は、70℃〜200℃、代替的には70℃〜120℃の範囲の温度の加熱された基材、例えば加熱板と接触させて、圧縮物品の片面を加熱板に90秒(s)〜600sの範囲の時間接触させることが可能である。(工程iii)及び工程iv)は任意に同時に行ってもよい。例えば、上記の液圧プレス機におけるプレートの1つを加熱しておいてもよい。代替的に、液圧プレスにおけるプレートを両方とも加熱しておいてもい。代替的に、工程iii)を工程iv)後に行ってもよい。)例えば、硬化性シーラント組成物を硬化して継ぎ目シーラントを形成することは、70℃〜200℃の加熱板上で3分〜5分間加熱することによって行われ得る。代替的に、ホットメルト組成物が硬化性シーラント組成物と接触する場合には、ホットメルト組成物からの熱によって、硬化性シーラント組成物の硬化が開始することもある。理論に縛られることを望むものではないが、これらの加熱方法は、気泡の形成を低減させることにより、例えば、圧縮物品をオーブン又は加熱したプレス機内に据え置くことにより全面を一度に加熱することを伴う加熱方法に比べて、継ぎ目シーラント及びホットメルト接着剤と、エアバッグ構成部品との接触を改善するという利益をもたらすと考えられる。
【0050】
工程iv)縫製されていない継ぎ目の形成
接着剤組成物は、縫製されていない継ぎ目を形成するように硬化され得る。例えば、接着剤組成物は、ヒドロシリル化反応硬化性組成物、過酸化物硬化性組成物若しくは有機ボラン硬化性組成物を使用する場合には、上記のような条件で熱に曝すことによって、又は縮合反応硬化性組成物を使用する場合には、周囲空気中の湿気として存在する水分に曝すことによって、硬化可能である。代替的に、デュアルキュア型の系を使用してもよく、例えば、ヒドロシリル化硬化性かつ過酸化物硬化性である硬化性組成物を使用してもよく、代替的には、ヒドロシリル化硬化性かつ湿気硬化性である硬化性組成物を使用してもよい。
【0051】
接着剤組成物は任意に、密閉ダイ内で硬化され得る。理論に縛られることを望むものではないが、工程iv)における密閉状態での硬化が、密閉状態でない硬化に比べて、処理された表面の湿潤を改善すると考えられる。
【0052】
代替的に、接着剤組成物は、組成物をマイクロ波エネルギーに曝すことを含む方法によって硬化してもよい。ホットメルト組成物を使用する場合、縫製されていない継ぎ目は、ホットメルト組成物を冷却すること、ホットメルト組成物を硬化すること、又は両方によって形成され得る。
【0053】
縫製されていない継ぎ目を形成するための正確な条件は、選択される接着剤組成物及びテキスタイルを含む様々な要因に応じて決まる。例えば、エアバッグ用途では、60℃〜190℃の範囲の温度で加熱することによって工程iv)を行ってもよい。当業者は、これらの条件が例示的なものであり、非限定的なものであることを認識するであろう。例えば、或る特定のエアバッグパネルは、190℃を超える温度で分解するおそれのあるナイロンから成ることがあるため、異なるテキスタイルを使用する場合にはこの範囲の上限を変えてもよい。ガラス繊維をテキスタイルとして使用する場合には、より高い温度を使用してもよい。代替的に、工程iii)及び工程iv)は、ビード上に第2のテキスタイルを設けて物品を形成すること、60℃〜190℃の範囲の温度の加熱された基材上に物品を置くこと、及び物品を30秒〜10分間加圧することによって、同時に行ってもよい。当業者は、これらの条件が例示的なものであり、非限定的なものであることを認識するであろう。
【0054】
工程v)後硬化
本方法は任意に、工程iv)の製品(例えばエアバッグ)を後硬化することをさらに含んでいてもよい。後硬化のための条件は、接着剤組成物の硬化メカニズムに応じて変わると考えられる。例えば、縮合反応硬化性組成物を後硬化することは、湿り空気に曝すことを含み得る。代替的に、後硬化は、例えばヒドロシリル化硬化性組成物を使用する場合、密閉状態での加熱又は密閉状態でない加熱、加圧、又は両方によると考えられる。
【0055】
例えば、エアバッグは90℃〜185℃、代替的に90℃〜125℃の範囲の温度で、30秒〜5分、代替的に30秒〜90秒間、例えば加熱板の間で加圧され得る。その圧力は1psig〜20000psig、代替的には1psig〜500psig、代替的には100psig〜300psigの範囲まで変化し得る。理論により縛られることを望まないが、後硬化工程で圧力が高すぎると、エアバッグが展開されたとき圧力保持が減少しかねないと考えられる。理論により縛られることを望まないが、継ぎ目シーラントが使われると、継ぎ目シーラントは加圧の間クッションとして働き、硬化性ホットメルト組成物又はHCR組成物を完全に又は部分的に硬化状態に至らしめると考えられる。
【0056】
本方法は、エアバッグに継ぎ目を形成するために用いられ、継ぎ目は、周辺継ぎ目、内部継ぎ目又は両方である。代替的には、該方法はエアバッグに周辺継ぎ目(周囲周りの継ぎ目(seam around the periphery))を形成するために用いられ得る。継ぎ目シーラント及びホットメルト接着剤の両方を使用する本明細書中に記載される方法は、1つ又は複数の継ぎ目の縫製を不要にすることができる。例えば、本発明の方法は、バッグを形成するために周辺継ぎ目を作るために用いられてもよく、一方内部継ぎ目が、例えばエアバッグ内に小部屋を形成するために、縫製されることも可能である。
【0057】
接着性物質
縫製されていない継ぎ目を形成するのに使用される、工程iv)で接着剤組成物から調製される接着性物質は、有機接着性物質又はシリコーン接着性物質であってもよい。好適な有機接着性物質としてはポリウレタンが挙げられる。代替的に、縫製されていない継ぎ目を形成するのに使用される接着性物質は、継ぎ目シーラント、ホットメルト接着剤、高粘度ゴム(HCR)、液状シリコーンゴム、又はそれらの組合せ等の硬化性シリコーン組成物の反応生成物であってもよい。1種類の接着性物質を使用して、継ぎ目を形成してもよい。例えば、1種類のHCRを使用して、継ぎ目を形成してもよい。代替的に、2種類以上の接着性物質を使用して、継ぎ目を形成してもよい。接着剤組成物は、硬化前、硬化中又は硬化後に組み合わせてもよい。例えば、液状シリコーンゴム組成物及びHCR組成物を硬化前に組み合わせてもよい。
【0058】
代替的に、接着剤組成物の2つ以上のビードを塗布及び使用して、縫製されていない継ぎ目の接着性物質を形成してもよい。2つ以上の接着性物質を使用する場合、接着性物質は互いに接触して継ぎ目を形成し得る。接着性物質は、硬度、モジュラス、又は両方が異なっていてもよい。接着性物質は、継ぎ目シーラント及びホットメルト接着剤を含み得る。代替的に、接着性物質は、以下の特性:モジュラス及び伸びの少なくとも1つが異なる2種類以上のホットメルト接着剤を含んでいてもよい。代替的に、接着性物質は、継ぎ目シーラント及びHCRを含んでいてもよい。代替的に、接着性物質は、以下の特性:モジュラス、伸び、又は引裂き強度の少なくとも1つが異なる2種類以上のHCRを含んでいてもよい。理論に縛られることを望むものではないが、2つ以上の接着性物質を使用して、エアバッグに縫製されていない継ぎ目を形成する場合、エアバッグの外側に最も近い接着性物質は、エアバッグの内側に最も近い接着性物質よりも少なくとも0.01%大きいモジュラスを有し得るか、エアバッグの外側に最も近い接着性物質は、エアバッグの内側に最も近い接着性物質の硬度よりも少なくとも0.01%大きい硬度を有し得るか、又は両方であると考えられる。代替的に、2種類のホットメルト接着剤を使用する場合、エアバッグの外側に最も近いホットメルト接着剤は、エアバッグの内側に最も近いホットメルト接着剤の伸びよりも少なくとも0.01%小さい伸びを有し得る。
【0059】
接着性物質は異なる構成(configurations)を有していてもよい。図3〜図8は、例えば、継ぎ目シーラント及びホットメルト接着剤を使用する場合の、物質に関する異なる構成を示す。例えば、継ぎ目シーラント104の連続する一様なビード及びホットメルト接着剤102の連続する一様なビードは、図1及び図3に示されるように、継ぎ目シーラントのビードがエアバッグの内側にあり、またホットメルト接着剤のビードがエアバッグの外側で継ぎ目シーラントと接触するようにエアバッグの周囲に並置され得る。代替的に、継ぎ目シーラント104のビード及びホットメルト接着剤102のビードは、図4に示されるように、より多くの継ぎ目シーラントがバッグの内側に、より多くのホットメルト接着剤が外側に向かうように先細りになっていてもよい。代替的に、ホットメルト接着剤102は、図5及び図8に示されるように、継ぎ目シーラント104の連続するビード内で、ビーズ若しくはリベット(rivets)(図5)、又は正方形、平行四辺形(図8)、又は台形等の分離形状に分断されていてもよい。代替的に、継ぎ目シーラント104は、図6に示されるように、ホットメルト接着剤102の連続するジグザグ形のビードを囲む不連続な三角形部であってもよい。代替的に、継ぎ目シーラント104及びホットメルト接着剤102は両方とも、図7に示されるように、不連続であってもよい。理論に縛られることを望むものではないが、連続する継ぎ目シーラント又は不連続な継ぎ目シーラントのいずれかを有する不連続なホットメルト接着剤(例えば、分離形状とされる)は、ホットメルト接着剤の連続するビードを有する同様のエアバッグに比べて、幾つかのエアバッグで折畳み性の改善という利点をもたらし得ると考えられる。当業者は、図1〜図8が例示的なものであり、非限定的なものであり、例えば、2つの異なる物質を使用することもできる(例えば、HCRを、図1〜図8に示されるホットメルト接着剤102の代わりに使用するか、第2のホットメルト接着剤を、図1〜図8に示される継ぎ目シーラント104の代わりに使用する)ことを認識するであろう。さらに、図3〜図8の構成と異なる構成を用いてもよく、又は図3〜図8のうちの1つに示される構成で一エアバッグ構成部品の被覆表面に2つの組成物を塗布した後、エアバッグの組み立てプロセス中に第2のエアバッグパネルを組成物の上に載せることによって、図3〜図8に示される構成を変更してもよい。
【0060】
接着剤組成物
上記のプロセスで使用される接着剤組成物の形態は、接着剤組成物を塗布する方法を含む様々な要因に応じて決まる。接着剤組成物は、市販されているシリコーン接着性物質又は有機(例えばポリウレタン)接着性物質、例えば、OSI Sealants, Inc.(Mentor, Ohio, U.S.A.)から市販されているポリウレタンシーラントであるPL(登録商標)、若しくはICI Paints(Strongsville, Ohio, U.S.A.)から市販されているスチレンブタジエンコポリマー系接着剤であり得るLiquid Nails(登録商標)であってもよい。代替的に、接着剤組成物はシリコーン組成物であってもよい。シリコーン組成物は、継ぎ目シーラント組成物、ホットメルト組成物、高粘度ゴム(HCR)組成物、液状シリコーンゴム組成物、又はそれらの組合せであってもよい。
【0061】
接着剤組成物は、一液型硬化性組成物又は多液型組成物であってもよい。接着剤組成物は、ヒドロシリル化硬化性ポリオルガノシロキサン組成物、過酸化物硬化性ポリオルガノシロキサン組成物、又は有機ボラン硬化性ポリオルガノシロキサン組成物であってもよい。代替的に、接着剤組成物は縮合反応硬化性組成物であってもよい。
【0062】
継ぎ目シーラント組成物
上述の方法に用いられる硬化性シーラント組成物は、ヒドロシリル化反応硬化性ポリオルガノシロキサン組成物であり得る。そのような組成物の例は当該技術分野では既知である。例えば、米国特許第6,811,650号(参照により本明細書中に援用される)は、上述の方法での硬化性シーラント組成物としての使用に好適な組成物を開示している。代替的には、市販されている継ぎ目シーラントを用いてもよく、例としてはDOW CORNING(登録商標)SE6711、SE6750及びSE6777が挙げられ、これらはDow Corning Corporation(Midland, Michigan, U.S.A.)から市販されている。
【0063】
代替的には、硬化性シーラント組成物は、25℃では流動性又は膨張性(pumpable)であり、加熱により硬化してエラストマーを形成する硬化性ポリオルガノシロキサン組成物であってもよい。典型的なヒドロシリル化反応硬化性ポリオルガノシロキサン組成物は:
(A)末端脂肪族不飽和を有する有機基を分子あたり平均して少なくとも2個有するポリオルガノシロキサン;
(B)分子あたり平均して少なくとも2個のケイ素結合水素原子を有する架橋剤;
任意に(C)充填剤;及び
(D)ヒドロシリル化触媒
を含む。
【0064】
成分(A)脂肪族不飽和を有するポリオルガノシロキサン
成分(A)は、末端脂肪族不飽和を有する有機基を分子あたり平均して少なくとも2個有するポリオルガノシロキサンである。成分(A)の脂肪族不飽和有機基は、以下に限定されないが、ビニル、アリル、ブテニル、ペンテニル、及びヘキセニルによって例示されるアルケニル、代替的にはビニルであり得る。脂肪族不飽和有機基は、以下に限定されないが、エチニル、プロピニル、及びブチニルによって例示されるアルキニル基であり得る。成分(A)の脂肪族不飽和有機基は、末端位、ペンダント(pendant)位又は末端位及びペンダント位の両方に位置する。成分(A)中、残りのケイ素結合有機基は、置換されていてもよくまた置換されていなくてもよい、他の一価炭化水素基であり得る。一価非置換炭化水素基は、以下に限定されないが、アルキル基、例えばメチル、エチル、プロピル、ペンチル、オクチル、ウンデシル、及びオクタデシル等;芳香族基、例えばエチルベンジル、ナフチル、フェニル、トリル、キシリル、ベンジル、スチリル、1−フェニルエチル、及び2−フェニルエチル等、代替的にはフェニル;並びにシクロアルキル基、例えばシクロヘキシル等、によって例示される。一価置換炭化水素基は、以下に限定されないが、ハロゲン化アルキル基、例えばクロロメチル、3−クロロプロピル、及び3,3,3−トリフルオロプロピル、フルオロメチル、2−フルオロプロピル、3,3,3−トリフルオロプロピル、4,4,4−トリフルオロブチル、4,4,4,3,3−ペンタフルオロブチル、5,5,5,4,4,3,3−へプタフルオロペンチル、6,6,6,5,5,4,4,3,3−ノナフルオロヘキシル、及び8,8,8,7,7−へプタフルオロオクチル等によって例示される。
【0065】
成分(A)は単位式(I):
(R1SiO3/2)a(R12SiO2/2)b(R13SiO1/2)c(SiO4/2)d(XO1/2)eを有し得る。この式で、各R1は独立して上述した脂肪族不飽和有機基又は一価炭化水素基で、ただし分子あたり平均して少なくとも2個のR1は脂肪族不飽和有機基である。Xはハロゲン原子又は一価炭化水素基であり、下付き文字aは0又は正の数であり、下付き文字bは正の数であり、下付き文字cは0又は正の数であり、下付き文字dは0又は正の数であり、下付き文字eは0又は正の数である。
【0066】
成分(A)は一般式(II):
R13SiO−(R12SiO)f−SiR13(式中、R1は上述されているとおりであり、下付き文字fは、25℃で100Pa・s〜1000000mPa・sの範囲の粘度を成分(A)に与えるに十分な値の整数である)のポリジオルガノシロキサンを含んでもよい。代替的には、式(II)はα,ω−ジアルケニル官能性ポリジオルガノシロキサン、例えばジメチルビニルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン等である。
【0067】
成分(A)は、ジメチルビニルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン、トリメチルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルビニルシロキサン)、並びに式(CH3)3SiO1/2、(CH3)2CH2=CHSiO1/2、及びSiO4/2のシロキサン単位を含むポリオルガノシロキサンによって例示される。成分(A)は1種のポリオルガノシロキサン又は次の特性のうち少なくとも一つが異なっている2種以上のポリオルガノシロキサンの混合物であってもよい:構造、粘度、平均分子量、シロキサン単位、及び配列。組成物は100重量部の成分(A)を含み得る。
【0068】
成分(B)架橋剤
成分(B)は、分子あたり平均して2個を超えるケイ素結合水素原子を有する架橋剤である。成分(B)は単位式(III):
(R2SiO3/2)h(R22SiO2/2)i(R23SiO1/2)j(SiO4/2)k(XO)m(式中、各R2は独立して水素原子又は上で例示された一価の置換若しくは非置換炭化水素基であり、Xは上述されているとおりであり、下付き文字hは正の数であり、下付き文字iは正の数であり、下付き文字jは0又は正の数であり、下付き文字kは0又は正の数であり、下付きmは0又は正の数である)を有し得る。
【0069】
成分(B)は一般式(IV):
HR32SiO−(R32SiO)g−SiR32H(式中、各R3は独立して水素原子又は上で例示されている一価の置換若しくは非置換炭化水素基であり、下付き文字gは1以上の値を有する整数である)のポリジオルガノハイドロジェンシロキサンを含んでもよい。代替的には、成分(B)は水素末端ジメチルシロキサン、トリメチルシロキシ末端ポリ(ジメチル/メチルハイドロジェンシロキサン)、又はそれらの組合せを含み得る。
【0070】
成分(B)は、1種の架橋剤又は次の特性のうち少なくとも一つが異なっている2種以上の架橋剤の混合物でよい:構造、粘度、平均分子量、シロキサン単位、及び配列。成分(B)の量は、本組成物中で脂肪族不飽和有機基に対するケイ素結合水素原子のモル比が1:100〜20:1の範囲になるように選ばれ得る。
【0071】
成分(C)充填剤
成分(C)は充填剤である。成分(C)は補強用充填剤、増量用充填剤又はそれらの組合せであり得る。補強用充填剤は成分(A)100部に基づいて5部〜200部の範囲の量で任意に添加され得る。適切な補強用充填剤の例として、補強用シリカ充填剤、例えばヒュームドシリカ(fume silica)、シリカエーロゲル、シリカキセロゲル(zerogel)、及び沈降シリカ等が挙げられる。ヒュームドシリカは当該技術分野で既知であり、市販されており、Cabot Corporation(Massachusetts, U.S.A.)から名称CAB−O−SILで販売されている。
【0072】
増量用充填剤は成分(A)100部に基づいて5部〜200部の範囲の量で組成物に任意に添加され得る。増量用充填剤の例として、ガラスビーズ、カオリン、石英、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、タルク、ケイ藻土、酸化鉄、クレー、酸化チタニウム、ジルコニア、砂、カーボンブラック、グラファイト、又はそれらの組合せが挙げられる。例えばU. S.Silica(Berkeley Springs, West Virginia, U.S.A.)から名称MIN−U−SILで販売されている粉末シリカ(ground silica)等の増量用充填剤は当該技術分野では既知であり、市販されている。
【0073】
成分(D)ヒドロシリル化触媒
成分(D)はヒドロシリル化触媒である。成分(D)は組成物の硬化を促進するに十分な量添加される。正確な量は選ばれた具体的な触媒に依存するが、成分(D)は、成分(A)100部に基づいて0.01ppm〜500ppmの白金族金属を与えるに十分な量添加され得る。
【0074】
好適なヒドロシリル化触媒は当該技術分野では既知であり、市販されている。成分(D)は、白金、ロジウム、ルテニウム、パラジウム、オスミウム若しくはイリジウム金属から成る群から選ばれる白金族金属又はそれらの有機金属化合物及びそれらの組合せを含み得る。成分(D)は、白金黒、例えばクロロ白金酸、クロロ白金酸六水和物、クロロ白金酸と一価アルコールとの反応生成物、白金ビス(エチルアセトアセテート)、白金ビス(アセチルアセトネート)、二塩化白金等の化合物、及び該化合物とオレフィン若しくは低分子量ポリオルガノシロキサンとの錯体、又はマトリックス若しくはコアシェル型構造にマイクロカプセル化された白金化合物により例示される。白金と低分子量ポリオルガノシロキサンとの錯体は、白金との1,3−ジエテニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体を包含する。これら錯体は樹脂マトリックスでマイクロカプセル化され得る。代替的には、触媒は白金との1,3−ジエテニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体を含み得る。触媒が低分子量ポリオルガノシロキサンとの白金錯体のときは、触媒量は組成物の重量に基づいて0.02部〜0.2部の範囲であり得る。
【0075】
成分(D)に好適なヒドロシリル化触媒は、例えば米国特許第3,159,601号;同第3,220,972号;同第3,296,291号;同第3,419,593号;同第3,516,946号;同第3,814,730号;同第3,989,668号;同第4,784,879号;同第5,036,117号;及び同第5,175,325号並びに欧州特許第0347895号に記載されている。マイクロカプセル化されたヒドロシリル化触媒及びそれらの製造方法も、米国特許第4,766,176号及び米国特許第5,017,654号に例示されているように、当該技術分野で知られている。
【0076】
上述のヒドロシリル化硬化性ポリオルガノシロキサン組成物はさらに(E)充填剤処理剤、(F)接着促進剤、(G)顔料、(H)硬化調整剤、(J)非反応性樹脂、(I)安定化剤及びそれらの組合せから成る群から選ばれる追加成分を含み得る。ただし追加成分及び添加量は、該組成物が硬化してエアバッグでの使用に好適なエラストマーを形成することを不可能にすることがあってはならない。
【0077】
成分(E)充填剤処理剤
組成物は、任意でさらに成分(E)充填剤処理剤を成分(A)100部に基づいて0部〜1部の範囲の量で含んでもよい。成分(C)は、任意に成分(E)で表面を処理されてもよい。成分(C)は組成物に添加される前に成分(E)で処理されてもよく、又は組成物中(in situ)で成分(E)によって処理されてもよい。成分(E)は、例えばアルコキシシラン等のシラン、例えばシロキサン部分がジメチルシロキサン若しくはメチルフェニルシロキサン等である、アルコキシ官能性オリゴシロキサン、環状ポリオルガノシロキサン、ヒドロキシル官能性オリゴシロキサン、ステアリン酸塩、又は脂肪酸を含み得る。シランの例として、ヘキサメチルジシラザンが挙げられる。ステアリン酸塩の例として、ステアリン酸カルシウムが挙げられる。脂肪酸の例として、ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、タロー、ココナッツ、及びそれらの組合せが挙げられる。充填剤処理剤の例及びそれらの使用方法は、例えば欧州特許出願公開第1101167号、並びに米国特許第5,051,455号、同第5,053,442号及び同第6,169,142号(第4欄42行目〜第5欄2行目)に開示されている。
【0078】
成分(F)接着促進剤
成分(F)は、成分(V)に関して下で記載されている接着促進剤である。成分(F)は、成分(A)100部に基づいて0.01部〜10部の範囲の量で添加される。
【0079】
成分(G)顔料
成分(G)は顔料である。好適な顔料の例として、酸化鉄(III)、二酸化チタン、又はそれらの組合せが挙げられる。成分(G)は、成分(A)100部に基づいて0部〜0.5部の範囲の量で添加され得る。
【0080】
成分(H)硬化調整剤
成分(H)は硬化調整剤である。成分(H)はヒドロシリル化硬化性ポリオルガノシロキサン組成物の製品有効期間若しくは作業時間、又は両方を延長するために添加され得る。成分(H)は組成物の硬化温度を上げるために添加することもできる。成分(H)は、成分(A)100部に基づいて0.01部〜5部の範囲の量で添加され得る。
【0081】
好適な硬化調整剤は当該技術分野で既知であり、市販されている。成分(H)は、アセチレンアルコール、アルキルアルコール、シクロアルケニルシロキサン、エン−イン(ene-yne)化合物、トリアゾール、ホスフィン、メルカプタン、ヒドラジン、アミン、フマル酸エステル、マレイン酸エステル、及びそれらの組合せによって例示される。
【0082】
アセチレンアルコールの例としては、例えば欧州特許出願公開第0764703号及び米国特許第5,449,802号に開示されており、メチルブチノール、エチニルシクロヘサノール、ジメチルヘキシノール、1−ブチン−3−オール、1−プロピン−3−オール、2−メチル−3−ブチン−2−オール、3−メチル−1−ブチン−3−オール、3−メチル−1−ペンチン−3−オール、3−フェニル−1−ブチン−3−オール、4−エチル−1−オクチン−3−オール、3,5−ジメチル(diemthyl)−1−ヘキシン−3−オール、及び1−エチニル−1−シクロヘサノール、並びにそれらの組合せが挙げられる。
【0083】
アルキルアルコールの例として、エタノール、イソプロパノール、又はそれらの組合せが挙げられる。
【0084】
シクロアルケニルシロキサンの例として、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラビニルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラヘキセニルシクロテトラシロキサン、及びそれらの組合せによって例示されるメチルビニルシクロシロキサンが挙げられる。エン−イン化合物の例として、3−メチル−3−ペンテン−1−イン、3,5−ジメチル−3−ヘキセン−1−イン、及びそれらの組合せが挙げられる。トリアゾールの例はベンゾトリアゾールが挙げられる。ホスフィンの例はトリフェニルホスフィンが挙げられる。アミンの例はテトラメチルエチレンジアミンが挙げられる。フマル酸エステルの例としてはフマル酸ジアルキル、フマル酸ジアルケニル、フマル酸ジアルコキシアルキル、及びそれらの組合せが挙げられる。好適な硬化調整剤は、例えば米国特許第3,445,420号、同第3,989,667号、同第4,584,361号、及び同第5,036,117号により開示されている。
【0085】
代替的には、成分(H)はシリル化アセチレン抑制剤を含み得る。シリル化アセチレン抑制剤はシランと上述されたアセチレンアルコールとの反応生成物である。シリル化アセチレン抑制剤の例及びそれらの製造方法は、例えば欧州特許出願公開第0764703号及び米国特許第5,449,802号に開示されている。
【0086】
成分(J)非反応性樹脂
成分(J)は充填剤に加えて、又はその代りに添加できる樹脂である。非反応性とは樹脂が成分(A)又は成分(B)との硬化反応に関与しないということを意味する。非反応性樹脂は式(CH3)3SiO1/2及びSiO4/2のシロキサン単位を含むポリオルガノシロキサン(MQ樹脂)であり得る。成分(J)は、成分(A)100部に基づいて、0部〜30部の範囲の量で添加され得る。
【0087】
硬化性シーラント組成物は、一液型組成物又は多液型組成物として製造され得る。多液型組成物、例えば二液型組成物等では、成分(B)及び成分(D)は別々に保管され、上述の方法の工程ii)の直前に混合される。
【0088】
ホットメルト硬化性接着剤
市販されているホットメルト接着剤は上述の方法に用いられ得る。ホットメルト接着剤の製造に用いられる、好適なホットメルト組成物の例としては、湿分硬化性ホットメルト組成物及びポリウレタンホットメルト組成物が挙げられ、それらはNational Starch(New Jersey, U.S.A)から市販されている。ホットメルト接着剤の製造に用いられる、好適なホットメルト組成物の例としては、DOW CORNING(登録商標)HM2500及びHM2510が挙げられ、それらはDow Corning Corporation(Midland, Michigan, U.S.A.)から市販されている。上記方法での使用に好適なホットメルト組成物は25℃では流動性がないが、50℃〜150℃、代替的には70℃〜130℃の範囲の温度では流動性となり得る。ホットメルト組成物は非硬化性でもよく、例えばホットメルト組成物は加熱すると流体であり、ホットメルト接着剤を形成するための硬化反応を必要としないで冷却するとホットメルト接着剤を形成する。非硬化性ホットメルト組成物の例及びそれらの製造方法は、例えば米国特許第5,352,722号;同第5,578,319号;同第5,482,988号;同第5,328,696号;及び同第5,371,128号に開示されている。代替的には、ホットメルト組成物はヒドロシリル化反応硬化性組成物、縮合反応硬化性組成物、又はそれらの組合せでもよい。ヒドロシリル化硬化性ホットメルト組成物の例は例えば米国特許第5,248,739号及び第6,121,368号並びに欧州特許出願公開第1035161号に開示されている。縮合反応硬化性ホットメルト組成物の例及びその製造方法は例えば国際公開第2004/037941号に開示されている。
【0089】
ホットメルト組成物は、25℃では流動性でないが、50℃〜150℃、代替的には70℃〜130℃の範囲の温度では流動性である縮合反応硬化性ポリオルガノシロキサン組成物であり得る。典型的な縮合反応硬化性ポリオルガノシロキサン組成物は:
(I)ポリオルガノシロキサン樹脂、
(II)分子あたり平均で少なくとも2個のケイ素結合加水分解性基を有するポリオルガノシロキサン、及び
(III)シラン架橋剤
を含む。
【0090】
成分(I)ポリオルガノシロキサン樹脂
本明細書中で有用なポリオルガノシロキサン樹脂は式(V):
(R4SiO3/2)n(R42SiO2/2)o(R43SiO1/2)p(SiO4/2)q(X’)r
を有する。各R4は上で例示されている置換又は非置換一価炭化水素基を表し、X’は加水分解性基又は例えばアルケニル基等の末端脂肪族不飽和を有する有機基である。X’に好適な加水分解性基はヒドロキシ基;アルコキシ基、例えばメトキシ及びエトキシ等;アルケニルオキシ基、例えばイソプロペニルオキシ等;ケトキシモ基、例えばメチルエチルケトキシモ等;カルボキシ基、例えばアセトキシ等;アミドキシ基、例えばアセトアミドキシ等;並びに、アミノキシ基、例えばN,N−ジメチルアミノキシ等が挙げられる。下付き文字nは0又は正の数であり、下付き文字oは0又は正の数であり、下付き文字pは0又は正の数であり、下付き文字qは0又は正の数であり、下付き文字rは0以上、代替的には少なくとも2である。個数(p+q)は1以上であり、かつ個数(n+o)は1以上である。
【0091】
ポリオルガノシロキサン樹脂は、液状有機溶剤、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、ヘプタンによって例示される液状炭化水素等に、並びに液状有機ケイ素化合物、例えば低粘度、環状及び直鎖状ポリジオルガノシロキサン等に可溶である。ポリオルガノシロキサン樹脂は、R43SiO1/2単位及びSiO4/2単位を合計して(amounts)0.5/1〜1.5/1、代替的には0.6/1〜0.9/1の範囲のモル比で含み得る。これらのモル比は、Si29核磁気共鳴(n.m.r.)分光法によって便利に測定される。
【0092】
ポリオルガノシロキサン樹脂の所望の流動特性を達成するための数平均分子量Mnは、少なくとも部分的には、この成分に存在するポリオルガノシロキサン樹脂の分子量及びR4で表される炭化水素基のタイプ(複数可)に依存する。本明細書中で使われるMnはゲル透過クロマトグラフィーを用いて、ネオペンタマーを示すピークを測定値から除去して測定される分子量を表す。ポリオルガノシロキサン樹脂のMnは3000より大きく、代替的にはMnは4500〜7500の範囲であり得る。
【0093】
ポリオルガノシロキサン樹脂は任意の好適な方法にて製造することができる。そのような樹脂は相当するシランを共加水分解により、又は当該技術分野で既知であるシリカヒドロゾルキャッピング法により製造され得る。例えば、ダウトらの米国特許第2,676,182号;リバーズ−ファレルらの米国特許第4,611,042号;及びバットラーの米国特許第4,774,310号のシリカヒドロゾルキャッピング法を用いることができる。
【0094】
樹脂を製造するに用いられる中間体は、式R43SiX’’(式中、X’’は加水分解性基を表す)のトリオルガノシラン、及び4個の加水分解性基、例えばハロゲン、アルコキシ若しくはヒドロキシ等を有するシラン又はアルカリ金属ケイ酸塩、例えばケイ酸ナトリウム等のいずれかであり得る。
【0095】
ポリオルガノシロキサン樹脂中のケイ素結合ヒドロキシ基(例えば、HOR42SiO1/2基又はHOSiO3/2基)は樹脂の重量の0.7%未満、代替的には0.3%未満であることが望ましい。樹脂の製造中に形成されたケイ素結合ヒドロキシ基は、樹脂と適当な末端基を含有するシラン、ジシロキサン又はジシラザンとを反応させることにより、トリヒドロカルビルシロキシ基又は加水分解性基に変換され得る。加水分解性基を含有するシランは、通常樹脂のケイ素結合ヒドロキシ基と反応させるために要する量を超えて添加される。
【0096】
成分(I)は、1種のポリオルガノシロキサン樹脂又は次の特性の少なくとも一つが異なる2種以上のポリオルガノシロキサン樹脂から成る組合せであってもよい:構造、粘度、平均分子量、シロキサン単位及び配列。添加される成分(I)の量は組成物の重量に基づいて55部〜75部の範囲であり得る。
【0097】
成分(II)加水分解性ポリオルガノシロキサン
本明細書中で有用なポリオルガノシロキサンは式R5R6SiOの二官能性単位及び式R7sX33-sSiG−(式中、R5はアルコキシ基又は一価非置換若しくは置換炭化水素基、例えばアルキル基若しくはアルケニル基等であり、R6は非置換又は置換一価炭化水素基であり、R7はアミノアルキル又はR4基であり、X3は加水分解性基であり、Gは末端単位のケイ素原子と別のケイ素原子とを結ぶ二価の基であり、下付き文字sは0又は1である)の末端単位又は分岐単位から構成される。そのポリオルガノシロキサンは任意に式R6SiO3/2(式中、R6は前に記載されたとおりである)の三官能性単位を全体に基づいて約20%まで含有することができる。R5R6SiO単位中のR5及びR6で表されるラジカルの少なくとも50パーセント、代替的には少なくとも80パーセントは、1個〜6個の炭素原子のアルキル基、例えばメチル等であり得る。
【0098】
ポリオルガノシロキサンに存在する末端単位は式R7sX33-sSiG−(式中、X3、R7、G、及び下付き文字sは上述されているとおりである)で表される。X3で表される加水分解性基は、以下に限定されないが、ヒドロキシ、メトキシ及びエトキシ等のアルコキシ、イソプロペニルオキシ等のアルケニルオキシ、メチルエチルケトキシモ等のケトキシモ、アセトキシ等のカルボキシ、アセトアミドキシ等のアミドキシ、並びにN,N−ジメチルアミノキシ等のアミノキシが挙げられる。
【0099】
末端基で、sが0であれば、X3で表される基はアルコキシ、ケトキシモ、アルケニルオキシ、カルボキシ、アミノキシ、又はアミドキシであり得る。sが1であるなら、X3はアルコキシで、R7は例えばメチル若しくはエチル等のアルキル、又は例えばアミノプロピル若しくは3−(2−アミノエチルアミノ)プロピル等のアミノアルキルであり得る。アミノアルキルラジカルのアミノ部分は第一級、第二級又は第三級であり得る。
【0100】
末端単位の式中、Gは二価の基又は加水分解的に安定な原子である。加水分解的に安定とは、加水分解性ではなく、末端単位が組成物の硬化中に取り去られることなく、硬化反応が悪影響を受けないように、ポリオルガノシロキサンにおいて末端単位のケイ素原子(複数可)を別のケイ素原子に連結するということを意味する。Gで表される加水分解的に安定な連結として、以下に限定されないが、酸素原子、アルキレン及びフェニレン等のヒドロカルビレン基、酸素、窒素及び硫黄から選ばれたヘテロ原子を1個又は複数含有するヒドロカルビレン、並びにそれら連結基の組合せが挙げられる。Gはシルアルキレン連結基、例えば−(OSiMe2)CH2CH2−、−(CH2CH2SiMe2)(OSiMe2)CH2CH2−、−(CH2CH2SiMe2)O−、−(CH2CH2SiMe2)(OSiMe2)O−、−(CH2CH2SiMe2)CH2CH2−、及びCH2CH2−等、並びにシロキサン連結基、例えば−(OSiMe2)O−等を表す。
【0101】
好ましい末端単位の具体例として、以下に限定されないが、(MeO)3SiCH2CH2−、(MeO)3SiO−、Me(MeO)2SiO−、H2NCH2CH2N(H)(CH2)3SiO−、(EtO)3SiO−、(MeO)3SiCH2CH2Si(Me2)OSi(Me2)CH2CH2−、(MeO)3SiCH2CH2Si(Me2)OSi(Me2)CHCH3−、Me2NOSiO−、MeC(O)N(H)SiO−及びCH2=C(CH3)OSiO−が挙げられる。これらの式中、Meはメチルを表し、Etはエチルを表す。
【0102】
X3がアルコキシ基を含有するときは、このX3基を一番近いシロキサン単位から例えばエチレン等のアルキレンラジカルによって離しておくことが望ましい。この場合、R7sX33-sSiG−は(MeO)3SiCH2CH2Si(Me2)O−となってもよい。ヒドロキシ基をトリアルコキシシリルアルキル基に変換する方法は当該技術分野では既知である。例えば、式(MeO)3SiO−及びMe(MeO)2SiO−を有する湿分反応性基は、それぞれ式(MeO)4Si及びMe(MeO)3Siを有する化合物によって、シラノール末端ポリオルガノシロキサンに導入することができる。代替的には、式(MeO)3SiH及びMe(MeO)2SiHを有する化合物それぞれは、ポリオルガノシロキサンがシラノール基又は例えば(such)アルケニル基(例えば、ビニル)等の脂肪族不飽和有機基を含有し、かつ例えば成分(D)に関して上述されているヒドロシリル化反応触媒を含有するときに、使用することができる。他の加水分解性基、例えばジアルキルケトキシモ、アルケニルオキシ及びカルボキシ等がアルコキシ基を置き換えることができることは理解されるであろう。
【0103】
ポリオルガノシロキサンの粘度は、25℃で0.02Pa・s〜100Pa・s、代替的には0.35Pa・s〜60Pa・sの範囲であり得る。成分(II)は1種のポリオルガノシロキサン又は次の特性の少なくとも一つが異なる2種以上のポリオルガノシロキサンから成る組合せであり得る:構造、粘度、平均分子量、シロキサン単位及び配列。添加される成分(II)の量は組成物の重量に基づいて、25部〜45部の範囲であり得る。
【0104】
成分(I)と成分(II)は、成分(I)及び成分(II)の合計量に基づいて、55%〜75%の樹脂固形分を与えるに十分な量で存在する。多い量の樹脂を用いることもできるが、湿分硬化性ホットメルト組成物を基材に適用するにより高い適用温度が必要となる可能性がある。
【0105】
成分(III)シラン架橋剤
シラン架橋剤は、式R4tSiZ(4-t)(式中、R4は前に記載されているとおりであり、Zは硬化物質を形成するために周囲条件下で少なくともポリオルガノシロキサンの末端基と反応する加水分解性基であり、tは0、1又は2である)で表される。Zで表され、好適な加水分解性基として、以下に限定されないが、1個〜4個の炭素原子を含有するアルコキシ、アセトキシ等のカルボキシ、メチルエチルケトキシモ等のケトキシモ、及びアミノキシが挙げられる。シラン架橋剤でtが2のときは、ポリオルガノシロキサンは3個のX3基(例えば、sが0である)を含有し得る。
【0106】
好適なシラン架橋剤として、以下に限定されないが、メチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、メチルトリス(メチルエチルケトキシモ)シラン、メチルトリエトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、及び例えばオルトケイ酸エチル等のオルトケイ酸アルキルが挙げられる。
【0107】
使用されるシラン架橋剤の量は、成分(I)と成分(II)との量に基づいて0pph(百分の一)〜15pph、代替的には0.5pph〜15pphの範囲であり得る。理論により縛られることを望まないが、シラン架橋剤があまりにも多量で存在すると、ホットメルト組成物の生強度、及び/又は硬化速度が減少すると考えられる。シラン架橋剤が揮発性であれば、最終ホットメルト組成物中で0.5pph〜15pphを達成するために加工中は過剰量を用いることが必要な場合がある。当業者が、1.5pph〜15pphを有するホットメルト組成物を製造するに必要な量を決定することは可能であろう。
【0108】
任意成分
縮合反応硬化性ホットメルト組成物は任意にさらに1種又は複数の追加成分を含み得る。追加成分は、(IV)縮合反応触媒、(V)接着促進剤、(VI)充填剤、(VII)溶剤、(VIII)ボディー化樹脂(bodied resin)、(IX)ポリオルガノシロキサンワックス、(X)有機樹脂、(XI)熱安定化剤、又はそれらの組合せによって例示される。
【0109】
成分(IV)縮合反応触媒
縮合反応触媒はホットメルト組成物に添加され得る。成分(IV)はカルボン酸金属塩、スズ化合物、チタン化合物、又はジルコニウム化合物を含み得る。成分(IV)は、金属の起電列で鉛からマグネシウム(両金属を含め)までの範囲のカルボン酸金属塩を含み得る。代替的には、成分(IV)はキレート化チタン化合物、テトラアルコキシチタネート等のチタン酸エステル、チタン酸イソプロピル及びチタン酸テトラt−ブチル等の有機チタン化合物及びアセト酢酸エステル及びβ−ジケトン等のキレート化剤で部分的にキレート化された、それらの誘導体、又はそれらの組合せを含み得る。好適なチタン化合物の例として、以下に限定されないが、ジイソプロポキシチタニウム−ビス(エチルアセトアセテート)、テトラブトキシチタネート、チタン酸テトラブチル、チタン酸テトライソプロピル、及びビス(エトキシアセトアセトネート)ジイソプロポキシチタン(IV)並びにそれらの組合せが挙げられる。代替的には、成分(IV)はスズ化合物、例えばジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズ酸化物、第一スズオクトエートスズ酸化物等、又はそれらの組合せから成る。触媒の例は米国特許第4,962,076号;同第5,051,455号;及び同第5,053,442号に開示されている。触媒の量は成分(I)及び成分(II)の量に基づいて0.01pph〜2pphの範囲であり得る。理論により縛られることを望まないが、あまりにも多量の触媒を添加すると、ホットメルト組成物の硬化が損なわれると考えられる。加えて、触媒の量が増大するにつれて、ホットメルト組成物の粘度が増大し、ホットメルト組成物を適用するに要するメルト温度が高くなる可能性がある。
【0110】
成分(V)接着促進剤
ホットメルト組成物は任意にさらに接着促進剤を成分(I)及び成分(II)の合計重量に基づいて0.05pph〜2pphの範囲の量で含むことができる。接着促進剤は当該技術分野では既知であり、アルコキシシラン、アルコキシシランと遷移金属キレートとの組合せ、アルコキシランとヒドロキシル官能性ポリオルガノシロキサンとの組合せ、又はアルコキシシランの部分加水分解物を含み得る。好適なアルコキシシランは式R8uR9vSi(OR10)4-(u+v)を有し得る(式中、各R8及び各R10は独立して少なくとも3個の炭素原子を有する置換又は非置換一価炭化水素基であり、R9は少なくとも1個の、アルケニル基、アミノ基、エポキシ基、メルカプト基、又はアクリレート基等の接着促進基を有するSiC結合有機基を含有し、下付き文字uは0〜2の値を有し、下付き文字vは1又は2のいずれかであり、個数(u+v)は3以下である。接着促進剤は上記のシランの部分縮合物でもよい。
【0111】
好適な接着促進剤の例は、(エポキシシクロヘキシル)エチルジメトキシシラン、(エポキシシクロヘキシル)エチルジエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、(エチレンジアミンプロピル)トリメトキシシラン、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、ヘキセニルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピル(proyl)トリメトキシシラン、メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、ウンデシレニルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、オルトケイ酸テトラプロピル、オルトケイ酸テトラブチル、オルトケイ酸テトラキス(2−ブトキシエチル)、及びそれらの組合せによって例示される。代替的には、接着促進剤はヒドロキシ末端ポリオルガノシロキサンと上述されたエポキシ官能性アルコキシシランとの反応生成物、又はエポキシ官能性アルコキシシランとエポキシ官能性シロキサンとの組合せのようなヒドロキシ末端ポリオルガノシロキサンとエポキシ官能性アルコキシシランとの物理的混合物を含み得る。例えば、接着促進剤は、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン及びヒドロキシ末端メチルビニルシロキサンと3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとの反応生成物の混合物、又は3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン及びヒドロキシ末端メチルビニルシロキサンの混合物又は3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン及びヒドロキシ末端メチルビニル/ジメチルシロキサン共重合体の混合物によって例示される。反応生成物としてよりも物理的混合物として用いるときは、それら成分は多液型キットで分けて保管されうる。
【0112】
好適な遷移金属キレートは、テトラブトキシチタネート等のチタン酸エステル、ジルコニウムアセチルアセトネート又はジルコニウムテトラキスアセチルアセトネート等のジルコニウム酸塩、アルミニウムアセチルアセトネート等のアルミニウムキレート、及びそれらの組合せが挙げられる。遷移金属キレート及びその製造方法は当該技術分野で既知であり、例えば米国特許第5,248,715号、欧州特許出願公開第0493791号、及び欧州特許第0497349号を参照のこと。当業者は遷移金属キレートの幾つか又は全てが縮合反応触媒となり得ること、また接着促進剤として添加され得る遷移金属キレートが任意の縮合反応触媒に追加して添加され得ることを理解するであろう。
【0113】
成分(VI)充填剤
ホットメルト接着剤は任意にさらに組成物の重量に基づいて0.1部〜40部の充填剤を含んでもよい。好適な充填剤の例として、炭酸カルシウム、ヒュームドシリカ、カオリンケイ酸塩、金属酸化物、金属水酸化物、カーボンブラック、硫酸塩、又はジルコニウム酸塩が挙げられる。充填剤は成分(C)として上述された充填剤と同じでも異なっていてもよい。充填剤は任意に成分(E)として上述された充填剤処理剤で処理することもできる。応力−ひずみ挙動の改良及びクリープの減少のために、充填剤はホットメルト組成物に、組成物の重量に基づいて3%〜15%、代替的には5%〜10%の範囲の量で添加され得る。応力−ひずみ挙動を改良するための充填剤の正確な量は選ばれた充填剤のタイプ及びその粒経によって変化し、例えば1%〜5%のシリカ又は6%〜10%の炭酸カルシウムが添加され得る。
【0114】
成分(VII)溶剤
溶剤はホットメルト組成物を製造するために使用されることができる。溶剤は成分(I)及び成分(II)の流動及び導入を助ける。しかしながら、本質的に全ての溶剤はホットメルト接着剤の連続製造プロセスでは除去されている。本質的に溶剤の全てが除去されるということは、ホットメルト組成物は、ホットメルト組成物の重量に基づいて0.05%〜5%、代替的には0.5%以下の溶剤を含有し得ることを意味する。もしあまりにも多くの溶剤が存在するならば、ホットメルト接着剤の粘度があまりにも低くなりすぎ、製品性能が妨げられる。
【0115】
本明細書中で使用される溶剤は、ホットメルト組成物を製造するに使われる成分の流動化を助けるが、本質的にホットメルト接着剤中のいかなる成分とも反応しないものである。好適な溶剤は有機溶剤、例えばトルエン、キシレン、塩化メチレン、ナフサ、ミネラル・スピリット等、及び低分子量シロキサン、例えばフェニル含有ポリオルガノシロキサン等である。
【0116】
成分(VIII)ボディー化樹脂
成分(VIII)は、樹脂状コアと非樹脂状ポリオルガノシロキサン基を含むボディー化MQ樹脂であり得る。成分(VIII)は当該技術分野では既知の方法によって製造され得る。
【0117】
MQ樹脂は、式R113SiO1/2及びSiO4/2(式中、各R11は独立して一価炭化水素基、一価ハロゲン化炭化水素基、水素原子、又はヒドロキシ基である)のシロキサン単位を含む。R11の一価炭化水素基の例として、以下に限定されないが、アルキル、例えばメチル、エチル、プロピル、ペンチル、オクチル、ウンデシル、及びオクタデシル等;シクロアルキル、例えばシクロヘキシル等;アリール、例えばフェニル、トリル、キシリル、ベンジル、及び2−フェニルエチル等が挙げられる。R11の一価ハロゲン化炭化水素基の例として、以下に限定されないが、例えばクロロメチル基及びクロロプロピル基等の塩素化アルキル基、並びに例えば3,3,3−トリフルオロプロピル、4,4,4,3,3−ペンタフルオロブチル、5,5,5,4,4,3,3−へプタフルオロペンチル、及び6,6,6,5,5,4,4,3,3−ノナフルオロヘキシル等のフッ素化アルキル基が挙げられる。
【0118】
MQ樹脂は、0.5:1.2、代替的には0.89:1〜1:1のM単位とQ単位の比(M:Q)を有し得る。MQ樹脂は1500〜8000、代替的には5000の数平均分子量を有し得る。MQ樹脂は3000〜40000、代替的には15000の重量平均分子量を有し得る。
【0119】
MQ樹脂の製造法は当該技術分野では既知である。例えば、MQ樹脂は、米国特許第2,676,182号に開示されているダウト他のシリカヒドロゾルキャッピング法により製造される生成物を処理することにより製造され得る。簡単に述べると、ダウト他の方法は、シリカヒドロゾルを酸性条件下で、例えばトリメチルクロロシラン等の加水分解性トリオルガノシラン、例えばヘキサメチルジシロキサン等のシロキサン、又はそれらの組合せと反応させ、M単位及びQ単位を含む生成物(MQ樹脂)を回収することを含む。得られたMQ樹脂は2重量パーセント〜5重量パーセントのケイ素結合ヒドロキシ基を有する。
【0120】
ボディー化MQ樹脂は、上述のMQ樹脂から当該技術分野で既知の方法、例えば米国特許第5,726,256号;同第5,861,472号;及び同第5,869,556号に開示されている方法で製造され得る。例えば、ボディー化MQ樹脂は、上述されたMQ樹脂を溶剤、例えば成分(VII)として本明細書中に記載された溶剤に溶解し;酸触媒又は塩基触媒及びケイ素結合ヒドロキシ基末端ポリジオルガノシロキサンの存在下で、MQ樹脂を加熱し;水を除去することによって製造され得る。この方法で得られた生成物が、(i)コアと(ii)ポリジオルガノシロキサン基を含むボディー化MQ樹脂である(ここで、ポリジオルガノシロキサン基は末端ケイ素結合ヒドロキシ基を有する)。ボディー化樹脂は0.5%〜2%、代替的には0.75%〜1.25%のヒドロキシル基を有する。
【0121】
上述されたボディー化MQ樹脂は、任意にボディー化樹脂、処理剤、及び酸触媒又は塩基触媒を溶剤中に溶解し、得られた組合せを、MQ樹脂のヒドロキシ含量が0%〜2%、代替的には0.5%〜1%になるまで、加熱することにより処理される。処理剤は式R123SiR13(式中、各R12は独立して一価炭化水素基、例えばメチル、ビニル、又はフェニル、代替的にはメチルであり、R13はシラノールと反応する基である)のシランであり得る。酸触媒はトリフルオロ酢酸であり得る。塩基触媒はアンモニアであり得る。溶剤は、成分(VII)として本明細書中に記載された溶剤、例えばキシレン等であってもよい。処理方法は、MQ樹脂中のヒドロキシル基とケイ素原子に置換しているR13とを反応させ、それによりR123Si−基をMQ樹脂中のケイ素原子に、二価の酸素原子を介して結合させる。
【0122】
成分(VIII)は単一ボディー化MQ樹脂又は次の特性の少なくとも一つが異なる2種以上のボディー化MQ樹脂を含む組合せであってもよい:ヒドロキシ基含量、成分(i)の成分(ii)に対する量の比、シロキサン単位、及び配列。成分(i)の成分(ii)に対する量の比は1〜2.5の範囲であり得る。組成物に添加される成分(VIII)の量は樹脂/ポリマー比を含む様々な因子に依存するが、成分(VIII)は、組成物の重量に基づいて30部〜70部の範囲の量で添加され得る。
【0123】
成分(IX)ポリオルガノシロキサンワックス
成分(IX)はポリオルガノシロキサンワックス、例えばアルキルメチルシロキサンワックス等である。ポリオルガノシロキサンワックスは、生強度を改良するために組成物に添加され得る。ポリオルガノシロキサンワックスは米国特許第7,074,490号及び同第5,380,527号に開示されている。成分(IX)の量はホットメルト組成物100部あたり0部〜5部の範囲であり得る。
【0124】
ホットメルト組成物は当該技術分野で既知の方法で製造することができる、例えば好適な方法は、成分(I)、成分(II)、成分(II)、成分(VII)及び、もし存在するならば、任意の追加成分を混合し;揮発性物を取り除くために混合物を押出し装置に供給し;95%以上の非揮発性含量を有するホットメルト組成物を回収することから成る。
【0125】
HCR組成物
代替的には、HCR組成物は、上述された方法において、継ぎ目シーラント組成物又はホットメルト組成物の代わりに使用され得る。市販のHCR組成物を使用することができ、例えばDOW CORNING(登録商標)20798、20799及び20800並びに特注品(例えば、色の異なる組成物)が挙げられ、それらはDow Corning Corporation(Midland, Michigan, U.S.A.)から市販されている。
【0126】
エアバッグ構成部品
エアバッグ構成部品は、パネル又はパッチ、例えば熱遮蔽パッチ又は補強性パッチであり得る。好適なエアバッグ構成部品の例は、織布又は不織布、例えば不織ウレタン又は織られた合成樹脂例えばナイロン等から作製され得る。好適なエアバッグ構成部品は任意に液状シリコーンゴム等の市販のエアバッグコーティングで被覆された表面を有する。例えば、DOW CORNING(登録商標)LCF3600及び同LCF4300は、Dow Corning Corporation(Midland, Michigan, U.S.A.)から市販されている液状シリコーンゴムである。典型的なエアバッグ構成部品の構成材料については欧州特許第1179454号の5頁段落[0051]を参照のこと。当業者は、本明細書中に記載の方法において、第1のテキスタイル及び第2のテキスタイルが異なるエアバッグ構成部品であってもよい、例えば、第1のテキスタイルがパネルであり、第2のテキスタイルがパッチであるか、又はその逆の場合もあることを認識するであろう。代替的に、第1のテキスタイルが1枚の布地の一端であり、第2のテキスタイルがその1枚の布地の反対側である場合もあり、ここで、布地は、縫製されていない継ぎ目を介して2つの端が互いに接触するように折畳まれるものとする。代替的に、第1のテキスタイルが第1の布地パネルであり、第2のテキスタイルが第2の布地パネルである場合もあり、これらは、縫製されていない継ぎ目を介して接合するまで互いに結合していないものとする。
【実施例】
【0127】
これらの実施例は本発明を当業者に説明するために含まれる。しかしながら当業者は、本開示を踏まえて、多くの変更を、開示された具体的な実施形態で行うことができるが、それでも特許請求の範囲に記載された本発明の精神と範囲から逸脱することなく、同様な(like or similar)結果が得られ得ることを理解するべきである。以下の成分がこれらの実施例において使用された。
【0128】
ビニル官能性ポリオルガノシロキサンガム1は、0.725%のビニル及び700000の数平均分子量(Mn)を有するジメチルビニルシロキシ末端ポリ(ジメチル/メチルビニル)シロキサンとした。
【0129】
ビニル官能性ポリオルガノシロキサンガム2は、0.12%のビニル及びMn=702000を有するジメチルビニルシロキシ末端ポリジメチルシロキサンとした。
【0130】
ビニル官能性ポリオルガノシロキサンガム3は、0.065%のビニル及びMn=702000を有するジメチルビニルシロキシ末端ポリ(ジメチル/メチルビニル)シロキサンとした。
【0131】
充填剤処理剤1は、3%のヒドロキシル基、29%のビニル基及び32cstの粘度を有するヒドロキシ末端ポリメチルビニルシロキサンとした。
【0132】
充填剤処理剤2は、8%のヒドロキシル基、11%のビニル基及び20cstの粘度を有するヒドロキシ末端ポリ(ジメチル/メチルビニル)シロキサンとした。
【0133】
充填剤処理剤3はテトラメチルジビニルシラザンとした。
【0134】
充填剤処理剤4は、3%のヒドロキシル基及び41cstの粘度を有するヒドロキシ末端ポリジメチルシロキサンとした。
【0135】
充填剤処理剤5は、10%のヒドロキシル基、10%のビニル基及び40cstの粘度を有するヒドロキシ末端ポリ(ジメチル/メチルビニル)シロキサンとした。
【0136】
充填剤処理剤6は、3%のヒドロキシル基及び42cstの粘度を有するヒドロキシ末端ポリジメチルシロキサンとした。
【0137】
充填剤1は、400m2/グラム(BET)の比表面積(typical surface area)を有するヒュームドシリカである。
【0138】
充填剤2は、250m2/グラム(BET)の比表面積を有するヒュームドシリカである。
【0139】
充填剤3は、5マイクロメートルの平均粒径を有する石英粉末である。
【0140】
流体1は、1%のビニル基及び350cpsの粘度を有するジメチルビニルシロキシ末端ポリ(ジメチル/メチルビニル)シロキサンとした。
【0141】
流体2は、0.09%のビニル基及び50000cpsの粘度を有するジメチルビニルシロキシ末端ポリジメチルシロキサンとした。
【0142】
流体3は、500cstの粘度を有するトリメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサンとした。
【0143】
架橋剤1は、0.79%の水素及び15cstの粘度を有する、メチルシルセスキオキサンを含むポリ(ジメチル/メチルハイドロジェン)シロキサンとした。
【0144】
架橋剤2は、0.76の水素及び5cstの粘度を有するトリメチルシロキシ末端ポリ(ジメチル/メチルハイドロジェン)シロキサンとした。
【0145】
鎖伸長剤1は、0.15%の水素及び11cstの粘度を有する水素末端ポリジメチルシロキサンとした。
【0146】
抑制剤1はメチルビニルシクロシロキサンとした。
【0147】
抑制剤2は1−エチニル−1−シクロヘキサノールとした。
【0148】
触媒1は、白金との1,3−ジエテニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体とした。
【0149】
触媒2は、封入剤としての98%のビスフェノールA−カルボニルジクロライドコポリマー中の1%白金錯体とした。
【0150】
安定化剤1はカルボン酸マンガンとした。
【0151】
接着促進剤1は、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシランとした。
【0152】
接着促進剤2は、トリス(2−メトキシエトキシ)−ビニルシランとした。
【0153】
顔料1は、ジメチルビニルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン中に分散される酸化鉄とした。
【0154】
顔料2は、ガム3中に分散される青色顔料とした。
【0155】
過酸化物1は、Akzo Nobelから市販されている2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサンとした。
【0156】
参考例1〜参考例3−シリコーン接着剤組成物の調製
表1における量で成分を合わせることによってシリコーン接着剤組成物を調製した。成分は、以下の順序で添加することにより高剪断ミキサにおいてまぜ合わせた。
1)ポリオルガノシロキサンガムを高剪断ミキサに添加した。
2)その後、水及び充填剤処理剤をミキサに添加した。
3)充填剤をミキサに添加し、充填剤をその場で処理するように一塊にした。
4)ミキサに熱及び真空を印加し、過剰な水及び反応副生成物を除去した。
5)充填剤を添加し、周囲温度に冷却しながら一塊になるまで混合した。
6)ポリオルガノシロキサン流体をミキサに添加した。
7)SiH官能性架橋剤及びいずれかの任意選択的な鎖伸長剤をミキサに添加した。
8)抑制剤をミキサに添加した。
9)触媒をミキサに添加した。
10)熱安定化剤をミキサに添加した。
11)不活性ガスブランケット下で接着促進剤をミキサに添加した。
12)顔料をミキサに添加した。
【0157】
【表1】
【0158】
実施例1及び実施例2−密閉状態での硬化及び密閉状態でない硬化により作製された縫製されていない継ぎ目、並びに表面処理を行わないで作製された比較例の比較
各実施例では、470デシテックスのナイロン布地の2つの46×46(1インチ当たりたて糸46本及び1インチ当たりよこ糸46本)のパネルを使用した。各パネルの表面上には、Dow Corning(登録商標)LCF−4300(Dow Corning Corporation(Midland, Michigan, U.S.A.)から市販されている)を35グラム/平方メートルの被覆重量で被覆させた。各被覆表面は、表2に示される、行程1における指定条件に従ってコロナ処理で処理した。コロナ処理装置の出力はキロワット(kW)で表される。これは、シリコーンで被覆されたナイロン布地を処理するのに用いられるエネルギーの量である。ライン速度(line speed)は、被覆ユニット上のオーブン(非加熱)の長さを通過する時間の単位で表した。40秒は2.7フィート/分に相当し、133秒は、コロナ処理中の10フィート/分の布地ライン速度を指す。活性化安定性は、プレス機上の試料を硬化するために、布地を使用する前に処理した被覆布地を静置しておく時間長さを指す。実施例1では、試料を作製する前2880分(48時間)はそのままにしておいた。これは、この時間中に、測定用の特定のペンを用いた表面ダイン測定により求められるように、試料を作製する前にコロナ処理が消失したことを意味する。
【0159】
実施例1を調製するために、ジグを被覆表面上に据え、脱気したシリコーン接着剤組成物1(参考例1において調製)を直線形の空隙に押し込み、先が平らな道具によりジグの空隙内で組成物を押し付けて、継ぎ目を形成した。ジグの後ろ半分を取り除き、第2のパネルの処理した被覆表面を付した。わずかな指圧を用いて、表面と表面との接触を確実なものとした。得られる組立体を、加熱板上に即座に移して、170℃の加熱したプレス機上に直ちに移し、3トンの圧力を1分間かけ、硬化させた。得られる物品をプレス機から取り出し、冷却させた。
【0160】
実施例2は、密閉空間での硬化をもたらし、ジグの後ろ半分を取り除かない以外は、実施例1と同様に調製した。上面をコロナ処理した被覆布地片(top corona treated coated fabric piece)を、継ぎ目シーラントをあふれんばかりに充填したジグの上に設け、軽い圧力でウェットアウトさせた。その後、組立体を2つの加熱板の間に入れ、加熱したプレス機内に据え置き170℃で1分間硬化した。プレス機から取り出した後、得られる物品を冷却させた。
【0161】
剥離強度は、200mm/分のクロスヘッドスピードで張力計により測定した。剥離強度試料は2インチ幅の細片に切断して引っ張った。データは、剥離細片試料を分離するのに用いられる重量ポンド(lbf)で記録した。被覆している布地が破損という形でナイロン布地から剥がれたため、分離された剥離試料に関して測定される粘着率の代わりに、被覆破損率(per cent coating failure)を用いた。被覆破損率は、水性インクを用いて、シリコーン接着剤のビードを有する範囲を処理することによって求めた。インクは、被覆が剥がれたナイロンの被覆部分上に残ると考えられる。グリッドシステムを用いてこれを定量化し、各試料について被覆破損率を求めた。3つの試料の試料中央値を表2に記録した。
【0162】
比較例は、コロナ処理又は他の表面処理を被覆布地に用いなかった以外は、実施例1と同様に作製及び試験した。初期剥離強度を表2に記録する。
【0163】
実施例3〜実施例27−コロナ処理例
各実施例では、470デシテックス(420デニール)のナイロン布地の2つの46×46パネルを用いて試料3〜試料27を調製した。各パネルの表面には、Dow Corning(登録商標)LCF−4300(Dow Corning Corporation(Midland, Michigan, U.S.A.)から市販されている)を35グラム/平方メートルの被覆重量で被覆させた。各被覆表面は、表3における指定条件に従ってコロナ処理で処理した。コロナ処理装置の出力はキロワット(kW)で表される。これは、シリコーンで被覆されたナイロン布地を処理するのに用いられるエネルギーの量である。ライン速度は、被覆ユニット上のオーブン(非加熱)の長さを通過する時間の単位で表した。40秒は2.7フィート/分に相当し、133秒は、コロナ処理中の10フィート/分の布地ライン速度を指す。活性化安定性は、プレス機上の試料を硬化するために、布地を使用する前に処理した被覆布地を静置しておく時間長さを指す。実施例3では、試料を作製する前2880分(48時間)はそのままにしておいた。これは、この時間中に、測定用の特定のペンを用いた表面ダイン測定により求められるように、試料を作製する前にコロナ処理が消失したことを意味する。
【0164】
実施例3〜実施例27を調製するために、ジグを被覆表面上に据え、脱気したシリコーン接着剤組成物1(参考例1において調製)を直線形の空隙に押し込み、先が平らな道具によりジグの空隙内で組成物を押し付けて、継ぎ目を形成した。ジグの後ろ半分を取り除き、第2のパネルの処理した被覆表面を付した。わずかな指圧を用いて、表面と表面との接触を確実なものとした。得られる組立体を、加熱板上に即座に移して、170℃の加熱したプレス機上に直ちに移し、3トンの圧力を1分間かけ、硬化させた。得られる物品をプレス機から取り出し、冷却させた。
【0165】
剥離強度は、200mm/分のクロスヘッドスピードで張力計により測定した。剥離強度試料は2インチ幅の細片に切断して引っ張った。データは、剥離細片試料を分離するのに用いられる重量ポンド(lbf)で記録した。被覆している布地が破損という形でナイロン布地から剥がれたため、分離された剥離試料に関して測定される粘着率の代わりに、被覆破損率を用いた。被覆破損率は、水性インクを用いて、シリコーン接着剤のビードを有する範囲を処理することによって求めた。インクは、被覆が剥がれたナイロンの被覆部分上に残ると考えられる。グリッドシステムを用いてこれを定量化し、各試料について被覆破損率を求めた。3つの試料の試料中央値を表4に記録した。剥離強度試料は70℃及び95%RHにおける表5に指定される期間の湿熱老化後にも試験した。試料を取り出し、室温と平衡にし、その後、上記のように張力計で試験した。
【0166】
実施例28−プラズマ処理例
プラズマ処理は、布地パネルの被覆表面上で行った。布地パネルは、表面(surfaced)が、35グラム/平方メートルの被覆重量のDow Corning(登録商標)LCF−4300(Dow Corning Corporation(Midland, Michigan, U.S.A.)から市販されている)で被覆されたナイロン布地とした。プラズマ処理は、Dow Corning Corporationから入手可能な、Dow Corning Plasma Solutions SE−2000 PlasmaStream(商標)System(Dow Corning Corporationから市販されている、3Dの硬質シート又は繊維/フィラメント状の導電材料又は絶縁材料の加工処理用の独立型表面工学システム)においてヘリウムプラズマ場を用いて行った。プラズマ処理は、出力:100%、速度:10、Heフロー:8、Zギャップ:69という条件、及び空のシリンジが取り付けられたAri Mistネブライザを用いて行った。
【0167】
参考例1で調製したシリコーン接着剤組成物1のビードをプラズマ処理した被覆布地のパネルに塗布した。第2のパネルをビードの上に載せ、物品を形成した。ビードは、物品を170℃及び5トンの圧力の加熱したプレス機内に10分間据え置くことにより硬化した。剥離強度は、実施例3〜実施例27と同様に評価した。結果は表6に示す。
【0168】
実施例29〜実施例43 プラズマ処理試料
プラズマ処理は、布地パネルの被覆表面上で行った。布地パネルは、表面が、35グラム/平方メートルの被覆重量のDow Corning(登録商標)LCF−4300(Dow Corning Corporation(Midland, Michigan, U.S.A.)から市販されている)で被覆されたナイロン布地とした。プラズマ処理は、Plasmatreat製のOpenAirシステムを用いて行った。プラズマ処理は、以下のシステム設定:放電電圧:20kV、システム電流:3.0Amp〜3.6Amp、システム周波数:17キロヘルツ〜20キロヘルツ(kHz)、デューティーサイクル:100%、及び圧力:2.5bar〜3.0barを用いて行った。
【0169】
参考例1で調製したシリコーン接着剤組成物1のビードをプラズマ処理した被覆布地のパネルに塗布した。第2のプラズマ処理した被覆布地パネルをビードの上に載せ、物品を形成した。ビードは、物品を170℃及び5トンの圧力の加熱したプレス機内に10分間据え置くことにより硬化した。得られる試料を4つの2インチの細片に切断した。剥離強度は、実施例3〜実施例27と同様にこれらの試料に関して評価した。結果は表7に示す。
【0170】
初期の試料は、プラズマ処理後24時間結合させた。初期の表面エネルギーはPlasmatreatにより測定し、実施例3〜実施例27については24時間の表面エネルギーを上記のように測定した。
【0171】
実施例44−液状前駆物質によるプラズマ処理
試料は、ヘキサメチルジシロキサンを含むPlasmatreat製の液状前駆物質を、プラズマ処理と同時に被覆布地に施した以外は、実施例29と同様に調製及び分析した。結果は表7に示す。
【0172】
実施例番号45〜実施例番号48 密閉状態での硬化に関する代替方法を用いたプラズマ処理試料
プラズマ処理は、布地パネルの被覆表面上で行った。布地パネルは、表面が、30グラム/平方メートルの被覆重量のDow Corning(登録商標)LCF−4300(Dow Corning Corporation(Midland, Michigan, U.S.A.)から市販されている)で被覆されたナイロン布地とした。プラズマ処理は、Plasmatreat製のOpenAirシステムを用いて行った。プラズマ処理は、以下のシステム設定:放電電圧:20kV、システム電流:3.0Amp〜3.6Amp、システム周波数:17キロヘルツ〜20キロヘルツ(kHz)、デューティーサイクル:100%、及び圧力:2.5bar〜3.0bar、布地からのノズルの高さ:7mm、線形移動速度:100mm/分、気体のタイプ:圧縮空気を用いて行った。
【0173】
実施例番号45を調製するために、型板を布地のプラズマ処理した被覆表面上に据え、脱気したシリコーン接着剤組成物1(参考例1で調製)を型板のチャネルに押し込み、先が平らな道具により型板のチャネル内で組成物を押し付けて、継ぎ目を形成した。型板を完全に取り除き、第2のプラズマ処理された被覆布地パネルを処理側が継ぎ目物質と接触するように置いた。シリコーン接着剤組成物1を第1のプラズマ処理された被覆布地に塗布するのに用いた型板を次に、第2の布地パネルの外側で継ぎ目物質のチャネルの上に設けた。継ぎ目は、得られる物品を型板と共に、177℃及び20トンの圧力の加熱したプレス機内に10分間据え置くことにより硬化した。得られる試料を4つの2インチの細片に切断した。剥離強度は、実施例29〜実施例43と同様にこれらの試料に関して評価した。結果は表8に示す。
【0174】
比較例番号46は、プラズマ処理又は他の表面処理を施さなかった被覆布地を用いた以外は、実施例番号45と同様に作製及び試験した。実施例番号47及び比較例番号48もそれぞれ、プラズマ処理した被覆されていないナイロン布地及びプラズマ処理していない被覆されていないナイロン布地上で、実施例番号45と同様に作製及び試験した。
【0175】
実施例番号49及び実施例番号50 1つのビードを形成する2つのビードを用いたプラズマ処理試料
プラズマ処理は、布地パネルの被覆表面上で行った。布地パネルは、表面が、30グラム/平方メートルの被覆重量のDow Corning(登録商標)LCF−4300(Dow Corning Corporation(Midland, Michigan, U.S.A.)から市販されている)で被覆されたナイロン布地とした。プラズマ処理は、Plasmatreat製のOpenAirシステムを用いて行った。プラズマ処理は、以下のシステム設定:放電電圧:20kV、システム電流:3.0Amp〜3.6Amp、システム周波数:17キロヘルツ〜20キロヘルツ(kHz)、デューティーサイクル:100%、及び圧力:2.5bar〜3.0bar、布地からのノズルの高さ:7mm、線形移動速度:100mm/分、気体のタイプ:圧縮空気を用いて行った。
【0176】
実施例番号49を調製するために、型板を布地のプラズマ処理した被覆表面上に据え、脱気したシリコーン接着剤組成物1(参考例1で調製)を型板のチャネルに押し込み、先が平らな道具により型板のチャネル内で組成物を押し付けて、継ぎ目を形成した。型板を取り除き、第2の布地プラズマ処理した被覆表面上に設け、脱気したシリコーン接着剤組成物1(参考例1で調製)を型板のチャネルに押し込み、先が平らな道具により型板のチャネル内で組成物を押し付けて、第2の布地パネル上に継ぎ目を形成した。継ぎ目物質を伴う第2の布地パネルは、継ぎ目を下にして継ぎ目物質を伴う第1の布地パネルに整合され、両パネルから露出した継ぎ目物質を互いに接触させ、物質の1つの継ぎ目を形成した。継ぎ目物質を各パネル上に塗布するのに用いられるものの2倍の厚みを有する型板を、第2のプラズマ処理された被覆布地の外側で継ぎ目物質上に設けた。継ぎ目は、型板と共に物品を、177℃及び20トンの圧力の加熱したプレス機内に10分間据え置くことにより硬化した。得られる試料を4つの2インチの細片に切断した。剥離強度は、実施例45と同様にこれらの試料に関して評価した。結果は表9に示す。
【0177】
比較例番号50は、プラズマ処理又は他の表面処理方法を被覆布地上に用いなかった以外は、実施例番号49と同様に作製及び試験した。
【0178】
実施例番号51 2つの隣接するビードを用いたプラズマ処理試料
プラズマ処理は、布地パネルの被覆表面上で行った。布地パネルは、表面が、30グラム/平方メートルの被覆重量のDow Corning(登録商標)LCF−4300(Dow Corning Corporation(Midland, Michigan, U.S.A.)から市販されている)で被覆されたナイロン布地とした。プラズマ処理は、Plasmatreat製のOpenAirシステムを用いて行った。プラズマ処理は、以下のシステム設定:放電電圧:20kV、システム電流:3.0Amp〜3.6Amp、システム周波数:17キロヘルツ〜20キロヘルツ(kHz)、デューティーサイクル:100%、及び圧力:2.5bar〜3.0bar、布地からのノズルの高さ:7mm、線形移動速度:100mm/分、気体のタイプ:圧縮空気を用いて行った。
【0179】
実施例番号51を調製するために、型板を被覆布地の上に設置して、継ぎ目の半分をプラズマ処理から遮蔽することにより、第1の布地パネルの継ぎ目寸法の半分を、プラズマ処理した。その後、布地をプラズマ処理に曝した。遮蔽用の型板を取り除き、全継ぎ目幅の半分の型板をプラズマ処理された領域の上に設けることで、布地のプラズマ処理された表面を型板内の開口を通じて曝すように開始されるプラズマ処理が施されていない表面の端と、型板内のチャネルの一端が整合するものとした。脱気したシリコーン接着剤組成物1(参考例1で調製)を型板のチャネルに押し込み、先が平らな道具により型板のチャネル内で組成物を押し付けて、継ぎ目の1つのビードを形成した。型板を取り除き、継ぎ目の最終的な幅(第1の継ぎ目幅の2倍)を有する新たな型板を設置することで、チャネル内の隙間が布地コーティングの未処理部分に対して開いているように、シリコーン接着剤組成物1の端と型板内のチャネルの一端が整合するものとした。
【0180】
脱気した市販のシリコーン接着剤組成物(Dow Corning Corporation(Midland, Michigan, USA)から市販されているSILASTIC(登録商標)SE 6750)を型板のチャネル内に塗布し、先が平らな道具により型板のチャネル内で組成物を平らにし、第1のビードに隣接しかつ接触する、継ぎ目の第2のビードを形成した。第2の布地パネルを、第1のビードと同様にプラズマ処理した。型板を被覆布地の上に設置して、継ぎ目の半分をプラズマ処理から遮蔽することにより、第2の布地パネルの継ぎ目寸法の半分を、プラズマ処理した。その後、布地をプラズマ処理に曝した。遮蔽用の型板を取り除き、シリコーン組成物1の継ぎ目物質が第2の布地のプラズマ処理された領域と接触し、シリコーン接着剤組成物(SE 6750)が第2の布地のプラズマ処理されていない領域と接触するように、第2の処理されたパネルを、第1のパネル及び隣接する継ぎ目物質の上に整合させた。その後、隣接する継ぎ目物質の全幅を有する型板を、被覆第2の布地パネルの外側で継ぎ目物質上に設けた。継ぎ目は、型板と共に物品を、177℃及び20トンの圧力の加熱したプレス機内に10分間据え置くことにより硬化した。得られる試料を4つの2インチの細片に切断した。型板により囲まれた縁から剥離が開始するこれらの試料に関して剥離強度を評価した。結果は表10に示す。
【0181】
実施例番号52〜実施例番号63 接着促進剤の使用
各実施例では、470デシテックス(420デニール)のナイロン布地の2つの46×46(1インチ当たりたて糸46本及び1インチ当たりよこ糸46本)パネルを用いて、試料番号52〜試料番号63を調製した。各パネルの表面には、Dow Corning(登録商標)LCF−4300(Dow Corning Corporation(Midland, Michigan, U.S.A.)から市販されている)を30グラム/平方メートルの被覆重量で被覆させた。接着促進剤をクロスに塗布し、接着促進剤を有するクロスで被覆布地全体を二度拭くことによって、各被覆表面を表11に指定した接着促進剤で下塗りした。その後、きれいなクロスを用いて二度拭くことによって過剰なプライマを表面から除去した。
【0182】
試料は、プラズマ処理を用いずに、接着促進剤前にプラズマ処理を用いて、及び接着促進剤後にプラズマ処理を用いて調製した。プラズマ処理は、実施例番号45に記載したように行った。剥離細片試料は、プライマ塗布後即時及び7日後に調製した。剥離細片試料を調製するために、布地の下塗り及び/又は処理を施した被覆パネル上に型板を設置し、脱気したシリコーン接着剤組成物1(参考例1で調製)を型板のチャネルに押し込み、先が平らな道具により型板のチャネル内で組成物を押し付けて、継ぎ目を形成した。型板を完全に取り除き、第2の布地下塗り及び/又処理を施した被覆パネルを下塗り側が継ぎ目物質と接触するように設けた。シリコーン接着剤組成物1を第1の布地下塗り及び/又は処理を施した被覆パネルに塗布するのに用いた型板を次に、第2の布地下塗り及び/又は処理を施した被覆パネルの外側で継ぎ目物質のチャネルの上に設けた。継ぎ目は、型板と共に物品を、177℃及び20トンの圧力の加熱したプレス機内に10分間据え置くことにより硬化した。得られる試料を4つの2インチの細片に切断した。剥離強度は、実施例番号45と同様にこれらの試料に関して評価した。結果は表11に示す。
【0183】
実施例番号64及び実施例番号65 加熱した分配ユニットの使用
Graco Thermo−O−Flow(登録商標)5ガロン容ホットメルトポンプ/ディスペンサを使用して、シリコーン接着剤組成物1のポンプ輸送及び分配性能を評価した。シリコーン接着剤組成物1を作製して、5ガロン容の金属容器内にパッケージングした。容器をホットメルトポンプに装填し、表12に挙げる条件を用いてポンプ輸送試行を行った。結果も表12に記載する。結果は物質の硬化の徴候を示すものではない。
【0184】
実施例番号66〜実施例番号68−プロファイルドツール(profiled tool:複雑な外形の道具)を用いたビードの塗布
各実施例では、470デシテックス(420デニール)のナイロン布地の2つの46×46(1インチ当たりたて糸46本及び1インチ当たりよこ糸46本)パネルを用いて、試料番号66〜試料番号68を調製した。各パネルの表面には、Dow Corning(登録商標)LCF−4300(Dow Corning Corporation(Midland, Michigan, U.S.A.)から市販されている)を30グラム/平方メートルの被覆重量で被覆させた。各被覆表面は、Plasmatreat製のOpenAirシステムを用いてプラズマ処理した。プラズマ処理は、以下のシステム設定:放電電圧:20kV、システム電流:3.0Amp〜3.6Amp、システム周波数:17キロヘルツ〜20キロヘルツ(kHz)、デューティーサイクル:100%、及び圧力:2.5bar〜3.0bar、布地からのノズルの高さ:7mm、線形移動速度:100mm/分、気体のタイプ:圧縮空気を用いて行った。
【0185】
実施例番号66及び実施例番号67を調製するために、布地のプラズマ処理した被覆表面上に型板を設置し、表13に挙げるプロファイル(profile:複雑な外形)を有する道具を用いて脱気したシリコーン接着剤組成物1(参考例1で調製)を型板のチャネルに押し込み、型板のチャネル内で組成物を押し付けて、継ぎ目を形成するビードに対してプロファイルを作り出した。継ぎ目物質のプロファイルは、型板表面よりもおよそ0.050インチ高くした。型板の半分を、ビードの縁から5mm〜10mm離し、残りの半分は、布地パネルの間の継ぎ目上に囲まれた縁をもたらすように留置させた。第2のプラズマ処理された被覆パネルを処理側が継ぎ目物質のプロファイルと接触するように置いた。わずかな指圧を用いて、表面と表面との接触を確実なものとした。得られる組立体を、177℃の加熱したプレス機上に即座に移し、20トンの圧力を10分間かけ、硬化させた。得られる物品をプレス機から取り出し、冷却させた。得られる試料を4つの2インチの細片に切断した。型板により囲まれた縁から剥離が開始するこれらの試料に関して剥離強度を評価した。結果は表13に示す。
【0186】
実施例番号68は、シリコーン接着剤組成物を型板のチャネル内に押し込むのに用いた道具が、プロファイルを有しない平らな刃を利用するものとした以外は、実施例番号66及び実施例番号67と同様に作製及び試験した。
【0187】
実施例番号69A及び実施例番号69B−振動機器を用いた、継ぎ目物質と第2の表面との接触
各実施例では、470デシテックス(420デニール)のナイロン布地の2つの46×46(1インチ当たりたて糸46本及び1インチ当たりよこ糸46本)パネルを用いて、試料番号69Aを調製した。各パネルの表面には、Dow Corning(登録商標)LCF−4300(Dow Corning Corporation(Midland, Michigan, U.S.A.)から市販されている)を30グラム/平方メートルの被覆重量で被覆させた。各被覆表面は、Plasmatreat製のOpenAirシステムを用いてプラズマ処理した。プラズマ処理は、以下のシステム設定:放電電圧:20kV、システム電流:3.0Amp〜3.6Amp、システム周波数:17キロヘルツ〜20キロヘルツ(kHz)、デューティーサイクル:100%、及び圧力:2.5bar〜3.0bar、布地からのノズルの高さ:7mm、線形移動速度:100mm/分、気体のタイプ:圧縮空気を用いて行った。
【0188】
実施例番号69Aを調製するために、布地のプラズマ処理した被覆表面上に型板を設置し、脱気したシリコーン接着剤組成物1(参考例1で調製)を型板のチャネルに押し込み、先が平らな道具により型板のチャネル内で組成物を押し付けて、継ぎ目を形成した。型板を完全に取り除き、第2のプラズマ処理された被覆パネルを処理側が継ぎ目物質と接触するように置いた。型板内のチャネルと同じ寸法を有するダイを有するDremel(Model 290−01)電動彫刻機(vibrating engraver)を使用して、第2の布地パネルの処理された表面と継ぎ目物質とを接触させた。Dremelの振動を3の設定値に調節し、振動するダイを継ぎ目物質のパスに沿って二度動かした。その後、型板の半分を継ぎ目の各側面上かつ第1の布地パネルと第2の布地パネルとの間であるが、継ぎ目の縁から少なくとも0.5インチ離して設け、硬化中の加圧を制限した。得られる組立体を、177℃の加熱したプレス機上に即座に移し、20トンの圧力を10分間かけ、硬化させた。得られる物品をプレス機から取り出し、冷却させた。得られる試料を4つの2インチの細片に切断した。剥離強度は、実施例45と同様にこれらの試料に関して評価した。結果は表14に示す。
【0189】
実施例番号69Bは、振動ツールを用いなかった以外は、実施例番号69Aと同様に作製及び試験した。第2の布地パネルは、指で優しくプレスして処理表面と継ぎ目物質とを接触させることにより継ぎ目に付した。型板の半分を、継ぎ目の各側面上かつ第1の布地パネルと第2の布地パネルとの間であるが、継ぎ目の縁から少なくとも1インチ離して設け、硬化中の加圧を制限して、実施例番号69Aと同様にそれを硬化した。
【0190】
実施例番号70〜実施例番号75−シリコーン材料に関する異なる硬化系の比較
プラズマ処理は、布地パネルの被覆表面上で行った。布地パネルは、表面が、30グラム/平方メートルの被覆重量のDow Corning(登録商標)LCF−4300(Dow Corning Corporation(Midland, Michigan, U.S.A.)から市販されている)で被覆されたナイロン布地とした。プラズマ処理は、以下のシステム設定:放電電圧:20kV、システム電流:3.0Amp〜3.6Amp、システム周波数:17キロヘルツ〜20キロヘルツ(kHz)、デューティーサイクル:100%、及び圧力:2.5bar〜3.0bar、布地からのノズルの高さ:7mm、線形移動速度:100mm/分、気体のタイプ:圧縮空気を用いて行った。
【0191】
実施例番号70、実施例番号72及び実施例番号74を調製するために、布地のプラズマ処理した被覆表面上に型板を設置し、表15に挙げる様々なシリコーン接着剤組成物を用いて型板のチャネルを充填し、先が平らな道具により型板のチャネル内で各組成物を押し付けて、継ぎ目を形成した。型板を完全に取り除き、第2のプラズマ処理された被覆パネルを処理側が継ぎ目物質と接触するように置いた。特定のシリコーン接着剤組成物を第1のプラズマ処理された被覆布地に塗布するのに用いた型板を次に、第2のプラズマ処理された被覆布地の外側で継ぎ目物質のチャネルの上に設けた。シリコーン接着剤組成物1、すなわち過酸化物硬化性シリコーン接着剤組成物に関しては、型板と共に物品を、170℃及び5トンの圧力の加熱したプレス機内に10分間据え置くことにより、継ぎ目を硬化した。ホットメルトシリコーン接着剤組成物(Dow Corning Corporation(Midland, Michigan USA)から市販されているDOW CORNING(登録商標)HM−2510)に関しては、継ぎ目を120℃で5分間ホットプレスし、その後、継ぎ目物質を囲ったまま(will still confining the seam of material)5分間の冷却プレス機に移した。物品を取り出し、室温及び50%相対湿度で10日間硬化させた。得られる試料を全て4つの2インチの細片に切断した。剥離強度は、実施例番号45と同様にこれらの試料に関して評価した。結果は表15に示す。
【0192】
以下の成分:0.18重量部(pbw)の充填剤処理剤1、0.007pbwの安定化剤1、2.03pbwの架橋剤2、0.04pbwの充填剤処理剤2、8.33pbwのガム1、0.38pbwの架橋剤1、19.82pbwの充填剤2、6.66pbwのガム3、41.4pbwのガム2、1.21pbwの充填剤処理剤4、0.85pbwの流体2、2.31pbwの接着促進剤1、7.72pbwの流体3、0.08pbwの顔料1、3.86の充填剤3、4.04pbwの鎖伸長剤1、及び1.01pbwの過酸化物1、及び0.05pbwのアンモニアを混合することにより、過酸化物硬化性組成物を調製した。
【0193】
比較例番号71、比較例番号73及び比較例番号75は、プラズマ処理していない布地を対照として用いた以外は、実施例番号70、実施例番号72及び実施例番号74それぞれと同様に作製した。
【0194】
実施例番号76〜実施例番号78−プラズマ処理と塗布との間の時間の比較
プラズマ処理は、布地パネルの被覆表面上で行った。布地パネルは、表面が、30グラム/平方メートルの被覆重量のDow Corning(登録商標)LCF−4300(Dow Corning Corporation(Midland, Michigan, U.S.A.)から市販されている)で被覆されたナイロン布地とした。プラズマ処理は、Plasmatreat製のOpenAirシステムを用いて行った。プラズマ処理は、以下のシステム設定:放電電圧:20kV、システム電流:3.0Amp〜3.6Amp、システム周波数:17キロヘルツ〜20キロヘルツ(kHz)、デューティーサイクル:100%、及び圧力:2.5bar〜3.0bar、布地からのノズルの高さ:7mm、線形移動速度:100mm/分、気体のタイプ:圧縮空気を用いて行った。
【0195】
実施例番号76を調製するために、処理後直ちに、布地のプラズマ処理した被覆表面上に型板を設置し、脱気したシリコーン接着剤組成物1(参考例1で調製)を型板のチャネルに押し込み、先が平らな道具により型板のチャネル内で組成物を押し付けて、継ぎ目を形成した。型板を完全に取り除き、第2のプラズマ処理された被覆パネルを処理側が継ぎ目物質と接触するように置いた。シリコーン接着剤組成物1を第1のプラズマ処理された被覆布地に塗布するのに用いた型板を次に、第2のプラズマ処理された被覆布地の外側で継ぎ目物質のチャネルの上に設けた。継ぎ目は、型板と共に物品を、177℃及び20トンの圧力の加熱したプレス機内に10分間据え置くことにより硬化した。得られる試料を4つの2インチの細片に切断した。剥離強度は、実施例番号45と同様にこれらの試料に関して評価した。結果は表16に示す。
【0196】
実施例番号77は、シリコーン接着剤組成物を布地に塗布する前に、室温及び45%相対湿度でプラズマ処理された布地を7日間老化させた以外、実施例番号76と同様に作製及び試験した。剥離細片を作製する他の工程及び試験は全て同様のものとした。
【0197】
比較例番号78は、布地をプラズマ処理しなかった以外は、実施例番号76と同様に作製及び試験した。剥離細片を作製する他の工程及び試験は全て同様のものとした。
【0198】
実施例番号79〜実施例番号83−ミニエアバッグの組立体及び展開データの比較
470デシテックスのナイロン布地の2つの46×46(1インチ当たりたて糸46本及び1インチ当たりよこ糸46本)パネルを用いて、ミニエアバッグを作製した。各パネルの表面には、Dow Corning(登録商標)LCF−4300(Dow Corning Corporation(Midland, Michigan, U.S.A.)から市販されている)を30グラム/平方メートルの被覆重量で被覆させた。各パネルの被覆表面は表17に記載されるように作製した。プラズマ処理が必要な場合、布地は、実施例番号45に記載のプラズマ処理条件を用いて処理し、ミニエアバッグ形状をもたらす、チャネルを有する型板を、作製した布地パネル上に設置し、脱気したシリコーン接着剤組成物1(参考例1で調製)を型板のチャネルに押し込み、先が平らな道具により型板のチャネル内で組成物を押し付けて、継ぎ目を形成した。型板を完全に取り除き、第1の被覆パネルと同一となるように作製された第2の被覆パネルを被覆側が継ぎ目物質と接触するように置いた。シリコーン接着剤組成物1を第1の被覆及び/又は処理を施した表面布地に塗布するのに用いた型板を次に、第2の被覆及び/又は処理を施した布地の外側で継ぎ目物質のチャネルの上に設けた。継ぎ目は、型板と共に物品を、177℃及び20トンの圧力の加熱したプレス機内に10分間据え置くことにより硬化した。ミニエアバッグ組立体をプレス機から取り出し、状態を整えるのに1日を費やした。その後、Dow Corning製のコールドガスエアバッグ展開試験機上に展開することにより、ミニエアバッグ組立体を試験した。各実施例について4つのエアバッグを作製し、各実施例の構成物に関する破裂値は、継ぎ目物質の破断が生じてミニエアバッグがもはや空気を保持しない圧力に達するまで、各展開の膨張圧設定値を徐々に上げることにより求めた。この時点で、膨張圧設定値を20kPa下げ、新たなミニエアバッグを展開させた。エアバッグがこの新たな設定値における展開に耐えたら、設定値を10kPa上げた。エアバッグが展開に耐えられなかったら、膨張圧設定値をさらに20kPa下げた。各試料について4つのミニエアバッグを全て展開して破損するまで、このプロセスを繰り返した。破損前の最大ピーク圧は、展開中に破損しなかったエアバッグについて得られる最大圧力を記録することにより求めた。結果は表17に記録した。
【0199】
【表2】
【0200】
【表3】
【0201】
【表4】
【0202】
【表5】
【0203】
【表6】
【0204】
【表7−1】
【0205】
【表7−2】
【0206】
【表7−3】
【0207】
【表8】
【0208】
【表9】
【0209】
【表10】
【0210】
【表11】
【0211】
【表12】
【0212】
【表13】
【0213】
【表14】
【0214】
【表15】
【0215】
【表16】
【0216】
【表17】
【産業上の利用可能性】
【0217】
上記の方法は、縫製されていない継ぎ目を作るのに有用である。本方法は、糸又はヤーンによる縫製継ぎ目に対する要求を低減又は排除することにより、多種多様な用途における物品を組み立てるコストを削減することができる。縫製されていない継ぎ目を作る方法は、テント、幌、空気入れ玩具、ゴムボート、航空機用の安全シュート、自動車のソフトトップ、建築用布地、幕、コンベヤベルト用途、及びエアバッグ等の様々な用途で利用される。
【0218】
上述のエアバッグは自動車用途、例えば運転席、助手席、後部乗客席、サイドインパクト(side impact)、ニーバッグ、歩行者保護装置、及びインフレータブルカーテン等に、例えば航空機用エアバッグ自動安全装置等の他の用途とともに有用である。例えば、上述の方法及びシリコーン組成物は米国特許第6,886,857号に開示されているエアバッグを組み立てるに縫製継ぎ目の代わりに使用できる。
【0219】
上述の方法は、縫製継ぎ目を、縫製による機械的強度の必要性を相殺するに十分な接着力を与えるシリコーン材料で置き換えることができる。本明細書中で記載された方法及びシリコーン組成物は、完全体系継ぎ目の高い剥離強度;本明細書中で記載されたホットメルト接着剤及び継ぎ目シーラントの組合せで製造されていないエアバッグと比較して、低い経時圧力損失;折り畳み及び包装(折り畳み性及び包装性)の要求、及びその他のエアバッグ要求事項の充足;システムの作業及び硬化の柔軟性;並びに1つのエアバッグ当たり3分以下である製造時間といった長所を提供することができる。
【0220】
本明細書中で記載された方法及びシリコーン組成物は、機械的接合及びシーリングが組み合わせられるために、エアバッグの組み立ての製造の効率性を改善し;縫製エアバッグに比べて、継ぎ目シーラントの量を削減し;全体のシリコーン系でホールドアップ性能を改善し;縫製によるエアバッグ布地の繊維への損傷を解消する利点を提供する。
【技術分野】
【0001】
本明細書中に記載される方法及び組成物は、車両用途に用いて有用であるエアバッグ等を膨らませることができる物品の組み立てに有用である。
【0002】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2006年12月6日付けで出願された米国仮特許出願第60/873,799号の利益を主張する。米国仮特許出願第60/873,799号は、参照により本明細書中に援用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来のエアバッグは被覆された布地から作られている。エアバッグを形成するパネル及びエアバックでのパッチ(patch)が、十分な機械強度を与えるために、一緒に縫製されている。これらのエアバッグは、例えば第1のパネルと第2のパネルとを一緒に、それらパネルの周囲に塗布されたシリコーン接着剤で結合し、その後、縫糸又はヤーンの1つ又は複数の継ぎ目で、パネルを一緒に縫製することによって、組み立てられる。継ぎ目はシリコーン接着剤を通して縫製されて、エアバッグが展開される際の十分なガス不通気性及び/又は圧力保持力を与える。これらの性質により、継ぎ目の密封(seal)及び縫製のために複数の段階を要し、エアバッグを組み立てるための比較的時間と費用がかかる方法となっている。自動車産業において、他のエアバッグの特性を維持しながらエアバッグを組み立てる方法での効率性を改善する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
テキスタイルを互いに接着する縫製されていない継ぎ目を形成する方法を開示する。本方法は、第1のテキスタイルの第1の表面を表面処理すること、処理された第1の表面に接着剤組成物のビード(bead)を塗布すること、及び、接着剤組成物と、第2の基材又は第2の接着剤組成物とを接触させることを含む。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1】二枚の被覆布地パネル100の間に継ぎ目シーラント104のビード及びホットメルト接着剤102のビードを有する、参考例1及び参考例2の方法に従って製造されたエアバッグを示す図である。
【図2】第2のホットメルト接着剤106のビードを含むエアバッグの代替的な実施形態を示す図である。
【図3】継ぎ目での物質の代替的な構成の例を示す図である。
【図4】継ぎ目での物質の代替的な構成の例を示す図である。
【図5】継ぎ目での物質の代替的な構成の例を示す図である。
【図6】継ぎ目での物質の代替的な構成の例を示す図である。
【図7】継ぎ目での物質の代替的な構成の例を示す図である。
【図8】継ぎ目での物質の代替的な構成の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
用語の定義及び用法
全ての量、比及びパーセントは、特に別に示されていなければ、重量に基づくものである。本出願の目的のために、冠詞「a」、「an」、及び「the」はそれぞれ1つ又は複数をいう。「エアバッグ」とは、ガス、例えば、空気、ヘリウム、ハイブリッドガス混合物、又はインフレータ用推進剤の燃焼のガス状生成物で充填することができ、衝突事故の際に車両の乗員を保護するのに役立つ、膨らませることができる任意の物品を意味する。「表面処理」とは、夾雑物を除去するように清浄すること、及び/又は表面上に極性反応性基を作るように活性化することを意味する。「表面処理」としては、オゾン処理、プラズマ処理、コロナ処理及び火炎処理が挙げられるが、これらに限定されない。
【0007】
連続的にエネルギーが物質に供給されると、その温度は上昇し、それは一般に固体から液体へ、その後、気体状態へと変形する。エネルギーを供給し続けることによって、系は、気体の中性原子又は中性分子をエネルギーの衝突により分解して負に帯電した電子、正又は負に帯電したイオン、及び他の化学種を生成するさらなる状態変化を受ける。集合挙動を示す荷電粒子のこの混合物は「プラズマ」と称される。それらの電荷に起因して、プラズマは外部電磁場に大きな影響を受け、それにより容易に制御可能となる。さらに、それらの高エネルギー含量によって、プラズマは、他の物質状態を介して(例えば、液体又は気体の処理を通じて)不可能又は困難であるプロセスを達成することが可能である。
【0008】
「プラズマ」という用語は、密度及び温度が数桁の大きさで変動する広範囲の系を含む。或るプラズマは高温であり、全てのそれらの微視的な化学種(イオン、電子等)が近似的な熱平衡状態にあり、その系に投入されるエネルギーは、原子/分子レベルの衝突を介して広く分布する。しかしながら、他のプラズマ、特に、衝突の頻度が比較的低い低圧(例えば、およそ100Pa)のものは、非常に異なる温度でそれらの構成要素である化学種を有し、「非熱平衡」プラズマと称される。これらの非熱平衡プラズマでは、自由電子が何千ケルビンもの温度を有するのに対し、中性化学種及びイオン化学種が低温状態のままである。自由電子の質量は略無視できることから、系全体の熱含量は小さく、プラズマは室温近くで作用するため、基材上に損傷を与えるような熱負荷をかけることなくプラスチック又はポリマー等の感温材料の処理が可能となる。しかしながら、高温電子は、高エネルギー衝突を介して、強い化学的及び物理的な反応性を示し得る高い化学的ポテンシャルエネルギーを有するラジカル及び励起種の豊富な発生源を生成する。非熱プラズマを表面処理に有用なツールとするのはこの低温での作用と高い反応性との組合せである。
【0009】
プラズマ技術の工業的用途において、簡便な方法は、電磁力を、ガスと蒸気との混合物であり得るプロセスガスの容積内に結合させ、その中に、表面処理する基材を浸漬又は通過させることである。これは、大きな電位差を印加した隣接する電極間の間隙にプロセスガスを通過させることによって達成される。プラズマは、電極間の電位差の作用により起こる気体状の原子及び分子の励起によって、間隙(以後、プラズマゾーンと称する)内に形成される。気体は、プラズマ中でイオン化されることにより、基材の表面と反応する、化学ラジカル、UV線、励起中性原子(neutrals)及び励起イオンを生成する。一般的にプラズマの発生に関与するグローは、低励起状態に戻る際に光を放つ励起種により起こる。プロセスガスの組成、駆動電力周波数(driving power frequency)、電力結合モード(power coupling mode)、圧力、及び他の制御パラメータの正しい選択により、プラズマプロセスは、製造業者が要求する特定の用途に合ったものとすることができる。
【0010】
「プラズマ処理」とは、表面を、外部から適用される或る種のエネルギーにより活性化される気体状態に曝すことを意味し、プラズマジェット、誘電体バリア放電、低圧グロー放電、大気圧グロー放電処理、及び液状前駆物質プラズマが挙げられるが、これらに限定されない。「プラズマ処理」は、プラズマ流中で液状前駆物質を表面に施すこと、及び、分子フラグメント形態で、分子そのものとして又はその後重合される分子膜として表面上に堆積させることを含む。
【0011】
「コロナ処理」とは、表面を、局所的に強い電場に曝すことを意味し、すなわち、点電源、エッジ電源及び/又はワイヤ電源を使用して発生する不均一な電場が従来コロナ放電系として記載されている。コロナ放電系は一般に周囲空気中で作用し、酸化堆積環境をもたらす。コロナ放電系の設計は、局所的に強い放電を発生させて、プロセスチャンバ中にわたりエネルギー密度を様々なものとするようなものである。
【0012】
「火炎処理」とは、表面を熱平衡プラズマに曝すことを意味する。火炎処理系は高い気体温度で作用し、本質的に酸化的なものである。
【0013】
「オゾン処理」とは、交流に接続した2つの平板電極間に乾燥空気を通過させることにより生成し得る三原子酸素を形成することを意味する。オゾンは、有用な酸化性化合物であるオゾニドを形成することができる。
【0014】
表面処理に用いられる気体は、空気、アンモニア、アルゴン、二酸化炭素、一酸化炭素、フッ素、フレオン、ヘリウム、水素、クリプトン、水銀蒸気、ネオン、窒素、亜酸化窒素、酸素、オゾン、ナトリウム蒸気、水蒸気、キセノン、及びそれらの組合せであり得る。代替的には、他のより反応性の気体又は蒸気、例えば、ヘキサメチルジシロキサン、シクロポリジメチルシロキサン、シクロポリハイドロジェンメチルシロキサン、シクロポリハイドロジェンメチル−コ−ジメチルシロキサン、反応性シラン、及びそれらの組合せを、プロセス使用圧力において通常の気体状態で使用するか、又は本来の(otherwise)液体状態から好適な機器を用いて気化してもよい。代替的には、このような液体の霧状液滴を或る特定のプラズマ処理系に使用してもよい。
【0015】
縫製されていない継ぎ目を形成する方法
エアバッグにおける縫製されていない継ぎ目を形成する方法は、i)テキスタイルの表面を表面処理することであって、それにより、処理された表面を作ること、ii)処理された表面に接着剤組成物のビードを塗布すること、iii)ビードと、第2の接着剤組成物の第2のビード又は第2のテキスタイルの第2の表面とを接触させること、及びiv)接着剤組成物のビードから、接着性物質の縫製されていない継ぎ目を形成することを含み得る。本方法は任意に、v)エアバッグを後硬化することをさらに含んでいてもよい。
【0016】
本方法は、工程iii)前に、第2のエアバッグ構成部品の第2の表面を処理することをさらに含み得る。第2の表面は、第1の表面と同一又は異なる表面処理を用いて処理することができる。
【0017】
本方法では、1つの組成物の1つのビードを使用して、縫製されていない継ぎ目を形成してもよい。代替的に、本方法は、工程iii)前に、処理された第1の表面又は処理された第2の表面に第2のビードを塗布することをさらに含み得る。存在する場合、第2のビードは、工程ii)で形成されるビードと異なる組成及び/又は構成を有していてもよい。
【0018】
本方法は任意に、工程i)前若しくは工程ii)前に第1の表面に接着促進剤を塗布すること、工程iii)前に第2の表面に接着促進剤を塗布すること、又は両方をさらに含み得る。接着促進剤は、接着促進剤を溶剤中に溶解又は分散させて溶液を形成し、その後、該溶液と、組成物が塗布されるエアバッグ構成部品の少なくとも一面とを接触させるといった任意の簡便な手段により塗布され得る。溶液を塗布することは、例えば、噴霧、浸漬又は刷毛塗りによって行い得る。好適な接着促進剤の例を(成分(V)として)以下に記載し、好適な溶剤の例を(成分(VII)として)以下に記載する。接着促進剤で表面上を被覆してもよい。代替的に、接着促進剤を、表面の一定領域、例えば、縫製されていない継ぎ目が形成される箇所に相当する領域に塗布してもよい。
【0019】
本方法は任意に、工程i)における表面処理前に、第1の表面をゴムで被覆すること、第2の表面をゴムで被覆すること、又は両方をさらに含み得る。表面(複数可)を表面処理する前、かつ接着促進剤を使用する場合にはその塗布前又は塗布後に、該表面(複数可)を被覆してもよい。ゴムは、シリコーンゴム又はシリコーンで変性された有機ゴムであり得る。例えば、ゴムは、表面に、シリコーンエマルション、(溶媒和されたか又は溶媒和されていない)高粘度ゴム(high consistency rubber)、液状シリコーンゴム組成物、エアロゾル化されたシリコーンゴム、粉末シリコーンゴム又は融解シリコン樹脂を塗布することを含む方法により形成され得る。
【0020】
本方法をエアバッグ用途で使用する場合、第1のテキスタイル及び第2のテキスタイルは共にエアバッグ構成部品であってもよく、該エアバッグ構成部品は、液滴のエアロゾル形態の組成物を大気圧プラズマ放電に導入するか、又は組成物から得られる励起種を導入することにより、布地を布地コーティング組成物、例えばDOW CORNING(登録商標)LCF 3600で被覆することを含む方法によって、工程i)前に調製され得る。代替的に、布地コーティングは、キャリアガスの非存在下でプラズマ放電又は得られるストリームに導入することができる、すなわち、例えば直接噴射により直接的に導入することができ、それゆえ、布地コーティングはプラズマ中に直接噴射される。国際公開第2002/28548号(参照により本明細書に援用される)は、かかるエアバッグ構成部品を製造するのに用いられ得る方法及び機器を開示している。この方法では、工程i)及び工程ii)を同時に行ってもよい。
【0021】
工程iv)で縫製されていない継ぎ目を形成することは、接着剤組成物を冷却すること、接着剤組成物を硬化すること、又は両方により、接着性物質を形成することによって行われ得る。接着剤組成物を縫製されていない継ぎ目に形成する方法は、接着剤組成物のタイプ及びその塗布方法を含む様々な要因に応じて決まる。2種類以上の接着剤組成物をエアバッグ用途に使用する場合、縫製されていない継ぎ目は、第1の接着剤組成物から成る第1の接着性物質、及び第2の接着剤組成物から成る第2の接着性物質を含み得る。第1の接着性物質は、エアバッグの内側に向けて配置され、第2の接着性物質は、エアバッグの外側に向けて配置され、第1の接着性物質及び第2の接着性物質が互いに接触し得る。第1の接着性物質及び第2の接着性物質は、硬度、モジュラス、又は両方が異なっていてもよい。
【0022】
代替的に、本方法は、
i)第1のテキスタイルの第1の表面を表面処理して、処理された第1の表面を形成すること、
ii)第1のテキスタイルの処理された第1の表面に、第1のシリコーン組成物の第1のビードを塗布すること、
iii)第1のシリコーン組成物の第1のビードと、第2のテキスタイルの第2の表面とを接触させること、及び
iv)第1のシリコーン組成物から第1のシリコーン材料を含む縫製されていない継ぎ目を形成すること、
を含み、それにより、縫製されていない継ぎ目を介して第1のテキスタイルと第2のテキスタイルとを接着し得る。シリコーン組成物の1つ又は複数のビードを使用してもよい。2つ以上のビードを使用する場合、ビードは、工程iii)前に第1の表面上に互いに隣接して塗布してもよく、又は、工程iii)においてビードが互いに隣接するように、第1のビードを第1の表面上に塗布し、第2のビードを第2の表面上に塗布してもよい。
【0023】
代替的に、本方法は、
1)第1のテキスタイルの第1の表面を表面処理して、処理された第1の表面を形成すること、第2のテキスタイルの第2の表面を表面処理して、処理された第2の表面を形成すること、又は両方、
2)第1のテキスタイルの処理された第1の表面に、第1のシリコーン組成物の第1のビードを塗布すること、
3)処理された第2の表面に、第2のシリコーン組成物の第2のビードを塗布すること、
4)第1のビードと第2のビードとを接触させて、1つのビードを形成すること、及び
5)1つのビードから縫製されていない継ぎ目を形成すること、
を含み、それにより、縫製されていない継ぎ目を介して第1のテキスタイルと第2のテキスタイルとを接着し得る。本方法では、第1のシリコーンビードが、処理された第1の表面と反対側の第1の露出面を有し、第2のビードが、処理された第2の表面と反対側の第2の露出面を有し、工程iv)が、第1の露出面と第2の露出面とを接触させることによって行われる。工程iv)で第1のビードと第2のビードとを整合させることによって、より厚いビードが形成するように、シリコーン組成物の一部を各基材に塗布してもよい。第1のシリコーン組成物及び第2のシリコーン組成物は同じであっても異なっていてもよい。工程v)は、第1のシリコーン組成物及び第2のシリコーン組成物を同時に硬化することによって行われ得る。
【0024】
代替的に、2つ以上のビードを用いてもよく、本方法は、
1)第1のテキスタイルの第1の表面を表面処理して、処理された第1の表面を形成すること、
2)第2のテキスタイルの第2の表面を表面処理して、処理された第2の表面を形成すること、
3)処理された第1の表面に、第1のシリコーン組成物の第1のビードを塗布すること、
4)工程5)中又はその後に第2のビードが第1のビードに隣接するように、処理された第1の表面又は処理された第2の表面に、第2のシリコーン組成物の第2のビードを塗布すること、及び
5)工程iv)の生成物から縫製されていない継ぎ目を形成すること、
を含み、それにより、第1のテキスタイルと第2のテキスタイルとを一緒に接着し得る。
【0025】
代替的に、本方法は1つのビードのみを用いて行ってもよい。本方法は、
i)第1のテキスタイルの第1の表面を表面処理して、処理された第1の表面を形成すること、第2のテキスタイルの第2の表面を表面処理して、処理された第2の表面を形成すること、又は両方、
ii)処理された第1の表面に、シリコーン組成物の1つのビードを塗布すること、
iii)1つのビードと処理された第2の表面とを接触させること、及び
iv)ビードから縫製されていない継ぎ目を形成すること、
を含み、それにより、第1のテキスタイルと第2のテキスタイルとを一緒に接着し得る。
【0026】
代替的に、本方法は、
i)第1のテキスタイルの第1の表面を表面処理して、処理された第1の表面を形成すること、
ii)第2のテキスタイルの第2の表面を表面処理して、処理された第2の表面を形成すること、
iii)処理された第1の表面に、シリコーン組成物の1つのビードを塗布すること、及び
iv)処理された第1の表面と処理された第2の表面との間で1つのビードを加圧すること、
を含み、それにより、第1のテキスタイルと第2のテキスタイルとを一緒に接着する縫製されていない継ぎ目を形成し得る。
【0027】
本明細書中に記載の方法は、縫製されていない継ぎ目を作るのに有用である。縫製されていない継ぎ目は、様々な用途、例えば、テント、幌、空気入れ玩具、ゴムボート、航空機用の安全シュート、自動車のソフトトップ、建築用布地、幕(banners)、コンベヤベルト用途、及びエアバッグで使用することができる。代替的に、縫製されていない継ぎ目は、エアバッグにおいて利用され得る。第1のテキスタイルは第1のエアバッグ構成部品を含むことができ、第2のテキスタイルは第2のエアバッグ構成部品を含み得る。第1のエアバッグ構成部品及び第2のエアバッグ構成部品はそれぞれ独立してパネル又はパッチから選択することができる。
【0028】
工程i)表面処理
表面処理は、任意の簡便な手段により行われ得る。表面処理は、火炎処理、代替的にはコロナ処理、代替的にはオゾン処理、代替的にはプラズマ処理によって行われ得る。コストを最小限に抑えるのに火炎処理又はコロナ処理を使用してもよい。代替的には、プラズマ処理を使用してもよい。代替的に、接着を改善するのに2つ以上のプラズマ処理工程を使用してもよい。
【0029】
本明細書中に記載の方法では、第1のテキスタイルの第1の表面及び第2のテキスタイルの第2の表面上で同時に表面処理を行ってもよい。同じ表面処理を、第1の表面及び第2の表面の両方の上で使用してもよい。代替的に、異なる表面処理法を第1の表面及び第2の表面上で使用してもよい。
【0030】
テキスタイルの表面を処理するのに、様々なプラズマ処理法を上記の方法で使用してもよい。例えば、プラズマジェット、誘電体バリア放電処理、及びグロー放電処理を使用することができる。グロー放電処理は、低圧グロー放電又は大気圧グロー放電から選択されるプラズマを用いて実行することができる。
【0031】
例えば、プラズマ処理は、連続モード又はパルスモードの低圧グロー放電プラズマによって行われ得る。これは、バッチプロセスであってもよい。代替的に、プラズマ処理は、大気圧において連続プロセスで、適切な大気圧プラズマ装置を用いて行われ得る。プラズマ処理は当該技術分野において既知である。例えば、米国特許第4,933,060号及び同第5,357,005号、並びにT.S. Sudarshan, ed., Surface Modification Technologies, An Engineer's Guide, Marcel Dekker, Inc., New York, 1989, Chapter 5, pp. 318-332 and 345-362が、典型的な方法を開示している。
【0032】
プラズマ処理のための正確な条件は、エアバッグ構成部品の選択、プラズマ処理と接触との間の貯蔵時間、並びに用いられるプラズマ処理のタイプ及び方法、並びに用いられるプラズマチャンバの設計を含む様々な要因に応じて変わるとされる。しかしながら、プラズマ処理は、大気圧までの圧力で実行することができる。代替的に、プラズマ処理は、0.05トル〜10トル、代替的には0.78トル〜3トル、代替的には1.5トル〜3トルの範囲の圧力で実行することができる。
【0033】
プラズマ処理の時間は、処理されるエアバッグ構成部品、選択される接触条件、プラズマ処理のモード(例えば、連続式に対してバッチ式)、及びプラズマ装置の設計を含む様々な要因に応じて決まる。プラズマ処理は、処理されるエアバッグ構成部品の表面が、接着結合を形成するのに十分に反応性となる十分な時間で実行される。プラズマ処理は、1ミリ秒〜30分、代替的には0.002秒〜1分、代替的には0.1秒〜30秒、代替的には1秒〜1分、代替的には5秒〜30秒の範囲の時間実行することができる。商業規模プロセスの効率のためにプラズマ処理時間を最小限に抑えることが望まれ得る。長すぎる処理時間は、幾つかの処理されたエアバッグ構成部品を非接着性又は低接着性とする可能性がある。
【0034】
プラズマ処理に用いられるガスは、例えば、空気、アンモニア、アルゴン、二酸化炭素、一酸化炭素、ヘリウム、水素、窒素、亜酸化窒素、酸素、オゾン、水蒸気、及びそれらの組合せであり得る。代替的に、ガスは、空気、アルゴン、二酸化炭素、一酸化炭素、ヘリウム、窒素、亜酸化窒素、オゾン、水蒸気、及びそれらの組合せから選択され得る。代替的に、ガスは、空気、アルゴン、二酸化炭素、ヘリウム、窒素、オゾン、及びそれらの組合せから選択され得る。代替的には、他のより反応性の有機ガス又は蒸気、例えば、ヘキサメチルジシロキサン、シクロポリジメチルシロキサン、シクロポリハイドロジェンメチルシロキサン、シクロポリハイドロジェンメチル−コ−ジメチルシロキサン、反応性シラン及びそれらの組合せを、プロセス使用圧力において通常の気体状態で使用するか、又は好適な機器を用いて本来の液体状態から気化してもよい。
【0035】
当業者は、上記の指標基準及び下記の実施例を用いて、過度の実験を行うことなく、適切なプラズマ処理条件を選択することができるであろう。表面処理すること、及び処理された表面に接着剤組成物を塗布することは、選択される表面処理法に応じて、連続して又は同時に行われ得る。
【0036】
工程ii)は、工程i)の直後に行い得る。代替的には、任意に工程ii)前に、最大24時間、代替的には4時間〜12時間、代替的には1時間〜10時間テキスタイルを貯蔵してもよい。理論に縛られることを望むものではないが、24時間以内の貯蔵によって、表面の清浄及び表面の活性化という両方の利益がもたらされると考えられる。代替的には、任意に工程ii)前に、24時間より長く、例えば、最大14日間、代替的には最大7日間テキスタイルを貯蔵してもよい。理論に縛られることを望むものではないが、24時間より長い間の貯蔵によって、表面の清浄という利益がもたらされ、接着性が改善され得ると考えられる。代替的に、接着剤組成物は、テキスタイルとの接触直前に分配されるように処理してもよい。例えば、テキスタイルとの接触の直前にプラズマ場(plasma field)を通じて接着剤組成物を分配してもよい。
【0037】
工程ii)接着剤組成物の塗布
接着剤組成物のビードを塗布する方法は、選択される接着剤組成物のタイプ及び顧客の要望を含む様々な要因に応じて決まる。例えば、接着剤組成物のビードを塗布することは、例えば接着剤組成物がHCR組成物である場合には、押出機を使用して行ってもよい。代替的に、ビードを塗布することは、例えば接着剤組成物がホットメルト組成物又はHCR組成物である場合には、加熱分配器具を使用して行ってもよい。代替的に、ビードを塗布することは、例えば、多液型接着剤組成物を使用して塗布直前にパートを混合し得る方法では、ロボット分配器具を使用して行ってもよい。代替的に、接着剤組成物をテープ形状に作製してもよく、テキスタイルの処理された表面にテープを貼り付けることによって工程ii)を行ってもよい。
【0038】
2種類以上の接着剤組成物を使用する場合には、接着剤組成物を同時に又は任意の順序で連続して塗布してもよい。例えば、工程ii)で硬化性シーラント組成物とホットメルト組成物とを同じテキスタイル(エアバッグ構成部品等)に塗布する場合には、硬化性シーラント組成物を初めに塗布し、その後、硬化性シーラント組成物と接触させて、又は硬化性シーラント組成物と少し離して、ホットメルト組成物を塗布してもよい。正確な距離は、選択されるシーラント組成物及びホットメルト組成物に応じて変わるが、距離は、ホットメルト接着剤及び継ぎ目シーラントが工程iii)後に互いに接触するくらいに十分短い。一実施形態では、継ぎ目シーラントとホットメルト接着剤との間に間隙はない。例えば、硬化性シーラント組成物を第1の連続する一様なビードとして塗布してもよく、ホットメルト組成物を第2の連続する一様なビードとしてとして塗布してもよく、継ぎ目シーラント及びホットメルト接着剤が工程iv)前に1つのビードを形成する。
【0039】
ビードの正確な構成は、具体的なエアバッグ等の膨らませることができる物品の選択される設計を含む様々な要因に応じて決まる。しかしながら、エアバッグ用途に関して、ビードの幅は、6ミリメートル(mm)〜12mm、代替的には6mm〜10mm、代替的には3mm〜15mmの範囲をとり得る接着性物質のビードを提供するのに十分なものとなり得る。硬化性接着剤組成物のビードの深さは、0.4mm〜1mm、代替的には0.6mm〜0.8mm、代替的には0.3mm〜1.5mmの範囲をとり得る硬化接着剤のビードを提供するのに十分なものである。ホットメルト接着剤のビードは、継ぎ目シーラントのビードと同じ寸法を有し得る。
【0040】
代替的に、型板をビードに利用して、ビードを所望の形状に形成した後、型板を取り除くことによって、工程ii)を行ってもよい。これはエアバッグ用途に有用であり得る。
【0041】
本方法は、例えば、硬化性シーラント組成物及びホットメルト組成物を工程ii)中に同じエアバッグ構成部品に塗布する場合、工程iv)前に、第2のエアバッグ構成部品を硬化性シーラント組成物及びホットメルト組成物に付すことをさらに含み得る。第2のエアバッグ構成部品を付すことによって、塗布時にビードが互いに少し離れていたとしても、硬化性シーラント組成物のビードとホットメルト組成物のビードとが互いに接触することになり得る。第2のエアバッグ構成部品と組成物とを接触させることは、任意の簡便な手段により行われ得る。例えば、第1の被覆表面を有する第1のパネルを工程ii)で使用し、第2の被覆表面を有する第2のパネルを工程ii)で使用してもよく、この場合、硬化性シーラント組成物及びホットメルト組成物が、2つのパネルの処理された被覆表面を接触させる。
【0042】
代替的に、当業者は、硬化性シーラント組成物を第1のエアバッグ構成部品の処理された第1の表面に塗布することができ、ホットメルト組成物を第2のエアバッグ構成部品の処理された第2の表面に塗布し得ることを認識するであろう。その後、硬化性シーラント組成物及びホットメルト組成物が互いに接触するように、第1のエアバッグ構成部品及び第2のエアバッグ構成部品が組み合わされ得る。
【0043】
代替的に、硬化性シーラント組成物を、工程ii)で底面パネル等の第1のエアバッグ構成部品に塗布することができ、ホットメルト組成物を、工程ii)で上面パネル等の第2のエアバッグ構成部品に塗布し得る。本方法は、工程iv)前にホットメルト組成物を任意に冷却することをさらに含み得る。理論に縛られることを望むものではないが、ホットメルトを冷却させることは、ホットメルト組成物を硬化性シーラント組成物に加圧して、より低粘度の硬化性シーラント組成物を底面パネルの表面から追いやるのに役立ち得ると考えられる。このプロセスは、連続性(例えば、直線、曲線又はジグザグ)であろうと又は分断された形状(ビーズ等)としてであろうとホットメルト分布の構成にかかわらず適用可能である。
【0044】
工程iii)後、上面パネルを底面パネルに位置合わせし、0.5mm〜1.2mmの範囲をとり得る厚みにまで加圧して、組成物とエアバッグ構成部品の被覆表面との間の接触を改善することができる。
【0045】
例えば、〜図8で示されるように、分断された形状のホットメルトの塗布は、初めにホットメルト組成物を塗布し、冷却した後に、ホットメルト組成物を冷却することにより調製されたホットメルト接着剤の上に硬化性シーラント組成物を設けることにより行われ得る。代替的に、ホットメルト組成物を冷却することによって調製されたホットメルト接着剤は、ビーズ等の分離形状に形成することができ、そのビーズを硬化性シーラント組成物中に挿入することもできる。その後、接触工程は、硬化性シーラント組成物を介してホットメルト接着剤のビーズをプレスして、エアバッグ構成部品の両面上の接触をもたらすと考えられる。
【0046】
本方法は任意に、工程iii)前に第3の組成物をエアバッグ構成部品に塗布することをさらに含み得る。例えば、第1の組成物が硬化性シーラント組成物であり、第2の組成物がホットメルト組成物である場合、ホットメルト組成物の第2のビードは、工程iii)前かつ第2のエアバッグ構成部品を付す前にエアバッグ構成部品に塗布され得る。ホットメルト組成物の第2のビードは、これまでに塗布されるホットメルト組成物と異なるホットメルト組成物であってもよい。例えば、硬化性シーラント組成物(内側)、ホットメルト組成物の第1のビード(硬化して第1のモジュラス及び第1の伸びを有する第1のホットメルト接着剤を形成する)、及びホットメルト組成物の第2のビード(硬化して第1のホットメルト接着剤と比較して、より大きいモジュラス、より小さい伸び、又は両方を有する第2のホットメルト接着剤を形成する)を使用してもよい。代替的には、継ぎ目シーラントのビードの両側が、ホットメルト接着剤のビードにより囲まれていてもよい。
【0047】
本方法は、ホットメルト組成物をエアバッグ構成部品に塗布した後に、ホットメルト組成物を冷却することをさらに含み得る。理論に縛られることを望むものではないが、ホットメルト組成物を冷却することによって、エアバッグの生強度(green strength)が改善され、それにより組み立て時間及びコストを削減することができると考えられる。非硬化性ホットメルト組成物を使用する場合、冷却はホットメルト接着剤を形成するために行ってもよい。
【0048】
工程iii)ビードの接触
工程iii)は、接着剤組成物による処理された表面の湿潤を改善させる任意の簡便な手段により行われ得る。工程iii)は、テキスタイル若しくはビード、又は両方を、エネルギー波又は振動機器との接触に曝すことによって行われ得る。エネルギー波は、接触性(例えばローラ)、又は非接触性(例えば、音波又は超高周波)であってもよい。代替的に、工程iii)は、ビードのパス(path)に沿って、処理された第2の表面をビードと接触させる道具を用いて行われ得る。代替的に、工程iii)は、超音波等のエネルギー波を組み込んだ機器(ホイール若しくはスキージ等)、又は他の振動機器を用いて行われ得る。
【0049】
代替的に、工程iii)は、例えば液圧プレス機においてビード上に第2の表面をプレスすることによって行ってもよい。プレスの条件は、選択されるテキスタイル及び接着剤組成物に応じて変わるとされるが、例えば、エアバッグ用途では、エアバッグ構成部品を加圧して圧縮物品を形成することによって、工程iii)が行われ得る。例えば、1psig〜20000psig、代替的には1psig〜500psig、代替的には100psig〜300psigのプレス機のプレート間で、エアバッグ構成部品を加圧し得る。上記の圧縮物品は、70℃〜200℃、代替的には70℃〜120℃の範囲の温度の加熱された基材、例えば加熱板と接触させて、圧縮物品の片面を加熱板に90秒(s)〜600sの範囲の時間接触させることが可能である。(工程iii)及び工程iv)は任意に同時に行ってもよい。例えば、上記の液圧プレス機におけるプレートの1つを加熱しておいてもよい。代替的に、液圧プレスにおけるプレートを両方とも加熱しておいてもい。代替的に、工程iii)を工程iv)後に行ってもよい。)例えば、硬化性シーラント組成物を硬化して継ぎ目シーラントを形成することは、70℃〜200℃の加熱板上で3分〜5分間加熱することによって行われ得る。代替的に、ホットメルト組成物が硬化性シーラント組成物と接触する場合には、ホットメルト組成物からの熱によって、硬化性シーラント組成物の硬化が開始することもある。理論に縛られることを望むものではないが、これらの加熱方法は、気泡の形成を低減させることにより、例えば、圧縮物品をオーブン又は加熱したプレス機内に据え置くことにより全面を一度に加熱することを伴う加熱方法に比べて、継ぎ目シーラント及びホットメルト接着剤と、エアバッグ構成部品との接触を改善するという利益をもたらすと考えられる。
【0050】
工程iv)縫製されていない継ぎ目の形成
接着剤組成物は、縫製されていない継ぎ目を形成するように硬化され得る。例えば、接着剤組成物は、ヒドロシリル化反応硬化性組成物、過酸化物硬化性組成物若しくは有機ボラン硬化性組成物を使用する場合には、上記のような条件で熱に曝すことによって、又は縮合反応硬化性組成物を使用する場合には、周囲空気中の湿気として存在する水分に曝すことによって、硬化可能である。代替的に、デュアルキュア型の系を使用してもよく、例えば、ヒドロシリル化硬化性かつ過酸化物硬化性である硬化性組成物を使用してもよく、代替的には、ヒドロシリル化硬化性かつ湿気硬化性である硬化性組成物を使用してもよい。
【0051】
接着剤組成物は任意に、密閉ダイ内で硬化され得る。理論に縛られることを望むものではないが、工程iv)における密閉状態での硬化が、密閉状態でない硬化に比べて、処理された表面の湿潤を改善すると考えられる。
【0052】
代替的に、接着剤組成物は、組成物をマイクロ波エネルギーに曝すことを含む方法によって硬化してもよい。ホットメルト組成物を使用する場合、縫製されていない継ぎ目は、ホットメルト組成物を冷却すること、ホットメルト組成物を硬化すること、又は両方によって形成され得る。
【0053】
縫製されていない継ぎ目を形成するための正確な条件は、選択される接着剤組成物及びテキスタイルを含む様々な要因に応じて決まる。例えば、エアバッグ用途では、60℃〜190℃の範囲の温度で加熱することによって工程iv)を行ってもよい。当業者は、これらの条件が例示的なものであり、非限定的なものであることを認識するであろう。例えば、或る特定のエアバッグパネルは、190℃を超える温度で分解するおそれのあるナイロンから成ることがあるため、異なるテキスタイルを使用する場合にはこの範囲の上限を変えてもよい。ガラス繊維をテキスタイルとして使用する場合には、より高い温度を使用してもよい。代替的に、工程iii)及び工程iv)は、ビード上に第2のテキスタイルを設けて物品を形成すること、60℃〜190℃の範囲の温度の加熱された基材上に物品を置くこと、及び物品を30秒〜10分間加圧することによって、同時に行ってもよい。当業者は、これらの条件が例示的なものであり、非限定的なものであることを認識するであろう。
【0054】
工程v)後硬化
本方法は任意に、工程iv)の製品(例えばエアバッグ)を後硬化することをさらに含んでいてもよい。後硬化のための条件は、接着剤組成物の硬化メカニズムに応じて変わると考えられる。例えば、縮合反応硬化性組成物を後硬化することは、湿り空気に曝すことを含み得る。代替的に、後硬化は、例えばヒドロシリル化硬化性組成物を使用する場合、密閉状態での加熱又は密閉状態でない加熱、加圧、又は両方によると考えられる。
【0055】
例えば、エアバッグは90℃〜185℃、代替的に90℃〜125℃の範囲の温度で、30秒〜5分、代替的に30秒〜90秒間、例えば加熱板の間で加圧され得る。その圧力は1psig〜20000psig、代替的には1psig〜500psig、代替的には100psig〜300psigの範囲まで変化し得る。理論により縛られることを望まないが、後硬化工程で圧力が高すぎると、エアバッグが展開されたとき圧力保持が減少しかねないと考えられる。理論により縛られることを望まないが、継ぎ目シーラントが使われると、継ぎ目シーラントは加圧の間クッションとして働き、硬化性ホットメルト組成物又はHCR組成物を完全に又は部分的に硬化状態に至らしめると考えられる。
【0056】
本方法は、エアバッグに継ぎ目を形成するために用いられ、継ぎ目は、周辺継ぎ目、内部継ぎ目又は両方である。代替的には、該方法はエアバッグに周辺継ぎ目(周囲周りの継ぎ目(seam around the periphery))を形成するために用いられ得る。継ぎ目シーラント及びホットメルト接着剤の両方を使用する本明細書中に記載される方法は、1つ又は複数の継ぎ目の縫製を不要にすることができる。例えば、本発明の方法は、バッグを形成するために周辺継ぎ目を作るために用いられてもよく、一方内部継ぎ目が、例えばエアバッグ内に小部屋を形成するために、縫製されることも可能である。
【0057】
接着性物質
縫製されていない継ぎ目を形成するのに使用される、工程iv)で接着剤組成物から調製される接着性物質は、有機接着性物質又はシリコーン接着性物質であってもよい。好適な有機接着性物質としてはポリウレタンが挙げられる。代替的に、縫製されていない継ぎ目を形成するのに使用される接着性物質は、継ぎ目シーラント、ホットメルト接着剤、高粘度ゴム(HCR)、液状シリコーンゴム、又はそれらの組合せ等の硬化性シリコーン組成物の反応生成物であってもよい。1種類の接着性物質を使用して、継ぎ目を形成してもよい。例えば、1種類のHCRを使用して、継ぎ目を形成してもよい。代替的に、2種類以上の接着性物質を使用して、継ぎ目を形成してもよい。接着剤組成物は、硬化前、硬化中又は硬化後に組み合わせてもよい。例えば、液状シリコーンゴム組成物及びHCR組成物を硬化前に組み合わせてもよい。
【0058】
代替的に、接着剤組成物の2つ以上のビードを塗布及び使用して、縫製されていない継ぎ目の接着性物質を形成してもよい。2つ以上の接着性物質を使用する場合、接着性物質は互いに接触して継ぎ目を形成し得る。接着性物質は、硬度、モジュラス、又は両方が異なっていてもよい。接着性物質は、継ぎ目シーラント及びホットメルト接着剤を含み得る。代替的に、接着性物質は、以下の特性:モジュラス及び伸びの少なくとも1つが異なる2種類以上のホットメルト接着剤を含んでいてもよい。代替的に、接着性物質は、継ぎ目シーラント及びHCRを含んでいてもよい。代替的に、接着性物質は、以下の特性:モジュラス、伸び、又は引裂き強度の少なくとも1つが異なる2種類以上のHCRを含んでいてもよい。理論に縛られることを望むものではないが、2つ以上の接着性物質を使用して、エアバッグに縫製されていない継ぎ目を形成する場合、エアバッグの外側に最も近い接着性物質は、エアバッグの内側に最も近い接着性物質よりも少なくとも0.01%大きいモジュラスを有し得るか、エアバッグの外側に最も近い接着性物質は、エアバッグの内側に最も近い接着性物質の硬度よりも少なくとも0.01%大きい硬度を有し得るか、又は両方であると考えられる。代替的に、2種類のホットメルト接着剤を使用する場合、エアバッグの外側に最も近いホットメルト接着剤は、エアバッグの内側に最も近いホットメルト接着剤の伸びよりも少なくとも0.01%小さい伸びを有し得る。
【0059】
接着性物質は異なる構成(configurations)を有していてもよい。図3〜図8は、例えば、継ぎ目シーラント及びホットメルト接着剤を使用する場合の、物質に関する異なる構成を示す。例えば、継ぎ目シーラント104の連続する一様なビード及びホットメルト接着剤102の連続する一様なビードは、図1及び図3に示されるように、継ぎ目シーラントのビードがエアバッグの内側にあり、またホットメルト接着剤のビードがエアバッグの外側で継ぎ目シーラントと接触するようにエアバッグの周囲に並置され得る。代替的に、継ぎ目シーラント104のビード及びホットメルト接着剤102のビードは、図4に示されるように、より多くの継ぎ目シーラントがバッグの内側に、より多くのホットメルト接着剤が外側に向かうように先細りになっていてもよい。代替的に、ホットメルト接着剤102は、図5及び図8に示されるように、継ぎ目シーラント104の連続するビード内で、ビーズ若しくはリベット(rivets)(図5)、又は正方形、平行四辺形(図8)、又は台形等の分離形状に分断されていてもよい。代替的に、継ぎ目シーラント104は、図6に示されるように、ホットメルト接着剤102の連続するジグザグ形のビードを囲む不連続な三角形部であってもよい。代替的に、継ぎ目シーラント104及びホットメルト接着剤102は両方とも、図7に示されるように、不連続であってもよい。理論に縛られることを望むものではないが、連続する継ぎ目シーラント又は不連続な継ぎ目シーラントのいずれかを有する不連続なホットメルト接着剤(例えば、分離形状とされる)は、ホットメルト接着剤の連続するビードを有する同様のエアバッグに比べて、幾つかのエアバッグで折畳み性の改善という利点をもたらし得ると考えられる。当業者は、図1〜図8が例示的なものであり、非限定的なものであり、例えば、2つの異なる物質を使用することもできる(例えば、HCRを、図1〜図8に示されるホットメルト接着剤102の代わりに使用するか、第2のホットメルト接着剤を、図1〜図8に示される継ぎ目シーラント104の代わりに使用する)ことを認識するであろう。さらに、図3〜図8の構成と異なる構成を用いてもよく、又は図3〜図8のうちの1つに示される構成で一エアバッグ構成部品の被覆表面に2つの組成物を塗布した後、エアバッグの組み立てプロセス中に第2のエアバッグパネルを組成物の上に載せることによって、図3〜図8に示される構成を変更してもよい。
【0060】
接着剤組成物
上記のプロセスで使用される接着剤組成物の形態は、接着剤組成物を塗布する方法を含む様々な要因に応じて決まる。接着剤組成物は、市販されているシリコーン接着性物質又は有機(例えばポリウレタン)接着性物質、例えば、OSI Sealants, Inc.(Mentor, Ohio, U.S.A.)から市販されているポリウレタンシーラントであるPL(登録商標)、若しくはICI Paints(Strongsville, Ohio, U.S.A.)から市販されているスチレンブタジエンコポリマー系接着剤であり得るLiquid Nails(登録商標)であってもよい。代替的に、接着剤組成物はシリコーン組成物であってもよい。シリコーン組成物は、継ぎ目シーラント組成物、ホットメルト組成物、高粘度ゴム(HCR)組成物、液状シリコーンゴム組成物、又はそれらの組合せであってもよい。
【0061】
接着剤組成物は、一液型硬化性組成物又は多液型組成物であってもよい。接着剤組成物は、ヒドロシリル化硬化性ポリオルガノシロキサン組成物、過酸化物硬化性ポリオルガノシロキサン組成物、又は有機ボラン硬化性ポリオルガノシロキサン組成物であってもよい。代替的に、接着剤組成物は縮合反応硬化性組成物であってもよい。
【0062】
継ぎ目シーラント組成物
上述の方法に用いられる硬化性シーラント組成物は、ヒドロシリル化反応硬化性ポリオルガノシロキサン組成物であり得る。そのような組成物の例は当該技術分野では既知である。例えば、米国特許第6,811,650号(参照により本明細書中に援用される)は、上述の方法での硬化性シーラント組成物としての使用に好適な組成物を開示している。代替的には、市販されている継ぎ目シーラントを用いてもよく、例としてはDOW CORNING(登録商標)SE6711、SE6750及びSE6777が挙げられ、これらはDow Corning Corporation(Midland, Michigan, U.S.A.)から市販されている。
【0063】
代替的には、硬化性シーラント組成物は、25℃では流動性又は膨張性(pumpable)であり、加熱により硬化してエラストマーを形成する硬化性ポリオルガノシロキサン組成物であってもよい。典型的なヒドロシリル化反応硬化性ポリオルガノシロキサン組成物は:
(A)末端脂肪族不飽和を有する有機基を分子あたり平均して少なくとも2個有するポリオルガノシロキサン;
(B)分子あたり平均して少なくとも2個のケイ素結合水素原子を有する架橋剤;
任意に(C)充填剤;及び
(D)ヒドロシリル化触媒
を含む。
【0064】
成分(A)脂肪族不飽和を有するポリオルガノシロキサン
成分(A)は、末端脂肪族不飽和を有する有機基を分子あたり平均して少なくとも2個有するポリオルガノシロキサンである。成分(A)の脂肪族不飽和有機基は、以下に限定されないが、ビニル、アリル、ブテニル、ペンテニル、及びヘキセニルによって例示されるアルケニル、代替的にはビニルであり得る。脂肪族不飽和有機基は、以下に限定されないが、エチニル、プロピニル、及びブチニルによって例示されるアルキニル基であり得る。成分(A)の脂肪族不飽和有機基は、末端位、ペンダント(pendant)位又は末端位及びペンダント位の両方に位置する。成分(A)中、残りのケイ素結合有機基は、置換されていてもよくまた置換されていなくてもよい、他の一価炭化水素基であり得る。一価非置換炭化水素基は、以下に限定されないが、アルキル基、例えばメチル、エチル、プロピル、ペンチル、オクチル、ウンデシル、及びオクタデシル等;芳香族基、例えばエチルベンジル、ナフチル、フェニル、トリル、キシリル、ベンジル、スチリル、1−フェニルエチル、及び2−フェニルエチル等、代替的にはフェニル;並びにシクロアルキル基、例えばシクロヘキシル等、によって例示される。一価置換炭化水素基は、以下に限定されないが、ハロゲン化アルキル基、例えばクロロメチル、3−クロロプロピル、及び3,3,3−トリフルオロプロピル、フルオロメチル、2−フルオロプロピル、3,3,3−トリフルオロプロピル、4,4,4−トリフルオロブチル、4,4,4,3,3−ペンタフルオロブチル、5,5,5,4,4,3,3−へプタフルオロペンチル、6,6,6,5,5,4,4,3,3−ノナフルオロヘキシル、及び8,8,8,7,7−へプタフルオロオクチル等によって例示される。
【0065】
成分(A)は単位式(I):
(R1SiO3/2)a(R12SiO2/2)b(R13SiO1/2)c(SiO4/2)d(XO1/2)eを有し得る。この式で、各R1は独立して上述した脂肪族不飽和有機基又は一価炭化水素基で、ただし分子あたり平均して少なくとも2個のR1は脂肪族不飽和有機基である。Xはハロゲン原子又は一価炭化水素基であり、下付き文字aは0又は正の数であり、下付き文字bは正の数であり、下付き文字cは0又は正の数であり、下付き文字dは0又は正の数であり、下付き文字eは0又は正の数である。
【0066】
成分(A)は一般式(II):
R13SiO−(R12SiO)f−SiR13(式中、R1は上述されているとおりであり、下付き文字fは、25℃で100Pa・s〜1000000mPa・sの範囲の粘度を成分(A)に与えるに十分な値の整数である)のポリジオルガノシロキサンを含んでもよい。代替的には、式(II)はα,ω−ジアルケニル官能性ポリジオルガノシロキサン、例えばジメチルビニルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン等である。
【0067】
成分(A)は、ジメチルビニルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン、トリメチルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルビニルシロキサン)、並びに式(CH3)3SiO1/2、(CH3)2CH2=CHSiO1/2、及びSiO4/2のシロキサン単位を含むポリオルガノシロキサンによって例示される。成分(A)は1種のポリオルガノシロキサン又は次の特性のうち少なくとも一つが異なっている2種以上のポリオルガノシロキサンの混合物であってもよい:構造、粘度、平均分子量、シロキサン単位、及び配列。組成物は100重量部の成分(A)を含み得る。
【0068】
成分(B)架橋剤
成分(B)は、分子あたり平均して2個を超えるケイ素結合水素原子を有する架橋剤である。成分(B)は単位式(III):
(R2SiO3/2)h(R22SiO2/2)i(R23SiO1/2)j(SiO4/2)k(XO)m(式中、各R2は独立して水素原子又は上で例示された一価の置換若しくは非置換炭化水素基であり、Xは上述されているとおりであり、下付き文字hは正の数であり、下付き文字iは正の数であり、下付き文字jは0又は正の数であり、下付き文字kは0又は正の数であり、下付きmは0又は正の数である)を有し得る。
【0069】
成分(B)は一般式(IV):
HR32SiO−(R32SiO)g−SiR32H(式中、各R3は独立して水素原子又は上で例示されている一価の置換若しくは非置換炭化水素基であり、下付き文字gは1以上の値を有する整数である)のポリジオルガノハイドロジェンシロキサンを含んでもよい。代替的には、成分(B)は水素末端ジメチルシロキサン、トリメチルシロキシ末端ポリ(ジメチル/メチルハイドロジェンシロキサン)、又はそれらの組合せを含み得る。
【0070】
成分(B)は、1種の架橋剤又は次の特性のうち少なくとも一つが異なっている2種以上の架橋剤の混合物でよい:構造、粘度、平均分子量、シロキサン単位、及び配列。成分(B)の量は、本組成物中で脂肪族不飽和有機基に対するケイ素結合水素原子のモル比が1:100〜20:1の範囲になるように選ばれ得る。
【0071】
成分(C)充填剤
成分(C)は充填剤である。成分(C)は補強用充填剤、増量用充填剤又はそれらの組合せであり得る。補強用充填剤は成分(A)100部に基づいて5部〜200部の範囲の量で任意に添加され得る。適切な補強用充填剤の例として、補強用シリカ充填剤、例えばヒュームドシリカ(fume silica)、シリカエーロゲル、シリカキセロゲル(zerogel)、及び沈降シリカ等が挙げられる。ヒュームドシリカは当該技術分野で既知であり、市販されており、Cabot Corporation(Massachusetts, U.S.A.)から名称CAB−O−SILで販売されている。
【0072】
増量用充填剤は成分(A)100部に基づいて5部〜200部の範囲の量で組成物に任意に添加され得る。増量用充填剤の例として、ガラスビーズ、カオリン、石英、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、タルク、ケイ藻土、酸化鉄、クレー、酸化チタニウム、ジルコニア、砂、カーボンブラック、グラファイト、又はそれらの組合せが挙げられる。例えばU. S.Silica(Berkeley Springs, West Virginia, U.S.A.)から名称MIN−U−SILで販売されている粉末シリカ(ground silica)等の増量用充填剤は当該技術分野では既知であり、市販されている。
【0073】
成分(D)ヒドロシリル化触媒
成分(D)はヒドロシリル化触媒である。成分(D)は組成物の硬化を促進するに十分な量添加される。正確な量は選ばれた具体的な触媒に依存するが、成分(D)は、成分(A)100部に基づいて0.01ppm〜500ppmの白金族金属を与えるに十分な量添加され得る。
【0074】
好適なヒドロシリル化触媒は当該技術分野では既知であり、市販されている。成分(D)は、白金、ロジウム、ルテニウム、パラジウム、オスミウム若しくはイリジウム金属から成る群から選ばれる白金族金属又はそれらの有機金属化合物及びそれらの組合せを含み得る。成分(D)は、白金黒、例えばクロロ白金酸、クロロ白金酸六水和物、クロロ白金酸と一価アルコールとの反応生成物、白金ビス(エチルアセトアセテート)、白金ビス(アセチルアセトネート)、二塩化白金等の化合物、及び該化合物とオレフィン若しくは低分子量ポリオルガノシロキサンとの錯体、又はマトリックス若しくはコアシェル型構造にマイクロカプセル化された白金化合物により例示される。白金と低分子量ポリオルガノシロキサンとの錯体は、白金との1,3−ジエテニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体を包含する。これら錯体は樹脂マトリックスでマイクロカプセル化され得る。代替的には、触媒は白金との1,3−ジエテニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体を含み得る。触媒が低分子量ポリオルガノシロキサンとの白金錯体のときは、触媒量は組成物の重量に基づいて0.02部〜0.2部の範囲であり得る。
【0075】
成分(D)に好適なヒドロシリル化触媒は、例えば米国特許第3,159,601号;同第3,220,972号;同第3,296,291号;同第3,419,593号;同第3,516,946号;同第3,814,730号;同第3,989,668号;同第4,784,879号;同第5,036,117号;及び同第5,175,325号並びに欧州特許第0347895号に記載されている。マイクロカプセル化されたヒドロシリル化触媒及びそれらの製造方法も、米国特許第4,766,176号及び米国特許第5,017,654号に例示されているように、当該技術分野で知られている。
【0076】
上述のヒドロシリル化硬化性ポリオルガノシロキサン組成物はさらに(E)充填剤処理剤、(F)接着促進剤、(G)顔料、(H)硬化調整剤、(J)非反応性樹脂、(I)安定化剤及びそれらの組合せから成る群から選ばれる追加成分を含み得る。ただし追加成分及び添加量は、該組成物が硬化してエアバッグでの使用に好適なエラストマーを形成することを不可能にすることがあってはならない。
【0077】
成分(E)充填剤処理剤
組成物は、任意でさらに成分(E)充填剤処理剤を成分(A)100部に基づいて0部〜1部の範囲の量で含んでもよい。成分(C)は、任意に成分(E)で表面を処理されてもよい。成分(C)は組成物に添加される前に成分(E)で処理されてもよく、又は組成物中(in situ)で成分(E)によって処理されてもよい。成分(E)は、例えばアルコキシシラン等のシラン、例えばシロキサン部分がジメチルシロキサン若しくはメチルフェニルシロキサン等である、アルコキシ官能性オリゴシロキサン、環状ポリオルガノシロキサン、ヒドロキシル官能性オリゴシロキサン、ステアリン酸塩、又は脂肪酸を含み得る。シランの例として、ヘキサメチルジシラザンが挙げられる。ステアリン酸塩の例として、ステアリン酸カルシウムが挙げられる。脂肪酸の例として、ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、タロー、ココナッツ、及びそれらの組合せが挙げられる。充填剤処理剤の例及びそれらの使用方法は、例えば欧州特許出願公開第1101167号、並びに米国特許第5,051,455号、同第5,053,442号及び同第6,169,142号(第4欄42行目〜第5欄2行目)に開示されている。
【0078】
成分(F)接着促進剤
成分(F)は、成分(V)に関して下で記載されている接着促進剤である。成分(F)は、成分(A)100部に基づいて0.01部〜10部の範囲の量で添加される。
【0079】
成分(G)顔料
成分(G)は顔料である。好適な顔料の例として、酸化鉄(III)、二酸化チタン、又はそれらの組合せが挙げられる。成分(G)は、成分(A)100部に基づいて0部〜0.5部の範囲の量で添加され得る。
【0080】
成分(H)硬化調整剤
成分(H)は硬化調整剤である。成分(H)はヒドロシリル化硬化性ポリオルガノシロキサン組成物の製品有効期間若しくは作業時間、又は両方を延長するために添加され得る。成分(H)は組成物の硬化温度を上げるために添加することもできる。成分(H)は、成分(A)100部に基づいて0.01部〜5部の範囲の量で添加され得る。
【0081】
好適な硬化調整剤は当該技術分野で既知であり、市販されている。成分(H)は、アセチレンアルコール、アルキルアルコール、シクロアルケニルシロキサン、エン−イン(ene-yne)化合物、トリアゾール、ホスフィン、メルカプタン、ヒドラジン、アミン、フマル酸エステル、マレイン酸エステル、及びそれらの組合せによって例示される。
【0082】
アセチレンアルコールの例としては、例えば欧州特許出願公開第0764703号及び米国特許第5,449,802号に開示されており、メチルブチノール、エチニルシクロヘサノール、ジメチルヘキシノール、1−ブチン−3−オール、1−プロピン−3−オール、2−メチル−3−ブチン−2−オール、3−メチル−1−ブチン−3−オール、3−メチル−1−ペンチン−3−オール、3−フェニル−1−ブチン−3−オール、4−エチル−1−オクチン−3−オール、3,5−ジメチル(diemthyl)−1−ヘキシン−3−オール、及び1−エチニル−1−シクロヘサノール、並びにそれらの組合せが挙げられる。
【0083】
アルキルアルコールの例として、エタノール、イソプロパノール、又はそれらの組合せが挙げられる。
【0084】
シクロアルケニルシロキサンの例として、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラビニルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラヘキセニルシクロテトラシロキサン、及びそれらの組合せによって例示されるメチルビニルシクロシロキサンが挙げられる。エン−イン化合物の例として、3−メチル−3−ペンテン−1−イン、3,5−ジメチル−3−ヘキセン−1−イン、及びそれらの組合せが挙げられる。トリアゾールの例はベンゾトリアゾールが挙げられる。ホスフィンの例はトリフェニルホスフィンが挙げられる。アミンの例はテトラメチルエチレンジアミンが挙げられる。フマル酸エステルの例としてはフマル酸ジアルキル、フマル酸ジアルケニル、フマル酸ジアルコキシアルキル、及びそれらの組合せが挙げられる。好適な硬化調整剤は、例えば米国特許第3,445,420号、同第3,989,667号、同第4,584,361号、及び同第5,036,117号により開示されている。
【0085】
代替的には、成分(H)はシリル化アセチレン抑制剤を含み得る。シリル化アセチレン抑制剤はシランと上述されたアセチレンアルコールとの反応生成物である。シリル化アセチレン抑制剤の例及びそれらの製造方法は、例えば欧州特許出願公開第0764703号及び米国特許第5,449,802号に開示されている。
【0086】
成分(J)非反応性樹脂
成分(J)は充填剤に加えて、又はその代りに添加できる樹脂である。非反応性とは樹脂が成分(A)又は成分(B)との硬化反応に関与しないということを意味する。非反応性樹脂は式(CH3)3SiO1/2及びSiO4/2のシロキサン単位を含むポリオルガノシロキサン(MQ樹脂)であり得る。成分(J)は、成分(A)100部に基づいて、0部〜30部の範囲の量で添加され得る。
【0087】
硬化性シーラント組成物は、一液型組成物又は多液型組成物として製造され得る。多液型組成物、例えば二液型組成物等では、成分(B)及び成分(D)は別々に保管され、上述の方法の工程ii)の直前に混合される。
【0088】
ホットメルト硬化性接着剤
市販されているホットメルト接着剤は上述の方法に用いられ得る。ホットメルト接着剤の製造に用いられる、好適なホットメルト組成物の例としては、湿分硬化性ホットメルト組成物及びポリウレタンホットメルト組成物が挙げられ、それらはNational Starch(New Jersey, U.S.A)から市販されている。ホットメルト接着剤の製造に用いられる、好適なホットメルト組成物の例としては、DOW CORNING(登録商標)HM2500及びHM2510が挙げられ、それらはDow Corning Corporation(Midland, Michigan, U.S.A.)から市販されている。上記方法での使用に好適なホットメルト組成物は25℃では流動性がないが、50℃〜150℃、代替的には70℃〜130℃の範囲の温度では流動性となり得る。ホットメルト組成物は非硬化性でもよく、例えばホットメルト組成物は加熱すると流体であり、ホットメルト接着剤を形成するための硬化反応を必要としないで冷却するとホットメルト接着剤を形成する。非硬化性ホットメルト組成物の例及びそれらの製造方法は、例えば米国特許第5,352,722号;同第5,578,319号;同第5,482,988号;同第5,328,696号;及び同第5,371,128号に開示されている。代替的には、ホットメルト組成物はヒドロシリル化反応硬化性組成物、縮合反応硬化性組成物、又はそれらの組合せでもよい。ヒドロシリル化硬化性ホットメルト組成物の例は例えば米国特許第5,248,739号及び第6,121,368号並びに欧州特許出願公開第1035161号に開示されている。縮合反応硬化性ホットメルト組成物の例及びその製造方法は例えば国際公開第2004/037941号に開示されている。
【0089】
ホットメルト組成物は、25℃では流動性でないが、50℃〜150℃、代替的には70℃〜130℃の範囲の温度では流動性である縮合反応硬化性ポリオルガノシロキサン組成物であり得る。典型的な縮合反応硬化性ポリオルガノシロキサン組成物は:
(I)ポリオルガノシロキサン樹脂、
(II)分子あたり平均で少なくとも2個のケイ素結合加水分解性基を有するポリオルガノシロキサン、及び
(III)シラン架橋剤
を含む。
【0090】
成分(I)ポリオルガノシロキサン樹脂
本明細書中で有用なポリオルガノシロキサン樹脂は式(V):
(R4SiO3/2)n(R42SiO2/2)o(R43SiO1/2)p(SiO4/2)q(X’)r
を有する。各R4は上で例示されている置換又は非置換一価炭化水素基を表し、X’は加水分解性基又は例えばアルケニル基等の末端脂肪族不飽和を有する有機基である。X’に好適な加水分解性基はヒドロキシ基;アルコキシ基、例えばメトキシ及びエトキシ等;アルケニルオキシ基、例えばイソプロペニルオキシ等;ケトキシモ基、例えばメチルエチルケトキシモ等;カルボキシ基、例えばアセトキシ等;アミドキシ基、例えばアセトアミドキシ等;並びに、アミノキシ基、例えばN,N−ジメチルアミノキシ等が挙げられる。下付き文字nは0又は正の数であり、下付き文字oは0又は正の数であり、下付き文字pは0又は正の数であり、下付き文字qは0又は正の数であり、下付き文字rは0以上、代替的には少なくとも2である。個数(p+q)は1以上であり、かつ個数(n+o)は1以上である。
【0091】
ポリオルガノシロキサン樹脂は、液状有機溶剤、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、ヘプタンによって例示される液状炭化水素等に、並びに液状有機ケイ素化合物、例えば低粘度、環状及び直鎖状ポリジオルガノシロキサン等に可溶である。ポリオルガノシロキサン樹脂は、R43SiO1/2単位及びSiO4/2単位を合計して(amounts)0.5/1〜1.5/1、代替的には0.6/1〜0.9/1の範囲のモル比で含み得る。これらのモル比は、Si29核磁気共鳴(n.m.r.)分光法によって便利に測定される。
【0092】
ポリオルガノシロキサン樹脂の所望の流動特性を達成するための数平均分子量Mnは、少なくとも部分的には、この成分に存在するポリオルガノシロキサン樹脂の分子量及びR4で表される炭化水素基のタイプ(複数可)に依存する。本明細書中で使われるMnはゲル透過クロマトグラフィーを用いて、ネオペンタマーを示すピークを測定値から除去して測定される分子量を表す。ポリオルガノシロキサン樹脂のMnは3000より大きく、代替的にはMnは4500〜7500の範囲であり得る。
【0093】
ポリオルガノシロキサン樹脂は任意の好適な方法にて製造することができる。そのような樹脂は相当するシランを共加水分解により、又は当該技術分野で既知であるシリカヒドロゾルキャッピング法により製造され得る。例えば、ダウトらの米国特許第2,676,182号;リバーズ−ファレルらの米国特許第4,611,042号;及びバットラーの米国特許第4,774,310号のシリカヒドロゾルキャッピング法を用いることができる。
【0094】
樹脂を製造するに用いられる中間体は、式R43SiX’’(式中、X’’は加水分解性基を表す)のトリオルガノシラン、及び4個の加水分解性基、例えばハロゲン、アルコキシ若しくはヒドロキシ等を有するシラン又はアルカリ金属ケイ酸塩、例えばケイ酸ナトリウム等のいずれかであり得る。
【0095】
ポリオルガノシロキサン樹脂中のケイ素結合ヒドロキシ基(例えば、HOR42SiO1/2基又はHOSiO3/2基)は樹脂の重量の0.7%未満、代替的には0.3%未満であることが望ましい。樹脂の製造中に形成されたケイ素結合ヒドロキシ基は、樹脂と適当な末端基を含有するシラン、ジシロキサン又はジシラザンとを反応させることにより、トリヒドロカルビルシロキシ基又は加水分解性基に変換され得る。加水分解性基を含有するシランは、通常樹脂のケイ素結合ヒドロキシ基と反応させるために要する量を超えて添加される。
【0096】
成分(I)は、1種のポリオルガノシロキサン樹脂又は次の特性の少なくとも一つが異なる2種以上のポリオルガノシロキサン樹脂から成る組合せであってもよい:構造、粘度、平均分子量、シロキサン単位及び配列。添加される成分(I)の量は組成物の重量に基づいて55部〜75部の範囲であり得る。
【0097】
成分(II)加水分解性ポリオルガノシロキサン
本明細書中で有用なポリオルガノシロキサンは式R5R6SiOの二官能性単位及び式R7sX33-sSiG−(式中、R5はアルコキシ基又は一価非置換若しくは置換炭化水素基、例えばアルキル基若しくはアルケニル基等であり、R6は非置換又は置換一価炭化水素基であり、R7はアミノアルキル又はR4基であり、X3は加水分解性基であり、Gは末端単位のケイ素原子と別のケイ素原子とを結ぶ二価の基であり、下付き文字sは0又は1である)の末端単位又は分岐単位から構成される。そのポリオルガノシロキサンは任意に式R6SiO3/2(式中、R6は前に記載されたとおりである)の三官能性単位を全体に基づいて約20%まで含有することができる。R5R6SiO単位中のR5及びR6で表されるラジカルの少なくとも50パーセント、代替的には少なくとも80パーセントは、1個〜6個の炭素原子のアルキル基、例えばメチル等であり得る。
【0098】
ポリオルガノシロキサンに存在する末端単位は式R7sX33-sSiG−(式中、X3、R7、G、及び下付き文字sは上述されているとおりである)で表される。X3で表される加水分解性基は、以下に限定されないが、ヒドロキシ、メトキシ及びエトキシ等のアルコキシ、イソプロペニルオキシ等のアルケニルオキシ、メチルエチルケトキシモ等のケトキシモ、アセトキシ等のカルボキシ、アセトアミドキシ等のアミドキシ、並びにN,N−ジメチルアミノキシ等のアミノキシが挙げられる。
【0099】
末端基で、sが0であれば、X3で表される基はアルコキシ、ケトキシモ、アルケニルオキシ、カルボキシ、アミノキシ、又はアミドキシであり得る。sが1であるなら、X3はアルコキシで、R7は例えばメチル若しくはエチル等のアルキル、又は例えばアミノプロピル若しくは3−(2−アミノエチルアミノ)プロピル等のアミノアルキルであり得る。アミノアルキルラジカルのアミノ部分は第一級、第二級又は第三級であり得る。
【0100】
末端単位の式中、Gは二価の基又は加水分解的に安定な原子である。加水分解的に安定とは、加水分解性ではなく、末端単位が組成物の硬化中に取り去られることなく、硬化反応が悪影響を受けないように、ポリオルガノシロキサンにおいて末端単位のケイ素原子(複数可)を別のケイ素原子に連結するということを意味する。Gで表される加水分解的に安定な連結として、以下に限定されないが、酸素原子、アルキレン及びフェニレン等のヒドロカルビレン基、酸素、窒素及び硫黄から選ばれたヘテロ原子を1個又は複数含有するヒドロカルビレン、並びにそれら連結基の組合せが挙げられる。Gはシルアルキレン連結基、例えば−(OSiMe2)CH2CH2−、−(CH2CH2SiMe2)(OSiMe2)CH2CH2−、−(CH2CH2SiMe2)O−、−(CH2CH2SiMe2)(OSiMe2)O−、−(CH2CH2SiMe2)CH2CH2−、及びCH2CH2−等、並びにシロキサン連結基、例えば−(OSiMe2)O−等を表す。
【0101】
好ましい末端単位の具体例として、以下に限定されないが、(MeO)3SiCH2CH2−、(MeO)3SiO−、Me(MeO)2SiO−、H2NCH2CH2N(H)(CH2)3SiO−、(EtO)3SiO−、(MeO)3SiCH2CH2Si(Me2)OSi(Me2)CH2CH2−、(MeO)3SiCH2CH2Si(Me2)OSi(Me2)CHCH3−、Me2NOSiO−、MeC(O)N(H)SiO−及びCH2=C(CH3)OSiO−が挙げられる。これらの式中、Meはメチルを表し、Etはエチルを表す。
【0102】
X3がアルコキシ基を含有するときは、このX3基を一番近いシロキサン単位から例えばエチレン等のアルキレンラジカルによって離しておくことが望ましい。この場合、R7sX33-sSiG−は(MeO)3SiCH2CH2Si(Me2)O−となってもよい。ヒドロキシ基をトリアルコキシシリルアルキル基に変換する方法は当該技術分野では既知である。例えば、式(MeO)3SiO−及びMe(MeO)2SiO−を有する湿分反応性基は、それぞれ式(MeO)4Si及びMe(MeO)3Siを有する化合物によって、シラノール末端ポリオルガノシロキサンに導入することができる。代替的には、式(MeO)3SiH及びMe(MeO)2SiHを有する化合物それぞれは、ポリオルガノシロキサンがシラノール基又は例えば(such)アルケニル基(例えば、ビニル)等の脂肪族不飽和有機基を含有し、かつ例えば成分(D)に関して上述されているヒドロシリル化反応触媒を含有するときに、使用することができる。他の加水分解性基、例えばジアルキルケトキシモ、アルケニルオキシ及びカルボキシ等がアルコキシ基を置き換えることができることは理解されるであろう。
【0103】
ポリオルガノシロキサンの粘度は、25℃で0.02Pa・s〜100Pa・s、代替的には0.35Pa・s〜60Pa・sの範囲であり得る。成分(II)は1種のポリオルガノシロキサン又は次の特性の少なくとも一つが異なる2種以上のポリオルガノシロキサンから成る組合せであり得る:構造、粘度、平均分子量、シロキサン単位及び配列。添加される成分(II)の量は組成物の重量に基づいて、25部〜45部の範囲であり得る。
【0104】
成分(I)と成分(II)は、成分(I)及び成分(II)の合計量に基づいて、55%〜75%の樹脂固形分を与えるに十分な量で存在する。多い量の樹脂を用いることもできるが、湿分硬化性ホットメルト組成物を基材に適用するにより高い適用温度が必要となる可能性がある。
【0105】
成分(III)シラン架橋剤
シラン架橋剤は、式R4tSiZ(4-t)(式中、R4は前に記載されているとおりであり、Zは硬化物質を形成するために周囲条件下で少なくともポリオルガノシロキサンの末端基と反応する加水分解性基であり、tは0、1又は2である)で表される。Zで表され、好適な加水分解性基として、以下に限定されないが、1個〜4個の炭素原子を含有するアルコキシ、アセトキシ等のカルボキシ、メチルエチルケトキシモ等のケトキシモ、及びアミノキシが挙げられる。シラン架橋剤でtが2のときは、ポリオルガノシロキサンは3個のX3基(例えば、sが0である)を含有し得る。
【0106】
好適なシラン架橋剤として、以下に限定されないが、メチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、メチルトリス(メチルエチルケトキシモ)シラン、メチルトリエトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、及び例えばオルトケイ酸エチル等のオルトケイ酸アルキルが挙げられる。
【0107】
使用されるシラン架橋剤の量は、成分(I)と成分(II)との量に基づいて0pph(百分の一)〜15pph、代替的には0.5pph〜15pphの範囲であり得る。理論により縛られることを望まないが、シラン架橋剤があまりにも多量で存在すると、ホットメルト組成物の生強度、及び/又は硬化速度が減少すると考えられる。シラン架橋剤が揮発性であれば、最終ホットメルト組成物中で0.5pph〜15pphを達成するために加工中は過剰量を用いることが必要な場合がある。当業者が、1.5pph〜15pphを有するホットメルト組成物を製造するに必要な量を決定することは可能であろう。
【0108】
任意成分
縮合反応硬化性ホットメルト組成物は任意にさらに1種又は複数の追加成分を含み得る。追加成分は、(IV)縮合反応触媒、(V)接着促進剤、(VI)充填剤、(VII)溶剤、(VIII)ボディー化樹脂(bodied resin)、(IX)ポリオルガノシロキサンワックス、(X)有機樹脂、(XI)熱安定化剤、又はそれらの組合せによって例示される。
【0109】
成分(IV)縮合反応触媒
縮合反応触媒はホットメルト組成物に添加され得る。成分(IV)はカルボン酸金属塩、スズ化合物、チタン化合物、又はジルコニウム化合物を含み得る。成分(IV)は、金属の起電列で鉛からマグネシウム(両金属を含め)までの範囲のカルボン酸金属塩を含み得る。代替的には、成分(IV)はキレート化チタン化合物、テトラアルコキシチタネート等のチタン酸エステル、チタン酸イソプロピル及びチタン酸テトラt−ブチル等の有機チタン化合物及びアセト酢酸エステル及びβ−ジケトン等のキレート化剤で部分的にキレート化された、それらの誘導体、又はそれらの組合せを含み得る。好適なチタン化合物の例として、以下に限定されないが、ジイソプロポキシチタニウム−ビス(エチルアセトアセテート)、テトラブトキシチタネート、チタン酸テトラブチル、チタン酸テトライソプロピル、及びビス(エトキシアセトアセトネート)ジイソプロポキシチタン(IV)並びにそれらの組合せが挙げられる。代替的には、成分(IV)はスズ化合物、例えばジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズ酸化物、第一スズオクトエートスズ酸化物等、又はそれらの組合せから成る。触媒の例は米国特許第4,962,076号;同第5,051,455号;及び同第5,053,442号に開示されている。触媒の量は成分(I)及び成分(II)の量に基づいて0.01pph〜2pphの範囲であり得る。理論により縛られることを望まないが、あまりにも多量の触媒を添加すると、ホットメルト組成物の硬化が損なわれると考えられる。加えて、触媒の量が増大するにつれて、ホットメルト組成物の粘度が増大し、ホットメルト組成物を適用するに要するメルト温度が高くなる可能性がある。
【0110】
成分(V)接着促進剤
ホットメルト組成物は任意にさらに接着促進剤を成分(I)及び成分(II)の合計重量に基づいて0.05pph〜2pphの範囲の量で含むことができる。接着促進剤は当該技術分野では既知であり、アルコキシシラン、アルコキシシランと遷移金属キレートとの組合せ、アルコキシランとヒドロキシル官能性ポリオルガノシロキサンとの組合せ、又はアルコキシシランの部分加水分解物を含み得る。好適なアルコキシシランは式R8uR9vSi(OR10)4-(u+v)を有し得る(式中、各R8及び各R10は独立して少なくとも3個の炭素原子を有する置換又は非置換一価炭化水素基であり、R9は少なくとも1個の、アルケニル基、アミノ基、エポキシ基、メルカプト基、又はアクリレート基等の接着促進基を有するSiC結合有機基を含有し、下付き文字uは0〜2の値を有し、下付き文字vは1又は2のいずれかであり、個数(u+v)は3以下である。接着促進剤は上記のシランの部分縮合物でもよい。
【0111】
好適な接着促進剤の例は、(エポキシシクロヘキシル)エチルジメトキシシラン、(エポキシシクロヘキシル)エチルジエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、(エチレンジアミンプロピル)トリメトキシシラン、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、ヘキセニルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピル(proyl)トリメトキシシラン、メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、ウンデシレニルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、オルトケイ酸テトラプロピル、オルトケイ酸テトラブチル、オルトケイ酸テトラキス(2−ブトキシエチル)、及びそれらの組合せによって例示される。代替的には、接着促進剤はヒドロキシ末端ポリオルガノシロキサンと上述されたエポキシ官能性アルコキシシランとの反応生成物、又はエポキシ官能性アルコキシシランとエポキシ官能性シロキサンとの組合せのようなヒドロキシ末端ポリオルガノシロキサンとエポキシ官能性アルコキシシランとの物理的混合物を含み得る。例えば、接着促進剤は、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン及びヒドロキシ末端メチルビニルシロキサンと3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとの反応生成物の混合物、又は3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン及びヒドロキシ末端メチルビニルシロキサンの混合物又は3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン及びヒドロキシ末端メチルビニル/ジメチルシロキサン共重合体の混合物によって例示される。反応生成物としてよりも物理的混合物として用いるときは、それら成分は多液型キットで分けて保管されうる。
【0112】
好適な遷移金属キレートは、テトラブトキシチタネート等のチタン酸エステル、ジルコニウムアセチルアセトネート又はジルコニウムテトラキスアセチルアセトネート等のジルコニウム酸塩、アルミニウムアセチルアセトネート等のアルミニウムキレート、及びそれらの組合せが挙げられる。遷移金属キレート及びその製造方法は当該技術分野で既知であり、例えば米国特許第5,248,715号、欧州特許出願公開第0493791号、及び欧州特許第0497349号を参照のこと。当業者は遷移金属キレートの幾つか又は全てが縮合反応触媒となり得ること、また接着促進剤として添加され得る遷移金属キレートが任意の縮合反応触媒に追加して添加され得ることを理解するであろう。
【0113】
成分(VI)充填剤
ホットメルト接着剤は任意にさらに組成物の重量に基づいて0.1部〜40部の充填剤を含んでもよい。好適な充填剤の例として、炭酸カルシウム、ヒュームドシリカ、カオリンケイ酸塩、金属酸化物、金属水酸化物、カーボンブラック、硫酸塩、又はジルコニウム酸塩が挙げられる。充填剤は成分(C)として上述された充填剤と同じでも異なっていてもよい。充填剤は任意に成分(E)として上述された充填剤処理剤で処理することもできる。応力−ひずみ挙動の改良及びクリープの減少のために、充填剤はホットメルト組成物に、組成物の重量に基づいて3%〜15%、代替的には5%〜10%の範囲の量で添加され得る。応力−ひずみ挙動を改良するための充填剤の正確な量は選ばれた充填剤のタイプ及びその粒経によって変化し、例えば1%〜5%のシリカ又は6%〜10%の炭酸カルシウムが添加され得る。
【0114】
成分(VII)溶剤
溶剤はホットメルト組成物を製造するために使用されることができる。溶剤は成分(I)及び成分(II)の流動及び導入を助ける。しかしながら、本質的に全ての溶剤はホットメルト接着剤の連続製造プロセスでは除去されている。本質的に溶剤の全てが除去されるということは、ホットメルト組成物は、ホットメルト組成物の重量に基づいて0.05%〜5%、代替的には0.5%以下の溶剤を含有し得ることを意味する。もしあまりにも多くの溶剤が存在するならば、ホットメルト接着剤の粘度があまりにも低くなりすぎ、製品性能が妨げられる。
【0115】
本明細書中で使用される溶剤は、ホットメルト組成物を製造するに使われる成分の流動化を助けるが、本質的にホットメルト接着剤中のいかなる成分とも反応しないものである。好適な溶剤は有機溶剤、例えばトルエン、キシレン、塩化メチレン、ナフサ、ミネラル・スピリット等、及び低分子量シロキサン、例えばフェニル含有ポリオルガノシロキサン等である。
【0116】
成分(VIII)ボディー化樹脂
成分(VIII)は、樹脂状コアと非樹脂状ポリオルガノシロキサン基を含むボディー化MQ樹脂であり得る。成分(VIII)は当該技術分野では既知の方法によって製造され得る。
【0117】
MQ樹脂は、式R113SiO1/2及びSiO4/2(式中、各R11は独立して一価炭化水素基、一価ハロゲン化炭化水素基、水素原子、又はヒドロキシ基である)のシロキサン単位を含む。R11の一価炭化水素基の例として、以下に限定されないが、アルキル、例えばメチル、エチル、プロピル、ペンチル、オクチル、ウンデシル、及びオクタデシル等;シクロアルキル、例えばシクロヘキシル等;アリール、例えばフェニル、トリル、キシリル、ベンジル、及び2−フェニルエチル等が挙げられる。R11の一価ハロゲン化炭化水素基の例として、以下に限定されないが、例えばクロロメチル基及びクロロプロピル基等の塩素化アルキル基、並びに例えば3,3,3−トリフルオロプロピル、4,4,4,3,3−ペンタフルオロブチル、5,5,5,4,4,3,3−へプタフルオロペンチル、及び6,6,6,5,5,4,4,3,3−ノナフルオロヘキシル等のフッ素化アルキル基が挙げられる。
【0118】
MQ樹脂は、0.5:1.2、代替的には0.89:1〜1:1のM単位とQ単位の比(M:Q)を有し得る。MQ樹脂は1500〜8000、代替的には5000の数平均分子量を有し得る。MQ樹脂は3000〜40000、代替的には15000の重量平均分子量を有し得る。
【0119】
MQ樹脂の製造法は当該技術分野では既知である。例えば、MQ樹脂は、米国特許第2,676,182号に開示されているダウト他のシリカヒドロゾルキャッピング法により製造される生成物を処理することにより製造され得る。簡単に述べると、ダウト他の方法は、シリカヒドロゾルを酸性条件下で、例えばトリメチルクロロシラン等の加水分解性トリオルガノシラン、例えばヘキサメチルジシロキサン等のシロキサン、又はそれらの組合せと反応させ、M単位及びQ単位を含む生成物(MQ樹脂)を回収することを含む。得られたMQ樹脂は2重量パーセント〜5重量パーセントのケイ素結合ヒドロキシ基を有する。
【0120】
ボディー化MQ樹脂は、上述のMQ樹脂から当該技術分野で既知の方法、例えば米国特許第5,726,256号;同第5,861,472号;及び同第5,869,556号に開示されている方法で製造され得る。例えば、ボディー化MQ樹脂は、上述されたMQ樹脂を溶剤、例えば成分(VII)として本明細書中に記載された溶剤に溶解し;酸触媒又は塩基触媒及びケイ素結合ヒドロキシ基末端ポリジオルガノシロキサンの存在下で、MQ樹脂を加熱し;水を除去することによって製造され得る。この方法で得られた生成物が、(i)コアと(ii)ポリジオルガノシロキサン基を含むボディー化MQ樹脂である(ここで、ポリジオルガノシロキサン基は末端ケイ素結合ヒドロキシ基を有する)。ボディー化樹脂は0.5%〜2%、代替的には0.75%〜1.25%のヒドロキシル基を有する。
【0121】
上述されたボディー化MQ樹脂は、任意にボディー化樹脂、処理剤、及び酸触媒又は塩基触媒を溶剤中に溶解し、得られた組合せを、MQ樹脂のヒドロキシ含量が0%〜2%、代替的には0.5%〜1%になるまで、加熱することにより処理される。処理剤は式R123SiR13(式中、各R12は独立して一価炭化水素基、例えばメチル、ビニル、又はフェニル、代替的にはメチルであり、R13はシラノールと反応する基である)のシランであり得る。酸触媒はトリフルオロ酢酸であり得る。塩基触媒はアンモニアであり得る。溶剤は、成分(VII)として本明細書中に記載された溶剤、例えばキシレン等であってもよい。処理方法は、MQ樹脂中のヒドロキシル基とケイ素原子に置換しているR13とを反応させ、それによりR123Si−基をMQ樹脂中のケイ素原子に、二価の酸素原子を介して結合させる。
【0122】
成分(VIII)は単一ボディー化MQ樹脂又は次の特性の少なくとも一つが異なる2種以上のボディー化MQ樹脂を含む組合せであってもよい:ヒドロキシ基含量、成分(i)の成分(ii)に対する量の比、シロキサン単位、及び配列。成分(i)の成分(ii)に対する量の比は1〜2.5の範囲であり得る。組成物に添加される成分(VIII)の量は樹脂/ポリマー比を含む様々な因子に依存するが、成分(VIII)は、組成物の重量に基づいて30部〜70部の範囲の量で添加され得る。
【0123】
成分(IX)ポリオルガノシロキサンワックス
成分(IX)はポリオルガノシロキサンワックス、例えばアルキルメチルシロキサンワックス等である。ポリオルガノシロキサンワックスは、生強度を改良するために組成物に添加され得る。ポリオルガノシロキサンワックスは米国特許第7,074,490号及び同第5,380,527号に開示されている。成分(IX)の量はホットメルト組成物100部あたり0部〜5部の範囲であり得る。
【0124】
ホットメルト組成物は当該技術分野で既知の方法で製造することができる、例えば好適な方法は、成分(I)、成分(II)、成分(II)、成分(VII)及び、もし存在するならば、任意の追加成分を混合し;揮発性物を取り除くために混合物を押出し装置に供給し;95%以上の非揮発性含量を有するホットメルト組成物を回収することから成る。
【0125】
HCR組成物
代替的には、HCR組成物は、上述された方法において、継ぎ目シーラント組成物又はホットメルト組成物の代わりに使用され得る。市販のHCR組成物を使用することができ、例えばDOW CORNING(登録商標)20798、20799及び20800並びに特注品(例えば、色の異なる組成物)が挙げられ、それらはDow Corning Corporation(Midland, Michigan, U.S.A.)から市販されている。
【0126】
エアバッグ構成部品
エアバッグ構成部品は、パネル又はパッチ、例えば熱遮蔽パッチ又は補強性パッチであり得る。好適なエアバッグ構成部品の例は、織布又は不織布、例えば不織ウレタン又は織られた合成樹脂例えばナイロン等から作製され得る。好適なエアバッグ構成部品は任意に液状シリコーンゴム等の市販のエアバッグコーティングで被覆された表面を有する。例えば、DOW CORNING(登録商標)LCF3600及び同LCF4300は、Dow Corning Corporation(Midland, Michigan, U.S.A.)から市販されている液状シリコーンゴムである。典型的なエアバッグ構成部品の構成材料については欧州特許第1179454号の5頁段落[0051]を参照のこと。当業者は、本明細書中に記載の方法において、第1のテキスタイル及び第2のテキスタイルが異なるエアバッグ構成部品であってもよい、例えば、第1のテキスタイルがパネルであり、第2のテキスタイルがパッチであるか、又はその逆の場合もあることを認識するであろう。代替的に、第1のテキスタイルが1枚の布地の一端であり、第2のテキスタイルがその1枚の布地の反対側である場合もあり、ここで、布地は、縫製されていない継ぎ目を介して2つの端が互いに接触するように折畳まれるものとする。代替的に、第1のテキスタイルが第1の布地パネルであり、第2のテキスタイルが第2の布地パネルである場合もあり、これらは、縫製されていない継ぎ目を介して接合するまで互いに結合していないものとする。
【実施例】
【0127】
これらの実施例は本発明を当業者に説明するために含まれる。しかしながら当業者は、本開示を踏まえて、多くの変更を、開示された具体的な実施形態で行うことができるが、それでも特許請求の範囲に記載された本発明の精神と範囲から逸脱することなく、同様な(like or similar)結果が得られ得ることを理解するべきである。以下の成分がこれらの実施例において使用された。
【0128】
ビニル官能性ポリオルガノシロキサンガム1は、0.725%のビニル及び700000の数平均分子量(Mn)を有するジメチルビニルシロキシ末端ポリ(ジメチル/メチルビニル)シロキサンとした。
【0129】
ビニル官能性ポリオルガノシロキサンガム2は、0.12%のビニル及びMn=702000を有するジメチルビニルシロキシ末端ポリジメチルシロキサンとした。
【0130】
ビニル官能性ポリオルガノシロキサンガム3は、0.065%のビニル及びMn=702000を有するジメチルビニルシロキシ末端ポリ(ジメチル/メチルビニル)シロキサンとした。
【0131】
充填剤処理剤1は、3%のヒドロキシル基、29%のビニル基及び32cstの粘度を有するヒドロキシ末端ポリメチルビニルシロキサンとした。
【0132】
充填剤処理剤2は、8%のヒドロキシル基、11%のビニル基及び20cstの粘度を有するヒドロキシ末端ポリ(ジメチル/メチルビニル)シロキサンとした。
【0133】
充填剤処理剤3はテトラメチルジビニルシラザンとした。
【0134】
充填剤処理剤4は、3%のヒドロキシル基及び41cstの粘度を有するヒドロキシ末端ポリジメチルシロキサンとした。
【0135】
充填剤処理剤5は、10%のヒドロキシル基、10%のビニル基及び40cstの粘度を有するヒドロキシ末端ポリ(ジメチル/メチルビニル)シロキサンとした。
【0136】
充填剤処理剤6は、3%のヒドロキシル基及び42cstの粘度を有するヒドロキシ末端ポリジメチルシロキサンとした。
【0137】
充填剤1は、400m2/グラム(BET)の比表面積(typical surface area)を有するヒュームドシリカである。
【0138】
充填剤2は、250m2/グラム(BET)の比表面積を有するヒュームドシリカである。
【0139】
充填剤3は、5マイクロメートルの平均粒径を有する石英粉末である。
【0140】
流体1は、1%のビニル基及び350cpsの粘度を有するジメチルビニルシロキシ末端ポリ(ジメチル/メチルビニル)シロキサンとした。
【0141】
流体2は、0.09%のビニル基及び50000cpsの粘度を有するジメチルビニルシロキシ末端ポリジメチルシロキサンとした。
【0142】
流体3は、500cstの粘度を有するトリメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサンとした。
【0143】
架橋剤1は、0.79%の水素及び15cstの粘度を有する、メチルシルセスキオキサンを含むポリ(ジメチル/メチルハイドロジェン)シロキサンとした。
【0144】
架橋剤2は、0.76の水素及び5cstの粘度を有するトリメチルシロキシ末端ポリ(ジメチル/メチルハイドロジェン)シロキサンとした。
【0145】
鎖伸長剤1は、0.15%の水素及び11cstの粘度を有する水素末端ポリジメチルシロキサンとした。
【0146】
抑制剤1はメチルビニルシクロシロキサンとした。
【0147】
抑制剤2は1−エチニル−1−シクロヘキサノールとした。
【0148】
触媒1は、白金との1,3−ジエテニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体とした。
【0149】
触媒2は、封入剤としての98%のビスフェノールA−カルボニルジクロライドコポリマー中の1%白金錯体とした。
【0150】
安定化剤1はカルボン酸マンガンとした。
【0151】
接着促進剤1は、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシランとした。
【0152】
接着促進剤2は、トリス(2−メトキシエトキシ)−ビニルシランとした。
【0153】
顔料1は、ジメチルビニルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン中に分散される酸化鉄とした。
【0154】
顔料2は、ガム3中に分散される青色顔料とした。
【0155】
過酸化物1は、Akzo Nobelから市販されている2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサンとした。
【0156】
参考例1〜参考例3−シリコーン接着剤組成物の調製
表1における量で成分を合わせることによってシリコーン接着剤組成物を調製した。成分は、以下の順序で添加することにより高剪断ミキサにおいてまぜ合わせた。
1)ポリオルガノシロキサンガムを高剪断ミキサに添加した。
2)その後、水及び充填剤処理剤をミキサに添加した。
3)充填剤をミキサに添加し、充填剤をその場で処理するように一塊にした。
4)ミキサに熱及び真空を印加し、過剰な水及び反応副生成物を除去した。
5)充填剤を添加し、周囲温度に冷却しながら一塊になるまで混合した。
6)ポリオルガノシロキサン流体をミキサに添加した。
7)SiH官能性架橋剤及びいずれかの任意選択的な鎖伸長剤をミキサに添加した。
8)抑制剤をミキサに添加した。
9)触媒をミキサに添加した。
10)熱安定化剤をミキサに添加した。
11)不活性ガスブランケット下で接着促進剤をミキサに添加した。
12)顔料をミキサに添加した。
【0157】
【表1】
【0158】
実施例1及び実施例2−密閉状態での硬化及び密閉状態でない硬化により作製された縫製されていない継ぎ目、並びに表面処理を行わないで作製された比較例の比較
各実施例では、470デシテックスのナイロン布地の2つの46×46(1インチ当たりたて糸46本及び1インチ当たりよこ糸46本)のパネルを使用した。各パネルの表面上には、Dow Corning(登録商標)LCF−4300(Dow Corning Corporation(Midland, Michigan, U.S.A.)から市販されている)を35グラム/平方メートルの被覆重量で被覆させた。各被覆表面は、表2に示される、行程1における指定条件に従ってコロナ処理で処理した。コロナ処理装置の出力はキロワット(kW)で表される。これは、シリコーンで被覆されたナイロン布地を処理するのに用いられるエネルギーの量である。ライン速度(line speed)は、被覆ユニット上のオーブン(非加熱)の長さを通過する時間の単位で表した。40秒は2.7フィート/分に相当し、133秒は、コロナ処理中の10フィート/分の布地ライン速度を指す。活性化安定性は、プレス機上の試料を硬化するために、布地を使用する前に処理した被覆布地を静置しておく時間長さを指す。実施例1では、試料を作製する前2880分(48時間)はそのままにしておいた。これは、この時間中に、測定用の特定のペンを用いた表面ダイン測定により求められるように、試料を作製する前にコロナ処理が消失したことを意味する。
【0159】
実施例1を調製するために、ジグを被覆表面上に据え、脱気したシリコーン接着剤組成物1(参考例1において調製)を直線形の空隙に押し込み、先が平らな道具によりジグの空隙内で組成物を押し付けて、継ぎ目を形成した。ジグの後ろ半分を取り除き、第2のパネルの処理した被覆表面を付した。わずかな指圧を用いて、表面と表面との接触を確実なものとした。得られる組立体を、加熱板上に即座に移して、170℃の加熱したプレス機上に直ちに移し、3トンの圧力を1分間かけ、硬化させた。得られる物品をプレス機から取り出し、冷却させた。
【0160】
実施例2は、密閉空間での硬化をもたらし、ジグの後ろ半分を取り除かない以外は、実施例1と同様に調製した。上面をコロナ処理した被覆布地片(top corona treated coated fabric piece)を、継ぎ目シーラントをあふれんばかりに充填したジグの上に設け、軽い圧力でウェットアウトさせた。その後、組立体を2つの加熱板の間に入れ、加熱したプレス機内に据え置き170℃で1分間硬化した。プレス機から取り出した後、得られる物品を冷却させた。
【0161】
剥離強度は、200mm/分のクロスヘッドスピードで張力計により測定した。剥離強度試料は2インチ幅の細片に切断して引っ張った。データは、剥離細片試料を分離するのに用いられる重量ポンド(lbf)で記録した。被覆している布地が破損という形でナイロン布地から剥がれたため、分離された剥離試料に関して測定される粘着率の代わりに、被覆破損率(per cent coating failure)を用いた。被覆破損率は、水性インクを用いて、シリコーン接着剤のビードを有する範囲を処理することによって求めた。インクは、被覆が剥がれたナイロンの被覆部分上に残ると考えられる。グリッドシステムを用いてこれを定量化し、各試料について被覆破損率を求めた。3つの試料の試料中央値を表2に記録した。
【0162】
比較例は、コロナ処理又は他の表面処理を被覆布地に用いなかった以外は、実施例1と同様に作製及び試験した。初期剥離強度を表2に記録する。
【0163】
実施例3〜実施例27−コロナ処理例
各実施例では、470デシテックス(420デニール)のナイロン布地の2つの46×46パネルを用いて試料3〜試料27を調製した。各パネルの表面には、Dow Corning(登録商標)LCF−4300(Dow Corning Corporation(Midland, Michigan, U.S.A.)から市販されている)を35グラム/平方メートルの被覆重量で被覆させた。各被覆表面は、表3における指定条件に従ってコロナ処理で処理した。コロナ処理装置の出力はキロワット(kW)で表される。これは、シリコーンで被覆されたナイロン布地を処理するのに用いられるエネルギーの量である。ライン速度は、被覆ユニット上のオーブン(非加熱)の長さを通過する時間の単位で表した。40秒は2.7フィート/分に相当し、133秒は、コロナ処理中の10フィート/分の布地ライン速度を指す。活性化安定性は、プレス機上の試料を硬化するために、布地を使用する前に処理した被覆布地を静置しておく時間長さを指す。実施例3では、試料を作製する前2880分(48時間)はそのままにしておいた。これは、この時間中に、測定用の特定のペンを用いた表面ダイン測定により求められるように、試料を作製する前にコロナ処理が消失したことを意味する。
【0164】
実施例3〜実施例27を調製するために、ジグを被覆表面上に据え、脱気したシリコーン接着剤組成物1(参考例1において調製)を直線形の空隙に押し込み、先が平らな道具によりジグの空隙内で組成物を押し付けて、継ぎ目を形成した。ジグの後ろ半分を取り除き、第2のパネルの処理した被覆表面を付した。わずかな指圧を用いて、表面と表面との接触を確実なものとした。得られる組立体を、加熱板上に即座に移して、170℃の加熱したプレス機上に直ちに移し、3トンの圧力を1分間かけ、硬化させた。得られる物品をプレス機から取り出し、冷却させた。
【0165】
剥離強度は、200mm/分のクロスヘッドスピードで張力計により測定した。剥離強度試料は2インチ幅の細片に切断して引っ張った。データは、剥離細片試料を分離するのに用いられる重量ポンド(lbf)で記録した。被覆している布地が破損という形でナイロン布地から剥がれたため、分離された剥離試料に関して測定される粘着率の代わりに、被覆破損率を用いた。被覆破損率は、水性インクを用いて、シリコーン接着剤のビードを有する範囲を処理することによって求めた。インクは、被覆が剥がれたナイロンの被覆部分上に残ると考えられる。グリッドシステムを用いてこれを定量化し、各試料について被覆破損率を求めた。3つの試料の試料中央値を表4に記録した。剥離強度試料は70℃及び95%RHにおける表5に指定される期間の湿熱老化後にも試験した。試料を取り出し、室温と平衡にし、その後、上記のように張力計で試験した。
【0166】
実施例28−プラズマ処理例
プラズマ処理は、布地パネルの被覆表面上で行った。布地パネルは、表面(surfaced)が、35グラム/平方メートルの被覆重量のDow Corning(登録商標)LCF−4300(Dow Corning Corporation(Midland, Michigan, U.S.A.)から市販されている)で被覆されたナイロン布地とした。プラズマ処理は、Dow Corning Corporationから入手可能な、Dow Corning Plasma Solutions SE−2000 PlasmaStream(商標)System(Dow Corning Corporationから市販されている、3Dの硬質シート又は繊維/フィラメント状の導電材料又は絶縁材料の加工処理用の独立型表面工学システム)においてヘリウムプラズマ場を用いて行った。プラズマ処理は、出力:100%、速度:10、Heフロー:8、Zギャップ:69という条件、及び空のシリンジが取り付けられたAri Mistネブライザを用いて行った。
【0167】
参考例1で調製したシリコーン接着剤組成物1のビードをプラズマ処理した被覆布地のパネルに塗布した。第2のパネルをビードの上に載せ、物品を形成した。ビードは、物品を170℃及び5トンの圧力の加熱したプレス機内に10分間据え置くことにより硬化した。剥離強度は、実施例3〜実施例27と同様に評価した。結果は表6に示す。
【0168】
実施例29〜実施例43 プラズマ処理試料
プラズマ処理は、布地パネルの被覆表面上で行った。布地パネルは、表面が、35グラム/平方メートルの被覆重量のDow Corning(登録商標)LCF−4300(Dow Corning Corporation(Midland, Michigan, U.S.A.)から市販されている)で被覆されたナイロン布地とした。プラズマ処理は、Plasmatreat製のOpenAirシステムを用いて行った。プラズマ処理は、以下のシステム設定:放電電圧:20kV、システム電流:3.0Amp〜3.6Amp、システム周波数:17キロヘルツ〜20キロヘルツ(kHz)、デューティーサイクル:100%、及び圧力:2.5bar〜3.0barを用いて行った。
【0169】
参考例1で調製したシリコーン接着剤組成物1のビードをプラズマ処理した被覆布地のパネルに塗布した。第2のプラズマ処理した被覆布地パネルをビードの上に載せ、物品を形成した。ビードは、物品を170℃及び5トンの圧力の加熱したプレス機内に10分間据え置くことにより硬化した。得られる試料を4つの2インチの細片に切断した。剥離強度は、実施例3〜実施例27と同様にこれらの試料に関して評価した。結果は表7に示す。
【0170】
初期の試料は、プラズマ処理後24時間結合させた。初期の表面エネルギーはPlasmatreatにより測定し、実施例3〜実施例27については24時間の表面エネルギーを上記のように測定した。
【0171】
実施例44−液状前駆物質によるプラズマ処理
試料は、ヘキサメチルジシロキサンを含むPlasmatreat製の液状前駆物質を、プラズマ処理と同時に被覆布地に施した以外は、実施例29と同様に調製及び分析した。結果は表7に示す。
【0172】
実施例番号45〜実施例番号48 密閉状態での硬化に関する代替方法を用いたプラズマ処理試料
プラズマ処理は、布地パネルの被覆表面上で行った。布地パネルは、表面が、30グラム/平方メートルの被覆重量のDow Corning(登録商標)LCF−4300(Dow Corning Corporation(Midland, Michigan, U.S.A.)から市販されている)で被覆されたナイロン布地とした。プラズマ処理は、Plasmatreat製のOpenAirシステムを用いて行った。プラズマ処理は、以下のシステム設定:放電電圧:20kV、システム電流:3.0Amp〜3.6Amp、システム周波数:17キロヘルツ〜20キロヘルツ(kHz)、デューティーサイクル:100%、及び圧力:2.5bar〜3.0bar、布地からのノズルの高さ:7mm、線形移動速度:100mm/分、気体のタイプ:圧縮空気を用いて行った。
【0173】
実施例番号45を調製するために、型板を布地のプラズマ処理した被覆表面上に据え、脱気したシリコーン接着剤組成物1(参考例1で調製)を型板のチャネルに押し込み、先が平らな道具により型板のチャネル内で組成物を押し付けて、継ぎ目を形成した。型板を完全に取り除き、第2のプラズマ処理された被覆布地パネルを処理側が継ぎ目物質と接触するように置いた。シリコーン接着剤組成物1を第1のプラズマ処理された被覆布地に塗布するのに用いた型板を次に、第2の布地パネルの外側で継ぎ目物質のチャネルの上に設けた。継ぎ目は、得られる物品を型板と共に、177℃及び20トンの圧力の加熱したプレス機内に10分間据え置くことにより硬化した。得られる試料を4つの2インチの細片に切断した。剥離強度は、実施例29〜実施例43と同様にこれらの試料に関して評価した。結果は表8に示す。
【0174】
比較例番号46は、プラズマ処理又は他の表面処理を施さなかった被覆布地を用いた以外は、実施例番号45と同様に作製及び試験した。実施例番号47及び比較例番号48もそれぞれ、プラズマ処理した被覆されていないナイロン布地及びプラズマ処理していない被覆されていないナイロン布地上で、実施例番号45と同様に作製及び試験した。
【0175】
実施例番号49及び実施例番号50 1つのビードを形成する2つのビードを用いたプラズマ処理試料
プラズマ処理は、布地パネルの被覆表面上で行った。布地パネルは、表面が、30グラム/平方メートルの被覆重量のDow Corning(登録商標)LCF−4300(Dow Corning Corporation(Midland, Michigan, U.S.A.)から市販されている)で被覆されたナイロン布地とした。プラズマ処理は、Plasmatreat製のOpenAirシステムを用いて行った。プラズマ処理は、以下のシステム設定:放電電圧:20kV、システム電流:3.0Amp〜3.6Amp、システム周波数:17キロヘルツ〜20キロヘルツ(kHz)、デューティーサイクル:100%、及び圧力:2.5bar〜3.0bar、布地からのノズルの高さ:7mm、線形移動速度:100mm/分、気体のタイプ:圧縮空気を用いて行った。
【0176】
実施例番号49を調製するために、型板を布地のプラズマ処理した被覆表面上に据え、脱気したシリコーン接着剤組成物1(参考例1で調製)を型板のチャネルに押し込み、先が平らな道具により型板のチャネル内で組成物を押し付けて、継ぎ目を形成した。型板を取り除き、第2の布地プラズマ処理した被覆表面上に設け、脱気したシリコーン接着剤組成物1(参考例1で調製)を型板のチャネルに押し込み、先が平らな道具により型板のチャネル内で組成物を押し付けて、第2の布地パネル上に継ぎ目を形成した。継ぎ目物質を伴う第2の布地パネルは、継ぎ目を下にして継ぎ目物質を伴う第1の布地パネルに整合され、両パネルから露出した継ぎ目物質を互いに接触させ、物質の1つの継ぎ目を形成した。継ぎ目物質を各パネル上に塗布するのに用いられるものの2倍の厚みを有する型板を、第2のプラズマ処理された被覆布地の外側で継ぎ目物質上に設けた。継ぎ目は、型板と共に物品を、177℃及び20トンの圧力の加熱したプレス機内に10分間据え置くことにより硬化した。得られる試料を4つの2インチの細片に切断した。剥離強度は、実施例45と同様にこれらの試料に関して評価した。結果は表9に示す。
【0177】
比較例番号50は、プラズマ処理又は他の表面処理方法を被覆布地上に用いなかった以外は、実施例番号49と同様に作製及び試験した。
【0178】
実施例番号51 2つの隣接するビードを用いたプラズマ処理試料
プラズマ処理は、布地パネルの被覆表面上で行った。布地パネルは、表面が、30グラム/平方メートルの被覆重量のDow Corning(登録商標)LCF−4300(Dow Corning Corporation(Midland, Michigan, U.S.A.)から市販されている)で被覆されたナイロン布地とした。プラズマ処理は、Plasmatreat製のOpenAirシステムを用いて行った。プラズマ処理は、以下のシステム設定:放電電圧:20kV、システム電流:3.0Amp〜3.6Amp、システム周波数:17キロヘルツ〜20キロヘルツ(kHz)、デューティーサイクル:100%、及び圧力:2.5bar〜3.0bar、布地からのノズルの高さ:7mm、線形移動速度:100mm/分、気体のタイプ:圧縮空気を用いて行った。
【0179】
実施例番号51を調製するために、型板を被覆布地の上に設置して、継ぎ目の半分をプラズマ処理から遮蔽することにより、第1の布地パネルの継ぎ目寸法の半分を、プラズマ処理した。その後、布地をプラズマ処理に曝した。遮蔽用の型板を取り除き、全継ぎ目幅の半分の型板をプラズマ処理された領域の上に設けることで、布地のプラズマ処理された表面を型板内の開口を通じて曝すように開始されるプラズマ処理が施されていない表面の端と、型板内のチャネルの一端が整合するものとした。脱気したシリコーン接着剤組成物1(参考例1で調製)を型板のチャネルに押し込み、先が平らな道具により型板のチャネル内で組成物を押し付けて、継ぎ目の1つのビードを形成した。型板を取り除き、継ぎ目の最終的な幅(第1の継ぎ目幅の2倍)を有する新たな型板を設置することで、チャネル内の隙間が布地コーティングの未処理部分に対して開いているように、シリコーン接着剤組成物1の端と型板内のチャネルの一端が整合するものとした。
【0180】
脱気した市販のシリコーン接着剤組成物(Dow Corning Corporation(Midland, Michigan, USA)から市販されているSILASTIC(登録商標)SE 6750)を型板のチャネル内に塗布し、先が平らな道具により型板のチャネル内で組成物を平らにし、第1のビードに隣接しかつ接触する、継ぎ目の第2のビードを形成した。第2の布地パネルを、第1のビードと同様にプラズマ処理した。型板を被覆布地の上に設置して、継ぎ目の半分をプラズマ処理から遮蔽することにより、第2の布地パネルの継ぎ目寸法の半分を、プラズマ処理した。その後、布地をプラズマ処理に曝した。遮蔽用の型板を取り除き、シリコーン組成物1の継ぎ目物質が第2の布地のプラズマ処理された領域と接触し、シリコーン接着剤組成物(SE 6750)が第2の布地のプラズマ処理されていない領域と接触するように、第2の処理されたパネルを、第1のパネル及び隣接する継ぎ目物質の上に整合させた。その後、隣接する継ぎ目物質の全幅を有する型板を、被覆第2の布地パネルの外側で継ぎ目物質上に設けた。継ぎ目は、型板と共に物品を、177℃及び20トンの圧力の加熱したプレス機内に10分間据え置くことにより硬化した。得られる試料を4つの2インチの細片に切断した。型板により囲まれた縁から剥離が開始するこれらの試料に関して剥離強度を評価した。結果は表10に示す。
【0181】
実施例番号52〜実施例番号63 接着促進剤の使用
各実施例では、470デシテックス(420デニール)のナイロン布地の2つの46×46(1インチ当たりたて糸46本及び1インチ当たりよこ糸46本)パネルを用いて、試料番号52〜試料番号63を調製した。各パネルの表面には、Dow Corning(登録商標)LCF−4300(Dow Corning Corporation(Midland, Michigan, U.S.A.)から市販されている)を30グラム/平方メートルの被覆重量で被覆させた。接着促進剤をクロスに塗布し、接着促進剤を有するクロスで被覆布地全体を二度拭くことによって、各被覆表面を表11に指定した接着促進剤で下塗りした。その後、きれいなクロスを用いて二度拭くことによって過剰なプライマを表面から除去した。
【0182】
試料は、プラズマ処理を用いずに、接着促進剤前にプラズマ処理を用いて、及び接着促進剤後にプラズマ処理を用いて調製した。プラズマ処理は、実施例番号45に記載したように行った。剥離細片試料は、プライマ塗布後即時及び7日後に調製した。剥離細片試料を調製するために、布地の下塗り及び/又は処理を施した被覆パネル上に型板を設置し、脱気したシリコーン接着剤組成物1(参考例1で調製)を型板のチャネルに押し込み、先が平らな道具により型板のチャネル内で組成物を押し付けて、継ぎ目を形成した。型板を完全に取り除き、第2の布地下塗り及び/又処理を施した被覆パネルを下塗り側が継ぎ目物質と接触するように設けた。シリコーン接着剤組成物1を第1の布地下塗り及び/又は処理を施した被覆パネルに塗布するのに用いた型板を次に、第2の布地下塗り及び/又は処理を施した被覆パネルの外側で継ぎ目物質のチャネルの上に設けた。継ぎ目は、型板と共に物品を、177℃及び20トンの圧力の加熱したプレス機内に10分間据え置くことにより硬化した。得られる試料を4つの2インチの細片に切断した。剥離強度は、実施例番号45と同様にこれらの試料に関して評価した。結果は表11に示す。
【0183】
実施例番号64及び実施例番号65 加熱した分配ユニットの使用
Graco Thermo−O−Flow(登録商標)5ガロン容ホットメルトポンプ/ディスペンサを使用して、シリコーン接着剤組成物1のポンプ輸送及び分配性能を評価した。シリコーン接着剤組成物1を作製して、5ガロン容の金属容器内にパッケージングした。容器をホットメルトポンプに装填し、表12に挙げる条件を用いてポンプ輸送試行を行った。結果も表12に記載する。結果は物質の硬化の徴候を示すものではない。
【0184】
実施例番号66〜実施例番号68−プロファイルドツール(profiled tool:複雑な外形の道具)を用いたビードの塗布
各実施例では、470デシテックス(420デニール)のナイロン布地の2つの46×46(1インチ当たりたて糸46本及び1インチ当たりよこ糸46本)パネルを用いて、試料番号66〜試料番号68を調製した。各パネルの表面には、Dow Corning(登録商標)LCF−4300(Dow Corning Corporation(Midland, Michigan, U.S.A.)から市販されている)を30グラム/平方メートルの被覆重量で被覆させた。各被覆表面は、Plasmatreat製のOpenAirシステムを用いてプラズマ処理した。プラズマ処理は、以下のシステム設定:放電電圧:20kV、システム電流:3.0Amp〜3.6Amp、システム周波数:17キロヘルツ〜20キロヘルツ(kHz)、デューティーサイクル:100%、及び圧力:2.5bar〜3.0bar、布地からのノズルの高さ:7mm、線形移動速度:100mm/分、気体のタイプ:圧縮空気を用いて行った。
【0185】
実施例番号66及び実施例番号67を調製するために、布地のプラズマ処理した被覆表面上に型板を設置し、表13に挙げるプロファイル(profile:複雑な外形)を有する道具を用いて脱気したシリコーン接着剤組成物1(参考例1で調製)を型板のチャネルに押し込み、型板のチャネル内で組成物を押し付けて、継ぎ目を形成するビードに対してプロファイルを作り出した。継ぎ目物質のプロファイルは、型板表面よりもおよそ0.050インチ高くした。型板の半分を、ビードの縁から5mm〜10mm離し、残りの半分は、布地パネルの間の継ぎ目上に囲まれた縁をもたらすように留置させた。第2のプラズマ処理された被覆パネルを処理側が継ぎ目物質のプロファイルと接触するように置いた。わずかな指圧を用いて、表面と表面との接触を確実なものとした。得られる組立体を、177℃の加熱したプレス機上に即座に移し、20トンの圧力を10分間かけ、硬化させた。得られる物品をプレス機から取り出し、冷却させた。得られる試料を4つの2インチの細片に切断した。型板により囲まれた縁から剥離が開始するこれらの試料に関して剥離強度を評価した。結果は表13に示す。
【0186】
実施例番号68は、シリコーン接着剤組成物を型板のチャネル内に押し込むのに用いた道具が、プロファイルを有しない平らな刃を利用するものとした以外は、実施例番号66及び実施例番号67と同様に作製及び試験した。
【0187】
実施例番号69A及び実施例番号69B−振動機器を用いた、継ぎ目物質と第2の表面との接触
各実施例では、470デシテックス(420デニール)のナイロン布地の2つの46×46(1インチ当たりたて糸46本及び1インチ当たりよこ糸46本)パネルを用いて、試料番号69Aを調製した。各パネルの表面には、Dow Corning(登録商標)LCF−4300(Dow Corning Corporation(Midland, Michigan, U.S.A.)から市販されている)を30グラム/平方メートルの被覆重量で被覆させた。各被覆表面は、Plasmatreat製のOpenAirシステムを用いてプラズマ処理した。プラズマ処理は、以下のシステム設定:放電電圧:20kV、システム電流:3.0Amp〜3.6Amp、システム周波数:17キロヘルツ〜20キロヘルツ(kHz)、デューティーサイクル:100%、及び圧力:2.5bar〜3.0bar、布地からのノズルの高さ:7mm、線形移動速度:100mm/分、気体のタイプ:圧縮空気を用いて行った。
【0188】
実施例番号69Aを調製するために、布地のプラズマ処理した被覆表面上に型板を設置し、脱気したシリコーン接着剤組成物1(参考例1で調製)を型板のチャネルに押し込み、先が平らな道具により型板のチャネル内で組成物を押し付けて、継ぎ目を形成した。型板を完全に取り除き、第2のプラズマ処理された被覆パネルを処理側が継ぎ目物質と接触するように置いた。型板内のチャネルと同じ寸法を有するダイを有するDremel(Model 290−01)電動彫刻機(vibrating engraver)を使用して、第2の布地パネルの処理された表面と継ぎ目物質とを接触させた。Dremelの振動を3の設定値に調節し、振動するダイを継ぎ目物質のパスに沿って二度動かした。その後、型板の半分を継ぎ目の各側面上かつ第1の布地パネルと第2の布地パネルとの間であるが、継ぎ目の縁から少なくとも0.5インチ離して設け、硬化中の加圧を制限した。得られる組立体を、177℃の加熱したプレス機上に即座に移し、20トンの圧力を10分間かけ、硬化させた。得られる物品をプレス機から取り出し、冷却させた。得られる試料を4つの2インチの細片に切断した。剥離強度は、実施例45と同様にこれらの試料に関して評価した。結果は表14に示す。
【0189】
実施例番号69Bは、振動ツールを用いなかった以外は、実施例番号69Aと同様に作製及び試験した。第2の布地パネルは、指で優しくプレスして処理表面と継ぎ目物質とを接触させることにより継ぎ目に付した。型板の半分を、継ぎ目の各側面上かつ第1の布地パネルと第2の布地パネルとの間であるが、継ぎ目の縁から少なくとも1インチ離して設け、硬化中の加圧を制限して、実施例番号69Aと同様にそれを硬化した。
【0190】
実施例番号70〜実施例番号75−シリコーン材料に関する異なる硬化系の比較
プラズマ処理は、布地パネルの被覆表面上で行った。布地パネルは、表面が、30グラム/平方メートルの被覆重量のDow Corning(登録商標)LCF−4300(Dow Corning Corporation(Midland, Michigan, U.S.A.)から市販されている)で被覆されたナイロン布地とした。プラズマ処理は、以下のシステム設定:放電電圧:20kV、システム電流:3.0Amp〜3.6Amp、システム周波数:17キロヘルツ〜20キロヘルツ(kHz)、デューティーサイクル:100%、及び圧力:2.5bar〜3.0bar、布地からのノズルの高さ:7mm、線形移動速度:100mm/分、気体のタイプ:圧縮空気を用いて行った。
【0191】
実施例番号70、実施例番号72及び実施例番号74を調製するために、布地のプラズマ処理した被覆表面上に型板を設置し、表15に挙げる様々なシリコーン接着剤組成物を用いて型板のチャネルを充填し、先が平らな道具により型板のチャネル内で各組成物を押し付けて、継ぎ目を形成した。型板を完全に取り除き、第2のプラズマ処理された被覆パネルを処理側が継ぎ目物質と接触するように置いた。特定のシリコーン接着剤組成物を第1のプラズマ処理された被覆布地に塗布するのに用いた型板を次に、第2のプラズマ処理された被覆布地の外側で継ぎ目物質のチャネルの上に設けた。シリコーン接着剤組成物1、すなわち過酸化物硬化性シリコーン接着剤組成物に関しては、型板と共に物品を、170℃及び5トンの圧力の加熱したプレス機内に10分間据え置くことにより、継ぎ目を硬化した。ホットメルトシリコーン接着剤組成物(Dow Corning Corporation(Midland, Michigan USA)から市販されているDOW CORNING(登録商標)HM−2510)に関しては、継ぎ目を120℃で5分間ホットプレスし、その後、継ぎ目物質を囲ったまま(will still confining the seam of material)5分間の冷却プレス機に移した。物品を取り出し、室温及び50%相対湿度で10日間硬化させた。得られる試料を全て4つの2インチの細片に切断した。剥離強度は、実施例番号45と同様にこれらの試料に関して評価した。結果は表15に示す。
【0192】
以下の成分:0.18重量部(pbw)の充填剤処理剤1、0.007pbwの安定化剤1、2.03pbwの架橋剤2、0.04pbwの充填剤処理剤2、8.33pbwのガム1、0.38pbwの架橋剤1、19.82pbwの充填剤2、6.66pbwのガム3、41.4pbwのガム2、1.21pbwの充填剤処理剤4、0.85pbwの流体2、2.31pbwの接着促進剤1、7.72pbwの流体3、0.08pbwの顔料1、3.86の充填剤3、4.04pbwの鎖伸長剤1、及び1.01pbwの過酸化物1、及び0.05pbwのアンモニアを混合することにより、過酸化物硬化性組成物を調製した。
【0193】
比較例番号71、比較例番号73及び比較例番号75は、プラズマ処理していない布地を対照として用いた以外は、実施例番号70、実施例番号72及び実施例番号74それぞれと同様に作製した。
【0194】
実施例番号76〜実施例番号78−プラズマ処理と塗布との間の時間の比較
プラズマ処理は、布地パネルの被覆表面上で行った。布地パネルは、表面が、30グラム/平方メートルの被覆重量のDow Corning(登録商標)LCF−4300(Dow Corning Corporation(Midland, Michigan, U.S.A.)から市販されている)で被覆されたナイロン布地とした。プラズマ処理は、Plasmatreat製のOpenAirシステムを用いて行った。プラズマ処理は、以下のシステム設定:放電電圧:20kV、システム電流:3.0Amp〜3.6Amp、システム周波数:17キロヘルツ〜20キロヘルツ(kHz)、デューティーサイクル:100%、及び圧力:2.5bar〜3.0bar、布地からのノズルの高さ:7mm、線形移動速度:100mm/分、気体のタイプ:圧縮空気を用いて行った。
【0195】
実施例番号76を調製するために、処理後直ちに、布地のプラズマ処理した被覆表面上に型板を設置し、脱気したシリコーン接着剤組成物1(参考例1で調製)を型板のチャネルに押し込み、先が平らな道具により型板のチャネル内で組成物を押し付けて、継ぎ目を形成した。型板を完全に取り除き、第2のプラズマ処理された被覆パネルを処理側が継ぎ目物質と接触するように置いた。シリコーン接着剤組成物1を第1のプラズマ処理された被覆布地に塗布するのに用いた型板を次に、第2のプラズマ処理された被覆布地の外側で継ぎ目物質のチャネルの上に設けた。継ぎ目は、型板と共に物品を、177℃及び20トンの圧力の加熱したプレス機内に10分間据え置くことにより硬化した。得られる試料を4つの2インチの細片に切断した。剥離強度は、実施例番号45と同様にこれらの試料に関して評価した。結果は表16に示す。
【0196】
実施例番号77は、シリコーン接着剤組成物を布地に塗布する前に、室温及び45%相対湿度でプラズマ処理された布地を7日間老化させた以外、実施例番号76と同様に作製及び試験した。剥離細片を作製する他の工程及び試験は全て同様のものとした。
【0197】
比較例番号78は、布地をプラズマ処理しなかった以外は、実施例番号76と同様に作製及び試験した。剥離細片を作製する他の工程及び試験は全て同様のものとした。
【0198】
実施例番号79〜実施例番号83−ミニエアバッグの組立体及び展開データの比較
470デシテックスのナイロン布地の2つの46×46(1インチ当たりたて糸46本及び1インチ当たりよこ糸46本)パネルを用いて、ミニエアバッグを作製した。各パネルの表面には、Dow Corning(登録商標)LCF−4300(Dow Corning Corporation(Midland, Michigan, U.S.A.)から市販されている)を30グラム/平方メートルの被覆重量で被覆させた。各パネルの被覆表面は表17に記載されるように作製した。プラズマ処理が必要な場合、布地は、実施例番号45に記載のプラズマ処理条件を用いて処理し、ミニエアバッグ形状をもたらす、チャネルを有する型板を、作製した布地パネル上に設置し、脱気したシリコーン接着剤組成物1(参考例1で調製)を型板のチャネルに押し込み、先が平らな道具により型板のチャネル内で組成物を押し付けて、継ぎ目を形成した。型板を完全に取り除き、第1の被覆パネルと同一となるように作製された第2の被覆パネルを被覆側が継ぎ目物質と接触するように置いた。シリコーン接着剤組成物1を第1の被覆及び/又は処理を施した表面布地に塗布するのに用いた型板を次に、第2の被覆及び/又は処理を施した布地の外側で継ぎ目物質のチャネルの上に設けた。継ぎ目は、型板と共に物品を、177℃及び20トンの圧力の加熱したプレス機内に10分間据え置くことにより硬化した。ミニエアバッグ組立体をプレス機から取り出し、状態を整えるのに1日を費やした。その後、Dow Corning製のコールドガスエアバッグ展開試験機上に展開することにより、ミニエアバッグ組立体を試験した。各実施例について4つのエアバッグを作製し、各実施例の構成物に関する破裂値は、継ぎ目物質の破断が生じてミニエアバッグがもはや空気を保持しない圧力に達するまで、各展開の膨張圧設定値を徐々に上げることにより求めた。この時点で、膨張圧設定値を20kPa下げ、新たなミニエアバッグを展開させた。エアバッグがこの新たな設定値における展開に耐えたら、設定値を10kPa上げた。エアバッグが展開に耐えられなかったら、膨張圧設定値をさらに20kPa下げた。各試料について4つのミニエアバッグを全て展開して破損するまで、このプロセスを繰り返した。破損前の最大ピーク圧は、展開中に破損しなかったエアバッグについて得られる最大圧力を記録することにより求めた。結果は表17に記録した。
【0199】
【表2】
【0200】
【表3】
【0201】
【表4】
【0202】
【表5】
【0203】
【表6】
【0204】
【表7−1】
【0205】
【表7−2】
【0206】
【表7−3】
【0207】
【表8】
【0208】
【表9】
【0209】
【表10】
【0210】
【表11】
【0211】
【表12】
【0212】
【表13】
【0213】
【表14】
【0214】
【表15】
【0215】
【表16】
【0216】
【表17】
【産業上の利用可能性】
【0217】
上記の方法は、縫製されていない継ぎ目を作るのに有用である。本方法は、糸又はヤーンによる縫製継ぎ目に対する要求を低減又は排除することにより、多種多様な用途における物品を組み立てるコストを削減することができる。縫製されていない継ぎ目を作る方法は、テント、幌、空気入れ玩具、ゴムボート、航空機用の安全シュート、自動車のソフトトップ、建築用布地、幕、コンベヤベルト用途、及びエアバッグ等の様々な用途で利用される。
【0218】
上述のエアバッグは自動車用途、例えば運転席、助手席、後部乗客席、サイドインパクト(side impact)、ニーバッグ、歩行者保護装置、及びインフレータブルカーテン等に、例えば航空機用エアバッグ自動安全装置等の他の用途とともに有用である。例えば、上述の方法及びシリコーン組成物は米国特許第6,886,857号に開示されているエアバッグを組み立てるに縫製継ぎ目の代わりに使用できる。
【0219】
上述の方法は、縫製継ぎ目を、縫製による機械的強度の必要性を相殺するに十分な接着力を与えるシリコーン材料で置き換えることができる。本明細書中で記載された方法及びシリコーン組成物は、完全体系継ぎ目の高い剥離強度;本明細書中で記載されたホットメルト接着剤及び継ぎ目シーラントの組合せで製造されていないエアバッグと比較して、低い経時圧力損失;折り畳み及び包装(折り畳み性及び包装性)の要求、及びその他のエアバッグ要求事項の充足;システムの作業及び硬化の柔軟性;並びに1つのエアバッグ当たり3分以下である製造時間といった長所を提供することができる。
【0220】
本明細書中で記載された方法及びシリコーン組成物は、機械的接合及びシーリングが組み合わせられるために、エアバッグの組み立ての製造の効率性を改善し;縫製エアバッグに比べて、継ぎ目シーラントの量を削減し;全体のシリコーン系でホールドアップ性能を改善し;縫製によるエアバッグ布地の繊維への損傷を解消する利点を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
i)第1のテキスタイルの第1の表面を表面処理して、処理された第1の表面を形成すること、
ii)前記第1のテキスタイルの処理された第1の表面に、第1の接着剤組成物の第1のビードを塗布すること、
iii)前記第1の接着剤組成物の第1のビードと、第2のテキスタイルの第2の表面とを接触させること、及び
iv)前記第1の接着剤組成物から第1の接着性物質を含む縫製されていない継ぎ目を形成すること、
を含み、それにより、前記縫製されていない継ぎ目を介して前記第1のテキスタイルと前記第2のテキスタイルとを接着する、方法。
【請求項2】
i)第1のテキスタイルの第1の表面を表面処理して、処理された第1の表面を形成すること、第2のテキスタイルの第2の表面を表面処理して、処理された第2の表面を形成すること、又は両方、
ii)前記第1のテキスタイルの処理された第1の表面に、第1の接着剤組成物の第1のビードを塗布すること、
iii)前記処理された第2の表面に、第2の接着剤組成物の第2のビードを塗布すること、
iv)前記第1のビードの第1の露出面と、前記第2のビードの第2の露出面とを接触させて、1つのビードを形成すること、及び
v)前記1つのビードから縫製されていない継ぎ目を形成すること、
を含み、それにより、前記縫製されていない継ぎ目を介して前記第1のテキスタイルと前記第2のテキスタイルとを接着する、方法。
【請求項3】
i)第1のテキスタイルの第1の表面を表面処理して、処理された第1の表面を形成すること、
ii)第2のテキスタイルの第2の表面を表面処理して、処理された第2の表面を形成すること、
iii)前記処理された第1の表面に、第1の接着剤組成物の第1のビードを塗布すること、
iv)前記処理された第1の表面又は前記処理された第2の表面に、第2の接着剤組成物の第2のビードを、工程v)中又はその後に該第2のビードが前記第1のビードに隣接するように塗布すること、及び
v)前記第1の接着剤組成物から調製される第1の接着性物質と、前記第2の接着剤組成物から調製される第2の接着性物質とを含む、縫製されていない継ぎ目を形成すること、
を含み、それにより、前記縫製されていない継ぎ目を介して前記第1のテキスタイルと前記第2のテキスタイルとを互いに接着する、方法。
【請求項4】
i)第1のテキスタイルの第1の表面を表面処理して、処理された第1の表面を形成すること、第2のテキスタイルの第2の表面を表面処理して、処理された第2の表面を形成すること、又は両方、
ii)前記処理された第1の表面に、接着剤組成物の1つのビードを塗布すること、
iii)前記1つのビードと前記処理された第2の表面とを接触させること、及び
iv)前記1つのビードから縫製されていない継ぎ目を形成すること、
を含み、それにより、前記縫製されていない継ぎ目を介して前記第1のテキスタイルと前記第2のテキスタイルとを互いに接着する、方法。
【請求項5】
前記第1のテキスタイルが第1のエアバッグ構成部品を含み、前記第2のテキスタイルが第2のエアバッグ構成部品を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
工程i)前に、シリコーンエマルション、高粘度ゴム、液状シリコーンゴム組成物、エアロゾル化されたシリコーンゴム、粉末シリコーンゴム、融解シリコン樹脂、又はシリコーンで変性された有機組成物から選択される組成物で、前記第1の表面、前記第2の表面、又は両方を被覆することをさらに含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の表面、前記第2の表面、又は両方に、接着促進剤を塗布することをさらに含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
プラズマ処理によって表面処理を行う、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
表面処理後かつ塗布前に前記第1のテキスタイルを貯蔵すること、表面処理後かつ塗布前に前記第2のテキスタイルを貯蔵すること、又は両方をさらに含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
表面処理及び塗布を同時に行う、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
型板を使用して前記第1のビードを所望の形状に形成することを含む方法によって塗布を行う、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
型板を使用して前記第1のビードを所望の形状に形成することを含む方法によって塗布を行う、請求項4に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の接着剤組成物が第1のシリコーン組成物である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記接着剤組成物がシリコーン組成物である、請求項4に記載の方法。
【請求項15】
前記第1のシリコーン組成物が、湿分硬化性ポリオルガノシロキサン組成物、ヒドロシリル化硬化性ポリオルガノシロキサン組成物、又は過酸化物硬化性オルガノポリシロキサン組成物から選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記シリコーン組成物が、湿分硬化性ポリオルガノシロキサン組成物、ヒドロシリル化硬化性ポリオルガノシロキサン組成物、又は過酸化物硬化性オルガノポリシロキサン組成物から選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記シリコーン組成物がデュアルキュア型組成物である、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記シリコーン組成物がデュアルキュア型組成物である、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
工程iii)前に、前記第2のテキスタイルの第2の表面を表面処理して、処理された第2の表面を形成することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記第1のビード上に前記処理された第2の表面をプレスすることを含む方法によって接触を行う、請求項19又は2又は4に記載の方法。
【請求項21】
エネルギー波又は振動機器に曝すことを含む方法によって接触を行う、請求項19又は請求項2又は請求項4に記載の方法。
【請求項22】
マイクロ波照射により加熱することを含む方法によって前記縫製されていない継ぎ目の形成を行う、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
密閉ダイ内において加熱することを含む方法によって前記縫製されていない継ぎ目の形成を行う、請求項1〜4及び22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記第1のビードが、第1の厚み、及び前記処理された第1の表面と反対側の第1の露出面を有し、前記第2のビードが、第2の厚み、及び前記処理された第2の表面と反対側の第2の露出面を有し、前記第1のビードと前記第2のビードとを接触させることによって形成される前記1つのビードが前記第1の厚み及び/又は前記第2の厚みよりも大きな厚みを有するように、前記第1の露出面と前記第2の露出面とを整合させることを含む方法によって工程iv)を行う、請求項2に記載の方法。
【請求項25】
請求項1〜24のいずれか一項に記載の方法によって作られる、縫製されていない継ぎ目。
【請求項1】
i)第1のテキスタイルの第1の表面を表面処理して、処理された第1の表面を形成すること、
ii)前記第1のテキスタイルの処理された第1の表面に、第1の接着剤組成物の第1のビードを塗布すること、
iii)前記第1の接着剤組成物の第1のビードと、第2のテキスタイルの第2の表面とを接触させること、及び
iv)前記第1の接着剤組成物から第1の接着性物質を含む縫製されていない継ぎ目を形成すること、
を含み、それにより、前記縫製されていない継ぎ目を介して前記第1のテキスタイルと前記第2のテキスタイルとを接着する、方法。
【請求項2】
i)第1のテキスタイルの第1の表面を表面処理して、処理された第1の表面を形成すること、第2のテキスタイルの第2の表面を表面処理して、処理された第2の表面を形成すること、又は両方、
ii)前記第1のテキスタイルの処理された第1の表面に、第1の接着剤組成物の第1のビードを塗布すること、
iii)前記処理された第2の表面に、第2の接着剤組成物の第2のビードを塗布すること、
iv)前記第1のビードの第1の露出面と、前記第2のビードの第2の露出面とを接触させて、1つのビードを形成すること、及び
v)前記1つのビードから縫製されていない継ぎ目を形成すること、
を含み、それにより、前記縫製されていない継ぎ目を介して前記第1のテキスタイルと前記第2のテキスタイルとを接着する、方法。
【請求項3】
i)第1のテキスタイルの第1の表面を表面処理して、処理された第1の表面を形成すること、
ii)第2のテキスタイルの第2の表面を表面処理して、処理された第2の表面を形成すること、
iii)前記処理された第1の表面に、第1の接着剤組成物の第1のビードを塗布すること、
iv)前記処理された第1の表面又は前記処理された第2の表面に、第2の接着剤組成物の第2のビードを、工程v)中又はその後に該第2のビードが前記第1のビードに隣接するように塗布すること、及び
v)前記第1の接着剤組成物から調製される第1の接着性物質と、前記第2の接着剤組成物から調製される第2の接着性物質とを含む、縫製されていない継ぎ目を形成すること、
を含み、それにより、前記縫製されていない継ぎ目を介して前記第1のテキスタイルと前記第2のテキスタイルとを互いに接着する、方法。
【請求項4】
i)第1のテキスタイルの第1の表面を表面処理して、処理された第1の表面を形成すること、第2のテキスタイルの第2の表面を表面処理して、処理された第2の表面を形成すること、又は両方、
ii)前記処理された第1の表面に、接着剤組成物の1つのビードを塗布すること、
iii)前記1つのビードと前記処理された第2の表面とを接触させること、及び
iv)前記1つのビードから縫製されていない継ぎ目を形成すること、
を含み、それにより、前記縫製されていない継ぎ目を介して前記第1のテキスタイルと前記第2のテキスタイルとを互いに接着する、方法。
【請求項5】
前記第1のテキスタイルが第1のエアバッグ構成部品を含み、前記第2のテキスタイルが第2のエアバッグ構成部品を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
工程i)前に、シリコーンエマルション、高粘度ゴム、液状シリコーンゴム組成物、エアロゾル化されたシリコーンゴム、粉末シリコーンゴム、融解シリコン樹脂、又はシリコーンで変性された有機組成物から選択される組成物で、前記第1の表面、前記第2の表面、又は両方を被覆することをさらに含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の表面、前記第2の表面、又は両方に、接着促進剤を塗布することをさらに含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
プラズマ処理によって表面処理を行う、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
表面処理後かつ塗布前に前記第1のテキスタイルを貯蔵すること、表面処理後かつ塗布前に前記第2のテキスタイルを貯蔵すること、又は両方をさらに含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
表面処理及び塗布を同時に行う、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
型板を使用して前記第1のビードを所望の形状に形成することを含む方法によって塗布を行う、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
型板を使用して前記第1のビードを所望の形状に形成することを含む方法によって塗布を行う、請求項4に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の接着剤組成物が第1のシリコーン組成物である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記接着剤組成物がシリコーン組成物である、請求項4に記載の方法。
【請求項15】
前記第1のシリコーン組成物が、湿分硬化性ポリオルガノシロキサン組成物、ヒドロシリル化硬化性ポリオルガノシロキサン組成物、又は過酸化物硬化性オルガノポリシロキサン組成物から選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記シリコーン組成物が、湿分硬化性ポリオルガノシロキサン組成物、ヒドロシリル化硬化性ポリオルガノシロキサン組成物、又は過酸化物硬化性オルガノポリシロキサン組成物から選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記シリコーン組成物がデュアルキュア型組成物である、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記シリコーン組成物がデュアルキュア型組成物である、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
工程iii)前に、前記第2のテキスタイルの第2の表面を表面処理して、処理された第2の表面を形成することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記第1のビード上に前記処理された第2の表面をプレスすることを含む方法によって接触を行う、請求項19又は2又は4に記載の方法。
【請求項21】
エネルギー波又は振動機器に曝すことを含む方法によって接触を行う、請求項19又は請求項2又は請求項4に記載の方法。
【請求項22】
マイクロ波照射により加熱することを含む方法によって前記縫製されていない継ぎ目の形成を行う、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
密閉ダイ内において加熱することを含む方法によって前記縫製されていない継ぎ目の形成を行う、請求項1〜4及び22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記第1のビードが、第1の厚み、及び前記処理された第1の表面と反対側の第1の露出面を有し、前記第2のビードが、第2の厚み、及び前記処理された第2の表面と反対側の第2の露出面を有し、前記第1のビードと前記第2のビードとを接触させることによって形成される前記1つのビードが前記第1の厚み及び/又は前記第2の厚みよりも大きな厚みを有するように、前記第1の露出面と前記第2の露出面とを整合させることを含む方法によって工程iv)を行う、請求項2に記載の方法。
【請求項25】
請求項1〜24のいずれか一項に記載の方法によって作られる、縫製されていない継ぎ目。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【公表番号】特表2011−523911(P2011−523911A)
【公表日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−510629(P2011−510629)
【出願日】平成21年5月19日(2009.5.19)
【国際出願番号】PCT/US2009/044426
【国際公開番号】WO2009/143090
【国際公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【出願人】(596012272)ダウ・コーニング・コーポレイション (347)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月19日(2009.5.19)
【国際出願番号】PCT/US2009/044426
【国際公開番号】WO2009/143090
【国際公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【出願人】(596012272)ダウ・コーニング・コーポレイション (347)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]