説明

縫製用の針管理カード及びその販売システム

【課題】ミシン針の管理が容易で、かつ製品への混入を効果的に防止できる針管理カードとその販売システムの提供を目的とする。
【解決手段】針と、その針の使用履歴を管理するカードとを一々対応させることで針が縫製された製品に混入するのを防止したものであり、カードは新しい針を装着しておく装着部と、装着部から抜き取り使用に供した後の使用済みとなった針を粘着する針粘着部と、当該針に関する管理項目記載欄とを備え、カードと、針との照合手段を有している。 また、この針管理システムを普及させる手段として針粘着部のない広告用針管理カードを電気通信回線にて無料配信及び印刷出力する手段と、電気通信回線等による顧客の注文に応じて針粘着部付き針管理カード配送手段とを有し、針管理カードの針粘着部を形成する光透過性の粘着層の下部に位置する針管理カード本体に、広告又は針管理用の、印字又は印画部を形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、縫製用の針管理カードに関し、特に待針、ミシン針等が製品に混入するのを効果的に防止できる針管理カードの構造及び販売システムに係る。
【背景技術】
【0002】
縫製工場等では縫製に用いた針が製品に混入した状態で出荷されることを防止するために、全製品を検針機にかける等の方法を採用しているところもある。
実用新案登録第3084129号公報には、針にレーザー光線で刻印部を設けて、針の管理をしやすくした技術を開示するが針そのものへの刻印では情報量が限定されるだけでなく、針の受渡しが容易ではない。
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3084129号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記技術的課題に鑑みて、ミシン針等の縫製用針の管理が容易で、かつ製品への混入を効果的に防止できる針管理カードとその販売システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の技術的要旨は、針と、その針の使用履歴を管理するカードとを一々対応させることで針が縫製された製品に混入するのを防止したものであり、針の使用履歴を管理する針管理カードであって、カードは新しい針を装着しておく装着部と、装着部から抜き取り使用に供した後の使用済みとなった針を粘着する針粘着部と、当該針に関する管理項目記載欄とを備え、カードと、当該カードによって管理される針との照合手段を有していることを特徴とする。
また、この針管理システムを普及させる手段として針粘着部のない広告用針管理カードを電気通信回線にて無料配信及び印刷出力する手段と、電気通信回線等による顧客の注文に応じて針粘着部付き針管理カード配送手段とを有し、針管理カードの針粘着部を形成する光透過性の粘着層の下部に位置する針管理カード本体に、広告又は針管理用の、印字又は印画部を形成した。
【0006】
ここで、針粘着部とは、使用済みのミシン針を付着する部分をいい、この針粘着部を形成する粘着層はその下に有する印字又は印画部が見えるように透光性を有している。
この印字又は印画部は、広告又は針管理用に用いるものであり、広告料の収入源とすることもでき、また、使用前の針と使用後の針とを比較できるようにすることができる。
この場合に、針の使用前の状態と使用後の状態をOCR等で画像データにすることで電気通信回線を通じて遠隔地からも針管理ができる。
これにより工場内管理や他人のための委託管理も可能になる。
【0007】
針管理カードは、新しい針の装着部と使用済み針の針粘着部と少なくともその針に関する管理項目記載欄とを有し、針粘着部には剥離紙又はカバーを有しているとよい。
剥離紙は長期保存できるものがよく、剥離紙を透明なものにすると使用後の針を確認しやすく、カードとともに写真コピーすることで証拠資料にしやすい。
【0008】
剥離紙は、片面にカードの針粘着部と剥がれやすい剥離層を形成してあり、他方の面は、カードの針粘着部に強固に接合するようになっていると、針粘着部に針を粘着しない状態で剥離紙を貼っておき、針装着部から新しい針を抜き取り使用し、針を使用後に剥離紙を一旦剥がし、剥離層を形成していない面に裏返し、使用済みの針を付着した針粘着部上に、覆うことで、針の誤った再使用を防止し、針がカードから離れるのを防止する。
【0009】
本発明にてカードと、当該カードによって管理される針との照合手段とは、カードと針とが一々対応できる手段を有していれば具体的方法は問わない。
針とカードとの一々対応を図る手段の例としては、針をカードの装着部に刺し通した状態で、上から文字、ロゴマーク、絵柄、あるいはバーコード、二次元コード等を印刷又はスタンプ押しして、一体的な照合マークを付す。
このようにすると針に照合マークの一部が付され、その部分が抜き取られたように残りの照合マークがカードの装着部に残るので針とカードとが一々対応できる。
また、針をカードに装着した状態でサインペン等で針を横切るようにカードに印をつけてもよい。
【0010】
管理項目記載欄には、針の入荷日、使用開始日、使用終了日、針の使用者等の情報を書き込むことができ、針の折れ状況等を記載してもよい。
また、針が使用前、使用中、使用後を管理できるようにバーコード化、二次元コード化してもよく、ICチップを組み込み、遠隔管理できることで製造部門内の一括管理することもできる。
また、ミシン等の修理者が針を持ち込む場合にも製造所内で使用しているカードとは異なるカ−ドに対応させた針を持ち込むことで、修理後に製造所内に管理されていない針が残る恐れを防止するとよい。
【0011】
ミシンによっては、複数の針を使用する場合があるが、その場合に針に付いている照合印により区別したり、折れ断面を拡大照合することで折れた針を復元照合できる。
この際に本発明に係る針管理カードではカードに針を取り付けた状態でカードを折り曲げることで断面の拡大照合がしやすくなる。
【発明の効果】
【0012】
本発明においては、針とそれを管理するカードとを一々対応させたので、針の使用履歴を確実に管理することができる。
特に、カードに広告や販売会社のロゴ等を入れることにより、カード管理された針の使用後の保管が確実であることからその安全性と広告提供者、販売会社、仮想店舗プロバイダー等の関係において縫製製品の品質の保証にもなる。
【0013】
本発明に係る縫製用の針管理カードの販売システムにおいては、電気通信回線を通して、針粘着部の無いものであるが針管理カードのサンプルを顧客に無料で提供するようにしたので実際に試験的に使用してみることが出来る。
この場合に針粘着の代わりにテープ等で針を貼り付ける。
また、針管理カードを印刷出力し、針を付けて販売することもできる。
これにより、顧客に効果的に針管理カードの普及を図ることが出来る。
顧客の間に針管理カードの有用性が認識されるようになると、針粘着部を有する付加価値の高い針管理カードを購入したい顧客も現れる。
針管理カードには針粘着部を通して見えるように印字又は印画部を形成してあり、例えばこの印字あるいは印画部を顧客企業の名前やロゴ等のブランド表示とした場合には、ブランド表示上の針粘着部が針管理カード本体から容易に剥がせないように貼ってあるため、表示を改ざんした模倣品を防止出来る。
また、印字又は印画部に針管理用の情報を取り込み、偽造防止に用いることもできる。
【0014】
針管理カード本体と針との相互の照合印部を設けてあると、針が折れた場合に照合印部を一致させることで針の完全回収の有無が判断しやすくなる。
また、使用前後の針を画像データで比較することも可能であり、インターネット等を通じて遠隔地管理もできる。
【0015】
剥離紙は、剥離層を有して粘着部からの剥離が容易な剥離面と、剥離層を有せず粘着部への貼付性の高い貼付面を有するものとすると、剥離面を粘着部から剥がして剥離紙を外した上で裏返し、貼付面側で使用済みの針をより強く被覆状態に保持固定出来る。
【0016】
このカードの針管理カードを通して、使用会社間の連携を強くしたり、使用会社を会員制にすることで、会社間のトラブル、顧客とのトラブルを共有化し、早期対策が可能になる。
特に、針の種類によって、針を提供するメーカーを相互に分担する場合に、メーカー毎にカードに記載の広告やロゴを変えることで、お互いに安心して針管理ができ、縫製製品の安全性を証明することにもなる。
バーコード、二次元コード等により、針と、カード本体、剥離紙とを関連付け、針の使用前、使用中、使用後を区別すると、針の在庫管理、針の使用場所及びミシン、針の貸し借りも管理しやすくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明に関する針管理カードの実施例を図6(a)に示し、その分解図を図6(b)に示す。
針管理カード(必要に応じて単にカードと称する。)10は名刺程度の大きさの方形台紙よりなる針管理カード本体11の所定位置に、新しい針の装着部20と、使用済み針の針粘着部30を設けて、針管理カード本体の残りのスペースに管理項目の記載欄12と、チェック項目の記載欄13とを設けてある。
新しい針の装着部20は、ミシン針や待針等の針を嵌挿させることで針を係止出来るように針管理カード本体11に2つ以上の穴20aを設けてあり、図7(a)に示すように新しい針40を針管理カード本体11に装着出来る。
新しい針の装着部20は、針を装着出来ればこのように穴20aに針を嵌挿させる構造に限定されるものではなく、例えば針管理カードの所定位置に貼り付けたスポンジや布、フェルト等に針を刺して止める構造等としても良い。
また装着した針を検針器に反応しやすくするように磁化させ、あるいは、針管理カードを磁石でミシン等に簡単に取付くようにしても良い。
このように針管理カードに使用する針を装着することで、個別の針をそれぞれ針管理カードに対応させて使用前から管理出来るようになり、また、針も持ち運びや受け渡しが容易となる。
そして、装着した針の内容も簡単に把握できるようになり、整理した状態で収納しやすいため紛失防止も図ることが出来、在庫管理も行いやすい。
図6(b)に示すように、針管理カード本体11の所定位置は使用済みの針を取り付けて展示するための展示欄14とし、使用済み針の針粘着部30は、この展示欄14に貼り付けた透明針粘着部31と、透明針粘着部31の粘着面31aに貼り付ける透明剥離紙32とを有している。
使用済み針の針粘着部30は、図7(b)に示すように例えば定期交換した使用済み針41を、あるいは図7(c)に示すように折れた使用済み針42を粘着面31a上に付着する。
展示欄14には、印字部14a、印画部14b等を形成してある。
この印字部14a、印画部14bは針の販売関連会社の広告用に使用することができ、広告料収入源とすることもできる。
また、展示欄14には基準線(指示マーク部)14dと説明部14cとが印刷により設けてあり、これらは透明針粘着部31と透明剥離紙32を通して外部から目視可能としてある。
基準線14dは、図7(c)に示すように破損して分断状態となった使用済みの針42を、透明針粘着部31の粘着面31aに無破損の針形状で復元させる位置に貼り付けるための、貼付位置を指示する基準となる線である。
この基準線は後述するように、針にしるした印線部と、透明剥離紙あるいは展示欄に照合用の照合線を設けて折れた針の長さを照合出来るようにしても良い。
透明粘着部31は針の粘着面31aと展示欄接着面31bとを有し、針管理カード本体から剥がしにくくなっていて、この透明粘着部31の下の展示欄14に、このように針の販売関連業者名やロゴ等の広告を表示すると、この広告部分を印刷し直して改ざんしようとしても透明粘着部31が妨げとなって容易には出来ないものにしてある。
透明剥離紙32は、裏面に剥離剤を塗布して剥離層を形成し、粘着部31から剥離容易とした剥離面32aを有して、表面に剥離剤を塗布せずに粘着部31に強く貼付が出来る貼付面32bを有した透明なシート状で、図9(a)に示す針管理カードの未使用状態では剥離面32aを透明針粘着部31に貼り付けて透明針粘着部31から剥離容易としつつ、図9(b)、図9(c)に示すように粘着面31aに使用済みの針を取り付ける時には、手で摘んで図9(b)に示すように粘着部31から剥離し、表裏を逆にして貼付面32bを、使用済みの針を取り付けた透明針粘着部31の粘着面31aに向けて針を被覆するように貼り付け、使用済みの針を目視可能に保持固定する。
使用済み針の針粘着部への針の付着手順については後述する。
【0018】
管理項目の記載欄12は、針管理カード10で管理する針の管理情報の記載欄である。
この欄には、例えば使用前の新しい針を工場の所定位置へ配置する際に用いたり、使用済みの針の使用環境調査や、針の欠損部が生じた場合の追跡調査等に用いることが出来る管理情報を記載する。
チェック項目記載欄13は、針に欠損部が生じて製品に混入していないか確認する作業を、使用済み針の針粘着部30に展示した針に関して確実に実施するためのチェックマーク記載欄である。
この管理項目の記載欄12やチェック項目記載欄13の記載内容は、図に記載した内容に限定されるものではなく、またユーザが任意に印刷出来るように空欄とした製品としても良い。
このように針管理カード10は針の欠損部の有無や針そのものの紛失を、使用済み針の針粘着部30へ展示装着した針を目視することで簡単に確認出来る。
そして、チェック項目記載欄12をチェックすることで使用済みの針に欠損部が生じて製品に混入していないかどうかの確認作業を確実に実施出来る。
また、管理項目記載欄12に針に欠損部が生じた場合に用いる追跡用の管理情報等を記載することで、欠損部が混入した製品を突き止め易くして確実に効率的に製品への混入を防止する。
また、管理項目記載欄12には針が破損した場合等の原因究明に役立てる針の使用環境に関する情報を記載する。
【0019】
本発明に関する針管理カードの販売システムについて説明する。
販売業者は電気通信回線を用いて、例えば図2に示すようにインターネット1のホームページを、販売業者のホームページ開設サーバ4に開設してある。
このホームページでは、このホームページにアクセスした顧客の操作により、例えば図8に示すような針粘着部のない広告用針管理カード(サンプル)10aを顧客の端末2に接続したプリンター3から印刷可能にしてある。
これにより例えば別のインターネットサイトを経由する等してこれらのホームページにアクセスした顧客に、無料で簡単に広告用針管理カード10aを提供するものとしてある。
そして、針管理カードの販売を委託した代理店のホームページ開設サーバ4aや、広告用針管理カードの提供を委託した広告業者等のホームページ開設サーバ4bからも、同様に広告用針管理カード10aを顧客の端末2に接続したプリンター3から印刷可能にしてある。
針管理カードの販売システムの構成の説明図を図1に示す。
また、販売業者のホームページに顧客がアクセスした場合のフロー図を図3に示し、代理店のホームページに顧客がアクセスした場合のフロー図を図4に示し、広告業者のホームページに顧客がアクセスした場合のフロー図を図5に示す。
顧客9は、図3、図4、図5に示すように、いずれのホームページにアクセスした場合でも広告用針管理カード10aの印刷用データをダウンロードして印刷出力することで広告用針管理カード10aを針管理カードのサンプルとして手元で確認し、場合によっては広告用針管理カード10aを用いて試験使用をすることが出来る。
これにより、効果的に図6(a)に示す針粘着部のある針管理カード10の普及を図ることが出来る。
顧客9のプリンターから印刷出力した広告用針管理カード10aは、製品版と全く同じデザインとしても良いが、展示欄14には広告用針管理カードの提供の目的に応じた広告(図示省略)が施してあり、製品版の針管理カードとは一見して区別出来るようにしても良い。
この広告用針管理カード10aは、管理項目欄12とチェック項目欄13を想定する顧客に合わせて異ならせた複数種類を選択出来るようにしても良い。
また、広告用針管理カード10aの管理項目欄12やチェック項目欄13を特定の顧客の個別仕様に合わせたものとして、販売業者や代理店がダウンロード用のパスワードを提供した特定の顧客のみがダウンロード出来るようにしても良い。
あるいは、特定の代理店の広告を載せる等の代理店等の業者の要求に応じた広告用針管理カードとして、販売業者がパスワードを送付した特定の代理店(業者)のみが販売業者のホームページからダウンロード可能としても良い。
広告用針管理カード10aは、所定サイズに切り、穴を穿って新しい針装着部を設け、展示欄14に透明なテープで使用済みの針を貼り付けて用いることで、ほぼ製品版の針管理カード10と同様に用いることも出来る。
顧客9は広告用針管理カード10aをサンプルとして確認して、針管理カードの製品版の購入を決めたら、アクセスしたホームページ毎に、図3、図4、図5のいずれかのフローに従って顧客端末2を用いたインターネット経由や、他の連絡手段により販売業者5あるいは代理店6に発注し、注文を受けた販売業者5あるいは代理店6は製品の針管理カードを顧客9へ発送する。
この場合に針管理カードを有料にしてもよく、又は針関連業者の広告料を収入源とすることも出来る。
図1に示すように、広告用針管理カード10aを代理店6や針の関連業者8等の広告付きとすることで、販売業者5は、販売業者5、代理店6、広告業者7より顧客9にダウンロードや直接配布、あるいはダウンロード用パスワード提供により無料提供した広告用針管理カードによる広告料収入を得つつ、製品の針管理カードの販売促進を図ることが出来る。
そして、広告用針管理カードを確認する等して、製品の針管理カードの購入を決めた顧客9に、販売業者5から直接、あるいは代理店6を通して針管理カードを販売して、製品販売による収入を得ることが出来る。
【0020】
使用済みの針の付着手順について図9、図10を用いて説明する。
図9は針が破損していない場合の針41の使用済み針装着部30への付着手順の説明図を示す。
針41が破損していない場合には、透明剥離紙32の一端を摘んで透明針粘着部31から図9(a)に示すように透明剥離紙32を剥がし、図9(b)に示すように透明針粘着部31の粘着面31aに使用済みの針41を貼り付ける。
そして、透明剥離紙32を裏返し、透明剥離紙32の貼付面32bを粘着面31aに貼り付けて図9(c)に示すように針41を透明剥離紙32で被覆する。
このように、針が破損していない場合にも使用済みの針41を針粘着部30に付着することで、この針管理カード10により針41そのものが紛失していないかどうかを容易に判断出来る。
図10は針が破損している場合の針の付着手順の説明図を示す。
針が破損している場合にも、まず図10(a)に示すように透明剥離紙32を透明針粘着部31から剥がす。
透明針粘着部31の貼付面31aには、無破損の針形状で復元させる位置に針破片を貼り付けるための基準線14dが図6に示す展示欄14上から透明針粘着部31を通して見えている。
各針破片42a、42b、42cは、針の先端や後端あるいは針穴等の基準となる部位を有する針破片を、基準線14dに合せて図10(b)に示すように粘着面31a上に貼り付けていく。
このように、針破片と指示マークとして設けてある基準線14dとを位置合わせすることで、針破片を無破損の針形状を復元するように粘着面31a上に貼り付け出来る。
針側の基準となる部位は、無破損の針形状を復元することが出来るものであれば、針先端等に限らず針のどのような位置であっても良く、また、次いで別の針管理カードの実施例で説明するように針に印刷等により照合用印部を設けるものでも良い。
そして、基準線14dの指示マークとしてのデザインも同様に限定されるものではなく、指示線状に限らず矢印や針の外形状を表すデザイン等でもよい。
この基準線14dは、図では1種類の針に対応するものだけを描いてあるが、複数種類の針に合うものを描いて、それぞれに対応可能としても良い。
また、針の長さを測定可能な目盛りを設けて、針破片をつなげて並べることでその長さを測定し、針の中間部の欠損がないかを判断するものでも良い。
次いで、透明剥離紙32を貼付面32bを粘着面31a側とするように裏返し、図10(c)に示すように剥離紙貼付面32bを粘着面31aに貼り付け、針破片からなる針42を透明剥離紙32で被覆して保持固定する。
針破片からなる針42を、このように使用済み針の針粘着部30に装着することで、折れた針42に欠損部が生じている場合には、例え欠損部が針の中間部であっても図10(c)に示すように欠損部が空隙43となるために欠損部が生じたことを容易に目視判断出来る。
このように透明剥離紙32で被覆して収納した針は容易には使用済み針の針粘着部30から外れないが、故意による別の針への入れ替えを防止したい場合には、透明剥離紙32毎被覆するように図11(a)に示すような透明剥離紙32より大きい透明シート材35を貼り付けても良い。
透明シート材35は、図11(b)のように透明剥離紙32周囲の針管理カード本体11の紙部分にその周囲を貼り付けるため、貼り付けた紙部分を破損させずには剥がせないことから針の入れ替え行為を防止出来る。
針管理カードへ付着した使用済みの針外観はOCRやカメラ等で画像データ化することが出来る。
使用済みの針外観を画像データ化すると、例えばインターネット等の電気通信回線を通して遠隔地から針の管理を行える。
針外観の画像データを用いた針の管理では、使用前の針の外観も針管理カードへの装着状態で比較照合用に画像データ化すると良い。
画像データを用いた針外観の判定は、目視判定に限定されず、例えば画像処理装置で自動的に判定しても良い。
【0021】
図12は、針破片の位置を合わせるための照合線を透明剥離紙に設けた針管理カードの実施例を示す。
図12に示す針管理カード10cは、予め印刷等で基準位置とする印線部45を所定位置に設けてある針40bを用いるもので、この印線部45を位置あわせする照合線34を透明剥離紙32に設けてある。
透明剥離紙32に設ける照合線34は、図11に示す針管理カード10のように針破片の所定位置に合わせるものとして、印線部のない針を用いても良い。
照合線34は、透明剥離紙32の中央付近から、付着させる針の幅方向側の一辺を横切って透明剥離紙32に設けてある。
使用済みの針43は、裏返した透明剥離紙32の照合線34と針破片42d、42eの照合印部45とが合うように、図12(b)に示すように透明針粘着部31上に貼り付けていく。
これにより、使用済み針の針粘着部30aに図12(c)に示すように無破損の針形状で針破片42d、42eを復元出来る。
透明剥離紙32は、裏返して用いたかどうかを照合線34の位置を見ることで簡単に確認出来る。
透明剥離紙32には照合線34とは別に、裏返して用いたかどうかを簡単に確認出来るマークを設けても良い。
【0022】
図13は透明剥離紙の代わりに透明カバー33を設けた針管理カード10bの実施例の説明図を示す。
【0023】
針管理カードには、顧客が針管理カードに印刷出来る印刷用ソフトと手引きを添付すると、顧客が独自の印刷表示部を針管理カードに簡単に設けられるようになる。
図14(a)は、印刷用ソフトを用いて顧客が独自の印刷部を針管理カードに設ける前の針管理カード10の状態を示し、、図14(b)は顧客が印刷用ソフトで独自の印刷部15aを設けた針管理カード10dの状態を示す。
顧客独自の印刷部15aは、新しい針装着欄15に設けてある。
新しい針装着欄15とは、新しい針の装着部を設けるための針管理カード本体11のスペースを意味する。
新しい針の装着部は、図15(a)、図15(b)に示すように、スポンジや布、フェルト等の針を刺して留める針刺着部材21aを粘着テープ21b等で接着して形成することも出来る。
この針刺着部材21aを用いる新しい針の装着部21は、予め製品として針管理カードに取付済みとしてもよいが、針管理カードに添付した手引きに従って顧客が印刷した印刷部15a上に針刺着部材21aを接着するものとしても良い。
新しい針の装着部21には図15(c)に示すように針40を刺して留める。
針刺着部材21aを新しい針の装着欄15の上に接着させると、顧客独自の印刷部15aを針刺着部材21aで覆い隠すことが出来る。
このように針刺着部材21aで隠してあり針管理カード10dの外観からは分からない顧客独自の印刷部15aを針管理カード10dに設けて、例えばこの印刷部15aを偽造防止用の管理用ID等とすると、この管理用IDの有無や内容の照合により針管理カードが偽造されたものかどうかを容易に判断できるようになる。
【0024】
針管理カードの印刷用ソフトでは、管理項目記載欄及びチェック項目記載欄のスペースに印刷する内容も顧客が独自に設定出来るため、図16に示すような管理項目欄とチェック項目記載欄のスペースを空白とした針管理カード10fを用いると、この針管理カード10fに例えば顧客が独自に設定した管理項目やチェック項目等の印刷部15bを設けることが出来る。
【0025】
図17に針51と針管理カ−ド10とを「トクエー株式会社」の文字印刷あるいはスタンプ印にて一々対応させた例を示す。
(a)に示すように、カードに針51を刺し込み装着した状態にて、(b)に示すように針の上からトクエー株式会社の文字をインクジェット等で印刷する。
このように針51と針管理カード10とを照合手段にて一々対応させたカードから針を抜き取った状態を(c)に示す。
照合印付き針52を使用し、使用後にこのカードに粘着する際に、針52に付されている照合印62とカードの照合印の切り取り部61とを照合することで確実にこのカードで管理された針であることの証拠になる。
この照合印としては、例えば針の管理情報を入れ込んだバーコードや二次元コードなどを印刷するものでもよい。
また、本実施例では、針粘着部に長さ計測目盛りを入れてあり、折れた針等を復元回収しやすくしてある。
【0026】
図18は、針管理管理カード10の針の装着位置に対応する部分に、切り抜いた図柄孔72を設けてあり、針70を装着した状態でスタンプ77を押すと、針跡を針管理カード10に残し、針70に照合印を付する例を示す。。
(a)に示すように、カードに針70を差込装着した状態にて、(b)に示すように針70付近にスタンプ77を押してスタンプ跡73を設け、スタンプによる着色がされた針71を抜き取った状態を(c)に示す。
針管理カードのスタンプ跡73に残った針跡74と、針にスタンプ77が直接着色した着色部76と図柄孔72を通して着色した図柄75とを照合することで、このカードで管理された針であることの証拠となる。
【0027】
図19は、二次元コードやバーコードを印刷した管理用シールを貼り付けた針管理カードの実施例を示す。
(a)は二次元コード83を印刷した管理用シール80を、透明剥離紙32からカード本体11にかけて貼り付けた場合を示し、(b)は二次元コード83と管理項目86を印刷した管理用シール81を透明剥離紙32からカード本体11にかけて貼り付けた場合を示し、(c)はバーコード85と管理項目86を印刷した管理用シール82を透明剥離紙32からカード本体11にかけて貼り付けた場合を示す。
二次元コード83やバーコード85には針の管理情報が入れ込んであり、例えばカードに装着した針データの使用前の登録や針が適正であることの照合などを、読取り機を用いて自動的に行えるようにしてある。
二次元コード83やバーコード85は、いずれも透明剥離紙32からカード本体11にかけて貼り付けることで、透明剥離紙32を使用済みの針を粘着させるため剥がす際に破れるようにしてある。
これにより、針の使用後には二次元コード83あるいはバーコード85を読取りできないようになり、使用後の針データの誤った登録などを防止できる。
この二次元コード83やバーコード85は、管理用シールを用いずに直接、透明剥離紙からカード本体にかけて印刷してもよい。
これらの管理用シール80、81、82は、例えばカードの販売業者がカード本体11とセットで販売した専用のシール台紙に、ユーザーが印刷して作成する。
このシール台紙への印刷データは、例えば販売業者のインターネットのホームページへの入力操作で作成したり、販売業者が提供する専用のソフトで作成する。
【0028】
図20は、図19(b)に示す針管理カード10hの使用例の説明図を示す。
針管理カード10hは、管理項目等が印刷されていないカード本体11に、管理用シール81を貼り付けて作成する。
針管理カード10hには、針90を刺し込み装着しておき、針管理時や、針を使用する際などに読取り器(図示省略)で二次元コード83を読みとって、針管理用のデータ登録や、針適正の照合などを自動的に行う。
二次元コードの読取り器は、専用の読取り器であってもよいが、例えば二次元コードの読取り機能を有する携帯電話機などを用いてもよい。
使用済みの針91は、管理用シール81の二次元コード83部分を破って透明剥離紙32を剥がして粘着面31aに貼り付けて、透明剥離紙32は裏返して粘着面31aに貼り付け、針管理カード10hに使用済みの針91を収納する。
この状態で二次元コード83は、読取り不能となるため、使用済みの針91の針管理データを、誤って使用前の針管理データとして読取ることを防止する。
針使用前の針管理用データの登録作業は、このように二次元コード83の読取りで行うことで多くのデータを扱うことが可能で、また、針の画像データなどとの関連づけも自動的に行える。
よって、トラブル時などの針管理データの解析も効率的に行えるようになる。
また、針管理データを、登録作業とともに電気通信回線経由でサーバーなどに自動伝送することも容易に行えるので、例えば電気通信回線を経由した針管理業務が行いやすく、この場合には針管理カードの販売業者が針管理業務を委託されて行うことも考えられる。
針管理データの自動的な読取りは、例えば針の使用後にも読取りできるように管理用シール81に二次元コード84やバーコードを設けたり、カード本体11の例えば管理用シール81で隠れる部分などに二次元コードやバーコードを設けて行っても良い。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】針管理カードの販売システムの構成の説明図を示す。
【図2】広告用針管理カードを顧客に提供するための構成の説明図を示す。
【図3】販売業者のホームページに顧客がアクセスした場合のフロー図を示す。
【図4】代理店のホームページに顧客がアクセスした場合のフロー図を示す。
【図5】広告業者のホームページに顧客がアクセスした場合のフロー図を示す。
【図6】(a)は本発明に関する針管理カードの実施例の説明図を示し、(b)は針管理カードの分解斜視図を示す。
【図7】針管理カードへの針の装着又は付着状態の説明図を示す。
【図8】針管理カードのサンプルの説明図を示す。
【図9】使用済みの針を針粘着部に付着する手順の説明図を示す。
【図10】折れた使用済みの針を針粘着部に付着する手順の説明図を示す。
【図11】透明剥離紙を透明シート材で被覆する場合の説明図を示す。
【図12】透明剥離紙に照合線を設けた針管理カードの針粘着部に折れた使用済みの針を付着する手順の説明図を示す。
【図13】剥離紙の代わりに透明カバーを設けた針管理カードの実施例の斜視図を示す。
【図14】印刷用ソフトを用いて顧客が独自の印刷部を針管理カードに設けた状態の説明図を示す。
【図15】顧客が設けた印刷部上に針刺着部材を取り付けて新しい針の装着部を設ける手順の説明図を示す。
【図16】管理項目欄とチェック項目記載欄のスペースを空白とした針管理カードに印刷用ソフトで顧客が独自に印刷部を設けた状態の説明図を示す。
【図17】針とカードとの照合例を示す。
【図18】針とカードとの照合例を示す。
【図19】針管理用シールを貼り付けた針管理カードの実施例を示す。
【図20】針管理用シールを貼り付けた針管理カードの使用例の説明図を示す。
【符号の説明】
【0030】
1 インターネット
2 顧客のインターネット端末
3 プリンター
4 針管理カード販売業者のホームページ開設サーバ
4a 代理店のホームページ開設サーバ
4b 広告業者のホームページ開設サーバ
5 販売業者
6 代理店
7 広告業者
8 関連業者
9 顧客
10、10b、10c、10d、10e、10f、10g、10h、10j 縫製用の針管理カード
10a 広告用針管理カード(針管理カードサンプル)
11 針管理カード本体
11a フック穴
12 管理項目記載欄
13 チェック項目記載欄
14 展示欄(針管理カード本体粘着層下部)
14a 印字部
14b 印画部
14c 説明部
14d 基準線
15 新しい針の装着欄
15a、15b 顧客独自の印刷部
20、21 新しい針の装着部
20a 穴
21a 針刺着部材
21b 粘着テープ
21c 粘着テープ剥離紙
30 使用済み針の針粘着部
31 透明針粘着部
31a 粘着面
31b 接着面
31c 粘着層
32 透明剥離紙
32a 剥離面
32b 貼付面
33 透明カバー
34 照合線
35 透明シート材
40、40a 新しい針
40b 印線部を設けた新しい針
41 使用済みの針
42 折れた使用済みの針
43 印線部を設けてあり折れた使用済みの針
42a、42b、42c 針破片
43a、43b 針破片
44 空隙
45 印線部
51 針
52 照合印付き針
60 照合印
61 照合印の切り取り部
62 照合印
70 針
71 着色された針
72 図柄孔
73 スタンプ跡
74 針跡
75 図柄
76 着色部
77 スタンプ
80、81、82 管理用シール
83、84 二次元コード
85 バーコード
86 管理項目
90 針
91 使用済みの針

【特許請求の範囲】
【請求項1】
針の使用履歴を管理する針管理カードであって、カードは新しい針を装着しておく装着部と、装着部から抜き取り使用に供した後の使用済みとなった針を粘着する針粘着部と、当該針に関する管理項目記載欄とを備え、
カードと、当該カードによって管理される針との照合手段を有していることを特徴とする縫製用の針管理カード。
【請求項2】
針粘着部は使用済みの針を針粘着部に貼り付けた上から当該針を覆う片面剥離紙又はカバーを有していることを特徴とする請求項1記載の縫製用の針管理カード。
【請求項3】
針粘着部のない広告用針管理カードを電気通信回線にて無料配信及び印刷出力する手段と、
電気通信回線等による顧客の注文に応じて請求項1又は2記載の縫製用の針管理カードを配送する手段とを有し、
針管理カードの針粘着部を形成する光透過性の粘着層の下部に位置する針管理カード本体に、広告又は針管理用の、印字又は印画部を形成してあることを特徴とする縫製用の針管理カードの販売システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2008−37502(P2008−37502A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−179126(P2007−179126)
【出願日】平成19年7月7日(2007.7.7)
【出願人】(598162034)株式会社トクエー (4)
【Fターム(参考)】