説明

縮分装置

【課題】多量の粉体材料から材料の全体を正確に代表するサンプルを効率よく連続して採取する。
【解決手段】 鉛直な軸線に関して軸対称形状をなし、上端が尖って下方で径が拡大された形状の錐体11を備え、この錐体の頂部の上方から粉体を落下させ、周面に沿って滑落させる。この錐体には、頂点より低い位置に上端があって下方に連続する仕切壁13が周方向に複数設けられ、粉体を複数の仕切壁間に分割して滑落させる。そして、錐体の下端部から落下する粉体を、錐体の下端部に沿って周回移動する採取シュート33で採取する。採取シュートは錐体の下端から粉体が落下する位置を繰り返し通過し、分割された粉体のそれぞれについて採取シュートのそれぞれが繰り返しサンプルの採取を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉状又は粒状の材料から少量のサンプルを採取する縮分装置に係り、特に多量の材料の全体に分布する多数の位置から少量ずつのサンプルを採取する縮分装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
粉状又は粒状の材料の組成や品位を分析することは、取引の安全を期すために重量であり、材料の処理・加工等の計画を立案するためにも必要となる。一般に粉状又は粒状の材料は、多量の材料が集積されたときに、その全体で組成等が均一であることは少ない。このため全体の組成を把握するためには全体を代表するサンプルを採取する必要があり、縮分装置が用いられる。
【0003】
特に、貴金属を含むリサイクル原料、例えば白金が触媒として用いられる自動車の排気ガス処理装置のリサイクル原料や金等が用いられる電子機器の基板等のリサイクル原料は、粉状に破砕した状態で貴金属等の含有量を正確に把握する必要がある。このため分析用に採取されるサンプルは正確に全体を代表するものが要求される。
【0004】
縮分装置には、いくつかのタイプが提案されており、例えば特許文献1及び特許文献2に記載されたものがある。
特許文献1に記載されたものは、管路を搬送される粉状の材料が羽根車の回転領域を横断するものとなっている。この羽根車には所定の中心角の領域にサンプル採取羽根が設けられており、羽根車が回転して粉体が流下する流域を通過する毎に粉体のサンプルを採取するものとなっている。
また、特許文献2に記載の縮分器は、流下方向が2つの方向に異なる溝を交互に配列し、この上から粉体を供給して溝の流下方向によって粉体を分割するものである。そして、例えば溝を環状に配列し、円錐体の周面に沿って粉体を滑走させて上記溝上に粉体を流下させるものとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭62−261939
【特許文献2】特開2003−172676
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のような従来の縮分装置では、多量の材料から数多くのサンプリングを行うことは多大な時間を要し、効率が極めて悪くなる。一方、サンプリングの回数を少なくすれば、材料全体の組成と採取されたサンプルの組成とに偏差が生じ、分析の精度が劣るものとなる。しかし、白金等の貴金属を含む粉体のサンプリングには高い精度が要求され、多量の粉体から全体を正確に代表するサンプルを採取することが求められている。
【0007】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、多量の粉体材料から材料の全体を正確に代表するサンプルを効率よく採取することを可能とする縮分装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1に係る発明は、 鉛直な軸線に関して軸対称形状をなし、上端が尖って下方で径が拡大された形状の錐体を備え、 該錐体の頂部の上方から落下させる粉体を、該錐体の周面に沿って滑落させ、下端部から落下する粉体の一部を採取する縮分装置であって、 前記錐体には、頂点より低い位置に上端があって下方に連続する仕切壁が周方向に複数設けられ、 前記粉体を複数の仕切壁間に分割して滑落させるものである縮分装置を提供する。
【0009】
この縮分装置では、錐体の頂部の上方から錐体上に落下した粉体が錐体の周面上を周方向に分布して滑落し、仕切壁で仕切られている領域毎に分割される。そして、分割された領域毎に錐体の下端部から落下する。一般に錐体の周面を滑落する距離が長くなると、粉体は周方向に分散されて単位幅当たりに滑落する量が減少する。滑落量が少なくなると滑落面の摩擦等の影響を受けて周方向の分布が不均一となりやすい。しかし、本発明の縮分装置では、錐体上を落下する粉体が、周方向の分布が均一に維持されている位置で仕切壁間の中心角にしたがって分割され、この分割量を維持したまま仕切壁間を下端部まで落下する。したがって周面上を滑落する粉体を正確に分割し、分割されたそれぞれについてサンプルを採取することができる。
【0010】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の縮分装置において、 前記仕切壁の頂部に接合され、前記錐体の周面と間隔をあけて対向するように蓋板が設けられているものとする。
【0011】
錐体の周面を滑落する粉体は、摩擦等の影響によって一部が舞い上がり、飛散が生じ易い。そして、仕切壁で仕切られた隣接領域の粉体と混じってしまうおそれがある。本発明の縮分装置では、仕切壁で仕切られた領域から粉体が飛散するのを蓋板によって抑えることができ、隣接領域との混合を防止して正確にサンプルの採取を行うことができる。
【0012】
請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2に記載の縮分装置において、 前記錐体の上方で該錐体の鉛直な軸線と中心軸線が一致するように支持され、粉体を錐体上に落下させる落下誘導管を有し、 該落下誘導管の下端は水平に切断されて前記錐体の周面との隙間が周方向に均一となるように支持されているものとする。
【0013】
この縮分装置では、落下誘導管と錐体との隙間が周方向に均一となっており、落下誘導管から錐体上へ落下する粉体が周方向に均等に近い状態となる。したがって錐体の周面上を滑落する粉体の量は周方向にほぼ均等に分布するものとなり、錐の周面上に設けられた仕切壁によって正確に分割されることになる。
【0014】
請求項4に係る発明は、請求項3に記載の縮分装置において、 前記落下誘導管は上下方向に移動して、該落下誘導管の下端と前記錐体の周面との環状の隙間の大きさを調整するものとする。
【0015】
この縮分装置では、落下誘導管を経て落下する粉体の量が多くなるように設定したときにも落下誘導管と錐体との間隙の上部で粉体が滞留するのを間隙の調整で回避することができる。また、落下する粉体の量を少なく設定したときには、落下誘導管と錐体との間隙をこの上部で粉体が滞留しない範囲で接近させ、落下誘導管に沿って錐体上に正確に粉体を落下させることができる。
【0016】
請求項5に係る発明は、請求項1から請求項4までのいずれかに記載の縮分装置において、 前記錐体は、前記頂点より下方で前記仕切壁の上端より上方の周面に、周方向に連続する段差が設けられ、 該段差は、該段差より下方の傾斜面が該段差より上方の傾斜面の延長面より下方となるように設けられたものとする。
【0017】
この縮分装置では、段差の上流側を滑落する粉体は段差の下流側で一旦傾斜面から離れて跳躍し、その後段差の下側の傾斜面上に落下してさらに滑落する。これにより、錐体の傾斜面で粉体に作用する摩擦が低減され、摩擦の影響で傾斜面上を滑落する粉体の周方向の分布が変動するのを低減することができる。したがって、錐体の周面上を滑落する粉体が周方向にほぼ均等に分布している状態が維持され、仕切壁で正確に分割することができる。
【0018】
請求項6に係る発明は、請求項1から請求項5までのいずれかに記載の縮分装置において、 前記錐体の下端部から落下する粉体の一部を採取するサンプリング部を有し、 該サンプリング部は、 前記錐体の下端部の下側に設けられて周回移動し、前記錐体の周面上で分割された粉体が落下する位置を繰り返し通過する1又は2以上の採取シュートを有するものとする。
【0019】
この縮分装置では、錐体上で分割されて錐体の周面上を滑落する粉体のそれぞれについて、採取シュートが移動して繰り返しサンプルを採取することができる。したがって、効率よく多数のサンプルを異なる位置で採取することが可能となる。
【0020】
請求項7に係る発明は、請求項1から請求項5までのいずれかに記載の縮分装置において、 前記錐体の下端部から落下する粉体の一部を採取するサンプリング部を有し、 上記サンプリング部は、 前記錐体の鉛直な軸線と一致する中心軸線回りに回転駆動される上部テーブルと、 該上部テーブルの下方にあって該上部テーブルとともに回転する下部テーブルと、 前記上部テーブルの外周部に沿って複数が設けられ、前記錐体の下端部の下側で該下端部に沿って周回し、前記錐体から落下する粉体の一部を受け入れる採取シュートと、 前記下部テーブルの外周部に沿って形成された複数の外側排出口と、 前記外側排出口の中心軸線側に設けられた複数の内側排出口と、 前記採取シュートから前記外側排出口と前記内側排出口とのいずれかを選択して接続することが可能となった導管と、有し、 前記外側排出口に導かれた粉体と、前記内側排出口に導かれた粉体とを分けて排出するものである縮分装置を提供するものである。
【0021】
この縮分装置では、複数の採取シュートが上部テーブルの回転にともなって移動し、錐体の周面上で分割されて滑落する粉体のそれぞれについて、複数の採取シュートのそれぞれが繰り返しサンプルの採取を行うことができる。これにより、効率よく多数のサンプルを異なる位置で採取することが可能となる。そして、導管の接続を外側排出口又は内側排出口に切り換えることにより、複数が設けられた採取シュートからサンプルの採取に使用する採取シュートを限定することができ、サンプルの採取量を容易に変更することが可能となる。
【0022】
請求項8に係る発明は、請求項7に記載の縮分装置において、 前記錐体は、該錐体の鉛直な軸線と中心軸線が一致するように設けられた柱の上部に支持され、 前記上部テーブルと下部テーブルとは、前記柱に軸受けを介して支持され、該柱の回りで回転するものとする。
【0023】
この縮分装置では、錐体と上部テーブルとが同一の柱によって支持され、錐体の鉛直軸回りに上部テーブルを容易に回転駆動することができる。したがって、採取シュートを錐体の下端縁に沿って駆動して錐体の周面を滑落する粉体を正確に採取することが可能となる。
【発明の効果】
【0024】
以上、説明したように本発明の縮分装置では、錐体の周面上を周方向に分布して滑落する粉体を錐体の周面上で正確に分割し、分割されたそれぞれについて正確にサンプルを採取することができる。また、採取シュートが錐体の下端縁の下側で周回移動するものでは、錐体の周面上で分割された粉体のそれぞれから繰り返しサンプルの採取をおこなうことができ、全体に広く分布した多くの位置から少量ずつの粉体を正確に効率よく採取することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施形態である縮分装置の概略側面図である。
【図2】図1に示す縮分装置で用いられる粉体供給部の概略断面図である。
【図3】図2に示す粉体供給部の回転翼体及び孔あき板を示す概略平面図である。
【図4】図1に示す縮分装置で用いられる粉体滑落部及びサンプリング部の上部を示す概略断面図である。
【図5】図4に示す粉体滑落部の概略平面図である。
【図6】図1に示す縮分装置で用いられるサンプリング部の概略断面図である。
【図7】図6に示すサンプリング部で用いられる上部テーブルの概略平面図である。
【図8】図6に示すサンプリング部で用いられる下部テーブルの概略平面図である。
【図9】図1に示す縮分装置で用いられる排出部を示す概略断面図である。
【図10】図6に示すサンプリング部を用いた縮分装置の他の例を参考に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態である縮分装置の概略側面図である。
この縮分装置は、粉体が錐体の周面上を滑落する粉体滑落部1と、この粉体滑落部1の上方から粉体を落下させる粉体供給部2と、上記粉体滑落部1で錐体の周面を滑落した粉体の一部を採取するサンプリング部3と、サンプリング部3で採取された粉体を、採取されなかった粉体と分離して排出する排出部4とを有し、これらが支持枠体5によって支持されている。
【0027】
図2は、上記粉体供給部2の概略断面図である。
この粉体供給部2は、平断面が円形となった供給槽21と、この供給槽21に粉体を投入する供給管22と、この供給管22の下端部に固定された円錐体23及び回転翼体24と、上記供給槽21の下部に接続された落下誘導管25と、上記回転翼体の下側で水平に支持された孔あき板27と、を備えている。
【0028】
上記供給槽21は支持枠体5に固定支持されており、全高の中位から下方部分が漏斗状に徐々に縮径されている。そして、下端部が縮径された円筒状の接続部21aとなっておりこの接続部に落下誘導管25が接続されている。この供給槽21は上部に上蓋26を備えており、この上蓋の中心位置に開口が設けられて供給管22の支持部61が取り付けられている。上記供給管22の支持部61には軸受け62が設けられており、この軸受け62を介して上蓋26の開口に挿通された供給管22を該供給管の軸線回りに回転が可能に支持するものとなっている。
【0029】
上記供給管22は、互いに固着された外管22aと内管22bとからなり、外管22aに固定された駆動伝達ギア63には、支持枠体5に固定支持されたモータ64から駆動ギア65及び減速器(図示しない)を介して回転駆動力が伝達される。また、供給管22の上部は粉体受管66に接合され、粉体の搬送管67から送り出される粉体を受け取り、供給管22を介して供給槽21内に導くものとなっている。
なお、粉体受管66は供給管22と接合されて共に軸線回りに回転するものとなっており、固定支持された搬送管67との間には、摺動可能なシール部材が設けられている。
【0030】
上記供給管22の内管22bは下方に延長され、下端が開放されている。また、内管22bの下端には周方向の対向する位置から周面を延長するように下方へ2つの突出部22cが設けられ、これらの突出部22cに円錐体23及び回転翼体24が支持されている。そして、供給管22とともに該供給管の軸線回りに回転するものとなっている。
【0031】
上記円錐体23は、頂点を上方に向けて中心軸線が供給管22の中心軸線と一致するように支持されており、供給管22の内側を落下する粉体が下端の開口から放出されて該円錐体の周面に当たって周囲に分散される。
上記回転翼体24は、円錐体23に当たって分散された粉体が供給槽21内に供給される位置の下側に設けられており、中心部から半径方向に複数の翼を張り出したものである。それぞれの翼は回転方向に傾斜し、供給された粉体を周方向に均すように搬送するものとなっている。
【0032】
上記回転翼体24の下側であって供給槽21の内径が縮小される漏斗状部分に孔あき板27が水平に支持され、旋回する上記回転翼体24と近接している。この孔あき板27は、図3に示すように、粉体が通過し得る小孔がほぼ均等に設けられている。これらの小孔は、粉体の粒径に応じて適宜に内径を設定することができるものであり、例えば内径を2〜10mm程度、好ましくは3〜7mm程度とすることができる。この実施の形態では5mmとしている。
また、上記回転翼体24の回転速度は、孔あき板27の小孔を通過する粉体が周方向でほぼ均等となるように、小孔の径や供給される粉体量、粉体の性質等を考慮して適宜に設定することができるものであり、例えば0.5〜5回/秒とすることができ、望ましくは1〜3回/秒である。
【0033】
上記落下誘導管25は、上記供給槽21の接続部21aの外側に上下方向に相対的な移動が可能に嵌め合わされている。そして。ボルト28を介して供給槽21に支持されるとともに、このボルト28を調整することにより高さ方向の位置を変更し、下端縁と錐体11との間に生じる環状の隙間を調整することができるものとなっている。
【0034】
図4は、粉体供給部2の下方に設けられた粉体滑落部1及びサンプリング部3の上部を示す概略断面図である。
粉体滑落部1は、支持枠体5に固定された支持柱12の頂部に支持された錐体11を備え、上記粉体供給部2の落下誘導管25から落下する粉体が上記錐体11の周面上を滑落するものとなっている。この錐体11はほぼ円錐形となっており、落下誘導管25と中心軸線が一致するように支持されている。そして、落下誘導管25からは周方向に均一に粉体が落下されるので錐体11の頂点から全方位に分散されて落下する粉体が周方向にほぼ均一となるものである。
【0035】
上記錐体11の頂点から下方へ所定の距離となる位置に段差11aが設けられている。この段差11aは、段差の下流側の傾斜面が段差の上流側の傾斜面の延長線より下側となるように設けられたものである。したがって、段差11aの上流側を滑落する粉体は段差の下流側で一旦傾斜面から離れて跳躍し、その後段差の下側の傾斜面上に落下してさらに滑落するものとなっている。これにより、錐体11の傾斜面を滑落する粉体に作用する摩擦が低減されており、摩擦の影響で傾斜面上を滑落する粉体の周方向の分布が変動するのを低減している。
【0036】
また、上記錐体11の段差が設けられた位置の下流側から下端部にかけて複数の仕切壁13が設けられ、図5に平面図を示すように、錐体11の周面を周方向に分布して滑落する粉体を周方向に等分割するものとなっている。つまり、複数の仕切壁13の頂部は高さが揃えられ、それぞれの頂部が周方向に等間隔となっている。そして、それぞれの仕切壁間に分割された粉体を周方向に拡散させないように所定幅に制限して流下させるようになっている。
この実施の形態では、上記仕切壁13によって錐体11の周面が周方向に16等分されているが、等分する数は上記16等分に限定されるものではなく、適宜に選択することができる。
【0037】
上記仕切壁13の上部には蓋板14が全周にわたって設けられて錐体11の周面と対向しており、仕切壁間に流下した粉体の流下路を周囲が管状に閉じたものとしている。これによって流下する粉体が舞い上がって飛散しても、仕切壁で仕切られた隣接する領域を流下する粉体と混じることが防止されている。
【0038】
上記仕切壁13間を流下した粉体は、錐体11の下端部11bから放出され落下するものとなっており、放出された粉体をサンプリング部3に設けられて回転移動する採取シュート33が受けるものとなっている。
なお、上記錐体11の外側を覆うように設けられたカバー15は、下端が回転する上部テーブル31(後述)の上に支持されて、この上部テーブル31とともに回転するものとなっている。また、このカバー15の上部は上部支持回転体16及び軸受け17を介して固定支持された落下誘導管25に支持されている。
【0039】
図6は、上記粉体滑落部1の下側に設けられたサンプリング部3の概略断面図である。
このサンプリング部3は、上記錐体11の鉛直な中心軸線回りに回転駆動される上部テーブル31と、この上部テーブル31の下方にあって上部テーブル31とともに回転する下部テーブル32とを備えている。そして、上部テーブル31には、図7に示すように外周部に沿って複数の採取シュート33と排出シュート34とが交互に設けられている。これらの採取シュート33及び排出シュート34は、上部テーブル31の回転にともなって移動し、錐体11の下端部から粉体が継続的に落下する位置を通過して落下する粉体を分割して受け入れるものとなっている。そして、下部に接続された導管35を介して下部テーブル32へ送り出すものとなっている。
【0040】
上記採取シュート33と排出シュート34との間は、採取シュート内又は排出シュート内のいずれかに粉体が投入されるように仕切部36が設けられている。これらの仕切部36は、回転する上部テーブル31の半径方向に設けられ、上方に向かって尖った縁辺を有するものである。そして、採取シュート33の両側に設けられた2つの仕切部36のなす中心角α及び排出シュート34の両側に設けられた仕切部36のなす中心角βが所定の比となるように設定されている。これにより、錐体11の下端部から継続的に粉体が落下する位置を通過したときに、先端縁が尖った仕切部36によって粉体を上記中心角の比に正確に分割し、採取シュート33及び排出シュート34にそれぞれ受け入れるものとなっている。
【0041】
本実施の形態では、採取シュート33及び排出シュート34はそれぞれ8つが設けられており、採取シュート33に流下する範囲の中心角αが9°に設定され、排出シュート34に流下する範囲の中心角βが36°に設定されている。
なお、上記採取シュート33及び排出シュート34の数、それぞれの中心角及びこれらの中心角の比は上記値に限定されるものではなく、適宜に設定することができる。
【0042】
上記下部テーブル32には、図8に示すように外周部に沿って外側排出口37が配列されており、その内側には内側排出口38が配列されている。外側排出口37は、採取シュート33と排出シュート34との合計と一致する数が設けられており、内側排出口38は、採取シュート33の数と同数が設けられている。そして、排出シュート34の下部に接続された第1の導管35aが外側排出口37に接続され、排出シュート34に受け入れられた粉体を外側排出口37に導くものとなっている。また、採取シュート33の下部に接続された第2の導管35bは、外側排出口37と内側排出口38とのいずれかを選択して接続することができるものであり、適宜に接続を変更することができるものとなっている。
【0043】
上記上部テーブル31は、支持柱12に軸受け71を介して取り付けられて支持柱12の中心軸線回りに回転可能となった回転基部72に支持されている。そして、回転基部72には内歯ギア73が固着されている。この内歯ギア73には駆動ギア74が噛み合わされ、支持柱12に固定された駆動モータ75から駆動ギア74及び内歯ギア73に回転駆動力が伝達され、上部テーブル31を回転駆動するものとなっている。
【0044】
また、下部テーブル32は支持柱12の基部76に軸受け77を介して支持柱12の中心軸線回りに回転が可能に支持されており、上部テーブル31の採取シュート33及び排出シュート34と導管35で連結されている。これにより回転駆動力が伝達され、上部テーブルとともに回転するものとなっている。
【0045】
上記上部テーブル31及び下部テーブルの回転速度は適宜に定めることができ、望ましくは1〜10回/分程度に設定するのがよく、さらに望ましくは3〜7回/分である。上部テーブルの回転速度が大きいと、粉体のサンプリングを多数に分割して行うことが可能となるが、錐体11から落下する粉体を採取するときに粉体の飛散が多くなる。このため、分割して行うサンプリングの数と飛散によるサンプリング量の誤差とを考慮して定めるのが望ましい。本実施の形態では5回/分としている。
【0046】
図9は、上記サンプリング部3の下側に設けられた排出部4を示す概略断面図である。
排出部4は、外側排出口37の下方に支持された外側ホッパー41と、内側排出口38の下方に支持された内側ホッパー42とを備えている。外側ホッパー41の外周部は、環状に配列された外側排出口37の外側にあって外側排出口37に導かれた粉体が投下されるものとなっている。また、内側ホッパー42の外周部は、環状に配列された内側排出口38の外側で外側排出口37の内側にあって、内側排出口38に導かれた粉体が外側ホッパー37に投下される粉体と混ざらないように投下されるものとなっている。そして、内側ホッパー38に投下された粉体は、外側ホッパー41の外壁部を貫通する採取管43によって取り出される。また、外側ホッパー41に投下された粉体は、排出管44へと送り出されるものとなっている。
【0047】
このような縮分装置では、粉体受管66から供給管22内を落下した粉体は、供給管22の下端部に支持された円錐体23の円錐面に当たって周囲に分散され、供給槽22内に供給される。供給槽内では回転翼体24によって周方向に均されながら孔あき板27を通過し、周方向にほぼ均等に分布して落下誘導管25から錐体11の上に落下する。
錐体11の鉛直な軸線は落下誘導管25の中心軸線と一致しているので、錐体11の周面上に落下した粉体は周方向にほぼ均等に分布しており、段差11aを越えて仕切壁13間に流下する。仕切壁13の頂部は周方向に等間隔となっており、周方向に均等に滑落する粉体が均等に分割されて錐体11の下端部に至る。
【0048】
錐体11の下端部から連続的に落下する粉体は、回転する上部テーブル31に設けられた採取シュート33又は排出シュート34に受け入れられ、導管35を経て外側ホッパー又は内側ホッパーに投下される。そして、内側ホッパー42に投下された粉体は、採取管43からサンプルとして取り出される。また、外側ホッパー41に投下された粉体は排出管44から排出される。
【0049】
上記のようにサンプルを採取するサンプリング部3において、採取シュート33に接続された第2の導管35bは、外側排出口37と内側排出口38とのいずれかを選択して接続することができる。したがって、複数の採取シュート35bのそれぞれについて、受け入れられた粉体を外側ホッパーに投下するか又は内側ホッパーに投下するかを選択することができるものとなっている。これによって、採取するサンプルの量を変更することができる。
【0050】
例えば、本実施の形態で8つが設けられた採取シュート33について、接続された第2の導管の全てを内側排出口38に接続すると、8つの採取シュートに取り入れられた粉体の全てをサンプルとして採取するものとなり、排出シュート34との中心角の比により、全体量の1/5をサンプリングすることになる。そして、この採取された粉体は、16分割されて錐体11の周面を滑落するもののそれぞれから、8つの採取シュートがそれぞれ1分間に5回ずつサンプルを採取したものとなる。したがって、1分間に供給される粉体の異なる640箇所からサンプリングを行ったことになり、全量を代表させるサンプルとして精度の高いものとなる。
【0051】
また、サンプル量を少なくするときには、例えば第2の導管の4本を内側排出口38に接続し、他の第2の導管35は外側排出口37に接続する。このような状態では4つの採取シュートに取り入れられた粉体が内側ホッパーに投下され採取される。つまり、これら4つの採取シュート34が占める中心角は36°となり、全体量の1/10が採取されることになる。そして、16分割された粉体のそれぞれから4つの採取シュートがそれぞれ1分間に5回ずつサンプルを採取することになり、1分間に供給される粉体から320箇所でサンプリングされたことになる。
同様に、第2の導管35bの2本を内側排出口38に接続し、他の第2の導管35bは外側排出口37に接続すると、全体量の1/20が採取される。そして、16分割された粉体のそれぞれから2つの採取シュートがそれぞれ1分間に5回ずつサンプルを採取し、1分間に供給される粉体から160箇所でサンプリングされる。
【0052】
なお、上記粉体滑落部1は、上記の実施の形態で用いられている粉体供給部2とは異なる手段によって粉体が供給される場合にも用いることができる。また、上記サンプリング部3は上記のような粉体滑落部1や粉体供給部2とは異なる手段によって粉体が落下する場合においても、粉体のサンプリングを効率よく行うことができる。つまり、上記粉体滑落部1に代えて、周面上に仕切壁を備えていないものを採用した場合にも上記サンプリング部3が有する上記機能を発揮し得るものである。また、上記粉体供給部2及び粉体滑落部1に代えて、1又は複数の管路からほぼ一定量の粉体が継続して供給される場合においても、落下する粉体からサンプリングを行うことができる。例えば、図10に示すように所定時間当たりに一定量の粉体を供給する供給管81から粉体が落下する位置を、周回移動する採取シュート33が繰り返し通過するように配置することができる。これにより、落下する粉体から複数の採取シュートによって繰り返しサンプルを採取することができる。
【0053】
このように上記サンプリング部は、「継続して落下する粉体から一部の粉体を採取するサンプリング部を有し、 該サンプリング部は、 前記錐体の鉛直な軸線と一致する中心軸線回りに回転駆動される上部テーブルと、 該上部テーブルの下方にあって該上部テーブルとともに回転する下部テーブルと、 前記上部テーブルの外周部に沿って複数が設けられ、該上部テーブルの回転によって周回し、前記粉体が落下する位置を繰り返し通過して落下する粉体の一部を受け入れる採取シュートと、 前記下部テーブルの外周部に沿って形成された複数の外側排出口と、 前記外側排出口の中心軸線側に配列された複数の内側排出口と、 前記採取シュートから前記外側排出口と前記内側排出口とのいずれかを選択して接続することが可能となった導管と、有し、 前記外側排出口に導かれた粉体と、前記内側排出口に導かれた粉体とを分けて排出するものである縮分装置」として用いることができるものである。
【符号の説明】
【0054】
1:粉体滑落部、 2:粉体供給部、 3:サンプリング部、 4:排出部、 5:支持枠体、
11:錐体、 12:支持柱、 13:仕切壁、 14:蓋板、 15:カバー、 16:上部支持回転体、 17:軸受け、
21:供給槽、 22:供給管、 22a:供給管の外管、 22b:供給管の内管、 23:円錐体、 24:回転翼体、 25:落下誘導管、 26:上蓋、 27:孔あき板、 28:ボルト、
31:上部テーブル、 32:下部テーブル、 33:採取シュート、 34:排出シュート、 35a:第1の導管、 35b:第2の導管、 36:仕切部、 37:外側排出口、 38:内側排出口、
41:外側ホッパー、 42:内側ホッパー、 43:採取管、 44:排出管、
61:供給管の支持部、 62:軸受け、 63:駆動伝達ギア、 64:モータ、 65:駆動ギア、 66:粉体受管、 67:搬送管、
71:軸受け、 72:回転基部、 73:内歯ギア、 74:駆動ギア、 75:駆動モータ、 76:支持柱の基部、 77:軸受け

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉛直な軸線に関して軸対称形状をなし、上端が尖って下方で径が拡大された形状の錐体を備え、
該錐体の頂部の上方から落下させる粉体を、該錐体の周面に沿って滑落させ、下端部から落下する粉体の一部を採取する縮分装置であって、
前記錐体には、頂点より低い位置に上端があって下方に連続する仕切壁が周方向に複数設けられ、
前記粉体を複数の仕切壁間に分割して滑落させるものであることを特徴とする縮分装置。
【請求項2】
前記仕切壁の頂部に接合され、前記錐体の周面と間隔をあけて対向するように蓋板が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の縮分装置。
【請求項3】
前記錐体の上方で該錐体の鉛直な軸線と中心軸線が一致するように支持され、粉体を錐体上に落下させる落下誘導管を有し、
該落下誘導管の下端は水平に切断されて前記錐体の周面との隙間が周方向に均一となるように支持されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の縮分装置。
【請求項4】
前記落下誘導管は上下方向に移動して、該落下誘導管の下端と前記錐体の周面との環状の隙間の大きさを調整するものであることを特徴とする請求項3に記載の縮分装置。
【請求項5】
前記錐体は、前記頂点より下方で前記仕切壁の上端より上方の周面に、周方向に連続する段差が設けられ、
該段差は、該段差より下方の傾斜面が該段差より上方の傾斜面の延長面より下方となるように設けられたものであることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかに記載の縮分装置。
【請求項6】
前記錐体の下端部から落下する粉体の一部を採取するサンプリング部を有し、
該サンプリング部は、 前記錐体の下端部の下側に設けられて周回移動し、前記錐体の周面上で分割された粉体が落下する位置を繰り返し通過する1又は2以上の採取シュートを有することを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれかに記載の縮分装置。
【請求項7】
前記錐体の下端部から落下する粉体の一部を採取するサンプリング部を有し、
上記サンプリング部は、
前記錐体の鉛直な軸線と一致する中心軸線回りに回転駆動される上部テーブルと、
該上部テーブルの下方にあって該上部テーブルとともに回転する下部テーブルと、
前記上部テーブルの外周部に沿って複数が設けられ、前記錐体の下端部の下側で該下端部に沿って周回し、前記錐体から落下する粉体の一部を受け入れる採取シュートと、
前記下部テーブルの外周部に沿って形成された複数の外側排出口と、
前記外側排出口の中心軸線側に設けられた複数の内側排出口と、
前記採取シュートから前記外側排出口と前記内側排出口とのいずれかを選択して接続することが可能となった導管と、有し、
前記外側排出口に導かれた粉体と、前記内側排出口に導かれた粉体とを分けて排出するものであることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれかに記載の縮分装置。
【請求項8】
前記錐体は、該錐体の鉛直な軸線と中心軸線が一致するように設けられた柱の上部に支持され、
前記上部テーブルと下部テーブルとは、前記柱に軸受けを介して支持され、該柱の回りで回転するものであることを特徴とする請求項7に記載の縮分装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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