説明

縮合環ジカチオン性抗原虫剤及びそれらのプロドラッグ

【課題】 縮合環ジカチオン抗原虫剤及びそれらのプロドラッグを提供すること。
【解決手段】 新規な縮合環ジカチオン抗原虫化合物を提供する。代表的な原虫の種としては、非限定的に、ローデシアブルーシェイトリパノソーマ(T.b.r.)及び熱帯熱マラリア原虫が挙げられる。これら化合物のプロドラッグは、マラリア及びヒトアフリカトリパンパノソーマ症の経口治療で使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出題との相互参照)
本出願は、その開示内容を全体として参照により本明細書に組み込む2003年11月24日出願の米国仮出願第60/525018号の利益及び優先権を請求する。
【0002】
ここで開示される主題は、ジカチオン性化合物により、微生物感染を抑制する方法に関する。より具体的には、ここで開示される主題は、縮合環ジカチオン性化合物により微生物感染を抑制する方法、及びその新規な化合物それ自体に関する。
【0003】
(略語)
δ =化学シフト
Ac =アセチル
AcO =アセトキシル
AcOH =酢酸
AcO =無水酢酸
Am =アミジン
AmOH =アミドキシム
BOC =t−ブトキシカルボニル
Bu =ブチル
℃ =摂氏温度
calcd =計算値
cm =センチメートル
dec =分解点
DIBAL =水素化ジイソブチルアルミニウム
DMF =ジメチルホルムアミド
DMSO =ジメチルスルホキシト゛
O =重水
EtOAc =酢酸エチル
EtOH =エタノール
FAB =高速原子衝撃イオン化法
g =グラム
h =時間
HCI =塩化水素
HPLC =高速液体クロマトグラフィー
Hz =ヘルツ
kg =キログラム
KO−t−Bu =カリウムt−ブトキシド
L.d. =ドノバンリーシュマニア
M =モル
Me =メチル
MeO =メトキシル
MHz =メガヘルツ
mL =ミリリットル
mm =ミリメートル
mM =ミリモル
m.p. =融点
MS =質量分析
NaCO =炭酸ナトリウム
NaSO =硫酸ナトリウム
NBS =N−ブロモスクシンイミド
NHOH・HCI =塩酸ヒドロキシルアミン
NMR =核磁気共鳴
p =パラ
Pd−C =10%パラジウム炭素
P.f. =熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)
psi =平方インチ当たりのポンド
spp. =種
T.br. =ローデシアブルーシェイトリパノソーマ
THF =テトラヒドロフラン
TLG =薄層クロマトグラフィー
TMS =トリメチルシリル
UV =紫外線
【背景技術】
【0004】
(背景)
免疫不全である人口における微生物感染(例えば、マイコバクテリア、真菌、及び原虫感染)の罹患率は、過去数年にわたり、明らかに増加してきている。特にカンジダ種、なかでもカンジダアルビカンス(Candida albicans)は、しばしばヒト免疫不全ウイルス(HIV)に感染した患者において、重要な病原菌である。他の病原菌であるニューモシスティスカリニ(Pneumocystis carinii)は、エイズで苦しむ患者を死に至らしめる主要な原因の1つであると考えられているある種の肺炎(PCP)を引き起こす。さらに、ヒトアフリカトリパノソーマ症(HAT)は、6000万人以上もの人々に対する脅威として再出現している。現在の概算では、35万人から45万人の人々が感染している。他の深刻な、且つ生命を脅かす微生物感染は、マイクロバクテリウムツベルクロシス(Mycobacterium tuberculosis)、アスペルギルスエスピーピー(Aspergillus spp.)、クリプトスポリジウムパルブム(Cryptosporidium parvum)、ランブル鞭毛虫(Giardia lamblia)、プラスモジウムエスピーピー(Plasmodium spp.)、トキソプラズマゴンディ(Toxoplasma gondii)、フザリウムソラニ(Fusarium solani)、及びクリプトコックスネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)によって引き起こされる。
【0005】
ジカチオン分子の抗微生物作用は、1930年代から研究されてきた。この型の化合物は、典型的にはカチオン部分としてアミジン基を利用しており、クリプトスポリジウムパルブム、ランブル鞭毛虫、リーシュマニアエスピーピー(Leishmania spp.)、プラスモジウムエスピーピー、ニューモシスティスカリニ、トキソプラズマゴンディ、トリパノソーマエスピーピー、カンジダアルビカンス、アスペルギルスエスピーピー、及びクリプトコックスネオフォルマンスを含む数々の病原菌に対するそれらの活性が報告されている。例えば、King, H.らの論文(Ann. Trop. Med. Parasitol. 1938, 32, 177-192)、Blagburn, B. L.らの論文(Antimicrob. Agents Chemother. 1991, 35, 1520-1523)、Bell, C. A.らの論文(Antimicrob. Agents Chemother. 1991, 35, 1099-1107)、Bell, C. A.らの論文(Antimicrob. Agents Chemother. 1990, 34, 1381-1386)、Kirk, R.らの論文(Ann. Trop. Med.Parastiol. 1940, 34, 181-197)、Fulton. J. D.の論文(Ann. Trop. Med. Parasitol. 1940, 34, 53-66)、Ivady, V. G. らの論文(Monatschr. Kinderheilkd. 1958, 106, 10-14)、Boykin. D. W.らの論文(J. Med. Chem. 1995, 38, 912-916)、Boykin, D. W.らの論文(J. Med. Chem. 1998, 41, 124-129)、Francesconi.I.らの論文(J. Med. Chem. 1999, 42, 2260-2265)、Lindsay, D. S.らの論文(Antimicrob. Agents Chemother. 1991, 35, 1914-1916)、Lourie. E. M.らの論文(Ann. Trop. Med. Parasitol. 1939, 33, 289-304)、Lourie. E. M.らの論文(Ann. Trop. Med. Parasitol. 1939, 33, 305-312)、Das, B. P.らの論文(J Med. Chem. 1976, 20, 531-536)、Del Poeta. M.らの論文(J. Antimicrob. Chemother. 1999, 44, 223-228)、Del Poeta, M.らの論文(Antimicrob. Agents Chemother. 1998, 42, 2495-2502)Del Poeta, M.らの論文(Antimicrob. Agents Chemother. 1998, 42, 2503-2510)を参照されたい。
【0006】
ジアミジンによって示される広い範囲の活性にもかかわらず、この化学型の1つの化合物であるペンタミジンのみが、臨床使用に有意義であることが示されている。ペンタミジンは、アフリカトリパノソーマ症、アンチモン耐性のリーシュマニア症、及びニューモシスティスカリニ肺炎に対して、臨床的に用いられてきた。例えば、Apted. F.I.C.の論文(Pharmacol. Ther. 1980, 11, 391-413)、Bryceson, A. D. M.らの論文(Trans. Roy. Soc. Trop. Med. Hyg. 1985, 79, 705-714)、Hughes, W. T.らの論文(Antimicrob. Agents Chemother. 1974, 5, 289-293)を参照されたい。
【0007】
それゆえ、先に参照した代表的病原菌や他の病原菌に対して、抗微生物活性を有する化合物が必要とされている。とりわけ、第二段階における経口治療が現在ない感染症であるヒトアフリカトリパノソーマ症の治療において活性を有する化合物が必要とされている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
縮合環ジカチオン性抗原虫剤及びそれらのプロドラッグを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(要旨)
ここで開示される主題は、式Iの化合物について記載するものである。
【0010】
【化1】

【0011】
(式中、X及びYはそれぞれ独立に、CH、CH、N、C=O、O、S、及びNR(Rは、H、アルキル、アリール、アルコキシル、アリールオキシルからなる群から選択される。)からなる群から選択され、Yは存在していても、存在していなくてもよく;R及びRはそれぞれ独立に、H、アルキル、ハロ、ヒドロキシル、アルコキシル、アリールオキシル、及びアラルキルオキシルからなる群から選択され;m及びnは0から3の整数であり、但しmが0の場合、Rは黙示的に水素であり、nが0の場合、Rは黙示的に水素であり;p及びqは0から1の整数であり;A及びA’はそれぞれ独立に、下記式の基の1つから選択される:
【0012】
【化2】

【0013】
(式中、R、R、R、R、及びRはそれぞれ独立に、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヒドロキシル、アルコキシル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシシクロアルキル、アルコキシシクロアルキル、アミノアルキル、アシルオキシル、アルキルアミノアルキル、及びアルコキシカルボニルからなる群から選択され;又はR、及びRはともにCからC10のアルキル、ヒドロキシアルキル、又はアルキレンを表し;又はRは次式の基である:
【0014】
【化3】

【0015】
(式中、R及びR10はそれぞれ独立に、H、アルキル、アリール、及び−OR11(R11は、H、アルキル、及びアリールからなる群から選択される。)からなる群から選択される。)。
【0016】
いくつかの実施態様において、ここで開示される主題は、医薬として許容し得るキャリヤー中に式Iの化合物を含んだ医薬製剤に関するものである。
【0017】
いくつかの実施態様において、ここで開示される主題は、その必要とされている対象に対して有効量の式Iの化合物を投与することを含む微生物感染の治療方法に関するものである。
【0018】
いくつかの実施態様において、ここで開示される主題は、微生物感染治療用薬剤の製剤を行うための、先に記載した活性化合物(すなわち式Iの化合物)の使用に関するものである。
【0019】
したがって、いくつかの実施態様において、ここで開示される主題は、微生物感染の治療に役立つ化合物を提供する。いくつかの実施態様において、ここで開示される主題は、微生物感染の治療に使用される医薬製剤を提供する。いくつかの実施態様において、ここで開示される主題は、微生物感染を治療する方法を提供する。
【0020】
本明細書に先に記載された、ここで開示される主題の特定の実施態様は、ここで開示される主題が全体的又は部分的に関与するものであり、他の実施態様は、次に記載する最良のものとして示された添付の実施例との関連で明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
(詳細な説明)
ここで開示される主題を、本発明の代表的な実施態様を示す付随する実施例を参照して、これからより完全に以下に説明する。ここで開示される主題は、しかしながら異なる形で具体化することができるので、本明細書に示した実施態様に限定されるものと解釈すべきではない。むしろ、これらの実施態様を提供するのは、当業者にとって、この開示が徹底され、完全なものとなり、且つ本発明の範囲が十分に伝達するようにするためである。
【0022】
別に明記しない限り、本明細書で使用する全ての技術的及び科学的用語は、ここで記載される主題が属する技術分野の当業者が共通して理解しているものと同じ意味を有する。本明細書に記述されている全ての刊行物、特許出願、特許及び他の引用文献は、参照によりそっくりそのまま組み込まれる。
【0023】
明細書及び特許請求の範囲を通して、与えられた化学式又は名称は全ての光学異性体及び立体異性体並びにラセミ体混合物を、かかる異性体及び混合物が存在する場合は包含する。
【0024】
I. 定義
本明細書で使用する用語「アルキル」はC1〜20を含む、線状(すなわち「直鎖」)、枝分れ、又は環状、飽和又は少なくとも一部が不飽和、及び場合によっては完全に不飽和(すなわち、アルケニル及びアルキニル)の炭化水素鎖を意味し、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、オクテニル、ブタジエニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニル及びアレニル基を含む。「枝分れ」とは、メチル、エチル又はプロピル等の低級アルキル基が線状アルキル鎖に結合しているアルキル基を指す。「低級アルキル」とは、1個から約8個の炭素原子(すなわちC1〜8アルキル)、すなわち1、2、3、4、5、6、7又は8個の炭素原子を有するアルキル基を指す。「高級アルキル」とは、約10個から約20個の炭素原子、すなわち、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20個の炭素原子を有するアルキル基(すなわちC10〜20アルキル)を指す。ある実施態様において、「アルキル」は、特にC1〜8直鎖アルキルを指す。他の実施態様において、「アルキル」は、特にC1〜8枝分れ鎖アルキルを指す。
【0025】
アルキル基は、同一又は異なっていてもよい1個又は複数のアルキル置換基で場合により置換されていてもよい。用語「アルキル置換基」は、非限定的に、アルキル、ハロ、アリールアミノ、アシル、ヒドロキシル、アリールオキシル、アルコキシル、アルキルチオ、アリールチオ、アラルキルオキシル、アラルキルチオ、カルボキシル、アルコキシカルボニル、オキソ及びシクロアルキルを含む。場合により、アルキル鎖に沿って、1個又は複数の酸素、硫黄又は置換若しくは非置換窒素原子が挿入されていてもよく、ここで、窒素置換基は水素、低級アルキル(本明細書では「アルキルアミノアルキル」とも呼ぶ)、又はアリールである。
【0026】
本明細書で使用される用語「アリール」は、共有結合で連結しているか又はメチレン若しくはエチレン部分等の共通の基に連結した単一の芳香環又は一緒に縮合した複数の芳香環であり得る芳香族置換基を指す。共通の連結基はまたベンゾフェノンにおけるカルボニル又はジフェニルエーテルにおける酸素又はジフェニルアミンにおける窒素であり得る。この用語「アリール」は、特に、複素環式芳香族化合物を含む。芳香環(単数又は複数)は、とりわけ、フェニル、ナフチル、ビフェニル、ジフェニルエーテル、ジフェニルアミン及びベンゾフェノンを含むことができる。いくつかの実施態様においては、用語「アリール」は、約5個から約10個の炭素原子、すなわち、5、6、7、8、9又は10個の炭素原子を含み、5員及び6員の炭化水素及び複素環式芳香環を含めた環状芳香族を指す。
【0027】
そのアリール基は、同じか又は異なることができる1個又は複数のアリール置換基で場合により置換されていてもよく、ここで「アリール置換基」は、アルキル、アリール、アラルキル、ヒドロキシル、アルコキシル、アリールオキシル、アラルキルオキシル、カルボキシル、アシル、ハロ、ニトロ、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アラルコキシカルボニル、アシルオキシル、アシルアミノ、アロイルアミノ、カルバモイル、アルキルカルバモイル、ジアルキルカルバモイル、アリールチオ、アルキルチオ、アルキレン及び−NR’R”(R’及びR”は、各々独立して、水素、アルキル、アリール及びアラルキルであり得る。)を含む。
【0028】
アリール基の具体例としては、非限定的に、シクロペンタジエニル、フェニル、フラン、チオフェン、ピロール、ピラン、ピリジン、イミダゾール、ベンズイミダゾール、イソチアゾール、イソオキサゾール、ピラゾール、ピラジン、トリアジン、ピリミジン、キノリン、イソキノリン、インドール、カルバゾールなどがある。
【0029】
アリール基内の結合を表している点線は、その結合が、芳香環を構成している原子の数によって存在するか存在しないかのいずれかを示し、複素環式芳香環の場合はヘテロ原子の一体性を示す。
【0030】
芳香環又は複素環式芳香環の名称の付いた原子が「存在しない」ものとして明示された場合、その名称の付いた原子は、直接結合に置き換えられる。
【0031】
本明細書で使用する用語「置換アルキル」及び「置換アリール」は、アリール又は本明細書で定義したアルキル及びアリール基を含み、そのアリール及びアルキル基の1個又は複数の原子又は官能基が、他の原子又は、例えば、ハロゲン、アリール、アルキル、アルコキシル、ヒドロキシル、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、サルフェート及びメルカプトを含む官能基で置換されている。
【0032】
本明細書で使用する用語「アシル」は、カルボキシル基の−OHが他の置換基で置換されている有機酸基(すなわち、RCO−で示され、ここで、Rは本明細書で定義したアルキル又はアリール基である。)を指す。それゆえ、用語「アシル」は、アリールアシル基を特に含む。アシル基の具体例としては、アセチル及びベンゾイルが挙げられる。
【0033】
「環式」及び「シクロアルキル」は、約3個から約10個の炭素原子、すなわち、3、4、5、6、7、8、9又は10個の炭素原子の非芳香族性単環式又は多環式系を指す。シクロアルキル基は、場合により部分的に不飽和であり得る。シクロアルキル基は、本明細書で定義したアルキル置換基、オキソ及び/又はアルキレンで場合により置換されてもよい。場合により、環状アルキル鎖に沿って1個又は複数の酸素、硫黄又は置換若しくは非置換窒素原子が挿入されてもよく、ここで、窒素置換基は水素、低級アルキル、又はアリールであり、かくしてヘテロ環基を提供する。代表的単環式シクロアルキル環は、シクロペンチル、シクロヘキシル及びシクロヘプチルを含む。多環式シクロアルキル環は、アダマンチル、オクタヒドロナフチル、デカリン、カンファー、カンファン及びノルアダマンチルを含む。
【0034】
「アルコキシル」又は「アルコキシアルキル」は、アルキル−O−基(アルキルは先に記載したものである。)を指す。本明細書で使用する用語「アルコキシル」は、C1〜20を含む、線状、枝分れ、又は環状、飽和又は不飽和オキソ炭化水素鎖を指すことができ、例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、t−ブトキシ及びペントキシを含む。
【0035】
「アリールオキシル」は、アリール−O−基(アリール基は先に記載したものである。)を指す。本明細書で使用する用語「アリールオキシル」は、フェニルオキシル又はヘキシルオキシル及びアルキル、ハロ、又はアルコキシル置換フェニルオキシル又はヘキシルオキシルを指すことができる。
【0036】
「アラルキル」は、アリール−アルキル−基(アリール及びアルキルは先に記載したものである。)を指す。例示的アラルキル基としては、ベンジル、フェニルエチル及びナフチルメチルが挙げられる。
【0037】
「アラルキルオキシル」は、アラルキル−O−基(アラルキル基は先に記載のものである。)を指す。例示的アラルキルオキシ基は、ベンジルオキシである。
【0038】
「ジアルキルアミノ」は、−NRR’基(各R及びR’は、独立に、先に記載したアルキル基である。)を指す。例示的アルキルアミノ基としては、エチルメチルアミノ、ジメチルアミノ及びジエチルアミノが挙げられる。
【0039】
「アルコキシカルボニル」は、アルキル−O−C(=O)−基を指す。例示的アルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、ブチルオキシカルボニル及びt−ブチルオキシカルボニルが挙げられる。アルコキシカルボニル基は、以下の構造式によりさらに表すことができる:
【0040】
【化4】

【0041】
式中、「R」基は、上文で定義したアルキル基を表す。アルコキシカルボニル基は、また、「アルキルエステル」基を指すこともできる。ここで開示される主題のいくつかの実施態様において、Rは、エチル基であり、アルコキシカルボニル基は、以下の式を含む:
【0042】
【化5】

【0043】
「アリールオキシカルボニル」は、アリール−O−C(=O)−基を指す。例示的アリールオキシカルボニル基としては、フェノキシ−及びナフトキシ−カルボニルが挙げられる。
【0044】
「アラルコキシカルボニル」は、アラルキル−O−C(=O)−基を指す。例示的アラルコキシカルボニル基は、ベンジルオキシカルボニルである。
【0045】
「カルバモイル」は、HN−C(=O)−基を指す。
「アルキルカルバモイル」は、R’RN−C(=O)−基(R及びR’の1つは水素であり、R及びR’の他方は、先に記載したアルキルである。)を指す。
「ジアルキルカルバモイル」は、R’RN−C(=O)−基(R及びR’の各々は、独立に、先に記載のアルキルである。)を指す。
「アシルオキシル」は、アシル−O−基(アシルは先に記載のものである。)を指す。
「アシルアミノ」は、アシル−NH−基(アシルは先に記載のものである。)を指す。
「アロイルアミノ」は、アロイル−NH−基(アロイルは先に記載のものである。)を指す。
【0046】
「アルキレン」は、1個から約20個の炭素原子、すなわち、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20個の炭素原子を有する直線又は枝分かれ二価脂肪族炭化水素基を指す。アルキレン基は、直線、枝分かれ又は環状であり得る。そのアルキレン基は、また、場合により不飽和であり、且つ/又は1個又は複数の「アルキル置換基」で置換されていてもよい。場合により、アルキレン基に沿って、1個又はそれ以上の酸素、硫黄又は置換若しくは非置換窒素原子(本明細書ではまた「アルキルアミノアルキル」と呼ぶ。)が挿入されてもよく、ここで、窒素置換基は、先に記載したアルキルである。例示的アルキレン基としては、メチレン(−CH−);エチレン(−CH−CH−);プロピレン(−(CH−);シクロヘキシレン(−C10−);−CH=CH−CH=CH−;−CH=CH−CH−;−(CH−N(R)−(CH−(q及びrの各々は、独立に0から約20の整数、すなわち、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20であり、Rは水素又は低級アルキルである。);メチレンジオキシ(−O−CH−O−);及びエチレンジオキシ(−O−(CH−O−)が挙げられる。アルキレン基は、約2個から約3個の炭素原子を有することができ、さらに、6〜20個の炭素を有することができる。
【0047】
用語「アミノ」は、−NH基を指す。
用語「カルボニル」は、−(C=O)−基を指す。
用語「カルボキシル」は、−C(=O)OH基を指す。
本明細書で使用する用語「ハロ」、「ハライド」又は「ハロゲン」は、フルオロ、クロロ、ブロモ及びヨード基を指す。
用語「ヒドロキシル」は、−OH基を指す。
用語「ヒドロキシルアルキル」は、−OH基で置換されているアルキル基を指す。
用語「メルカプト」は、−SH基を指す。
用語「オキソ」は、炭素原子が酸素原子で置き換わった本明細書で先に記載した化合物を指す。
用語「ニトロ」は、−NO基を指す。
用語「チオ」は、炭素又は酸素原子が硫黄原子で置き換わった本明細書で先に記載した化合物を指す。
用語「サルフェート」は、−SO基を指す。
【0048】
用語「独立に選択された」が使用される場合、言及されている置換基(すなわち、R及びR等のR基又は基X及びY)は、同一であるか異なることができる。例えば、R及びRは、ともに置換アルキルであることができるか、又はRが水素であり、Rが置換アルキルであることができる等である。
【0049】
言及した「R」、「R’」、「X」、「Y」、「Y’」、「A」、「A’」、「B」、「L」又は「Z」の基は、一般に、本明細書で別に特定しない限りその名称を有する基に相当するものとして当技術分野で認められている構造を有する。説明のために、上で示したある一定の代表的な「R」、「X」、「Y」及び「A」の基について以下で定義する。これらの定義は、当業者が本開示を見れば明らかであると思われる定義を妨げるのではなく補足して説明することを意図するものである。
【0050】
II. 新規化合物
A. 式Iの化合物
いくつかの実施態様において、ここで開示される主題は、式Iの化合物を提供する。
【0051】
【化6】

【0052】
式中、X及びYはそれぞれ独立に、CH、CH、N、C=O、O、S、及びNR(Rは、H、アルキル、アリール、アルコキシル、アリールオキシルからなる群から選択される。)からなる群から選択され、Yは存在していても、存在していなくてもよく;R及びRはそれぞれ独立に、H、アルキル、ハロ、ヒドロキシル、アルコキシル、アリールオキシル、及びアラルキルオキシルからなる群から選択され;m及びnは0から3の整数であり、但しmが0の場合、Rは黙示的に水素であり、nが0の場合、Rは黙示的に水素であり;p及びqは0から1の整数であり;A及びA’はそれぞれ独立に、下記式の基の1つから選択される:
【0053】
【化7】

【0054】
(式中、R、R、R、R、及びRはそれぞれ独立に、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヒドロキシル、アルコキシル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシシクロアルキル、アルコキシシクロアルキル、アミノアルキル、アシルオキシル、アルキルアミノアルキル、及びアルコキシカルボニルからなる群から選択され;又はR、及びRはともにCからC10のアルキル、ヒドロキシアルキル、又はアルキレンを表し;又はRは次式の基である:
【0055】
【化8】

【0056】
(式中、R及びR10はそれぞれ独立に、H、アルキル、アリール、及び−OR11(R11は、H、アルキル、及びアリールからなる群から選択される。)からなる群から選択される基である。)。
【0057】
式Iの化合物のいくつかの実施態様において、Xは、CHであり、Yは存在しない。上記実施態様において、縮合環構造は、9H−フルオレンを含む。いくつかの実施態様において、A、及びA’はそれぞれ独立に次式の基である。
【0058】
【化9】

【0059】
式中、p、及びqはそれぞれ1であり、R及びRはそれぞれ独立に、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヒドロキシル、アルコキシル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシシクロアルキル、アルコキシシクロアルキル、アミノアルキル、アシルオキシル、アルキルアミノアルキル、及びアルコキシカルボニルからなる群から選択され、且つRは、アリル、及び次式の基からなる群から選択される:
【0060】
【化10】

【0061】
(式中、R、及びR10はそれぞれ独立に、H、アルキル、アリール、及び−OR11(R11は、H、アルキル、及びアリールからなる群から選択される。)からなる群から選択される。)。
いくつかの実施態様において、A及びA’は、9H−フルオレン環の2位及び7位にある。
【0062】
いくつかの実施態様において、m及びnは、両方とも0であり、Rは、Hである。いくつかの実施態様において、RはHであり、Rはフェニルである。いくつかの実施態様において、RはHであり、Rは2−ピリジルである。
いくつかの実施態様において、Rは、次式の基である。
【0063】
【化11】

【0064】
式中、R、及びR10はそれぞれ独立に、H、アルキル、アリール、及び−OR11(R11は、H、アルキル、及びアリールからなる群から選ばれたものである。)からなる群から選択されたものである。
【0065】
いくつかの実施態様において、R及びRはそれぞれHである。いくつかの実施態様において、Rはエトキシカルボニルであり、RはHである。いくつかの実施態様において、R10はHである。いくつかの実施態様において、R10はメチルである。いくつかの実施態様において、R10はイソプロピルである。いくつかの実施態様において、R10はメトキシルである。いくつかの実施態様において、R10はイソブトキシルである。
【0066】
式Iの化合物のいくつかの実施態様において、Xは、C=Oであり、Yは存在しない。上記実施態様において、縮合環構造は、9H−フルオレン−9−オンを含む。いくつかの実施態様において、A、及びA’はそれぞれ独立に次式の基である。
【0067】
【化12】

【0068】
式中、p、及びqはそれぞれ1であり、R、及びRはそれぞれ独立に、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヒドロキシル、アルコキシル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシシクロアルキル、アルコキシシクロアルキル、アミノアルキル、アシルオキシル、アルキルアミノアルキル、及びアルコキシカルボニルからなる群から選択され、且つRはアリール、及び次式の基からなる群から選択される:
【0069】
【化13】

【0070】
(式中、R、及びR10はそれぞれ独立に、H、アルキル、アリール、及び−OR11(R11は、H、アルキル、及びアリールからなる群から選択される。)からなる群から選択される。)。
【0071】
いくつかの実施態様において、A及びA’は、9H−フルオレン−9−オン環の2位及び7位にある。いくつかの実施態様において、m及びnは、両方とも0であり、Rは、Hである。いくつかの実施態様において、Rは次式の基である。
【0072】
【化14】

【0073】
式中、R、及びR10はそれぞれ独立に、H、アルキル、アリール、及び−OR11(R11は、H、アルキル、及びアリールからなる群から選択される。)からなる群から選択される。
【0074】
いくつかの実施態様において、R、及びR10は両方ともHである。いくつかの実施態様において、RはHである。いくつかの実施態様において、Rはエトキシカルボニルである。
【0075】
式Iの化合物のいくつかの実施態様において、X及びYは、両方ともC=Oである。上記実施態様において縮合環構造は、9,10−アントラキノンを含む。いくつかの実施態様において、A及びA’は、それぞれ独立に次式の基である。
【0076】
【化15】

【0077】
式中、p及びqはそれぞれ1であり、R及びRはそれぞれ独立に、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヒドロキシル、アルコキシル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシシクロアルキル、アルコキシシクロアルキル、アミノアルキル、アシルオキシル、アルキルアミノアルキル、及びアルコキシカルボニルからなる群から選択されたものであり、且つRはアリールと次式の基からなる群から選択される:
【0078】
【化16】

【0079】
(式中、R、及びR10はそれぞれ独立に、H、アルキル、アリール、及び−OR11(式中、R11は、H、アルキル、及びアリールからなる群から選択される。)からなる群から選択される。)。
【0080】
いくつかの実施態様において、m及びnは、両方とも0であり、RはHである。いくつかの実施態様において、Rは次式の基である。
【0081】
【化17】

【0082】
式中、R及びR10はそれぞれ独立に、H、アルキル、アリール、及び−OR11(R11は、H、アルキル、及びアリールからなる群から選択される。)からなる群から選択される。
【0083】
いくつかの実施態様において、R及びR10は、両方ともHである。いくつかの実施態様において、RはHである。
【0084】
式Iの化合物のいくつかの実施態様において、XはNであり、YはCHである。上記実施態様において縮合環構造は、アクリジンを含む。いくつかの実施態様において、A及びA’はそれぞれ独立に次式の基である。
【0085】
【化18】

【0086】
式中、p、及びqはそれぞれ1であり、R及びRはそれぞれ独立に、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヒドロキシル、アルコキシル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシシクロアルキル、アルコキシシクロアルキル、アミノアルキル、アシルオキシル、アルキルアミノアルキル、及びアルコキシカルボニルからなる群から選択され、且つRはアリール、及び次式の基からなる群から選択される:
【0087】
【化19】

【0088】
(式中、R、R10はそれぞれ独立に、H、アルキル、アリール、及び−OR11(R11は、H、アルキル、及びアリールからなる群から選択される。)からなる群から選択される。)。
【0089】
いくつかの実施態様において、A及びA’は、アクリジン環の3位及び6位にある。いくつかの実施態様において、m及びnは両方とも0であり、RはHである。いくつかの実施態様において、Rは次式の基である。
【0090】
【化20】

【0091】
式中、R及びR10はそれぞれ独立に、H、アルキル、アリール、及び−OR11(式中、R11は、H、アルキル、及びアリールからなる群から選択される。)からなる群から選択される。
【0092】
いくつかの実施態様において、R及びR10は、両方ともHである。いくつかの実施態様において、RはHである。
【0093】
化合物Iのいくつかの実施態様において、その化合物は、下記化合物からなる群から選択される:2,7−ビス−グアニジノ−9H−フルオレン;2,7−ビス−グアニジノフルオレン−9−オン;2,7−ビス−グアニジノアントラキノン;3,6−ビス−グアニジノアクリジン;2,7−ビス−(N”−エトキシカルボニル)グアニジノ−9H−フルオレン;2,7−ビス(N”−エトキシカルボニル)グアニジノフルオレン−9−オン;2,7−ビス(N”−エトキシカルボニル−N’−メチル)グアニジノ−9H−フルオレン;2,7−ビス(N”−エトキシカルボニル−N’−イソプロピル)グアニジノ−9H−フルオレン;2,7−ビス(N”−エトキシカルボニル−N’−メトキシ)グアニジノ−9H−フルオレン;2,7−ビス(N”−エトキシカルボニル−N’−イソブトキシ)グアニジン−9H−フルオレン;2,7−ビス(N’−メチル)グアニジノ−9H−フルオレン;2,7−ビス(N’−イソ−プロピル)グアニジノ−9H−フルオレン;2,7−ビス(N’−メトキシ)グアニジノ−9H−フルオレン;2,7−ビス(N’−イソブトキシ)グアニジン−9H−フルオレン;2,7−ビス[(フェニルイミノ)アミノ)]−9H−フルオレン;及び2,7−ビス[(2−ピリジルイミノ)アミノ)−9H−フルオレンである。
【0094】
いくつかの実施態様において、式Iの化合物は、医薬として許容し得る塩を含む。いくつかの実施態様において、その塩は塩酸塩である。
【0095】
B. プロドラッグ類
代表的実施態様において、本明細書に記載の化合物はプロドラッグである。プロドラッグは、受け手への投与により、ここで開示される主題の化合物又は阻害活性代謝物若しくは残基を(直接又は間接的に)提供できる化合物を意味する。プロドラッグは、例えば、このような化合物を対象に投与したとき、ここで開示される主題の化合物の生物学的利用能を増加(例えば、経口投与した化合物を、より容易に血中に吸収するようにさせることにより)できたり、又は、代謝体と比較して、生物学的区画(例えば、脳又はリンパ系)への親化合物の送達を促進することができる。実施例2に記載の多くの化合物(例えば化合物7a、7b、7c、7d、8c及び10)はプロドラッグである。
【0096】
C. 薬学的に許容される塩
さらに、ここで開示される主題の活性化合物は薬学的に許容される塩として投与できる。このような塩は、グルクロン酸塩、乳酸塩、酢酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、硝酸塩、硫酸塩及び塩酸塩を含む。ここに記載の化合物の塩は、一般に、塩基化合物の2当量の化合物を、所望の酸と溶液中で反応させて製造できる。反応が完了した後、塩が不溶性である溶媒を適当量添加して、塩を溶液から結晶化させる。いくつかの実施態様においてその薬学的に許容される塩は塩酸塩である。
【0097】
III. 医薬製剤
式Iの化合物、その薬学的に許容される塩、式Iの化合物に対応するプロドラッグ、及びその薬学的に許容される塩は、全て本明細書では「活性化合物」と呼ぶ。前記の活性化合物を含む医薬製剤もまた本明細書で提供される。これらの医薬製剤は、本明細書に記載の活性化合物を薬学的に許容されるキャリヤー中に含んでいる。医薬製剤は、本明細書の下記に詳細に説明する経口、静脈注射、又はエアロゾル投与用として調製することができる。また、ここで開示される主題は、凍結乾燥させてあり、静脈内又は筋肉内注射によって投与するための薬学的に許容される製剤を形成するために元に戻すことができるそのような活性化合物を提供する。
【0098】
具体的化合物の治療的有効量(その使用はここで開示される主題の範囲内である。)は、化合物毎及び患者毎に幾分異なり、患者の状態及び送達の経路に依存する。一般的条件として、約0.1mg/kgから約50mg/kgの投与量が治療効果を有するが、ここで全ての重量は、塩を用いる場合も含め、活性化合物の重量に基づいて計算する。用量がより高いと懸念される毒性により、静脈内投与量は、約10mg/kgまでのような低レベルに制限され得るが、ここで全ての重量は、塩を用いる場合も含め、活性塩基の重量に基づいて計算する。経口投与には、約10mg/kgから約50mg/kgの投与量を用いることができる。静脈内注射には、一般的に、約0.5mg/kgから5mg/kgの投与量を用いることができる。いくつかの実施態様において、静脈内又は経口投与に対する投与量は、化合物の1μmol/kgと50μmol/kgの間で変動する。いくつかの実施態様において、静脈内又は経口投与に対する投与量は、化合物の22μmol/kgと33μmol/kgの間で変動する。処置の期間は、一般的には、1日1回、2から3週間の間、又は状態が本質的に制御されるまでである。低頻度で投与する低投与量を、感染の再発の発生の防止又は減少のために予防的に使用することができる。
【0099】
ここで開示されている方法に従い、本明細書に記載の薬学的活性化合物は、固体又は液体として経口で投与でき、或いは溶液、懸濁液、又はエマルジョンとして筋肉内又は静脈内に投与できる。別法では、その化合物又は塩をリポソーム懸濁液として吸入投与、静脈内投与又は筋肉内投与することができる。吸入により投与する場合、活性化合物又は塩は、いくつかの実施態様においては、約0.5から約5ミクロンの粒径を、いくつかの実施態様においては、約1ミクロンから約2ミクロンの粒径を有する多数の固体粒子又は小滴の形でなければならない。
【0100】
静脈内注射又は筋肉内注射に適した医薬製剤は、本明細書において提供されるさらなる実施態様である。その医薬製剤は、本明細書に記載の式Iの化合物、本明細書に記載のプロドラッグ又はその薬学的に許容される塩を、任意の薬学的に許容されるキャリヤー中に含む。溶液が望ましい場合、水溶性化合物又は塩に関しては水が最適なキャリヤーである。水溶性化合物又は塩に関しては、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、又はこれらの混合物などの有機媒体が好適であり得る。後者の場合、有機媒体は相当量の水を含み得る。いずれの場合の溶液も、次いで、当業者には知られている適当な方法により、一般的には、0.22ミクロンフィルターを通して濾過することにより滅菌することができる。滅菌に続き、溶液を、発熱物質を除いた(depyrogenated)ガラス容器などの適当な容器に分配できる。もちろん、その分配は好ましくは無菌法で行う。滅菌クロージャーを次いでバイアル上に置き、必要に応じて、バイアル内容物を凍結乾燥することができる。
【0101】
式Iの化合物又はその塩又はプロドラッグに加えて、その医薬製剤は、pH調節用添加剤などの他の添加剤を含み得る。特に、有用なpH調節剤としては、塩酸等の酸、乳酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム又はグルコン酸ナトリウムなどの塩基又は緩衝液が挙げられる。さらに、その製剤は抗微生物防腐剤を含むことができる。有用な抗微生物防腐剤としては、メチルパラベン、プロピルパラベン及びベンジルアルコールが挙げられる。抗微生物防腐剤は、一般的には、製剤を複数回使用のために設計されたバイアルに入れる場合に用いる。本明細書に記載の医薬製剤は、当分野ではよく知られている技術を使用して凍結乾燥することができる。
【0102】
本明細書に記載されている主題のいくつかの実施態様においては、式Iの化合物又はその塩を、密封容器中に単位用量の形で包含する注射可能で安定な滅菌製剤が提供される。その化合物又は塩は、凍結乾燥の形で提供され、それは適当な薬学的に許容されるキャリヤーで元に戻され、対象に注射するのに適した液体製剤を形成することができる。単位用量の形は、一般的には、約10mgから約10グラムの化合物塩を含む。化合物又は塩が実質的に水不溶性である場合、十分量の生理学的に許容される乳化剤を、水性キャリヤー中に化合物又は塩を乳化させるのに十分な量で用いることができる。1つのこのような有用な乳化剤はホスファチジルコリンである。
【0103】
水性ベースのエマルジョンなどの、他の医薬製剤を、本明細書に開示した水不溶性化合物又はその塩から調製することができる。このような場合、その製剤は、必要量の化合物又は塩を乳化するための、十分な量の薬学的に許容される乳化剤を含む。特に有用な乳化剤としては、ホスファチジルコリン及びレシチンが挙げられる。
【0104】
本明細書で提供されるさらなる実施態様としては、本明細書で開示した活性化合物のリポソーム製剤が挙げられる。リポソーム懸濁液を形成する技術は当分野ではよく知られている。その化合物が水溶性塩である場合、慣用のリポソーム技術を使用して、それを脂質小胞に挿入することができる。このような場合、活性化合物の水溶性のため、その活性化合物は実質的に完全にリポソームの親水性中心又はコア中に包含される。脂質層は、通常の組成のものはいずれも使用することができ、コレステロールを含んでいてもよく、又は無コレステロールであってもよい。重要な活性化合物が水不溶性である場合、再度通常のリポソーム形成技術を使用して、その塩は、リポソームの構造を形成する疎水性脂質二重層内に実質的に包含させることができる。いずれの場合も、製造されるリポソームの大きさは、標準的な超音波技術及び均質化技術を使用することにより低下させることができる。
【0105】
本明細書で開示された活性化合物を含むリポソーム製剤は、凍結乾燥して凍結乾燥物を製造し、それを、水等の薬学的に許容されるキャリヤーで元に戻しリポソーム懸濁液を再生させることができる。
【0106】
エアロゾルとして吸入により投与するのに適した医薬製剤もまた提供される。これらの製剤は、本明細書に記載の望ましい化合物若しくはその塩の溶液又は懸濁液、又は化合物若しくは塩の多数の固体粒子を含む。望ましい製剤を小さいチャンバーに入れ、噴霧することができる。噴霧は、化合物又は塩を含む多数の液滴又は固体粒子を形成するための圧縮空気により、又は、超音波エネルギーにより達成することができる。いくつかの実施態様において、液滴又は固体粒子は、約0.5ミクロンから約10ミクロンの範囲の粒径を有する。いくつかの実施態様において、液滴又は固体粒子は、約0.5から約5ミクロンの範囲の粒径を有する。その固体粒子は、固体化合物又はその塩を、微粉化等の当分野で知られる適当な方法で処理することにより得ることができる。いくつかの実施態様において、固体粒子又は液滴の大きさは、約1ミクロンから約2ミクロンである。これに関して、市販の噴霧器がこの目的を達成するのに利用できる。その化合物は、参照によりそっくりそのまま本明細書に組み込む米国特許第5,628,984号に示されている方法により吸入に適する粒子のエアロゾル懸濁液によって投与することができる。
【0107】
エアロゾルとしての投与に適する医薬製剤は液体の形をしており、その製剤は、水を含むキャリヤー中に水溶性活性化合物を含む。噴霧されたときに望ましい粒径範囲の液滴を生ずるように製剤の表面張力を十分に下げる界面活性剤を存在させることができる。
【0108】
前記のように、水溶性及び水不溶性活性化合物の両方がここで開示される主題により提供される。ここで開示される主題において使用される用語「水溶性」とは、約50mg/mL以上の量で水に溶解する任意の組成物を定義するものである。また、ここで開示される主題において使用される用語「水不溶性」とは、水への溶解度が約20mg/mL未満の任意の組成物を定義するものである。ある適用においては、水溶性化合物又は塩が望ましく、他の適用においては、水不溶性化合物又は塩が同様に望まれ得る。
【0109】
したがって、いくつかの実施態様においてここで開示される主題は、
(a)医薬として許容し得るキャリヤー、及び
(b)式Iの化合物、又は医薬として許容し得るそれらの塩を含む医薬製剤を提供する。
【0110】
【化21】

【0111】
式中、X及びYはそれぞれ独立にCH、CH、N、C=O、O、S及びNR(RはH、アルキル、アリール、アルコキシル、及びアリールオキシルからなる群から選択される。)からなる群から選択され、且つYは存在しても存在していなくてもよく;R、及びRはそれぞれ独立に、H、アルキル、ハロ、ヒドロキシル、アルコキシル、アリールオキシル、及びアラルキルオキシルからなる群から選択され;m及びnは0から3の整数であり、但しmが0の場合、Rは黙示的に水素であり、nが0の場合、Rは黙示的に水素であり;p及びqは0から1の整数であり;A及びA’はそれぞれ独立に、下記式の基の1つから選択される:
【0112】
【化22】

【0113】
(式中、R、R、R、R及びRはそれぞれ独立に、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヒドロキシル、アルコキシル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシシクロアルキル、アルコキシシクロアルキル、アミノアルキル、アシルオキシル、アルキルアミノアルキル及びアルコキシカルボニルからなる群から選択され;又は、R及びRはともにCからC10のアルキル、ヒドロキシアルキル、若しくはアルキレンを示し;又は、Rは次式:
【0114】
【化23】

【0115】
(式中、R及びR10はそれぞれ独立に、H、アルキル、アリール、及び−OR11(R11は、H、アルキル、及びアリールからなる群から選択される。)からなる群から選択される。)の基である。)。
【0116】
式Iの化合物の医薬製剤のいくつかの実施態様において、XはCHであり、Yは存在しない。上記実施態様において、縮合環構造は、9H−フルオレンを含む。いくつかの実施態様において、A及びA’は、それぞれ独立に、次式の基である。
【0117】
【化24】

【0118】
式中、p及びqはそれぞれ1であり;R及びRはそれぞれ独立に、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヒドロキシル、アルコキシル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシシクロアルキル、アルコキシシクロアルキル、アミノアルキル、アシルオキシル、アルキルアミノアルキル、及びアルコキシカルボニルであり;且つRはアリールと次式の基からなる群から選択される:
【0119】
【化25】

【0120】
(式中、R及びR10はそれぞれ独立に、H、アルキル、アリール、及び−OR11(R11は、H、アルキル、及びアリールからなる群から選択される。)からなる群から選択される。)。
【0121】
いくつかの実施態様において、A及びA’は、9H−フルオレン環の2位及び7位にある。
【0122】
いくつかの実施態様において、m及びnは、両方とも0であり、RはHである。いくつかの実施態様において、RはHであり、Rはフェニルである。いくつかの実施態様において、RはHであり、Rは2−ピリジルである。
いくつかの実施態様において、Rは次式の基である。
【0123】
【化26】

【0124】
式中、R、及びR10はそれぞれ独立に、H、アルキル、アリール及び−OR11(R11は、H、アルキル、及びアリールからなる群から選択される。)からなる群から選択される。
【0125】
いくつかの実施態様において、R及びRはそれぞれHである。いくつかの実施態様において、Rはエトキシカルボニルであり、RはHである。いくつかの実施態様において、R10はHである。いくつかの実施態様において、R10はメチルである。いくつかの実施態様において、R10はイソプロピルである。いくつかの実施態様において、R10はメトキシルである。いくつかの実施態様において、R10はイソブトキシルである。
【0126】
式Iの化合物の医薬製剤のいくつかの実施態様においては、XはC=Oであり、Yは存在しない。上記実施態様において、その縮合環構造は、9H−フルオレン−9−オンを含む。いくつかの実施態様において、A及びA’はそれぞれ独立に、次式の基である。
【0127】
【化27】

【0128】
式中、p及びqはそれぞれ1であり、R及びRはそれぞれ独立に、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヒドロキシル、アルコキシル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシシクロアルキル、アルコキシシクロアルキル、アミノアルキル、アシルオキシル、アルキルアミノアルキル及びアルコキシカルボニルからなる群から選択され、且つRはアリール及び次式の基からなる群から選択される:
【0129】
【化28】

【0130】
(式中R、及びR10はそれぞれ独立に、H、アルキル、アリール、及び−OR11(R11は、H、アルキル、及びアリールからなる群から選択される。)からなる群から選択される。)。
【0131】
いくつかの実施態様において、A及びA’は、9H−フルオレン−9−オン環の2位及び7位にある。いくつかの実施態様において、m及びnは、両方とも0であり、RはHである。いくつかの実施態様において、Rは次式の基である。
【0132】
【化29】

【0133】
式中、R及びR10はともに、H、アルキル、アリール及び−OR11(R11は、H、アルキル及びアリールからなる群から選択される。)からなる群から選択される。
【0134】
いくつかの実施態様において、R及びR10は両方ともHである。いくつかの実施態様において、RはHである。いくつかの実施態様において、Rはエトキシカルボニルである。
【0135】
式Iの化合物の医薬製剤のいくつかの実施態様においては、X及びYは、両方ともはC=Oである。上記実施態様において、その縮合環構造は、9,10−アントラキノンを含む。いくつかの実施態様において、A及びA’はそれぞれ独立に、次式の基である。
【0136】
【化30】

【0137】
式中、p及びqはそれぞれ1であり、R及びRはそれぞれ独立に、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヒドロキシル、アルコキシル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシシクロアルキル、アルコキシシクロアルキル、アミノアルキル、アシルオキシル、アルキルアミノアルキル及びアルコキシカルボニルからなる群から選択され;且つRはアリール及び次式の基からなる群から選択される:
【0138】
【化31】

【0139】
(式中、R及びR10はそれぞれ独立に、H、アルキル、アリール及び−OR11(R11は、H、アルキル及びアリールからなる群から選択される。)からなる群から選択される。)。
【0140】
いくつかの実施態様において、m及びnは両方とも0であり、RはHである。いくつかの実施態様において、Rは次式の基である。
【0141】
【化32】

【0142】
式中、R及びR10はそれぞれ独立に、H、アルキル、アリール及び−OR11(R11は、H、アルキル、及びアリールからなる群から選択される。)からなる群から選択される。
【0143】
いくつかの実施態様において、R及びR10は両方ともHである。いくつかの実施態様において、RはHである。
【0144】
式Iの化合物の医薬製剤のいくつかの実施態様においては、XはNであり、YはCHである。上記実施態様において、その縮合環構造は、アクリジンを含む。いくつかの実施態様において、A及びA’はそれぞれ独立に、次式の基である。
【0145】
【化33】

【0146】
式中、p及びqはそれぞれ1であり、R及びRはそれぞれ独立に、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヒドロキシル、アルコキシル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシシクロアルキル、アルコキシシクロアルキル、アミノアルキル、アシルオキシル、アルキルアミノアルキル及びアルコキシカルボニルからなる群から選択され、且つRは、アリール及び次式の基からなる群から選択される:
【0147】
【化34】

【0148】
(式中、R及びR10はそれぞれ独立に、H、アルキル、アリール、及び−OR11(R11は、H、アルキル及びアリールからなる群から選択される。)からなる群から選択される。)。
【0149】
いくつかの実施態様において、A及びA’は、アクリジン環の3位及び6位にある。いくつかの実施態様において、m及びnは、両方とも0であり、RはHである。いくつかの実施態様において、Rは、次式の基である。
【0150】
【化35】

【0151】
式中、R及びR10はそれぞれ独立に、H、アルキル、アリール及び−OR11(R11は、H、アルキル、及びアリールからなる群から選択される。)からなる群から選択される。
【0152】
いくつかの実施態様において、R及びR10は両方ともHである。いくつかの実施態様において、RはHである。
【0153】
式Iの化合物の医薬製剤のいくつかの実施態様においては、その化合物は下記化合物からなる群から選択される、2,7−ビス−グアニジノ−9H−フルオレン;2,7−ビス−グアニジノフルオレン−9−オン;2,7−ビス−グアニジノアントラキノン;3,6−ビス−グアニジノアクリジン;2,7−ビス−(N”−エトキシカルボニル)グアニジノ−9H−フルオレン;2,7−ビス(N”−エトキシカルボニル)グアニジノフルオレン−9−オン;2,7−ビス(N”−エトキシカルボニル−N’−メチル)グアニジノ−9H−フルオレン;2,7−ビス(N”−エトキシカルボニル−N’−イソプロピル)グアニジノ−9H−フルオレン;2,7−ビス(N”−エトキシカルボニル−N’−メトキシ)グアニジノ−9H−フルオレン;2,7−ビス(N”−エトキシカルボニル−N’−イソブトキシ)グアニジン−9H−フルオレン;2,7−ビス(N’−メチル)グアニジノ−9H−フルオレン;2,7−ビス(N’−イソ−プロピル)グアニジノ−9H−フルオレン;2,7−ビス(N’−メトキシ)グアニジノ−9H−フルオレン;2,7−ビス(N’−イソブトキシ)グアニジン−9H−フルオレン;2,7−ビス[(フェニルイミノ)アミノ)]−9H−フルオレン;及び2,7−ビス[(2−ピリジルイミノ)アミノ)−9H−フルオレンである。
【0154】
IV. 微生物感染を治療する方法
微生物感染を有する対象を、本明細書に記載の方法により治療することができる。これらの感染は、真菌、藻、原虫、細菌及びウイルスを含むさまざまな微生物により引き起こされる。ここで開示される主題の方法により治療することができる例示的微生物感染としては、非限定的に、トリパノソーマ種(例えばローデシアブルーシェイトリパノソーマ)、ニューモシスティスカリニ、ジアルジアランブリア、クリプトスポリジウムパルバム、クリプトコッカスネオフォルマンス、カンジダアルビカンズ、カンジダトロピカリス(Candida tropicalis)、サルモネラチフィムリウム(Salmonella typhimurium)、熱帯熱マラリア原虫、ドノバンリーシュマニア(Leishmania donovani)及びリーシュマニアメキシカーナアマゾネンシス(Leishmania mexicana amazonensis)により引き起こされる感染が挙げられる。ここで開示される主題の方法は、これらの状態の治療に有用であり、状態の発症、増殖、又は広がりを阻害し、状態の復帰をもたらし、状態を治し、そうでなければ状態に苦しんでいるか又は罹る危険性のある対象の一般的な健康を改善する。
【0155】
微生物感染を治療する方法は、治療を必要としている対象に本明細書に記載の活性化合物を投与することを含む。上に示したこれらの活性化合物としては、式Iの化合物、それらの対応するプロドラッグ及びその化合物及びプロドラッグの医薬として許容し得る塩が挙げられる。
ここで記載される方法の実施態様に関して、式Iの化合物は、次式の構造を有するもの又はその医薬として許容し得る塩として定義される。
【0156】
【化36】

【0157】
式中、X及びYはそれぞれ独立に、CH、CH、N、C=O、O、S及びNR(RはH、アルキル、アリール、アルコキシル、及びアリールオキシルからなる群から選択される。)からなる群から選択され、Yは存在しても存在しなくてもよく;R、及びRはそれぞれ独立に、H、アルキル、ハロ、ヒドロキシル、アルコキシル、アリールオキシル、及びアラルキルオキシルからなる群から選択され;m及びnは0から3までの整数であり、但しmが0の場合、Rは黙示的に水素であり、nが0の場合、Rは黙示的に水素であり;p及びqは0から1の整数であり;A及びA’はそれぞれ独立に次式の基の1つから選択される:
【0158】
【化37】

【0159】
(式中、R、R、R、R、及びRはそれぞれ独立に、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヒドロキシル、アルコキシル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシシクロアルキル、アルコキシシクロアルキル、アミノアルキル、アシルオキシル、アルキルアミノアルキル、及びアルコキシカルボニルからなる群から選択され;又はR、及びRはともにCからC10のアルキル、ヒドロキシアルキル、又はアルキレンを示し;又はRは次式:
【0160】
【化38】

【0161】
(式中、R、及びR10はそれぞれ独立に、H、アルキル、アリール、及び−OR11(R11は、H、アルキル、アリールからなる群から選択される。)からなる群から選択される。)の基である。)。
【0162】
微生物感染の治療を必要としている対象に式Iの化合物を投与することによってそれを治療する方法のいくつかの実施態様においては、Xは、CHであり、Yは存在しない。上記実施態様において、その縮合環構造は、9H−フルオレンを含む。いくつかの実施態様において、A及びA’は、それぞれ独立に、次式の基である。
【0163】
【化39】

【0164】
式中、p及びqはそれぞれ1であり、R及びRはそれぞれ独立に、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヒドロキシル、アルコキシル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシシクロアルキル、アルコキシシクロアルキル、アミノアルキル、アシルオキシル、アルキルアミノアルキル及びアルコキシカルボニルからなる群から選択され、且つRはアリールと次式の基からなる群から選択される:
【0165】
【化40】

【0166】
(式中、R、及びR10はそれぞれ独立に、H、アルキル、アリール、及び−OR11(R11は、H、アルキル、及びアリールからなる群から選択される。)からなる群から選択される。)。
【0167】
いくつかの実施態様において、A及びA’は、9H−フルオレン環の2位及び7位にある。
いくつかの実施態様において、m及びnは、両方とも0であり、RはHである。いくつかの実施態様において、RはHであり、Rはフェニルである。いくつかの実施態様において、RはHであり、Rは2−ピリジルである。
いくつかの実施態様において、Rは次式の基である。
【0168】
【化41】

【0169】
式中、R、及びR10はそれぞれ独立に、H、アルキル、アリール及び−OR11(R11は、H、アルキル、及びアリールからなる群から選択される。)からなる群から選択される。
【0170】
いくつかの実施態様において、R及びRはそれぞれHである。いくつかの実施態様において、Rはエトキシカルボニルであり、RはHである。いくつかの実施態様において、R10はHである。いくつかの実施態様において、R10はメチルである。いくつかの実施態様において、R10はイソプロピルである。いくつかの実施態様において、R10はメトキシルである。いくつかの実施態様において、R10はイソブトキシルである。
【0171】
微生物感染の治療を必要としている対象に式Iの化合物を投与することによってそれを治療する方法のいくつかの実施態様においては、XはC=Oであり、Yは存在しない。上記実施態様において、その縮合環構造は、9H−フルオレン−9−オンを含む。いくつかの実施態様において、A及びA’はそれぞれ独立に、次式の基である。
【0172】
【化42】

【0173】
式中、p及びqはそれぞれ1であり、R及びRはそれぞれ独立に、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヒドロキシル、アルコキシル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシシクロアルキル、アルコキシシクロアルキル、アミノアルキル、アシルオキシル、アルキルアミノアルキル及びアルコキシカルボニルからなる群から選択され、且つRはアリール及び次式の基からなる群から選択される:
【0174】
【化43】

【0175】
(式中R、及びR10はそれぞれ独立に、H、アルキル、アリール、及び−OR11(R11は、H、アルキル、及びアリールからなる群から選択される。)からなる群から選択される。)。
【0176】
いくつかの実施態様において、A及びA’は、9H−フルオレン−9−オン環の2位及び7位にある。いくつかの実施態様において、m及びnは、両方とも0であり、RはHである。いくつかの実施態様において、Rは次式の基である。
【0177】
【化44】

【0178】
式中、R及びR10はともに、H、アルキル、アリール及び−OR11(R11は、H、アルキル及びアリールからなる群から選択される。)からなる群から選択される。
【0179】
いくつかの実施態様において、R及びR10は両方ともHである。いくつかの実施態様において、RはHである。いくつかの実施態様において、Rはエトキシカルボニルである。
【0180】
微生物感染の治療を必要としている対象に式Iの化合物を投与することによってそれを治療する方法のいくつかの実施態様においては、X及びYは、両方ともはC=Oである。上記実施態様において、その縮合環構造は、9,10−アントラキノンを含む。いくつかの実施態様において、A及びA’はそれぞれ独立に、次式の基である。
【0181】
【化45】

【0182】
式中、p及びqはそれぞれ1であり、R及びRはそれぞれ独立に、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヒドロキシル、アルコキシル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシシクロアルキル、アルコキシシクロアルキル、アミノアルキル、アシルオキシル、アルキルアミノアルキル及びアルコキシカルボニルからなる群から選択され;且つRはアリール及び次式の基からなる群から選択される:
【0183】
【化46】

【0184】
(式中、R及びR10はそれぞれ独立に、H、アルキル、アリール及び−OR11(式中、R11は、H、アルキル及びアリールからなる群から選択される。)からなる群から選択される。)。
いくつかの実施態様において、m及びnは0であり、RはHである。いくつかの実施態様において、Rは次式の基である。
【0185】
【化47】

【0186】
式中、R及びR10はそれぞれ独立に、H、アルキル、アリール及び−OR11(R11は、H、アルキル、及びアリールからなる群から選択される。)からなる群から選択される。
【0187】
いくつかの実施態様において、R及びR10は両方ともHである。いくつかの実施態様において、RはHである。
【0188】
微生物感染の治療を必要としている対象に式Iの化合物を投与することによってそれを治療する方法のいくつかの実施態様においては、XはNであり、YはCHである。上記実施態様において、その縮合環構造は、アクリジンを含む。いくつかの実施態様において、A及びA’はそれぞれ独立に、次式の基である。
【0189】
【化48】

【0190】
式中、p及びqはそれぞれ1であり、R及びRはそれぞれ独立に、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヒドロキシル、アルコキシル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシシクロアルキル、アルコキシシクロアルキル、アミノアルキル、アシルオキシル、アルキルアミノアルキル及びアルコキシカルボニルからなる群から選択され、且つRは、アリール及び次式の基からなる群から選択される:
【0191】
【化49】

【0192】
(式中、R及びR10はそれぞれ独立に、H、アルキル、アリール、及び−OR11(R11は、H、アルキル及びアリールからなる群から選択される。)からなる群から選択される。)。
【0193】
いくつかの実施態様において、A及びA’は、アクリジン環の3位及び6位にある。いくつかの実施態様において、m及びnは、両方とも0であり、RはHである。いくつかの実施態様において、Rは、次式の基である。
【0194】
【化50】

【0195】
式中、R及びR10はそれぞれ独立に、H、アルキル、アリール及び−OR11(R11は、H、アルキル、及びアリールからなる群から選択される。)からなる群から選択される。
いくつかの実施態様において、R及びR10は両方ともHである。いくつかの実施態様において、RはHである。
【0196】
微生物感染の治療を必要としている対象に式Iの化合物を投与することによってそれを治療する方法のいくつかの実施態様においては、その方法は、下記からなる群から選択される式Iの化合物を含む:2,7−ビス−グアニジノ−9H−フルオレン;2,7−ビス−グアニジノフルオレン−9−オン;2,7−ビス−グアニジノアントラキノン;3,6−ビス−グアニジノアクリジン;2,7−ビス−(N”−エトキシカルボニル)グアニジノ−9H−フルオレン;2,7−ビス(N”−エトキシカルボニル)グアニジノフルオレン−9−オン;2,7−ビス(N”−エトキシカルボニル−N’−メチル)グアニジノ−9H−フルオレン;2,7−ビス(N”−エトキシカルボニル−N’−イソプロピル)グアニジノ−9H−フルオレン;2,7−ビス(N”−エトキシカルボニル−N’−メトキシ)グアニジノ−9H−フルオレン;2,7−ビス(N”−エトキシカルボニル−N’−イソブトキシ)グアニジン−9H−フルオレン;2,7−ビス(N’−メチル)グアニジノ−9H−フルオレン;2,7−ビス(N’−イソ−プロピル)グアニジノ−9H−フルオレン;2,7−ビス(N’−メトキシ)グアニジノ−9H−フルオレン;2,7−ビス(N’−イソブトキシ)グアニジン−9H−フルオレン;2,7−ビス[(フェニルイミノ)アミノ)]−9H−フルオレン;及び2,7−ビス[(2−ピリジルイミノ)アミノ)−9H−フルオレンである。
【0197】
いくつかの実施態様において、式Iの化合物は、医薬として許容し得る塩の形で投与される。いくつかの実施態様において、その医薬として許容し得る塩は、塩酸塩である。
【0198】
いくつかの実施態様において、微生物感染は、ローデシアブルーシェイトリパノソーマ感染及び熱帯熱マラリア原虫感染の1つから選択される。
【0199】
ここで開示される主題の多くの実施態様における治療の対象は、望ましくはヒト対象であるが、本明細書に記載の方法は、用語「対象」に含むことが意図される全ての脊椎動物種に対して有効であるものと理解すべきである。本明細書に記載の方法は、温血脊椎動物の感染症の処置及び/又は予防に特に有用である。したがって、その方法は哺乳動物及び鳥類の治療法として使用することができる。
【0200】
より詳細には、ヒトなどの哺乳類、並びに絶滅危惧種(アムールトラなどの)のために重要な、ヒトにとって経済的に重要な(ヒトが消費するために飼育場で飼育している動物)及び/又は社会的に重要な(ペットとして又は動物園で飼育している動物)哺乳動物、例えば、ヒト以外の肉食動物(ネコ及びイヌなどの)、ブタ類[子ブタ(pig)、親ブタ(hog)及びイノシシ]、反芻動物[畜牛(cattles)、雄牛(oxes)、ヒツジ、キリン、シカ、ヤギ、バイソン及びラクダ]及びウマの治療を提供する。鳥類の治療もまた提供され、絶滅危惧種、動物園で飼育されている種類の鳥類、並びに家禽、より具体的には飼い慣らされた家禽、すなわち、七面鳥、ニワトリ、アヒル、ガチョウ、ホロホロ鳥などのような飼鳥類も、それらはまたヒトにとって経済的に重要であるので、そのような種類の鳥類の治療を含む。したがって、本明細書に記載の方法の実施態様としては、非限定的に、飼い慣らされたブタ類[(子ブタ(pig)及び親ブタ(hog)]、反芻動物、ウマ、飼鳥類などを含む家畜類の治療が挙げられる。
【実施例】
【0201】
以下の実施例は、ここで開示される主題の形態を説明するために含まれている。以下の実施例の一定の態様は、ここで開示される主題の実施が旨くいくように、発見又は考案された技術及び手法に関して説明する。本開示及び当分野の一般的技術レベルに照らして、当業者であれば、以下の実施例が例示のみを意図したものであり、多くの変化、修正及び変更をここに開示される主題の範囲から逸脱することなく加えることができることを認識することができる。
【0202】
実施例1〜4のための方法及び材料
融点は、Thomas-Hoover[Uni-Melt(登録商標)(Thomas Scientific、Swedesboro、ニュージャージー州、米国)]キャピラリー融点装置を使用して測定し、未補正である。TLC分析はシリカゲル60F254プレコートアルミニウムシート上で行い、UV光下で検出した。H及び13C−NMRスペクトルはVarian GX400又はVarian Unity Plus 300スペクトロメーター(VG Analytical,Ltd.、パロアルト、カリフォルニア州、米国)を用いて記録し、化学シフト(δ)は、内部標準としてのTMSに対するppmである。マススペクトルはVG Analytical 70−SEスペクトロメーター(VG Analytical,Ltd.、マンチェスター、英国)で記録した。元素分析はAtlantic Microlab Inc.(ノークロス、ジョージア州、米国)から得、理論値の±0.4の範囲内である。塩として報告されている化合物は、水及び/又はエタノールの溶媒和作用により端数のモル数について高頻度で正確に分析した。各場合においてH−NMRは、指示溶媒(単数又は複数)の存在を示した。全ての化学試薬及び溶媒(無水溶媒を含む)はAldrich Chemical Company(ミルウォーキー、ウィスコンシン州、米国)、Fisher Scientific(フェアローン、ニュージャージー州、米国)又はFrontier Scientific(ローガン、ユタ州、米国)から購入し、購入したままを使用した。アセトニトリル(CaH)及びトリエチルアミン(CaH)は、指示した乾燥剤から蒸留した。ビス−アミノフルオレン(3b)及びビス−アミノアントラキノン(3c)は、文献に従ってスキーム1に記載のようにして得た。S−(2−ナフチルメチル)チオアセチミデートは、公表されている手法を採用して調製した。
(実施例1)
【0203】
【化51】

【0204】
ビス(N’,N”−ジ−BOCグアニジノ)誘導体の調製(一般的方法)(スキーム1)。
2,7−ビス(N’,N”−ジ−BOCグアニジノ)−9H−フルオレン(4a)。2,7−ジアミノフルオレン(3a)(0.49g、2.5mmol)の無水DMF(15mL)中の溶液に、1,3−ビス(t−ブトキシカルボニル)−2−メチルチオプソイド尿素(1.56g、5.3mmol)、トリエチルアミン(3.23g、32mmol)及び最後に塩化水銀(II)(1.57g,5.7mmol)を加えた。その懸濁液を室温で24時間攪拌したまま保った。その反応系をCHClとNaCOの溶液で希釈し、セライトの下敷きを通して濾過した。その有機層を水で(3×)、続いてブラインで洗浄し、次いで無水のNaSO上で乾燥した。溶媒を蒸発させて乾燥した後、得られた残留物をCHCl/MeOHから再結晶し、淡黄色の固体(1.15g、68%)、mp>340℃を得た。1H-NMR (CDCl3): δ1.52, 1.54 (2s, 36H), 3.91 (s, 2H), 7.47 (d, J=8.4Hz, 2H), 7.64 (d, J=8.4Hz, 2H), 7.90 (s, 2H), 10.43 (s, 2H), 11.68 (s, 2H). 13C-NMR (CDCl3): δ163.6, 153.5, 153.3, 144.2, 138.0, 135.2, 120.9, 119.7, 118.9, 83.6, 79.6, 37.2, 28.1, 28.1. 元素分析: C35H48N6O8 (680.79) の計算値: C % 61.75, H % 7.11, N % 12.34. 実測値: C % 61.50, H % 7.11, N % 12.36.
【0205】
2,7−ビス(N’,N”−ジ−BOCグアニジノ)フルオレン−9−オン(4b)。オレンジ色固体(1.16g、65%)、mp>340℃。1H-NMR (CDCl3): δ1.51, 1.54 (2s, 36H), 7.42 (d, J=8.4Hz), 7.77 (s, 2H), 7.82 (d, J=8.4Hz, 2H), 10.46 (br s, 2H), 11.63 (br s, 2H). 13C-NMR (CDCl3): δ192.7, 163.3, 153.4, 153.2, 140.3, 137.4, 135.1, 128.0, 120.5, 118.5, 84.0, 79.9, 28.1, 28.0. 元素分析: C35H46N6O9-0.5H2O (703.78) の計算値: C % 59.73, H % 6.73, N % 11.94. 実測値: C % 59.69, H % 6.76, N % 12.13.
【0206】
2,7−ビス(N’,N”−ジ−BOCグアニジノ)アントラキノン(4c)。黄色固体(1.24g、82%)、mp>340℃。1H-NMR (CDCl3): δ1.56 (s, 36H), 8.24 (s, 2H), 8.30 (d, J=8.7Hz, 2H), 8.43 (d, J=8.7Hz, 2H), 10.82 (br s, 2H), 11.62 (br s, 2H). 13C-NMR (CDCl3): δ182.5, 181.2, 163.1, 153.2, 142.3, 134.4, 129.4, 128.9, 126.7, 119.0, 84.4, 80.3, 28.1, 28.0. 元素分析: C36H46N6O10-0.5CH2Cl2 (765.25) の計算値: C % 57.28, H % 6.19. 実測値: C % 57.30, H % 6.09.
【0207】
3,6−ビス(N’,N”−ジ−BOCグアニジノ)アクリジン(4d)。鮮黄色綿毛状固体(0.88g、73%)、mp>340℃。1H-NMR (CDCl3): δ1.53, 1.55 (2s, 36H), 7.78 (dd, J=2.1Hz, J=9.0Hz, 2H), 7.9 (d, J=9.0Hz, 2H), 8.45 (d, J=2.1Hz, 2H), 8.6 (s, 1H), 10.69 (s, 2H), 11.68 (s, 2H). 元素分析: C35H47N7O8-0.5H2O (702.79) の計算値: C % 59.81, H % 6.88, N % 13.95. 実測値: C % 59.97, H % 6.88, N % 13.90.
【0208】
N’,N”−ジ−BOCグアニジンの脱保護(一般的方法)(スキーム1)。
2,7−ビス−グアニジノ−9H−フルオレンジヒドロクロリド(5a)。N’,N”−ジ−BOCグアニジン(4a)(0.25g、0.4mmol)を、CHCl(10mL)に溶解し、乾燥EtOH(15mL)で希釈し、その冷却した溶液を乾燥HClで飽和した。その反応系を次に室温で3日間攪拌を保ち(乾燥管)、そのとき、時間とともに生成物による沈殿の形成が始まった。溶媒を蒸発させて乾燥した後、その残留物をエーテルで複数回洗浄し、50〜60℃の真空下で一晩乾燥してビス−グアニジンジヒドロクロリドの白黄色の固体(0.13g、定量的)、mp>340℃を得た。1H-NMR (DMSO-d6): δ3.95 (s, 2H), 7.24 (d, J=8.4Hz, 2H), 7.45 (s, 2H), 7.58 (br s, 8H), 7.95 (d, J=8.4Hz, 2H), 10.23 (br s, 2H). 13C-NMR (DMSO-d6): δ156.1, 156.1, 144.5, 138.6, 133.8, 123.3, 121.4, 120.9, 36.8. MS (EI): m/z 277 (M++1) (14), 252 (100). 元素分析: C15H16N6-2HCl-0.25C2H5OH (364.76) の計算値: C % 51.04, H % 5.39, N % 23.04, Cl % 19.44. 実測値: C % 50.74, H % 5.26, N % 22.99, Cl % 19.87.
【0209】
2,7−ビス−グアジニノフルオレン−9−オンジヒドロクロリド(5b)。緑色固体(0.26g、89%)、mp>340℃。1H-NMR (DMSO-d6): δ7.45 (m, 4H), 7.68 (br s, 8H), 7.86 (d, J=8.4Hz, 2H), 10.25 (br s, 2H). 13C-NMR (DMSO-d6): δ191.58, 159.03, 140.88, 136.54, 134.62, 130.77, 122.36, 119.86. MS (EI): m/z 295 (M++1) (23), 278 (100). 元素分析: C15H14N6O-2HCl-0.35H2O (373.53) の計算値: C % 48.23, H % 4.51, N % 22.49, Cl % 18.95. 実測値: C % 48.51, H % 4.55, N % 22.13, Cl % 18.93.
【0210】
2,7−ビス−グアニジノアントラキノンジヒドロクロリド(5c)。橙赤色固体(0.22g、91%)、mp>340℃(分解点)。1H-NMR (DMSO-d6): δ7.75 (d, J=8.4Hz, 2H), 7.97 (s, 2H), 8.06 (br s, 8H), 8.24 (d, J=8.4Hz, 2H), 10.87 (br s, 2H). 13C-NMR (DMSO-d6): δ181.5, 180.4, 155.5, 142.0, 134.1, 129.2, 128.9, 127.6, 119.3. MS (EI): m/z 290 (M+) (3). 元素分析: C16H14N6O2-2HCl-1.66H2O (425.15) の計算値: C % 45.20, H % 4.58, N % 19.77. 実測値: C % 45.24, H % 4.58, N % 19.47.
【0211】
3,6−ビス−グアジニノアクリジントリヒドロクロリド(5d)。オレンジ色固体(0.33g、85%)、mp>340℃。1H-NMR (DMSO-d6): δ7.75 (dd, J=8.4Hz, 2H), 7.96 (d, J=2.1Hz, 2H), 8.06 (br s, 8H), 8.23 (d, J=8.4Hz, 2H), 10.83 (br s, 2H). 13C-NMR (DMSO-d6): δ181.5, 180.4, 155.5, 142.0, 134.1, 129.2, 128.9, 127.6, 119.3. 元素分析: C15H15N7-3HCl-C2H5OH-0.33H2O (454.72) の計算値: C % 44.90, H % 4.46, N % 21.56. 実測値: C % 45.08, H % 5.10, N % 21.48.
(実施例2)
【0212】
【化52】

【0213】
カルバモイルチオ尿素誘導体の調製(スキーム2)
2,7−ビス(N”−エトキシカルボニルチオ尿素)−9H−フルオレン(6a)。2,7−ジアミノ−9H−フルオレン(3a)(1g、5.1mmol)のCHCl(10mL)の溶液に、エチルイソチオシアネート(1.47g、11.2mmol)を加え、室温で24時間攪拌した。フラッシュクロマトグラフィーの後、その反応系をヘキサンで希釈し、形成した沈殿を集め、乾燥して淡褐色固体としてのビス−カルバモイルチオ尿素(2.32g、定量的)、mp>340℃(分解点)を得た。1H-NMR (DMSO-d6): δ1.27 (t, J=6.9Hz, 6H), 3.95 (s, 2H), 4.23 (q, J=6.9Hz, 4H), 7.75 (d, J=8.4Hz, 2H), 7.89 (m, 4H), 11.28 (s, 2H), 11.64 (s, 2H). 13C-NMR (DMSO-d6): δ163.2, 158.9, 143.6, 137.9, 135.8, 123.1, 121.1, 119.8, 59.5, 36.4, 28.0, 14.5. MS (EI): m/z 459 (M++1, 18), 374.1 (8), 328 (100), 319 (8), 151 (12).
【0214】
2,7−ビス(N”−エトキシカルボニルチオ尿素)フルオレン−9−オン(6b)。2,7−ジアミノフルオレン(3b)(0.3g、1.4mmol)のトルエン(10mL)中の懸濁液に、0.41g(3.1mmol)のエチルイソチオシアネートホルメートを加えた。その反応混合物を10時間還流した。室温まで冷却した後、その反応系をヘキサンで希釈した。得られたオレンジ色の沈殿を濾別し、ヘキサンで洗浄し、真空下で乾燥した(0.66g、98%)、mp>340℃(分解点)。1H-NMR (DMSO-d6): δ1.26 (t, J=7.2Hz, 6H), 4.22 (q, J=7.2Hz, 4H), 7.69 (dd, J=1.8, 8.1Hz, 2H), 7.80 (d, J=8.1Hz, 2H), 7.97 (d, J=1.8Hz, 2H), 11.39 (s, 2H), 11.60 (s, 2H).
【0215】
N−置換カルバモイルグアニジンの調製(一般的方法)(スキーム2)。
2,7−ビス(N”−エトキシカルボニル)グアニジノ−9H−フルオレン(7a)。カルバモイルチオ尿素(6a)(0.58g、1.2mmol)、アンモニア(ジオキサン中0.5M溶液)(10mL、5.0mmol)及びジイソプロピルエチルアミン(0.98g、7.5mmol)の無水CHCl(10mL)中の攪拌された溶液を0℃に冷却した。EDCI(0.96g、5.0mmol)を加え、その溶液を室温で一晩攪拌した。その反応混合物を水で(3×)、続いてブラインで洗浄し、無水NaSO上で乾燥した。溶媒を除去した後に残った残留物をEtOH/水から結晶化させた(0.45g、84%)、mp>340℃。1H-NMR (DMSO-d6): δ1.16 (t, J=7.2Hz, 6H), 3.87 (s, 2H), 3.98 (q, J=7.2Hz, 4H), 7.33 (d, J=8.4Hz, 2H), 7.65 (s, 2H), 7.75 (d, J=8.4Hz, 2H), 9.31 (br s, 2H). 13C-NMR (DMSO-d6): δ163.1, 159.0, 143.4, 136.8, 136.3, 120.4, 119.3, 118.3, 59.4, 36.4, 14.4. 元素分析: C21H24N6O4-0.5C2H5OH (447.48) の計算値: C % 59.04, H % 6.08, N % 18.78. 実測値: C % 58.96, H % 5.74, N % 18.88.
【0216】
2,7−ビス(N”−エトキシカルボニル)グアニジノフルオレン−9−オン(7b)。赤レンガ色固体(0.35g、75%)、mp>340℃。1H-NMR (DMSO-d6): δ1.17 (t, J=7.0Hz, 6H), 4.00 (q, J=7.0Hz, 4H), 7.47 (dd, J=1.8, 8.1Hz, 2H), 7.59 (d, J=8.1Hz, 2H), 7.77 (d, J=1.8Hz, 2H), 9.31 (br s, 2H). 13C-NMR (DMSO-d6): δ192.9, 162.5, 158.6, 139.6, 138.3, 134.1, 126.4, 120.8, 116.6, 59.8, 14.5. 元素分析: C21H24N6O5-0.15CH2Cl2 (451.17) の計算値: C % 56.54, H % 5.08, N % 18.47. 実測値: C % 56.30, H % 4.98, N % 18.62.
【0217】
2,7−ビス(N”−エトキシカルボニル−N’−メチル)グアニジノ−9H−フルオレン(7c)。(7a)の調製に従う同じ手順を採用し、メチルアミン(THF中の2M溶液)をチオ尿素化合物のN−置換グアニジンへの転換に使用した。その反応系は、灰色がかった白色固体(0.53g、93%)、mp>157〜8℃を生じた。1H-NMR (DMSO-d6): δ1.15 (t, J=7.2Hz, 6H), 2.83 (s, 6H), 3.90 (s, 2H), 3.94 (q, J=7.2Hz, 4H), 7.32 (d, J=8.4Hz, 2H), 7.54 (s, 2H), 7.83 (d, J=8.4Hz, 2H). 13C-NMR (DMSO-d6): δ161.9, 157.9, 143.7, 137.6, 135.9, 123.1, 121.0, 119.9, 59.9, 36.4, 28.3, 14.5. MS (FAB, チオグリセロール): m/z 453 (M++1, 100), 407 (39), 323 (15). 元素分析: C23H28N6O4-H2O (470.52) の計算値: C % 58.71, H % 6.42, N % 17.86. 実測値: C % 58.81, H % 6.39, N % 17.71.
【0218】
2,7−ビス(N”−エトキシカルボニル−N’−イソ−プロピル)グアニジノ−9H−フルオレン(7d)。イソ−プロピルアミンを使用し、(7a)に対して使用したものと同じ合成ステップを行うことによりベージュ色の固体(0.39g、88%)、mp142〜4℃、を得た。1H-NMR (DMSO-d6): δ0.84 (t, J=7.2Hz, 6H), 1.17 (m, 12H), 3.88 (s, 2H), 3.93 (q, J=7.2Hz, 4H), 4.11 (m, 2H), 7.31 (d, J=8.4Hz, 2H), 7.52 (s, 2H), 7.80 (d, J=8.4Hz, 2H). 13C-NMR (DMSO-d6): δ163.4, 157.3, 143.5, 137.3, 136.2, 122.9, 120.9, 119.7, 59.6, 42.3, 36.4, 22.5, 14.5. MS (ES): m/z 509 (M++1) (19), 255 (100). 元素分析: C27H36N6O4-0.25 C2H5OH (520.13) の計算値: C % 63.50, H % 7.26, N % 16.15. 実測値: C % 63.20, H % 7.06, N % 16.35.
【0219】
2,7−ビス(N”−エトキシカルボニル−N’−メトキシ)グアニジノ−9H−フルオレン(7e)。一般的な手順を採用し、メチルヒドロキシルアミンを使用して、淡褐色気味の白色固体(0.55g、87%)、mp180〜2℃を得た。1H-NMR (DMSO-d6): δ1.20 (t, J=7.2Hz, 6H), 3.68 (s, 6H), 3.76 (s, 2H), 4.10 (q, J=7.2Hz, 4H), 6.99 (d, J=8.1Hz, 2H), 7.16 (s, 2H), 7.35 (dd, J=1.8, 8.1Hz, 2H), 8.35 (s, 2H), 8.70 (s, 2H).
【0220】
2,7−ビス(N”−エトキシカルボニル−N’−イソブトキシ)グアニジノ−9H−フルオレン(7f)。
一般的方法に従い、O−イソブチルヒドロキシルアミンを使用して目標化合物を調製し、乳白色の結晶(0.8g、93%)、122〜5℃、が得られた。1H-NMR (DMSO-d6) δ 0.88-0.99 (m, 30H), 1.21 (t, J=7.2Hz, 6H), 1.92-2.02 (m, 4H), 3.65 (d, J=6.6Hz, 8H), 3.74-3.78 (m, 4H), 3.85 (q, J=7.2Hz, 4H), 4.11 (q, J=7.2Hz, 4H), 7.00 (d, J=8.1Hz, 2H), 7.17 (s, 2H), 7.35 (d, J=8.1Hz, 2H), 7.55-7.62 (m, 6H), 8.19 (br s, 1H), 8.21 (br s, 1H), 8.67 (br s, 1H), 8.68 (br s, 1H), 9.01 (br s, 1H), 9.02 (br s, 1H), 9.10 (br s, 1H), 9.11 (br s, 1H); 13C-NMR (DMSO-d6) δ154.0, 153.9, 153.3, 143.4, 143.3, 143.1, 142.9, 142.9, 142.3, 142.2, 138.8, 138.6, 137.9, 137.7, 135.8, 135.6, 134.4, 134.2, 119.7, 119.4, 199.1, 118.8, 117.7, 117.6, 116.6, 114.5, 79.5, 79.3, 61.1, 60.4, 36.6, 36.5, 36.3, 27.3, 27.3, 19.3, 14.4; MS (ESI) m/z (相対強度) 569 (M++1, 100). 元素分析: C29H40N6O6 (568.66) の計算値: C % 61.25, H % 7.08. 実測値: C % 61.12, H % 7.29.
【0221】
N−置換グアニジンの調製(一般的方法)(スキーム2)
2,7−ビス(N’−メチル)グアニジノ−9H−フルオレン(8a)。置換グアニジン(7c)(0.5g、1.1mmol)を、EtOH(5mL)中に懸濁させた。1NのKOH(11mL、11mmol)を次に加え、その反応混合物を、温度を55〜60℃に維持して一晩攪拌を続けた。溶媒を蒸発させて乾燥し、残留物を水で複数回洗浄し、水性エタノールから再結晶させて明るいオレンジ色の固体(0.24g、70%)、mp240〜2℃(分解点)を得た。1H-NMR (DMSO-d6): δ2.6 (s, 6H), 3.69 (s, 2H), 6.70 (d, J=2.7Hz, 2H), 6.90 (s, 2H), 7.50 (d, J=2.7Hz, 2H). HCl塩を調製するために、遊離塩基を乾燥EtOH(20mL)に溶解し、その溶液を氷浴中で冷却した。HClガスを10分間通した後、その反応系を減圧下で濃縮し、次いでエーテルで希釈した。形成された沈殿を濾過して集め、オレンジ色の固体(0.16g、65%)、mp276〜8℃を得た。1H-NMR (DMSO-d6): δ2.84 (s, 6H), 3.96 (s, 2H), 7.25 (d, J=8.4Hz, 2H), 7.46 (s, 2H), 7.77 (br s, 2H), 7.89 (br s, 2H), 7.95 (d, J=8.4Hz, 2H), 10.01 (br s, 2H). 13C-NMR (DMSO-d6): δ155.6, 144.5, 138.5, 134.1, 123.5, 121.5, 120.9, 36.5, 28.3. MS (ES): m/z 309 (M++1) (100), 155 (9). 元素分析: C17H20N6-2HCl-0.25C2H5OH-0.75H2O (406.33) の計算値: C % 51.73, H % 6.20, N % 20.68. 実測値: C % 51.77, H % 6.24, N % 20.48.
【0222】
2,7−ビス(N−イソ−プロピル)グアニジノ−9H−フルオレン(8b)。遊離塩基:7dを用いて出発し、一般的方法に従った。サーモンオレンジ色の固体(0.17g、79%)、mp247〜9℃(分解点)。1H-NMR (DMSO-d6): δ1.11 (d, J=5.4Hz, 12H), 3.68 (s, 2H), 3.85 (m, 2H), 4.93 (br s, 4H), 5.38 (br s, 2H), 6.69 (d, J=8.1Hz, 2H), 6.89 (s, 2H), 7.49 (d, J=8.1Hz, 2H). 二塩酸塩:光沢のある黄色の結晶、mp308〜9℃(分解点)。1H-NMR (DMSO-d6): δ1.18 (d, J=6.3Hz, 12H), 3.94 (m, 4H), 7.23 (d, J=8.4Hz, 2H), 7.43 (s, 2H), 7.71 (br s, 4H), 7.93 (d, J=8.4Hz, 2H), 8.06 (br s, 2H), 9.88 (br s, 2H). 13C-NMR (DMSO-d6): δ153.9, 144.8, 138.8, 134.5, 123.6, 121.6, 121.0, 43.8, 22.2. 元素分析: C21H28N6-2HCl-1.5H2O (464.54) の計算値: C % 54.31, H % 7.16, N % 18.09. 実測値: C % 54.51, H % 6.74, N % 17.79.
【0223】
2,7−ビス(N’−メトキシ)グアニジノ−9H−フルオレン(8c)。遊離塩基:出発材料として7eを使用。ピンク色の固体(0.17g、79%)、mp200〜2℃(分解点)。1H-NMR (DMSO-d6): δ3.34 (br s, 4H), 3.74 (s, 2H), 5.29 (s, 6H), 7.20 (dd, J=1.8, 8.1Hz, 2H), 7.50 (m, 4H), 7.75 (br s, 2H). 13C-NMR (DMSO-d6): δ151.6, 143.0, 139.5, 133.6, 118.7, 116.1, 114.1, 60.5, 36.5. 二塩酸塩:光沢のある褐色がかった白色の固体、mp264〜7℃(分解点)。1H-NMR (DMSO-d6): δ1.18 (d, J=6.3Hz, 12H), 3.94 (m, 4H), 7.23 (d, J=8.4Hz, 2H), 7.43 (s, 2H), 7.71 (br s, 4H), 7.93 (d, J=8.4Hz, 2H), 8.06 (br s, 2H), 9.88 (br s, 2H). 13C-NMR (DMSO-d6): δ153.9, 144.8, 138.8, 134.5, 123.6, 121.6, 121.0, 43.8, 22.2. 元素分析: C17H20N6O2-2HCl-0.6H2O (424.11) の計算値: C % 48.14, H % 5.51, N % 19.80. 実測値: C % 48.35, H % 5.38, N % 19.41.
【0224】
2,7−ビス(N’−イソブトキシ)グアニジノ−9H−フルオレン(8d)。遊離塩基:7fを用いて出発し、一般的方法を使用して赤レンガ色の固体(0.16g、62%)、mp198〜200℃を提供した。1H-NMR (DMSO-d6) δ0.90 (d, J=6.9Hz, 12H), 1.93-2.02 (m, 2H), 3.55 (d, J=6.9Hz, 4H), 3.74 (s, 2H), 5.32 (br s, 4H), 7.21 (dd, J=8.4, 1.8Hz, 2H), 7.49-7.52 (m, 4H), 7.82 (br s, 2H); 13C-NMR (DMSO-d6) δ151.5, 143.1, 139.4, 133.8, 118.8, 116.3, 114.3, 79.1, 36.5, 27.3, 19.3; MS (ESI) m/z (相対強度) 425 (M++1, 100), 245 (10), 156 (56); MS (ESI) m/z (相対強度) 425 (M++1, 100), 254 (10), 156 (55). 塩酸塩:ピンク色の固体、mp251〜2℃(分解点);1H-NMR (DMSO-d6) δ0.91 (d, J=6.9Hz, 12H), 1.97-2.06 (m, 2H), 3.65 (d, J=6.9Hz, 4H), 3.95 (s, 2H), 7.28 (d, J=8.4Hz, 2H), 7.48 (s, 2H), 7.96 (d, J=8.4Hz, 2H), 8.16 (br s, 4H), 10.36 (br s, 2H), 11.65 (br s, 2H). 元素分析: C23H32N6O2-2HCl (496.21) の計算値: C % 55.53, H % 6.88, N % 16.89. 実測値: C % 55.45, H % 6.87, N % 16.70.
(実施例3)
【0225】
【化53】

【0226】
逆アミジンの調製(一般的方法)(スキーム3)。
2,7−ビス[(フェニルイミノ)アミノ]−9H−フルオレン(9a)。2,7−ジアミノ−9H−フルオレン(0.3g、1.5mmol)の乾燥MeCN(10mL)中の溶液を、乾燥EtOH(15mL)で希釈し、氷水浴中で冷却した。その溶液を次に、S−(2−ナフチルメチル)−チオベンズイミデートヒドロブロミド(1.13g、3.2mmol)で処理した。遊離塩基:その反応系を室温で24時間攪拌を続け、その後溶媒を蒸発させて乾燥し、油状残留物を残し、エーテルで粉末化し、臭化水素酸塩の固体を得た。その固体を次にEtOHに溶解し、1NのNaOHで塩基性とし、遊離塩基をEtOAcで抽出した。NaSO上で乾燥した後、溶媒を蒸発させて乾燥し、灰色がかった白色固体(0.45g、63%)、mp240〜2℃を得た。1H-NMR (DMSO-d6): δ3.83 (s, 2H), 6.31 (br s, 4H), 6.83 (m, 2H), 7.04 (s, 2H), 7.45 (d, J=7.2Hz, 6H), 7.71 (d, J=8.1Hz, 2H), 7.97 (d, J=7.8Hz, 4H). 13C-NMR (DMSO-d6): δ153.9, 148.4, 143.7, 135.9, 135.7, 129.9, 127.9, 126.9, 120.2, 119.6, 118.3, 36.4. 塩酸塩:氷浴冷却した遊離塩基の乾燥EtOH中の溶液をHClガスで5〜10分間処理し、その後溶媒を濃縮してほぼ乾燥させ、その懸濁液をエーテルで希釈して黄色の固体(0.28g)、mp286〜8℃を生じさせた。1H-NMR (DMSO-d6): δ4.05 (s, 2H), 7.53 (d, J=8.4Hz, 2H), 7.68 (m, 4H), 7.79 (m, 4H), 7.96 (m, 2H), 8.16 (d, J=8.4Hz, 2H), 9.16 (br s, 2H), 9.86 (br s, 2H), 11.67 (br s, 2H). 13C-NMR: δ163.0, 144.9, 140.1, 133.7, 133, 6, 128.9, 128.6, 124.4, 122.4, 121.5, 36.95. MS (EI): m/z 402 (M+, 100), 299 (38), 197 (9), 196 (60), 151 (7), 103 (32), 77 (10). 元素分析: C27H22N4-2HCl-0.25C2H5OH-H2O (504.94) の計算値: C % 65.41, H % 5.49, N % 11.09, Cl % 14.04. 実測値: C % 65.76, H % 5.40, N % 10.87, Cl % 14.09.
【0227】
2,7−ビス[(2−ピリジルイミノ)アミノ]−9H−フルオレン(9b)。遊離塩基:光沢のある黄色の結晶(0.70g、67%)、mp230〜2℃。1H-NMR (DMSO-d6): δ4.74 (s, 2H), 6.56 (br s, 4H), 7.79 (d, J=8.4Hz, 2H), 7.99 (s, 2H), 8.41 (t, J=7.8Hz, 2H), 8.61 (d, J=8.4Hz, 2H), 8.81 (t, J=7.8Hz, 2H), 9.16 (d, J=7.8Hz, 2H), 8.48 (d, J=7.8Hz, 2H). 塩酸塩:黄色固体(0.33g)、mp302〜4℃。1H-NMR (DMSO-d6): δ4.08 (s, 2H), 7.53 (d, J=8.1Hz, 2H), 7.74 (s, 2H), 7.85, (t, J=7.5Hz, 2H), 8.16 (d, J=7.5Hz, 2H), 8.21 (t, J=7.5Hz, 2H), 8.58 (d, J=7.5Hz, 2H), 8.89 (d, J=7.5Hz, 2H), 9.39 (br s, 2H), 10.18 (br s, 2H). 13C-NMR (DMSO-d6): δ159.6, 149.7, 144.0, 143.8, 140.4, 138.4, 133.5, 128.6, 124.9, 124.2, 122.9, 121.8. MS (EI): m/z 404 (M+, 100), 300 (28), 283 (6), 196 (33), 152 (9), 105 (28), 78 (21). 元素分析: C25H20N6-3.5HCl-0.33C2H5OH-H2O (565.29) の計算値: C % 54.52, H % 4.89, N % 14.87, Cl % 21.95. 実測値: C % 54.57, H % 4.74, N % 14.97, Cl % 21.87.
【0228】
アミジンの調製(一般的方法)。
アミジンを、標準手法により、すぐに利用できるジブロモ類似体を用いて出発し、それを対応するビス−ニトリルに転化する。基本的な中間体のビス−ニトリルを、Pinner手法を用いてアミジンに転化させる。アミジンを調製するための標準手法については、その参考文献が参照により本明細書に組み込まれている、Das, B. P.らの論文、J. Med. Chem. 1977, 20, 531; Boykin, D. W.らの論文、J. Med. Chem. 1995, 38, 912; 及びIsmail, M.らの論文、J. Med.Chem., 2003, 46, 4761〜4769を参照されたい。
【0229】
(実施例4)
表1は、式Iのいくつかの化合物に対する強力なin vitroのデータを示す。2つの化合物(8a及び5b)は、ローデシアブルーシェイトリパノソーマ(T.b.r.)に対して13nM以下のIC−50値を示す。2つの化合物(5a及び8a)は、熱帯熱マラリア原虫(p.f.)に対して10nM以下のIC−50値を示す。化合物8a及び8bは、マウスモデルにおいて、T.b.r.の毒性STIP900菌株に対して3/4及び4/4の治癒を与える。これらの化合物のプロドラッグは、マラリア及びヒトアフリカトリパノソーマ症の両方の経口治療が期待できる。
【0230】
【表1】

【0231】
当然のことながらここで開示される主題のさまざまな細部は、ここで開示される主題の範囲から逸脱することなく変化させることができる。さらに、先の記述は、説明のためであり、限定のためではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物:
【化1】

(式中、XとYはそれぞれ独立に、CH、CH、N、C=O、O、S、及びNRからなる群から選択され(式中Rは、H、アルキル、アリール、アルコキシル、アリールオキシルからなる群から選択される。)、且つYは存在し、又は存在しなくともよく;
とRはそれぞれ独立に、H、アルキル、ハロ、ヒドロキシル、アルコキシル、アリールオキシル、及びアラルキルオキシルからなる群から選択され;
m、及びnは0から3の整数であり、且つmが0の場合、Rには黙示的に水素であり、且つnが0の場合、Rは黙示的に水素であり;
p、及びqは0から1の整数であり;
A、及びA’はそれぞれ独立に、下記式の1つからが選択され:
【化2】

(式中、R、R、R、R、及びRはそれぞれ独立に、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヒドロキシル、アルコキシル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシシクロアルキル、アルコキシシクロアルキル、アミノアルキル、アシルオキシル、アルキルアミノアルキル、及びアルコキシカルボニルからなる群から選択され;又は
、及びRはともにCからC10のアルキル、ヒドロキシアルキル、又はアルキレンを示し;又は
は下記式の基であり、
【化3】

(式中、R、及びR10はそれぞれ独立に、H、アルキル、アリール、及び−OR11からなる群から選ばれ(式中、R11は、H、アルキル、及びアリールからなる群から選ばれるから選択される。)))。
【請求項2】
XがCHであり;且つYが存在しない、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
A、及びA’はそれぞれ独立に下記式の基である、請求項2記載の化合物:
【化4】

(式中、p、及びqはそれぞれ1であり、R及びRはそれぞれ独立に、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヒドロキシル、アルコキシル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシシクロアルキル、アルコキシルシクロアルキル、アミノアルキル、アシルオキシル、アルキルアミノアルキル、及びアルコキシカルボニルからなる群から選択され、且つRは、アリル、及び下記の基からなる群から選択され、
【化5】

(式中、R、及びR10はそれぞれ独立に、H、アルキル、アリール、及び−OR11からなる群から選択される(式中、R11は、H、アルキル、及びアリールからなる群から選択される。)))。
【請求項4】
m、及びnがともに0であり;且つRがHである、請求項3記載の化合物。
【請求項5】
がHであり、且つRがフェニルである、請求項4記載の化合物。
【請求項6】
がHであり、Rが2−ピリジルである、請求項4記載の化合物。
【請求項7】
が下記式の基である、請求項4記載の化合物:
【化6】

(式中、R、及びR10はそれぞれ独立に、H、アルキル、アリール、及び−OR11からなる群から選択されたものであり、且つR11は、H、アルキル、及びアリールからなる群から選ばれたものである。)。
【請求項8】
、及びRがそれぞれHである、請求項7記載の化合物。
【請求項9】
10がHである、請求項8記載の化合物。
【請求項10】
10がメチルである、請求項8記載の化合物。
【請求項11】
10がイソプロピルである、請求項8記載の化合物。
【請求項12】
10がメトキシルである、請求項8記載の化合物。
【請求項13】
10がイソブトキシルである、請求項8記載の化合物。
【請求項14】
がエトキシカルボニルであり;且つRがHである、請求項7記載の化合物。
【請求項15】
10がHである、請求項14記載の化合物。
【請求項16】
10がメチルである、請求項14記載の化合物。
【請求項17】
10がイソプロピルである、請求項14記載の化合物。
【請求項18】
10がメトキシルである、請求項14記載の化合物。
【請求項19】
10がイソブトキシルである、請求項14記載の化合物。
【請求項20】
XがC=Oで、且つYが存在しない、請求項1記載の化合物。
【請求項21】
A、及びA’はそれぞれ独立に下記式の基である、請求項20記載の化合物。
【化7】

(式中、p、及びqはそれぞれ1であり、R、及びRはそれぞれ独立に、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヒドロキシル、アルコキシル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシシクロアルキル、アルコキシシクロアルキル、アミノアルキル、アシルオキシル、アルキルアミノアルキル、及びアルコキシカルボニルからなる群から選択され、且つRはアリール、及び下記式の基からなる群から選択される:
【化8】

(式中、R、及びR10はそれぞれ独立に、H、アルキル、アリール、及び−OR11からなる群から選択される(式中、R11は、H、アルキル、及びアリールからなる群から選択される。)))。
【請求項22】
m、及びnがそれぞれ0で、且つRがHである、請求項21記載の化合物。
【請求項23】
が下記式の基である、請求項22記載の化合物:
【化9】

(式中、R、及びR10はそれぞれ独立に、H、アルキル、アリール、及び−OR11からなる群から選択される(式中、R11は、H、アルキル、及びアリールからなる群から選択される。))。
【請求項24】
、及びR10がともにHである、請求項23記載の化合物。
【請求項25】
がHである、請求項24記載の化合物。
【請求項26】
がエトキシカルボニルである、請求項24記載の化合物。
【請求項27】
X、及びYがともにC=Oである、請求項1記載の化合物。
【請求項28】
A、及びA’がそれぞれ独立に下記式の基である、請求項27記載の化合物:
【化10】

(式中、p、及びqはそれぞれ1であり、R、及びRはそれぞれ独立に、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヒドロキシル、アルコキシル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシシクロアルキル、アルコキシシクロアルキル、アミノアルキル、アシルオキシル、アルキルアミノアルキル、及びアルコキシカルボニルからなる群から選択されたものであり、且つRはアリールと下記式の基からなる群から選択される。):
【化11】

(式中、R、及びR10はそれぞれ独立に、H、アルキル、アリール、及び−OR11からなる群から選択される(式中、R11は、H、アルキル、及びアリールからなる群から選択される。))。
【請求項29】
m、及びnがともに0であり、且つRがHである、請求項28記載の化合物。
【請求項30】
が下記式の基である、請求項29記載の化合物:
【化12】

(式中、R、及びR10はそれぞれ独立に、H、アルキル、アリール、及び−OR11からなる群から選択される(式中、R11は、H、アルキル、及びアリールからなる群から選択される。))。
【請求項31】
、及びR10がともにHである、請求項30記載の化合物。
【請求項32】
がHである、請求項31記載の化合物。
【請求項33】
XがNであり、且つYがCHである、請求項1記載の化合物。
【請求項34】
A、及びA’がそれぞれ独立に下記式の基である、請求項33記載の化合物:
【化13】

(式中、p、及びqはそれぞれ1であり、R及びRはそれぞれ独立に、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヒドロキシル、アルコキシル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシシクロアルキル、アルコキシシクロアルキル、アミノアルキル、アシルオキシル、アルキルアミノアルキル、及びアルコキシカルボニルからなる群から選択され、且つRはアリール、及び下記式の基からなる群から選択される。)
【化14】

(式中、R、R10はそれぞれ独立に、H、アルキル、アリール、及び−OR11からなる群から選択される。式中、R11は、H、アルキル、及びアリールからなる群から選択される。))。
【請求項35】
m、及びnがともに0であり、且つRがHである、請求項34記載の化合物。
【請求項36】
が下記式の基である、請求項35の化合物:
【化15】

(式中、R、及びR10はそれぞれ独立に、H、アルキル、アリール、及び−OR11からなる群から選択される。(式中、R11は、H、アルキル、及びアリールからなる群から選択される。))。
【請求項37】
、及びR10がともにHである、請求項36記載の化合物。
【請求項38】
がHである、請求項37の化合物。
【請求項39】
2,7−ビス−グアニジノ−9H−フルオレン、2,7−ビス−グアニジノフルオレン−9−オン、2,7−ビス−グアニジノアントラキノン、3,6−ビス−グアニジノアクリジン、2,7−ビス−(N’’−エトキシカルボニル)グアニジノ−9H−フルオレン、2,7−ビス−(N’’−エトキシカルボニル)グアニジノフルオレン−9−オン、2,7−ビス−(N’’−エトキシカルボニル−N’−メチル)グアニジノ−9H−フルオレン、2,7−ビス−(N’’−エトキシカルボニル−N’−イソプロピル)グアニジノ−9H−フルオレン、2,7−ビス−(N’’−エトキシカルボニル−N’−メトキシ)グアニジノ−9H−フルオレン、2,7−ビス−(N’’−エトキシカルボニル−N’−イソブトキシ)グアニジノ−9H−フルオレン、2,7−ビス(N’−メチル) グアニジノ−9H−フルオレン、2,7−ビス(N’−イソプロピル) グアニジノ−9H−フルオレン、2,7−ビス(N’−メトキシ) グアニジノ−9H−フルオレン、2,7−ビス(N’−イソブトキシ)グアニジン−9H−フルオレン、2,7−ビス[(フェニルイミノ)アミノ] −9H−フルオレン、及び2,7−ビス[(2−ピリジルイミノ)アミノ] −9H−フルオレンからなる群から選択された化合物である、請求項1記載の化合物。
【請求項40】
請求項1記載の化合物の医薬として許容し得る塩。
【請求項41】
塩酸塩である、請求項40記載の医薬として許容し得る塩。
【請求項42】
(a)医薬として許容し得るキャリヤー;
(b)下記式(I)の化合物、又はそれらの医薬として許容し得る塩を含む、医薬製剤:
【化16】

(式中、X、及びYはそれぞれ独立にCH、CH、N、C=O、O、S、及びNRからなる群から選択され(式中、RはH、アルキル、アリール、アルコキシル、及びアリールオキシルからなる群から選択され、且つYは存在しても存在していなくてもよい);R、及びRはそれぞれ独立に、H、アルキル、ハロ、ヒドロキシル、アルコキシル、アリールオキシル、及びアラルキルオキシルからなる群から選択され;m、及びnは0から3の整数であり;p、及びqは0から1の整数であり;A、及びA’はそれぞれ独立に、下記式から1つから選択され:
【化17】

(式中、R、R、R、R、及びRはそれぞれ独立に、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヒドロキシル、アルコキシル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシシクロアルキル、アルコキシシクロアルキル、アミノアルキル、アシルオキシル、アルキルアミノアルキル、及びアルコキシカルボニルからなる群から選択され;又は、R、及びRはともにCからC10のアルキル、ヒドロキシアルキル、若しくはアルキレンを示し;又は、Rは下記式の基である:
【化18】

(式中、R、及びR10はそれぞれ独立に、H、アルキル、アリール、及び−OR11からなる群から選択され、且つR11は、H、アルキル、及びアリールからなる群から選択される。))))。
【請求項43】
XがCHであり、且つYが存在しない、請求項42記載の製剤。
【請求項44】
A、及びA’がそれぞれ独立に下記式の基である、請求項43の製剤:
【化19】

(式中、p、及びqはそれぞれ1であり;R、及びRはそれぞれ独立に、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヒドロキシル、アルコキシル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシシクロアルキル、アルコキシシクロアルキル、アミノアルキル、アシルオキシル、アルキルアミノアルキル、及びアルコキシカルボニルであり;且つRはアリールと下記式の基からなる群から選択される:
【化20】

(式中、R、及びR10はそれぞれ独立に、H、アルキル、アリール、及び−OR11からなる群から選択される(式中R11は、H、アルキル、及びアリールからなる群から選択される。)))。
【請求項45】
m、及びnがともに0であり、且つRがHである、請求項44記載の製剤。
【請求項46】
がHであり、且つRがフェニルである、請求項45記載の製剤。
【請求項47】
がHであり、且つRが2−ピリジルである、請求項45記載の製剤。
【請求項48】
が下記式の基である、請求項45記載の製剤:
【化21】

(式中、R、及びR10はそれぞれ独立に、H、アルキル、アリール及び−OR11からなる群から選択され、且つ式中R11は、H、アルキル、及びアリールからなる群から選択される。)。
【請求項49】
、及びRがそれぞれHである、請求項48記載の製剤。
【請求項50】
10がHである、請求項49記載の製剤。
【請求項51】
10がメチルである、請求項49記載の製剤。
【請求項52】
10がイソプロピルである、請求項49記載の製剤。
【請求項53】
10がメトキシルである、請求項49記載の製剤。
【請求項54】
10がイソブトキシルである、請求項49記載の製剤。
【請求項55】
がエトキシカルボニルであり、且つRがHである、請求項48記載の製剤。
【請求項56】
10がHである、請求項55記載の製剤。
【請求項57】
10がメチルである、請求項55記載の製剤。
【請求項58】
10がイソプロピルである、請求項55記載の製剤。
【請求項59】
10がメトキシルである、請求項55記載の製剤。
【請求項60】
10がイソブトキシルである、請求項55記載の製剤。
【請求項61】
XがC=Oであり、且つYが存在しない、請求項42記載の製剤。
【請求項62】
A、及びA’がそれぞれ独立に下記式の基である、請求項61記載の製剤:
【化22】

(式中、p、及びqはそれぞれ1であり、R、及びRはそれぞれ独立に、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヒドロキシル、アルコキシル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシシクロアルキル、アルコキシシクロアルキル、アミノアルキル、アシルオキシル、アルキルアミノアルキル、及びアルコキシカルボニルからなる群から選択され、且つRはアリール、及び下記式の基からなる群から選択される:
【化23】

(式中R、及びR10はそれぞれ独立に、H、アルキル、アリール、及び−OR11からなる群から選択され、且つ式中R11は、H、アルキル、及びアリールからなる群から選択される。))。
【請求項63】
m、及びnがともに0であり;且つRがHである、請求項62記載の製剤。
【請求項64】
が下記式の基である、請求項63記載の製剤:
【化24】

(式中、R、及びR10はともに、H、アルキル、アリール、及び−OR11からなる群から選択され、且つ式中R11は、H、アルキル、及びアリールからなる群から選択される。)。
【請求項65】
、及びR10がともにHである、請求項64記載の製剤。
【請求項66】
がHである、請求項65記載の製剤。
【請求項67】
がエトキシカルボニルである、請求項65記載の製剤。
【請求項68】
X、及びYがともにC=Oである、請求項42記載の製剤。
【請求項69】
A、及びA’がそれぞれ独立に下記式の基である、請求項68記載の製剤。
【化25】

(式中、p、及びqはそれぞれ独立に、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヒドロキシル、アルコキシル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシシクロアルキル、アルコキシシクロアルキル、アミノアルキル、アシルオキシル、アルキルアミノアルキル、及びアルコキシカルボニルからなる群から選択され;且つRはアリール、及び下記式の基からなる群から選択される:
【化26】

(式中、R、及びR10はそれぞれ独立に、H、アルキル、アリール、及び−OR11からなる群から選択される(式中、R11は、H、アルキル、及びアリールからなる群から選択される。)))。
【請求項70】
m、及びnがともに0であり、且つRがHである、請求項69記載の製剤。
【請求項71】
が下記式の基である、請求項70記載の製剤:
【化27】

(式中、R、及びR10はそれぞれ独立に、H、アルキル、アリール、及び−OR11からなる群から選択され(式中、R11は、H、アルキル、及びアリールからなる群から選択される。))。
【請求項72】
、及びR10がともにHである、請求項71記載の製剤。
【請求項73】
がHである、請求項72記載の製剤。
【請求項74】
XがNであり、且つYがCHである、請求項42記載の製剤。
【請求項75】
A、及びA’がそれぞれ独立に、下記式の基である、請求項74記載の製剤:
【化28】

(式中、p,及びqはそれぞれ1であり、R、及びRはそれぞれ独立に、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヒドロキシル、アルコキシル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシシクロアルキル、アルコキシシクロアルキル、アミノアルキル、アシルオキシル、アルキルアミノアルキル、及びアルコキシカルボニルからなる群から選択され、且つRは、アリール、及び下記式の基からなる群から選択される:
【化29】

(式中、R及びR10はそれぞれ独立に、H、アルキル、アリール、及び−OR11からなる群から選択され、且つ式中R11は、H、アルキル、及びアリールからなる群から選択される。))。
【請求項76】
m、及びnがともに0であり、且つRがHである、請求項75記載の製剤。
【請求項77】
が下記式の基である、請求項76記載の製剤:
【化30】

(式中、R、及びR10はそれぞれ独立に、H、アルキル、アリール、及び−OR11からなる群から選択され、且つ式中R11は、H、アルキル、及びアリールからなる群から選択される。)。
【請求項78】
、及びR10がともにHである、請求項77記載の製剤。
【請求項79】
がHである、請求項78記載の製剤。
【請求項80】
請求項42記載の製剤であって:前記化合物が、2,7−ビス−グアニジノ−9H−フルオレン、2,7−ビス−グアニジノフルオレン−9−オン、2,7−ビス−グアニジノアントラキノン、3,6−ビス−グアニジノアクリジン、2,7−ビス−(N’’−エトキシカルボニル)グアニジノ−9H−フルオレン、2,7−ビス−(N’’−エトキシカルボニル)グアニジノフルオレン−9−オン、2,7−ビス−(N’’−エトキシカルボニル−N’−メチル)グアニジノ−9H−フルオレン、2,7−ビス−(N’’−エトキシカルボニル−N’−イソプロピル)グアニジノ−9H−フルオレン、2,7−ビス−(N’’−エトキシカルボニル−N’−メトキシ)グアニジノ−9H−フルオレン、2,7−ビス−(N’’−エトキシカルボニル−N’−イソブトキシ)グアニジン−9H−フルオレン、2,7−ビス(N’−メチル)グアニジノ−9H−フルオレン、2,7−ビス(N’−イソプロピル) グアニジノ−9H−フルオレン、2,7−ビス(N’−メトキシ) グアニジノ−9H−フルオレン、2,7−ビス(N’−イソブトキシ) グアニジノ−9H−フルオレン、2,7−ビス[(フェニルイミノ)アミノ] −9H−フルオレン、及び2,7−ビス[(2−ピリジルイミノ)アミノ] −9H−フルオレンからなる群から選択された、前記製剤。
【請求項81】
必要とされる対象における微生物感染の治療方法であって、該対象に有効量の式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩を投与することを含む、前記方法:
【化31】

(式中、X、及びYはそれぞれ独立に、CH、CH、N、C=O、O、S、及びNRからなる群から選択され(式中、RはH、アルキル、アリール、アルコキシル、及びアリールオキシルからなる群から選択され、且つYは存在し、又は存在しない。);
、及びRはそれぞれ独立に、H、アルキル、ハロ、ヒドロキシル、アルコキシル、アリールオキシル、及びアラルキルオキシルからなる群から選択され;
m、及びnは0から3までの整数であり;
p、及びqは0から1の整数であり;
A、及びA’はそれぞれ独立に下記式の基の1つから選択され:
【化32】

(式中、R、R、R、R、及びRはそれぞれ独立に、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヒドロキシル、アルコキシル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシシクロアルキル、アルコキシシクロアルキル、アミノアルキル、アシルオキシル、アルキルアミノアルキル、及びアルコキシカルボニルからなる群から選択され;又はR、及びRはともにCからC10のアルキル、ヒドロキシアルキル、又はアルキレンを示し;又はRは下記式の基であり、
【化33】

(式中、R、及びR10はそれぞれ独立に、H、アルキル、アリール、及び−OR11からなる群から選択され、且つ式中R11は、H、アルキル、アリールからなる群から選択される。)))。
【請求項82】
XがCHであり、且つYが存在しない、請求項81記載の方。
【請求項83】
A、及びA’がそれぞれ独立に下記式の基である、請求項82記載の方法:
【化34】

(式中、p、及びqはそれぞれ1であり、R、及びRはそれぞれ独立に、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヒドロキシル、アルコキシル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシシクロアルキル、アルコキシシクロアルキル、アミノアルキル、アシルオキシル、アルキルアミノアルキル、及びアルコキシカルボニルからなる群から選択され、且つRはアリールと下記式の基からなる群から選択される:
【化35】

(式中、R、及びR10はそれぞれ独立に、H、アルキル、アリール、及び−OR11からなる群から選択される(式中、R11は、H、アルキル、及びアリールからなる群から選択される。)))。
【請求項84】
m、及びnがともに0であり、且つRがHである、請求項83記載の方法。
【請求項85】
がHであり、且つRがフェニルである、請求項84記載の方法。
【請求項86】
がHであり、Rが2−ピリジルである、請求項84記載の方法。
【請求項87】
が下記式の基である、請求項84記載の方法:
【化36】

(式中、R、及びR10はそれぞれ独立に、H、アルキル、アリール、及び−OR11からなる群から選択され、且つ式中R11は、H、アルキル、及びアリールからなる群から選択される。)
【請求項88】
とRがそれぞれHである、請求項87記載の方法。
【請求項89】
10がHである、請求項88記載の方法。
【請求項90】
10がメチルである、請求項88記載の方法。
【請求項91】
10がイソプロピルである、請求項88記載の方法。
【請求項92】
10がメトキシルである、請求項88記載の方法。
【請求項93】
10がイソブトキシルである、請求項88記載の方法。
【請求項94】
がエトキシカルボニルであり、且つRがHである、請求項87記載の方法。
【請求項95】
10がHである、請求項94記載の方法。
【請求項96】
10がメチルである、請求項94記載の方法。
【請求項97】
10がイソプルピルである、請求項94記載の方法。
【請求項98】
10がメトキシルである、請求項94記載の方法。
【請求項99】
10がイソブトキシルである、請求項94記載の方法。
【請求項100】
XがC=Oであり、且つYが存在しない、請求項81記載の方法。
【請求項101】
A、及びA’がそれぞれ独立に下記式の基である、請求項100記載の方法:
【化37】

(式中、p、及びqはそれぞれ1であり、R及びRはそれぞれ独立に、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヒドロキシル、アルコキシル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシシクロアルキル、アルコキシシクロアルキル、アミノアルキル、アシルオキシル、アルキルアミノアルキル、及びアルコキシカルボニルからなる群から選択され、且つRはアリール、及び下記式の基からなる群から選択される:
【化38】

(式中、R、及びR10はそれぞれ独立にH、アルキル、アリール、及び−OR11からなる群から選択され、且つ式中R11は、H、アルキル、及びアリールから選択される。))。
【請求項102】
m、及びnがともに0であり、且つRがHである、請求項101記載の方法。
【請求項103】
が下記式の基である、請求項102記載の方法:
【化39】

(式中、R、及びR10はそれぞれ独立に、H、アルキル、アリール、及び−OR11からなる群から選択される(式中、R11は、H、アルキル、及びアリールからなる群から選択される。))。
【請求項104】
、及びR10がともにHである、請求項103記載の方法。
【請求項105】
がHである、請求項104記載の方法。
【請求項106】
がエトキシカルボニルである、請求項104記載の方法。
【請求項107】
X、及びYがともにC=Oである、請求項81記載の方法。
【請求項108】
A、及びA’がそれぞれ独立に下記式の基である、請求項107記載の方法:
【化40】

(式中、p、及びqはそれぞれ1であり、R、及びRはそれぞれ独立に、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヒドロキシル、アルコキシル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシシクロアルキル、アルコキシシクロアルキル、アミノアルキル、アシルオキシル、アルキルアミノアルキル、及びアルコキシカルボニルからなる群から選択され、且つRはアリール、及び下記式の基からなる群から選択される:
【化41】

(式中、R、及びR10はそれぞれ独立に、H、アルキル、アリール、及び−OR11からなる群から選択される(式中、R11は、H、アルキル、及びアリールからなる群から選択される。)))。
【請求項109】
m、及びnがともに0であり、且つRがHである、請求項108記載の方法。
【請求項110】
が下記式の基である、請求項109記載の方法:
【化42】

(式中、R、及びR10はそれぞれ独立に、H、アルキル、アリール、及び−OR11からなる群から選択される(式中、R11は、H、アルキル、及びアリールからなる群から選択される。))。
【請求項111】
、及びR10がともにHである、請求項110記載の方法。
【請求項112】
がHである、請求項111記載の方法。
【請求項113】
XがNであり、且つYがCHである、請求項81記載の方法。
【請求項114】
A、及びA’がそれぞれ独立に、下記式の基である、請求項113記載の方法:
【化43】

(式中、p、及びqはそれぞれ独立に1であり、R、及びRはそれぞれ独立に、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヒドロキシル、アルコキシル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシシクロアルキル、アルコキシシクロアルキル、アミノアルキル、アシルオキシル、アルキルアミノアルキル、及びアルコキシカルボニルからなる群から選択され、且つRはアリール、及び下記式の基からなる群から選択される:
【化44】

(式中、R、及びR10はそれぞれ独立に、H、アルキル、アリール、及び−OR11からなる群から選択され、且つ式中R11は、H、アルキル、及びアリールからなる群から選択される。))。
【請求項115】
m、及びnがともに0であり、且つRがHである、請求項114記載の方法。
【請求項116】
が下記式の基である、請求項115記載の方法:
【化45】

(式中、R、及びR10はそれぞれ独立に、H、アルキル、アリール、及び−OR11からなる群から選択され、且つ、式中R11は、H、アルキル、及びアリールからなる群から選択される。))。
【請求項117】
、及びR10がともにHである、請求項116記載の方法。
【請求項118】
がHである、請求項117記載の方法。
【請求項119】
前記化合物が下記の群から選択されたものである、請求項81記載の方法:2,7−ビス−グアニジノ−9H−フルオレン、2,7−ビス−グアニジノフルオレン−9−オン、2,7−ビス−グアニジノアントラキノン、3,6−ビス−グアニジノアクリジン、2,7−ビス−(N’’−エトキシカルボニル)グアニジノ−9H−フルオレン、2,7−ビス−(N’’−エトキシカルボニル)グアニジノフルオレン−9−オン、2,7−ビス−(N’’−エトキシカルボニル−N’−メチル)グアニジノ−9H−フルオレン、2,7−ビス−(N’’−エトキシカルボニル−N’−イソプロピル)グアニジノ−9H−フルオレン、2,7−ビス−(N’’−エトキシカルボニル−N’−メトキシ)グアニジノ−9H−フルオレン、2,7−ビス−(N’’−エトキシカルボニル−N’−イソブトキシ)グアニジン−9H−フルオレン、2,7−ビス(N’−メチル)グアニジノ−9H−フルオレン、2,7−ビス(N’−イソプロピル) グアニジノ−9H−フルオレン、2,7−ビス(N’−メトキシ) グアニジノ−9H−フルオレン、2,7−ビス(N’−イソブトキシ) グアニジノ−9H−フルオレン、2,7−ビス[(フェニルイミノ)アミノ] −9H−フルオレン、及び2,7−ビス[(2−ピリジルイミノ)アミノ] −9H−フルオレンである。
【請求項120】
前記式Iの化合物が医薬として許容し得る塩の形態で投与される、請求項81記載の方法。
【請求項121】
前記医薬として許容し得る塩が塩酸塩である、請求項120記載の方法。
【請求項122】
前記微生物感染が、トリパノソマブルセイロデシエンス感染とプラスモディウムファルシパルム感染のうち1つから選択される、請求項81記載の方法。

【公表番号】特表2007−513888(P2007−513888A)
【公表日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−541427(P2006−541427)
【出願日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【国際出願番号】PCT/US2004/038896
【国際公開番号】WO2005/051296
【国際公開日】平成17年6月9日(2005.6.9)
【出願人】(500459410)ユニバーシティ オブ ノース カロライナ アット チャペル ヒル (16)
【出願人】(503164982)ジョージア・ステイト・ユニバーシティ・リサーチ・ファウンデーション・インコーポレイテッド (11)
【氏名又は名称原語表記】GEORGIA STATE UNIVERSITY RESEARCH FOUNDATION, INC.
【Fターム(参考)】