説明

縮合環化合物の製造方法

【課題】ジベンゾ[b,f]チエピン誘導体のようなベンゼン環、7員環、ベンゼン環からな
る縮合環化合物を、少ない反応工程で、高収率、低コストかつ低環境負荷で製造することができる方法を提供すること。
【解決手段】下記反応式(1)で表される反応により、下記一般式(I)で表される化合
物から下記一般式(II)で表される縮合環化合物を合成する工程を有することを特徴とする縮合環化合物の製造方法:


(上記反応式(1)中、R1〜R10はそれぞれ独立に水素、ヒドロキシル基、ハロゲンま
たは炭素数1〜20のアルキル基であり、Xはハロゲンであり、Mはアルカリ金属であり、Yは第16族元素であり、zは0〜9の整数である。)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、縮合環化合物の製造方法に関する。より詳しくは本発明は、ジベンゾ[b,f]
チエピン誘導体などの医薬品などとして有用な縮合環化合物またはそれを製造するための中間体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ジベンゾ[b,f]チエピン誘導体はさまざまな生理活性,薬理活性をもち、盛んに研究さ
れている化合物である。
たとえば3−ヒドロキシメチルジベンゾ[b,f]チエピンはプロスタグランジン拮抗作用
を有し、該化合物は喘息、炎症、下痢、脳スパズム、狭心症および血小板凝集など、体内のプロスタグランジン量の異常に起因する様々な疾病の治療に使用可能である(特許文献1参照)。
【0003】
また、下記式で表されるゾテピンはジベンゾ[b,f]チエピン誘導体であり、統合失調症
治療薬として日本で厚生労働省の承認を受けている。
【0004】
【化1】

【0005】
ジベンゾ[b,f]チエピン誘導体は、かつては複雑な多段階の反応で合成されていた(非
特許文献1参照)。簡単に説明すると、まず4−クロロチオフェノールを出発原料として4段階にわたる反応により下記式で表される8−クロロー10,11−ジヒドロジベンゾ[b,f]チエピン−10−オンを合成する。
【0006】
【化2】

【0007】
そしてこの化合物に水素化ナトリウムおよびCl(CH2nNR2を反応させることにより、下記式で表されるジベンゾ[b,f]チエピン誘導体を得る。
【0008】
【化3】

【0009】
この反応は出発物質から最終生成物に至るまで多くの反応工程が必要であり、最終的な収率が悪いという欠点がある。また反応工程が多いため、必然的に多くの反応剤や設備が必要である。そのためこのジベンゾ[b,f]チエピン誘導体の製造方法にはコストが高い、
環境負荷が高いという欠点もあった。
【0010】
この欠点を改良するため、近年、以下のような工程からなるジベンゾ[b,f]チエピン誘
導体の製造方法が開発された(非特許文献2参照)。
(1)ハロゲン化ベンズアルデヒドのアルデヒド基をエチレングリコールで保護した化合物に強塩基であるn−ブチルリチウムを反応させてハロゲンとリチウムを交換する工程
(2)工程(1)で得られた有機リチウム化合物にビスフェニルスルホニルスルフィドを作用させてビスアリルスルフィドを得る工程
(3)工程(2)で得られたビスアリルスルフィドのエチレングリコールで保護された部分を脱保護し、更に分子内マクマリーカップリングによりジベンゾ[b,f]チエピン誘導体
を得る工程。
【特許文献1】US4237160号明細書
【非特許文献1】Chem. Pharm. Bull. 1978, Vol. 26, No. 10, p3058-3070
【非特許文献2】J. Org. Chem. 2007, Vol. 72, No. 23, p8984-8986
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
確かに、非特許文献2に記載の方法では非特許文献1に記載の方法における反応工程が多いという問題点が改善されている。しかしながら、それでもまだ目的のジベンゾ[b,f]
チエピン誘導体を得るために保護、脱保護を含めた複数の反応工程が必要であり、ジベンゾ[b,f]チエピン誘導体の工業的製造に適用するにはコストなどの点において不十分な方
法である。
【0012】
本発明は、より反応工程の少ない、収率が従来の方法と同等以上であり、低コストかつ環境負荷の低減されたジベンゾ[b,f]チエピン誘導体の製造方法を提供することを目的と
している。
【0013】
さらに本発明はより一般的な、ジベンゾ[b,f]チエピン誘導体のようなベンゼン環、7
員環、ベンゼン環からなる縮合環化合物を、少ない反応工程で、高収率、低コストかつ低環境負荷で製造することができる方法を提供することをも目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意検討した結果、オルトジハロゲン化スチルベンゼンもしくはその誘導体に特定の試薬を接触させることにより、わずか1段階の反応でジベンゾ[b,f]チエピン誘導体のようなベンゼン環、7員環、ベンゼン環からなる縮合環
化合物が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0015】
すなわち本発明の要旨は、
下記反応式(1)で表される反応により、下記一般式(I)で表される化合物から下記
一般式(II)で表される縮合環化合物を合成する工程を有することを特徴とする縮合環化合物の製造方法である。
【0016】
【化4】

【0017】
上記反応式(1)中、R1〜R10はそれぞれ独立に水素、ヒドロキシル基、ハロゲンま
たは炭素数1〜20のアルキル基であり、
Xはハロゲンであり、
Mはアルカリ金属であり、
Yは第16族元素であり、
zは0〜9の整数である。
【0018】
前記反応式(1)において、Yは硫黄、セレンまたはテルルであることが好ましく、硫黄であることがより好ましい。
前記反応式(1)においてMはナトリウムまたはカリウムであることが好ましく、ナトリウムであることがより好ましい。
【0019】
前記反応式(1)で示される反応工程は溶媒の存在下に行われることが好ましく、その溶媒としては極性溶媒が好ましく、N−メチルピロリドンがより好ましい。
前記反応式(1)において、R1〜R5およびR7〜R9が水素であり、R6が塩素であり
、R10がヒドロキシル基であり、Yが硫黄の場合には、本発明の製造方法により得られた化合物(II)から容易にゾテピンを製造することができる。
【0020】
前記反応式(1)において、一般式(I)で表される化合物は、下記反応式(2)で表
される反応により容易に製造することができる。
【0021】
【化5】

【0022】
上記反応式(2)中、R1〜R10およびXは前記反応式(1)におけるそれぞれの定義
と同様であり、
Aは第4族遷移金属であり、
Bはハロゲンであり、
nはAの原子価であり、
Dは金属原子である。
【0023】
本発明の製造方法により得られた縮合環化合物を所定の剤型に賦型することにより、医薬を得ることができる。
また前記反応式(1)における一般式(II)の化合物を中間体として、さらなる反応により医薬の有効成分となる化合物を製造することが有利である場合には、本発明の製造方法により得られた縮合環化合物を原料として製造された化合物を所定の剤型に賦型することにより、医薬を得ることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の製造方法によれば、わずか1段階の反応によりジベンゾ[b,f]チエピン誘導体
のようなベンゼン環、7員環、ベンゼン環からなる縮合環化合物を得ることができ、本発明は医薬の有効成分となる化合物の製造方法又は医薬の有効成分となる化合物の合成中間体の製造方法として非常に有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明を詳細に説明する。
[本発明の縮合環化合物の製造方法]
本発明の縮合環化合物の製造方法は、
下記反応式(1)で表される反応により、下記一般式(I)で表される化合物から下記
一般式(II)で表される縮合環化合物を合成する工程を有することを特徴とする縮合環化合物の製造方法である。
【0026】
【化6】

【0027】
以下、上記反応について詳しく説明する。
<上記反応式(1)中の置換基等の説明>
上記反応式(1)中、R1〜R10はそれぞれ独立に水素、ヒドロキシル基、ハロゲンま
たは炭素数1〜20のアルキル基である。
【0028】
ハロゲンとしては塩素、臭素およびヨウ素などが挙げられる。
炭素数1〜20のアルキル基は直鎖状であっても分岐を有していてもよく、たとえばエチル基,イソプロピル基などが挙げられる。
【0029】
上記反応式(1)中、Xはハロゲンであり、ハロゲンとしては塩素、臭素およびヨウ素などが挙げられ、反応性,及び一般式(I)で表される化合物の入手の容易さの点から塩素が好ましい。
【0030】
上記反応式(1)中、Mはアルカリ金属であり、アルカリ金属としてはナトリウムおよびカリウムなどが挙げられる。Mとしては試薬入手の容易さの点からナトリウムが好ましい。
【0031】
上記反応式(1)中、Yは第16族元素であり、Yが硫黄である場合には、本発明の製造方法によりジベンゾ[b,f]チエピン誘導体が得られ、該化合物が医薬品として有用であ
ることは[背景技術]でも述べたとおりである。したがって、Yは硫黄であることが好ましい。また硫黄と化学的性質が類似している第16族元素であるセレンおよびテルルもYとして好ましく挙げられる。
【0032】
上記反応式(1)中、zは0〜9の整数である。
2Y・zH2Oは市販されており、また公知の方法により製造することができる。M2
Y・zH2OとしてはNa2S・9H2Oが安価であるという点から好ましい。
【0033】
<上記反応式(1)の反応の説明>
次に本発明の製造方法における上記反応式(1)の反応について説明する。
一般式(I)で表される化合物に前記M2Y・zH2Oを接触させることにより、一般式
(II)で表される化合物が生成する。すなわち一般式(I)で表される化合物からわずか
1段階の反応で、一般式(II)で表される、ジベンゾ[b,f]チエピン誘導体などのベンゼ
ン環、7員環、ベンゼン環からなる縮合環化合物を製造することができる。
【0034】
驚くべきは一般式(I)で表される化合物において、一般的に熱力学的に安定なトラン
ス構造だった部分がこの反応により一般的に熱力学的に不安定なシス構造に変化していることである。この反応の反応機構は定かではないが、光を照射するわけでもなく、M2
・zH2Oという簡単な化合物を接触させることにより、このような反応が起こることを
今般本発明者らは見出した。
【0035】
上記反応式(1)で表される反応は溶媒の存在下に行うことが好ましく、その溶媒としては極性溶媒が挙げられる。極性溶媒としては、N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルアセトアミド(DMA),ジメチルホルムアミド(DMF),ジメチルイミダゾリジノン(DMI),ジメチルスルホキシド(DMSO)などが挙げられ、溶媒自体の安定性,及び本反応
を促進する点からNMPが好ましい。
【0036】
上記反応式(1)で表される反応の反応温度は50〜250℃であることが好ましく、150〜200℃であることがより好ましく、185〜186℃であることが反応速度の点から特に好ましい。
【0037】
上記反応式(1)で表される反応は常圧で行うことができる。
このように上記反応式(1)で表される反応は比較的穏やかな条件で行うことができるので、本発明の製造方法は、たとえば高圧に耐えられるような特殊な反応容器など、高価な設備を必要としない。
【0038】
上記反応式(1)で表される反応の反応時間は通常12〜48時間、好ましくは12〜14時間である。
また上記反応式(1)で表される反応では、一般式(I)で表される化合物100mo
l%に対して通常30mol%以上、好ましくは50mol%以上の収率で一般式(II)で表される化合物を得ることができる。
【0039】
<一般式(I)で表される化合物の製造方法>
上記反応式(1)における一般式(I)で表される化合物は公知の方法で製造すること
ができるが、以下のような反応式(2)で表される反応により、簡単な出発物質から容易に製造することができる。
【0040】
【化7】

【0041】
上記反応式(2)中、R1〜R10およびXは前記反応式(1)におけるそれぞれの定義
と同様である。
上記反応式(2)においてABn/Dは触媒成分であるが、Aは第4族遷移金属であり
、チタンであることが触媒活性の点から好ましい。
【0042】
Bはハロゲンであり、触媒活性およびABnとしての入手のしやすさからBは塩素であ
ることが好ましい。
nはAの原子価である。
【0043】
Dは金属原子であり、DはABnの金属Aを還元できればよく,鉄,コバルト,ニッケル,銅,亜鉛であることが好ましく、亜鉛であることがより好ましい。
前記ABn/Dは低原子価チタンを含む触媒であることが好ましく、TiCl4/Znで
あることが触媒活性の点から最も好ましい。
【0044】
以上説明したように、本発明の製造方法によれば一般式(I)で表される化合物からわ
ずか1段階の反応で、一般式(II)で表される、ジベンゾ[b,f]チエピン誘導体などのベ
ンゼン環、7員環、ベンゼン環からなる縮合環化合物を製造することができる。そして本発明の製造方法における反応式(1)の反応の原料である一般式(I)で表される化合物
は、上記反応式(2)で表される反応により簡単な化合物から製造することができる。
【0045】
一般式(II)で表される縮合環化合物を反応式(2)における一般式(III)および(IV)で表される化合物を出発原料として製造すると考えると、合計でわずか2段階の反応
で縮合環化合物を製造することができる。
【0046】
したがって本発明の製造方法は[背景技術]で説明したような従来のジベンゾ[b,f]チ
エピン誘導体の製造方法よりもはるかに簡便で効率的な縮合環化合物の製造方法であり、従来の方法よりも縮合環化合物を得るまでに必要な反応工程数が少なくなっているため、低コストかつ低環境負荷であることをも実現している。
【0047】
また一般式(III)および(IV)の化合物は、R1〜R10の全てが水素である場合には以下のような化合物である。
【0048】
【化8】

【0049】
この化合物上にアルキル基、ヒドロキシル基などの種々の置換基を導入するのは容易である。実際、これらのオルトハロゲン化ベンズアルデヒド誘導体は市販されており、また容易に合成することができる。
【0050】
したがって、この式(V)の化合物に様々な置換基を導入すれば、前記反応式(1)に
おける一般式(I)の化合物として様々な化合物を得ることができる。
オルトハロゲン化ベンズアルデヒド誘導体を出発原料として、前記反応式(2)で表される反応により、さまざまな置換基が導入された化合物を得て、その化合物を原料として本発明の製造方法を実施すれば、合計2段階で様々な縮合環化合物を得ることができる。
【0051】
本発明の製造方法で用いるM2Y・zH2O試薬は芳香族ハロゲン化物の炭素−ハロゲン結合との反応性が高く,相対的に他の多くの官能基との反応性は低い。すなわち前記試薬は高い官能基許容性を示すため,本発明の製造方法はさまざまな置換基が導入された縮合環化合物の合成に適用できる。
【0052】
以上より本発明の製造方法をジベンゾ[b,f]チエピン誘導体などのベンゼン環、7員環
、ベンゼン環からなる縮合環化合物の工業的大規模製造に適用すれば、大幅なコスト削減および環境負荷の低下が期待できる。
【0053】
[本発明の製造方法の用途]
<医薬の有効成分の製造方法への適用>
前述のように、反応式(1)における一般式(I)の化合物として様々な化合物を得る
ことは容易であり、あらかじめ所望の置換基を導入した一般式(I)の化合物を原料とし
て反応式(1)で表される反応を行えば、本発明の製造方法によりゾテピンなどの医薬の有効成分を製造することができる。そして本発明の製造方法により得られた、医薬の有効成分である縮合環化合物を所定の剤型に賦型することにより、医薬を得ることができる。
【0054】
<医薬の有効成分の合成中間体の製造方法への適用>
またあらかじめ所望の置換基を導入して本発明の製造方法により医薬の有効成分を得るよりも、前記反応式(1)における一般式(II)の化合物を中間体として、さらなる反応により医薬の有効成分となる化合物を製造することが有利である場合には、本発明の製造方法により得られた縮合環化合物を原料として所定の反応を行い、医薬の有効成分を得ることができる。そしてそのようにして製造された化合物を所定の剤型に賦型することにより、医薬を得ることができる。
【実施例】
【0055】
以下実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
[実施例1]
窒素雰囲気下、50mL丸底フラスコに1,2-ビス(2-クロロフェニル)エチレン(249mg, 1mmo
l)、硫化ナトリウム九水和物(480 mg, 2 mmol)、無水NMP (24 mL)を加え、185〜186℃で12時間加熱した。
【0056】
反応終了後、反応溶液を飽和塩化アンモニウム水溶液 (240mL) に注ぎ、クロロホルム50 mLで3回抽出し、得られた油層を飽和食塩水400 mLで3回洗浄し、無水硫酸マグネシ
ウムで乾燥した。
【0057】
減圧下で前記の乾燥した油層から溶媒(無水NMP)を留去し、得られた固体をカラムクロマトグラフィー (シリカゲル, ヘキサン, Rf=0.16, Φ3.5 ×12 cm) で精製し、ジベンゾ[b,f]チエピン(下記式参照)の白色結晶(109 mg, 1,2-ビス(2-クロロフェニル)エチレンからみた収率52mol %)を得た。
【0058】
【化9】

【0059】
1H-NMR (270 MHz, CDCl3) δ7.51-7.48 (m, 2H) 7.30-7.23 (m, 6H), 7.04 (s, 2H), 13C-NMR (67.8 MHz, CDCl3) δ140.3, 134.9, 134.0, 132.8, 129.5 (×2), 128.4,
M.S.(70 eV, EI) m/z= 210 (M+)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記反応式(1)で表される反応により、下記一般式(I)で表される化合物から下記
一般式(II)で表される縮合環化合物を合成する工程を有することを特徴とする縮合環化合物の製造方法:
【化1】

(上記反応式(1)中、R1〜R10はそれぞれ独立に水素、ヒドロキシル基、ハロゲンま
たは炭素数1〜20のアルキル基であり、
Xはハロゲンであり、
Mはアルカリ金属であり、
Yは第16族元素であり、
zは0〜9の整数である。)。
【請求項2】
前記反応式(1)において、Yが硫黄、セレンまたはテルルであることを特徴とする請求項1に記載の縮合環化合物の製造方法。
【請求項3】
前記反応式(1)において、Yが硫黄であることを特徴とする請求項1または2に記載の縮合環化合物の製造方法。
【請求項4】
前記反応式(1)において、Mがナトリウムまたはカリウムであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の縮合環化合物の製造方法。
【請求項5】
前記反応式(1)において、Mがナトリウムであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の縮合環化合物の製造方法。
【請求項6】
溶媒の存在下に前記反応式(1)で表される反応工程を行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の縮合環化合物の製造方法。
【請求項7】
前記溶媒が極性溶媒であることを特徴とする請求項6に記載の縮合環化合物の製造方法。
【請求項8】
前記溶媒がN−メチルピロリドンであることを特徴とする請求項6または7に記載の縮合環化合物の製造方法。
【請求項9】
前記反応式(1)において、R1〜R5およびR7〜R9が水素であり、R6が塩素であり
、R10がヒドロキシル基であり、Yが硫黄であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の縮合環化合物の製造方法。
【請求項10】
前記反応式(1)において、一般式(I)で表される化合物が、下記反応式(2)で表
される反応により製造されることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の縮合環化合物の製造方法:
【化2】

(上記反応式(2)中、R1〜R10はそれぞれ独立に水素、ヒドロキシル基、ハロゲンま
たは炭素数1〜20のアルキル基であり、
Xはハロゲンであり、
Aは第4族遷移金属であり、
Bはハロゲンであり、
nはAの原子価であり、
Dは金属原子である。)。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかに記載の縮合環化合物の製造方法により得られた縮合環化合物を所定の剤型に賦型することを特徴とする医薬の製造方法。
【請求項12】
請求項1〜10のいずれかに記載の縮合環化合物の製造方法により得られた縮合環化合物を原料として製造された化合物を、所定の剤型に賦型することを特徴とする医薬の製造方法。

【公開番号】特開2009−234958(P2009−234958A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−81247(P2008−81247)
【出願日】平成20年3月26日(2008.3.26)
【出願人】(504136568)国立大学法人広島大学 (924)
【Fターム(参考)】