説明

縮合環複素環オピオイド

式(I)で表される化合物が開示される。これらの化合物において、(1)又は(2)は、複素環式環である。前記化合物は、鎮痛薬、かゆみ止め薬、下痢止め薬、抗痙攣薬、鎮咳薬、食欲抑制薬/抗肥満剤として、並びに痛覚過敏、薬物嗜癖、呼吸抑制、ジスキネジア、痛み(神経障害性の痛みを含む)、過敏性腸症候群及び胃腸運動障害のための治療薬として有用である。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
《連邦政府による資金提供を受けた研究》
以下の発明は、米国保健社会福祉省によって授与された契約番号R01DA12180の下で、米国政府支援によりなされたものである。米国政府は、本発明において一定の権利を有する。
【発明の分野】
【0002】
本発明は、複素環部分を含有するオピオイド受容体結合性化合物に関する。前記化合物は、鎮痛薬、下痢止め薬、抗痙攣薬、抗肥満剤、鎮咳薬、抗コカイン薬、及び抗嗜癖薬として有用である。
【発明の背景】
【0003】
1805年のモルヒネの単離以来、オピエートは熱心な研究の対象であり、オピエート又はオピエート様活性を有する何千もの化合物が同定されてきた。ヒトの痛覚脱失を引き起こすために使用される化合物(例えば、モルヒネ)及びヒトの薬物嗜癖を治療するために使用される化合物(例えば、ナルトレキソン及びシクラゾシン)を含む多くのオピオイド受容体相互作用性化合物は、経口生体利用率が乏しく、体内からの消失速度が非常に迅速であるため、有用性には限界があった。これが、ベンゾモルファン類[(例えばシクラゾシン及びEKC(エチルケトシクラゾシン)]としても知られている2,6−メタノ−3−ベンゾアゾシン(benzazocine)類の8位のヒドロキシル基(OH)及びモルフィナン類(例えばモルヒネ)の対応する3位のOH基の存在によるものであることは多くの実例中で示されてきた。
【化1】

【0004】
これらのヒドロキシル基の高い極性により、親分子の経口吸収が遅延する。更に、8位(又は3位)のOH基は、スルホン化及びグルクロン酸抱合(第II相代謝)を受けやすく、両方とも活性化合物の迅速な排泄を促進し、その結果、活性化合物に対して不都合なほど短い半減期をもたらす。2001年のWentlandの刊行物に至るまでずっと、過去70年の当技術分野における一貫した経験は、8位(又は3位)のOH基の除去又は置換により、薬理学的に不活性な化合物がもたらされたということであった。
米国特許第6,784,187号明細書(Wentlandに属する)は、オピオイドのフェノール性OHをCONHにより置き換えることができることを開示した。オピオイドのシクラゾシンシリーズにおいては、8−カルボキサミドシクラゾシン(8−CAC)が、μ及びκオピオイド受容体に対して高い親和性を有することが示された。インビボでの研究においては、8−CACは高い痛覚抑制活性を示し、8−CACとシクラゾシンの両方をマウスに1mg/kg腹腔内投与したときに、シクラゾシンよりもかなり長い活性持続時間を示した(15時間対2時間)。8−CACに対する予備的な構造活性相関研究では、カルボキサミド基窒素原子のメチル基又はフェニル基での一置換がモルモットのμ受容体に対する結合親和性を、それぞれ75倍及び2313倍減少させ、一方カルボキサミド基のジメチル化が結合親和性を9375倍減少させたことが明らかになった。カルボキサミド基窒素原子のこれらの基での置換がかかる有害効果を有するという発見は、アミド基のNHがオピオイド結合に対して極めて重要であることを示唆した。
《発明の要約》
本発明者らは今、前記8位を芳香環の7又は9位のいずれかへと戻して環化することができ、その結果、優れたオピオイド結合性と恐らくは良好な代謝安定性とを示す化合物を得ることができることを見出した。従って、本発明の化合物は、鎮痛薬、かゆみ止め薬、下痢止め薬、抗痙攣薬、鎮咳薬、食欲抑制薬として有用であり、並びに痛覚過敏、薬物嗜癖、呼吸抑制(respiratory depression)、ジスキネジア、痛み(神経障害性の痛みを含む)、過敏性腸症候群(irritable bowel syndrome)及び胃腸運動障害(gastrointestinal motility disorder)のための治療薬(treatments)として有用である。本明細書で用いる薬物嗜癖としては、アルコール及びニコチン嗜癖が挙げられる。本化合物は免疫抑制剤及び抗炎症剤としても有用であることができ、そして、虚血性障害減少(及び心臓保護)のためにも、学習及び記憶の改善のためにも、並びに尿失禁の治療のためにも有用であり得るという証拠が文献に存在する。血液脳関門を横断しないこれらの化学種はまた、オピオイド誘発性便秘及び尿閉の治療にも有用である。
或る観点においては、本発明は、式:
【化2】

(式中、
【化3】

は、置換することができるか又は更に縮合して1〜3環を形成することができる複素環であり;
は、
【化4】

から選択され;
は、
【化5】

から選択され;
Xは、N又はCRであり;
及びR2aは、両方共に水素原子であるか、又はR及びR2aが一緒になって=Oであり;
は、水素原子、(C〜C)炭化水素基、ヘテロシクリル基、ヘテロシクリルアルキル基及びヒドロキシアルキル基から選択され;
は、水素原子、ヒドロキシ基、アミノ基、(C〜C)アルコキシ基、(C〜C20)アルキル基、及びヒドロキシ基又はカルボニル基で置換される(C〜C20)アルキル基から選択され;
は、(C〜C)アルキル基であり;
は、(C〜C)アルキル基であり;
は、水素原子、NHR及びヒドロキシ基から選択され;又は
、R、R及びRが一緒になって1〜3環を形成することができ、前記環が場合により更に置換基を有し;
は、その各出現において独立して、H、アルキル基又は
【化6】

であり;
Uは、(CH(式中、1つ以上のCHを、−O−、シクロアルキル基又は−CR1a1bで置き換えることができる)であり;
1a及びR1bは、独立して、水素原子、ハロゲン原子、(C〜C)アルキル基、(C〜C)アルコキシ基及び(C〜C)アルキルチオ基から選択され;
Arは、1〜3環のアリール又はヘテロアリール残基であり;
10は、独立して、水素原子、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、(C〜C)アルキル基、(C〜C)アルコキシ基、ハロ(C〜C)アルキル基及びハロ(C〜C)アルコキシ基並びに(C〜C)アルキルチオ基から選択される1つ又は2つの残基であり;
11は、H又は
【化7】

であり;
【化8】

は、1〜3環のアリール又はヘテロアリール残基であり;
U’は、(CH(式中、1つ以上のCHを、−O−、シクロアルキル基、−CR1a1b、−C(=O)−又は-NH−により置き換えることができる)であり;
15は、独立して、水素原子、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、(C〜C)アルキル基、(C〜C)アルコキシ基、ハロ(C〜C)アルキル基及びハロ(C〜C)アルコキシ基並びに(C〜C)アルキルチオ基から選択される1つ又は2つの残基であり;
mは、0又は整数1〜6であり;並びに
nは、整数1〜6である)
で表される化合物に関する。
前述の構造の下位分類としては下記のものが挙げられる:
A)R、R、R及びRが更なる環を形成しない、前記構造で表される2,6−メタノ−3−ベンゾアゾシン類:
【化9】

B)R及びRが1環を形成するモルフィナン類:
【化10】

C)R、R及びRが2環を形成するモルフィナン類:
【化11】

(式中、
は、水素原子、ヒドロキシ基、アミノ基又は(C〜C)アルコキシ基であり;
19は、水素原子又は(C〜C)アルキル基であり;
20は、水素原子、(C〜C)アルキル基及びヒドロキシ((C〜C)アルキル)基から選択され;又はR19及びR20が一緒になって炭素原子5〜10個のスピロ縮合炭素環を形成し;
21は、水素原子であり;
22は、ヒドロキシ基、(C〜C)アルコキシ基及び−NR1314から選択され;又は
21及びR22が一緒になってカルボニル置換基又はビニル置換基を形成する)
D)R、R及びRが2環を形成し、且つ窒素原子が四級化されるモルフィナン類:
【化12】

(式中、
は、水素原子、ヒドロキシ基、アミノ基又は(C〜C)アルコキシ基であり;
19は、水素原子又は(C〜C)アルキル基であり;
20は、水素原子、(C〜C)アルキル基及びヒドロキシ((C〜C)アルキル)基から選択され;又はR19及びR20が一緒になって炭素原子5〜10個のスピロ縮合炭素環を形成し;
21は、水素原子であり;
22は、ヒドロキシ基、(C〜C)アルコキシ基及び−NR1314から選択され;又は
21及びR22が一緒になってカルボニル置換基又はビニル置換基を形成し;並びに
E−は、薬学的に許容可能なアニオンである)
並びに
E)R及びR11が飽和又は不飽和であることができる更なる第6の環を形成するモルフィナン類:
【化13】

その他の観点においては、本発明は、式:
【化14】

(式中、
Aは、−C(=O)NR12及び−C(=S)NR12から選択され;
及びR2aは、両方共に水素原子であるか、又はR及びR2aが一緒になって=Oであり;
は、水素原子、(C〜C)炭化水素基、ヘテロシクリル基、ヘテロシクリルアルキル基及びヒドロキシアルキル基から選択され;
は、水素原子、ヒドロキシ基、アミノ基、(C〜C)アルコキシ基、(C〜C20)アルキル基、及びヒドロキシ基又はカルボニル基で置換される(C〜C20)アルキル基から選択され;
は、(C〜C)アルキル基であり;
は、(C〜C)アルキル基であり;
又はR、R及びRが一緒になって1〜3環を形成することができ、前記環が場合により、更に置換基を有し;
は、その各出現において独立して、H、アルキル基及び
【化15】

から選択され;
Uは、(CH(式中、1つ以上のCHを、−O−、シクロアルキル基又は−CR1a1bにより置き換えることができる)であり;
1a及びR1bは、独立して、水素原子、ハロゲン原子、(C〜C)アルキル基、(C〜C)アルコキシ基及び(C〜C)アルキルチオ基から選択され;
Arは、1〜3環のアリール又はヘテロアリール残基であり;
10は、独立して、水素原子、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、(C〜C)アルキル基、(C〜C)アルコキシ基、ハロ(C〜C)アルキル基及びハロ(C〜C)アルコキシ基並びに(C〜C)アルキルチオ基から選択される1つ又は2つの残基であり;
11は、H又は
【化16】

であり;
【化17】

は、1〜3環のアリール又はヘテロアリール残基であり;
U’は、(CH(式中、1つ以上のCHを、−O−、シクロアルキル基、−CR1a1b、−C(=O)−又は−NH−により置き換えることができる)であり;
12は、水素原子及び(C〜C)アルキル基から選択され;
15は、独立して、水素原子、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、(C〜C)アルキル基、(C〜C)アルコキシ基、ハロ(C〜C)アルキル基及びハロ(C〜C)アルコキシ基並びに(C〜C)アルキルチオ基から選択される1つ又は2つの残基であり;
17又はR18の一方は、NHRであり、他方は、水素原子であり;
mは、0又は整数1〜6であり;並びに
nは、整数1〜6である)
で表される化合物に関する。
その他の観点においては、本発明は、薬学的に許容可能な担体及び上記の化合物を含む医薬製剤に関する。
その他の観点においては、本発明は、前記化合物をオピオイド受容体と接触させることを含む、前記オピオイド受容体を介した応答を変えることにより疾患又は病態を治療する方法に関する。
《発明の詳細な説明》
長年のSAR研究から、モルフィナン類及びベンゾモルファン類のヒドロキシル基はオピエート受容体の特定の部位と相互に作用することが知られている。本発明者らは今、驚くべきことに、ヒドロキシル基を、もともとヒドロキシル基が占めていた位置を占める炭素原子を介して芳香環に縮合される複素環で置き換えることができることを見出した。かなり広範囲の縮合複素環類が、250ナノモル未満の望ましい範囲で、少なくとも1つのオピオイド結合部位(μ、δ又はκ)に結合性を示す。
【0005】
或る観点においては、本発明は、式:
【化18】

で表される化合物に関する。
この亜属は、複素環式環がベンゾアゾシンの8,9位に縮合される化合物を含む。特定の実施態様においては、
【化19】

は、
【化20】

から選択され、前記化合物は、式:
【化21】

で表されるものである。
【0006】
その他の観点においては、本発明は、式:
【化22】

で表される化合物に関する。
この亜属は、複素環式環がベンゾアゾシンの7,8位に縮合される化合物を含む。特定の実施態様においては、
【化23】

は、
【化24】

から選択され、前記化合物は、式:
【化25】

で表されるものである。
【0007】
その他の観点においては、本発明は、式:
【化26】

(式中、Aは、−C(=O)NR12又は−C(=S)NR12である)で表される化合物に関する。これらの化合物は、7,8縮合ピリミジン類合成の中間体としても及びそれ自体でオピオイド受容体結合性化合物としても有用である(下記表1の実施例6を参照のこと)。通例、R12は、水素原子であろう。
【0008】
或る主要下位分類においては、基Rは、ビフェニル基及びジアリールエーテル基などである。例示的な式は、
【化27】

である。
【0009】
の好ましい値(複数)は、水素原子及び式中、以下のものである。
(a)
【化28】

がフェニル基であり、R10が水素原子であり、及びR11
【化29】

である。その結果、R11がピリジニル基、フェニル基、ハロフェニル基、メチルフェニル基、メトキシフェニル基(前記すべてにおいて、A’は直接結合である)及びフェノキシ基(ここで、A’は−O−である)を表す。
(b)
【化30】

がフェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、カルバゾール基、ジベンゾフラン基及びジベンゾチオフェン基から選択され、R10が水素原子、メトキシ基、ハロゲン原子又はメチル基であり;並びにR11が水素原子である。
(c)
【化31】

がピリジニル基であり、R10が水素原子であり、並びにR11がフェニル基、ハロフェニル基、メチルフェニル基、メトキシフェニル基及びフェノキシ基から選択される。
【0010】
μ、δ及びκアゴニストである化合物は鎮痛活性を示し;選択的μアゴニストである化合物は下痢止め活性を示し、ジスキネジアの治療に有用であり;μアンタゴニスト及びκアゴニストはヘロイン、コカイン、アルコール及びニコチン嗜癖の治療に有用であり;κアゴニストはまたかゆみ止め薬でもあり、痛覚過敏の治療に有用であることが当該技術分野において知られている。最近、κアゴニストがレトロウイルス感染症の治療にも有用であることが見出されている[Peterson et al.Biochem.Pharmacol.61,1141−1151(2001)]。一般に、前記タイプIIIのモルフィナン類の右旋性異性体は、鎮咳薬及び抗痙攣薬として有用である。
【0011】
周知の高い親和性を有するオピオイド受容体リガンドを、次の諸チャートに示す。これらの化合物においてフェノール性OH(8で示す)を有する炭素原子とそれに隣接する炭素原子(7又は9で示す)に縮合環
【化32】

を結合することにより、オピオイド活性を示す化合物が製造される。当業者には明らかなように、Qbを含有する環は、既にC−7位に置換基を所有するモルフィナン類及びチャート2及び3の類似化合物に結合されることはない。本発明の実施態様は、次の諸チャートに示した化合物のそれぞれを含むが、諸チャートにおいてフェノール性ヒドロキシル基は、フェノール性OHを結合する炭素原子とそれに隣接する炭素原子に結合される縮合環により置き換えられる。
【化33】

【化34】

【化35】

【化36】

【化37】

【0012】
他のオピオイド受容体リガンドは、Burger’s Medicinal Chemistry and Drug Discovery,M.E.Wolff ed.,John Wiley & Sons 1996,pages 321−44のAldrich,J.V.“Analgesics”に記載されている。この開示内容は参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0013】
本発明者らは、オピオイド受容体で相互に作用する周知化合物の一連の縮合環類似体についてオピオイド受容体結合性を検討してきた。化合物をスクリーニングするために用いる結合アッセイは、以前にNeumeyer et al.,Design and Synthesis of Novel Dimeric Morphinan Ligands for κ and μ Opioid Receptors.J.Med.Chem.2003,46,5162により報告されているアッセイと同様である。ヒトのオピオイド受容体の一つの型を安定して発現するCHO細胞からの膜タンパク質を、1nM[H]U69,59310(κ)、0.25nM[H]DAMGO11(μ)又は0.2nM[H]ナルトリンドール12(δ)のいずれかの存在下に、最終容積1mLの50mMトリス−HCl(pH7.5)中で、25℃で、異なる12濃度の化合物とともにインキュベートした。[H]U69,593及び[H]DAMGOについては、インキュベーション時間60分を用いた。[H]ナルトリンドールの受容体との会合がより遅いため、この放射性リガンドについては、3時間のインキュベーションを用いた。[H]ナルトリンドールとともにインキュベートされる試料には更に、10mM MgCl及び0.5mMフェニルメチルスルホニルフルオリドを含有させた。非特異的結合は、10μMナロキソンを含めることにより測定した。Brandelの48ウェルセルハーベスターを用いて、Schleicher & SchuellのNo.32ガラス繊維フィルターを通して試料を濾過することにより、結合を停止させた。その後、フィルターを、冷50mMトリス−HCl(pH7.5)3mLで3回洗浄して、2mLのエコシンチA(Ecoscint A)シンチレーション液中でカウントした。[H]ナルトリンドール及び[H]U69,593の結合については、フィルターを、使用前少なくとも60分間、0.1%ポリエチレンイミン中に浸漬した。IC50値は、対数プロビット解析への最小二乗適合により計算した。非放射性化合物のK値は、方程式K=(IC50)/1+Sから計算した。この式中、S=(放射性リガンド濃度)/(放射性リガンドのK)である13。データは、3回ずつ行なう少なくとも3実験からの平均値±SEMである。
【0014】
35S]GTPγS結合アッセイ。最終容積0.5mL中で、異なる12濃度の各試験化合物を、ヒトのκ、δ又はμオピオイド受容体のいずれかを安定して発現するCHO細胞膜15μg(κ)、10μg(δ)又は7.5μg(μ)とともにインキュベートした。アッセイ緩衝液は、50mMトリス−HCl(pH7.4)、3mM MgCl、0.2mM EGTA、3μM GDP、及び100mM NaClからなっていた。[35S]GTPγSの最終濃度は0.080nMであった。非特異的結合は、10μM GTPγSを含めることにより測定した。結合は、膜の添加により開始した。30℃で60分のインキュベーション後、Schleicher & SchuellのNo.32ガラス繊維フィルターを通して、試料を濾過した。フィルターを冷50mMトリス−HCl(pH7.5)で3回洗浄して、2mLのエコシンチ(Ecoscint)シンチレーション液中でカウントした。データは、3回ずつ行なう少なくとも3つの別個の実験からの平均Emax及びEC50値±S.E.M.である。Emax値の計算については、基礎の[35S]GTPγS結合を0%に設定した。μオピオイド受容体における化合物のアンタゴニスト活性を定量するために、μオピオイド受容体を発現するCHO膜を、200nMのμアゴニストDAMGO存在下に、異なる12濃度の化合物とともにインキュベートした。κオピオイド受容体における化合物のアンタゴニスト活性を定量するために、κオピオイド受容体を発現するCHO膜を、100nMのκアゴニストU50,488存在下に、化合物とともにインキュベートした。化合物がδ受容体におけるアンタゴニストであるかどうかを決定するために、δ受容体を発現するCHO膜を、10nMのδ選択的アゴニストSNC80存在下に、異なる12濃度の試験化合物とともにインキュベートした。
実施例
【化38】

【表1】

【0015】
抗侵害受容活性は、Jiang et al.[J.Pharmacol.Exp.Ther.264,1021−1027(1993),page 1022]に記載の方法により評価される。本発明の化合物のED50値は、マウスの酢酸ライジング試験で、脳室内投与したとき、100nmol未満であることが期待される。更に、腹腔内投与したとき、本発明の化合物について、その「親」化合物に比べて作用持続時間の増加が期待される。
【0016】
定義
この明細書の全体にわたり、用語及び置換基はその定義が保持される。
【0017】
アルキル基は、直鎖状、分岐状、又は環状炭化水素構造及びその組み合わせを含むことを意味する。低級アルキル基は、炭素原子1〜6個のアルキル基を指す。低級アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、ブチル基、s−及びt−ブチル基、及びシクロブチル基などが挙げられる。好ましいアルキル基は、C20又はそれ未満のアルキル基である。シクロアルキル基はアルキル基の下位集合であり、シクロアルキル基としては炭素原子3〜8個の環状炭化水素基が挙げられる。シクロアルキル基の例には、c−プロピル基、c−ブチル基、c−ペンチル基、及びノルボルニル基などが含まれる。
【0018】
アルコキシ基又はアルコキシル基は、酸素原子を介して親構造に結合した炭素原子1〜8個の直鎖状、分岐状、環状構造及びその組み合わせの基を指す。例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、シクロプロピルオキシ基、及びシクロヘキシルオキシ基などが挙げられる。低級アルコキシ基は、1〜4個の炭素原子を含有する基を指す。
【0019】
アリール基及びヘテロアリール基は、5若しくは6員の芳香環基、又はO、N、若しくはSから選択されるヘテロ原子を0〜3個含有する5若しくは6員の芳香族複素環基;二環式9若しくは10員の芳香環系基、又はO、N、若しくはSから選択されるヘテロ原子を0〜3個含有する二環式9若しくは10員の芳香族複素環系基;あるいは、三環式13若しくは14員の芳香環系基、又はO、N、若しくはSから選択されるヘテロ原子を0〜3個含有する三環式13若しくは14員の芳香族複素環系基を意味する。芳香族6〜14員の炭素環式環としては、例えば、ベンゼン、ナフタレン、インダン、テトラリン、及びフルオレンが挙げられ、5〜10員の芳香族複素環式環としては、例えば、イミダゾール、ピリジン、インドール、チオフェン、ベンゾピラノン、チアゾール、フラン、ベンゾイミダゾール、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、ピリミジン、ピラジン、テトラゾール及びピラゾールが挙げられる。
【0020】
アリールアルキル基は、アリール環に結合したアルキル残基を意味する。例としては、ベンジル基、及びフェネチル基などが挙げられる。ヘテロアリールアルキル基は、ヘテロアリール環に結合したアルキル残基を意味する。例としては、例えばピリジニルメチル基、及びピリミジニルエチル基などが挙げられる。
【0021】
複素環基は、1〜2個の炭素原子がヘテロ原子(例えば、酸素原子、窒素原子又は硫黄原子)により置き換えられているシクロアルキル残基又はアリール残基を意味する。ヘテロアリール基は、複素環基の下位集合を形成する。本発明の範囲内に入る複素環の例としては、ピロリジン、ピラゾール、ピロール、インドール、キノリン、イソキノリン、03テトラヒドロイソキノリン、ベンゾフラン、ベンゾジオキサン、ベンゾジオキソール(置換基として存在するときは、一般にメチレンジオキシフェニル基という)、テトラゾール、モルホリン、チアゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、チオフェン、フラン、オキサゾール、オキサゾリン、イソオキサゾール、ジオキサン、及びテトラヒドロフランなどが挙げられる。
【0022】
置換されたアルキル基、アリール基、シクロアルキル基、又はヘテロシクリル基は、各残基中の3個までのH原子を、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、ヒドロキシ基、低級アルコキシ基、カルボキシ基、カルボアルコキシ基、カルボキサミド基、シアノ基、カルボニル基、−NO、−NR;アルキルチオ基、スルホキシド基、スルホン基、アシルアミノ基、アミジノ基、フェニル基、ベンジル基、ヘテロアリール基、フェノキシ基、ベンジルオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、若しくは置換されたフェニル基、置換されたベンジル基、置換されたヘテロアリール基、置換されたフェノキシ基、置換されたベンジルオキシ基、若しくは置換されたヘテロアリールオキシ基で置き換えられているアルキル基、アリール基、シクロアルキル基、又はヘテロシクリル基を指す。
【0023】
本明細書に記載する事実上すべての化合物は、1つ以上の不斉中心を含有し、それにより、鏡像体、ジアステレオマー、及び絶対立体化学の用語で、(R)−又は(S)−として定義し得るその他の立体異性体を生じ得る。本発明には、それらのラセミ体及び光学的に純粋な形態のみならず全てのそのような可能な異性体もまた含まれることを意味する。モルフィナン類及びベンゾモルファン類の左旋性異性体はより強力な抗侵害受容剤であり、一方右旋性異性体は鎮咳薬又は鎮痙薬として有用であり得ることが一般に見出されている。光学的に活性な(R)−及び(S)−異性体は、キラルシントン若しくはキラル試薬を用いて製造することができるし、又は従来技術を用いて分割することができる。本明細書に記載する化合物がオレフィン二重結合又は他の幾何学的不斉中心を含むときで他に特に指定のない限り、化合物にはE及びZ幾何異性体の両方が含まれることを意味する。同様に、すべての互変異性型も含まれることを意味する。例えば、構造表示
【化39】

は、互変異性体
【化40】

及び
【化41】

を両方とも含むことを意味する。
【0024】
本発明の化合物のなかのあるものは、第四級塩、すなわちカチオン種である。従って、そういう化合物は、常に塩として提供されるであろう。用語「薬学的に許容可能な塩」は、その対イオン(アニオン)が無機酸、有機酸を含む薬学的に許容可能な非毒性の酸及び水(これが正式に水酸化物アニオンを供給する)に由来する塩を指す。本発明の化合物に適した薬学的に許容可能なアニオンとしては、水酸化物、酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩(ベシレート)、安息香酸塩、重炭酸塩、重流酸塩、炭酸塩、ショウノウスルホン酸塩、クエン酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコール酸塩、臭化物、塩化物、イセチオン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、リンゴ酸塩、マンデル酸塩、メタンスルホン酸塩、粘液酸塩、硝酸塩、パモ酸塩、パントテン酸塩、リン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、トリフルオロ酢酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、アセトアミド安息香酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アミノサリチル酸塩、アンヒドロメチレンクエン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、エデト酸カルシウム、ショウノウ酸塩、カンシル酸塩(camsylate)、カプリン酸塩、カプロン酸塩、カプリル酸塩、ケイ皮酸塩、シクラミン酸塩、ジクロロ酢酸塩、エデト酸塩(EDTA)、エジシル酸塩、エンボン酸塩、エストレート、エシレート、フッ化物、ギ酸塩、ゲンチシン酸塩、グルセプテート(gluceptate)、グルクロン酸塩、グリセロリン酸塩、グリコール酸塩、グリコリルアルサニル酸塩、ヘキシルレゾルシン酸塩、馬尿酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、ヨウ化物、ラクトビオン酸塩、マロン酸塩、メシレート、ナパジル酸塩、ナプシル酸塩、ニコチン酸塩、オレイン酸塩、オロチン酸塩、シュウ酸塩、オキソグルタル酸塩、パルミチン酸塩、ペクチン酸塩、ペクチネートポリマー(pectinate polymer)、フェニルエチルバルビツル酸塩、ピクリン酸塩、ピドレート、プロピオン酸塩、ロダン化物、サリチル酸塩、セバシン酸塩、ステアリン酸塩、タンニン酸塩、テオクレート(theoclate)、及びトシレートなどが挙げられる。望ましい塩は、クォート(quat)の合成において得られるどのような対イオンのイオン交換によっても得ることができる。これらの方法は、当業者によく知られている。医薬製剤の製造には薬学的に許容可能な対イオンが好ましいであろうが、その他のアニオンは、合成中間体としては全く許容可能である。従って、そのような塩が化学中間体であるとき、Xは、ヨウ化物、シュウ酸塩、及びトリフルオロメタンスルホン酸塩などの薬学的に望ましくないアニオンであることができる。本発明の化合物がビスクォート(bisquat)であるとき、対イオンとして、2つの一価アニオン性化学種(例えば、Cl)又は単一の二価アニオン性化学種(例えば、フマル酸塩)のいずれかを用いることができる。同様に、オリゴアニオン性化学種を用いて、対イオンに対するクォートの適切な比を有する塩、例えばクエン酸三クォート((quat)3citrates)を作ることができよう。これらは、自明の等価物であろう。
【0025】
略語
次の略語及び用語は、全体にわたり示された意味を有する。
Ac = アセチル
BNB = 4−ブロモメチル−3−ニトロ安息香酸
Boc = t−ブチルオキシカルボニル
BPE = 2(4−ビフェニリル)エチル =
【化42】

Bu = ブチル
c− = シクロ
DAMGO = Tyr−ala−Gly−NMePhe−NHCHOH
DBU = ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン
DCM = ジクロロメタン=塩化メチレン=CHCl
DEAD = アゾジカルボン酸ジエチル
DIC = ジイソプロピルカルボジイミド
DIEA = N,N−ジイソプロピルエチルアミン
DMAP = 4−N,N−ジメチルアミノピリジン
DMF = N,N−ジメチルホルムアミド
DMSO = ジメチルスルホキシド
DOR = δオピオイド受容体
DPPF = 1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン
DVB = 1,4−ジビニルベンゼン
EEDQ = 2−エトキシ−1−エトキシカルボニル−1,2−ジヒドロキノリン
Fmoc = 9−フルオレニルメトキシカルボニル
GC = ガスクロマトグラフィー
HATU = ヘキサフルオロリン酸O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル
)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウム
HOAc = 酢酸
HOBt = ヒドロキシベンゾトリアゾール
KOR = κオピオイド受容体
Me = メチル
mesyl = メタンスルホニル
MOR = μオピオイド受容体
MTBE = メチルt−ブチルエーテル
NMO = N−メチルモルホリンオキシド
PEG = ポリエチレングリコール
Ph = フェニル
PhOH = フェノール
PfP = ペンタフルオロフェノール
PPTS = p−トルエンスルホン酸ピリジニウム
PyBroP = ヘキサフルオロリン酸ブロモ−トリス−ピロリジノ−ホスホニウム
rt = 室温
sat’d = 飽和
s− = 第二級
t− = 第三級
TBDMS = t−ブチルジメチルシリル
TFA = トリフルオロ酢酸
THF = テトラヒドロフラン
TMOF = オルトギ酸トリメチル
TMS = トリメチルシリル
tosyl = p−トルエンスルホニル
Trt = トリフェニルメチル
U69,593 =
【化43】

【0026】
「保護」、「脱保護」及び「保護された」官能基に関する用語は、本出願中至る所に出てくる。そのような用語は当業者によく理解されており、一連の試薬を用いる逐次的処理を含むプロセスの文脈において使用される。その文脈において、保護基は、保護しなければ官能基が反応するであろうがその反応が望ましくないようなプロセスの工程の間中、官能基をマスクするために使用される基を指す。保護基は、その工程での反応を妨害するが、その後で除去して元の官能基を露出することができる。その除去、即ち「脱保護」は、官能基が妨害する反応(単数)又は反応(複数)の完結後に行なわれる。従って、一連の試薬が下記のように指定されるとき、当業者は、「保護基」として適しているような基を容易に想定することができる。その目的に適した基は、化学分野の標準的教科書、例えば、Protective Groups in Organic Synthesis by T.W.Greene[John Wiley & Sons,NewYork,1991]において論じられている。前記教科書は参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0027】
本発明の化合物は、下に記載する経路のうちの1つにより合成される。
【化44】

【化45】

【化46】

【化47】

【0028】
実験の項
プロトンNMRスペクトル及びある場合において13CNMRは、Varian Unity−300又は500NMRスペクトロメーターにより、CDClに溶解した試料について内部標準物質(internal reference)としてテトラメチルシランを用いて得た。CDOD及びDMSO−dに溶解した試料は、その溶媒を基準とした。プロトンNMR多重度データは、s(一重線)、d(二重線)、t(三重線)、q(四重線)、m(多重線)、dd(二重線の二重線)、及びbr(ブロード)で示す。結合定数はヘルツ単位である。直接挿入プローブ化学イオン化質量スペクトルデータは、島津GC−17A GC−MS質量分析計により得た。直接注入エレクトロスプレーイオン化(正電荷イオンモードにおける)質量スペクトルデータは、Agilent 1100シリーズLC/MSDシステム(ドイツ)により得た。融点は、Meltempキャピラリー融点測定装置により測定し、補正しなかった。赤外スペクトルデータは、Perkin−Elmer Paragon 1000FT−IR分光光度計により得た。旋光度データは、Perkin−Elmer 241偏光計から得た。すべての試験化合物及び中間体にアサインした構造は、データと一致した。すべての新規な目的物に対する炭素、水素、及び窒素の元素分析は、Quantitative Technologies Inc.,Whitehouse,NJが実施し、注記した以外は、理論値の±0.4%以内にあった;水又はその他の溶媒の存在は、プロトンNMRにより確認した。反応は、一般にアルゴン又は窒素雰囲気中で行なった。市販品として購入した試薬は、別に断らない限り、精製しないで使用した。次の試薬、即ちN−ヒドロキシスクシンイミド、フェネチルアミン、3−フェニル−1−プロピルアミン、4−アミノビフェニル、酢酸パラジウム、4−フェニルベンジルアミン及びベンジルアミンは、Aldrich Chemical Companyから購入した。次の試薬、即ち2−(4−ビフェニルエチルアミン)は、Trans World Chemicalsから購入した。次の試薬、即ち1,1’−ビス(ジフェニル−ホスフィノ)フェロセン(dppf)及びジクロロ[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−フェロセン]パラジウム(II)ジクロロメタン付加物[PdCl(dppf)]は、Strem Chemicals,Incorporatedから購入した。ピリジンは、KOHから蒸留した。DMF及びDMSOは、減圧下にCaH上で蒸留した。アミン類は、Aldrich Chemical Companyから購入して、別に示さない限り、受け入れた状態で使用した。トルエン及びEtOは、ナトリウム金属から蒸留した。THFは、ナトリウム/ベンゾフェノンケチルから蒸留した。ピリジンは、KOHから蒸留した。塩化メチレンは、CaHから蒸留した。DMF及びDMSOは、減圧下にCaHから蒸留した。メタノールは、使用する前に、3±モレキュラーシーブス上で乾燥した。フラッシュカラムクロマトグラフィーに対しては、シリカゲル(Bodman Industries,ICN SiliTech 2−63D 60A,230〜400メッシュ)を使用した。
【0029】
Cis−(±)−3−(シクロプロピルメチル)−1,2,3,4,5,6−ヘキサヒドロ−6,11−ジメチル−7−ニトロ−2,6−メタノ−3−ベンゾアゾシン−8−オール(2)及びcis−(±)−3−(シクロプロピルメチル)−1,2,3,4,5,6−ヘキサヒドロ−6,11−ジメチル−9−ニトロ−2,6−メタノ−3−ベンゾアゾシン−8−オール(3)。
2.0mL氷酢酸中の69%硝酸(0.20g)の溶液を、3.0mL氷酢酸中のシクラゾシン(1;0.542g,2.0mmol)の溶液に、25℃で添加した。25℃で3時間撹拌後、tlc(薄層クロマトグラフィー)により出発物質の存在が示されたので、更に0.10gmの69%硝酸を添加した。25℃で2時間撹拌後、tlcによりすべての出発物質が消費されたことが示されたので、反応混合物を氷及び過剰の濃水酸化アンモニウムの混合物に注ぎ入れた。混合物を酢酸エチルで処理して、有機相をブラインで洗浄し、NaSO上で乾燥し、濾過し、濃縮して、粗固体生成物(crude solid produce)を得て、これを勾配シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(CHCl:CHOH;20:1→10:1)により精製して、2(0.26g,40%)を灰色がかった白色固体として及び3(0.35g,54%)を灰色がかった白色泡状物として得た:MeOH/CHClから再結晶して、それぞれmp145°C及びmp175°Cを有する灰色がかった白色結晶を得た。
【0030】
2の場合:HNMR(500MHz,CDCl)δ6.98(d,1H,J=8.3Hz),6.83(d,1H,J=8.5Hz),3.10(m,1H),2.84(d,1H,J=18.8Hz),2.81−2.57(m,2H),2.46(m,1H),2.32(m,1H),2.03(m,3H),1.86−1.66(m,1H),1.31(s,3H),1.25(m,1H),0.87(m,4H),0.51(m,2H),0.11(m,2H);MS(ESI)m/z317(M+H);元素分析 C1824・0.75HOに対する計算値:C65.53,H7.79,N8.49.実測値:C65.27,H7.41,N8.23.
【0031】
3の場合:HNMR(500MHz,CDCl)δ10.36(s,1H),7.80(s,1H),7.03(s,1H),3.16(m,1H),2.95(d,1H,J=18.8Hz),2.79−2.56(m,2H),2.48(m,1H),2.32(m,1H),1.96(m,3H),1.39(s,3H),1.36(m,1H),0.85(m,4H),0.52(m,2H),0.11(m,2H);MS(ESI)m/z317(M+H);元素分析 C1824・0.5HOに対する計算値:C66.44,H7.74,N8.61.実測値:C66.03,H7.33,N8.48.
【0032】
トリフルオロメタンスルホン酸,cis−(±)−3−(シクロプロピルメチル)−1,2,3,4,5,6−ヘキサヒドロ−6,11−ジメチル−7−ニトロ−2,6−メタノ−3−ベンゾアゾシン−8−イルエステル(16)。
トリエチルアミン(0.22g,1.48mmol)を、20mLのCHClに溶解した2(0.47g,1.48mmol)の溶液に添加した。次いで、PhN(SOCF(0.58g,1.63mmol)を添加して、得られた混合物を25℃で4時間撹拌した。溶媒をロータリーエバポレーターで除去し、得られた混合物を勾配シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(CHCl:CHOH;80:1→40:1)により精製して、16(0.59g,88%)を灰色がかった白色泡状物として得た。HNMR(500MHz,CDCl)δ7.30(d,1H,J=8.5Hz),7.24(d,1H,J=8.6Hz),3.56(m,1H),3.17(m,1H),3.05(m,2H),2.81(m,1H),2.66(m,1H),2.29−2.04(m,2H),1.90(m,1H),1.34(m,4H),0.87(m,4H),0.69(m,2H),0.28(m,2H).
【0033】
トリフルオロメタンスルホン酸,cis−(±)−3−(シクロプロピルメチル)−1,2,3,4,5,6−ヘキサヒドロ−6,11−ジメチル−9−ニトロ−2,6−メタノ−3−ベンゾアゾシン−8−イルエステル(17)。
16を製造するのに用いた手順と同様の手順を用いて、化合物3を、灰色がかった白色泡状物としての17(93%)に変換した。HNMR(500MHz,CDCl)δ7.94(s,1H),7.27(s,1H),3.60(m,1H),3.22−2.94(m,3H),2.84(m,1H),2.68(m,1H),2.30(m,1H),2.11(m,2H),1.41(s,3H),1.38(m,1H),0.84(m,4H),0.69(m,2H),0.29(m,2H).
【0034】
Cis−(±)−3−(シクロプロピルメチル)−1,2,3,4,5,6−ヘキサヒドロ−6,11−ジメチル−7−ニトロ−2,6−メタノ−3−ベンゾアゾシン−8−カルボニトリル(18)。
16(0.27g,.061mmol)を含有する管に、N環境(blanket)下に、Zn(CN)(0.14g,1.22mmol)及びPd(PPh(0.07g,0.061mmol)を添加した。次いで、DMF(Nで脱気したもの),3.0mL)をN下にカニューレにより添加した。得られた混合物に、150℃で15分間マイクロ波を照射した。得られた混合物を水とEtOAcに分配した。有機相を、水(X2)及びブラインで洗浄し、次いでNaSO上で乾燥し、濾過し、濃縮して、粗生成物を得、これをシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(CHCl:CHOH:NHOH;80:1:0.1)により精製して、18(0.14g,70%)を灰色がかった白色泡状物として得た。HNMR(500MHz,CDCl)δ7.52(d,1H,J=8.1Hz),7.35(d,1H,J=8.1Hz),3.20(m,1H),3.04(d,1H,J=19.1Hz),2.86(m,1H),2.68(m,2H),2.47(m,1H),2.34(m,1H),2.10−1.74(m,3H),1.34(m,4H),0.89(m,1H),0.84(d,3H,J=7.1Hz),0.54(m,2H),0.12(m,2H).MS(ESI)m/z326(M+H)
【0035】
Cis−(±)−3−(シクロプロピルメチル)−1,2,3,4,5,6−ヘキサヒドロ−6,11−ジメチル−9−ニトロ−2,6−メタノ−3−ベンゾアゾシン−8−カルボニトリル(19)。
18を製造するのに用いた手順と同様の手順を用いて、化合物17を、灰色がかった白色泡状物としての19(定量的収率)に変換した。HNMR(500MHz,CDCl)δ8.05(s,1H),7.75(s,1H),3.22(m,1H),3.08(d,1H,J=19.8Hz),2.79(m,2H),2.47(m,1H),2.32(m,1H),2.10−1.78(m,3H),1.46(s,3H),1.33(m,1H),0.87(m,1H),0.83(d,3H,J=7.1Hz),0.54(m,2H),0.12(m,2H).
【0036】
Cis−(±)−3−(シクロプロピルメチル)−1,2,3,4,5,6−ヘキサヒドロ−6,11−ジメチル−7−ニトロ−2,6−メタノ−3−ベンゾアゾシン−8−カルボキサミド(4)。
t−BuOH(2.0mL)中に溶解した18(0.11g,0.33mmol)の溶液を、82℃で加熱して、KOH(0.056g,1.0mmol)を添加した。82℃で1時間撹拌後、ブライン及びEtOAcを添加した。有機相を、NaSO上で乾燥し、濾過し、濃縮して、粗生成物を得て、これをシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(CHCl:CHOH:NHOH;20:1:0.1)により精製して、4を灰色がかった白色固体(0.098g,85%)として得た。この固体をアセトンから結晶化し、続いてi−PrOH/t−BuOHから再結晶して、mp190℃を有する結晶を得た。HNMR(500MHz,CDCl)δ8.03(s,1H),7.54(s,1H),7.38(s,2H),3.04(m,1H),2.96(d,1H,J=19.5Hz),2.76(m,2H),2.38(m,1H),2.24(m,1H),2.06−1.56(m,3H),1.19(m,4H),0.79(m,1H),0.73(d,3H,J=6.8Hz),0.44(m,2H),0.07(m,2H);MS(ESI)m/z344(M+H);元素分析 C1925・0.5HOに対する計算値:C64.75,H7.44,N11.92.実測値:C64.47,H7.21,N11.56.
【0037】
Cis−(±)−3−(シクロプロピルメチル)−1,2,3,4,5,6−ヘキサヒドロ−6,11−ジメチル−9−ニトロ−2,6−メタノ−3−ベンゾアゾシン−8−カルボキサミド(5)。
4を製造するのに用いた手順と同様の手順を用いて、化合物19を、灰色がかった白色泡状物としての5(45%)に変換した。HNMR(500MHz,CDCl)δ7.80(s,1H),7.42(s,1H),5.89(m,2H),3.20(m,1H),3.03(d,1H,J=19.0Hz),2.75(m,2H),2.47(m,1H),2.33(m,1H),2.06−1.82(m,3H),1.43(s,3H),1.34(m,1H),0.87(m,1H),0.83(d,3H,J=7.1Hz),0.53(m,2H),0.12(m,2H);MS(ESI)m/z344(M+H);元素分析 C1925・0.25HOに対する計算値:C65.59,H7.39,N12.08.実測値:C65.39,H7.38,N11.93.
【0038】
Cis−(±)−3−(シクロプロピルメチル)−1,2,3,4,5,6−ヘキサヒドロ−6,11−ジメチル−7−アミノ−2,6−メタノ−3−ベンゾアゾシン−8−カルボキサミド(6)。
MeOH(20mL)に溶解した4(0.15g,0.44mmol)の溶液に、10%Pd/C(0.093g)を添加した。得られた混合物を、パルシェーカー中25℃で3日間、55psiのHにさらした。混合物を濾過し、濃縮して、粗生成物を得て、これをシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(CHCl:CHOH:NHOH;30:1:0.1)により精製して、6(0.060g,44%)を白色泡状物として得た。HNMR(500MHz,CDCl)δ7.14(d,1H,J=8.1Hz),6.42(d,1H,J=8.1Hz),6.12(s,1H),5.58(br s,2H),3.09(m,1H),2.76(m,3H),2.24(m,1H),2.28(m,1H),2.06−1.70(m,3H),1.59(s,3H),1.58(m,1H),0.91(d,3H,J=7.1Hz),0.86(m,1H),0.51(m,2H),0.10(m,2H);MS(ESI)m/z314(M+H);元素分析 C1927O・0.25HOに対する計算値:C71.78,H8.72,N13.22.実測値:C72.00,H8.84,N12.98.
【0039】
Cis−(±)−3−(シクロプロピルメチル)−1,2,3,4,5,6−ヘキサヒドロ−6,11−ジメチル−9−アミノ−2,6−メタノ−3−ベンゾアゾシン−8−カルボキサミド(7)。
6を製造するのに用いた手順と同様の手順を用いて、化合物5を、灰色がかった白色泡状物としての7(63%)に変換した。HNMR(500MHz,CDCl)δ7.20(s,1H),6.42(s,1H),5.61(br s,2H),5.42(s,2H),3.10(m,1H),2.84(d,1H,J=18.8Hz),2.75−2.53(m,2H),2.46(m,1H),2.30(m,1H),2.06−1.80(m,3H),1.35(s,3H),1.27(m,1H),0.87(m,1H),0.84(d,3H,J=7.1Hz),0.51(m,2H),0.10(m,2H);MS(ESI)m/z314(M+H);元素分析 C1927O・0.25HOに対する計算値:C71.78,H8.72,N13.22.実測値:C72.00,H8.73,N13.27.
【0040】
Cis−(±)−7−アミノ−3−(シクロプロピルメチル)−1,2,3,4,5,6−ヘキサヒドロ−6,11−ジメチル−2,6−メタノ−3−ベンゾアゾシン−8−カルボニトリル(20)。
6(0.22g,0.70mmol)、POCl(0.11gm,0.70mmol)、及びピリジン(2.0mL)の混合物を、マイクロ波放射下に100℃で20分間加熱してから、濃縮した。残渣を1.0N HClに溶解して、25℃で1時間撹拌した。反応混合物を飽和NaCOで塩基性にして、有機物質を酢酸エチル中に抽出した。有機層をブラインで洗浄し、NaSO上で乾燥し、濾過し、濃縮して、粗生成物を得て、これをシリカゲルクロマトグラフィー(コンビフラッシュ(Combiflash)−CHCl:CHOH:NHOH)により精製して、20を灰色がかった白色固体(0.11g)として収率54%で得た:HNMR(500MHz,CDCl)δ7.07(d,1H,J=8.5Hz),6.41(d,1H,J=8.8Hz),3.16(m,1H),2.70(m,4H),2.46(m,1H),2.30(m,1H),2.07−1.70(m,3H),1.64(m,4H),0.94(d,3H,J=6.8Hz),0.88(m,1H),0.53(m,2H),0.12(m,2H).
【0041】
Cis−(±)−9−アミノ−3−(シクロプロピルメチル)−1,2,3,4,5,6−ヘキサヒドロ−6,11−ジメチル−2,6−メタノ−3−ベンゾアゾシン−8−カルボニトリル(22)。
19(0.180g,0.55mmol)、10%Pd/C及びCHOH(20mL)の混合物を、パルシェーカー中25℃で15時間、40psiのHにさらした。混合物を濾過し、濃縮して、22を粗生成物として得て、これをシリカゲルクロマトグラフィー(コンビフラッシュ−CHCl:CHOH:NHOH)により精製して、灰色がかった白色泡状物(0.070g,47%)を得た:HNMR(500MHz,CDCl)δ7.25(s,1H),6.47(s,1H),4.18(s,2H),3.15(m,1H),2.86(d,1H,J=19.0Hz),2.80−2.58(m,2H),2.48(m,1H),2.33(m,1H),1.94(m,3H),1.32(s,3H),1.25(m,1H),0.90(m,1H),0.81(d,3H,J=7.1Hz),0.53(m,2H),0.12(m,2H);MS(ESI)m/z296(M+H)
【0042】
7,8縮合ピリミジノン誘導体8及び8,9縮合ピリミジノン誘導体9。
6(0.035g,0.11mmol)及び2.0mLの88%ギ酸の混合物を、マイクロ波放射下に120℃で30分間加熱した。反応混合物を過剰のNHOHを用いて塩基性化して、有機物質を酢酸エチル中に抽出した。有機相をブラインで洗浄し、NaSO上で乾燥し、濃縮して、粗生成物を得、これをシリカゲルクロマトグラフィー(コンビフラッシュ−CHCl:CHOH:NHOH)により精製して、8(0.020gm,54%)を得た。同様に、7(0.021g,0.067mmol)を9(0.016gm,50%)に変換した。別法として、7−及び9−ニトロ−シクラゾシン誘導体2/3を含有する、シクラゾシンのニトロ化からの生成物を、個別の位置異性体についての上記と同じ方法を用いて、7−及び9−ニトロ−カルボニトリル誘導体18/19の混合物に変換した。18/19(1.00gm,3.08mmol)の混合物を、CHOH(50mL)に溶解して、10%Pd/C(0.065g)を添加した。得られた混合物を、パルシェーカー中20時間、20psiの水素にさらしてから、濾過し、濃縮して、20/22で汚染された6/7からなる粗生成物を得た。この粗反応生成物(1.01g)を、100℃で37時間、10mLの88%ギ酸で処理してから、過剰のNaOH/HOで塩基性にした。有機物質を酢酸エチル中に抽出し、ブラインで洗浄し、NaSO上で乾燥し、濃縮して、混合物を得、これをシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン:アセトン:NHOH)により分離して、8(0.298g)及び9(0.348gm)を灰色がかった白色固体として、それぞれ全収率(2工程)30%及び35%で得た。
【0043】
8の場合:HNMR(500MHz,CDCl)δ10.90(br s,1H),8.08(d,1H,J=8.1Hz),7.99(s,1H),7.25(d,1H,J=8.1Hz),3.19(m,1H),2.93(m,2H),2.77(m,1H),2.48(m,1H),2.29(m,1H),2.06(m,1H),1.90(m,2H),1.81(s,3H),1.64(m,1H),0.90(d,3H,J=7.1Hz),0.88(m,1H),0.51(m,2H),0.10(m,2H);MS(ESI)m/z324(M+H);元素分析 C2025Oに対する計算値:C74.27,H7.79,N12.99.実測値:C73.95,H7.86,N12.78.
【0044】
9の場合:HNMR(500MHz,CDCl)δ11.10(br s,1H),8.19(s,1H),8.05(s,1H),7.48(s,1H),3.23(m,1H),3.14(d,1H,J=19.3Hz),2.91−2.72(m,2H),2.51(m,1H),2.35(m,1H),2.08−1.86(m,3H),1.52(s,3H),1.38(m,1H),0.90(m,1H),0.87(d,3H,J=7.1Hz),0.88(m,1H),0.53(m,2H),0.13(m,2H);MS(ESI)m/z324(M+H);元素分析 C2025O・0.25HOに対する計算値:C73.25,H7.84,N12.81.実測値:C73.14,H7.90,N12.38.
【0045】
7,8縮合アミノピリミジン誘導体10。
20(0.11g,0.38mmol)、CH(OCH(2mL)及び4Åモレキュラーシーブスの混合物を、140℃で48時間加熱した。反応混合物を濾過し、濃縮して、イミデート中間体21(0.120g)を得、これを更に精製することなく、アンモニアガスで飽和したメタノールと混合した。得られた混合物を、マイクロ波放射下に100℃で1時間加熱し、次いで濃アンモニアで塩基性にした。HOで希釈後、有機物質をCHCl中に抽出して、有機層をブラインで洗浄し、NaSO上で乾燥し、濃縮して、混合物を得、これをシリカゲルクロマトグラフィー(コンビフラッシュ−CHCl:CHOH:NHOH)及び結晶化により精製した。所望の生成物10(0.074gm)を収率56%(2工程)で灰色がかった白色固体として得た:mp190℃:NMR(500MHz,CDCl)δ8.56(s,1H),7.49(d,1H,J=8.3Hz),7.20(d,1H,J=8.3Hz),5.54(s,2H),3.20(m,1H),2.92(m,2H),2.76(m,1H),2.48(m,1H),2.29(m,1H),2.19(m,1H),1.94(m,4H),1.89(s,3H),0.91(d,3H,J=7.1Hz),0.89(m,1H),0.51(m,2H),0.10(m,2H);MS(ESI)m/z323(M+H);元素分析 C2026・0.25HOに対する計算値:C73.47,H8.17,N17.14.実測値:C73.59,H8.04,N16.92.
【0046】
7,8縮合ベンジルアミノピリミジン誘導体12。
10を製造するのに用いた手順と同様の手順を用いて、化合物21をベンジルアミンで処理して、12(69%)を灰色がかった白色泡状物として得た:NMR(500MHz,CDCl)δ8.64(s,1H),7.44(d,1H,J=8.5Hz),7.40−7.30(m,5H);7.15(d,1H,J=8.3Hz),5.81(m,1H),4.83(d,2H,J=5.4Hz),3.20(m,1H),2.91(m,2H),2.77(m,1H),2.48(m,1H),2.29(m,1H),2.22(m,1H),1.93(m,2H),1.90(s,3H),1.88(m,1H);0.90(d,3H,J=7.1Hz),0.88(m,1H),0.51(m,2H),0.10(m,2H);MS(ESI)m/z413(M+H);元素分析 C2732・0.5HOに対する計算値:C76.92,H7.89,N13.29.実測値:C76.77,H7.99,N12.90.
【0047】
7,8縮合ビフェニルエチルアミノピリミジン誘導体14。
10を製造するのに用いた手順と同様の手順を用いて、化合物21を4−ビフェニルエチルアミンで処理して、14(71%)を灰色がかった白色泡状物として得た:NMR(500MHz,CDCl)δ8.64(s,1H),7.58(m,4H),7.45(m,2H),7.34(m,3H),7.29(d,1H,J=8.5Hz),7.13(d,1H,J=8.5Hz),5.56(m,1H),3.93(m,2H),3.19(m,1H),3.06(t,2H,J=6.6Hz),2.89(m,2H),2.77(m,1H),2.47(m,1H),2.28(m,1H),2.21(m,1H),1.90(s,3H),1.87(m,1H);1.63(m,2H),0.90(d,3H,J=7.1Hz),0.88(m,1H),0.51(m,2H),0.10(m,2H);MS(ESI)m/z503(M+H);元素分析 C3438・0.5HOに対する計算値:C79.81,H7.68,N10.95.実測値:C79.88,H7.66,N10.83.
【0048】
8,9縮合アミノピリミジン誘導体11。
10を製造するのに用いた手順と同様の手順を用いて、化合物22をイミデート中間体23に変換し、次いでこれを灰色がかった白色泡状物としての11(86%)に変換した:HNMR(500MHz,CDCl)δ8.56(s,1H),7.62(s,1H),7.58(s,1H),6.00(s,2H),3.23(m,1H),3.18(d,1H,J=19.0Hz),2.89(m,1H),2.73(m,1H),2.51(m,1H),2.35(m,1H),2.01(m,3H),1.48(s,3H),1.35(m,1H),0.89(m,1H),0.87(d,3H,J=7.3Hz),0.53(m,2H),0.13(m,2H);MS(ESI)m/z323(M+H);C2026・0.25HO:C73.47,H8.17,N17.14.実測値:C73.33,H8.03,N16.85.
【0049】
8,9縮合ベンジルアミノピリミジン誘導体13。
7(0.084g,0.27mmol)、POCl(0.41g,2.7mmol)、及びDMF(3.0mL)の混合物を、マイクロ波放射下に100℃で10分間加熱して、濃縮した。得られた暗色油状物をHOに溶解し、NaCOで塩基性にしてから、CHClで抽出した(X3)。合わせた有機抽出物をNaSO上で乾燥し、濃縮して、混合物を得、これをシリカゲルクロマトグラフィー(CHCl:CHOH:NHOH)により精製して、所望のアミジン中間体24を収率89%で得た。24(0.12g,0.34mmol)を、ベンジルアミン(0.044g,0.41mmol)及び過剰の30%HOAc/CHCNとともに、マイクロ波放射下に160℃で20分間処理して、濃縮後に油状物を得、これを飽和NaCOとCHClに分配した。有機相をブラインで洗浄し、NaSO上で乾燥し、濃縮して、粗生成物を得、これをシリカゲルクロマトグラフィー(コンビフラッシュ−CHCl:CHOH:NHOH)により精製して、13(0.16g)を収率92%で灰色がかった白色固体として得た:NMR(500MHz,CDCl)δ8.64(s,1H),7.56(m,1H),7.50(s,1H),7.44(d,2H,J=7.3Hz),7.39(t,2H,J=7.3Hz),7.34(d,1H,J=7.3Hz),5.94(br s,1H),4.90(m,2H),3.22(m,1H),3.17(d,1H,J=19.0Hz),2.88(m,1H),2.72(m,1H),2.51(m,1H),2.34(m,1H),1.99(m,3H),1.47(s,3H),1.33(m,1H),0.88(m,1H),0.86(d,3H,J=7.1Hz),0.52(m,2H),0.12(m,2H);MS(ESI)m/z413(M+H);C2732・HO:C75.31,H7.96,N13.01.実測値:C75.64,H7.73,N13.02.
【0050】
8,9縮合ビフェニルエチルアミノピリミジン誘導体15。
13を製造するのに用いた手順と同様の手順を用いて、化合物24を4−ビフェニルエチルアミンで処理して、15(86%)を灰色がかった白色泡状物として得た:NMR(500MHz,CDCl)δ8.63(s,1H),7.58(m,4H),7.54(s,1H),7.45(m,2H),7.36(m,4H),5.72(m,1H),3.96(m,2H),3.20(m,1H),3.16(d,1H,J=19.1Hz),3.09(t,2H,J=7.1Hz),2.80(m,1H),2.71(m,1H),2.50(m,1H),2.34(m,1H),2.04−1.94(m,3H),1.43(s,3H),1.30(m,1H),0.88(m,1H),0.85(d,3H,J=7.1Hz),0.52(m,2H),0.12(m,2H);MS(ESI)m/z503(M+H);元素分析 C3438・0.5HOに対する計算値:C79.81,H7.68,N10.95.実測値:C79.52,H7.64,N10.83.
【0051】
Cis−(±)−3−(シクロプロピルメチル)−N−(ジフェニルメチレン)−1,2,3,4,5,6−ヘキサヒドロ−6,11−ジメチル−7−ニトロ−2,6−メタノ−3−ベンゾアゾシン−8−アミン25。
ベンゾフェノンイミン(0.10g,0.56mmol)、Pd(OAc)(0.010g,0.045mmol)、BINAP(0.014g,0.022mmol)、及びCsCO(0.18g,0.56mmol)を含有する管に、5mLトルエンに溶解した16(0.20g,0.45mmol)を添加した。反応混合物を、マイクロ波放射下に150℃で15分間加熱した。25℃まで冷却すると同時に、混合物をEtOAcで希釈し、濾過して、真空中で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、25(0.12g,56%)を灰色がかった白色固体として得た。HNMR(500MHz,CDCl)δ7.73−7.28(m,10H),6.78(d,1H,J=8.7Hz),6.18(d,1H,J=8.7Hz),3.05(m,1H),2.80(m,1H),2.63(m,1H),2.57(m,1H),2.44(m,1H),2.30(m,1H),1.82(m,2H),1.35(s,3H),1.25(m,1H),0.84(d,3H,J=7.0Hz),0.51(m,2H),0.10(m,2H).MS(ESI)m/z480[(M+H)].
【0052】
Cis−(±)−3−(シクロプロピルメチル)−N−(ジフェニルメチレン)−1,2,3,4,5,6−ヘキサヒドロ−6,11−ジメチル−9−ニトロ−2,6−メタノ−3−ベンゾアゾシン−8−アミン26。
25を製造するのに用いた手順と同様の手順を用いて、化合物17を、灰色がかった白色泡状物としての26(88%)に変換した。MS(ESI)m/z480[(M+H)].
【0053】
Cis−(±)−3−(シクロプロピルメチル)−1,2,3,4,5,6−ヘキサヒドロ−6,11−ジメチル−7−ニトロ−2,6−メタノ−3−ベンゾアゾシン−8−アミン27。
化合物25(0.13g,0.26mmol)を2mLのTHFに溶解して、4mLの3N HClを添加した。反応混合物を25℃で30分間撹拌してから、濃NHOHの添加によって塩基性にした。混合物を酢酸エチルで処理して、有機相をNaSO上で乾燥し、濾過し、濃縮して、粗固体生成物を得、これをシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、27(0.080g,98%)を灰色がかった白色固体として得た。HNMR(500MHz,CDCl)δ6.98(d,1H,J=8.1Hz),6.63(d,1H,J=8.1Hz),3.93(s,2H),3.10(m,1H),2.80(m,2H),2.66(m,1H),2.60(m,1H),2.48(m,1H),2.43(m,1H),2.36(s,1H),2.32(m,1H),2.00(m,1H),1.82(m,2H),1.30(s,3H),0.82(d,3H,J=7.2Hz),0.52(m,2H),0.11(m,2H).MS(ESI)m/z316[(M+H)].
【0054】
Cis−(±)−3−(シクロプロピルメチル)−1,2,3,4,5,6−ヘキサヒドロ−6,11−ジメチル−9−ニトロ−2,6−メタノ−3−ベンゾアゾシン−8−アミン28。
27を製造するのに用いた手順と同様の手順を用いて、化合物26を灰色がかった白色泡状物としての28(88%)に変換した。HNMR(500MHz,CDCl)δ7.81(s,1H),6.67(s,1H),5.88(s,2H),3.25(m,1H),2.87(d,1H,J=18.0Hz),2.70(m,2H),2.48(dd,1H,J=5.0Hz),2.33(dd,1H,J=5.0Hz),2.04(m,1H),1.92(m,1H),1.31(s,3H),1.25(m,1H),0.83(d,3H,J=8.1Hz),0.50(m,2H),0.09(m,2H).MS(ESI)m/z316[(M+H)].
【0055】
7,8縮合トリアゾール誘導体29。
化合物27(0.060g)、10%Pd/C(0.006gm)及びメタノール(2mL)を、パルシェーカー中25℃で8時間、42psiのHにさらした。混合物を濾過し、濾液を濃縮して、やや不安定なジアミン生成物(0.056gm,100%)を得た。この粗生成物の一部(0.025gm)を1.0mLのHOAcに溶解した。この溶液にNaNO(0.006g)を添加して、得られた混合物を25℃で1時間撹拌した。混合物を過剰の濃NHOHで塩基性化してから、有機物質を酢酸エチル中に抽出した。抽出物をNaSO上で乾燥し、濾過し、濃縮して、粗固体生成物を得、これをシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、29(0.016g,62%)を灰色がかった白色泡状物として得た。HNMR(500MHz,CDCl)δ10.68(br,1H),7.63(d,1H,J=8.4Hz),7.17(d,1H,J=8.4Hz),3.30(s,1H),3.10(d,1H,J=18.6Hz),2.92(m,1H),2.86(m,1H),2.60(m,1H),2.43(m,1H),2.11(m,2H),2.03(m,2H),1.91(s,3H),1.79(d,1H,J=8.1Hz),0.94(d,3H,J=7.2Hz),0.52(m,2H),0.13(m,2H).MS(ESI)m/z296[(M+H)].元素分析 C1824・0.33HOに対する計算値:C71.48,H8.14,N18.14.実測値:C71.48,H8.24,N18.53.
【0056】
8,9縮合トリアゾール誘導体30。
29を製造するのに用いた手順と同様の手順を用いて、化合物28を、灰色がかった白色泡状物としての30(全収率68%)に変換した。HNMR(500MHz,CDCl)δ8.40−8.80(m,1H),7.82(d,1H,J=3.0Hz),7.58(s,1H),3.23(d,1H,J=18.0Hz),2.88(d,1H,J=18.5Hz),2.84(d,1H,J=12.0Hz),2.62(m,1H),2.49(m,1H),2.10(s,3H),2.04(m,2H),1.48(s,3H),1.39(d,1H,J=12.5Hz),0.93(m,1H),0.89(d,3H,J=7.0Hz),0.52(d,2H,J=7.5Hz),0.14(m,2H).MS(ESI)m/z296[(M+H)].元素分析 C1824・0.70HOに対する計算値:C70.00,H8.30,N18.13.実測値:C70.44,H8.10,N17.78.
【0057】
Cis−(±)−3−(シクロプロピルメチル)−N−(フェニルメチル)−1,2,3,4,5,6−ヘキサヒドロ−6,11−ジメチル−9−ニトロ−2,6−メタノ−3−ベンゾアゾシン−8−アミン32。
ベンジルアミン(0.18mL,1.65mmol)を、アルゴン下に室温で、5mLのCHCN中の17(0.248gm,0.55mmol)の溶液を含有するフラスコに添加した。還流冷却器を取り付けて、反応混合物を、還流下で18時間撹拌した。TLCにより反応の完了が示された。冷却した反応混合物を塩化メチレンで希釈して、0.1M NaOH溶液及びブラインで洗浄した。合わせた有機層を、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮して、橙色に着色した油状物を得、これをフラッシュクロマトグラフィー(CHCl:CHOH:NHOH;10:1:0.1)により精製して、32を橙色泡状物(0.171gm,77%)として得た;mp215−216℃.HNMR(500MHz,CDCl)δ8.23(t,1H),7.88(s,1H),7.36(m,4H),7.29(m,1H),6.65(s,1H),3.12−3.10(m,1H),2.90(d,1H,J=18.5Hz),2.70−2.67(m,1H),2.61(d,0.5H,J=1Hz),2.60(d,0.5H,J=1Hz),2.48−2.44(m,1H),2.31−2.28(m,1H),2.01−1.96(m,1H),1.90−1.83(m,2H),1.22−1.20(m,3H),1.19−1.18(m,1H),0.83(m,1H),0.82(s,1.5H),0.81(s,1.5H),0.51−0.49(m,2H),0.11−0.09(m,2H)ppm.MS(ESI)m/z406[(M+H)].
【0058】
Cis−(±)−3−(シクロプロピルメチル)−1,2,3,4,5,6−ヘキサヒドロ−6,11−ジメチル−2,6−メタノ−3−ベンゾアゾシン−8,9−ジアミン33。
15mLメタノールを、化合物32(0.17gm,0.42mmol)、ギ酸アンモニウム(0.264gm,4.20mmol)及び10%Pd/C(0.046gm,0.042mmol)を含有する反応フラスコに添加した。次いで反応混合物を、還流下で20時間撹拌した。反応完了後、混合物を、セライトを通して濾過し、残渣を過剰のメタノールで洗浄して、合わせたメタノール層を濃縮した。次いで、この濃縮物を塩化メチレンと飽和重炭酸ナトリウムに分配した。合わせた有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、濃縮して、粗固体生成物を得、これをシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(CHCl:CHOH:NHOH;10:1:0.1)により精製して、やや不安定なジアミノ化合物33(0.080gm,67%)を灰色がかった白色泡状物として得た。HNMR(500MHz,CDCl)δ6.57(s,1H),6.41(s,1H),3.28(s,4H),3.09−3.07(m,1H),2.78−2.74(d,1H,J=18Hz),2.74−268(m,0.5H),2.67−2.66(m,0.5H),2.56−2.55(d,0.5H,J=6Hz),2.52−2.51(d,0.5H,J=5.5Hz),2.48−2.44(m,1H),2.31−2.28(m,1H),1.86−1.78(m,2H),1.29(m,4H),0.87−0.83(m,4H),0.50−0.48(m,2H),0.10−0.08(m,2H)ppm.HRMSm/z計算値,286.2283;実測値,286.2264(C1827に対して).
【0059】
8,9縮合イミダゾール誘導体34。
10mLギ酸中の化合物33(0.240gm,0.84mmol)の溶液を、アルゴン下に還流下で20時間撹拌した。反応完了後、溶液を0℃まで冷却してから、濃NHOHで注意深く塩基性化した。次いで、有機物質を塩化メチレン中に抽出した。抽出物を硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、濃縮して、粗固体生成物を得、これをシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(CHCl:CHOH:NHOH;40:9:1)により精製して、化合物34(0.170gm,69%)を灰色がかった白色泡状物として得た。この生成物を1M HCl/EtOで処理することにより、そのHCl塩に変換した。粗製の塩をEtOAC/MeOHで結晶化して、mp218℃を有する白色結晶性固体を得た。HNMR(500MHz,CDOD)δ9.32(s,1H),7.85(s,1H),4.89(s,1H),4.04(s,1H),3.52−3.49(m,1H),3.42(m,1H),3.35(m,1H),3.12−3.08(m,1H),2.60−2.58(m,1H),2.37(m,1H),2.21(m,1H),1.73(m,1H),1.62(s,3H),1.22(m,1H),1.00(d,3H,J=7Hz),0.94(m,1H),0.80−0.77(m,2H),0.50(m,2H)ppm.MS(ESI)m/z296[(M+H)].元素分析 C1925・2HCl・0.5HOに対する計算値:C60.48,H7.48,N11.14.実測値C60.14,H7.63,N10.84.
【0060】
8,9縮合イミダゾール誘導体35。
1.5mL酢酸中の化合物33(0.090gm,0.32mmol)の溶液を、マイクロ波放射下に130℃で30分間加熱した。反応完了後、溶液を0℃まで冷却してから、濃NHOHで注意深く塩基性化した。次いで、有機物質を塩化メチレン中に抽出した。抽出物を硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、濃縮して、粗固体生成物を得、これをシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(CHCl:CHOH:NHOH;10:1:0.1)により精製して、化合物35(0.061gm,62%)を灰色がかった白色泡状物として得た。HNMR(500MHz,CDCl)δ10.40(s,br,1H),6.56(s,1H),6.41(s,1H),3.28(s,3H),3.11−3.09(m,1H),2.78−2.74(d,1H,J=18Hz),2.71−2.68(m,1H),2.58−2.53(m,1H),2.49−2.46(m,1H),2.33−2.29(m,1H),2.08−2.03(m,1H),1.88−1.79(m,2H),1.29(s,3H),1.27−1.23(m,1H),0.87(m,1H),0.85(d,3H,J=7Hz),0.50−0.48(m,2H),0.11−0.09(m,2H)ppm.MS(ESI)m/z310[(M+H)].元素分析 C2027・0.63HOに対する計算値:C74.67,H9.16,N13.10.実測値C74.90,H8.90,N13.10.
【0061】
8,9縮合イミダゾール誘導体36。
トルエン中のホスゲン溶液2mLを、化合物33(0.075gm,0.26mmol)のTHF溶液に添加して、反応物を室温で16時間撹拌した。反応混合物を水で希釈してから、濃NHOHで塩基性化した。次いで、有機物質を塩化メチレン中に抽出した。抽出物を硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、濃縮して、粗固体生成物を得、これをシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(CHCl:CHOH:NHOH;10:1:0.1)により精製して、化合物36(0.064gm,78%)を灰色がかった白色固体として得、これをEtOAc/MeOHで結晶化して、mp172℃を有する固体を得た。HNMR(500MHz,CDCl)δ8.63(s,1H),8.52(s,1H),6.93(s,1H),6.75(s,1H),3.12(s,1H),2.95(d,1H,J=18Hz),2.74−2.69(m,2H),2.50−2.46(m,1H),2.33−2.29(m,1H),1.98−187(m,3H),1.37(s,3H),1.29(m,1H),0.86(d,3H,J=7Hz),0.51(m,2H),0.11(m,2H)ppm.MS(ESI)m/z312[(M+H)].元素分析 C1925O・0.25HOに対する計算値:C73.28,H8.09,N13.49.実測値C72.23,H8.14,N13.30.
【0062】
8,9縮合イミダゾール誘導体37。
35を製造するのに用いた手順と同様の手順を用いて、化合物33をCHCHCOHで処理して、37(収率88%)を灰色がかった白色泡状物として得た。HNMR(500MHz,CDCl)δ9.04(s,br,1H),7.62(s,1H),7.06(s,1H),3.17(s,br,1H),3.12−3.04(m,1H),2.94−2.80(m,3H),2.69(d,1H,J=12Hz),2.53−2.48(m,1H),2.37−2.30(m,1H),2.05−1.78(m,3H),1.73(s,br,2H),1.43(t,3H,J=9Hz),1.37−1.23(m,3H),0.87(d,3H,J=7Hz),0.54−0.48(m,2H),0.19−0.08(m,2H)ppm.
【0063】
8,9縮合イミダゾール誘導体38。
35を製造するのに用いた手順と同様の手順を用いて、化合物33を(CHCHCOHで処理して、38(収率71%)を灰色がかった白色泡状物として得た。HNMR(500MHz,CDCl)δ9.79(s,br,1H),7.64(s,1H),7.08(s,1H),3.18(s,br,2H),3.07(d,1H,J=18Hz),2.87(dd,1H,J1,2=6,19Hz),2.71(dd,1H,J1,2=2,12Hz),2.54−2.48(m,1H),2.39−2.32(m,1H),2.07−1.85(m,3H),1.44(d,6H,J=7Hz),1.42−1.15(m,5H),0.87(d,3H,J=7Hz),0.56−0.48(m,2H),0.13−0.08(m,2H)ppm.
【0064】
8,9縮合イミダゾール誘導体39。
35を製造するのに用いた手順と同様の手順を用いて、化合物33を−CCOHで処理して、39(収率86%)を黄色泡状物として得た。HNMR(500MHz,CDCl)δ8.95(s,br,1H),7.57(s,1H),7.03(s,1H),3.17(s,br,1H),3.06(dd,1H,J1,2=8,18Hz),2.90−2.80(m,1H),2.73−2.65(m,1H),2.55−2.46(m,1H),2.40−2.30(m,1H),2.10−1.80(m,4H),1.75−1.60(m,2H),1.47−1.40(m,2H),1.39−1.23(m,2H),1.20−1.13(m,2H),1.10−1.05(m,1H),0.95−0.8(m,3H),0.56−0.47(m,2H),0.19−0.07(m,2H)ppm.
【0065】
Cis−(±)−3−(シクロプロピルメチル)−1,2,3,4,5,6−ヘキサヒドロ−6,11−ジメチル−2,6−メタノ−3−ベンゾアゾシン−7,8−ジアミン40。
10mLメタノール中の化合物28(0.080gm,0.25mmol)の溶液に、10%Pd/C(0.008gm)を添加した。懸濁液をパル水素化装置に入れて、40psiの圧力下に25℃で8時間振とうした。次いで、反応混合物をセライト上で濾過した。濾液を真空中で濃縮して、化合物40をやや不安定な灰色がかった白色泡状物として定量的収率で得た。HNMR(500MHz,CDCl)δ6.60(d,1H,J=8Hz),6.46(d,1H,J=8Hz),5.00−4.00(s,br,2H),3.46(s,2H),3.09(d,1H,J=11Hz),2.99(dd,1H,J1,2=6,14Hz),2.80(d,1H,J=14Hz),2.73−2.68(m,1H),2.64−2.59(m,1H),2.27(t,1H,J=11Hz),2.14(d,1H,J=5Hz),2.02(s,2H),1.80(d,1H,J=13Hz),1.62(s,3H),1.01−1.00(m,1H),0.96(d,3H,J=7Hz),0.61(d,2H,J=8Hz),0.25(dd,2H,J1,2=4,13Hz)ppm.
【0066】
7,8縮合イミダゾール誘導体41。
35を製造するのに用いた手順と同様の手順を用いて、化合物40をHCOHで処理して、41(収率80%)を灰色がかった白色泡状物として得た。HNMR(500MHz,CDCl)δ9.18及び9.02(s,br,1H),7.97及び7.95(s,1H),7.58及び7.27(d,1H,J=9Hz),7.04及び7.02(1H,d,J=9Hz),3.19−3.17(m,1H),3.03−2.95(d,1H,J=18Hz),2.88−2.81(m,1H),2.73−2.69(m,1H),2.52−2.48(dd,1H,J=7,13Hz),2.35−2.28(dd,1H,J=6,13Hz),2.02−1.88(m,3H),1.94及び1.69(s,3H),1.60−1.59(m,1H),0.96及び0.93(d,3H,J=7Hz),0.89−0.86(m,1H),0.52−0.50(m,2H),0.13−0.10(m,2H)ppm.;MS(ESI)m/z296[(M+H)].;元素分析 C1925・0.5HO・0.4CHClに対する計算値:C68.86,H7.98,N12.42.実測値C69.19,H7.53,N11.98.
【0067】
7,8縮合イミダゾール誘導体42。
35を製造するのに用いた手順と同様の手順を用いて、化合物40をCHCOHで処理して、42(収率97%)を灰色がかった白色泡状物として得た。HNMR(500MHz,CDCl)δ8.80(s,br,1H),7.44(d,1H,J=9Hz),6.97(d,1H,J=9Hz),3.20(s,br,1H),3.02−2.94(m,1H),2.90−2.70(m,3H),2.55−2.48(m,1H),2.05−1.82(m,4H),1.66(s,3H),1.60−1.55(m,1H),0.93(d,3H,J=7Hz),0.92−0.83(m,1H),0.56−0.47(m,2H),0.18−0.08(m,2H)ppm.元素分析 C2027IN0.5HOに対する計算値:C75.43,H8.86,N13.19.実測値C74.99,H8.51,N12.98.
【0068】
7,8縮合イソオキサゾール誘導体43。
10mLのHCl(37%)中の化合物18(0.48gm,1.50mmol)の溶液に、SnCl・2HO(1.67gm,7.50mmol)を添加した。反応混合物を25℃で一晩撹拌し、次いで2N NaOH溶液で注意深く塩基性化した。次いで有機物質をEtOAc中に抽出した。抽出物を硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、濃縮して、粗固体生成物を得、これをシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(CHCl:CHOH:NHOH;10:1:0.1)により精製して、化合物43(0.18gm,39%)を灰色がかった白色泡状物として得た。HNMR(500MHz,CDCl)δ6.98(d,1H,J=9Hz),6.44(d,1H,J=9Hz),5.04(s,2H),3.14−3.11(m,1H),2.78−2.57(m,3H),2.48−2.43(m,1H),2.30−2.26(m,1H),2.03−1.96(m,1H),1.94−1.88(m,1H),1.86−1.80(m,1H),1.80−1.72(m,1H),1.67(s,3H),0.94(d,3H,J=7Hz),0.91−0.82(m,1H),0.56−0.46(m,2H),0.14−0.06(m,2H)ppm.MS(ESI)m/z312[(M+H)].元素分析 C1925O・0.1HOに対する計算値:C72.86,H8.11,N13.42.実測値C72.62,H8.20,N13.19.
【0069】
一般に、上記の化学反応は、周知のコア構造の上に見出される様々な官能基の存在下に正しく機能する。例外があれば、遊離型の6−OHを有するモルヒネ及び同族体であろう。この6−OHはTBDPS(t−ブチルジフェニルシリル)基により保護することができる[Wentland et al.,“Selective Protection and Functionalization of Morphine...”,J.Med.Chem.43,3558−3565(2000)を参照のこと]。前記文献の全内容は参照することにより本明細書に組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
【化1】

(式中、
【化2】

は、置換することができるか又は更に縮合して1〜3環を形成することができる複素環であり;
は、
【化3】

から選択されるが、
但し、Q
【化4】

であるとき、
【化5】

はピリジノン環ではないものとし;
は、
【化6】

から選択され;
Xは、N又はCRであり;
及びR2aは、両方共に水素原子であるか、又はR及びR2aが一緒になって=Oであり;
は、水素原子、(C〜C)炭化水素基、ヘテロシクリル基、ヘテロシクリルアルキル基及びヒドロキシアルキル基から選択され;
は、水素原子、ヒドロキシ基、アミノ基、(C〜C)アルコキシ基、(C〜C20)アルキル基、及び、ヒドロキシ基又はカルボニル基で置換される(C〜C20)アルキル基から選択され;
は、(C〜C)アルキル基であり;
は、(C〜C)アルキル基であり;
は、水素原子、NHR及びヒドロキシ基から選択され;又は
、R、R及びRが一緒になって1〜3環を形成することができ、前記環が場合により更に置換基を有し;
は、その各出現において独立して、H、アルキル基及び
【化7】

から選択され;
Uは、(CH(式中、1つ以上のCHを、−O−、シクロアルキル基又は−CR1a1bで置き換えることができる)であり;
1a及びR1bは、独立して、水素原子、ハロゲン原子、(C〜C)アルキル基、(C〜C)アルコキシ基及び(C〜C)アルキルチオ基から選択され;
Arは、1〜3環のアリール又はヘテロアリール残基であり;
10は、独立して、水素原子、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、(C〜C)アルキル基、(C〜C)アルコキシ基、ハロ(C〜C)アルキル基及びハロ(C〜C)アルコキシ基並びに(C〜C)アルキルチオ基から選択される1つ又は2つの残基であり;
11は、H又は
【化8】

であり;
【化9】

は、1〜3環のアリール又はヘテロアリール残基であり;
U’は、(CH(式中、1つ以上のCHを、−O−、シクロアルキル基、−CR1a1b、−C(=O)−又は−NH−により置き換えることができる)であり;
15は、独立して、水素原子、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、(C〜C)アルキル基、(C〜C)アルコキシ基、ハロ(C〜C)アルキル基及びハロ(C〜C)アルコキシ基並びに(C〜C)アルキルチオ基から選択される1つ又は2つの残基であり;
mは、0又は整数1〜6であり;そして
nは、整数1〜6である)
で表される化合物。
【請求項2】
式:
【化10】

(式中、
は、水素原子、(C〜C)炭化水素基、ヘテロシクリル基、及びヒドロキシアルキル基から選択され;
は、水素原子、ヒドロキシ基、(C〜C)アルコキシ基、(C〜C20)アルキル基、及び、ヒドロキシ基又はカルボニル基で置換される(C〜C20)アルキル基から選択され;
は、(C〜C)アルキル基であり;
は、(C〜C)アルキル基であり;そして
は、水素原子又はヒドロキシ基である)
で表される、請求項1に記載の2,6−メタノ−3−ベンゾアゾシン。
【請求項3】
が、水素原子、シクロプロピル基、シクロブチル基、フェニル基、ビニル基、ジメチルビニル基、ヒドロキシシクロプロピル基、フラニル基及びテトラヒドロフラニル基から選択され;
が、水素原子であり;
が、メチル基であり;
が、メチル基又はエチル基であり;そして
が、水素原子、メチル基、ベンジル基及び2−(ビフェニリル)エチル基から選択される、請求項2に記載の2,6−メタノ−3−ベンゾアゾシン。
【請求項4】
及びRが一緒になって1環を形成する請求項1に記載のモルフィナンであって、前記モルフィナンが構造:
【化11】

(式中、Rは、水素原子、(C〜C)炭化水素基、ヘテロシクリル基、及びヒドロキシアルキル基から選択される)
を有する、前記モルフィナン。
【請求項5】
及びR2aが、水素原子であり;
が、水素原子、シクロプロピル基、シクロブチル基、ビニル基及びテトラヒドロフラニル基から選択され;
が、水素原子、ヒドロキシ基又はアミノ基であり;そして
が、水素原子である、請求項4に記載のモルフィナン。
【請求項6】
、R及びRが一緒になって2環を形成する、構造:
【化12】

(式中、
は、水素原子、(C〜C)炭化水素基、ヘテロシクリル基、及びヒドロキシアルキル基から選択され;
は、水素原子、ヒドロキシ基、アミノ基又は(C〜C)アルコキシ基であり;
19は、水素原子又は(C〜C)アルキル基であり;
20は、水素原子、(C〜C)アルキル基及びヒドロキシ((C〜C)アルキル)基から選択され;又はR19及びR20が一緒になって炭素原子5〜10個のスピロ縮合炭素環を形成し;
21は、水素原子であり;
22は、ヒドロキシ基、(C〜C)アルコキシ基及び−NR1314から選択され;又は
21及びR22が一緒になってカルボニル置換基又はビニル置換基を形成し;又は
及びR21が一緒になって第6の環を形成する)
を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
及びR21が一緒になって第6の環を形成する、式:
【化13】

で表される、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
及びR21が第6の環を形成する、式
【化14】

(式中、
19は、水素原子であり;
20は、ヒドロキシ((C〜C)アルキル)基であり;及び
22は、(C〜C)アルコキシ基である)
で表される、請求項6に記載のモルフィナン。
【請求項9】
式:
【化15】

(式中、
は、水素原子、ヒドロキシ基、アミノ基又は(C〜C)アルコキシ基であり;
19は、水素原子又は(C〜C)アルキル基であり;
20は、水素原子、(C〜C)アルキル基及びヒドロキシ((C〜C)アルキル)基から選択され;又は
19及びR20が一緒になって炭素原子5〜10個のスピロ縮合炭素環を形成し;
21は、水素原子であり;
22は、ヒドロキシ基、(C〜C)アルコキシ基及び−NR1314から選択され;又は
21及びR22が一緒になってカルボニル置換基又はビニル置換基を形成し;そして
は、薬学的に許容可能なアニオンである)
を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
【化16】

が、
【化17】

である、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
【化18】

が、
【化19】

から選択される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項12】
【化20】

が、
【化21】

から選択される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項13】
が、水素原子及び(C〜C20)炭化水素基から選択される、請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
式:
【化22】

(式中、
Aは、−C(=O)NR12及び−C(=S)NR12から選択され;
及びR2aは、両方共に水素原子であるか、又はR及びR2aが一緒になって=Oであり;
は、水素原子、(C〜C)炭化水素基、ヘテロシクリル基、ヘテロシクリルアルキル基及びヒドロキシアルキル基から選択され;
は、水素原子、ヒドロキシ基、アミノ基、(C〜C)アルコキシ基、(C〜C20)アルキル基、及び、ヒドロキシ基又はカルボニル基で置換される(C〜C20)アルキル基から選択され;
は、(C〜C)アルキル基であり;
は、(C〜C)アルキル基であり;
又はR、R及びRが一緒になって1〜3環を形成することができ、前記環が場合により、更に置換基を有し;
は、その各出現において独立して、H、アルキル基及び
【化23】

から選択され;
Uは、(CH(式中、1つ以上のCHを、−O−、シクロアルキル基又は−CR1a1bにより置き換えることができる)であり;
1a及びR1bは、独立して、水素原子、ハロゲン原子、(C〜C)アルキル基、(C)アルコキシ基及び(C〜C)アルキルチオ基から選択され;
Arは、1〜3環のアリール又はヘテロアリール残基であり;
10は、独立して、水素原子、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、(C〜C)アルキル基、(C〜C)アルコキシ基、ハロ(C〜C)アルキル基及びハロ(C〜C)アルコキシ基並びに(C〜C)アルキルチオ基から選択される1つ又は2つの残基であり;
11は、H又は
【化24】

であり;
【化25】

は、1〜3環のアリール又はヘテロアリール残基であり;
U’は、(CH(式中、1つ以上のCHを、−O−、シクロアルキル基、−CR1a1b、−C(=O)−又は-NH−により置き換えることができる)であり;
12は、水素原子及び(C〜C)アルキル基から選択され;
15は、独立して、水素原子、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、(C〜C)アルキル基、(C〜C)アルコキシ基、ハロ(C〜C)アルキル基及びハロ(C〜C)アルコキシ基並びに(C〜C)アルキルチオ基から選択される1つ又は2つの残基であり;
17又はR18の一方は、NHRであり、他方は、水素原子であり;
mは、0又は整数1〜6であり;そして
nは、整数1〜6である)
で表される化合物。
【請求項15】
Aが−C(=O)NHであり;
及びR2aが、水素原子であり;
が、メチル基、シクロプロピルメチル基、シクロブチルメチル基、アリル基及びテトラヒドロフラニルメチル基から選択され;
が、水素原子であり;
が、メチル基であり;そして
がメチル基又はエチル基である、請求項14に記載の化合物。
【請求項16】
薬学的に許容可能な担体及び請求項1〜9、14又は15のいずれか一項に記載の化合物を含む医薬製剤。
【請求項17】
請求項1に記載の式:
【化26】

を有する化合物をオピオイド受容体と接触させることを含む、前記オピオイド受容体を介した応答を変えることにより疾患又は病態を治療する方法。
【請求項18】
請求項14に記載の式:
【化27】

を有する化合物をオピオイド受容体と接触させることを含む、前記オピオイド受容体を介した応答を変えることにより疾患又は病態を治療する方法。
【請求項19】
請求項9に記載の式:
【化28】

を有する化合物をオピオイド受容体と接触させることを含む、前記オピオイド受容体を介した応答を変えることにより疾患又は病態を治療する方法。
【請求項20】
前記疾患又は病態が、痛み、かゆみ、下痢、過敏性腸症候群、胃腸運動障害、肥満症、呼吸抑制、痙攣、咳、痛覚過敏及び薬物嗜癖からなる群から選択される、請求項17又は18に記載の方法。
【請求項21】
前記病態が、オピオイド誘発性便秘及びオピオイド誘発性尿閉から選択される、請求項19に記載の方法。

【公表番号】特表2010−527374(P2010−527374A)
【公表日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−508574(P2010−508574)
【出願日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際出願番号】PCT/US2008/063713
【国際公開番号】WO2008/144394
【国際公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【出願人】(502263411)レンセラール ポリテクニック インスティチュート (14)
【Fターム(参考)】