説明

縮環多環式炭化水素化合物、発光素子材料およびそれを使用した発光素子

【課題】 発光特性が良好な発光素子およびそれを可能にする発光素子材料を提供する。
【解決手段】 下記一般式(1)で表される化合物からなる発光素子材料およびそれを使用した発光素子。
【化1】


11,R12,R13は、3環以上縮環した縮環多環式炭化水素構造を有する基を表す。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、縮環多環式炭化水素化合物、電気エネルギーを光に変換して発光できる発光素子用材料および発光素子に関し、表示素子、ディスプレイ、バックライト、電子写真、照明光源、記録光源、露光光源、読み取り光源、標識、看板、インテリア等の分野に好適に使用できる発光素子に関する。
【0002】
【従来の技術】今日、種々の表示素子に関する研究開発が活発であり、中でも有機発光素子は、低電圧で高輝度の発光を得ることができるため、有望な表示素子として注目されている。例えば、有機化合物の蒸着により有機薄膜を形成する発光素子が知られている(アプライド フィジックス レターズ,51巻,913頁,1987年)。この文献に記載された発光素子はトリス(8−ヒドロキシキノリナト)アルミニウム錯体(Alq)を電子輸送材料として用い、正孔輸送材料(アミン化合物)と積層させることにより、従来の単層型素子に比べて発光特性を大幅に向上させている。
【0003】近年、有機発光素子をフルカラーディスプレイへと適用することが活発に検討されているが、高性能フルカラーディスプレイを開発する為には 青・緑・赤、それぞれの発光素子の特性を向上する必要が有る。例えば、青色発光素子においては、有機EL素子とその工業化最前線 (1998年発行 宮田清蔵 監修 エヌ・ティー・エス社) p38 に記載のジスチリルアリーレン化合物(DPVBi) などが広範に検討されているが、色純度、耐久性、発光輝度、効率の点で問題があり、改良が望まれていた。
【0004】有機発光素子において高輝度発光を実現しているものは有機物質を真空蒸着によって積層している素子であるが、製造工程の簡略化、加工性、大面積化等の観点から塗布方式による素子作製が望ましい。しかしながら、従来の塗布方式で作製した素子では特に青色発光素子では、発光輝度、発光効率の点で蒸着方式で作製した素子に劣っており、新規青色発光材料の開発が望まれていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、発光特性が良好な発光素子およびそれを可能にする発光素子用材料の提供にある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、下記の発明によって達成された。
■下記一般式(1)で表される化合物からなる発光素子材料。
【0007】
【化3】


【0008】R11,R12,R13は3環以上縮環した縮環多環式炭化水素構造を有する基を表す。
■下記一般式(2)で表される化合物。
【0009】
【化4】


【0010】Ar11,Ar12,Ar13 は、アントラセン構造、フェナントレン構造、または、ピレン構造を有する基を表す。R21,R22,R23 は置換基を表し、n1,n2,n3は0〜4の整数を表す。
■上記■に記載の化合物からなる発光素子材料。
■一対の電極間に発光層もしくは発光層を含む複数の有機化合物薄層を形成した発光素子において、少なくとも一層に上記■または■に記載の発光素子材料を少なくとも一種含有する層であることを特徴とする有機発光素子。
■上記■または■に記載の発光素子材料を含む層をコーティング法で成膜することを特徴とする上記■に記載の有機発光素子。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明する。一般式(1)において、R11,R12,R13は、3環以上縮環した縮環多環式炭化水素構造を有する基である。3環以上縮環した縮環多環式炭化水素構造としては、Aldrich Structure Index (Aldrich社1996〜1997年版 例えばp177〜178)、Library of Rare Chemicals Structure Index (Sigma−Aldrich社 1993年版 例えばp165〜168)、及び、有機化学・生化学命名法 上巻 p21〜28(平山和雄 訳 南江堂 1988年発行)などに記載の構造などが挙げられ、例えば、アントラセン構造、フェナントレン構造、ピレン構造、トリフェニレン構造、ペリレン構造、フルオランテン構造、インダセン構造、アセナフチレン構造、フルオレン構造、テトラフェニレン構造、及び、これらの構造にさらに縮環した構造(例えばベンゾアントラセン構造、ベンゾピレン構造、ペンタセン構造、コロネン構造、クリセン構造等)等が挙げられる。
【0012】3環以上縮環した縮環多環式炭化水素構造としては、3環以上縮環した芳香族縮環炭化水素構造が好ましく、アントラセン構造、フェナントレン構造、ピレン構造がより好ましい。
【0013】R11,R12,R13の炭素数は、好ましくは14〜50、より好ましくは14〜30、さらに好ましくは14〜20である。R11,R12,R13は炭素原子と水素原子のみで構成されている基が好ましく、芳香族炭化水素構造のみで構成されている基がより好ましい。R11,R12,R13は好ましくは、置換(置換基としては、例えば、後で述べるR21基が挙げられ、好ましくはアルキル基である。)または無置換のアントラセニル基、ピレニル基、フェナントレニル基、アントラセニルフェニル基、ピレニルフェニル基、フェナントレニルフェニル基 であり、より好ましくは、置換または無置換のアントラセニルフェニル基、ピレニルフェニル基、フェナントレニルフェニル基である。
【0014】一般式(1)で表される化合物の好ましい形態は、一般式(3)で表される形態である。一般式(3)について説明する。
【0015】
【化5】


【0016】Ar21,Ar22,Ar23 はアリーレン基またはヘテロアリーレン基を表し、Ar24,Ar25,Ar26はアリール基またはヘテロアリール基を表す。但し、Ar21,Ar24のいずれかは3環以上縮環した縮環多環式炭化水素構造(好ましくは3環以上縮環した芳香族縮環炭化水素構造)であり、かつ、Ar22,Ar25のいずれかは3環以上縮環した縮環多環式炭化水素構造(好ましくは3環以上縮環した芳香族縮環炭化水素構造)であり、かつ、Ar23,Ar26のいずれかは3環以上縮環した縮環多環式炭化水素構造(好ましくは3環以上縮環した芳香族縮環炭化水素構造)である。
【0017】Ar21,Ar22,Ar23の炭素数は6〜30が好ましく、6〜20がより好ましく、6〜16がさらに好ましい。Ar21,Ar22,Ar23を構成するアリーレン基、ヘテロアリーレン基としては、例えば、フェニレン基、ナフチレン基、アントラセニレン基、フェナントレニレン基、ピレニレン基、ペリレニレン基、フルオレニレン基、ビフェニレン基、ターフェニレン基、ルブレニレン基、クリセニレン基、トリフェニレニレン基、ベンゾアントラセニレン基、ベンゾフェナントレニレン基、ジフェニルアントラセニレン基、ピリジレン基、ピラジレン基、キノリレン基、キノキサリレン基、キナゾリレン基、アクリジレン基、フェナントリジレン基、フタラジレン基、フェナントロリレン基などが挙げられ、これらのアリーレン基、ヘテロアリーレン基はさらに置換基を有していてもよい。置換基としては、例えば、後で述べるR21基が挙げられる。
【0018】Ar21,Ar22,Ar23は好ましくはアリーレン基であり、より好ましくはフェニレン基、ナフチレン基、アントラセニレン基、フェナントレニレン基、ピレニレン基、ペリレニレン基、ビフェニレン基であり、さらに好ましくはフェニレン基、ナフチレン基、アントラセニレン基、ピレニレン基、フェナントレニレン基であり、特に好ましくは、フェニレン基である。
【0019】Ar24,Ar25,Ar26の炭素数は6〜30が好ましく、6〜20がより好ましく、6〜16がさらに好ましい。Ar24,Ar25,Ar26を構成するアリール基、ヘテロアリール基としては、例えばフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントレニル基、ピレニル基、アントラセニルフェニル基、ペリレニル基、フルオレニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ルブレニル基、クリセニル基、トリフェニレニル基、ベンゾアントラセニル基、ベンゾフェナントレニル基、ジフェニルアントラセニル基、キノリル基、キノキサリル基、キナゾリル基、アクリジル基、フェナントリジル基、フタラジル基、フェナントロリル基及び、これらの基に更に縮環した基等が挙げられる。これらの基はさらに置換基を有していてもよい。置換基としては、例えば、後で述べるR21基等が挙げられる。
【0020】Ar24,Ar25,Ar26は好ましくはアリール基であり、より好ましくはフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントレニル基、ピレニル基、アントラセニルフェニル基、ペリレニル基、ビフェニル基であり、さらに好ましくはアントラセニル基、ピレニル基、フェナントレニル基、アントラセニルフェニル基、特に好ましくは、ピレニル基、アントラセニルフェニル基である。
【0021】一般式(1)のさらに好ましい形態は一般式(2)である。一般式(2)について説明する。
【0022】
【化6】


【0023】Ar11,Ar12,Ar13 はアントラセン構造、フェナントレン構造、または、ピレン構造を有する基を表す。Ar11,Ar12,Ar13 としては、例えば、アントラセニル基、フェナントレニル基、ピレニル基、アントラセニルフェニル基、ペリレニル基、クリセニル基、トリフェニレニル基、及び、これらの基に更に縮環した基(例えば、ベンゾアントラセニル基、ベンゾピレニル基等)が挙げられる。これらの基はさらに置換基を有していてもよい。
【0024】Ar11,Ar12,Ar13は、置換(置換基としては、例えば、後で述べるR21基が挙げられる。)または無置換のアントラセニルフェニル基、アントラセニル基、フェナントレニル基、ピレニル基が好ましく、アルキル置換または無置換のアントラセニルフェニル基、フェナントレニル基、ピレニル基がより好ましく、ピレニル基、フェナントレニル基が特に好ましい。
【0025】R21,R22,R23は置換基を表し、アルキル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10であり、例えばメチル、エチル、iso−プロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニルなどが挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばプロパルギル、3−ペンチニルなどが挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチル、アントラニルなどが挙げられる。)、アミノ基(好ましくは炭素数0〜30、より好ましくは炭素数0〜20、特に好ましくは炭素数0〜10であり、例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジベンジルアミノ、ジフェニルアミノ、ジトリルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシ、2−エチルヘキシロキシなどが挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ、1−ナフチルオキシ、2−ナフチルオキシなどが挙げられる。)、ヘテロアリールオキシ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばピリジルオキシ、ピラジルオキシ、ピリミジルオキシ、キノリルオキシなどが挙げられる。)、アシル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばアセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイルなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニルなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜30、より好ましくは炭素数7〜20、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルなどが挙げられる。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシなどが挙げられる。)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜30、より好ましくは炭素数7〜20、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノなどが挙げられる。)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜30、より好ましくは炭素数0〜20、特に好ましくは炭素数0〜12であり、例えばスルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイルなどが挙げられる。)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばカルバモイル、メチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、フェニルカルバモイルなどが挙げられる。)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオなどが挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオなどが挙げられる。)、ヘテロアリールチオ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばピリジルチオ、2−ベンズイミゾリルチオ、2−ベンズオキサゾリルチオ、2−ベンズチアゾリルチオなどが挙げられる。)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメシル、トシルなどが挙げられる。)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニルなどが挙げられる。)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイドなどが挙げられる。)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミドなどが挙げられる。)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子、具体的には例えばイミダゾリル、ピリジル、キノリル、フリル、チエニル、ピペリジル、モルホリノ、ベンズオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリルなどが挙げられる。)、シリル基(好ましくは炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは炭素数3〜24であり、例えばトリメチルシリル、トリフェニルシリルなどが挙げられる。)などが挙げられる。これらの置換基は更に置換されてもよい。
【0026】n1,n2,n3はそれぞれ0〜4の整数を表す。n1,n2,n3は0〜2が好ましく、0,1がより好ましく、0がさらに好ましい。
【0027】本発明の化合物は一般式(1)の繰り返し単位をひとつ有する、いわゆる低分子化合物であってもよく、また、一般式(1)の繰り返し単位を複数個有するいわゆる、オリゴマー化合物、ポリマー化合物(重量平均分子量(ポリスチレン換算)は好ましくは1000〜5000000、より好ましくは2000〜1000000、さらに好ましくは3000〜100000である。)であってもよい。ポリマー化合物の場合、一般式(1)で表される構造がポリマー主鎖中に含まれてもよく、また、ポリマー側鎖に含まれていてもよい。また、ポリマー化合物の場合、ホモポリマー化合物であってもよく、共重合体であってもよい。本発明の化合物は低分子化合物が好ましい。
【0028】次に本発明の一般式(1),一般式(2),一般式(3)で表される化合物(以下、本発明の化合物ともいう。)の具体例を示すが、本発明はこれに限定されない。
【0029】
【化7】


【0030】
【化8】


【0031】
【化9】


【0032】
【化10】


【0033】次に、本発明の化合物の製造方法について述べる。本発明の化合物は、種々の公知の芳香族炭素炭素結合生成反応を利用して合成可能であり、例えば、Organic Synthesis Reaction Guide (John Wiley & Sons,Inc.社) p.617〜p.643、及び、Comprehensive Organic Transformation(VCH社) p.5〜p.103 などに記載されている手法を利用して合成することができる。具体的には、パラジウム触媒存在下に炭素炭素結合を生成する合成法が好ましく、ホウ酸誘導体とアリールハライド誘導体をパラジウム触媒存在下に合成する手法がさらに好ましい。
【0034】ホウ酸誘導体としては、置換または無置換のアリールホウ酸誘導体(例えば、1,4−フェニルジホウ酸、4,4′−ビフェニルジホウ酸等が挙げられる)、ヘテロアリールホウ酸誘導体(例えばピリジルジホウ酸などが挙げられる)などが挙げられる。
【0035】アリールハライド誘導体のハロゲン原子は、好ましくは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子であり、より好ましくは、臭素原子、ヨウ素原子であり、特に好ましくは臭素原子である。
【0036】パラジウム触媒としては、特に限定しないが、例えば、パラジウムテトラキストリフェニルホスフィン、パラジウムカーボン、酢酸パラジウム、パラジウムジクロライド(dppf)(dppf:1,1’−ビスジフェニルホスフィノフェロセン)などが挙げられる。トリフェニルホスフィンなどの配位子を同時に添加してもよい。
【0037】本反応は、塩基を用いたほうが好ましい。用いる塩基の種類は特に限定しないが、例えば、炭酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、トリエチルアミンなどが挙げられる。用いる塩基の量は特に限定しないが、ホウ酸(エステル)部位に対して、好ましくは0.1〜20当量、特に好ましくは1〜10当量である。
【0038】本反応は溶媒を用いた方が好ましい。用いる溶媒は特に限定しないが、例えば、エタノール、水、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジメチルホルムアミド、トルエン、テトラヒドロフラン及びそれらの混合溶媒を用いることができる。
【0039】次に、本発明の化合物を含有する発光素子に関して説明する。本発明の発光素子は、本発明の化合物を利用する素子であればシステム、駆動方法、利用形態など特に問わないが、本発明の化合物からの発光を利用するもの、または本化合物を電荷輸送材料として利用する物が好ましい。代表的な発光素子として有機EL(エレクトロルミネッセンス)素子を挙げることができる。
【0040】本発明の化合物を含有する発光素子の有機層の形成方法は、特に限定されるものではないが、抵抗加熱蒸着、電子ビーム、スパッタリング、分子積層法、コーティング法、インクジェット法などの方法が用いられ、特性面、製造面で抵抗加熱蒸着、コーティング法が好ましい。
【0041】本発明の発光素子は陽極、陰極の一対の電極間に発光層もしくは発光層を含む複数の有機化合物薄膜を形成した素子であり、発光層のほか正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、電子輸送層、保護層などを有してもよく、またこれらの各層はそれぞれ他の機能を備えたものであってもよい。各層の形成にはそれぞれ種々の材料を用いることができる。
【0042】陽極は正孔注入層、正孔輸送層、発光層などに正孔を供給するものであり、金属、合金、金属酸化物、電気伝導性化合物、またはこれらの混合物などを用いることができ、好ましくは仕事関数が4eV以上の材料である。具体例としては酸化スズ、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウムスズ(ITO)等の導電性金属酸化物、あるいは金、銀、クロム、ニッケル等の金属、さらにこれらの金属と導電性金属酸化物との混合物または積層物、ヨウ化銅、硫化銅などの無機導電性物質、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロールなどの有機導電性材料、およびこれらとITOとの積層物などが挙げられ、好ましくは、導電性金属酸化物であり、特に、生産性、高導電性、透明性等の点からITOが好ましい。陽極の膜厚は材料により適宜選択可能であるが、通常10nm〜5μmの範囲のものが好ましく、より好ましくは50nm〜1μmであり、更に好ましくは100nm〜500nmである。
【0043】陽極は通常、ソーダライムガラス、無アルカリガラス、透明樹脂基板などの上に層形成したものが用いられる。ガラスを用いる場合、その材質については、ガラスからの溶出イオンを少なくするため、無アルカリガラスを用いることが好ましい。また、ソーダライムガラスを用いる場合、シリカなどのバリアコートを施したものを使用することが好ましい。基板の厚みは、機械的強度を保つのに十分であれば特に制限はないが、ガラスを用いる場合には、通常0.2mm以上、好ましくは0.7mm以上のものを用いる。陽極の作製には材料によって種々の方法が用いられるが、例えばITOの場合、電子ビーム法、スパッタリング法、抵抗加熱蒸着法、化学反応法(ゾルーゲル法など)、酸化インジウムスズの分散物の塗布などの方法で膜形成される。陽極は洗浄その他の処理により、素子の駆動電圧を下げたり、発光効率を高めることも可能である。例えばITOの場合、UV−オゾン処理、プラズマ処理などが効果的である。
【0044】陰極は電子注入層、電子輸送層、発光層などに電子を供給するものであり、電子注入層、電子輸送層、発光層などの負極と隣接する層との密着性やイオン化ポテンシャル、安定性等を考慮して選ばれる。陰極の材料としては金属、合金、金属ハロゲン化物、金属酸化物、電気伝導性化合物、またはこれらの混合物を用いることができ、具体例としてはアルカリ金属(例えばLi、Na、K等)及びそのフッ化物、アルカリ土類金属(例えばMg、Ca等)及びそのフッ化物、金、銀、鉛、アルミニウム、ナトリウム−カリウム合金またはそれらの混合金属、リチウム−アルミニウム合金またはそれらの混合金属、マグネシウム−銀合金またはそれらの混合金属、インジウム、イッテリビウム等の希土類金属等が挙げられ、好ましくは仕事関数が4eV以下の材料であり、より好ましくはアルミニウム、リチウム−アルミニウム合金またはそれらの混合金属、マグネシウム−銀合金またはそれらの混合金属等である。陰極は、上記化合物及び混合物の単層構造だけでなく、上記化合物及び混合物を含む積層構造を取ることもできる。陰極の膜厚は材料により適宜選択可能であるが、通常10nm〜5μmの範囲のものが好ましく、より好ましくは50nm〜1μmであり、更に好ましくは100nm〜1μmである。陰極の作製には電子ビーム法、スパッタリング法、抵抗加熱蒸着法、コーティング法などの方法が用いられ、金属を単体で蒸着することも、二成分以上を同時に蒸着することもできる。さらに、複数の金属を同時に蒸着して合金電極を形成することも可能であり、またあらかじめ調整した合金を蒸着させてもよい。陽極及び陰極のシート抵抗は低い方が好ましく、数百Ω/□以下が好ましい。
【0045】発光層の材料は、電界印加時に陽極または正孔注入層、正孔輸送層から正孔を注入することができると共に陰極または電子注入層、電子輸送層から電子を注入することができる機能や、注入された電荷を移動させる機能、正孔と電子の再結合の場を提供して発光させる機能を有する層を形成することができるものであれば何でもよい。例えばベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、スチリルベンゼン誘導体、ポリフェニル誘導体、ジフェニルブタジエン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、ナフタルイミド誘導体、クマリン誘導体、ペリレン誘導体、ペリノン誘導体、オキサジアゾール誘導体、アルダジン誘導体、ピラリジン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、ビススチリルアントラセン誘導体、キナクリドン誘導体、ピロロピリジン誘導体、チアジアゾロピリジン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、スチリルアミン誘導体、芳香族ジメチリディン化合物、8−キノリノール誘導体の金属錯体や希土類錯体に代表される各種金属錯体等、ポリチオフェン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン等のポリマー化合物、有機シラン誘導体、本発明の化合物等が挙げられる。発光層の膜厚は特に限定されるものではないが、通常1nm〜5μmの範囲のものが好ましく、より好ましくは5nm〜1μmであり、更に好ましくは10nm〜500nmである。発光層の形成方法は、特に限定されるものではないが、抵抗加熱蒸着、電子ビーム、スパッタリング、分子積層法、コーティング法(スピンコート法、キャスト法、ディップコート法など)、インクジェット法、 LB法などの方法が用いられ、好ましくは抵抗加熱蒸着、コーティング法である。
【0046】正孔注入層、正孔輸送層の材料は、陽極から正孔を注入する機能、正孔を輸送する機能、陰極から注入された電子を障壁する機能のいずれか有しているものであればよい。その具体例としては、カルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリディン系化合物、ポルフィリン系化合物、ポリシラン系化合物、ポリ(N−ビニルカルバゾール)誘導体、アニリン系共重合体、チオフェンオリゴマー、ポリチオフェン等の導電性高分子オリゴマー、有機シラン誘導体、本発明の化合物等が挙げられる。正孔注入層、正孔輸送層の膜厚は特に限定されるものではないが、通常1nm〜5μmの範囲のものが好ましく、より好ましくは5nm〜1μmであり、更に好ましくは10nm〜500nmである。正孔注入層、正孔輸送層は上述した材料の1種または2種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成または異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。正孔注入層、正孔輸送層の形成方法としては、真空蒸着法やLB法、前記正孔注入輸送剤を溶媒に溶解または分散させてコーティングする方法(スピンコート法、キャスト法、ディップコート法など)、インクジェット法が用いられる。コーティング法の場合、樹脂成分と共に溶解または分散することができ、樹脂成分としては例えば、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキシド、ポリブタジエン、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、炭化水素樹脂、ケトン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリアミド、エチルセルロース、酢酸ビニル、ABS樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂などが挙げられる。
【0047】電子注入層、電子輸送層の材料は、陰極から電子を注入する機能、電子を輸送する機能、陽極から注入された正孔を障壁する機能のいずれか有しているものであればよい。その具体例としては、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、フルオレノン誘導体、アントラキノジメタン誘導体、アントロン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド誘導体、フルオレニリデンメタン誘導体、ジスチリルピラジン誘導体、ナフタレンペリレン等の複素環テトラカルボン酸無水物、フタロシアニン誘導体、8−キノリノール誘導体の金属錯体やメタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾールやベンゾチアゾールを配位子とする金属錯体に代表される各種金属錯体、有機シラン誘導体等が挙げられる。電子注入層、電子輸送層の膜厚は特に限定されるものではないが、通常1nm〜5μmの範囲のものが好ましく、より好ましくは5nm〜1μmであり、更に好ましくは10nm〜500nmである。電子注入層、電子輸送層は上述した材料の1種または2種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成または異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。電子注入層、電子輸送層の形成方法としては、真空蒸着法やLB法、前記電子注入輸送剤を溶媒に溶解または分散させてコーティングする方法(スピンコート法、キャスト法、ディップコート法など)、インクジェット法などが用いられる。コーティング法の場合、樹脂成分と共に溶解または分散することができ、樹脂成分としては例えば、正孔注入輸送層の場合に例示したものが適用できる。
【0048】保護層の材料としては水分や酸素等の素子劣化を促進するものが素子内に入ることを抑止する機能を有しているものであればよい。その具体例としては、In、Sn、Pb、Au、Cu、Ag、Al、Ti、Ni等の金属、MgO、SiO、SiO2、Al23、GeO、NiO、CaO、BaO、Fe23、Y23、TiO2等の金属酸化物、MgF2、LiF、AlF3、CaF2等の金属フッ化物、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、ポリイミド、ポリウレア、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリジクロロジフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレンとジクロロジフルオロエチレンとの共重合体、テトラフルオロエチレンと少なくとも1種のコモノマーとを含むモノマー混合物を共重合させて得られる共重合体、共重合主鎖に環状構造を有する含フッ素共重合体、吸水率1%以上の吸水性物質、吸水率0.1%以下の防湿性物質等が挙げられる。保護層の形成方法についても特に限定はなく、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、MBE(分子線エピタキシ)法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法(高周波励起イオンプレーティング法)、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、ガスソースCVD法、コーティング法を適用できる。
【0049】
【実施例】以下に本発明の具体的実施例を述べるが、本発明の実施の態様はこれらに限定されるものではない。
(1−1)の合成ピレンホウ酸エステル a 1.5 g、トリス(p−ブロモフェニル)ベンゼン 0.67g、炭酸ナトリウム 1.47g、トリフェニルホスフィン 0.05g、パラジウムカーボン 0.05gにジエチレングリコールジメチルエーテル 50ml、水 50ml を加え還流攪拌した。6時間後、反応溶液をクロロホルム200ml、水200mlで希釈し、セライトろ過した。有機層を水100mlで2回洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を濃縮した。カラムクロマトグラフィー(クロロホルム)で精製した後、再結晶で精製し(クロロホルム/メタノール) (1−1) 0.8g を得た。(1−1)の蒸着膜を作製し、その膜蛍光を測定したところ、膜蛍光極大波長λmaxは 473nmであった。
【0050】(1−2)の合成ホウ酸エステル b 1.0 g、トリス(p−ブロモフェニル)ベンゼン 0.38g、炭酸ナトリウム 0.85g、トリフェニルホスフィン 0.05g、パラジウムカーボン 0.05gにジエチレングリコールジメチルエーテル 50ml、水 50ml を加え還流攪拌した。6時間後、反応溶液をクロロホルム200ml、水200mlで希釈し、セライトろ過した。有機層を水100mlで2回洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を濃縮した。カラムクロマトグラフィー(クロロホルム)で精製した後、再結晶で精製し(クロロホルム/メタノール) 白色固体(1−2) 0.4g を得た。
【0051】(1−3)の合成ホウ酸エステル c 1.5 g、トリス(p−ブロモフェニル)ベンゼン 0.72g、炭酸ナトリウム 1.6g、トリフェニルホスフィン 0.05g、パラジウムカーボン 0.05gにジエチレングリコールジメチルエーテル 50ml、水 50ml を加え還流攪拌した。6時間後、反応溶液をクロロホルム200ml、水200mlで希釈し、セライトろ過した。有機層を水100mlで2回洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を濃縮した。カラムクロマトグラフィー(クロロホルム)で精製した後、再結晶で精製し(クロロホルム/メタノール)(1−3) 0.9g を得た。DSC(示差走査熱量測定)にてTg(ガラス転移点)を測定したところ、153℃であった。以下に上記本発明の化合物例(1−1)、(1−2)、(1−3)の反応スキームを示す。
【0052】
【化11】


【0053】比較例1洗浄したITO基板を蒸着装置に入れ、α−NPD(N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(α−ナフチル)−ベンジジン)を40nm蒸着し、この上に、ジスチリル化合物 A を20nm蒸着し、この上にアゾール化合物 B を40nm蒸着し、素子を作製した。有機薄膜上にパターニングしたマスク(発光面積が4mm×5mmとなるマスク)を設置し、蒸着装置内でマグネシウム:銀=10:1を50nm共蒸着した後、銀50nmを蒸着した。東陽テクニカ製ソースメジャーユニット2400型を用いて、直流定電圧をEL素子に印加し発光させ、その輝度をトプコン社の輝度計BM−8、発光波長を浜松フォトニクス社製スペクトルアナライザーPMA−11を用いて測定した。その結果、CIE色度値(x,y)=(0.15,0.20)の青緑色発光が得られ、最高輝度1130cd/m2 の輝度が得られた。窒素雰囲気下1日放置したところ、膜面の白濁が観察された。
【0054】
【化12】


【0055】比較例2比較例1の化合物Aの替わりに化合物Cを用い、比較例1と同様に素子を作製した。有機薄膜が白濁し、素子の評価は不可であった。
【0056】比較例3比較例1の化合物Aの替わりに化合物Dを用い、比較例1と同様に素子を作製した。窒素雰囲気下1日放置したところ、膜面の白濁が観察された。
【0057】実施例1比較例1の化合物Aの替わりに、本発明の化合物(1−1)を用い、比較例1と同様に素子を作製した。比較例1と同様に評価したところ、(0.19,0.29)の青緑色発光を得、最高輝度4280cd/m2を得た。窒素雰囲気下1日放置しても有機膜は透明であった。
【0058】実施例2洗浄したITO基板を蒸着装置に入れ、α−NPD(N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(α−ナフチル)−ベンジジン)を40nm蒸着し、この上に、ジスチリル化合物 Aと本発明の化合物(1−1)を20nm共蒸着し(ジスチリル化合物A:(1−1)=50:1)、この上にアゾール化合物 B を40nm蒸着し、比較例1と同様に陰極を蒸着し、素子を作製した。比較例1と同様に評価したところ、(0.16,0.15)の青色発光を得、最高輝度9600cd/m2を得た。窒素雰囲気下1日放置しても有機膜は透明であった。
【0059】実施例3ポリビニルカルバゾール40mg、PBD(p−t−ブチルフェニル−ビフェニル−1,2,4−オキサジアゾール)12mg、本発明の化合物(1−1)1mgをジクロロエタン3mlに溶解し、洗浄した基板上にスピンコートし(2000rpm,5sec)、比較例1と同様に陰極を蒸着し、素子を作製した。比較例1と同様に評価したところ、(0.15,0.15)の青色発光を得、最高輝度3180cd/m2が得られた。
【0060】実施例4比較例1のNPDの替わりに本発明の化合物(1−2)を用い、化合物Aの替わりに、本発明の化合物(1−1)を用い、比較例1と同様に素子を作製した。比較例1と同様に評価したところ、(0.19,0.27)の青緑色発光を得、最高輝度4990cd/m2を得た。窒素雰囲気下1日放置しても有機膜は透明であった。また、窒素雰囲気下、本素子を100℃1時間加熱したが、ダークスポットの増加は見られなかった。一方、実施例1の素子は同条件下ダークスポットの増加が見られた。同様に、本発明の化合物含有EL素子を作製・評価したところ、本発明の化合物がEL素子材料として高機能(輝度、耐久性、成膜性)を有することが確認できた。
【0061】
【発明の効果】本発明の化合物は有機EL用材料として使用可能であり、また、本発明の化合物は医療用途、蛍光増白剤、写真用材料、UV吸収材料、レーザー色素、カラーフィルター用染料、色変換フィルター等にも適用可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】下記一般式(1)で表される化合物からなる発光素子材料。
【化1】


11,R12,R13は、3環以上縮環した縮環多環式炭化水素構造を有する基を表す。
【請求項2】下記一般式(2)で表される化合物。
【化2】


Ar11,Ar12,Ar13 はアントラセン構造、フェナントレン構造、または、ピレン構造を有する基を表す。R21,R22,R23 は置換基を表し、n1,n2,n3は0〜4の整数を表す。
【請求項3】請求項2に記載の化合物からなる発光素子材料。
【請求項4】一対の電極間に発光層もしくは発光層を含む複数の有機化合物薄層を形成した発光素子において、少なくとも一層に請求項1または3に記載の発光素子材料を少なくとも一種含有する層であることを特徴とする有機発光素子。
【請求項5】請求項1または3に記載の発光素子材料を含む層をコーティング法で成膜することを特徴とする請求項4に記載の有機発光素子。

【公開番号】特開2001−192652(P2001−192652A)
【公開日】平成13年7月17日(2001.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−3687(P2000−3687)
【出願日】平成12年1月12日(2000.1.12)
【出願人】(000005201)富士写真フイルム株式会社 (7,609)
【Fターム(参考)】