説明

繊維ローラ、クリーニングローラ、シール部材及びその製造方法

【課題】フェルトや不織布を用いる従来のクリーニングローラやクリーニングパッドよりも一層高いクリーニング性能を有する繊維ローラを実現する。また、優れたシール効果を有するシール部材を実現する。
【解決手段】本発明による繊維ローラは、金属のシャフト(10)の外周面を覆う繊維集合体(11)を有し、繊維集合体は、ローラの中心軸線から外方に向けて放射状に延在する繊維を主体的に含み、隣接する繊維同士が局所的に結合する。繊維集合体を構成する繊維は、主として半径方向に延在するので、ローラとして高い弾性反発力を有すると共に大きな空隙率を有する。この結果、クリーニングローラ、潤滑剤供給ローラ、吸水ローラ等に好適な繊維ローラが実現される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属のシャフトの外周面が繊維集合体により覆われた繊維ローラに関するものである。
本発明は、優れたクリーニング性能を有するクリーニングローラ及びクリーニングパッドに関するものである。
さらに、本発明は、現像剤が外部に漏れるのを防止するシール部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真式画像形成装置では、感光ドラムの表面を帯電ローラにより一様に帯電し、露光工程及び現像工程を経てトナー像が形成されている。感光ドラム上のトナー像は、転写工程において記録紙上に転写され、定着装置により熱定着されて排出される。また、カラープリンタでは、4本の感光ドラム上に形成された赤、青、黄色、及び黒のトナー像は中間転写ベルト上に転写され、中間ベルトに形成されたトナー像が記録紙に転写されている。
【0003】
電子写真式の画像形成装置では、微小なトナーを用いて画像を可視化しているため、クリーンなコピーを作成するためには、各種工程で動作する部材をクリーニングする必要がある。例えば、帯電ローラには、トナー粒子や紙粉等が付着し易く、トナーや紙粉が付着すると、帯電ムラが発生し、不鮮明なコピーが形成されてしまう。従って、帯電ローラをクリーニングするクリーニング装置が必要である。帯電ローラをクリーニングする装置として、例えばシャフトの外周面にフェルトや不織布を巻き付けたクリーニングローラが用いられ、帯電ローラ上に残留するトナーや紙粉等の異物が除去されている。同様に、転写ベルトや感光ドラム表面をクリーニングする場合にも、フェルトや不織布を巻き付けたクリーニングローラが用いられ、転写ベルトや感光ドラム等に対して圧接され、トナーや紙粉等の異物が除去されている。さらに、ヒートロール定着装置においても、ヒートローラ及び加圧ローラにトナーや紙粉等が付着し易いため、耐熱性のフェルトや不織布等のクリーニングパッドをヒートローラに対して圧着してトナー等の異物が除去されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
さらに、シャフトの外周面をパイルで覆ったブラシローラをクリーニングローラとして用いるクリーニング方式も提案されている(例えば、特許文献2参照)。このクリーニング方式では、外周面がパイルで覆われたブラシローラをクリーニングローラとして用い、ブラシローラを転写ベルトに対して圧接するように配置し、転写ベルト上に残留するトナー等の異物をブラシローラにより掃き出すように構成されている。
【0005】
さらに、感光ドラムや現像装置からトナーが漏れ出ることを防止するために、シール部材を用いることも既知である(例えば、特許文献3参照)。このシール部材は、不織布と弾性体とを張り合わせた構造を有し、感光ドラムに対して圧接してトナーが外部に漏れ出るのが防止されている。
【特許文献1】特開平7−219379号公報
【特許文献2】特開2006−259420号公報
【特許文献3】特開2004−317995号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のクリーニングローラでは、クリーニング部材としてフェルトや不織布が用いられていた。これらフェルト等は、帯電ローラ等の被クリーニング物と接触するクリーニング面に対して繊維が平行に配列されているため、繊維間の空隙率が小さく、拭き取った異物がクリーニングローラの内側に進行せず、フェルト表面に蓄積してしまい、コピーするにしたがってクリーニング性能が低下する欠点があった。また、従来の不織布やフェルトは、構造的に弾性変形しにくいため、感光ドラム等の移動体と接触した際の弾性変形量が小さく、移動体表面との接触幅であるニップ幅が小さいため、十分なクリーニング性能が得られない欠点もある。この場合、ニップ幅を大きく設定しようとすると、一層強い圧接力を作用させる必要があり、駆動系に対する負荷が一層大きくなる不具合が生じてしまう。さらに、転写ベルトや帯電ローラ等の移動方向にそって繊維が配列された構造であるため、転写ベルトや帯電ローラとの間に生ずる摩擦力により繊維が引っ張られて脱落し易く、耐久性に欠ける欠点もある。しかも、繊維が脱落すると、新たな異物が生成される不具合が生じてしまう。
【0007】
従来のクリーニングパッドにおいても、シャフトの外周面に不織布やフェルトが巻き付けられており、繊維がローラ外周面と平行に配列されている。このため、クリーニング部材の空隙率が小さく、クリーニングパッド側に転移した異物がパッド表面に堆積し、コピーするにしたがってクリーニング性能が低下する不具合が指摘されている。
【0008】
クリーニングローラとしてブラシローラを用いる場合、移動体表面を掃き出す効果が発揮されるので、クリーニング部材としてフェルトや不織布を用いるクリーニングローラと比較して、より高いクリーニング性能を発揮する利点がある。しかしながら、シャフトの外周面に植設できるパイル密度に限界があり、パイルの植設密度が低いため、クリーニング性能自体にも限界があった。また、パイルは、その根元だけしか拘束されていないため、パイルが抜け落ちやすく寿命にも難点があった。特に、フリッカを設けて、パイルに付着した異物を叩き落とす方式では、パイルに対して常時引き抜く力が作用するため、特に劣化し易く寿命の点において問題があった。
【0009】
シール部材として不織布を用いるシール方式では、不織布自身の弾性変形量が比較的小さいため、感光ドラムや現像ローラと不織布との間に隙間が形成され易く、トナーの漏出防止性能に難点があった。また、トナーや紙粉が不織布の表面付近に蓄積してしまい、コピーするにしたがってクリーニング性能及びシール効果が低下する欠点もあった。
【0010】
本発明の目的は、クリーニング部材としてフェルトや不織布を用いる従来のクリーニングローラやクリーニングパッドよりも一層高いクリーニング性能を有すると共に寿命の点においても一層優れたクリーニングローラ及びクリーニングパッドを実現することにある。
本発明の別の目的は、感光ドラムや現像ローラの表面に対して優れたシール効果を有すると共に一層優れた耐久性を有するシール部材を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明による繊維ローラは、金属のシャフトの外周面が繊維集合体により覆われた繊維ローラにおいて、
前記繊維集合体は、ローラの中心軸線から外方に向けて放射状に延在する繊維を主体的に含む繊維集合体により構成され、繊維集合体の隣接する繊維同士が局所的に結合していることを特徴とする。
具体的には、ポリエステル繊維の場合には、通常のポリエステル繊維と該ポリエステル繊維よりも鞘成分が低融点である、芯鞘タイプの接着繊維を使用し熱処理することで局所的に結合させることができる。または、融点の異なる繊維を使用し一方の繊維の融点以上の温度で熱処理することで局所的に結合させることも可能であり、さらには、繊維構造体に樹脂をスプレーすることで結合させることも可能である。なお、接着繊維を使用する方法が均一で強固な結合となるためより好ましい。
【0012】
本発明の繊維ローラの繊維集合体は、ローラ軸線から外方に向けて延在する繊維を主体的に含む不織布で構成されているので、多くの繊維の弾性力反発力が有効に作用し、高い弾性反発力を発揮する。また、繊維集合体の繊維密度は、ローラの内周側が高密度であり、外周側が低密度に構成されているので、外周面付近の繊維部分が円周方向に変位し易く、高いクリーニング性能を有するクリーニングローラが実現される。さらに、空隙率も高いので、トナーや紙粉等の異物を保持する保持性能及びインク等の液体を保持する保持性能に優れた特性を有する。ここで、ローラの中心軸線から外方に向けて放射状に延在する繊維を主体的に含む繊維集合体とは、ローラの中心軸線から外方に向けて延在する繊維の本数をTとし、円周方向に延在する繊維の本数をHとした場合に、T/Hが1.5以上の繊維集合体を意味する。
【0013】
本発明による繊維ローラの好適実施例は、繊維集合体は、ナイロン繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維、ポリトリメチレンテレフタレート繊維、ポリエチレンナフタレート繊維、ポリ乳酸繊維、ポリエチレン繊維、ポリウレタン繊維、ポリプロピレン繊維、アクリル繊維、ビニロン繊維、塩化ビニル繊維、塩化ビニリデン繊維、ポリイミド繊維、ポリアラミド繊維、フッ素樹脂繊維、レーヨン系繊維、アセテート繊維、キュプラ、及びこれら繊維を変性した繊維、絹、羊毛、綿、麻から選択した1種類の繊維又は複数種類の繊維の組み合わせにより構成されていることを特徴とする。なお、ポリ乳酸繊維とは、ポリL−乳酸繊維、ポリD乳酸繊維、ステレオコンプレックスポリ乳酸繊維を含む。また、変性した繊維とは、例えばポリマー改質または添加剤を加える事で、本来の融点よりも溶融する温度を低下させたポリマーを単独または、改質前のポリマーとサイドバイサイド、芯鞘型で形成した接着複合繊維や、異質ポリマーをサイドバイサイドに配置した繊維等も含む。
本発明による繊維ローラにおいては、繊維集合体を構成する繊維を使用目的や用途に応じて適切に選択することにより、用途に適合した各種ローラが実現される。例えば、潤滑剤供給ローラのように、より強い弾性反発力を必要とする用途の場合、高い剛性を有する繊維と比較的低い剛性の繊維とを組み合わすことにより、最適な繊維ローラが実現される。また、定着ローラのように、耐熱性が要求される用途には、ポリイミド繊維やポリアラミド繊維等の耐熱性繊維を用いることができる。さらに、例えば良好な導電率のような所望の電気的特性が要求される用途については、導電性の繊維により構成される繊維集合体を用いることにより、所望の導電率の繊維ローラが実現され、トナー供給ローラとして最適な導電率の繊維ローラが実現される。
【0014】
本発明による繊維ローラの別の好適実施例は、繊維集合体は、繊維径、繊維長、剛性、導電率等の物理特性が相違する複数種類の繊維の組み合わせにより構成されていることを特徴とする。複数種類の繊維が混合された繊維集合体を用いることにより、例えば剛性が比較的低いナイロン繊維と剛性の高いポリエステル繊維との混合繊維を用いることによる所望の弾性反発力や所望のクリーニング性能を有する繊維ローラが実現される。さらに、繊維径の異なる2種又はそれ以上の繊維を混合することにより、用途に応じて最適な弾性反発力やクリーニング性能を発揮するクリーニングローラが実現される。
【0015】
本発明によるクリーニングローラは、金属のシャフトと、シャフトの外周面上に設けたクリーニング部材とを有するクリーニングローラにおいて、
前記クリーニング部材は、ローラの中心軸線から外方に向けて放射状に延在する繊維を主体的に含む繊維集合体により構成され、シャフトに近い側が高密度となり、シャフトから離れた外周に近い側が低密度となるように構成され、繊維集合体の隣接する繊維同士が局所的に結合していることを特徴とする。
【0016】
本発明によるクリーニングローラの繊維集合体は不織布であるが、主体的に含まれる繊維がローラ軸線から外方に向けて放射状に延在する繊維構造を有するので、シャフトの外周にフェルトや不織布を巻き付けたクリーニングローラと比較して、高い弾性反発力及び大きな空隙率を有する。この結果、感光導体や転写ベルト等の被クリーニング部材に付着した異物を拭き取る高いクリーニング効果が発揮される。特に、繊維密度に関して、外周側の繊維密度が低くなる構造であるため、外周側の繊維が円周方向に変位し易いので、一層顕著な拭き取り効果が発揮される。
【0017】
本発明による潤滑剤供給ローラは、固形状の潤滑剤と回転部材又は走行部材との間に配置され、固形状の潤滑剤を削り出して回転部材又は走行部材の表面に粉状の潤滑剤を供給する潤滑剤供給ローラであって、
金属のシャフトと、シャフトの外周面に設けた繊維層とを有し、当該繊維層は、ローラの中心軸線から外方に向けて放射状に延在する繊維を主体的に含む繊維集合体により構成され、シャフトに近い側が高密度となり、シャフトから離れた外周に近い側が低密度となるように構成され、繊維集合体の隣接する繊維同士が局所的に結合していることを特徴とする。本発明による繊維ローラは、高い弾性反発力及び大きな空隙率を有するので、微量の潤滑剤を安定して供給することができる。
【0018】
本発明によるクリーニングパッドは、ベルト、ローラ又は回転ドラムを含む移動体の表面と接触し、移動体表面に残留する異物を除去するシート状のクリーニングパッドにおいて、
動作中に移動体表面と接触するクリーニング面を有するシート状のクリーニング部材と、クリーニング部材を支持する支持部材とを有し、
前記クリーニング部材は、クリーニング面と直交する方向に延在する繊維を主体的に含む繊維集合体により構成され、繊維集合体の隣接する繊維同士が局所的に結合していることを特徴とする。ここで、クリーニング面と直交する方向に延在する繊維を主体的に含む繊維集合体とは、クリーニングパッドをクリーニング面と直交する面で切った場合に、クリーニング面と直交する方向に延在する繊維の本数をTとし、クリーニング面と平行な方向に延在する繊維の本数をHとした場合に、T/Hが1.5以上の繊維集合体を意味する。
【0019】
本発明によるシール部材は、感光ドラム、現像ローラ又はクリーニングブレードと当接して現像剤が外部に漏れるのを防止するシール部材であって、
当該シール部材は、動作中に感光ドラム、現像ローラ又はクリーニングブレードと接触するシール面を有する繊維集合体を含み、当該繊維集合体は、シール面と直交する方向に延在する繊維を主体的に含み、繊維集合体の隣接する繊維同士が局所的に結合していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明では、クリーニング面又はシール面と直交する方向に延在する繊維を主体的に含む繊維集合体を用いているので、強い弾性反発力が発揮されると共に大きな空隙率を有する各種ローラやシール部材が実現される。特に、クリーニングローラとして用いる場合、従来のフェルトや不織布を用いたクリーニングローラよりも優れたクリーニング性能を発揮することができる。また、シール部材に適用した場合、感光ドラムや現像ローラ等に対して良好な密着性及び異物保持性能が発揮されるので、優れたシール効果を有するシール部材が実現される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
初めに、本発明による繊維ローラをクリーニングローラに適用した例について説明する。図1A及びBは、従来のクリーニングローラやシール部材に用いられる繊維集合体の繊維配列構造及び本発明によるクリーニングローラ及びシール部材に用いられる繊維集合体の繊維配列構造を模式的に示す線図である。従来のクリーニングローラやシール部材では、クリーニング部材やシール部材を構成する繊維集合体として不織布やフェルトが用いられていた。これら不織布やフェルトの繊維集合体は、多くの繊維が一方向に延在するように配列した構造を有し、隣接する繊維同士は、熱融着により局所的に結合されている。当該繊維集合体をクリーニングローラやシール部材として用いる際、当該繊維集合体は、転写ベルト等の被クリーニング部材と当接するクリーニング面及び感光ドラムや現像ローラと接触するシール面に対して、繊維の配列方向が平行となるように構成されている。この状態を図1Aに示す。
【0022】
これに対して、本発明によるクリーニングローラやシール部材に用いられる繊維集合体は、多数の繊維が一方向に配列した繊維構造を有し、隣接する繊維同士が局所的に熱融着している不織布の構造を有する。そして、クリーニングローラやシール部材として用いる場合、繊維集合体に主体的に含まれる多くの繊維がクリーニング面やシール面に対して直交するように配列した特有の繊維配列構造を形成する。この状態を図1Bに模式的に示す。ここで、繊維集合体に主体的に含まれる多くの繊維がクリーニング面やシール面に対して直交するように配列した特有の繊維配列構造とは、図1に示す繊維集合体について、クリーニング面又はシール面と直交する面で切った場合に、クリーニング面又はシール面と直交する方向に延在する繊維の本数をTとし、クリーニング面又はシール面と平行に延在する繊維の本数をHとした場合に、T/Hが1.5以上の繊維配列構造を意味する。すなわち、T/Hが1.5以上であれば、クリーニングローラやシール部材として構成した場合優れたクリーニング特性やシール特性が得られる。
【0023】
次に、繊維集合体の製造方法に基づき、本発明の繊維集合体の構造的特徴を説明する。例えばポリエステル系繊維と熱接着性複合繊維とを混綿し、ローラーカードによりシート状のウェッブとして紡出する。得られたウェッブの多くの繊維は、シート状のウェッブの表面と平行に延在している。このようにして得られたウェッブについて熱処理を行ってクリーニングローラやシール部材を製造すると、多くの繊維がクリーニング面又はシール面に対して平行に延在する不織布が製造される。
【0024】
本発明では、上記紡出されたウェッブから、多くの繊維がシート面に対して直交する方向に延在する繊維構造体を製造する。この製造工程を図2に示す。図2において、ウェッブ1は、その幅方向は紙面と直交する方向にあり、厚さ方向は紙面内方向である。このウェッブ1を熱風サクション式熱処理機2内に押し込み、ウェッブ1をアコーディオン状に折り畳みながら加熱処理(例えば、190℃で5分間)を行い、繊維同士が局所的に融着した繊維構造体を製造する。このように、ウェッブを折り畳んで熱処理すると、紡出方向と直交する方向に延在する繊維を主体的に含む繊維構造体が得られる。例えば特表2002−516932号公報に示された装置(市販のものでは、Struto社製Struto設備など)を使用したウェッブをヒダ折りし大部分の繊維を厚み方向に配列させた後、190℃程度の温度に加熱された熱処理炉にて繊維間を熱接着させることにより製造することができる。このようにして得られた繊維構造体について、図2Bに示すように、多数の繊維の配列方向と直交する方向を裁断面として裁断すると、裁断面と直交する方向に延在する繊維を主体的に含む繊維集合体、すなわち、多くのの繊維がシート面と直交する方向に延在する不織布が形成される。尚、繊維集合体の厚さは、所望の厚さに設定することができ、例えば1〜40mmの厚さの繊維集合体が形成される。なお、1箇所のみ裁断した場合は、裁断面がローラの外周側に位置するようにする。
【0025】
得られた繊維集合体を用途に応じて適当な長さ及び厚さに裁断し、クリーニング部材及びシール部材として利用することができる。細長いテープ状の繊維集合体を形成し又は直方体のシート状の繊維集合体を形成し、金属のシャフトの外周面上に接着剤を介して巻き付けることにより、クリーニングローラや潤滑剤供給ローラ等の本発明による繊維ローラが構成される。なお、繊維集合体と金属のシャフトとの間に、薄手の布帛や不織布を配置することも問題ない。また、適当な大きさのシート状の繊維集合体に裁断し、支持部材に取り付けることにより、クリーニングパッドが構成される。さらに、繊維集合体を適当な厚さのシートに形成し、所望の形状に裁断することにより、トナーシール部材が形成される。尚、トナーシール部材として、シート状の繊維集合体と弾性ゴム層とを張り合わせたものを適当な形状に裁断して、繊維集合体と弾性ゴム層とが組み合わされたシール部材を実現することも可能である。
【0026】
テープ状の繊維集合体を金属のシャフトに巻回してクリーニングローラや潤滑剤供給ローラ等の繊維ローラを製造する際、繊維構造体又は繊維集合体からテープ状の繊維集合体を切り出す角度を適切に設定することが好ましい。例えば、加熱処理工程から紡出された繊維構造体に対して、テープ状の繊維集合体を繊維構造体の紡出方向(長手方向)に対して直角又は平行に切り出してシャフトに巻き付けると、異物を拭き取る拭き取り効果が若干低下したり、テープの端部がカールし易くなるおそれがある。これに対して、テープの切り出し角度を、繊維構造体の長手方向に対して平行及び直角以外の角度、すなわち長手方向に対して斜めの角度で切り出してシャフトに巻き付けることにより、異物に対して優れた拭き取り効果を発揮すると共にカールも発生しにくくなる。
【0027】
図3は本発明によるクリーニングローラの構造的特徴を模式的に示す線図であり、ローラ軸線Lを含む面で切った断面及びローラ軸線Lと直交する面で切った断面として示す図である。図3Aは従来のクリーニングローラの構造的特徴を示し、図3Bは本発明によるクリーニングローラの構造的特徴を示し、図3Cはブラシローラの構造的特徴を示す。図3において、符号10は金属のシャフトを示し、符号2はシャフト11の外周面を覆う繊維集合体を示す。
【0028】
図3Aに示すように、従来のクリーニングローラに用いられる不織布やフェルトでは、多くの繊維がローラ軸線に対して平行に延在するように配列された繊維集合体が用いられている。クリーニングローラの外周面に存在する繊維は、外周面と平行な面内で繊維間結合され拘束されているため、クリーニングローラの円周方向及び軸線方向に変位しにくい構造である。また、転写ベルトや帯電ローラ等の被クリーニング部材と当接した場合、繊維集合体の各繊維がローラの半径方向に変形しにくい構造であるため、クリーニングローラとしての弾性変形量も少ないため、被クリーニング部材と当接した際に形成されるニップ幅も小さい。従って、帯電ローラや転写ベルト等の被クリーニング部材の表面上に残留する異物を拭き取る効果は比較的低いものである。また、繊維集合体は、クリーニングローラの内周側と外周側とでほぼ等しい密度に形成されているため、クリーニングローラの外周面付近における繊維集合体の空隙率も小さく、帯電ローラや転写ベルトから掃き取った異物が繊維集合体の内部に侵入しにくく、繊維集合体の表面に蓄積してしまう。
【0029】
図3Bに模式的に示すように、本発明によるクリーニングローラでは、テープ状の繊維集合体又はシート状の繊維集合体11を金属のシャフト10上に巻き付けた場合、繊維集合体は、ローラ軸線から外方に放射状に延在する繊維を主体的に含んでいる。従って、繊維集合体の繊維密度は、ローラの中心側が高密度となり、ローラの外周側で低密度となる。よって、繊維集合体の各繊維の変位のし易さの観点から見ると、ローラの内周側では各繊維は変位しにくく、ローラの外周側においては各繊維に対する拘束力が弱いため、各繊維がローラの円周方向及び軸線方向に変位し易い構造である。従って、帯電ローラや転写ベルトと当接した際、外周面付近の繊維部分と帯電ローラ等との間の相対的な速度差が形成され易く、相対的な速度差に起因して被クリーニング部材の表面を拭き取る効果が発揮され、一層顕著なクリーニング効果が達成される。また、繊維の変形量が大きいことから、被クリーニング部材と当接した際に形成されるニップが形成され易く、弱い圧着力を作用させただけで比較的大きなニップ幅を形成することができる。さらに、ローラの弾性変形の観点から見ると、被クリーニング部材と当接した際、多くの繊維の弾性反発力がそのまま外方に向けて作用するため、より強い弾性反発力が作用する。さらに、クリーニングローラの空隙率の観点から見ると、クリーニングローラの内周側においては繊維集合体の繊維密度が高いが、外周面側においては繊維密度がより低くなるため、ローラの外周面側の空隙率が高くなり、一旦拭き取ったトナー等の異物を繊維集合体の内部に蓄積させることができる。さらに、耐久性の面から検討するに、繊維集合体の各繊維は、隣接する繊維同士が局所的に熱融着されているため、被クリーニング部材の表面と周接しても抜けにくく、優れた耐久性を有している。
【0030】
図3Cは、パイルを芯金の表面に直接植毛したブラシローラの構造的特徴を示す。ブラシローラは、パイルがローラの中心軸線から放射状に起毛する点において、本発明とほぼ同様な構造である。従って、弾性変形量は比較的大きく、異物に対する拭き取り効果は比較的高いものである。しかしながら、ブラシローラの場合、芯金に植毛できるパイルの密度は、パイル長さによって制限されるため、パイルの長さが長くなると繊維密度が低くなり、帯電ローラや転写ベルト等の被クリーニング部材表面上に残留する異物を除去するクリーニング性能に限界がある。また、シート状のパイル織物を芯金上に巻き付けたブラシローラにおいても、植毛されるパイル密度に限界があり、クリーニング性能に限界がある。また、ブラシローラの場合、パイルは根元でだけしか拘束されていないため、パイルが長くなった場合被クリーニング部材へパイルが接触する力が弱くなり、異物をかきとる力が弱まる難点がある。
【0031】
上述した説明から明らかなように、本発明による繊維集合体を用いたクリーニングローラは、従来の不織布やフェルトを用いクリーニングローラとブラシローラとの中間の特性を有している。すなわち、クリーニング性能の観点においては、異物を拭き取る効果が発揮されブラシローラに近いクリーニング性能を有し、耐久性の面においては、繊維同士が局所的に熱融着しているので繊維が抜けにくく従来のクリーニングローラに近い特性を有している。
【0032】
図4は、本発明によるクリーニングパッドを具えるヒートロール定着装置の一例を示す線図的断面図である。本例では、ヒートロール定着装置の加圧ローラの表面をクリーニングするクリーニングパッドを例にして説明する。ヒートローラ12と加圧ローラ13との間に記録紙14を通過させて、記録紙上に転写したトナー像を定着する。加圧ローラ13と接触するように本発明によるクリーニングパッド15を配置する。クリーニングパッド15は、加圧ローラのほぼ全長にわたるシート状の繊維集合体16と繊維集合体16を支持する支持部材17を有する。本例では、繊維集合体を構成する繊維として、耐熱性繊維であるポリイミド繊維を主体として用いる。本発明による繊維集合体は、被クリーニング部材である加圧ローラ13と接触するクリーニング面と直交する方向に延在する繊維が主体的に含まれるため、加圧ローラ13の外形にそって弾性変形する。また、加圧ローラ13と接触するクリーニング面と直交する方向に作用する弾性反発力が大きいため、バネ等の圧接部材を用いることなく、クリーニングパッドを加圧ローラに対して圧接させることが可能である。また、拭き取られたトナー等の異物は繊維集合体の内部空隙に蓄積される。
【0033】
電子写真式画像形成装置においては、クリーニング装置の枠体や現像カートリッジ等の感光ドラムと当接する部位にトナーシール部材が用いられ、クリーニング装置や現像カートリッジから外部にトナーが漏出するのが防止されている。図5は本発明によるトナーシール部材の一例を示す斜視図である。このトナーシール部材20は、L字形状をなし、シート状の繊維構造体を所望の形状に裁断したものである。裁断に際し、図1Bに示すシート状の繊維構造体のシート面が感光ドラムと当接するシール面21と一致するように裁断する。このように裁断することにより、繊維集合体の多くの繊維がシール面21と直交する方向に延在する。このような特有の繊維配列構造を有するシール部材を感光ドラムに対して圧接配置すれば、繊維集合体から感光ドラムに対して強い弾性反発力が作用すると共に感光ドラム等の相手部材の外形に対応して弾性変形するため、良好なシール性能が発揮される。また、感光ドラムに対して弾性反発力作用するため、バネや弾性ゴム等の圧着部材を用いることなく所望のシール効果が得られる。また、比較的大きな空隙率を有するので、トナーを捕集する良好な捕集効果も達成される。
【0034】
次に、本発明による繊維ローラを潤滑剤供給装置に応用した例について説明する。図6は、本発明による潤滑剤供給装置の一例を示す線図である。本例では、感光ドラム30に潤滑剤を供給する。感光ドラム30と対向するように潤滑剤供給ローラ31を回転自在に配置し、駆動装置(図示せず)により回転駆動する。潤滑剤供給ローラ31と接触するように固形状の潤滑剤32を配置する。潤滑剤32は保持部材33により保持され、保持部材33はバネ等の押圧手段34により押圧する。
【0035】
潤滑剤供給ローラ31は、クリーニングローラと同様に、芯金の外周面に繊維集合体を巻き付けた構造を有し、繊維集合体は、外周面と直交する方向に延在する繊維を主体的に含む繊維集合体で構成する。当該潤滑剤供給ローラは、比較的強い弾性反発力を有するので、繊維集合体の適当な弾性反発力により固形の潤滑剤が削り出され、粉状の潤滑剤が感光ドラム30に供給される。本例では、繊維集合体として、例えばポリエステル繊維のような剛性の高い繊維とナイロンのような剛性の低い繊維及び熱接着複合繊維とが混合された繊維集合体を用いることができる。この場合、剛性の高いポリエステル繊維が固形の潤滑剤を削り出す機能を発揮し、剛性の低いナイロン繊維が粉状の潤滑剤を感光ドラムに塗布する機能を発揮するので、微量の潤滑剤を安定して感光ドラムに供給することができる。
【0036】
次に、本発明による繊維ローラの応用例について説明する。図7は本発明によるクリーニングローラ、クリーニングパッド、潤滑剤供給ローラ及びシール部材を具える電子写真式画像形成装置の一例を示す図である。感光ドラム40は帯電装置41により所定の表面電位に帯電される。次に、感光ドラムは、露光位置において画像光により露光されて静電潜像が形成される。この静電潜像は現像装置42により現像され、感光ドラム上にトナー像が形成される。トナー像は転写位置まで移動し、ベルト転写装置43により、同期して搬送されてくる記録紙44上に転写される。転写後、感光ドラムはイレーサ45により除電される。その後、潤滑剤供給装置46により、ステアリン酸亜鉛等の潤滑剤が塗布される。その後、クリーニング装置47によりブレードクリーニングされて残留トナーが除去される。さらに、感光ドラム用のクリーニングローラ48によりクリーニングされて1サイクルが終了する。尚、潤滑剤供給装置46とクリーニング装置47との配置関係については、クリーニング装置47の後段に潤滑剤供給装置46を配置することも可能である。
【0037】
初めに、本発明による繊維ローラを帯電ローラ用のクリーニングローラとして利用する例について説明する。帯電装置41は、バイアス源に接続された帯電ローラ50を有する。帯電ローラ50は感光ドラム40に対して従動回転又は強制駆動回転し、その間にコロナ放電により感光ドラム40を所定の表面電位に帯電する。感光ドラム40の表面はクリーニング装置47によりクリーニングされるが、拭き取られなかったトナーや外添剤等が残留しており、残留トナー等が帯電ローラ50の表面に付着し、フィルミングを起こすおそれがある。そこで、本発明による繊維ローラをクリーニングローラ51として配置する。クリーニングローラ51は、帯電ローラ50に接触して従動回転するように配置する。このように、本発明によるクリーニングローラを帯電ローラに対して接触するように回転自在に配置するだけで、帯電ローラ表面に残留トナーや外添剤等が付着することが防止される。クリーニングローラ51は、外周面側の繊維密度が低く、繊維が円周方向に変位し易いため、優れたクリーニング性能を発揮する。尚、クリーニングローラ51の代わりにクリーニングパッドを用いることも可能である。
【0038】
本発明による繊維ローラは、感光ドラム用のクリーニングローラ48としても利用することができる。
【0039】
本発明による繊維ローラは、現像装置42におけるトナー供給ローラとしても用いることができる。すなわち、本発明による繊維ローラの繊維を導電性の繊維で構成することにより、常時所定量のトナーを感光ドラムに安定して供給することができるトナー供給ローラが実現される。この場合、本発明による繊維ローラは、ローラ外周側の空隙率が高いため、トナー供給を安定して行うことができる。尚、トナー供給ローラとして用いる場合、繊維集合体を構成する繊維の導電率を適正に制御することにより所望の導電率のトナー供給ローラが実現される。
【0040】
ベルト転写装置43にも本発明による繊維ローラをクリーニングローラとして適用することができる。転写ベルト52の表面には、紙粉やトナー等が付着して汚染されるため、紙粉やトナーを除去するため、クリーニングローラ53を圧接するように回転自在に配置し、転写ベルト52に紙粉等が残留するのを防止する。さらに、ベルト転写装置の駆動ローラや従動ローラにもクリーニングローラ54及び55を圧接するように配置し、これらローラに紙粉やトナーが蓄積するのが防止される。尚、クリーニングローラ53、54又は55の代わりに、本発明によるクリーニングパッドを用いることもできる。
【0041】
潤滑剤供給装置46において、本発明による繊維ローラを潤滑剤供給ローラとして用いることができる。本発明による潤滑剤供給ローラは、比較的大きな弾性反発力を有し、空隙率も高いので、感光ドラムへの潤滑剤の供給を安定して行うことが可能になる。
【0042】
次に、本発明をカラー画像形成装置に適用した実施例について説明する。図8は本発明によるカラー画像形成装置の一例を示す線図である。赤、青、黄色及び黒の画像を形成する4つの画像形成ユニット60〜63を配置する。これらの画像形成ユニットは、図面上感光ドラムだけを図示するが、図7に図示した画像形成装置としての各構成要素を有し、それぞれ各色のトナー像を形成する。各画像形成ユニット60〜63により形成されたトナー像は、同期して搬送される一次(中間)転写ベルト64上に重ね合わされて転写される。
【0043】
一次転写ベルト64は、4本のベルト搬送ローラ65〜68と1個のテンションローラ69に張架され、各画像形成ユニットのトナー像の形成タイミングに同期して走行する。一次転写ベルト64上に転写されたトナー像は、二次転写ローラ70により、同期して送られてくる記録紙71上に転写され、ヒートロール定着装置72により定着されて排紙される。転写後、一次転写ベルト64は、潤滑剤供給装置73により潤滑剤が供給され、クリーニング装置74によりブレードクリーニングされ残留トナーや紙粉が除去され、さらに、クリーニングローラ45によりクリーニングされて画像形成工程が終了する。
【0044】
本発明による繊維ローラは、各画像形成ユニット60〜63に用いられるだけでなく、中間転写ベルト装置の各構成部材のクリーニングにも利用することができる。例えば、一次転写ベルト64の表面を清浄にするためのクリーニングローラ75として本発明によるブラシローラを用いることが可能である。また、多数枚コピーすると、ベルト搬送ローラにも紙粉等が付着するため、駆動搬送ローラ65及び従動搬送ローラ66にも本発明のクリーニングローラ76及び77を当接させてクリーニングすることにより、一次転写ベルトを安定して走行させることが可能になる。さらに、潤滑剤供給装置の73の潤滑剤供給ローラとしても使用される。さらに、ヒートロール定着装置72のヒートローラ及び加圧ローラ用のクリーニングローラ78及び79として利用される。尚、ヒートローラ及び加圧ローラは高温であるため、ポリイミド繊維やポリアラミド繊維のような耐熱性の繊維が用いられる。
【0045】
本発明は上述した実施例だけに限定されず種々の変形や変更が可能である。本発明による繊維ローラは、多くの繊維がローラ軸線から放射状に延在するため、高い弾性反発力を有している。この弾性反発力ないしクッション性能を利用してベルト等に対して圧接力を作用させる圧接ローラとして利用することができ、テンションローラとしても利用することも可能である。
【0046】
さらに、本発明による繊維ローラは、高い空隙率を有し、空隙は繊維集合体の内部領域まで連通しているので、各種液体を保持する保持能力を有する。従って、インクジェットプリンタの廃インクを吸収するインク吸収体並びにベルトやローラ等に付着したインクを吸収するインク吸収体としても利用する事ができ、或いは各種部材表面に付着したインクを除去するクリーニングローラとして利用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明による繊維集合体の構造的特徴を示す線図である。
【図2】本発明による繊維集合体の製造工程を説明するための図である。
【図3】本発明によるクリーニングローラの構造的特徴を模式的に示す図である。
【図4】本発明によるクリーニングパッドを具える定着装置の一例を示す線図的断面図である。
【図5】本発明によるシール部材の一例を示す斜視図である。
【図6】本発明による潤滑剤供給ローラの一例を示す線図である。
【図7】本発明による繊維ローラ、クリーニングローラ及びクリーニングパッドが用いられている画像形成装置の一例を示す線図である。
【図8】本発明による繊維ローラ、クリーニングローラ及びクリーニングパッドが用いられている画像形成装置の別の実施例を示す線図である。
【符号の説明】
【0048】
10 シャフト
11,16 繊維集合体
15 クリーニングパッド
17 支持部材
20 トナーシール部材
21 シール面
30 感光ドラム
31 潤滑剤供給ローラ
32 潤滑剤
33 保持部材
48,51,54,55,53 クリーニングローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属のシャフトの外周面が繊維集合体により覆われた繊維ローラにおいて、
前記繊維集合体は、ローラの中心軸線から外方に向けて放射状に延在する繊維を主体的に含む繊維集合体により構成され、繊維集合体の隣接する繊維同士が局所的に結合していることを特徴とする繊維ローラ。
【請求項2】
請求項1に記載の繊維ローラにおいて、前記繊維集合体の繊維密度は、シャフトに近い側が高密度となり、シャフトから離れた外周に近い側が低密度となるように構成されていることを特徴とする繊維ローラ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の繊維ローラにおいて、前記繊維集合体は、ナイロン繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維、ポリトリメチレンテレフタレート繊維、ポリエチレンナフタレート繊維、ポリ乳酸繊維、ポリエチレン繊維、ポリウレタン繊維、ポリプロピレン繊維、アクリル繊維、ビニロン繊維、塩化ビニル繊維、塩化ビニリデン繊維、ポリイミド繊維、ポリアラミド繊維、フッ素樹脂繊維、レーヨン系繊維、アセテート繊維、キュプラ、及びこれら繊維を変性した繊維、絹、羊毛、綿、麻から選択した1種類の繊維又は複数種類の繊維の組み合わせにより構成されていることを特徴とする繊維ローラ。
【請求項4】
請求項3に記載の繊維ローラにおいて、前記繊維集合体は、繊維径、繊維長、剛性、導電率等の物理特性が相違する複数種類の繊維の組み合わせにより構成されていることを特徴とする繊維ローラ。
【請求項5】
金属のシャフトと、シャフトの外周面上に設けたクリーニング部材とを有するクリーニングローラにおいて、
前記クリーニング部材は、ローラの中心軸線から外方に向けて放射状に延在する繊維を主体的に含む繊維集合体により構成され、繊維集合体の繊維密度は、シャフトに近い側が高密度となり、シャフトから離れた外周に近い側が低密度となるように構成され、繊維集合体の隣接する繊維同士が局所的に結合していることを特徴とするクリーニングローラ。
【請求項6】
固形状の潤滑剤と回転部材又は走行部材との間に配置され、固形状の潤滑剤を削り出して回転部材又は走行部材の表面に粉状の潤滑剤を供給する潤滑剤供給ローラであって、
金属のシャフトと、シャフトの外周面に設けた繊維層とを有し、当該繊維層は、ローラの中心軸線から外方に向けて放射状に延在する繊維を主体的に含む繊維集合体により構成され、繊維集合体の繊維密度は、シャフトに近い側が高密度となり、シャフトから離れた外周に近い側が低密度となるように構成され、繊維集合体の隣接する繊維同士が局所的に結合していることを特徴とする潤滑剤供給ローラ。
【請求項7】
ベルト、ローラ又は回転ドラムを含む移動体の表面と接触し、移動体表面に残留する異物を除去するシート状のクリーニングパッドにおいて、
動作中に移動体表面と接触するクリーニング面を有するシート状のクリーニング部材と、クリーニング部材を支持する支持部材とを有し、
前記クリーニング部材は、クリーニング面と直交する方向に延在する繊維を主体的に含む繊維集合体により構成され、繊維集合体の隣接する繊維同士が局所的に結合していることを特徴とするクリーニングパッド。
【請求項8】
感光ドラム、現像ローラ又はクリーニングブレードと当接して現像剤が外部に漏れるのを防止するシール部材であって、
当該シール部材は、動作中に感光ドラム、現像ローラ又はクリーニングブレードと接触するシール面を有する繊維集合体を含み、当該繊維集合体は、シール面と直交する方向に延在する繊維を主体的に含み、繊維集合体の隣接する繊維同士が局所的に結合していることを特徴とするシール部材。
【請求項9】
クリーニングローラ及び潤滑剤供給ローラを含む繊維ローラを製造するに当たり、ウェブの折り畳み構造を有する繊維構造体を、多数の繊維の配列方向と直交する方向に裁断した後、細長いテープ状の繊維集合体を形成するに当たり、繊維集合体の長手方向に対して平行又は直角以外の角度方向に裁断した後、金属のシャフトに巻きつける繊維ローラの製造方法。
【請求項10】
金属のシャフトと、シャフトの外周面を覆う繊維集合体とを有し、当該繊維集合体が、ローラの中心軸線から外方に向けて放射状に延在する繊維を主体的に含む繊維ローラを製造するに当たり、
繊維が主として一方向に配列されたウェッブを製造する工程と、
前記ウェッブを折り畳んで加熱処理を行い、シート状の繊維構造体を製造する工程と、
シート状の繊維構造体を、そのシート面に平行な面で裁断して、シート面に対して直交する方向に延在する繊維を主体的に含む繊維集合体を製造する工程と、
前記繊維集合体を、その長手方向に対して平行及び直角以外の斜めの角度で切り出してテープ状の繊維集合体を形成する工程と、
テープ状の繊維集合体を、接着剤を介して金属のシャフトの外周面に巻回する工程とを有することを特徴とする繊維ローラの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−37012(P2009−37012A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−201472(P2007−201472)
【出願日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【出願人】(302011711)帝人ファイバー株式会社 (1,101)
【出願人】(000229863)アンビック株式会社 (35)
【出願人】(000150774)株式会社槌屋 (56)
【Fターム(参考)】