説明

繊維不織ウェブの製造方法

【課題】嵩高さと一様性を有し、圧縮された時に良好な回復を示す、繊維不織ウェブを提供する。
【解決手段】本発明は、a)コレクター間の空間を画定する平行の分離された面を有し、かつ、両方が繊維の流れの進行方向に動く、短い距離を離して配置されている2つの平行コレクターの方へ押出装置から繊維の流れを押し出す工程と、b)繊維流れがコレクターに達する前に少なくとも15%の捲縮を有し、かつ、直接形成繊維の重量の少なくとも5%の量で存在する捲縮ステープルファイバーを押し出された繊維の流れの中へ導入する工程と、c)前記コレクター間の空間に繊維を集めて押し出された繊維がウェブを形成する工程と、を含む、繊維不織ウェブの製造方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、C形状構造(ウェブが縦垂直断面で見られた時にC形状)に配置された繊維を含む繊維不織ウェブに関する。
【背景技術】
【0002】
先行技術研究者は、優れた防音および断熱ウェブを生み出すために微細繊維を使用し、細径の微細繊維の大きな表面積に関連した絶縁効果を巧みに利用してきた。ステープルファイバーは、この先行研究で微細繊維とブレンドされ、それによって微細繊維の効果を高め、ウェブの絶縁特性を改善してきた(例えば、特許文献1および特許文献2を参照されたい)。先行技術の微細繊維ベース絶縁ウェブは、重要な商業容認および商業価値を開拓してきたが、改善は絶えず求められており、本発明は、下に議論されるようにこれらのウェブの進歩―例えば、絶縁特性の改善―を可能にする。
【0003】
本発明はまた、何年も前に、今まさに記載される絶縁ウェブの開発前にさえ、最初に開発された別の不織ウェブ技術の進歩でもある(特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7、および特許文献8を参照されたい(すべて1966年に元々出願された一連の特許出願から発行された))。この技術は、押出オリフィスから出る材料の通路に配置された2つの離して配置された逆回転するロールよりなるコレクターでのスプレー紡糸フィラメント材料の収集を伴った。ロール間のギャップはかなりのものであり、スプレー紡糸フィラメント材料の一部のみがロール表面上に直接堆積した。フィラメント材料の残りは、ロール表面上に堆積した材料の層間をランダムに行ったり来たり交差して層を一緒に連結する橋架け構造を形成した。
【0004】
この先行技術開発の目的は、ウェブの対面のそれぞれが高密度化層よりなり、それらの高密度化表面層が表面層間の空間を橋架けする繊維成分で構成された一体形成芯によって連結されている、不織繊維構造物を提供することであった。前記技術の特定の使用は、集められたウェブを表面層間におよびそれと平行に縦に分割することによって形成されたパイル様布を提供することであった。繊維が粘着性である間に平滑表面の中空でない(多孔性でない)ロール上に望ましくは集められた濃密な表面層は、布用のバッキングとして役立ち、表面層間の切断橋架け構造物は「パイル」、または直立した繊維部分になった。代表的な例では、繊維は約24マイクロメートルの直径を有した。
【0005】
記載された収集ウェブの端から端まで縦垂直断面で観察された時、繊維はC形状構造を示した。代表的な個々の繊維のセグメントは、ウェブの面に一般に直角または垂直であるように配置され(このセグメントは「C」の垂直部分を形成した)、直角セグメントに連結された繊維の他のセグメントはウェブの面内に置かれていた(「C」のアーム)。また、C形状は互いに別個であった。すなわち、繊維は、そのそれぞれがC形状構造を有する、シートまたはサブアセンブリ中へ集められた。別個のC形状シートまたはサブアセンブリはウェブの流れ方向に離して配置された。すなわち、隣接するC形状サブアセンブリのアームは重なり合い、ウェブの面を形成したが、Cの横断部分は離して配置され、こうして集められたウェブ内に大きなチャネルまたは空隙を残し、それらはウェブの全高さをほとんど占め、ウェブの全幅にわたって伸びるように見えた。
【0006】
C形状構造にある繊維の別の先行技術使用は、1978〜79年における日本国での原出願をベースとする、1983〜84年に米国で発行された一連の特許(特許文献9、特許文献10、および特許文献11)に見いだされる。これらの特許は、2つの分離された多孔性プレートまたはローラーの間の「谷形状」ゾーンでのメルトブローン繊維の収集を教示している。集められたウェブはかなりコンパクトである(圧縮は常に必要であるわけでないと述べられているが、プレートの1つはしばしば圧搾板と言われる)。集められたウェブにとって好ましい用途は合成皮革としてであるように思われ、他の記載された用途は電気絶縁体、電池セパレーター、フィルター、およびカーペットである。
【0007】
2000年11月に公開された、より最近の特許公開(特許文献12)もまた、C形状構造に集められた繊維のウェブを教示している。集められた繊維は、折り重ねられてループを形成し、前記ループは「クロス方向にエッジからエッジまで走り、かつ、z方向に伸びる、流れ方向に沿って間隔を置いて配置された一連の波」(ウェブの厚さの端から端まで)を形成すると言われている。大きなチャネルまたは空隙は、ウェブの全幅の至る所を走っているように描写される。溶融紡糸ウェブかメルトブローンウェブかのどちらかが考えられており、メルトブローンウェブはウェブの「共形状(coform)」タイプであってもよく、後者は、綿、亜麻、絹またはジュートとして例示される、パルプ、超吸収性粒子、セルロースまたはステープルファイバーのような他の材料を含有するとして(特許文献13)を参照して記載されている。
【0008】
我々はこれらの先行技術教示に由来したいかなる商業製品も知らないが、先行技術の高密度化、コンパクト化、またはチャネル化ウェブは、特許に記載されたような特定の用途に適合するかもしれない。
【特許文献1】米国特許第4,118,531号明細書
【特許文献2】米国特許第5,298,694号明細書
【特許文献3】米国特許第3,607,588号明細書
【特許文献4】米国特許第3,676,239号明細書
【特許文献5】米国特許第3,738,884号明細書
【特許文献6】米国特許第3,740,302号明細書
【特許文献7】米国特許第3,819,452号明細書
【特許文献8】英国特許第1,190,639号明細書
【特許文献9】米国特許第4,375,446号明細書
【特許文献10】米国特許第4,409,282号明細書
【特許文献11】米国特許第4,434,205号明細書
【特許文献12】国際公開第00/66824号パンフレット
【特許文献13】米国特許第4,818,464号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、簡単にまとめると、ウェブに嵩高さおよび一様性を与えるためにC形状構造でウェブ内に配置された直接形成繊維と、ウェブ内に分散された捲縮ステープルファイバーとの集塊を含む新たな繊維不織ウェブを提供する。
【0010】
「直接形成繊維」とは、本質的に一操作で、例えば、繊維形成液体、例えば、溶融または溶解されたポリマー、ガラスなどから繊維を押し出し、押し出された繊維をウェブとして集めることによって形成され、ウェブとして集められた繊維を意味する。かかる方法は、例えば、押し出された繊維がウェブへ組み立てられる前にそれらがステープルファイバーへ切り刻まれる方法とは対照的である。スパンボンド繊維をはじめとするメルトブローン繊維および溶融紡糸繊維ならびに2002年7月18日に公開された国際公開第02/055782号パンフレットに記載されている方法で製造されウェブに集められる繊維は、本発明に有用な直接形成繊維の例である。
【0011】
「C形状構造」とは、ウェブが垂直の縦断面で見られる時に、代表的な個々の直接形成繊維がa)ウェブの面に対して横にウェブ内に配置されているセグメント(このセグメントは「C」の垂直部分を形成する)と、b)横セグメントに連結され、ウェブの対面に実質的に平行であり、ウェブの「流れ方向」(ウェブが形成中に移動した方向)と反対の方向に横セグメントから伸びている他のセグメント(「C」のアーム)とを含むと見えるように繊維がウェブ中に組み立てられているまたは組織化されていることを意味する。横セグメントは、真っ直ぐであるまたはウェブの面(「ウェブの面」は直接形成繊維の集塊の2つの大きなエリアの外面を意味する)に垂直である必要はないが、さらに説明されるように、ウェブ面の方へ傾斜しているまたはある角度で向けられている部分を有することができる。また、ウェブ面近くの部分も該面と完全にまたは正確に平行である必要はないが、平行に近づくことができる。一般に、面に直角である部分と面に平行である部分との間で繊維の方向になだらかな変化がある。また、直接形成繊維のすべてがC形状配置である必要もなく、代わりに繊維の一部または繊維の幾らかはランダムの多方向パターンに配置されてもよく、かかるパターンは有益な連続性および等方性をウェブに与えるかもしれない。
【0012】
捲縮ステープルファイバーがC形状構造の直接形成繊維間に分散されて、望ましい嵩高さおよび一様性が得られることが分かった。異なる程度の嵩高さは、本発明のウェブの特定用途に望まれるように生み出されてもよい。例えば、ほとんどの場合、ウェブは20以上の充填率(ウェブの繊維を形成している材料の体積で割ったウェブにより占められた体積の比)を有するであろう。しかし、はるかにより高い充填率を得ることができる。特定の利点は、充填率が50以上である時に現れ、75もしくは100の充填率は容易に達成され、好ましいウェブでは、我々は150もしくは200またはそれ以上を達成した。
【0013】
また、C形状構造の繊維の先行技術ウェブは大きな空隙を含有したように思われるが、本発明のウェブはかかるマクロ空隙(ウェブの厚さの少なくとも半分である垂直寸法を有し(すなわち、ウェブの厚さ中に)、ウェブの幅の少なくとも主要部分を通って伸びる空隙)なしであることができ、本発明の好ましいウェブは本質的にかかるマクロ空隙なしであり、より好ましくは、本発明のウェブは、本質的に、ウェブが厚さ1〜10センチメートルである時に、ウェブ厚さの1/4の垂直寸法の空隙なしであり、ウェブの幅のマイナー部分であるにすぎない長さを有する。かかる大きな空隙の代わりに、本発明のウェブは、実施例に関連して本明細書に記載される光透過率ベースの画像解析技術によって実証することができる、繊維構造の望ましい連続性を有することができる。この画像解析技術では、本発明のウェブは好ましくは約2%以下、より好ましくは約1%以下、そして最良のウェブについては0.5%以下の透過率変化を有する。
【0014】
本発明のウェブの嵩高い特性は非常に長続きすることができ、この長続きする特性は、繊維交差のポイントで繊維間を接合して(接合はすべての繊維交差点で起こる必要はない)ウェブ内に耐圧縮性マトリックスを得ることによって高められる。直接形成繊維が接合されてもよいし、またはステープルファイバーが接合されてもよいし、または両方が接合されてもよい。好ましくは、ウェブは自動的に接合される(加えられたバインダー材料またはエンボス圧力の助けなしの接合)。
【0015】
本発明のウェブは好ましくは圧縮された時に良好な回復を示す。しかしながら、圧縮回復は重要であるが、本発明のウェブが絶縁されつつある空間中へ押し込まれる、およびその空間を完全に占有することが可能であるように、圧縮性もまた有用であり得る。
【0016】
本発明のウェブは、2つの平行のコレクター(繊維流れからウェブを集めるためにそれらだけで用いられるような)が短い距離を離して配置され、繊維がコレクターの間に集められるデュアル−コレクター配置を用いて製造することができる。コレクターは、コレクター間の空間を画定し、かつ、集められたウェブの境界を定めるコレクターの平行の分離された面が両方とも繊維流れの進行方向に動いているように回転または移動する。捲縮ステープルファイバーは、集められたウェブ中へそれらをランダムに、十分に分散されるようにする力で直接形成繊維の流れ中へ導入される。
【0017】
ユニークな絶縁特性をはじめとするユニークな特性が該ウェブで得られることが分かった。例えば、先行技術の防音ウェブと同じ組成を有する−すなわち、先行技術ウェブと同じサイズおよび同じ量の同じ繊維よりなる−本発明の防音ウェブは、先行技術ウェブよりも多くの音響エネルギーを吸収することができる。絶縁性能のかかる改善は、ウェブの有用性を増大させる。さらに、本発明の絶縁(または他の)ウェブは、より有用な形で、例えば、ある種の絶縁ニーズにより良く適合した、大きな厚さをはじめとする厚さの取り合わせで提供することができる。
【0018】
全体として、本発明は、不織布工業の様々な前進を可能にする、新たなウェブ形成方法および技術を提供する。一例は、今可能であるよりも大きな厚さおよび基本重量での連続スパンボンドまたは溶融紡糸繊維からのウェブの形成である。かかるウェブの厚さおよび基本重量を増大させようとする現行の試みは成功していなかった。なぜならば、収集面上に集められた第1の層が空気の通過に対する障壁として働き、その結果、繊維の追加された層が収集面から斜めに伸びるまたはそれから離れる傾向があるからである。同様な影響は、濃密な空気遮断層に集まる細径の微細繊維で起こり得る。本発明によって、嵩高いウェブ構造物は、最初に堆積された層が次の繊維収集を制限する障壁にならないように集められ、製造されたウェブは、特にウェブ中の繊維が自己接合を受ける時に、嵩高さ特性を良好に保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の不織繊維ウェブを形成するのに有用な装置の略全体図である。
【図1a】本発明の代表的な不織繊維ウェブの略断面図である。
【図1b】本発明の代表的な不織繊維ウェブの略断面図である。
【図1c】本発明の代表的な不織繊維ウェブの略断面図である。
【図2】本発明の不織繊維ウェブを形成するための別の装置の略全体図である。
【図2a】図2に示される構造の一部の拡大図である。
【図3】示されていないチャンバのための取付け手段と一緒の、図2の装置で用いられる加工チャンバの拡大側面図である。
【図4】取付け装置および他の関連装置と一緒の図3に示される加工チャンバの部分略平面図である。
【図5】本発明の不織繊維ウェブを形成するための別の装置の略全体図である。
【図6a】本発明を実施するのに有用な代表的捲縮ステープルファイバーの略側面図である。
【図6b】本発明を実施するのに有用な代表的捲縮ステープルファイバーの略側面図である。
【図6c】本発明を実施するのに有用な代表的捲縮ステープルファイバーの略側面図である。
【図7】本発明の試料ウェブの拡大写真である。
【図8】ウェブを特徴づけるための画像解析技術を行いながら作成された画像であり、本発明のウェブを示す。
【図9】ウェブを特徴づけるための画像解析技術を行いながら作成された画像であり、先行技術特性を表すウェブを示す。
【図10】著名な画像解析技術からの結果をプロットするグラフである。
【図11】本発明のウェブおよび比較ウェブについて標準発生吸音係数対周波数の値をプロットするグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図面の図1は、メルトブローン微細繊維から本発明のウェブを製造するのに有用な例示装置を示す。例示装置の微細繊維ブロー部分は、例えば、インダストリアル・エンジニアリング・ケミストリー(Industrial Engineering Chemistry)、48(1956)、1342ページ以下参照中の、ウェンテ、ファン エイ.(Wente,Van A.)著「超微細熱可塑性繊維(Superfine Thermoplastic Fibers)」に、またはウェンテ、ブイ.エイ.(Wente,V.A.)、ブーン、シー.ディ.(Boone,C.D.)およびフルハーティ、イー.エル.(Fluharty,E.L.)による「超微細有機繊維の製造(Manufacture of Superfine Organic Fibers)」という表題の、1954年5月25日に刊行された海軍研究所(Navel Research Laboratories)の報告書No.4364に教示されているような通常の構造であり得る。かかる構造は、それを通って液化繊維形成材料が前進させられ押出チャンバ11を有するダイ10と、ダイの前方末端を横切るラインに配置され、それを通して繊維形成材料が押し出されるダイオリフィス12と、それを通ってガス、典型的には加熱空気が非常に高速で強引に通される協力ガスオリフィスとを含む。高速ガス流れは、押し出された繊維形成材料を引き伸ばし細かくし、その結果、繊維形成材料は凝固し(様々な程度のソリディティに)、次に記載されるコレクター15への進行中に微細繊維の流れ14を形成する。
【0021】
捲縮ステープルファイバー16は、この例示ケースでは微細繊維ブロー装置の上方に配置されている、図1の例示装置24によってブローン微細繊維の流れ中へ導入される。ステープルファイバーのウェブ、典型的には、ガーネット機または「ランド−ウェバー(Rando−Webber)」で製造されたようなゆるい不織ウェブは、先端がリッカインロール17と噛み合っている駆動ロール19の下方のテーブル18に沿って押し進められる。リッカインロールは、矢印の方向に回転し、ステープルファイバー16のウェブの先端から繊維を摘み取り、ステープルファイバーを互いに分離する。摘み取られたステープルファイバーは、傾斜したトラフまたはダクト20を通ってブローン微細繊維の流れ14中へ入る空気流21で搬送され、トラフまたはダクト20でそれらはブローン微細繊維と混合される。
【0022】
微細繊維と捲縮ステープルファイバーとの混合流れ22は次にコレクター15へと続き、そこで繊維は相互混合したおよび絡み合った繊維のウェブ23として集まる。コレクターはギャップ27で分離され、かつ、それらの対向するウェブ噛み合わせ表面が両方とも流れ22および集められたウェブ23の方向に動いているように、逆方向に回転している2つの多孔性ローラー25および26を含む。流れ22は、例えば、流れの束縛の欠如のために、およびコレクターの物理的存在によって生み出される流れに対する抵抗によって、それがコレクターに達したときに広がる。それがコレクター15に達した時の流れ22の高さ28はギャップ27よりも一般に大きい。分離されたコレクターローラー25および26にそれを噛み合わせる高さまで流れ22が広がることを確実にするために、必要ならば、(運転のスタートアップ中だけに限り)障害物がギャップ27内に置かれてもよい。
【0023】
ウェブ23中の繊維の一般的な組織化は、図1a、1bおよび1cに示される多くの代わりの可能な配置の3つによって例示される。(描画およびイラストの都合上)概略でおよび単純化し過ぎたやり方でそこに示されるように、繊維は、縦方向(または流れ方向)に垂直の(すなわち、ウェブの厚さを通って横に)断面で見られた時にC形状構造を有する。繊維30は、単一メルトブローン微細繊維またはその一部を表す(メルトブローン微細繊維は不連続であると言われるが、それらは典型的には非常に長く、だからライン30は典型的には単繊維の一部を表すにすぎず、議論の容易さのために、ライン30は本明細書では繊維と言われる)。(数字30は先行技術に示されるような繊維のシート様サブアセンブリを表さず、むしろ図面におけるC形状曲線はウェブの全体パターンを単に表し、直接形成繊維の一般形状を例示するのに用いられ、ラインはそれらがウェブのパターンを単に表すことを強調するために破線である。)繊維30の中央セグメントまたは長さ30aは、ウェブの面32および33に直角であり、部分30aに連結した他の末端セグメントまたは長さ30bおよび30cは、ウェブの面に平行であり、典型的にはウェブの表面エッジ部分内にある。典型的には、セグメント30bおよび30cのようなセグメントはウェブの面を形成する。
【0024】
図1aで、中央セグメント30aは、ウェブの面におおよそ垂直である大きな広さで示されている。すなわち、典型的であるように、中央セグメント30aは曲線に曲がっているが、該曲線は緩やかであり、面に対して90度に近い角度を形成し、ほぼ全部の中央セグメントは面に対して60度以上の角度を形成する。かかる垂直および成角、例えば、好ましくは少なくとも45度、より好ましくは少なくとも60度は、それが圧縮下にウェブの弾力性を改善するので望ましい。
【0025】
図1bは、個々の代表的な繊維35がより浅いまたは圧縮されたC形状構造を有する、異なる配置を示す。かかる構造は、ギャップ27が大きいおよび/または流れ22がコレクター15に達した時にその速度が大きい場合に生じ得る。中央セグメント35aは浅いまたは圧縮されており、その部分は、それらの長さのほとんどにわたって面と45度未満、例えば、約30度の角度を形成する。かかる構造は、一般にはそれほど望ましくはないが、幾つかの目的には依然として有用であり、本明細書では面に直角であると見なされる。
【0026】
図1cに例示される配置は、流れの中心軸が収集ローラー25と26との間のギャップ27の中心から外れている時に生じ得る。かかる歪みC形状構造はウェブの厚さの至る所で異なるウェブ密度を有するウェブを生み出すことができ、それによって、例えば、ウェブを通る通気抵抗は、改善された防音および断熱性能のために変わる。
【0027】
厳密な検査の下で、微細繊維と捲縮ステープルファイバーとは十分に混合されていることが通常分かり、例えば、ウェブは通常ステープルファイバーの塊、すなわち、捲縮フィラメントの多末端トウの切り刻まれた部分が分離されなかった場合に、またはステープルファイバーが微細繊維流れ中への導入前に一緒に球状にされた場合に得られるであろうような、多くのステープルファイバーの直径でセンチメートル以上の集合物なしである。直接形成繊維中へのステープルファイバーのブレンディングは、直接形成繊維がコレクターに達する前にそれらのいかなる早すぎる絡み合いも制限し、こうしてより大きな均一性を製品に与えるという効果を有する。また、包含されたステープルファイバーによる直接形成繊維の分離は、直接形成繊維が互いに関して滑るいかなる傾向をも制限し、それによってウェブが圧縮された時にウェブの永久変形を可能にする。(図1a〜1cではステープルファイバーはより短いより暗いラインで表され、ステープルファイバーはウェブの厚さよりも大きな長さをはじめとする様々な長さを有することができるので、この表現は概略的であるにすぎず、ステープルファイバーは典型的には捲縮しており、それはこれらの図では例示されておらず、そしてステープルファイバーは典型的にはランダムに分散されているが、それらはまた、直接形成繊維のC形状構造に従ったある整列を生み出すこともできる。)
【0028】
図1に例示されるように、本発明のウェブは、コレクターローラー間のギャップ27よりも厚いものである得るし、多くの場合それよりも厚い。ウェブは、それがローラー25と26との間にある時はギャップ27の厚さ内であるが、その復元力は、それがコレクターを通過した後にそれを厚さで拡大させることができる。コレクターを通過した後で、ウェブ23は様々な方法で加工してもよい、例えば、ウェブをアニールするまたは接合するためにオーブンを通過させても、仕上剤または結合剤ような添加剤を吹き付けても、カレンダー加工しても、サイズまたは特別な形状に切断してもよい。多くの場合ウェブは保管ロールへ巻き取られ、本発明の利点は、ロールから解かれた時にウェブがその厚さのかなりの部分を保持するまたは回復するであろうことである。
【0029】
図1はコレクター15を2つのローラーを含むとして示しているが、他の収集装置もまた用いることができる。例えば、コレクターベルトはローラーの1つに巻き付けられ、コレクター表面として機能してもよい。かかるベルトはまた、集められたウェブをコレクターから他の加工装置へ運ぶこともできる。収集ベルトと一緒にローラー25および26の1つのようなローラーを含むコレクターが望ましい組合せである。ガス除去装置、例えば、ローラー25用の真空チャンバ38a、38b、および38cならびにローラー26用の39a、39b、および39cで表される真空装置が収集面上へ堆積された繊維の流れから空気または他のガスを除去するのを助けるために収集面の後ろに望ましくは配置される。複数の真空チャンバを用いることによって堆積をさらに制御することができる。
【0030】
図2〜4は本発明のウェブを製造することができる別の装置を示す。この装置では直接形成繊維は本質的に連続であることができるが、図1の装置で製造されたメルトブローン繊維は一般に不連続と見なされる。図2〜4に示されるような装置は、参照により本明細書に援用される、2002年7月18に公開された、公開PCT特許出願国際公開第02/055782号パンフレットにより十分に記載されている。図2〜4の装置は、簡単にまとめると、その少なくとも1つは他の壁の方へ、および他の壁から離れて瞬時に移動可能であり、好ましくは両壁が互いの方へおよび互いから離れて瞬時に移動可能である2つの平行壁によって画定される加工チャンバを通って繊維形成材料の押し出されたフィラメントが導かれるユニークな繊維形成法の実施を可能にする。「瞬時に移動可能な」とは、繊維形成工程が本質的に途切れない、例えば、工程を停止するおよび再開する必要がないほど十分に速く移動が起こることを意味する。例えば、不織ウェブが集められつつある場合、ウェブの収集はコレクターを停止することなく続けることができ、実質的に一様なウェブか集められる。
【0031】
壁は様々な移動手段によって動かすことができる。一実施形態では、少なくとも1つの移動可能な壁は他の壁の方へ弾性的に偏っており、チャンバ内流体圧力とバイアス力との間に動的平衡を確立するバイアス力が選択される。従って、壁はチャンバ内圧力の増加に応答して他の壁から離れるように動くことができるが、それはチャンバ内の元の圧力を回復するとバイアス力によって速やかに平衡位置に戻る。押し出されたフィラメント材料が壁にくっついてまたは蓄積してチャンバ中に増加した圧力をもたらす場合、少なくとも1つの壁は、他の壁から離れるように速やかに動いて蓄積した押出物を放出することができ、その結果、圧力は急速に低下し、移動可能な壁はその元の位置に戻る。壁の移動の間に工程の運転パラメーターのある暫時の変化は起こってもよいが、工程の何の停止も起こらず、代わりに繊維は形成され、集め続けられる。
【0032】
異なる実施形態では、移動手段は、壁を、チャンバ空間を画定するその元の位置と、他の壁からさらに離れた第2の位置との間で速やかに振動させるオシレータである。振動は速やかに起こり、繊維形成工程の何の中断も本質的にもたらさず、チャンバを閉塞し得る加工チャンバ中に蓄積されたいかなる押出物も壁の広がりによって放出される。
【0033】
図2に例示される装置では、繊維形成材料(この例示装置では、繊維形成材料をホッパー41中へ導入し、材料を押出機42で溶融し、溶融した材料をポンプ43によって押出ヘッド40中へポンプ送液することによって)押出ヘッド40に運ばれる。ペレットまたは他の微粒子形状の固体ポリマー材料が最も一般に使用され、液体(ポンプ送液可能な状態)に溶融されるが、ポリマー溶液のような他の繊維形成液体もまた使用することができる。
【0034】
押出ヘッド40は、規則的なパターンに、例えば、直線の列に配置された多数のオリフィスを一般に含む通常の紡糸口金または紡糸パックであってもよい。繊維形成液体のフィラメント45は押出ヘッドから押し出され、加工チャンバまたはアテニュエーター46に搬送される。押し出されたフィラメント45がアテニュエーター46に達する前に移動する距離47は、それらが曝される条件に応じて変わり得る。典型的には、空気または他のガスの急冷流れ48は、押し出されたフィラメントに通常の方法および装置によって与えられて押し出されたフィラメント45の温度を低下させる。あるいはまた、空気または他のガスの流れは繊維の延伸を容易にするために加熱されてもよい。空気(または他の流体)の1つ以上の流れ(例えば、押出中に放出された望ましくないガス状物質または蒸気を除去するかもしれない、フィラメント流れに対して横に吹き付けられる第1空気流48aと、主要な所望の温度低下を達成する第2急冷空気流48b)があってもよい。使用中の方法または所望の最終製品の形に依存して、急冷空気は、押し出されたフィラメント45がアテニュエーター46に達する前にそれらを凝固させるのに十分であってもよい。他の場合では、押し出されたフィラメントは、それらがアテニュエーターに入る時に依然として柔らかいまたは溶融した状態にある。あるいはまた、何の急冷流れも使用されず、かかる場合、押出ヘッド40とアテニュエーター46との間の周囲空気または他の流体は、押し出されたフィラメントがアテニュエーターに入る前にそれらにおける任意の変化のための媒体であってもよい。
【0035】
図2のアテニュエーション装置は図3および4にさらに例示される。図3は、それらの間で加工チャンバ54を画定するように分離された2つの移動可能な半分または側面46aおよび46bを含む代表的なアテニュエーター46の拡大側面図であり、側面46aおよび46bの対向面がチャンバの壁を形成する。図4は、代表的なアテニュエーター46とその取付けおよび支持構造の幾つかとを示す、異なるスケールでのやや概略の平面図である。図4の平面図から分かるように、加工またはアテニュエーション・チャンバ54は、加工中のフィラメントの数に依存して変わり得る、横の長さ55(アテニュエーターを通るフィラメントの進行路に直角の)を有する、一般に伸びたスロットである。
【0036】
2つの半分または側面として存在するけれども、アテニュエーター46は、1つの単位装置として機能し、その組合せ形で先ず議論される。図3に最も良く示されるように、代表的なアテニュエーター46は、アテニュエーション・チャンバ54の入口空間または喉54aを画定する、斜めの入口壁57を含む。入口壁57は、押し出されたフィラメント45を運ぶ空気流の入場を円滑にするために入口エッジまたは表面57aで好ましくは曲線に曲がっている。壁57は、主本体部分58に取り付けられており、本体部分58と壁57との間のギャップ60を構築するためにくぼんだ領域59を備えてもよい。空気は、導管61を通してギャップ60中へ導入されてもよく、アテニュエーターを移動するフィラメントの速度を上げ、かつ、フィラメントへのさらなる急冷効果をも有するエアナイフ(矢印62で表される)を生み出す。アテニュエーター本体58は、エアナイフ62から通路54中への空気の通過を円滑にするために58aで好ましくは曲線に曲がっている。アテニュエーター本体の表面58bの角度(α)は、エアナイフがアテニュエーターを通過するフィラメントの流れに激突する所望の角度を決定するために選択することができる。チャンバの入口近くにある代わりに、エアナイフはチャンバのもっと内部に配置されてもよい。
【0037】
アテニュエーション・チャンバ54は、アテニュエーターの端から端までその縦長さ(アテニュエーター・チャンバの端から端まで縦軸56に沿った寸法は軸長さと呼ばれる)にわたって一様なギャップ幅(図3のページで2つのアテニュエーター側面間の水平距離63が本明細書ではギャップ幅と呼ばれる)を有してもよい。あるいはまた、図3に例示されるように、ギャップ幅はアテニュエーター・チャンバの長さに沿って変わってもよい。すべてのこれらの場合に、厳密な平行からの偏差は比較的わずかであるので、アテニュエーション・チャンバを画定する壁は本明細書では平行と見なされる。
【0038】
図4に例示されるように、代表的なアテニュエーター46の2つの側面46aおよび46bは、棒69上を滑るリニアベアリング68に取り付けられた取付けブロック67によってそれぞれ支持されている。ベアリング68は、棒の周りに放射状に配置されたボールベアリングの軸線方向に延在する列のような手段によって棒上を低摩擦移動し、それによって側面46aおよび46bは互いの方へおよび互いから離れて容易に動くことができる。取付けブロック67は、それを通って供給パイプ71からの空気が導管61およびエアナイフ62に分配されるアテニュエーター本体58およびハウジング70に取り付けられる。
【0039】
この例示実施形態では、エアシリンダー73aおよび73bは、それぞれ、連結棒74によってアテニュエーター側面46aおよび46bに連結され、アテニュエーター側面46aおよび46bを互いの方へ押す締力を加える。締力は、アテニュエーション・チャンバ54内に存在する圧力とバランスするように他の運転パラメーターと関連して選ばれる。言い換えると、締力と、アテニュエーター内のガス圧の結果としてアテニュエーター側面を押して離すべくアテニュエーション・チャンバ内で作動する力とは好ましい運転条件下ではバランスまたは平衡にある。アテニュエーター部分がそれらの確立された平衡または定常状態位置にとどまり、アテニュエーション・チャンバまたは通路54がその確立された平衡または定常状態ギャップ幅にとどまっている間に、フィラメント材料は押し出され、アテニュエーターを通過させられ、完成繊維として集められ得る。
【0040】
図2〜4に例示される代表的な装置の運転の間ずっと、アテニュエーター側面またはチャンバ壁の動きは、システムの摂動がある時だけ一般に起こる。かかる摂動は、加工中のフィラメントが破壊したまたは別のフィラメントもしくは繊維ともつれた時に起こるかもしれない。例えば、押出ヘッドから来るフィラメントの前端またはもつれは拡大されてチャンバ54の局部的閉塞を引き起こすので、かかる破壊またはもつれは、アテニュエーション・チャンバ54内圧力の増加をしばしば伴う。増加した圧力は、アテニュエーター側面またはチャンバ壁46aおよび46bを互いに離すように強いるのに十分であり得る。チャンバ壁がこの動きをすると、入って来るフィラメントの端またはもつれはアテニュエーターを通過することができ、その結果、アテニュエーション・チャンバ54中圧力は摂動前のその定常状態値に戻り、エアシリンダー73によって加えられた締圧は、アテニュエーション側面をそれらの定常状態位置に戻す。
【0041】
スプリング、弾性材料の変形、またはカムのような、エアシリンダー以外の締め手段が用いられてもよいが、エアシリンダーは所望の制御および可変性を提供する。本発明の別の有用な装置では、アテニュエーター側面またはチャンバ壁の1つまたは両方は、例えば、サーボ機構を用いる振動または超音波駆動装置によって、振動パターンで駆動される。振動速度は、例えば、少なくとも5,000サイクル毎分〜60,000サイクル毎秒の速度を含む広範囲内で変わることができる。さらに別の変形では、壁を引き離すためのおよびそれらをそれらの定常状態位置に戻すための両方の移動手段は、単に加工チャンバ内の流体圧力とチャンバ壁の外側に作用する周囲圧力との差の形態を取る。
【0042】
要するに、瞬時に移動可能であることおよびある場合には「軽やかに動くこと」に加えて、加工チャンバの壁はまた、それらを所望の方向に動かすための手段の影響も一般に受やすい。壁は、壁の所望の動きをもたらすための手段と、例えば、物理的にまたは操作上、一般に連結されていると考えることができる。移動手段は、移動可能なチャンバ壁の意図された動き−例えば、繊維形成工程における摂動を防ぐまたは軽減するための別個の動き、および、例えば、定常状態運転を確立するまたはチャンバを定常状態運転に戻すためのバランスのとれた動き−をもたらす加工チャンバもしくは関連装置、もしくは運転条件、またはそれらの組合せのいかなる機構であってもよい。
【0043】
記載されたような移動可能な壁のアテニュエーターの使用は有利であり得るが、本発明はまた、固定された壁のアテニュエーターを用いて実施することもできる。壁が固定されていようと移動可能であろうと、集められた繊維、例えばアテニュエーター46を通過するフィラメント45は一般に、孤立したとぎれのみがあって、事実上連続である。本明細書での目的のためには、図2〜4に示されるような装置で製造された繊維は、壁が固定されていようとそうでなかろうと、「溶融紡糸」繊維と呼ばれる。本発明の利点は、かかる連続の溶融紡糸繊維を厚い恒久的に嵩高いウェブに集めることができることである。
【0044】
かなり頻繁に、アテニュエーターを通過した溶融紡糸繊維は分子配向している、すなわち、繊維は、繊維の縦方向に整列し、当該整列にロックされている(すなわち、例えば、分子が整列している間に繊維を冷却することによって当該整列に熱的に捕捉されている)分子を含む。スパンボンドウェブ中の繊維は一般にこのタイプのものである。配向した繊維を厚いウェブとして集めることは困難であるので、スパンボンドウェブは一般にかなり薄い。しかし本発明は、ウェブが厚くて嵩高いものであり、かつ、圧力に曝された時に嵩高さを良好に保持するのを可能にするC形状断面構造の分子配向した直接形成繊維のウェブを提供する。強度、可能な微細繊維の存在、嵩高さまたは低ソリディティ、厚さおよび耐圧縮性のそれらの組合せを持った、かかるウェブは新奇でユニークなものと見なされる。
【0045】
図2〜4に例示されるような装置で製造された直接形成繊維はまた、ユニークな接合性という利点をも有する。すなわち、選択された接合操作中に軟化特性で互いに異なる縦セグメントを与えるようにそれらの長さにわたってモルフォロジが異なる繊維を該装置で製造することができる(かかる繊維は、参照により本明細書に援用される、2002年5月20日に出願された米国特許出願第10/151,782号明細書に詳細に記載されている)。これらの縦セグメントの幾つかは接合操作の条件下で軟化する、すなわち、選択された接合操作中に活性であり、ウェブの他の繊維に接合される状態になり、セグメントの他は接合操作中に不活性である。「一様な直径」とは、繊維が、その長さ内にモルフォロジに変化があり得る、および典型的には変動があるかなりの長さ(すなわち、5センチメートル以上)にわたって同じ直径(10パーセント以下だけ変わる)を本質的に有することを意味する。好ましくは、活性な縦セグメントは有用な接合条件下に、例えば、ウェブを自己接合できるほど十分に低い温度で十分に軟化する。
【0046】
繊維の長さに沿ったモルフォロジの変化に加えて、本発明の繊維ウェブの繊維間にもモルフォロジの変化があり得る。例えば、幾つかの繊維は、乱流分野でより少ない配向を経験することの結果として他よりも長い直径のものであり得る。より大きな直径の繊維はあまり規則正しくないモルフォロジをしばしば有し、より高度に整備されたモルフォロジをしばしば有するより小さな直径の繊維とは異なる程度に接合操作に関与する(接合操作で活性である)かもしれない。本発明の繊維ウェブ中の接合の大部分は、しばしば、必ずしもではないが、モルフォロジにおいてそれら自身変わる、かかるより大きな直径の繊維を含むかもしれない。しかし、より小さな直径の多様なモルフォロジ繊維内に生じる、あまり規則正しくないモルフォロジ(それ故より低い軟化温度)の縦セグメントは好ましくはまたウェブの接合に関与する。
【0047】
アテニュエーター46から出た繊維流れ81は、捲縮ステープルファイバーとブレンドし、デュアル−コレクター装置に集めることができる。図2に例示されるアプローチでは、繊維流れ81は、例えば、曲線に曲がっているコアンダ(Coanda)タイプ表面82の使用によってアテニュエーターの出口で向きを変えられる(拡大図については図2aを参照されたい)。かかる方向転換は、デュアル−コレクター装置83に繊維流れを与えるのに、およびアテニュエーターを出た直接形成繊維と捲縮ステープルファイバーとをブレンドするのに好都合であり得る。捲縮ステープルファイバー16を同伴する空気流85は、図1に描写された装置24に類似の装置86で発生させることができる。
【0048】
装置での大きな変形が可能である。例えば、図5に描写される繊維形成装置80は、2つの代わりに1つの押出機42を用い、急冷流れ48を省略している。また、直接形成繊維を形成する装置と捲縮ステープルファイバーを導入する装置とは異なる角度で、および例示されるものとは異なる相対位置で配置することができる。
【0049】
改善された嵩高性および一様性をはじめとする、上に記載されたようなそれらが提供する改善されたウェブ特性のために、捲縮ステープルファイバー、すなわちそれらの長さに沿って波状の、縮れた、またはギザギザの特性を有するものが本発明で有益に使用される。さらに、捲縮ステープルファイバーは、ウェブ形成中に都合良く取り扱うことができ、それらは組み立てられたウェブ中でそれらの位置をより良く保持し、かつ、それらは圧縮回復性を改善する。捲縮ステープルファイバーは、本発明のウェブでの使用のために幾つかの異なる形で入手可能である。公知の捲縮繊維の3つの代表的なタイプは図6に示される。図6aは、鋸歯状のギアで繊維を捲縮することによって製造されたもののような一般に平面の、規則的に捲縮した繊維を示し、図6bは、スタッフィングボックス中で製造されたもののようなランダムに捲縮した繊維(波動が生じている面に関して、ならびに捲縮の間隔および振幅に関してランダム)を示し、図6cは、いわゆる「アギロン(Agilon)」法で製造されたもののような螺旋状に捲縮した繊維を示す。図6bおよび6cに示されるような三次元繊維は本発明のウェブ中により大きな嵩高さを一般に助長する。しかしながら、本発明の良好なウェブは公知タイプの捲縮のどれでもを有する繊維から製造することができる。
【0050】
長さ単位当たりの、図6a、b、およびcの構造88で表されるような捲縮、すなわち、完全な波またはサイクルの数は、本発明で有用な捲縮繊維ではかなり広く変わり得る。一般に、センチメートル当たりの捲縮の数(試料繊維を2つのガラス板の間に置き、完全な波またはサイクルの数を3センチメートル長さにわたってカウントし、次に当該数を3で割ることによって測定される)が大きければ大きいほど、ウェブの嵩高さは大きくなる。しかしながら、より大きな直径の繊維は、より小さな直径の繊維よりも長さ単位当たりより少ない捲縮で同等に嵩高いウェブを生み出すであろう。
【0051】
リッカインロールでの加工性は、長さ単位当たりより多い数の捲縮を有するより小さな直径の繊維で通常より容易である。本発明で使用される捲縮ステープルファイバーは一般に平均してセンチメートル当たり約半分の捲縮よりも多いだろうし、ステープルファイバーは40デシテックスをめったに超えないので、センチメートル当たり少なくとも約2捲縮の捲縮カウントを有する繊維が好ましい。
【0052】
捲縮繊維はまたそれらの捲縮の振幅または深さで異なる。捲縮の振幅は、多くの繊維のランダム性のために数値で一様に特徴づけるのは困難であるが、振幅の指標はパーセント捲縮で与えられる。後者の量は、捲縮長さ(繊維の大きな半径曲がりを真っ直ぐにする、繊維のデシテックス当たり2ミリグラムに等しい重りを一端に取り付けて試料繊維を吊すことによって測定される)で割り、100を乗じた繊維の非捲縮長さ(試料繊維を十分に真っ直ぐにした後で測定される)と捲縮長さとの差と定義される。本発明で使用される捲縮ステープルファイバーは、一般に少なくとも約15パーセント、好ましくは少なくとも約20パーセントの平均パーセント捲縮を示す。図6aおよび6bに示されるような繊維のリッカインロールでの加工困難を最小限にするために、パーセント捲縮は好ましくは約50パーセント未満であるが、図6cに示されるような螺旋状に捲縮した繊維のリッカインロールでの加工は、パーセント捲縮が50パーセントよりも大きい場合に最も良く行われる。
【0053】
ステープルファイバーは、少なくとも1つの完全な捲縮、好ましくは少なくとも3または4つの捲縮を含むのに十分な平均長さを最低有するべきである。リッカインロールのような装置を用いる時、ステープルファイバーは長さが平均して約2〜15センチメートルであるべきである。好ましくは、ステープルファイバーは長さが約7〜10センチメートル未満である。
【0054】
捲縮ステープルファイバーが細ければ細いほど、複合ウェブの絶縁効率は大きくなるが、ウェブは、捲縮ステープルファイバーが低デニールのものである時に一般により容易に圧縮されるであろう。ほとんどの場合、ステープルファイバーは、それぞれ、約15および25マイクロメートルの直径におおよそ相当する、少なくとも3デシテックス、好ましくは少なくとも6デシテックスのサイズを有するだろう。
【0055】
本発明の複合ウェブに含まれるまたは直接形成繊維とブレンドされる捲縮ステープルファイバーの量は、とりわけ、ウェブで製造されることになる特定の用途に依存するであろう。一般に、捲縮ステープルファイバーは、直接形成繊維の重量の少なくとも5パーセントに等しい量で存在するであろう。より典型的には、捲縮ステープルファイバーは、直接形成繊維の重量の少なくとも10パーセント、好ましくは少なくとも20パーセントの量で存在するであろう。他方、特に所望の薄い厚さで、良好な絶縁値を達成するために、直接形成繊維はブレンドの少なくとも25、好ましくは少なくとも50重量パーセントの割合を一般に占めるであろう。音響エネルギー散逸または断熱以外の目的のために、一般に微細繊維はブレンドの少なくとも10重量パーセントの割合を占めるであろうが、微細繊維はより少量で有用な機能を提供するかもしれない。
【0056】
繊維は、収集面に達した時に異なる程度のソリディティまたは粘着性にあってもよい。本発明のほとんどの使用のために、繊維は、それらが収集時にそれらの繊維特性を保持し、かつ、多孔性表面を残すほど十分に硬い。本発明のウェブの表面性質は、他の不織繊維ウェブのそれに似たものであることができ、合体および減少した空隙率の異なる程度に完全にオープンで多孔性であるものとは異なる。
【0057】
本発明のウェブ中の繊維の絶縁性は、それらを形成している材料と一般に無関係であり、本発明で有用な繊維はほとんどどの繊維形成材料から形成されてもよい。メルトブローン微細繊維を形成するための代表的なポリマーには、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、および当該技術で公知であるような他のポリマーが含まれる。それらの材料はまた、溶融紡糸繊維のような他の直接形成繊維を形成するのにも有用である。溶液から繊維を形成するのに有用なポリマーには、ポリ塩化ビニル、ポリアクリレート、およびアクリル共重合体、ポリスチレン、ならびにポリスルホンが含まれる。ガラスのような無機材料もまた、微細繊維をはじめとする有用な繊維を形成する。多くの異なる材料が好ましい合成の捲縮ステープルファイバーを形成するのに有用であるが、天然素材のステープルファイバーもまた、それらが捲縮されている場合には使用されてもよい。ポリエステル捲縮ステープルファイバーは容易に入手可能であり、有用な特性を提供する。他の有用なステープルファイバーには、ポリアクリレート、ポリオレフィン、ポリアミド、レーヨン、アセテートなどが含まれる。
【0058】
本発明のウェブ中の繊維(直接形成繊維かステープルファイバーかのどちらか)が接合されるべきである場合には、それらの繊維の自己接合形が使用されてもよい。典型的には、かかる繊維は熱への暴露時に繊維の一部またはすべての軟化によって接合する。例えば、繊維は収集時に柔らかい状態にあるのに十分な熱を保有しているので、時々、繊維は収集時に自己接合する。他の場合には、ウェブは収集後にオーブンを通過させられ、オーブンで接合性繊維はそれらの接合条件まで加熱される(ウェブ中の繊維の幾らかまたはすべてのアニーリングのような、他の有益な変化がオーブン中で起こり得る)。自己接合性繊維を使用する代わりに、例えば、液体剤を吹き付けることによって、または固体の粒状または繊維状剤を垂らすことによって追加の接合剤がウェブに組み込まれてもよい。
【0059】
本発明のウェブ中の直接形成繊維かステープルファイバーかのどちらかは二成分繊維(そのそれぞれが繊維の断面積の端から端まで繊維に沿って縦方向に伸びている、2つ以上の別個の成分を含む)であってもよい。二成分繊維の一有用性は、例えば、他の成分が繊維の繊維状構造を保持しているのに、一成分が別の成分よりも低い温度で軟化して接合を形成するので、接合を提供することである。
【0060】
とりわけ、寸法安定性という利点をまた有する、接合性繊維の別の形が、参照により本明細書に援用される、2002年6月13日に公開された国際特許公開国際公開第02/46504 A1号パンフレットに教示されている。好ましくはメルトブローンPET繊維である、これらの直接形成繊維は、かかる繊維でユニークのように見えるモルフォロジによって特徴づけられる。具体的には、繊維は、鎖延長結晶質分子部分(時々、歪み誘起結晶質(SIC)部分と言われる)、非鎖延長(NCE)結晶質分子部分、および非晶質部分を示す。これらの新たなメルトブローンPET繊維中の鎖延長結晶質部分は、強度および寸法安定性のようなユニークな望ましい物理的性質を提供すると考えられ、これらの新たな繊維中の非晶質部分は繊維−繊維接合を提供し、メルトブロー法の終わりに集められた新たな繊維のアセンブリは凝集性で取扱可能であるかもしれず、それは、繊維交差のポイントで繊維のさらなる接着または接合を達成するためにオーブンを単に通過させることができ、それによって強い凝集性の取扱可能なウェブを形成する。
【0061】
記載されたメルトブローンPET繊維のユニークなモルフォロジは、示差走査熱量計(DSC)によって明らかにされるもののようなユニークな特性で検出することができる。記載されたPET繊維についてのDSCプロットは、DSCプロット上に2つの融点ピークとして明示される、異なる融点の分子部分の存在を示す(「ピーク」は、シングルプロセス、例えば、鎖延長部分のような繊維の特定の分子部分の溶融に起因する加熱曲線の当該部分を意味し、1ピークが他のピークを画定する曲線部分の1つ上に肩として明示されるほど十分に互いに近いかもしれないが、記載されたPET繊維のDSCプロットは2つのピークを示す)。1ピークは非鎖延長部分(NCE)、すなわちあまり規則正しくない分子分画についてのものであると理解され、他のピークは鎖延長、すなわちSIC分子分画についてのものであると理解される。後者のピークは第1ピークよりも高い温度で現れ、それは鎖延長、すなわちSIC分画のより高い溶融温度を示唆する。
【0062】
非晶質分子部分は記載されたPET繊維の部分として一般に残っており、繊維交差のポイントでの繊維の自己接合(加えられたバインダー材料またはエンボス圧力の助けなしの接合)を提供することができる。これは、繊維交差のすべてのポイントでの接合を意味せず、用語接合は本明細書では、結合していて、自分で支える塊としてキャリアウェブから持ち上げることができるウェブを形成するのに十分な接合(すなわち、接触繊維間でのポリマー材料の幾らかの合体を通常伴うが、材料の有意のフローイングを必ずしも伴わない繊維間接着)を意味する。接合の程度は、ダイからコレクターまでの距離、溶融ポリマーの加工温度、細長化空気の温度などのような工程の特定の条件に依存する。コレクターで達成されるかもしれないものを超えたさらなる接合がしばしば望まれ、集められたウェブをオーブンに通すことによって簡単に得ることができ、カレンダー掛けまたはエンボス化は必要とはされないが、特定の効果を達成するために用いられてもよい。
【0063】
引用された出願国際公開第02/46504号パンフレットに記載されているようなウェブは、当該公開で教示されている新たなメルトブロー法によって製造される。新方法は、溶融PETポリマーをメルトブローダイのオリフィスを通して、押し出されたポリマーをメルトブローン繊維へと細くする高速ガス流れ中へ押し出す工程と、製造された繊維を集める工程とを含み、これらの工程は、簡単に言えば、押し出された溶融PETポリマーが約295℃未満の加工温度を有し、高速ガス流れが溶融PETポリマーよりも低い温度と約100メートル毎秒よりも大きい速度とを有することを特徴とする。好ましくは、PETポリマーは約0.60以下の固有粘度を有する。
【0064】
興味あるウェブは、たとえウェブがステープルファイバーを含有していなくても、自己接合したC形状構造の直接形成繊維から製造することができる。例えば、ウェブはC形状構造の良好な嵩高さを生み出すことができ、当該嵩高さは、繊維の自己接合によって良好な復元力を与えられ得る。ほとんどの場合、ウェブは、収集後に、例えば、オーブン通過によって自己接合する。
【0065】
ウェブ中の直接形成繊維および任意の他の繊維の両方をはじめとする、本発明のウェブ中の繊維が細ければ細いほど、音響エネルギー散逸および耐熱性は良くなる。幾何直径(本明細書で後の試験を参照されたい)が平均して10または15マイクロメートル未満である直接形成繊維は特に多くの絶縁目的に有用である。当該サイズの繊維は本明細書では「微細繊維」と見なされる。より大きなサイズ、例えば、平均幾何直径が20マイクロメートルもしくはさらにより大きいサイズの直接形成繊維が使用されてもよい。
【0066】
ほとんどの用途のために、本発明のウェブは、好ましくは2kg/mよりも大きいが、100キログラム毎立方メートル未満の密度を好ましくは有する。防音材として使用されるウェブについては、ウェブの音響比通気抵抗は少なくとも100mksレイル(rayl)であるべきである。防音および断熱ウェブは、ウェブの特定の用途に依存して、一般に50キログラム毎立方メートル以下の、好ましくは25キログラム毎立方メートル以下の嵩密度、および好ましくは少なくとも0.5センチメートル厚さ、より好ましくは1または2センチメートル厚さを有する。
【0067】
一般に、本発明のウェブは、ウェブから製造されるべき特定の用途に依存して様々な厚さで供給することができる。本願出願人らは、とても大きな厚さ、例えば5、10および20センチメートル以上さえの厚さのウェブを製造した。
【0068】
本発明の繊維ウェブは、直接形成繊維および捲縮ステープルファイバーに加えて、少量の他の成分を含んでもよい。例えば、繊維仕上剤が、ウェブの手触りおよび感触を改善するためにウェブ上へ吹き付けられてもよい。または固体粒子(木材パルプもしくは他の非捲縮ステープルファイバーをはじめとする)がかかる粒子によって提供される特徴を追加するために含まれてもよい(包含の方法についてはブラウン(Braun)、米国特許第3,971,373号明細書を参照されたい)。ウェブに加えられた固体材料は、一般に、直接形成繊維と捲縮ステープルファイバーとによって形成される繊維構造物のすき間にあり、繊維構造物の一貫性または完全性を妨害しないまたは取り去らない量で含まれる。繊維構造物マイナス添加剤の重量は「基本重量」として公知である。直接形成繊維と捲縮ステープルファイバーとから形成された、この「基本重量」繊維構造物は、本発明の無添加剤ウェブの弾力的な嵩高さを示す。この「基本重量」繊維構造物の充填率は、添加剤の導入を省略することを除いて添加剤含有ウェブを製造するために使用される工程条件に従い、得られた繊維構造物の充填率を測定することによって求められてもよい。
【0069】
染料および充填剤のような添加剤もまた、直接形成繊維または捲縮ステープルファイバーの繊維形成液体にそれらを導入することによって本発明のウェブに加えられてもよい。ウェブを強化するために、例えば、流体バリアとしての別の機能を与えるために、取扱性を改善するために、など、シート(例えば、布またはフィルム)が(加えられた接着剤、熱接合、裁縫などによって)繊維ウェブに積層されてもよい。さらに、ウェブは、その取扱特性を改善するためにそれをキルティングすることによるように、形成後に加工されてもよい。
【0070】
本発明のウェブは改善された防音性および断熱性を提供することが分かった。説明のいかなる理論にも縛られることなく、本発明のウェブはウェブ構造および構築物中の曲がりくねった通路のために改善された防音が可能であると考えられる。同時に、ウェブは、重量の単位当たり、大きな充填率で表されるように大きな体積を占め、それは、例えば、音響および熱用途においてウェブに良好な効率を与える。
【実施例】
【0071】
本発明は下に示される実施例によってさらに例示される。ウェブを評価するために用いられる試験方法には下記が含まれる。
【0072】
平均幾何繊維直径
本発明のウェブを構成する繊維の平均幾何繊維直径は、ウェブ試験片のSEM顕微鏡写真の画像解析によって測定した(「幾何直径」は本明細書では、例えば、「有効繊維直径」を与えるもののような間接測定値とは対照的に、繊維の物理的寸法の直接観察によって得られた測定値を意味する)。繊維の小さな塊を試験中のウェブから分離し、電子顕微鏡スタブに取り付けた。次に繊維を、おおよそ100オングストロームの金/パラジウムでスパッターコートした。スパッターコーティングは、デントン・真空デスクII(DENTON Vacuum Desk II)コールドスパッター装置(デントン・バクウム、LLC、米国、08057、ニュージャージー州、モーレスタウン、1259ノース・チャーチ・ストリート(DENTON Vacuum,LLC,1259 North Church Street,Moorestown,NJ,08057,USA))を用いて100ミリトルのチャンバ圧で30ミリアンペアの電流を有するアルゴンプラズマで行った。これらの条件下での2回の30秒蒸着を用いた。コートした試料を、次にJEOLモデル840走査型電子顕微鏡(JEOL米国、米国、01960、マサチューセッツ州、ピアボディ、11ディアボーン・ロード(11 Dearborn Road,Peabody,MA,01960,USA))中へ挿入し、10KeVのビームエネルギー、おおよそ48mmの作動距離、および0°試料チルトを用いて画像形成した。750倍倍率で撮られた電子画像を用いて繊維直径を測定した。各試料の表面図の電子画像を、パソコン・ランニング・サイオン・イメージ、リリース・ベータ3b(Scion Image,Release Beta 3b)(サイオン・コーポレーション、米国、21703、メリーランド州、フレデリック、スイート・エッチ、82ウォ−マンズ・ミル・コート(Scion Corporation,82 Worman’s Mill Court,Suite H,Frederick,MD,21703,USA))を用いて解析した。画像解析を行うために、先ずサイオン・イメージを画像上のスケールバーを用いて顕微鏡倍率に較正した。次に個々の繊維をそれらの幅を横切って測定した。各画像から個々の繊維(合体していないまたはローピングなしの繊維)だけを測定した。各試料について少なくとも100の繊維を測定した。次にサイオン・イメージからの測定値を統計的解析のためにマイクロソフト・エクセル97(Microsoft Excel 97)(マイクロソフト・コーポレーション、米国、98052、ワシントン州、レッドモンド、ワン・マイクロソフト・ウェイ(Microsoft Corporation,One Microsoft Way,Redmond,WA,98052,USA))中へ取り込んだ。繊維サイズは、所与の番手番号についてマイクロメートル単位の平均直径として報告する。
【0073】
ウェブ・ソリディティおよび充填率
ウェブ・ソリディティは、ウェブ試験片の嵩密度を、ウェブを構成している材料の密度で割ることによって求めた。ウェブ試験片の嵩密度は、先ずウェブの10cm×10cm部分の重量および厚さを測定することによって求めた。試験片の厚さは、各試料の面上へ0.002ポンド/インチ(13.8N/m)を加えるために130.6グラムの質量を用いることで修正した、米国材料試験協会(ASTM)D5736標準試験方法に規定されたように評価した。試料のサイズがASTM D5736で推奨されているサイズ未満のあるものに限定される場合には、プレッシャーフート上の質量を0.002ポンド/インチ(13.8N/m)の負荷力を維持するために比例して減らす。先ず試験片を22±5℃でおよび50%±5%相対湿度の雰囲気中で前順化し、結果はセンチメートル単位で報告する。グラム単位の試験片の重量を平方センチメートル単位の試料面積で割ると、g/cm単位で報告される試験片の基本重量が誘導される。ウェブの嵩密度は、基本重量を試験片の厚さで割ることによって求め、g/cmとして報告する。
【0074】
ウェブ・ソリディティは、ウェブの嵩密度を、それからウェブが製造されている材料のg/cm単位の密度で割ることによって求める。供給業者が材料密度を明記していない場合、ポリマーまたはポリマー成分の密度は標準方法によって測定することができる。ソリディティは、与えられた試験片のパーセント固形分含有率の無次元分率として報告し、次の通り計算する。
【数1】


式中、
【数2】


【数3】


ここで、S−ソリディティ[=]パーセント
ρウェブ−ウェブ嵩密度[=]g/cm
ρ材料−ウェブを構成する材料の密度[=]g/cm
ρ−ウェブ成分iの密度[=]g/cm
χウェブ中の成分iの重量分率[=]分率
BW−ウェブ基本重量[=]g/cm
t−ウェブ厚さ[=]cm
【0075】
ウェブを構成する材料の体積で割ったウェブ試験片の体積として定義される充填率は、次式によってソリディティから求めた。
【数4】

ここで、FR−充填率[=]cm/cm
【0076】
ウェブ回復率
ウェブ回復率、すなわち、圧縮後にある程度のその元の厚さを回復するウェブの能力は、圧縮強制を用いて指定ソリディティまでウェブ試料を圧縮し、試料を該ソリディティで指定時間保持し、圧縮強制を解除し、そして指定回復期間後にウェブのソリディティを測定することによって求めた。面積_cm×_cmの試料をウェブの厚さまたはZ軸に沿って圧縮した。圧縮強制は、指定ソリディティと相関する厚さにウェブを圧縮するのに十分な重量の45.7cm×45.7cm平板であった。指定ソリディティに必要とされる厚さよりも大きな圧縮を防止するために板のエッジの下にスペーサーを用いた。指定時間後に圧縮強制を取り除き、回復した試料の厚さを測定した。ソリディティ方法のところで上に記載したように回復した厚さからウェブのソリディティを求めた。ウェブ回復率は、圧縮後に、生じるソリディティまたは相当する充填率ウェブに回復するウェブの能力を表す。多くのウェブ用途のためには、初期のおよび回復したの両方で、ウェブ・ソリディティが低ければ低いほど、かつ、充填率が大きければ大きいほど良い。
【0077】
耐熱性
耐熱性は、ネッツシェ・インスツルメンツ社、米国、マサチューセッツ州、ボストン(Netzsch Instruments,Inc.,Boston,MA,USA)から入手可能な熱伝導率機器、モデル高速−K(Thermal Conductivity Instrument,model Rapid−K)を用いてASTM C518標準試験方法に規定されているように評価した。厚さは、「ウェブ・ソリディティ(Web Solidity)」という表題のセクションに述べられているようなASTM D5736標準試験方法を用いて評価した。熱伝導係数Cは、W/(m・K)の単位で報告する。耐熱性は、1Cloが6.457/Cとして報告されるCloとして示す。Kg/m単位の試料の基本重量(直接形成繊維とステープルファイバーとの組合せ重量)で割ったCloを熱重量効率(TWE)として報告する。
【0078】
音響比通気抵抗
比通気抵抗は、ASTM C522標準試験方法に規定されているように評価した。防音材の比通気抵抗は、その吸音性および伝音性を決定する特性の1つである。比通気抵抗の値rは、mksレイル(Pa・s/m)として報告する。試料は、5.25インチ直径(13.33cm)円形試料をダイス切断することによって調製した。エッジがダイス切断操作によってわずかに圧縮されている場合、エッジは試験前に元の厚さまたは自然の厚さに戻されなければならない。前順化した試料を、あらかじめ測定した厚さの試験片ホルダーに入れ、100cm面エリアにわたって圧力差を測定した。
【0079】
標準発生吸音係数
音響材料の吸音は、「チューブ、2つのマイクロホンおよびデジタル周波数解析システムを用いるインピーダンスおよび吸収(Impedance and Absorption Using A Tube,Two Microphones and A Digital Frequency Analysis System)」という表題のASTM呼称E1050−98に記載されている試験方法によって測定した。該方法のセクション8.5.4に記載されているような標準発生吸音係数(Normal Incidence Sound Absorption Coefficient)(NISAC)は、250、500、1000および2000ヘルツ・オクターブバンドからの吸音係数の1/3オクターブバンドの相加平均を用いて計算する。
【0080】
画像解析法
ウェブの繊維構造(ウェブの大スケール構造またはマクロ構造)の一様性または連続性は、画像解析を用いて特徴づけた。説明の目的のために、試料の主x−y−z軸を次の通り指定した:ウェブの流れ方向、すなわち縦方向を「y軸」にあると指定し、ウェブのクロス流れすなわち幅を「x軸」にあると指定し、ウェブの厚さを「z軸」にあると指定した。画像解析用のウェブ試験片は、先ずy軸すなわちウェブの流れ方向に沿って5.1cm幅(x軸)試料をおおよそ19.0センチメートル切断することによって調製した。ウェブは、切断エッジのいかなる融解または冷溶着も防ぐようなやり方で、細いかみそり刃のように鋭い刃を用いて切断した。次に解析用の試験片を、おおよそ16.5センチメートルの長さ(y軸)に試料から切断した。
【0081】
次に試料を調節可能な長方形枠に固定した。試験片のy−z面が視覚に曝され、試験片のx軸に沿った通路が枠によって妨害されないように、試験片を長方形枠の開口部に取り付けた。枠の壁は、試験片が取り付けられた時に試験片の最上面および底面を枠の内壁に接着剤で固定できるほど十分に幅広かった。試験片を解析に適切な厚さにするために枠の側壁を調節できるように、試験片の末端を枠中で自由に動くままにしておいた。試験片を評価に望まれるソリディティによって決定される適切な厚さにした後で、試験片のウェブ構造を特徴づけるために画像解析を用いた。
【0082】
光が試験片のクロス流れ方向(y−z面)のエリアを通って示されるように、画像解析のために調製した試験片を全エリアに及ぶ光源またはライトステージと整列させた。試験片を通って伝えられた光から表示される、全エリアに及ぶマルチピクセル画像を、ウェブ構造を特徴づけるためのコンピュータープログラムによって処理し、解析した。次にウェブ構造を、ウェブを通って伝えられた光の強度の解析によって特徴づけた。
【0083】
カメラによって用いられる画像センサーは電荷結合素子(CCD)であった。CCDは、光子(光)を電子(電荷)に変換する極めて小さな光電フォトダイオードの大きな配列よりなる。シングルフォトダイオードに衝突する光が明るければ明るいほど、当該部位に蓄積するであろう電荷は大きくなる。これらのフォトダイオードはピクセル(ピクはピクチャー、エルはエレメントにちなんで)と呼ばれる。画像解析法は、各ピクセルで電荷を写像することによって試験片の面を横切った光度の画像を生み出す。試験片の画像を捉えるために用いられるピクセルサイズは3.45ミクロン×3.45ミクロンであった。CCDの総画像形成エリアは、列当たり2088ピクセルの1552列のピクセルのアレイよりなる4/3アスペクト比の標準半インチ・フォーマットである。下にリストする倍率を用いると、個々のピクセルまたはデータポイントは、試験片上34ミクロン×34ミクロンのエリアに画像形成した。
【0084】
y軸に沿ったデータポイントからデータポイントへの光度の変化を、ストリップに沿った光度の標準偏差を求めるために用いた。試料のx−y表面にわたるばらつきを、異なるz軸位置で、十分な数のストリップを解析することによって求める。試験片のばらつきを十分に表すように、代表数のストリップ(異なるz軸位置での)を解析した場合、最大ばらつきの1つのz軸ストリップを報告のために選択する。解析ストリップの数は、試料の厚さとz軸に沿ったばらつき程度とに大いに依存するであろう。
【0085】
ライトボックスベース付きポラロイドMP−3コピースタンドを光源またはライトステージとして用いた。ライトボックスは、5cm離して、24cm×24cm拡散ガラス板の下方18cmに取り付けた4つのGE75T10FR75ワット艶消し白熱ランプよりなった。タムロン米国社、ニューヨーク州、コムマック、10オースチン・ブルバード(TAMRON USA,Inc.10 Austin Blvd,Commack,New York)製のタムロンSP35−80mmマクロズームレンズを備えたライカ・ミクロシステムズAG、スイス国、CH−9435ヒールブルッグ(Leica Microsystems AG,CH−9435 Heerbrugg,Switzerland)製のライカ(Leica)DC−300デジタルカメラを16ビット・グレースケール2088×1550ピクセル画像を捉えるために用いた。
【0086】
光が試験片クロス流れ方向を通って示されるように、画像形成のためのライトボックス−試料−カメラの幾何学的配置を、先ず、調製した試験片をライトボックスの拡散ガラス板上に置くことによって固定した。デジタルカメラのレンズを、ライトボックス拡散ガラス板の表面に垂直のライン上の試験片の中心に向けた。レンズを試験片からおおよそ60cm離して配置した。カメラのマクロズームレンズを、約70mm×52mmの視野を提供するように調節した。100%透過率がフルスケールのおおよそ95%のカメラレスポンスをもたらすように調節した絞りおよび照明で、カメラの焦点を試験片の露出表面に合わせた。次にこれらの設定値を、背景画像(何の試料も長方形の枠中に存在しない時の画像)をはじめとする画像の捕捉のために固定した。
【0087】
次に画像を、コンピュータ利用教育システム開発協会S.A.、仏国、14200ヘロウヴィレ・セント−クライア、10アベニュー・デ・ガーブセン(ADCIS S.A,10 avenue de Garbsen,14200 Herouville Saint−Clair,France)製のアフェリオン(APHELION)画像解析ソフトウェアを用いて解析した。解析は、試料片の画像を背景の画像で割ることによって試料片の画像を標準化し、次にサイズ5mm×65mm領域について平均透過率プロフィールを測定することよりなった。画像解析装置は、5mm高さ(z軸)×0.034mm長さ(y軸)の寸法を有する個々の試料ポイントについて光透過率の程度を測定した。
【0088】
平均65mm長さの(y軸)プロフィールは、おおよそ1900試料ポイントよりなった、すなわち、試験片は、同じz軸位置で試料すべてのy方向に沿って、露出(y−z)表面上で連続のおおよそ1900試料ポイントをトレースすることによって特徴づけた。このようにして、試験片のy軸に沿ったポイントからポイントへの光透過率のばらつきを任意の0.5mm高さ(z軸)部分について測定することができた。透過光線で測定されたばらつきは、ウェブにおける繊維結合の指標である。集まったまたは集中した繊維のウェブは、ウェブの所与の軸に沿った光透過率度の変化の程度によってそれらの異方性構造を表示する。透過率変化は、試験片のトレースから測定された透過率値の母集団の標準偏差として報告する。
【0089】
実施例1
本発明のウェブを、図1に一般に示すような装置を用いてブローン微細繊維とステープルファイバーとのブレンドから製造した。デュアル−コレクター装置の最上収集面25は、一様に間隔を置いて配置された直径4.7mmの穴より構成された53.7%の孔開口面積を持った直径20.3cmの有孔金属ドラムであった。底収集面26は、ファーネス・ベルト・カンパニー・リミティッド、米国、14216、ニューヨーク州、バッファロー、2316デラウェア・アベニュー(Furnace Belt Company Limited,2316 Delaware Avenue,Buffalo,N.Y.,14216,USA)から入手可能な、直径20.3cm有孔ドラムをカバーするクロスロッド・コネクター部品番号B−72−76−13−16によって一緒に接合された一連の交互の単一左方向および右方向螺旋よりなるバランスした織り構造を有する織り金属ベルトであった。ベルトは、81.3cm離して配置された2つの20.3cm直径ローラー上に支持された。両収集面の後ろに置かれた真空源は、収集面中の空隙を通して合計48m/分の空気を吸引中であった。60度プレナムは、約10度の真空の収集面が集められた繊維でカバーされて、収集面の直ぐ後ろに配置された0.12mの面積を有する。両収集面の表面速度は、両前面が繊維流れに向かっておよび通過ギャップへ向きを変えて、140cm/分であった。
【0090】
収集面25および26を、それらの前面(ドラムの前方回転面および収集ベルト)を微細繊維ダイの面に平行である想像平面に沿って整列させて、上下に垂直に整列させた。コレクター25と26との間のギャップ27の中心は、微細繊維ダイ10の押出オリフィスのラインと整列させ、それと平行であり、ダイを出た繊維流れ14と整列させた。収集面間のギャップ27は高さ5.1cmであり、微細繊維ダイの面から収集面の想像平面までの距離は63.5cmであった。端から端までの収集面の全幅(図面のページに垂直の寸法)は76.2cmであった。
【0091】
ブローン微細繊維をポリプロピレン(フィナ・オイル・アンド・ケミカル社、テキサス州、ヒューストン(FINA Oil and Chemical Co.,Houston,Tex)から入手可能なフィナ・タイプ3960)を使用して製造した。微細繊維ダイ10は幅50.8cmであり、直径0.38mmであるセンチメートル当たり10個の穿孔押出オリフィスを有した。ダイ先端が0.254mmだけエアナイフの前に突出して、ダイ先端とエアナイフとの間の空気スロットギャップは0.76mmであった。ポリマー押出量をオリフィス当たり9.1グラム毎時に一定に保持した。押出機溶融物およびダイを両方とも300℃に設定した。ダイ空気吸気圧を31.0kPaに設定し、空気温度をおおよそ350℃に設定し、加熱された空気の流量は7.05m/分であった。集められたウェブの微細繊維成分の基本重量は130g/mであり、平均幾何繊維直径はおおよそ3.0マイクロメートルであった。完成ウェブの微細繊維成分はウェブの総重量の60重量%を構成した。
【0092】
組合せウェブを形成するために微細繊維流れとブレンドされる捲縮ステープルファイバーは、コサ、ノースカロライナ州、シャーロット(KoSa,Charlotte,NC)から入手可能なポリエステルステープルファイバー、タイプ295であった。ステープルファイバーは、センチメートル当たりおおよそ4捲縮付きで、五葉断面を有し、直径25.5マイクロメートル、38.1mm切断長さであった。ウェブ中のステープルファイバー成分の重量は総ウェブ重量のおおよそ40重量%であった。組合せウェブの総基本重量は、0.344%ソリディティで200g/mであった。
【0093】
基本重量、厚さ、ステープルファイバー含有率、ソリディティ、充填率(圧縮前および圧縮からの回復後の両方)、耐熱性、熱重量効率、標準発生吸音係数、音響比通気抵抗、および画像解析(1.0%に設定したウェブのソリディティでの)についての測定結果を表1に報告する。
【0094】
実施例1のウェブの写真を図7に示す。写真はウェブの切断エッジだけでなくウェブの最上面も示し、切断はウェブを通る垂直縦断面である。
【0095】
比較例1
比較例1を、ファーネス・ベルト・カンパニー社、米国、14216、ニューヨーク州、バッファロー、2316デラウェア・アベニューから入手可能な、単一の通常の平ベルト・コレクター部品番号B−72−76−13−16上にウェブを集めたことを除いて実施例1のように製造した。平らな垂直コレクター表面は、集められた繊維が全プレナム表面積をカバーして、0.278mのプレナム表面積を通る真空引き抜き24m/分空気を有した。ダイ面からコレクター表面までの距離は63.5cmであった。組合せウェブの総基本重量は205g/mであった。
【0096】
ウェブ試料を実施例1に記載したように評価した。結果を表1に示す。
【0097】
実施例2
実施例2を、ステープルファイバー組成物がウェブの総重量の28重量%であることを除いて実施例1のように製造した。総ウェブ基本重量は957g/mであり、厚さは19.6cmであった。コレクターギャップを14.0cmに設定し、収集速度を指定の基本重量を集めるべく調節した。ウェブ試料を実施例1に記載したように評価した。結果を表1に示す。
【0098】
比較例2
比較例2を、ウェブを製造するのに何のステープルファイバーも使用せず、それが100%ポリプロピレンブローン微細繊維の完成ウェブをもたらしたことを除いて実施例1のように製造した。コレクター間のギャップを1.9cmに設定し、コレクター速度を45.7cm/分に設定して、ダイ−コレクター距離が25.4cmであるように装置を調整した。ウェブの基本重量は、20.7cmの厚さで410g/mであった。ウェブ試料を実施例1に記載したように評価した。結果を表1に示す。
【0099】
実施例3
本発明のウェブを、図5に例示するような装置を用いて、溶融紡糸繊維とステープルファイバーとのブレンドから製造した。図5について言及すると、PETポリマーをホッパー41に装入し、一軸スクリュー押出機42に供給した。押出機は、搬送し、溶融し、そして275℃の溶融ポリマーを計量供給ポンプ43に配送した。計量供給ポンプは4.55kg/時の速度でポリマーをダイ40に供給した。ダイ40は長さ(図面のページに垂直の寸法)20.32cm、幅7.62cmであり、275℃の温度に維持した。ダイは、その長さに沿って中心上に5.1mmの間隔を置いて配置された、列当たり21オリフィスの4列の押出オリフィスを有した。オリフィスの列はダイの底面に配置され、各オリフィスは直径0.89mmであり、3.57対1の長さ対直径比を有した。ダイは、オリフィスからの押出物がダイからアテニュエーター46に垂直に落ちるような方向に置いた。アテニュエーターは、ダイ面からアテニュエーター・シュートの入口まで測定した時にダイの下方48.1cmに配置した。12.7cm幅のアテニュエーターを垂直から反時計回りに5°傾け、すなわち、アテニュエーターの縦軸56を装置86の方へ傾けた。アテニュエーターのエアナイフ62は0.76mmのギャップ厚さ60を有し、エアナイフに24℃空気を5.78m/分の速度で供給した。アテニュエーター・シュート65の長さは15.24cmであり、対向壁板を3.40mmのギャップで平行に維持した。ステープルファイバー流れ85との組合せの前にコレクターの方へ溶融紡糸流れを導くのを助けるために、流れディレクター82をシュートの出口でプレートのベース上にコレクター83へ向けて配置した。
【0100】
ステープルファイバー流れ85を、アテニュエーター・シュートの出口の下方おおよそ3.8cmポイントで溶融紡糸流れ81中へ導入した。生じた組合せ流れがアテニュエーターの垂直軸56に対して85°の角度で流れるように、1335メートル毎分の速度を有する、合流するステープルファイバー流れの勢いをさらに偏向させ、溶融紡糸流れと混合した。ステープルファイバーは、コサ、ノースカロライナ州、シャーロットから入手可能な、熱接合性鞘/芯繊維、タイプT−254であった。ステープルファイバーは、センチメートル当たりおおよそ2.8捲縮付きで、直径約35.5マイクロメートル、38.1mm切断長さであった。その中へステープルファイバーが同伴される周囲空気を8.66m/分で供給し、リッカインの空気シュート20に送り届けた。リッカインは、繊維排出出口が17.8cmに狭くされて、幅45.7cmであった。リッカインからの排出シュートを水平に、およびアテニュエーターの垂直軸に対しておおよそ90°に整列させ、コレクター83のギャップ27の方へ向けた。リッカインの出口シュートは、アテニュエーターの垂直軸56から30.5cm、アテニュエーターの出口の下方3.8cmに配置され、コレクターの前面によって形成される想像平面から1.3メートルであった。
【0101】
コレクターは、実施例1に記載されたようなドラムとベルトとの間に収集ギャップ付きのベルト/ドラム構造のものであった。ベルトおよびドラム表面はウェブマットを延伸し、形成するために152cm/分の表面速度で共回転して、ドラムとベルトとの間のギャップ27は1.6cmに維持した。生じたウェブは、55重量%ステープルファイバーと45重量%溶融紡糸繊維との組成で、厚さ3.19cmであり、544g/mの基本重量を有した。溶融紡糸成分の繊維サイズは、平均幾何繊維直径試験方法で測定されたところでは直径11.2μmであった。熱接合性繊維にウェブ構造を結び付けさせるためにウェブを160℃に維持されたオーブン中で5分間熱処理した。冷却後、ウェブのソリディティディを測定し、ウェブ回復率を評価した。ウェブ試料を実施例1に記載したように評価した。結果を表1に示す。
【0102】
実施例4
実施例4を、実施例1で使用したもののような非接合性ステープルファイバーを使用したことを除いて実施例3のように製造した。ステープルファイバー成分の重量は、総ウェブ重量のおおよそ44重量%であった。組合せウェブの総基本重量は339g/mであった。ウェブ試料を実施例1に記載したように評価した。結果を表1に示す。
【0103】
実施例5
本発明の繊維ウェブを、メルトブローダイが二成分微細繊維を製造するために改造され、2つの押出機が二成分メルトブローン微細繊維を製造するためにダイに供給したことを除いて図面の図1に示すような装置を用いて製造した。一押出機はポリプロピレンを4.8kg/時で押し出し(エクソン社(Exxon Corp.)から入手可能なエスコレン(Escorene)3505G)、他の押出機はポリエチレンテレフタレートグリコール(PETG)を1.6kg/時で押し出した。PETGはメルトブローン繊維の鞘を形成し、ポリプロピレンは芯を形成する。ダイは、0.38mm直径オリフィスの50.8cm幅列と、0.762mmに設定された66.0cm幅エアナイフ・スロットとを有した。コサから入手可能なステープルポリエステルファイバー6デニール、3.8cm、タイプ295を、図1に描写したようなリッカイン装置によって繊維流れ中へ導入した。ドラムはそれらの間に3.8cmのギャップを有した。ダイから、繊維がデュアルドラム表面上に集まるデュアルドラム・コレクターの表面までの距離は96.5cmであった。65%二成分微細繊維と35%ステープルファイバーとを含有する、208g/mの基本重量のウェブを集めた。ウェブ試料を実施例1に記載したように評価した。結果を表1に示す。
【0104】

【0105】
表1に示す結果で明らかなように、実施例1で表されるような本発明のウェブは、比較例1で与えられる同じ組成および繊維製造方法のウェブよりも低い初期および回復ソリディティと改善された断熱および消音特性とを有する。実施例1の本発明ウェブについて同じ組成および繊維製造方法の比較例1よりも43%の消音の改善が達成された。本発明ウェブの熱重量効率は、通常の方法で製造された同等組成のウェブ比べた時に27%だけ改善された。さらに、表1に示される結果から、本発明の実施例すべての回復ソリディティはそれらの初期ソリディティの少なくとも80%であることは明らかであり、本発明のウェブが圧縮後でさえもそれらの所望の低いソリディティ(および相応して高い充填率)を保持できることを示す。実施例5のウェブは圧縮後にその初期のソリディティの99%を回復した。実施例1および5についての消音係数の値は、同等の基本重量および繊維製造方法の先行公知ウェブと比べた時にNISACの改善された値を実証する。透過率ばらつきもまた低いことが分かり、実施例1〜3については0.1%未満、実施例5については0.2%未満である。
【0106】
画像解析技術のさらなる例示として、図8は実施例5のウェブについてデジタルカメラによって作成された画像であり、図9は比較例2のウェブの同様な画像である。
【0107】
図10は、比較例2(プロット95)および実施例1(プロット96)のウェブについて画像解析技術で集められたデータポイントを与える。具体的には、背景画像(何のウェブ試料も光源と画像センサーとの間に配置されていない時に画像センサーによって受け取られる光)の百分率として与えられる光透過率の値が、試料のy軸に沿った位置に対してプロットされている。データポイントは、最大ばらつきを示したz軸位置についてである。図10に見られるように、画像輝度は比較例2のウェブについては十分であり、広く変化した。しかし、画像輝度は実施例1のウェブについてははるかにより小さく、はるかにより少なく変化した。表1に報告されるように、光透過率ばらつき(図10でプロットされた値についての標準偏差)は、実施例1のウェブについては0.07、比較例2のウェブについては2.45であった。
【0108】
実施例1(プロット97)および比較例1(プロット98)のウェブについて標準発生吸音係数をヘルツ単位の3分の1オクターブバンド中心周波数に対して図11にプロットする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)コレクター間の空間を画定する平行の分離された面を有し、かつ、両方が繊維流れの進行方向に動く、短い距離を離して配置されている2つの平行コレクターの方へ押出装置から繊維の流れを押し出す工程と、
b)前記流れが前記コレクターに達する前に少なくとも15%の捲縮を有し、かつ、前記直接形成繊維の重量の少なくとも5%の量で存在する捲縮ステープルファイバーを押し出された繊維の前記流れ中へ導入する工程と、
c)前記コレクター間の空間に前記繊維を集めて前記押し出された繊維がウェブを形成する工程と、
を含む、繊維不織ウェブの製造方法。

【図1】
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【図1a】
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【図1b】
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【図1c】
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【図2】
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【図2a】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6a】
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【図6b】
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【図6c】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−203033(P2010−203033A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−89621(P2010−89621)
【出願日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【分割の表示】特願2004−553428(P2004−553428)の分割
【原出願日】平成15年9月25日(2003.9.25)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ポラロイド
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】