説明

繊維含有添加剤

【課題】合成樹脂に対して微細繊維を均一に配合できる含水繊維含有添加剤の提供。
【解決手段】 (A)平均繊維径が0.001〜3μmで、平均繊維長が0.01〜1mmであり、繊維径が3mmを超えるものを実質的に含まない水不溶性繊維と、(B)水溶性ポリマーを含み、前記(A)成分が凝集することなく分散された含水状態の繊維含有添加剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微細繊維を含有しており、合成樹脂に対して均一に分散できる繊維含有添加剤とその製造方法、更に前記繊維含有添加剤を含有する合成樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
合成樹脂成形体の剛性等の機械的強度を高めるため、合成樹脂に対して各種繊維が配合され、各種用途に提供されている。前記繊維が凝集等の問題が生じない程度の大きさのものである場合には、合成樹脂中における分散性は問題にならないが、非常に微細な繊維の場合には、容易に凝集してしまい、均一に分散することが困難である。
【0003】
特許文献1には、熱可塑性ポリマーマトリックスと、平均長さがミクロメートル以上で、直径が約2〜30ナノメーターであるセルロース充填材を含む組成物が記載されている。熱可塑性ポリマーマトリックスはラテックスポリマーが好ましいことが記載されており、セルロース充填材は、被嚢科に属する海洋動物(ホヤ類)の外皮の大部分を構成する被嚢から得られるもの、藻類のセルロースから得られるものが好ましいことが記載されている。
【0004】
特許文献2には、水不溶性繊維と熱可塑性重合体とを含む集合体である繊維成形体の発明が記載されており、前記水不溶繊維は、平均直径が0.1〜1000μmで、平均長さが0.1〜1000mmのセルロース系繊維が好ましいことが記載されている。実施例1では、平均直径20μm、平均長さ0.85mmのセルロース系繊維凝集体をターボミルで解砕した後、ポリビニルアルコール水溶液を噴霧し、更に造粒機で造粒して、繊維成形体を製造している。
【特許文献1】特表平9−509694号公報
【特許文献2】特開2003−105203号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、非常に微細な水不溶性繊維を含有しており、合成樹脂等に対して均一に分散混合させることができる、繊維含有添加剤とその製造方法を提供することを課題とする。
【0006】
本発明は、合成樹脂中に非常に微細な水不溶性繊維が均一に分散されており、機械的強度の高い成形体を得ることができる、合成樹脂組成物を提供することを他の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、課題の解決手段として、下記の各発明を提供する。
1.(A)平均繊維径が0.001〜3μmで、平均繊維長が0.01〜1mmであり、繊維径が3mmを超えるものを実質的に含まない水不溶性繊維と(B)水溶性ポリマーを含み、前記(A)成分が凝集することなく分散された含水状態の繊維含有添加剤。
2.前記(A)成分の水不溶性繊維が、平均繊維径が0.001〜1μmで、平均繊維長が0.01〜1mmであり、繊維径が1mmを超えるものを実質的に含まないものである、請求項1記載の繊維含有添加剤。
3.(A)成分の水不溶性繊維が、天然繊維及び合成繊維から選ばれる1又は2以上のものが機械的手段で微細化されたものである、請求項1又は2記載の繊維含有添加剤。
4.請求項1〜3のいずれか1項記載の繊維含有添加剤から水分が除去された粉状の繊維含有添加剤。
5.請求項1〜4のいずれか1項記載の繊維含有添加剤の製造方法であり、前記(A)成分の水不溶性繊維と前記(B)成分の水溶性ポリマーを混合する、繊維含有添加剤の製造方法。
6.請求項1〜4のいずれか1項記載の繊維含有添加剤の製造方法であり、水の存在下、前記(A)成分の水不溶性繊維と前記(B)成分の水溶性ポリマーを混合する、繊維含有添加剤の製造方法。
7.請求項1〜4のいずれか1項記載の繊維含有添加剤と合成樹脂を含有する合成樹脂組成物。
【発明の効果】
【0008】
本発明の繊維含有添加剤は、微細な水不溶性繊維を含有しており、前記添加剤を合成樹脂に配合したとき、合成樹脂中に微細な水不溶性繊維を均一に分散配合することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
<繊維含有添加剤>
(A)成分の水不溶性繊維は、平均繊維径は0.001〜3μm、好ましくは0.001〜1μm、より好ましくは0.01〜0.1μmであり、平均繊維長は0.01〜1mm、好ましくは0.05〜0.9mm、より好ましくは0.1〜0.8mmである。平均繊維径と平均繊維長は、実施例に記載の方法で測定されるものである。
【0010】
(A)成分の水不溶性繊維は、繊維径が3mmを超えるもの、好ましくは繊維径が1mmを超えるものを実質的に含まないものである。実質的に含まないとは、(A)成分中の繊維径が3mmを超えるものの含有量が5質量%以下であり、好ましくは3質量%以下、より好ましくは1質量%以下であり、最も好ましくは0質量%であるか、製造環境に起因して不純物程度の量を含有するものである。
【0011】
(A)成分の水不溶性繊維は、天然繊維及び合成繊維から選ばれる1又は2以上のものが機械的手段で微細化されたものであり、特許文献1に記載されているような、被嚢科に属する海洋動物(ホヤ類)の外皮の大部分を構成する被嚢から得られるものや、藻類のセルロースから得られるものは含まれない。
【0012】
天然又は合成繊維としては、セルロース系繊維、亜麻繊維、クズ繊維、ヤシ繊維、ジュート繊維、麻繊維、アスペン繊維、ネズ繊維、タンパク質繊維、ポリアミド系繊維、ポリエステル系繊維、ポリウレタン系繊維、ポリオレフィン系繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、ポリ塩化ビニリデン系繊維、ポリフルオロエチレン系繊維、ポリアクリル系繊維等を挙げることができる。
【0013】
水不溶性繊維は可撓性の高いものがよく、上記したものの中でもセルース系繊維、亜麻繊維、クズ繊維、ヤシ繊維、ジュート繊維、麻繊維、アスペン繊維、ネズ繊維が好ましく、セルロース系繊維がより好ましい。
【0014】
セルロース系繊維は、草木を叩解したもの、綿、麻、木綿等から得られるもの、ビスコースレーヨン、銅アンモニアレーヨン等を用いることができ、αセルロース含量が80質量%以上のものが好ましく、90質量%以上のものがより好ましく、98質量%以上のものが更に好ましい。
【0015】
機械的手段としては、例えば、実施例において製造例1として記載されている方法を用いることができる。
【0016】
(A)成分の水不溶性繊維としては、ダイセル化学工業(株)から販売されている商品名セリッシュの品番PC−110T、PC−110A、PC−110B、ろか名人、PC−110S、FD−100F、FD−100G、FD−200L、KY−100S、KY−100G等を用いることができる。
【0017】
(B)成分の水溶性ポリマーとしては、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、水溶性ナイロン、ポリエチレングリコール、ポリエレンイミン等から選ばれるもののほか、以下に挙げるものも用いることができる。
【0018】
(半合成系水溶性ポリマー)
カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、リグニンスルホン酸及びその誘導体、並びにそれらのグラフト物。
(植物系水溶性ポリマー)
澱粉、アラビアガム、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、カラヤガム、寒天、キサンタンガム、グアーガム、サイクロデキストリン、ジェランガム、タマリンドガム、ンニン酸、トランガントガム、ファーセラン、プルラン、ペクチン、ローカストビーンガム及びその誘導体、並びにそれらのグラフト物。
(動物系水溶性ポリマー)
ゼラチン、レシチン、コラーゲン、カゼイン、コンドロイチン硫酸ナトリウム、キチンキトサン及びその誘導体、並びにそれらのグラフト物。
【0019】
グラフト物は、水溶性を阻害しない程度に熱可塑性を付与する目的で、スチレン、ブタジエン、イソプレン、アクリロニトリル、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、酢酸ビニル、アルキルビニルエーテル(メタ)アクリルアミド、ε−カプロラクトン等のラクトン類、ポリ乳酸等のヒドロキシカルボン酸類等がグラフトされたものを挙げることができる。
【0020】
(上記水溶性ポリマーに添加できる添加剤)
(B)成分の水溶性ポリマーには、熱可塑性を付与する目的で可塑剤を添加することができる。可塑剤としては、水、多価アルコール(グリセリン、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等)、リン酸エステル、カルボン酸エステル(芳香族カルボン酸エステル、脂肪酸エステル、多価アルコールの低級脂肪酸エステル(トリアセチン、ジグリセリンテトラアセテート等)、グリコールエステル、クエン酸エステル、スルホンアミド等のアミド類、カプロラクトンオリゴマー等のエステルオリゴマー等を挙げることができる。
【0021】
その他の添加剤として、例えば、安定剤〔酸化防止剤(ヒンダートフェノール系酸化防止剤等)、収縮防止剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、耐熱安定剤、耐候安定剤等〕、滑剤、離型剤、潤滑剤、衝撃改良剤、着色剤(染料や顔料等)、難燃剤、抗菌剤、防腐剤、防カビ剤、防虫剤、消臭剤、を添加することができる。これらの添加剤は、単独又は二種以上組み合わせて添加できる。
【0022】
本発明の繊維含有添加剤における(A)成分と(B)成分の合計量中の含有割合は、(A)成分100質量部(固形分換算)に対して、(B)成分は5〜10,000質量部が好ましく、10〜5,000質量部がより好ましく、20〜2,000質量部が更に好ましい。
【0023】
本発明の繊維含有添加剤が含水状態であるときの水の含有量は、(A)成分と(B)成分の合計質量に対して0.5〜100倍量が好ましく、1〜50倍量がより好ましく、1.5〜20倍量が更に好ましい。
【0024】
本発明の繊維含有添加剤は、
(I)(A)成分の水不溶性繊維と(B)成分の水溶性ポリマーを混合機(例えば、ニーダー)に入れ、混練する方法、
(II)(A)成分の水不溶性繊維、(B)成分の水溶性ポリマー、水を混合機(例えば、ホモディスパー)に入れ、混合する方法、
を適用することができる。他の混合手段としては、ターボミル、攪拌翼付き反応釜、V型混合機、タンブラー、高速ミキサー、リボン式ミキサー等を用いることができる。
【0025】
(II)の方法では、(A)成分と(B)成分とは別に水を添加してもよいし、水を添加せずに(A)成分及び(B)成分の少なくとも一方として含水状態のもの〔(A)成分はスラリー状のものであり、(B)成分は水溶液〕を用いてもよい。
【0026】
本発明の繊維含有添加剤は、(A)成分の表面が(B)成分で覆われた状態になっており、前記添加剤中において、(A)成分が凝集することなく分散されている。凝集の有無は実施例に記載の方法で確認する。なお、本発明の繊維含有添加剤は、(A)成分が有する高い吸水能力により、外観はペースト状乃至は塊状となっている。
【0027】
本発明の粉状の繊維含有添加剤は、上記の含水状態の繊維含有添加剤を乾燥して水分を除去した後、必要に応じて粉砕して得ることができる。
【0028】
乾燥方法は特に制限されず、自然乾燥、送風乾燥、加熱乾燥、凍結乾燥等の公知の方法を適用することができる。
【0029】
乾燥状態(水分の除去状態)は、外観がペースト状乃至は塊状の含水状態である繊維含有添加剤が粉状にできる程度であればよく、含水率が約20質量%以下程度になるまで乾燥すればよい。
【0030】
粉砕方法は特に制限されず、サンプルミル、ハンマーミル、カッターミルなどを使用してもよい。
【0031】
<合成樹脂組成物>
本発明の合成樹脂組成物は、繊維含有添加剤と合成樹脂を含有するものである。
【0032】
合成樹脂は熱可塑性樹脂でも熱硬化性樹脂でもよく、熱可塑性樹脂としては、ポリアミド、スチレン系重合体、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリエステルエーテル、ポリアミドエーテル、ポリフェニレンオキサイド、ポリカーボネート、ポリオレフィン、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等を挙げることができ、熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ユリア樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂等を挙げることができる。
【0033】
合成樹脂と繊維含有添加剤の含有割合は、合成樹脂100質量部に対して、繊維含有添加剤は1〜10,000質量部が好ましく、2〜5,000質量部がより好ましく、5〜2,000質量部が更に好ましい。
【0034】
更に本発明の組成物は、上記成分以外にも、本発明の課題を解決できる範囲内で、公知の樹脂用添加剤を含有することができる。公知の樹脂用添加剤としては、カーボンブラック、無機顔料、有機顔料、染料、助色剤、分散剤、安定剤、可塑剤、改質剤、紫外線吸収剤又は光安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、潤滑剤、離型剤、結晶促進剤、結晶核剤等を挙げることができる。
【0035】
本発明の合成樹脂組成物は、特許文献2に記載された自動車に用いる各種部品、各種機械部品、電気・電子部品、摺動部品、吸音材、使用後に焼却処分する医療器具容器材、建築用の木材代替品(木目材)、通信機器用筺体、放射線遮蔽材等の製造材料として用いることができる。
【実施例】
【0036】
(1)平均繊維径と平均繊維長の測定方法
繊維長は、繊維長分布測定器(カヤーニ社製、FS−200)を用いて、平均繊維長ピークを測定することにより算出した。平均繊維径は、顕微鏡観察により算出した数平均繊維径である。
【0037】
製造例1〔(A)成分の水不溶性繊維の製造〕
市販のクラフトパルプ1kgに対して水50Lを加え、攪拌機(UT−1305、マキタ製)にて攪拌して、分散液を得た。
【0038】
次に、得られた分散液を均質化装置(GAULIN社製の15M-8TA)に常温で仕込み、44.1MPa(約450kg/cm)の圧力をかけて15回通過させ、スラリーを得た。前記スラリーを脱水処理して、固形分10質量%の水不溶性繊維を得た(平均繊維径100nm,平均繊維長0.55mm)。
【0039】
実施例1
製造例1で得られた水不溶性繊維100質量部に対して、ポリビニルアルコール樹脂(PVA-505,(株)クラレ製)40質量部を加え、3Lニーダー(佐竹化学機械工業(株)製、佐竹式捏和機)で常温(20〜25℃)で15分間混練して、ペースト状の繊維含有添加剤(固形分35.7質量%)を得た。
【0040】
得られた繊維含有添加剤中の水不溶性繊維の分散状態を電子顕微鏡写真にて確認した(図1参照)。図1に示すとおり、水不溶性繊維が凝集することなく分散している状態が確認できた。
【0041】
次に、ペースト状の繊維含有添加剤500gをバットにのせ、100℃で一昼夜乾燥させた。乾燥させたものを、小型プレス機を用い、10MPaの圧力で、180℃×5分間プレスした。この乾燥後にプレスしたものを電子顕微鏡写真にて確認した(図2参照)ところ、粒状の凝集物は見られず、乾燥後であっても水不溶性繊維が凝集することなく分散している状態が確認できた。
【0042】
実施例2
製造例1で得られた水不溶性繊維に水を添加して、固形分2質量%のスラリーを得た。このスラリー100質量部に対して、ポリビニルアルコール(PVA-505,(株)クラレ製)の30質量%水溶液26.7質量部を加えて、ホモディスパー(モデルL,特殊機化工業(株)製)で、常温(20〜25℃)で5分間、5000r/mの条件で攪拌して、ペースト状の繊維含有添加剤(固形分7.9質量%)を得た。
【0043】
得られたペースト状の繊維含有添加剤について、実施例1と同様に電子顕微鏡写真にて観察し、水不溶性繊維が凝集することなく分散している状態を確認した。ペースト状の繊維含有添加剤を用い、実施例1と同様にしてプレスして、外観を目視観察した。
比較例1
製造例1で得られた水不溶繊維を乾燥させて、固形分20質量%のもの5kgを得た。これを1kgづつ5つに分けた。
【0044】
100℃に加熱したヒーターミキサー(上羽根:混練用タイプ、下羽根:高循環・高負荷用,ヒーター及び温度計付き,容量20L,品名ヘンシェルミキサーFM20C/I,三井鉱山(株)製)に、上記水不溶繊維を1kg投入し、低速回転(500r/m)で水分を徐々に除去し、30分後に1kgの水不溶性樹脂を投入した。
【0045】
この作業を5回続け、最終投入の30分後に、高速回転(2000rpm)にし、ポリプロピレン(サンアロマー社製J139)を4000g投入し、170℃付近でポリプロピレンを溶融させて造粒した。ここで低速回転に切り替え、3分程攪拌した後、全量を冷却用ミキサーに移し替え、熱風式乾燥機で120℃、4時間乾燥した。次に、スクリュー径30mmの同方向2軸押出機(シリンダー温度は190℃に設定)を用いて溶融混練して、ペレットを得た。
【0046】
得られたペレットを用いて、射出成形機(シリンダー190℃、金型温度80℃)で成形し、90×50×3mmtの厚さの板を成形した。成形板の外観を目視検査したが、セルロースの凝集に起因すると思われる白点が数多く確認された。
【0047】
実施例3、4
ホモポリプロピレン(230℃、2.16kgのメルトレートフローが10g/min)100質量部に対して、それぞれ実施例1、2で得た繊維含有添加剤100質量部を混合し、スクリュー径30mmの同方向2軸押出機(シリンダー温度は190℃に設定)を用いて溶融混練して、ペレットを得た。
【0048】
これらのペレットを型締め圧100トン、スクリュー径32mmの射出成形機(シリンダー温度は190℃に設定)により、成形体を製造した。
【0049】
実施例5
実施例1のポリビニルアルコール樹脂の代わりに、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩(CMCダイセル<1330>、ダイセル化学工業社製)40質量部及びグリセリン20質量部を用いた以外は実施例1と同様にして3Lニーダーを用いて、ペースト状の繊維含有添加剤(固形分31.3質量%)を得た。次いで、ペースト状の繊維含有添加剤500gをバットに乗せ、100℃で一昼夜乾燥させた。実施例1と同様の操作で、乾燥、プレスを行い、電子顕微鏡にて確認したところ、粒状の凝集物は見られず、乾燥後であっても水不溶性繊維が凝集することなく分散している状態が確認できた。
【0050】
実施例6
実施例1のポリビニルアルコール樹脂の代わりに、カルボキシメチル化澱粉(キプロガムF-500、日澱化学社製)40質量部及びグリセリン30質量部を用い、90℃で30分混練した以外は実施例1と同様にして3Lニーダーを用いて、ペースト状の繊維含有添加剤(固形分29.4質量%)を得た。次いで、ペースト状の繊維含有添加剤500gをバットに乗せ、100℃で一昼夜乾燥させた。実施例1と同様の操作で、乾燥、プレスを行い、電子顕微鏡にて確認したところ、粒状の凝集物は見られず、乾燥後であっても水不溶性繊維が凝集することなく分散している状態が確認できた。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】実施例1で得られた繊維含有添加剤の電子顕微鏡写真。
【図2】実施例1で得られた繊維含有添加剤を乾燥プレスしたものの電子顕微鏡写真。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)平均繊維径が0.001〜3μmで、平均繊維長が0.01〜1mmであり、繊維径が3mmを超えるものを実質的に含まない水不溶性繊維と(B)水溶性ポリマーを含み、前記(A)成分が凝集することなく分散された含水状態の繊維含有添加剤。
【請求項2】
前記(A)成分の水不溶性繊維が、平均繊維径が0.001〜1μmで、平均繊維長が0.01〜1mmであり、繊維径が1mmを超えるものを実質的に含まないものである、請求項1記載の繊維含有添加剤。
【請求項3】
(A)成分の水不溶性繊維が、天然繊維及び合成繊維から選ばれる1又は2以上のものが機械的手段で微細化されたものである、請求項1又は2記載の繊維含有添加剤。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項記載の繊維含有添加剤から水分が除去された粉状の繊維含有添加剤。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項記載の繊維含有添加剤の製造方法であり、前記(A)成分の水不溶性繊維と前記(B)成分の水溶性ポリマーを混合する、繊維含有添加剤の製造方法。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか1項記載の繊維含有添加剤の製造方法であり、水の存在下、前記(A)成分の水不溶性繊維と前記(B)成分の水溶性ポリマーを混合する、繊維含有添加剤の製造方法。
【請求項7】
請求項1〜4のいずれか1項記載の繊維含有添加剤と合成樹脂を含有する合成樹脂組成物。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2009−263608(P2009−263608A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−146697(P2008−146697)
【出願日】平成20年6月4日(2008.6.4)
【出願人】(501041528)ダイセルポリマー株式会社 (144)
【出願人】(000002901)ダイセル化学工業株式会社 (1,236)
【Fターム(参考)】