説明

繊維基材及びこれを用いた内装材

【課題】目付けが異なる複数の領域を形成して、軽量化とハンドリング剛性の確保とを両立させた繊維基材及びこれを用いた内装材を提供する。
【解決手段】本発明の繊維基材1は、繊維同士が熱可塑性樹脂により結着されてなる板状の基材であって、目付けが異なる複数の領域を有する。また、切欠部7を有し、切欠部7の周辺の領域9の目付けを、周辺の領域9の更に外側の領域11の目付けよりも大きくすることができる。本発明の内装材は、繊維基材1の一面側に表皮層を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維基材及びこれを用いた内装材に関する。更に詳しくは、本発明は、ハンドリング剛性に優れた繊維基材及びこれを用いた内装材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フロアトリム、ルーフトリム、ドアトリム等の車両用内装材、床、天井、カーペット等の建材等、広範な製品分野において、断熱、遮音、緩衝等を目的として板状等の繊維基材が用いられている。
これらの繊維基材は、環境負荷や、コスト低減等の観点から、軽量化が進んでいる。しかし、この軽量化に伴い、次第に繊維基材自体の剛性が低下し、取り扱う際のハンドリングに耐え得る十分な剛性(即ち、ハンドリング剛性)の確保が困難となりつつある。昨今、このハンドリング剛性の限界が、繊維基材の更なる軽量化の妨げとなっている。この問題に対して、剛性を向上させる観点から下記特許文献1及び特許文献2が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−217829号公報
【特許文献2】特開平成8−25489号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1は、強化繊維同士を熱可塑性樹脂により結着させた抄造シートに乾燥後ニードリングを施したスタンパブルシートである。一方、上記特許文献2は、強化用ガラス繊維として大径繊維と、小径繊維と、を混用して剛性を向上させる技術である。いずれも、これらのシート材において剛性を向上させる上で優れた技術であるものの、更なる軽量化と剛性との両立とその向上が求められている。
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、目付けが異なる複数の領域を形成して、軽量化とハンドリング剛性の確保とを両立させた繊維基材及びこれを用いた内装材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記問題を解決するために、請求項1に記載の繊維基材の発明は、繊維同士が熱可塑性樹脂により結着されてなる板状の繊維基材であって、目付けが異なる複数の領域を有することを要旨とする。
請求項2に記載の繊維基材の発明は、請求項1において、切欠部を有し、前記切欠部の周辺の領域の目付けが、前記周辺の領域の更に外側の領域の目付けよりも大きいことを要旨とする。
請求項3に記載の繊維基材の発明は、請求項1又は2において、所定目付けの第1領域から、前記第1領域よりも目付けが小さい第2領域へ向かって徐々に目付けが小さくなるように形成されていることを要旨とする。
請求項4に記載の内装材の発明は、請求項1乃至3のうちのいずれかの前記繊維基材の一面側に表皮層を備えることを要旨とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の繊維基材によれば、軽量化とハンドリング剛性の確保とを両立させることができる。特に、繊維基材の全体を軽量にしつつ、剛性を要する部位だけ局部的に目付けを大きくすることで、ハンドリング時に必要な剛性を効率的に得ることができる。
切欠部の周辺の領域の目付けが、周辺の領域の更に外側の領域の目付けよりも大きい場合には、より効果的にハンドリング剛性を向上させることができる。切欠部の存在によって低下した剛性を、切欠部とその周辺の領域の目付けを大きくすることで確保する一方、切欠部から遠い位置の目付けは小さくすることで、剛性の起伏を小さく抑えて、より優れたハンドリング剛性を得ることができる。
所定目付けの第1領域から、第1領域よりも目付けが小さい第2領域へ向かって徐々に目付けが小さくなるように形成されている場合には、距離と共に徐々に目付けが変化するため、繊維基材の折れ曲がり起点の形成を抑制でき、より優れたハンドリング剛性を得ることができる。
本発明の内装材によれば、軽量化とハンドリング剛性の確保とを両立させることができる。特に、厚みの変化及び表面の起伏が抑制され、意匠性にも優れた内装材とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本発明について、本発明による典型的な実施形態の非限定的な例を挙げ、言及された複数の図面を参照しつつ以下の詳細な記述にて更に説明するが、同様の参照符号は図面のいくつかの図を通して同様の部品を示す。
【図1】第1実施形態の繊維基材の平面図である。
【図2】繊維基材を備える自動車内装を示す斜視図である。
【図3】第2実施形態の繊維基材の斜視図である。
【図4】第3実施形態の繊維基材の斜視図である。
【図5】第4実施形態の繊維基材の平面図である。
【図6】図5の繊維基材の幅方向での目付けの変化の概念を示すグラフである。
【図7】第5実施形態の内装材の断面図である。
【図8】ウェブを積層して繊維基材を得る方法についての説明図である。
【図9】第6実施形態の繊維基材の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を詳しく説明する。
ここで示される事項は例示的なもの及び本発明の実施形態を例示的に説明するためのものであり、本発明の原理と概念的な特徴とを最も有効に且つ難なく理解できる説明であると思われるものを提供する目的で述べたものである。この点で、本発明の根本的な理解のために必要である程度以上に本発明の構造的な詳細を示すことを意図してはおらず、図面と合わせた説明によって本発明の幾つかの形態が実際にどのように具現化されるかを当業者に明らかにするものである。
【0009】
<第1実施形態>
第1実施形態の繊維基材1について図面を参照しつつ説明する。
この繊維基材1は、繊維同士が熱可塑性樹脂により結着されてなる板状の繊維基材である。そして、繊維基材1は、目付けが異なる複数の領域を有することを特徴とする。
図1に示されるように、本実施形態の繊維基材1は、目付けの大きい第1領域3と、第1領域3よりも目付けの小さい第2領域5とを有する。尚、図1におけるハッチングの濃淡の違いは、目付けの違いを表す。ハッチングの色が濃いほど目付けが大きいことを示す(図3−図5も同じ)。また、図1の矢印FRは、この繊維基材1が自動車内装材に用いられた場合の前方側を示す。
【0010】
本実施形態の繊維基材1では、両縁部に帯状に目付けの大きい第1領域3が配されている。よって、両サイドの剛性が高くなっているから、繊維基材1は全体として剛性が高くなる。
従来は、組み立て工程等において作業員が持ち上げたり、運んだりする際に、繊維基材1が湾曲したり、折れ曲がったりして作業性が余り良くなかった。本実施形態では、両縁部に帯状に目付けの大きい第1領域を配することで、この折れ曲がりを抑制して剛性を高め、ハンドリング性を著しく向上させることができる。
【0011】
上記の各領域の目付けは、特に限定されないが、目付けの大きい第1領域3が100〜1000g/mが好ましく、更に200〜900g/mが好ましく、特に、300〜600g/mが好ましい。
目付けの小さい第2領域5は、100〜1000g/mが好ましく、更に150〜800g/mが好ましく、特に、200〜500g/mが好ましい。
【0012】
繊維基材1は、各種の用途において用いられるため、その厚さも特に限定されず、用途等によって適宜の厚さとすることができる。繊維基材1の厚さは、通常、0.5〜200mm、特に0.5〜80mmとすることができ、繊維基材1の厚さが0.5〜200mmであれば、多くの用途において十分な強度等を有し、且つ軽量な部材として用いることができる。
尚、上記第1実施形態では、目付けの異なる領域は、第1領域3と第2領域5との2つとしたが、領域の数(種類)は特に限定されず、3以上であってもよい。
【0013】
繊維基材1を構成する繊維は、熱可塑性樹脂により結着されることで繊維基材1に剛性を付与する繊維であり、繊維基材において強化繊維として機能する。この繊維の種類、長さ及び太さ等は特に限定されない。
【0014】
上記繊維としては、無機繊維、有機繊維及び無機有機複合繊維を用いることができる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。このうち、無機繊維としては、ガラス繊維、炭素繊維(PAN系、ピッチ系、セルロース系等)、金属繊維(アルミニウム、ステンレス等)、セラミック繊維(バサルト、炭化ケイ素、窒化ケイ素等)等が挙げられる。一方、有機繊維としては、合成繊維、天然繊維等が挙げられ、更に、合成繊維としては、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維(アラミド繊維等)、ポリオレフィン系繊維、アクリル系繊維及びビニロン系繊維等が挙げられる。天然繊維としては、植物及び動物に由来する繊維が挙げられる。植物に由来する繊維としては、例えば、ケナフ、マニラ麻、サイザル麻、ジュート麻、綿花、雁皮、三椏、バナナ、パイナップル、ココヤシ、トウモロコシ、サトウキビ、バガス、ヤシ、パピルス、葦、エスパルト、サバイグラス、麦、稲、竹及び各種針葉樹等の各種植物から得られる植物性繊維が挙げられる。
【0015】
特に、繊維として、無機繊維を用いる場合には、熱可塑性樹脂による結着性を向上させる観点から、繊維の表面に、熱可塑性樹脂との親和性を向上させる表面処理を施すことができる。このような表面処理としては、各種カップリング処理(シランカップリング処理等)が挙げられる。
【0016】
更に、繊維の繊維長は、通常、1〜100mmであり、より高い剛性を得るという観点において3〜70mmが好ましく、目付け制御の観点において3〜50mmがより好ましい。一方、繊維の直径は、通常、1〜30μmであり、より高い剛性を得るという観点において5〜25μmが好ましく、目付け制御の観点において7〜25μmがより好ましい。
尚、繊維の繊維長は、JIS L1015における直接法に準拠し、無作為に取り出した1本の繊維を伸張させずに真っ直ぐに延ばし、置尺上で測定した繊維長であり、繊維径は、繊維長を測定した繊維について、長さ方向中央部における径を、光学顕微鏡を用いて測定した値である。
【0017】
また、繊維基材1を構成する熱可塑性樹脂は、複数の繊維同士を結着することで、繊維基材1の形態を維持して剛性を付与する。即ち、熱可塑性樹脂は繊維に対してバインダとして機能する。この熱可塑性樹脂の種類は特に限定されず、熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリアクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ABS樹脂、ポリアセタール系樹脂等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
ポリオレフィン系樹脂としては、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン樹脂;エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン系共重合体;エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体等のポリオレフィン系熱可塑性エラストマー;カルボキシル基又は酸無水物基により変性された変性ポリオレフィン系樹脂等が挙げられる。
ポリエステル系樹脂としては、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン等の脂肪族ポリエステル樹脂;ポリエチレンテレフタレート等の芳香族ポリエステル樹脂が挙げられる。
ポリアクリル系樹脂としては、メタアクリレート、アクリレート等が挙げられる。
本発明においては、ポリオレフィン系樹脂が成形性及び軽比重の観点から好ましく、更には、ポリプロピレン及びポリエチレン等のポリオレフィン樹脂が剛性及び弾性率の観点からより好ましい。
【0018】
繊維基材1に含まれる繊維と熱可塑性樹脂との割合について、繊維の割合は、繊維と熱可塑性樹脂との合計を100質量%とした場合に、通常、10質量%以上65質量%以下である。この割合は、より高い剛性を得るという観点において、15質量%以上55質量%以下が好ましい。
【0019】
尚、繊維基材1には、必要に応じて各種の添加剤が含有されていてもよい。このような添加剤としては、発泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、難燃剤、難燃助剤、軟化剤、繊維基材の耐衝撃性及び耐熱性等を向上させるための無機又は有機の各種充填剤、帯電防止剤、着色剤、可塑剤等が挙げられる。
【0020】
また、本実施形態の繊維基材はどのような製造方法で製造してもよいが、例えば次のような製造方法で製造することができる。
上記繊維基材1は、通常、繊維及び熱可塑性樹脂体を含んだウェブを加熱して、ウェブに含まれた熱可塑性樹脂体を溶融させて、繊維同士を、熱可塑性樹脂体の溶融物で結着した状態で固化して得られる。また、上記ウェブもどのような製造方法で製造してもよいが、通常、下記に説明する乾式法、又は、分散媒内で、繊維と熱可塑性樹脂体とを堆積させる湿式法(図示省略)を利用して得ることができる。
【0021】
上記の乾式法とは、繊維と熱可塑性樹脂体(乾式法では、通常、熱可塑性樹脂繊維を用いる)とを気相中に分散させて混合し、気相中に混合された繊維及び熱可塑性樹脂体を下方に落下堆積させてウェブを得る方法である。一方、湿式法は、分散媒に分散された、繊維及び熱可塑性樹脂体(繊維又は粒子の形態の熱可塑性樹脂)からウェブを抄造する方法である。これらの方法では、いずれの方法においても、必要に応じてウェブにニードリングを施すことができる。
【0022】
更に、得られる繊維基材1に、前述の目付けの異なる領域を形成する方法も特に限定されないが、例えば、乾式法では、図8に例示されるように、繊維と熱可塑性樹脂体とを含んだ所定の目付の基礎ウェブ20上に、基礎ウェブ20と同じ又は異なる目付を有した追加ウェブ21を積層し、得られた積層ウェブを加熱及び冷却して得ることができる。この追加ウェブは必要に応じて何層にも重ねることができる。
このようにして得られた繊維基材1は、積層ウェブ中の熱可塑性樹脂体が溶融されて繊維同士が熱可塑性樹脂体の溶融物により結着された後に固化してなる。
尚、上記追加ウェブの構成は限定されないものの、通常、基礎ウェブと同様に、繊維と熱可塑性樹脂体とを含む。また、得られた積層ウェブは加熱前に、必要に応じてニードリングを施すことができる。更に、積層ウェブを加熱する際には、必要に応じて加熱と同時には又は加熱後に加圧を行うことができる。
【0023】
<第2実施形態>
第2実施形態の繊維基材1について図2及び図3を参照しつつ説明する。図2の自動車内装は、図3の繊維基材1を備えることができる。尚、上記第1実施形態と同一の部分には、同一の符号を付し、構造、作用及び効果の説明は省略する。更に、図1と同様に、ハッチングの濃淡の違いは、目付けの違いを表す。ハッチングの色が濃いほど目付けが大きいことを示す。また、図2及び図3の矢印FRは、自動車における前方側を示し、矢印UPは上方を表す(図4も同じ)。
【0024】
繊維基材1は、切欠部7を有し、切欠部7の周辺の領域9の目付けが、周辺の領域の更に外側の領域11の目付けよりも大きくされている。繊維基材1では、自動車の天井材として取り付けられた際に、各ピラー15やオーバーヘッドコンソール13が配置される部分に対応した切欠部7が形成されている。切欠部7を備える繊維基材1は、組み立て工程等において作業員が持ち上げたり、運んだりする際に、湾曲による負荷や応力が集中し易い。よって、この切欠部7を起点として繊維基材1全体が折れ曲がってしまう場合がある。本実施形態では、切欠部7の周辺の領域9の目付けを大きくすることで、この折れ曲がりを抑制して剛性を高め、ハンドリング性を著しく向上させることができる。
尚、周辺の領域9は、図3に示されるように切欠部7を囲むような帯状の形態とされている。この周辺の領域9の幅は、特に限定されないが、0〜30cm(0cmを含まない)が好ましく、更に0〜20cm(0cmを含まない)が好ましく、特に、0〜15cm(0cmを含まない)が好ましい。
【0025】
<第3実施形態>
第3実施形態の繊維基材1について図4を参照しつつ説明する。図2の自動車内装は、図4の繊維基材1を備えることができる。尚、上記第2実施形態と同一の部分には、同一の符号を付し、構造、作用及び効果の説明は省略する。
自動車の天井材として用いることができる繊維基材1は、図1に示す繊維基材1と同様に、両縁部に帯状に目付けの大きい領域が配されて、繊維基材1の両サイドの剛性が高くなっている。そして、この目付けが大きい領域に各ピラー15が配置される部分に対応した切欠部7が形成されている。即ち、各ピラー15に対応した各切欠部7は、いずれも目付けが大きい領域に含まれるように配置されている。そして、これらの切欠部7の周辺の領域9の目付けは、周辺の領域の更に外側の領域11の目付けよりも大きくされている。
【0026】
第2実施形態と同様に、繊維基材1の切欠部7には、組み立て工程等におけるハンドリング時に負荷や応力が集中し易いが、本実施形態によれば、切欠部7の周辺の領域9の目付けが大きいため、この折れ曲がりを抑制して剛性を高め、ハンドリング性を著しく向上させることができる。
尚、周辺の領域9は、図4に示されるように各ピラー15に対応した位置に配置された切欠部7を含むように帯状の形態とされている。この周辺の領域9の幅は、特に限定されないが、0〜40cm(0cmを含まない)が好ましく、更に0〜30cm(0cmを含まない)が好ましく、特に、0〜25cm(0cmを含まない)が好ましい。
【0027】
<第4実施形態>
第4実施形態の繊維基材1について図5及び図6を参照しつつ説明する。尚、上記第1実施形態と同一の部分には、同一の符号を付し、構造、作用及び効果の説明は省略する。
第4実施形態の繊維基材1は、図5に示されるように、所定目付けの第1領域3から、第1領域3よりも目付けが小さい第2領域5へ向かって徐々に目付けが小さくなるように形成されている。
この目付けの幅方向における変化について図6に示す。図6において、Aは第1領域3の目付けを示し、Cは第2領域5の目付けを示す。この図6では、Bにおいて、第1領域3から第2領域5へ向かって徐々に目付けが小さくなるようにされている。
本実施形態のように、第1領域3から第2領域5へ向かって徐々に目付けが小さくなるようにされていると、第1領域3から第2領域5へ急激に目付けが変化する場合よりも、折れ曲がりの起点ができるおそれが減少する。よって、本実施形態では、折れ曲がりがより抑制されて、ハンドリング性が著しく向上する。
【0028】
<第5実施形態>
第5実施形態の内装材17について図7を参照しつつ説明する。尚、上記第1実施形態と同一の部分には、同一の符号を付し、構造、作用及び効果の説明は省略する。
内装材17は、繊維基材1の一面側に表皮層19を備える。表皮層19は、1層のみからなってもよく、2層以上から形成されてもよい。
この表皮層としては、不織布層(意匠面側のスクリム層等)、織布層(意匠面側のニット層等)、通気止めフィルム層、弾力付与層(ウレタンフォーム層等)、裏基布層等が挙げられる。これらの層は、1層のみを用いてもよく2層以上を併用してもよい。
尚、内装材17が、例えば、通気止めフィルム層を備える場合には、接着剤層を介して、繊維基材1に備えられていてもよい。
【0029】
<第6実施形態>
第6実施形態の繊維基材1について図9を参照しつつ説明する。図2の自動車内装は、図9の繊維基材1を備えることができる。尚、上記第3実施形態と同一の部分には、同一の符号を付し、構造、作用及び効果の説明は省略する。
自動車の天井材として用いることができる繊維基材1は、図4に示す繊維基材1と同様に、両縁部に帯状に目付けの大きい領域が配され、この目付けが大きい領域に各ピラー15が配置される部分に対応した切欠部7が形成されている。更に、繊維基材1は、その中央部にも目付けの大きい領域が配され、この領域にサンルーフを配置できるよう切欠部7a(貫通孔形態の切欠部7a)が形成されている。そして、これらの切欠部7aの周辺の領域9の目付けは、周辺の領域の更に外側の領域11の目付けよりも大きくされている。
【0030】
第3実施形態と同様に、繊維基材1の切欠部7及び切欠部7aには、組み立て工程等におけるハンドリング時に負荷や応力が集中し易いが、本実施形態によれば、切欠部7及び切欠部7aの周辺の領域9の目付けが大きいため、この折れ曲がりを抑制して剛性を高め、ハンドリング性を著しく向上させることができる。
尚、周辺の領域9の幅は、特に限定されないが、0〜40cm(0cmを含まない)が好ましく、更に0〜30cm(0cmを含まない)が好ましく、特に、0〜25cm(0cmを含まない)が好ましい。
【0031】
前述の記載は単に説明を目的とするものでしかなく、本発明を限定するものと解釈されるものではない。本発明を典型的な実施態様を挙げて説明したが、本発明の記述及び図示において使用された文言は、限定的な文言ではなく、説明的及び例示的なものであると理解される。ここで詳述したように、その態様において本発明の範囲又は精神から逸脱することなく、添付の特許請求の範囲内で変更が可能である。ここでは、本発明の詳述に特定の構造、材料及び実施態様を参照したが、本発明をここにおける開示事項に限定することを意図するものではなく、寧ろ、本発明は添付の特許請求の範囲内における、機能的に同等の構造、方法、使用の全てに及ぶものとする。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は、車両及び建材等の広範な製品分野で利用することができ、本発明の繊維基材1は、車両、建材等の広範な製品分野で用いることができ、特に車両の内装材として有用である。例えば、フロアトリム、ルーフトリム、ドアトリム等の各種の内装材の芯材として好適に用いられる。
【符号の説明】
【0033】
1;繊維基材、
3;第1領域、5;第2領域、
7;切欠部、7a;切欠部(貫通孔形態の切欠部)、9;周辺の領域、11;外側の領域、
13;オーバーヘッドコンソール、15;ピラー、
17;内装材、19;表皮層、
20;基礎ウェブ、21;追加ウェブ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維同士が熱可塑性樹脂により結着されてなる板状の繊維基材であって、目付けが異なる複数の領域を有することを特徴とする繊維基材。
【請求項2】
切欠部を有し、前記切欠部の周辺の領域の目付けが、前記周辺の領域の更に外側の領域の目付けよりも大きい請求項1に記載の繊維基材。
【請求項3】
所定目付けの第1領域から、前記第1領域よりも目付けが小さい第2領域へ向かって徐々に目付けが小さくなるように形成されている請求項1又は2に記載の繊維基材。
【請求項4】
請求項1乃至3のうちのいずれかに記載の繊維基材の一面側に表皮層を備えることを特徴とする内装材。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2013−99936(P2013−99936A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−223577(P2012−223577)
【出願日】平成24年10月5日(2012.10.5)
【出願人】(000241500)トヨタ紡織株式会社 (2,945)
【出願人】(595030354)ケープラシート株式会社 (4)
【Fターム(参考)】