説明

繊維強化樹脂の水廻り用成形品とその製造方法

【課題】劣化加速試験後の強度および外観の両方に優れた繊維強化樹脂の水廻り用成形品とその製造方法を提供する。
【解決手段】熱硬化性樹脂およびガラス繊維を含む繊維強化樹脂の水廻り用成形品1であって、成形品1の水と接する側の層であり、モノフィラメント化したガラス繊維3を含む表面層2と、繊維束であるガラス繊維5を含む裏面層4とを備え、ガラス繊維3、5の含有量が15〜30質量%であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維強化樹脂の水廻り用成形品とその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
繊維強化樹脂(FRP)は高強度かつ成形性に優れ、浴槽・浴室ユニット、システムキッチン等の水廻り用の住設機材に用いられている。これらの製品は、長期使用時における強度および耐久性が必要とされている。
【0003】
長期使用時における耐久性の一つとして耐熱水性が検討されており、その評価には熱水試験やプレッシャークッカー(PCT)試験等の劣化加速試験が用いられ、ブリスター(ふくれ)の発生により評価されている(非特許文献1)。PCT試験は短時間で評価が可能であり、9℃半減則により試験時間150時間で30年相当の劣化成形品が得られることが明らかとなっている。
【0004】
従来、FRPのガラス繊維には、開繊度の低いものが用いられており、劣化加速試験後においても優れた強度保持率を有するが、ブリスターの発生により外観が低下する。
【0005】
FRPの外観および強度を向上させる方法として、特許文献1には、開繊度の異なるガラス繊維を含む複数層からFRPを構成する技術が記載されている。この技術では、厚み方向の両側の外層部に開繊度の低いガラス繊維を含むシートモールディングコンパウンドを配置する。そして厚み方向の中央部に開繊度の高いガラス繊維を含むシートモールディングコンパウンドを配置する。その後、これらの積層体を加熱加圧して成形する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−127445号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】「強化プラスチックス」、vol.50、No.8、溝口真知子、清水正良、藤井善道、濱田泰以
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載の技術においては開繊度の低いガラス繊維が成形品の表面に配置されているため、劣化加速試験を行うと、ブリスターの発生が起こり易くなる。そのため、劣化加速試験後の強度および外観を両立させることは困難である。
【0009】
本発明は、以上の通りの事情に鑑みてなされたものであり、劣化加速試験後の強度および外観の両方に優れた繊維強化樹脂の水廻り用成形品とその製造方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の水廻り用成形品は、熱硬化性樹脂およびガラス繊維を含む繊維強化樹脂の水廻り用成形品であって、成形品の水と接する側の層であり、モノフィラメント化したガラス繊維を含む表面層と、繊維束であるガラス繊維を含む裏面層とを備え、ガラス繊維の含有量が15〜30質量%であることを特徴とする。
【0011】
この水廻り用成形品において、124℃、0.23MPa、150時間、両面浸漬の劣化加速試験後の曲げ強度が55MPa以上であることが好ましい。
【0012】
本発明の水廻り用成形品の製造方法は、前記の水廻り用成形品を製造する方法であって、高開繊度であるガラス繊維を含む表面層用のシートモールディングコンパウンドと、前記高開繊度であるガラス繊維よりも低開繊度であるガラス繊維を含む裏面層用のシートモールディングコンパウンドとを積層し、加熱加圧成形する工程を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の水廻り用成形品によれば、劣化加速試験後の強度および外観の両方に優れたものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の水廻り用成形品の実施形態を模式的に示した断面である。
【図2】モノフィラメント化したガラス繊維を含む表面層の拡大SEM像である。
【図3】繊維束であるガラス繊維を含む裏面層の拡大SEM像である。
【図4】SMCの成形方法の概略を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明を詳細に説明する。
【0016】
図1は、本発明の水廻り用成形品の実施形態を模式的に示す断面図である。
【0017】
この水廻り用成形品1は、熱硬化性樹脂およびガラス繊維を含む繊維強化樹脂の成形品であり、表面層2と裏面層4とを備えている。
【0018】
表面層2は、成形品の水と接する側、すなわち製品表面側の層であり、モノフィラメント化したガラス繊維3を含む。この表面層2は、ガラス繊維3がモノフィラメント化されているため劣化加速試験後においてモノフィラメント化したガラス繊維3と樹脂との界面が水分により劣化を受ける。そして界面に沿って破壊が進行するため強度の低下が比較的起こり易くなる。一方で、モノフィラメント化されているため繊維束内に水分を取り込まないことから、ブリスターの発生を抑制するため外観に優れる。
【0019】
裏面層4は、繊維束であるガラス繊維5を含む。この裏面層4は、繊維束であるガラス繊維5が繊維束で存在するため劣化加速試験後においてもガラス繊維束で応力を負担する。そのため初期強度からの高い保持率を有する。一方で、繊維束内に水分を取り込むためブリスターが発生し、外観が劣化し易くなる。
【0020】
本発明では、モノフィラメント化したガラス繊維3と繊維束であるガラス繊維5とを積層することで、劣化加速試験後においても、繊維束であるガラス繊維5による優れた強度と、モノフィラメント化したガラス繊維3による優れた外観とを併せ持つ耐久性に優れた水廻り用成形品1を得ることができる。
【0021】
すなわち、この水廻り用成形品1は、製品裏面側の繊維束であるガラス繊維5による変形能力および応力負担能力による優れた強度保持率と、製品表面側のモノフィラメント化したガラス繊維3による優れた外観とを併せ持つ。
【0022】
そして本発明では、強度および外観を両立させるために、モノフィラメント化したガラス繊維3および繊維束であるガラス繊維5の合計含有量を15〜30質量%としている。当該含有量が少な過ぎると、水廻り用成形品1の強度が十分でない箇所が生じる場合がある。当該含有量が多過ぎると、ブリスターあるいは繊維量増加による平滑性の低下等により外観が悪化する場合がある。
【0023】
次に、本発明におけるモノフィラメント化したガラス繊維3および繊維束であるガラス繊維5の開繊状態について走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察したSEM像により説明する。
【0024】
図2は、モノフィラメント化したガラス繊維3を含む表面層2の拡大SEM像である。このように、モノフィラメント化したガラス繊維3を含む表面層2は、ガラス繊維内部まで樹脂が浸透し、繊維がモノフィラメント化した状態のことを示す。
【0025】
図3は、繊維束であるガラス繊維5を含む裏面層4の拡大SEM像である。このように、繊維束であるガラス繊維5を含む裏面層4は、ガラス繊維内部に樹脂が浸透せず、繊維が束として存在している状態のことを示す。
【0026】
すなわち、モノフィラメント化したガラス繊維3は、開繊度を高くして個々の繊維の分散性を良くしたものであり、繊維束であるガラス繊維5は、開繊度を低くして個々の繊維を分散し過ぎないように調整したものである。
【0027】
本発明の水廻り用成形品は、高開繊度であるガラス繊維を含む表面層用のシートモールディングコンパウンドと、前記高開繊度であるガラス繊維よりも低開繊度であるガラス繊維を含む裏面層用のシートモールディングコンパウンドとを積層し、加熱加圧成形して得られたものであることが好ましい。
【0028】
この場合、表面層のモノフィラメント化したガラス繊維3は、原料のガラス繊維として高開繊度のものを用いて個々の繊維の分散性を良くしたものを用いることが好ましい。一方、裏面層の繊維束であるガラス繊維5は、原料のガラス繊維として低開繊度のものを用い、個々の繊維を分散し過ぎないように調整したものを用いることが好ましい。
【0029】
原料のガラス繊維は、シートモールディングコンパウンドが、加圧ロールに通される時、養生時、加圧プレス時等に開繊度に応じて開繊し、上記構成の成形品が得られる。
【0030】
原料の高開繊度であるガラス繊維および低開繊度であるガラス繊維は、ガラスロービングを所定寸法に切断したチョップドストランドである。このガラスロービングを得る際には、ノズルから引き出された数百本から数千本の多数のガラスフィラメントに集束剤を塗布した後に集束機で集束してストランドを作製する。このストランドをトラバースにより綾掛けしながらワインダーに取り付けた紙管に巻き取る。このようにして作製した複数のケーキをロービングワインダーにより解繊し、複数本引き揃えて再度巻き取ることによりガラスロービングが得られる。
【0031】
集束剤の成分には、例えば、フィルム形成剤、表面処理剤、潤滑剤、静電防止剤、水等が含まれる。
【0032】
フィルム形成剤としては、例えば、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂等を用いることができる。
【0033】
表面処理剤としては、例えば、シラン系表面処理剤、チタン系表面処理剤等を用いることができる。シラン系表面処理剤としては、例えば、ビニルシラン、アクリルシラン、エポキシシラン、アミノシラン等を用いることができる。
【0034】
高開繊度であるガラス繊維および低開繊度であるガラス繊維の切断寸法は、10〜50mm程度が好ましく、より好ましくは20〜30mmである。
【0035】
一般に、カットして得られたチョップドストランドは解繊されるが、この開繊度はガラスロービングの集束剤の種類および目付量により調整することができる。
【0036】
表面層2および裏面層4の熱硬化性樹脂としては、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ジアリルテレフタレート樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコン樹脂等を用いることができる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。中でも、不飽和ポリエステル樹脂が好ましい。
【0037】
不飽和ポリエステル樹脂は、不飽和二塩基酸を単独または飽和二塩基酸と併用する形でグリコールとエステル化反応して得られる。
【0038】
不飽和二塩基酸としては、例えば、無水マレイン酸、フマル酸等を用いることができる。飽和二塩基酸としては、例えば、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、アジピン酸、ヘット酸等を用いることができる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0039】
グリコールとしては、例えば、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、エチレングリコール、水素添加ビスフェノール等を用いることができる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0040】
SMCには、上記の成分以外に、必要に応じて他の成分を配合することができる。このような他の成分としては、例えば、架橋モノマー、硬化剤、低収縮剤、重合禁止剤、増粘剤、充填剤、着色剤、硬化促進剤、製造上の粘度調製のための減粘剤、トナーの分散性向上のための分散調整剤等を挙げることができる。
【0041】
架橋モノマーとしては、例えば、スチレン、メタクリル酸メチル、モノクロロスチレン、ジアリルテレフタレート等のビニルモノマー等を用いることができる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0042】
硬化剤としては、例えば、t−アミルパーオキシイソプロピルカーボネート等のパーオキシジカーボネート類、ケトンパーオキサイド類、ハイドロパーオキサイド類、ジアルキルパーオキサイド類、パーオキシケタール類、ジアルキルパーオキサイド類、パーオキシエステル類、アルキルパーエステル類等の有機過酸化物等を用いることができる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0043】
低収縮剤としては、例えば、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリブタジエン、ポリカプロラクトン等の熱可塑性樹脂等を用いることができる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0044】
重合禁止剤としては、例えば、p−ベンゾキノン、ハイドロキノン、ナフトキノン、トルハイドロキノン、t−ブチルカテコール等を用いることができる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0045】
増粘剤としては、例えば、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等を用いることができる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0046】
充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、シリカ、硫酸バリウム、クレー、タルク、ガラスビーズ、アルミナ、マイカ等を用いることができる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0047】
着色剤としては、例えば、有機または無機の顔料やそれを用いたトナー等を用いることができる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0048】
硬化促進剤としては、例えば、ナフテン酸コバルト、ジメチルアニリン等を用いることができる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0049】
そして本発明の水廻り用成形品1は、例えば、上記の各成分を含有するSMCを加圧加熱成形することにより得ることができる。
【0050】
SMCは、例えば、公知のSMC製造装置により作製することができる。その一例を説明すると、不飽和ポリエステル樹脂と架橋性モノマーと硬化剤とを含有する樹脂組成物(コンパウンド)を、フィルム上に均一の厚さになるように塗布する。その上に高開繊度または低開繊度であるガラス繊維ロービングを1インチ程度の長さに切断、散布する。その後、その片側に同じく樹脂組成物を塗布したフィルムを、散布したガラス繊維が挟まれるように重ねる。これを加圧ロールで含浸し、脱泡を行い1〜8mm程度の所定厚みのシート状にする。これを35℃〜45℃程度で一定期間熟成させ、コンパウンドを増粘させることにより、SMCを得ることができる。
【0051】
このSMCを用いて成形を行う際には、例えば、図4に示すように、上金型6、下金型7を用いて行うことができる。下金型(コア)7の製品表面側を成形する面に向けて高開繊度であるガラス繊維を含むSMC2aを配置する。そして低開繊度であるガラス繊維を含むSMC4aを上金型(キャビティ)6の製品裏面側を成形する面に向けて配置する。上金型6、下金型7によりSMC2a、4aを加熱加圧することによりこれらが積層される。成形条件は、特に限定されないが、例えば、成形圧力3〜10MPa、金型温度125〜150℃、成形時間3〜7分で行うことができる。
【0052】
このようにして、強度および外観の両方に優れた水廻り用成形品1を得ることができる。例えば、124℃、0.23MPa、150時間、両面浸漬の劣化加速試験後の曲げ強度が55MPa以上である水廻り用成形品1を得ることができる。本発明の水廻り用成形品1は、浴槽・浴室ユニット、システムキッチン等に好適である。
【0053】
以上に、本発明について説明したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲内において各種の変更が可能である。例えば、上記においては、2枚のSMCを積層した場合について説明したが、2枚に限らず、各SMCに含ませるガラス繊維の開繊度を異ならせて3枚以上を積層するようにしてもよい。
【実施例】
【0054】
以下に、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
<実施例1>
不飽和ポリエステル樹脂80質量部に、低収縮剤としてポリスチレン樹脂20質量部、硬化剤としてt−アミルパーオキシイソピルカーボネート1質量部、重合禁止剤としてp−ベンゾキノン0.7質量部、離型剤としてステアリン酸7質量部、充填剤として炭酸カルシウム160質量部、増粘剤として酸化マグネシウム1質量部、着色剤としてトナー7質量部を混合しSMC用コンパウンドを得た。
【0055】
なお、不飽和ポリエステル樹脂は、溶媒としてのスチレンモノマーを40質量%含有する樹脂溶液であり、昭和高分子(株)製 M−640LSを用いた。
【0056】
次に、このように調製したコンパウンドをフィルムに均一な厚みになるように塗布し、そこに高開繊度であるガラス繊維または低開繊度であるガラス繊維60質量部を散布した。その後、その上に、散布したガラス繊維を挟み込むようにコンパウンドを塗布したフィルムを重ね、これをロールで加圧し、コンパウンドをガラス繊維に含浸させてSMCを作製した。
【0057】
その後、40℃で24時間熟成させ、開繊度の異なるSMCを得た。なお、ガラス繊維は1インチにカットしたものを用いた。
【0058】
このようにして作製した高開繊度であるガラス繊維を含むSMCを下金型に配置し、その上に低開繊度であるガラス繊維を含むSMCを積層し、以下の条件で成形して目的とする水廻り用成形品を得た。
[成形条件]
SMC質量:高開繊度であるガラス繊維を含むSMC 450g
低開繊度であるガラス繊維を含むSMC 450g
金型寸法:300×300mm(成形品板厚 6mm)
成形温度:表面側(下金型)145℃ 裏面側(上金型)135℃
成形圧力:7MPa
成形時間:4分
<実施例2、3および比較例1、2>
ガラス繊維の配合量を表1に示すように変更した以外は実施例1と同様にして水廻り用成形品を得た。
<比較例3>
ガラス繊維の配合量を表1に示すように変更し、低開繊度であるガラス繊維のみを含むSMCを金型に配置して成形を行った。それ以外は実施例1と同様にして水廻り用成形品を得た。
<比較例4〜6>
ガラス繊維の配合量を表1に示すように変更し、高開繊度であるガラス繊維のみを含むSMCを金型に配置して成形を行った。それ以外は実施例1と同様にして水廻り用成形品を得た。
【0059】
上記のようにして作製した実施例および比較例の水廻り用成形品について、劣化加速試験に基づいて次の評価を行った。成形品の劣化加速試験はプレッシャークッカー試験により、124℃、0.23MPa、150時間、両面浸漬の条件で行った。
[曲げ強度]
成形品の劣化加速試験前後での曲げ強度(初期強度、劣化後強度)をJIS K7171に準拠して測定した。押し込み面は製品面とした。
[外観]
成形品の外観を目視で観察し、劣化加速試験後においてブリスターの面積が総面積に対して10%以下のものを「○」、10%を超えるものを「×」とした。
【0060】
評価結果を表1に示す。
【0061】
【表1】

【0062】
表1より、実施例1〜3は、劣化加速試験後の曲げ強度が55MPa以上で、かつブリスターの面積が総面積に対して10%以下であり、高強度かつ優れた外観を有する耐久性の高い成形品を得ることができた。
【0063】
これに対して、比較例1は、ガラス繊維量が少ないため、部位による強度バラつきが大きく、品質の悪いものであった。比較例2はガラス繊維量が多いため、ブリスターの発生やガラス繊維目が現われるなど外観が悪化した。
【0064】
比較例3は、劣化加速試験後の曲げ強度は実施例1と同等であるが、ブリスターの発生やガラス繊維目が現われるなど外観が悪化した。
【0065】
比較例4〜6は、劣化加速試験後の外観は良好であるが、曲げ強度はガラス繊維量が同じである実施例1〜3と比較すると低いものであった。
【符号の説明】
【0066】
1 水廻り用成形品
2 表面層
3 モノフィラメント化したガラス繊維
4 裏面層
5 繊維束であるガラス繊維

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱硬化性樹脂およびガラス繊維を含む繊維強化樹脂の水廻り用成形品であって、成形品の水と接する側の層であり、モノフィラメント化したガラス繊維を含む表面層と、繊維束であるガラス繊維を含む裏面層とを備え、ガラス繊維の含有量が15〜30質量%であることを特徴とする水廻り用成形品。
【請求項2】
124℃、0.23MPa、150時間、両面浸漬の劣化加速試験後の曲げ強度が55MPa以上であることを特徴とする請求項1に記載の水廻り用成形品。
【請求項3】
請求項1または2に記載の水廻り用成形品を製造する方法であって、高開繊度であるガラス繊維を含む表面層用のシートモールディングコンパウンドと、前記高開繊度であるガラス繊維よりも低開繊度であるガラス繊維を含む裏面層用のシートモールディングコンパウンドとを積層し、加熱加圧成形する工程を含むことを特徴とする水廻り用成形品の製造方法。

【図1】
image rotate

【図4】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2012−1607(P2012−1607A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−136552(P2010−136552)
【出願日】平成22年6月15日(2010.6.15)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】