説明

繊維性物質/シリコーン複合体を得るための方法およびその繊維性物質/シリコーン複合体

本発明は架橋結合された繊維性物質/シリコーンエラストマーの複合体を得るための方法に、および織物の基本設計概念の分野において得に用いることができる前記複合体に関する。この方法は毛管上昇の問題を解消することができ、およびコートされた織物の粘着の保存および異なるシリコーン層の間の層間剥離の危険性を制限するために用いることができる。その方法は、それが次の主要な段階を、言及される順で具えることを特徴とし、すなわち、1)織物の基材の面の1種を、第1の液体の、エラストマー中に架橋結合させることが可能なシリコーン組成物で、および架橋結合の前に25℃で5000および200000mPa.sの間の動的粘度をもつものを用いてコートすること、2)織物の基材上に適用された第1の液体シリコーン組成物を架橋結合させること、3)織物の基材の他の面を、第2の液体の、エラストマー中に架橋結合させることが可能なシリコーン組成物を用いてコートすることであり、前記第2のシリコーン組成物は、織物の基材のコアの含浸のために、架橋結合の前に、25℃で2000mPa.sより小さいか、またはそれに等しい動的粘度をもち、および第2のシリコーン組成物上にその後適用される随意の組成物の接着のために十分な数の反応性基を、架橋結合の後にもち、4)織物の基材を含浸させる第2のシリコーン組成物を架橋結合させることを具える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維性物質/架橋結合されたシリコーンエラストマーの複合体を得るための方法および前記繊維性物質/架橋結合されたシリコーンの複合体に関する。
【背景技術】
【0002】
このタイプの複合体は、より一層詳しくは、織物(textile)の基本設計概念(architecture)の分野において用いることができ、そこでは、複合体は、ポリマーまたはガラスファブリック(ガラス布地)のような繊維性支持体を備えて用いられ、それは、シリコーンエラストマーコーティングでその表面の各々の上でコート(被覆)され、それは、それ自体、ワニスの層でコートされうる。
【0003】
標準的な様式において(とりわけ、フレキシブル(柔軟)な支持体で、織られた支持体または不織の支持体のようなもの)の処置は、エラストマー中に架橋結合させることができる液体シリコーン組成物を用い、組成物がエマルジョン類または溶液であるとき、コーティングによって、そしてほとんどの場合、含浸によって遂行される。
【0004】
シリコーンコーティングは、繊維性支持体、とりわけ織物を、架橋結合させることができる液体シリコーン組成物を用いてコーティングすること、次いで、支持体上にコートされたフィルムを、意図されたコーティングを生産し、とりわけそれを保護するために、架橋結合し、特定の品質をそれに供与し、例えばそれに疎水性/疎油性(oleophobic)および不浸透性の特徴または改善された機械的特性を与えることでの作用として規定され、またはその外観を修飾することのためにも適切である。
【0005】
含浸は、まさに流体の架橋結合可能なシリコーン系の液体を生じさせ、繊維性支持体の内部に浸透され(コア貫通)、次にシリコーンが支持体に上述のタイプの特性を供与するために、架橋結合されることでの作用として規定される。
【0006】
実際には、織物の支持体上のシリコーンエラストマーコーティングは、シリコーンの固有の特徴に関連付けられる非常に多くの利点をもつ。これらの複合体は、とりわけ良好なフレキシビリティ(柔軟性)、良好な機械の強さおよび改善された燃焼挙動をもつ。
【0007】
そのうえ、慣習的なエラストマーとは異なり、シリコーンは、なによりも、大きな寿命だけでなく、それらの撥水性および化学物質による、熱的な、および気候上の攻撃に対するそれらの優れた抵抗性のために適した保護を供与する。
【0008】
これらの特性は、シリコーンエラストマーが特に織物の基本設計概念(アーキテクチャー)の分野において有効であることを確実にし、そこでは、織物−ポリマー複合体は、複合体の機械的な特徴、および種々の外部攻撃およびその永続性に対するその抵抗性の双方をカバーする膨大な数の制限的な設計書(specifications)に影響を受ける。例えば、複合体の織物のコア(芯)における毛管上昇の問題を避けるために、シリコーンの撥水性の性質は、防水加工(water-proofing)の特性に、および複合体の織物のコアの繊維の保護に対して好都合である。
【0009】
しかし、コーティングによるシリコーンの堆積の方法は、短所を持つことがある。実際、これらの要素に曝される基本設計概念上の組織は、縁部からの毛管上昇効果を見せてはならず、それはそれらの美学上の外観に、およびそれらの耐用年数に対して有害である。コーティングは、それが遂行されるとき、毛管上昇の現象に相対して繊維性物質を保護するための効果的技術を表さない。実際、織物のスレッド(衣服)は、保護するために、特に良好にコートされなければならない。
【0010】
このことを改善するため、欧州特許出願EP1525277において記述されるもののような、エラストマー中に架橋結合されることができるRTV−2タイプの、流体の液体シリコーン組成物によって、繊維性物質のコア含浸の技術に頼ることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1525277号(国際公開第2004/013241号)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
それでもなお、この流体組成物の使用は、コア含浸の段階(ステージ)を、時には難しく、および織物支持体で、パディング(詰め物)のようなものの繊維の内部に含浸を強いる関連した設備と一緒の方法に関与する基本的操作を必要とする。
【0013】
含浸生成物の流動性に関する制限は、それが架橋結合されるとき、それが発達させる機械的特性である。実際、エラストマーの架橋結合の化学に関して、達成される機械的特性は、一般的に、組成物における前駆体ポリマーのモル質量、すなわち、それらの粘性、低粘度(低いモル質量)について、重要な機械的な特徴で、高い伸びおよび良好な引裂強度のようなものを許さない。このことにより、溶媒による希釈のような他のプロセスに頼ることに関与する制限がもたらされ、この後者のプロセスは、それ自体、環境および安全上の理由のために、堆積機械(deposition machinery)上で制限される。
【0014】
さらに、含浸方法は、流体の含浸エラストマーが適用される機械的セクションを出てからの含浸された織物の凝集(cohesion)に対して有害である。これにより完成した物品の品質に対して有害な織物における歪みがもたらされることがある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者は、したがって、繊維性物質/架橋結合されたシリコーンエラストマーの複合体を得るための新しい方法を開発しようとしたものであり、それは、意図する組成物において、より一層特に、織物の基本設計概念のための、毛管上昇の問題を解消するための既知の方法に対する選択肢を提供する。
【0016】
本発明の別の本質的な目的は、最終生成物の品質を損なわないように、コートされた繊維性物質の凝集を保存する複合体を得るための方法を提案することである。
【0017】
別の本質的な目的では、本発明は、層間剥離の危険性を制限し、および異なるシリコーン層の間の良好な接着を保証する繊維性物質/シリコーン複合体を得るための方法を提案することである。
【0018】
これらの目的は、その中でも、本発明によって達成され、それはまず、繊維性物質(fibrous material)/架橋結合されたシリコーンエラストマーの複合体(cross-linked silicone elastomer composite)を得るための方法であって、次の主要な段階を少なくとも具え、指示される順で、すなわち
1)繊維性支持体の表面の1種を、第1の液体シリコーン組成物を用いてコートすることであり、それはエラストマー中に架橋結合させることができ、および架橋結合の前に25℃で5,000および200,000mPa.sの間が包含される動的粘度(dynamic viscosity)をもち、
2)繊維性支持体上にコートされた第1の液体シリコーン組成物を架橋結合させること、
3)繊維性支持体の他の表面を、第2の液体シリコーン組成物を用いてコートすることであり、それはエラストマー中に架橋結合させることができ、前記第2のシリコーン組成物は、
→ 繊維性支持体の繊維中に浸透するために、架橋結合の前に、25℃で2,000mPa.sより小さいか、またはそれに等しく、好ましくは、1,500mPa.sより小さいか、またはそれに等しく、およびさらにより一層優先的には1,000mPa.sより小さいか、またはそれに等しい動的粘度をもち、
→ および第2のシリコーン組成物上にその後コートされる随意の組成物の接着(adhesion)を許すように、架橋結合の後に、十分な数の残余の反応基をもち、
4)繊維性支持体の繊維中に浸透された第2の液体シリコーン組成物を架橋結合させること
を遂行することを特徴とする方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本開示において、指示される粘度(viscosities)は、BROOKFIELD(ブルックフィールド)粘度計を用い、1982年5月のAFNOR標準NFT 76 106に従って、25℃で測定される動的粘度のレベルに対応する。
【0020】
本発明の方法に従い。第2の組成物はまさしく流体であり、および繊維性支持体の表面に対して適用(塗布)され、そのものの他の表面は、シリコーンエラストマーで既にコート(被覆)されており、それはより一層粘性のある組成物から得られる。これは、第1に、既にコートされており、表面は良好な凝集を有する繊維性支持体を提供し、その結果、第2の、まさしく流体の、その組成物の適用がおおいに促進され、そこには変形はなく、その変形はそれがまさしく流体の組成物によってコアが湿らされることから得られる繊維性支持体の軟化によるものである。
【0021】
さらに、第1の、既にコートされた、その表面は、第2の、まさしく流体の、その組成物が繊維性支持体を通じて流れるのを防ぐ不浸透性の層を構成する。
【0022】
また、本発明にかかるコーティングおよび架橋結合の段階の順番(シークエンス)に従い、第1および第2のシリコーン組成物はそれぞれ、繊維性支持体の表面の各々にそれぞれ適用される。したがって、第1および第2のシリコーン組成物は、異なった適用された層の間の層間剥離の危険性が制限されるように、繊維性支持体において各々機械的にアンカー的に固定される。
【0023】
本発明に従う方法の履行のための好適な方法によれば、少なくとも1種の追加のコーティングおよび架橋結合の段階5)が提供され、段階4)の後に遂行される。
【0024】
特に好ましい仕方(マナー)において、追加のコーティングおよび架橋結合の段階5)は、段階3)においてコートされ、および段階4)において架橋結合された表面を、第3の液体シリコーン組成物でコートすることに関与し、それはエラストマー中に架橋結合させることができ、および架橋結合の前に25℃で5,000および200,000mPa.sの間が包含される動的粘度をもち、および前記コートされた組成物が架橋結合される。
【0025】
この第3のシリコーン組成物は、第1のシリコーン組成物と同じか、またはそれと異なることができる。
【0026】
繊維性支持体の表面の各々の少なくとも1種のシリコーンコーティング(被膜)を、粘性のあるシリコーン組成物と、および少なくとも1種のコーティングを、より一層多くの流体性のシリコーン組成物と組み合わせる処理は、本発明の方法に従い、それが繊維中に浸透し、それは繊維性物質の品質を確実にし、その特性はそれが、特に毛管上昇に対する抵抗性を、他の機械的特性、撥水性仕上げ(water-repellent finish)、耐火性および外観を損なわずに修飾されるよう求められる。
【0027】
ワニスの層のような他の生成物の使用はまた、求められた特性に依存して提供されうる。
【0028】
繊維性支持体をコートするための一般的な技術は、この技術において熟練する者によく知られ、ドクターブレード、とりわけ、ロール上のドクターブレード、浮動ナイフ(floating knife)、およびベルト上のドクターブレード、キスローラー(lick roller)、“リバースロール”、トランスファー(移動)、スプレーイング(噴霧)である。
【0029】
好ましくは、段階1、3および5のコーティングはドクターブレードを使って遂行される。
【0030】
各々のコーティングの後、乾燥および架橋結合を、好ましくはホットエア(温風)または赤外線によって、例えば、30秒および5分の間で、繊維性支持体の分解温度を超えない架橋温度で、例えば、50および200℃の間を包含する温度で遂行する。
【0031】
本発明において用いる液体のシリコーン組成物は、付加、凝縮、デヒドロゲノコンデンセーション(脱水素凝縮)、ラジカル(radicular)またはUV反応、またはこれらの異なる種類の反応を組み合わせる混合したシステムによって架橋結合することができる組成物である場合がある。
【0032】
好ましくは、本発明において用いられる液体シリコーン組成物、およびより一層詳しくは、段階1および3においてコートされるそれらのものは、重付加(ヒドロシリル化)によって架橋結合されることができ、とりわけ、2つの成分のタイプ(RTV−2として既知)のものであり、および次の
(A)≡Si−アルケニル(好ましくは、≡Si−ビニル)単位を有する少なくとも1種のポリオルガノシロキサン(POS)、
(B)≡Si−H単位を有する少なくとも1種のポリオルガノシロキサン(POS)、
(C)少なくとも1種の触媒で、好ましくは、白金族に属する少なくとも1種の金属が包含されるものの触媒作用に有効な量、
(D)随意に、少なくとも1種の接着プロモーター(adhesion promoter)、
(E)随意に、少なくとも1種の無機充填剤(mineral filler)、
(F)随意に、少なくとも1種の架橋結合インヒビター(抑制物質)、および
(G)随意に、特定の特性を授けるための機能性添加物質(functional additives)
を備える。
【0033】
本開示において、次の“シリコーン”命名法について言及し、それはシロキシ単位(“Chemistry and technology of silicones(シリコーンの化学および技術)”、Walter NOLL(ウォルター・ノル)Academic Press(アカデミック・プレス社)1968年、表1、第3頁”)を表すためのものであり、すなわち
・ M:(R°)SiO1/2
・ MAlk:(R°)(Alk)SiO1/2
・ D:(R°)SiO2/2
・ DAlk:(R°)(Alk)SiO2/2
・ M´:(R°)(H)SiO1/2
・ D´:(R°)(H)SiO2/2
・ MOH:(R°)(OH)SiO1/2
・ DOH:(R°)(OH)SiO2/2
・ T:(R°)SiO3/2
・ Q:SiO4/2
式中、R°は1から8個までの炭素原子をもつ線状または分枝のアルキル基(例は、メチル、エチル、イソプロピル、tert(ターシャル)−ブチルおよびn−ヘキシル)で、随意に、少なくとも1種のハロゲン原子による置換(例は、トリフルオロ−3,3,3のプロピル)を含めたものから、ならびにアリール基(例は、フェニル、キシリルおよびトリル)から選ばれ、
Alk=アルケニル、好ましくは、ビニル(Viで示す)、またはアリル
のものである。
【0034】
ポリオルガノシロキサンPOS(A)は好ましくは、次の式、すなわち
SiO(4−(a+b))/2 (A.1)
式中、
− Wは、アルケニル基、好ましくは、C−Cアルケニル、およびさらに一層優先的には、ビニルであり、
− Zは、一価の炭化水素基であり、触媒の活性に対し不利な効果を有さず、および1から8までの炭素原子をもち、随意に、少なくとも1種のハロゲン原子による置換を含むアルキル基から、ならびにアリール基から選ばれ、
− aは1または2であり、bは0、1または2であり、およびa+bは1、2または3に等しいもの
である単位、
および随意に、次の平均の式、すなわち
SiO(4−c)/2 (A.2)
式中、Zは上記と同じ意味を持ち、およびcは0、1、2または3であるもの
である他の単位をもち、
Z基は同じか、または異なってもよい。
【0035】
“アルケニル”によって、置換され、または非置換の、線状または分枝状の、不飽和の炭化水素鎖が意味され、それは、少なくとも1種のオレフィン二重結合、およびより一層好ましくは、単一の二重結合をもつ。好ましくは、“アルケニル”基は2から8個までの炭素原子、より一層良好には2から6個までをもつ。この炭化水素鎖は随意に、O、N、Sのような少なくとも1種のヘテロ原子を備える。
【0036】
“アルケニル”基の好適例は、ビニル、アリルおよびホモアリルの基であり、ビニルが特に好ましい。
【0037】
“アルキル”によって、線状または分枝状、環状、飽和炭化水素鎖、随意に置換された(例は、1種またはそれよりも多くのアルキルによって)、好ましくは1から10個までの炭素原子を有し、例えば、1から8個までの炭素原子を有し、さらにより一層良好には1から4個までの炭素原子を有するものを意味する。
【0038】
アルキル基の例は、とりわけ、メチル、エチル、イソプロピル、n−プロピル、tert−ブチル、イソブチル、n−ブチル、n−ペンチル、イソアミルおよび1,1−ジメチルプロピルである。
【0039】
表現“アリール”は、芳香族炭化水素基を指摘し、それは6から18個までの炭素原子をもち、それは、単環式または多環式であり、そして好ましくは、単環式または二環式である。本発明のフレームワークの範囲内で、多環式の芳香族ラジカルによって、2またはそれよりも多くの芳香核(aromatic nuclei)をもち、互いに凝縮された(オルト凝縮された(orthocondensed)またはオルトおよびペリ凝縮された)もので、すなわち、二つ一組で、少なくとも2つの炭素原子を共通してもつラジカルを意味されると理解しなければならない。
【0040】
“アリール”の例として、フェニル、キシリルおよびトリルのラジカルが例で言及することができる。
【0041】
もちろん、変異形により、POS(A)は、POS(A)と同じ規定に対応するいくつか(5または6くらい)の油の混合物であることができる。
【0042】
POS(A)は単独で、式(A.1)の単位によって形成されることができ、または式(A.2)の単位を含むこともできる。
【0043】
変異形に従い、POS(A)は、線状ポリマーであることができ、そのジオルガノポリシロキサン鎖はシロキシ単位DまたはDViによって本質的に構成され、そして各端部でシロキシ単位MまたはMViによってブロックされる。そのようなPOS(A)は、本発明において用いられる液体シリコーン組成物の1種において存在することができ、例えば、第1および随意に第3のシリコーン組成物である。
【0044】
好ましくは、Z基の少なくとも60%はメチルラジカルを表す。ZSiO以外の単位の小量の、ジオルガノポリシロキサン鎖に沿っての存在は、例えば、式Zsi1.5(Tシロキシ単位)および/またはSiO(Qシロキシ単位)の単位であり、それはしかし、多くても2%(シリコンの100の原子あたりにつきTおよび/またはQの単位の数を表しているこれらのパーセンテージ)の割合において除外されない。
【0045】
式(A.1)のシロキシル単位(siloxyl units)の例は、ビニルジメチルシロキシル、ビニルフェニルメチルシロキシル、ビニルメチルシロキシルおよびビニルシロキシル単位である。
【0046】
式(A.2)のシロキシル単位の例は、SiO4/2、ジメチルシロキシル、メチルフェニルシロキシル、ジフェニルシロキシル、メチルシロキシルおよびフェニルシロキシルの単位である。
【0047】
POS(A)の例は、ジメチルビニルシリル端部を有するジメチルポリシロキサン、トリメチルシリル端部を有するメチルビニルジメチルポリシロキサンコポリマー(共重合体)、ジメチルビニルシリル端部を有するメチルビニルジメチルポリシロキサンコポリマーおよび環式メチルビニルポリシロキサンである。
【0048】
別の変異形に従い、POS(A)はポリオルガノシロキサン樹脂であることができる。そのようなPOS(A)は、本発明において用いる液体シリコーン組成物、例えば、第2のシリコーン組成物の1種で存在することができる。
【0049】
このポリオルガノシロキサン樹脂は、その構造において少なくとも1種のアルケニルラジカルを備え、そしてアルケニルラジカル基(群)の重量による含量は、0.1および20重量%の間、そして好ましくは、0.2および10重量%の間が包含されるものをもつ。
【0050】
これらの樹脂は、商業上入手可能なよく知られた分枝したオルガノポリシロキサンのオリゴマーまたはポリマー(重合体)である。それらは好ましくは、シロキサン溶液の形態において存在する。それらは、それらの構造において、M、D、TおよびQの単位から選ばれる少なくとも2つの異なる単位を備え、これらの単位の少なくとも1種はTまたはQの単位である。
【0051】
Rラジカル(基)は、同じであるか、または異なり、および線状または分枝状のC−Cアルキルラジカル、C−Cアルケニル、フェニルおよび3,3,3トリフルオロプロピルラジカルから選ばれる。そこでは例えば、次のものが言及され、すなわち、アルキルラジカルRとして、メチル、エチル、イソプロピル、tert−ブチルおよびn−ヘキシルラジカル、およびアルケニルラジカルRのようなもの、ビニルラジカルである。
【0052】
上述のタイプの樹脂において、Rラジカルの若干はアルケニルラジカルであると理解されなければならない。
【0053】
分枝したオルガノポリシロキサンのオリゴマーまたはポリマーの例として、MQ樹脂、MDQ樹脂、TD樹脂およびMDT樹脂を言及することができ、アルケニル官能基(機能)は、M、Dおよび/またはTの単位によって運ぶことが可能である。特に適切な樹脂の例として、ビニル化されたMDQまたはMQ樹脂を言及することができ、これは0.2および10重量%の間が包含されるビニル基の重量による含量をもち、これらのビニル基はMおよび/またはDの単位によって運ばれる。
【0054】
この構造樹脂は、組成の構成要素のすべてに関して10および70重量%の間、好ましくは、30および60重量%の間、およびさらにより一層優先的には、40および60重量%の間が包含される濃度において有利に存在する。
【0055】
本発明において用いる異なったPOSs(A)は、シリコーン製造業者によって市場に出され、またはすでに既知の技術に従う操作によって製造することができる。
【0056】
POS(B)は、架橋結合性POSであり、そして好ましくは、次の式のシロキシル単位を備えるもののタイプであり、すなわち、
SiO(4−(d+e))/2 (B.1)
式中、
− Lは、一価の炭化水素基で触媒の活性に対し不利な効果を有さず、および1から8までの炭素原子をもち、随意に、少なくとも1種のハロゲン原子による置換を含むアルキル基から、およびまたアリール基から選ばれ、
− dは1または2であり、eは0、1または2であり、およびd+eは1、2または3に等しいもの
であるシロキシル単位、
および随意に、次の平均の式の他のシロキシル単位、すなわち
SiO(4−g)/2 (B.2)
式中、Lは上記と同じ意味をもち、およびgは0、1、2または3であるもの
である。
【0057】
ポリオルガノシロキサン(B)は単独で、式(B.1)の単位から形成することができ、または追加的に式(B.2)の単位を備えることができる。
【0058】
ポリオルガノシロキサン(B)は、線状、分枝状、環式または架橋結合した構造をもつことができる。
【0059】
基Lは、上記のZ基と同じ意味をもつ。
【0060】
式(B.1)のシロキシル単位の例は、次の、すなわち
H(CHSiO1/2、HCHSiO2/2、H(C)SiO2/2である。
【0061】
式(B.2)のシロキシル単位の例は、式(A.2)のシロキシル単位の例について、上述したものと同じである。
【0062】
ポリオルガノシロキサン(B)の例は、線状および環式の化合物で、すなわち
− ヒドロゲノジメチルシリル端部を有するジメチルポリシロキサン
− トリメチルシリル端部を伴う(ジメチル)−(ヒドロゲノメチル)−ポリシロキサン単位を有するコポリマー
− ヒドロゲノジメチルシリル端部を伴う(ジメチル)−(ヒドロゲノメチル)−ポリシロキサン単位を有するコポリマー
− トリメチルシリル端部を有するヒドロゲノメチルポリシロキサン
− 環状ヒドロゲノメチルポリシロキサン
のようなものである。
【0063】
POS(B)は随意に、ヒドロゲノジメチルシリル端部を有するジメチルポリシロキサンおよび少なくとも3つのSiH(ヒドロゲノシロキシル)官能基を運ぶポリオルガノシロキサンの混合物であることができる。
【0064】
POSs(A)および(B)は、それらの粘性の、および第1または第2のシリコーン組成物のために必要とされる粘性の機能として選ばれる。
【0065】
好ましくは、第1のシリコーン組成物におけるポリオルガノシロキサン(A)および(B)の、および随意に、第3の組成での割合は、ポリオルガノシロキサン(A)においてシリコンに結合するアルケニルラジカルの数に対しての、ポリオルガノシロキサン(B)においてシリコンに結合する水素原子の数のモル比が、1および7の間で包含されるようなものである。
【0066】
第2のシリコーン組成物において(A)および(B)の割合は、(A)においてシリコンに結合するアルケニルラジカルに対しての、(B)においてシリコンに結合する水素の原子のモル比が、0.5および7の間で包含されるようなものである場合がある。
【0067】
第2のシリコーン組成物の点では、より一層詳しくは、後者は好ましくは、架橋結合の後に残る反応性基の数が任意のそれ以降のコーティング組成物の接着をも許すのに十分であるように豊富である。この目的のために、第2のシリコーン組成物において(A)および(B)の割合は、(A)においてシリコンに結合するアルケニルラジカルに対しての、(B)においてシリコンに結合する水素原子のモル比が、1より小さいようなものであることができ、および前記第2の組成物における≡Si−アルケニル(好ましくは、≡Si−ビニル)単位の含量は数において少なくとも2%よりも多いか、またはそれに等しく、好ましくは、少なくとも3%よりも多いか、またはそれに等しく、およびさらにより一層優先的には、数において、2および10%の間で包含され、≡Si−アルケニル(好ましくは、≡Si−ビニル)単位は有利には、本質的にDシロキシル単位、すなわち−RSiO2/2−によって運ばれる。こうするために、第2の組成物は、少なくとも1種のハイパーアルケニル化された(好ましくは、ハイパービニル化された)POS(A)で、上記に指し示した特徴によって≡Si−アルケニル単位において豊富であるものを備えることができる。
【0068】
他の変異形に従い、架橋結合の後に十分な数の反応性基をもつように、また段階4)において、架橋結合性POS(B)の下位投与量(サブドーセージ)を提供することによる第2のシリコーン組成物の不完全な架橋結合を提供することも可能である。また、第2のシリコーン組成物は、2つの異なる架橋結合性システム(例えば、熱およびUV)を備えることもでき、単一の機構はシリコーンの第2層の架橋結合の時に活性化される。
【0069】
そのうえ、第2のシリコーン組成物はまた、繊維性物質の繊維中に、それらを良好にコートし、次いで20mmよりも短い、好ましくは10mmよりも短く、およびさらにより一層優先的には、0に等しい毛管上昇をもつ複合体を形成するように架橋結合させるために、良好に浸透することが可能な特定の特長をもち、その毛管上昇は試験(テスト)Tに従って測定される。
【0070】
本発明において用いる組成物の架橋結合性機構に特有の重付加反応は、この技術において熟練する者によく知られている。触媒(C)をまた、この反応において用いることができる。この触媒(C)はとりわけ、白金およびロジウムの化合物から選ぶことができる。特許US−A−3159601、US−A−3159602、US−A−3220972および欧州特許EP−A−0057459、EP−A−0188978およびEP−A−0190530において記述される白金および有機生成物の複合物、特許US−A−3419593、US−A−3715334、US−A−3377432およびUS−A−3814730において記述される白金およびビニル化されたオルガノシロキサン複合物を特に用いることができる。一般に好ましい触媒は白金である。この場合、触媒(C)の重さによる量は、白金−金属の重さによって算出して、一般に、2および400ppmの間で、好ましくはPOSs(A)および(B)の合計の重さに基づいて5および100ppmの間で包含される。
【0071】
好ましくは、接着プロモーター(D)は、次の
(d.1) 次の一般式に対応する少なくとも1種のアルコキシル化オルガノシランであり、すなわち
【化1】

式中、
− R、R、Rは水素化されたか、または炭化水素のラジカルで、互いに同じか、または異なるものであり、および水素、線状または分枝状C−Cアルキルまたはフェニルで、随意に、少なくとも1種のC−Cアルキルによって置換されるものを表し、
− Aは線状または分枝状C−Cアルキレンであり、
− Gはある価数(1価)の結合または酸素であり、
− RおよびRは同じか、または異なるラジカルであり、および線状または分枝状C−Cアルキルを表し、
− x’は0または1であり、
− x=0から2まで
であり、前記化合物(d.1)は好ましくはビニルトリメトキシシラン(VTMS)であり、
(d.2) 少なくとも1種のエポキシラジカルを備える少なくとも1種のオルガノシリケート(有機ケイ酸塩)化合物であり、前記化合物(d.2)は好ましくは、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(GLYMO)であり、
(d.3) 金属Mの少なくとも1種のキレートおよび/または一般式M(OJ)の金属アルコキシドで、n=Mの価数およびJ=線状または分枝状C-Cアルキル、Mは、Ti、Zr、Ge、Li、Mn、Fe、Al、Mgによって形成される群から選ばれるものを有するものであり、
前記化合物(d.3)は好ましくは、tert−ブチルチタネートであるもの
を備える。
【0072】
(d.1)、(d.2)および(d.3)の割合は、3つの合計に関する重さによって%で表され、好ましくは次の通りであり、すなわち
(d.1)≧10、
(d.2)≧10、
(d.3)≦80である。
【0073】
また、この接着プロモーター(D)は好ましくは、第1、第2または第3のシリコーン組成物の構成要素のすべてに関して、重量によって、0.1から10%まで、好ましくは、0.5から5%まで、およびさらにより一層好ましくは1から2.5重量%までのレベルで存在する。
【0074】
また、好ましくは鉱物である充填材(E)を提供することも可能である。それは、シリカを含む(または非シリカ質)の物質から選ばれる生成物によって構成されることができる。
【0075】
シリカを含む物質に関して、それらは補強性(reinforcing)またはセミ(半)補強性の充填材として作用することができる。
【0076】
補強性のシリカを含む充填材は、コロイド状シリカ、ヒュームドシリカおよび沈降シリカの粉体またはそれらの混合物から選ばれる。
【0077】
これらの粉体は、一般に平均粒径で0.1μmより小さく、そしてBET表面積が50m/gより大きく、好ましくは100および300m/gの間で包含される。
【0078】
ケイソウドまたはグラウンド石英のようなセミ補強性のシリカを含む充填材を用いることもできる。
【0079】
非シリカ質の鉱物物質の点で、それらはセミ補強性の無機充填材または増量材(bulking filler)として作用することができる。それだけで、または混合物において用いることができるこれらの非シリカ質の充填材の例は、カーボンブラック、二酸化チタン、酸化アルミニウム、アルミナ水和物、膨張された蛭石(expanded vermiculite)、酸化ジルコニウム(ジルコニア)、ジルコン酸塩、非膨張蛭石、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、雲母、タルク、酸化鉄、硫酸バリウムおよび消石灰である。これらの充填材は、一般に0.01および300μmの間で包含される粒径および100m/gより小さいBET表面積をもつ。
【0080】
実際的であるが、非制限的な仕方において、用いられる充填材はシリカである。
【0081】
充填材は、任意の適切な相溶化剤(compatibilizer)、およびとりわけ、ヘキサメチルジシラザンを用いて処理することができる。このことでのより一層の詳細については、例えば特許FR−B−2764894について参照することができる。
【0082】
重さの点で、組成物の構成要素のすべてに関して、重量によって、5および30の間で、好ましくは、7および20重量%の間で包含される充填材の量を利用するのが好ましい。
【0083】
架橋結合インヒビター(F)もまたよく知られている。それらは、以下の化合物から標準的な様式において選ばれ、すなわち
− ポリオルガノシロキサンであり、有利には環式で、および少なくとも1種のアルケニルによって置換されたものであり、テトラメチルビニルテトラシロキサンが特に好ましく、
− ピリジン、
− 有機ホスフィンおよびホスファイト(亜リン酸塩)、
− 不飽和アミド、
− アルキル化されたマレアート(マレイン酸塩)、
− およびアセチレンのアルコール類
である。
【0084】
これらのアセチレンのアルコール類は、(FR−B−1528464およびFR−A−2372874が参照され)、それらはヒドロシリル化反応の好ましい熱のブロッカー(遮断剤)の中にあり、次の式をもち、すなわち
R−(R´)C(OH)−C≡CH
式において、
− Rは線状または分枝状のアルキルラジカル、またはフェニルラジカルであり、
− R´はHまたは線状または分枝状のアルキルラジカル、またはフェニルラジカルであり、
− R、R´ラジカルおよび三重結合のα位置に置かれる炭素原子は随意に環(リング)を形成することができ、
− RおよびR´において含まれる炭素原子の合計の数は、少なくとも5、好ましくは9から20までである。
【0085】
前記アルコール類は好ましくは、250℃よりも高い沸点をもつものから選ばれる。次のものを例として言及することができ、すなわち
− 1−エチニル−1−シクロヘキサノール、
− 3−メチル−1−ドデシン(dodecyn)−3−オル(ol)、
− 3,7,11−トリメチル−1−ドデシン−3−オル、
− 1,1−ジフェニル−2−プロピン(propyn)−1−オル、
− 3−エチル−6−エチル−1−ノンイン−3−オル、
− 3−メチル−1−ペンタデシン−3−オル
である。
【0086】
これらのアルファアセチレンアルコール類は商業上入手可能な生成物である。
【0087】
そのようなインヒビター(F)は、オルガノポリシロキサン(A)および(B)の合計重量に関して、最大で、3,000ppmのレベルで、好ましくは、100から2ppmまでのレベルで存在する。
【0088】
利用することができる機能的な添加物質(G)の点で、これらは、例えば、耐火性を改善するための顔料/染料、安定剤(スタビライザー)または添加物質のような生成物をカバーすることができる。
【0089】
本発明において用いる異なるシリコーン組成物の粘性は、構成要素の量を修正することによって、およびとりわけ、適切な粘性のポリオルガノシロキサン(A)および(B)を選定することによって必要とされる値が達成されるように調整することができる。本発明において用いる組成物は、溶媒を伴わないでよく、および適した粘性の構成要素から得られる。組成物はまた、本発明に従い各コーティング段階用に架橋結合の前に必要とされる粘性を達成させるために希釈することもできる。
【0090】
さらに詳しくは、第2のシリコーン組成物は、溶媒を伴わないで、または溶媒において希釈または可溶化によって、第2の液体シリコーン組成物が希釈された状態において架橋結合の前に、2,000mPa.sよりも低いか、またはそれに等しい粘性を持つように得ることができる。溶媒は、反応性溶媒、例えば、アルファオレフィンのようなものであることができる。
【0091】
保存の理由のため、本発明において用いるシリコーン組成物は、少なくとも2つの成分システムの形態において有利に存在し、その混合物は、重付加によって熱いとき、迅速に架橋結合が可能である。原材料は、次いでこの技術において熟練する者に知られている規則に従って異なる部分(パーツ)に分けられ、とりわけ、触媒は水素シロキサン(hydrogen siloxanes)を備える成分から分離される。
【0092】
コートされることを意図する繊維性支持体は、例えば、布地、不織であるか、または編まれた物質またはより一層一般的には、次のものを包含する物質の群から選ばれる任意の繊維性支持体であることができ、すなわち、ガラス、シリカ(二酸化ケイ素)、金属、セラミック、シリコーンカーバイト(炭化シリコーン)、炭素、ホウ素、バソールト(玄武岩)、天然繊維で、綿、ウール(羊毛)、麻、リンネ(亜麻)のようなもの、ビスコースのような人工繊維、またはセルロース系繊維、合成繊維で、ポリエステル類、ポリアミド類、ポリアクリル酸類(polyacrylics)、クロロファイバー類(chlorofibres)、ポリオレフィン、合成ゴム、ポリビニルアルコール、アラミド、フルオロファイバー類、フェノール類(phenolics)のようなもの、その他である。
【0093】
その局面の別のものに従い、本発明は繊維性物質/架橋結合されたシリコーンエラストマーの複合体に関し、それは、上記に規定するような少なくとも1種の繊維性支持体を備え、その1種の表面は、第1の液体シリコーン組成物から得られる第1の架橋結合されたシリコーンエラストマーで、少なくとも上記に規定するようにコートされ、そしてそのものの他の表面は、第2の架橋結合されたシリコーンエラストマーで少なくともコートされ、それは支持体の繊維中に浸透するもので、そしてそれは第2の液体シリコーン組成物から、上記に規定するように得られる。
【0094】
好ましくは、支持体の繊維中に浸透する第2のシリコーンエラストマーで少なくともコートされる前記表面は、それ自体で、第3の架橋結合されたシリコーンエラストマーでコートされ、それは第3の液体シリコーン組成物から、上記に規定するように得られる。
【0095】
そのような複合体は、20mmよりも短い、好ましくは10mmよりも短い、そしてさらにより一層優先的には、0に等しい毛管上昇によって特徴付けられ、毛管上昇は試験Tに従って測定される。
【0096】
本発明に従う複合体は、より一層詳しくは基本設計概念の織物として用いることができる。“基本設計概念の織物”によって、織られたか、または不織の織物、およびより一層一般的には、コーティング後の、次のものの作成のための、意図する任意の繊維性支持体が意味され、すなわち
− シェルター(避難所)、可動構造、織物建造物、パーティション、フレキシブルドア、防水シート(tarpaulins)、テント、スタンドまたは大型テント(marquees)、
− 家具、クラッディング、ビルボード、ウインドシールドまたはフィルターパネル、
− ソーラー保護パネル、シーリング(天井)およびブラインド
である。
【0097】
本発明に従う繊維性物質/架橋結合されたシリコーンエラストマーの複合体はまた、乗り物の乗員を保護するために用いられるエアバッグ、ガラスブレイド(熱のためのガラスのさやの織物(woven glass sheaths for thermal)および電線のための誘電体保護(dielectric protection))、コンベヤーベルト、防火障壁(fire-barrier)または断熱布地(thermal insulation fabric)、コンペンセーター(補正器)(パイプワークのためのフレキシブルシーリングスリーブ)、衣類、その他を作成するためのフレキシブル原料として用いることができる。
【0098】
以下の例は、特定の具体例で、本発明についてのものを、後者がこれらの特定の具体例に制限されることなく例証することを意図する。
【0099】
試験の説明
(毛管上昇試験)
【0100】
毛管上昇は、複合体のストリップの端部が接触する液体にまでの高さによって、T試験に従い与えられる。
【0101】
T試験は以下のように遂行され、すなわち
− 織物/シリコーンの複合体の2×20cmの計量ストリップを切断し、
− タンクを、色付きインク(例えば、万年筆インク)を含んで調製し、
− 切り出した複合体ストリップを、インクでフラッシュさせるために、インク容器上に垂直方向にぶら下げ、
− 0のレベルを、ストリップ上のインクのメニスカスのラインとして規定し、
− 複合体ストリップを、インクの上昇フロントが平衡状態にあるまで、所定の位置に放置し、
− レベル0およびストリップに沿ったインクの最大上昇レベルの間の違いに対応する高さ(H)をミリメーターにおいて測定する。
【0102】
毛管上昇は距離Hによって規定される。
【0103】
試料は、上昇が実質的にゼロであるならば、その現象から良好に保護されている。
【0104】
この特性は、上昇が最高でも1cmの程度である場合に“イエス”として記録し、そしてそれらがこの読みを上回るならば“ノー”とされる。
【0105】
(層間剥離試験)
【0106】
第1および第2のコートされたエラストマー層のお互いに対する良好な接着を判断するために、対応する複合体のアセンブリ(組立体)を、Bluestar Silicones(ブルースター・シリコンズ社)によって市場に出されている、既製のシリコーンゴムであるシリコーンエラストマーゴムRHODORSIL MF 345 L(R)(ロドルシルMF345L(商標))を伴うのりで接着することによって調製する。
【0107】
こうするために、エラストマー接着剤を、加硫の後に、およそ0.5mmの厚さによって5cm幅での接着剤ジョイント(接合)を得るために、2つシートの複合体の間に位置させる。
【0108】
加硫を、180℃で2分間のプレス(加圧)下に遂行する。
【0109】
試験片の幅で50mmのものを、調製された複合体ボードから切り出す。これらの試験片は、いわゆる180°ジオメトリーにおいて遂行される50mm/分での引き剥がし実験(peeling experiment)における動力計を用いて評価される。
【0110】
破壊の部位は、引き剥がし測定中に書き留められる。それが低い抵抗(典型的に<1daN/cm)を有する第1および第2のコートされた層の間で起こる場合、アセンブリーの挙動に不利益なことがある‘層間剥離’が報告される。反対の場合には、結果‘イエス’が記録される。
【実施例】
【0111】

【0112】
以降のすべての例において、およそ10μmのスレッドを伴って調製されたガラス布地が、およそ250g/mの面積的重量(areal weight)を伴い、繊維性支持体として用いられる。
【0113】
ドクターブレードを用いる各々の組成物のコーティングのために、Mathis(マティス)コーティングマシーン(塗工機)が用いられる。
【0114】
これは、
− コートされる繊維性支持体を保持するための装置
− 高さ調整可能なドクターブレード
− 温度制御されたオーブン
を備えるシステムである。
【0115】
(例1)
【0116】
例1.1(発明)
【0117】
この例において、本発明の複合体は繊維性支持体を備え、その1種の表面は、第1の液体シリコーン組成物から得られる第1の架橋結合されたシリコーンエラストマーでコートされ、そしてそのものの他の表面は第2の架橋結合されたシリコーンエラストマーでコートされ、それは支持体の繊維中に浸透し、そして第2の液体シリコーン組成物から得られる。
【0118】
Bluestar Silicones社によって市場に出されるシリコーンエラストマーRHODORSIL TCS 7534(R)、重付加によって加硫可能な自己接着性エラストマーで、2つの成分の形態において示されるものは、第1および第2の液体シリコーン組成物として用いられる。Bの10部がAの100部と組み合わせられる。
【0119】
第1のシリコーン組成物のために、希釈されてないTCS 7534(R)A+Bが用いられる。第1のシリコーン組成物の粘度は45Pa.sである。
【0120】
第2のシリコーン組成物のために、エラストマーの100部につきキシレンの30部で希釈されたTCS 7534(R)A+Bを用いる。第2のシリコーン組成物の粘度は1.5Pa.sである。
【0121】
本発明の方法に従い、ガラス布地の1種の表面は、ドクターブレードを用いて、第1のシリコーン組成物で、200g/mの堆積される重量を狙ってコートされる。堆積の後、第1のシリコーン組成物は2分間150℃で架橋結合される。
【0122】
次いで、ドクターブレードを用い、ガラス布地の他の表面は、第2のシリコーン組成物でコートされる。堆積の後、第2のシリコーン組成物は、2分間、150°で架橋結合される。結果として生じる堆積物は100g/mのオーダー(程度)である。
【0123】
得られる複合体は異なる試験を受ける。結果を下記の表Iにおいて与える。
【0124】
例1.2(比較)
【0125】
比較の手段として、複合体を、特許出願EP1525277において記述される例に従って調製する。
【0126】
このためには、エラストマーの100部につきキシレンの30部で希釈された組成物TCS 7534(R)A+Bをまず、カレンダー加工することでの含浸によってガラス布地上に堆積する。こうするために、実験室のカレンダーを、100mmの直径および250mmの長さで2つのロールを装備して用いる。1種のロールは鋼製であり、他はゴムである。
【0127】
シリンダー間のギャップ(隙間)において、含浸浴を、含浸される布地に同時に供給する。
【0128】
シリンダーは他の頂部上の1種のものに圧力下に置かれ、そして回転の速度はおよそ2m/分である。
【0129】
組成物は架橋結合される。次いで、ドクターブレードを用い、布地の表面の1種を、Mathis塗工機を使用して、希釈してない組成物TCS 7534(R)A+Bでコートする。組成物を架橋結合する。
【0130】
得られる複合体は異なる試験を受ける。結果を下記の表Iで与える。
【0131】
例1.3(比較)
【0132】
比較の手段として、複合体を、本発明に従う方法の段階を逆にすることによって、すなわち、段階3)および4から始め、次いで段階1)および2)によって続かせることで調製した。
【0133】
こうするために、ドクターブレードを用い、布地の表面の1種を、Mathis塗工機を使用することによって、エラストマーの100部につきキシレンの30部で希釈された組成物TCS 7534(R)A+Bでコートする。組成物を架橋結合する。次いで、ドクターブレードを用い、布地の他の表面を、希釈していない組成物TCS 7534(R)A+Bでコートする。組成物を架橋結合する。
【0134】
得られる複合体は異なる試験を受ける。結果を下記の表Iにおいて与える。
【0135】
例1.4(比較)
【0136】
比較の手段として、ドクターブレードを用い、複合体を、Mathis塗工機を使用することによって、布地の表面の1種だけが希釈されてない組成物TCS 7534(R) A+Bでコートされるようにして調製する。次いで、組成物を架橋結合する。
【0137】
得られる複合体は異なる試験を受ける。結果を下記の表Iにおいて与える。
【0138】
結果
【0139】
【表1】

【0140】
第2の、より一層高い流体性の(fluid)、シリコーン組成物のコーティングによる適用は、第1の、より一層高い粘性がある、シリコーン組成物での表面のコーティングで堆積されたエラストマーにより提供される布地の良好な凝集によって大いに促進される。もはや少しの変形もなく、それから生じる布地の軟化により、第2の、より一層高い流体性の、適用されるシリコーン組成物によってコアが濡らされる。
【0141】
さらにまた、第1のシリコーン組成物から得られるエラストマーは、第2の、より一層高い流体性の、シリコーン組成物が布地を通過するのを防ぐ不浸透性層を形成する。
【0142】
さらに、推奨される順番は種々の適用された層の間で層間剥離の危険性を制限し、それは、それらの各々が繊維性支持体に対する機械的なアンカー的な固定(anchoring)の可能性をもつからである。
【0143】
最終的に、毛管上昇は、布地の繊維中に良好に浸透する第2のシリコーン組成物の流動性の結果によって排除される。
【0144】
(例2)
【0145】
例2.1(発明)
【0146】
この例において、本発明の複合体は、繊維性支持体を備え、その1種の表面は、第1の液体シリコーン組成物から得られる第1の架橋結合されたシリコーンエラストマーでコートされ、そしてそのものの他の表面は、まず第2の架橋結合されるシリコーンエラストマーでコートされ、それは支持体の繊維中に浸透し、および第2の液体シリコーン組成物から得られ、次いで第3の液体シリコーン組成物から得られる第3の架橋結合されたシリコーンエラストマーでコートされる。
【0147】
希釈していないシリコーンエラストマーRHODORSIL TCS 7534(R)A+B(45Pa.sの粘度)は、例1において記載するが、それは第1および第3の液体シリコーン組成物として用いられる。
【0148】
第2の、より一層高い流体性の、液体シリコーン組成物は、シロキサン樹脂のシリコーン組成物であり、それは、次のものを備え、すなわち
− 100部の樹脂SILCOLEASE(シルコレース)RCA 12(R)で、Bluestar Siliconesによって市場に出されるもの、
− 1部の接着プロモーターCOATOSIL(コートシル)1770(R)で、Bluestar Siliconesによって市場に出されるもの、
− 1.5部の架橋結合性薬剤SILCOLEASE CROSS-LINKER(クロス−リンカー)96A(R)で、Bluestar Siliconesによって市場に出されるもの、
− 1.5部の触媒SILCOLEASE CATALYSEUR(カタライザー)12070(R)で、GE-Siliconesによって市場に出されているもの
である。
【0149】
この第2の液体シリコーン組成物は1Pa.sの粘度をもつ。
【0150】
架橋結合薬剤の量は、架橋結合性反応が不完全であるようなものである。このようにして、第2のシリコーン組成物は、架橋結合の後、第3のシリコーン組成物の接着がその後にコーティングとして適用されるのを許すのに十分な多数の反応性基をもつ。
【0151】
Mathis塗工機を使用することによって、ガラス布地の表面の1種はまず、ドクターブレードを用い、第1のシリコーン組成物でコートされる。堆積された重量は200g/m2である。堆積の後、第1のシリコーン組成物は2分間150℃で架橋結合される。布地の他の表面は、Mathis塗工機を使用することによって、ドクターブレードを用いて第2のシリコーン組成物でコートされる。
【0152】
堆積の後、第2のシリコーン組成物を1分間130℃で架橋結合させる。結果として生じる堆積物は50g/mのオーダーである
【0153】
次いで、ドクターブレードを用い、第3のシリコーン層を、Mathis塗工機を使用することによるコーティングによって第2の架橋結合されたシリコーン組成物に適用する。堆積された重量は200g/m2である。堆積の後、第3のシリコーン組成物を2分間150℃で架橋結合させる。
【0154】
得られる複合体は異なる試験を受ける。結果を下記の表IIにおいて与える。
【0155】
例2.2(比較)
【0156】
比較の手段として、例2.1を再現するが、第2の、より一層高い流体性の、シリコーン層のために、架橋結合性薬剤SILCOLEASE CROSS-LINKER 96A(R)の5部を用いる。架橋結合性薬剤の過剰が存在するので、第2のシリコーン組成物は完全に架橋結合し、および第3のシリコーン層の接着がその後に適用されるのを許すための利用可能な任意の反応性基はもはやない。
【0157】
得られる複合体は異なる試験を受ける。結果を下記の表IIにおいて与える。
【0158】
結果
【0159】
【表2】

【0160】
第2の、より一層高い流体性の、シリコン組成物の適用は、以前のように、推奨された方法によって大いに促進される。
【0161】
毛管上昇は、布地の繊維中に良好に浸透するこの第2のシリコーン組成物の流動性のおかげで排除される。
【0162】
第2のシリコーン組成物が完全に架橋結合するとき、層間剥離が観察される。他方、架橋結合性薬剤の下位用量(サブ−ドース)が用いられるとき、不完全な架橋結合はその後のコーティング層の良好なアンカーリングのために十分な反応性基を残す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維性物質/架橋結合されたシリコーンエラストマーの複合体を得るための方法であって、次の主要な段階を少なくとも具え、指示される順で、すなわち
1)繊維性支持体の表面の1種を、第1の液体シリコーン組成物を用いてコートすることであり、それはエラストマー中に架橋結合させることができ、および架橋結合の前に25℃で5,000および200,000mPa.sの間が包含される動的粘度をもち、
2)繊維性支持体上にコートされた第1の液体シリコーン組成物を架橋結合させること、
3)繊維性支持体の他の表面を、第2の液体シリコーン組成物を用いてコートすることであり、それはエラストマー中に架橋結合させることができ、前記第2のシリコーン組成物は、
→ 繊維性支持体の繊維中に浸透するために、架橋結合の前に、25℃で2,000mPa.sより小さいか、またはそれに等しく、好ましくは、1,500mPa.sより小さいか、またはそれに等しく、およびさらにより一層優先的には1,000mPa.sより小さいか、またはそれに等しい動的粘度をもち、
→ および第2のシリコーン組成物上にその後コートされる随意の組成物の接着を許すように、架橋結合の後に、十分な数の残余の反応基をもち、
4)繊維性支持体の繊維中に浸透された第2の液体シリコーン組成物を架橋結合させること
を遂行することを特徴とする、方法。
【請求項2】
少なくとも1種の追加のコーティングおよび架橋結合の段階5)を具え、段階4)の後に遂行することを特徴とする請求項1に従う方法。
【請求項3】
追加のコーティングおよび架橋結合の段階5)は、段階3)においてコートされ、および段階4)において架橋結合された表面を、第3の液体シリコーン組成物でコートすることからなり、それはエラストマー中に架橋結合させることができ、および架橋結合の前に25℃で5,000および200,000mPa.sの間が包含される動的粘度をもち、および前記コートされた組成物が架橋結合されることを特徴とする請求項2に従う方法。
【請求項4】
段階1、3および5はドクターブレードを用いて遂行されることを特徴とする先行する請求項のいずれか1項に従う方法。
【請求項5】
段階1および3においてコートされた液体シリコーン組成物は、重付加によって架橋結合させることができ、および次の
(A)≡Si−アルケニル(好ましくは、≡Si−ビニル)単位を有する少なくとも1種のポリオルガノシロキサン(POS)、
(B)≡Si−H単位を有する少なくとも1種のポリオルガノシロキサン(POS)、
(C)少なくとも1種の触媒で、好ましくは、白金族に属する少なくとも1種の金属が包含されるものの触媒作用に有効な量、
(D)随意に、少なくとも1種の接着プロモーター、
(E)随意に、少なくとも1種の無機充填剤、
(F)随意に、少なくとも1種の架橋結合インヒビター、
(G)随意に、特定の特性を授けるための機能性添加物質
を備える組成物であることを特徴とする先の請求項のいずれか1項に従う方法。
【請求項6】
選ばれたポリオルガノシロキサン(A)は、次の式、すなわち
SiO(4−(a+b))/2 (A.1)
式中、
− Wは、アルケニル基、好ましくは、C−Cアルケニル、およびさらに一層優先的には、ビニルであり、
− Zは、一価の炭化水素基であり、触媒の活性に対し不利な効果を有さず、および1から8までの炭素原子をもち、随意に、少なくとも1種のハロゲン原子による置換を含むアルキル基から、ならびにアリール基から選ばれ、
− aは1または2であり、bは0、1または2であり、およびa+bは1、2または3に等しいもの
である単位、
および随意に、次の平均の式、すなわち
SiO(4−c)/2 (A.2)
式中、Zは上記と同じ意味を持ち、およびcは0、1、2または3であるもの
である他の単位をもつことを特徴とする請求項5に従う方法。
【請求項7】
ポリオルガノシロキサン(B)は次の式、すなわち
SiO(4−(d+e))/2 (B.1)
式中、
− Lは、一価の炭化水素基で触媒の活性に対し不利な効果を有さず、および1から8までの炭素原子をもち、随意に、少なくとも1種のハロゲン原子による置換を含むアルキル基から、およびまたアリール基から選ばれ、
− dは1または2であり、eは0、1または2であり、およびd+eは1、2または3に等しいもの
であるシロキシル単位、
および随意に、次の平均の式、すなわち
SiO(4−g)/2 (B.2)
式中、Lは上記と同じ意味をもち、およびgは0、1、2または3であるもの
である他の単位を備えることを特徴とする請求項5または6に従う方法。
【請求項8】
接着プロモーター(D)は、次の
(d.1) 次の一般式に対応する少なくとも1種のアルコキシル化オルガノシランであり、すなわち
【化1】


式中、
− R、R、Rは水素化されたか、または炭化水素のラジカルで、互いに同じか、または異なるものであり、および水素、線状または分枝状C−Cアルキルまたはフェニルで、随意に、少なくとも1種のC−Cアルキルによって置換されるものを表し、
− Aは線状または分枝状C−Cアルキレンであり、
− Gはある価数(1価)の結合または酸素であり、
− RおよびRは同じか、または異なるラジカルであり、および線状または分枝状C−Cアルキルを表し、
− x’は0または1であり、
− x=0から2まで
であり、前記化合物(d.1)は好ましくは、ビニルトリメトキシシラン(VTMS)であり、
(d.2) 少なくとも1種のエポキシラジカルを備える少なくとも1種のオルガノシリケート(有機ケイ酸塩)化合物であり、前記化合物(d.2)は好ましくは、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(GLYMO)であり、
(d.3) 金属Mの少なくとも1種のキレートおよび/または一般式M(OJ)の金属アルコキシドで、n=Mの価数およびJ=線状または分枝状C-Cアルキル、Mは、Ti、Zr、Ge、Li、Mn、Fe、Al、Mgによって形成される群から選ばれるものを有するものであり、
前記化合物(d.3)は好ましくは、ターシャルブチルチタネートである
を備えることを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に従う方法。
【請求項9】
この接着プロモーターは、第1または第2のシリコーン組成物の構成成分のすべてについて、重量で0.1から10%までのレベルで存在することを特徴とする請求項5〜8のいずれか1項に従う方法。
【請求項10】
第1のシリコーン組成物において(A)および(B)の割合は、(A)においてシリコンに結合するアルケニルラジカルに対しての、(B)においてシリコンに結合する水素原子のモル比が1および7の間で包含されるようなものであることを特徴とする請求項5〜9のいずれか1項に従う方法。
【請求項11】
第2のシリコーン組成物において(A)および(B)の割合は、(A)においてシリコンに結合するアルケニルラジカルに対しての、(B)においてシリコンに結合する水素原子のモル比が0.5および7の間で包含されるようなものであることを特徴とする請求項5〜10のいずれか1項に従う方法。
【請求項12】
第2のシリコーン組成物は溶媒における希釈または可溶化によって得られることを特徴とする、請求項5〜11のいずれか1項に従う方法。
【請求項13】
第2のシリコーン組成物において(A)および(B)の割合は、(A)においてシリコンに結合するアルケニルラジカルに対しての、(B)においてシリコンに結合する水素原子のモル比が1より小さいようなものであることができ、および前記第2の組成物における≡Si−アルケニル(好ましくは、≡Si−ビニル)単位の含量は、数において少なくとも2%よりも多いか、またはそれに等しく、好ましくは、少なくとも3%よりも多いか、またはそれに等しく、およびさらに一層優先的には、数において、2および10%の間で包含され、≡Si−アルケニル(好ましくは、≡Si−ビニル)単位は有利には本質的にDシロキシル単位、すなわち−RSiO2/2−によって運ばれることを特徴とする請求項5〜10のいずれか1項に従う方法。
【請求項14】
繊維性支持体は、ガラス、シリカ、金属、セラミック、シリコーンカーバイト、炭素、ホウ素、バソールト、天然繊維で、コットン、ウール、麻、リンネルのようなもの、人工繊維で、ビスコースのようなもの、またはセルロース系繊維、合成繊維で、ポリエステル類、ポリアミド類、ポリアクリル酸類、クロロファイバー類、ポリオレフィン、合成ゴム、ポリビニルアルコール、アラミド、フルオロファイバー類、フェノール類から構成される物質の群から選ばれる繊維を備えることを特徴とする先の請求項のいずれか1項に従う方法。
【請求項15】
繊維性物質/架橋結合されたシリコーンエラストマーの複合体であって、少なくとも1種の繊維性支持体を備え、その1種の表面は、請求項1〜10のいずれか1項の方法に記載されるように、第1の液体シリコーン組成物から得られる第1の架橋結合されたシリコーンエラストマーで少なくともコートされ、およびそのものの他の表面は、第2の架橋結合されたシリコーンエラストマーで少なくともコートされ、それは支持体の繊維中に浸透し、および請求項1〜13のいずれか1項の方法に上記されるように、第2の液体シリコーン組成物から得られるものであることを特徴とする、複合体。
【請求項16】
支持体の繊維中に浸透する少なくとも1種の第2のエラストマーシリコーンでコートされた表面は、それ自体、第3の架橋結合されたシリコーンエラストマーでコートされることを特徴とする請求項15に従う複合体。
【請求項17】
繊維性支持体は、ガラス、シリカ、金属、セラミック、シリコーンカーバイト、炭素、ホウ素、バソールト、天然繊維で、コットン、ウール、麻、リンネルのようなもの、人工繊維で、ビスコースのようなもの、またはセルロース系繊維、合成繊維で、ポリエステル類、ポリアミド類、ポリアクリル酸類、クロロファイバー類、ポリオレフィン、合成ゴム、ポリビニルアルコール、アラミド、フルオロファイバー類、フェノール類から構成される物質の群から選ばれる繊維を備えることを特徴とする請求項15または16に従う複合体。

【公表番号】特表2010−523831(P2010−523831A)
【公表日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−501515(P2010−501515)
【出願日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際出願番号】PCT/EP2008/054039
【国際公開番号】WO2008/122574
【国際公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【出願人】(508170896)ブルースター・シリコンズ・フランス・エス・アー・エス (5)
【Fターム(参考)】