説明

繊維材料に液体を含浸させるための装置

気密で蒸気を漏らさないハウジング(1)と真空ライン(6)とを有し、真空ライン(6)に第1の方向制御バルブ(7)が設けられる、交番圧力プロセスを使用して繊維材料を湿らせるための装置であって、ハウジング(1)は、ハウジング(1)に対して取り込み且つ取り出すための少なくとも1つの閉塞可能なオリフィス(2、21、23)と、換気ライン(11)とを有し、第3の方向制御バルブ(12)が換気ライン(11)に設けられる装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維材料、特に木材、木屑、および、紙屑を湿潤化するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
約4cm×2cm×1cmのサイズを有する木屑は、精製破砕によってそれらの繊維構成要素へと分解される。これは、製紙のために必要とされるTMP繊維物質を生じさせる(TMP=熱機械パルプ)。木屑の含水率が高ければ高いほど、木屑中および木屑に含まれる個々の繊維中の複合繊維構造体の弾性が大きくなり、柔軟になり、曲げやすくなる。繊維の長さの増大に伴って、繊維の強度が増加するため、また、そのような繊維が高品質紙の製造に適しているため、繊維が精製破砕中に可能な限り高い水分および弾力性を有するように図られている。
【0003】
欧州特許第1 051 551号明細書は、例えば飲料厚紙などの多層コーティングを有する紙屑から成る繊維材料を湿潤化する方法を開示する。飲料厚紙では、周知のように、紙の両側がプラスチックおよび/またはアルミニウムでコーティングされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が基づく目的は、簡単で効果的な方法で束ないしは梱(bale)形態の紙屑または木屑の湿潤化を可能にする装置を提供することである。
【0005】
これに関連して、湿潤化は、木屑の表面の湿潤化だけでなく、木屑の全体積中への液体、特に水の導入をも意味するように理解される。このことは、木屑の繊維間の隙間だけでなく繊維の内部をも液体で満たされることを意味する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的は、本発明にしたがい、気密で蒸気を漏らさないハウジングと真空ラインとを有し、真空ラインに第1の方向制御バルブが設けられる、交番圧力法によって繊維材料を湿潤化するための装置であって、ハウジングが、ハウジングに対して取り込み且つ取り出すための少なくとも1つの閉塞可能なオリフィスと、換気ラインとを有し、第3の方向制御バルブが換気ラインに設けられる、装置によって達成される。
【0007】
本発明に係る装置を用いると、木屑の形態を成していようと、あるいは、紙屑の梱の形態を成していようと、繊維材料を迅速に且つ効果的に液体で湿潤化することができる。この場合、繊維の弾力性と交番圧力に起因する繊維キャビティの容積の変化とが利用される。
【0008】
パルプ製造では、以下の原理が適用される。すなわち、パルプ蒸解器に注入される木屑が湿っていればいるほど、充填密度が高くなり、したがって、パルプ蒸解器の処理能力が高くなる。また、本発明に係る装置を使用すると、かなり早い段階で蒸解器に蒸解液を充填し始めることができる。これは、木屑の水分が十分に高ければ、蒸解液が投入されるときに木屑が浮かないからである。
【0009】
本発明に係る方法によって木屑を湿潤化するために熱い蒸解液が使用される場合には、更に、蒸解時間がかなり短縮される。これは、熱い蒸解液が繊維間に配置されるだけでなく、繊維中(ルーメン=繊維キャビティ)にも配置されるからである。
【0010】
機械的な木材パルプの製造のために丸太材(破砕木材)が使用される場合には、破片および細粒の割合を低く維持するために、木材の含水率ができる限り高いことが重要である。この方法において、最大で2メートルの長さを有する木片は、高圧で粗い回転砥石に押し付けられ、それにより、繊維が離解されて粉砕される。この処理中に丸太材が湿っていればいるほど、木片全体およびその個々の繊維のそれぞれの複合繊維構造体の弾性が大きくなり、柔軟になり、曲げやすくなるとともに、破片および細粒の割合が低くなる。そのような木片を用いても、本発明に係る装置を使用すると、かなりの量のエネルギおよび時間を節約することができる。
【0011】
しかしながら、例えばキノコ、豆、または、林檎などの乾物を乾燥形態で急速に、高い費用効率で、効果的に湿らせることもできる。
【0012】
本発明に係る換気ラインを用いることにより、圧不足、周囲圧力、または、過圧同士の間の交番を急速に実行することができ、それにより、湿潤化の有効性を更に高めることができる。
【0013】
本発明にしたがって設けられる少なくとも1つの閉塞可能なオリフィスにより、装置をバッチモードで動作させることができ、あるいは、2つ以上のオリフィスにあっては装置を連続的に動作させることができ、それにより、この改良された方法は、本発明に係る装置の有効性およびループット率も著しく高める。
【0014】
本発明にしたがって湿潤化されるべき全ての繊維含有材料においては、湿潤液を液状形態(液体)またはガス状形態(蒸気)またはこれらの組み合わせで使用できる。湿潤液は、水、溶媒、個々の化学物質、または、化学混合物であってもよい。湿潤液は蒸気質形態であってもよい。
【0015】
また、これらの全ての湿潤液は、本発明で採用されて使用される場合、非常に冷たい冷点から沸点までの範囲の温度を有してもよい。
【0016】
使用される湿潤剤は、無機または有機タイプの着色、疎水性、親水性、漂白、樹脂・リグニン分解、含浸、保存、および/または表面張力低下または表面張力増大特性を有してもよい。
【0017】
ハウジングが、ハウジングに取り込むための閉塞可能な第1のオリフィスと、ハウジングから取り出すための閉塞可能な第2のオリフィスとを有すれば特に有益であることが分かっている。これは、それにより、湿潤化されるべき繊維材料の有効性およびスループットを更に高めることができるからである。
【0018】
好ましい意図される使用および局部的状態に応じて、少なくとも1つの上記オリフィスをドア、フラップ、スライド、バルブ、プラグスクリュ、水路、および/または、ドレントラップによって閉じられてもよい。
【0019】
ドアおよびフラップは、例えば加圧紙屑梱などの湿潤化されるべき大きい繊維材料断片の導入に特に適しており、一方、スライドまたはバルブは、繊維材料が小さい断片を成して連続的に供給されるようになっている場合に特に適している。ドア、フラップ、スライド、および、バルブの利点は、所定の方法でオリフィスを閉じることができ、したがって、ハウジング内の制御された再現可能な圧力状態が常に広く行き渡るという点である。圧密または気密態様でのオリフィスの閉塞は圧力交番率または圧力変化率を高め、これが湿潤化の有効性にプラスの影響を与える。
【0020】
プラグスクリュの利点は、例えば水または蒸解液などの液体によって既に湿潤化される繊維材料をプラグスクリュがハウジング内へ連続的にあるいは断続的に搬送できると同時に、プラグスクリュがハウジングオリフィスの気密で蒸気を漏らさない閉塞を行なうことができるという点において見出すことができる。したがって、プラグスクリュは、プラントの連続的なあるいは半連続的な動作に特に適しており、例えばバルブまたはスライドに結合されてもよい。
【0021】
また、バリア液で満たされるドレントラップによりオリフィスを閉塞することができる。それにより、移動される部分を伴うことなく、ハウジングのオリフィスを気密で蒸気を漏らさない態様で閉じることができる。同時に、このドレントラップにより、繊維材料をハウジング内に導入してその繊維材料をハウジングから搬出することもできる。このドレントラップは受動的な閉塞要素であるため、本発明に係る装置の制御も簡略化される。
【0022】
繊維材料によって吸収されて繊維材料と共にハウジングから送出される液体量を補償できるように、本発明の更なる有利な改良では、繊維材料を湿潤化する媒体のための供給ラインが設けられる。また、この供給ラインには調整バルブが設けられ、それにより、ハウジング内に収容される媒体の量を規定された所望値にしたがって調整できる。
【0023】
木屑中または紙屑堆積物中への液体の浸透および湿潤化をさらに促進するため、第2の方向制御バルブを有する圧力ラインが設けられてもよい。それにより、圧力低下を行なうことができるだけでなく、この圧力低下を伴う交番において、ハウジング内の圧力上昇も行なうことができる。最大圧力と最小圧力との間の振幅が増大されることにより、湿潤化されるべき繊維材料中への液体の浸透および湿潤化が更に強められる。
【0024】
圧力ラインは圧縮空気発生器および/または圧力容器に接続されることが有益である。それにより、過圧を急速に形成することができると同時に、圧力容器が使用される場合には、圧縮空気発生器を小型構造にして連続的に起動させることができる。
【0025】
それに応じて、同じことが、真空発生器および/または真空容器に接続される真空ラインにも適用される。
【0026】
繊維材料を完全に自動的に装置内へ搬送し且つ装置から搬出するため、コンベアウォーム、移送ベルト、および/または、チェーンコンベアとして形成されるのが好ましい搬送デバイスが設けられる。しかしながら、装置が十分に斜めに配置される場合には、搬送デバイスが省かれてもよい。
【0027】
必要とされる性能および空間条件に応じて、1つ以上のハウジングを互いに並列におよび/または直列に接続されるように設けることができる。したがって、標準的なモジュールに基づき、装置の性能を個々のケースの要件に合わせて幅広い限界内で適合させることができる。
【0028】
本発明の更なる利点および有利な改良は、以下の図面、その説明、および、特許請求の範囲から得られてもよい。図面、その説明、および、特許請求の範囲に開示される全ての特徴は、個々に及び互いとの任意の組み合わせで本発明に必須のものとなり得る。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に係る装置の第1の典型的な実施形態の回路図を示している。
【図2】2つのプラグスクリュとコンベアウォームとを伴う本発明に係る装置の更なる典型的な実施形態の回路図を示している。
【図3】ドレントラップおよび移送デバイスとしてのコンベアベルトまたは管状チェーンコンベアを伴う本発明に係る装置の典型的な実施形態を示している。
【図4】パルパの機能と、繊維材料の湿潤化のための本発明に係る装置の機能とを組み合わせる本発明に係る装置の典型的な実施形態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1に示される典型的な実施形態において、ハウジングには参照符号1が与えられる。図示のハウジング1は平行六面体形状を有する。ハウジング1の側壁は、ドア2として形成されており、閉塞体3を用いて気密に且つ蒸気を漏らすことなく閉じることができる。
【0031】
図1では、湿潤化のための本発明に係る装置が模式的にかなり簡略化されている。構造的細部は、この図からは明らかではないが、当業者の能力の範囲内にある。
【0032】
ハウジングに取り込むため、ドア2が開放され、例えば、図示しない木屑梱または紙屑梱をハウジング1内へ移送することができる。その後、ドア2が閉じられてロックされ、それにより、ハウジング内部が周囲から気密に且つ蒸気を漏らすことなく密閉される。
【0033】
ある経路が二重矢印10により示されているが、この経路10に沿って、図示しない紙梱を装置内に取り込むことができ且つ装置から取り出すことができる。
【0034】
勿論、ハウジング内部をリフトトラックまたは他の移送機器によって処理できれば有益であり、それにより、例えばユーロパレット(Europallet)上に配置される1つ以上の紙屑梱をリフトトラックを用いてハウジング内部に迅速且つ簡単に導入できる。
【0035】
木屑または紙屑(図示せず)の湿潤化を行なうことができるようにする様々なラインがハウジング1に入り込んでいる。
【0036】
供給ラインが参照符号4により示されている。供給ラインは調整バルブ5を含む。
【0037】
繊維材料を湿潤化する液体を、要求に従って、供給ラインを介してハウジング1の内部へ液体および/または蒸気の形態で導入することができる。一般に、湿潤化のために水が使用される。しかしながら、様々な添加剤を伴う水を供給することもでき、あるいは、蒸解液(digesting)などの他の液体を使用することもできる。
【0038】
例えばポンプおよび/または貯蔵タンクなどの図示しない搬送デバイスが調整バルブの上流側に配置される。
【0039】
真空ラインが参照符号6により示されている。この真空ライン6は、通常は切り換え可能な2/2方向制御バルブ(2/2−way valve)として形成される第1の方向制御バルブ7と、真空容器19と、真空発生器20とを有する。真空容器19は単なるオプションである。そのような真空容器19が存在する場合、真空発生器20は、比較的小さい寸法を有することができ、空気または蒸気を容器19から連続的に吸引できる。方向制御バルブ7が開放されると、真空発生器20が比較的小さい寸法を有する場合であっても、ハウジング1の内部空間で圧力低下を非常に急速に且つ効果的に行なうことができる。言うまでもなく、真空容器19の容積およびハウジング1の容積並びに真空発生器10の能力は互いに調整されなければならない。
【0040】
参照符号8は、第2の2/2方向制御バルブ9が組み込まれる圧力ラインを特定する。
【0041】
この圧力ライン8は加圧空気発生装置すなわちコンプレッサ15および圧力容器16に接続される。ここでも、圧力容器16は、コンプレッサ15の稼動時間を増大させるのに役立つと同時に、コンプレッサ15の所要出力を減らすのに役立つ。
【0042】
圧力ライン8は、ハウジング1の内部空間の圧力の低下後に過圧が発生されるようになっているときにだけ必要とされる。
【0043】
随意的に、空気、蒸気、または、液体を圧力ライン8を介してハウジング1内へ導くことができる。
【0044】
換気ラインが参照符号11によって示されている。この換気ライン11には第3の方向制御バルブ12が設けられる。
【0045】
本発明に係る装置は以下のように動作する。
【0046】
ドア2が開放すると、湿潤化されるべき繊維材料がハウジング1内に搬送される。その後、ドア2が気密に且つ蒸気を漏らすことなく閉じられる。
【0047】
第1の方向制御バルブ7、第2の方向制御バルブ9、および、第3の方向制御バルブ12は最初は閉じられている。調整バルブが少なくとも部分的に開放した状態で、ハウジング1に収容される紙(図示せず)を湿潤化するために必要とされる媒体が、供給ライン4を介してハウジング1の内部へ蒸気および/または液体の状態で搬入される。
【0048】
その後、調整バルブ5が閉じられ、第1の方向制御バルブ7が急速に開かれる。それにより、ハウジング1の内部が真空容器19に接続され、2つの容器間で圧力補償が行なわれる。その結果、ハウジング1内の圧力は、0.9bar〜0.1barの値、好ましくは0.7bar〜0.3barの値へと急に降下する。
【0049】
ハウジング1内が所望の圧力不足に達すると直ぐに、第1の方向制御バルブ7が閉じられ、その直後に、第3の方向制御バルブ12が開かれ、それにより、周囲環境とハウジングの内側との間の圧力補償を行なうことができる。この場合、「急激な」補償が特に重要である。上記補償は、真空に起因して潰れた繊維およびキャビティがそれらの当初の状態を回復しようとする速さと同じ程度に急速に行なわれなければならない。
【0050】
必要に応じて、数秒後、第3の方向制御バルブ12を再び閉じて、第2の方向制御バルブ9を開くことができる。第3の方向制御バルブ12の閉塞と第2の方向制御バルブ9の開放との間で数秒または更にはたった1秒未満が経過する場合がある。圧力ライン8が圧力容器16に接続されているため、第2の方向制御バルブ9の開放直後に圧力容器16とハウジング1の内側との間の圧力補償が行なわれる。その結果、ハウジング内の圧力が周囲圧力を超える値まで増加する。0.1bar〜1barの過圧が好ましい。
【0051】
ハウジング1の内側が所望の過圧状態に達すると、第2の方向制御バルブ9が閉じられ、この過圧状態が数秒間にわたって、例えば5秒間にわたって、しかし好ましくは2秒未満にわたって維持される。その後、サイクルが最初から始まる。過圧状態が真空発生器20によって取り除かれる必要がないように、第3の方向制御バルブ12を予め短時間だけ開くことができ、それにより、過圧状態が通気圧補償ライン11によって取り除かれる。
【0052】
図2.1は、好ましくは連続的に動作されるがバッチ単位で使用されてもよい本発明に係る装置の第2の典型的な実施形態を示している。
【0053】
ハウジング1は円筒チューブとして形成される。
【0054】
ハウジング1の図2.1の左側の端部には第1のオリフィス21が設けられる。この第1のオリフィス21は、第1のプラグスクリュ23および充填漏斗25によって先行される。第1のオリフィス21とプラグスクリュ23との間には、例えば空気圧シリンンダの形態を成すアクチュエータ29によって作動され得るバルブ27が配置される。図2.1は、第1の閉塞バルブ27を閉塞位置で示している。開放バルブ27の位置がダッシュ記号により示されている。
【0055】
図2.1から明らかなように、供給ライン4は、供給ライン4の1つの枝部が調整バルブ5.1を介してハウジング1内に直接に入り込むように分岐され、一方、更なる枝部4.1、4.2はそれぞれ充填漏斗25およびプラグスクリュ23に入り込む。
【0056】
枝部4.1、4.2の上流側には第2の調整バルブ5.2が設けられ、この調整バルブも同様に本発明に係る装置に流れ込む液体の量を制御するのに役立つ。
【0057】
プラグスクリュ23は従来のコンベアウォームと同様の態様で構成される。本質的な違いは、コンベアウォームのピッチが搬送方向で減少し、それにより、搬送動作に加えて、搬送される材料の圧縮も行なわれるという点である。しかしながら、プラグスクリュが更に円錐形に先細ってもよい。
【0058】
好ましくは木屑の形態を成す湿潤化されるべき繊維材料は、例えば水と共に、充填漏斗25内に投入された後、第1のプラグスクリュ23によってハウジング1の方向に搬送される。搬送動作と同時に、搬送される木屑の圧縮が行なわれ、それにより、第1のプラグスクリュ23に圧密プラグが形成される。それにより、周囲環境からのハウジング内部の密封が達成される。その結果、プラグスクリュ23またはそれにより圧縮される木屑によってオリフィス21が十分に密封される。しかしながら、図2.1に示されるように、閉塞バルブ27が更に設けられてもよい。
【0059】
第1のプラグスクリュ23が木屑および水を第1のオリフィス21を通じてハウジング内へ搬送すると、木屑と水とのこの混合物は、ハウジング1の内側に配置されるコンベアウォーム31により、ハウジング1を通じてゆっくりと搬送される。材料がハウジング1を通じて搬送されている間、図1に係る典型的な実施形態に関連して説明された圧力交番が行なわれる。これにより、木屑が湿潤化される。木屑がコンベアウォーム31によってハウジング1を通じて搬送された後、木屑は第2のオリフィス33を通じて第2のプラグスクリュ35内へ落下する。第2のプラグスクリュ35の端部にも同様に閉塞バルブ27および閉塞バルブ27を作動させるアクチュエータ29が配置される。それにより、ハウジングの第2のオリフィス33を常に圧密態様で且つ蒸気が漏れない態様で閉鎖することもできる。ハウジング1が適切に斜めに配置される場合には、コンベアウォーム31が省かれてもよい。
【0060】
第2のプラグスクリュ35の端部の閉塞バルブ27が開放されると、あるいは、プラグスクリュ35の圧力がアクチュエータ29の圧力よりも高いと、湿潤化された木屑および任意の過剰に存在する水が本発明に係る装置から下方に落下できる。
【0061】
図2に関連して記載される本発明に係る典型的な実施形態の装置は、連続的にあるいはバッチ単位で選択的に動作されてもよい。これは、木屑を第1のプラグスクリュ23によって常にハウジング1内へ搬送でき、また、湿潤化された木屑を第2のプラグスクリュ35によってハウジング1から搬出できるからである。
【0062】
また、第2のプラグスクリュ35を省くこともでき、また、閉塞バルブ27だけを用いて第2のオリフィス33を閉じることもできる。そのような実施形態が図2.2に示されている。
【0063】
図3.1に示される典型的な実施形態では、ハウジング1の第1のオリフィス21および第2のオリフィス33がドレントラップ36によって閉じられる。ドラントラップ36は、水または他の適したバリア液を収容する。バリア液の充填液位は、ハウジング1内の雰囲気と周囲空気との間に直接の接続が存在しないように供給ライン37および調整バルブ38によって設定される。このため、第1のオリフィス21および第2のオリフィス33がハウジング1の垂直壁に配置されれば有益である。
【0064】
コンベアベルト40が、第1のオリフィス21と第2のオリフィス33とドレントラップ36を通じて導かれるとともに、湿潤化されるべき繊維材料(図示せず)をハウジング1の内部へと案内する。コンベアベルト40に属する偏向ローラには参照符号34が与えられている。コンベアベルト40には歯42が配置されており、これらの歯42は、繊維材料を垂直方向で重力方向に抗して移送できるようにする。供給ライン4、真空ライン6、および、圧力ライン8がハウジング1に入り込む。これらのラインを通じた流入および流出は、既に前述した方法でバルブ5、7、9を用いて制御される。
【0065】
図3.2は、ドレントラップおよびコンベアベルト、ここでは管状チェーンコンベアを伴う本発明に係る装置の更なる典型的な実施形態を示している。
【0066】
図4は、個々のあるいは幾つかの紙屑梱またはパルプ梱、シート状の紙、および、分割紙ロールを湿潤化するのに特に適する、繊維材料を湿潤化するための本発明に係る装置の更なる典型的な実施形態を示している。
【0067】
この装置は、従来のパルパ(パルプ製造装置)を改造することによって製造することができ、そのようなパルパに後付けするのにも適する。パルパおよびトップに装着されるカウルも、本発明に広がる圧力状態のために適合されあるいは設計されなければならない。
【0068】
繊維材料は、開放するオリフィス21を通じて搬送デバイス42によりハウジング1内に投入される。その後、スライド48が下方へ移動され、それにより、オリフィス21が閉じられる。
【0069】
供給ライン4の調整バルブ5が開かれて、湿潤液、特に水が所望の液位まで加えられる。所望の液位に達すると、調整バルブ5が再び閉じられる。
【0070】
その後、モータ46がONに切り換えられ、それにより、ロータ44が回転する。その結果、ハウジング1内に収容される紙屑またはパルプ梱と湿潤液との混合が行なわれる。
【0071】
ライン4、6、8に関しては、先の典型的な実施形態に関連してこれらのラインついて述べられたことを参照されたい。
【0072】
繊維材料が湿潤化された後、ポンプ48がONに切り換えられ、湿潤化された繊維材料が有孔プレート50を介して吐出される。その後、パルパの充填および湿潤化が新たに始まる。
【0073】
繊維材料の完全な湿潤化が非常に短い時間(<2分)で行なわれ、また、完全に湿潤化された繊維材料を僅かなエネルギ消費で非常に効果的に速やかに細かく砕くことができるため、繊維材料を有孔プレート50を介して連続的に吐出することができる。ここで既に起こったように、大きな外側移送オリフィス(図示せず)を通じて、または、パルパカウルの図示しないオリフィスを介したグラブクレーンにより、非繊維材料(例えば、フィルム、ワイヤ)を定期的に取り除くことができる。
【0074】
この装置に伴う非常に短い湿潤化時間のおかげにより、したがって、パルパ内の紙屑の非常に短い分解・滞留時間のおかげにより、紙繊維を非常に急速にプラスチックフィルムまたは他のコーティングから引き離して有孔プレート50を介して吐出させることができる。それにより、これらの非繊維材料を著しく大きな断片の状態でパルパハウジング1から取り除くことができる。また、これにより、有孔プレート50を介して吐出された繊維材料を再仕分けするための現行の支出を非常に大幅に減らすことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交番圧力法によって繊維材料を湿潤化するための装置であって、気密で蒸気を漏らさないハウジング(1)と、真空ライン(6)とを有し、前記真空ライン(6)に第1の方向制御バルブ(7)が設けられる、装置において、
前記ハウジング(1)が、該ハウジング(1)に対する取り込みおよび取り出しのための少なくとも1つの閉塞可能なオリフィス(2、21、33)と、換気ライン(11)とを有し、第3の方向制御バルブ(12)が前記換気ライン(11)に設けられることを特徴とする、装置。
【請求項2】
前記ハウジング(1)が、該ハウジング(1)への取り込みのための閉塞可能な第1のオリフィス(21)と、前記ハウジングからの取り出しのための閉塞可能な第2のオリフィス(33)とを有することを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
少なくとも1つの前記オリフィス(2)をドア(2)、フラップ、スライド、バルブ(27)、プラグスクリュ(23、35)、水路、および/または、ドレントラップ(36)によって閉じることができることを特徴とする、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記繊維材料を湿潤化する媒体のための供給ライン(4)があり、調整バルブ(5)が前記供給ライン(4)に設けられることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
圧力ライン(8)が設けられ、第2の方向制御バルブ(9)が前記圧力ライン(8)に設けられることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記圧力ライン(8)が圧縮空気発生器(15)および/または圧力容器(16)に接続されることを特徴とする、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記真空ライン(6)が真空発生器(20)および/または真空容器(19)に接続されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
当該装置(1)を通じて繊維材料を搬送するための少なくとも1つの搬送デバイスが設けられることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
少なくとも1つの前記搬送デバイスが、コンベアウォーム(31)、移送ベルト(40)、および/または、チェーンコンベアとして形成されることを特徴とする、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
1つ以上のハウジング(1)が互いに並列におよび/または直列に接続されることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の装置。

【図1】
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【図2.1】
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【図2.2】
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【図3.1】
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【図3.2】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−522970(P2011−522970A)
【公表日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−512903(P2011−512903)
【出願日】平成21年6月15日(2009.6.15)
【国際出願番号】PCT/EP2009/004295
【国際公開番号】WO2009/149958
【国際公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(510326739)
【Fターム(参考)】