説明

繊維材料又は皮革材料のペーパー捺染法及び捺染紙

【課題】繊維材料又は皮革材料の捺染法であって、風合、発色性等に優れた卓越した捺染性能を示すとともに、混合糊の塗工量の削減による原材料費の削減や排水負荷の低減、生産性の向上、及び捺染用紙の保存性と捺染の再現性の向上を図る事ができる、エコロジカルかつエコノミカルな捺染法及びそこで用いられる捺染紙を提供する。
【解決手段】捺染用紙上に染料インクをプリントしてなる捺染紙を、繊維材料又は皮革材料に密着し、加圧・加熱して貼り付ける工程、前記捺染紙を繊維材料又は皮革材料に貼り付けた状態で染料の固着処理を行う工程、及び固着処理の後捺染紙を除去する工程を有し、前記捺染用紙は、滑剤及び/又は防湿剤が付与された原紙に、水溶性合成系バインダー、天然系糊剤及び助剤からなる混合糊を付与し乾燥して得られる事を特徴とする繊維材料又は皮革材料のペーパー捺染法及びそこで用いられる捺染用紙、並びに捺染紙。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、捺染紙を用いた繊維材料又は皮革材料の捺染法の改良に関するものである。詳しくは、水溶性合成系バインダー、天然系糊剤及び助剤からなる混合糊を原紙に付与してなる捺染用紙に染料インクをプリントして得た捺染紙を、繊維材料又は皮革材料に貼付けた状態で、染料の固着処理を行う事を特徴とするペーパー捺染法の改良に関するものである。
【0002】
なお、本明細書で用いられている「原紙」とは捺染用紙の製造に用いられる原紙を、「捺染用紙」とは混合糊が付与された原紙を、「捺染紙」とは染料インクが付与された捺染用紙を意味する。
【背景技術】
【0003】
布帛に染料で図柄を転写する方法として、製版プリント方式の捺染法とともにインクジェットプリント等を使用した無製版プリント方式転写捺染法が知られている。無製版プリント方式は、製版プリント方式に比べて、型作製の工程が無いので納期が短縮される、ロットの切り替えが簡単で小ロット生産が可能である、色数に制限が無く多様な表現が可能である、使用する装置が比較的小型でシンプルである、作業スペースが小さくてもよい、熟練技能者でなくても扱いが可能である、着色排水の処理量が少なく環境負荷が軽減される、等の利点があるので注目されている。
【0004】
更に、無製版プリント方式の問題点、ドット斑による均捺性の低下、染料インクの滲み出しによる精細性の低下、堅牢度や図柄の再現性等の問題を解決するために、種々の改良法が、特許文献1、特許文献2等において提案されている。例えば、特許文献2に記載の方法は、離型剤層を有する用紙(離型紙)を用い、その離型剤層上に、糊及び樹脂等からなる混合糊液を塗布、乾燥してインク受容層を形成し、該インク受容層に染料インクをプリントした後布帛へ乾式転写し、離型紙を剥離した後、布帛上へ乾式転写された染料をスチーミング等で固着処理する方法である。
【0005】
しかし、この方法には、次に示すような問題点がある。
(A)高価な離型紙が必要でありコストアップとなる。また、離型紙は離解性が悪いため回収紙のリサイクル使用が困難である。
(B)インク受容層を布帛に転写する工程での剥離性(紙の剥離の再現性)に問題があり、100%布帛へ転写できない場合がある(剥離不安定性)。部分的にインク受容層が捺染紙に残ると、その部分が斑染めになり不良品が発生する。
(C)インク受容層は布帛へ移されるので、染料固着処理後の布帛の洗浄工程で、インク受容層の糊、樹脂及び余剰染料インクは排水へ流れ出す。従って、排水を汚染する。
(D)汎用の離型剤は融点が低いものが多く(例えば、ポリエチレンラミネート離型剤の融点は約110℃)、転写性を向上するために高温での転写を行うと、離型剤がメルトして布帛へ付着し布帛の風合いが硬くなる。又はメルトした離型剤がインク受容層の一部を離型紙に残留させ、不良品を発生させる。
(E)離型剤の低い融点により、混合糊の付与後の乾燥温度が制約され、生産スピードを上げる事が困難である。従って、生産効率上の問題もある。
【0006】
そこで、これらの問題を解決する方法として、水溶性合成系バインダー、天然系糊剤及び助剤からなる混合糊を原紙に付与し乾燥して得られる捺染用紙上に、染料インクをプリントして捺染紙を得る工程、前記捺染紙を布帛等(繊維材料又は皮革材料)に貼り付け(一時接着)する工程、捺染紙を貼り付けた状態で染料の固着処理(スチーミング等)を行う工程、及び固着処理後捺染紙を除去する工程を有する繊維材料又は皮革材料の捺染法が、特許文献3で開示されている。この方法は、特許文献3において「ペーパー捺染法」と名付けられている。
【0007】
ペーパー捺染法には、原紙として安価な紙が使用可能で高価な離型紙を使用する必要がない、剥離不安定性が原因で発生する不良品の問題を解決できる、排水負荷を一層軽減できる、風合いを維持しながら高温での貼り付けと高濃度染着が可能になる、離型剤を使用しないので、混合糊の乾燥温度を上げて塗工効率を向上できる等の利点があり、前記の(A)〜(E)の問題が改善される。その結果、精細な捺染図柄の表現を、優れた経済性とエコロジー性の元に再現性良く提供できる。
【0008】
ペーパー捺染法においては、その原材料費の削減のため、又、排水負荷の低減のため、混合糊の付与量の低減が望まれている。又、生産性を向上するために、塗工(付与)工程の塗工スピード(コーターのスピード)や染料インクをプリントして捺染紙を製造する工程(プリント工程)でのプリントスピードの向上が望まれている。しかし、特許文献3に記載のペーパー捺染法では、以下に述べる理由で、混合糊の付与量の低減や生産性の向上は困難であり、その改善が望まれていた。
【0009】
(F)混合糊の付与(塗工)量を低減すると、発色性や接着性(捺染紙の貼り付けの安定性)等の品質に問題を生じやすい。
(G)塗工スピードを向上するために、混合糊の固形分を下げて(水分量を増やして)粘度を下げると、塗工量が減り接着性や発色性に問題を生じる。又、原紙の収縮や皺が発生しやすく、均一な塗工が妨げられて捺染用紙の不良品が発生する場合がある。
(H)塗工スピードを上げると、塗工後の乾燥工程で乾燥不十分となり、捺染用紙を巻取り後、紙の表裏が接着するブロッキング現象が起きる場合がある。
(I)プリントスピードを上げるとインクの乾燥が不十分となり、プリントしたインクが部分的に捺染紙の裏に移り(色移り)、色斑による不良品を発生する場合がある。
【0010】
(J)更に、特許文献3に記載のペーパー捺染法での捺染用紙を、湿度の高い場所で保管すると糊が吸湿してブロッキング現象を起こす場合もあるのでその改善が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開06−287870号公報
【特許文献2】特許第4058470号公報
【特許文献3】特許第4778124号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、繊維材料又は皮革材料の捺染法であって、風合、発色性等に優れた卓越した捺染性能を示すとともに、混合糊の付与量の削減による原材料費の削減や排水負荷の低減、生産性の向上、及びブロッキング現象や色移り等が無く捺染用紙の保存性と捺染の再現性が良い、エコロジカルかつエコノミカルな捺染法を提供する事を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者は、上記の課題を達成するため、特許文献3に記載されたペーパー捺染法の改良について鋭意研究を重ねた結果、原紙として、滑剤又は防湿剤を付与した紙を使用すれば、混合糊の付与量を減らしても発色性や接着性の問題を生じない事、そして、混合糊の付与量の減少により、原材料費の削減、排水負荷の低減、塗工工程及びプリント工程の生産性向上を図れる事、更に塗工工程及び捺染用紙保管時のブロッキング現象と捺染紙の色移りを抑制し、保管時の品質の劣化を防止できる事、即ち、前記(F)〜(J)の問題が全て解決される事を見出し、以下に示す構成からなる発明、改良されたペーパー捺染法を完成した。
【0014】
本発明は、捺染用紙上に染料インクをプリントしてなる捺染紙を、繊維材料又は皮革材料に密着し、加圧・加熱して貼り付ける工程、前記捺染紙を繊維材料又は皮革材料に貼り付けた状態で染料の固着処理を行う工程、及び固着処理の後捺染紙を除去する工程を有し、前記捺染用紙は、滑剤及び/又は防湿剤が付与された原紙に、水溶性合成系バインダー、天然系糊剤及び助剤からなる混合糊を付与し乾燥して得られる事を特徴とする繊維材料又は皮革材料のペーパー捺染法である(請求項1)。
【0015】
本発明は、特許文献3に記載の繊維材料又は皮革材料のペーパー捺染法であって、更に原紙として、滑剤及び/又は防湿剤が付与された紙を用いる事を特徴とする。従って、前記公知のペーパー捺染法の利点を全て保持するとともに、この特徴により、混合糊の付与量を大幅に削減でき、その結果、原材料費の削減、排水負荷の低減、塗工工程の生産性の向上を達成する事ができる。又、塗工工程及び捺染用紙保管時のブロッキング現象、捺染紙の色移り現象を防止、プリント工程の生産性の向上を達成する事ができる。即ち本発明の改良されたペーパー捺染法は、前記の問題点(A)〜(J)を全て解決する新規な捺染法である。
【0016】
更に、本発明によれば、固着工程(スチーミング)後の剥離性も良好であり、より優れた精細性、発色性を有する捺染製品が得られ、捺染製品の一層の品質向上及びコストダウンを達成できる。そして、現在染色業界で多用されているローラ型や平板型の加圧・加熱設備を活用して、セルロース系繊維、蛋白質系繊維、皮革又は合成繊維の捺染を行う事ができ、精細性、発色性等の品質に優れ、堅牢な捺染製品を低コストで得る事ができる。なお、滑剤又は防湿剤の付与量は少なく、付与工程も同時並行的に実施できるので、滑剤又は防湿剤の付与によるコストアップは僅少であり、混合糊の削減効果に比べれば問題となるものではない。
【0017】
原紙に付与される滑剤とは、紙に付与する事により紙の表面の摩擦係数を低減する薬剤である。防湿剤とは、紙に付与する事により紙の吸水性や吸湿性を低減する薬剤である。滑剤及び防湿剤は、それぞれ単独で紙に付与しても良いし、滑剤及び防湿剤をともに付与してもよい。更に、滑剤及び/又は防湿剤とともに助剤(混合糊液を構成する助剤と区別するため、以後「助剤A」という。)を併用してもよい。又、滑剤、防湿剤及び助剤Aから選ばれる2以上を付与する場合には、これらの混合物を作製し、混合物として紙に付与してもよい。
【0018】
請求項2に記載の発明は、前記滑剤又は防湿剤が、炭化水素系滑剤、脂肪酸系・高級アルコール系滑剤、脂肪酸アマイド系滑剤、金属石鹸系滑剤、エステル系滑剤、合成樹脂エマルジョン、合成樹脂ラテックス、合成ゴムラテックス、天然系ラテックス、カルボキシルメチルセルソース(CMC)及びその誘導体からなる群より選択された1種又は2種以上である事を特徴とする請求項1に記載の繊維材料又は皮革材料のペーパー捺染法である。紙に付与される滑剤又は防湿剤として、より具体的には、請求項2に記載の薬剤等を挙げる事ができる。
【0019】
請求項3に記載の発明は、原紙に対する滑剤及び/又は防湿剤の付与量が、0.5〜5g/mである事を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の繊維材料又は皮革材料のペーパー捺染法である。付与量が0.5〜5g/mであるとは、原紙の1m当たりの付与量が0.5〜5gである事を意味する。付与量がこの範囲内であると、混合糊の付与量を削減できる余地、即ち優れた発色性や接着性を維持できる付与量の削減範囲が大きく、又、ブロッキング現象や色移りの防止効果も大きいので好ましい。
【0020】
請求項4に記載の発明は、滑剤及び/又は防湿剤の付与が、コーターを使用した塗工により行われる事を特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の繊維材料又は皮革材料のペーパー捺染法である。
【0021】
滑剤及び/又は防湿剤の付与は、紙の顔料塗工等に使用されるコーターにより、滑剤及び/もしくは防湿剤又はこれらを含む混合物を、原紙となる紙の表面に、製紙工程と同様にして塗工する方法により行う事ができる。コーターとしては、製紙工程に広く用いられているゲートロールコーター、ロッドメタリングサイズプレスコーター、コンマコーター、バーコーター、ブレードコーター、カーテンコーターやエアナイフコーター等を用いる事ができる。
【0022】
請求項5に記載の発明は、滑剤及び/又は防湿剤の付与が、含浸加工により行われる事を特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の繊維材料又は皮革材料のペーパー捺染法である。
【0023】
滑剤及び/又は防湿剤の付与は、原紙となる紙を、滑剤及び/又は防湿剤が溶解又はエマルジョン等として分散している溶液又は分散液に浸漬し、滑剤及び/又は防湿剤を紙中に含浸させる方法によって行う事もできる。含浸に使用する装置としては、紙加工に通常用いられている含浸機と同様なものを用いる事ができる。
【0024】
請求項6に記載の発明は、滑剤及び/又は防湿剤の付与が、サイズプレスにより行われる事を特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の繊維材料又は皮革材料のペーパー捺染法である。
【0025】
滑剤及び/又は防湿剤の付与は、紙に表面強度や耐水性を付与する目的で行われる表面サイジングに使用されるサイズプレスを使用して、原紙となる紙を両面加工する方法によっても行う事ができる。サイズプレスとしては、表面サイジングに通常使用されている装置と同様な装置、例えば通常の2ロール型サイズプレス等を用いる事ができる。
【0026】
原紙となる紙への滑剤及び/又は防湿剤を付与する方法としては、更に、紙の抄紙工程に於いて、パルプ分散液中に滑剤及び/又は防湿剤を添加する方法等も挙げる事ができる。請求項4又は5の方法によれば、滑剤及び/又は防湿剤は、主に原紙の表面に付与され、請求項6の方法や抄紙工程で付与する方法によれば、滑剤及び/又は防湿剤は、原紙の表面だけでなくその内部にも付与される。
【0027】
本発明のペーパー捺染法に用いる原紙は、請求項4〜6に記載の方法又は他の方法により、原紙となる紙へ滑剤及び/又は防湿剤を付与した後、乾燥する事により作製する事ができる。乾燥条件は特に制限されるものではないが、使用する滑剤或いは防湿剤に融点がある場合は、その融点、もしくはそれ以上の温度である事が好ましい。なお、後述のように、滑剤及び/又は防湿剤の付与及びその後の乾燥を、混合糊の付与及びその後の乾燥と同時並行的に行ってもよい。
【0028】
本発明は、前記の請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の繊維材料又は皮革材料のペーパー捺染法に加えて、このペーパー捺染法で使用される捺染用紙並びに捺染紙も提供する。即ち、滑剤及び/又は防湿剤を付与した原紙に、水溶性合成系バインダー、天然系糊剤及び助剤からなる混合糊を塗工し乾燥して得られる事を特徴とする捺染用紙(請求項7)、並びに、滑剤及び/又は防湿剤を付与した原紙に、水溶性合成系バインダー、天然系糊剤及び助剤からなる混合糊を塗工し乾燥して得られる捺染用紙上に染料インクをプリントしてなる事を特徴とする捺染紙(請求項8)である。染料インクとしては水性の染料インクが使用される。
【発明の効果】
【0029】
本発明の改良されたペーパー捺染法は、公知のペーパー捺染法の利点、例えば高価な離型紙を使用しなくてもよい等の利点を全て有する上に、混合糊の付与量を削減しても優れた発色性や接着性が得られる。従って、混合糊の付与量の削減が可能であり、その結果、原材料費の削減、排水負荷の低減、塗工工程のスピードアップ等が達成される。又、捺染用紙の製造や保管過程において紙の表裏が接着するブロッキング現象の解消、捺染紙を製造・保管する過程でのインクの裏移りによる色柄の乱れの解消、混合糊液を塗工する際原紙の収縮や皺の発生が抑えられ均一な塗工が可能となり捺染用紙の不良品の発生を防ぐ等の効果も達成される。更に、回収した古紙の離解性が優れている事による紙のリサイクル性の向上との効果ももたらされる。即ち、本発明の改良されたペーパー捺染法により、捺染用紙のコストダウン、環境負荷の削減、生産性の改善、捺染製品の品質の安定化及び品質向上を達成する事ができる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明をその実施の形態に基づいて説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではない。本発明と同一および均等の範囲内において、以下の実施の形態に対して種々の変更を加える事が可能である。
【0031】
原紙に付与される滑剤又は防湿剤としては、例えば、特許第4123065号公報の段落0019、段落0026、特許第4636296号公報の段落0016、特許第4258891号公報の段落0008、段落0009等に記載がある滑剤や防湿剤を使用する事ができる。具体的には、滑剤としては、流動パラフィン、パラフィンワックス等の炭化水素系滑剤、ステアリン酸、オレイン酸アンモニウム等の脂肪酸系滑剤、ステアリルアルコール、多価アルコール等の高級アルコール系滑剤、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド等の脂肪酸アマイド系滑剤、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛等の金属石鹸系滑剤、ステアリン酸モノグリセリド、ステアリン酸ブチル、ソルビタンエステル、グリセリンエステル等のエステル系滑剤並びにCMC及びその誘導体を挙げる事ができる。特に、ステアリン酸系滑剤を用いることが好ましい。
【0032】
防湿剤としては、芳香族ビニル系単量体、脂肪族共役ジエン系単量体、エチレン性不飽和カルボン酸エステル系単量体、不飽和脂肪酸系単量体、αオレフィン系単量体及びその他の共重合可能な単量体の中から選択された1種又は2種以上を乳化重合した合成樹脂からなるもの等が挙げられ、この合成樹脂の固形分10〜50%程度の水性のエマルジョンやラテックス、又はこの合成樹脂をアルカリ水に溶解させたもの等が好ましく用いられる。具体的には、
スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロルスチレン、2,4−ジブロモスチレン等の芳香族ビニル系単量体と1,2−ブタジェン、1,3−ブタジェン、イソプレン、クロロプレン等の脂肪族共役ジエン系単量体の共重合体、例えばスチレン−ブタジエン系共重合体(SBR)、
アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、メタルクル酸プロピル、アクリル酸ブチル、メタルリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、メタアクリル酸ヘキシル、アクリル酸ヘプチル、メタクリル酸ヘプチル、アクリル酸オクチル、メタクリル酸オクチル、アクリル酸オクタデシル、メタクリル酸オクタデシル等のエチレン性不飽和カルボン酸エステル系単量体と脂肪族共役ジエン系単量体から乳化重合によって得られる共重合体、例えばメチルメタクリレート−ブタジエン系共重合体(MBR)、
芳香族ビニル系単量体とエチレン性不飽和カルボン酸エステル系単量体から乳化重合によって得られる共重合体、例えばスチレン−アクリル系共重合体、
αオレフィン系単量体と不飽和脂肪酸系単量体の乳化重合から得られる共重合体、例えばエチレン−アクリル酸系共重合体、
1種類又は2種類以上のエチレン性不飽和カルボン酸エステル系単量体の乳化重合から得られるアクリルエステル系重合体等の、
水性のエマルジョンや合成ゴム系ラテックスを挙げる事ができる。防湿剤としては、更に、ロジン、テルペン等の天然系ラテックス等を挙げる事ができる。特にスチレン−アクリル系共重合体を用いることが好ましい。
【0033】
東邦化学工業社製のエルビーコートLB−2700E、同LB−37,同LB−PE、同LB−2300、同LB−2700S、サンノプコ社製のSN−コート231SP、同243、同289、同204、第一工業製薬社製のラストルSB等の商品名で市販されている滑剤も、使用する事ができる。CMCとしては、日本製紙ケミカル社製のサンローズF、A、P、S、B等、エーテル化度の異なる製品が挙げられる。更に、特開2007−2063号に記載されたポリアルキレンオキシドを結合させたCMC誘導体も使用可能である。又、東邦化学工業社製のペルトールPS−860、サイデン化学社製のサイビノールEK−61、同EK−63、一方社油脂工業社製のOP−670S、新中村化学工業社製のニューコートMT−9000N、同MT−9000NW−20、同S−3735コンク等も、防湿剤として販売されており使用する事ができる。
【0034】
これらの滑剤や防湿剤は、単独で又は2種類以上の混合物で使用する事ができる。更に必要に応じて各種助剤Aを加える事ができるが、助剤Aとしては、ポリビニルアルコール、天然系糊剤、タルク、カオリン、炭酸カルシウムや特許第4258891号に記載されている有機系顔料(プラスチックピグメント)等を挙げる事ができる。タルク、カオリン、炭酸カルシウムやプラスチックピグメントは、摩擦係数の制御のために滑剤や防湿剤と併用される。
【0035】
滑剤及び/又は防湿剤の紙への付与方法としては、前記の方法、即ち、滑剤や防湿剤及び必要により加えられる助剤Aを水等の溶媒に溶解又は乳化してなるエマルジョン又は混合液を原紙上に塗布する方法(請求項4又は6)、原紙を前記エマルジョン又は混合液に浸漬して含浸させる方法(請求項5)、紙の抄紙工程で付与する方法の他、前記エマルジョン又は混合液を噴霧して塗布する方法等を挙げる事ができるが、これらに限定されない。原紙へエマルジョン又は混合液を付与した後、乾燥する事によって、原紙上(付与が塗布によりされた場合等)や原紙内(付与が含浸によりされた場合、抄紙工程で付与された場合等)に、滑剤及び/又は防湿剤からなる層が形成され、原紙となり、この原紙に混合糊が付与される。滑剤及び/又は防湿剤が、原紙の片面に付与された場合は、混合糊は好ましくは、他の面に付与される。
【0036】
なお、滑剤及び/又は防湿剤の付与と混合糊の付与を、同時並行的に行っても良い。例えば、紙の両面の一方に滑剤及び/又は防湿剤を塗布すると同時に他面に混合糊の塗工を行い、同時に乾燥させても良い。
【0037】
本発明のペーパー捺染法は、滑剤及び/又は防湿剤を付与した原紙を用いる事を特徴とするが、他は、特許文献3に記載された公知のペーパー捺染法と同様である。即ち、水溶性合成系バインダー、天然系糊剤及び助剤からなる混合糊を、原紙に付与し、乾燥して捺染用紙を得て、この捺染用紙に染料インクをプリントした捺染紙を、繊維材料又は皮革材料(布帛等)に貼付けて、スチーミング等の染料固着処理を施す事により染料を固着・発色させるとともに、捺染紙と布帛等の間の接着力を低減させて捺染紙を剥離する工程は、混合糊の付与量を低減できる以外は、公知のペーパー捺染法と同様に行われる。
【0038】
従って、公知方法と同様な利点を有する。即ち、前記(A)〜(E)の問題を解決し、高価な離型紙ではなく一般的に市販されている安価な紙により原紙を作製できる、公知の転写捺染法における剥離不安定性が原因で発生する不良品の問題を解決できる、排水負荷を軽減できる、風合いを維持しながら高温での貼り付けと高濃度染着が可能になる、(融点の低い)離型剤を使用しないので、混合糊液の乾燥温度を上げて塗工効率を向上できる(例えば、塗布後の乾燥温度を150〜180℃まで上げて塗布スピードを3倍以上にスピードアップできる)等の優れた効果が得られる。
【0039】
本発明のペーパー捺染法で使用される原紙の基材、即ち、滑剤及び/又は防湿剤の付与される紙としては、公知のペーパー捺染法の原紙と同様な紙が使用できる。即ち、前記混合糊を付与する事ができ、かつ捺染紙とて使用できる強度や柔軟性等を有する紙であれば特に限定されない。従って、ティッシュやトイレットペーパーの様なウエット強度が極端に低い紙以外は使用可能であり、一般的に使用されている紙、市販の通常の紙をそのまま原紙として使用する事ができるので安価である。コート紙等の加工紙も使用可能であるが、離型層を有する高価な離型紙を用いる必要はない。従って、製造コストを大きく低減できる。
【0040】
例えば、クラフトパルプ又はグラインドパルプ等のパルプやリサイクル紙を原料として抄紙され、坪量が10g〜100g/m、好ましくは20〜80g/mの紙等、一般的に使用されている安価な紙が用いられる。作業性から厚さは0.01〜0.5mm程度の紙が好ましい。特に安価で強度の強いクラフト紙や上質紙は好ましく用いられる。市販品としては、日本製紙社製の晒し又は未晒しクラフト紙、上質紙、日本大昭和板紙社製の銀竹、銀嶺、白銀等の銘柄、日本製紙社製の片艶クラフト紙、グラシン紙、晒しクラフト紙、未晒しクラフト紙等を挙げる事ができるが、これらはほんの一例に過ぎない。
【0041】
混合糊を構成する水溶性合成系バインダーとは、水溶性であり、加熱によりポリマー化が進み高分子量となり、樹脂被膜形成性を有するものである。又、原紙上又は原紙内に形成されたその被膜を加熱・加圧する事により、繊維や皮革と原紙間を接着させる接着力を生じるものである。一方、染料の固着処理(スチーミング、加湿、又は高温での乾熱処理)により接着力が低下する性質を有するものである。従って、加熱・加圧した後の乾燥状態で接着力が強い被膜を形成できるとともに、スチーミング、加湿、又は高温での乾熱処理により接着力が大きく低下する性質(一時的接着性)に優れるバインダーが好ましい。
【0042】
この水溶性合成系バインダーとしては、主として石油化学で合成されたものを例示する事ができる。又、染着阻害のないバインダーが望まれる。具体的には水溶性ポリビニルアルコール系バインダー、水溶性アクリル系バインダー、水溶性ウレタン系バインダー、水溶性ウレタン変性エーテル系バインダー、水溶性ポリエチレンオキサイド系バインダー、水溶性ポリアミド系バインダー、水溶性フェノール系バインダー、水溶性酢酸ビニル系バインダー、水溶性スチレンアクリル酸系バインダー、水溶性スチレンマレイン酸系バインダー、水溶性スチレンアクリルマレイン酸系バインダー、水溶性ポリエステル系バインダー、水溶性ポリビニルアセタール系バインダー、水溶性ポリエステル・ウレタン系バインダー、水溶性ポリエーテル・ウレタン系バインダー、水溶性ホットメルト接着剤等を挙げる事ができ、これらから選ばれた1種又は2種以上の混合物が好ましく使用できる。
【0043】
中でも、水溶性ポリビニルアルコール系バインダー、水溶性アクリル系バインダー、水溶性ポリエステル系バインダー、水溶性ポリエーテル・ウレタン系バインダー、水溶性ホットメルト接着剤が、水溶性、一時的接着性に優れ、染着の阻害が小さいので好ましい。水溶性ホットメルト接着剤としては、マレイン酸交互共重合体のアルカリ水可溶型ホットメルト接着剤、感水性ホットメルト接着剤、ポリビニルアルコール系ホットメルト接着剤等を挙げる事ができる。
【0044】
前記混合糊を構成する天然系糊剤とは、天然に産出する糊剤の原料をそのまま又は物理的又は化学的に加工して得られるものである。天然系糊剤は、接着力を示すが、水溶性合成系バインダーと異なり、加熱しても、ポリマー化や接着力の上昇がないものである。一方、スチーミングや乾燥加熱処理により除去できるものであり、親水性である事が好ましい。又、水溶性合成系バインダーや染料インクとの相溶性が高く、染料インクを均一に吸収保持する性質が求められる。
【0045】
天然系糊剤は、動物系糊料、植物系糊料、及び鉱物系糊料に分類される。動物系糊料としては、動物の皮膚や骨に含まれるコラーゲンから抽出されるゼラチン等が挙げられる。植物系糊料としては、澱粉やセルロースを出発原料として加工するCMC等が挙げられる。鉱物系糊料としては、粘土鉱物から採取されるクレイ等が挙げられる。より具体的には、天然ガム糊(エーテル化タマリンドガム、エーテル化ローカストビーンガム、エーテル化グアガム、アカシアアラビア系ガム等)、繊維素誘導糊(カルボキシメチルセルロース、エーテル化カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等)、多糖類(澱粉、グリコーゲン、デキストリン、アミロース、ヒアルロン酸、葛、こんにゃく、片栗粉、エーテル化澱粉、エステル化澱粉等)、海藻類(アルギン酸ソーダ、寒天等)、鉱物性糊料(ベントナイト、陶土、珪酸アルミニウム及びその誘導体、シリカ、珪藻土、クレイ、カオリン、酸性白土等)、動物性糊料(カゼイン、ゼラチン、卵蛋白等)を挙げる事ができ、これらから選ばれた1種又は2種以上の混合物が好ましく使用できる。
【0046】
中でも、天然ガム糊、CMC等のセルロース誘導体、エーテル化澱粉等の澱粉誘導体、アルギン酸ソーダ等の海藻類、二酸化珪素、珪酸アルミニウム、クレー等の鉱物性糊料、及び動物性糊料が好ましい天然系糊剤である。
【0047】
水溶性合成系バインダーと天然系糊剤との配合割合は、固形分換算で、水溶性合成系バインダー:天然系糊剤=95:5〜20:80(質量比)の範囲が好ましい。水溶性合成系バインダーの配合割合が、水溶性合成系バインダーと天然系糊剤の合計質量の20質量%未満又は95質量%を超える場合(天然系糊剤が5質量%未満の場合)は、染料固着後の紙はがれ性(捺染紙の剥離の容易さ)、染着性、均染性、紙−布間の接着力が低下する傾向があり、又、精細性が低下する等の問題が生じる傾向がある。
【0048】
前記混合糊を構成する助剤は、混合糊の各種物性を向上する、染料の染着性を促進する等のために加えられるものである。助剤としては、界面活性剤、増粘剤、保湿剤、PH調整剤、アルカリ剤、濃染化剤、防腐剤、防黴剤、脱気剤、消泡剤及び還元防止剤等を挙げる事ができ、ここで例示された助剤から選択された1種又は2種以上を使用することができる。
【0049】
混合糊中に助剤を、表面張力低下剤や浸透剤として加えられるアニオン系界面活性剤等の場合は0.2〜5質量%、捺染紙の布帛等への接着力と染着力向上のために加えられる保湿剤(湿潤剤)、例えばポリエチレングリコール、グリセリン、チオジグリコール、ジエチレングリコール等の多価アルコール類、尿素、チオ尿素、ジシアンジアミド等の場合は1〜15質量%、混合糊の粘度を増加させて原紙への塗布を容易にするための増粘剤であるアクリル酸系合成糊の場合は0〜3質量%、防腐剤、防黴剤、消泡剤、脱気剤、還元防止剤の場合は0.1〜5質量%、反応染料を用いる場合に加えられるソーダ灰、重炭酸ソーダ、硅酸ソーダ、酢酸ソーダ等のアルカリ剤の場合は1〜15質量%、分散染料や酸性染料を用いる場合に加えられる酢酸、硫安又は第一リン酸ソーダ等のPH調整剤の場合は0.1〜3質量%、配合すると好ましい結果が得られる。
【0050】
本発明のペーパー捺染法で使用される前記混合糊は、水溶性合成系バインダー、天然系糊剤及び助剤が配合された親水性混合物である。この混合糊(親水性混合物)又はその溶液(混合糊液)を、前記原紙に付与して乾燥する事により、本発明で使用する改良された捺染用紙が得られる。
【0051】
予め滑剤又は防湿剤及び助剤の混合物を付与された原紙へ混合糊を付与した後、又は滑剤及び/又は防湿剤と混合糊を同時並行的に片面ずつ、両面から付与した後、乾燥する事によって原紙上や原紙内部に、混合糊と滑剤又は防湿剤からなる層が形成される。この層は、水溶性合成系バインダーと天然系糊剤の混合物を含み、更に各種助剤が配合される事もある多成分系糊層である。この層は、染料インクを保持するインク受容層としての機能を有するとともに、捺染紙が布帛等に密着され加熱・加圧されたときには、一時的に捺染紙を布帛等の繊維に強く接着する接着剤層でもある。
【0052】
このように混合糊には、インク受容層としての機能、接着剤層としての機能、及びスチーミング等による染料の固着処理工程の最終段階で接着力が低下しかつ容易に除去される性質の付与が求められるので、具体的には、次の条件の充足が求められる。
1.染料インクとの相溶性が良好で、かつ繊維上での染料の染着を妨害しない。即ち、染料染着後の濃度・色相の優れた再現性を与える混合糊である。
2.加熱・加圧処理によって繊維(繊維材料、皮革材料)−紙間を一時的に強く接着できる。即ち、加圧して熱を加えた後の乾燥状態では繊維−紙間を一時的に(染料固着処理工程の最終段階まで)強く接着する接着力を有する。
3.インク吸収性が良く、見掛け上のインク乾燥性が良好で、色柄の精細性にも優れている。即ち、インク受容力が大きい。
4.スチーミング等による染料の固着処理工程により容易に接着力が低下する性質を有する。即ち、水分又は湿気が付与されると容易に接着力を失い、捺染紙を繊維材料や皮革材料から容易に剥離させる事ができる混合糊である。
5.染料固着後の水洗、ソーピング等において発色された繊維材料や皮革材料から除去できる。即ち、加熱後も水溶性の大きい混合糊である。
【0053】
混合糊の原紙への付与の方法は、特に限定されないが、混合糊を構成する前記成分を水等の溶媒に溶解してなる混合糊液を原紙上に塗布する方法、噴霧する方法、又は原紙を、混合糊液に浸漬して吸収させる方法等を挙げる事ができる。原紙への混合糊液を付与した後、乾燥する事によって、原紙上(付与が塗布によりされた場合等)や原紙内(付与が吸収によりされた場合等)に、混合糊からなる層(インク受容層兼接着層)が形成され、捺染用紙が得られる。
【0054】
混合糊液の付与装置としては、コンマコーター、グラビアコーター、リバースコーター、エアナイフコーター、ジェットコーター、含浸装置等を挙げる事ができるが、これらはほんの一例に過ぎない。
【0055】
混合糊の付与量は、捺染用紙のコストやバインダー類が繊維材料へ接着する際の強度及び発色性に関わってくる。そこで、この付与を、コーティング機を使用した塗工で行う場合は、コーターのクリアランスや巻き取りスピードの調整等、付着量の管理が重要である。又、混合糊液と原紙の種類によっては、混合糊液の塗工時に紙の収縮・膨潤現象を生じ、皺が発生して原紙への糊の均一塗工が困難な場合がある。しかし、本発明で使用される滑剤及び/又は防湿剤を付与した原紙を用いて混合糊を塗工すると、塗工時の原紙の収縮や皺の発生が抑えられ、均一な塗工が可能となり、捺染用紙の不良品の発生を低減する効果がもたらされる。
【0056】
特許文献3に記載されている公知のペーパー捺染法では、混合糊の付与量は、ドライ換算で10〜100g/mであった。例えば、実施例1では38g/m、実施例3では40g/m、実施例4では35g/m、実施例6では38g/m、実施例7では40g/mであり、付与量は35〜40g/mが好ましい事が示されている。そして、混合糊の付与量が小さい場合には、接着性や発色性が低下する。
【0057】
しかし、本発明では、付与量が10〜20g/mであっても、公知のペーパー捺染法における35〜40g/mの場合と同等以上の接着性や発色性が得られる。従って、混合糊の付与量を大幅に低減することができ、その結果、原材料費の削減、排水負荷の低減、塗工工程の生産性の向上等の優れた効果を達成することができる。
【0058】
前記のようにして製造された滑剤又は防湿剤と混合糊を付与された捺染用紙上に、染料インクを、捺染の図柄に基づいてプリントし、その後乾燥する事により捺染紙が作製される。捺染用紙の一方の表面側には主として前記混合糊が塗工され、反対側又は原紙内部に滑剤及び/又は防湿剤が付与されている場合は、混合糊が塗工されている側に染料インクがプリントされる。プリントの方法としては、インクジェットプリントによる方法が好ましいが、その他の方法、例えばグラビア印刷、フレキソ印刷、スクリーンプリント等の方法も挙げる事ができ、公知の転写捺染の場合と同様の方法、条件によりプリントする事ができる。
【0059】
ここで用いられる染料インクとは、染料を染料溶解剤又は分散剤等に溶解又は分散してなるものである。染料の種類は、繊維材料や皮革材料を構成する繊維の種類に応じて、反応染料、直接染料、酸性染料、金属錯塩型染料、分散染料、カチオン染料等から選択される。分散染料をインク化する場合は、0.1〜0.3mmのジルコニュウムビーズを用いて染料の平均粒径を0.1μm程度に微粒化する事が望ましい。
【0060】
染料溶解剤としては、水、チオジグリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、エチレングリコール、εカプロラクタム等を挙げる事ができる。染料インクには、更に、必要に応じて乾燥防止剤、表面張力調整剤、粘度調整剤、PH調整剤、防腐剤、防黴剤、金属イオン封鎖剤、消泡剤、脱気剤等が添加される。これらの成分を混合して、微量の不溶物を1ミクロン以下のメンブレンフィルターでろ過・脱気した染料インクが使用される。
【0061】
染料インクを捺染用紙上にプリントする方法としては、水性染料インクを用い、インクジェットプリントする方法が好ましいが、他の印刷方法、例えばグラビア印刷、フレキソ印刷も適用できる。水性染料インクとは、水又は水に溶解する溶剤を主成分として染料を溶解又は分散したインクである。必要に応じて増粘剤等でインク粘度を調整する。本発明は、前記染料インクが水性染料インクであり、前記プリントがインクジェットプリントやグラビア印刷等の印刷方法により好ましく行われる。
【0062】
前記のようにして作製された捺染紙は、捺染対象の繊維材料や皮革材料に密着されて、加熱・加圧される。加熱・加圧により、捺染紙と繊維材料や皮革材料間が接着される。加熱・加圧の条件は、通常の転写捺染の場合と同様な条件を適用する事ができるが、圧力をやや高めに設定すると好ましい。
【0063】
加熱・加圧の後、捺染紙が密着された状態でスチーミング等による染料の固着処理が行われる。固着処理によりインク受容層兼接着層の接着力が低下し、捺染紙の剥離、除去が容易になる。
【0064】
染料の固着処理としては、反応染料等を用いる捺染で通常行われているスチームによる加熱の他、加湿や水分の付与等を行った状態で加熱する方法等も採用できる。スチーミングによる染料の固着処理の条件としては、通常の直接捺染法で採用されている染料のスチーミングによる固着条件と同様な条件をそのまま採用できる。例えば、染料が反応染料の場合は、1相スチーム固着法による、100〜105℃、5〜20分間のスチーミング、アルカリを含まないインク受容層の場合は、2相法(例えばコールドフィックス法等)によるスチーミングと同様な条件が適用できる。染料が酸性染料の場合は、100〜105℃、10〜30分間のスチーミング処理を行う事ができる。生地から紙をはがす際、スチーミング後の水分や湿気を付与された状態での紙はがし(紙の剥離)は容易である。
【0065】
なお、分散染料を使用したポリエステル繊維の捺染の場合は、160〜210℃、1〜15分間のHTスチーミング又は乾熱処理等により固着処理を行うことができる。即ち、高温で貼付け後、乾燥加熱する方法によっても捺染紙の剥離が可能である。この場合は、乾燥加熱(固着)後、少量の湿気や水分を付与するとより容易に剥離する事ができる。
【0066】
染料の固着処理は、加熱・加圧がされた後行ってもよいし、前記の加熱・加圧と同時に行ってもよい。加熱・加圧及び染料の固着処理により、捺染用紙上にプリントされた染料インク中の染料の大部分が繊維材料や皮革材料に吸収、染着される。又、染料の固着処理により、繊維材料や皮革材料に染着された染料の固着が行われるとともに、捺染紙と繊維材料や皮革材料間の接着力が低下する。そこで、繊維材料や皮革材料から捺染紙が容易に剥離される。
【0067】
スチーミング等による処理工程により、繊維材料や皮革材料への染料の固着及び発色が行われ、かつ捺染紙が剥離、除去された後は、通常の水洗、ソーピング等の洗浄工程が行われる。捺染紙から繊維材料に混合糊が少量移行することもあるが、この場合は、この洗浄工程で洗浄され除去される。従って、混合糊は、洗浄により容易に除去できる性質を有する事が好ましい。混合糊の水洗除去により、繊維の風合が良好で精細、濃厚な捺染製品を得る事ができる。なお、ポリエステルなど合成繊維の場合(分散染料の場合)は洗浄工程を省略しても風合が良好で精細、濃厚な捺染物を得る事ができる。
【0068】
離型紙を用いる転写捺染の場合は、インク受容層と染料インクが全量繊維材料へ移行するため、固着されなかった余剰染料と糊剤による排水汚染が大きいと言う問題があった。しかし、ペーパー捺染法においては、繊維材料等より剥離された捺染紙には、固着されなかった染料(余剰染料)と混合糊の大部分が残留しており、一方、繊維材料等には混合糊が殆ど付着しないので、洗浄時の排水負荷が大幅に軽減される。本発明の方法は、公知のペーパー捺染法よりも、更に混合糊の付与量を大幅に削減できるので、排水負荷を更に削減でき、一層エコロジカルな加工法となる。
【0069】
本発明のペーパー捺染法が適用される繊維材料には、天然繊維材料及び合成繊維材料のいずれもが含まれる。天然繊維材料としては、綿、麻、リヨセル、レーヨン、アセテート等のセルロース系繊維材料、絹、羊毛、獣毛等の蛋白質系繊維材料等を挙げる事ができる。合成繊維材料としては、ポリアミド繊維(ナイロン)やビニロン、ポリエステル、ポリアクリル等と呼ばれる繊維等を挙げる事ができる。
【0070】
本発明が適用される皮革材料としては、動物性皮革、例えば、牛、水牛、豚、馬、羊、山羊、カンガルー、鹿、豹、ウサギ、狐、ラクダ等の天然皮革を公知の製革、なめし工程を経て乾燥したもの等を挙げる事ができる。本発明のペーパー捺染法は、これらの繊維材料の織物、編物、不織布、皮革等の単独、混紡、混繊又は交織品に適用される。更に複合系繊維でも良い。
【0071】
必要に応じて、染料の染着に影響を及ぼす薬剤或いは染着促進に効果のある薬剤等で繊維材料等を前処理したのちペーパー捺染に用いても良いが、通常これら生地の前処理の必要がないのが本発明の特徴である。
【実施例】
【0072】
以下実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に制約されるものではない。なお、例中、%は質量%を意味する。
【0073】
実施例1
日本製紙社製、坪量70g/mの上質紙の片面に、SNコート204(サンノプコ社製、ステアリン酸カルシウム系滑剤)9.5%及びPVA117(クラレ社製、ポリビニルアルコール)2.5%を含有する水性エマルジョンを、エアナイフコーターによって、乾燥後に2g/mとなるように塗工した後、乾燥し原紙を作製した。
【0074】
プラスコートZ−730(水溶性ポリエステル樹脂系バインダー25%水溶液、互応化学工業社製)17kg、ジシアンジアミド1.7kg、ポバールAP−17(水溶性ポリビニルアルコール系バインダー15%水溶液、日本酢ビ・ポバール社製)1.5kg、ハイドランAP−20(水性ポリエステル・ウレタン系バインダー45%液、DIC社製)0.7kg、エンバテックスD−23(珪酸アルミニウム誘導体:共栄化学社製)1.5kg、NKバインダーAS−93HN(水溶性アクリル系バインダー33%水溶液、新中村化学工業社製)0.5kg、尿素0.7kg、MAC−100S(表面張力低下剤、共栄社化学製)0.5kg、ソーダ灰2.5kg、及び水8.4kgからなる合計35kgの混合物を、高速デスパー型攪拌機(約5,000r.p.m.)でよく攪拌し、混合糊液を作製した。
【0075】
この混合糊液を、エアナイフコーターを使用して、上記で作製した原紙の水性エマルジョンを塗工した面とは反対の面に、70m/min.のスピードで塗布・乾燥して反応染料用の捺染用紙を作製した。混合糊の塗工量(乾燥質量)は18g/mであった。この捺染用紙は塗工工程中及び保存中にブロッキングを起こす事は無かった。
【0076】
続いて、C.I.Reactive Red 226 10%、ポエチレングリコール5%、グリセリン5%、ε−カプロラクタム5%及びイオン交換水75%からなる反応染料インク液を、上記で作製した捺染用紙上に、インクジェットプリンター(HYPERECO:武藤工業社製:オンデマンド型ピエゾインクジェットプリンター)によってプリントした後、乾燥し、捺染紙を作製した。この捺染紙は、プリントして巻き取った後に、インクの裏移り現象を生じない事を確認した。
【0077】
捺染紙を作製した後、前記捺染紙と綿ブロード布を密着させ、150℃、0.3Mpa(3m/min.ローラー型)の条件で加熱・加圧して、綿ブロード布に捺染紙を貼り付けた。次いで捺染紙を貼りつけたまま綿ブロード布を100℃で10分間、HTスチーム処理を行った。その後、捺染紙の剥離を行ったが、容易に剥離する事ができた。
【0078】
捺染紙を剥離して除去した後、常法により、水洗・ソーピング・水洗・乾燥を行い、捺染布を得た。この様にして得られた捺染布は、柔軟な風合を示す捺染布であり、繊細なデザインが精細・堅牢・濃厚に染着していた。また、水洗、ソーピングで発生した排水負荷は、公知のペーパー捺染法に比べて半減した。
【0079】
比較例1
前記上質紙上にSNコート2049.5%及びPVA1172.5%を含有する水性エマルジョンを塗布しない原紙を用いた以外は実施例1と同様にして、捺染布を得た。混合糊の塗工量(乾燥質量)は、実施例1と同様に、18g/mであった。実施例1と比べて、綿ブロード布に捺染紙を貼り付けたときの接着性が弱く、発色性が不良で、染め斑も発生した。
【0080】
前記水性エマルジョンを塗布しない原紙を用い、かつ混合糊の塗工量を種々変えて捺染布を作製したが、実施例1とほぼ同様な濃度で均一な発色性を得るためには、混合糊の塗工量を40g/mとする必要があることが判った。
【0081】
参考例 (皺発生テスト)
日本製紙社製、坪量70g/mの上質紙に、SNコート204を9.5%及びPVA117を2.5%含有する水性エマルジョンを、エアナイフコーターによって、塗工量(乾燥質量)3g/mで塗工した後、乾燥し原紙Aを作製した。又、同じ上質紙からなり、水性エマルジョンを塗工しないものを原紙Bとした。原紙A及び原紙Bのそれぞれに、実施例1の混合糊液に増粘剤を加えた液を、50メッシュスクリーンを通してスキィーズして塗工した所、原紙Aの場合は皺の発生は無かったが、原紙Bの場合は、幅50cm当たり約3mm幅の皺が8本発生した。
【0082】
実施例2
実施例1で使用した水性エマルジョンの代わりに、サイビノールEK−61(サイデン化学社製・防湿剤、アクリル/スチレン共重合体エマルジョン)と、OP−670S(一方社油脂工業製・防湿剤、ワックスエマルジョン)を6:4で配合した混合液を使用し、晒しクラフト紙にエアナイフコーターで塗工量(乾燥質量)3g/mとなるように塗工した以外は、実施例1と同様に処理し捺染布を得た。その結果、実施例1と同様に、混合糊の塗工量の半減、ブロッキング現象の解消、プリントインクの裏移り現象の解消、発色性改善、排水負荷の半減等の効果が得られた。得られた捺染布は、公知方法で作製された捺染布より、優れた繊細なデザインが精細・堅牢・濃厚に染着した柔軟な風合を示す綿の捺染布であった。
【0083】
実施例3
日本製紙社製の坪量70g/mの上質紙の片面に、SNコート204を9.5%及びPVA117を2.5%含有する水性エマルジョンを、エアナイフコーターによって、塗工量(乾燥質量)が1.5g/mとなるように塗工した後、乾燥し原紙を作製した。
【0084】
15%パイオスターチLT水溶液(日澱化学社製、エーテル化澱粉)1266.7g、EX−100S(タマリンドガム、トモエ製糊社製)53.2g、MAC−100S(表面張力低下剤、共栄社化学製)19g、水361.6g、酢酸1.9g、ポバールAP−17(水溶性ポリビニルアルコール系バインダー)190g、水2,071.6g、ネオシントールLB(防腐剤、住化エンビロサイエンス社製)3.8g及びネオシントールTF−1(防黴剤、住化エンビロサイエンス社製)3.8gからなる合計3,610gの混合物を、高速デスパー型攪拌機(約5,000r.p.m.)でよく攪拌し、均一なペースト(混合糊液)を作製した。
【0085】
この混合糊液を、エアナイフコーターを使用して、上記で作製した原紙に、70m/min.のスピードで塗布・乾燥して分散染料用の捺染用紙を作製した。混合糊の塗工量(乾燥質量)は10g/mであった。この捺染用紙は塗工工程中及び保存中にブロッキングを起こす事は無かった。
【0086】
作製された捺染用紙上に、C.I.Disperse Blue60 6%、エチレングリコール5%、グリセリン15%、ノニオン系分散剤5%、アニオン系分散剤5%及びイオン交換水64%からなる分散染料インク液を、インクジェットプリンター(HYPERECO)によってプリントして乾燥し、捺染紙を得た。この捺染紙は、プリントして巻き取った後に、インクの裏移り現象を生じない事を確認した。
【0087】
捺染紙を作製した後、この捺染紙とポリエステルサテン生地を密着させ、180℃、0.4Mpa(3m/min.ローラー型)の条件で加熱・加圧して、ポリエステル生地に捺染紙を貼り付けた。次いで捺染紙を貼りつけたままポリエステル生地を200℃・1分間、加熱処理を行い、その後、捺染紙の剥離を行ったが、容易に剥離する事ができた。捺染紙を除去したポリエステル捺染布は、繊細なデザインを有し、繊維の風合は柔軟であり、各種堅牢性も優れていた。
【0088】
その結果、公知のペーパー捺染法に比べて、混合糊の塗工量の半減、ブロッキング現象の解消、プリントインクの裏移り現象の解消、発色性改善、排水負荷の半減等の効果が得られる事が確認された。又、公知の方法の場合より優れた繊細なデザインが精細・堅牢・濃厚に染着した柔軟な風合を示すポリエステルの捺染布が得られた。
【0089】
実施例4
実施例3に於けるポリエステル生地の代わりにナイロンタフタ生地を用い、染料インクとして酸性染料インクを用い、スチーミングは100℃で30分間処理する条件で行う以外は、実施例3と同様の処理を行った。その結果、ナイロンタフタの捺染布は繊細なデザインを有し、繊維の風合は柔軟で、耐光、洗濯、汗等の各種堅牢性も良好であった。
【0090】
実施例5
実施例1に於ける綿ブロードの代わりにシルクデシンを用い、混合糊液中のソーダ灰を半量とする以外は実施例1と同様に処理した結果、公知のペーパー捺染法に比べて、混合糊の塗工量の半減、ブロッキング現象の解消、プリントインクの裏移り現象の解消、発色性改善、排水負荷の半減等の効果が得られ、公知の方法の場合より優れた繊細なデザインが精細・堅牢・濃厚に染着した柔軟な風合を示すシルクの捺染布が得られた。
【0091】
実施例6
常法の一浴法クロムなめし法によって得た牛革に対して、実施例1で得た捺染紙を合わせて、ハシマ社製平板プレス機HSP−2210にセットし、湿った綿生地をあて、120℃、0.9MPaで2分間加圧・加熱する事によって、捺染紙の貼り付けと固着を同時に行った。次いで捺染紙を剥離したが、容易に剥離する事ができた。その後、水洗して乾燥した。その結果、高濃度で精細に染色された風合いの優れた牛革が得られた。耐光堅牢度は4〜5級、湿潤摩擦堅牢度は3〜4級であった。
【0092】
実施例7
実施例1に於けるSNコート204及びPVA117を含有する水性エマルジョンの代わりに滑剤として、サンローズ−P(日本製紙ケミカル社製、CMC)を用いて2.5g/m塗工する以外は実施例1と同様に処理した。その結果、公知のペーパー捺染法に比べて、混合糊の塗工量の半減、ブロッキング現象の解消、プリントインクの裏移り現象の解消、発色性改善、排水負荷の半減等の効果が得られ、公知の方法の場合より優れた繊細なデザインが精細・堅牢・濃厚に染着した柔軟な風合を示すシルクの捺染布が得られた。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明の改良されたペーパー捺染法は、公知のペーパー捺染法の問題を全て解決する方法であり、全ての繊維材料と皮革材料を対象とし、精細な捺染図柄の表現を優れた経済性とエコロジー性の元に再現性良く提供できる捺染法である。そして本発明の方法によれば、少量多品種生産や多様性のニーズに敏速で効率的に対応できる生産システムを構築できるだけでなく、大量生産にも対応できる改良法である。本発明の改良されたペーパー捺染法は、環境適合性と共に経済性と品質効果に一層優れた方法であり、捺染繊維製品及び皮革製品の付加価値向上と用途拡大に大きく寄与する新規な捺染法である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
捺染用紙上に染料インクをプリントしてなる捺染紙を、繊維材料又は皮革材料に密着し、加圧・加熱して貼り付ける工程、前記捺染紙を繊維材料又は皮革材料に貼り付けた状態で染料の固着処理を行う工程、及び固着処理の後捺染紙を除去する工程を有し、前記捺染用紙は、滑剤及び/又は防湿剤が付与された原紙に、水溶性合成系バインダー、天然系糊剤及び助剤からなる混合糊を付与し乾燥して得られる事を特徴とする繊維材料又は皮革材料のペーパー捺染法。
【請求項2】
前記滑剤又は防湿剤が、炭化水素系滑剤、脂肪酸系・高級アルコール系滑剤、脂肪酸アマイド系滑剤、金属石鹸系滑剤、エステル系滑剤、合成樹脂エマルジョン、合成樹脂ラテックス、合成ゴムラテックス、天然系ラテックス、カルボキシルメチルセルソース及びその誘導体からなる群より選択された1種又は2種以上である事を特徴とする請求項1に記載の繊維材料又は皮革材料のペーパー捺染法。
【請求項3】
原紙に対する滑剤及び/又は防湿剤の付与量が、0.5〜5g/mである事を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の繊維材料又は皮革材料のペーパー捺染法。
【請求項4】
滑剤及び/又は防湿剤の付与が、コーターを使用した塗工により行われる事を特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の繊維材料又は皮革材料のペーパー捺染法。
【請求項5】
滑剤及び/又は防湿剤の付与が、含浸加工により行われる事を特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の繊維材料又は皮革材料のペーパー捺染法。
【請求項6】
滑剤及び/又は防湿剤の付与が、サイズプレスにより行われる事を特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の繊維材料又は皮革材料のペーパー捺染法。
【請求項7】
滑剤及び/又は防湿剤を付与した原紙に、水溶性合成系バインダー、天然系糊剤及び助剤からなる混合糊を塗工し乾燥して得られる事を特徴とする捺染用紙。
【請求項8】
滑剤及び/又は防湿剤を付与した原紙に、水溶性合成系バインダー、天然系糊剤及び助剤からなる混合糊を塗工し乾燥して得られる捺染用紙上に、染料インクをプリントしてなる事を特徴とする捺染紙。

【公開番号】特開2013−96033(P2013−96033A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−240747(P2011−240747)
【出願日】平成23年11月2日(2011.11.2)
【出願人】(511266416)株式会社 SMI (1)
【出願人】(000183484)日本製紙株式会社 (981)
【Fターム(参考)】