説明

繊維材料懸濁液に充填するための方法および該方法を実施するための装置

セルロース繊維を含んだ繊維材料懸濁液を炭酸カルシウムで負荷するための方法において、当該方法が、以下の方法ステップ:すなわち、水酸化カルシウムを液状の形でまたは乾燥した形でまたは酸化カルシウムを繊維材料懸濁液内に供給し、ガス状の二酸化炭素を繊維材料懸濁液内に供給し、炭酸カルシウムを二酸化炭素によって沈殿させ、繊維材料懸濁液を充填過程の間に叩解する:を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維材料懸濁液に炭酸カルシウムを充填するための方法に関する。
【0002】
すでにパルプ繊維に炭酸カルシウムを充填するための複数の方法が公知である。アメリカ合衆国特許第6413365号明細書には、繊維材料を、懸濁液内に存在する酸化カルシウムおよび/または水酸化カルシウムと一緒に供給管路を介して搬送する方法が記載される。この供給管路から、繊維材料懸濁液が、回転する分配装置内に引き続き案内される。反応ガスが環状に繊維材料懸濁液内に導入される。これによって、炭酸カルシウム結晶が繊維材料懸濁液内に形成される。回転する分配装置にわたって、繊維材料懸濁液内の炭酸カルシウム結晶が分配される。この過程は、繊維充填プロセスと呼ばれる。
【0003】
繊維材料懸濁液内に含まれた繊維に填料または補助材料を充填するための別の方法および装置が、ドイツ連邦共和国特許出願公開第10107448号明細書およびドイツ連邦共和国特許出願公開第10113998号明細書に基づき公知である。
【0004】
これらの公知の方法によって、シガレットペーパ、あらゆる種類のカートン紙および包装用紙、あらゆる種類の袋用クラフト紙および填料含有の紙、たとえば濾紙を製造することができる。シガレットペーパの製造には、以下のことが適用される。シガレットペーパは、16〜26g/mの坪量を備えた紙である。シガレットペーパはしばしばプレスマークを備えてずらされ、極めて薄く、燃焼性で、無味であることが望ましい。さらに、シガレットペーパは、白色度に関する良好な光学的な値を有していることが望ましい。燃焼性は、たいてい、良好に見える白い灰をあとに残すために、含浸によって達成される。シガレットペーパは、たいてい亜麻または大麻繊維、木綿、クラフトパルプ、抄紙機損紙ならびに別の繊維源から製造される。シガレットペーパの填料含有量は5〜40%の間にある。この場合、30%が標準値と見なされる。
【0005】
包装用紙および板紙は3つの主部類:すなわち、包装使用のための容器用板紙、消費者包装の範囲内での使用のための容器用板紙および特殊紙、たとえば壁紙、本の背等に分割することができる。包装用紙は、通常、150g/mを上回る坪量を備えた多層状の製品として製造される。叩解度は、製造される最終製品に関して600〜50CSF(フリーネス値)または20〜80SR(ショッパーリグラー値)で変化する。
【0006】
袋用紙は、たとえばセメント袋のように、充填過程および使用の期間の間の雑な扱いによって生ぜしめられる高い要求に即応するために、高い有孔度および高い機械的な強度を必要とする。紙は、衝撃を吸収するために十分に強くなければならず、これに相応して、高いエネルギ吸収率を有していなければならない。袋用紙は、簡単な充填を保証するために、多孔質であると共に十分に空気透過性でなくてもならない。袋用紙は、たとえば70〜80g/mの間の坪量と、600〜425CSFまたは20〜30SRの間の叩解度とを備えた、長繊維クラフトパルプから成る製品として製造される。さらに、上述したように、平均的な叩解度が目標とされる。この叩解度はたいてい高濃度叩解によって達成されるのに対して、慣用の紙品種、たとえばグラファイト紙では、低濃度叩解が使用される。高濃度叩解の結果は、繊維相互の良好な結合ならびに高い有孔度である。袋用クラフト紙は、主として、漂白された繊維と、漂白されていない繊維とから製造される。この場合、5〜15%の填料含有量が、製造された袋用紙に存在していてよい。
【0007】
濾紙は、コントロールされた高い有孔度と、孔分布とを必要とする。濾紙は、濾過したい媒体の通流に抵抗するために、十分に高い機械的な強度を有していなければならない。
【0008】
濾紙は12〜1200g/mの坪量を備えて生産される。たとえば、坪量は、エアフィルタの場合には100〜200g/mの間にあり、オイルフィルタおよび燃料フィルタの場合には50〜80g/mの間にあり、食品フィルタの場合には最大1000g/mであり、コーヒフィルタの場合には最大100g/mであり、ティーバッグの場合には12〜20g/mの間にあり、吸塵器バッグの場合には100〜150g/mの間にある。全てのフィルタは多数の繊維、たとえばパルプ繊維、漂白された繊維、漂白されていない繊維、クラフトパルプ、DIP(脱墨)紙、リサイクル繊維、TMP(サーモメカニカル)紙等から製造される。
【0009】
本発明の課題は、冒頭で述べた方法をさらに改良することである。
【0010】
本発明によれば、この課題は、以下の方法ステップ:すなわち、
−水酸化カルシウムを液状の形でまたは乾燥した形でまたは酸化カルシウムを繊維材料懸濁液内に供給し、
−ガス状の二酸化炭素を繊維材料懸濁液内に供給し、
−炭酸カルシウムを二酸化炭素によって沈殿させ、
−繊維材料懸濁液を充填過程の間に叩解する
を備えた方法によって解決される。
【0011】
本発明は、繊維充填沈降炭酸カルシウム(Fiber Loaded Precipitated Kalzium Karbonate(FLPCC))を製造すると同時に叩解処理を施すための方法を記載している。この叩解処理では、充填され得る繊維素材が、リサイクル紙、DIP(脱墨紙)、二次繊維材料、漂白されたパルプまたは漂白されていないパルプ、木材パルプ、漂白されたクラフトパルプまたは漂白されていないクラフトパルプ、完成紙料損分、亜麻、木綿および/または大麻繊維(主にシガレットペーパ)および/または抄紙機に使用されるあらゆる紙素材から成っていてよい。このことは、最終製品が、沈殿プロセスによってバッチ式反応器内で製造された填料または叩解プロセスによって製造された填料を含有しているかまたはタルク(滑石)、二酸化チタン(TiO)、ケイ素等が使用されるかと無関係である。叩解プロセスは、GCC法(GCC=ground Kalzium karbonate=叩解された炭酸カルシウム)とも呼ばれる。
【0012】
繊維材料懸濁液が繊維充填テクノロジで処理される場合には、公知先行技術による製品に比べて新規のかつ改善された特性を備えた、製紙の使用範囲に対する全く新規の製品が生ぜしめられる。繊維充填テクノロジによって、紙工場の紙料調成装置内に直接填料、特に紙繊維にかつ紙繊維内にかつ紙繊維の間に均一に分配されていると共に堆積させられている炭酸カルシウムを沈殿させ、処理される繊維を沈殿プロセスの間に同時に叩解機内での繊維処理にさらすことが可能となる。
【0013】
沈降炭酸カルシウムを製造するためのプロセスと同時の繊維充填組合せプロセスによる叩解処理は、以下に詳しく記載したプロセスデータにより行われる。これに関しては、ドイツ連邦共和国特許出願公開第10107448号明細書、ドイツ連邦共和国特許出願公開第10113998号明細書およびアメリカ合衆国特許第6413365号明細書にも示してある。
【0014】
本発明に記載したFLPCC組合せプロセスによって、公知先行技術により使用された充填材料が、繊維充填組合せプロセステクノロジで製造された充填材料に置き換えられる。繊維充填組合せプロセステクノロジで製造された填料の使用分野は、シガレットペーパ品種、濾紙品種、袋用クラフト紙品種および板紙品種および包装用紙品種を含む全ての紙品種の製紙の使用分野に及んでいる。これらの紙品種は1〜60%の間の填料含有量を有しており、かつ/または1〜60%の間の填料含有量を備えた白色の塗工層を有している。充填された製造された紙品種は、リサイクル紙、脱墨紙(DIP)、二次繊維材料、漂白されたパルプまたは漂白されていないパルプ、木材パルプ、漂白されたクラフトパルプまたは漂白されていないクラフトパルプ、完成紙料損分、亜麻、木綿および/または大麻繊維(主にシガレットペーパに対して)および/またはあらゆる紙素材から、最終製品が填料を含有しているかどうかと無関係に抄紙機で製造することができる。
【0015】
繊維充填組合せプロセステクノロジで製造された繊維材料は、一般的に、別の方法により製造された繊維材料よりも高い脱水特性を有している。脱水性の改善は、要求された叩解度に関連して5〜100mlCSFまたは0.2〜15SRである。付加的には、繊維充填法により製造された紙料またはパルプは、製造のために使用される素材に関連して2〜25%のより低い保水性能を有している。これによって、種々異なる紙品種、たとえばあらゆる種類のFL(繊維充填)コピー用紙および印刷用紙、あらゆる種類のFL塗工紙、あらゆる種類のFL新聞印刷用紙およびあらゆる種類のFLシガレットペーパ、あらゆる種類のFL・B&P紙、あらゆる種類のFL袋用クラフト紙およびFL濾紙の効果的な製造が可能となる。なぜならば、紙料懸濁液の既存の水をより迅速に除去することができるからである。相応により迅速に紙料も乾燥する。
【0016】
填料を必要としないFLシガレットペーパ、FL・B&P紙、FL袋用クラフト紙およびFL濾紙では、不要な填料を、付加的に介在された洗浄過程によって叩解プロセス前、叩解プロセス後またはヘッドボックス槽の通流後または抄紙機への供給前に除去することができる。これは、繊維にまたは繊維内に堆積されておらず、これに相応して、洗浄されなくてよい填料に該当している。繊維自体はまだ内部にかつ外部に填料を備えており、これによって、繊維充填テクノロジの有利な効果を使用することができる。
【0017】
繊維充填テクノロジは、最終製品にどのような要求が課せられるのかに応じて、叩解プロセス前にまたは叩解プロセス後に使用されてよい。
【0018】
繊維充填組合せテクノロジによって、公知先行技術に比べて高い叩解度をエネルギ有利に達成することができる。なぜならば、叩解エネルギの最大50%を節約することができるからである。このことは、特にその製造時に叩解プロセスを実行するかまたは高いないし極めて高い叩解度を有する紙品種全て、たとえばFLシガレットペーパ、FL・B&P紙、FL袋用クラフト紙およびFL濾紙において有利な影響を与える。これらは、特に100〜25CSFまたは68〜90SRを備えたFLシガレットペーパ、600〜50CSFまたは20〜80SRを備えたFL・B&P紙、600〜425CSFまたは20〜30SRを備えたFL袋用クラフト紙および600〜350CSFまたは20〜35SRを備えたFL濾紙である。
【0019】
最終製品の、高い叩解度によって達成される機械的な強度は、FLシガレットペーパ、FL・B&P紙、FL袋用クラフト紙およびFL濾紙の製造に有利な影響を与える。なぜならば、抄紙機の種々異なるセクション、たとえばプレスパート、ドライパートおよび紙ウェブが巻き上げられる領域でのプロセスによる機械的な負荷によって、製造された中間製品と、製造したい最終製品とが、巻取り機、巻返し機および加工機の使用により機械的に高負荷されるからである。特にシガレットペーパの製造時には、低い坪量および巻取り機の使用によっても部分的に生ぜしめられる高い機械的な負荷が、使用されるシガレットペーパに生ぜしめられる。
【0020】
より良好な乾燥、すなわち、1〜20%の残湿分含有量への乾燥によって、あらゆる紙品種に対する効率を向上させることができる。より高い保水性能、すなわち、1〜25%の保水性能は、製造プロセスでより僅かである保湿と、製造された紙ウェブへの印刷可能性とに有利な影響を与える。あらゆる紙品種に対する別の利点は、より高い白色度もしくは共に最大15明度点までだけまたはそれ以上に高い光学的な値である。この値はあらゆる形の紙および板紙の製造時に白色の塗工層の有無にかかわらず際立ち得る。繊維充填テクノロジの使用によって、光学的な値も、たとえばシガレットペーパで最大10明度点までだけまたはそれ以上に改善される。
【0021】
繊維充填の別の利点は、上述した紙品種において、特殊使用事例に対して艶付けが設けられており、この場合、繊維充填の使用によって、いわゆる「ロール焼け(黒光り)」が、繊維内、繊維の周りかつ繊維へのFL粒子の層形成により抑圧されるかまたは排除されることにある。
【0022】
本発明の有利な実施態様は、従属請求項、明細書ならびに図面から得られる。
【0023】
本発明の1つの実施態様によれば、出発材料として、0.1〜20%の濃度、有利には2〜15%の間の濃度の水状の繊維材料、特に水状のパルプが使用される。
【0024】
本発明によれば、填料として、有利には水酸化カルシウムが水状の繊維材料内、特に紙繊維材料内に混入され、この場合、この繊維材料が、0.01〜60%の間の固形物割合を有している。本発明によれば、填料を形成するための水酸化カルシウムまたは酸化カルシウムと異なる出発材料の使用も可能である。
【0025】
水酸化カルシウムが静的な混合器または前置槽によって混加される。有利には、二酸化炭素が、0.1〜15%の濃度の、湿分を備えた繊維材料懸濁液内に反応パラメータに相応して混入される。この場合、炭酸カルシウムが二酸化炭素ガス雰囲気で沈殿する。
【0026】
本発明によれば、充填過程(繊維充填)と同時に叩解過程が所定の装置(晶析器)内で実施される。この場合、乾燥パルプ1トンあたり0.1〜300kWhの間の範囲内にある叩解エネルギが使用される。この場合、水酸化カルシウムと二酸化炭素との短い反応時間が重要である。エネルギ供給、すなわち、種々異なる形の結晶を製造するための紙懸濁液の熱エネルギもしくは加熱が本発明に対して重要となる。
【0027】
出発材料として、各反応機の使用事例に応じて、0.01〜60%の間の紙割合を備えた水状のパルプが働く。
【0028】
当該方法の有利な実施態様では、反応器および/または静的な混合器として、リファイナ、分散器および/またはフラッファ・FLPCC・反応器を使用し、この場合、繊維材料含有量、特に紙含有量が、静的な混合器の場合に0.01〜15%の間にあり、リファイナおよび分散器の場合に2〜40%の間にあり、フラッファ・FLPCC・反応器の場合に15〜60%の間にあることが提案されている。
【0029】
本発明によれば、希釈水を二酸化炭素または水酸化カルシウムまたは酸化カルシウムの添加前、添加の間または添加後に供給することが提案される。この場合、水酸化カルシウム溶液または水酸化カルシウム懸濁液内への二酸化炭素の混入時に炭酸カルシウムが沈殿する。沈殿反応は、逆に、水酸化カルシウムが、二酸化炭素雰囲気下にある水内に供給される場合でも同様に行われる。この場合、二酸化炭素もしくは水酸化カルシウムの添加前、添加の間または添加後に希釈水が添加されてよい。
【0030】
沈殿反応に対して、0.3〜8kWh/t、特に0.5〜4kWh/tの間のエネルギ消費が使用されると有利である。
【0031】
また、プロセス温度が、−15℃〜120℃、特に20〜90℃の間にあることも提案されてよい。
【0032】
本発明によれば、菱面体状、偏三角面体状または球形の結晶を発生させることができる。
【0033】
結晶が、0.05〜5μm、特に0.3〜2.5μmの間の寸法を有していると有利である。静的なかつ/または可動の、特に回転する混合エレメントが使用されてよい。当該方法を0〜15bar、特に0〜6barの間の圧力範囲内で実施すると有利である。この場合、pH値は、有利には6〜10、特に6.5〜9.5の間にある。反応時間が、0.01〜1分、特に0.05〜10秒の間にあると有利である。
【0034】
以下に、本発明の1つの実施例をただ1つの図面につき詳しく説明する。この図面は、繊維材料懸濁液に充填するための装置の概略図を示している。
【0035】
繊維材料懸濁液が、装置1(図1参照)において、制御弁10,12を装備した、炭酸カルシウムを充填するための導管路システムに搬送される。制御弁10は管路14内に配置されている。この管路14を介して、導管路システムは静的な混合器16に接続されている。この混合器16には、弁18を介して希釈水を供給することができる。また、管路20内に取り付けられた別の弁22を介して、水酸化カルシウムの懸濁液の流入も制御される。この水酸化カルシウムは調製装置24によって提供される。この調製装置24では、固形の酸化カルシウムまたは水酸化カルシウムが水内に供給される。このためには、調製装置24に、弁26を備えた管路を介して水が供給される。調製装置内で形成された懸濁液はポンプ28を介して管路20内に導入される。
【0036】
したがって、混合器16から、水酸化カルシウムと混合されて希釈された繊維材料懸濁液が、弁32を備えた管路30内に流出する。この管路30から、懸濁液が分散器42(晶析器)に直接供給される。この分散器42は、弁44,46とポンプ48とを装備した、二酸化炭素を供給するための管路50を介して二酸化炭素蓄え容器52に接続されている。この二酸化炭素蓄え容器52から、二酸化炭素が分散器42内に導入され、これによって、そこで、水酸化カルシウムと二酸化炭素との所望の沈殿反応が発生させられ、填料としての炭酸カルシウムが繊維材料の繊維内に形成される。混合器16の使用の代わりに、水酸化カルシウムが前置槽から混入されてもよい。
【0037】
管路50は別の弁58を介して静的な混合器60に接続されている。この混合器60は、弁62を備えた管路64を介して、分散器42から流出した繊維材料懸濁液にさらなる二酸化炭素を添加するために働く。
【0038】
混合容器66には、付加的に弁12と管路70とを介して、水酸化カルシウムで負荷されていない繊維材料懸濁液が供給されてよい。
【0039】
混合器60から、繊維材料懸濁液が混合容器66内に流入する。この混合容器66は、繊維材料懸濁液を十分に混合するためのロータ68を装備している。混合容器66から、繊維材料懸濁液が抄紙機のヘッドボックスに直接流入するかまたは、たとえばリファイナ供給容器内で別の機械的な処理にさらされる。
【0040】
付加的には、導管路システムに、繊維材料懸濁液を付加的な叩解過程によって精整するためのリファイナ80が設けられていてよい。このリファイナ80には、管路30から分岐した管路82を介して繊維材料懸濁液が供給される。リファイナ80から、さらに叩解された繊維材料懸濁液が管路84を介して管路64内に到達し、そこから、上述したように、容器66内に到達する。
【0041】
付加的には、リファイナ80に、管路50から分岐した管路86と、この管路86を管路82に接続する静的な混合器88とを介して、二酸化炭素が二酸化炭素蓄え容器52から供給されることが提案されていてよい。
【0042】
繊維材料懸濁液に炭酸カルシウムを充填するための本発明による構造は、公知先行技術に基づき公知の装置に比べて、繊維材料懸濁液を均質化するための機械、たとえばスクリュプレスおよび繊維材料懸濁液を均質化するための均等化機械(均等化反応器)の使用が省略されるという利点を有している。容器82が付加的に叩解過程を引き受け、これによって、公知先行技術に比べて、紙料調成装置の著しく簡単な構造が可能となる。この叩解過程は同時に撹拌過程として働き、これによって、剪断プロセスにより炭酸カルシウムが繊維内に層形成される。
【0043】
繊維材料懸濁液を充填プロセスによって調成するための本発明による方法では、水内で20℃で1.65g/lないし100℃で0.7g/lの溶解度を有する水酸化カルシウム(消石灰、石灰乳)が使用される。この場合、どの程度で完全に溶液濃度が最大値に到達するかに応じて、最大12.6のpH値が生ぜしめられる。市販の消石灰濃度の場合には、0〜60%の固形物含有量を実現することができる。この場合、懸濁液は最大12.6のpH値を有している。したがって、懸濁液内の消石灰の本来の量は、溶解された割合と固形物濃度とから成っている。
【0044】
したがって、1リットルに20%の水酸化カルシウムを備えた20℃の懸濁液に対して、1.65gの水酸化カルシウムの溶解量と、198.35gの固形物割合とが生ぜしめられる。繊維充填プロセス(FLプロセス)に対して、転移速度または反応速度がFLプロセスの最終製品に影響を与えるので、可能な限り短い転移時間を備えた消石灰を使用することが目標とされる。
【0045】
このことは、消石灰を消化プロセスによって製造するために、酸化カルシウム(CaO)が0.01〜100mmの平均的な粒度範囲内、特に0.05〜50mmのサイズ範囲内にあることによって達成される。さらに、使用される酸化カルシウムは、有利には軽焼プロセスによって製造される。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】繊維材料懸濁液に充填するための装置の概略図である。
【符号の説明】
【0047】
1 装置、 10 制御弁、 12 制御弁、 14 管路、 16 混合器、 18 弁、 20 管路、 22 弁、 24 調製装置、 26 弁、 28 ポンプ、 30 管路、 32 弁、 42 分散器、 44 弁、 46 弁、 48 ポンプ、 50 管路、 52 二酸化炭素蓄え容器、 58 弁、 60 混合器、 62 弁、 64 管路、 66 混合容器、 68 ロータ、 70 管路、 80 リファイナ、 82 管路、 84 管路、 86 管路、 88 混合器


【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルロース繊維を含んだ繊維材料懸濁液を炭酸カルシウムで負荷するための方法において、当該方法が、以下の方法ステップ:すなわち、
−水酸化カルシウムを液状の形でまたは乾燥した形でまたは酸化カルシウムを繊維材料懸濁液内に供給し、
−ガス状の二酸化炭素を繊維材料懸濁液内に供給し、
−炭酸カルシウムを二酸化炭素によって沈殿させ、
−繊維材料懸濁液を充填過程の間に叩解する
を備えていることを特徴とする、セルロース繊維を含んだ繊維材料懸濁液を炭酸カルシウムで負荷するための方法。
【請求項2】
乾燥パルプ1トンあたり0.1〜300kWhの間の範囲内の叩解エネルギを供給し、この場合、充填および叩解を分散器(42)内で実施する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
出発材料として、0.1〜20%の濃度、有利には2〜6%の間の濃度の水状の繊維材料、特に水状のパルプを使用する、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
水酸化カルシウムを水状の繊維材料内、特に紙繊維材料内に混入し、この場合、該繊維材料が、0.01〜60%の間の固形物割合を有している、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
水酸化カルシウムを静的な混合器(16)または前置槽によって混入する、請求項4記載の方法。
【請求項6】
二酸化炭素を、湿分を備えた繊維材料懸濁液内に混入する、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
反応器および/または静的な混合器として、リファイナ(80)、分散器(42)および/またはフラッファ・FLPCC・反応器を使用し、この場合、繊維材料含有量、特に紙含有量が、静的な混合器の場合に0.01〜15%の間にあり、リファイナ(80)および分散器(42)の場合に2〜40%の間にあり、フラッファ・FLPCC・反応器の場合に15〜60%の間にある、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
希釈水を二酸化炭素または水酸化カルシウムまたは酸化カルシウムの添加前、添加の間または添加後に供給する、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
沈殿反応に対して、0.3〜8kWh/t、特に0.5〜4kWh/tの間のエネルギ消費を使用する、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
プロセス温度が、−15℃〜120℃、特に20℃〜90℃の間にある、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
菱面体状、偏三角面体状または球形の結晶を発生させる、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
結晶が、0.05〜5μm、特に0.3〜2.5μmの間の寸法を有している、請求項11記載の方法。
【請求項13】
静的なかつ/または可動の、特に回転する混合エレメント(68)を使用する、請求項1から12までのいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
当該方法を0〜15bar、特に0〜6barの間の圧力範囲内で実施する、請求項1から13までのいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
当該方法を6〜10、特に6.5〜9.5の間のpH値で実施する、請求項1から14までのいずれか1項記載の方法。
【請求項16】
反応時間が、0.01〜1分、特に0.05〜10秒の間にある、請求項1から15までのいずれか1項記載の方法。
【請求項17】
請求項1から16までのいずれか1項記載の方法を実施するための装置。
【請求項18】
請求項1から17までのいずれか1項記載の方法を実施するための装置において、
当該装置が、水酸化カルシウムを繊維材料懸濁液内に混入するための静的な混合器(16)と、二酸化炭素雰囲気で繊維材料懸濁液を叩解しかつ/またはフラッフィングしかつ水酸化カルシウムを沈殿させて、炭酸カルシウムが充填された繊維を繊維材料懸濁液内に形成するための分散器(42)および/またはリファイナとを有していることを特徴とする、装置。

【公表番号】特表2007−501337(P2007−501337A)
【公表日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−522357(P2006−522357)
【出願日】平成16年8月3日(2004.8.3)
【国際出願番号】PCT/EP2004/051701
【国際公開番号】WO2005/014934
【国際公開日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【出願人】(301017916)フォイト ペイパー パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (7)
【氏名又は名称原語表記】Voith Paper Patent GmbH
【住所又は居所原語表記】St. Poeltener Str. 43, D−89522 Heidenheim, Germany
【Fターム(参考)】