説明

繊維材料懸濁液を選別するための方法及びスクリーン装置

特に圧力選別機のスクリーン装置によって繊維材料懸濁液(S)を選別するための方法である。前記スクリーン装置には、ケーシング内に装着された、スクリーン室(5)を取り囲む少なくとも1つのスクリーンバスケット(1)が設けられている。スクリーン室(5)内に案内された繊維材料懸濁液(S)の一部がスクリーン開口を通過し、アクセプト(A)としてアクセプト室(3)に到り、繊維材料懸濁液(S)のその他の部分をリジェクトとしてスクリーン開口で退ける。この場合、特に有利には、前記リジェクトの一部を、リジェクト戻り流(R´´)としてスクリーン室(5)に戻し、再度スクリーン開口の領域に至らしめる。さらに有利な構成として、特に周方向で見た流れ速度を均等にするための措置が提案される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクリーン装置によって繊維材料懸濁液を選別するための方法であって、前記スクリーン装置には、ケーシング内に装着された、スクリーン室を取り囲む少なくとも1つのスクリーンバスケットが設けられており、スクリーンバスケットには多数のスクリーン開口が設けられており、該スクリーン開口を、スクリーン室内に案内された繊維材料懸濁液の一部が通過し、アクセプトとしてアクセプト室に到り、これをスクリーン装置から導出し、繊維材料懸濁液のその他の部分をスクリーン開口で退け、少なくとも部分的にリジェクトとしてスクリーン装置から排出する形式のものに関する。
【0002】
本発明はさらに、前記方法を実施するためのスクリーン装置であって、ケーシング内に装着された、スクリーン室を取り囲む少なくとも1つのスクリーンバスケットを有しており、該スクリーンバスケットには多数のスクリーン開口が設けられており、該スクリーン開口を、入口から入口室に到り次いでスクリーン室へと案内された繊維材料懸濁液の一部が通過し、半径方向さらに外側に位置するアクセプト室へと到ることができ、アクセプト室は、少なくとも1つのアクセプト出口と液圧的に接続されており、スクリーン開口で退けられた繊維材料懸濁液の部分のために少なくとも1つのリジェクト出口が設けられており、スクリーン室内には少なくとも1つのスクリーンクリーナが配置されており、該スクリーンクリーナは、クリーニング部材を備えた駆動される回転体を有している形式のものに関する。
【0003】
このような形式の方法は、製紙用繊維懸濁液を準備する際に、湿式選別で繊維材料懸濁液を処理する際に行われる。このために適したスクリーン装置は、製紙・パルプ工場では主として「圧力選別機」と言われる。スクリーン装置は少なくとも1つのスクリーンバスケットを有しており、このスクリーンバスケットには、多数の開口が設けられている。懸濁液に含まれる繊維は、この開口を通過すべきものであって、不都合な固体成分は、開口部で退けられ、スクリーン装置から再び排出される。この場合、有利には、遠心力による運転が行われ、懸濁液は半径方向内側から外側へスクリーン開口を通過する。スクリーン開口は通常、円形の孔又はスリットである。ここで考察する形式の圧力選別機には、スクリーンクリーナが設けられており、このスクリーンクリーナはスクリーンバスケットに密接しながら運動するクリーニング部材を有している。これにより、公知の形式で、スクリーン開口の詰まりが防止される。スクリーンクリーナはロータとして形成されており、このロータは通常、スクリーンバスケットに対して同心的に支承されている。
【0004】
圧力選別機の分離作用は、供給される製紙繊維懸濁液内に含まれる不純物の少なくとも一部がスクリーンを通過することができず、製紙繊維の大きさ、形状、柔軟性の理由から分離されることにより生じるものである。遠心分離領域で不純物の力が異なることを利用することで、不純物の密度に関する分離を付加的に行う圧力選別機も公知である。確かに、重量部分の大部分は、いずれにせよ通常使用されるスクリーン開口を通過せず、そこで退けられるが、スクリーンに接触すると、スクリーンが損傷又は摩耗する恐れがある。
【0005】
このような形式の公知の方法は、特に、大量の懸濁液を処理しなければならない高価なスクリーン装置のため、またエネルギ消費のため、比較的コストがかかる。エネルギ消費は実際の繊維処理のために使用されるのではなく、主として、装置における液圧的な損失に起因する。
【0006】
本発明の課題は、スクリーン装置の構成及び運転のためのコストを低減させ、方法の効率を改善することである。この場合、改善された効率とは、アクセプトの純度が高いこと及び/又はリジェクトにおける残留繊維による繊維損失が僅かであることを意味する。
【0007】
この課題は、独立請求項1、6、7の特徴部に記載の構成により解決される。この場合、従属請求項には、方法の有利な態様が記載されている。請求項10〜20には、方法を実施するための有利なスクリーン装置が記載されている。
【0008】
本発明による、湿式スクリーンプロセスのさらなる最適化が可能である。特に、1つのスクリーン装置により、繊維材料懸濁液を効果的に、利用可能な繊維と、不純ではない材料とに分けることができる。
【0009】
特別な構成では、スクリーン装置内での物理的な特性がさらに均質にされる。この場合、不均一な物理的な特性とは特に、以下のようなものである。
【0010】
1)軸方向で見てスクリーン面の種々異なる個所における不均一な物質の組成(粘稠性、汚染状態)、
2)周方向で見て不均一な流れ速度、
3)周方向で見て不均一な物質の組成(粘稠性、汚染状態)、
これにより効率が損なわれ、かつ/又は、エネルギ消費が不要に高まる。
【0011】
1)について;スクリーン装置内に導入された繊維材料懸濁液は、スクリーンに沿った経路で常に水と繊維において濃縮され、これは、粘稠性と汚染程度とを増大させることを意味する。その結果、湿式スクリーンプロセスを開始する際に、比較的高い貫流量は、スクリーン開口において比較的高い貫流速度を伴うが、この速度はその後の経過では著しく減じられる。しかしながら、スクリーン開口における流れ速度が異なることにより、通常、分離特性(「分離限界」)も異なってくるので、ひいてはプロセス全体の効率が損なわれる。対策としてはリジェクトの一部が再循環され、即ち、スクリーン開口の手前の汚染程度や粘稠性がまだ比較的低いスクリーン領域に意図的に再循環される。
【0012】
2)について;実用的な理由から、スクリーン装置では、管路を通して懸濁液の流出入が行われるが、管路は半径方向又は接線方向に取り付けられていて、周方向で見て非対称的な流れをスクリーン装置に発生させる。これまでこのようなことは、所与のものとして甘受されていた、又は、管路の接続部を別のように(より深く又はより高く)配置することができるように、装置の構成高さが拡大されていた。これに対して本発明は初めて、液圧的な手段により、周方向で見て均質な分配を行うことによりこの問題を解決している。このことは、懸濁液を流入管片からまずは環状室へと案内し、次いで狭隘部、特に全周(約360°)にわたって延びる絞りギャップを通し、ここで流れを加速することにより得られる。狭隘部は、有利には、狭隘部で流れ速度がほぼスクリーン通過速度と同様になるように設計されている。このことは、狭隘部の最も狭い流れ横断面が、スクリーンバスケットの開口した全スクリーン面積とほぼ同じである場合にほぼ得られる。従って、狭隘部の手前に位置する環状室には、流入管片がどこに配置されているかには関わらず、全周にわたって均一な圧力分布が生じる。同様の原理は有利には、アクセプト出口管片により非対称の問題が生じる、スクリーン領域からのアクセプト出口のためにも利用することができる。両狭隘部を組み合わせる、即ち入口にも出口にも狭隘部を設けると特に有利である。
【0013】
即ち、流入及び/又は流出する懸濁液の対称的な均質な分配が得られ、この場合、懸濁液は周方向でスクリーンバスケットの周りを通って案内される必要はなく、このことは、スクリーン面積の最良の利用及びスクリーン特性のために重要である。即ち、比較的僅かな手間で、スクリーンコストだけではなく、スクリーン装置のサイズにも影響を与えるスクリーン面積の大きさを、効率を損なうことなく減じることができる。これはスクリーン装置のためのコストとエネルギ消費の節約となる。これに対し、分離効率の上昇が求められるならば、同じ大きさのスクリーン面積で分離効率を上げることができる。
【0014】
3)について;2)について記載したのと同様に、流れが均一に周面に亘って分配されると、スクリーンに沿った経路で懸濁液の組成も同じに維持される。何故ならば、1)について記載した周囲にわたる汚染程度及び粘稠性の増加が同じであるからである。
【0015】
本発明及び本発明の利点を図面につき説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明による方法を実施するための選別装置を概略的に示した側方断面図である。
【図2】図1に示した選別装置の別の構成を示した図である。
【図3】選別装置内部のリジェクト処理のための有利な離解区域を示した図である。
【図4】異なる構成の離解区域を示した図である。
【図5】特別な構成のリジェクト室を示した平面図である。
【図6】リジェクト戻り流のための軸方向コンベヤを有した別の選別装置を示した図である。
【図7】下方に位置するリジェクト出口を有した別の構成の選別装置を示した図である。
【図8】リジェクト再循環を行わない別の実施例を示した図である。
【0017】
図1には、相応のスクリーン装置により行う本発明による方法の典型的な実施例が示されている。スクリーン装置は、ケーシング内に円筒状のスクリーンバスケット1を有しており、このスクリーンバスケット1はスクリーン室5を取り囲んでいる。中心線は、使用位置で鉛直である。従って垂直型選別機とも呼ばれる。この方法は、垂直型のスクリーン装置によらなくても行うことができ、例えば水平型選別機でも行うことができる。選別すべき繊維材料懸濁液Sは、入口8を通って側方からケーシング内に導入され、従って非対称的に流入する。懸濁液Sはまず、環状の入口室4に到り、この入口室4から半径方向内側に向かって、絞りギャップ6を通ってスクリーン室5内に圧送される。このような狭隘部(絞りギャップ6)による効果については既に記載した。スクリーン室5から出てスクリーンバスケット1のスクリーン開口を通過したアクセプトは、アクセプト室3に到り、ここから絞りギャップ9を通ってアクセプト捕集室7へと案内され、このアクセプト捕集室7には側方でアクセプト出口10が続いていて、これにより非対称的な流出流がアクセプト捕集室7から生じる。アクセプト出口10の位置は、外周において任意に選択することができ、これにより例えば、具体的な設置状況に適合させるのが容易になる。
【0018】
繊維材料懸濁液Sが著しく不純である場合には、スクリーンバスケット1に達する前に重量部分を分離すると有利である。比較的大きな重量部分は、入口室4の半径方向外側の下方部分に集まり、ここで重量部分出口13を介して重量部分ゲート14へと導出される。入口8が入口室4に接線方向で接続されていると有利である。
【0019】
スクリーン装置における流れ特性を改善するための、特に流れ速度を均等にするためのその他の措置がここで実現されている。即ち、回転体11とスクリーンバスケット1との間に位置するスクリーン室5の中空室の横断面は、懸濁液の入口と出口の間の軸方向に沿って小さくなり、アクセプト室3は同じ方向で大きくなると有利である。これにより、スクリーン室5からアクセプト室3への懸濁液の流れをスクリーンバスケット1に沿った経路において考慮することができる。これは、対応する壁が同方向に円錐形状を成すことにより得られる。即ち、例えばここで図示されているように互いに平行であって良い。このように形成されたスクリーン装置は全体として小さく、ひいては安価であって、液圧損失は減じられており、即ち、同じ技術成果を得るためには僅かなエネルギで済む。
【0020】
スクリーンバスケット1で退けられる懸濁液の部分、特に不純物質は、スクリーンバスケット1の上方に位置するリジェクト室15で集められ、ここで回転流を形成する。これら不純物質は、一部はリジェクト出口16を介してリジェクトR´としてケーシング2から除去され、一部はリジェクト戻り流R´´として、上方で開かれた回転体11の中空内室を通ってスクリーン室5内に再循環される。リジェクト室15が上方に位置していることにより、リジェクトR´と共に空気と軽量部分(例えばポリスチレン)を抽出するのが容易になる。有利にはこれにより、ケーシングのカバーの空気抜き管路を省くことができる。ケーシングから導出されたリジェクトR´は、必要であれば、繊維損失を回避するために、再度選別される。
【0021】
スクリーン室5では、回転体11に固定されたクリーニング部材12が、スクリーンバスケット1の内面に密着して動かされる。クリーニング部材12は、クリーニング部材12を取り巻く液体に対する相対的な運動により、押圧サージ及び吸込サージを発生させ、これによりスクリーン開口は開放状態に維持される。回転体11は回転駆動される。回転体11と、周囲に自由な流れが可能であるクリーニング部材12とを有したここに図示した形の他に、例えば直接回転体に取り付けられたクリーニング部材を備えた別の回転体を使用することもできる。
【0022】
リジェクト戻り流R´´により、不純物質と残留繊維とから成る混合物が再び、選別プロセスへと供給される。これにより残留繊維は、意図的にアクセプト内に到る可能性を得る。この場合、回転体11における分配開口18,19の位置が、リジェクト戻り流R´´が、新たに供給される繊維材料懸濁液Sを処理するスクリーン領域に到るように選択されると有利である。このような形式の内部のリジェクト戻り流R´´の重要な利点は、全周にわたって均一に分配された流れを形成することができ、所望のように、スクリーンバスケット1の負荷が少ない部分へと案内することができることにある。
【0023】
スクリーン室5は上方部分に中央管片17を有しており、この中央管片17から、例えば希釈水Wをリジェクト戻り流R´´に混合させることができる。希釈水流は、リジェクト戻り流R´´の軸方向搬送を強化することができ、中央管片17が回転体11に密着して、又は回転体11内部で開口している場合には特に強化することができる。図2には、希釈水Wを供給する別の構成が示されていて、この構成では、ほぼ円筒状に成形されたリジェクト室15に側方で取り付けられた、有利には接線方向で取り付けられた管片22が設けられている。この希釈水Wはここで意図的に、排出すべきリジェクトR´と混合される。これにより、濃縮によりリジェクト出口16に詰まりが生じるのを防止するという利点が得られる。
【0024】
選択的には、必要であれば、スクリーン開口を通過せずにスクリーンバスケット1を流過した空気と軽量部分を除去するために中央管片17を利用することもできる。有利には中央管片17は、内部で、装置のカバーと同一平面となるように構成される。
【0025】
リジェクトを再度選別する前にさらに離解する又は解繊するならば、即ち、繊維塊および繊維小片がさらに小さくされると、繊維がよりスクリーン開口を通過するようになり、リジェクト戻り流R´´からの残留繊維の回収が著しく改善される。このような離解ステップは図2に示されている。このために、スクリーン室5(ここではスクリーンバスケット1の上端部)とリジェクト室15との間の一個所に、離解区域20が設けられており、この離解区域20で、回転体11とケーシングとの間の相対運動により、繊維塊および繊維小片の破壊が行われ、即ち特に、スクリーンで退けられた繊維塊及び繊維小片の破壊が行われる。図3には、離解区域20の有利な構成が詳しく示されている。ケーシングに結合されたステータリング25と、回転体11に結合されたロータリング24とが示されており、これらは離解のために、周囲に亘って分配された凹部、特に階段状のポケット26,27を有している。これらのポケット26,27は、例えば1〜20mmの深さTを有している。ロータリング24とステータリング25とは、所定の間隔を置いて互いに向かい合って位置しているので、これらの間には隙間が生じ、この隙間を、スクリーンバスケット1で退けられた材料が通過する。この場合、繊維塊と繊維小片とは少なくとも部分的に離解される。有利には、ロータリング24とステータリング25は分離可能であって、簡単に交換できるように、例えばねじによって固定されている。交換は、摩耗により必要な場合があり、又は、交換は、別の離解強度に調節するために行われる。このようなリジェクトの離解は、即ち主に、所望の繊維回収と所望されない不純物微細化との折り合いで行われる。繊維の損傷が生じない剪断力による処理が有利である。離解強度は、ポケットの数及び形状により調節することができる。図4には、離解区域の別の実施例が示されている。ロータリング24´とステータリング25´とはここでは、互いに噛み合うように配置されており、これにより、より大きな衝撃が繊維小片に伝えられる。ロータリング24´及びステータリング25´には、ポケット、溝、又は連続的な粗面加工表面を設けることができる。
【0026】
繊維塊や繊維小片を離解するために、例えばロータリング及びステータリングに、間隔を置いて互いに通過し合う歯列を設けることもできる。
【0027】
さらに図3には、スクリーンバスケット1に設けられたスクリーン開口28が単なる例として円形の孔として図示されているが、これは例えば、0.1〜0.4mmの、有利には0.15〜0.25mmの幅を有したスリット、又は1〜2mmの直径を有した円形孔であって良い。この選択は、素材に大きく依存している。
【0028】
図2に示されているように、この方法では、別の搬送プロセスからのリジェクトR´´´をスクリーンプロセスに供給することもできる。このようなリジェクトR´´´は別のスクリーン装置(リジェクト出口又は脱気部)又はハイドロサイクロンからのものであって良い。従って、例えば、別の、有利には後続の圧力選別機のリジェクトが、直接的な管路を通って中央管片17に流入することができる。この場合、このリジェクトR´´´のための貯蔵容器を省くことができる。リジェクトR´´´を、側方に取り付けられた管片22から、ほぼ円筒状又はリング状に成形されたリジェクト室15内に導入することもできる。リジェクトR´´´は次いで、回転流に巻き込まれて、リジェクト戻り流R´´に加えられて混合される。
【0029】
リジェクト室15は、図2の実施例では、図1の実施例よりも幾分高く形成されており、中央の押しのけ体21を有している。これによりこの室内の回転流をより良好に保つことができ、特にデッドスペースや不要な渦流が回避される。
【0030】
入口室4´は図2の実施例では、スクリーン室5の下側に配置することができる。このような実施例では、回転体11の軸受ケーシング23が、入口室4´の中心に位置しており、これによりデッドスペース及び不要な渦流が回避され、さらにはスペースが節約される。絞りギャップ6´は扁平なリングギャップであって良い。
【0031】
図5は、本発明による選別装置の平面図で、リジェクト室15を断面して概略的に示しており、全体を示すものではない。有利には、リジェクト室15における回転流はバリヤ29によって制動され、リジェクト出口16へと案内される。これによりエネルギ消費も減じることができる。図5の断面図では、回転体11に、離解区域20のステータリング25とポケット26(一部しか図示していない)とが図示したように配置されていることが示されている。
【0032】
リジェクト戻り流R´´の案内を改善するために、軸方向コンベヤを使用することができ、これは図6に実施例が示されている。この場合、回転体11の中央にスクリュー螺旋30が配置されている。このスクリュー螺旋とリジェクト流との間の相対運動により軸方向力が生じる。この場合、スクリュー螺旋30は図示したように、一緒に回転することができる、又は不動にすることができ、この場合、例えばカバーに固定することができる。相対速度と、スクリュー螺旋30のスクリュー方向が重要である。また、スクリューを有した軸方向コンベヤを取り付けることは、例えば別の搬送作用が所望される場合に、軸方向コンベヤを交換することができるので有利である。ロータの交換も容易になる。
【0033】
ここまで図1〜図6につき記載した、下方から上方への流れ方向での使用例は、多くの場合、最良であるが、これに限定されるものではない。従って、図7には、スクリーンバスケット1の範囲における流れが上方から下方に向かって案内されるスクリーン装置が示されている。リジェクトR´は、下方に位置するリジェクト出口16からケーシングを出て、リジェクト戻り流R´´は離解区域20での処理後に回転体11を通って上方へと上昇する。そして再びスクリーン室5へと到る。このような配置では、スクリーンバスケット1には上方から特に容易に接近することができ、このことは交換の際に有利である。
【0034】
図8に示した実施例では、1つ又は2つの狭隘部により、周方向で流れを均質にする原理が、リジェクト再循環を行わない圧力選別機において使用されている。従って、このような措置を行う公知の圧力選別機は、上記理由から大きく改善される。スクリーン室5への流入流は、入口室4から扁平な絞りギャップ6´を介してスクリーン室5へと到る。アクセプトは、アクセプト室3から絞りギャップ9を通ってアクセプト捕集室7へと案内される。スクリーンバスケット1で退けられた部分は、リジェクト室15へと到り、リジェクト出口16から装置を出て行く。2つの狭隘部の組み合わせは有利であるが、場合によっては1つでも十分である。この実施例では、選別したい繊維材料懸濁液Sは上方へと供給され、リジェクトRは下方へと案内される。しかしながら流れの案内は逆であっても良く、即ち、図1〜図6に示したようなものであっても良い。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクリーン装置によって繊維材料懸濁液(S)を選別するための方法であって、前記スクリーン装置には、ケーシング内に装着された、スクリーン室(5)を取り囲む少なくとも1つのスクリーンバスケット(1)が設けられており、スクリーンバスケットには多数のスクリーン開口が設けられており、該スクリーン開口を、スクリーン室(5)内に案内された繊維材料懸濁液(S)の一部が通過し、アクセプト(A)としてアクセプト室(3)に到り、これをスクリーン装置から導出し、繊維材料懸濁液(S)のその他の部分をスクリーン開口で退け、少なくとも部分的にリジェクト(R,R´)としてスクリーン装置から排出する形式のものにおいて、
前記リジェクトの一部を、リジェクト戻り流(R´´)としてスクリーン室(5)に戻すことを特徴とする、スクリーン装置によって繊維材料懸濁液(S)を選別するための方法。
【請求項2】
スクリーン室(5)内に少なくとも1つのスクリーンクリーナが配置されており、該スクリーンクリーナは、クリーニング部材(12)を有した駆動される回転体(11)を有しており、リジェクト(R,R´,R´´)の一部を回転体(11)の内側で、機械的なコンベヤによって、特に、回転体(11)に結合された軸方向コンベヤによってスクリーン室(5)内に戻す、請求項1記載の方法。
【請求項3】
スクリーンバスケット(1)で退けられたリジェクト(R,R´,R´´)をスクリーン装置で少なくとも部分的に再度、離解する、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
リジェクト(R,R´,R´´)の少なくとも一部に希釈水を供給する、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
リジェクト(R´,R´´)の少なくとも一部に、特に、スクリーン室(5)に戻された部分に、別の分離プロセスから生じた別のリジェクト(R´´´)を供給する、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
スクリーン装置によって繊維材料懸濁液(S)を選別するための方法であって、前記スクリーン装置には、ケーシング内に装着された、スクリーン室(5)を取り囲む少なくとも1つのスクリーンバスケット(1)が設けられており、スクリーンバスケットには多数のスクリーン開口が設けられており、該スクリーン開口を、スクリーン室(5)内に案内された繊維材料懸濁液(S)の一部が通過し、アクセプト(A)としてアクセプト室(3)に到り、これをスクリーン装置から導出し、繊維材料懸濁液(S)のその他の部分をスクリーン開口で退け、少なくとも部分的にリジェクト(R,R´)としてスクリーン装置から排出する、特に請求項1から5までのいずれか1項記載の方法において、
繊維材料懸濁液(S)を全周にわたって均一に分配してスクリーン室(5)へと供給することを特徴とする、スクリーン装置によって繊維材料懸濁液(S)を選別するための方法。
【請求項7】
スクリーン装置によって繊維材料懸濁液(S)を選別するための方法であって、前記スクリーン装置には、ケーシング内に装着された、スクリーン室(5)を取り囲む少なくとも1つのスクリーンバスケット(1)が設けられており、スクリーンバスケットには多数のスクリーン開口が設けられており、該スクリーン開口を、スクリーン室(5)内に案内された繊維材料懸濁液(S)の一部が通過し、アクセプト(A)としてアクセプト室(3)に到り、これをスクリーン装置から導出し、繊維材料懸濁液(S)のその他の部分をスクリーン開口で退け、少なくとも部分的にリジェクト(R,R´)としてスクリーン装置から排出する、特に請求項1から6までのいずれか1項記載の方法において、
アクセプト(A)を全周にわたって均一に分配してアクセプト室(3)から排出することを特徴とする、スクリーン装置によって繊維材料懸濁液(S)を選別するための方法。
【請求項8】
流れを均一に分配するために、全周にわたって延在している少なくとも1つの狭隘部を通して、特に少なくとも1つの絞りギャップ(6,6´,9)を通して案内し、前記狭隘部における流れ速度を、スクリーンバスケット(1)のスクリーン開口における平均流れ速度に、±50%の許容誤差をもって相当するように調節する、請求項6又は7記載の方法。
【請求項9】
繊維材料懸濁液(S)を下方から供給し、リジェクト(R,R´)を上方から排出する直立型圧力選別機を使用する、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
特に請求項1から9までのいずれか1項記載の方法を実施するためのスクリーン装置であって、ケーシング内に装着された、スクリーン室(5)を取り囲む少なくとも1つのスクリーンバスケット(1)を有しており、該スクリーンバスケットには多数のスクリーン開口が設けられており、入口(8)から入口室(4,4´)に到り次いでスクリーン室(5)へと案内される繊維材料懸濁液(S)の一部が、前記スクリーン開口を通過して、半径方向でさらに外側に位置するアクセプト室(3)へと到ることができ、アクセプト室は、少なくとも1つのアクセプト出口(10)と液圧的に接続されており、スクリーン開口で退けられた繊維材料懸濁液(S)の部分のために少なくとも1つのリジェクト出口(16)が設けられており、スクリーン室(5)内には少なくとも1つのスクリーンクリーナが配置されており、該スクリーンクリーナは、クリーニング部材(12)を備えた駆動される回転体(11)を有している形式のものにおいて、
スクリーン装置が少なくとも1つの液圧的な接続部を有しており、該接続部によって、スクリーンバスケット(1)で退けられたリジェクト(R)の一部を入口室(4,4´)に戻すことができることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法を実施するための装置。
【請求項11】
入口室(4,4´)が重量部分出口(13)に接続されている、請求項10記載のスクリーン装置。
【請求項12】
リジェクト出口(16)がスクリーンバスケット(1)の上方に配置されている、請求項10又は11記載のスクリーン装置。
【請求項13】
リジェクト出口(16)が前記入口(8)の上方に配置されている、請求項10から12までのいずれか1項記載のスクリーン装置。
【請求項14】
スクリーン室(5)とリジェクト室(15)との間に、少なくとも1とのロータリング(24、24´)と少なくとも1つのステータリング(25,25´)とを備えた離解区域(20)が配置されており、ロータリングとステータリングとの間で、リジェクト(R,R´,R´´)をさらに処理することができ、特にさらに離解することができる、請求項10から13までのいずれか1項記載のスクリーン装置。
【請求項15】
ロータリング(24,24´)とステータリング(25,25´)との間にポケット(26,27)が設けられている、請求項14記載のスクリーン装置。
【請求項16】
ロータリング(24,24´)とステータリング(25,25´)とが分離可能であって、特にねじによって固定されている、請求項14又は15記載のスクリーン装置。
【請求項17】
回転体(11)に軸方向コンベヤ、特にスクリュー螺旋(30)が設けられている、請求項10から16までのいずれか1項記載のスクリーン装置。
【請求項18】
回転体(11)とスクリーンバスケット(1)との間に位置する、スクリーン室(5)の部分の横断面が軸方向で小さくなっており、アクセプト室(3)が同じ方向で拡大されている、請求項10から17までのいずれか1項記載のスクリーン装置。
【請求項19】
スクリーン室(5)及びアクセプト室(3)の横断面の変化が、対応する壁の同方向に円錐状の形状によりもたらされる、請求項18記載のスクリーン装置。
【請求項20】
入口室(4,4´)とスクリーン室(5)との間に、及び/又はアクセプト室(3)と該アクセプト室(3)に直接続いているアクセプト捕集室(7)との間に、それぞれ少なくとも1つの狭隘部が位置しており、特に、全周にわたって延在する少なくとも1つの絞りギャップ(6,6´,9)が位置しており、該狭隘部の最も狭い流れ横断面が、スクリーンバスケット(1)の開口したスクリーン面積全体にほぼ相当する、有利には、スクリーンバスケット(1)の開口したスクリーン面積の50〜200%、特に50〜150%に相当する、請求項10から19までのいずれか1項記載のスクリーン装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2013−515868(P2013−515868A)
【公表日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−545243(P2012−545243)
【出願日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際出願番号】PCT/EP2010/069888
【国際公開番号】WO2011/076660
【国際公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(506408818)フォイト パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (52)
【氏名又は名称原語表記】VOITH PATENT GmbH
【住所又は居所原語表記】St. Poeltener Str. 43, D−89522 Heidenheim, Germany
【Fターム(参考)】